JPH11323127A - ポリイミド混合物およびポリイミド混合物フィルムの製造方法 - Google Patents

ポリイミド混合物およびポリイミド混合物フィルムの製造方法

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JPH11323127A
JPH11323127A JP11100543A JP10054399A JPH11323127A JP H11323127 A JPH11323127 A JP H11323127A JP 11100543 A JP11100543 A JP 11100543A JP 10054399 A JP10054399 A JP 10054399A JP H11323127 A JPH11323127 A JP H11323127A
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L79/00Compositions of macromolecular compounds obtained by reactions forming in the main chain of the macromolecule a linkage containing nitrogen with or without oxygen or carbon only, not provided for in groups C08L61/00 - C08L77/00
    • C08L79/04Polycondensates having nitrogen-containing heterocyclic rings in the main chain; Polyhydrazides; Polyamide acids or similar polyimide precursors
    • C08L79/08Polyimides; Polyester-imides; Polyamide-imides; Polyamide acids or similar polyimide precursors

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エレクトロニクス用途に有用な膨れのない高
モジュラスで熱膨張係数の低いフィルムを得る。 【解決手段】 (a)3,3',4,4'−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物およ
びp−フェニレンジアミンを含む第1のポリイミド、お
よび(b)ピロメリット酸二無水物、p−フェニレンジ
アミンおよび4,4'−ジアミノジフェニルエーテルを
含む第2のポリイミドを含有する均質なポリイミド混合
物;ならびに、上記第1および第2のポリアミド酸ポリ
マーを極性有機溶剤中に溶解させたものを特定の温度お
よび時間混合し、転換剤と混合して該ポリアミド酸類を
ポリイミド類へと転換させてゲルフィルムを形成し、該
ゲルフィルムを加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミド混合物
ポリマーおよびポリイミド混合物フィルムの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリイミドフィルムは、その優れ
た熱的、機械的および電気的特性のために、マイクロエ
レクトロニクスの製造や装置およびパッケージングにお
いて、ならびに誘電性バリアとして広く用いられてい
る。芳香族テトラカルボン酸無水物成分、さらにはより
構造的に可変な芳香族ジアミン成分の構造的改変によ
り、多数のポリイミドフィルムが製造されてきた。芳香
族テトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミンとの組合せ
のいくつかは、広範囲な用途において有用な特性を示
す。しかしながら、わずか数種のポリイミドフィルムが
商業的規模で製造されているにすぎない。一般に、特定
のポリイミドフィルムが1つの特性において有意な改善
を示す場合には、或る別の特性を犠牲にした上でそのよ
うな特性の改善が達成されている、というのが通則であ
る。
【0003】ポリイミドフィルムの特性は、テトラカル
ボン酸無水物とジアミンまたはそれらの複合物(mul
tiples)の様々なセットを共重合することによっ
て変えることができる。しかしながら、この方法は、そ
の高いコスト、化学的複雑さ、および遅いフィルム製造
スループットのために、実用的であるとは言えない。
【0004】例えば、米国特許第5,166,308号
(1992年11月24日に発行)は、ピロメリット酸
二無水物(PMDA)、3,3',4,4'−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4'−ジ
アミノジフェニルエーテル(DADE)およびp−フェ
ニレンジアミン(PPD)の共重合により得られるコポ
リアミド酸溶液の化学的転換により調製される、高性能
