JP3421481B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3421481B2
JP3421481B2 JP23344595A JP23344595A JP3421481B2 JP 3421481 B2 JP3421481 B2 JP 3421481B2 JP 23344595 A JP23344595 A JP 23344595A JP 23344595 A JP23344595 A JP 23344595A JP 3421481 B2 JP3421481 B2 JP 3421481B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
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  • Thin Magnetic Films (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体に関
し、詳しくはオーディオテープ、ビデオテープ、データ
テープ、フロッピーディスク、及びビデオフロッピー用
等として好適に用いられる磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来技術と問題点】従来、磁性層を単層から重層構成
にして、各記録波長に合った層構成にすることが知られ
ている。また、電磁変換特性の向上のため、下層を非磁
性として重層構造にした例が特開昭63−18741
8、特開昭63−191315等に記載されている。今
後求められるデジタルVTRでは、高域特性の向上、即
ち短波長領域での出力向上、オーバーライト特性の向
上、ノイズの低減等が重要なポイントとなる。これを達
成するためには記録媒体を重層構成にすることが必須で
あり、更に上層の磁性層の薄膜化と記録媒体の平滑化が
必要である。しかし、前記の特許公開公報に示される方
法だけでは、記録媒体表面の表面粗さを充分に低下させ
ることができず、結果的には高域特性の向上、ノイズの
低減ができない。
【0003】さらに、単に電磁変換特性を改善するだけ
なら、現在でも金属蒸着型磁気記録媒体が提案され、実
用化されている。しかし、塗布型媒体と比べ、信頼性が
低く、大量生産ができず、コストパフォーマンスに劣
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題点のない磁気記録媒体を提供することである。即
ち、 1.デジタル用磁気記録媒体及びその製造方法として好
適な、電磁変換特性及び、走行耐久性に優れる磁気記録
媒体を提供すること、 2.信頼性が高く、大量生産ができ、コストパフォーマ
ンスに優れた磁気記録媒体を提供すること、を目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、下記の構成を有する。 1.非磁性支持体上に非磁性粉末を結合剤中に分散させ
てなる下層を少なくとも一層設け、その上に強磁性粉末
を結合剤中に分散させてなる磁性層からなる最上層を設
けた磁気記録媒体において、前記磁性層に含まれる強磁
性粉末の平均長軸長が0.01〜0.06μmであり、
結晶子サイズが10〜150Åであり、針状比が2〜1
5であり、かつ該磁性層の不燃成分が、80〜95重量
%であり、更に前記下層が針状である非磁性粉末を含む
非磁性層であることを特徴とする磁気記録媒体。 2.前記下層に含まれる非磁性粉末の平均長軸長が0.
01以上〜0.06μm未満であり、針状比が2〜15
であり、かつ該非磁性粉末が、前記磁性層に含まれる強
磁性粉末よりも平均長軸長が小さいことを特徴とする前
記1に記載の磁気記録媒体。 3.前記磁性層に含まれる強磁性粉末の飽和磁化量(σ
s)が130〜170emu/gであり、抗磁力が20
00〜3000 Oe、該磁性層の飽和磁束密度(B
m)が4000〜7000ガウスであることを特徴とす
る前記1又は2に記載の磁気記録媒体。 4.前記磁性層の上にダイヤモンド構造を有する炭素薄
膜を形成することを特徴とする、前記1、2又は3に記
載の磁気記録媒体。
【0006】
【発明の実施の形態】塗布型磁気記録媒体では、金属微
粒子を用いるため、電磁変換特性において邪魔になるノ
イズの発生源が多々存在し、さらに金属蒸着型磁気記録
媒体と比べ単位体積当たりの磁束密度が小さく、磁気エ
ネルギー効率が劣る。そこで本発明者はノイズの発生
源、効率悪化の要因を極力無くし、磁気エネルギーの効
率を上げることが課題を解決する方法の一つであると考
えた。
【0007】本発明者は様々な改良を試み鋭意検討の結
果、前記問題点を解決する手段を見いだし、本発明に到
達した。 (層構成)本発明の磁気記録媒体は、基本的に、非磁性
支持体上に、非磁性層と磁性層とを形成してなる。な
お、非磁性支持体上の上記磁性層が設けられていない面
(裏面)には、磁気記録媒体の走行性、耐久性の向上、
帯電防止および転写防止などを目的として、バックコー
ト層を設けたり、筆記層や印字記録層を設けたり、偽造
防止層を設けることが好ましく、また非磁性層と非磁性
支持体との間には、下引き層を設けることもできる。ま
た、最上層の磁性層上に、必要に応じて、オーバーコー
ト層ないし薄膜を設けることもできる。
【0008】(非磁性支持体)前記非磁性支持体を形成
する材料としては、たとえばポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン−2、6−ナフタレート等のポリエス
テル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルロ
ーストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセ
ルロース誘導体、ポリアミド、ポリカーボネート等のプ
ラスチックなどを挙げることができる。
【0009】前記非磁性支持体の形態は特に制限はな
く、主にテープ状、フィルム状、シート状、カード状、
ディスク状、ドラム状などがある。
【0010】非磁性支持体の厚みには特に制約はない
が、たとえばフィルム状やシート状の場合は通常3〜1
00μm、好ましくは5〜50μmであり、ディスクや
カード状の場合は30μm〜10mm程度、ドラム状の
場合はレコーダー等に応じて適宜に選択される。
【0011】尚、この非磁性支持体は単独構造のもので
あっても多層構造のものであってもよい。また、この非
磁性支持体は、たとえばコロナ放電処理等の表面処理を
施されたものであってもよい。なお又、非磁性支持体上
の上記磁性層が設けられていない面(裏面)には、磁気
記録媒体の走行性の向上、帯電防止および転写防止など
を目的として、バックコート層を設けたり、筆記用層や
印字記録層を設けるのが好ましく、また磁性層と非磁性
支持体との間には、下引き層を設けることができること
は前記したとおりである。
【0012】(磁性層)本発明においては、磁性層は、
基本的には強磁性粉末をバインダー樹脂(結合剤)中に
分散せしめてなる。この磁性層には、公知の強磁性粉末
を用いることができるが、特に強磁性金属粉末や六方晶
系磁性粉を含有することが好ましい。また、磁性層の膜
厚は通常0.05〜1.0μmであり、好ましくは0.
05〜0.5μmであり、さらに好ましくは0.05〜
0.3μmである。
【0013】磁性層が複数の場合、各磁性層の膜厚は
0.05〜0.5μm以下、より好ましくは0.05〜
0.3μm以下、更に好ましくは0.05〜0.1μm
以下である。
【0014】本発明に係る磁気記録媒体において、磁性
層の不燃成分は80〜95重量%が好ましく、より好ま
しくは80〜90重量%である。
【0015】磁性層の不燃成分は、磁性層塗料の固形分
の重量を量り、それを用いて次式で表す。ここで固形分
とは磁性層塗料中の溶剤を除く成分をさす。
【0016】不燃成分(重量%)={(固形分中の磁性
粉(g)+研磨剤(g))/固形分(g)}×100 本発明の磁性層に用いられる強磁性粉末としては特別の
制限はなく、中でも強磁性金属粉末、六方晶系フェライ
ト粉末が好ましい。 (六方晶系フェライト粉末)六方晶系の磁性粉として
は、たとえば、六方晶系フェライトを挙げることができ
る。このような六方晶系フェライトは、バリウムフェラ
イト、ストロンチウムフェライト等からなり、鉄元素の
一部が他の元素(たとえば、Ti、Co、Zn、In、
Mn、Ge、Nb等)で置換されていても良い。このフ
ェライト磁性体については、IEEE Trans,o
n MAG−18 16(1982)に詳しく述べられ
ている。
【0017】本発明において、特に好ましい六方晶系の
磁性粉としては、板状であって板面に垂直な磁化容易軸
を有する強磁性粉末としてのバリウムフェライト(以下
Ba−フェライトと記す)磁性粉を挙げることができ
る。本発明で用いることのできる好ましいBa−フェラ
イト磁性粉は、Ba−フェライト粉の、Feの一部が少
なくともCoおよびZnで置換された平均粒径(六方晶
系フェライトの板面の対角線の高さ)300〜900
Å、板状比(六方晶系フェライトの板面の対角線の長さ
を板厚で除した値)2.0〜10.0、より好ましくは
2.0〜6.0、保磁力(Hc)450〜1500 O
eのBa−フェライトである。
【0018】Ba−フェライト粉は、FeをCoで一部
置換することにより、保磁力が適正な値に制御されてお
り、さらにZnで一部置換することにより、Co置換の
みでは得られない高い飽和磁化を実現し、高い再生出力
を有する電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を得ること
ができる。また、さらにFeの一部をNbで置換するこ
とにより、より高い再生出力を有する電磁変換特性に優
れた磁気記録媒体を得ることができる。また、この発明
に用いられるBa−フェライトは、さらにFeの一部が
Ti、In、Mn、Cu、Ge、Sn等の遷移金属で置
換されていても差支えない。
【0019】なお、本発明に使用するBa−フェライト
は次の一般式で表される。 BaO・n((Fe1−m) [ただし、m>0.36(ただし、Co+Zn=0.0
