JP3463173B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3463173B2
JP3463173B2 JP12003692A JP12003692A JP3463173B2 JP 3463173 B2 JP3463173 B2 JP 3463173B2 JP 12003692 A JP12003692 A JP 12003692A JP 12003692 A JP12003692 A JP 12003692A JP 3463173 B2 JP3463173 B2 JP 3463173B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は磁気記録媒体に関す
る。詳しくは、低温におけるヘッドクロッグ特性及び低
湿下での出力低下防止に優れた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【発明の背景】特開昭63−259826号、特開平3
−119516号において上、下層のカーボン量を規定
した磁気記録媒体が開示されている。しかしいずれも下
層に磁性層が用いられていること、又最上層の磁性層の
膜厚が比較的厚い等、厚み損失、自己減磁損失が大き
く、デジタル記録用媒体としては不適であった。特に特
開昭63−259826号においては、下層を乾燥し、
カレンダー処理後、上層を塗布するWet on dr
y法によっているため、上層の薄膜化は困難であった。
下層に非磁性粉末又は高誘磁率材料を含む層を設け、最
上層の膜厚を0.8μm以下、好ましくは0.5μm未
満とすることでこの点は改良されるが、デジタル媒体用
として超平滑な表面が必要なため、低温(0℃)におけ
るヘッドクロッグ特性が悪化したり、低湿下(40℃、
20%RH)で出力低下が発生したりすることが、本発
明者の研究によって判明した。
【0003】
【発明の目的】そこで、本発明の目的は、低温における
ヘッドクロッグ特性及び低湿下での出力低下防止に優れ
た磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0004】
【目的を達成するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体上に上層
及び下層を形成し、上層は、強磁性金属粉末を60〜9
5重量%含有する磁性層であり、該磁性層の膜厚が0.
1〜0.4μmであり、該上層の磁性層にカーボンブラ
ックが前記強磁性金属粉末100重量部に対して0.1
〜0.5重量部含まれ、下層は非磁性層であり、該下層
が、酸化チタン、硫酸バリウム、CaCO 3 、α−Al 2
3 、α−酸化鉄、ポリマー粉末から選ばれる少なくと
も1種を合計75〜95重量%含む層であり、且つ該下
層はカーボンブラックを、前記酸化チタン、硫酸バリウ
、CaCO 3 、α−Al 2 3 、α−酸化鉄、ポリマー
粉末100重量部に対して0よりも大で0.4重量部以
下含有する。
【0005】
【発明の具体的構成】本発明では、上記の問題点を解決
するため、非磁性支持体上に上層及び下層を形成し、上
層の磁性層の膜厚が0.1〜0.4μm以下であり、上
層の磁性層に導電性微粉末が磁性粉100重量部に対し
て0.1〜0.5重量部含まれ、下層が、非磁性粉末又
は高透磁率材料を含む層であり、しかも非磁性粉末又は
高透磁率材料100重量部に対して導電性微粉末が0.
4重量部以下含まれていることが必要である。
【0006】上層に含まれる導電性微粉末が磁性粉10
0重量部に対して、0.1〜0.5重量部である。また
用いられる導電性微粉末の平均粒径は、通常10〜30
0nmであるが、好ましくは30〜150nm、より好
ましくは40〜120nmである。下層に含まれる導電
性微粉末は0.4重量部以下である。また該層に用いら
れる導電性微粉末の平均粒径は、通常10〜300nm
であるが、好ましくは10〜150nm、より好ましく
は10〜120nmである。
【0007】前記導電性微粉末はカーボンブラックであ
ることが好ましい。又上層の磁性層の膜厚は0.1〜
0.4μmである。
【0008】デジタル媒体用として必要な高CN比を達
成するためには上層の表面粗さR10zを5〜20nmと
することが好ましい。
【0009】又、上層の膜厚が非常に薄く、上層の表面
性は、下層の表面性の影響を強くうけるため、下層に用
いられる非磁性粉末又は高透磁率材料の平均粒径は、通
常1〜300nm、好ましくは1〜100nm、より好
ましくは1〜50nmであるのがよい。又下層が湿潤状
態にあるうちに上層を設けるWet on wet法に
よるのが好ましい。前記したように上、下層の導電性微
粉末の量を規定することにより、上層の磁性層表面をコ
ントロールでき、CN比やオーバーライト特性を良好に
保ったまま、低温(0℃)におけるヘッドクロッグ特性
を良好にし、低湿下(40℃、20%RH)での出力低
下の発生を防ぐことができる。 (層構成) 本発明の磁気記録媒体は、基本的に、非磁性支持体上
に、上層である磁性層と、その磁性層と非磁性支持体と
の間に存在する下層とを形成してなる。なお、非磁性支
持体上の上記磁性層が設けられていない面(裏面)に
は、磁気記録媒体の走行性の向上、帯電防止および転写
防止などを目的として、バックコート層を設けるのが好
ましく、また磁性層と非磁性支持体との間には、下引き
層を設けることもできる。 (非磁性支持体) 前記非磁性支持体を形成する材料としては、たとえばポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナ
フタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロー
スダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、
ポリカーボネート等のプラスチックを挙げることができ
る。
【0010】非磁性支持体の厚みには特に制約はない
が、たとえばフィルム状やシート状の場合は通常3〜1
00μm、好ましくは5〜50μmであり、ディスクや
カード状の場合は30μm〜10mm程度、ドラム状の
場合はレコーダー等に応じて適宜に選択される。
【0011】尚、この非磁性支持体は単独構造のもので
あっても多層構造のものであってもよい。また、この非
磁性支持体は、たとえばコロナ放電処理等の表面処理を
施されたものであってもよい。
【0012】なお又、非磁性支持体上の上記磁性層が設
けられていない面(表面)には、磁気記録媒体の走行性
の向上、帯電防止および転写防止などを目的として、バ
ックコート層を設けるのが好ましく、また磁性層と非磁
性支持体との間には、下引き層を設けることができるこ
とは前記したとおりである。 (磁性層) この発明においては、上層が磁性層である。この磁性層
は、基本的には磁性粉をバインダー樹脂中に分散せしめ
てなる。
【0013】この上層の磁性層には、強磁性金属粉末お
よび/または六方晶系磁性粉を含有するのが好まし
い。。また、上層の膜厚が0.1〜0.4μmで、この
条件を満足することによって、本発明の磁気記録媒体
は、高域特性を向上させることができる。
【0014】上層に用いられる強磁性金属粉末として
は、Fe、Coをはじめ、Fe−Al系、Fe−Al−
Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、F
e−Al−Ca系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Al
系、Fe−Ni−Co系、Fe−Ni−Si−Al−M
n系、Fe−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Al−
Si系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni−Mn系、F
e−Ni−Si系、Fe−Mn−Zn系、Fe−Co−
Ni−P系、Ni−Co系、Fe、Ni、Co等を主成
分とするメタル磁性粉等の強磁性粉が挙げられる。中で
も、Fe系金属粉が電気的特性に優れる。
【0015】他方、耐蝕性および分散性の点から見る
と、Fe−Al系、Fe−Al−Ca系、Fe−Al−
Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、F
e−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Ni−Si−A
l−Mn系などのFe−Al系金属粉が好ましい。
【0016】特に、この発明の目的に好ましい強磁性金
属粉は、鉄を主成分とする金属磁性粉であり、Alまた
は、AlおよびCaを、Alについては重量比でFe:
Al=100:0.5〜100:20、Caについては
重量比でFe:Ca=100:0.1〜100:10の
範囲で含有するのが望ましい。
【0017】Fe:Alの比率をこのような範囲にする
ことで耐蝕性が著しく改良され、またFe:Caの比率
をこのような範囲にすることで電磁変換特性を向上さ
せ、ドロップアウトを減少させることができる。電磁変
換特性の向上やドロップアウトの減少がもたらされる理
由は明らかでないが、分散性が向上することによる保磁
力のアップや凝集物の減少等が理由として考えられる。
【0018】この発明に用いられる強磁性金属粉末は、
その平均長軸長が0.25μm未満、特に0.10〜
0.22μm、より好ましくは0.10〜0.17μm
でかつ結晶サイズが200Å未満、特に100〜180
Åであることが好ましい。又軸比(平均長軸長/平均短
軸長)が12以下、好ましくは10以下、さらに好まし
くは5〜9であるのが良い。強磁性金属粉末の平均長軸
長および結晶サイズ、軸比が前記範囲内にあるとさらに
電磁変換特性の向上を図ることができる。
【0019】また、この発明に用いられる強磁性金属粉
末は、その保磁力(Hc)が通常600〜5,000
Oeの範囲にあることが好ましい。この保磁力が600
Oe未満であると、電磁変換特性が劣化することがあ
り、また保磁力が5,000 Oeを超えると、通常の
ヘッドでは記録不能になることがあるので好ましくな
い。
【0020】また、上記強磁性粉末は、磁気特性である
飽和磁化量(σs)が通常、70emu/g以上である
ことが好ましい。この飽和磁化量が70emu/g未満
であると、電磁変換特性が劣化することがある。
【0021】さらにこの発明においては、記録の高密度
化に応じて、BET法による比表面積で30m2/g以
上、特に45m2/g以上の強磁性金属粉末が好ましく
用いられる。
【0022】この比表面積ならびにその測定方法につい
ては、「粉体の測定」(J.M.Dallavell
e,Clyeorr Jr.共著、牟田その他訳:産業
図書社刊)に詳述されており、また「化学便覧」応用編
P1170〜1171(日本化学会編:丸善(株)昭和
41年4月30日発行)にも記載されている。
【0023】比表面積の測定は、たとえば粉末を105
℃前後で13分間加熱処理しながら脱気して粉末に吸着
されているもの除去し、その後、この粉末を測定装置に
導入して窒素の初期圧力を0.5kg/m2 に設定し、
窒素により液体窒素温度(−105℃)で10分間測定
を行なう。測定装置は例えばカウンターソープ(湯浅ア
イオニクス(株)製)を使用する。
【0024】六方晶系の磁性粉としては、たとえば、六
