JPH11268959A - セラミックスラリー組成物 - Google Patents

セラミックスラリー組成物

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JPH11268959A
JPH11268959A JP10070028A JP7002898A JPH11268959A JP H11268959 A JPH11268959 A JP H11268959A JP 10070028 A JP10070028 A JP 10070028A JP 7002898 A JP7002898 A JP 7002898A JP H11268959 A JPH11268959 A JP H11268959A
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信 宮崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散性、流動性が良好で、かつセラミックの
成形性に優れ、高密度なグリーンシートを得ることがで
きる水系のセラミックスラリー組成物を提供すること。 【解決手段】 セラミック原料粉末と、水溶性バインダ
ーと、分散剤とを含み、水溶性バインダーを、カルボキ
シル基含有不飽和モノマーと、このカルボキシル基含有
不飽和モノマーと共重合可能な反応性モノマーとが共重
合した、共重合体組成中にカルボキシル基含有不飽和モ
ノマーを0.5〜30重量%の割合で含む、数平均分子
量が5000〜30万の共重合体とし、分散剤を、カル
ボキシル基含有不飽和モノマーと、このカルボキシル基
含有不飽和モノマーと共重合可能な反応性モノマーとが
共重合した、共重合体組成中にカルボキシル基含有不飽
和モノマーを60〜99.9重量%の割合で含む、数平
均分子量が500〜5万の共重合体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックスラリ
ー組成物、詳しくは、セラミックグリーンシートを作製
する際に用いられるセラミックスラリー組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】セラミックグリーンシート(以下、グリ
ーンシートという)を作製するには、セラミック原料粉
末にバインダーおよび溶剤などを混合してスラリーを調
製し、これをシート状に成形していた。この種のバイン
ダは、従来より、ポリビニルブチラールなどが使用さ
れ、アルコール系溶媒または芳香族系溶媒等の各種の有
機溶媒を用いてスラリーを調製していた。しかし、有機
溶媒を用いるために、爆発や火災を防ぐための防爆設備
が必要であり、また、臭気の発生や毒性等の観点より人
体に対する安全衛生対策を講ずる必要があった。そのた
め、グリーンシートの製造コストが高くなるという不具
合を招いていた。
【0003】そこで、ポリビニルアルコールなどの水溶
性バインダーを使用して、水系のスラリーを調製するこ
とが種々提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、水系スラリー
は、有機溶媒系スラリーに比べて分散性が悪く、そのた
め、水溶性バインダーよりも低分子量の分散剤を配合す
ることが提案されている(特開昭59−121152号
公報、特開昭61−46096号公報)。しかし、依然
として有機溶媒系スラリーに比べて分散性が悪く、分散
性の良好な水系スラリーの開発が望まれている。
【0005】本発明の目的は、分散性、流動性が良好
で、かつセラミックの成形性に優れ、高密度なグリーン
シートを得ることができる水系のセラミックスラリー組
成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のセラミックスラリー組成物は、セラミック
原料粉末と、水溶性バインダーと、分散剤とを含むセラ
ミックスラリー組成物であって、前記水溶性バインダー
が、カルボキシル基含有不飽和モノマーと、このカルボ
キシル基含有不飽和モノマーと共重合可能な反応性モノ
マーとが共重合した、共重合体組成中にカルボキシル基
含有不飽和モノマーを0.5〜30重量%の割合で含
む、数平均分子量が5000〜30万の共重合体であ
り、前記分散剤が、カルボキシル基含有不飽和モノマー
と、このカルボキシル基含有不飽和モノマーと共重合可
能な反応性モノマーとが共重合した、共重合体組成中に
カルボキシル基含有不飽和モノマーを60〜99.9重
量%の割合で含む、数平均分子量が500〜5万の共重
合体であることを特徴としている。
【0007】また、前記水溶性バインダーおよび前記分
散剤のカルボキシル基は、アンモニアおよび/またはア
ミンと塩を形成していることが好ましい。また、前記水