電子基板として使用するための芳香族コポリイミドフィ
ルムを開示している。この芳香族コポリイミドフィルム
は、有利なことに、低い熱吸湿膨張係数(coeffi
cient of thermal and hygr
oscopic expansion)、低い吸水性お
よび高い機械的強度を有する。しかしながら、製造中
に、このコポリイミドフィルムは、乾燥および硬化の際
に望ましくない膨れ(blister)の発生が起こ
り、このことが製造スループットを厳しく制限してい
る。
【0005】時には別個に調製したポリイミド類を混合
することを含む他のアプローチを用いて、ポリイミドフ
ィルムの特性を特定の用途のために調整することが可能
である。残念なことに、ポリイミドは、大部分のポリマ
ーと同様に、通常は互いに非混和性である。適切な相互
溶剤に溶解させた場合、混合したポリイミド類は急速に
乾燥させると相分離を起こす傾向があり、このために、
表面が曇ってザラザラしているポリイミドフィルムが形
成され、このフィルムはエレクトニクスの用途には望ま
しくない。
【0006】例えば、日本特許公報平成01−1105
35号(1989年4月27日公告)および日本特許公
報平成6−55843号(1994年7月27日公告)
は、表面を粗面化したポリイミドフィルムを開示してお
り、このフィルムは、ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物(BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PP
D)と、ピロメリット酸二無水物(PMDA)と、4,
4'−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)と、イ
ミド化剤とを極性有機溶剤中に含むものから特別に誘導
した2種の異なる芳香族ポリアミド酸を混合物し、フィ
ルムを形成し、次に該フィルムを圧伸成形(drawi
ng)および高温での熱処理をすることにより製造され
る。しかしながら、このようにして得られるポリイミド
混合物フィルムは、乾燥および硬化の際に生じるポリイ
ミド混合物成分の部分的な相分離のために、粗く樹皮の
ような表面を有する。
【0007】したがって、低い吸水性、低い熱吸湿膨張
係数および高い機械的強度を有し、かつポリイミド混合
物成分同士の相分離のために生じる望ましくない膨れや
表面の粗さを含まないポリイミド混合物フィルムが必要
とされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、上記の問題を解決し、改善されたポリイミド混合物
ポリマーおよびポリイミド混合物フィルムの製造方法を
提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、均質なポリイ
ミド混合物に関するものであって、該ポリイミド混合物
は、(a)90から100モル%までの3,3’,4,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と0から1
0モル%までのピロメリット酸二無水物およびp−フェ
ニレンジアミンとを含み、該混合物の総重量に対して2
5から50重量%である第1のポリイミドと、そして
(b)ピロメリット酸二無水物と20から50モル%ま
でのp−フェニレンジアミンと50から80モル%まで
の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを含み、該
混合物の総重量に対して50から75重量%である第2
のポリイミドと、を含有することを特徴とする。
【0010】また、本発明は、さらに、均質なポリイミ
ド混合物フィルムの製造方法に関するものでであって、
該ポリイミド混合物フィルムの製造方法は、(1) そ
れ未満の温度ではイミド化が実質的に起こらない温度に
て、均質な混合物を形成するのに十分な時間にわたっ
て、(a)90から100モル%までの3,3’,4,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と0から1
0モル%までのピロメリット酸二無水物およびp−フェ
ニレンジアミンとを含み、ポリアミド酸ポリマーの総重
量に対して25から50重量%である、極性有機溶剤中
に溶解してなる第1のポリアミド酸ポリマーと、(b)
ピロメリット酸二無水物と20から50モル%までのp
−フェニレンジアミンと50から80モル%までの4,
4’−ジアミノジフェニルエーテルとを含み、前記ポリ
アミド酸ポリマーの総重量に対して50から75重量%
である、極性有機溶剤中に溶解してなる第2のポリアミ
ド酸ポリマーと、を混合する工程と、(2) 前記ポリ
アミド酸ポリマー(a)および(b)の混合物を転換剤
と混合して、前記ポリアミド酸をポリイミドへと転換さ
せる工程と、(3) 前記ポリアミド酸ポリマー(a)
および(b)と前記転換剤との混合物のゲルフィルムを
形成する工程と、そして(4) 前記ポリアミド酸ポリ
