JP3385476B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3385476B2
JP3385476B2 JP01189093A JP1189093A JP3385476B2 JP 3385476 B2 JP3385476 B2 JP 3385476B2 JP 01189093 A JP01189093 A JP 01189093A JP 1189093 A JP1189093 A JP 1189093A JP 3385476 B2 JP3385476 B2 JP 3385476B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体に関し、さ
らにに詳しくはアナログ記録媒体として、特にデジタル
記録媒体としての電気的特性及び走行性に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録は一般に磁気記録媒体の面内長
手方向の磁化を用いる方式が主流である。しかし、この
方式で記録密度のより一層の向上を図ろうとすると、媒
体内の減磁界が増加するため記録密度に限界を生じ、そ
れ程記録密度を向上させることができない。すなわちこ
の方式では、長波長域での特性は向上するものの、短波
長域での特性が劣る。
【0003】このため従来、磁気記録媒体の磁性層の厚
さ方向の磁化により記録を行う垂直磁気記録方式が提案
されている。垂直磁気記録方式によれば、記録密度が高
密度になるに従い減磁界が小さくなることから、特に高
密度記録、短波長記録において上述の面内長手方向磁化
による記録よりも優れていることが知られている。
【0004】ところが、針状磁性粉末等を磁性層に対し
て垂直方向に配向させた場合には、短波長域での特性は
向上するが、長波長域での特性が落ちる。
【0005】また、配向時に磁性粒子間の反発力により
表面荒れを生じ、電磁変換特性が劣化してしまう欠点が
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記面内長手記録方式
と垂直磁気記録方式の各欠点を改善して長波長域から短
波長域に亘って高出力を発揮せしめることが可能な斜め
配向技術が提案されている。
【0007】斜め配向技術は、塗布型の磁気記録媒体に
あっては、磁性粉を磁性層面に対して斜め方向に配向さ
せることによって、電磁変換特性を向上せしめ、長波長
域から短波長域に亘って高出力を発揮させようとするも
のである。また、塗布型の磁気記録媒体以外でも、Co
−Cr 等を斜方から蒸着させることによって斜方蒸着膜
を形成する蒸着型の磁気記録媒体もあるが、斜方蒸着膜
を形成するには蒸着装置やスパッタリング装置等の装置
を使用して作製する必要があり、製造コストが高くな
り、塗布型の磁気記録媒体に比べて不利である。
【0008】しかし、塗布型の磁気記録媒体で斜め配向
したものでも、垂直配向したものと同様に表面荒れが生
ずる。
【0009】ところで、従来の磁気記録媒体は、磁性粉
末を微粒子化させることにより、または、上層を磁性
層、下層を非磁性層とする重積構造にすることにより、
高品質化を図ってきた(特開昭63-187418号)。
【0010】しかし、前者の場合は、磁性粉末を微細化
しただけであるし、又、後者の特開昭63-187418号の場
合は非磁性粉末の形状を特定していないので、磁性層あ
るいは非磁性粉末の分散性が不充分であり、カレンダ工
程におけるカレンダビリティが低下し、その結果とし
て、磁気記録媒体の表面性が好ましい状態に到らず、デ
ジタル記録媒体として必要な優れた電気的特性や走行性
を有する磁気記録媒体を得ることは困難である。
【0011】本発明の目的は、かかる従来の実状に鑑
み、磁気記録媒体の表面性を改善すると共に、電気的特
性及び走行性に優れ、デジタル記録用媒体として好適な
磁気記録媒体を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するにあ
たり、特定の配向度を有する磁性層を作製することによ
り、さらに下層に特定の形状を有する非磁性粉末を用い
ることにより、磁気記録媒体の表面性が改善されデジタ
ル記録媒体として必要な優れた電気特性及び走行性を得
られることを見いだした。
【0013】即ち本発明の課題は;非磁性支持体上に構
成層として強磁性粉末を含有する磁性層を設けた磁気記
録媒体において、磁性層の表面粗さR Z10 が10〜1
8nmであり、且つ該磁性層のθ〜2θ連動駆動により
生じた回折位置でのロッキング・カーブのピーク位置
が、テープの走行方向に関し進行する向きの走査X線回
折チャートにおいては、高角度側に2.0〜4.0°シフト
し、逆向きの走査X線回折チャートにおいては、低角
側に5.0〜10.0°シフトすることを特徴とする磁気記録
媒体、更に前記磁気記録媒体が、非磁性支持体上に
積構成層を設けた磁気記録媒体であって、針状の非磁性
粉末を含有する層を少なくとも1層前記磁性層の該非磁
性支持体側に設けたことを特徴とする上記に記載の磁気
記録媒体によって解決される。
【0014】本発明において、θ単独駆動によりテープ
走行方向に関して進行の向きに走査させたX線回折チャ
ートにおいて、ピーク位置の回折位置θからのシフト量
が高角度側2.0〜4.0°の範囲であり、好ましくは2.5〜
3.5°の範囲であり、かつテープ走行方向に関して逆向
きに走査させたX線回折チャートにおいて、ピーク位置
が回折位置θからのシフト量が低角度側に5.0〜10.0°
の範囲であり、好ましくは6.5〜8.5°の範囲である、換
言すると最表面が平滑であり、記録に関与する媒体内部
が斜めに配向している磁気記録層を得ることができる。