溶性バインダーおよび前記分散剤の前記反応性モノマー
が、炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリ
レートを含んでいることが好ましい。
【0008】また、前記水溶性バインダーの数平均分子
量が、前記分散剤の数平均分子量より大きいことが好ま
しい。また、前記セラミック原料粉末100重量部に対
して、前記水溶性バインダーが、固形分として1〜25
重量部、前記分散剤が、固形分として0.1〜5重量部
の割合でそれぞれ含まれていることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のセラミックスラリー組成
物は、セラミック原料粉末と、水溶性バインダーと、分
散剤とを含んでいる。本発明で用いられるセラミック原
料粉末としては、セラミックの原料として用いられる公
知のものであれば特に限定されないが、たとえば、アル
ミナ、ジルコニア、酸化チタン、炭酸バリウム、チタン
酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、フェライト−マン
ガン等の酸化物系のセラミック原料粉末が挙げられる。
これらは、単独または2種以上併用してもよい。また、
これらのセラミック原料粉末は、その平均粒径が0.1
〜1.0μmであることが好ましい。
【0010】本発明で用いられる水溶性バインダーは、
カルボキシル基含有不飽和モノマーと、このカルボキシ
ル基含有不飽和モノマーと共重合可能な反応性モノマー
とを共重合させたものである。カルボキシル基含有不飽
和モノマーとしては、カルボキシル基と重合性不飽和結
合とを有する化合物であれば特に限定されないが、たと
えば、(メタ)アクリル酸(本明細書においては、アク
リル酸およびメタクリル酸の両者を含めて、(メタ)ア
クリル酸と言う。)などの不飽和1価カルボン酸、たと
えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和
2価カルボン酸およびそのハーフエステル等が挙げられ
る。これらは、単独または2種以上併用してもよく、好
ましくは、(メタ)アクリル酸である。
【0011】また、このカルボキシル基含有不飽和モノ
マーと共重合可能な反応性モノマーとしては、たとえ
ば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブ
チル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリ
レート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エ
チルヘキシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜8
のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、たとえ
ば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシポ
リエチレングリコール(メタ)アクリレート(n=2,
3,4,8,24)などのオキシアルキレン基を有する
(メタ)アクリレート、たとえば、2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリ
レート、たとえば、グリシジルメタクリレートなどのエ
ポキシ基を有する(メタ)アクリレートなどのアクリレ
ート類、その他、たとえば、(メタ)アクリロニトリ
ル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、
スチレン、エチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリド
ンなどが挙げられる。これらは、単独または2種以上併
用してもよい。好ましくは、アクリレート類、さらに好
ましくは、炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)
アクリレート、とりわけ、炭素数1〜4のアルキル基を
有する(メタ)アクリレートが共重合されていることが
好ましい。(メタ)アクリレート類は、疎水性があるた
め、形成されたグリーンシートは吸湿しにくく、雰囲気
湿度の影響を受けにくくなる。
【0012】カルボキシル基含有不飽和モノマーと反応
性モノマーとの共重合は、何ら制限なく公知の重合方法
により行なうことができ、たとえば、溶液重合により行
なうことが好ましく、常法に従い、70〜99.9%、
好ましくは、90〜95%共重合させる。このようにし
て得られた水溶性バインダーは、その共重合体組成中
に、上記カルボキシル基含有不飽和モノマーが、0.5