マー混合物ゲルフィルムを、前記ポリアミド酸をポリイ
ミドへと完全に転換させるのに十分な温度まで、かつそ
うするのに十分な時間にわたって、加熱する工程と、を
含むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明によれば、第1の必須成分
(a)に相当する一つのポリアミド酸ポリマー、すなわ
ち、90から100モル%までの3,3',4,4'−ビ
フェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)および
0から10モル%までのピロメリット酸二無水物と、p
−フェニレンジアミン(PPD)とのポリアミド酸、な
らびに第2の必須成分(b)に相当する一つのポリアミ
ド酸ポリマー、すなわち、ピロメリット酸二無水物(P
MDA)と、20から50モル%までのp−フェニレン
ジアミン(PPD)および50から80モル%までの
4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)と
のポリアミド酸は、それぞれ別個に、選択したテトラカ
ルボン酸二無水物とジアミンとの反応を含む周知の手法
により、不活性な有機極性溶剤中で、好ましくは無水の
条件下で、ポリアミド酸ポリマー(a)および(b)の
それぞれの溶液を得るのに十分な時間および温度にて調
製する。
【0012】本発明で用いられる有機極性溶剤は、上記
の第1および第2のポリアミド酸ポリマー、好ましくは
ポリアミド酸重合生成物を均一に溶解させる任意の溶剤
であり、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N
−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−
ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキ
シド、ジメチルスルホンおよびジエチルスルホンのよう
なN,N−ジ−低級アルキルカルボキシルアミドが挙げ
られる。
【0013】次に、ポリアミド酸ポリマー(a)および
(b)を共に、その温度以下ではイミド化が実質的に起
こらない温度、好ましくは約60℃未満にて均一に混合
する。これらのポリアミド酸は、混合する前は、少なく
とも0.1、好ましくは0.3から5.0の固有粘度を
有する。第1のポリアミド酸ポリマー(a)および第2
のポリアミド酸ポリマー(b)の量は、ポリアミド酸ポ
リマー(a)については25から50重量%まで、そし
てポリアミド酸ポリマー(b)については50から75
重量%までの範囲であり、好ましくは、ポリアミド酸ポ
リマー(a)については30から40重量%まで、そし
てポリアミド酸ポリマー(b)については60から70
重量%までの範囲である。
【0014】本発明では、3,3',4,4'−ビフェニ
ルテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリッ
ト酸二無水物を他の芳香族テトラカルボン酸二無水物と
組合せて用いることが可能であり、この他の芳香族テト
ラカルボン酸二無水物はテトラカルボン酸二無水物成分
の全量の10モル%以下、好ましくは5モル%以下の量
で存在し得る。
【0015】好適な二無水物としては、2,3,6,7
−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,
6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2',
3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,
3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プ
ロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカ
ルボン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキ
シフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3
−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,
4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、オキシ二
フタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)スルホン二無水物、およびこれらの類似物が、含ま
れる。
【0016】さらに、p−フェニレンジアミンおよび/
または4,4'−ジアミノジフェニルエーテルは、他の
芳香族ジアミンと組合せて用いることが可能であり、こ
の他の芳香族ジアミンは、芳香族ジアミン成分の全量の
10モル%以下、好ましくは5モル%以下の量で存在し
得る。