方晶系フェライトを挙げることができる。このような六
方晶系フェライトは、バリウムフェライト、ストロンチ
ウムフェライト等からなり、鉄元素の一部が他の元素
(たとえば、Ti、Co、Zn、In、Mn、Ge、H
b等)で置換されていても良い。このフェライト磁性体
については、IEEE Trans,on MAG−1
8 16(1982)に詳しく述べられている。
【0025】この発明において、特に好ましい六方晶系
の磁性粉としては、バリウムフェライト(以下Ba−フ
ェライトと記す)磁性粉を挙げることができる。
【0026】この発明で用いることのできる好ましいB
a−フェライト磁性粉は、Ba−フェライト粉の、Fe
の一部が少なくともCoおよびZnで置換された平均粒
径(六方晶系フェライトの板面の対角線の高さ)400
〜900Å、板状比(六方晶系フェライトの板面の対角
線の長さを板厚で除した値)2.0〜10.0、より好
ましくは2.0〜6.0、保磁力(Hc)450〜15
00 Oe(エルステッド)のBa−フェライトであ
る。
【0027】Ba−フェライト粉は、FeをCoで一部
置換することにより、保磁力が適正な値に制御されてお
り、さらにZnで一部置換することにより、Co置換の
みでは得られない高い飽和磁化を実現し、高い再生出力
を有する電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を得ること
ができる。また、さらにFeの一部をNbで置換するこ
とにより、より高い再生出力を有する電磁変換特性に優
れた磁気記録媒体を得ることができる。また、この発明
に用いられるBa−フェライトは、さらにFeの一部が
Ti、In、Mn、Cu、Ge、Sn等の遷移金属で置
換されていても差支えない。
【0028】なお、この発明に使用するBa−フェライ
トは次の一般式で表される。 BaOn((Fe1-mm23 ) [ただし、m>0.36(ただし、Co+Zn=0.0
8〜0.3、Co/Zn=0.5〜10、尚、mは1よ
り小さい値である。)であり、nは5.4〜11.0で
あり、好ましくは5.4〜6.0であり、Mは置換金属
を表し、平均個数が3となる2種以上の元素の組合せに
なる磁性粒子が好ましい。]この発明において、Ba−
フェライトの平均粒径、板状比、保磁力が前記好ましい
範囲内にあると好ましい理由は、次の通りである。すな
わち、平均粒径400Å未満の場合は、磁気記録媒体と
したときの再生出力が不十分となり、逆に900Åを超
えると、磁気記録媒体としたときの表面平滑性が著しく
悪化し、ノイズレベルが高くなりすぎることがあり、ま
た、板状比が2.0未満では、磁気記録媒体としたとき
に高密度記録に適した垂直配向率が得られず、逆に板状
比が10.0を越えると磁気記録媒体としたときの表面
平滑性が著しく悪化し、ノイズレベルが高くなりすぎ、
さらに、保磁力が350 Oe未満の場合には、記録信
号の保持が困難になり、2000 Oeを越えると、ヘ
ッドが飽和現象を起こし記録が困難になることがあるか
らである。
【0029】この発明に用いられる六方晶系の磁性粉
は、磁気特性である飽和磁化量(σs)が通常、50e
mu/g以上であることが望ましい。この飽和磁化量が
50emu/g未満であると、電磁変換特性が劣化する
ことがある。この発明に用いられるBa−フェライトの
好ましい一具体例としては、Co−置換Baフェライト
を挙げることができる。
【0030】この発明に用いられる六方晶系の磁性粉を
製造する方法としては、たとえば目的とするBa−フェ
ライトを形成するのに必要な各元素の酸化物、炭酸化物
を、たとえばホウ酸のようなガラス形成物質とともに溶
融し、得られた融液を急冷してガラスを形成し、次いで
このガラスを所定温度で熱処理して目的とするBa−フ
ェライトの結晶粉を析出させ、最後にガラス成分を熱処
理によって除去するという方法のガラス結晶化法の他、
共沈−焼成法、水熱合成法、フラックス法、アルコキシ
ド法、プラズマジェット法等が適用可能である。
【0031】なお、この発明においては、強磁性金属粉
末と六方晶系の磁性粉とを混合して使用することもでき
る。この磁性層中の強磁性金属粉末および/または六方
晶系の磁性粉の含有量は通常、50〜99重量%であ
り、好ましくは60〜95重量%である。
【0032】ところで、上層である磁性層以外の、非磁
性粉末を含有する下層は、磁性層の膜厚が0.1〜04
μm以下であるので、上層である磁性層に対して潤滑剤
を補給する層として機能する。磁性層に対して下層とな
る層が潤滑剤補給層として良く機能するために、磁性層
の下の層に含まれる非磁性粉末は、その吸油量ができる
だけ少ないことが好ましく、通常200ミリリットル/
100g以下、好ましくは100ミリリットル/100
g以下である。
【0033】本発明においては、磁性層の表面粗さR
10z を5〜20nmとするのがよいが、10〜18
nmとするのが好ましく、12〜15nmとするのが一
層好ましい。
【0034】本発明に係る表面粗さR10z とは、図
2に示すように磁気記録媒体を幅方向の中点Pから±2
mm(図ではRで示す)の範囲で長手方向に基準長だけ
垂直に切断したとき、その切断面における外表面輪郭曲
線を切る水平線に平行な直線のうち、高い方から10番
目に低い山頂を通るものと深い方から10番目に浅い谷
底を通るものを選び、この2本の直線(l 1 及びl2
)間の距離dを表面輪郭曲線の縦倍率の方向に測定し
た値を指すものである。
【0035】上記R10z を測定するには、タリステ
ップ粗さ計(ランク・テイラ・ホブソン社製)を用い、
測定条件としては、スタイラスを2.5×0.1μm、
針圧を2mg、カット・オフ・フィルターを0.33H
z、測定スピードを2.5μm/sec、基準長を0.