8〜0.3、Co/Zn=0.5〜10)であり、nは
5.4〜11.0であり、好ましくは5.4〜6.0で
あり、Mは置換金属を表し、平均価数が3となる2種以
上の元素の組合せになる磁性粒子が好ましい。] 本発明において、Ba−フェライトの平均粒径、板状
比、保磁力が前記好ましい範囲内にあると好ましいとす
る理由は、次の通りである。すなわち、平均粒径0.0
4μm未満の場合は、磁気記録媒体としたときの再生出
力が不十分となり、逆に0.1μmを超えると、磁気記
録媒体としたときの表面平滑性が著しく悪化し、ノイズ
レベルが高くなりすぎることがあり、また、板状比が
2.0未満では、磁気記録媒体としたときに高密度記録
に適した垂直配向率が得られず、逆に板状比が6.0を
越えると磁気記録媒体としたときの表面平滑性が著しく
悪化し、ノイズレベルが高くなりすぎ、さらに、保磁力
が450 Oe未満の場合には、記録信号の保持が困難
になり、1500 Oeを越えると、ヘッドが飽和を起
こし記録が困難になることがあるからである。
【0020】本発明に用いられる六方晶系の磁性粉は、
磁気特性である飽和磁化量(σs)が通常、50emu
/g以上であることが望ましい。この飽和磁化量が50
emu/g未満であると、電磁変換特性が劣化すること
がある。
【0021】本発明に用いられるBa−フェライトの好
ましい一具体例としては、Co−置換Baフェライトを
挙げることができる。
【0022】さらに本発明においては、記録の高密度化
に応じて、BET法による比表面積が30m/g以上
のBa−フェライト磁性粉を用いることが望ましい。
【0023】本発明に用いられる六方晶系の磁性粉を製
造する方法としては、たとえば目的とするBa−フェラ
イトを形成するのに必要な各元素の酸化物、炭酸化物
を、たとえばホウ酸のようなガラス形成物質とともに溶
融し、得られた融液を急冷してガラスを形成し、次いで
このガラスを所定温度で熱処理して目的とするBa−フ
ェライトの結晶粉を析出させ、最後にガラス成分を熱処
理によって除去するという方法のガラス結晶化法の他、
共沈−焼成法、水熱合成法、フラックス法、アルコキシ
ド法、プラズマジェット法等が適用可能である。
【0024】なお、本発明においては、強磁性金属粉末
と六方晶系の磁性粉とを混合して使用することもでき
る。磁性層中の強磁性金属粉末および/または六方晶系
の磁性粉の含有量は通常、50〜99重量%であり、好
ましくは60〜99重量%である。
【0025】磁気記録媒体としたときの再生出力を十分
とするには前記Ba−フェライトの平均粒径が300Å
以上であるのが好ましく、表面平滑性を向上させ、ノイ
ズレベルを低くするには900Å以下であるのが好まし
い。また板状比を2.0以上とすることで、磁気記録媒
体としたときの高密度記録に適した垂直配向率が得ら
れ、表面平滑性を向上させ、ノイズレベルを低くするた
めには、板状比が10.0以下であるのが好ましい。さ
らに記録信号の保持のためには保磁力が450Oe以上
が好ましく、ヘッドが飽和してしまうのを防ぐには15
00 Oe以下が好ましい。 (強磁性金属粉末)磁性層に用いられる強磁性金属粉末
としては、Fe、Coをはじめ、Fe−Al系、Fe−
Al−Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co
系、Fe−Al−Ca系、Fe−Ni系、Fe−Ni−
Al系、Fe−Ni−Co系、Fe−Ni−Si−Al
−Mn系、Fe−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−A
l−Si系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni−Mn
系、Fe−Ni−Si系、Fe−Mn−Zn系、Fe−
Co−Ni−P系、Ni−Co系、Fe、Ni、Co等
を主成分とするメタル磁性粉等の強磁性粉が挙げられ
る。中でも、Fe系金属粉が電気的特性に優れる。
【0026】他方、耐蝕性および分散性の点から見る
と、Fe−Al系、Fe−Al−Ca系、Fe−Al−
Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、F
e−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Ni−Si−A
l−Mn系などのFe−Al系金属粉が好ましい。
【0027】特に、この発明の目的に好ましい強磁性金
属粉は、鉄を主成分とする金属磁性粉であり、Alまた
は、AlおよびCaを、Alについては重量比でFe:
Al=100:0.5〜100:20、Caについては
重量比でFe:Ca=100:0.1〜100:10の
範囲で含有するのが望ましい。
【0028】Fe:Alの比率をこのような範囲にする
ことで耐蝕性が著しく改良され、またFe:Caの比率
をこのような範囲にすることで電磁変換特性を向上さ
せ、ドロップアウトを減少させることができる。電磁変
換特性の向上やドロップアウトの減少がもたらされる理
由は明らかでないが、分散性が向上することによる保磁
力のアップや凝集物の減少等が理由として考えられる。
【0029】本発明に用いられる好適な強磁性金属粉末
は、透過型電子顕微鏡により観測されるその平均長軸長
が0.06μm以下、好ましくは0.01〜0.05μ
m、更に好ましくは0.02〜0.05μmで、かつ、
軸比(平均長軸長/平均短軸長)が15以下、好ましく
は12以下、更に好ましくは2〜10である。また前記
強磁性金属粉末のX線粒径(結晶子サイズ)は150Å
以下、特に10〜100Åであるのが好ましい。平均長
軸長が前記値以下であると共にX線粒径、軸比が前記範
囲内にある強磁性金属粉末を使用することにより、高域
特性特に垂直記録成分の出力を高めることができるよう
になる。
【0030】尚、本発明で用いられる磁性粉や非磁性粉
の平均長軸長や数平均粒径(球状粒子の場合)は、透過
型電子顕微鏡写真により強磁性粉末または非磁性粉末の
500個の長軸長又は粒径(球状粒子の場合)を測定し
た平均値である。また結晶子サイズは、X線回折装置に
よりFeの(110)の回折線の積分幅を用いてSi粉
末を基準としたシェラー法で測定した。求め方について
は、X線回析の手引き(理学電気株式会社)に記載の方
法により、二重線による拡がりの補正については、77
ペイジに記載のA:Jonesによる補正(積分幅)に
より求めた。また軸比は電子顕微鏡写真で500個の粒
子の平均長軸長と平均短軸長を測定し(平均長軸長/平
均短軸長)として求めた。
【0031】また、本発明に用いられる強磁性金属粉末
は、その保磁力(Hc)が通常2000〜3000 O
eの範囲にあることが好ましい。この保磁力が2000
Oe未満であると、電磁変換特性が劣化することがあ
り、また保磁力が3000Oeを超えると、通常のヘッ
ドでは記録不能になることがあるので好ましくない。
【0032】また、上記強磁性粉末は、磁気特性である
飽和磁化量(σs)が通常、130〜170emu/g
であることが好ましい。さらに本発明においては、記録
の高密度化に応じて、BET法による比表面積で30m
/g以上、特に45m/g以上の強磁性金属粉末が
好ましく用いられる。
【0033】比表面積ならびにその測定方法について
は、「粉体の測定」(J.M.Dallavelle,
Clyeorr Jr.共著、牟田その他訳:産業図書
社刊)に詳述されており、また「化学便覧」応用編P1
170〜1171(日本化学会編:丸善(株)昭和41
年4月30日発行)にも記載されている。比表面積の測
定は、たとえば粉末を105℃前後で13分間加熱処理
しながら脱気して粉末に吸着されているもの除去し、そ
の後、この粉末を測定装置に導入して窒素の初期圧力を
0.5kg/mに設定し、窒素により液体窒素温度
(−105℃)で10分間測定を行なう。測定装置は例
えばカウンターソープ(湯浅アイオニクス(株)製)を
使用する。
【0034】前記強磁性金属粉末は、その構成元素とし
てFe、Al、および希土類元素の少なくとも1つを含
有し、好ましい希土類元素の原子は、Sm、Nd、Y、
Pr、Laからなる群より選択される1種以上の原子で
あることがより好ましい。
【0035】本発明における強磁性金属粉末は、その全
体組成におけるFe、Al及び、Sm、Nd、Y、P
r、Laからなる群より選択される1種以上の希土類元
素の存在比率が、Fe原子100重量部に対して、Al
原子は1〜20重量部であり、希土類元素は1〜16重
量部である。また、その表面におけるFe、Al、(好
ましくはSm、Nd、Y、Pr、Laからなる群より選
択される1種以上の)希土類元素の存在比率が、Fe原
子数100に対して、Al原子数は70〜300であ
り、希土類元素の原子数は0.5〜100であるのが好
ましい。
【0036】また、より好ましくは、強磁性金属粉末
が、その構成元素として更にNa及びCaを含有し、該
強磁性金属粉末全体における元素の重量比が、Fe原子
100重量部に対して、Na原子は0.1重量部未満で
あり、Ca原子は0.1〜2重量部であり、Al原子は
2〜10重量部であり、希土類元素は1〜8重量部であ
り、かつ、該強磁性金属粉末の表面を形成する元素の平
均存在比率は、Fe原子数100に対して、Na原子数
は2〜30であり、Ca原子数は5〜30であり、Al
原子数は70〜200であり、希土類元素の原子数は
0.5〜30である。
【0037】更に好ましくは、強磁性金属粉末が、その
構成元素として更にCo、NiおよびSiの中の少なく
とも一種を含有し、強磁性金属粉末全体における元素の
重量比が、Fe原子100重量部に対して、Co原子が
2〜50重量部であり、Ni原子が2〜20重量部であ
り、Si原子が0.3〜5重量部であり、Na原子が
0.1重量部未満であり、Ca原子が0.1〜2重量部
であり、Al原子が1〜20重量部であり、希土類元素
の原子が1〜16重量部であり、かつ該強磁性金属粉末
の表面を形成する元素の平均存在比率が、Fe原子数1
00に対して、Co原子数が0.1未満であり、Ni原
子数が0.1未満であり、Si原子数が20〜130で
あり、Na原子数が2〜30であり、Ca原子数が5〜
30であり、Al原子数が70〜300であり、希土類
