JP3385481B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JP3385481B2
JP3385481B2 JP26376093A JP26376093A JP3385481B2 JP 3385481 B2 JP3385481 B2 JP 3385481B2 JP 26376093 A JP26376093 A JP 26376093A JP 26376093 A JP26376093 A JP 26376093A JP 3385481 B2 JP3385481 B2 JP 3385481B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magnetic
powder
uppermost
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP26376093A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06195682A (ja
Inventor
成人 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP26376093A priority Critical patent/JP3385481B2/ja
Publication of JPH06195682A publication Critical patent/JPH06195682A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3385481B2 publication Critical patent/JP3385481B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は磁気記録媒体に関し、
さらに詳しくは、デジタル用記録媒体として好適な、表
面性に優れ、かつ電気的特性及び走行性に優れる磁気記
録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の磁気記録媒体は、磁性粉末を微粉
末化させることにより、または、上層が磁性層であり、
下層が非磁性層である重層構造にすることにより、高品
質化が図られている(特開昭63-187418号参照)。
【0003】しかしながら、前者の場合は、磁性粉末を
微細化しただけであり、また、後者の特開昭63-187418
号の場合は、非磁性粉末の形状が不適当であるので、磁
性層あるいは非磁性層形成用塗料における、磁性粉末あ
るいは非磁性粉末の分散性が不良であり、カレンダ工程
におけるカレンダビリティが低下し、その結果として、
磁気記録媒体の表面性は好ましい状態に至らず、デジタ
ル記録媒体として必要な優れた電気的特性や走行性を有
する磁気記録媒体を得るのは困難である。
【0004】一般に重層磁気記録媒体における最上層の
表面性は、最上層に下接する層の表面性の影響を強く受
け、この傾向は最上層の磁性層の膜厚が薄くなるにつれ
て顕著となる。
【0005】そのため、最上層の磁性層の表面性を向上
させるためには、最上層に下接する層の表面性を向上さ
せることが必要である。そのためには、最上層に下接す
る層に用いられる粉体を微粒子化し、極性基を含むバイ
ンダを用いて分散性を向上させることが有効である(特
開平4-57217号)。しかしながら、下層に用いられる粉
体を微粒子化するに伴い、ヤング率等の物性が劣化し、
テープの低温における走行耐久性や、ヘッドタッチ特性
(エンベロープ特性)が劣化するという問題が起った。
この問題は長尺化のためにテープが薄くなるにつれて、
益々重要になってきた。
【0006】
【発明の目的】この発明の目的は、前記問題に照し、磁
気記録媒体の表面性を改善すると共に、電気的特性及び
走行性に優れ、デジタル記録媒体として好適な磁気記録
媒体を提供することにある。
【0007】
【発明の構成】本発明は以上の問題を解決するために、
支持体上に磁性層を含む3層以上の構成層を有し、最上
層の磁性層に下接する層に含まれる非磁性粉末の結晶子
サイズをa(nm)、最上層の磁性層及び最上層に下接す
る層の2層以外の少なくとも一層に含まれる非磁性粉末
の結晶子サイズをb(nm)とするときa≦35,a<bと
する構成か、あるいは最上層の磁性層に下接する層の2
層に含まれる非磁性粉末の平均長軸長をA(nm)、最上
層の磁性層及び最上層に下接する層の2層以外の少なく
とも一層に含まれる非磁性粉末の平均長軸長をB(nm)
とするとき、A<200,A<Bとする構成かのいづれか
の構成によって達成される。
【0008】尚、本発明の前記の2つの態様において
は、前記最上層磁性層以外の構成層に非磁性粉末として
針状粉末を含有させることが好ましい。
【0009】このように最上層の磁性層に下接する層に
微粒子粉末を用いることで引起される種々の問題点を、
そのさらに下層に比較的粒径の大きな粉末を用いること
で、ヤング率等の物性を回復し、上記した低温における
走行耐久性や、ヘッドタッチ特性を改良することができ
た。これは従来のような2層構成の媒体では達成困難な
課題であった。
【0010】本発明において前記の結晶子サイズa,b
はb−a≧2であることが好ましく、更にb−a≧7で
あることが好ましい。
【0011】またa≦30更にa≦25であることが好まし
い。
【0012】一方平均長軸長A,Bについては、B−A
≧20、更にB−A≧70であることがより好ましい。
【0013】またA≦170更にA≦150であることがより
好ましい。
【0014】なお、ここで言う結晶子サイズ(Crystal
Size)は、Crystallite Sizeともいわれているものと同
じ意味で用いられ、X線回折装置によりFeの(110)回折
線の積分幅を用いて、Si粉末を基準としたシェラー法で
測定することにより得られる。また粉末の平均長軸長は
透過型電子顕微鏡写真により、粉末の500個の長軸長を
測定した平均値である。
【0015】また所定の結晶子サイズ又は平均長軸長を
つ非磁性粉等は市販されているものから適宜選択でき
る。
【0016】通常磁性粉、非磁性粉等の結晶子サイズや
平均長軸長をコントロールするには、出発物質(原体)
の選択、酸化、還元等の反応時における反応温度、反応
時間、反応時の圧力、pH等の反応条件や焼結防止剤、
形状制御剤として用いられる各種元素の種類、量を適宜
調整することにより行うことができる。
【0017】更に最上層以外の構成層に含有させる非磁
性針状粉末はα−Fe2O3,α−FeOOHであることが好まし
いが、特にα−Fe2O3が好ましい。
【0018】また最上層の磁性層に用いられる磁性粉と
しては強磁性金属粉末又は六方晶フェライト粉末が好ま
しく、特に強磁性金属粉末が好ましい。
【0019】また最上層の磁性層に下接する層の膜厚は
0.2μm以上とするのが好ましく、0.5μm以上とするのが
該層の表面性を良好に保つ上でより好ましい。しかしあ
まり厚くなるとヤング率等の物性が劣化するので0.5〜
2.0μm、より好ましくは0.5〜1.0μmとするのがよい。
【0020】最上層の磁性層に下接する層のヤング率よ
り大きなヤング率を該層以外の少なくとも1層の下層で
達成するには、上記した粉体の結晶子サイズや、平均粒
径のコントロールの他に降伏点をもつポリウレタンを用
いる等、用いられる結合剤の硬さを増したり熱可塑性樹
脂の比率をポリウレタンに対して増したり、硬化剤の増
量を行ったり、添加剤の量を減らす等の対策を併用する
ことがより好ましい。
【0021】次に本発明の磁気記録媒体の構成について
順次詳しく述べる。
【0022】(A)非磁性支持体 前記非磁性支持体を形成する材料としては、例えばポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレ
ート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイ
アセテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、アラミ
ド樹脂、ポリカーボネート等のプラスチックなどを挙げ
ることができる。
【0023】前記非磁性支持体の形態は特に制限はな
く、主にテープ状、フィルム状、シート状、カード状、
ディスク状、ドラム状などがある。
【0024】非磁性支持体の厚みには特に制約はない
が、例えばフィルム状やシート状の場合は通常2〜100
μm、好ましくは3〜50μmであり、ディスクやカード状
の場合は30μm〜10mm程度、ドラム状の場合はレコーダ
等に応じて適宜に選択される。
【0025】なお、この非磁性支持体は単層構造のもの
であっても多層構造のものであってもよい。また、この
非磁性支持体は、例えばコロナ放電処理等の表面処理を
施されたものであってもよい。
【0026】また、非磁性支持体上の上記磁性層が設け
られていない面(裏面)には、磁気記録媒体の走行性の
向上、帯電防止及び転写防止などを目的として、バック
コート層を設けるのが好ましく、また磁性層と非磁性支
持体との間には、下引層を設けることもできる。
【0027】(B)磁性層である最上層 磁性層である最上層は、磁性粉末を含有する。更に、必
要に応じてバインダ及びその他の成分を含有することが
できる。
【0028】前記最上層の厚みとしては、通常0.01〜0.
