JPH11296842A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JPH11296842A
JPH11296842A JP9024298A JP9024298A JPH11296842A JP H11296842 A JPH11296842 A JP H11296842A JP 9024298 A JP9024298 A JP 9024298A JP 9024298 A JP9024298 A JP 9024298A JP H11296842 A JPH11296842 A JP H11296842A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
iron oxide
layer
oxide powder
recording medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP9024298A
Other languages
English (en)
Inventor
Taro Sasaki
太郎 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP9024298A priority Critical patent/JPH11296842A/ja
Publication of JPH11296842A publication Critical patent/JPH11296842A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 良好な平滑性を有する下層下塗り層を備え、
電磁変換特性に優れるとともに走行耐久性にも優れる。 【解決手段】 非磁性支持体1と、上記非磁性支持体1
の一主面2上に形成され、少なくとも酸化鉄粉末及び結
合剤を有する下層下塗り層3と、上記下層下塗り層3上
に形成され、少なくとも強磁性粉末及び結合剤を有する
上層磁性層4とを備え、上記酸化鉄粉末は、炭酸ガスが
吸着されたものである。上記酸化鉄粉末は、α−Fe2
03を主体としてもよい。また、上記下層下塗り層3
は、潤滑剤として脂肪酸を有してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上に
下層下塗り層と上層磁性層とがこの順に形成されてなる
磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビデオテープ、オーディオテー
プ、磁気ディスク等の磁気記録媒体としては、強磁性酸
化鉄、Co変成酸化鉄、CrO2、強磁性合金粉末、バ
リウムフェライト等の強磁性粉末を結合剤とともに溶剤
中に分散させることで調製された磁性塗料を、非磁性支
持体上に塗布、乾燥することで磁性層が形成される、い
わゆる塗布型のものが広く用いられている。
【0003】特に、フロッピーディスク等の磁気ディス
クにおいては、その記憶容量を上げるため、又は安定な
走行を得るため、非磁性支持体として、磁気テープ等よ
りも厚いポリエステルフィルムが用いられている。そし
て、磁気ディスクでは、ポリエステルフィルムの平滑な
両面に磁性塗料を塗布することで磁性層が形成されてい
る。
【0004】上述したような磁気記録の分野において
は、記録の高密度化、短波長化が進行しており、磁気デ
ィスクにおいても、そのような記録の高密度化、短波長
化に対応する特性を有することが求められるようになっ
ている。このため、従来より、磁性層を構成する磁性粉
末として、酸化鉄系磁性粉末に代わって鉄を主体とする
強磁性粉末が使用されるようになってきた。
【0005】また、塗布型の磁気記録媒体において、高
密度記録領域での電磁変換特性を改善する手法として
は、例えば、磁性層を薄層化することが挙げられる。す
なわち、磁性層を薄層化することによって、磁化領域の
反磁界が減少、すなわち、自己減磁損失が減少し、ま
た、再生時の厚み損失が減少することとなり、磁気ディ
スクは、高密記録領域においても電磁変換特性が効果的
に改善されることになる。
【0006】しかしながら、この場合、磁性層の厚さを
例えば2μm以下に薄くすると、非磁性支持体の表面形
状が磁性層の表面に浮き出し易くなり、磁性層の表面が
粗れた状態になる。そうなると、磁気記録媒体では、ス
ペーシングロスによって電磁変換特性が悪化したり、ド
ロップアウトが多発するようになってしまう。
【0007】そこで、塗布型の磁気記録媒体では、磁性
層と非磁性支持体の間に比較的厚さの厚い下層下塗り層
を介在させることによって、磁性層の表面に非磁性支持
体の表面形状が現れ難くした、2層型の磁気記録媒体が
提案されている。
【0008】この2層型の磁気記録媒体では、厚さの薄
い磁性層を、平滑な表面性を有するように形成できるた
め、短波長領域において優れた電磁変換特性が得られる
ことになる。
【0009】この2層型の磁気記録媒体を製造する手法
としては、同時二層塗布方式、いわゆるウェット・オン
・ウェット塗布方式が主として採用されている。ここで
同時二層塗布方式とは、非磁性支持体上に、ダイコート
法により磁性層形成用塗料と非磁性層形成用塗料とを同
時に押し出しながら塗布する方法であり、一般に非磁性
層の厚みを1μm〜3μmとすることにより、磁性層の
厚みを0.1μm〜0.5μmのオーダーに塗布した場
合であっても、磁性層を単層で薄層塗布する場合に比べ
均一で安定に塗布できる。
【0010】
【本発明が解決しようとする課題】ところで、上述した
ような磁気記録媒体において、磁性層の下層として形成
される下層下塗り層は、非磁性であっても、強磁性であ
っても良いが、強磁性である場合は磁化量及び保磁力が
小さいことが好ましい。下層下塗り層の磁化量及び保磁
力が大きい場合には、上層磁性層の自己減磁損失が大き
くなってしまうためである。
【0011】また、このような下層下塗り層と薄層化し
た上層磁性層とからなる磁気記録媒体は、上述したよう
な電磁変換特性等に代表される総合的な磁気記録媒体と
しての性質が要求されるだけでなく、耐久性等を含めた
物理的な性質に関しても良好であることが要求される。
具体的には、磁気記録媒体において、下層下塗り層の性