5mmとした。なお、粗さ曲線においては0.002μ
m以下の凹凸はカットしている。
【0036】上記のR10z を20nm以下にコント
ロールするには、例えば前記の製造工程においてカレン
ダー条件を設定し、磁性層の表面平滑状態をコントロー
ルすればよい。即ち、この表面平滑化処理においては、
カレンダー条件として制御する因数は温度、線圧力、C
/S(コーティングスピード)等を挙げることができ
る。また、その他の因数としては、磁性粉の混練方法、
表面処理、磁性層 中への添加粒子のサイズや量等があ
る。
【0037】本発明の目的達成のためには、通常、上記
温度を50〜140℃、上記線圧力を50〜400Kg
/cm、上記C/Sを20〜600m/minに保持す
ることが好ましい。これらの数値の範囲を外れると、磁
性層の表面粗さを前記の如く特定することが困難になる
か、あるいはそれが不可能となることがある。
【0038】[最上層以外の非磁性粉末を含む層] この発明においては、非磁性支持体の上に上層及び下層
が形成されており、層には、非磁性粉末が含有されて
いる。(非磁性粉末
【0039】この発明における非磁性粉末としては、C
aCO3 、酸化チタン、硫酸バリウム、α−Al2
3 、α−酸化鉄の無機粉末やポリエチレン等のポリマー
末である。前記非磁性粉末の平均粒子径は、通常1〜
300nmであり、好ましくは1〜100nmであり、
特に好ましくは1〜50nmである。球状の、しかも前
記範囲の平均粒子径を有する非磁性粉末を使用すると、
非磁性層中の非磁性粉末による磁性層の表面粗さに悪影
響が生じない点で好ましい。前記非磁性粉末の非磁性層
中における含有量としては、75〜95重量%である。
非磁性粉末の含有量が前記範囲内にあると、良好な最上
層の表面粗さR10Zにすることができる
【0040】この発明においては、高透磁率材料とし
て、前記保磁力の範囲内にある材料を適宜に選択するの
が好ましい。そのような高透磁率材料としては、例え
ば、金属軟質磁性材料、酸化物軟質磁性材料等を挙げる
ことができる。
【0041】前記金属軟質磁性材料としては、Fe−S
i合金、Fe−Al合金(Alperm、Alfemo
l、Alfer),パーマロイ(Ni−Fe系二元合
金、およびこれにMo、Cu、Crなどを添加した多元
系合金)、センダスト(Fe−Si−Al[9.6重量
%のSi、5.4%のAl、残りがFeである組
成])、Fe−Co合金等を挙げることができる。これ
らの中でも好ましい金属軟質磁性材料としてはセンダス
トが好ましい。なお、高透磁率材料としての金属軟質磁
性材料としては以上に例示したものに限定されず、その
他の金属軟質磁性材料を使用することができる。高透磁
率材料は、その一種を単独で使用することもできるし、
又その二種以上を併用することもできる。
【0042】前記酸化物軟質磁性材料としては、スピネ
ル型フェライトであるMnFe24 、Fe34 、C
oFe24 NiFe24 MgFe24 Li
0.5Fe2.54 や、Mn−Zn系フェライト、Ni−
Zn系フェライト、Ni−Cu系フェライト、Cu−Z
n系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Li−Zn
系フェライト等を挙げることができる。これらの中で
も、Mn−Zn系フェライト及びNi−Zn系フェライ
トが好ましい。なお、これらの酸化物軟質磁性材料はそ
の一種を単独で使用することもできるが、その二種以上
を併用することもできる。
【0043】この高透磁率材料はボールミルやその他の
粉砕装置を用いて微細粉末にし、その粒径が1nm〜3
00nm、なかでも1nm〜100nmであるのが好ま
しい。特に好ましくは1〜50nmである。このような
微細な粉末を得るために、金属軟質磁性材料において
は、溶融した合金を真空雰囲気下に噴霧することにより
得ることができる。又、酸化物軟質磁性材料において
は、ガラス結晶化法、共沈焼成法、水熱合成法、フラッ
クス法、アルコシキシド法、プラズマジェット法等によ
り微細粉末にすることできる。
【0044】この高透磁率材料を含有する下層において
は、高透磁率材料の含有量は、5〜99重量%、好まし
くは50〜95重量%、更に好ましくは60〜90重量
%である。高透滋率材料の含有量が前記範囲内にある
と、上層の磁化の安定化の効果が十分に得られる。又、
高透磁率材料が5重量%未満であると、高透磁性層とし
ての効果が得られなくなることがあるので好ましくな
い。なお、この高透磁率材料を含有する下層には、非磁
性の粒子を含有していても良い。
【0045】この本発明の磁気記録媒体は導電性微粉末
を含有している。この導電性微粉末としては、カーボン
ブラック、グラファイト、酸化錫、銀粉、酸化銀、硝酸
銀、銀の有機化合物、銅粉等の金属粒子等、酸化亜鉛、
硝酸バリウム、酸化チタン等の金属酸化物等の顔料を酸
化錫被膜、又はアンチモン固溶酸化被膜等の導電性物質
でコーティング処理したもの等がある。
【0046】本発明において、カーボンブラックとして
遮光用カーボンブラック、例えばコロンビアカーボン社
製のラーベン2000(比表面積190m /g、粒
径18mμ)、2100、1170、1000、三菱化
成(株)製#100、#75、#40、#35、#30
等が使用可能である。また、導電性カーボンブラックも
使用可能であり、これには、例えばコロンビアカーボン
社のコンダクテックス(Conductex)975
(BET値(以下BETと略)250m /g、DB
P吸油量(以下DBPと略)170ml/100gr、
粒径24mμ)、コンダクテックス900(BET12
5m /g、粒径27mμ)、コンダクテックス40
−220(粒径20mμ)、コンダクテックスSC(B
ET220m /gr、DBP115ml/100g
r、粒径20mμ)、キャボット社製のバルカン(Ca
bot Vulcan)XC−72(比表面積254m
/g、粒径30mμ)、バルカンP(BET143m
/gr、DBP118ml/100gr、粒径20
mμ)、ラーベン1040、420、ブラックパールズ
2000(粒径15mμ)、三菱化成(株)製#44等
がある。
【0047】また、本発明で使用可能な他のカーボンブ
ラックとしてはコロンビアン・カーボン社製のコンダク
テックス(Conductex)−SC.(BET22
0m2 /g、DBP115ml/100g、粒径20
mμ)、キャボット社製のバルカン(Vulcan)9
(BET140m2 /g、DBP114ml/100
g、粒径19mμ)、旭カーボン社製の#80(BET
117m2 /g、DBP113ml/100g、粒径
23mμ)、電気化学社製のHS100(BET32m
2 /g、DBP180ml/100g、粒径53m
μ)、三菱化成社製の#22B(BET55m2
g、DBP131ml/100g、粒径40mμ)、#
20B(BET56m2 /g、DBP115ml/1
00g、粒径40mμ)、#3500(BET47m2
/g、DBP187ml/100g、粒径40mμ)
があり、その他にも、三菱化成社製のCF−9、#40