〜30重量%、好ましくは、5〜10重量%の割合で含
有されている。カルボキシル基含有不飽和モノマーが、
0.5重量%よりも少ないと、バインダーの極性が小さ
く分散性が非常に悪い。一方、カルボキシル基含有不飽
和モノマーが、30重量%を超えると、水溶性バインダ
ーは自己凝集力が強くなりすぎて逆に分散性が低下す
る。また、カルボキシル基含有不飽和モノマーが少ない
方が吸湿しにくく、雰囲気湿度による影響を受けにく
い。
【0013】また、得られた共重合体の数平均分子量
(Mn)は、5000〜30万、好ましくは、3万〜1
0万である。分子量が5000より少ないと、水溶性バ
インダーの凝集力が弱く、グリーンシートのシート強度
が小さくなってしまう。一方、分子量が30万を超える
と、スラリーの粘度が高くなりすぎて分散不良を起こ
す。この数平均分子量は、標準物質としてポリスチレン
を用いて、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー)測定によって求められるポリスチレン換算の数
平均分子量である(なお、以下に述べる数平均分子量に
ついても同様である)。
【0014】また、得られた水溶性バインダーの共重合
体には、アンモニアおよび/またはアミンを加えて、共
重合体中のカルボキシル基の一部または全部を、アンモ
ニアおよび/またはアミンの塩とすることが好ましい。
アンモニアおよび/またはアミンの塩とすることで、水
溶性が付与される。添加されるアミンは、1級、2級、
3級または4級のいずれのアミンをも使用でき、たとえ
ば、モノエタノールアミン(1級)、ジエタノールアミ
ン(2級)、トリエタノールアミン(3級)などが挙げ
られ、使用の便宜性を考慮するとアンモニア水が好まし
い。この場合、アンモニアおよび/またはアミンを加え
た後のpHを、6〜9に調整することが好ましい。水溶
性バインダーの水溶液をほぼ中性に保つと、セラミック
原料粉末から水溶液中に溶出しやすいイオン性物質の溶
解を防ぐことができる。
【0015】また、上記水溶性バインダーと併用する本
発明の分散剤は、カルボキシル基含有不飽和モノマー
と、このカルボキシル基含有不飽和モノマーと共重合可
能な反応性モノマーとを共重合させたものである。カル
ボキシル基含有不飽和モノマーおよび反応性モノマー、
およびその好ましいもの、または、好ましい重合方法に
ついては、上記で例示したものと同様であり、この点、
水溶性バインダーと同様の組成を有する共重合体が得ら
れるが、共重合体組成中のカルボキシル基含有不飽和モ
ノマーの割合が、60〜99.9重量%、好ましくは6
0〜80重量%であり、かつ、共重合体の数平均分子量
が、500〜5万である点で水溶性バインダーと相違す
る。
【0016】水溶性バインダーがカルボキシル基含有不
飽和モノマーを0.1〜30重量%含んでいるのに対
し、分散剤にカルボキシル基含有不飽和モノマーを、そ
れよりも多い60〜99.9重量%含ませることによ
り、分散剤をセラミック原料粉末に強く吸着させて、水
溶性バインダーがセラミック原料粉末に吸着することを
少なくすることができる。この場合、カルボキシル基含
有不飽和モノマーが60重量%より少ないと、分散剤の
親水性が低下し、セラミック原料粉末に吸着しにくくな
る。一方、カルボキシル基含有不飽和モノマーが99.
9重量%を超えると、疎水性がなくなり、分散剤として
の凝集力が強くなりすぎてセラミック原料粉末の種類に
よっては分散不良を引き起こす。また、分散剤に少なく
とも疎水性を持たせておくことで、水溶性バインダーと
ある程度の親和力でもって結合でき、良好な分散性を得
ることができる。さらに、分散剤は、後述するようにセ
ラミックスラリー組成物の中でも添加量が少ないため、
水溶性バインダーのように雰囲気湿度の影響を受けにく
く、耐湿性の観点からカルボキシル基含有不飽和モノマ
ーを減少させる必要はない。
【0017】また、分散剤の共重合体の数平均分子量
(Mn)は、500〜5万、好ましくは1000〜1万
である。500より少ないと、セラミック原料粉末の表
面に十分に吸着せず分散性が低下する。一方、5万を超
えると水溶性バインダーの数平均分子量に近くなり、セ
ラミック原料粉末に対する吸着力が弱くなる。さらに、
分散剤は、水溶性バインダーの数平均分子量よりも相対
的に小さいことが好ましい。分散剤の数平均分子量が、
水溶性バインダーの数平均分子量と同等かあるいはそれ
よりも大きいと、分散剤がセラミック原料粉末に吸着
し、その外側に水溶性バインダーが結合するという好ま
しい構造が形成できない場合がある。
【0018】また、得られた分散剤の共重合体には、水
溶性バインダーと同様に、共重合体中のカルボキシル基
の一部または全部を、好ましくは、アンモニアおよび/
