JPH11246445A - プロピレンの製造 - Google Patents

プロピレンの製造

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JPH11246445A
JPH11246445A JP10361987A JP36198798A JPH11246445A JP H11246445 A JPH11246445 A JP H11246445A JP 10361987 A JP10361987 A JP 10361987A JP 36198798 A JP36198798 A JP 36198798A JP H11246445 A JPH11246445 A JP H11246445A
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catalyst
olefin
propylene
olefins
effluent
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JP10361987A
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Jean-Pierre Dath
ジヤン−ピエール・ダト
Luc Delorme
リユク・デロルム
Jacques-Francois Grootjans
ジヤツク−フランソワ・グロートジヤン
Xavier Vanhaeren
クサビエ・バンアエラン
Walter Vermeiren
ワルター・ベルメイレン
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Fina Research SA
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    • C10GCRACKING HYDROCARBON OILS; PRODUCTION OF LIQUID HYDROCARBON MIXTURES, e.g. BY DESTRUCTIVE HYDROGENATION, OLIGOMERISATION, POLYMERISATION; RECOVERY OF HYDROCARBON OILS FROM OIL-SHALE, OIL-SAND, OR GASES; REFINING MIXTURES MAINLY CONSISTING OF HYDROCARBONS; REFORMING OF NAPHTHA; MINERAL WAXES
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オレフィン類の製造。 【解決手段】 C4またはそれ以上のオレフィン類を1
種以上含有するオレフィン含有原料からプロピレンを製
造する方法に、上記オレフィン含有原料を少なくとも約
180のケイ素/アルミニウム原子比を有するMFI型
の触媒に接触させることでプロピレンを含有する流出液
を上記原料のオレフィン含有量を基準にして30から5
0%のオレフィン基準プロピレン収率で生じさせること
を含める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオレフィン含有原料
からプロピレンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、石油原料の接触脱ろうなどで長
鎖パラフィン類をより軽質の生成物に変化させる目的で
ゼオライト類が用いられることは当該技術分野で公知で
ある。脱ろうの目的ではないが、パラフィン系炭化水素
の少なくとも一部がオレフィン類に変化する。そのよう
な工程で例えばMFI型の結晶性シリケート類が用いら
れることは公知であり、この3文字表示「MFI」はS
tructure Commission of th
e International Zeolite A
ssociationが確立した如き特別な結晶性シリ
ケート構造型を表す表示である。MFI型の結晶性シリ
ケートの例は合成ゼオライトZSM−5およびシリカラ
イト(silicalite)であり、他のMFI型の
結晶性シリケート類も当該技術分野で公知である。
【0003】英国特許出願公開第1323710号に
は、結晶性シリケート触媒、特にZSM−5を用いて炭
化水素原料から直鎖パラフィン類および若干分枝鎖のパ
ラフィン類を除去する脱ろう方法が開示されている。ま
た、米国特許第4247388号にも、ZSM−5型の
結晶性シリケートを用いて石油および合成炭化水素原料
の接触水素化脱ろうを行う方法が開示されている。米国
特許第4284529号および米国特許第561407
9号にも同様な脱ろう方法が開示されている。その触媒
は結晶性アルミノ−シリケート類であり、そしてこの上
に示した従来技術の資料には幅広い範囲のSi/Al比
の使用が開示されており、かつその開示された脱ろう方
法にはいろいろな反応条件が開示されている。
【0004】英国特許出願公開第2185753号には
シリカライト触媒を用いた炭化水素原料の脱ろう方法が
開示されている。米国特許第4394251号にはアル
ミニウムを含有する外側殻を有する結晶性シリケート粒
子を用いた炭化水素転化が開示されている。
【0005】また、直鎖および/または若干分枝鎖の炭
化水素、特にパラフィン類を含有する炭化水素原料をよ
り低い分子量を有していてオレフィン類を有意量で含有
する生成物混合物に選択的に変化させることができるこ
とも当該技術分野で公知である。この転化は、英国特許
出願公開第2075045号、米国特許第440155
5号および米国特許第4309276号に開示されてい
るように、シリカライトとして知られる結晶性シリケー
トに供給材料を接触させることで行われている。シリカ
ライトは米国特許第4061724号に開示されてい
る。
【0006】いろいろなケイ素/アルミニウム原子比お
よびいろいろな結晶形態を有するシリカライト触媒が存
在する。Cosden Technology,In
c.の名前で発行されたヨーロッパ特許出願公開第01
46524号および0146525号には、単斜対称を
有するシリカライト型の結晶性シリカ類およびそれの製
造方法が開示されている。このようなシリケート類が有
するアルミニウムに対するケイ素の原子比は80以上で
ある。
【0007】WO−A−97/04871には、ゼオラ
イトが接触分解で示すブテン選択率を向上させる目的
で、中程度の孔を有するゼオライトを蒸気で処理した後
それを酸性溶液で処理することが開示されている。
【0008】Elsevier Science B.
