JPH09256006A - 金属磁性粉の製造方法 - Google Patents

金属磁性粉の製造方法

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JPH09256006A
JPH09256006A JP9052996A JP9052996A JPH09256006A JP H09256006 A JPH09256006 A JP H09256006A JP 9052996 A JP9052996 A JP 9052996A JP 9052996 A JP9052996 A JP 9052996A JP H09256006 A JPH09256006 A JP H09256006A
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JP
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magnetic
magnetic powder
treatment
powder
shape
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JP9052996A
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Nobuyuki Nagai
信之 永井
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微粒子でも高保磁力、高飽和磁束密度が得ら
れると共に、磁性塗料に対して良好な分散性を示し、加
えて酸化安定性に優れた金属磁性粉末の製造方法を提供
すること、また、そのような金属磁性粉末を用いること
によって、高密度記録領域において良好な記録再生特性
を発揮する磁気記録媒体を提供すること。 【解決手段】 オキシ水酸化鉄を主体とする微細粉末を
非還元性雰囲気中、 150〜300 ℃で加熱処理(或いは、
真空中、 150〜500 ℃で加熱処理)した後、還元性雰囲
気中、 400〜600 ℃で加熱処理し、その後、徐酸化処理
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オーディオテー
プ、ビデオテープ等の磁気記録媒体の磁性層に含有され
るのに好適な金属磁性粉の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】オーディオ装置やビデオ装置、コンピュ
ータ装置などで用いられる記録媒体としては、磁性粉
末、結合剤及び各種添加剤を有機溶媒に分散、混練する
ことによって調製される磁性塗料を非磁性支持体上に塗
布、乾燥して磁性層を形成した、いわゆる塗布型の磁気
記録媒体が、生産性、汎用性に優れることから主流を占
めている。
【0003】上記した各種の磁気記録再生装置において
は、近年、小型及び軽量化、高画質化、長時間化が進め
られ、これに伴って、上記塗布型の磁気記録媒体に対し
ても高密度記録化が強く要望されるようになっている。
【0004】上記塗布型の磁気記録媒体の高密度記録領
域での特性を改善するには、まず磁性粉末の選択が重要
である。即ち、磁性粉末としては、保磁力が高く、飽和
磁束密度が大きく、微細粒子であることが必要である。
【0005】そこで、従来から用いられている酸化鉄系
磁性粉末に代わり、鉄を主体とする金属磁性粉末が、上
記磁性層に含有させる磁性粉末として使用されるように
なっている。
【0006】金属磁性粉末は、例えば鉄を主体とする針
状のオキシ水酸化鉄又は酸化鉄を還元性ガス中で加熱還
元した後、酸化安定性を確保するために、粒子表面に薄
い酸化被膜を形成させることによって生成されるもので
あり、酸化鉄系磁性粉末に比べて高保磁力、高飽和磁束
密度が得られる。
【0007】高密度記録領域で使用する磁性粉末として
は、このように磁気特性に優れると共に微細粒子でなけ
ればならない。しかし、粒子の微細化は、飽和磁束密
度、更には磁性塗料に対する分散性、酸化安定性を損な
う方向に働くことから、高密度記録に要求される全ての
特性を両立させるのは難しい。
【0008】組成としては、鉄を主体とし、これにコバ
ルトを添加することが、飽和磁束密度を上げるのに有効