【0017】好適な芳香族ジアミンとしては、4,4'
−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジ
フェニルメタン、ベンジジン、3,4'−ジクロロベン
ジジン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、
3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジア
ミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニ
ルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4'−
ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4'−ジアミ
ノジフェニルシラン、4,4'−ジアミノジフェニルエ
チルホスフィンオキシド、4,4'−ジアミノジフェニ
ルN−メチルアミン、4,4'−ジアミノジフェニルN
−フェニルアミン、およびこれらの類似物が、含まれ
る。
【0018】次に、ポリアミド酸転換剤をポリアミド酸
ポリマー(a)および(b)の混合物に添加して、該ポ
リアミド酸をポリイミドへと転換させる。このポリアミ
ド酸転換剤は、3級アミン触媒および無水の脱水性物質
である。好ましい無水の脱水性物質は無水酢酸であり、
ポリアミド酸の混合物中のアミド酸基の量に対してわず
かにモル過剰で、典型的にはポリアミド酸の当量当たり
約2から3モル過剰で用いられる。同等量の3級アミン
触媒が用いられる。無水酢酸以外に、他の作用し得る低
級脂肪酸無水物としては、無水プロピオン酸、無水酪
酸、無水吉草酸、これらの無水物を互いに混合した混合
無水物、ならびにこれらの無水物を、芳香族モノカルボ
ン酸(例えば、安息香酸、ナフトエ酸など)の無水物、
炭酸(carbonic acid)やギ酸および脂肪
族ケテン(ケテンおよびジメチルケテン)の無水物と混
合した混合無水物が挙げられる。
【0019】好ましい3級アミン触媒はピリジンおよび
β−ピコリンであり、これらは無水の脱水性物質のモル
当たり約1モルの量で用いられる。好ましいとされるピ
リジンやβ−ピコリンとほぼ同じ活性を有する3級アミ
ンを用いてもよい。これらの3級アミンとしては、3,
4−ルチジン、3,5−ルチジン、4−メチルピリジ
ン、4−イソプロピルピリジン、N−ジメチルベンジル
アミン、イソキノリン、4−ベンジルピリジン、および
N−ジメチルドデシルアミンが挙げられる。トリメチル
アミンおよびトリエチルアミンは上記のアミン類よりも
活性が高く、同様の量で用い得る。
【0020】ポリアミド酸転換剤は、室温付近または室
温より高い温度で反応して、ポリアミド酸をポリイミド
へと転換させる。この化学的転換反応は10℃から12
0℃までの温度で起こり、反応は温度が高いほど非常に
迅速になり、温度が低いほど遅くなる。約10℃未満で
は、ポリアミド酸の化学的転換は実際に停止する。した
がって、ポリアミド酸溶液の温度は、ポリアミド酸転換
剤の添加前は10℃未満に維持し、押出またはキャステ
ィングによるフィルム形成の間は10℃未満に維持しな
ければならない。
【0021】上記の2種のポリアミド酸ポリマーを混合
することにより得られる最終ポリイミドフィルムの特性
は、化学的転換の際の転換化学ならびにポリマー組成に
応じて決まる。2種のポリマーにそれぞれ対応する最終
ポリイミドは通常、互いに非可溶性である。しかしなが
ら、互いに可溶性であるポリアミド酸溶液を混合するこ
とによって、ポリマー鎖の均質な混合が分子レベルで起
こり得る。この混合物のポリマー化合物は短時間接触す
ることができ、この際には、はっきりそれと認められる
アミド−アミド相互交換が生じて該混合物をコポリマー
へと転換させることはない。周囲温度にて最大2時間ま
たはそれ以上では、はっきりそれと認められるアミド−
アミド相互交換が生じないことが判っており、ポリアミ
ド酸ポリマーをポリイミドポリマーへとさらに処理する
のには実用的である。
【0022】ポリアミド酸溶液は、最終的に得られるポ
リイミド混合物フィルムの処理を促進するか該フィルム
へ所望の特性を付与するための追加の成分を含有してい
てもよく、例えば、接着促進剤、流動化剤(flow
agents)、硬化促進剤、粘度調整剤、充填剤(例
えば、タルク、マイカ、カーボンブラック、アルミナ、
リン酸カルシウム等)、および剥離剤(例えば、有機亜
リン酸塩およびリン酸塩)が、含まれる。
【0023】ポリアミド酸ポリマー(a)および(b)
と転換剤との混合物は、加熱した転換面(conver
sion surface)の上にキャストまたは押出
され、この上で、ある程度の有機溶剤が該溶液から蒸発
し、ポリアミド酸が部分的にポリイミドへと転換され、
該溶液が自立型(self−supporting)ゲ
ルフィルムの形態をとる。この溶液は、キャストまたは
押出されたら、約10℃から−10℃で維持する。転換