【0015】したがって、上記条件の磁性層を形成する
と走行耐久性に優れた高記録密度媒体を得ることができ
る。
【0016】なお、ロッキング・カーブ法測定の前に、
磁気記録媒体の重積構成層をテープ走行方向に対して上
部から截断し、断面を露出させ、その後、超薄切片を作
製し、透過型電子顕微鏡で観察し磁性粒子の斜め配向状
態を確認する。
【0017】ここで、ロッキング・カーブ法による塗膜
内磁性粒子の塗膜面から垂直方向に対する配向度の測定
方法の詳細を説明する。
【0018】X線回折装置によりθ〜2θ連動測定を行
い、磁性粒子のX線回折パターンを得る。θ〜2θ連動
測定、中心にある試料に入射するX線の走査速度dθ/
dtに対して2dθ/dtの走査速度で検出器を連動し
て回転させる方法である。
【0019】上記の回折パターンより(110)面のピー
ク位置を求める。次に、2θ軸をピーク位置である44.6
°に固定しθ軸のみを駆動させる。無配向試料の場合、
θ軸が2θ位置になったときに回折が生じるが、斜めに
配向した試料の場合に塗膜面から垂直方向に対する配向
分の角度だけピーク位置が移動する。このピーク位置の
移動分を求め磁性粒子の塗膜面から垂直方向に対する配
向度とする。尚、(110)面以外のピーク位置のロッキ
ング・カーブを求め配向度とすることも可能である。
【0020】X線が進行の向きに入射した場合と逆向き
に入射した場合とでは入射角が異なりX線深度も異な
る。従って、テープ最表面部分の粒子配向度が低い試料
の場合、計測領域の違いにより、ピーク位置θのシフト
量に差が生じる。
【0021】ここで、進行向きと逆向きで測定した際の
X線入射試料厚の差を求める。尚、算出方法には、以下
の式を用いた(X線回折の手引;理学電機)。
【0022】X線入射試料厚の計算は、試料厚がxであ
るときの回折強度と無限厚のときの回折強度の比Gxか
ら求められる。
【0023】
【数1】
【0024】Gx(%)の50〜99.9%に対するKxの値
を以下に示す。
【0025】 Gx(%); 50 75 86 90 95 99.9 Kx ;0.69 1.39 2.00 2.30 3.00 6.91 今、進行の向きからの入射角をθ1、逆向きからの入射
をθ2として時のそれぞれのX線入射試料厚を計算す
る。
【0026】Gx=90%、X線源CuKα、対象試料α
−Feとした場合、μ=質量吸収係数×密度=2420.88
となり、 x(進行の向き)=4.8×10-3×sinθ1(mm) x(逆向き) =4.8×10-3×sinθ2(mm) θ1<θ2であるから、x(進行の向き)<x(逆向
き)となる。
【0027】以上の結果より、ロッキング・カーブ法に
より、進行の向きではテープ最表面部分を評価し、逆向
きではより深い斜め配向部分を評価することができる。
【0028】なお、X線源を交換することによりX線入
射試料厚を変更することも可能である。
【0029】X線回折チャートは、例えば下記のように
して求めることが好ましい。
【0030】図1にX線回折装置の1例を示す。図1に
おいて、X線源CuKαから照射されたX線は、ダイバ
ージェンススリットDSを経て磁気記録媒体の磁性層に
入射して回折し、スキャッタスリットSSを経た後、モ
ノクロメータMMで反射することにより単色光とされ、
さらにレシービングスリットRSを経て計数管に入射
し、X線強度のカウントが行われ、通常、レートメータ
等により記録される。
【0031】尚、θ〜2θ連動測定時には、磁気記録媒
体が走査速度dθ/dtで、スキャッタスリットSS後
の光路を構成する部材が走査速度2dθ/dtで回転さ
れる。また、θ単独駆動測定時には、スキャッタスリッ
トSS以後の光路を構成する部材が固定され、磁気記録
媒体が走査速度dθ/dtで回転される。
【0032】以下、本発明の磁気記録媒体について詳述
する。
【0033】−磁気記録媒体の構成− この発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上(A)に、
強磁性粉末を含有する最上層磁性層(B)及び構成層中
の下層として前記非磁性支持体と磁性層との間に、少な
くとも1層の非磁性層(C)を設けてなる。
【0034】(A)非磁性支持体 前記非磁性支持体を形成する材料としては、例えば、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタ
レート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオ
レフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダ
イアセテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、アラ
ミド樹脂、ポリカーボネート等のプラスチックなどを挙
げることができる。
【0035】非磁性支持体の厚みには特に制約はない
が、通常2〜100μmであり、好ましくは3〜50μmであ
り適宜に選択される。
【0036】なお、この非磁性支持体は単層構造のもの
であっても多層構造のものであってもよい。また、この
非磁性支持体は、例えば、コロナ放電処理等の表面処理
を施されたものであってもよい。
【0037】また、非磁性支持体上の上記磁性層が設け
られていない面(裏面)には、磁気記録媒体の走行性の
向上、帯電防止及び転写防止などを目的として、バック
コート層を設けるのが好ましく、また磁性層と非磁性支
持体との間には、下引き層を設けることもできる。
【0038】(B)最上層磁性層 該磁性層は、強磁性粉末を含有する。更に、必要に応じ
てバインダ及びその他の成分を含有することができる。
最上層磁性層の厚みは0.5μm未満であり、通常0.01〜0.
