JPH11269136A - 近赤外線吸収性ポリアゾ化合物 - Google Patents

近赤外線吸収性ポリアゾ化合物

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JPH11269136A
JPH11269136A JP10075696A JP7569698A JPH11269136A JP H11269136 A JPH11269136 A JP H11269136A JP 10075696 A JP10075696 A JP 10075696A JP 7569698 A JP7569698 A JP 7569698A JP H11269136 A JPH11269136 A JP H11269136A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 近赤外線を効率的に吸収することのできるポ
リアゾ化合物を提供する。 【解決手段】 ポリアゾ化合物においてその分子中のア
ゾ基のp−位に少なくとも1個の、−OH基または−O
H基より誘導される基を含有することを特徴とする近赤
外線吸性ポリアゾ化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は近赤外線を吸収する
ポリアゾ化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、広範囲な産業分野にわたって近赤
外線に関連する技術開発が注目を集めており、それに伴
って優れた近赤外線吸収剤の開発もまた活発であり、既
に多くの提案がなされている。たとえば、特公昭43−
25335号公報にはN,N,N’,N’−テトラキス
(p−置換フェニル)−p−フェニレンジアミン類また
はベンジジン類およびそれらのアルミニウム塩またはジ
イモニウム塩が記載されており、また、特開昭61−2
15662号公報、特開昭63−154767号公報、
特公平1−19693号公報などにはナフタロシアニン
型の化合物が記載されている。更に、特公昭63−31
471号公報ではピリリウム塩誘導体が近赤外光吸収色
素、フィルター用色素あるいは近赤外光増感色素として
有用であり、特にレーザー光に対して極めて有効な不飽
和吸収剤であることが記載されている。
【0003】一方、特公昭60−42269号公報、特
開平3−159786号公報にはアゾ化合物が提案され
ているが、前者は金属錯化合物であり、この場合、溶剤
への溶解性や金属が離れやすいなどの問題があり、後者
はモノアゾ化合物ではあるがアゾ成分のアルコキシ基あ
るいはアルキルアミノ基のアルキル基として比較的長鎖
状のものが結合しており、やはり入手の困難な化合物で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公知の化
合物は何れもそれらの分子構造が複雑であり、また、入
手困難な高価な原料が使用されており、加えて製造工程
も複雑であり、目的物質の得量も決して良好とはいえな
い。このため製品は極めて高価なものとならざるを得な
い。更に、金属錯化合物を用いる場合には、溶剤への溶
解性が悪いとか金属が離れ易い等の問題がある。本発明
は上記従来技術の問題点を解消し、近赤外線を効率的に
吸収することのできるポリアゾ化合物を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは入手の容易
な原料を用い、製造の容易なアゾ化合物に着目して鋭意
研究の結果、本発明に到達したものである。即ち、本発
明はポリアゾ化合物において、その分子中のアゾ基に対
してp−位に少なくとも1個の−OH基または−OH基
より誘導される基を含有することを特徴とする近赤外線
吸収性のポリアゾ化合物及びその製造方法に関するもの
である。ここでOH基より誘導される基としては−O
R,−OOCR(ただし、R:CH3 、C2 5 、C4
9 等)基等が挙げられる。製造方法は自体公知の手段
により目的とする化合物を製造するもので、例えばジア
ゾ化可能な第一アミノ基を有する置換もしくは未置換の
芳香族単環又は多環化合物、又は複素環化合物をジアゾ
化し、得られたジアゾ成分と更にジアゾ化可能な第一ア
ミノ基を有するアゾ成分と順次カップリングさせること
からなり、最終のアゾ成分は該アゾ成分がカップリング
して生ずるアゾ基に対してp−位に−OH基又は−OH
基より誘導される基が存在するようなものであることを
特徴とする上記のポリアゾ化合物の製造方法である。
