JPH05242455A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH05242455A
JPH05242455A JP4044017A JP4401792A JPH05242455A JP H05242455 A JPH05242455 A JP H05242455A JP 4044017 A JP4044017 A JP 4044017A JP 4401792 A JP4401792 A JP 4401792A JP H05242455 A JPH05242455 A JP H05242455A
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JP
Japan
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magnetic
powder
magnetic layer
layer
soft magnetic
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Withdrawn
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JP4044017A
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English (en)
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Yasumasa Mizoguchi
康正 溝口
Katsuyuki Takeda
克之 竹田
Yuji Shimizu
雄二 清水
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明の目的は、高域特性に優れ、信号の
重ね書き(オーバライト)特性、耐候性(耐腐食性)お
よび走行耐久性にも優れた磁気記録媒体を提供すること
である。 【構成】 非磁性支持体上に、軟磁性層または非磁性層
と、磁性層とを、この順に積層してなり、前記軟磁性層
または非磁性層は、前記軟磁性層または非磁性層中にお
ける軟磁性粉または非磁性粉よりも大きい平均粒子径を
有し、かつ、新モース硬度が6以上であるところの、酸
化物、炭化物および窒化物からなる群から選択される少
なくとも一種の微粉末を、前記軟磁性粉または非磁性粉
に対して2〜20重量%の割合で含有してなることを特
徴とする磁気記録媒体。 【効果】 この発明によると、高域特性に優れ、信号の
重ね書き(オーバライト)特性、耐候性(耐腐食性)お
よび走行耐久性にも優れた磁気記録媒体を提供すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は磁気記録媒体に関し、
さらに詳しくは、高域特性に優れ、信号の重ね書き(オ
ーバーライト)特性、耐候性(耐腐食性)および走行耐
久性等にも良好な磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来の磁
気記録媒体は、強磁性粉を含有する磁性層を、非磁性支
持体上に形成しているが、板状の六方晶フェライト系の
強磁性粉末を用いた磁気記録媒体では短波長の高周波側
の出力が高くなると言われている(特開昭57−195
329号、特開昭60−223018号公報参照)。ま
た、下層に針状強磁性粉末を含む磁性層を有し、上層に
六方晶系強磁性粉を含有する磁気記録媒体(特開平63
−128324号公報等)もある。さらに、下層に非磁
性粉末を含む層を設け、上層に強磁性粉末を含んだ磁気
記録媒体の提案もある(特開昭63−187418号公
報参照)。
【0003】しかしながら、単に六方晶フェライト系の
磁気記録媒体では、高域、特に高密度記録(デジタル記
録)においては、まだ十分な特性の向上は困難であり、
また下層に非磁性層を設けた場合でも、高域での特性と
耐久性との両立が困難である。一方、下層に磁性層を設
けると、下層の残留磁化により再生時に、再生信号の波
形の歪みが起こる(波形間干渉)。その結果、出力ピー
ク値の低下とピーク位置のずれが生じ、エラーレート等
の増加が発生する。
【0004】またさらに、下層に残留磁化が存在すると
再記録する信号が記録されにくくなる、所謂オーバーラ
イト特性の劣化が発生する。高密度記録(デジタル記
録)用に蒸着テープ等が有望とされているが、耐腐食性
等における特性が悪いので実用には問題を生じる可能性
がある。この発明の目的は、高域特性に優れ、信号の重
ね書き(オーバーライト)特性、耐候性(耐腐食性)お
よび走行耐久性にも良好な磁気記録媒体を提供すること
にある。
【0005】
【前記課題を解決するための手段】前記目的を達成する
ための請求項1に記載の発明は、非磁性支持体上に、軟
磁性層または非磁性層と、磁性層とを、この順に積層し
てなり、前記軟磁性層または非磁性層は、前記軟磁性層
または非磁性層中における軟磁性粉または非磁性粉より
も大きい平均粒子径を有し、かつ、新モース硬度が6以
上であるところの、酸化物、炭化物および窒化物からな
る群から選択される少なくとも一種の微粉末を、前記軟
磁性粉または非磁性粉に対して2〜20重量%の割合で
含有してなることを特徴とする磁気記録媒体であり、請
求項2に記載の発明は、前記磁性層に含有される強磁性
粉が強磁性合金粉末である前記請求項1に記載の磁気記
録媒体であり、請求項3に記載の発明は、前記磁性層に
含有される強磁性粉が六方晶系フェライト微粉末である
前記請求項1に記載の磁気記録媒体である。
【0006】以下にこの発明の磁気記録媒体について詳
述する。この発明における磁気記録媒体は、非磁性支持
体上に、軟磁性層または非磁性層と、磁性層とを、この
順に積層してなる。
【0007】−非磁性支持体− 前記非磁性支持体を形成する材料としては、例えば、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロー
スダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、
ポリカーボネート等のプラスチック等を挙げることがで
きる。