である。
【0009】金属磁性粉末の特性には、その組成が大き
く影響してくるのは勿論であるが、金属磁性粉末では、
生成過程で粒子形状が劣化したり、焼結したりすること
があり、その形状劣化や焼結の度合いが与える影響も大
きい。
【0010】そこで、オキシ水酸化鉄又は酸化鉄の表面
に形状保持材としてアルミニウムやシリコン、希土類元
素の化合物を被着させて、生成過程での形状の崩れを小
さくする手法が特開平6−36265号公報等で提案さ
れている。
【0011】しかし、上記の手法だけでは、その目的と
する形状保持効果が十分でなく、やはり金属磁性粉末に
所望の形状、磁気特性を持たせることができない。
【0012】このように、これまで、金属磁性粉末の特
性については、各種検討がなされてはいるが、高密度記
録用の磁気記録媒体に用いる磁性粉末として満足のいく
ものは得られていないのが実情である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、こ
のような従来の実情に鑑みてなされたものであり、微粒
子でも粒子が均一であって高保磁力、高飽和磁束密度が
得られると共に、磁性塗料に対して良好な分散性を示
し、加えて、酸化安定性に優れた金属磁性粉末の製造方
法を提供することを目的とする。また、このような金属
磁性粉末を用いることによって、高密度記録領域におい
て良好な記録再生特性を発揮する磁気記録媒体を提供す
ることができる。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の金属磁性粉の製造方法によれば、オキシ水
酸化鉄を主体とする微細粉末を非還元性雰囲気中、 150
〜300 ℃で加熱処理した後(或いは、真空中、 150〜50
0 ℃で加熱処理した後)、還元性雰囲気中、 400〜600
℃で加熱処理し、その後、徐酸化処理することを特徴と
するものである。
【0015】金属磁性粉は、基本的には、オキシ水酸化
鉄を主体とする微細粉末を還元性ガス中で加熱還元した
後、酸化安定性を確保するために、粒子表面に薄い酸化
被膜を形成することによって生成される。
【0016】本発明の製造方法では、オキシ水酸化鉄を
主体とする微細粉末(特に針状微細粉末)を還元処理す
る前に、非還元性雰囲気中、 150〜300 ℃の比較的低温
で熱処理(或いは、真空中において 150〜500 ℃で熱処
理)することによって、上記オキシ水酸化鉄を酸化鉄
(Fe2 3 )とするものである。
【0017】本発明の製造方法においては、N2 等の不
活性雰囲気中で空気等の酸化性ガスを徐々に増量させ
て、徐酸化処理を行うことが望ましい。
【0018】以上のような処理をすることにより、出発
原料であるオキシ水酸化鉄の形状を保持し、磁気特性に
優れた金属磁性粉を得ることができる。
【0019】まず、本発明の製造方法において、オキシ
水酸化鉄としては、各種ゲータイト、例えばα−FeO
OH、β−FeOOH、γ−FeOOH等が挙げられ、
特に、α−FeOOH、γ−FeOOHが好ましい。
【0020】このオキシ水酸化鉄の形状は、生成される
金属磁性粉末の形状にそのまま反映する。従って、金属
磁性粉末の微細化と保磁力の向上等の兼ね合いから、長
軸長が0.05〜0.3 μm、軸比が3〜15であって、針状、
柱状、紡錘状、棒状のものが好ましい。長軸長及び軸比
をそうした範囲とすれば、磁性粉の微細化と保磁力の向
上の双方を十分に実現することができる。
【0021】なお、上記のオキシ水酸化鉄には、Co、
Ni、Cr、Mn、Mg、Ca、Ba、Sr、Zn、T
i、Mo、Ag、Cu、Na、K、Li、Zr等の金属
化合物が共存していてもよく、表面にアルミニウム化合
物や希土類元素化合物が存在していてもよい。
【0022】そして、図1に示すフローに沿って、上記
のようなオキシ水酸化鉄の表面に、アルミニウム化合物
をはじめとする形状保持材を被着させる。この被着処理
には、アルミニウムや希土類元素等の上記に列挙した各
元素の可溶性の塩、例えば塩化物、硫酸塩、硝酸塩等を
用いることによって行う。即ち、オキシ水酸化鉄を水に
懸濁させた懸濁液に、アルミニウム化合物等を溶解させ
た水溶液を添加して均一に溶解させ、この懸濁液のpH