5μmであり、好ましくは0.02〜0.3μmである。
【0039】厚みが0.01μmよりも小さいと、記録が十
分になされないことにより、再生時に出力が得られない
ことがあり、一方、0.5μmよりも大きいと、膜厚損失に
より十分な再生出力が得られないことがある。更に構成
層の保磁力Hcは2000以上が好ましい。
【0040】(B−1)磁性粉末 本発明においては、磁性層である最上層は、強磁性粉末
を含有する。
【0041】前記強磁性金属粉末である場合は、その構
成元素としてFe、Al、及び、SmとNdとYとPrとか
らなる群より選択される1種以上の希土類元素を含有す
ることが好ましい。
【0042】この発明における強磁性粉末は、その全体
組成におけるFe、Al、及び、SmとNdとYとPrとか
らなる群より選択される1種以上の希土類元素の存在比
率が、Fe原子100重量部に対して、Al原子は2〜10重
量部であり、SmとNdとYとPrとからなる群より選択
される1種以上の希土類元素は1〜8重量部であり、か
つ、その表面におけるFe、Al、及び、SmとNdとYと
Prとからなる群より選択される1種以上の希土類元素
の存在比率が、Fe原子数100に対して、Al原子数は70
〜200であり、SmとNdとYとPrとからなる群より選択
される1種以上の希土類元素の原子数は0.5〜30である
ものが好ましい。
【0043】より好ましくは、強磁性粉末が、その構成
元素として更にNa及びCaを含有し、その全体組成にお
けるFe、Al、SmとNaとYとPrとからなる群より選
択される1種以上の希土類元素、Na及びCaの存在比率
が、Fe原子100重量部に対して、Al原子は2〜10重量
部であり、SmとNdとYとPrとからなる群より選択さ
れる1種以上の希土類元素は1〜8重量部であり、Na
原子は0.1重量部未満であり、Ca原子は0.1〜2重量部
であり、かつ、その表面におけるFe、Al、SmとNdと
YとPrとからなる群より選択される1種以上の希土類
元素、Na及びCaの存在比率が、Fe原子数100に対し
て、Al原子数は70〜200であり、SmとNdとYとPrと
からなる群より選択される1種以上の希土類元素の原子
数は0.5〜30であり、Na原子数は2〜30であり、Ca
原子数は5〜30である。
【0044】さらに好ましくは、強磁性粉末が、その構
成元素として更にCo、Ni及びSiを含有し、その全体
組成におけるFe、Co、Ni、Al、Si、SmとNdとY
とPrとからなる群より選択される1種以上の希土類元
素、Na及びCaの存在比率が、Fe原子100重量部に対し
て、Co原子は2〜20重量部であり、Ni原子は2〜20重
量部であり、Al原子は2〜10重量部であり、Si原子
は0.3〜5重量部であり、SmとNdとYとPrとからなる
群より選択される1種以上の希土類元素の原子は1〜8
重量部であり、Na原子は0.1重量部未満であり、Ca原
子は0.1〜2重量部であり、かつ、その表面におけるF
e、Co、Ni、Al、Si、SmとNdとYとPrとからなる
群より選択される1種以上の希土類元素、Na及びCaの
存在比率が、Fe原子数100に対して、Co原子数は0.1未
満であり、Ni原子数は0.1未満であり、Al原子数は70
〜200であり、Si原子数は20〜130であり、SmとNdと
YとPrとからなる群より選択される1種以上の希土類
元素の原子数は0.5〜30であり、Na原子数は2〜30であ
り、Ca原子数は5〜30である。
【0045】前記全体組成におけるFe、Co、Ni、A
l、Si、SmとNdとYとPrとからなる群より選択され
る1種以上の希土類元素、Na及びCaの存在比率が、ま
た、前記表面におけるFe、Co、Ni、Al、Si、Smと
NdとYとPrとからなる群より選択される1種以上の希
土類元素、Na及びCaの存在比率が、前記範囲内にある
強磁性粉末は、1700 Oe以上の高い保磁力(Hc)、120
emu/g以上の高い飽和磁化量(σs)、及び高い分散性
を有するので好ましい。
【0046】この強磁性粉末の含有量としては、その層
における固形分全体に対し、通常60〜95重量%であり、
好ましくは70〜90重量%であり、特に好ましくは75〜85
重量%である。
【0047】更に、磁性層にはその他の磁性粉末を用い
ることができる。
【0048】その他の磁性粉末としては、強磁性酸化鉄
粉末、強磁性粉末、六方晶板状粉末等を挙げることがで
きる。
【0049】これらの中でも、後述する強磁性粉末を好
適に用いることができる。
【0050】前記強磁性酸化鉄粉末としては、γ-Fe2
3 、Fe34 、又は、これらの中間酸化鉄でFeO
x(1.33<x<1.5)で表される化合物や、Coが付加さ
れたもので(コバルト変性)Co-FeOx (1.33<x<
1.5)で表される化合物等を挙げることができる。
【0051】前記強磁性粉末としては、Fe、Coをはじ
め、Fe−Al系、Fe−Al−Ni系、Fe−Al−Zn系、
Fe−Al−Co系、Fe−Al−Ca系、Fe−Ni系、Fe
−Ni−Al系、Fe−Ni−Co系、Fe−Ni−Si−Al
−Mn系、Fe−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Al−Si
系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni−Mn系、Fe−Ni−S
i系、Fe−Mn−Zn系、Fe−Co−Ni−P系、Ni−C
o系、Fe、Ni、Co等を主成分とするメタル磁性粉末等
の強磁性粉末を挙げることができる。これらの中でも、
Fe系金属粉が電気的特性に優れる。
【0052】他方、耐蝕性及び分散性の点から見ると、
Fe−Al系、Fe−Al−Ca系、Fe−Al−Ni系、Fe
−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−Ni−Si−Al
−Co系、Fe−Co−Al−Ca系等のFe−Al系強磁性
粉末が好ましい。
【0053】特に、この発明の目的に好ましい強磁性粉
末は、鉄を主成分とする金属磁性粉末であり、Al、又
は、Al及びCaを、Alについては重量比でFe:Al=1
00:0.5〜100:20、Caについては重量比でFe:Ca=1
00:0.1〜100:10の範囲で含有するのが望ましい。
【0054】Fe:Alの比率をこのような範囲にするこ
とで耐蝕性が著しく改良され、またFe:Caの比率をこ
のような範囲にすることで電磁変換特性を向上させ、ド
ロップアウトを減少させることができる。
【0055】電磁変換特性の向上やドロップアウトの減
少がもたらされる理由は明らかでないが、分散性が向上
することによる保磁力の向上や凝集物の減少等が理由と
して考えられる。
【0056】この発明に用いられるこれらの強磁性粉末
は、その長軸径が0.30μm未満であり、好ましくは0.04