【0006】本発明のポリアゾ化合物においては、その
分子中に少なくとも2個以上のアゾ基を有することおよ
び該アゾ基に対してp−位に−OH基または−OH基よ
り誘導される基が存在し得るようにアゾ成分を選択する
ことが重要である。即ち、これらの条件が満たされるこ
とによってはじめて近赤外部において吸収を示すように
なる。このことは次の三つのジスアゾ化合物のそれぞれ
の光の吸収曲線を比較すれば明らかである。
【0007】
【化1】
【0008】添付の図1は式(1)の、図2は式(2)
の、そして図3は式(3)の光の吸収曲線を示したもの
である。図1〜3から明らかなように、式(1)および
(2)の吸収曲線においては可視部(400〜700n
m)に強い吸収が認められるが近赤外部(700〜10
00nm)には吸収がない。これに対して、式(3)の
吸収曲線では可視部における吸収はほとんどなく、かわ
りに近赤外部に強い吸収が認められる。
【0009】同様なことが下記のアゾ化合物においても
認められる。即ち、図4および図5はそれぞれ下記の式
(4)および(5)で表されるアゾ化合物の光の吸収曲
線である。
【0010】
【化2】
【0011】図から明らかなように図4においては可視
部(400〜700nm)に強い吸収が認められるが、
近赤外部(700〜1000nm)には全く吸収がな
い。一方、図5においては可視部の吸収はほとんど消
え、かわりに近赤外部に強い吸収を示している。
【0012】これらの相違は式(3)および式(5)に
おいてアゾ基に対してp−位に存在する−OH基によっ
てもたらされたものであることは明らかであり、この現
象は本発明者らによってはじめて見出されたものであ
る。因みに、上記の式(1)、(2)および(3)のジ
スアゾ化合物は次のような手順に従って容易に合成する
ことが出来る。即ち、4−ニトロアニリンを常法により
ジアゾ化し、これを3−アミノ−4−メトキシアセトア
ニリドと酸性下にカップリングし、得られたモノアゾ化
合物のアミノ基をさらにジアゾ化し、次いで式(1)の
場合は1−(N,N−ジメチルアミノ)ナフタレンと酸
性下に、式(2)の場合はβ−ナフトールと、そして式
(3)の場合はα−ナフトールとそれぞれアルカリ性下
にカップリングさせることにより得られる。
【0013】なお上記化合物(3)の物理恒数は後述の
実施例、表1の構造式 (III)の化合物として示され、化
合物(5)の物理恒数は、融点278.0〜281.3
℃、λm(DMF)830nm、モル吸光係数3.12
×104 を有することが確認されている。本発明のポリ
アゾ化合物のうち、製造容易でモル吸光係数の高い後述
の構造式(III) 、(V)、(XXVI)等の化合物が特に好ま
しい。
【0014】本発明において使用し得るジアゾ成分は広
範囲に選択することが出来る。即ち、ジアゾ化可能な第
一アミノ基を有する置換または未置換の芳香族単環また
は多環化合物であり、それらは複素環式基または脂環式
基を有していてもよい。それらの第一アミン類の代表的
な例としては、アニリン類、ナフチルアミン類、ベンジ
ジン類、4,4’−ジアミノスチルベン類、2−アミノ
ベンゾチアゾール(またはオキサゾールあるいはイミダ
ゾール)類、アミノアントラキノン類、アミノクマリン
類などあるいはそれらの誘導体を挙げることが出来る。
また、ジアゾ化可能な第1アミノ基以外の置換基の代表
的な例としては、ハロゲン原子、未置換または置換アル
キル基、未置換または置換アルケニル基、未置換または
置換アルコキシ基、未置換または置換フェノキシ基、ア
セチルアミノ基、モノまたはジアルキル置換アミノ基、
モノまたはジヒドロキシアルキル置換アミノ基、未置換
または置換フェニルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カ
ルボキシル基、カルボキシアミド基、スルホン酸基、ス
ルホニルアミド基などの基を1個または複数個あるいは
異種の置換基を同時に有していてもよい。
【0015】上記化合物群の代表的な具体例を以下に示
す。実施例で挙げられている以外の第一アミン類の化合
物例は次のとおりである。
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】実施例で挙げられている以外のジアゾ化可
能な第一アミノ基を有する化合物例は次のとおりであ
る。
【0019】
【化5】
【0020】上記のジアゾ成分とカップリングさせる第
一のアゾ成分もまた広範囲に選択することができる。し
かし、それらのアゾ成分はジアゾ成分とカップリングす