をアルカリ側に調整する。これにより、形状保持材を被
着する。このように被着処理を施す際、上記のようなp
H調整が必要となり、これには一般に水酸化ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム等が用いられることが多い。
【0023】次に、オキシ水酸化鉄は洗浄の後、濾過、
乾燥、粉砕することにより、微細な粉末とする。その
後、非還元性雰囲気中、 150〜300 ℃で加熱処理する
か、或いは、真空中 150〜500 ℃で加熱処理する。この
結果、オキシ水酸化鉄は酸化鉄(Fe2 3 )となり、
上記の被着層は酸化物層として定着する。
【0024】次に、還元処理を行うが、この還元処理
は、アルミニウム又は希土類元素等の酸化物層が被着し
た酸化鉄を、還元性雰囲気中、 400〜600 ℃で加熱処理
することによって行われる。還元性雰囲気としては、一
般的な水素を主体とするガスを用いることができる。
【0025】以上のようにして得られた金属磁性粉は、
加熱時の形状劣化や焼結が、オキシ水酸化鉄を直接還元
したものよりも起こり難くなっている。
【0026】そして、最後に、金属磁性粉に徐酸化処理
を行うことによって酸化被膜を形成する。この酸化被膜
は金属磁性粉の酸化安定性に必要なものであるが、非還
元性雰囲気中、 150〜500 ℃で加熱処理した粉は、粒子
表面の結晶性が向上し、酸化安定性に優れている。その
ため、表面の酸化鉄層の割合が小さくて済むので、飽和
磁束密度も大きくなる。
【0027】本発明によれば、オキシ水酸化鉄を主体と
する針状微細粉末に対して、非還元性雰囲気中におい
て、 150〜300 ℃と比較的低温で加熱処理を行った後、
或いは、 150〜500 ℃で真空中で加熱処理を行った後、
還元性雰囲気中で 400〜600 ℃で加熱処理を行い、更に
徐酸化処理を行うことによって、金属磁性粉を製造す
る。
【0028】従って、上記の比較的低温での加熱処理に
より、脱水反応が緩やかに進み、形状の崩れが小さくな
る。また、加熱脱水時に雰囲気を真空にすることによ
り、発生する水蒸気を取り除き、脱水反応をスムーズに
行うことができる。これらにより、加熱処理時の形状の
崩れが抑えられ、形状が均一になり、粒子表面の結晶性
が良くなるために、還元効率もよく、かつ徐酸化処理後
の表面の酸化鉄層も少なくて済む。
【0029】この結果、最終的に得られる金属磁性粉の
飽和磁束密度が大きくなり、酸化安定性にも優れてい
る。しかも、このようにして生成される金属磁性粉は、
磁性塗料に対する分散性にも優れている。
【0030】本発明において、上記の加熱処理温度は、
非還元性雰囲気(例えば空気、酸素)では 150〜300 ℃
とすべきであるが、 200〜300 ℃とするのが望ましく、
また真空中(望ましくは1〜103 Pa)では 150〜500 ℃
とすべきであるが、 200〜500 ℃とするのが望ましい。
還元性雰囲気(例えばH2 )中での加熱処理は 400〜60
0 ℃、徐酸化(例えば空気導入によるもの)の温度は室
温でよい。
【0031】本発明では、以上のようにして生成される
金属磁性粉末を、塗布型の磁気記録媒体に使用する。即
ち、塗布型の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、磁性
粉末と結合剤を主体とする磁性層が形成されてなるもの
である。この磁性層に含有させる磁性粉末として、上記
金属磁性粉を使用する。
【0032】上記金属磁性粉は、出発原料のオキシ水酸
化鉄の粒子形状を保持するので、微細性や軸比等を所望
のものとすることができ、粒子の形状が均一に揃ってい
る。また、高保磁力、高飽和磁束密度、高角型比が得ら
れると共に、分散性、酸化安定性にも優れている。従っ
て、このような金属磁性粉を用いることによって、高密
度記録領域において良好な記録再生特性を発揮する磁気
記録媒体が得られることになる。
【0033】磁気記録媒体を構成する構成要素として
は、通常の塗布型の磁気記録媒体で用いられているもの
がいずれも使用可能である。
【0034】本発明において使用される金属磁性粉末と
しては、Feをはじめ、Co、Ni等の強磁性金属材料
や、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Co