質として、表面平滑性が良好であることが要求される。
【0012】つまり、2層型の磁気記録媒体では、上述
したように、上層磁性層が薄層化されているため、上層
磁性層の表面性に下層下塗り層の表面性が大きく影響し
てしまい、下層下塗り層の表面平滑性が悪い場合には、
上層磁性層の表面平滑性を悪化させてしまうためであ
る。このような場合、磁気記録媒体では、走行時のスペ
ーシング損失を増大させてしまう等の悪影響を生じる場
合がある。
【0013】従来の磁気記録媒体において、上述したよ
うな下層下塗り層に添加される粒子としては、酸化チタ
ンや酸化鉄等の金属酸化物を挙げることができる。この
うち酸化鉄α−Fe23(ヘマタイト)は、γ−Fe2
3やFe34系と同様の表面性状を有し、従来より用
いられている結合剤をそのまま用いることができ、光触
媒活性が大きい酸化チタンに比べ分散が容易であるとい
った点で注目されてている。
【0014】しかしながら、従来の磁気記録媒体では、
酸化鉄α−Fe23(ヘマタイト)と結合剤とを主体と
する下層下塗り層を用いたとしても、上層磁性層の表面
平滑性を良好なものとすることができず、その結果、電
磁変換特性が劣化してしまうとともに走行耐久性にも優
れないといった問題点があった。
【0015】そこで、本発明は、このような従来の実情
に鑑みて提案されたものであり、良好な平滑性を有する
下層下塗り層を備え、電磁変換特性に優れるとともに走
行耐久性にも優れる磁気記録媒体を提供することを目的
とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成した本
発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体と、上記非磁
性支持体の一主面上に形成され、少なくとも酸化鉄粉末
及び結合剤を有する下層下塗り層と、上記下層下塗り層
上に形成され、少なくとも強磁性粉末及び結合剤を有す
るた上層磁性層とを備え、上記酸化鉄粉末は、炭酸ガス
が吸着されたことを特徴とするものである。
【0017】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体において、酸化鉄粉末は、炭酸ガスが吸着され
ることによって、表面の親水性が抑制されることとな
る。これにより、酸化鉄粉末は、下層下塗り層中に良好
に分散されることとなる。
【0018】また、本発明に係る磁気記録媒体は、下層
下塗り層が潤滑剤を有するものであってもよい。
【0019】この場合、潤滑剤は、下層下塗り層から上
層磁性層に供給されることとなり、磁気記録媒体の走行
耐久性を向上させる。このとき、この磁気記録媒体で
は、酸化鉄粉末が炭酸ガスを吸着しているため、潤滑剤
が下層下塗り層中に含有される酸化鉄粉末の表面に対し
て吸着し難くなる。このため、この磁気記録媒体では、
潤滑剤が上層磁性層に対して十分に供給されることとな
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒体
及びその製造方法の具体的な実施の形態について図面を
参照に説明する。
【0021】本実施の形態の磁気記録媒体は、長尺状に
形成された磁気テープである。この磁気テープは、図1
に示すように、長尺状に形成された非磁性支持体1と、
この非磁性支持体1の一方の主面2上に形成された下層
下塗り層3と、この下層下塗り層3上に形成された上層
磁性層4とから構成される。また、この磁気テープは、
図示しないが、上層磁性層4上に保護層やトップコート
層等を有するような構成であっても良く、また、非磁性
支持体1の他主面にバックコート層等を有するような構
成であっても良い。
【0022】非磁性支持体1としては、例えば、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピ
レン等のポリオレフイン類、セルローストリアセテー
ト、セルロースダイアセテート、セルロースブチレート
等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド等のプラスチックの他、アルミニ
ウム合金、チタン合金等の軽金属、アルミナガラス等の
セラミック等が挙げられる。非磁性支持体にAl合金板
やガラス板等の剛性を有する基板を使用した場合には、
基板表面にアルマイト処理等の酸化被膜やNi−P被膜
等を形成してその表面を硬くするようにしてもよい。
【0023】また、この非磁性支持体1の一主面2に
は、詳細を後述する上層磁性層3の接着を向上させるた
めに、中間層あるいは下引き層を設けてもよい。なお、
非磁性支持体1の他主面にバックコート層を形成する場
合には、媒体の走行性向上のために、非磁性粉末(例え
ばシリカ、カーボンブラック)及び結合剤(上記したも
のと同様であってよい)からなる非磁性塗料を0.4〜
0.8μm厚に塗布することが好ましい。
【0024】また、下層下塗り層3は、酸化鉄粉末及び
結合剤を主体とする層であり、後述するように、酸化鉄
粉末及び結合剤を溶剤とともに混練してなる酸化鉄塗料
を非磁性支持体1の一方主面2上に塗布することにより
形成される。
【0025】この磁気記録媒体において、酸化鉄粉末
は、α−Fe23で表され、鉄を主体とする針状、板
状、球状、柱状、紡錘状又は棒状のオキシ水酸化鉄(含
水酸化鉄)を非還元性雰囲気中、高温で脱水加熱処理す
ることで得られる。このとき、加熱温度は、300℃〜
800℃が適当であり、温度を調節することにより酸化
鉄粉末の比表面積や形状を制御することが可能である。
ただし、余りに高温で脱水加熱処理すると、酸化鉄粉末
は、焼結や粒子形状の変化等を発生させることがある。
これを防ぐ目的で、酸化鉄粉末には、高融点の物質(形
状保持剤)の被着や固溶を行うことが望ましい。
【0026】ここで、オキシ水酸化鉄としては、α−F
eOOH、β−FeOOH、γーFeOOH等が挙げら
れ、特に、α−FeOOH、γーFeOOHが好ましく
用いられる。
【0027】また、上述した形状保持剤としては、Al
酸化物、Si酸化物を好ましく用いることができる。
【0028】そして、この酸化鉄粉末は、炭酸ガスが吸
着されたものである。具体的に、酸化鉄粉末に炭酸ガス