ることができ、さらにジアゾ化可能な第一アミノ基また
は第一アミノ基に変えうる置換基を有するものの中から
選択することが必要である。
【0021】同様にして上記の条件を満足する第二、第
三のアゾ成分とカップリングさせてジスアゾ、トリスア
ゾ、テトラキスアゾ化合物を合成することができるが、
最終のアゾ成分については該アゾ成分がカップリングし
て生ずるアゾ基に対してp−位に−OH基または−OH
基より誘導される基が存在するようなものを選択するこ
とが必要である。
【0022】上記の条件を満足するように合成されたポ
リアゾ化合物は何れも近赤外部に強い吸収を持ち、近赤
外線吸収剤として、コンパクトディスク、レーザーディ
スク、光メモリーディスク、光カード等の光記録媒体、
液晶表示装置、光学文字読取機など、あるいは光導電材
料、近赤外線吸収フィルター、感熱転写、感熱紙、感熱
孔版等の光熱変換剤、自動車または建材などの熱線遮光
剤に用いることができる。
【0023】
【実施例】以下に実施例および参考例を掲げて本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例にのみ
限定されるものではない。実施例に示されているλma
x(DMF)は、吸収カーブのピーク波長を表しDMF
は測定に用いた溶剤(ジメチルホルムアミド)である。
また、εは分子吸光係数(モル吸光係数)でモル濃度あ
たりの吸光度を表し、吸光能力の指標となる。吸光係数
の測定機器としてはHITACHI V−2010型
(商品名)の自記分光光度計を用いた。
【0024】(実施例1)
【化6】
【0025】 4−ニトロアニリンのジアゾ化および
1−ナフチルアミンとのカップリング4−ニトロアニリ
ン4.1g(0.03モル)を35%塩酸12ml、水
100mlの混合液中に加え、加熱溶解し、5〜10℃
に冷却した。これを上記温度に保って攪拌しながら亜硝
酸ソーダ2.3g(0.033モル)を少量の水に溶か
して徐々に加え、同温度で約3時間攪拌した後、残存す
る亜硝酸ソーダをスルファミン酸で消去した。このよう
にして4−ニトロアニリンのジアゾ化溶液が得られた。
【0026】一方、1−ナフチルアミン4.7g(0.
033モル)をDMSO(ジメチルスルフォキシド)2
0mlに溶解し、この中に上記のジアゾ化液を5〜10
℃に保ちながら加え、酢酸ソーダでpHを3〜4に維持
し、約3時間カップリング反応を行った。次いで、ソー
ダ灰を用いてpHを微アルカリ性とし80℃まで昇温さ
せた後放冷した。生成したモノアゾ化合物をろ過、水
洗、乾燥した。得量8.6g、収率98%。
【0027】
【化7】
【0028】で得られた上記のモノアゾ化合物2.0
g(0.0068モル)を250mlのDMSOに溶解
し、35%塩酸15mlを加え、15〜20℃で攪拌し
ながら当量の亜硝酸ソーダを少量の水に溶かして加え、
上記の温度で約5時間ジアゾ化を行った。
【0029】一方、1−ナフトール1.1g(0.00
76モル)を当量の苛性ソーダおよび200mlの水と
共に溶解し、12gのソーダ灰を加え、5〜10℃に保
って攪拌しながらこの中に上記のジアゾ化液を滴下し
た。全体を微アルカリ性に保ち、15〜20℃で約5時
間攪拌した後80℃に昇温してカップリング反応を完結
させた。次いで、放冷し、固形分をろ過、水洗した後さ
らに少量のエタノールで洗浄し乾燥した。こうして前述
の式で表される黒紫色粉末状のジスアゾ化合物2.3g
が得られた。この化合物は、mp:239〜243.2
℃、λmax(DMF):839nm、ε:6.31×
104 を有し、近赤外部に強い吸収を示し、近赤外線吸
収剤として使用することができた。
【0030】本例において、4−ニトロアニリンの代わ
りに当量の4−アニシジンを用いて同様に反応を進めれ
ば次の式で表されるジスアゾ化合物が得られ、mp:1
23.1〜126.2℃、λmax(DMF):704
nm、ε:2.77×104を示した。この化合物もま
た近赤外線吸収剤として使用し得る。
【0031】
【化8】
【0032】(実施例2)
【化9】
【0033】 アニリンのジアゾ化および3−アミノ
−4−メトキシアセトアニリドとのカップリング 4.7g(0.05モル)のアニリンを酸性下で常法に
よりジアゾ化した。一方、9.0g(0.05モル)の
3−アミノ−4−メトキシアセトアニライドを35%塩
酸20mlおよび水200mlと共に溶解し、この液を
5〜10℃で攪拌しながらこの中にアニリンのジアゾ化
液を滴下した。この間酢酸ソーダで反応液のpHを3〜