−Ni、Fe−Mn−Zn、Fe−Ni−Zn、Fe−
Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−P、Fe−Co
−B、Fe−Co−Cr−B、Fe−Co−V等の如く
Fe、Co、Niを主成分とする各種強磁性合金材料か
らなる強磁性金属微粒子等が挙げられ、更に、これらの
種々の特性を改善する目的でAl、Si、Ti、Cr、
Mn、Cu、Zn、P等の金属成分(形状保持材用のも
のを含む。)が添加されたものであってもよい。
【0035】磁性層は、上記金属磁性粉末を結合剤中に
分散させたものであるが、使用可能な結合剤としては、
変性又は非変性の塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル共重合
体等のビニル系共重合体、ポリエステルポリウレタン樹
脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂等のポリウレタ
ン樹脂、或いはポリエステル樹脂を使用又は混用するこ
とができるし、更にニトロセルロース等の繊維素系樹
脂、フェノキシ樹脂或いは特定の使用方式を有する熱可
塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線照射硬化
型樹脂等を併用してもよい。
【0036】上記の変性のために導入される基として
は、磁性粉の分散性向上を図れる−SO3 M、−OSO
3 M、−COOM、−PO(OM’)2 等であってよい
(MはNa等のアルカリ金属原子、M’は同アルカリ金
属原子又はアルキル基)。
【0037】使用可能な繊維素系樹脂には、セルロース
エーテル、セルロース無機酸エステル、セルロース有機
酸エステル等が使用できる。フェノキシ樹脂は機械的強
度が大きく、寸法安定性に優れ、耐熱、耐水、耐薬品性
がよく、接着性がよい等の長所を有する。
【0038】また、このような結合剤に対しては、一層
耐久性の向上を図るために、硬化剤を添加することが好
ましい。この硬化剤としては、多官能イソシアネートが
使用可能であり、特にトリレンジイソシアネート(TD
I)系が好適である。硬化剤の添加量は、全結合剤量に
対して5〜30重量%が好ましい。
【0039】磁性層に用いられる潤滑剤としては、炭素
数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合、分岐のあるも
のも可能)、もしくは、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸
と炭素数2〜12の1価〜6価アルコールの何れか1つと
のエステル、混合エステルまたはジ脂肪酸エステル、ト
リ脂肪酸エステルを用いることができる。
【0040】使用可能な潤滑剤の具体例としては、ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エラ
イジン酸、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ペンチ
ル、ステアリン酸ヘプチル、ステアリン酸オクチル、ス
テアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチルが挙げ
られる。
【0041】また、磁性層には更に、必要に応じてレシ
チン等の分散剤、カーボンブラック等の帯電防止剤、ア
ルミナ等の研磨剤、防錆剤等が加えられてもよい。これ
らの分散剤、帯電防止剤、研磨剤及び防錆剤としては、
従来公知の材料がいずれも使用可能であり、何ら限定さ
れるものではない。
【0042】また、本発明で使用可能な非磁性基体とし
ては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−
2,6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルロース
トリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロー
スブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネー
ト、ポリイミド、ポリアミドイミド等のプラスチックが
挙げられる。
【0043】その他、アルミニウム合金、チタン合金等
の軽金属、アルミナガラス等のセラミック等が挙げられ
る。非磁性支持体にAl合金板やガラス板等の剛性を有
する基板を使用した場合には、基板表面にアルマイト処
理等の酸化被膜やNi−P被膜等を形成してその表面を
硬くするようにしてもよい。
【0044】非磁性支持体上に磁性層を形成するには、
上記金属磁性粉末を、結合剤、潤滑剤や有機溶剤、各種
添加剤と共に磁性塗料とし、この磁性塗料を非磁性支持
体上に塗布することによって実現できる。磁性層の乾燥
膜厚は 0.5〜4.5 μmがよく、2〜4μmが更によい。
【0045】非磁性支持体の表面には、磁性層の接着性
を向上させるために、中間層あるいは下引層を設けても
良い。また、磁性層の表面にはオーバーコート層を設け
ても良い。
【0046】また、非磁性支持体の磁性層とは反対側の
面には、媒体の走行性向上のために、非磁性粉末(例え
ばシリカ、カーボンブラック)及び結合剤(上記したも
のと同様であってよい。)からなるバックコート層を
0.4〜0.8 μm厚に設けることができる。
【0047】図2は、本発明の磁気記録媒体の一例(ビ
デオ用の磁気テープ)を示すものである。即ち、非磁性
支持体1の一方の面に、金属磁性粉、結合剤、潤滑剤等
を含有した磁性層2を有している。
【0048】また、他方の面に、一点鎖線の如くに、非
磁性粉末と結合剤とを主体とするバックコート層3を有
していてもよい。磁性層2上には潤滑剤等のトップコー
ト層が、磁性層2と非磁性支持体1との間には下引き層
(接着層)が設けられていてよい。
【0049】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】実施例1 1.金属磁性粉末の作製 まず、強磁性金属微粉末は、以下の被着工程、微細化
(微細粉末化)工程、加熱処理工程、水素ガス還元工
程、徐酸化工程を順に行うことによって作製した。
【0051】<形状保持材の被着工程>出発原料である
オキシ水酸化鉄(FeOOH)には、アルミニウムやコ
バルト、イットリウムを添加した(以下、同様)。ま
ず、ガラス容器中に投入された純水に、α−FeOOH
の粉末を懸濁させ、攪拌機で攪拌した。十分に攪拌を行
った後、Al(NO3 3 やCo(NO3 2 、Y(N
3 3 が溶解された水溶液(Feに対するAl、C
o、Yの割合は8atm%相当量)を投入し、30分間攪拌し
た。そして、この懸濁液に1N−NaOHを投入しなが
ら1時間攪拌することによって、pHを9前後のアルカ
リ側に調節した。その結果、α−FeOOHの表面にA
l、Co及びYが被着された。なお、この被着に際し
て、懸濁液の温度は20〜25℃(室温)であった。
【0052】<微細化工程>次に、形状保持材が被着し
たこのα−FeOOHを水洗後、濾過し、得られた懸濁
液から採取し、器内温度が80℃に調節された乾燥器中で
乾燥し、乾燥ケーキ状にした。そして、この乾燥ケーキ
を、粉砕機を用いて微粉化した。
【0053】<加熱処理工程>次に、このオキシ水酸化
鉄微細粉末を真空中(3×102 Pa:以下、同様)、温度
200℃で2時間加熱処理し、α−Fe2 3 とした。
【0054】<還元処理工程>次に、このα−Fe2
3 を、水素ガス流下、温度 520℃で2時間加熱処理する
ことによって還元を行った。これによって、形状保持材
被着の金属鉄粉を得た。
【0055】<徐酸化工程>その後、雰囲気の水素ガス
を窒素ガスで置換し、温度を室温まで下げた後、流入し
ている窒素ガス流中に空気を徐々に含有させ、徐酸化処
理を行った。この結果、粒子形状が均一な金属磁性粉が
生成された。
【0056】2.サンプルテープの作成 次に、以下の組成に準じて磁性塗料の各組成物成分を計
り採り、混練、分散させることによって磁性塗料を調製
した。そして、この磁性塗料を、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)フィルム上に塗布、乾燥して磁性層を
形成し、所定の寸法に裁断し、サンプルテープを作成し
た。