面は、通常は磨き金属ドラムであり、約60℃から12
0℃の温度で維持されて、溶剤を蒸発させる。アミド酸
基のイミド基への転換は接触時間および温度に依存する
が、通常は約25%から95%完了する。ゲルフィルム
は、その高い溶剤濃度にもかかわらず、自立型である。
【0024】ポリイミド混合物フィルムの製造を完了さ
せるためには、有機溶剤を完全に除去しなければなら
ず、残存するポリアミド酸はポリイミドへと転換されな
ければならない。好ましくは、ゲルフィルムを乾燥させ
てポリイミドへと転換させるのには高温が短時間にわた
って用いられる。このフィルムは、200℃から450
℃、最も好ましくは250℃から440℃の温度で1か
ら60分間、好ましくは10から30分間にわたって加
熱するのが好ましい。勿論、厚いフィルムよりも薄いフ
ィルムの方が少ない加熱および短い時間が要求される。
乾燥および転換の間、フィルムは拘束されて(rest
rained)過度に収縮しないようになっており、実
際には、乾燥および転換が完了するのに先立って、元の
寸法の40%程度に延伸させてもよい。延伸は長手方向
であっても横断方向であってもよい。所望により、拘束
も付与して、ある限られた程度の収縮を可能にしてもよ
く、例えば、約15%の収縮で満足な製品が得られる。
【0025】ゲルフィルムを高温にて急速に転換させる
ことにより、2種の異なるポリマーに相分離する時間を
与えない。これは、ポリイミド混合物が透明で平滑な外
観を有し、かつ膨れを発生させる傾向が低下することに
よって示される。
【0026】本発明のポリイミド混合物フィルムは、同
じ近似の化学組成を有するコポリマーと同様の弾性率
(modulus)および熱膨張係数を有し、該コポリ
マーよりも膨れの発生が少ない。他の重要な機械的およ
び電気的特性が犠牲になるようなことは、あるとしても
ほとんどない。
【0027】本発明は、以下の実施例を参照することに
より、さらに明確に理解されよう。これらの実施例は、
本発明の特定の実施形態を実証するものであり、いずれ
にしても本発明を限定しようとするものではない。
【0028】
【実施例】(実施例1)実施例1は、本発明によるBP
DA/PPDとPMDA/(40モル%のPPD:60
モル%のDADE)との混合物の調製を実証するもので
ある。
【0029】ポリアミド酸ポリマー1Aを、16.13
gのPPDおよび43.81gのBPDAと、341c
cのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)中で周
囲温度にて反応させることにより調製し、ブルックフィ
ールド(Brookfield)粘度が1810ポアズ
の15.8重量%固形分の溶液を形成した。
【0030】ポリアミド酸ポリマー1Bを、18.90
gのDADE、6.80gのPPDおよび34.07g
のPMDAと341ccのDMAC中で反応させること
により調製し、ブルックフィールド粘度が1920ポア
ズの15.7重量%固形分の溶液を形成した。
【0031】30.0gのポリアミド酸ポリマー1Aを
45.0gのポリアミド酸ポリマー1Bおよび15cc
のDMACと20分間にわたって周囲温度にて混合する
ことによりポリマー混合物を形成した。このポリマー混
合物の他の36.0g分画を、それぞれ、28.5cc
の無水酢酸をDMACで50ccに希釈した溶液5cc
と混合し、次いで29.4ccのβ−ピコリンをDMA
Cで50ccに希釈した溶液5ccと混合した。こうし
て得られた溶液を遠心分離して気泡を除去し、次いでガ
ラス板にキャストし、室温(23℃)で転換させた。別
のポリマー混合物溶液を同様に調製し、キャストし、4
0℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃およ
び120℃で転換させた。混合物フィルムが自立型ゲル
フィルムを形成したらすぐに、これをガラス板から取り
外した。次に、この混合物フィルムを金属フレームにピ
ンで固定し、200℃にて30分間にわたって加熱し、
続いて300℃にて30分間にわたって加熱した。
【0032】曇りの発生、したがって相分離に及ぼす温
度および速度を増大させることの影響を表1に示す。温
度が増大するにつれて、フィルムには徐々に曇りが少な
くなり、70℃以上ではフィルムには曇りが全くなかっ
た。温度を増大させると、ゲルフィルムのイミド化の速
度および程度は増大し、混合物ポリマーは溶液から分離
したり曇りを発生しないままであった。
【0033】
【表1】 温度(℃) 曇り 23 曇りあり 40 多少の曇りあり 60 わずかに曇りあり 70 曇りなし 80 曇りなし 90 曇りなし 100 曇りなし 120 曇りなし (実施例2)ポリマー2Aを、16.13gのPPDお
よび43.87gのBPDAと、341ccのDMAC
中で反応させることにより、調製し、ブルックフィール
ド粘度が2180ポアズの15.8重量%固形分の溶液
を形成した。
【0034】ポリマー2Bを、18.90gのDAD
