JP6826863B2 - ポリアミド樹脂組成物および成形体 - Google Patents
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Description
SiO2:52〜56質量%
B2O3:5〜10質量%
Al2O3:12〜16質量%
CaO:16〜25質量%
MgO:0〜6質量%
Na2O+K2O:0〜2質量%
TiO2:0〜1.5質量%
Fe2O3:0〜0.8質量%
F2:0〜1質量%。
すなわち本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(B)ガラス繊維が5〜200質量部であって、(B)ガラス繊維100質量%中におけるSi元素含有率が25〜28.2質量%で、かつ、Na元素含有率が0.4〜2質量%である。
(B)ガラス繊維100質量%中におけるAl元素含有率は6〜12質量%、Ca元素含有率は7〜11質量%、Mg元素含有率は3〜8質量%であり、Si、Al、Ca、MgおよびNa元素含有率の合計は48〜52質量%であることが好ましい。
(E)滑剤として、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステルワックスおよび高級脂肪酸アミドの中から選ばれる少なくとも一種を含有してもよい。
(B)ガラス繊維はシラン系カップリング剤でカップリング処理されてなるものが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(B)ガラス繊維が5〜200質量部であって、(B)ガラス繊維100質量%中におけるSi元素含有率が25〜28.2質量%で、かつ、Na元素含有率が0.4〜2質量%である。
本発明で用いる(A)ポリアミド樹脂は、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる原料とする重合体または共重合体である。その原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂環族ジアミン、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを2種以上配合してもよい。
ここで、(A)ポリアミド樹脂の融点は、示差走査熱量計を用いて、不活性ガス雰囲気下、ポリアミド樹脂を、溶融状態から20℃/分の降温速度で30℃まで降温した後、20℃/分の昇温速度で融点+40℃まで昇温した場合に現れる吸熱ピークの温度と定義する。ただし、吸熱ピークが2つ以上検出される場合には、ピーク強度の最も大きい吸熱ピークの温度を融点とする。
ここで、(A)ポリアミド樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計を用いて、不活性ガス雰囲気下、ポリアミド樹脂を、液体窒素にて急冷した後、20℃/分の昇温速度で昇温した場合に現れる階段状吸熱ピークの中点の温度と定義する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、上記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、(B)ガラス繊維5〜200質量部を配合してなる。ここで、(B)ガラス繊維とは、ガラス繊維を構成する元素のうちSiおよびNaの元素含有率が以下を満たすガラス繊維を指す。なお、下記(1)、(2)の元素含有率は、ガラス繊維100質量%に対するものである。
(1)Si元素含有率:25〜28.2質量%
(2)Na元素含有率:0.4〜2質量%
(3)Al元素含有率:6〜12質量%
(4)Ca元素含有率:7〜11質量%
(5)Mg元素含有率:3〜8質量%
(6)Si、Al、Ca、Mg、Na元素比率の合計:48〜52質量%以上
(1)Si元素含有率:25〜27.0質量%
(2)Na元素含有率:0.8〜2.0質量%
(3)Al元素含有率:6〜12質量%
(4)Ca元素含有率:7〜11質量%
(5)Mg元素含有率:3〜8質量%
(1)Si元素含有率:25.0〜26.5質量%
(2)Na元素含有率:0.8〜1.5質量%
(3)Al元素含有率:7.5〜11質量%
(4)Ca元素含有率:7〜10質量%
(5)Mg元素含有率:4〜7.5質量%
Al/Ca質量比率は、0.5〜1.5であることが好ましく、0.6〜1.4であることがより好ましい。
Mg/Ca質量比率は、0.3〜1.5であることが好ましく、0.5〜1.2であることがより好ましい。
Al/Mg質量比率は、0.5〜4であることが好ましく、0.5〜2.5であることがより好ましい。
滑剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステルワックス、および高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸金属塩とは、高級脂肪酸の金属塩である。金属塩の金属元素としては、高級脂肪酸金属塩安定性の観点から、元素周期律表の第1,2,3族元素、亜鉛、およびアルミニウム等が好ましく、カルシウム、ナトリウム、カリウム、およびマグネシウム等の、第1,2族元素、並びにアルミニウム等がより好ましい。
高級脂肪酸金属塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、およびパルミチン酸カルシウム等が挙げられる。
これらの中でも、離型性の観点から、モンタン酸の金属塩およびステアリン酸の金属塩が好ましい。