を吸着させるには、上述した脱水加熱処理を経られたα
−Fe23と炭酸ガスとを接触させる。より具体的に
は、密閉式の容器にα−Fe23を充填し、減圧ガス置
換法によりこの密閉式の容器内の窒素や空気等を炭酸ガ
スと置換する手法が挙げられる。
【0029】結合剤としては、変成または非変成の塩化
ビニル系樹脂、酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合
体、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリカーボネート
ポリウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂、あるいはポリ
エステル樹脂等を挙げることができる。これらの結合剤
は、一種類単独であってもよく、二種類以上を組み合わ
せて用いても良い。さらに、以下の樹脂を併用するよう
にしても良い。併用される樹脂としては、ニトロセルロ
ース等の繊維素系樹脂、フェノキシ樹脂あるいは特定の
使用方式を有する熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型
樹脂、電子線照射硬化型樹脂等を挙げることができる。
【0030】また、結合剤には、酸化鉄粉末の分散性を
向上させるために、−SO3M,−OSO3M,−COO
M,−PO(OM’)2(MはNa等のアルカリ金属原
子、M’はアルカリ金属原子又はアルキル基を表す。)
等の官能基が導入されていても良い。
【0031】さらに、使用可能な繊維素系樹脂として
は、セルロースエーテル、セルロース無機酸エステル、
セルロース有機酸エステル等を挙げることができる。さ
らにまた、フェノキシ樹脂は、機械的強度が大きく、寸
法安定性に優れ、耐熱、耐水、耐薬品性がよく、接着性
がよい等の長所を有するため好ましく用いられる。
【0032】さらにまた、このような結合剤に対して
は、一層の耐久性の向上を図る為に、硬化剤を添加する
ことが好ましい。この硬化剤としては、多官能イソシア
ネートが使用可能であり、特に、トリレンジイソシアネ
ート(TDI)系が好適である。硬化剤の添加量は、全
結合剤量に対して5〜30wt%が好ましい。
【0033】溶剤としては、磁気記録媒体を製造する際
に通常用いられているもの、例えば、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン等のケトン類;メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸
エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコール
セノアセテート等のエステル類;グリコールジメチルエ
ーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、
テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンセン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素;メチレンクロライ
ド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、
ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げるこ
とができる。この溶剤は、単独で用いても2種類以上を
混合して用いても構わない。
【0034】また、下層下塗り層3には、上述した酸化
鉄粉末及び結合剤のほかに潤滑剤、分散剤、帯電防止剤
等が含有されていても良い。
【0035】潤滑剤としては、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン
酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、ステアリ
ン酸ブチル、ステアリン酸ペンチル、ステアリン酸ヘプ
チル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチ
ル、ミリスチン酸オクチルが挙げられる。
【0036】分散剤としては、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸等の炭素数12〜18の脂肪酸や、
これらのアルカリ金属の塩又はアルカリ土類金属の塩或
いはこれらのアミドや、ポリアルキレンオキサイドアル
キルリン酸エステルや、レシチンや、トリアルキルポリ
オレフィンオキシ第四アンモニウム塩や、カルボキシル
基及びスルホン酸基を有するアゾ系化合物等を挙げるこ
とができる。
【0037】帯電防止剤としては、カーボンブラックや
グラファイト等を挙げることができる。カーボンブラッ
クやグラファイトとしては、通常使用されるものであれ
ば使用可能である。この帯電防止剤を用いることによ
り、磁気テープは、帯電することによる塵等の付着を防
止しすることができる。
【0038】上層磁性層4に用いられる潤滑剤として
は、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸と炭素数2〜1
2の1価〜6価アルコールのいずれか1つとのエステ
ル、混合エステルまたはジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸
エステルを用いることができる。
【0039】一方、上層磁性層4は、強磁性粉末及び結
合剤を主体とする層であり、後述するように、強磁性粉
末及び結合剤を溶剤とともに混練してなる磁性塗料を下
層下塗り層3上に塗布することにより形成される。
【0040】強磁性粉末としては、γ−Fe23、Co
含有γ−Fe23、Co被着γ−Fe23、CrO2
またマグネタイトに代表されるフェライト類、すなわち
Fe34、Co含有Fe34、Co被着Fe34等が挙
げられるが、金属磁性粉未を用いるようにしても良い。
金属磁性粉末としては、Fe、Co等の金属粉末の他、
Fe−Al系、Fe−Al−Ni系、Fe−Al−Zn
系、Fe−Al−Co系、Fe−Al−Ca系、Fe−
Ni系、Fe−Ni−Al系、Fe−Ni−Co系、F