00、MA−600、キャボット社製のブラック・パー
ルズ(Black Pearls)L、モナーク(Mo
narck)800、ブラック・パールズ700、ブラ
ック・パールズ1000、ブラック・パールズ880、
ブラック・パールズ900、ブラック・パールズ130
0、ブラック・パールズ2000、スターリング(St
erling)V、コロンビアン・カーボン社製のラー
ベン(Raven)410、ラーベン3200、ラーベ
ン430、ラーベン450、ラーベン825、ラーベン
1255、ラーベン1035、ラーベン1000、ラー
ベン5000、ラーベンMT−P、ケッチェンブラック
FC等が挙げられる。 (バインダー) 上層である磁性層及びこの磁性層以外の下層を形成する
のに使用されるバインダーとしては、例えば、ポリウレ
タン、ポリエステル塩化ビニル系共重合体等の塩化ビニ
ル系樹脂等が代表的なものであり、これらの樹脂は−S
3 M、−OSO3 M、−COOMおよび−PO(OM
12 から選ばれた少なくとも一種の極性基を有する繰
り返し単位を含むことが好ましい。
【0048】ただし、上記極性基において、Mは水素原
子あるいはNa、K、Li等のアルカリ金属を表わし、
またM1 は水素原子、Na、K、Li等のアルカリ金属
を表す。
【0049】上記極性基は強磁性粉末の分散性を向上さ
せる作用があり、各樹脂中の含有率は0.1〜8.0モ
ル%、好ましくは0.5〜6.0モル%である。この含
有率が0.1モル%未満であると、強磁性粉末の分散性
が低下し、また含有率が8.0モル%を超えると、磁性
塗料がゲル化し易くなる。なお、前記各樹脂の重量平均
分子量は、15,000〜50,000の範囲が好まし
い。
【0050】結合剤(バインダー)の磁性層における含
有率は、強磁性粉末100重量部に対して通常、10〜
40重量部、好ましくは15〜30重量部である。結合
剤(バインダー)は一種単独に限らず、二種以上を組み
合わせて用いることができるが、この場合、ポリウレタ
ンおよび/またはポリエステルと塩化ビニル系樹脂との
比は、重量比で通常、90:10〜10:90であり、
好ましくは70:30〜30:70の範囲である。
【0051】
【0052】Cl−CH2 CH2 SO3 M、Cl−CH
2 CH2 OSO3 M、Cl−CH2COOM、Cl−C
2 −P(=0)(OM12 これらの化合物からCl−CH2 CH2 SO3 Naを例
にとり、上記反応を説明すると、次のようになる。 −CH2 C(OH)H−+ClCH2 CH2 SO3 Na
→−CH2 C(OCH2 CH2 SO3 Na)H−。 尚、上記M及びM1は段落番号[0048]に記載のM
及びM1と同義であって、Mは水素原子あるいはNa、
K、Li等のアルカリ金属を表わし、またM1 は水素原
子、Na、K、Li等のアルカリ金属を表す。
【0053】また、極性基含有塩化ビニル系共重合体
は、極性基を含む繰り返し単位が導入される不飽和結合
を有する反応性モノマーを所定量オートクレーブ等の反
応容器に仕込み、一般的な重合開始剤、たとえばBPO
(ベンゾイルパーオキシド)、AIBN(アゾビスイソ
ブチロニトリル)等のラジカル重合開始剤、レドックス
重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いて重合反応
を行なうことにより、得ることができる。
【0054】スルホン酸又はその塩を導入するための反
応性モノマーの具体例としては、ビニルスルホン酸、ア
リルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、p−スチレン
スルホン酸等の不飽和炭化水素スルホン酸及びこれらの
塩を挙げることができる。
【0055】カルボン酸もしくはその塩を導入するとき
は、例えば(メタ)アクリル酸やマレイン酸等を用い、
リン酸もしくはその塩を導入するときは、例えば(メ
タ)アクリル酸−2−リン酸エステルを用いればよい。
【0056】塩化ビニル系共重合体にはエポキシ基が導
入されていることが好ましい。このようにすると、重合
体の熱安定性が向上するからである。
【0057】エポキシ基を導入する場合、エボキシ基を
有する繰り返し単位の共重合体中における含有率は、1
〜30モル%が好ましく、1〜20モル%がより好まし
い。エポキシ基を導入するためのモノマーとしては、た
とえばクリシジルアクリレートが好ましい。
【0058】なお、塩化ビニル系共重合体への極性基の
導入技術に関しては、特開昭57−44227号、同5
8−108052号、同59−8127号、同60−1
01161号、同60−235814号、同60−23
8306号、同60−238371号、同62−121
923号、同62−146432号、同62−1464
33号等の公報に記載があり、この発明においてもこれ
らを利用することができる。
【0059】次に、この発明に用いるポリエステルとポ
リウレタンの合成について述べる。一般に、ポリエステ
ルはポリオールと多塩基酸との反応により得られる。こ
の公知の方法を用いて、ポリオールと一部に極性基を有
する多塩基酸から、極性基を有するポリエステル(ポリ
オール)を合成することができる。
【0060】極性基を有する多塩基酸の例としては、5
−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−
スルホイソフタル酸、3−スルホフタル酸およびこれら
のナトリウム塩、カリウム塩を挙げることができる。
【0061】ポリオールの例としては、トリメチロール
プロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチ
ロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリス
リトール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1.3−ブタンジオール、1.4−ブタンジオー
ル、1.6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができ
る。
【0062】なお、他の極性基を導入したポリエステル
も公知の方法で合成することができる。
【0063】次に、ポリウレタンに付いて述べる。これ
は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応から得ら
れる。ポリオールとしては、一般にポリオールと多塩基
酸との反応によって得られるポリエステルポリオールが
使用されている。したがって、極性基を有するポリエス
テルポリオールを原料として用いれば、極性基を有する
ポリウレタンを合成することができる。
【0064】ポリイソシアネートの例としては、ジフェ
ニルメタン−4−4′−ジイソシアネート(MDI)、
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリレ
ンジイソシアネート(TDI)、1.5−ナフタレンジ
イソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート
(TODI)、リジンイソシアネートメチルエステル
(LDI)等が挙げられる。
【0065】また、極性基を有するポリウレタンの他の
合成方法として、水酸基を有するポリウレタンと極性基
および塩素原子を有する下記の化合物との付加反応も有
効である。 Cl−CH2 CH2 SO3 M、Cl−CH2 CH2 OS
2 M、Cl−CH2 COOM、Cl−CH2 −P(=
0)(OM12 尚、上記M及びM1は段落番号[0048]に記載のM
及びM1と同義であって、Mは水素原子あるいはNa、
K、Li等のアルカリ金属を表わし、またM1 は水素原
子、Na、K、Li等のアルカリ金属を表す。なお、ポ
リウレタンへの極性基導入に関する技術としては、特公
昭58−41565号、特開昭57−92422号、同
57−92423号、同59−8127号、同59−5
423号、同59−5424号、同62−121923
号等の公報に記載があり、この発明においてもこれらを
利用することができる。
【0066】この発明においては、結合剤として下記の
樹脂を全結合剤の20重量%以下の使用量で併用するこ
とができる。
【0067】その樹脂としては、重量平均分子量が1
0,000〜200,000である、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエ
ン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリ
ビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロー
ス等)、スチレン−ブタジエン共重合体、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキ
シ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルム
アミド樹脂、各種の合成ゴム系樹脂等が挙げられる。 (その他の成分)この発明では、磁性層の耐久性を向上
させるために、ポリイソシアネートを磁性層に含有させ
ることが望ましい。
【0068】ポリイソシアネートとしては、たとえばジ
フェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレン
ジイソシアネート(TDI)等と活性水素化合物との付
加体などの芳香族ポリイソシアネートと、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート(HMDI)等と活性水素化合物と
の付加体などの脂肪族ポリイソシアネートがある。ポリ
イソシアネートの重量平均分子量は、100〜3,00
0の範囲にあることが望ましい。
【0069】この発明では、磁性層に必要に応じて分散
剤、潤滑剤を含有させることができる。
【0070】まず、分散剤としては、カプリル酸、カプ
リン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、オレイン酸などの炭素数12〜18の脂肪
族;これらのアルカリ金属の塩またはアルカリ土類金属
の塩あるいはこれらのアミド:ポリアルキレンオキサイ
ドアルキル酸エステル;レシチン;トリアルキルポリオ
レフィンオキシ第四アンモニウム塩:カルボキシル基お
よびスルホン酸基を有するアゾ系化合物などを挙げるこ
とができる。これらの分散剤は、通常、強磁性粉に対し
て0.5〜5重量%の範囲で用いられる。
【0071】次に、潤滑剤としては、脂肪酸および/ま
たは脂肪酸エステルを使用することができる。この場
合、脂肪酸の添加量は強磁性粉に対し0.2〜10重量
%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。添加
量が0.2重量%未満であると、走行性が低下し易く、
また10重量%を超えると、脂肪酸が磁性層の表面にし
み出したり、出力低下が生じ易くなる。
【0072】また、脂肪酸エステルの添加量も強磁性粉
に対して0.2〜10重量%が好ましく、0.5〜5重
量%がより好ましい。その添加量が0.2重量%未満で
あると、スチル耐久性が劣化し易く、また10重量%を
超えると、脂肪酸エステルが磁性層の表面にしみ出した
り、出力低下が生じ易くなる。
【0073】脂肪酸と脂肪酸エステルとを併用して潤滑
効果をより高めたい場合には、脂肪酸と脂肪酸エステル
は重量比で10:90〜90:10が好ましい。
【0074】脂肪酸としては一塩基酸であっても二塩基
酸であってもよく、炭素数は6〜30が好ましく、12
〜22の範囲がより好ましい。
【0075】脂肪酸の具体例としては、カプロン酸、カ
プリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノレ
ン酸、オレイン酸、エライジン酸、ベヘン酸、マロン
酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、
ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1.12−ド
デカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸などが挙げ
られる。
【0076】脂肪酸エステルの具体例としては、オレイ
ルオレート、イソセチルステアレート、ジオレイルマレ
ート、ブチルステアレート、ブチルパルミテート、ブチ
ルミリステート、オクチルミリステート、オクチルパル
ミテート、ペンチルステアレート、ペンチルパルミテー
ト、イソブチルオレエート、ステアリルステアレート、
ラウリルオレエート、オクチルオレエート、イソブチル
オレエート、エチルオレエート、イソトリデシルオレエ
ート、2−エチルヘキシルステアレート、2−エチルヘ
キシルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソ
プロピルミリステート、ブチルラウレート、セチル−2
−エチルヘキサレート、ジオレイルアジペート、ジエチ
ルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソデシル
アジペート、オレイルステアレート、2−エチルヘキシ
ルミリステート、イソペンチルパルミテート、イソペン
チルステアレート、ジエチレングリコール−モノ−ブチ
ルエーテルパルミテート、ジエチレングリコール−モノ
−ブチルエーテルパルミテートなどが挙げられる。
【0077】また、上記脂肪酸、脂肪酸エステル以外の
潤滑剤として、例えばシリコーンオイル、グラファイ
ト、フッ化カーボン、二硫化モリブデン、二硫化タング
ステン、脂肪酸アミド、α−オレフィンオキサイドなど
も使用することができる。
【0078】
【0079】
【0080】(磁気記録媒体の製造) この発明の磁気記録材料はその製造方法に特に制限はな
く、公知の単層または複数層構造型の磁気記録媒体の製
造に使用される方法に準じて製造することができる。
【0081】たとえば、一般的には強磁性粉、結合剤、