【0057】 <磁性塗料組成> 強磁性金属微粉末 100重量部 (Fe系、Co−Al−Y被着、長軸長0.13μm、軸比5) VAGH(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の部分鹸化物: 10重量部 U.C.C.社製) N−2304(熱可塑性ポリウレタン樹脂:日本ポリウレタン社製) 10重量部 研磨剤:Al2 3 微粉末 3重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 50重量部
【0058】実施例2 金属磁性粉を生成するに際して、還元工程の前に空気
中、 200℃で熱処理したこと以外は実施例1と同様にし
て金属磁性粉を生成し、サンプルテープを作成した。
【0059】実施例3 金属磁性粉を生成するに際して、還元工程の前に真空
中、 400℃で熱処理したこと以外は実施例1と同様にし
て金属磁性粉を生成し、サンプルテープを作成した。
【0060】実施例4 金属磁性粉を生成するに際して、還元工程の前に空気
中、 300℃で熱処理したこと以外は実施例1と同様にし
て金属磁性粉を生成し、サンプルテープを作成した。
【0061】実施例5 金属磁性粉を生成するに際して、還元工程の前に真空
中、 500℃で熱処理したこと以外は実施例1と同様にし
て金属磁性粉を生成し、サンプルテープを作成した。
【0062】実施例6 金属磁性粉を生成するに際して、還元工程の前に空気
中、 150℃で熱処理したこと以外は実施例1と同様にし
て金属磁性粉を生成し、サンプルテープを作成した。
【0063】実施例7 金属磁性粉を生成するに際して、還元工程の前に真空
中、 150℃で熱処理したこと以外は実施例1と同様にし
て金属磁性粉を生成し、サンプルテープを作成した。
【0064】比較例1 金属磁性粉を生成するに際して、還元工程の前に空気
中、 400℃で熱処理したこと以外は実施例1と同様にし
て金属磁性粉を生成し、サンプルテープを作成した。
【0065】比較例2 金属磁性粉を生成するに際して、還元工程の前に真空
中、 600℃で熱処理したこと以外は実施例1と同様にし
て金属磁性粉を生成し、サンプルテープを作成した。
【0066】比較例3 金属磁性粉を生成するに際して、還元工程の前に空気
中、 600℃で熱処理したこと以外は実施例1と同様にし
て金属磁性粉を生成し、サンプルテープを作成した。
【0067】比較例4 金属磁性粉を生成するに際して、還元工程の前に空気
中、 350℃で熱処理したこと以外は実施例1と同様にし
て金属磁性粉を生成し、サンプルテープを作成した。
【0068】比較例5 金属磁性粉を生成するに際して、還元工程の前に真空
中、 550℃で熱処理したこと以外は実施例1と同様にし
て金属磁性粉を生成し、サンプルテープを作成した。
【0069】比較例6 金属磁性粉を生成するに際して、還元工程の前に空気
中、 100℃で熱処理したこと以外は実施例1と同様にし
て金属磁性粉を生成し、サンプルテープを作成した。
【0070】比較例7 金属磁性粉を生成するに際して、還元工程の前に真空
中、 100℃で熱処理したこと以外は実施例1と同様にし
て金属磁性粉を生成し、サンプルテープを作成した。
【0071】以上の実施例1〜実施例7及び比較例1〜
比較例7の磁性粉については飽和磁化(σs)、保磁力
(Hc)、角型比(Rs)を、テープについては保磁力
(Hc)、残留磁束密度(Br)、角型比(Rs)、S
FDを試料振動型磁力計(東英工業社製)によって測定
した。更に、実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例
7の各サンプルテープの電磁変換特性を評価した。電磁
変換特性は、7MHz における出力(OUT)及びノイズ
比(C/N)を測定した。
【0072】実施例1〜実施例7と、比較例1〜比較例
7の脱水工程(加熱処理)の条件を下記の表1に示す。
また、上記の方法で測定された実施例1〜実施例7と、
比較例1〜比較例7の磁性粉の飽和磁化(σs)、保磁
力(Hc)、角型比(Rs)、及びテープの保磁力(H
c)、残留磁束密度(Br)、角型比(Rs)、SFD
の結果を下記の表2に示す。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】以上に示した結果から明らかなように、比