元素の原子数は0.5〜100である。
【0038】(非磁性層)本発明における下層の非磁性
層には公知の非磁性粉末を適宜選択して使用することが
できる。非磁性粉末としては、この種磁気記録媒体に使
用される公知の各種の非磁性粉末から、適宜に選択して
使用することが好ましい。好ましくは、Coを含有する
非磁性金属酸化物又は非磁性金属水酸化物を用いること
である。
【0039】非磁性粉末としては、例えば、カーボンブ
ラック、グラファイト、酸化チタン、硫酸バリウム、Z
nS、MgCo、CaCo 、ZnO、CaO,二
硫化タングステン、二硫化モリブデン、窒化ホウ酸、M
gO、SnO、SiO、Cr、α−Al
、α−Fe、α−FeOOH、SiC、酸化セ
リウム、コランダム、人造ダイヤモンド、α−酸化鉄、
ザクロ石、ガーネット、ケイ石、窒化ケイ素、窒化ホウ
素、炭化ケイ素、炭化モリブデン、炭化ホウ素、炭化タ
ングステン、チタンカーバイド、トリポリ、ケイソウ
土、ドロマイトや、ポリエチレン等のポリマー粉末等を
挙げることができる。
【0040】これらの中でも好ましいのは、酸化チタ
ン、硫酸亜鉛 、α−Fe、α−FeOOH等の
無機粉末であり、、その中でもα−Fe、α−F
eOOHが好ましく、特に好ましいのはα−Fe
である。
【0041】前記したCoを含有する非磁性金属酸化物
又は非磁性金属酸化物を得るには、公知の方法によりC
oを金属酸化物又は金属水酸化物の内部に含有させた
り、表面にCoを被着させることにより行うことができ
る。
【0042】例えばα−FeにCoを含有させる
場合について説明すると、具体的には硫酸コバルト、塩
化コバルト等のCo化合物を用い、この水溶液をオキシ
水酸化鉄のスラリーに攪拌混合することにより行うこと
ができる。また、α−Feと硫酸コバルト、塩化
コバルト等のCo化合物の水溶液とを反応させることに
より表面にCo被着したα−Feを得る方法によ
ってもよい。
【0043】本発明で下層に使用されるα−Fe
においてCoをFeに対して0.5〜50重量%含有す
るのが好ましいが、0.5〜30重量%含有するのがよ
り好ましい。
【0044】又表面組成については、該α−Fe
を表層部にFeとCoの原子数比で100:10〜10
0:300の比で含有するのが好ましく、100:20
〜100:200の比で含有するのがより好ましい。
【0045】本発明においては、粉末の形状が針状であ
る非磁性粉末を好適に使用することができる。前記針状
の非磁性粉末を用いると、非磁性層の表面の平滑性を向
上させることができ、その上に積層される磁性層からな
る最上層における表面の平滑性も向上させることができ
る。
【0046】なお、ここでいう非磁性層とは、完全に非
磁性である層(飽和磁束密度Bmが0)のほかに実質的
に非磁性である層(わずかに磁性をおびた層のことで、
Bmが0.01〜100ガウス、好ましくは0.01〜
50ガウス、Hcが200〜1000エルステッド)も
含まれるものとする。特に下層のフィラーとして針状の
α−Feを用いる場合は、層のBmが通常0.0
1〜100ガウス程度となるが、この場合も、本発明で
いうところの非磁性層とよぶこととする。
【0047】非磁性層の厚みとしては、通常0.2〜
3.0μmであり、好ましくは0.5〜2.5μmであ
る。前記厚みが3.0μm以下であると、重層後の上層
表面の表面粗さが上昇する、いわゆる重層面粗れが発生
しにくく、好ましい電磁変換特性が得られる。一方、
0.2μm以上であると、カレンダ時に高い平滑性を得
ることができ、電磁変換特性が良好となる。
【0048】非磁性粉末の形状、軸比をコントロールす
るには、出発物質となる原体の選択や、酸化還元条件の
選択、焼結防止剤の選択等、公知の方法を組み合わせる
ことで行うことができる。
【0049】本発明の下層に用いる前記針状の非磁性粉
末の長軸径、又は針状でない非磁性粉末の数平均粒径は
0.01〜0.06μmであり、好ましくは0.01〜
0.05μmであり、特に好ましくは0.01〜0.0
4μmである。
【0050】前記針状の非磁性粉の軸比としては、通常
2〜15であり、好ましくは5〜12であり、特に好ま
しくは5〜10である。ここでいう軸比とは、短軸径に
対する長軸径の比(長軸径/短軸径)のことをいう。
【0051】前記非磁性粉末の比表面積としては、通常
10〜250m/gであり、好ましくは20〜150
/gであり、特に好ましくは30〜100m/g
である。
【0052】前記範囲の長軸径、短軸径、軸比及び比表
面積を有する非磁性粉末を使用すると、非磁性層の表面
性を良好にすることができると共に、磁性層である最上
層の表面性も良好な状態にすることができる点で好まし
い。
【0053】本発明において、前記非性粉末が、Si化
合物及び/又はAl化合物により表面処理されているこ
とが好ましい。かかる表面処理のなされた非磁性粉末を
用いると磁性層である最上層の表面状態を良好にするこ
とができる。前記Si及び/又はAlの含有量として
は、前記非磁性粉末に対して、Siが0.1〜10重量
%、Alが0.1〜10重量%であるのが好ましく、よ
り好ましくはSiが0.1〜5重量%、Alが0.1〜
5重量%であり、特にSiが0.1〜2重量%、Alが
0.1〜2重量%であるのがよい。又、非磁性粉末の場
合は、Si、Alの重量比がSi<Alであるのがよ
い。表面処理に関しては特開平2−83219号に記載
された方法により行うことができる。
【0054】前記非磁性粉末の下層中における含有量と
しては、下層を構成する全成分の合計に対して、通常5
0〜99重量%であり、好ましくは60〜95重量%で
あり、特に好ましくは70〜95重量%である。非磁性
粉末の含有量が前記範囲内にあると、磁性層である最上
層及び下層の表面状態を良好にすることができる。
【0055】−カーボン− 本発明の非磁性層には、カーボンブラックAを含有せし
めることが好ましい。非磁性層に含有させるカーボンブ
ラックAとしては、DBP吸油量20ml/100g〜
110ml/100gのカーボンブラックが好ましく、
例えばコロンビアンカーボン社製Raven5000
(12nm、95ml/100g)、Raven125
5(23nm、58ml/100g)、Raven10
35(27nm、60ml/100g)、Raven2
000(18nm、70ml/100g)、キャボット
社製ブラックパール1400(13nm、80ml/1
00g)、ブラックパール1300(13nm、91m
l/100g)、ブラックパール1100(14nm、
50ml/100g)、ブラックパール900(15n
m、64ml/100g)、ブラックパールL(24n
m、55ml/100g)レーガル400(25nm、
70ml/100g)等がある。
【0056】磁性層に含有させるカーボンブラックBと
しては、DBP吸油量110ml/100g〜500m
l/100gのカーボンブラックが好ましく、例えば旭
カーボンブラック社製旭#80(23nm、113ml
/100g)、コロンビアンカーボン社製コンダクテッ
クスSC(17nm、115ml/100g)、コンダ
クテックス975(20nm、183ml/100
g)、キャボット社製モナーク1300(13nm、1
21ml/100g)、バルカンXC−72(30n
m、178ml/100g)、バルカンP(20nm、
116ml/100g)、バルカン9(19nm、11
4ml/100g)、ブラックパールズ2000(15
nm、330ml/100g)等がある。
【0057】磁性層に含まれるカーボンブラックBとし
ては、磁性層の表面を平滑にし、高出力を得る目的から
その数平均粒径は40〜500nmであることが好まし
く、より好ましくは50〜400nmである。
【0058】非磁性層に含まれるカーボンブラックAに
ついても上層の磁性層が薄膜化するにつれ、上層の磁性
層の表面性は下層の表面性に大きく依存してくる。この
ため、下層の非磁性層に含まれるカーボンブラックAの
特性は極めて重要であり、数平均粒径が10〜40nm
でありかつ吸油量がDBT値で20ml/100g〜1
00ml/100gであるカーボンブラックを選択する
ことが、非磁性層の分散性を向上し、良好な表面性をう
るために好ましい。
【0059】なおここでカーボンブラックAの数平均粒
径は好ましくは10〜40nmであり、より好ましくは
10〜30nmである。またカーボンブラックAの吸油
量はDBP値で30〜90ml/100gであるのが好
ましく、40〜80ml/100gであるのがより好ま
しい。
【0060】磁性層に含まれるカーボンブラックBの重
量は磁性粉に対して0.1〜5.0重量%であるのが好
ましく、0.2〜2.0重量%であるのがより好まし
い。非磁性層に含まれるカーボンブラックAの重量は非
磁性粉に対して1.0〜15重量%であるのが好まし
く、1.0〜10重量%であるのがより好ましい。
【0061】カーボンブラックBの吸油量はDBP値で
110〜500ml/100gであるのが好ましく、1
30〜350ml/100gであるのがより好ましい。
【0062】カーボンブラックの添加法は種々変更でき
る。例えば、カーボンブラックの微粒子、粗粒子を同時
に分散機に投入して混合してもよく、その一部のみを先
に投入し、分散がある程度進んだ時点で残量を投入する
方法をとってもよい。カーボンブラックの分散を特に重
視する場合には、カーボンブラックを磁性体或はフィラ
ーとバインダと共に三本ロールミル、バンバリミキサ等
によって混練し、この後に分散機で分散して塗料とする
こともできる。磁性層以外の層のように、導電性をより
重視するときは、できるだけ分散工程、調液工程の後半
でカーボンブラックを加えるようにすると、カーボンブ
ラックのストラクチャー構造が切断されにくい。
【0063】カーボンブラックを予めバインダと共に混
練しておいたいわゆる“カーボンマスターパッチ”を利
用してもよい。
【0064】ここで、上記のカーボンブラックの粒径は
電子顕微鏡により目視で直接測定する。すなわち、磁気
記録媒体、例えばテープを長手方向に厚さ約700Åに
切断し、得られた断面を透過型電子顕微鏡で観察する
(印加電圧200KV、倍率=60,000)。この場
