JP2015038169A - 免震構造体用ゴム組成物および免震構造体用ゴム - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴム組成物の加工性に優れ、かつ加硫ゴムとしたときの減衰性能に優れる免震構造体用ゴム組成物を提供すること。【解決手段】ジエン系ゴムを含有するゴム成分100重量部に対し、樹脂成分を10〜80重量部含有する免震構造体用ゴム組成物であって、樹脂成分として、フェノール変性キシレン樹脂と、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂とを併用する免震構造体用ゴム組成物。フェノール変性キシレン樹脂は、ノボラックタイプのフェノール変性キシレン樹脂であることが好ましい。【選択図】 図1
Description
本発明は、ジエン系ゴムを含有するゴム成分と樹脂成分とを含有する免震構造体用ゴム組成物および免震構造体用ゴムに関する。
建築物の基礎免震、橋梁や高架道路などの構造物の支承には、ゴム組成物と鋼板などの硬質板とを交互に積層した免震構造体が用いられている。この免震構造体は、上下方向には高い剛性、せん断方向には低い剛性を有する弾性構造体であり、地震の振動数に対して建築物の固有振動数を低減することにより、振動の入力加速度を減少し、建築物あるいはその中の人、設備などに対する被害を最小限にするものである。このため、免震構造体を構成する免震構造体用ゴムには、高い減衰性能が要求される。
加硫ゴムに高い減衰性能を付与する方法として、例えばシリカやカーボンブラックを多量に配合することでフィラー成分を増やすことにより、高減衰性を付与する方法がある。しかしながら、かかる方法では、ゴム粘度の上昇により未加硫ゴムの混練や押出などの精練工程に悪影響し加工性を低下させるとともに、ゴム硬度の上昇による破断伸びを低下させるという問題がある。
また、加硫ゴムに高い減衰性能を付与する方法として、下記特許文献1〜3には、フェノール樹脂、ロジン樹脂、DCPD樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、脂環系石油樹脂、C5系石油樹脂とC9系石油樹脂とを共重合させた樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、ポリエステルポリオール樹脂およびこれらの樹脂の変性樹脂などの樹脂成分をゴム組成物に配合する技術が記載されている。また、下記特許文献4には、減衰性付与剤として、2以上の水酸基を有するロジン誘導体、キシレン樹脂及び2以上の水酸基を有するフェノール系老化防止剤からなる群から選択される1種以上をゴム組成物に配合する技術が記載されている。
一般的に、ゴム組成物中に樹脂成分の配合量を増量すればするほど、減衰性能は向上する一方で、樹脂成分の配合量の増量に伴い、ゴム組成物の混練・ロール加工時の加工性が悪化する傾向がある。つまり、ゴム組成物の加工性と、加硫ゴムの減衰性能は二律背反関係にあるといえる。本発明者が鋭意検討したところ、上記先行技術文献に記載の製造方法では、加工性を良好に維持しつつ加硫ゴムの減衰性能を向上するには、自ずと限界があった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ゴム組成物の加工性に優れ、かつ加硫ゴムとしたときの減衰性能に優れる免震構造体用ゴム組成物を提供することにある。
上述のとおり、ゴム組成物の加工性と、加硫ゴムの減衰性能とは二律背反関係にあり、加硫ゴムの減衰性能を向上するために、ゴム組成物中の樹脂成分の割合を増やすと、必然的にゴム組成物の加工性が悪化する傾向があった。また、樹脂成分に関しても、ゴム組成物に配合した場合に加硫ゴムの減衰性能を高める効果が高い樹脂については、反面的にゴム組成物の加工性を悪化させる傾向があった。しかしながら、本発明者が鋭意検討した結果、特定の樹脂を併用してゴム組成物に配合した場合、ゴム組成物の加工性を良好に維持しつつ、加硫ゴムにおいて、想定される以上の減衰性能を付与できることを見出した。本発明は、上記発見に基づきなされたものであり、下記構成を備える。
すなわち本発明は、ジエン系ゴムを含有するゴム成分100重量部に対し、樹脂成分を10〜80重量部含有する免震構造体用ゴム組成物であって、前記樹脂成分として、フェノール変性キシレン樹脂と、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂とを併用することを特徴とする免震構造体用ゴム組成物、に関する。