またはアミンの塩として水溶性を付与する。使用できる
アミンおよびその好ましいものについては、上記水溶性
バインダーと同様である。この場合も上記水溶性バイン
ダーと同様にpHを6〜9に調整することが好ましい。
【0019】そして、本発明のセラミックスラリー組成
物は、上記水溶性バインダーおよび分散剤を任意の割合
で配合し、必要により水を加えてスラリーとして得る。
好ましくは、セラミック原料粉末100重量部に対して
水溶性バインダーを固形分として1〜25重量部、さら
に好ましくは5〜15重量部用いるのが良く、また、分
散剤を固形分として好ましくは0.1〜5重量部、さら
に好ましくは0.2〜1.0重量部用いるのが良い。
【0020】さらに、その目的など必要に応じて、たと
えば、ポリエチレングリコールやグリセリン等の水溶性
可塑剤や、消泡剤、帯電防止剤などの分散剤以外の公知
の成形助剤を併用してもよい。
【0021】
【実施例】以下、本発明のセラミックスラリー組成物の
実施例を説明する。 実施例 まず、炭酸バリウム(BaCO3 )および酸化チタン
(TiO2 )を1:1のモル比で秤量し、ボールミルを
用いて湿式混合した後、脱水乾燥させた。その後、温度
1000℃で2時間仮焼した後、粉砕してセラミック原
料粉末を得た。
【0022】次に、以下の方法で表1ないし3に示す試
料番号1ないし65の組成をもつ水溶性バインダーおよ
び分散剤を得た。攪拌機、温度計、還流コンデンサー、
滴下ロートおよびガス導入管を備えた1リットルのセパ
ラブルフラスコにエタノール200g、純水200g、
重合開始剤アゾビス(4−シアノ吉草酸)2gを仕込
み、窒素ガス気流下において70℃に昇温した。次い
で、表1ないし3に示す割合でアクリル酸およびアクリ
ル酸メチルを滴下ロートにより2時間かけて滴下し、1
時間保温の後、2時間還流して重合を完結させた。得ら
れた共重合体をアンモニア水で中和し、さらに、蒸留に
よりエタノールを留去して水溶性バインダーを得た。
【0023】溶媒としてテトラヒドロフラン、標準物質
としてポリスチレンを用いてGPCにより数平均分子量
を測定した。結果を表1ないし3に示す。同様な装置を
用い、エタノール400g、重合開始剤アゾビス(4−
シアノ吉草酸)8gを仕込み、窒素ガス気流下において
70℃に昇温した。次いで、表1ないし3に示す割合で
アクリル酸およびアクリル酸メチルを滴下ロートにより
2時間かけて滴下し、1時間保温の後、2時間還流して
重合を完結させた。得られた共重合体をアンモニア水で
中和し、さらに、蒸留によりエタノールを留去して分散
剤を得た。GPCよる数平均分子量を表1ないし3に示
す。
【0024】次に、先に準備したセラミック原料粉末1
00重量部と、可塑剤としてジエチレングリコール2重
量部と、純水70重量部と、表1ないし3に示す割合に
おける試料番号1ないし65の水溶性バインダーおよび
分散剤(固形分)をそれぞれ加え、直径5mmのジルコ
ニア製玉石650重量部とともにボールミルに投入し、
20時間湿式混合を行なって試料番号1ないし65にそ
れぞれ対応するセラミックスラリー組成物を得た。そし
て、各セラミックスラリー組成物をドクターブレード法
により厚さ約30μmのグリーンシートに成形し、次い
で乾燥温度80℃で30分間乾燥し、グリーンシートの
成形物を得た。
【0025】参考例1 実施例で準備したセラミック原料粉末100重量部と、
クラレ製ポリビニルアルコール(PVA−117)を固
形分で7重量部と、可塑剤としてジエチレングリコール
2重量部と、純水70重量部とを、直径5mmのジルコ
ニア製玉石650重量部とともにボールミルに投入し、
20時間湿式混合を行なってセラミックスラリー組成物
を得た。そして、このセラミックスラリー組成物をドク
ターブレード法により厚さ約30μmのグリーンシート
に成形し、次いで乾燥温度80℃で30分間乾燥し、グ
リーンシートの成形物を得た。
【0026】参考例2 実施例で準備したセラミック原料粉末100重量部と、
積水化学工業製ポリビニルブチラール(BMS)を固形
分で7重量部と、可塑剤としてフタル酸ジブチル2重量
部と、トルエン40重量部と、トルエン40重量部と、
エタノール40重量部と、直径5mmのジルコニア製玉
石650重量部とともにボールミルに投入し、20時間
湿式混合を行なってセラミックスラリー組成物を得た。
そして、このセラミックスラリー組成物をドクターブレ
ード法により厚さ約30μmのグリーンシートに成形
し、次いで乾燥温度80℃で30分間乾燥し、グリーン
シートの成形物を得た。
【0027】グリーンシートの評価 上記実施例の試料番号1ないし65および比較例1およ
び2で作製したグリーンシートについて、成形密度、シ
ート引張り強度、シート伸び率、および湿中放置による