分散剤、潤滑剤等を溶媒中で混練及び分散して磁性塗料
を調整した後、この磁性塗料を非磁性支持体の表面に塗
布する。
【0082】上記溶媒としては、たとえばアセトン、メ
チルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン
(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系;メタノ
ール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;酢
酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;テ
トラヒドロフラン等の環状エーテル類;メチレンクロラ
イド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホル
ム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭素水素等を用い
ることができる。磁性層形成成分の混練分散にあたって
は、各種の混練分散機を使用することができる。
【0083】この混練分散機としては、たとえば二本ロ
ールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、
コボルミル、トロンミル、サンドミル、サンドグライン
ダー、Sqegvariアトライター、高速インペラー
分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパ
ー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、オ
ープンニーダー、連続ニーダー、加圧ニーダーなどが挙
げられる。
【0084】上記混練分散機のうち、0.05〜0.5
KW(磁性粉1Kg当たり)の消費電力負荷を提供する
ことのできる混練分散機は、加圧ニーダー、オープンニ
ーダー、連続ニーダー、二本ロールミル、三本ロールミ
ルである。
【0085】非磁性支持体上に磁性層を塗布するには、
この発明の磁気記録媒体の製造に当たっては、特に効果
の点からウェット−オン−ウェット重層塗布方式による
同時重層塗布を行なうのがよい。具体的には、図3に示
すように、まず供給ロール32から繰出したフィルム状
支持体1に、エクストルージョン方式の押し出しコータ
ー10、11により、磁性層の各塗料をウェット−オン
−ウェット方式で重層塗布した後、配向用磁石または垂
直配向用磁石33に通過し、乾燥器34に導入し、ここ
で上下に配したノズルから熱風を吹き付けて乾燥する。
次に、乾燥した各塗布層付きの支持体1をカレンダーロ
ール38の組合せからなるスーパーカレンダー装置37
に導き、ここでカレンダー処理した後に、巻き取りロー
ル39に巻き取る。このようにして得られた磁性フィル
ムを所望幅のテープ状に裁断してたとえば8mmビデオ
カメラ用磁気記録テープを製造することができる。
【0086】上記の方法において、各塗料は、図示しな
いインラインミキサーを通して押し出しコーター10、
11へと供給してもよい。なお、図中、矢印Dは非磁性
ベースフィルムの搬送方向を示す。押し出しコーター1
0、11には夫々、液溜まり部13、14が設けられ、
各コーターからの塗料をウェット−オン−ウェット方式
で重ねる。即ち、下層磁性層用塗料の塗布直後(未乾燥
状態のとき)に上層磁性層塗料を重層塗布する。前記コ
ーターヘッドは、図4に示した(ウ)のヘッドが本願発
明においては好ましい。
【0087】ウェット−オン−ウェット重層塗布方法
は、リバースロールと押し出しコーターとの組み合わ
せ、グラビアロールと押し出しコーターとの組み合わせ
なども使用することができる。さらにはエアドクターコ
ーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スク
ィズコーター、含浸コーター、トランスファロールコー
ター、キスコーター、キャストコーター、スプレイコー
ター等を組み合わせることもできる。
【0088】このウェット−オン−ウェット方式による
重層塗布においては、下層が湿潤状態になったままで上
層の磁性層を塗布するので、下層の表面(即ち、上層と
境界面)が滑らかになるとともに上層の表面性が良好に
なり、かつ、上下層間の接触性も向上する。この結果、
特に高密度記録のために高出力、低ノイズの要求される
たとえば磁気テープとしての要求性能を満たしたものと
なりかつ、高耐久性の性能が要求されることに対しても
膜剥離をなくし、膜強度が向上し、耐久性が十分とな
る。また、ウェット−オン−ウェット重層塗布方式によ
り、ドロップアウトも低減することができ、信頼性も向
上する。
【0089】上記塗料に配合される溶媒あるいはこの塗
料の塗布時の希釈溶媒としては、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類:メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール等のアルコール類:酢酸メチル、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールセ
ノアセテート等のエステル類:グリコールジメチルエー
テル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テ
トラヒドロフラン等のエーテル類:ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素:メチレンクロライ
ド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、
ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等のものが使
用できる。これらの各種の溶媒は単独で使用することも
できるし、またそれらの二種以上を併用することもでき
る。
【0090】前記配向磁石あるいは垂直配向用磁石にお
ける磁場は、20〜5,000ガウス程度であり、乾燥
器による乾燥温度は約30〜120℃であり、乾燥時間
は約0.1〜10分間程度である。
【0091】次にカレンダリングにより表面平滑化処理
が行なわれる。その後は、必要に応じてバーニッシュ処
理またはブレード処理を行なってスリッティングされ
る。この際、上記表面平滑化処理は、この発明の目的を
達成するのに効果的である。
【0092】すなわち、前記したようにこの発明の必須
要件の一つに磁性層表面の粗さの条件があるが、この条
件を満たすためには、この表面平滑化処理が好ましい。
表面平滑化処理においては、カレンダー条件として温
度、線圧力、C/S(コーティングスピード)等を挙げ
ることができる。
【0093】この発明の目的達成のためには、通常、上
記温度を50〜120℃、上記線圧力を50〜400k
g/cm、上記C/Sを20〜600m/分に保持する
ことが好ましい。これらの数値の範囲を外れると、磁性