7μmであり、好ましくは0.02〜0.6μmであり、特に好ま
しくは0.02〜0.4μmである。前記厚みが0.01μmよりも
小さいと、記録が十分なされないために再生時に出力が
得られないことがあり、一方、0.7μmよりも大きいと、
膜厚損失により十分な再生出力が得られないことがある
ので好ましくない。
【0029】(B−1)磁性粉末 この発明においては、磁性層である最上層は公知の各種
の磁性粉末を使用できるが強磁性金属粉末を含有するこ
とがより好ましい。
【0030】この強磁性金属粉末の含有量としては、そ
の層における固型分全体に対し、通常60〜95wt%であ
り、好ましくは70〜90wt%であり、特に好ましくは75〜
85wt%である。
【0031】本発明に用いられる磁性粉末としては、強
磁性酸化鉄粉末、強磁性金属粉末、六方晶板状粉末等を
挙げることができる。
【0032】これらの中でも、強磁性金属粉末、六方晶
系フェライト粉末を好適に用いることができる。
【0033】前記強磁性酸化鉄粉末としては、γ-Fe
2O3、Fe3O4又は、これらの中間酸化鉄でFeOx(1.33<x
<1.5)で表される化合物や、Coが付加されたもので
(コバルト変性)Co-FeOx(1.33<x<1.5)で表される
化合物等を挙げることができる。
【0034】前記強磁性金属粉末としては、Fe,Coを初
め、Fe-Al系、Fe-Al-Ni系、Fe-Al-Zn系、Fe-Al-Co系、F
e-Al-Ca系、Fe-Ni系、Fe-Ni-Al系、Fe-Ni-Co系、Fe-Ni-
Si-Al-Mn系、Fe-Ni-Si-Al-Zn系、Fe-Al-Si系、Fe-Ni-Zn
系、Fe-Ni-Mn系、Fe-Ni-Si系、Fe-Mn-Zn系、Fe-Co-Ni-P
系、Ni-Co系、Fe、Ni、Co等を主成分とするメタル磁性
粉末等の強磁性金属粉末を挙げることができる。これら
の中でも、Fe系金属粉が電気的特性に優れる。
【0035】他方、耐蝕性及び分散性の点から見ると、
Fe-Al系、Fe-Al-Ca系、Fe-Al-Ni系、Fe-Al-Zn系、Fe-Al
-Co系、Fe-Ni-Si-Al-Co系、Fe-Co-Al-Ca系等のFe-Al系
強磁性金属粉末が好ましい。
【0036】特に、この発明の目的に好ましい強磁性金
属粉末は、鉄を主成分とする金属磁性粉末であり、Al又
はAl及びCaを、Alについては重量比でFe:Al=100:0.5
〜100:20、Caについては重量比でFe:Ca=100:0.1〜1
00:10の範囲で含有するのが望ましい。
【0037】Fe:Alの比率をこのような範囲にすること
で耐蝕性が著しく改良され、またFe:Caの比率をこのよ
うな範囲にすることで電磁変換特性を向上させ、ドロッ
プアウトを減少させることができる。
【0038】電磁変換特性の向上やドロップアウトの減
少がもたらされる理由は明らかでないが、分散性が向上
することによる保磁力の向上や凝集物の減少等の効果が
考えられる。
【0039】この発明に用いられるこれらの強磁性粉末
は、その長軸長が0.30μm未満であり、好ましくは0.04
〜0.20μmであり、更に好ましくは0.05〜0.17μmである
ことが好ましい。強磁性粉末の長軸長が前記範囲内にあ
ると、磁気記録媒体の表面性を向上させることができる
と共に電気的特性の向上も図ることができる。
【0040】また、この発明に用いられる強磁性粉末
は、その保磁力(Hc)が通常600〜5,000 Oeの範囲にあ
ることが好ましい。この保磁力が600 Oe未満であると、
電磁変換特性が劣化することがあり、また保磁力が5,00
0 Oeを超えると、通常のヘッドでは記録不能になること
があるので好ましくない。
【0041】また、前記強磁性粉末は、磁気特性である
飽和磁化量(σs)が通常、70emu/g以上であることが
好ましい。この飽和磁化量が70emu/g未満であると、
電磁変換特性が劣化することがある。また、特に、この
強磁性粉末が強磁性金属粉末であるときには、この飽和
磁化量が120emu/g以上であることが望ましい。
【0042】更に、この発明においては、記録の高密度
化に応じて、BET法による比表面積で30m2/g以上、
特に、45m2/g以上の強磁性金属粉末を好ましく用いる
ことができる。
【0043】この比表面積及びその測定方法について
は、「粉体の測定」(J.M.Dallavelle,Clyeorr Jr.共
著、牟田その他訳;産業図書社刊)に詳述されており、
また「化学便覧」応用編P1170〜1171(日本化学会編;
丸善(株)昭和41年4月30日発行)にも記載されてい
る。
【0044】比表面積の測定は、例えば、粉末を105℃
前後で13分間加熱処理しながら脱気して粉末に吸着され
ているものを除去し、その後、この粉末を測定装置に導
入して窒素の初期圧力を0.5kg/m2に設定し、窒素によ
り液体窒素温度(−105℃)で10分間測定を行う。
【0045】測定装置は、例えば、カウンタソープ(湯
浅アイオニクス(株)製)を使用する。
【0046】更に好ましい強磁性粉末の構造としては、
該強磁性粉末に含有されているFe原子とAl原子との含有
量比が原子数比でFe:Al=100:1〜100:20であり、か
つ該強磁性粉末のESCAによる分析深度で100Å以下
の表面域に存在するFe原子とAl原子との含有量比が原子
数比でFe:Al=30:70〜70:30である構造を有するもの
である。あるいは、Fe原子とNi原子とAl原子とSi原子と
が強磁性粉末に含有され、更にCo原子とCa原子との少な
くとも一方が該強磁性粉末に含有され、Fe原子の含有量
が90原子%以上、Ni原子の含有量が1原子%以上、10原
子%未満、Al原子の含有量が0.1原子%以上、5原子%