【0008】前記非磁性支持体の形態には特に制限はな
く、その具体例としては、テープ状、フィルム状、シー
ト状、カード状、ディスク状、ドラム状等を挙げること
ができる。非磁性支持体の厚みには特に制約はないが、
例えばフィルム状やシート状の場合は通常3〜100μ
m、好ましくは5〜50μmであり、ディスクやカード
状の場合は30μm〜10mm程度、ドラム状の場合は
レコーダー等に応じて適宜に選択される。
【0009】なお、この非磁性支持体は単層構造であっ
ても多層構造であってもよい。また、この非磁性支持体
は、例えばコロナ放電処理等の表面処理が施されていて
もよい。なお、非磁性支持体上の上記磁性層が設けられ
ていない面(裏面)には、磁気記録媒体の走行性の向
上、帯電防止および転写防止などを目的として、バック
コート層を設けるのが好ましく、また磁性層と非磁性支
持体との間には、下引き層を設けることもできる。
【0010】−最上層の磁性層− 最上層の磁性層は、強磁性粉としての強磁性合金粉末ま
たは六方晶系フェライト微粉末と、後述するバインダー
と、後述するその他の成分とを含有する。
【0011】前記強磁性合金粉末としては、Fe、Co
をはじめ、Fe−Al系、Fe−Al−Ni系、Fe−
Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−Al−Ca
系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Al系、Fe−Ni−
Co系、Fe−Ni−Si−Al−Mn系、Fe−Ni
−Si−Al−Zn系、Fe−Al−Si系、Fe−A
l−Co系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni−Mn
系、Fe−Ni−Si系、Fe−Mn−Zn系、Fe−
Co−Ni−P系、Ni−Co系、Fe、Ni、Co等
を主成分とするメタル磁性粉等の強磁性粉が挙げられ
る。中でも、Fe系合金粉末が電気的特性に優れる。
【0012】他方、耐蝕性および分散性の点から見る
と、Fe−Al系、Fe−Al−Ca系、Fe−Al−
Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、F
e−Ni系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni−Si−
Al−Zn系、Fe−Ni−Si−Al−Mn系、Fe
−Ni−CO系のFe系合金粉末が好ましい。
【0013】特に、本発明の目的に好ましい強磁性合金
粉末は、鉄を主成分とする金属磁性粉であり、Alおよ
びCaを、Alについては重量比でFe:Al=10
0:0.5〜100:20、Caについては重量比でF
e:Ca=100:0.1〜100:10の範囲で含有
するのが望ましい。Fe:Alの比率をこのような範囲
にすることで耐蝕性が著しく改良され、またFe:Ca
の比率をこのような範囲にすることで電磁変換特性を向
上させ、ドロップアウトを減少させることができる。電
磁変換特性の向上やドロップアウトの減少がもたらされ
る理由は明らかでないが、分散性が向上することによる
保磁力のアップや凝集物の減少等が理由として考えられ
る。
【0014】本発明に用いられる強磁性合金粉末は、透
過型電子顕微鏡により観測されるその平均長軸長が0.
30μm未満、好ましくは0.10〜0.22μm、更
に好ましくは0.10〜0.18μmで、かつX線回折
法による結晶子サイズが300Å未満、特に100〜1
80Åであることが好ましい。強磁性合金粉末の平均長
軸長および結晶子サイズが前記範囲内にあると、さらに
電磁変換特性の向上を図ることができる。
【0015】また、本発明に用いられる強磁性合金粉末
は、その保磁力(Hc)が通常600〜5,000 O
eの範囲にあることが好ましい。この保磁力が600
Oe未満であると、電磁変換特性が劣化することがあ
り、また保磁力が5,000Oeを超えると、通常のヘ
ッドでは記録不能になることがあるので好ましくない。
また、上記強磁性合金粉末は、磁気特性である飽和磁化
量(σs )が通常、70emu/g以上であることが好
ましい。この飽和磁化量が70emu/g未満である
と、電磁変換特性が劣化することがある。
【0016】さらに、本発明においては、記録の高密度
化に応じて、BET法による比表面積で45m2 /g以
上の強磁性合金粉末が好ましく用いられる。本発明に用
いられる強磁性合金粉末の好ましい具体例としては、F
e−Al系強磁性金属粉末(Fe:Al重量比= 10
0:5、平均長軸長0.16μm,Hc :1580 O
e、σS:120emu/g)を挙げることができる。ま
た、前記強磁性合金粉末の軸比(平均長軸長/平均単軸
長)が1.3〜4.2のものであると、短波長域での再
生出力がより一層向上して好ましい。
【0017】本発明に用いられる好ましい六方晶系フェ
ライト微粉末としては、Ba−フェライトの、Feの一
部が少なくともCoおよびZnで置換された平均粒子径
(六方晶系フェライトの板面の対角線の高さ)400〜
900Å、板状比(六方晶系フェライトの板面の対角線
の長さを板厚で除した値)2.0〜10.0、保磁力
(Hc)450〜1500のBa−フェライトを挙げる
ことができる。
【0018】Ba−フェライトは、FeをCoで一部置
換することにより、保磁力が適正な値に制御されてお
り、さらにZnで一部置換することにより、Co置換の
みでは得られない高い飽和磁化を実現し、高い再生出力
を有する電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を得ること
ができる。また、さらにFeの一部をNbで置換するこ
とにより、より高い再生出力を有する電磁変換特性に優
れた磁気記録媒体を得ることができる。また、本発明に
用いられるBa−フェライトは、さらにFeの一部がT
i、In、 Mn、Cu、Ge、Sn等の遷移金属で置換
されていても差支えない。
【0019】なお、この発明に使用するBa−フェライ
トは次の一般式で表わされる。 BaO・n((Fe1-mm23 ) {但し、m>0.36(但し、Co+Zn=0.08〜
0.3、Co/Zn=0.5〜10) であり、nは5.