e−Ni−Si−Al−Mn系、Fe−Ni−Si−A
l−Zn系、Fe−Al−Si系、Fe−Ni−Zn
系、Fe−Ni−Mn系、Fe−Ni−Si系、Fe−
Mn−Zn系、Fe−Co−Ni−P系、Ni−Co系
等、Fe、Ni、Co等を主成分とする合金粉末が挙げ
られる。
【0041】特に、強磁性粉末としては、酸化鉄系磁性
粉末に比べて高保磁力、高飽和磁束密度が得られる強磁
性金属微粉末が好ましく用いられる。この強磁性金属微
粉末は、例えば、鉄を主体とする針状のオキシ水酸化鉄
又は酸化鉄を還元性ガス中で加熱還元した後、酸化安定
性を確保するために粒子表面に薄い酸化被膜を形成する
ことにより得られる。
【0042】このような強磁性金属微粉末は、微細粒子
化が進み、長軸長が0.15〜0.05μm程度となっ
ている。しかし、強磁性金属微粉末は、あまりに微細粒
子化され過ぎるると、オキシ水酸化鉄又は酸化鉄を還元
性ガス中で加熱還元する際に粒子形状悪化、粒子間焼結
を起こす虞がある。
【0043】このため、強磁性金属微粉末には、Al、
Si、Ca等の形状保持剤や、YやSm等の表面処理剤
に代表される希土類元素が被着されることが好ましい。
これにより、強磁性金属微粉末は、上述したような粒子
形状悪化、焼結等を防止することができる。
【0044】ここで、オキシ水酸化鉄としては、α−F
eOOH、β−FeOOH、γーFeOOH等が挙げら
れ、特に、α−FeOOH、γーFeOOHが用いられ
ることが好ましい。なお、このオキシ水酸化鉄の形状
は、生成された強磁性金属微粉末の形状に反映する。し
たがって、オキシ水酸化鉄は、強磁性金属微粉末の微細
化及び保磁力の向上等を考慮して、長軸長が0.05〜
0.20μm、軸比が3〜15であって、針状、柱状、
紡錘状、棒状であるものが好ましい。なお、オキシ水酸
化鉄には、Co、Ni、Cr、Mn、Mg、Ca、B
a、Sr、Zn、Ti、Mo、Ag、Cu、Na、K、
Li、Al、Zr等の金属化合物が共存していても良
い。
【0045】このようなAlやY等の形状保持剤は、こ
れら元素の可溶性の塩、例えば、塩化物、硫酸塩、硝酸
塩等を用いることでオキシ水酸化鉄の表面に被着され
る。具体的には、オキシ水酸化鉄を水に懸濁させてなる
懸濁液に、Al、Y化合物等を溶解させてなる水溶液を
添加して均一に溶解させ、その後、pHをアルカリ側に
調整する。これにより、形状保持剤は、オキシ水酸化鉄
の表面に被着されることとなる。このように、被着処理
を施す際、前述のようなpH調整が必要となり、一般に
水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等が用いられること
が多い。このため、被着を終えたオキシ水酸化鉄は洗浄
の後、ろ過、乾燥、粉砕することにより微細な粉末とさ
れる。その後、この微細な粉末は、非還元性雰囲気40
0〜750℃で加熱処理される。その結果、オキシ水酸
化鉄は、酸化鉄Fe23となり、被着層は酸化物層とし
て酸化鉄Fe23の表面に定着する。
【0046】次に、還元処理は、このAl、Y等の希土
類元素等が反応してなる酸化物層が被着した酸化鉄を、
還元性雰囲気400〜600℃で加熱処理することで行
われる。還元性雰囲気としては一般的に水素を主体とす
るガスを用いる。
【0047】次に、強磁性金属微粉末に徐酸化処理を行
うことで酸化被膜を形成する。具体的には、還元工程を
終了した強磁性金属微粉末に適当な低酸素濃度のガスを
接触させることで、強磁性金属微粉末の表面には、酸化
被膜を形成することができる。なお、この低酸素濃度ガ
スに対する接触方法は、気相又は液相のどちらでもよ
い。
【0048】次に水分を含むガスを接触させ、水分を付
加する。これにより、上層磁性層に用いられる強磁性金
属微粉末が製造されることとなる。
【0049】上層磁性層4に用いられる結合剤、溶剤、
潤滑剤、分散剤及び帯電防止剤としては、上述した下層
下塗り層3と同様なのもを用いることができる。
【0050】一方、下層下塗り層3を形成する際の酸化
鉄塗料及び上層磁性層4を形成する際の磁性塗料は、混
練機や希釈分散機を用いることができる。この混練機
は、比較的固形分の高い酸化鉄粉末や強磁性粉末を、結
合剤を含む混合物中で高せん断で分散する混練工程で用
いられる。また、希釈分散機は、比較的固形分の低い酸
化鉄粉末や強磁性粉末を樹脂等を、結合剤を含む混合物
中でビーズ等の衝撃力で分散する希釈分散工程で用いら
れる。
【0051】これら混合機及び希釈分散機としては、従
来より公知のものを使用することができる。具体的に、
混練機としては、連続二軸混練機(エクストルーダ
ー)、コニーダー、加圧ニーダー等が挙げられる。ま
た、希釈分散機としては、縦型サンドミル、横型サンド
ミル、スパイクミル、パールミル、ダブルシリンダーパ
ールミル等が挙げられる。
【0052】そして、酸化鉄塗料及び磁性塗料を非磁性
支持体1に塗布することによって、下層下塗り層3及び
上層磁性層4が形成される。このとき、下層下塗り層3
及び上層磁性層4を形成するには、いわゆる、ウェット
・オン・ウェット方式を用いることが好ましい。このウ
ェット・オン・ウェット方式とは、湿潤状態の酸化物塗
料上に磁性塗料を塗布する手法である。
【0053】例えば、図2に示すような塗膜形成装置1
0が用いられる。この塗膜形成装置10は、長尺状に形
成された非磁性支持体1を巻装するとともに非磁性支持
体1を掛け渡してなる巻取りロール12及び供給ロール
13と、この供給ロール13から引き出された非磁性支
持体1上に酸化鉄塗料及び磁性塗料を塗布する塗布装置
14と、上層磁性層4の磁化方向を決定させる配向用磁
石15と、塗料を乾燥させる乾燥器16と、カレンダー
処理を行うカレンダー装置17とを備える。
【0054】すなわち、この塗膜形成装置10では、非
磁性支持体1が供給ロール13から巻取りロール12に
向かって搬送されるようになされており、この搬送方向
に沿って塗布装置14、配向用磁石15、乾燥器16、
カレンダー装置17がこの順に配置されている。
【0055】このような塗膜形成装置10では、先ず、
塗布装置14によって酸化鉄塗料及び磁性塗料が非磁性
支持体1上に重層塗布される。この塗布装置14は、図