未満、Si原子の含有量が0.1原子%以上、5原子%未
満、Co原子の含有量及び/又はCa原子の含有量(ただ
し、Co原子とCa原子との両方を含有する場合はこの合計
量)が0.1原子%以上、13原子%未満であり、前記強磁
性粉末のESCAによる分析深度で100Å以下の表面域
に存在するFe原子とNi原子とAl原子とSi原子とCo原子及
び/又はCa原子の含有量比が原子数比でFe:Ni:Al:Si(C
o及び/又はCa)=100:(4以下):(10〜60):(10
〜70):(20〜80)である構造を有する強磁性粉末等を
挙げることができる。
【0047】また、前記六方晶板状粉末としては、例え
ば、六方晶系フェライトを挙げることができる。このよ
うな六方晶系フェライトは、バリウムフェライト、スト
ロンチウムフェライト等からなり、鉄元素の一部が他の
元素(例えば、Ti,Co,Zn,In,Mn,Ge,Hb等)で置換
されてもよい。このフェライト磁性体については、IEEE
trans on MAG-18 16(1982)に詳しく述べられてい
る。
【0048】これらの中で、この発明においては、バリ
ウムフェライトを好ましく用いることができる。
【0049】前記バリウムフェライト(以下、Ba-フェ
ライトと記す)磁性粉末の例としては、Feの一部が少な
くともCo及びZnで置換された平均粒径(六方晶系フェラ
イトの板面の対角線の長さ)が400〜900Åであり、板状
比(六方晶系フェライトの板面の対角線の長さを板厚で
除した値)が2.0〜10.0であり、好ましくは2.0〜6.0で
あり、保磁力(Hc)が450〜1500 OeであるBa-フェライ
トを挙げることができる。
【0050】Ba-フェライト粉末は、FeをCoで一部置換
することにより、保磁力が適正な値に制御されており、
更にZnで一部置換することにより、Co置換のみでは得ら
れない高い飽和磁化を実現し、高い再生出力を有する電
磁変換特性に優れた磁気記録媒体を得ることができる。
また、更にFeの一部をNbで置換することにより、より高
い再生出力を有する電磁変換特性に優れた磁気記録媒体
を得ることができる。また、この発明に用いられるBa-
フェライトは、更にFeの一部がTi,In,Mn,Cu,Ge,Sn
等の遷移金属で置換されていても差支えない。
【0051】なお、この発明に使用するBa-フェライト
は次の一般式で表される。
【0052】BaO・n((Fe1-mMm)2O3) ただし、m>0.36(但し、Co+Zn=0.08〜0.3、Co/Zn
=0.5〜10)であり、nは5.4〜11.0であり、好ましくは
5.4〜6.0であり、Mは置換金属を表し、平均価数が3と
なる2種以上の元素の組合せになる磁性粒子が好まし
い。
【0053】磁気記録媒体としたときの再生出力を十分
とするには、前記Ba-フェライトの平均粒径が300Å以上
であるのが好ましく、表面平滑性を向上させ、ノイズレ
ベルを低くするには900Å以下であるのが好ましい。ま
た、板状比を2.0以上とすることで、磁気記録媒体とし
たときに高密度記録に適した垂直配向率が得られ、表面
平滑性を向上させ、ノイズレベルを低くするには板状比
が10.0以下であるのが好ましい。更に記録信号保持のた
めには保磁力が450 Oe以上であることが好ましく、ヘッ
ドが飽和してしまうのを防ぐには1,500 Oe以下が好まし
い。
【0054】この発明に用いられるバリウムフェライト
磁性粉末は、磁気特性である飽和磁化量(σs)が通
常、50emu/g以上であることが望ましい。この飽和磁
化量が50emu/g未満であると、電磁変換特性が劣化す
ることがあきらかである。
【0055】更にこの発明においては、記録の高密度化
に応じて、BET法による比表面積が30m2/g以上のBa
-フェライト磁性粉末を用いることが望ましい。
【0056】この発明に用いられる六方晶系の磁性粉末
を製造する方法としては、例えば、目的とするBa-フェ
ライトを形成するのに必要な各原素の酸化物、炭酸化物
を、例えば、硼酸のようなガラス形成物質とともに鎔融
し、得られた融液を急冷してガラスを形成し、ついでこ
のガラスを所定温度で熱処理して目的とするBa-フェラ
イトの結晶粉末を析出させ、最後にガラス成分を熱処理
によって除去するという方法のガラス結晶化法の他、共
沈−焼成法、水熱合成法、フラックス法、アルコキシド
法、プラズマジェット法等が適用可能である。
【0057】この発明においては、磁性層中に含有され
る前記強磁性粉末の長軸長(a)と下層である非磁性層
中に含有される非磁性粉末の長軸長(b)との比(軸
比;(b)/(a))は、3以下であることが望まし
く、特に2.5以下であるのが望ましく、さらには2以下
であるのが望ましい。この軸比が前記範囲内にあると、
磁気記録媒体の表面性を良好な状態にすることができる
など優れた特性を発揮することができるからである。
【0058】上記磁性粉末は1種でも、あるいは2種以
上組合せて用いてもよい。
【0059】(B−2)バインダ 磁性層である最上層が含有するバインダとしては、例え
ば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合
体等の塩化ビニル系樹脂等が代表的なものであり、これ
らの樹脂は−SO3 M,−OSO3 M,−COOM及び−PO(O
M1)2、スルホベタイン基から選ばれた少なくとも一種の
極性基を有する繰返し単位を含むことが好ましい。
【0060】ただし、上記極性基において、Mは水素原
子又はNa,K,Li等のアルカリ原子又はアルキル基を表
す。
【0061】上記極性基は磁性粉末の分散性を向上させ
る作用があり、各樹脂中の含有率は0.1〜8.0モル%であ
り、好ましくは0.2〜6.0モル%である。この含有率が0.