4〜11.0であり、好ましくは5.4〜6.0であ
り、Mは置換金属を表わし、平均個数が3となる2種以
上の元素の組合せになる磁性粒子が好ましい。}この発
明において、Ba−フェライトの平均粒子径、板状比、
保磁力が前記範囲内にあると好ましいとするその理由
は、次のようである。すなわち、平均粒子径400Å未
満の場合は、磁気記録媒体としたときの再生出力が不十
分となり、逆に900Åを越えると、磁気記録媒体とし
たときの表面平滑性が著しく悪化し、ノイズレベルが高
くなりすぎることがあり、また、板状比が2.0未満で
は、磁気記録媒体としたときに高密度記録に適した垂直
配向率が得られず、逆に板状比が6.0を越えると磁気
記録媒体としたときの表面平滑性が著しく悪化し、ノイ
ズレベルが高くなりすぎ、さらに、保磁力が350 O
e未満の場合には、記録信号の保持が困難になり、20
00 Oeを越えると、ヘッド限界が飽和減少を起こし
記録が困難になることがあるからである。
【0020】この発明に用いられるBa−フェライト
は、磁気特性である飽和磁化量(σS)が通常、50e
mu/g以上であることが望ましい。この飽和磁化量が
50emu/g未満であると、電磁変換特性が劣化する
ことがあるからである。さらにこの発明においては、記
録の高密度化に応じて、BET法による比表面積が30
2 /g以上のBa−フェライト磁性粉を用いることが
望ましい。
【0021】この発明に用いられる六方晶系フェライト
微粉末を製造する方法としては、例えば目的とするBa
−フェライトを形成するのに必要な各原素の酸化物、炭
酸化物を、例えばホウ酸のようなガラス形成物質ととも
に溶融し、得られた融液を急冷してガラスを形成し、つ
いでこのガラスを所定温度で熱処理して目的とするBa
−フェライトの結晶粉を析出させ、最後にガラス成分を
熱処理によって除去するという方法のガラス結晶化法の
他、共沈−焼成法、水熱合成法、フラックス法、アルコ
キシド法、プラズマジェット法等が適用可能である。
【0022】この発明においては、前記強磁性粉の、最
上層の磁性層中の含有量は、通常50〜99重量%であ
り、好ましくは60〜99重量%である。最上層の磁性
層の層厚は、通常1.0μm以下であり、好ましくは
0.8μm以下である。
【0023】−軟磁性層または非磁性層− この発明においては、非磁性支持体の上に複数の層が形
成されており、最上層である磁性層以外の少なくとも一
層に、軟磁性層または非磁性層が含有されている。この
発明の軟磁性層は、軟磁性粉を含有する。さらには、前
記軟磁性層は、後述する非磁性粉、後述する微粉末、後
述するバインダー、後述するその他の成分を含有しても
よい。
【0024】この発明の非磁性層は、非磁性粉を含有す
る。さらには、前記非磁性層は、後述する微粉末、後述
するバインダー、後述するその他の成分を含有してもよ
い。なお、この発明の磁気記録媒体は、軟磁性層または
非磁性層の少なくとも一層に、後述する微粉末を含有す
る。
【0025】軟磁性粉としては、その保磁力Hcが0<
Hc≦1.0×104 (A/m)、好ましくは0<Hc
≦5.0×103 (A/m)である。軟磁性粉の保磁力
が前記範囲内にあると、最上層の磁化領域の安定化の効
果が発揮される。保磁力が前記範囲を超えると、磁性材
料としての特性が発現することにより所望の特性が得ら
れなくなることがあるので好ましくない。
【0026】この発明においては、軟磁性粉として、前
記保磁力の範囲内にある材料を適宜に選択するのが好ま
しい。そのような軟磁性粉としては、例えば、金属軟質
磁性材料、酸化物軟質磁性材料等を挙げることができ
る。
【0027】前記金属軟質磁性材料としては、Fe−S
i合金、Fe−Al合金(Alperm,Alfeno
l,Alfer)、パーマロイ(Ni−Fe系二元合
金、およびこれにMo、Cu、Crなどを添加した多元
系合金)、センダスト(Fe−Si−Al[9.6重量
%のSi、5.4%のAl、残りがFeである組
成])、Fe−Co合金等を挙げることができる。これ
らの中でも好ましい金属軟質磁性材料としてはセンダス
トが好ましい。なお、軟磁性粉としての金属軟質磁性材
料としては以上に例示したものに限定されず、その他の
金属軟質磁性材料を使用することができる。また、金属
軟質磁性材料は、その一種を単独で使用することもでき
るし、又その二種以上を併用することもできる。
【0028】前記酸化物軟質磁性材料としては、スピネ
ル型フェライトであるMnFe24 、Fe34 、C
oFe24 、NiFe24 、MgFe24 、Li
0.5Fe2.54 や、Mn−Zn系フェライト、Ni−
Zn系フェライト、Ni−Cu系フェライト、Cu−Z
n系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Li−ZN
系フェライト等を挙げることができる。これらの中で
も、Mn−Zn系フェライトおよびNi−Zn系フェラ
イトが好ましい。なお、これらの酸化物軟質磁性材料は
その一種を単独で使用することもできるが、その二種以
上を併用することもできる。
【0029】この発明における軟磁性粉は、ボールミル
やその他の粉砕装置を用いて微細粉末にし、その粒子径
が1nm〜1,000nm、特に1nm〜500nmで
あるのが好ましい。このような微細な粉末を得るため
に、金属軟質磁性材料においては、溶融した合金を真空
雰囲気下に噴霧することにより得ることができる。ま
た、酸化物軟質磁性材料においては、ガラス結晶化法、
共沈焼成法、水熱合成法、フラックス法、アルコキシド
法、プラズマジェット法等により微細粉末にすることが
できる。
【0030】この発明における前記軟磁性層において
は、前記軟磁性粉の含有量は、10〜100重量%、好
ましくは50〜100重量%、さらに好ましくは60〜
100重量%である。軟磁性粉の含有量が前記範囲内に
あると、最上層の磁化の安定化の効果が十分に得られ
る。また、軟磁性粉の含有量が50重量%未満である
と、軟磁性層としての効果が得られなくなることがある
ので好ましくない。
【0031】この発明における非磁性粉としては、例え
ば、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、硫
酸バリウム、ZnS、MgCO3 、CaCO3 、Zn
O、CaO、γ−酸化鉄、二硫化タングステン、二硫化
モリブデン、窒化ホウ素、MgO、SnO2 、SiO
2 、Cr23 、α−Al23 、SiC、酸化セリウ
ム、コランダム、人造ダイヤモンド、α−酸化鉄、ザク
ロ石、ガーネット、ケイ石、窒化ケイ素、窒化ホウ素、
炭化ケイ素、炭化モリブデン、炭化ホウ素、炭化タング
ステン、チタンカーバイド、トリボリ、ケイソウ土、ド
ロマイト等を挙げることができる。これらの中でも好ま
しいのは、カーボンブラック、CaCO3 、酸化チタ
ン、硫酸バリウム、γ−酸化鉄、α−Al23 、α−
酸化鉄、等の無機粉末やポリエチレン等のポリマー粉末
等である。
【0032】この発明における微粉末は、前記軟磁性粉
または非磁性粉よりも平均粒子径が大きく、かつ、新モ
ース硬度が6以上であるところの、酸化物、炭化物およ