E、6.80gのPPDおよび34.51gのPMDA
と、341ccのDMAC中で反応させることにより、
調製し、ブルックフィールド粘度が1810ポアズの1
5.8重量%固形分の溶液を形成した。
【0035】ポリマー2Cを、31.46gのPMDA
および28.72gのDADEと、341ccのDMA
C中で反応させることにより、調製し、ブルックフィー
ルド粘度が2140ポアズの15.8重量%固形分の溶
液を形成した。
【0036】ポリアミド酸ポリマー2Aを、ポリアミド
酸ポリマー2Bまたはポリアミド酸2Cのいずれか一方
と15分間にわたって周囲温度にて混合することによ
り、ポリマー混合物を形成した。この混合物を35ミル
間隔の棒を用いてガラス板にキャストし、そのプレート
を、25容量%のβ−ピコリン、25容量%の無水酢酸
および50容量%のDMACを含有する浴中に浸漬し
た。
【0037】この混合物を該浴中でゲルフィルムへと転
換させ、このフィルムを該浴から取り出し、フレームに
ピンで固定し、200℃で30分間にわたって連続的に
加熱し、次いで300℃にて15分間、そして最後に4
00℃にて10分間にわたって加熱した。
【0038】ポリマー2A(BPDA/PPD)10重
量%、20重量%、30重量%および40重量%と、ポ
リマー2C(PMDA/DADE)との混合物、ならび
にポリマー2A(BPDA/PPD)10重量%、20
重量%、30重量%および40重量%と、ポリマー2B
(PMDA/DADE:PPD)との混合物を得た。各
混合物フィルムについて弾性率および熱膨張係数(CT
E)を測定し、表2にまとめた。
【0039】
【表2】 混合物中のポリマーの重量% ポリマー2A ポリマー2B ポリマー2C 弾性率 CTE(BPDA/PPD) (PMDA/DADE:PPD) (PMDA/DADE) (kpsi) (ppm/℃) 10 90 − 660 32 20 80 − 710 21 30 70 − 750 17 40 60 − 810 15 10 − 90 480 41 20 − 80 490 − 30 − 70 610 24 40 − 60 650 21 本発明によるBPDA/PPDおよびPMDA/DAD
E:PPDのポリマー混合物では、本発明には包含され
ない同じ重量%のBPDA/PPDおよびPMDA/D
ADEのポリマー混合物と比較して、弾性率は非常に高
く、かつCTEは低かった。
【0040】(実施例3)BPDAとPPDとの第1の
ポリマーをDMAC中で調製した。これは19.8重量
%の固形分および400ポアズのブルックフィールド粘
度を有していた。
【0041】PMDA/(40モル%のPPD:60モ
ル%のDADE)の第2のポリマーをDMAC中で調製
した。これは20.0重量%の固形分および3900ポ
アズのブルックフィールド粘度を有していた。
【0042】これらのポリマーを、第1のポリマーにつ
いては9.2pphの速度で、そして第2のポリマーに
ついては13.8pphの速度で(合計で、23pp
h)、同時にミキサーに供給し、19cc/分の無水酢
酸および17cc/分のβ−ピコリンの転換系と共に混
合した。このポリマー混合物を熱くしたドラム上にキャ
ストし、そこにおいてゲルフィルムへと転換させた。こ
のゲルフィルムをドラムから剥し、幅出機(tente
r frame)内で空気温度261℃にて1.8分間
にわたって加熱し、次に輻射ヒーターを用いて463℃
から最高807℃までの勾配のヒーター温度にて40分
間にわたって加熱した。最終的に得られるポリイミド混
合物フィルムは厚みが1.7ミルであった。
【0043】比較のために、(40モル%のBPDA:
60モル%のPMDA)/(60モル%のPPD:40
モル%のDADE)のコポリマーをDMAC中で調製し
た。これは、17.5重量%の固形分および7100ポ
アズのブルックフィールド粘度を有していた。このコポ
リマーを23pphの速度でミキサーに供給し、20c
c/分の無水酢酸および20cc/分のβ−ピコリンの
転換系と共に混合した。この混合物を熱くしたドラムの
表面にキャストし、ゲルフィルムへと転換させた。この
ゲルフィルムをドラムから剥し、幅出機内で空気温度2
61℃にて2分間にわたって加熱し、次に輻射ヒーター
を用いて526℃から最高776℃までの勾配のヒータ
ー温度にて4.6分間にわたって加熱した。このフィル
ムは最終的な厚みが1.7ミルであった。
【0044】ポリイミドコポリマーとポリイミド混合物
のフィルムの双方は、表3に示すように、高い弾性率お
よび低い熱膨張係数を有していたが、実施例3のポリイ
ミド混合物フィルムは実質的に膨れを全く生じなかっ
た。
【0045】
【表3】 ポリイミドコポリマー ポリイミド混合物 MD弾性率(kpsi) 633 825 MD CTE(ppm/℃) 12.5 9.3 膨れ/10フィート* 274 0 *:幅が約12インチのフィルム10フィート長当たりの膨れの数。
【0046】(実施例4)98.7モル%のBPDAと
1.3モル%のPMDAとPPDとの第1のコポリマー