1モル%未満であると、磁性粉末の分散性が低下し、ま
た含有率が8.0モル%を超えると、磁性塗料がゲル化し
易くなる。なお、前記各樹脂の重量平均分子量は、15,0
00〜50,000の範囲が好ましい。
【0062】バインダの含有量は、強磁性金属粉末100
重量部に対して、通常8〜25重量部、好ましくは10〜20
重量部である。
【0063】バインダは一種単独に限らず、二種以上を
組合せて用いることができるが、この場合、ポリウレタ
ン及び/又はポリエステルと塩化ビニル系樹脂との比
は、重量比で、通常90〜10〜10:90であり、好ましくは
70:30〜30:70の範囲である。
【0064】本発明にバインダとして用いられる極性基
含有塩化ビニル系共重合体は、例えば、塩化ビニル−ビ
ニルアルコール共重合体など、水酸基を有する共重合体
と下記の極性基及び塩素原子を有する化合物との付加反
応により合成することができる。
【0065】C1−CH2CH2SO3M、C1−CH2CH2OSO3M、C1−C
H2COOM、C1−CH2-P(=O)(OM1)2 これらの化合物から C1−CH2CH2SO3Na を例にとり、上
記反応を説明すると、次のようになる。
【0066】−CH2C(OH)H −+ C1CH2CH2SO3Na → −CH
2C(OCH2CH2SO3Na)H− また、極性基含有塩化ビニル系共重合体は、極性基を含
む繰返し単位が導入される不飽和結合を有する反応性モ
ノマーを所定量オートクレーブ等の反応容器に仕込み、
一般的な重合開始剤、例えば、BPO(ベンゾイルパー
オキシド)、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)
等のラジカル重合開始剤、レドックス重合開始剤、カチ
オン重合開始剤などを用いて重合反応を行うことによ
り、得ることができる。
【0067】スルホン酸又はその塩を導入するための反
応性モノマーの具体例としては、ビニルスルホン酸、ア
リルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、p-スチレンス
ルホン酸等の不飽和炭化水素スルホン酸及びこれらの塩
を挙げることができる。
【0068】カルボン酸又はその塩を導入するときは、
例えば(メタ)アクリル酸やマレイン酸等を用い、燐酸
又はその塩を導入するときは、例えば(メタ)アクリル
酸-2-燐酸エステルを用いればよい。
【0069】塩化ビニル系共重合体にはエポキシ基が導
入されていることが好ましい。このようにすると、重合
体の熱安定性が向上するからである。
【0070】エポキシ基を導入する場合、エポキシ基を
有する繰返し単位の共重合体中における含有率は、1〜
30モル%が好ましく、1〜20モル%がより好ましい。
【0071】エポキシ基を導入するためのモノマーとし
ては、例えば、グリシジルアクリレートが好ましい。
【0072】なお、塩化ビニル系共重合体への極性基の
導入技術に関しては、特開昭57-44227号、同58-108052
号、同59-8127号、同60-101161号、同60-235814号、同6
0-238306号、同60-238371号、同62-121923号、同62-146
432号、同62-146433号等に記載があり、本発明において
もこれらを利用することができる。
【0073】次に、本発明に用いるポリエステルとポリ
ウレタンの合成について述べる。
【0074】一般に、ポリエステルはポリオールと多塩
基酸との反応により得られる。
【0075】この公知の方法を用いて、ポリオールと一
部に極性基を有する多塩基酸から、極性基を有するポリ
エステル(ポリオール)を合成することができる。
【0076】極性基を有する多塩基酸の例としては、5-
スルホイソフタル酸、2-スルホイソフタル酸、4-スルホ
イソフタル酸、3-スルホフタル酸、5-スルホイソフタル
酸ジアルキル、2-スルホイソフタル酸ジアルキル、4-ス
ルホイソフタル酸ジアルキル、3-スルホイソフタル酸ジ
アルキル及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩を挙げ
ることができる。
【0077】ポリオールの例としては、トリメチロール
プロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチ
ロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリス
リトール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘ
キサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサ
ンジメタノール等を挙げることができる。
【0078】なお、他の極性基を導入したポリエステル
も公知の方法で合成することができる。
【0079】次に、ポリウレタンに付いて述べる。
【0080】これは、ポリオールとポリイソシアネート
との反応から得られる。
【0081】ポリオールとしては、一般にポリオールと
多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオ
ールが使用されている。
【0082】従って、極性基を有するポリエステルポリ
オールを原料として用いれば、極性基を有するポリウレ
タンを合成することができる。
【0083】ポリイソシアネートの例としては、ジフェ
ニルメタン-4-4′-ジイソシアネート(MDI)、ヘキサメ
チレンジイソシアネート(HMDI)、トリレンジイソシア
ネート(TDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(ND
I)、トリジンジイソシアネート(TODI)、リジンイソ
シアネートメチルエステル(LDI)等が挙げられる。
【0084】また、極性基を有するポリウレタンの他の
合成方法として、水酸基を有するポリウレタンと極性基
及び塩素原子を有する化合物との付加反応も有効であ
る。
【0085】なお、ポリウレタンへの極性基導入に関す
る技術としては、特公昭58-41565号、特開昭57-92422
号、同57-92423号、同59-8127号、同59-5423号、同59-5
424号、同62-121923号等に記載があり、この発明におい
てもこれらを利用することができる。
【0086】この発明においては、バインダとして下記
の樹脂を全バインダの50重量%以下の使用量で併用する
ことができる。
【0087】その樹脂としては、重量平均分子量が10,0
00〜200,000である、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、
塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アク
リロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル
共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セ
ルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブ
タジエン共重合体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿
素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹
脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂、各種の合
成ゴム系樹脂等が挙げられる。
【0088】(B−3)その他の成分 この発明においては、磁性層である最上層の品質の向上
を図るため、研磨剤、潤滑剤、耐久性向上剤、分散剤、
帯電防止剤及び導電性微粉末などの添加剤をその他の成
分として含有させることができる。
【0089】前記研磨剤としては、公知の物質を使用す
ることができる。
【0090】この研磨剤の平均粒子径としては、通常0.