び窒化物からなる群から選択される少なくとも一種の化
合物である。酸化物としては、例えば、Al23 、C
23 、α−Fe23 、ZrO2 、酸化チタン等を
挙げることができる。炭化物としては、例えば、炭化ケ
イ素、炭化ホウ素、炭化チタン等を挙げることができ
る。窒化物としては、例えば、窒化ケイ素、窒化ホウ
素、窒化チタン等を挙げることができる。
【0033】微粉末の新モース硬度については、8以上
であるのが好ましく、特に10以上であるのが好まし
い。なお、新モース硬度とは、基準となる15種の鉱物
と比較することにより検体の硬度を決定するところの、
経験的な硬度の尺度であり、最も軟質なものを1とし、
最も硬質なものを15とする。
【0034】そして基準鉱物と硬度の値とを列挙する
と、滑石1、石膏2、方解石3、蛍石4、燐灰石5、正
長石6、石英7、水晶8、黄玉9、ざくろ石10、ジル
コン11、アルミナ12、炭化珪素13、炭化硼素1
4、ダイヤモンド15である。これら基準鉱物と検体と
を互いにこすりあわせることにより、硬さを比較して1
〜15の段階で硬度を決定する。
【0035】前記微粉末は、前記軟磁性粉または非磁性
粉に対して2〜20重量%の割合で含有されるのが好ま
しい。微粉末の含有割合が、2重量%より少ない場合
は、十分な走行耐久性が得られない。また、微粉末の含
有割合が、20重量%より多い場合は、表面が粗れ、電
磁変換特性が劣化する。
【0036】−バインダー− この発明に用いるバインダーとしては、例えば、ポリウ
レタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体等の塩化
ビニル系樹脂等が代表的なものであり、これらの樹脂は
−SO3 M、−OSO3 M、−COOMおよび−PO
(OM12 から選ばれた少なくとも一種の極性基を有
する繰り返し単位を含むことが好ましい。ただし、上記
極性基において、Mは水素原子あるいはNa、K、Li
等のアルカリ金属を表わし、またM1 は水素原子、N
a、K、Li等のアルカリ原子あるいはアルキル基を表
わす。
【0037】上記極性基は強磁性粉末、軟磁性粉または
非磁性粉の分散性を向上させる作用があり、各樹脂中の
含有率は0.1〜8.0モル%、好ましくは0.5〜
6.0モル%である。この含有率が0.1モル%未満で
あると、強磁性粉末、軟磁性粉または非磁性粉の分散性
が低下し、また含有率が8.0モル%を超えると、磁性
層用磁性塗料、軟磁性層または非磁性層用塗料がゲル化
し易くなる。なお、前記各樹脂の重量平均分子量は、1
5,000〜50,000の範囲が好ましい。
【0038】バインダーの、前記磁性層、前記軟磁性層
または非磁性層における含有率は、前記強磁性粉末、前
記軟磁性粉または非磁性粉の100重量部に対して、通
常10〜40重量部、好ましくは15〜30重量部であ
る。バインダーは一種単独に限らず、二種以上を組み合
わせて用いることができるが、この場合、ポリウレタン
および/またはポリエステルと塩化ビニル系樹脂との比
は、重量比で通常、90:10〜10:90であり、好ま
しくは70:30〜30:70の範囲である。
【0039】この発明にバインダーとして用いられる極
性基含有塩化ビニル系共重合体は、例えば塩化ビニル−
ビニルアルコール共重合体など、水酸基を有する共重合
体と下記の極性基および塩素原子を有する化合物との付
加反応により合成することができる。 Cl−CH2 CH2SO3M、 Cl−CH2CH2OSO3M、 Cl−CH2COOM
、Cl-CH2-P(=O)(OM1)2 これらの化合物から Cl-CH2CH2SO3Na を例にとり、上記
反応を説明すると、次のようになる。 −(CH2C(OH)H −+ ClCH2CH2SO3Na → - CH2C(OCH2CH
2SO3Na)H)-。
【0040】また、極性基含有塩化ビニル系共重合体
は、極性基を含む繰り返し単位が導入される不飽和結合
を有する反応性モノマーを所定量オートクレーブ等の反
応容器に仕込み、一般的な重合開始剤、例えばBPO
(ベンゾイルパーオキシド)、AIBN(アゾビスイソ
ブチロニトリル)等のラジカル重合開始剤、レドックス
重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いて重合反応
を行なうことにより、得ることができる。
【0041】スルホン酸又はその塩を導入するための反
応性モノマーの具体例としては、ビニルスルホン酸、ア
リルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、p−スチレン
スルホン酸等の不飽和炭化水素スルホン酸及びこれらの
塩を挙げることができる。カルボン酸もしくはその塩を
導入するときは、例えば(メタ)アクリル酸やマレイン
酸等を用い、リン酸もしくはその塩を導入するときは、
例えば(メタ)アクリル酸−2−リン酸エステルを用い
ればよい。
【0042】塩化ビニル系共重合体にはエポキシ基が導
入されていることが好ましい。このようにすると、重合
体の熱安定性が向上するからである。エポキシ基を導入
する場合、エポキシ基を有する繰り返し単位の共重合体
中における含有率は、1〜30モル%が好ましく、1〜
20モル%がより好ましい。エポキシ基を導入するため
のモノマーとしては、例えばグリシジルアクリレートが
好ましい。
【0043】なお、塩化ビニル系共重合体への極性基の
導入技術に関しては、特開昭57−44227号、同5
8−108052号、同59−8127号、同60−1
01161号、同60−235814号、同60−23
8306号、同60−238371号、同62−121
923号、同62−146432号、同62−1464
33号等の公報に記載があり、この発明においてもこれ
らを利用することができる。
【0044】次に、この発明に用いるポリエステルとポ
リウレタンの合成について述べる。一般に、ポリエステ
ルはポリオールと多塩基酸との反応により得られる。こ
の公知の方法を用いて、ポリオールと一部に極性基を有
する多塩基酸から、極性基を有するポリエステル(ポリ
オール)を合成することができる。
【0045】極性基を有する多塩基酸の例としては、5
−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−
スルホイソフタル酸、3−スルホフタル酸、5−スルホ
イソフタル酸ジアルキル、2−スルホイソフタル酸ジア
ルキル、4−スルホイソフタル酸ジアルキル、3−スル
ホイソフタル酸ジアルキルおよびこれらのナトリウム
塩、カリウム塩を挙げることができる。
【0046】ポリオールの例としては、トリメチロ−ル
プロパン、ヘキサントリオ−ル、グリセリン、トリメチ
ロ−ルエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリス
リトール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができ
る。なお、他の極性基を導入したポリエステルも公知の
方法で合成することができる。
【0047】次に、ポリウレタンに付いて述べる。これ