4に維持し、上記の温度で約3時間カップリング反応を
行った。次いでソーダ灰により反応液のpHを微アルカ
リ性とし80℃まで昇温して反応を完結させた。これを
放冷し、生成したモノアゾ化合物をろ過、水洗、乾燥し
た。
【0034】
【化10】
【0035】で得られた上記の式で表されるモノアゾ
体2.8g(約0.01モル)を250mlのDMSO
に溶解し、35%塩酸15mlを加え、15〜20℃に
保って攪拌しながらこの中に当量の亜硝酸ソーダを少量
の水に溶かした液を注加し、上記温度で約5時間ジアゾ
化を行った。
【0036】一方、1−ナフトール1.6g(0.01
1モル)を当量の苛性ソーダおよび200mlの水と共
に溶解し、10gのソーダ灰を加え、5〜10℃で攪拌
しながらこの中に上記のジアゾ化液を滴下した。全体を
微アルカリ性に保ちながら15〜20℃で約5時間攪拌
した後、80℃に昇温してカップリング反応を完結させ
た。次いで放冷し、固形分をろ別、水洗し、さらに少量
のエタノールで洗浄し、乾燥した。このようにして得ら
れた粉末は前記の式で表されるジスアゾ化合物であり、
mp:119.5〜122.3、λmax(DMF):
713nm、ε:2.23×104 を示した。
【0037】(実施例3)
【化11】
【0038】20mlの濃硝酸に2−トリフルオロメチ
ル−4−ニトロアニリン2.06g(0.01モル)を
溶解し、0〜5℃で40%ニトロシル硝酸3.5g
(0.011モル)を加え、徐々に昇温し、15〜20
℃で約3時間攪拌してジアゾ化を行った。一方、1−ナ
フチルアミン1.58g(0.011モル)を水300
mlに分散し、これにスルファミン酸3gを添加し、0
〜5℃で攪拌しながらこの中に上記のジアゾ化液を滴下
した。この間、酢酸ソーダを用いてpHを3〜4に維持
し徐々に昇温し室温にて約3時間攪拌した。さらに、苛
性ソーダでpHを7〜8に中和した後80℃まで昇温し
てカップリング反応を完結させた。生成したモノアゾ体
をろ別、よく水洗して乾燥した。このモノアゾ体は得量
3.4g(94.4%)、mp.238.2〜241.
5℃であった。
【0039】
【化12】
【0040】150mlのDMSOに4.3g(0.0
12モル)の上記モノアゾ体を溶解し、濃塩酸(35
%)20mlを添加して塩酸塩とした後、15〜20℃
に保って攪拌しながらこの中に1.4gの亜硝酸ソーダ
を20mlの水に溶かした液を滴下した。同温度で3時
間ジアゾ化反応を行った後、過剰の亜硝酸をスルファミ
ン酸にて消去した。一方、1−ナフトール2.0g
(0.014モル)を少量の苛性ソーダおよび水200
mlと共に溶解し、さらにソーダ灰20gを加えて5〜
10℃に保って攪拌しながらこの中に上記のジアゾ化液
を注加した。徐々に昇温して室温にて約5時間攪拌し、
次いで90℃に昇温した後放冷した。固形分をろ別し、
水洗後さらにエタノールで洗浄し乾燥した。こうして得
られた粉末は前記の式で表される近赤外線吸収性ジスア
ゾ化合物であり、mp.186.1〜189.2℃、λ
max(DMF):863nm、ε:3.54×104
を示した。
【0041】本例において、1−ナフトールとのカッ
プリング反応を行う前に再度1−ナフチルアミンと酸性
下でカップリングさせた後、得られたジスアゾ体の末端
アミノ基をさらにジアゾ化し、次いで、1−ナフトール
とアルカリ性下にカップリングさせることにより下記の
式で表されるトリスアゾ化合物が得られ、この化合物も
また近赤外部の光に対して強い吸収を示した。
【0042】
【化13】
【0043】(実施例4)
【化14】
【0044】 3−(4’−アミノフェニル)−7−
アミノクマリンのテトラゾ化および3−アミノ−4−メ
トキシアセトアニライドとのカップリング 5.0gの3−(4’−アミノフェニル)−7−アミノ
クマリンを100mlのDMSOに溶解し、これに亜硝
酸ソーダ4.0gを20mlの水に溶かして加え、この
混合液を35%塩酸20mlおよび水100mlから成
る溶液中に15〜20℃で添加し、同温度にて6時間攪
拌してテトラゾ化反応を行った後、過剰の亜硝酸をスル
ファミン酸にて消去した。
【0045】一方、3−アミノ−4−メトキシアセトア
ニライド7.6gを100mlのDMSOに溶解し15
〜20℃に保って攪拌しながらこの中に上記のテトラゾ
化液を添加し、同温度で5時間反応させた。この間、酢
酸ソーダで反応混合物のpHを3〜4に維持した。次い
で、ソーダ灰でpHを8〜9程度の弱アルカリ性とし、
80℃まで徐々に昇温してカップリング反応を完結させ