05〜0.6μmであり、好ましくは0.05〜0.5μmであり、特
に好ましくは0.05〜0.3μmである。
【0091】前記研磨剤の最上層における含有量として
は、通常3〜20重量部であり、好ましくは5〜15重量部
であり、特に好ましくは5〜10重量部である。
【0092】潤滑剤としては、脂肪酸及び/又は脂肪酸
エステルを使用することができる。この場合、脂肪酸の
添加量は、磁性粉末に対して0.2〜10重量%が好まし
く、特に好ましくは0.5〜5重量%である。添加量が0.2
重量%未満であると、走行性が低下し易く、また10重量
%を超えると、脂肪酸が磁性層の表面にしみ出したり、
出力低下が生じ易くなる。
【0093】また、脂肪酸エステルの添加量も、磁性粉
末に対して0.2〜10重量%が好ましく、特に好ましくは
0.5〜5重量%である。その添加量が0.2重量%未満であ
ると、スチル耐久性が劣化し易く、また10重量%を超え
ると、脂肪酸エステルが磁性層の表面にしみ出したり、
出力低下が生じ易くなる。
【0094】脂肪酸と脂肪酸エステルとを併用して潤滑
効果をより高めたい場合には、脂肪酸と脂肪酸エステル
は重量比で10:90〜90:10が好ましい。
【0095】脂肪酸としては一塩基酸であっても二塩基
酸であってもよく、炭素数は6〜30が好ましく、12〜22
の範囲がより好ましい。
【0096】また、上記脂肪酸、脂肪酸エステル以外の
潤滑剤としてそれ自体公知の物質を使用することがで
き、例えばシリコーンオイル、弗化カーボン、脂肪酸ア
ミド、α-オレフィンオキサイド等を使用することがで
きる。
【0097】硬化剤としては、ポリイソシアネートを挙
げることができ、ポリイソシアネートとしては、例え
ば、トリレンジイソシアネート(TDI)等と活性水素化
合物との付加体などの芳香族ポリイソシアネートと、ヘ
キサメチレンジイソシアネート(HMDI)等と活性水素化
合物との付加体などの脂肪族ポリイソシアネートがあ
る。なお、前記ポリイソシアネートの重量平均分子量
は、100〜3,000の範囲にあることが望ましい。
【0098】分散剤としては、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸などの炭素数12〜18の脂肪酸;これ
らのアルカリ金属の塩又はアルカリ土類金属の塩、ある
いはこれらのアミド;ポリアルキレンオキサイドアルキ
ルリン酸エステル;レシチン;トリアルキルポリオレフ
ィンオキシ第四アンモニウム塩;カルボキシル基及び又
はスルホン酸基を有するアゾ系化合物などを挙げること
ができる。これらの分散剤は、通常、磁性粉末に対して
0.5〜5重量%の範囲で用いられる。
【0099】帯電防止剤としては、第四級アミン等のカ
チオン界面活性剤;スルホン酸、硫酸、燐酸、燐酸エス
テル、カルボン酸等の酸基を含むアニオン界面活性剤;
アミノスルホン酸等の両性界面活性剤;サポニン等の天
然界面活性剤などを挙げることができる。上述した帯電
防止剤は、通常、バインダに対して0.01〜40重量%の範
囲で添加される。
【0100】更に本発明においては、帯電防止剤として
導電性微粉末を好ましく用いることができる。前記帯電
防止剤としては、カーボンブラック、グラファイト、酸
化錫、銀粉、酸化銀、硝酸銀、銀の有機化合物、銅粉等
の金属粒子等、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化チタン等
の金属酸化物等の顔料を酸化錫被膜又はアンチモン固溶
酸化錫被膜等の導電性物質でコーティング処理したもの
等を挙げることができる。
【0101】前記導電性微粉末の平均粒子径としては、
通常5〜700nmであり、好ましくは5〜200nmであり、よ
り好ましくは5〜50nmである。
【0102】前記導電性微粉末の含有量としては、磁性
粉末100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、好まし
くは0.1〜2重量部より好ましくは0.1〜1重量部であ
る。
【0103】(c)下層 下層は、少なくとも2層の層からなり、非磁性支持体と
磁性層である最上層との間に複数層をもって形成され
る。
【0104】下層としては、発明においては、非磁性
であり、好ましくは、針状の非磁性粉末を含有する非
磁性層である。
【0105】下層の厚みとしては、通常0.1〜2.5μmで
あり、好ましくは0.2〜2.0μmであり、特に好ましくは
0.5〜2.0μmである。前記厚みが2.5μmよりも大きい
と、重層後の上層表面の表面粗さが大きくなり、いわゆ
る重層面粗れが発生し、好ましい電磁変換特性が得られ
ないことがあり、一方、0.1μmよりも小さいと、カレン
ダ時における下層の効果がなくなり、高い平滑性が得ら
れなくなるため電磁変換特性が悪化することがあるので
好ましくない。
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】(C−2)非磁性層 非磁性層は、非磁性粉末を含有する。また必要に応じて
バインダ及びその他の成分を含有する。
【0113】(C−2−1)非磁性粉末 この発明においては、各種の公知の非磁性粉末を適宜に
選択して使用することができる。
【0114】非磁性粉末としては、例えば、カーボンブ
ラック、グラファイト、TiO2、硫酸バリウム、ZnS、MgC
O3、CaCO3、ZnO、CaO、二硫化タングステン、二硫化モ
リブデン、窒化硼素、MgO、SnO2、SiO2、Cr2O3、α-Al2
O3、α-Fe2O3、α-FeOOH、SiC、酸化セリウム、コラン
ダム、人造ダイヤモンド、α-酸化鉄、ざくろ石、ガー
ネット、珪石、窒化珪素、窒化硼素、炭化珪素、炭化モ
リブデン、炭化硼素、炭化タングステン、チタンカーバ
イド、トリボリ、珪藻土、ドロマイト等を挙げることが
できる。
【0115】これらの中で好ましいのは、カーボンブラ
ック、CaCO3、TiO2、硫酸バリウム、α-Al2O3、α-Fe2O
3、α-FeOOH、Cr2O3等の無機粉末であり、その中でもα
−Fe2O3,α−FeOOHが好ましく、特に好ましいのはα−
Fe2O3である。
【0116】この発明においては、粉末の形状が針状で
ある非磁性粉末を好適に使用することができる。前記針
状の非磁性粉末を用いると、非磁性層の表面の平滑性を
向上させることができ、その上に積層される磁性層から
なる最上層における表面の平滑性も向上させることがで
きる。
【0117】非磁性粉末の結晶子サイズは最上層の磁性
層に下接する層(第2の層)に含まれる非磁性粉末の結
晶子サイズは35nm以下、好ましくは5〜35nmであり、最
上層の磁性層及び最上層に下接する層の2層以外の少な
くとも1層(第3の層)に含まれる非磁性粉末の結晶子
サイズは35〜100nmであるのがより好ましい。
【0118】前記非磁性粉末の長軸長としては、通常0.