較例1及び比較例4〜5の金属磁性粉の飽和磁化(σ
s)及びテープの残留磁束密度(Br)は実施例と同等
の値を示しているが、保磁力が低く、電磁変換特性は実
施例と比較して低い値となっている。その他の特性で
も、実施例の方が比較例よりも全て優れている。また、
比較例3のσsは実施例と同等の値ではあるが、これは
焼結しているためであり、他の特性は低い値となってい
る。
【0079】つまり、実施例1〜実施例7のように、比
較的低温での脱水処理、または真空中での脱水処理を行
った後に還元されて得られた金属磁性粉は、粒子が均一
で、磁気特性に優れ、テープを作製する際の分散や配向
にも優れ、電磁変換特性も高く、実用的に優れたもので
ある。
【0080】
【発明の作用効果】本発明によれば、オキシ水酸化鉄を
主体とする針状微細粉末に対して、非還元性雰囲気中に
おいて、 150〜300 ℃と比較的低温で加熱処理を行った
後、或いは、 150〜500 ℃で真空中で加熱処理を行った
後、還元性雰囲気中で 400〜600 ℃で加熱処理を行い、
更に徐酸化処理を行うことによって、金属磁性粉を製造
する。
【0081】従って、上記の比較的低温での加熱処理に
より、脱水反応が緩やかに進み、形状の崩れが小さくな
る。また、加熱脱水時に雰囲気を真空にすることによ
り、発生する水蒸気を取り除き、脱水反応をスムーズに
行うことができる。これらにより、加熱処理時の形状の
崩れが抑えられ、形状が均一になり、粒子表面の結晶性
が良くなるために、還元効率もよく、かつ徐酸化処理後
の表面の酸化鉄層も少なくて済む。
【0082】この結果、最終的に得られる金属磁性粉の
飽和磁束密度が大きくなり、酸化安定性にも優れてい
る。しかも、このようにして生成される金属磁性粉は、
磁性塗料に対する分散性にも優れている。
【0083】このように、本発明による金属磁性粉は、
出発原料のオキシ水酸化鉄の粒子形状を保持するので、
微細性や軸比等を所望のものとすることができ、粒子の
形状が均一に揃っている。また、高保磁力、高飽和磁束
密度、高角型比が得られると共に、分散性、酸化安定性
にも優れている。従って、このような金属磁性粉を用い
ることによって、高密度記録領域において良好な記録再
生特性を発揮する磁気記録媒体が得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく強磁性金属粉末の作製フロー図
である。
【図2】本発明に基づく磁気記録媒体の一構成例を示す
断面図である。
【符号の説明】
1…非磁性支持体、2…磁性層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オキシ水酸化鉄を主体とする微細粉末を
    非還元性雰囲気中、150〜300 ℃で加熱処理した後、還
    元性雰囲気中、 400〜600 ℃で加熱処理し、その後に徐
    酸化処理する、金属磁性粉の製造方法。
  2. 【請求項2】 不活性雰囲気中で酸化性ガスを徐々に増
    量させて、徐酸化処理を行う、請求項1に記載した製造
    方法。
  3. 【請求項3】 オキシ水酸化鉄を主体とする針状微細粉
    末を非還元性雰囲気中で加熱処理する、請求項1に記載
    した製造方法。
  4. 【請求項4】 オキシ水酸化鉄を主体とする微細粉末に
    対して真空中、 150〜500 ℃で加熱処理した後、還元性
    雰囲気中、 400〜600 ℃で加熱処理し、その後に徐酸化
    処理する、金属磁性粉の製造方法。
  5. 【請求項5】 不活性雰囲気中で酸化性ガスを徐々に増
    量させて、徐酸化処理を行う、請求項4に記載した製造
    方法。
  6. 【請求項6】 オキシ水酸化鉄を主体とする針状微細粉
    末を非還元性雰囲気中で加熱処理する、請求項4に記載
    した製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104259470A (zh) * 2014-08-07 2015-01-07 莱芜钢铁集团粉末冶金有限公司 一种低松比高细粉率100目还原铁粉的生产方法

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