をDMAC中で調製した。これは18.9重量%の固形
分および1830ポアズのブルックフィールド粘度を有
していた。
【0047】PMDAと40モル%のPPDと60モル
%のDADEとの第2のコポリマーをDMAC中で調製
した。これは16.4重量%の固形分および3370ポ
アズのブルックフィールド粘度を有していた。
【0048】これらのポリマーを、第1のコポリマーに
ついては14pphの速度で、そして第2のコポリマー
については21pphの速度で(合計で、35pp
h)、同時に、40cc/分の無水酢酸および30cc
/分のβ−ピコリンの転換系と共にミキサーに供給し
た。このポリマー混合物を熱くしたドラムの表面にキャ
ストしてゲルフィルムを形成し、これをドラムから剥
し、幅出機に連続的に供給し、ここで該ゲルフィルムを
空気温度262℃にて1.2分間にわたって加熱し、次
に輻射ヒーターを用いて456℃から最高924℃まで
の勾配のヒーター温度にて3.6分間にわたって加熱し
た。最終的に得られるポリイミド混合物フィルムは、
1.6ミルの厚みおよび673kpsiのMD弾性率を
有し、10フィート当たり287個の膨れを有してい
た。
【0049】上記実施例3で調製したのと同じ(40モ
ル%のBPDA:60モル%のPMDA)/(60モル
%のPPD:40モル%のDADE)の比較例のコポリ
マーを、23pphではなく35pphの速度でミキサ
ーに供給し、44cc/分の無水酢酸および32cc/
分のβ−ピコリンの転換系と共に混合した。この混合物
を熱くしたドラムの表面に連続的にキャストし、ここで
ゲルフィルムへと転換させた。このゲルフィルムをドラ
ムから剥し、幅出機内で空気温度266℃にて1.6分
間にわたって加熱し、次に輻射ヒーターを用いて528
℃から最高778℃までの勾配のヒーター温度にて3.
6分間にわたって加熱した。この比較例のコポリマーフ
ィルムは、1.7ミルの厚みおよび663kpsiのM
D弾性率を有し、10フィート当たり6400個の膨れ
を有していた。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
エレクトロニクス用途に有用な膨れのない高モジュラス
で熱膨張係数の低いフィルムを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ダーレル ユージン カバーデル アメリカ合衆国 43102 オハイオ州 ア マンダ シリコザ−ランカスター ロード 11660

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 均質なポリイミド混合物であって、
    (a)90から100モル%までの3,3’,4,4’
    −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と0から10モ
    ル%までのピロメリット酸二無水物およびp−フェニレ
    ンジアミンとを含み、該混合物の総重量に対して25か
    ら50重量%である第1のポリイミドと、そして(b)
    ピロメリット酸二無水物と20から50モル%までのp
    −フェニレンジアミンと50から80モル%までの4,
    4’−ジアミノジフェニルエーテルとを含み、該混合物
    の総重量に対して50から75重量%である第2のポリ
    イミドと、を含有することを特徴とするポリイミド混合
    物。
  2. 【請求項2】 前記第1のポリイミド(a)が、100
    モル%の3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン
    酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを含むことを特
    徴とする請求項1に記載のポリイミド混合物。
  3. 【請求項3】 前記第2のポリイミド(b)が、ピロメ
    リット酸二無水物と30から40モル%までのp−フェ
    ニレンジアミンおよび60から70モル%までの4,
    4'−ジアミノジフェニルエーテルとを含むことを特徴
    とする請求項2に記載のポリイミド混合物。
  4. 【請求項4】 前記第1のポリイミド(a)が、前記混
    合物の30から40重量%までを構成し、かつ前記第2
    のポリイミド(b)が、前記混合物の60から70重量
    %までを構成することを特徴とする請求項1に記載のポ
    リイミド混合物。
  5. 【請求項5】 均質なポリイミド混合物フィルムの製造
    方法であって、 (1) それ未満の温度ではイミド化が実質的に起こら
    ない温度にて、均質な混合物を形成するのに十分な時間
    にわたって、 (a)90から100モル%までの3,3’,4,4’
    −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と0から10モ
    ル%までのピロメリット酸二無水物およびp−フェニレ