50μm以下であり、好ましくは0.40μm以下であり、特に
好ましくは0.30μm以下である。
【0119】前記非磁性粉末の短軸長としては、通常0.
10μm以下であり、好ましくは0.08μm以下であり、特に
好ましくは0.06μm以下である。
【0120】前記非磁性粉末の軸比としては、通常2〜
20であり、好ましくは5〜15であり、特に好ましくは5
〜10である。ここでいう軸比とは、短軸長に対する長軸
長の比(長軸長/短軸長)のことをいう。
【0121】前記非磁性粉末の比表面積としては、通常
10〜250m2/gであり、好ましくは20〜150m2/gであ
り、特に好ましくは30〜100m2/gである。
【0122】前記範囲の長軸長、短軸長、軸比及び比表
面積を有する非磁性粉末を使用すると、非磁性層の表面
性を良好にすることができると共に、磁性層である最上
層の表面性も良好な状態にすることができる点で好まし
い。
【0123】また、この発明においては、前記非磁性粉
末が、Si化合物及び/又はAl化合物により表面処理され
ていることが好ましい。かかる表面処理のなされた非磁
性粉末を用いると磁性層である最上層の表面状態を良好
にすることができる。前記Si及び/又はAlの含有量
としては、前記非磁性粉末に対して、Siが0.1〜10重量
%、Alが0.1〜10重量%であるのが好ましく、より好ま
しくはSiが0.1〜5重量%、Alが0.1〜5重量%であり、
特にSiが0.1〜2重量%、Alが0.1〜2重量%であるのが
よい。又Si,Alの重量比がSi/Al≧3であるのがよい。
表面処理に関しては特開平2-83219号に記載された方法
により行なうことができる。
【0124】前記非磁性粉末の非磁性層中における含有
量としては、非磁性層を構成する全成分の合計に対し
て、通常50〜99重量%であり、好ましくは60〜95重量%
であり、特に好ましくは70〜95重量%である。非磁性粉
末の含有量が前記範囲内にあると、磁性層である最上層
及び非磁性層の表面状態を良好にすることができる。
【0125】(C−2−2)バインダ 下層における非磁性層が含有するバインダとしては、
(B−2)のところで例示した化合物を用いることがで
き、その量としては、非磁性粉末100重量部に対し、通
常5〜150重量部であり、好ましくは10〜120重量部であ
る。
【0126】(C−2−3)その他の成分 下層における非磁性層が含有するその他の成分として
は、(B−3)のところで例示した化合物を用いること
ができる。その量としては、この発明の目的を阻害する
ことがなければ特に制限はなく、適宜選択することがで
きる。
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】−磁気記録媒体の製造− この発明の磁気記録媒体は、上層の積層を、下層が湿潤
状態にあるときに行う所謂ウエット-オン-ウエット方式
で塗設するのが好ましい。このウエット-オン−ウエッ
ト方式は、公知の重層構造型の磁気記録媒体の製造に使
用される方法を適宜に採用することができる。
【0138】例えば、一般的には磁性粉末、バインダ、
分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等と溶媒とを混練
して高濃度塗料を調製し、次いでこの高濃度塗料を希釈
して塗布用塗料を調製した後、この塗料を非磁性支持体
の表面に塗布する。
【0139】上記溶媒としては、例えば、アセトン、メ
チルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン
(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系;メタノ
ール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;酢
酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;テ
トラヒドロフラン等の環状エーテル類;メチレンクロラ
イド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホル
ム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素などを用
いることができる。
【0140】磁性層形成成分の混練分散に当たっては、
各種の混練分散機を使用することができる。
【0141】この混練分散機としては、例えば、二本ロ
ールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、
コボルミル、トロンミル、サンドミル、サンドグライン
ダ、Sqegvariアトライタ、高速インペラ分散機、高速ス
トーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパ、高速ミキサ、
ホモジナイザ、超音波分散機、オープンニーダ、連続ニ
ーダ、加圧ニーダ等を挙げることができる。上記混練分
散機のうち、0.05〜0.5KW(磁性粉末1Kg当たり)の消
費電力負荷を提供することのできる混練分散機は、加圧
ニーダ、オープンニーダ、連続ニーダ、二本ロールミ
ル、三本ロールミルである。
【0142】非磁性支持体上に、最上層の磁性層と、複
数の下層とを塗布するには、具体的には、図1に示すよ
うに、まず供給ロール32から繰出した非磁性支持体1
に、エクストルージョン方式の押出しコータ10,11,12に
より、最上層用磁性塗料と下層用塗料とをウエット−オ
ン−ウエット方式で重層塗布した後、配向用磁石又は垂
直配向用磁石33を通過し、乾燥器34に導入し、ここで上
下に配したノズルから熱風を吹き付けて乾燥する。次
に、乾燥した各塗布層付きの非磁性支持体1をカレンダ
ロール38の組合せからなるスーパカレンダ装置37に導
き、ここでカレンダ処理した後に、巻取ロール39に巻取
る。このようにして得られた磁性フィルムを所望幅のテ
ープ状に裁断して、例えば8mmビデオ用磁気記録テープ
を製造することができる。
【0143】上記の方法において、各塗料は、図示しな
いインラインミキサを通して押出しコータ10,11,12へと
供給してもよい。なお、図中、矢印は非磁性支持体の搬
送方向を示す。押出しコータ10,11,12にはそれぞれ、液
溜まり部13,14,15が設けられ、各コータからの塗料をウ
エット−オン−ウエット方式で重ねる。即ち、下層用塗
料の塗布直後(未乾燥状態のとき)に最上層用磁性塗布
を重層塗布する。
【0144】前記押出しコータとしては、図2(a)に
示す3基の押出しコータのほか、同図(b)及び(c)
のような型式の押出しコータを使用することもできる。
これらの中で(b)に示した押出しコータがこの発明に
おいては好ましい。押出しコータにより、複数の下層用
塗料と最上層用磁性塗料とを押し出し重層塗布する。
【0145】図3は上記方法により塗布された磁気記録
媒体の断面図を示す。
【0146】上記塗料に配合される溶媒又はこの塗料の
塗布時の希釈溶媒としては、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の
ケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、
酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノアセ
テート等のエステル類;グリコールジメチルエーテル、
グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒ
ドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の芳香族炭化水素;メチレンクロライド、エチレ
ンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロルベ
ンゼン等のハロゲン化炭化水素等のものが使用できる。
これらの各種の溶媒は単独で使用することもできるし、
またそれらの二種以上を併用することもできる。
【0147】前記配向用磁石あるいは垂直配向用磁石に
おける磁場は、20〜10,000ガウス程度であり、乾燥器に
よる乾燥温度は約30〜120℃であり、乾燥時間は約0.1〜
10分間程度である。
【0148】なお、ウエット−オン−ウエット方式で
は、リバースロールと押出しコータとの組合せ、グラビ
アロールと押出しコータとの組合せなども使用すること
ができる。更にはエアドクタコータ、ブレードコータ、
エアナイフコータ、スクィズコータ、含浸コータ、トラ
ンスファロールコータ、キスコータ、キャストコータ、
スプレイコータ等を組合せることもできる。
【0149】このウエット-オン-ウエット方式における
重層塗布においては、最上層の下に位置する下層が湿潤
状態になったままで最上層の磁性層を塗布するので、下
層の表面(即ち、最上層との境界面)が滑らかになると
共に最上層の表面性が良好になり、かつ、上下層間の接
着性も向上する。この結果、特に高密度記録のために高
出力、低ノイズの要求される、例えば磁気テープとして
の要求性能を満たしたものとなり、かつ、高耐久性の性
能が要求されることに対しても膜剥離をなくし、膜強度
が向上し、耐久性が十分となる。また、ウエット-オン-
ウエット重層塗布方式により、ドロップアウトも低減す
ることができ、信頼性も向上する。
【0150】−表面の平滑化− この発明においては、次にカレンダリングにより表面平
滑化処理を行うのもよい。
【0151】その後は、必要に応じてバーニッシュ処理
又はブレード処理を行ってスリッティングされる。
【0152】表面平滑化処理においては、カレンダ条件
として温度、線圧力、C/S(コーティングスピード)等
を挙げることができる。
【0153】この発明においては、通常、上記温度を50
〜140℃、上記線圧力を50〜400kg/cm、上記C/Sを20
〜1,000m/分に保持することが好ましい。これらの数値
を満足しないと、磁気記録媒体の表面性を良好な状態に
保つことが困難になる、あるいは、不可能になることが
ある。
【0154】上記のように処理した結果の最上層の層の
厚さは0.6μm以下、好ましくは、0.02〜0.6μmにする。
前記層の厚さが0.6μmを越えると、電気的特性が劣化す
るため、この発明の目的たるデジタル記録媒体として好
適な磁気記録媒体を得ることができない。
【0155】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。
【0156】以下に示す成分、割合、操作順序は、この
発明の範囲から逸脱しない範囲において種々変更するこ
とができる。なお、下記の実施例において「部」は全て
「重量部」である。
【0157】実施例1 下記の最上層(第1の層)用磁性組成物及び下層(第2
の層)用磁性組成物の各成分をニーダ及びサンドミルを
用いて混練分散して最上層(第1の層)用磁性塗料及び
下層(第2の層)用塗料を調製した。但し、平均長軸
長、結晶子サイズ、膜厚、ポリウレタンは表1、2の通
り適宜変更した。
【0158】 {最上層(第1の層)用磁性塗料−a} 強磁性金属粉末(試料No.1) 100部 (平均長軸長:0.15μm、HC:1700 Oe、結晶子サイズ 15nm、 BET:55m2/g、 Fe:Al:Ca=100:4:1(重量比)) スルホン酸カリウム基含有塩化ビニル系樹脂 10部 (日本ゼオン(株)製 MR-110) スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂 10部 (東洋紡績(株)製、UR-8700) α-アルミナ(0.15μm) 8部 カーボンブラック(40nm) 0.5部 ステアリン酸 1部 ブチルステアレート 1部 シクロヘキサノン 100部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 {下層(第2の層)用塗料A} α-Fe2O3 100部 (長軸長:0.10μm、短軸長:0.02μm、結晶子サイズ 18nm BET:55m2/g、Si,Al化合物(α-Fe2O3に対してSi含有量 0.9重量%、 Al含有量0.2重量%)で表面処理) スルホン酸カリウム基含有塩化ビニル系樹脂 12部 (日本ゼオン(株)製、MR-110) スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂 8部 (東洋紡績(株)製、UR-8700) α-アルミナ(0.2μm) 5部 カーボンブラック(15nm) 10部 ステアリン酸 1部 ブチルステアレート 1部 シクロヘキサノン 100部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 得られた最上層(第1の層)用磁性塗料及び下層(第2
の層)用塗料Aのそれぞれに、ポリイソシアネート化合
物(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)5
部を添加した。
【0159】なお、下層(第3の層)のポリウレタンと
して、表1に示すようにスルホン酸ナトリウム基含有ポ
リウレタン樹脂(東洋紡績(株)製、UR−8200)をUR
−8700にかえて用いた。
【0160】{下層用塗料B}下層用塗料Bは、下層塗
料Aにおけるα-Fe2O3に代えてCo-γ-Fe2O3(Hc:650O
e、平均長軸長 0.14μm、結晶子サイズ 30nm、磁性粉
中のSi含有量0.8重量%、Al含有量0.1重量%)とした外
は下層用塗料Aと同様にして得た。
【0161】実施例1〜9及び比較例(1)〜(7) 表1及び表2に示した、上述の最上層(第1の層)用磁
性塗料、及び二つの下層(第2、3の層)用塗料を用い
て、ウエット-オン-ウエット方式で厚さ10μmの下引処
理されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布
した後、塗膜が未乾燥であるうちに磁場配向処理を行
い、続いて乾燥を施してから、カレンダで表面平滑化処
理を行い、表1,2に示された厚さを有する下層及び最
上層からなる磁性層を形成した。
【0162】更に、この磁性層とは反対側の前記ポリエ
チレンテレフタレートフィルムの面(裏面)に下記の組
成を有する塗料を塗布し、この塗膜を乾燥し、上述した
カレンダ条件にしたがってカレンダ加工をすることによ
って、厚さ0.8μmのバックコート層を形成し、広幅の原
反磁気テープを得た。
【0163】 カーボンブラック(ラベン1035) 40部 硫酸バリウム(平均粒子径300nm) 10部 ニトロセルロース 25部 ポリウレタン系樹脂 25部 (日本ポリウレタン(株)製、N-2301) ポリイソシアネート化合物 10部 (日本ポリウレタン(株)製、コロネートL) シクロヘキサノン 400部 メチルエチルケトン 250部 トルエン 250部 こうして得られた原反磁気テープをスリットして、8mm
幅のビデオ用磁気記録媒体を作成した。この磁気記録媒
体につき、以下の評価を行った。その結果を表1、2に
示した。
【0164】{下層用塗料C}下層用塗料Cは、下層用