V.が出版したApplied Catalysis
A:General 154 1997 221−24
0のde Lucas他著の表題が“De−alumi
nation of HZSM−5 zeolite
s:Effect of steaming on a
cidity and aromatization
activity”の論文に、そのような脱アルミニウ
ム化されたゼオライトを用いてアセトン/n−ブタノー
ル混合物を炭化水素に変化させることが開示されてい
る。
【0009】更にその上、結晶性シリケート触媒、例え
ばZSM−5などを用いて石油溜分の脱ろうを行って軽
質オレフィン溜分、例えばC3ないしC4のオレフィン溜
分を生じさせることができることも、例えば米国特許第
4171257号などから公知である。典型的には反応
槽の温度を約500℃にまで到達させており、そして石
油溜分からプロピレンへの転化にとって好都合な低い炭
化水素分圧が反応槽内で用いられている。脱ろうではパ
ラフィン鎖が分解を受ける結果として原料溜分の粘度低
下がもたらされるが、また、分解されたパラフィン類か
ら副生物オレフィン類も得られる。
【0010】ヨーロッパ特許出願公開第0305720
号には炭化水素の接触転化で気体状のオレフィン類を製
造することが開示されている。ヨーロッパ特許第034
7003号には炭化水素含有原料を軽質オレフィン類に
転化する方法が開示されている。WO−A−90/11
338にはC2−C12パラフィン系炭化水素を石油化学
原料、特にC2からC4のオレフィンに転化する方法が開
示されている。米国特許第5043522号およびヨー
ロッパ特許出願公開第0395345号には炭素原子数
が4以上のパラフィン類からオレフィン類を製造するこ
とが開示されている。ヨーロッパ特許出願公開第051
1013号には、蒸気による活性化を受けさせた燐含有
触媒とH−ZSM−5を用いて炭化水素からオレフィン
類を製造することが開示されている。米国特許第481
0356号にはシリカライト触媒を用いた脱ろうでガス
オイルの処理を行う方法が開示されている。英国特許出
願公開第2156845号にはプロピレンまたはプロピ
レン含有炭化水素混合物からイソブチレンを製造するこ
とが開示されている。英国特許出願公開第215983
3号には軽質溜分の接触分解でイソブチレンを製造する
ことが開示されている。
【0011】この上に例示した結晶性シリケート類を用
いると長鎖オレフィン類の方が相当する長鎖パラフィン
よりもずっと速い速度で分解を受ける傾向があることが
当該技術分野では知られている。
【0012】更に、パラフィン類からオレフィン類への
転化で結晶性シリケート類を触媒として用いると上記転
化が時間に対して安定でないことも知られている。稼働
時間が長くなるにつれて転化率が低下し、このような低
下は、コークス(炭素)が生じて触媒に付着することに
よるものである。
【0013】このような公知方法は重質パラフィン分子
に分解を受けさせて軽質分子を生じさせる目的で用いら
れている。しかしながら、プロピレンの製造を望む場合
には、収率が低いばかりでなくまた結晶性シリケート触
媒の安定性も低い。例えば、FCC装置における典型的
なプロピレン産出率は3.5重量%である。分解を受け
させる流入炭化水素原料からプロピレンをより多い量で
「絞り」出すことができるように公知ZSM−5触媒を
FCC装置に導入することを通してFCC装置で産出さ
れるプロピレン産出量を約7−8重量%のプロピレンに
まで高めることは可能である。このような収率上昇度合
は極めて小さいばかりでなくまたそのようなZSM−5
触媒がFCC装置中で示す安定性も低い。
【0014】特にポリプロピレンの製造に関連してプロ
ピレンの需要が増えて来ている。
【0015】石油化学産業は、現在、プロピレン誘導
体、特にポリプロピレンの数量が増大している結果とし
てプロピレンの入手性に関して重大な窮地に直面してい
る。プロピレンの生産量を高める伝統的な方法は必ずし
も完全に満足されるものではない。例えば、プロピレン
に比べてエチレンをほぼ2倍の量でもたらす追加的ナフ
サ蒸気分解装置は、原料が高価でありかつ資本投下が非
常に高いことから、プロピレンを得るには高価な方法で
ある。ナフサは精油所でガソリンを製造する時の基材で