本発明に係る免震構造体用ゴム組成物では、樹脂成分として、フェノール変性キシレン樹脂と、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂とを併用する点が特徴である。上述のとおり、ゴム組成物に配合した場合に、加硫ゴムの減衰性能を高める効果が高い樹脂については、反面的にゴム組成物の加工性を悪化させる傾向があり、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂は加硫ゴムの減衰性能を高める効果が高い反面、ゴム組成物の加工性を悪化させる傾向がある。一方、フェノール変性キシレン樹脂は、減衰性能を高める効果が低い反面、ゴム組成物の加工性を高める傾向がある。通常であれば、フェノール変性キシレン樹脂と、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂とを例えば等量ずつ併用した場合、加硫ゴムの減衰性能およびゴム組成物の加工性は、いずれも、フェノール変性キシレン樹脂を単独で使用した場合、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂を単独で使用した場合の、略中間のレベルになるものと推測される。
しかしながら、驚くべきことに、本発明において、フェノール変性キシレン樹脂と、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂とを併用した場合、加硫ゴムの減衰性能はジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂を単独で使用した場合よりもさらに高まる一方で、ゴム組成物の加工性についてはフェノール変性キシレン樹脂を単独で使用した場合と同等に優れる。
本発明に係る免震構造体用ゴム組成物においては、フェノール変性キシレン樹脂と、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂とを併用した場合の相乗効果を最大限に発揮しつつ、加硫ゴムの減衰性能とゴム組成物の加工性とを効果的に高めるために、ジエン系ゴムを含有するゴム成分100重量部に対し、樹脂成分を10〜80重量部含有させる。
上記免震構造体用ゴム組成物において、前記フェノール変性キシレン樹脂が、ノボラックタイプのフェノール変性キシレン樹脂であることが好ましい。かかる構成によれば、加硫ゴムの減衰性能とゴム組成物の加工性とをより効果的に高めることができる。
上記免震構造体用ゴム組成物において、前記樹脂成分の全量を100重量%としたとき、前記フェノール変性キシレン樹脂を10〜90重量%含有することが好ましい。かかる構成によれば、加硫ゴムの減衰性能とゴム組成物の加工性とをさらに効果的に高めることができる。
上記免震構造体用ゴム組成物において、前記ジエン系ゴムが、天然ゴムおよびブタジエンゴムを含有することが好ましい。かかる構成によれば、加硫ゴムの減衰性能とゴム組成物の加工性とをさらにバランス良く、効果的に高めることができる。
本発明に係る免震構造体用ゴムは、前記いずれかに記載の免震構造体用ゴム組成物を加硫成形して得られる。上述のとおり、かかる免震構造体用ゴムは減衰性能が非常に高く、優れた免震性能を発揮することができる。
本発明に係る免震構造体用ゴム組成物は、ジエン系ゴムを含有するゴム成分および樹脂成分を含有する。
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、およびアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。これらのジエン系ゴムの中でも、加硫ゴムの減衰性能を高めるためには、ゴム成分として天然ゴムを含有することが好ましく、ゴム組成物の加工性および加硫ゴムの温度依存性を高めるためには、ゴム成分としてブタジエンゴムを含有することが好ましい。特に、加硫ゴムの減衰性能およびゴム組成物の加工性をバランス良く高めるためには、ゴム成分100重量部中、天然ゴムおよびブタジエンゴムを、80:20〜20:80重量部含有することが好ましく、70:30〜30:70重量部含有することがより好ましく、60:40〜40:60重量部含有することがさらに好ましい。なお、ゴム成分100重量部中、ジエン系ゴムを50重量部以上含有することが好ましく、80重量部以上含有することが好ましく、略100重量部含有することが好ましい。
本発明に係る免震構造体用ゴム組成物は、ゴム成分100重量部に対し、樹脂成分を10〜80重量部含有する。加硫ゴムの減衰性能およびゴム組成物の加工性をバランス良く高めるためには、ゴム成分100重量部に対し、樹脂成分を20〜70重量部含有することが好ましい。
本発明に係る免震構造体用ゴム組成物では、樹脂成分として、フェノール変性キシレン樹脂と、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂とを含有する。
フェノール変性キシレン樹脂は、キシレン樹脂をフェノールで変性したものであり、様々なタイプのものが存在するが、本発明においては特に、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂と併用した場合に加硫ゴムの減衰性能が飛躍的に向上するノボラックタイプのフェノール変性キシレン樹脂が好ましい。ノボラックタイプのフェノール変性キシレン樹脂としては、例えば下記一般式(1)に記載の構造を主成分として有するものが挙げられる。
ノボラックタイプのフェノール変性キシレン樹脂としては、市販品も好適に使用可能であり、例えば、フドー社製のニカノールGP−200などが挙げられる。
ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂は、一般にナフサ分解によって得られるC5留分から抽出されるジシクロペンタジエンを主原料として得られる脂環族系炭化水素樹脂であり、本発明においては特に、芳香族含有タイプのものが好適に使用可能である。ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂としては、市販品も好適に使用可能であり、例えば、日本ゼオン社製のQuintone2940などが挙げられる。
本発明に係る免震構造体用ゴム組成物では、フェノール変性キシレン樹脂と、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂とを併用するが、その割合は、樹脂成分の全量を100重量%としたとき、フェノール変性キシレン樹脂を10〜90重量%含有することが好ましい。同様に、樹脂成分の全量を100重量%としたとき、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂を10〜90重量%含有することが好ましい。
なお、本発明においては樹脂成分として、フェノール変性キシレン樹脂およびジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂以外の公知の樹脂成分、例えば、フェノール樹脂、フェノール変性品以外のキシレン樹脂、脂肪族系樹脂、芳香族系樹脂、脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂、ケトン樹脂などをゴム組成物に配合しても良い。しかしながら、ゴム組成物の加工性と加硫ゴムの減衰性能とをバランス良く向上させるためには、フェノール変性キシレン樹脂およびジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂以外の樹脂の配合量は、樹脂成分の全量を100重量%としたとき20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、略0重量%であることがさらに好ましい。
本発明に係る免震構造体用ゴム組成物においては、ゴム成分に加えてさらに硫黄系加硫剤を含有することが好ましい。硫黄系加硫剤としての硫黄は通常のゴム用硫黄であればよく、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを用いることができる。本発明に係る免震構造体用ゴム組成物における硫黄の含有量は、ゴム組成物の長期の経年変化を抑制するために、少ないことが好ましく、具体的にはゴム成分100重量部に対して2重量部未満であることが好ましく、1.5重量部未満であることがより好ましい。なお、硫黄系加硫剤が少なすぎると、加硫ゴムの架橋密度が不足してゴム強度などが低下することが懸念される。このため、ゴム成分100重量部に対する硫黄系加硫剤の含有量は、0.5重量部以上であることが好ましい。
本発明の免震構造体用ゴム組成物は、上記ゴム成分、樹脂成分および硫黄系加硫剤と共に、加硫促進剤、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫促進助剤、加硫遅延剤、老化防止剤、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などの通常ゴム工業で使用される配合剤を、本発明の効果を損なわない範囲において適宜配合し用いることができる。
カーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなどが用いられる。カーボンブラックは、加硫後のゴムの硬度、補強性、低発熱性などのゴム特性を調整し得る範囲で使用することができる。カーボンブラックの配合量はゴム成分100重量部に対して、20〜120重量部であることが好ましく、40〜100重量部であることがより好ましい。この配合量が20重量部未満では、カーボンブラックの補強効果が充分に得られない場合があり、120重量部を超えると、発熱性、ゴム混合性および加工時の作業性などが悪化する場合がある。
加硫促進剤としては、ゴム加硫用として通常用いられる、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などの加硫促進剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
老化防止剤としては、ゴム用として通常用いられる、芳香族アミン系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などの老化防止剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
本発明の免震構造体用ゴム組成物は、ゴム成分、樹脂成分および硫黄系加硫剤、必要に応じて、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫促進剤、老化防止剤、ワックスなどを、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの通常のゴム工業において使用される混練機を用いて混練りすることにより得られる。