〜0.20μmであり、更に好ましくは0.04〜0.15μmである
ことが好ましい。強磁性粉末の長軸径が前記範囲内にあ
ると、磁気記録媒体の表面性を向上させることができる
と共に電気的特性の向上も図ることができる。
【0057】また、この発明に用いられる強磁性粉末
は、その保磁力(Hc)が通常600〜5000 Oeの範囲に
あることが好ましい。この保磁力が600 Oe未満である
と、電磁変換特性が劣化することがあり、また保磁力が
5000 Oeを超えると、通常のヘッドでは記録不能になる
ことがある。
【0058】また、前記強磁性粉末は、磁気特性である
飽和磁化量(σs )が通常、70emu/g以上であること
が好ましい。この飽和磁化量が70emu/g未満である
と、電磁変換特性が劣化することがある。また、特に、
この強磁性粉末が強磁性粉末であるときには、この飽和
磁化量が120emu/g以上であることが望ましい。
【0059】更に、この発明においては、記録の高密度
化に応じて、BET法による比表面積で30m2/g以上、
特に、45m2/g以上の強磁性粉末を好ましく用いること
ができる。
【0060】この比表面積及びその測定方法について
は、「粉体の測定」(J.M.Dallavelle,Clyeorr Jr.共
著、牟田その他訳;産業図書社刊)に詳述されており、
また「化学便覧」応用編P1170〜1171(日本化学会編;
丸善( 株)昭和41年4月30日発行)にも記載されてい
る。
【0061】比表面積の測定は、例えば、粉末を105℃
前後で13分間加熱処理しながら脱気して粉末に吸着され
ているもの除去し、その後、この粉末を測定装置に導入
して窒素の初期圧力を0.5kg/m2 に設定し、窒素により
液体窒素温度(−105℃)で10分間測定を行なう。
【0062】測定装置は、例えば、カウンタソープ(湯
浅アイオニクス( 株)製)を使用する。
【0063】上記の磁性粉末は1種でも、あるいは2種
以上組合せて用いてもよい。
【0064】該磁性層中に含有される磁性粉末は50〜99
重量%、好ましくは60〜99重量%、特に75〜90重量%で
ある。
【0065】(B−2)バインダ 磁性層が含有するバインダとしては、例えば、ポリウレ
タン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体等の塩化ビ
ニル系樹脂等が代表的なものであり、これらの樹脂は−
SO3M、−OSO3M、−COOM、−PO(OM1)2
及びスルホベタイン基から選ばれた少なくとも一種の極
性基を有する繰返し単位を含むことが好ましい。
【0066】ただし、上記極性基において、Mは水素原
子又はNa、K、Li等のアルカリ金属を表し、またM1
は水素原子、Na、K、Li等のアルカリ原子又はアルキ
ル基を表す。
【0067】上記極性基は磁性粉末の分散性を向上させ
る作用があり、各樹脂中の含有率は0.1〜8.0モル%であ
り、好ましくは0.2〜6.0モル%である。この含有率が0.
1モル%未満であると、磁性粉末の分散性が低下し、ま
た含有率が8.0モル%を超えると、磁性塗料がゲル化し
易くなる。なお、前記各樹脂の重量平均分子量は、15,0
00〜50,000の範囲が好ましい。
【0068】バインダの含有量は、強磁性粉末100重量
部に対して、通常8〜25重量部、好ましくは10〜20重量
部である。
【0069】バインダは一種単独に限らず、二種以上を
組合せて用いることができるが、この場合、ポリウレタ
ン及び/又はポリエステルと塩化ビニル系樹脂との比
は、重量比で、通常90:10〜10:90であり、好ましくは
70:30〜30:70の範囲である。
【0070】この発明にバインダとして用いられる極性
基含有塩化ビニル系共重合体は、例えば、塩化ビニル−
ビニルアルコール共重合体など、水酸基を有する共重合
体と下記の極性基及び塩素原子を有する化合物との付加
反応により合成することができる。
【0071】なお、塩化ビニル系共重合体への極性基の
導入技術に関しては、特開昭57-44227号、同58-108052
号、同59-8127号、同60-101161号、同60-235814号、同6
0-238306号、同60-238371号、同62-121923号、同62-146
432号、同62-146433号等の公報に記載があり、この発明
においてもこれらを利用することができる。
【0072】次に、この発明に用いるポリエステルはポ
リオールと多塩基酸との反応により得られる。
【0073】なお、他の極性基を導入したポリエステル
も公知の方法で合成することができる。
【0074】また、ポリウレタンは、ポリオールとポリ
イソシアネートとの反応から得られる。
【0075】ポリオールとしては、一般にポリオールと
多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオ
ールが使用されている。
【0076】従って、極性基を有するポリエステルポリ
オールを原料として用いれば、極性基を有するポリウレ
タンを合成することができる。
【0077】なお、ポリウレタンへの極性基導入に関す
る技術としては、特公昭58-41565号、特開昭57-92422
号、同57-92423号、同59-8127号、同59-5423号、同59-5
424号、同62-121923号等の公報に記載があり、この発明
においてもこれらを利用することができる。
【0078】本発明においては、バインダとして下記の
樹脂を全バインダの50重量%以下の使用量で併用するこ
とができる。
【0079】その樹脂としては、重量平均分子量が10,0
00〜200,000である、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル
−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニ
トリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラー
ル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレ
ン−ブタジエン共重合体、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコ
ーン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂、各
種の合成ゴム系樹脂等が挙げられる。
【0080】(B−3)その他の成分 この発明においては、磁性層の品質の向上を図るため、
研磨剤、潤滑剤、耐久性向上剤、分散剤、帯電防止剤及
び導電性微粉末などの添加剤をその他の成分として含有
させることができる。
【0081】前記研磨剤としては、特開平4-214218号の
〔0105〕に記載の公知の物質を使用することができる。
【0082】この研磨剤の平均粒子径としては、通常0.