は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応から得ら
れる。ポリオールとしては、一般にポリオールと多塩基
酸との反応によって得られるポリエステルポリオールが
使用されている。したがって、極性基を有するポリエス
テルポリオールを原料として用いれば、極性基を有する
ポリウレタンを合成することができる。
【0048】ポリイソシアネートの例としては、ジフェ
ニルメタン−4−4′−ジイソシアネート(MDI)、
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリレ
ンジイソシアネート(TDI)、1,5−ナフタレンジ
イソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート
(TODI)、リジンイソシアネートメチルエステル
(LDI)等が挙げられる。
【0049】また、極性基を有するポリウレタンの他の
合成方法として、水酸基を有するポリウレタンと極性基
および塩素原子を有する下記の化合物との付加反応も有
効である。 Cl−CH2CH2SO3M、 Cl−CH2CH2OSO2M、 Cl −CH2COOM、 Cl
-CH2-P(=O)(OM1)2 なお、ポリウレタンへの極性基導入に関する技術として
は、特公昭58−41565号、特開昭57−9242
2号、同57−92423号、同59−8127号、同
59−5423号、同59−5424号、同62−12
1923号等の公報に記載があり、この発明においても
これらを利用することができる。
【0050】この発明においては、バインダーとして下
記の樹脂を全バインダーの20重量%以下の使用量で併
用することができる。その樹脂としては、重量平均分子
量が10,000〜200,000である、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共
重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、
ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセル
ロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェ
ノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホ
ルムアミド樹脂、各種の合成ゴム系樹脂等が挙げられ
る。
【0051】−その他の成分− この発明では、磁性層、軟磁性層または非磁性層の品質
の向上を図るため、潤滑剤、耐久性向上剤、分散剤、研
磨剤、帶電防止剤および充填剤などの添加剤をその他の
成分として含有させることができる。
【0052】潤滑剤としては、脂肪酸および/または脂
肪酸エステルを使用することができる。この場合、脂肪
酸の添加量は、強磁性粉、軟磁性粉または非磁性粉に対
し0.2〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%が
より好ましい。添加量が0.2重量%未満であると、走
行性が低下し易く、また10重量%を超えると、脂肪酸
が磁性層の表面にしみ出したり、出力低下が生じ易くな
る。
【0053】また、脂肪酸エステルの添加量も、強磁性
粉、軟磁性粉または非磁性粉に対して0.2〜10重量
%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。その
添加量が0.2重量%未満であると、スチル耐久性が劣
化し易く、また10重量%を超えると、脂肪酸エステル
が磁性層、軟磁性層または非磁性層の表面にしみ出した
り、出力低下が生じ易くなる。
【0054】脂肪酸と脂肪酸エステルとを併用して潤滑
効果をより高めたい場合には、脂肪酸と脂肪酸エステル
は重量比で10:90〜90:10が好ましい。脂肪酸
としては一塩基酸であっても二塩基酸であってもよく、
炭素数は6〜30が好ましく、12〜22の範囲がより
好ましい。
【0055】脂肪酸の具体例としては、カプロン酸、カ
プリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノレ
ン酸、オレイン酸、エライジン酸、ベヘン酸、マロン
酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、
ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ド
デカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸等が挙げら
れる。
【0056】脂肪酸エステルの具体例としては、オレイ
ルオレート、イソセチルステアレート、ジオレイルマレ
ート、ブチルステアレート、ブチルパルミテート、ブチ
ルミリステート、オクチルミリステート、オクチルパル
ミテート、ペンチルステアレート、ペンチルパルミテー
ト、イソブチルオレエート、ステアリルステアレート、
ラウリルオレエート、オクチルオレエート、イソブチル
オレエート、エチルオレエート、イソトリデシルオレエ
ート、2−エチルヘキシルステアレート、2−エチルヘ
キシルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソ
プロピルミリステート、ブチルラウレート、セチル−2
−エチルヘキサレート、ジオレイルアジペート、ジエチ
ルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソデシル
アジペート、オレイルステアレート、2−エチルヘキシ
ルミリステート、イソペンチルパルミテート、イソペン
チルステアレート、ジエチレングリコール−モノ−ブチ
ルエーテルパルミテート、ジエチレングリコール−モノ
−ブチルエーテルパルミテート等が挙げられる。
【0057】また、上記脂肪酸、脂肪酸エステル以外の
潤滑剤として、例えばシリコーンオイル、グラファイ
ト、フッ化カーボン、二硫化モリブデン、二硫化タング
ステン、脂肪酸アミド、α−オレフィンオキサイド等も
使用することができる。
【0058】耐久性向上剤としては、ポリイソシアネー
トを挙げることができ、ポリイソシアネートとしては、
例えばトリレンジイソシアネート(TDI)等と活性水
素化合物との付加体等の芳香族ポリイソシアネートと、
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等と活性
水素化合物との付加体等の脂肪族ポリイソシアネートが
ある。なお、前記ポリイソシアネートの重量平均分子量
は、100〜3,000の範囲にあることが望ましい。
【0059】分散剤としては、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸等の炭素数12〜18の脂肪酸;こ
れらのアルカリ金属の塩またはアルカリ土類金属の塩あ
るいはこれらのアミド;ポリアルキレンオキサイドアル
キルリン酸エステル;レシチン;トリアルキルポリオレ
フィンオキシ第四アンモニウム塩;カルボキシル基およ