3に示すように、酸化鉄塗料を塗布する第1の押し出し
コーター18と、磁性塗料を塗布する第2の押し出しコ
ーター19とを備える。また、この塗布装置14では、
第2の押し出しコーター19が非磁性支持体1の送り出
し側、第1の押し出しコーター18が非磁性支持体1の
導入側となるように配置されている。
【0056】これら第1の押し出しコーター18と第2
の押し出しコーター19には、その先端部に塗料が押し
出されるスリット部20、21がそれぞれ形成され、こ
のスリット部20、21の背面側に塗料が供給される塗
料溜まり22、23がそれぞれ設けられている。このよ
うな第1の押し出しコーター18及び第2の押し出しコ
ーター19では、塗料溜まり22、23に供給された酸
化鉄塗料又は磁性塗料が、スリット部20、21を通っ
てコーター先端部にそれぞれ押し出される。
【0057】そして、塗料が塗布される非磁性支持体1
は、この第1の押し出しコーター18及び第2の押し出
しコーター19の先端面に沿って図3中矢印Dの方向に
搬送される。
【0058】このようにして搬送される非磁性支持体1
上には、まず第1の押し出しコーター18を通過する際
に、スリット部20から押し出された酸化鉄塗料が塗布
されて酸化鉄塗膜24が形成される。そして、第2の押
し出しコーター19を通過する際に、スリット部21か
ら押し出された磁性塗料が湿潤状態の酸化鉄塗膜24上
に塗布され、磁性塗膜25が形成される。
【0059】なお、これら第1の押し出しコーター18
及び第2の押し出しコーター19への塗料の供給は、イ
ンラインミキサーを介して行うようにしても良い。ま
た、以上の構成では、酸化鉄塗料と磁性塗料とが逐次的
に塗布されるが、2つのスリット部が近接して形成され
た塗布装置を用い、この塗布装置によって酸化鉄塗料、
磁性塗料を同時に塗布するようにしても良い。
【0060】さらに、上述した塗布装置14以外にも、
リバースロール、グラビアロール、エアドクターコータ
ー、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクイズ
コーター、含浸コーター、トランスファロールコータ
ー、キスコーター、キャストコーター、スプレイコータ
ー等を用いるようにしても良い。このとき酸化鉄塗料の
塗布方式と磁性塗料の塗布方式とは同じであっても異な
っていても良い。すなわち、例えば、リバースロールと
押し出しコーターとを組合せたり、グラビアロールと押
し出しコーターとを組合わせて酸化鉄塗料、磁性塗料を
塗布することも可能である。
【0061】次に、酸化鉄塗膜24及び磁性塗膜25が
形成された非磁性支持体1は、配向用磁石15、乾燥器
16、カレンダー装置17に順次搬送される。
【0062】配向用磁石15では、形成された磁性塗膜
25が磁場配向処理される。なお配向用磁石15として
は、ソレノイドコイルや永久磁石等の長手配向用磁石が
磁性塗料に含有される強磁性粉末の種類に応じて適宜選
択される。乾燥器16では、当該乾燥器16内の上下に
配されたノズルからの熱風によって、酸化鉄塗料及び磁
性塗料が乾燥される。そして、酸化鉄塗料及び磁性塗料
が塗布された非磁性支持体1は、乾燥器16を通過した
後、さらにカレンダー装置17に導かれ、表面平滑処理
される。
【0063】このように、長尺状に形成された非磁性支
持体1の一方の主面2に下層下塗り層3、上層磁性層4
がこの順で形成された磁性フィルムを所定の幅にスリッ
トすることにより図1に示すような磁気テープが製造さ
れることとなる。
【0064】上述したように、本実施の形態に示した磁
気テープでは、下層下塗り層3に、炭酸ガスが吸着処理
されてなる酸化鉄粉末が添加されている。この酸化鉄粉
末は、その表面に炭酸ガスを吸着させることにより親水
性が抑制されることとなる。このため、酸化鉄粉末は、
上述したような溶剤に対する親和性が良好なものとな
り、その結果、溶剤に対して優れた分散性をしめすこと
となる。
【0065】このように、この磁気テープでは、下層下
塗り層3に含有される酸化鉄粉末が良好に分散するた
め、下層下塗り層3の表面性が良好になる。言い換える
と、下層下塗り層3は、良好な平滑性を有するものとな
る。このため、この磁気テープにおいて、上層磁性層4
は、下層下塗り層3上に形成されるために、この下層下
塗り層3の表面性の影響を受けて、良好な表面性を有す
ることとなる。
【0066】したがって、この磁気テープは、信号の記
録再生時において、いわゆるスペーシング損失を減少さ
せることができ、記録再生特性が大幅に向上されたもの
となる。
【0067】また、この磁気テープでは、上層磁性層4
の表面性良好であるために、上層磁性層4の薄層化を容
易に達成することができる。言い換えると、この磁気テ
ープにおいては、下層下塗り層3の表面性が良好である
ため、上層磁性層4を大幅に薄層化したとしても、上層
磁性層4の表面性が劣化することがない。したがって、
この磁気テープは、より薄層化された上層磁性層4を有
することができ、その結果、より電磁変換特性に優れた
ものとなる。
【0068】さらに、この磁気テープにおいては、酸化
鉄粉末がα−Fe23からなり、このα−Fe23に吸
着した炭素量が0.15重量%以下となっている。この
ように、α−Fe23に吸着した炭素量を0.15重量
%以下であるために、α−Fe23は、上述したような
分散性がより優れたものとなる。
【0069】なお、上述したようなα−Fe23に吸着
した炭素量が0.15重量%以下であるというのは、酸
化鉄粉末として、例えば、α−Fe23を用いた場合に
炭酸ガスを用いた吸着処理を行うことにより得られる値
である。このため、用いる酸化物粉末の比表面積が70
2/gを超えたり、炭酸ガス以外の物質を用いて吸着
処理を行った場合には、酸化鉄粉末に吸着した炭素量が
0.15重量%以上となる場合が起こる。しかしなが
ら、酸化鉄粉末に吸着した炭素量が0.15重量%以上
であっても、分散性能が劣化するようなことはない。
【0070】さらに、この磁気テープにおいては、下層
下塗り層3中に潤滑剤、特に、脂肪酸が含有されている
ことが好ましい。そして、この磁気テープでは、下層下
塗り層3中に含有された脂肪酸が上層磁性層4に供給さ