05〜0.6μmであり、好ましくは0.05〜0.5μmであり、特
に好ましくは0.05〜0.3μmである。
【0083】前記研磨剤の磁性層における含有量として
は、通常3〜20重量部であり、好ましくは5〜15重量部
であり、特に好ましくは5〜10重量部である。
【0084】前記潤滑剤としては、脂肪酸及び/又は脂
肪酸エステルを使用することができる。この場合、脂肪
酸の添加量は、磁性粉末に対して0.2〜10重量%が好ま
しく、特に好ましくは0.5〜5重量%である。添加量が
0.2重量%未満であると、走行性が低下し易く、また10
重量%を超えると、脂肪酸が磁性層の表面にしみ出した
り、出力低下が生じ易くなる。
【0085】また、脂肪酸エステルの添加量も、磁性粉
末に対して0.2〜10重量%が好ましく、特に好ましくは
0.5〜5重量%である。その添加量が0.2重量%未満であ
ると、スチル耐久性が劣化し易く、また10重量%を超え
ると、脂肪酸エステルが磁性層の表面にしみ出したり、
出力低下が生じ易くなる。
【0086】脂肪酸と脂肪酸エステルとを併用して潤滑
効果をより高めたい場合には、脂肪酸と脂肪酸エステル
は重量比で10:90〜90:10が好ましい。
【0087】脂肪酸としては一塩基酸であっても二塩基
酸であってもよく、炭素数は6〜30が好ましく、12〜22
の範囲がより好ましい。
【0088】脂肪酸の具体例としては、特開平4-214218
号の〔0102〕に記載の脂肪酸が挙げられる。
【0089】脂肪酸のエステルの具体例としては、特開
平4-214218号〔0103〕に記載の脂肪酸エステルが挙げら
れる。
【0090】また、上記脂肪酸、脂肪酸エステル以外の
潤滑剤としてそれ自体公知の物質を使用することがで
き、例えばシリコーンオイル、弗化カーボン、脂肪酸ア
ミド、α−オレフィンオキサイド等を使用することがで
きる。
【0091】前記硬化剤としては、ポリイソシアネート
を挙げることができ、ポリイソシアネートとしては、例
えば、トリレンジイソシアネート(TDI)等と活性水
素化合物との付加体などの芳香族ポリイソシアネート
と、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等と
活性水素化合物との付加体などの脂肪族ポリイソシアネ
ートがある。なお、前記ポリイソシアネートの重量平均
分子量は、100〜3,000の範囲にあることが望ましい。
【0092】前記分散剤としては、特開平4-214218号
〔0093〕に記載の化合物を挙げることができる。これら
の分散剤は、通常、磁性粉末に対して0.5〜5重量%の
範囲で用いられる。
【0093】前記帯電防止剤としては、特開平4-214218
号〔0107〕に記載の界面活性剤を挙げることができる。
上述した帯電防止剤は、通常、バインダに対して0.01〜
40重量%の範囲で添加される。
【0094】更にこの発明においては、帯電防止剤とし
て導電性微粉末を好ましく用いることができる。前記帯
電防止剤としては、カーボンブラック、グラファイト、
酸化錫、銀粉、酸化銀、硝酸銀、銀の有機化合物、銅粉
等の金属粒子等、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化チタン
等の金属酸化物等の顔料を酸化錫被膜又はアンチモン固
溶酸化錫被膜等の導電性物質でコーティング処理したも
の等を挙げることができる。
【0095】前記導電性微粉末の平均粒子径としては、
5〜700nmであり、より好ましくは、5〜200nmである。
【0096】前記導電性微粉末の含有量としては、磁性
粉末100重量部に対して、1〜20重量部であり、好まし
くは2〜7重量部である。
【0097】(C)非磁性層 非磁性層は、少なくとも1層の層からなり、非磁性支持
体と磁性層との間に単層又は複数層をもって形成され
る。
【0098】非磁性層は、1種類の層、あるいは2種以
上の層の組合せからなる層で形成されてもよく、特に制
限はない。例えば、非磁性粉末を含有する非磁性層(C
−1)、高透磁率材料を含有する層、又はこれらの層の
組合せからなる層等を挙げることができる。本発明にお
いては、非磁性層が用いられるが、針状の非磁性粉末を
含有する非磁性層である。
【0099】その厚みとしては、0.2〜2.0μmであり、
特に好ましくは0.5〜2.5μmである。前記厚みが2.0μm
よりも大きいと、重層後の上層表面の表面粗さが上昇す
る、いわゆる重層面粗れが発生し、好ましい電磁変換特
性が得られないことがあり、一方、0.2μmよりも小さい
と、カレンダ時に高い平滑性を得ることが困難になり、
電磁変換特性が悪化し、非磁性層を下に設けた意味が薄
くなることがある。
【0100】非磁性層には、非磁性粉末を含有し、また
必要に応じてバインダ及びその他の成分を含有する。
【0101】(C−1)非磁性粉末 この発明においては、各種の公知の非磁性粉末を適宜に
選択して使用することができる。
【0102】非磁性粉末としては、例えば、カーボンブ
ラック、グラファイト、TiO2 、硫酸バリウム、Zn
S、MgCO3 、CaCO3 、ZnO、CaO、二硫化タン
グステン、二硫化モリブデン、窒化硼素、MgO、SnO
2 、SiO2 、Cr23 、α−Al23 、α−Fe2
3 、α−FeOOH、SiC、酸化セリウム、コランダ
ム、人造ダイヤモンド、α−酸化鉄、ざくろ石、ガーネ
ット、珪石、窒化珪素、窒化硼素、炭化珪素、炭化モリ
ブデン、炭化硼素、炭化タングステン、チタンカーバイ
ド、トリボリ、珪藻土、ドロマイト等を挙げることがで
きる。
【0103】これらの中で好ましいのは、カーボンブラ
ック、CaCO3 、TiO2 、硫酸バリウム、α−Al2
3 、α−Fe23 、α−FeOOH、Cr23 等の無
機粉末である。
【0104】この発明においては、粉末の形状が針状で
ある非磁性粉末が使用それる。前記針状の非磁性粉末を
用いると、非磁性層の表面の平滑性を向上させることが
でき、その上に積層される磁性層からなる最上層におけ
る表面の平滑性も向上させることができる。
【0105】前記非磁性粉末の長軸径としては、通常0.