    ンジアミンとを含み、ポリアミド酸ポリマーの総重量に
    対して25から50重量%である、極性有機溶剤中に溶
    解してなる第1のポリアミド酸ポリマーと、 (b)ピロメリット酸二無水物と20から50モル%ま
    でのp−フェニレンジアミンと50から80モル%まで
    の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを含み、前
    記ポリアミド酸ポリマーの総重量に対して50から75
    重量%である、極性有機溶剤中に溶解してなる第2のポ
    リアミド酸ポリマーと、を混合する工程と、 (2) 前記ポリアミド酸ポリマー(a)および(b)
    の混合物を転換剤と混合して、前記ポリアミド酸をポリ
    イミドへと転換させる工程と、 (3) 前記ポリアミド酸ポリマー(a)および(b)
    と前記転換剤との混合物のゲルフィルムを形成する工程
    と、そして (4) 前記ポリアミド酸ポリマー混合物ゲルフィルム
    を、前記ポリアミド酸をポリイミドへと完全に転換させ
    るのに十分な温度まで、かつそうするのに十分な時間に
    わたって、加熱する工程と、を含むことを特徴とするポ
    リイミド混合物フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記極性有機溶剤が、N,N−ジメチル
    アセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N
    −ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミ
    ド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシ
    ド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホンおよびジ
    エチルスルホンからなる群から選ばれることを特徴とす
    る請求項5に記載のポリイミド混合物フィルムの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記第1のポリアミド酸ポリマー(a)
    が、前記混合物の30から40重量%までを構成し、か
    つ前記第2のポリアミド酸ポリマー(b)が、前記混合
    物の60から70重量%までを構成することを特徴とす
    る請求項5に記載のポリイミド混合物フィルムの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記転換剤が3級アミン触媒および無水
    の脱水性物質を含むことを特徴とする請求項5に記載の
    ポリイミド混合物フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記無水の脱水性物質が低級脂肪酸無水
    物を含むことを特徴とする請求項8に記載のポリイミド
    混合物フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記低級脂肪酸無水物が無水酢酸を含
    むことを特徴とする請求項9に記載のポリイミド混合物
    フィルムの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記3級アミン触媒がピリジンまたは
    β−ピコリンを含むことを特徴とする請求項8に記載の
    ポリイミド混合物フィルムの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記ゲルフィルムを200℃から45
    0℃までの温度にて1から60分間にわたって加熱し
    て、前記ポリアミド酸をポリイミドへと完全に転換させ
    ることを特徴とする請求項5に記載のポリイミド混合物
    フィルムの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第1のポリアミド酸ポリマー
    (a)が100モル%の3,3',4,4'−ビフェニル
    テトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンとを含むこ
    とを特徴とする請求項7に記載のポリイミド混合物フィ
    ルムの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記第2のポリアミド酸ポリマー
    (b)が、ピロメリット酸二無水物と、30から40モ
    ル%までのp−フェニレンジアミンおよび60から70
    モル%までの4,4'−ジアミノジフェニルエーテルと
    を含むことを特徴とする請求項13に記載のポリイミド
    混合物フィルムの製造方法。
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