高級脂肪酸アミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、N−ステアリルステアリル酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸アミドとしては、離型性の観点から、好ましくは、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、およびN−ステアリルエルカ酸アミドが好ましく、より好ましくはエチレンビスステアリルアミドおよびN−ステアリルエルカ酸アミドである。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、熱劣化、熱時の変色防止、耐熱エージング性、および耐候性の向上を目的として、後述する熱安定剤を添加してもよい。
熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酢酸銅およびヨウ化銅等の銅化合物;ヒンダードフェノール化合物等のフェノール系安定剤;ホスファイト系安定剤;ヒンダードアミン系安定剤;トリアジン系安定剤;およびイオウ系安定剤等が挙げられる。
これらの、熱安定剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、着色剤を添加してもよい。
着色剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ニグロシン等の染料、酸化チタンおよびカーボンブラック等の顔料;アルミニウム、着色アルミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、およびチタン等の金属粒子;マイカ製パール顔料;カラーグラファイト、カラーガラス繊維、およびカラーガラスフレーク等のメタリック顔料等が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の樹脂を配合してもよい。
このようなその他の樹脂としては、特に限定されるものではないが、後述する熱可塑性樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
射出成形条件としては特に限定はないが、成形温度が250℃〜310℃の範囲、金型温度が40℃〜120℃の範囲で成形する方法が例示できる。
(1)評価方法は下記の通りである。
東芝機械(株)社製;PS40E射出成形機を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度100℃で、充填時間が約0.5秒または1.5秒になるようにそれぞれ計量位置や射出速度を適宜調整し、60×60×3mmの射出成形板を得た。この平板を用い、光沢計(HORIBA製;IG320)を用いてJIS−K7150に準じて60度グロスを測定した。
上記表面光沢測定の際に作製した充填時間0.5秒および1.5秒の平板の光沢を下記式に代入し、表面外観変化率を算出した。数値が小さいほど、成形条件変更による外観への影響が少なく優れていると判断した。
表面外観変化率(%)=[{(充填時間0.5秒の成形品の表面光沢)−(充填時間1.5秒の成形品の表面光沢)}/(充填時間0.5秒の成形品の表面光沢)]×100
後述する実施例および比較例で得られたポリアミド樹脂ペレット1kgを、40メッシュの篩い(目開き:0.425mm)を用いて1分間篩って落下した切粉の量を測定し、下記方法により求めた。
切粉発生量(質量%)={切粉の量(kg)/ポリアミド樹脂ペレット1kg}×100切粉の量が少ない方が、加工性が良好であると判断した。
(測定方法)
下記成形条件にて成形し、冷却時間のみを短縮しながら50ショット連続成形した時に離型不良がない限界のトータル成形サイクルタイムを求めた。数値が少ない方が成形サイクルを短縮でき、優れていることを示す。
(成形条件)
射出成形機 :日精樹脂工業(株)製 PS40E
得られる成形品 :60×60×3mm平板
シリンダー温度 :300℃
型 温 度 :80℃
可塑化ストローク :12mm
スクリュー回転数 :250rpm
背 圧 :10%
射出速度 :40%
射出圧力 :30%
成形サイクルタイム :射出2sec、休止0.3sec 、冷却時間13secから開始
東芝機械(株)製;IS−50EP射出成形機を用いて、樹脂温度290℃、金型温度:100℃に設定し、射出+保圧時間:25秒、冷却時間:15秒の成形条件で、ISOタイプAの多目的試験片を成形した。得られた多目的試験片を用いて、ISO527に従って、引張速度5mm/minの条件で、引張破断強さを測定した。得られた破断強さを引張破壊強度とした。
(A)ポリアミド樹脂:以下の製造例1にて得られるポリアミド(A−1)
製造例1:ポリアミド66(A−1)
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩1500g、並びに全等モル塩成分に対して0.5モル%過剰のアジピン酸を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの50質量%水溶液を得た。得られた水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した。この水溶液を、110〜150℃の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。その後、内部温度を220℃に昇温した。このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。そのまま内部温度が270℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。