びスルホン酸基を有するアゾ系化合物等を挙げることが
できる。これらの分散剤は、通常、強磁性粉、軟磁性粉
または非磁性粉に対して0.5〜5重量%の範囲で用い
られる。
【0060】次に、研磨剤の具体例としては、α−アル
ミナ、溶融アルミナ、酸化クロム、酸化チタン、α−酸
化鉄、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化タングステン、炭
化モリブデン、炭化ホウ素、コランダム、酸化亜鉛、酸
化セリウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素等が挙げら
れる。研磨剤としては、平均粒子径が0.05〜0.6
μmのものが好ましく、0.1〜0.3μmのものがよ
り好ましい。
【0061】なお、この発明においては、軟磁性層また
は非磁性層に含有される微粉末が研磨性を有するので、
磁性層に添加する研磨剤の量を低減させることができ、
しかも、電磁変換特性を向上させることができる。
【0062】帯電防止剤としては、カーボンブラック、
グラファイト等の導電性粉末;第四級アミン等のカチオ
ン界面活性剤;スルホン酸、硫酸、リン酸、リン酸エス
テル、カルボン酸等の酸基を含むアニオン界面活性剤;
アミノスルホン酸等の両性界面活性剤;サポニン等の天
然界面活性剤等を挙げることができる。上述した帯電防
止剤は、通常、バインダーに対して0.01〜40重量
%の範囲で添加される。
【0063】−磁気記録媒体の製造− この発明の磁気記録媒体は、磁性層、軟磁性層または非
磁性層の塗設をウエット−オン−ウエット方式で塗設す
る。このウエット−オン−ウエット方式は、公知の重層
構造型の磁気記録媒体の製造に使用される方法を適宜に
採用することができる。例えば、一般的には、強磁性
粉、結合剤、分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等と
溶媒とを混練して高濃度磁性層用磁性塗料を調製し、次
いでこの高濃度磁性層用磁性塗料を希釈して磁性層用磁
性塗料を調製する。また、例えば、一般的には、軟磁性
粉または非磁性粉、結合剤、分散剤、潤滑剤、研磨剤、
帯電防止剤等と溶媒とを混練して高濃度軟磁性層または
非磁性層用塗料を調製し、次いでこの高濃度軟磁性層ま
たは非磁性層用塗料を希釈して軟磁性層または非磁性層
用塗料を調製する。その後、これらの塗料を非磁性支持
体上に塗布する。
【0064】上記溶媒としては、例えばアセトン、メチ
ルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(M
IBK)、シクロヘキサノン等のケトン系;メタノー
ル、エタノール、プロパノール等のアルコール類;酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;テト
ラヒドロフラン等の環状エーテル類;メチレンクロライ
ド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、
ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を用いるこ
とができる。
【0065】磁性層、軟磁性層または非磁性層の形成成
分の混練分散にあたっては、各種の混練分散機を使用す
ることができる。この混練分散機としては、例えば二本
ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミ
ル、コボルミル、トロンミル、サンドミル、サンドグラ
インダー、Sqegvariアトライター、高速インペラー分散
機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、
高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、オープ
ンニーダー、連続ニーダー、加圧ニーダー等が挙げられ
る。上記混練分散機のうち、0.05〜0.5KW(磁
性粉1Kg当たり)の消費電力負荷を提供することので
きる混練分散機は、加圧ニーダー、オープンニーダー、
連続ニーダー、二本ロールミル、三本ロールミルであ
る。
【0066】非磁性支持体上に、磁性層用磁性塗料、軟
磁性層または非磁性層用塗料を塗布するには、具体的に
は、図1に示すように、まず供給ロール32から繰出し
たフィルム状非磁性支持体1に、エクストルージョン方
式の押し出しコーター10、11により、磁性層用磁性
塗料と軟磁性層または非磁性層用塗料とをウェット−オ
ン−ウェット方式で重層塗布した後、配向用磁石または
垂直配向用磁石33に通過し、乾燥器34に導入し、こ
こで上下に配したノズルから熱風を吹き付けて乾燥す
る。次に、乾燥した各塗布層付きの非磁性支持体1をカ
レンダーロール38の組合せからなるスーパーカレンダ
ー装置37に導き、ここでカレンダー処理した後に、巻
き取りロール39に巻き取る。このようにして得られた
磁性フィルムを所望幅のテープ状に裁断して例えば8m
mビデオカメラ用磁気記録テープを製造することができ
る。
【0067】上記の方法において、各塗料は、図示しな
いインラインミキサーを通して押し出しコーター10、
11へと供給してもよい。なお、図中、矢印は非磁性支
持体フィルムの搬送方向を示す。押し出しコーター1
0、11には夫々、液溜まり部13、14が設けられ、
各押し出しコーターからの塗料をウェット−オン−ウェ
ット方式で重ねる。即ち、軟磁性層または非磁性層用塗
料の塗布直後(未乾燥状態のとき)に最上層の磁性層用
磁性塗料を重層塗布する。前記押し出しコーターは、図
2に示した押し出しコーター15が本願発明においては
好ましい。押し出しコーター15から、軟磁性層または
非磁性層用塗料2と最上層の磁性層用磁性塗料3とを共
押し出しして、非磁性支持体1上に塗布する。
【0068】上記塗料に配合される溶媒あるいはこの塗
料の塗布時の希釈溶媒としては、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類;メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールセ
ノアセテート等のエステル類;グリコールジメチルエー
テル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テ
トラヒドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素;メチレンクロライ
ド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、
ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等のものが使
用できる。これらの各種の溶媒は単独で使用することも
できるし、またそれらの二種以上を併用することもでき
る。前記配向磁石あるいは垂直配向用磁石における磁場
は、20〜5,000ガウス程度であり、乾燥器による
乾燥温度は約30〜120℃であり、乾燥時間は約0.