れることとなる。これにより、この磁気テープでは、走
行耐久性に優れたものとなる。
【0071】特に、上述した磁気テープでは、酸化鉄粉
末の表面に炭酸ガスを吸着させているため、下層下塗り
層3中に含有された脂肪酸と酸化鉄粉末とが吸着しがた
いものとなっている。このため、この磁気テープでは、
下層下塗り層3に添加された脂肪酸のうち、大部分が上
層磁性層4に対して確実に供給されることとなる。した
がって、この磁気テープは、より走行耐久性に優れたも
のとなる。
【0072】このとき、脂肪酸は、酸化鉄粉末に対して
1〜10重量%の割合で含有されることが好ましい。脂
肪酸の含有量が酸化鉄粉末に対して1重量%より小であ
る場合には、潤滑剤としての効果が確実に発揮されない
虞がある。また、脂肪酸の含有量が酸化鉄粉末に対して
10重量%より大であるような場合には、非磁性成分が
相対的に増加することとなるために磁化量が低下してし
まい、電磁変換特性が劣化する虞がある。さらに、脂肪
酸の含有量が酸化鉄粉末に対して10重量%より大であ
るような場合には、脂肪酸が可塑剤として作用し、その
結果、塗膜が可塑化してしまい、耐久性が劣化する虞が
ある。したがって、脂肪酸の含有量が酸化鉄粉末に対し
て1〜10重量%の割合である場合には、良好な電磁変
換特性を示しとともに良好な耐久性を示すことができ
る。
【0073】
【実施例】以下、本発明に係る磁気記録媒体として作製
した実施例1〜実施例12及びこれらと比較するために
作製した比較例1〜比較例4について、また、これらの
特性評価について説明する。
【0074】実施例1 この実施例1では、上層磁性層及び下層下塗り層を有す
る磁気テープを作製した。
【0075】先ず、上層磁性層を形成するための磁性塗
料を作製した。この磁性塗料を作製する際には、表1に
示すような特性を有する強磁性金属粉末と表2に示すよ
うな組成比を有する混練組成物とをプラネタリー式攪拌
機にて混合したのち、2軸式混練機にて混練して混練ペ
ーストを得る。得られた混練ペーストに表2の組成の希
釈溶剤を加え、ディスパーで予備分散し、さらに、これ
をサンドミルにて8時間分散することにより磁性塗料を
得た。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】次に、酸化鉄粉末の表面に対して炭酸ガス
の吸着処理を施した。本実施例1で用いられる酸化鉄粉
末は、表3に示すような特性を有する針状α−Fe23
(ヘマタイト)であって、針状α−FeOOH(ゲーサ
イト)を熱処理・脱水して得ることができる。得られた
針状α−Fe23は、密閉型容器内に充填され、この密
閉容器内の空気を減圧ポンプで抜き、密閉容器内に炭酸
ガスを圧力0.5kg/cm2で封入することにより吸
着処理を行った。なお、酸化鉄粉末と炭酸ガスとの接触
時間は1時間とし、その結果、酸化鉄粉末中の炭素量は
0.06wt%となった。
【0079】
【表3】
【0080】次に、この酸化鉄粉末と表4に示すような
組成比を有する混練組成物とをプラネタリー式攪拌機に
て混合したのち、2軸式混練機にて混練することにより
混練ペーストを得る。得られた混練ペーストに表4の組
成の希釈溶剤を加え、ディスパーで予備分散し、さら
に、これをサンドミルにて8時間分散することにより酸
化鉄塗料を得た。
【0081】
【表4】
【0082】次に、得られた磁性塗料及び酸化鉄塗料
に、硬化剤としてポリイソシアネートを4重量部、潤滑
剤として脂肪酸(ステアリン酸)を1重量部加え、非磁
性支持体としてPET(ポリエチレンテレフタレート)
フィルム上にダイコート法を用い、同時に二層塗布(ウ
ェット・オン・ウェット塗布方式)で塗布した。その
後、8kGの磁場を有したソレノイドコイルマグネット
を通過させ、乾燥させることで、厚さ2μmの下層下塗
り層と厚さ0.2μmの上層磁性層を形成した。その後
カレンダー処理を施し、60℃の硬化炉で20時間硬化
処理を行った。更に下記の組成のバック塗料を、非磁性
支持体の下層下塗り層が形成された面とは反対側の面に
0.5μmとなるように塗布した。最後に、バック塗料
が塗布された後に8mm幅にスリットして磁気テープが
形成された。
【0083】 <バック塗料組成> カーボンブラック 旭#50 100重量部 ポリエステルポリウレタン ニッポランN−2304 100重量部 メチルエチルケトン 500重量部 トルエン 500重量部実施例2 実施例2では、ステアリン酸の添加量を5重量部とした
以外は、実施例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0084】実施例3 実施例3では、ステアリン酸の添加量を10重量部とし
た以外は、実施例1と同様にして磁気テープを作製し
た。
【0085】実施例4 実施例4では、潤滑剤を添加せずに酸化鉄塗料を作製し
た以外は、実施例1と同様にして磁気テープを作製し
た。
【0086】実施例5 実施例5では、酸化鉄粉末中の炭素量を0.10wt%
としたした以外は、実施例1と同様にして磁気テープを
作製した。なお、この実施例5では、酸化鉄粉末と炭酸
ガスとの接触時間を6時間とすることによって、酸化鉄
粉末中の炭素量を調節した。
【0087】実施例6 実施例6では、ステアリン酸の添加量を5重量部とした
以外は、実施例5と同様にして磁気テープを作製した。
【0088】実施例7 実施例7では、ステアリン酸の添加量を10重量部とし
た以外は、実施例5と同様にして磁気テープを作製し
た。
【0089】実施例8 実施例8では、潤滑剤を添加せずに酸化鉄塗料を作製し
た以外は、実施例5と同様にして磁気テープを作製し
た。
【0090】実施例9 実施例9では、酸化鉄粉末中の炭素量を0.15wt%
としたした以外は、実施例1と同様にして磁気テープを
作製した。なお、この実施例5では、酸化鉄粉末と炭酸
ガスとの接触時間を48時間とすることによって、酸化
鉄粉末中の炭素量を調節した。
【0091】実施例10 実施例10では、ステアリン酸の添加量を5重量部とし
た以外は、実施例9と同様にして磁気テープを作製し
た。
【0092】実施例11 実施例11では、ステアリン酸の添加量を10重量部と
した以外は、実施例9と同様にして磁気テープを作製し