た。放冷後生成したジスアゾ化合物をろ別し、水および
エタノールにて順次洗浄後乾燥した。得量12.0g
(94.5%)。
【0046】 で得られたジスアゾ化合物のテトラ
ゾ化および1−ナフトールとのカップリング で得たジスアゾ化合物1.27gを200mlのDM
SOに溶解し、35%塩酸20mlを加えて塩酸塩とし
た後、0.6gの亜硝酸ソーダを5mlの水に溶解した
液を15〜20℃で攪拌下に加えテトラゾ化した。
【0047】一方、1−ナフトール0.63gを少量の
苛性ソーダおよび150mlの水と共に溶解し、10℃
以下の温度で上記のテトラゾ化液を加えた。室温で約6
時間攪拌した後80℃に昇温し、次いで放冷し、生成し
た固形分をろ別、水洗の後、さらにエタノールで洗浄
し、次いで乾燥した。こうして得られた濃紫色の粉末
〔1.55g(82.0%)〕は前記の式で表される近
赤外線吸収性のテトラキスアゾ化合物であり、mp:2
61〜264.2℃、λmax(DMF):803、
ε:371×104 を示した。
【0048】(実施例5)
【化15】
【0049】 4,4’−ジアミノスチルベン−2,
2’−ジスルホン酸のテトラゾ化および3−アミノ−4
−メトキシアセトアニライドとのカップリング 3.7gの4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−
ジスルホン酸(DAS)を100mlの水に分散させソ
ーダ灰にて微アルカリ性となるように溶解し、この中に
1.5gの亜硝酸ソーダを少量の水に溶かした液を添加
した。一方、35%塩酸10mlを100mlの水に溶
解し、5〜10℃に保って攪拌しながらこの中に前記の
DASおよび亜硝酸ソーダの混合液を滴下した。同温度
で約3時間テトラゾ化反応を行った後、過剰の亜硝酸を
スルファミン酸にて消去した。
【0050】3−アミノ−4−メトキシアセトアニライ
ド3.8gをDMSO20mlに溶解し、5〜10℃で
攪拌しながらこの中に上記のテトラゾ化液を滴下した。
この間、酢酸ソーダにて反応混合物のpHを3〜4に維
持し、上記の温度に約5時間保った。次いで、苛性ソー
ダでpHを7〜8とし、80℃まで昇温してカップリン
グ反応を完結させた。全体の5%のNaClにて塩析
し、目的物を析出させこれを室温でろ過、乾燥した。
【0051】 で得たジスアゾ化合物のテトラゾ化
および1−ナフトールとのカップリング で得たジスアゾ化合物3.4gを100mlの水およ
びソーダ灰と共に微アルカリ性となるように溶解し、さ
らに、亜硝酸ソーダ0.7gを少量の水に溶かした液を
添加した。一方、35%塩酸5mlおよび水100ml
から成る溶液を5〜10℃で攪拌しながらこの中に上記
のジスアゾ化合物、亜硝酸ソーダ混合液を滴下した。1
0℃付近で約3時間攪拌してジスアゾ化合物のテトラゾ
化を完了した。次いで、過剰の亜硝酸をスルファミン酸
にて消去した。
【0052】1.5gの1−ナフトールを苛性ソーダお
よび100mlの水と共に微アルカリ性となるように溶
解し、さらに5gのソーダ灰を添加した。これを10℃
以下で攪拌しながらこの中に上記のテトラゾ化液を滴下
した。さらに室温で数時間攪拌した後80℃に昇温して
カップリング反応を完結させた。次いで、全体の5%の
NaClにて塩析し、放冷後析出した濃紫色の固体をろ
別し乾燥する。3.8gの粉末が得られた。こうして得
られたテトラキスアゾ化合物は水溶性の近赤外線吸収性
化合物であり、λmax(DMF):749nm、ε:
2.42×104 を示した。
【0053】(実施例6)
【化16】
【0054】本文中式(3)のジスアゾ化合物4.8g
をDMSO300mlに溶解し、10%炭酸ナトリウム
水溶液20mlを加え、100℃に保って攪拌しながら
この中にジメチル硫酸3.0gを滴下した。さらに同温
度で約3時間攪拌した。放冷後、析出した結晶をろ別、
水洗し、さらにエタノールで洗浄して乾燥すると上記の
式で表されるジスアゾ化合物が得られた。該ジスアゾ化
合物もまた近赤外線吸収性を有し、mp:212.5〜
217.5℃、λmax:831nm(DMF)および
ε:2.10×104 を示した。
【0055】以下、同様にして下記表1に掲げるポリア
ゾ化合物を合成したが、それらは何れも近赤外部の光に
対して強い吸収を有するので、近赤外線吸収剤として各
種の用途に使用し得る。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】上記表1中の構造式(I)〜(XXVI)の化合