また、上記各成分の配合方法は特に限定されず、硫黄系加硫剤、および加硫促進剤などの加硫系成分以外の配合成分を予め混練してマスターバッチとし、残りの成分を添加してさらに混練する方法、各成分を任意の順序で添加し混練する方法、全成分を同時に添加して混練する方法などのいずれでもよい。
上記各成分を混練し、成形加工した後、加硫を行うことで、免震構造体用ゴムが得られる。かかる免震構造体用ゴムは減衰性能が非常に高く、優れた免震性能を発揮することができる。
以下に、この発明の実施例を記載してより具体的に説明する。
(ゴム組成物の調製)
ゴム成分100重量部に対して、表1の配合処方に従い、実施例1〜5、比較例1〜5のゴム組成物を配合し、通常のバンバリーミキサーを用いて混練し、ゴム組成物を調整した。表1に記載の各配合剤を以下に示す。
ゴム成分100重量部に対して、表1の配合処方に従い、実施例1〜5、比較例1〜5のゴム組成物を配合し、通常のバンバリーミキサーを用いて混練し、ゴム組成物を調整した。表1に記載の各配合剤を以下に示す。
a)ゴム成分
天然ゴム 「商品名:RSS#3」、
ブタジエンゴム 「商品名:BR01」、JSR社製
b)カーボンブラック
「商品名:シースト9」、東海カーボン社製
c)脂肪酸
「商品名:工業用ステアリン酸」、花王社製
d)酸化亜鉛
「商品名:亜鉛華3号」、三井金属工業社製
e)フェノール変性キシレン樹脂(ノボラックタイプ)
「商品名:ニカノールGP−200」、フドー社製
f)ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂(芳香族含有タイプ)
「商品名:Quintone2940」、日本ゼオン社製
g)エチレンオキサイド付加キシレン樹脂
(1)「商品名:ニカノールL5」、フドー社製
(2)「商品名:ニカノールK−1005」、フドー社製
h)アロマオイル
「商品名:プロセスX−140」、JX日鉱日石エネルギー社製
i)硫黄
「商品名:5%オイル処理硫黄」、細井化学工業社製
j)加硫促進剤
「商品名:ノクセラーNS−P」、大内新興化学工業社製
天然ゴム 「商品名:RSS#3」、
ブタジエンゴム 「商品名:BR01」、JSR社製
b)カーボンブラック
「商品名:シースト9」、東海カーボン社製
c)脂肪酸
「商品名:工業用ステアリン酸」、花王社製
d)酸化亜鉛
「商品名:亜鉛華3号」、三井金属工業社製
e)フェノール変性キシレン樹脂(ノボラックタイプ)
「商品名:ニカノールGP−200」、フドー社製
f)ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂(芳香族含有タイプ)
「商品名:Quintone2940」、日本ゼオン社製
g)エチレンオキサイド付加キシレン樹脂
(1)「商品名:ニカノールL5」、フドー社製
(2)「商品名:ニカノールK−1005」、フドー社製
h)アロマオイル
「商品名:プロセスX−140」、JX日鉱日石エネルギー社製
i)硫黄
「商品名:5%オイル処理硫黄」、細井化学工業社製
j)加硫促進剤
「商品名:ノクセラーNS−P」、大内新興化学工業社製
(評価)
評価は、各ゴム組成物を所定の金型を使用して、150℃で60分間加熱、加硫して得られたサンプルゴムについて行った。
評価は、各ゴム組成物を所定の金型を使用して、150℃で60分間加熱、加硫して得られたサンプルゴムについて行った。
<減衰性能(heq)>
ゴムシートから25mm×25mmの方形状に成形したゴムシートを作製し、これを25mm×120mm×厚さ3mmの、接着剤を塗布した2枚の鉄板で、断面クランク状となるように挟み、これを加硫接着させて試験片とした。これを1軸せん断試験機に設置し、せん断変形を生じさせる繰り返し載荷を4回行い、3波目の履歴特性を測定した。
履歴特性の測定により得られた履歴ループを図1に示す。この履歴ループは下記水平特性値を規定している。
W(N・mm):ひずみエネルギー(図1の斜線部で示される1つの三角形の面積。)
ΔW(N・mm):吸収エネルギーの合計(図1の履歴ループで囲まれた面積。)
前記水平特性値から、減衰性能を示すheqは下記式(数式1)で計算される数値であり、この数値が大きいほど、減衰性能が高い。
heq=(1/4π)・(ΔW/W) (数式1)
得られた履歴ループから、図1に示すような水平特性値ΔW、Wが得られ、それをもとに(数式1)により高減衰ゴムの等価粘性減衰定数(heq)を求めた。なお、試験は20℃の条件で、せん断歪みを試料厚みに対して±100%の条件で行った。結果を表1に示す。
ゴムシートから25mm×25mmの方形状に成形したゴムシートを作製し、これを25mm×120mm×厚さ3mmの、接着剤を塗布した2枚の鉄板で、断面クランク状となるように挟み、これを加硫接着させて試験片とした。これを1軸せん断試験機に設置し、せん断変形を生じさせる繰り返し載荷を4回行い、3波目の履歴特性を測定した。
履歴特性の測定により得られた履歴ループを図1に示す。この履歴ループは下記水平特性値を規定している。
W(N・mm):ひずみエネルギー(図1の斜線部で示される1つの三角形の面積。)