1〜10分間程度である。
【0069】なお、ウェット−オン−ウェット方式で
は、リバースロールと押し出しコーターとの組み合わ
せ、グラビアロールと押し出しコーターとの組み合わせ
なども使用することができる。さらにはエアドクターコ
ーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スク
ィズコーター、含浸コーター、トランスファロールコー
ター、キスコーター、キャストコーター、スプレイコー
ター等を組み合わせることもできる。
【0070】このウェット−オン−ウェット方式におる
重層塗布においては、最上層の下側に位置する層が湿潤
状態になったままで最上層の磁性層を塗布するので、下
層の表面(即ち、最上層との境界面)が滑らかになると
ともに最上層の表面性が良好になり、かつ、上下層間の
接着性も向上する。この結果、特に高密度記録のために
高出力、低ノイズの要求される例えば磁気テープとして
の要求性能を満たしたものとなり、かつ、高耐久性の性
能が要求されることに対しても膜剥離をなくし、膜強度
が向上し、耐久性が十分となる。また、ウェット−オン
−ウェット重層塗布方式により、ドロップアウトも低減
することができ、信頼性も向上する。
【0071】−表面の平滑化− この発明においては、次にカレンダリングにより表面平
滑化処理を行うのも良い。その後は、必要に応じてバー
ニッシュ処理またはブレード処理を行なってスリッティ
ングされる。表面平滑化処理においては、カレンダー条
件として温度、線圧力、C/S(コーティングスピー
ド)等を挙げることができる。
【0072】この発明においては、通常、上記温度を5
0〜120℃、上記線圧力を50〜400kg/cm、
上記C/Sを20〜600m/分に保持することが好ま
しい。上記のように処理した結果の最上層の層厚は、
1.0μm以下、好ましくは0.8μm以下にする。層
厚が1.0μmを越えると、高域特性やオーバーライト
特性が劣化し、単層構成の磁気記録媒体と変わりのない
ものになり、この発明の目的を達成することができな
い。
【0073】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。以下に
示す成分、割合、操作順序はこの発明の範囲から逸脱し
ない範囲において種々変更しうる。なお、下記の実施例
において「部」はすべて重量部である。
【0074】以下の組成の磁性塗料を調製した。 〈最上層の磁性層用磁性塗料A〉 Co−Ti置換Ba−フェライト磁性粉 100部 (BET値=40m2 /g、 Hc=1,200 Oe、 平均板状比3.5、 平均粒子径50nm、 飽和磁化量65emu/g) 塩化ビニル系樹脂(日本ゼオン社製 MR110) 5部 スルホン酸金属塩含有ポリウレタン樹脂 3部 (東洋紡績(株)製、UR8700) Cr23 粉末 5部 カ−ボンブラック 0.5部 (平均粒子径40nm) ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 シクロヘキサノン 100部 以上の組成物を混練・分散した後に、ポリイソシアネー
ト化合物(コロネートL)5部を添加して調製した。
【0075】〈最上層の磁性層用磁性塗料B〉上記最上
層の磁性層用磁性塗料Aにおいて、Co−Ti置換Ba
−フェライト磁性粉に代えて、Fe−Zn−Ni合金
(保磁力Hc=1,200 Oe、BET値50m2
g、平均長軸長200nm)を使用した外は前記最上層
の磁性層用磁性塗料Aの調製と同様にして調製した。
【0076】〈最上層の磁性層用磁性塗料C〉上記最上
層の磁性層用磁性塗料Aにおいて、Co−Ti置換Ba
−フェライト磁性粉に代えて、Co−γ−Fe23
末(保磁力Hc=900 Oe、BET値40m2
g、平均長軸長300nm)を使用した外は前記最上層
の磁性層用磁性塗料Aの調製と同様にして調製した。
【0077】〈最上層の磁性層用磁性塗料D〉上記最上
層の磁性層用磁性塗料Aにおいて、Cr23 粉末の5
部を1部に代えた外は前記最上層の磁性層用磁性塗料A
の調製と同様にして調製した。
【0078】なお、強磁性粉の保持力Hcは、いずれも
外部磁場を1T(テラス)にてVSMにて測定した。
【0079】 〈下層の軟磁性層または非磁性層用塗料a〉 TiO2 粉末 100部 (平均粒子径30nm) 塩化ビニル樹脂(日本ゼオン社製 MR110) 5部 スルホン酸金属塩含有ポリウレタン樹脂 5部 (東洋紡績(株)製、UR8700) ミリスチン酸 1部 Al23 粉末 10部 (平均粒子径100nm、 新モース硬度12) ブチルステアレート 50部 トルエン 50部 シクロヘキサノン 50部 以上の組成物を混練・分散して調製した。
【0080】〈下層の軟磁性層または非磁性層用塗料
b〉前記下層の軟磁性層または非磁性層用塗料aにおい
て、Al23 粉末に代えてCr23 粉末(平均粒子
径100nm、新モース硬度8〜9)を使用した外は前
記下層の軟磁性層または非磁性層用塗料aの調製と同様
にして調製した。
【0081】〈下層の軟磁性層または非磁性層用塗料
c〉前記下層の軟磁性層または非磁性層用塗料aにおい
て、Al23 粉末に代えてZnO粉末(平均粒子径1
00nm、新モース硬度4〜4.5)を使用した外は前
記下層の軟磁性層または非磁性層用塗料aの調製と同様
にして調製した。
【0082】〈下層の軟磁性層または非磁性層用塗料
d〉前記下層の軟磁性層または非磁性層用塗料aにおい
て、Al23 粉末を使用しなかった外は前記下層の軟
磁性層または非磁性層用塗料aの調製と同様にして調製
した。
【0083】〈下層の軟磁性層または非磁性層用塗料
e〉前記下層の軟磁性層または非磁性層用塗料aにおい
て、TiO2 粉末(平均粒子径30nm)に代えてTi
2 粉末(平均粒子径100nm)を使用し、さらに、
Al23 粉末(平均粒子径100nm、新モース硬度
12)に代えてAl23 粉末(平均粒子径300n
m、新モース硬度12)を使用した外は前記下層の軟磁
性層または非磁性層用塗料aの調製と同様にして調製し
た。
【0084】〈下層の軟磁性層または非磁性層用塗料
f〉前記下層の軟磁性層または非磁性層用塗料aにおい
て、Al23 粉末(平均粒子径100nm、新モース
硬度12)に代えてAl23 粉末(平均粒子径30n