た。
【0093】実施例12 実施例12では、潤滑剤を添加せずに酸化鉄塗料を作製
した以外は、実施例9と同様にして磁気テープを作製し
た。
【0094】比較例1 比較例1では、酸化鉄粉末に炭酸ガスを吸着させず、ま
た、ステアリン酸を添加せずに酸化鉄塗料を作製した以
外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0095】比較例2 比較例2では、酸化鉄粉末に炭酸ガスを吸着させずに酸
化鉄塗料を作製した以外は、実施例1と同様にして、磁
気テープを作製した。
【0096】比較例3 比較例3では、酸化鉄粉末に炭酸ガスを吸着させず、ま
た、ステアリン酸の添加量を5重量部として酸化鉄塗料
を作製した以外は、実施例1と同様にして、磁気テープ
を作製した。
【0097】比較例4 比較例4では、酸化鉄粉末に炭酸ガスを吸着させず、ま
た、ステアリン酸の添加量を10重量部として酸化鉄塗
料を作製した以外は、実施例1と同様にして、磁気テー
プを作製した。
【0098】特性評価 上述したように作製された実施例1〜実施例12及び比
較例1〜比較例4に関して、光沢度、表面粗さ、保磁
力、RF出力、CN比及びスチル耐久性を測定した。す
なわち、光沢度を測定することにより分散性を評価し、
RF出力及びCN比を測定することにより電磁変換特性
を評価し、スチル耐久性を測定することにより走行耐久
性を評価した。
【0099】なお、上述した実施例及び比較例におい
て、保持力(Hc)等の磁気特性は、試料振動型磁力計
(東英工業製VSM)を用い、強磁性金属微粉末につい
ては印加磁界15kOe、スウィープ速度10分/15
kOeにて測定し、磁気テープについては印加磁界10
kOe、スウィープ速度3分/10kOeにて測定し
た。
【0100】また、強磁性金属微粉末と酸化鉄粉末の比
表面積は、micromeritics社製RAPID
SURFACE AREA ANALYZERにて求
めた。
【0101】さらに、平均長軸長は電子顕微鏡写真から
測定し求めた。
【0102】さらにまた、酸化鉄粉末に吸着した炭酸ガ
スの量はPERKIN−ELMER社製 2400CH
NAnalyzerにて測定した。
【0103】さらにまた、電磁変換特性は、Y信号を取
り出せるように改造したHi8VCRと、オシロスコー
プ、スペクトラムアナライザから構成される電磁変換特
性測定装置よりもとめた。このときの記録波長は0.4
9μm、記録周波数は7MHzである。CN比を求める
に際し、ノイズはキャリア信号−1MHz(=6MH
z)の値を用いた。このとき、比較例1の磁気テープの
出力を0dBとし、これとの相対的な出力を求めた。
【0104】さらにまた、表面粗度SRa、SRzは小
坂研究所製の光学式3次元粗度系HIPOSS(Hig
h pression optical surfac
eanalyzer)を用いた。測定条件としては、測
定長が0.73mm、カットオフが0.25mm、測定
スピードが20μm/s、測定本数が100本、記録ピ
ッチが1μm、送りピッチが2μmとされた。
【0105】特性評価の結果を表5に示す。
【0106】
【表5】
【0107】この表5から明らかなように、実施例1〜
実施例12の磁気テープは、比較例1〜比較例4の磁気
テープと比較すると、良好な光沢度及び表面粗度を示し
ている。この光沢度は、下層下塗り層中の酸化鉄粉末が
良好に分散すると、上層磁性層の表面平滑性が良好にな
り、これに起因して向上する。したがって、光沢度が良
好な値を示すということは、酸化鉄粉末が下層下塗り層
において良好に分散していることとなる。また、表面粗
度は、下層下塗り層における酸化鉄粉末が良好に分散す
ることにより下層下塗り層の表面性が良好なものとな
り、その結果、上層磁性層の表面が平滑化し、これに起
因して小さな値となる。
【0108】これらのことから、実施例1〜実施例12
の磁気テープは、酸化鉄粉末が下層下塗り層において良
好に分散していることが実証された。これに対して、炭
酸ガスが吸着されていない酸化鉄粉末を用いた比較例1
〜比較例4の磁気テープは、光沢度及び表面粗度が良好
な値となっておらず、分散性に優れない。
【0109】また、表5から明らかなように、実施例1
〜実施例12の磁気テープは、比較例1〜比較例4の磁
気テープと比較して、良好な電磁変換特性を示すことが
わかる。この電磁変換特性は、RF出力及びCN比によ
り評価される。実施例1〜実施例12の磁気テープは、
上述したように、表面平滑性に優れたものであるため、
電磁変換特性に優れたものであることが実証された。
【0110】さらに、実施例1〜実施例4、実施例5〜
実施例8及び実施例9〜実施例12をそれぞれ比較する
と、脂肪酸を添加していない実施例4、実施例8及び実
施例12よりも脂肪酸を添加した他の実施例のほうがス
チル耐久性に優れていることが分かる。また、比較例1
〜比較例4の磁気テープは、脂肪酸を添加することによ
りスチル耐久性が向上しているが、同量の脂肪酸を添加
した実施例の磁気テープと比較すると良好なスチル耐久
性を示すとは言えない。すなわち、炭酸ガスが吸着され
た酸化鉄粉末は、添加された脂肪酸を効率よく上層磁性
層に供給することができるため、磁気テープのスチル耐
久性を大幅に向上させることができる。
【0111】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る磁気記録媒体では、非磁性支持体上に下層下塗り層
と上層磁性層を有し、この下層下塗り層中に含有される
酸化鉄粉末に炭酸ガスが吸着されている。このため、酸
化鉄粉末は、下層下塗り層中て良好に分散されることに
なる。したがって、この磁気記録媒体は、下層下塗り層
の表面性が良好なものとなり、上層磁性層が優れた表面
平滑性を有するものとなる。これにより、磁気記録媒体
は、良好な記録再生特性を示し、電磁変換特性に優れた
ものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に示す磁気テープの要部断面図であ
る。
【図2】下層下塗り層及び上層磁性層を形成する塗膜形
成装置の構成を説明するための構成図である。
【図3】上記塗膜形成システムの塗布装置のー例を示す