ΔW(N・mm):吸収エネルギーの合計(図1の履歴ループで囲まれた面積。)
前記水平特性値から、減衰性能を示すheqは下記式(数式1)で計算される数値であり、この数値が大きいほど、減衰性能が高い。
heq=(1/4π)・(ΔW/W) (数式1)
得られた履歴ループから、図1に示すような水平特性値ΔW、Wが得られ、それをもとに(数式1)により高減衰ゴムの等価粘性減衰定数(heq)を求めた。なお、試験は20℃の条件で、せん断歪みを試料厚みに対して±100%の条件で行った。結果を表1に示す。
<加工性>
ミキサーにて、混練したゴム組成物を、ゴム用ロールに巻き付けた後、切り返しを行い、厚み2mmのゴムシートに圧延して、ゴムシートをロールより取り出す作業を行う際、ロール表面にゴムシートが粘着して取り出せなければ「×」、粘着なく取り出すことができれば「○」とした。結果を表1に示す。
ミキサーにて、混練したゴム組成物を、ゴム用ロールに巻き付けた後、切り返しを行い、厚み2mmのゴムシートに圧延して、ゴムシートをロールより取り出す作業を行う際、ロール表面にゴムシートが粘着して取り出せなければ「×」、粘着なく取り出すことができれば「○」とした。結果を表1に示す。
表1の結果から、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂を単独で40重量部(対ゴム成分100重量部)配合した比較例2に比して、実施例1〜3では、樹脂の配合量が同じ(40重量部)で、かつジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂よりも減衰性能への効果が低いフェノール変性キシレン樹脂を配合しているにもかかわらず、減衰性能が著しく向上している。加えて、加工性は、フェノール変性キシレン樹脂を単独で配合する比較例1と同レベルであった。
また、実施例4では、樹脂の配合量が比較例2の半分であるにもかかわらず、減衰性能は十分に満足し得る値を示した。さらに、実施例5では、樹脂の配合量が多いにもかかわらず、加工性は良好であり、かつ減衰性能は極めて向上することがわかる。
なお、キシレン樹脂には、フェノール変性品だけでなく、エチレンオキサイド付加品も存在するが、比較例3,4の結果から、エチレンオキサイド付加キシレン樹脂を単独で配合した場合、加硫ゴムの減衰性能が著しく低いことがわかる。したがって、仮にエチレンオキサイド付加キシレン樹脂をジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂と併用した場合であっても、加硫ゴムの減衰性能は満足できるレベルまで上がらないことが容易に推測できる。
また、樹脂成分を合計量で90重量部含有する比較例5では、ゴム組成物の加工性が悪化した。
Claims (5)
- ジエン系ゴムを含有するゴム成分100重量部に対し、樹脂成分を10〜80重量部含有する免震構造体用ゴム組成物であって、
前記樹脂成分として、フェノール変性キシレン樹脂と、ジシクロペンタジエン系炭化水素樹脂とを併用することを特徴とする免震構造体用ゴム組成物。 - 前記フェノール変性キシレン樹脂が、ノボラックタイプのフェノール変性キシレン樹脂である請求項1に記載の免震構造体用ゴム組成物。
- 前記樹脂成分の全量を100重量%としたとき、前記フェノール変性キシレン樹脂を10〜90重量%含有する請求項1または2に記載の免震構造体用ゴム組成物。
- 前記ジエン系ゴムが、天然ゴムおよびブタジエンゴムを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の免震構造体用ゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の免震構造体用ゴム組成物を加硫成形して得られる免震構造体用ゴム。
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2016117783A (ja) * | 2014-12-18 | 2016-06-30 | 東洋ゴム工業株式会社 | 免震構造体用ゴム組成物および免震構造体用ゴム |
US20200392314A1 (en) * | 2017-12-14 | 2020-12-17 | Compagnie Generale Des Etablissements Michelin | Civil engineering vehicle tire |
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- 2013-08-19 JP JP2013169604A patent/JP2015038169A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20200392314A1 (en) * | 2017-12-14 | 2020-12-17 | Compagnie Generale Des Etablissements Michelin | Civil engineering vehicle tire |
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