あることから、それは蒸気分解装置の原料として競合状
態にある。プロパンの脱水素化反応ではプロピレンが高
い収率でもたらされるが、原料(プロパン)が費用効果
的であるのは年度の限られた期間のみであることから、
そのような工程は高価でありかつプロピレンの生産量が
制限される。プロピレンはFCC装置から得られるが、
収率が比較的低く、その収率を高くするのは高価でかつ
限られた度合であることが確かめられている。複分解ま
たは不均化として知られる更に別のルートでエチレンと
ブテンからプロピレンを製造することも可能である。こ
の技術はしばしば蒸気分解装置と組み合わせて用いら
れ、エチレンが原料として使用されているが、エチレン
は少なくともプロピレンと同じほど価値があることか
ら、このような技術は高価である。
【0016】ヨーロッパ特許出願公開第0109059
号には炭素原子数が4から12のオレフィン類をプロピ
レンに転化する方法が開示されている。結晶性でゼオラ
イト構造(例えばZSM−5またはZSM−11)を有
していて300に等しいか或はそれより低いSiO2
Al23モル比を有するアルミノ−シリケートに上記オ
レフィン類を接触させている。上記明細書の場合、高い
プロピレン収率を達成するには高純度のゼオライト1k
g当たり50kg/時以上の高い空間速度が要求され
る。上記明細書には、また、空間速度を高くすればする
ほど一般にSiO 2/Al23モル比(Z比と呼ばれて
いる)を低くすると記述されている。上記明細書に例示
されているオレフィン転化方法は短時間(例えば数時
間)のもののみであり、触媒がより長い時間(例えば少
なくとも160時間または数日間)(これは商業的生産
で要求される)に渡って安定であることを保証すること
に関する問題は取り扱われていない。更に、オレフィン
転化方法を商業的に実行しようとする場合には、高い空
間速度が必要なことは望ましいことでない。
【0017】このように、市場であまり価値がない原料
(市場で代わりの用途をほとんど持たない)を利用して
プロピレンを高い収率でもたらしかつ精油所または石油
化学プラントと容易に一体化可能な方法が求められてい
る。
【0018】他方、またMFI型の結晶性シリケート類
もオレフィン類のオリゴマー化で用いられるよく知られ
た触媒である。例えばヨーロッパ特許出願公開第003
1675号にはZSM−5の如き触媒を用いてオレフィ
ン含有混合物をガソリンに転化することが開示されてい
る。本分野の技術者に明らかなように、オリゴマー化反
応の操作条件は分解で用いられる操作条件とは大きく異
なる。オリゴマー化反応槽内の温度は典型的に約400
℃以下であり、圧力を高くした方がオリゴマー化反応に
とって好都合である。
【0019】英国特許出願公開第2156844号には
シリカライトを触媒として用いてオレフィン類の異性化
を行う方法が開示されている。米国特許第457998
9号にはシリカライト触媒を用いてオレフィン類をより
高い分子量の炭化水素に転化することが開示されてい
る。米国特許第4746762号には結晶性シリケート
触媒を用いた軽質オレフィン類の高級化でC5+液が豊
富な炭化水素を製造することが開示されている。米国特
許第5004852号にはオレフィン類を高オクタンの
ガソリンに転化する2段階方法が開示されており、そこ
では第一段階でオレフィン類にオリゴマー化を受けさせ
てC5+オレフィン類を生じさせている。米国特許第5
171331号には、孔サイズが中程度の結晶性ケイ素
含有モレキュラーシーブ触媒、例えばシリカライト、ハ
ロゲン安定化シリカライトまたはゼオライトなどを用い
てC2−C6オレフィン含有原料のオリゴマー化を行うこ
とを含むガソリン製造方法が開示されている。米国特許
第4414423号には、通常は気体状の炭化水素から
高沸点の炭化水素を製造する多段階方法が開示されてお
り、そこでの第一段階は、中間的な孔サイズを有する結
晶性のケイ素含有モレキュラーシーブ触媒の上に通常は
気体状のオレフィンを供給することを含む。米国特許第
4417088号にはシリカライトを用いて高炭素(h
igh carbon)オレフィン類の二量化および三
量化を行うことが開示されている。米国特許第4417
086号にはシリカライトを用いたオレフィン類のオリ
ゴマー化方法が開示されている。英国特許出願公開第2
106131号および英国特許出願公開第210613
2号にはゼオライトまたはシリカライトの如き触媒を用
いてオレフィン類のオリゴマー化を行って高沸点の炭化
水素を製造することが開示されている。英国特許出願公
開第2106533号にはゼオライトまたはシリカライ
トを用いて気体状のオレフィン類のオリゴマー化を行う
ことが開示されている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明の1つの目的
は、この上で述べた従来技術の方法とは対照的に、オレ
フィン類をより軽質なオレフィン類、特にプロピレンに
接触転化する方法の原料として精油所および石油化学プ
ラントに存在するあまり価値がないオレフィンを用いる
方法を提供することにある。
【0021】本発明の別の目的はプロピレンを高いプロ
ピレン収率および純度でもたらす方法を提供することに
ある。
【0022】本発明のさらなる目的は、プロピレンが非
常に豊富に入っていて少なくとも化学グレード品質内の
プロピレン含有流出液をもたらし得る上記方法を提供す
ることにある。
【0023】本発明の更に一層の目的は経時的に安定な
プロピレン転化率および安定な生成物分配率でプロピレ
ンを製造する方法を提供することにある。
【0024】本発明の更に一層の目的はオレフィン原料
の転化をこのオレフィン原料の源および組成に関係なく
プロピレンに向かう高いオレフィン基準収率(yiel
don an olefin basis)でもたらす
方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は、C4またはそ
れ以上のオレフィン類を1種以上含有するオレフィン含
有原料からプロピレンを製造する方法を提供する。、こ
の方法は、上記オレフィン含有原料を少なくとも約18
0のケイ素/アルミニウム原子比を有するMFI型の触
媒と接触させてプロピレンを含有する流出液を上記原料
のオレフィン含有量を基準にして30ないし50%のオ
レフィン基準プロピレン収率で生じさせることを含んで
なる。
【0026】従って、本発明は、精油所および石油化学
プラントで得られるオレフィンが豊富な炭化水素流(生
成物)に選択的分解を受けさせることで軽質オレフィン
類ばかりでなく特にプロピレンを生じさせる方法を提供
し得るものである。1つの好適な態様では、このオレフ
ィンが豊富な原料を、特に蒸気処理/脱アルミニウム化
処理を受けさせることで得た180ないし1000のS
i/Al原子比を有する結晶性シリケート触媒の上に通
してもよい。別法として、上記オレフィンが豊富な原料
を商業的に入手可能なZSM−5型触媒[これは有機鋳
型(organic template)を用いた結晶
化で作られたもので、その後に如何なる蒸気処理も脱ア
ルミニウム化処理も受けておらず、この触媒は300か
ら1000のケイ素/アルミニウム原子比を有する]の
上に通すことも可能である。上記原料を上記触媒の上に
0.1ないし2バールのオレフィン分圧下10ないし3
0時-1のLHSVにおいて500ないし600℃の範囲
の温度で通すことで上記原料中のオレフィン含有量を基
にしてプロピレンを少なくとも30から50%生じさせ
ることができる。
【0027】本明細書において、用語「ケイ素/アルミ
ニウム原子比」は材料全体のSi/Al原子比を意味す
ることを意図し、これは化学分析で測定可能である。特
に、結晶性シリケート材料の場合に述べるSi/Al比
は、厳密には結晶性シリケートのSi/Al骨格に当て
はまらず、むしろ材料全体に当てはまる。
【0028】このケイ素/アルミニウム原子比を約18
0以上にする。ケイ素/アルミニウム原子比が約180
より低い場合でも、オレフィンが豊富な原料の接触分解
の結果として生じる軽質オレフィン類、特にプロピレン
の収率は、従来技術の方法の場合よりも高い可能性があ
る。上記原料は未希釈状態でか或は不活性ガス、例えば
窒素などで希釈された状態で供給可能である。後者の場
合の原料の絶対圧力は、炭化水素原料が不活性ガス中で
示す分圧を構成する。
【0029】本発明のいろいろな面をここに添付図を参
照してより詳細に記述するが、しかしながら、これは単
に例であり、ここで、図1および2は、本発明の実施例
に従う接触分解方法および比較実施例に従う接触分解方
法それぞれに関するいろいろな産物(プロピレンを包
含)の収率と時間の間の関係を示すグラフであり、図3
ないし6に、触媒をいろいろな結合剤を用いていろいろ
な加工段階で製造した場合のとりわけプロピレンの収率
と時間の間の関係を示し、図7および8に、接触分解を
受けさせる前の原料に予備的ジエン水添段階を受けさせ
た場合と受けさせなかった場合のとりわけプロピレンの
収率と時間の間の関係を示し、そして図9に、本発明の
選択的接触分解方法におけるオレフィン原料転化量、プ
ロピレン収率および他の成分の総量とケイ素/アルミニ
ウム原子比の間の関係を示す。
【0030】本発明に従えば、炭化水素流中のオレフィ
ン類が分解を受けて軽質オレフィン類が生じそして選択
的にプロピレンが生じる意味でオレフィン類の分解を実
施する。この原料と流出液は好適には実質的に同じオレ
フィン重量含有量を有する。この流出液に含まれるオレ
フィンの含有量は、典型的に、上記原料に含まれるオレ
フィン含有量の±15重量%以内、より好適には±10
重量%以内である。この原料には、C4またはそれ以上
のオレフィン類を1種以上含有することを条件として如
何なる種類のオレフィン含有炭化水素流も含まれ得る。
この原料のオレフィン含有量は典型的に10ないし10
0重量%であってもよく、更にそれを未希釈状態でか或
は希釈剤で希釈して供給してもよく、このような希釈剤
に任意に非オレフィン系の炭化水素を含めてもよい。こ
のオレフィン含有原料は、特に、炭素数がC4ないしC
10の範囲、より好適には炭素数がC4ないしC6の範囲の
ノルマルおよび分枝オレフィンを含有する炭化水素混合
物であってもよく、これは任意に、炭素数がC4ないし
10の範囲のノルマルおよび分枝パラフィンおよび/ま
たは芳香族との混合物の状態であってもよい。このオレ
フィン含有流の沸点は典型的に約−15ないし約180
℃である。
【0031】本発明の特に好適な態様では、上記炭化水
素原料は精油所および蒸気分解装置由来のC4混合物を
含んでなる。そのような蒸気分解装置では幅広く多様な
原料の分解が行われており、そのような原料にはエタ
ン、プロパン、ブタン、ナフサ、ガスオイル、燃料油な
どが含まれる。最も特別には、この炭化水素原料は原油
精油所の流動床接触分解(FCC)装置(重質油をガソ
リンおよび軽質産物に転化する目的で用いられる)由来
のC4溜分を含んでもよい。そのようなFCC装置から
得られるC4溜分は典型的にオレフィンを約50重量%
含有する。別法として、上記炭化水素原料は原油精油所
内のメチルt−ブチルエーテル(MTBE)(これはメ
タノールとイソブテンから作られる)製造用装置由来の
4溜分を含んでなることも可能である。そのようなM
TBE装置由来のC4溜分も典型的にオレフィンを約5
0重量%含有する。このようなC4溜分は個々のFCC
またはMTBE装置の出口の所で分溜されたものであ
る。更にその上、上記炭化水素原料は石油化学プラント
のナフサ蒸気分解装置由来のC4溜分を含んでなること
も可能であり、そこでは沸点の範囲が約15ないし18
0℃のC5からC9種を含有するナフサに蒸気分解を受け
させることが行われており、とりわけC4溜分が生じ
る。そのようなC4溜分は典型的に1,3−ブタジエン
を40ないし50重量%、イソブチレンを約25重量
%、ブテン(ブテ−1−エンおよび/またはブテ−2−
エンの形態)を約15重量%およびn−ブタンおよび/
またはイソブタンを約10重量%含有する。また、上記
オレフィン含有炭化水素原料は、ブタジエン抽出後(抽
残液1)またはブタジエン水添後の蒸気分解装置由来の
4溜分を含んでなることも可能である。
【0032】更にその上、別法として、上記原料は水添
で得られるブタジエンが豊富なC4溜分、典型的にはC4
をオレフィンとして50重量%以上の量で含有するC4
溜分を含んでなることも可能である。また、上記炭化水
素原料は、石油化学プラントで製造された高純度のオレ
フィン原料を含むことも可能である。
【0033】更にその上、別法として、上記オレフィン
含有原料は蒸気分解装置由来の軽質分解ナフサ(LC
N)[さもなくば軽質接触分解スピリット(LCCS)
としても知られる]またはC5溜分か或は軽質分解ナフ
サ(この軽質分解ナフサは本明細書の上で考察した原油
精油所のFCC装置の流出液の分溜由来のナフサであ
る)を含むことも可能である。そのような原料は両方と