50μm以下であり、好ましくは0.40μm以下であり、特に
好ましくは0.30μm以下である。
【0106】前記非磁性粉末の短軸径としては、通常0.
10μm以下であり、好ましくは0.08μm以下であり、特に
好ましくは0.06μm以下である。
【0107】前記非磁性粉末の軸比としては、通常2〜
20であり、好ましくは5〜15であり、特に好ましくは5
〜10である。ここでいう軸比とは、短軸径に対する長軸
径の比(長軸径/短軸径)のことをいう。
【0108】前記非磁性粉末の比表面積としては、通常
10〜250m2/gであり、好ましくは20〜150m2/gであ
り、特に好ましくは30〜100m2/gである。
【0109】前記範囲の長軸径、短軸径、軸比及び比表
面積を有する非磁性粉末を使用すると、非磁性層の表面
性を良好にすることができると共に、磁性層である最上
層の表面性も良好な状態にすることができる。
【0110】また、この発明においては、前記非磁性粉
末が、Si化合物及び/又はAl化合物により表面処理さ
れていることが好ましい。かかる表面処理のなされた非
磁性粉末を用いると磁性層である最上層の表面状態を良
好にすることができる。前記Si及び/又はAlの含有量
としては、前記非磁性粉末に対して、Siが0.1〜10重量
%、Alが0.1〜10重量%であるのが好ましい。
【0111】前記非磁性粉末の非磁性層中における含有
量としては、非磁性層を構成する全成分の合計に対し
て、通常50〜99重量%であり、好ましくは60〜95重量%
であり、特に好ましくは70〜95重量%である。非磁性粉
末の含有量が前記範囲内にあると、磁性層である最上層
及び非磁性層の表面状態を良好にすることができる。
【0112】(C−2)バインダ 非磁性層が含有するバインダとしては、(B−2)のと
ころで例示した樹脂を用いることができ、その量として
は、非磁性粉末100重量部に対し、通常5〜150重量部で
あり、好ましくは10〜120重量部である。
【0113】(C−3)その他の成分 下層における非磁性層が含有するその他の成分として
は、(B−3)のところで例示した化合物を用いること
ができる。その量としては、この発明の目的を阻害する
ことがなければ特に制限はなく、適宜選択することがで
きる。
【0114】前記のように構成した本発明の記録媒体の
断面図を図1に示した。図において1は支持体、2は非
磁性層、3は最上層磁性層、4はバックコート層であ
る。
【0115】−磁気記録媒体の製造− この発明の磁気記録媒体は、磁性層の塗設を、下層が湿
潤状態にあるときにする所謂ウエット−オン−ウエット
方式で塗設するのが好ましい。このウエット−オン−ウ
エット方式は、公知の重層構造型の磁気記録媒体の製造
に使用される方法を適宜に採用することができる。
【0116】例えば、一般的には磁性粉末、バインダ、
分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等と溶媒とを混練
して高濃度磁性塗料を調製し、次いでこの高濃度磁性塗
料を希釈して磁性塗料を調製した後、この磁性塗料を非
磁性支持体の表面に塗布する。
【0117】上記溶媒としては、例えば、特開平4-2142
18号〔0119〕記載の溶媒を用いることができる。
【0118】磁性層形成成分の混練分散に当たっては、
各種の混練分散機を使用することができる。
【0119】この混練分散機としては、例えば、特開平
4-214218号〔0012〕記載のものを挙げることができる。
上記混練分散機のうち、0.05〜0.5KW(磁性粉末1K
g当たり)の消費電力負荷を提供することのできる混練
分散機は、加圧ニーダ、オープンニーダ、連続ニーダ、
二本ロールミル、三本ロールミルである。
【0120】非磁性支持体上に、最上層の磁性層と、下
層とを塗布するには、具体的には、図4に示すように、
まず供給ロール32から繰出した非磁性支持体1に、エク
ストルージョン方式の押し出しコータ41、42により、上
層塗料と下層塗料とをウェット−オン−ウェット方式で
重層塗布した後、配向用磁石又は垂直配向用磁石33を通
過し、乾燥器34に導入し、ここで上下に配したノズルか
ら熱風を吹き付けて乾燥する。
【0121】次に、乾燥した各塗布層付きの非磁性支持
体1をカレンダロール38の組合せからなるスーパカレン
ダ装置37に導き、ここでカレンダ処理した後に、巻き取
りロール39に巻き取る。このようにして得られた磁性フ
ィルムを所望幅のテープ状に裁断して、例えば8mmビデ
オ用磁気記録テープを製造することができる。
【0122】上記の方法において、各塗料は、図示しな
いインラインミキサを通して押し出しコータ41、42へと
供給してもよい。なお、図中、矢印は非磁性支持体の搬
送方向を示す。押し出しコータ41、42にはそれぞれ、液
溜まり部43、44が設けられ、各コータからの塗料をウェ
ット−オン−ウェット方式で重ねる。即ち、下層塗料の
塗布直後(未乾燥状態のとき)に上層塗料を重層塗布す
る。
【0123】前記押し出しコータとしては、図5(a)
に示す2基の押し出しコータのほか、同図(b)及び同
図(c)のような型式の押し出しコータを使用すること
もできる。これらの中で、図5(c)に示した押し出し
コータがこの発明においては好ましい。押し出しコータ
により、下層塗料と上層塗料とを共押し出しして重層塗
布する。
【0124】上記塗料に配合される溶媒又はこの塗料の