合、カーボンブラックを1個ずつ粒子の直径を測定し、
N=100個の数平均粒径を「数平均粒径」とする。
【0065】また上記の「吸油量(DBP法)」につい
ては、顔料粉末100gにDBP(Dibutylph
thalate)を少しずつ加え、練り合わせながら顔
料の状態を観察し、ばらばらに分散した状態から一つの
塊をなす点を見出したときのDBPのml数をDBP吸
油量とする。
【0066】(バインダー)磁性層及び非磁性層を形成
するのに使用されるバインダー(結合剤)としては、例
えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系樹脂
等が代表的なものであり、これらの樹脂は−SO3 M、
−OSO3 M、−COOM、−PO(OM及び−
OPO(OMから選ばれた少なくとも一種の極性
基を含むことが好ましい。ただし、上記極性基におい
て、Mは水素原子あるいはNa、K、Li等のアルカリ
金属を表わし、またM1 は水素原子、Na、K、Li等
のアルカリ原子あるいはアルキル基を表す。
【0067】上記極性基は強磁性粉末の分散性を向上さ
せる作用があり、各樹脂中の含有率は0.1〜8.0モ
ル%、好ましくは0.5〜6.0モル%である。この含
有率が0.1モル%未満であると、強磁性粉末の分散性
が低下し、また含有率が8.0モル%を超えると、磁性
塗料がゲル化し易くなる。なお、前記各樹脂の重量平均
分子量は、15,000〜50,000の範囲が好まし
い。
【0068】結合剤(バインダー)の磁性層における含
有率は、強磁性粉末100重量部に対して通常、10〜
40重量部、好ましくは15〜30重量部である。結合
剤(バインダー)は一種単独に限らず、二種以上を組み
合わせて用いることができるが、この場合、ポリウレタ
ンおよび/またはポリエステルと塩化ビニル系樹脂との
比は、重量比で通常、90:10〜10:90であり、
好ましくは70:30〜30:70の範囲である。
【0069】本発明に結合剤として用いられる極性基含
有塩化ビニル系共重合体は、たとえば塩化ビニル−ビニ
ルアルコール共重合体など、水酸基を有する共重合体と
下記の極性基および塩素原子を有する化合物との付加反
応により合成することができる。
【0070】Cl−CH2 CH2 SO3 M、Cl−CH
2 CH2 OSO3 M、Cl−CH2COOM、Cl−C
2 −P(=0)(OM12 これらの化合物からCl−CH2 CH2 SO3 Naを例
にとり、上記反応を説明すると、次のようになる。 −CH2 C(OH)H−+ClCH2 CH2 SO3 Na
→−CH2 C(OCH2 CH2 SO3 Na)H−。
【0071】また、極性基含有塩化ビニル系共重合体
は、極性基を含む繰り返し単位が導入される不飽和結合
を有する反応性モノマーを所定量オートクレーブ等の反
応容器に仕込み、一般的な重合開始剤、たとえばBPO
(ベンゾイルパーオキシド)、AIBN(アゾビスイソ
ブチロニトリル)等のラジカル重合開始剤、レドックス
重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いて重合反応
を行なうことにより、得ることができる。
【0072】スルホン酸又はその塩を導入するための反
応性モノマーの具体例としては、ビニルスルホン酸、ア
リルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、p−スチレン
スルホン酸等の不飽和炭化水素スルホン酸及びこれらの
塩を挙げることができる。
【0073】カルボン酸もしくはその塩を導入するとき
は、例えば(メタ)アクリル酸やマレイン酸等を用い、
リン酸もしくはその塩を導入するときは、例えば(メ
タ)アクリル酸−2−リン酸エステルを用いればよい。
【0074】塩化ビニル系共重合体にはエポキシ基が導
入されていることが好ましい。このようにすると、重合
体の熱安定性が向上するからである。
【0075】エポキシ基を導入する場合、エポキシ基を
有する繰り返し単位の共重合体中における含有率は、1
〜30モル%が好ましく、1〜20モル%がより好まし
い。エポキシ基を導入するためのモノマーとしては、た
とえばクリシジルアクリレートが好ましい。
【0076】なお、塩化ビニル系共重合体への極性基の
導入技術に関しては、特開昭57−44227号、同5
8−108052号、同59−8127号、同60−1
01161号、同60−235814号、同60−23
8306号、同60−238371号、同62−121
923号、同62−146432号、同62−1464
33号等の公報に記載があり、この発明においてもこれ
らを利用することができる。
【0077】次に、この発明に用いるポリエステルとポ
リウレタンの合成について述べる。一般に、ポリエステ
ルはポリオールと多塩基酸との反応により得られる。こ
の公知の方法を用いて、ポリオールと一部に極性基を有
する多塩基酸から、極性基を有するポリエステル(ポリ
オール)を合成することができる。
【0078】極性基を有する多塩基酸の例としては、5
−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−
スルホイソフタル酸、3−スルホフタル酸、5−スルホ
イソフタル酸ジアルキル、2−スルホイソフタル酸ジア
ルキル、4−スルホイソフタル酸ジアルキル、3−スル
ホイソフタル酸ジアルキルおよびこれらのナトリウム
塩、カリウム塩を挙げることができる。
【0079】ポリオールの例としては、トリメチロール
プロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチ
ロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリス
リトール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1.3−ブタンジオール、1.4−ブタンジオー
ル、1.6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができ
る。なお、他の極性基を導入したポリエステルも公知の
方法で合成することができる。
【0080】次に、ポリウレタンに付いて述べる。これ
は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応から得ら
れる。ポリオールとしては、一般にポリオールと多塩基
酸との反応によって得られるポリエステルポリオールが
使用されている。したがって、極性基を有するポリエス
テルポリオールを原料として用いれば、極性基を有する
ポリウレタンを合成することができる。
【0081】本発明においては芳香環を有するポリエス
テルポリオール及び/又は環状炭化水素残基含有ポリエ
ステルポリオールを用いて作られた芳香族ポリエステル
ポリウレタンを用いることが本発明の目的を達成する上
で好ましい。
【0082】ポリイソシアネートの例としては、ジフェ
ニルメタン−4−4′−ジイソシアネート(MDI)、
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリレ
ンジイソシアネート(TDI)、1.5−ナフタレンジ
イソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート
(TODI)、リジンイソシアネートメチルエステル
(LDI)等が挙げられる。
【0083】また、極性基を有するポリウレタンの他の
合成方法として、水酸基を有するポリウレタンと極性基
および塩素原子を有する下記の化合物との付加反応も有
効である。 Cl−CH2 CH2 SO3 M、Cl−CH2 CH2 OS
2 M、Cl−CH2 COOM、Cl−CH2 −P(=
0)(OM12 なお、ポリウレタンへの極性基導入に関する技術として
は、特公昭58−41565号、特開昭57−9242
2号、同57−92423号、同59−8127号、同
59−5423号、同59−5424号、同62−12
1923号等の公報に記載があり、この発明においても
これらを利用することができる。
【0084】この発明においては、結合剤として下記の
樹脂を全結合剤の20重量%以下の使用量で併用するこ
とができる。その樹脂としては、重量平均分子量が1
0,000〜200,000である、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエ
ン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリ
ビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロー
ス等)、スチレン−ブタジエン共重合体、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキ
シ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルム
アミド樹脂、各種の合成ゴム系樹脂等が挙げられる。
【0085】(その他の成分)本発明では磁性層、その
他の層の品質の向上を図るため、耐久性向上剤、分散
剤、潤滑剤、研磨剤等の添加剤をその他の成分として含
有させることができる。
【0086】耐久性向上剤としては、ポリイソシアネー
トを挙げることができ、ポリイソシアネートとしては、
たとえばトリレンジイソシアネート(TDI)等と活性
水素化合物との付加体などの芳香族ポリイソシアネート
と、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等と
活性水素化合物との付加体などの脂肪族ポリイソシアネ
ートがある。ポリイソシアネートの重量平均分子量は、
100〜3,000の範囲にあることが望ましい。
【0087】本発明では、磁性層及びその他の各層に必
要に応じて分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤および
充填剤などの添加剤を含有させることができ、以下、こ
の点について説明する。まず、分散剤としては、例えば
特開平4−214218号の段落番号0093に記載の
ものなどを挙げることができる。これらの分散剤は、通
常、強磁性粉に対して0.5〜5重量%の範囲で用いら
れる。
【0088】次に、潤滑剤としては、脂肪酸および/ま
たは脂肪酸エステルを使用することができる。この場
合、脂肪酸の添加量は主として用いられる強磁性粉や非
磁性粉に対し0.2〜10重量%が好ましく、0.5〜
5重量%がより好ましい。添加量が0.2重量%未満で
あると、走行性が低下し易く、また10重量%を超える
と、脂肪酸が磁性層の表面にしみ出したり、出力低下が
生じ易くなる。
【0089】また、脂肪酸エステルの添加量も主として
用いられる強磁性粉や非磁性粉に対して0.2〜10重
量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。そ
の添加量が0.2重量%未満であると、スチル耐久性が
劣化し易く、また10重量%を超えると、脂肪酸エステ
ルが磁性層の表面にしみ出したり、出力低下が生じ易く
なる。
【0090】脂肪酸と脂肪酸エステルとを併用して潤滑
効果をより高めたい場合には、脂肪酸と脂肪酸エステル
は重量比で10:90〜90:10が好ましい。脂肪酸
としては一塩基酸であっても二塩基酸であってもよく、
炭素数は6〜30が好ましく、12〜22の範囲がより
好ましい。
【0091】脂肪酸の具体例としては、カプロン酸、カ
プリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノレ
ン酸、オレイン酸、エライジン酸、ベヘン酸、マロン
酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、
ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1.12−ド
デカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸などが挙げ
られる。
【0092】脂肪酸エステルの具体例としては、オレイ
ルオレート、イソセチルステアレート、ジオレイルマレ
ート、ブチルステアレート、ブチルパルミテート、ブチ
ルミリステート、オクチルミリステート、オクチルパル
ミテート、ペンチルステアレート、ペンチルパルミテー
ト、イソブチルオレエート、ステアリルステアレート、
ラウリルオレエート、オクチルオレエート、イソブチル
オレエート、エチルオレエート、イソトリデシルオレエ
ート、2−エチルヘキシルステアレート、2−エチルヘ
キシルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソ
プロピルミリステート、ブチルラウレート、セチル−2
−エチルヘキサレート、ジオレイルアジペート、ジエチ
ルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソデシル
アジペート、オレイルステアレート、2−エチルヘキシ
ルミリステート、イソペンチルパルミテート、イソペン
チルステアレート、ジエチレングリコール−モノ−ブチ
ルエーテルパルミテート、ジエチレングリコール−モノ
−ブチルエーテルパルミテートなどが挙げられる。
【0093】本発明では非磁性層に不飽和脂肪酸と不飽
和アルコールからなる脂肪酸エステル又はグリセリンエ
ステルが含有されることが好ましい。前記脂肪酸エステ
ルとして好ましいものとしてはオレイルオレートがあ
り、グリセリンエステルとして特に好ましいものとして
はグリセリントリオレートがある。
【0094】グリセリンエステルは次の一般式で表され
るものが好ましい。
【0095】
【化1】
【0096】(但し、R、R、Rのうち少なくと
も1つは炭素原子数6〜30の一塩基性脂肪酸残基であ
り、それ以外は水素原子であってよく、またR
、Rは互いに同一であっても異なっていてもよ
い。より好ましくは、R、R、Rの少なくとも一
つの一塩基脂肪酸残基の炭素原子数が10〜22であ
る。) このグリセリンエステルは具体的には次のものが望まし
い。 (1)グリセリンとパルミチン酸(炭素原子数16)と
のエステル(但し、エステルはモノエステル、ジエステ
ル、トリエステルの何れであってもよい(以下同様)) (2)グリセリンとステアリン酸(炭素原子数18)と
のエステル (3)グリセリンとオレイン酸(炭素原子数18で一つ
の不飽和炭素−炭素2重結合を含む)とのエステル (4)グリセリンとリノール酸(炭素原子数18で二つ
の不飽和炭素−炭素2重結合を含む)とのエステル (5)グリセリンとラウリン酸(炭素原子数10)との
エステル (6)グリセリンとミリスチン酸(炭素原子数14)と
のエステル (7)グリセリンとパルミチン酸(炭素原子数16)と
のエステル (8)グリセリンとイソステアリン酸(炭素原子数1
8)とのエステル (9)グリセリンとベヘン酸(炭素原子数22)とのエ
ステル (10)2−エチルヘキサン酸トリグリセライド (11)ベヘニン酸モノグリセライド (12)オレイン酸ステアリン酸モノジグリセライド (13)ジアセチルカプリン酸グリセライド (14)ジアセチルヤシ脂肪酸グリセライド (15)アセチルステアリン酸グリセライド (16)ジアセチルカプリン酸グリセライド (17)ジアセチルヤシ脂肪酸グリセライド (18)カプリル酸モノジグリセライド (19)アセチルステアリン酸グリセライド (20)カプリル酸トリグリセライド (21)脂肪酸(C,C10)トリグリセライド (22)オリーブ油(天然物であり、各種グリセリンエ
ステルの混合物) 以上において、2種以上のグリセリンエステルを併用し
てもよい。
【0097】本発明においては、グリセリンエステルに
加えて、ソルビタン等の他の多価アルコールのエステル
を併用してもよい。
【0098】このような不飽和脂肪酸と不飽和アルコー
ルとのエステルにおける不飽和脂肪酸成分としては、オ
レイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸等の
好適なものとして挙げられ、中でもオレイン酸が最も好
ましいものとして挙げられる。また、不飽和アルコール
成分としては、オレイルアルコール等が挙げられる。こ
れらの不飽和脂肪酸成分と不飽和アルコール成分とのエ
ステルの具体例としては、例えば、オレイン酸オレイ
ル、エライジン酸オレイル、リノール酸オレイル、リノ
レン酸オレイル等が挙げられる。
【0099】本発明では非磁性層に更に潤滑剤としてR
C=OO(CHRCHR O)(Rは炭
素数が11〜22の直鎖又は分岐の炭化水素基、R
はH又はCH、1≦n≦10、Rは炭素数が1
〜22の飽和又は不飽和の炭化水素基)が含有されてい
ることが好ましい。更に脂肪酸エステルとしてROC
=OR(ここにおいてRは炭素数が1〜18の直鎖
又は分岐炭化水素基、Rは炭素数が11〜22の直鎖
又は分岐の炭化水素基)が含有されていることが好まし
い。このように数種類の異なる脂肪酸エステル及びグリ
セリンエステルを非磁性層に含有させることで上層の磁
性層へこれらの潤滑剤が適宜補給されていき、高温から
低温に至る幅広い環境下で安定な潤滑作用が発揮され、
耐久性が格段に向上する。前記の非磁性層には脂肪酸エ
ステル及びグリセリンエステルに加え更に融点の異なる
複数の脂肪酸が含有されていることが耐久性を向上させ
る点で更に好ましい。このような多数の異なる潤滑剤を
組み合わせたハイブリッドな潤滑剤システムを用いるこ
とは従来に比べ格段の高密度化と高耐久性、エラーレー
トの向上した高密度磁気ディスク媒体の実現には重要な
技術である。
【0100】また、上記脂肪酸、脂肪酸エステル以外の
潤滑剤として、例えばシリコーンオイル、グラファイ
ト、弗化カーボン、二硫化モリブデン、二硫化タングス
テン、脂肪酸アミド、α−オレフィンオキサイドなども
使用することができる。
【0101】次に、研磨剤の具体例としては、α−アル
ミナ、溶融アルミナ、酸化クロム、酸化チタン、α−酸
化鉄、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化タングステン、炭
化モリブデン、炭化ホウ素、コランダム、酸化亜鉛、酸
化セリウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素などが挙げ
られる。研磨剤の数平均粒子径は0.05〜0.6μm
が好ましく、0.1〜0.3μmがより好ましい。
【0102】次に、帯電防止剤としては、カーボンブラ
ック、グラファイト等の導電性粉末;第四級アミン等の
カチオン界面活性剤;スルホン酸、硫酸、リン酸、リン
酸エステル、カルボン酸等の酸基を含むアニオン界面活
性剤;アミノスルホン酸等の両性界面活性剤;サポニン
等の天然界面活性剤等を挙げることができる。上述した
帯電防止剤は、通常、結合剤に対して0.01〜40重
量%の範囲で添加される。
【0103】(オーバーコート層)本発明において、オ
ーバーコート層には潤滑剤として、前記潤滑剤と同じも
のが使用できる。潤滑剤を用いたオーバーコート塗料を
作成する溶媒としては、磁性塗料を作成するときと同様
のシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、トルエン等
を使用することができる。オーバーコート塗料中の潤滑
剤の濃度としては、溶媒に対し、0.1〜20重量%が
好ましい。さらに好ましくは0.2〜10重量%であ
る。0.1重量%未満だとオーバーコート層として意味
がなくなり、20重量%を超えると潤滑剤が多すぎ、塗
膜が弱くなる。オーバーコート層の膜厚としては、5〜
300Åが好ましく、10〜200Åがより好ましい。
【0104】オーバーコート層を塗設する場合には、潤
滑剤を記録媒体表面に遍在化させるのが目的であるた
め、潤滑剤は強磁性粉末、非磁性粉末に吸着する最低限
でよく、潤滑剤添加量は強磁性粉末、非磁性粉末に対
し、0.1〜5重量%が好ましく、0.2〜3重量%が
より好ましい。潤滑剤を脂肪酸とした場合、添加量は強
磁性粉末、非磁性粉末に対し、0.1〜5重量%が好ま
しく、0.2〜3重量%がより好ましい。潤滑剤を脂肪
酸エステルとした場合も同様に、添加量は強磁性粉末、
非磁性粉末に対し、0.1〜5重量%が好ましく、0.
2〜3重量%がより好ましい。
【0105】(ダイヤモンド構造を有する炭素薄膜層)
本発明においては、記録媒体表面にダイヤモンド構造を
有する炭素薄膜層(以下DLC層と呼ぶ)を形成するこ
とができる。DLC層はプラズマCVD装置を使用し
て、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ベンゼン等の
炭化水素ガス分解により作成することができる。前記D
LC層は、電子構造はSP2及びSP3であり、ダイヤ
モンド結合を含むアモルファス状態からなる膜であっ
て、これはラマン分析、TEM制限視野回折及びESC
Aによる結合エネルギーの測定から判断することができ
る。さらにビッカース硬度は、Hv=2000〜300
0(kg/mm)と高く、(NEC製 MHA−40
0で測定)、耐摩耗性に優れている。
【0106】前記DLC層の膜厚は、好ましくは20〜
100Å、より好ましくは20〜50Åである。20Å
未満では、スチル耐久性に効果が少なく、逆に100Å
を超えるとスペーシング損失が増大し、出力の低下をも
たらす。
【0107】(磁気記録媒体の製造)本発明の磁気記録
媒体は上層の積層を、下層が湿潤状態にあるときに行う
所謂ウエット−オン−ウエット方式で塗設するのが好ま
しい。このウエット−オン−ウエット方式は、公知の重
層構造型の磁気記録媒体の製造に使用される方法を適宜
に採用することができる。
【0108】本発明においては、Wet−on−wet
塗布法を用いることが好ましい以外は、その製造方法に
特に制限はなく、公知の重層構造型の磁気記録媒体の製
造に使用される方法に準じて製造することができる。た
とえば、一般的には強磁性粉末、結合剤、分散剤、潤滑
剤、研磨剤、帯電防止剤等を溶媒中で混練及び分散して
磁性塗料を調整した後、この磁性塗料を非磁性支持体上
に塗設された非磁性層の表面に塗布する。
【0109】上記溶媒としては、たとえば特開平4−2
14218号の段落番号0119に記載のもの等を用い
ることができる。
【0110】磁性層やその他の層の形成成分の混練分散
にあたっては、各種の混練分散機を使用することができ
る。この混練分散機としては、たとえ特開平4−214
218号の段落番号0112に記載のものなどが挙げら
れる。上記混練分散機のうち、0.05〜0.5KW
(磁性粉1Kg当たり)の消費電力負荷を提供すること
のできる混練分散機は、加圧ニーダー、オープンニーダ
ー、連続ニーダー、二本ロールミル、三本ロールミルで
ある。
【0111】非磁性支持体上に磁性層やその他の各層を
塗布するには、本発明の磁気記録媒体の製造に当たって
は、特に効果の点からウェット−オン−ウェット重層塗
布方式による同時重層塗布を行なうことが好ましい。
【0112】非磁性支持体上に、構成層を塗布するに
は、具体的には、図1に示すように、まず供給ロール1
から繰り出したフィルム状支持体2に、エクストルージ
ョン方式の押出しコータ12、13により、各塗料をウ
ェット・オン・ウェット方式で重層塗布した後、配向用
磁石又は斜め配向用磁石7に通過し、乾燥器5に導入
し、ここで上下に配したノズルから熱風を吹き付けて乾
燥する。次に、乾燥した各塗布層付きの支持体2をカレ
ンダロール10の組合せからなるスーパーカレンダ装置
9に導き、ここでカレンダ処理した後に、巻取ロール1
1に巻き取る。このようにして得られた磁性フィルムを
所望幅のテープ状に裁断して例えば8mmビデオカメラ
用磁気記録テープを製造することができる。
【0113】上記の方法において、各塗料は、図示しな
いインラインミキサを通して押出しコータ12、13へ
と供給してもよい。なお、図中、矢印は非磁性ベースフ
ィルムの搬送方向を示す。押出しコータ12、13には
夫々、液溜まり部16が設けられ、各コータからの塗料
をウェット・オン・ウェット方式で重ねる。即ち、下層
構成層塗料の塗布直後(未乾燥状態のとき)逐次、最終
的には上層磁性層塗料及び潤滑剤層(オーバーコート
層)塗料を重層塗布する。
【0114】コータヘッドは、図5に示した(a)のヘ
ッドが本発明においては好ましい。
【0115】3層以上をウェット・オン・ウェット方式
で塗布する場合、3台以上の押出しコータを用いたり、
スリットを3個以上もつ押出しコータを用いる等の方法
を使用し、押出しコータにより、下層用塗料と上層用磁
性塗料及びオーバーコート塗料とを押し出し重層塗布す
る。
【0116】磁性層を2層以上塗布し、各磁性層を所望
する条件で配向させるためには、各磁性層を塗布するコ
ータの直後に配向磁石3及び6を配置し、配向処理を行
う。磁性層を複数塗設する場合は、この配置を繰り返し
用いる。さらに強磁性粉末が乾燥する間に乱れが生じな
いように乾燥器5の内部でも配向磁石を用い、配向処理
を行うことができる。(図2及び3参照) 前記配向磁石或いは斜め配向用磁石における磁場は、2
0〜10,000ガウス程度であり、乾燥器による乾燥
温度は約30〜120℃であり、乾燥時間は約0.1〜
10分間程度である。
【0117】ウェット−オン−ウェット重層塗布方法
は、リバースロールと押し出しコーターとの組み合わ
せ、グラビアロールと押し出しコーターとの組み合わせ
なども使用することができる。さらにはエアドクターコ
ーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スク
ィズコーター、含浸コーター、トランスファロールコー
ター、キスコーター、キャストコーター、スプレイコー
ター等を組み合わせることもできる。
【0118】このウェット−オン−ウェット方式による
重層塗布においては、下層が湿潤状態になったままで上
層を塗布するので、下層の表面(即ち、上層と境界面)
が滑らかになるとともに上層の表面性が良好になり、か
つ、上下層間の接触性も向上する。この結果、特に高密
度記録のために高出力、低ノイズの要求されるたとえば
磁気ディスクとしての要求性能を満たしたものとなりか
つ、高耐久性の性能が要求されることに対しても膜剥離
をなくし、膜強度が向上し、耐久性が十分となる。ま
た、ウェット−オン−ウェット重層塗布方式により、ド
ロップアウトも低減することができ、信頼性も向上す
る。さらに、オーバーコート層を塗設した場合は、潤滑
剤が適度に磁性層内に入り込むため、潤滑効果が長期に
わたり、持続する。 (表面の平滑化)次にカレンダリングにより表面平滑化
処理が行なわれる。その後は、必要に応じてバーニッシ
ュ処理またはブレード処理を行なってスリッティングさ
れる。この際、上記表面平滑化処理は、この発明の目的
を達成するのに効果的である。
【0119】表面平滑化処理においては、カレンダー条
件として温度、線圧力、C/S(コーティングスピー
ド)等を挙げることができる。本発明の目的達成のため
には、通常、上記温度を50〜140℃、上記線圧力を
50〜400kg/cm、上記C/Sを20〜1000
m/分に保持することが好ましい。 (表面組成、全体組成)本発明に用いられる乾燥した磁
性塗膜中に存在するα−酸化鉄粉末の表面を形成する元
素の平均存在比率はXPS表面分析装置を用いてその値
を測定する。
【0120】次にその方法について説明する。XPS表
面分析装置を以下の条件にセットする。 X線アノード;Mg 分解能;1.5〜1.7eV(分解能は清浄なAg3d
5/2ピークの半値幅で規定する) XPS表面分析装置としては、特に限定はなく、いかな
る機種も使用することが出来るが、本発明においては、
VG社製ESCALAB−200Rを用いた。
【0121】以下の測定範囲でナロースキャンを行い、
各元素のスペクトルを測定した。この時、データの取り
込み間隔は、0.2eVとし、目的とするピークが以下
に示す最低カウント数以上のカウントが得られるまで積
算することが必要である。
【0122】 ピーク 測定範囲 最低検出強度 (結合エネルギーeV) (カウント) C1s 305〜280 任意 Fe2p3/2 730〜700 60万 Na(KL2323) 280〜250 60万 オージェピーク 得られたスペクトルに対して、C1sのピーク位置が2
84.6eVになるようにエネルギー位置を補正する。
【0123】次に、VAMAS−SCA−JAPAN製
のCOMMON DATA PROCESSING S
YSTEM Ver.2.3(以下、VAMASソフト
と称する)上で処理を行うために、前記のスペクトルを
各装置メーカーが提供するソフトを用いて、VAMAS
ソフトを使用することができるコンピューターに転送す
る。そして、VAMASソフトを用い、転送されたスペ
クトルをVAMASフォーマットに転換した後、データ
処理を行う。
【0124】定量処理に入る前に、各元素についてCo
unt Scaleのキャリブレーションを行い、5ポ
イントのスムージング処理を行う。各元素のピーク位置
を中心として、次表に示す定量範囲でピークエリア強度
(cps*eV)を求める。以下に示した感度係数を使
用し、各元素の原子数%を求める。原子数はFe原子数
100に対する原子数に換算し定量値とする。 元素 ピーク位置 定量範囲 感度係数 (B.E.:ev) (B.E.:ev) Fe 719.8付近 高B.E.側5ev, 10.54 低B.E.側7ev Na 264.0付近 高B.E.側2ev, 7.99 付近にある極小値, 低B.E.側6ev 上記元素以外については以下の条件で測定した。
【0125】
【表1】
【0126】〈試料準備方法〉上記測定をする前に媒体
(磁気テープ)の前処理を行う。
【0127】磁気テープからバインダー樹脂をプラズマ
低温灰化処理法で除去し磁性粒子を露出させる。処理方
法はバインダー樹脂は灰化されるが磁性粒子はダメージ
を受けない条件を選択する。例えば、以下に記す装置及
び処理条件で処理した後、配向処理された強磁性金属粉
末の表面を形成する元素の平均存在比率を測定した。
【0128】 装 置 ; 盟和商事 PL−850X 処理条件 ; FORWARD POWER 100W REFLECTED POWER 5W 真空度 10Pa 導入ガス種 Air 放電時間 1min
【0129】<全体組成の測定>また、α−酸化鉄粉末
全体における元素の重量比は、波長分散型蛍光X線分析
装置(WDX)を用いて、各元素の蛍光X線強度を測定
した後、ファンダメンタルパラメーター法(以下、FP
法と称する。)に従い算出して求める。
【0130】蛍光X線の測定には、理学電気社製のWD
Xシステム3080を、以下の条件にて使用する。
【0131】X線管球 ;ロジウム管球 出力 ;50KV,50mA 分光結晶 ;LiF(Fe、Co、Ni、Nd、L
a、Y、Sr、Ca、Baに対して)、PET(Alに
対して)、RX−4(Siに対して)、RX−40(N
aに対して)、GE(Pに対して)、 アブソーバ(Alに対して);1/1(Feのみ1/1
0) スリット ;COARSE フィルター;OUT PHA ;15〜30(Al、Si、Naに対し
て)、10〜30(Fe、Co、Ni、Nd、La、
Y、Sr、Ca、Baに対して) 計数時間 ;ピーク=40秒、バックグラウンド=40
秒(ピーク前後の2点を測定) 尚、蛍光X線の測定を行うには、前記装置に限定される
ものではなく、種々の装置を使用することが出来る。
【0132】標準試料には、以下の8種類の金属化合物
を使用する。標準試料1は、Analytical R
eference Materials intern
ational社製の合金SRM1219(Cを0.1
5重量%、Mnを0.42重量%、Pを0.03重量
%、Siを0.55重量%、Cuを0.16重量%、N
iを2.16重量%、Crを15.64重量%、Moを
0.16重量%、Vを0.06重量%を各々含有する)
である。
【0133】標準試料2は、Analytical R
eference Materials intern
ational社製の合金SRM1250(Niを3
7.78重量%、Crを0.08重量%、Moを0.0
1重量%、Coを16.10重量%、Alを0.99重
量%を各々含有する)である。
【0134】標準試料3は、磁性酸化鉄粉末(Mnを
0.14重量%、Pを0.15重量%、Sを0.19重
量%、Siを0.36重量%、Coを3.19重量%、
Znを1.26重量%、Caを0.07重量%、Naを
0.02重量%を各々含有する)である。
【0135】標準試料4は、強磁性金属粉末(Ndを
2.73重量%、Naを0.001重量%含有する)で
ある。
【0136】標準試料5は強磁性金属粉末(Srを0.
97重量%含有する)である。
【0137】標準試料6は強磁性金属粉末(Baを1.
40重量%,Caを0.40重量%含有する)である。
【0138】標準試料7は強磁性金属粉末(Laを2.
69重量%含有する)である。
【0139】標準試料8は強磁性金属粉末(Yを1.9
8重量%含有する)である。
【0140】前記標準試料1及び2における元素の重量
%は、メーカー供与のデータシートの値であり、前記標
準試料3から8における元素の重量%は、ICP発光分
析装置による分析値である。この値を以下のFP法の計
算における標準試料の元素組成値として入力する。FP
法の計算には、テクノス製のファンダメンタルパラメー
タソフトウェアVersion2.1を用い、次の条件
にて計算する。
【0141】試料モデル ;バルク試料 バランス成分試料;Fe 入力成分 ;測定X線強度(KCPS) 分析単位 ;重量% 算出された各元素の重量比は、Fe原子100重量%に
対する他の元素の重量%として換算し、定量値としたも
のである。
【0142】さらに、α−酸化鉄粉末の表面における組
成元素の平均存在比率は以下の方法で求められる。
【0143】α−酸化鉄粉末の表面における組成中のF
e,Co,Ni,Nd,Si,Al,Sr,Ca,B
a,Y,Na,La、P各元素の平均存在比率について
は、XPS表面分析装置を用いてその値を求めた。
【0144】以下にその方法について説明する。
【0145】先ずXPS表面分析装置を以下の条件にセ
ットする。
【0146】X線アノード;Mg 分離能 ;1.5〜1.7eV(分解能は、清浄な
Agの3d5/2ピークの半値巾で規定する。) なお、試料の固定には、いわゆる粘着テープは使用しな
い。XPS表面分析装置の機種としては、特に限定はな
く、種々の装置を使用することができるが、本願におい
ては、VG社製ESCALAB−200Rを用いた。
【0147】以下の測定範囲でナロースキャンを行い、
各元素のスペクトルを測定した。この時、データの取込
み間隔は0.2eVとし、表2に示す最低カウント数以
上のカウントが得られるまで積算した。
【0148】得られたスペクトルに対して、Cのピーク
位置が284.6eVになるようにエネルギー位置を補
正する。
【0149】次に、VAMAS−SCA−JAPAN製
のCOMMON DATA PROCESSING S
YSTEM Ver.2.3(以下、VAMASソフト
と称する)上で、データ処理を行うために、上記スペク
トルを各装置メーカーが提供するソフトを用いて、VA
MASソフトを使用することができるコンピュータに転
送する。
【0150】そして、VAMASソフトを用い、転送さ
れたスペクトルをVAMASフォーマットに変換した
後、以下のデータ処理を行う。
【0151】定量処理に入る前に、各元素についてCo
unt Scaleのキャリブレーションを行い、5ポ
イントのスムージング処理を行う。
【0152】定量処理は、次の通りである。
【0153】各元素のピーク位置を中心として下表に示
す定量範囲でピークエリア強度を求める。次に下表に示
す感度係数を使用し、各元素の原子数%を求めた。原子
数%は、Fe原子数100に対する原子数に換算し定量
値とした。
【0154】
【表2】
【0155】次に強磁性金属粉末の表面における組成元
素の平均存在比率は以下の方法で求められる。まず、X
PS表面分析装置を以下の条件にセットする。 X線アノード:Mg 分解能:1.5〜1.7eV(分解能は、清浄なAgの
3d5/2 ピークの半値巾で規定する。) 尚、試料の固定は粘着テープは使用しない。XPS表面
分析装置の機種としては、特に限定はなくいかなる装置
を使用することができるが、本発明においては、VG社
製ESCALAB−200Rを用いた。
【0156】表2に示す測定範囲でナロースキャンを行
い、各元素のスペクトルを測定した。この時、データの
取込間隔は0.2eVとし、表2に示す最低カウント数
以上のカウントが得られるまで積算した。
【0157】得られるスペクトルに対して、Clsのピ
ーク位置が284.6eVになるようにエネルギー位置
を補正する。
【0158】次に、VAMAS−SCA−JAPAN製
のCOMMON DATA PROCESSING S
YSTEM Ver.2.3、及びそれ以降(以下、V
AMASソフトと称する)上で、データ処理を行うため
に、上記スペクトルを各装置メーカーが提供するソフト
を用いて、VAMASソフトを使用することができるコ
ンピュータに転送する。
【0159】そして、VAMASソフトを用い、転送す
るスペクトルをVAMASフォーマットに変換した後、
以下のデータ処理を行う。
【0160】定量処理に入る前に、各元素についてCo
unt Scaleのキャリブレーションを行い、5ポ
イントのスムージング処理を行う。
【0161】定量処理は、次の通りである。
【0162】各元素のピーク位置を中心として下表に示
す定量範囲でピークエリア強度を求める。次に下表に示
す感度係数を使用して、各元素の原子数%を求めた。原
子数%は、Fe原子数100に対する原子数に換算した
定量値とした。
【0163】但し、表面にCoとBaが共存する試料に
ついては、下表に示した両元素のピーク位置が重なるた
めに、以下に説明する測定、及びデータ処理を行わなけ
ればならない。
【0164】まず、上記の測定条件により標準試料Ba
(Electronic Space Produ
cts Inc製)のXPS測定を行い、求めたBa3
5/2、及びBa4p3/2のピークエリア強度を I(Ba3d5/2:BaF) I(Ba4p3/2:BaF) とする。次に、Ba4p3/2 の感度係数の補正を行
う。補正後のBa4p3/2の感度係数をmodifi
ed−S.F.(Ba4p3/2)とすると
【0165】
【数1】 となる。
【0166】ここで、CoとBaが共存する試料のXP
S測定を行い、求めたBa4p3/2のピークエリア強
度を I(Ba4p3/2:sample) とする。
【0167】一方、ピーク位置786eV付近にあるB
a3d5/2とCo2p3/2の混合ピークエリア強度
を I(Ba3d5/2+Co2p3/2:sample) とすると、Co2p3/2成分のピークエリア感度I
(Co2p3/2 ample)は
【0168】
【数2】 より求めることができる。
【0169】上記のデータ処理後に、BaについてはB
a4p3/2のピークエリア強度を、またCoについて
はCo2p3/2成分のピークエリア強度を用い、定量
処理を行う。
【0170】
【表3】
【0171】<全体組成の測定>強磁性金属粉末の全体
組成の測定については、α−酸化鉄粉末と同様に行うこ
とができる。
【0172】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0173】以下に示す成分、割合、操作順序はこの発
明の範囲から逸脱しない範囲において種々変更しうる。
なお、下記の実施例について「部」は全て重量部であ
る。実施例1(請求項1〜4について)まず、下記に示
す組成処方の磁性層塗料、非磁性層塗料をニーダー、サ
ンドミルを用いて混練・分散し、得られた各塗料にそれ
ぞれポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレ
タン工業(株)製)5部を添加した後、ウェット・オン
・ウェット方式により、厚み10μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム上に表4に示す条件で試料を塗布
した後、塗膜が未乾燥であるうちに配向処理を行い、続
いて乾燥を施してから、カレンダーで表面平滑処理を行
い、非磁性粉末を含む層と磁性層からなる実施例1〜9
及び比較例1〜5の原反を作成した。
【0174】なお、実施例9は記録媒体表面に、ダイヤ
モンド構造を有する炭素薄膜(DLC)を形成した。即
ちサンプル上にプラズマCVD装置を用い、DLC層を
形成した。製膜条件は、原料ガスにベンゼン・アルゴン
を1:1(mol比)混合ガスを用い、10Paのガス
圧条件で、プラズマ発生のRF出力を0.5KW、負バ
イアス電圧−2KVとして製膜を行い、DLC層膜厚が
20Åとなるようにした。
【0175】上層用磁性塗料 (塗料UA1) Fe−Al系強磁性金属粉末(Fe:Co:Al:Y=100:10:8:5( 重量比))(長軸長:0.02μm、σs:160emu/g、BET比表面積 :60m/g、結晶子サイズ:60Å、軸比:3) 100部 スルホン酸金属塩含有塩化ビニル系樹脂(日本ゼオン(株)製、MR−105) 6部 スルホン酸金属塩含有芳香族ポリエステルポリウレタン(東洋紡(株)製、UR −8300) 4部 アルミナ(α−Al、数平均粒径:0.2μm) 6部 カーボンブラック(数平均粒径:100nm、DBP吸油量:150ml/10 0g) 0.8部 ステアリン酸 1部 ミリスチン酸 1部 ブチルステアレート 1部 シクロヘキサノン 100部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部
【0176】(塗料UA2)塗料UA1において、Fe
−Al系強磁性金属粉末を長軸長0.05μm、結晶子
サイズ100Å、針状比4のものに変更した以外は、塗
料UA1と同じ。
【0177】(塗料UA3)塗料UA1において、Fe
−Al系強磁性金属粉末を長軸長0.007μm、結晶
子サイズ15Å、針状比2のものに変更した以外は、塗
料UA1と同じ。
【0178】(塗料UA4)塗料UA1において、Fe
−Al系強磁性金属粉末を長軸長0.07μm、結晶子
サイズ200Å、針状比3のものに変更した以外は、塗
料UA1と同じ。
【0179】(塗料UA5)塗料UA1において、MR
−105を15部、UR−8300を10部に変更した
以外は塗料UA1と同じ。
【0180】(塗料UA6)塗料UA1において、MR
−105を1部、UR−8300を1部、ステアリン
酸、ミリスチン酸、ブチルステアレートを各0.5部、
カーボンブラックを0部、コロネートLを1部、アルミ
ナを9部に変更した以外は塗料UA1と同じ。
【0181】(塗料UA7)塗料UA1において、Fe
−Al系強磁性金属粉末を長軸長0.02μm、結晶子
サイズ60Å、針状比1のものに変更した以外は、塗料
UA1と同じ。
【0182】下層用非磁性塗料 (塗料LA1) α−Feを主体とする非磁性酸化鉄(表面組成 Feに対し、Co:10 at%、全体組成 Feに対し、Co:3重量%含有)(長軸長:0.01μm 、短軸長:0.005μm、針状比:2) 100部 カーボンブラック(数平均粒径:15nm、DBP吸油量:60ml/100g ) 30部 スルホン酸金属塩含有塩化ビニル系樹脂(日本ゼオン(株)製、MR−110) 6部 スルホン酸金属塩含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡(株)製、UR− 8300) 3部 アルミナ(α−Al、数平均粒径:0.3μm) 6部 ミリスチン酸 1部 ステアリン酸 1部 ブチルステアレート 2部 グリセリントリオレート 2部 オレイルオレート 5部 シクロヘキサノン 100部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部
【0183】(塗料LA2)塗料LA1において、α−
Fe粉末を長軸長0.04μm、針状比3のもの
に変更した以外は、塗料LA1と同じ。
【0184】(塗料LA3)塗料LA1において、α−
Fe粉末を長軸長0.07μm、針状比3のもの
に変更した以外は、塗料LA1と同じ。
【0185】更に、この下層及び上層が設けられた側と
反対側の前記ポリエチレンテレフタレートの面(裏面)
に下記の組成を有する塗料を塗布し、この塗膜を乾燥
し、上述したカレンダー条件に従ってカレンダー加工を
することによって、厚さ0.8μmのバックコート層を
形成し、広幅の原反磁気テープを得た。
【0186】 バックコート層用塗料 カーボンブラック(ラベン1035)(数平均粒径:25nm) 40部 硫酸バリウム(数平均粒子径:300nm) 10部 ニトロセルロース 25部 ポリウレタン系樹脂(日本ポリウレタン(株)製 N−2301) 25部 ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン(株)製、コロネートL) 10部 シクロヘキサノン 400部 メチルエチルケトン 250部 トルエン 250部 このようにして得られた磁性フィルムを8mm幅に裁断
してビデオ用磁気記録媒体を作成した。この磁気記録媒
体につき、評価を行った。その結果を表4に示した。
【0187】<強磁性粉末、非磁性粉末の全体組成、表
面組成>本文中の記載方法で測定した。
【0188】<不燃成分>磁性層塗料の固形分の重量を
量り、それを用いて次式で表す。ここで固形分とは磁性
層塗料中の溶剤を除く成分をさす。
【0189】不燃成分(重量%)={(固形分中の磁性
粉(g)+研磨剤(g))/固形分(g)}×100
【0190】<電磁変換特性>ソニー(株)製8mmビ
デオカメラCCDV−900により、7MHzでのRF
出力(dB)、CN(dB)を測定し、CN比は7MH
zと6MHzの出力差を測定し、リファレンスとして用
いた8mmビデオテープ(KONICA Hi8MP)
との差で示した。
【0191】<表面粗さ>ランク・テイラ・ホブソン社
製タリステップ粗さ計を用い、測定した。測定条件とし
て、スタイラスが2.5×.01μm、針圧2mg、カ
ット・オフ・フィルターを0.33Hz、測定スピード
を2.5μm/sec、基準長を0.5mmとした。
【0192】<スチル耐久性>測定時の環境温度を−1
0℃または20℃とし、8mmビデオデッキ(ソニー製
EV−S900)におけるスチル再生開始前の出力レベ
ルを0dBとして、スチル再生後のRF出力が−2dB
以下になるまでの時間を測定する。測定時間は最高60
分とする。
【0193】<磁性粉配向角>日立製作所製走査型電子
顕微鏡S−800を用い、測定した。記録媒体長手方向
を観察し、磁性粉末100本を測定し、非磁性支持体か
らの垂直方向の傾きの平均値をその磁性層における磁性
粉末の配向角とした。
【0194】
【表4】
【0195】
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ウェット・オン・ウェット塗布方式に
よる磁性層の重層塗布を説明するための図である。
【図2】図2は、ウェット・オン・ドライ塗布方式によ
る磁性層の斜め配向を説明するための図である。
【図3】図3は、ウェット・オン・ウェット塗布方式に
よる磁性層の斜め配向を説明するための図である。
【図4】図4は、ウェット・オン・ウェット塗布方式に
よるオーバーコート層の塗布を説明するための図であ
る。
【図5】図5は、押出しコーターによる重層塗布を説明
するための図である。
【符号の説明】
1 供給ロール 2 非磁性支持体 3 斜め配向用磁石1 4 斜め配向用磁石2 5 乾燥器 6 斜め配向用磁石3 7 長手配向用磁石 8 斜め配向用磁石4 9 スーパーカレンダー装置 10 カレンダーロール 11 巻取りロール 12 非磁性塗料用コータ 13 磁性塗料用コータ1 14 磁性塗料用コータ2 15 オーバーコート用コータ 16 液溜まり
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/62 G11B 5/84

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体上に非磁性粉末を結合剤中に
    分散させてなる下層を少なくとも一層設け、その上に強
    磁性粉末を結合剤中に分散させてなる磁性層からなる最
    上層を設けた磁気記録媒体において、前記磁性層に含ま
    れる強磁性粉末の平均長軸長が0.01〜0.06μm
    であり、結晶子サイズが10〜150Åであり、針状比
    が2〜15であり、かつ該磁性層の不燃成分が、80〜
    95重量%であり、更に前記下層が針状である非磁性粉
    末を含む非磁性層であることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】前記下層に含まれる非磁性粉末の平均長軸
    長が0.01以上〜0.06μm未満であり、針状比が
    2〜15であり、かつ該非磁性粉末が、前記磁性層に含
    まれる強磁性粉末よりも平均長軸長が小さいことを特徴
    とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】前記磁性層に含まれる強磁性粉末の飽和磁
    化量(σs)が130〜170emu/gであり、抗磁
    力が2000〜3000 Oe、該磁性層の飽和磁束密
    度(Bm)が4000〜7000ガウスであることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】前記磁性層の上にダイヤモンド構造を有す
    る炭素薄膜を形成することを特徴とする、請求項1、2
    又は3に記載の磁気記録媒体。
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