B−1:元素含有率 Si:25.8、Al:9.0、Ca:7.7、Mg:6.0、Na:1.0 計:49.5質量%
表面処理剤:シラン系カップリング剤、カット長:3mmのガラス繊維チョップドストランド
B−2:元素含有率 Si:27.7、Al:9.0、Ca:6.5、Mg:7.6、Na:1.0 計:51.8質量%
表面処理剤:シラン系カップリング剤、カット長:3mmのガラス繊維チョップドストランド
B−3:元素含有率 Si:25.8、Al:8.0、Ca:10.4、Mg:8.5、Na:1.0 計:53.7質量%
表面処理剤:シラン系カップリング剤、カット長:3mmのガラス繊維チョップドストランド
B−4:元素含有率 Si:27.1、Al:12.5、Ca:9.1、Mg:6.0、Na:1.0 計:55.7質量%
表面処理剤:シラン系カップリング剤、カット長:3mmのガラス繊維チョップドストランド
表面処理剤:シラン系カップリング剤、カット長:3mmのガラス繊維チョップドストランド
このガラス繊維は先行技術文献 特開2015−105359号公報の実施例1で用いられているガラス繊維である。
B−6:元素含有率 Si:29.1、Al:9.1、Ca:8.3、Mg:4.8、Na:0.5 計:51.8質量% Fe:0.1質量%
表面処理剤:シラン系カップリング剤、カット長:3mmのガラス繊維チョップドストランド
このガラス繊維は先行技術文献 特表2009−514773の実施例7に記載されているガラス繊維である。
B−7:元素含有率 Si:25.5、Al:7.6、Ca:15.9、Mg:0.5、Na:0.3 計:49.8質量% B:2.0質量%、Zr:0.2質量%、Fe:0.1質量%、K:0.2質量%
表面処理剤:シラン系カップリング剤、カット長:3mmのガラス繊維チョップドストランド
このガラス繊維は先行技術文献 特開2015−105359号公報の比較例1に用いられているガラス繊維である。
C−1:ステアリン酸アルミニウム
C−2:モンタン酸カルシウム
上述した製造例1のポリアミド樹脂(A−1)および滑剤(C−1)を、コペリオン製、ZSK40mm2軸押出機(設定温度:前記融点測定法に準じて求めたポリアミド樹脂(A−1)の融点より約30℃高い温度、スクリュー回転数300rpm)に、それぞれ下記表2に示す質量部にて、トップフィード口より供給した。さらに、サイドフィード口より、ガラス繊維(B−1)を下記表2に示す質量部で供給した。ダイス出口より押出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしポリアミド樹脂ペレットを得た。
上記の方法により、上述した表面光沢および表面外観変化率、切粉発生量、成形サイクル、引張破壊強度を測定した。
評価結果を下記表2に示す。
ガラス繊維および滑剤を表2に記載の割合で配合した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得た。
各実施例および比較例の組成と評価結果を表2に示す。
Sガラスを用いることで光沢や引張強度がEガラスを用いたときよりも向上することは知られているが、本発明の範囲のガラス繊維を用いた場合には、Sガラスを用いた比較例1や2と同等の充填時間0.5秒における光沢および引張破壊強度を示すうえに、比較例1や2では見られなかった充填時間が長い時の外観向上や切粉の発生量の低下といった予想だにしない効果が得られた。
Claims (7)
- (A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(B)ガラス繊維が5〜200質量部であって、該(B)ガラス繊維100質量%中におけるSi元素含有率が25〜28.2質量%で、かつNa元素含有率が0.8〜2質量%であるポリアミド樹脂組成物。
- 前記(B)ガラス繊維がさらにAl、MgおよびCaを含有しており、該(B)ガラス繊維100質量%中におけるSi/Mg質量比率が3〜5.5で、かつAl/Ca質量比率が0.5〜1.5である請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(B)ガラス繊維100質量%中におけるAl元素含有率が6〜12質量%、Ca元素含有率が7〜11質量%、Mg元素含有率が3〜8質量%であり、Si、Al、Ca、MgおよびNa元素含有率の合計が48〜52質量%である請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、前記(B)ガラス繊維が50〜200質量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- (E)滑剤として、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステルワックスおよび高級脂肪酸アミドの中から選ばれる少なくとも一種を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(B)ガラス繊維がシラン系カップリング剤でカップリング処理されてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
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