模式図である。
【符号の簡単な説明】
1 非磁性支持体、3 下層下塗り層、4 上層磁性
層、

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体と、 上記非磁性支持体の一主面上に形成され、少なくとも酸
    化鉄粉末及び結合剤を有する下層下塗り層と、 上記下層下塗り層上に形成され、少なくとも強磁性粉末
    及び結合剤を有するた上層磁性層とを備え、 上記酸化鉄粉末は、炭酸ガスが吸着されたことを特徴と
    する磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記酸化鉄粉末は、α−Fe23を主体
    とすることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記酸化鉄粉末は、炭素ガスの吸着によ
    る炭素量が0.15重量%以下であることを特徴とする
    請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記下層下塗り層は、潤滑剤として脂肪
    酸を有することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 上記脂肪酸は、上記酸化鉄粉末に対して
    1〜10重量%の割合で含有されたことを特徴とする請
    求項4記載の磁気記録媒体。
JP9024298A 1998-04-02 1998-04-02 磁気記録媒体 Withdrawn JPH11296842A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9024298A JPH11296842A (ja) 1998-04-02 1998-04-02 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9024298A JPH11296842A (ja) 1998-04-02 1998-04-02 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11296842A true JPH11296842A (ja) 1999-10-29

Family

ID=13993039

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9024298A Withdrawn JPH11296842A (ja) 1998-04-02 1998-04-02 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11296842A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001202613A (ja) * 1999-11-08 2001-07-27 Tdk Corp 磁気記録媒体
JP2007287198A (ja) * 2006-04-13 2007-11-01 Sony Corp 磁気記録媒体

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001202613A (ja) * 1999-11-08 2001-07-27 Tdk Corp 磁気記録媒体
JP2007287198A (ja) * 2006-04-13 2007-11-01 Sony Corp 磁気記録媒体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006054000A (ja) 磁気記録媒体
JPH0340217A (ja) 磁気記録媒体
JP2008084419A (ja) 磁気記録媒体
JPH11296842A (ja) 磁気記録媒体
JP3333967B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2729532B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2826661B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2709955B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2001006148A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP3722296B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH10302247A (ja) 磁気記録媒体
JPH11219808A (ja) 磁気記録用強磁性金属粉末及び該強磁性金属粉末を用いた磁気記録媒体
JP3385476B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH1186270A (ja) 磁気記録媒体
JPH04302819A (ja) 磁気記録媒体
JPH11175956A (ja) 磁気記録媒体
JPH04302818A (ja) 磁気記録媒体
JPH08263829A (ja) 磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法
JPH06274855A (ja) 磁気記録媒体
US20060172156A1 (en) Magnetic recording medium and process for producing same
JPH10334456A (ja) 磁気記録媒体
JPH117623A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH09256006A (ja) 金属磁性粉の製造方法
JPH10149534A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH09302404A (ja) 金属磁性粉の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050607