塗料Aにおけるα-Fe2O3に代えてFe-Si-Alセンダスト合
金粉末(Hc=40(A/m)、μ=200(H/m)、平均長軸
長:0.15μm、結晶子サイズ15nm、粉末中のSi含有量1.2
重量%、Al含有量0.2重量%)を用いた外はAと同様。
【0165】{最上層磁性塗料−b}最上層用磁性塗料
aにおいて強磁性金属粉末に代えてCo置換バリウムフェ
ライト(Hc:1100 Oe、BET45m2/g、σs:64emu/g
板状比4)を用いた以外はaと同様。
【0166】(測定方法) <CN特性>9MHzの単一波を記録し、その信号を再生
した際の出力レベルを基準サンプルとの比較で表した。
【0167】<低温での走行耐久性>0℃の環境下でS-
550(ソニー社製)を用いて、テープを全長走行させ、R
F出力の低下が2dB以上、1秒以上継続して起った場合
をヘッド目づまりとし、回数を数えた。
【0168】<ヘッドタッチ特性>オシロスコープ上で
エンベロープ特性を観察し、最小出力部の最大出力部に
対する比(%)で測定した。
【0169】
【表1】
【0170】
【表2】
【0171】
【発明の効果】この発明により、表面性の良好な電磁変
換特性に優れ、繰返し走行性のよいデジタル記録用媒体
として好適な磁気記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】押出し塗布方式によるウエット−オン−ウエッ
ト塗布による磁性層の同時重層塗布図。
【図2】押出しコータヘッドの断面図。
【図3】磁性記録媒体の断面図。
【符号の説明】 1 支持体 10,11,12 押出しコータ 13,14,15 液溜まり部 32 供給ロール 33 配向用磁石 34 乾燥器 37 スーパカレンダ装置 38 カレンダロール 39 巻取ロール

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に磁性層を含む3層以上の構成
    層を有し、最上層の磁性層に下接する層に含まれる非磁
    粉末の結晶子サイズをa(nm)、最上層の磁性層及び
    最上層に下接する層の2層以外の少なくとも一層に含ま
    れる非磁性粉末の結晶子サイズをb(nm)とするとき、 a≦35,a<bである磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 支持体上に磁性層を含む3層以上の構成
    層を有し、最上層の磁性層に下接する層に含まれる非磁
    粉末の平均長軸長をA(nm)、最上層の磁性層及び最
    上層に下接する層の2層以外の少なくとも一層に含まれ
    非磁性粉末の平均長軸長をB(nm)とするとき、 A<200,A<Bである磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記非磁性粉末が針状粉末である請求項
    1又は2に記載の磁気記録媒体。
JP26376093A 1992-10-21 1993-10-21 磁気記録媒体 Expired - Fee Related JP3385481B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26376093A JP3385481B2 (ja) 1992-10-21 1993-10-21 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28303192 1992-10-21
JP4-283031 1992-10-21
JP26376093A JP3385481B2 (ja) 1992-10-21 1993-10-21 磁気記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06195682A JPH06195682A (ja) 1994-07-15
JP3385481B2 true JP3385481B2 (ja) 2003-03-10

Family

ID=26546179

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26376093A Expired - Fee Related JP3385481B2 (ja) 1992-10-21 1993-10-21 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3385481B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6103172B2 (ja) * 2012-03-30 2017-03-29 戸田工業株式会社 磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末、並びに磁気記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06195682A (ja) 1994-07-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH05347017A (ja) 磁気記録媒体
JP3385481B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3333966B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3277289B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3451277B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH05242455A (ja) 磁気記録媒体
JP3463173B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH0620260A (ja) 磁気記録媒体
JP3722296B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3416825B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH05242463A (ja) 磁気記録媒体
JPH05225547A (ja) 磁気記録媒体
JPH06176351A (ja) 磁気記録媒体
JPH05298651A (ja) 磁気記録媒体
JPH05298655A (ja) 磁気記録媒体
JPH0969223A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH05290355A (ja) 磁気記録媒体
JPH05242461A (ja) 磁気記録媒体
JPH05242462A (ja) 磁気記録媒体
JPH05242464A (ja) 磁気記録媒体
JPH05290359A (ja) 磁気記録媒体
JPH05298652A (ja) 磁気記録媒体
JPH08263828A (ja) 磁気記録媒体
JPH07220265A (ja) 磁気記録媒体
JPH076346A (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090110

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100110

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees