JP3041722B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3041722B2
JP3041722B2 JP2410458A JP41045890A JP3041722B2 JP 3041722 B2 JP3041722 B2 JP 3041722B2 JP 2410458 A JP2410458 A JP 2410458A JP 41045890 A JP41045890 A JP 41045890A JP 3041722 B2 JP3041722 B2 JP 3041722B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気テープ、磁気ディス
ク等の磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来技術】一般に、磁気テープ等の磁気記録媒体は強
磁性粉末、結合剤等からなる磁性塗料を非磁性支持体上
に塗布、乾燥することにより製造される。
【0003】近年、磁気記録媒体、特に短波長記録を要
求されるビデオ用磁気記録媒体においては記録の高密度
化が要望されている。こうした高密度記録が可能な媒体
を得るに当たっては、特開平2−177125号公報にみられ
るように、媒体−ヘッド間のスペーシングによるRF出
力の損失を防ぐために、媒体の表面平滑性を向上させる
ようにしている。
【0004】しかしながら、RF出力を向上させるため
に媒体の表面平滑性を高めると、媒体を長時間種々な環
境条件(すなわち、温湿度条件)で使用するに際して走
行不良等の致命的なトラブルを生ずる。この問題を解決
するために従来は、潤滑剤を磁性層に添加しているが、
次の如き欠点を解消できないことが判明した。
【0005】即ち、磁性層に潤滑剤を添加した場合で
も、磁性層がヘッドあるいはガイドピンによって押され
たときに真実接触面積が増大し、これによって媒体とヘ
ッドあるいはガイドピンとの摩擦上昇が生じて走行不安
定となり、はりつき、エッジ折れが生じ易くなる。
【0006】
【発明の目的】本発明の目的は、あらゆる環境条件での
走行耐久性を確保でき、高い電磁変換特性を示す磁気記
録媒体を提供することにある。
【0007】
【発明の構成及びその作用効果】即ち、本発明は、磁性
粉と結合剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体に
おいて、前記磁性粉がFe原子とAl原子との含有量比
が原子数比でFe:Al=100:1〜100:20で
あり、かつ、比表面積(BET法による比表面積)が4
5m2/g以上の強磁性金属粉であり、前記比表面積が
45m2/g以上の強磁性金属粉を含む磁性層のビッカ
ース硬度が45以上、200未満であることを特徴とす
る磁気記録媒体に係るものである。
【0008】本発明者は、上述したように磁性層がヘッ
ドやガイドピン等による押圧で真空接触面積を増大する
現象について鋭意検討を加えた結果、磁性層の硬度を上
げることにより真実接触面積の上昇を効果的に抑制する
ことができることを見い出し、本発明に到達したもので
ある。
【0009】本発明によれば、磁性層のビッカース硬度
45以上、200未満という特定の範囲に設定するこ
とによって、磁性層を変形し難くして真実接触面積の上
昇を抑え、かつヘッドに対する媒体の接触性を良好に
してスペースロスを少なくすることができるのである。
【0010】これに反し、磁性層のビッカース硬度が40
未満であると、磁性層表面粗さを大きくしても、容易に
変形して摩擦が大きくなり、トラブルを起こす。また、
ビッカース硬度が200 以上になると、ヘッドが媒体に接
触した際に、媒体が硬いためにジャンプして両者間に大
きなスペースロスを発生し、いわゆるヘッドたたきによ
りRF出力を落としてしまう。
【0011】本発明においては、上記の効果を一層十分
にするには、磁性層のビッカース硬度を45〜 130とする
のがよく、50〜 120とするのが一層好ましい。そして、
ビッカース硬度をコントロールするには、後述する結合
剤のガラス転移温度Tgや、カレンダー条件等を制御す
ればよい。
【0012】また、磁性層には、磁性粉に対して0.5 〜
3重量%の脂肪酸と、磁性粉に対して0.5 〜15重量%の
脂肪酸エステルとが潤滑剤として含有されているのがよ
い。こうした潤滑剤の含有によって、磁性層の摩擦係数
が十分に低下し、媒体の走行性が、一層良好となる。
【0013】本発明において、上記のビッカース硬度は
次のように定義される。即ち、下記の圧子を用い、下記
の条件下で圧電アクチュエータにより、ダイアモンド三
角錘針を押し込む。 圧子形状 :対稜角80゜三角圧子 荷重 :0.1mg〜0.2g 押込み速度:1〜25nm/sec 測定環境 :20〜30℃/40〜80%RH 押込み深さ:表面から3μm以内 この時、荷重Wで押し込んだ時の押し込み深さをXとす
ると、深さεでの硬さをH(ε)として次式が成り立
つ。 W(X)=a∫H(ε)(X−ε)dε (a:定数) 硬さ変化の無い均一材料であれば、 W(X)=1/2aHX 従って、押し込み深さXの2乗に対する荷重W(X)の
グラフは直線となり、傾きよりH(ビッカース硬度)を
求めることができる。
【0014】本発明による磁気記録媒体においては磁性
層の磁性粉としては、強磁性粉末として通常使用されて
いるものを用いることができる。強磁性粉末の例として
は、γ−Fe2 3 、Co含有γ−Fe2 3 、Co被
着γ−Fe2 3 、Fe34 、Co含有Fe3 4
Co被着Fe3 4 、Co含有磁性FeOx(3/2 >x
>4/3 )、CrO2 等の酸化物磁性体が挙げられる。ま
た、バリウムフェライト等の六方晶フェライト、窒化鉄
も使用される。
【0015】強磁性金属粉末の例としてはFe、Ni、
Coをはじめ、Fe−Al系、Fe−Al−Ca系、F
e−Al−Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−
Co系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Al系、Fe−N
i−Co系、Fe−Ni−Si−Al−Mn系、Fe−
Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Al−Si系、Fe
−Al−Co系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni−M
n系、Fe−Ni−Si系、Fe−Mn−Zn系、Fe
−Co−Ni−P系、Co−Ni系等、Fe、Ni、C
o等を主成分するメタル磁性粉等の強磁性粉末が挙げら
れる。なかでも、Fe系金属粉末が電気特性的に優れ、
耐蝕性及び分散性の点で特にFe−Al系、Fe−Al
−Ca系、Fe−Al−Ni系、Fe−Al−Zn系、
Fe−Al−Co系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Al
系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni−Al−Si−Z
n系、Fe−Ni−Al−Si−Mn系、Fe−Ni−
Co系のFe系金属粉末が好ましい。
【0016】さらに、好ましい強磁性金属粉末の構造と
しては、該強磁性金属粉末に含有されているFe原子と
Al原子との含有量比が原子数比でFe:Al=100 :
1〜100 :20であり、かつ該強磁性金属粉末のESCA
による分析深度で100 Å以下の表面域に存在するFe原
子とAl原子との含有量比が原子数比でFe:Al=3
0:70〜70:30である構造を有するものである。或い
は、Fe原子とNi原子とAl原子とSi原子とが強磁
性金属粉末に含有され、更にZn原子とMn原子との少
なくとも一方が該強磁性金属粉末に含有され、Fe原子
の含有量が90原子%以上、Ni原子の含有量が1原子%
以上、10原子%未満、Al原子の含有量が0.1 原子%以
上、5原子%未満、Si原子の含有量が0.1 原子%以
上、5原子%未満、Zn原子の含有量及び/又はMn原
子の含有量(但し、Zn原子とMn原子との両方を含有
する場合はこの合計量)が0.1 原子%以上、5原子%未
満であり、上記強磁性金属粉末のESCAによる分析深
度で100 Å以下の表面域に存在するFe原子とNi原子
Al原子とSi原子とZn原子及び/又はMn原子の含
有量比が原子数比でFe:Ni:Al:Si(Zn及び
又はMn)=100 :(4以下):(10〜60):(10〜7
0):(20〜80)である構造を有する強磁性金属粉末等
が挙げられる。
【0017】本発明においては、記録の高密度化に応じ
て、BET法による比表面積で45m2/g以上の強磁性粉
末が好ましく使用される。
【0018】なお、本発明における強磁性粉末の比表面
積はBET法と称されている比表面積の測定方法によっ
て測定されたものを、単位グラム当たりの表面積を平方
メートルで表したものである。この比表面積ならびにそ
の測定方法については「粉体の測定」(J. M. Dallaval
le, Clydeorr Jr 共著、弁田その他訳;産業図書社刊)
に詳しく述べられており、また「化学便覧」応用編、p1
170 〜1171(日本化学会編;丸善(株))昭和41年4月
30日発行)にも記載されている。比平面積の測定は、例
えば粉末を105 ℃前後で13分間加熱処理しながら脱気し
て、上記粉末に吸着させているものを除去し、その後測
定装置に導入して、窒素の初期圧力を0.5 kg/m2に設定
し、窒素により液体窒素温度(−105 ℃)で10分間で吸
着測定を行う。測定装置はカウンターソープ(湯浅アイ
オニクス(株)製)を使用した。
【0019】本発明における結合剤は、ポリウレタン、
ポリエステル、塩化ビニル系樹脂等であり、好ましくは
これらの樹脂が−SO3′、−OSO3′、−CO
OM及び−PO(OM2 からなる群より選ばれた
少なくとも1種の極性基を含有する。但し、Mは水素
原子或いはNaLi等のアルカリ金属原子を表
し、また、Mは水素原子或いはNaLi等のア
ルカリ金属原子である。
【0020】上記の極性基は磁性粉の分散を向上させる
作用がある。そして、重量平均分子量は好ましくは1
5,000〜50,000である。結合剤の磁性層中の
含有率は強磁性粉末100重量部に対して、通常は
10〜40重量部(好ましくは15〜30重量部)の範
囲とする。この場合、ポリウレタン及び/又はポリエス
テルと塩化ビニル系樹脂との比は重量比で通常は90:
10〜10:90(好ましくは70:30〜30:7
0)の範囲内とする。
【0021】次に、本発明における塩化ビニル系共重合
体の合成について述べる。
【0022】本発明において、結合剤として使用される
塩化ビニル系共重合体は、例えば塩化ビニル−ビニルア
ルコール共重合体等、OH基を含有する共重合体に下記
のような極性基及び塩素原子を含有する化合物との反応
により付加して合成することができる
【0023】lCH2 CH2 SO3 Naを例として示
すと、 −(CH2 CH)− + Cl −(CH22 −SO3 Na | OH → −(CH2 CH)− + HCl | O −(CH22 −SO3 Na のようになる。
【0024】また、すべて共重合性のノモマーとして共
重合させる方法がある。即ち、極性基を含む繰り返し単
位が導入される。不飽和結合を有する反応性モノマーを
所定量オートクレーブ等の反応容器に注入し、一般的な
重合開始剤、例えばBPO(ベンゾイルパーオキサイ
ド)、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)等のラ
ジカル重合開始剤やレドックス重合開始剤、アニオン重
合開始剤、カチオン重合開始剤等の重合開始剤を使用し
て重合できる。例えば、スルホン酸若しくはその塩を導
入するための反応性モノマーの具体例としては、ビニル
スルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン
酸、p−スチレンスルホン酸等の不飽和炭化水素スルホ
ン酸及びこれらの塩が挙げられる。更に、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アク
リル酸スルホエチルエステル、(メタ)アクリル酸スル
ホプロピルエステル等のアクリル酸又はメタクリル酸の
スルホアルキルエステル類及びこれらの塩、或いはアク
リル酸−2−スルホン酸エチル等を挙げることができ
る。
【0025】カルボン酸若しくはその塩を導入(COO
Mの導入)する時には、(メタ)アクリル酸、マレイン
酸等を、リン酸若しくはその塩を導入する時には、(メ
タ)アクリル酸−2−リン酸エステルを用いればよい。
【0026】また、塩化ビニル系共重合体にはエポキシ
基が導入されていることが好ましい。エポキシ基の導入
により塩化ビニル系共重合体の熱安定性が向上する。エ
ポキシ基を導入する場合、エポキシ基を有する繰り返し
単位の共重合体中における含有率は好ましくは1〜30モ
ル%(より好ましくは1〜20モル%) である。導入する
ためのモノマーとしてはグリシジルアクリレートが好ま
しく用いられる。
【0027】なお、塩化ビニル系共重合体への極性基の
導入に関しては、特開昭57−4227号、同58−108052号、
同59−8127号、同60−101161号、同60−235814号、同60
−238306号、同60−238371号、同62−121923号、同62−
146432号、同62−146433号等の公報に記載があり、本発
明においてもこれらを利用することができる。
【0028】次に、本発明におけるポリエステル及びポ
リウレタンの合成について述べる。
【0029】一般にポリエステルはポリオールと多塩基
酸の反応により得られる。この公知の方法を利用して、
多塩基酸の一部として極性基を有する多塩基酸を使用し
て極性基を有するポリエステル(ポリオール)を合成す
ることができる。
【0030】多塩基酸の例としては、フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セ
バチン酸、マレイン酸等を挙げることができる。極性基
を有する多塩基酸の例としては、5−スルホイソフタル
酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル
酸、3−スルホフタル酸及びこれらのナトリウム塩、カ
リウム塩を挙げることができる。ポリオールの例として
は、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グ
リセリン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコ
ール、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4
−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチ
レングリコール、シクロヘキサンジメタノール等を挙げ
ることができる。
【0031】また、他の極性基を導入したポリエステル
に関しても公知の方法で合成することができる。
【0032】また、ポリウレタンの合成に関しては一般
に利用される方法であるポリオールとポリイソシアネー
トとの反応を用いることができる。ポリオール成分とし
て、一般には、ポリオール多塩基酸との反応によって得
られるポリエステルポリオールが使用されている。従っ
て、上記の極性基を有するポリエステルポリオールを原
料として利用すれば、極性基を有するポリウレタンを合
成することができる。ポリイソシアネート成分の例とし
ては、ジフェニルメタン4,4′−ジイソシアネート
(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMD
I)トリレンジイソシアネート(TDI)、1,5−ナ
フタレンジイソシアネート(NDI)トリジンジイソシ
アネート(TODI)、リジンイソシアネートメチルエ
ステル(LDI)等が挙げられる。
【0033】
【0034】なお、ポリウレタンへの極性基の導入に関
しては、特公昭58−41565 号、特開昭57−92422 号、同
57−92423 号、同59−8127号、同59−5423号、同59−54
24号、同62−121923号等の公報に記載があり、本発明に
おいてもこれらを利用することができる。
【0035】なお、結合剤は上記の樹脂の他に全結合剤
の20重量%以下で下記の樹脂を使用することができる。
【0036】その例としては、重量平均分子量が約1000
0 〜200000のもので、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル
−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニ
トリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラー
ル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレ
ン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェ
ノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、
フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素
ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
【0037】本発明の磁性層の耐久性を向上させるため
に、ポリイソシアネートを含有させることが好ましい。
使用できる芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば
トリレインジイソシアネート(TDI)等と活性水素化
合物との付加体等がある。また、脂肪族ポリイソシアネ
ートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HM
DI)等と活性水素化合物との付加体等がある。ポリイ
ソシアネートの重量平均分子量としては、100 〜3,000
の範囲のものが好ましい。
【0038】上記磁性層を形成するのに、必要に応じて
分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤及びフィラー等の
添加剤を含有させてもよい。
【0039】分散剤としてはカプリル酸、カプリン酸、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、オレイン酸等の炭素数12〜18個の脂肪酸、及びこれ
らのアルカリ金属の塩またはアルカリ土類金属の塩或い
はこれらのアミド;ポリアルキレンオキサイドアルキル
リン酸エステル;レシチン;トリアルキルポリオレフィ
ンオキシ第四アンモニウム塩;カルボキシル基及びスル
ホン酸基を有するアゾ系化合物等が使用される。これら
の分散剤は強磁性粉末に対して0.5 〜5重量%の範囲内
で添加されるのがよい。
【0040】潤滑剤としては、脂肪酸及び脂肪酸エステ
ルを含有させることができる。この場合、脂肪酸の添加
量は、強磁性粉末に対して、0.53重量%(即ち、強
磁性粉末100 重量部に対して0.53重量部)である
この範囲より脂肪酸が少なくなると走行性が低下し易
く、多くなると脂肪酸がしみだしたり、出力低下が生じ
易くなる。また、脂肪酸エステルの添加量は強磁性粉末
に対して0.5 〜15重量%である。この範囲より脂肪酸エ
ステルが少なくなると走行性が低下し易く、多くなると
脂肪酸エステルがしみだしたり、出力低下が生じ易くな
る。また、上記の効果をより良好にするために、脂肪酸
と脂肪酸エステル重量比で10:90〜90:10含有させる
ことが好ましい。
【0041】脂肪酸は一塩基酸であっても二塩基酸であ
ってもよく、炭素数6〜30が好ましく12〜22が更に好ま
しい。脂肪酸の例としては、カプロン酸、カプリル酸、
カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノレイン酸、
リノール酸、オレイン酸、エライジン酸、ベヘン酸、マ
ロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−
ドデカンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸等が挙げ
られる。
【0042】脂肪酸エステルの例としては、オレイルオ
レート、イソセチルステアレート、ジオレイルマレー
ト、ブチルステアレート、ブチルパルミテート、ブチル
ミリステート、オクチルミリステート、オクチルパルミ
テート、ペチルステアレート、ペンチルパルミテート、
イソブチルオレエート、ステアリルステアレート、ラウ
リルオレエート、オクチルオレエート、イソブチルオレ
エート、エチルオレエート、イソトリデシルオレート、
2−エチルヘキシルステアレート、エチルステアレー
ト、2−エチルヘキシルパルミテート、イソプロピルパ
ルミテート、イソプロピルミリステート、ブチルラウレ
ート、セチル−2−エチルヘキサレート、ジオレイルア
ジペート、ジエチルアジペート、ジイソブチルアジペー
ト、ジイソデシルアジペート、オレイルステアレート、
2−エチルヘキシルミリステート、イソペンチルパルミ
テート、イソペンチルステアレート、ジエチレングリコ
ール−モノ−ブチエーテルパルミテート、ジエチレング
リコール−モノ−ブチルエーテルパルミテート等が挙げ
られる。
【0043】また、上記の脂肪酸、脂肪酸エステル以外
にも他の潤滑剤、例えばシリコーンオイル、グラファイ
ト、フッ化カーボン、二硫化モリブデン、二硫化タング
ステン、脂肪酸アミド、α−オレフィンオキサイド等を
磁性層に添加してもよい。
【0044】研磨剤の例としては、α−アルミナ、溶融
アルミナ、酸化クロム、酸化チタン、α−酸化鉄、酸化
ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化モリブデン、炭
化タングステン、炭化ホウ素、コランダム、酸化ジルコ
ニウム酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、窒
化ホウ素等が挙げられる。研磨剤の平均粒子径は0.05〜
0.6 μmが好ましく、0.1 〜0.3 μmが更に好ましい。
【0045】帯電防止剤としては、カーボンブラック、
グラファイト等の導電性粉末;第四級アミン等のカチオ
ン界面活性剤;スルホン酸、硫酸、リン酸、リン酸エス
テル、カルボン酸等の酸性基を含むアニオン界面活性
剤;アミノスルホン酸等の両性界面活性剤;サポニン等
の天然界面活性剤等が使用される。上記の帯電防止剤は
結合剤に対して0.01〜40重量%の範囲で添加されるのが
よい。
【0046】上記磁性層を形成する塗料に配合される溶
媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の
アルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等
のエステル類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル
類;メチレンクロライド、エチレンクロライド四塩化炭
素、クロロホルム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭
化水素等が挙げられる。
【0047】本発明において使用される磁性塗料は、強
磁性粉末、結合剤、分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止
剤等を溶媒中で混練及び分散して製造される。磁性塗料
の混練及び分散に使用される混練分散機の例としては、
二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、トロン
ミル、ペブルミル、コンボルミル、サンドミル、サンド
グラインダー、Szegveri アトライター、高インペラー
分散機、高速度衝撃ミル、高速ストーンミル、ディスパ
ー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、オ
ープンニーダー、連続ニーダー、加圧ニーダー、プラネ
タリーニーダー等が挙げられる。
【0048】本発明において使用される非磁性支持体の
例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート等のポリエステル類;ポリプ
ロピレン等のポリオレフィン類;セルロースダイアセテ
ート、セルローストリアセテート等のセルロース誘導
体;ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げられる。
【0049】本発明の磁気記録媒体は、図1に示すよう
に、ポリエチレンテレフタレート等の非磁性支持体1上
に磁性層2を有し、必要あればこの磁性層とは反対側の
面にバックコート層(BC層)3が設けられている構成
のものである。また、磁性層2上にオーバーコート層
(OC層)を設けてもよい。また、磁性層と支持体との
間に下引き層(UC層)を設けたものであってもよい。
また非磁性支持体1にコロナ放電処理を施してもよい。
【0050】非磁性支持体上に上記磁性層を形成するた
めの塗布方式の例としては、エアードクターコート、エ
アーナイフコート、ブレードコート、スクイズコート、
含浸コート、トランスファコート、リバースロールコー
ト、キスコート、グラビアコート、キャストコート、ス
プレイコート等が挙げられる。
【0051】非磁性支持体上に塗布された磁性層は、磁
場配向処理しながら乾燥される。次に、カレンダリング
により表面平滑化処理が行われる。その後、必要に応じ
てバーニッシュ処理或いはブレード処理を行ってスリッ
ティングされる。
【0052】なお、本発明は磁気テープをはじめ、磁気
ディスク等にも適用可能である。
【0053】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例につき説明す
る。以下に示す成分、割合、操作順序等は、本発明の精
神から逸脱しない範囲において種々変更しうる。
【0054】実施例−1 強磁性金属粉末 100重量部 Fe−Al系、Fe:Al=100 :5(原子数比)−全体 Fe:Al= 50 :50(原子数比)−表層 長軸:0.16μm、Hc:1580Oe、 BET比表面積:57m2/g スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン 10重量部 スルホン酸ナトリウム基含有塩化ビニル系樹脂 (日本ゼオン社製のMR−110 ) 10重量部 α−アルミナ 8重量部 ステアリン酸 1重量部 ブチルステアレート 1重量部 シクロヘキサノン 100重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部
【0055】上記組成物をボールミルにて50時間分散
し、0.5 μmフィルターで濾過し、ポリイソシアネート
化合物(日本ポリウレタン社製のコロネートL)5重量
部を添加し、磁性塗料を得た。この塗料を非磁性支持体
上に塗布し、その後、配向(4000ガウス)乾燥し、80℃
でカレンダー処理を行い、ビッカース硬度60の磁性層を
2.5 μm厚に形成した。この後下記組成のバックコート
用塗料をボールミルに入れ、70時間混練分散した後1μ
mフィルタで濾過し、ポリイソシアネート化合物(日本
ポリウレタン社製のコロネートL)20重量部を添加して
調製し、これを磁性層の反対側の面に0.5 μmに塗布
し、更に8mm幅にスリットして8mmビデオテープを作成
した。
【0056】 バックコート層用塗布液組成: カーボンブラック(A) 70重量部 (平均粒子径 30nm) カーボンブラック(B) 30重量部 (平均粒子径 60nm) ニトロセルロース 30重量部 ポリウレタン系樹脂 30重量部 シクロヘキサノン 200重量部 メチルエチルケトン 200重量部 トルエン 200重量部
【0057】上記のビッカーズ硬度の測定方法は次の通
りであった。 圧子形状: 対稜角80°三角圧子 荷重: 0.1 mg〜0.2 g 押込み速度: 1〜25nm/sec 測定環境: 20〜30℃/40〜80%RH 押込み深さ: 表面から3μm以内
【0058】実施例−2〜11、比較例−1〜7 実施例−1において、結合剤であるポリウレタンのT
カレンダー条件、潤滑剤の添加量等を図2、図3の
ように種々変え、種々のビッカース硬度の磁性層を形成
し、他は同様にして対応する各ビデオテープを作成し
た。なお、ポリウレタンのTgは、その成分中のイソシ
アネートの割合を変化させること等によって制御した。
【0059】上記の各テープについて以下の性能評価を
行い、結果を図4、図5に示した。 動摩擦係数: ヘッドシリンダーの入口、出口に於けるテープテンショ
ンを測定して を各温、湿度条件下で求めた。 RF−出力(out): 7MHzにおける出力を8mmビデオデッキを改造して測定
した。
【0060】図2〜図5に示す結果から、磁性粉と結合
剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体において、
前記磁性粉は比表面積が45m /g以上の強磁性粉
で、前記磁性層のビッカース硬度が45以上、200未
満とすることによって、低摩擦にして安定走行が可能に
なり、電磁変換特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気記録媒体の一例の拡大断面図である。
【図2】各実施例によるビデオテープの処方をまとめて
示す表である。
【図3】各比較例によるビデオテープの処方をまとめて
示す表である。
【図4】各実施例によるビデオテープの性能評価をまと
めて示す表である。
【図5】各比較例によるビデオテープの性能評価をまと
めて示す表である。
【符号の説明】
1 支持体 2 磁性層 3 バックコート層(BC層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−177125(JP,A) 特開 昭62−146433(JP,A) 特開 平1−199318(JP,A) 特開 平2−297716(JP,A) 特開 平3−12025(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/706 G11B 5/708

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性粉と結合剤とを含有する磁性層を有
    する磁気記録媒体において、 前記磁性粉がFe原子とAl原子との含有量比が原子数
    比でFe:Al=100:1〜100:20であり、 かつ、 比表面積(BET法による比表面積)が45m2
    /g以上の強磁性金属粉であり、 前記比表面積が45m2/g以上の強磁性金属粉を含む
    磁性層のビッカース硬度が45以上、200未満である
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 磁性粉に対して0.5〜3重量%の脂肪
    酸と、磁性粉に対して0.5〜15重量%の脂肪酸エス
    テルとが磁性層に含有されている請求項1の磁気記録媒
    体。
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