m、新モース硬度12)を使用した外は前記下層の軟磁
性層または非磁性層用塗料aの調製と同様にして調製し
た。
【0085】〈下層の軟磁性層または非磁性層用塗料
g〉前記下層の軟磁性層または非磁性層用塗料aにおい
て、Al23 粉末の10部を21部にした外は前記下
層の軟磁性層または非磁性層用塗料aの調製と同様にし
て調製した。
【0086】〈下層の軟磁軟層または非磁性層用塗料
h〉前記下層の軟磁性層または非磁性層用塗料aにおい
て、TiO2 粉末に代えて、水熱合成法にて生成した
(MnO)0.25(ZnO)0.25(Fe230.50粉末
(平均粒子径30nm)を使用した外は前記下層の軟磁
性層または非磁性層用塗料aの調製と同様にして調製し
た。
【0087】〈下層の軟磁性層または非磁性層用塗料
i〉前記下層の軟磁性層または非磁性層用塗料aにおい
て、TiO2 粉末に代えて、水熱合成法にて生成した
(NiO)0.15(ZnO)0.35(Fe230.50粉末
(平均粒子径30nm)を使用した外は前記下層の軟磁
性層または非磁性層用塗料aの調製と同様にして調製し
た。
【0088】(実施例1〜9および比較例1〜6)表1
に示された組成の塗膜構成により、ウエット−オン−ウ
エット方式で8mm幅の磁気記録媒体を作成した。この
磁気記録媒体につき、以下の評価試験を行った。
【0089】<C/N特性>市販の8mmビデオテープ
レコーダーを用いて9MHzの単一波を記録し、その信
号を再生した際の出力レベルを基準サンプル(比較例
1)との比較で表した。
【0090】<摩擦係数>走行性試験機を用いて、温度
20℃、湿度60%RHの雰囲気下での下記の条件にお
ける摩擦係数を測定した。 内部張力 20g テープ速度 1.43cm/sec <ヘッド汚れ>市販の8mmビデオテープレコーダーを
用いて、温度20℃、湿度60%RHの雰囲気下で50
passさせ、そのヘッドを光学顕微鏡を用いて観察し
た。評価は、Aを良しとし、Eを悪しとするところの、
A、B、C、D、Eの5段階評価で行なった。
【0091】<低温スチル>市販の8mmビデオテープ
レコーダーを用いてビデオ信号を録画した後、温度−1
0℃、湿度40%RHの雰囲気下でスチル再生(静止
画)を行ない、RF出力が2dB以上落ちるまでの時間
を測定した。評価は、10分間以上経過してもRF出力
の低下が見られなかったものを「OK」とし、RF出力
の低下が見られたものを「NG」とした。なお、「N
G」については、RF出力が2dB以上落ちるまでの時
間をも表1に記載した。以上の評価結果から、品質につ
いての総合的な評価を行なった。以上の評価結果を表1
に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
【発明の効果】この発明により、高域特性に優れ、信号
の重ね書き(オーバライト)特性、耐候性(耐腐食性)
および走行耐久性にも優れた磁気記録媒体を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ウエット−オン−ウエット塗布方式に
よる磁性層と、軟磁性層または非磁性層との重層塗布を
説明するための図である。
【図2】図2は、磁性層用磁性塗料と、軟磁性層または
非磁性層用塗料とを塗布するための押し出しコーターの
図である。
【符合の説明】
1 非磁性支持体 2 軟磁性層または非磁性層用塗料 3 最上層の磁性層用磁性塗料 10 押し出しコーター 11 押し出しコーター 13 液溜り部 14 液溜り部 15 押し出しコーター 32 供給ロール 33 配向用磁石または垂直配向用磁石 34 乾燥器 37 スーパーカレンダー装置 38 カレンダーロール 39 巻き取りロール

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、軟磁性層または非磁
    性層と、磁性層とを、この順に積層してなり、前記軟磁
    性層または非磁性層は、前記軟磁性層または非磁性層中
    における軟磁性粉または非磁性粉よりも大きい平均粒子
    径を有し、かつ、新モース硬度が6以上であるところ
    の、酸化物、炭化物および窒化物からなる群から選択さ
    れる少なくとも一種の微粉末を、前記軟磁性粉または非
    磁性粉に対して2〜20重量%の割合で含有してなるこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁性層に含有される強磁性粉が強磁
    性合金粉末である前記請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記磁性層に含有される強磁性粉が六方
    晶系フェライト微粉末である前記請求項1に記載の磁気
    記録媒体。
JP4044017A 1992-02-28 1992-02-28 磁気記録媒体 Withdrawn JPH05242455A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4044017A JPH05242455A (ja) 1992-02-28 1992-02-28 磁気記録媒体

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5792548A (en) * 1995-03-03 1998-08-11 Tdk Corporation Magnetic recording medium having a magnetic layer and an intermediate layer of specified composition
KR100893142B1 (ko) * 2008-08-26 2009-04-16 (주)디오텔레콤 분무수단을 구비한 휴대폰 외장재용 필름 코팅장치 및 이를이용한 필름 코팅방법
US7641990B2 (en) 2005-06-27 2010-01-05 Dowa Electronics Materials Co., Ltd. Iron compound particles and magnetic recording medium using same

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