塗布時の希釈溶媒としては、特開平4-214218号〔0119〕
記載のものが使用できる。これらの各種の溶媒は単独で
使用することもできるし、またそれらの二種以上を併用
することもできる。
【0125】本発明に係る斜め配向は磁性塗膜面に対し
て垂直な磁界成分と平行な磁界成分を同時に印加する方
法(特開平3-35420号)、あるいは塗膜面に対して回転
交流磁界を印加する方法(特開平3-295029号)により達
成される。
【0126】前記配向用磁石あるいは垂直配向用磁石に
おける磁場は、20〜10,000ガウス程度であり、乾燥器に
よる乾燥温度は約30〜120℃であり、乾燥時間は約0.1〜
10分間程度である。
【0127】なお、ウェット−オン−ウェット方式で
は、リバースロールと押し出しコータとの組合せ、グラ
ビアロールと押し出しコータとの組合せなども使用する
ことができる。更にはエアドクターコータ、ブレードコ
ータ、エアナイフコータ、スクィズコータ、含浸コー
タ、トランスファロールコータ、キスコータ、キャスト
コータ、スプレイコータ等を組合せることもできる。
【0128】このウェット−オン−ウェット方式におる
重層塗布においては、上層の下に位置する下層が湿潤状
態になったままで上層を塗布するので、下層の表面(即
ち、上層との境界面)が滑らかになると共に上層の表面
性が良好になり、かつ、上下層間の接着性も向上する。
この結果、特に高密度記録のために高出力、低ノイズの
要求される、例えば磁気テープとしての要求性能を満た
したものとなり、かつ、高耐久性の性能が要求されるこ
とに対しても膜剥離をなくし、膜強度が向上し、耐久性
が十分となる。また、ウェット−オン−ウェット重層塗
布方式により、ドロップアウトも低減することができ、
信頼性も向上する。
【0129】−表面の平滑化− この発明においては、次にカレンダリングにより表面平
滑化処理を行うのもよい。
【0130】その後は、必要に応じてバーニッシュ処理
又はブレード処理を行なってスリッティングされる。
【0131】表面平滑化処理においては、カレンダ条件
として温度、線圧力、C/s(コーティングスピード)
等を挙げることができる。
【0132】本発明においては、磁性層の表面粗さR
Z(10)を10〜18nmとするのが好ましく、12〜15nmとする
のが一層好ましい。
【0133】本発明に係る表面粗さRZ(10)とは、図3
に示すように磁気記録媒体を幅方向Wの中点Pから±2
mm(図ではRで示す)の範囲で長手方向Xに基準長だけ
垂直に切断したとき、その切断面における断面曲線の平
均方向に平行な直線のうち、高さが10番目の山頂を通る
ものと深さが10番目の谷底を通る2本の直線l1及びl2
間の標高差dの値を指すものである。
【0134】上記のRZ(10)を測定するには、タリステ
ップ粗さ計(ランク・テイラ・ホブソン社製)を用い、
測定条件としては、スタイラスを2.5 ×0.1 μm、針圧
を2mg、カット・オフ・フィルタを0.33Hz、測定スピー
ドを2.5 μm/sec 、基準長を0.5mm とした。なお、粗
さ曲線においては0.002 μm以内の凹凸はカットしてい
る。
【0135】上記のRZ(10)を20nm以下にコントロール
するには、例えば前記の製造工程においてカレンダ条件
を設定し、磁性層の表面平滑状態をコントロールすれば
よい。即ち、この表面平滑化処理においては、カレンダ
条件として制御する要因としては温度、線圧力、C/S
(コーティングスピード)等を挙げることができる。ま
た、その他の要因としては、磁性粉の混練条件、表面処
理、磁性層中への添加粒子のサイズや量等がある。
【0136】本発明においては、通常、上記温度を50〜
140℃、上記線圧力を50〜1000kg/cm、上記C/Sを20
〜1,000m/分に保持することが好ましい。これらの数
値を満足しないと、磁気記録媒体の表面性を良好な状態
に保つことが困難になる、あるいは、不可能になること
がある。
【0137】
【実施例】次に実施例によって本発明の構成、効果を具
体的に説明する。
【0138】まず本発明に係る磁性層の諸元を表1に示
す。
【0139】以下に示す成分、割合、操作順序は、この
発明の範囲から逸脱しない範囲において種々変更するこ
とができる。なお、下記の実施例において「部」は全て
「重量部」である。
【0140】次に下記組成を有する磁性層塗料及び非磁
性層塗料の各成分を、それぞれニーダ及びサンドミルを
用いて混練分散して磁性層塗料及び非磁性層塗料を調製
した。なお、Fe−Al系強磁性金属粉末の諸元を表2に
示した。
【0141】 {磁性層塗料} Fe系強磁性粉末(表1記載) 100部 スルホン酸カリウム基含有塩化ビニル系樹脂 10部 (日本ゼオン(株)製 MR−110) スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂 10部 (東洋紡績(株)製、UR−8700) α−アルミナ(0.15μm) 8部 ステアリン酸 1部 ブチルステアレート 1部 シクロヘキサノン 100部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 {非磁性層塗料} 非磁性粉末(表1記載) 100部 スルホン酸カリウム基含有塩化ビニル系樹脂 12部 (日本ゼオン(株)製 MR−110) スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂 8部 (東洋紡績(株)製、UR−8700) α−アルミナ(0.2μm) 5部 カーボンブラック(15nm) 10部 ステアリン酸 1部 ブチルステアレート 1部 シクロヘキサノン 100部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 得られた磁性層塗料及び非磁性層塗料のそれぞれに、ポ