シート強度変化率を測定した。結果を表1ないし3に示
す。なお、測定方法はそれぞれ以下の方法による。 1)成形密度: 成形したグリーンシートを50mm×
70mmの大きさを有する角型として打ち抜き、平均厚
み測定により体積を求め、測定した重量から除して算出
した。分散性が優れる場合は成形密度の値が大きくな
る。 2)シート強度および伸び率: 上記の打ち抜いたグリ
ーンシートの両端をチャックに固定して(チャック間隔
30mm)、引張り試験機を用いて一定速度(10mm
/分)で引っ張り、シートが切断される直前の最大値
を、シート強度(MPa)および伸び率(%)として求
めた。なお、シート伸び率(%)は、シート伸びをチャ
ック間隔で除して算出された数値をもって表わした。グ
リーンシートの均質性やバインダーの強靱性の指標とな
り、強度および伸び率がともに大きいものが望ましい。 3)湿中放置によるシート強度変化率: 上記の打ち抜
いたグリーンシートを40℃、95%の恒温高湿度槽に
24時間放置後、さらに、23℃±2℃、40〜60%
RHに1時間放置して、シート強度を測定し、初期の強
度に対する相対強度(初期100%に対しての強度%)
を求めた。雰囲気湿度により強度が変化しないものが望
ましい。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】表1によれば、実施例において本発明の範
囲にある試料番号1ないし65(本発明の範囲外である
試料番号1、2、9、16、20、26、27、34、
40、48を除く)は、従来の水溶性バインダーである
参考例1に比べ、分散性が向上しており、また、雰囲気
湿度による強度の劣化が少ないことがわかる。また、こ
れらは、有機溶媒系バインダーである参考例2とほぼ同
等の性能が得られていることがわかる。
【0032】
【発明の効果】本発明のセラミックスラリー組成物は、
水系スラリーの分散性安定性に優れ、流動性が良好であ
り、かつセラミックの成形性に優れ、高密度なグリーン
シートを得ることができる。また、得られたグリーンシ
ートは吸湿しにくく、雰囲気湿度による影響を受けて強
度が低下することも少なく、有機溶媒系スラリーとほぼ
同等の成形密度、強度および伸び率が得られる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック原料粉末と、水溶性バインダ
    ーと、分散剤とを含むセラミックスラリー組成物であっ
    て、 前記水溶性バインダーは、カルボキシル基含有不飽和モ
    ノマーと、このカルボキシル基含有不飽和モノマーと共
    重合可能な反応性モノマーとが共重合した、共重合体組
    成中にカルボキシル基含有不飽和モノマーを0.5〜3
    0重量%の割合で含む、数平均分子量が5000〜30
    万の共重合体であり、 前記分散剤は、カルボキシル基含有不飽和モノマーと、
    このカルボキシル基含有不飽和モノマーと共重合可能な
    反応性モノマーとが共重合した、共重合体組成中にカル
    ボキシル基含有不飽和モノマーを60〜99.9重量%
    の割合で含む、数平均分子量が500〜5万の共重合体
    であることを特徴とする、セラミックスラリー組成物。
  2. 【請求項2】 前記水溶性バインダーおよび前記分散剤
    のカルボキシル基の少なくとも一部が、アンモニアおよ
    び/またはアミンと塩を形成している、請求項1に記載
    のセラミックスラリー組成物。
  3. 【請求項3】 前記水溶性バインダーおよび前記分散剤
    の前記反応性モノマーが、炭素数1〜8のアルキル基を
    有する(メタ)アクリレートを含んでいる、請求項1ま
    たは2に記載のセラミックスラリー組成物。
  4. 【請求項4】 前記水溶性バインダーの数平均分子量
    が、前記分散剤の数平均分子量より大きい、請求項1な
    いし3のいずれかに記載のセラミックスラリー組成物。
  5. 【請求項5】 前記水溶性バインダーは、前記セラミッ
    ク原料粉末100重量部に対して、固形分として1〜2
    5重量部の割合で含まれている、請求項1ないし4のい
    ずれかに記載のセラミックスラリー組成物。
  6. 【請求項6】 前記分散剤は、前記セラミック原料粉末
    100重量部に対して、固形分として0.1〜5重量部
    の割合で含まれている、請求項1ないし5のいずれかに
    記載のセラミックスラリー組成物。
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Cited By (6)

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