層の表面状態をこの発明の如く特定することが実施困難
になるか、あるいはそれが不可能になることがある。
【0094】
【発明の効果】本発明によれば、低温におけるヘッドク
ロッグ特性及び低湿下での出力低下防止能に優れた磁気
記録媒体を得ることができる。
【0095】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0096】以下に示す成分、割合、操作順序は本発明
の範囲から逸脱しない範囲において種々変更し得る。な
お、下記の実施例において「部」はすべて重量部であ
る。
【0097】実施例1 下記の上層用磁性組成物の各成分をニーダー・サンドミ
ルを用いて混練分散して上層用磁性塗料を調製した。 [上層用塗料A] Fe−Al系強磁性金属粉末 100部 (Fe:Al重量比=100:8、平均長軸長:0.16μm、 Hc:1580 Oe, σs:120emu/g、軸比8 結晶子サイズ:170Å) スルホン酸金属塩含有塩化ビニル系樹脂 10部 [日本ゼオン(株)製、MR−110] スルホン酸金属塩含有ポリエステルポリウレタン樹脂 [東洋紡(株)製、UR−8700] 5部 アルミナ (α−Al 、平均粒径:0.2μm) 6部 カーボンブラック[平均粒径と重量は表1に記載] ステアリン酸 1部 ミリスチン酸 1部 ブチルステアレート 1部 シクロヘキサノン 100部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 [上層用塗料D]上層用塗料Aにおいてカーボンブラッ
クにかえてSnO (平均粒径50nm)を0.4部
用いた以外はAと同様である。 [下層用塗料C] TiO (平均粒径30nm) 100部 カーボンブラック(表1に記載) スルホン酸金属塩含有塩化ビニル樹脂 6部 [日本ゼオン(株)製、MR−110] スルホン酸金属塩含有ポリエステルポリウレタン樹脂 [東洋紡(株)製、UR−8700] 3部 アルミナ 6部 (α−Al 、平均粒径:0.2μm) ミリスチン酸 1部 ブチルステアレート 1部 シクロヘキサノン 100部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 [上層用塗料B]上層用塗料AにおけるFe−Al系強
磁性金属粉末に変えてCo置換バリウムフェライト(H
c:1100 Oe、BET45m /g、σs:6
4emu/g、板状比4)を用いた外はAと同じ。 [下層用塗料E]下層用塗料Cにおいてカーボンブラッ
クにかえてSnO (平均粒径25nm)0.4部を
用いた外はCと同じ。 [下層用塗料F]下層用塗料CにおいてTiO にか
えてFe−Si−Alセンダスト合金粉末(保磁力Hc
=40A/m、μi=200H/m、粒径50nm)を
用いた以外はCと同じである。 [下層用塗料G]下層用塗料CにおいてTiO にか
えてCo−Fe23(平均粒子径0.16μm、結晶子
サイズ330Å、Hc:800 Oe、 σs:78e
mu/g)を用いた以外はCと同様である。
【0098】次に、得られた上層用磁性塗料と下層用塗
料とにそれぞれポリイソシアネート(コロネートL、日
本ポリウレタン工業(株)製)5部を添加した後、ウェ
ット−オン−ウェット方式により厚み10μmのポリエ
チレンテレフタレートフィルム上に塗布したのち、塗膜
が未乾燥であるうちに磁場配向処理を行ない、続いて乾
燥を施してから、カレンダーで表面平滑処理を行ない、
厚み2.0μmの下層と、厚み0.4μmの上層とから
なる磁性層を形成した。
【0099】さらに、この磁性層とは反対側の上記ポリ
エチレンフタレートフィルムの面(裏面)に下記の組成
を有する塗料を塗布し、この塗膜を乾燥し、後述するカ
レンダー条件に従ってカレンダー加工をすることによっ
て、厚み0.8μmのバックコート層を形成し、広幅の
原反磁気テープを得た。 [バックコート層用塗料] カーボンブラック 40部 (ラベン1035) 硫酸バリウム 10部 (平均粒径300mμ) ニトロセルロース 25部 ポリウレタン系樹脂 25部 (日本ポリウレタン(株)製、N−2301) ポリイソシアネート化合物 10部 (日本ポリウレタン(株)製、コロネートL) シクロヘキサノン 400部 メチルエチルケトン 250部 トルエン 250部 こうして得られた原反をスリットして8mmビデオ用テ
ープを作成した。
【0100】このビデオ用テープの電磁変換特性、塗布
性そして走行耐久性を下記の要領で測定した。その結果
を表1に示す。 (CN特性)9MHzの単一波を記録し、その信号を再
生した際の出力レベルを基準サンプル(比較例1)との
比較で表した。 (オーバーライト特性)2MHzの信号を飽和レベルで
記録し、その後に9MHzの信号を(上書き)記録した
際の2MHzの信号の残留出力レベルを測定した。残留
出力レベルの低いほどオーバーライト特性は良好である
とする。 (低温でのヘッドクロッグ)0℃の環境下でS−550
(ソニー社製)を用いて、テープを全長走行させ、RF
出力の低下が2dB以上、1秒以上継続しておった場合
をヘッド目づまりとし、回数を数えた。 (低湿(40℃,20%RH)下でのRF出力低下)4
0℃,20%RHの環境下でS−550(ソニー社製)
を用いて、テープの全長走行を2パス行い、走行前、後
のRF出力低下(dB)を測定した。
【0101】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気記録媒体の断面図の例である。
【図2】磁性層の表面粗さR10z を測定するときの
状況を説明する図である。
【図3】ウエット−オン−ウエット塗布方式による磁性
層の同時重層塗布を説明するための図である。
【図4】磁性層塗料を塗布するためのコーターヘッドの
図である。
【符号の説明】
1 支持体 2 磁性層 3 バックコート層 4 中間層

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に上層及び下層を形成
    し、上層は、強磁性金属粉末を60〜95重量%含有す
    る磁性層であり、該磁性層の膜厚が0.1〜0.4μm
    であり、該上層の磁性層にカーボンブラックが前記強磁
    性金属粉末100重量部に対して0.1〜0.5重量部
    含まれ、下層は非磁性層であり、該下層が、酸化チタ
    ン、硫酸バリウム、CaCO 3 、α−Al 2 3 、α−酸
    化鉄、ポリマー粉末から選ばれる少なくとも1種を合計
    75〜95重量%含む層であり、且つ該下層はカーボン
    ブラックを、前記酸化チタン、硫酸バリウム、CaCO
    3 、α−Al 2 3 、α−酸化鉄、ポリマー粉末100重
    量部に対して0よりも大で0.4重量部以下含有する磁
    気記録媒体。
JP12003692A 1992-04-14 1992-04-14 磁気記録媒体 Expired - Fee Related JP3463173B2 (ja)

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