リイソシアネート化合物(コロネートL、日本ポリウレ
タン工業(株)製)5部を添加した。
【0142】実施例1〜8及び比較例(1)〜(10) 強磁性粉末を含有する上述の磁性層塗料、及び、非磁性
粉末を含有する非磁性層塗料を用いて、ウエット−オン
−ウエット方式で厚さ10μmのポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上に塗布した後、塗膜が未乾燥であるうち
に磁場配向処理を行ない、続いて乾燥を施してから、カ
レンダで表面平滑化処理を行ない、表1に示された諸元
を有する構成層を形成した。
【0143】
【表1】
【0144】更に、この磁性層とは反対側の前記ポリエ
チレンテレフタレートフィルムの面(裏面)に下記の組
成を有する塗料を塗布し、この塗膜を乾燥し、前記した
カレンダ条件にしたがってカレンダ加工をすることによ
って、厚さ0.8μmのバックコート層を形成し、広幅の原
反磁気テープを得た。
【0145】 カーボンブラック(ラベン1035) 40部 硫酸バリウム(平均粒子径300nm) 10部 ニトロセルロース 25部 ポリウレタン系樹脂 25部 <表面粗さRz(10)>タリステップ粗さ計(ランク・テ
イラ・ボブソン社製)を用いて測定した。
【0146】測定条件としては、前記の通りである。
【0147】<電気特性(dB)RF出力>ソニー(株)
製8ミリビデオカメラCCDV−900により7MHzでの
RF出力を測定した。
【0148】<走行耐久性>温度40℃、湿度20%におけ
る繰返し走行耐久性について以下のように評価した。
【0149】A:支障無し B:裏面に疵のあるもの C:走行はするがD/0=50以上多発 D:走行はするが電気特性1.0dB以上の低下したもの E:走行ストップ <ヘッド焼き付き>低温、低湿(0℃,20%)及び高
温、高湿(40℃,80%)において、繰返し走行した際の
ヘッド焼き付きについて以下のように評価した。
【0150】A:支障無し B:光学顕微鏡により焼き付きが確認されたが電気特性
には支障無し C:光学顕微鏡により焼き付きが確認された電気特性が
2dB以上の低下したもの。
【0151】
【表2】
【0152】
【発明の効果】この発明によりデジタル用記録媒体とし
て好適な表面性の、また良好な電気的特性及び走行性に
優れた磁気記録媒体を提供することができる。
【0153】 (日本ポリウレタン(株)製、N−2301) ポリイソシアネート化合物 10部 (日本ポリウレタン(株)製、コロネートL) シクロヘキサノン 400部 メチルエチルケトン 250部 トルエン 250部 こうして得られた原反磁気テープをスリットして、表面
粗さRZ(10)18nmの8mm幅のビデオ用磁気記録媒体を作
成した。この磁気記録媒体につき、以下の評価を行っ
た。その結果を表2に示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線回折装置の概要図。
【図2】本発明の記録媒体の断面図。
【図3】表面粗さRZ(10)の説明図。
【図4】ウエット−オン−ウエット塗布方式による磁性
層の重層塗布を説明するための図。
【図5】(a),(b)及び(c)は、磁性塗料の押し
出しコータ例を示す図。
【符号の説明】
1 非磁性支持体 2 非磁性層 3 最上層磁性層 4 バックコート層 10 押し出しコータ 11 押し出しコータ 13 液溜り部 14 液溜り部 32 供給ロール 33 配向用磁石又は垂直配向用磁石 34 乾燥器 37 スーパカレンダ装置 38 カレンダロール 39 巻き取りロール DS ダイバージュンススリット SS スキャッタースリット MM モノクロメータ RS レシービングスリット X X線源 R 磁気記録媒体 C 計数管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/70

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に構成層として強磁性粉
    末を含有する磁性層を設けた磁気記録媒体において、
    磁性層の表面粗さR Z10 が10〜18nmであり、且つ
    該磁性層のθ〜2θ連動駆動により生じた回折位置での
    ロッキングカーブのピーク位置が、テープの走行方向
    に関し進行する向きの走査X線回折チャートにおいて
    は、高角度側に2.0〜4.0°シフトし、逆向きの走査X線
    回折チャートにおいては、低角側に5.0〜10.0°シフ
    トすることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁気記録媒体が、非磁性支持体上
    に、重積構成層を設けた磁気記録媒体であって、針状の
    非磁性粉末を含有する層を少なくとも1層前記磁性層の
    該非磁性支持体側に設けたことを特徴とする請求項1に
    記載の磁気記録媒体。
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