物は次のように表される。
【0060】
【化17】
【0061】
【化18】
【0062】
【化19】
【0063】
【化20】
【0064】
【化21】
【0065】
【化22】
【0066】以上のようにして合成された本発明の近赤
外線吸収性ポリアゾ化合物は各種のポリマー、例えばポ
リメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリス
チレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミ
ド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルなどのようなビニ
ル重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオ
レフィン樹脂中に添加して、これを適当な形態、例え
ば、チップ状、板状、シート状、フィルム状あるいは糸
状などに成形することにより使用することができる。
【0067】(参考例1)20gのポリメチルメタクリ
レートをアセトン30g、トルエン30gおよびジメチ
ルホルムアミド(DMF)26.7gから成る混合溶媒
に溶解した溶液に、実施例1で得た近赤外線吸収性ジス
アゾ化合物0.2gを添加して溶解し、この溶液をキャ
スティング法により、厚さ0.05mmのフィルムとし
た。該フィルムは可視部の光はよく透過し、近赤外部の
光は高率で吸収した。従って、このフィルムは近赤外線
カットフィルターとして各種の用途に使用することが出
来る。
【0068】(参考例2)実施例3で得られた本発明の
近赤外線吸収性ジスアゾ化合物をメトキシセロソルブに
て6%濃度となるように溶解した塗液を調製し、これを
厚さ1.2mm、外径120mm、内径15mmのポリ
カーボネート樹脂製のディスク基板上に、スピンコート
法により膜厚が120mmとなるように塗布した。この
塗膜上に金を膜厚が70mmとなるように真空蒸着さ
せ、さらに、この上に紫外線硬化型の樹脂をコーティン
グして全体の保護コート膜とした。このようにして得ら
れた光記録媒体は近赤外光領域の反射率が良好であり、
安定した光学特性が得られた。
【0069】
【発明の効果】入手容易な原料を用いて比較的簡単に合
成することができ、近赤外線を効率的に吸収することの
できるポリアゾ化合物を提供する。本発明のポリアゾ化
合物は、何れも近赤外部に強い吸収を持ち、近赤外線吸
収剤として、コンパクトディスク、レーザーディスク、
光メモリーディスク、光カード等の光記録媒体、液晶表
示装置、光学文字読取機など、あるいは光導電材料、近
赤外線吸収フィルター、感熱転写、感熱紙、感熱孔版等
の光熱変換剤、自動車または建材などの熱線遮光剤に用
いることがてきる。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較用ジスアゾ化合物(1)の吸収曲線を示す
グラフ。
【図2】比較用ジスアゾ化合物(2)の吸収曲線を示す
グラフ。
【図3】本発明のジスアゾ化合物(3)の吸収曲線を示
すグラフ。
【図4】比較用ジスアゾ化合物(4)の吸収曲線を示す
グラフ。
【図5】本発明のジスアゾ化合物(5)の吸収曲線を示
すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09K 3/00 108 G11B 7/24 516 G11B 7/24 516 B41M 5/26 Y

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアゾ化合物においてその分子中のア
    ゾ基のp−位に少なくとも1個の、−OH基または−O
    H基より誘導される基を含有することを特徴とする近赤
    外線吸収性ポリアゾ化合物。
  2. 【請求項2】 ジアゾ化可能な第一アミノ基を有する置
    換もしくは未置換の芳香族単環又は多環化合物、又は複
    素環化合物をジアゾ化し、得られたジアゾ成分と更にジ
    アゾ化可能な第一アミノ基を有するアゾ成分と順次カッ
    プリングさせることからなり、最終のアゾ成分は該アゾ
    成分がカップリングして生ずるアゾ基に対してp−位に
    −OH基又は−OH基より誘導される基が存在するよう
    なものであることを特徴とする請求項1に記載のポリア
    ゾ化合物の製造方法。
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