もオレフィン類を含有している。更にその上、別法とし
て、上記オレフィン含有原料は、上記FCC装置由来の
中質(medium)分解ナフサまたは原油精油所内の
真空蒸留装置の残渣を処理するためのビスブレーキング
(visbreaking)装置由来のビスブレーキン
グを受けたナフサを含むことも可能である。
【0034】このオレフィン含有原料は上述した原料の
1種以上から成る混合物を含むことも可能である。
【0035】ガソリンを精油所で製造する時には如何な
る場合にもガソリンからC5種を除去する必要があるこ
とから、本発明の好適な方法に従うオレフィン含有炭化
水素原料としてC5溜分を用いるのが特に有利である。
これは、ガソリンにC5が存在しているとオゾンポテン
シャル(ozone potential)が高くなる
ことで結果として得られるガソリンの光化学作用が高く
なるからである。軽質分解ナフサを上記オレフィン含有
原料として用いることができれば、残りのガソリン溜分
に含まれるオレフィンの含有量が低くなり、それによっ
てガソリンの蒸気圧が低下しかつまた光化学作用が低下
する。
【0036】本発明の方法に従い、軽質分解ナフサに転
化を受けさせるとC2ないしC4のオレフィン類が生じ得
る。このC4溜分にはオレフィン類、特にイソブテンが
非常に豊富に含まれており、これはMTBE装置の供給
材料として興味が持たれる。C4溜分に転化を受けさせ
ると、一方ではC2ないしC3のオレフィン類が生じそし
て他方ではイソ−オレフィン類を主に含有するC5ない
しC6のオレフィン類が生じる。残りのC4溜分にはブタ
ン類、特にイソブタンが豊富に含まれており、これは精
油所のアルキル化装置の原料として興味が持たれる(ガ
ソリンで用いられるアルキレートはC3とC5の原料混合
物から製造される)。イソ−オレフィン類を主に含有す
るC5ないしC6溜分は第三アミルメチルエーテル(TA
ME)の製造で興味の持たれる供給材料である。
【0037】本発明者らは、驚くべきことに、本発明の
方法に従ってオレフィン原料に選択的転化を受けさせる
と結果として生じる流出液には上記原料に含まれていた
オレフィンが再分配を受けたものが含まれることを見い
出した。この方法では、原料に関して触媒および工程条
件を選択すると、それによって、プロピレンに向かう特
定のオレフィン基準収率が得られる。本方法では、触媒
および工程条件を選択すると、オレフィン原料の源、例
えばFCC装置から得られたC4溜分、MTBE装置か
ら得られたC4溜分、軽質分解ナフサ、または軽質分解
ナフサから得られたC5溜分などに関係なく、典型的
に、プロピレンに向かう方向で同じく高いオレフィン基
準収率が得られる。このことは従来技術を基にすると極
めて予想外である。オレフィンを基準にしたプロピレン
収率は、原料のオレフィン含有量を基準にして30ない
し50%である。個々のオレフィンのオレフィン基準収
率を、流出液に含まれるオレフィンの重量を初期のオレ
フィン含有量全体重量で割った値として定義する。例え
ば、原料にオレフィンが50重量%入っている時に流出
液にプロピレンが20重量%含まれる場合のオレフィン
基準プロピレン収率は40%である。このことは、製品
の実際の収率(これは生じた生成物の重量を供給材料の
重量で割った値として定義される)とは対照的であり得
る。本発明の好適な面に従い、原料に含まれるパラフィ
ン類および芳香族が転化を受ける度合は若干のみであ
る。
【0038】本発明の好適な面に従えば、オレフィン分
解用触媒はシリカライト型またはZSM−5型の結晶性
シリケートを含んでなるが、これらは逆にMFI系列の
結晶性シリケート類である。
【0039】好適な結晶性シリケート類は、10個の酸
素の環で限定される孔またはチャンネルを有していて高
いケイ素/アルミニウム原子比を有するものである。
【0040】結晶性シリケート類は、酸素イオンを共有
することで互いに連結しているXO 4四面体骨格を基と
する微孔性で結晶性の無機ポリマーであり、ここで、X
は三価(例えばAl、B...)または四価(例えばG
e、Si...)であり得る。結晶性シリケートの結晶
構造は四面体単位の骨格が一緒に連結する特定の配列に
よって限定されている。結晶性シリケートの孔開口の大
きさは、四面体単位の数または別法として孔の形成に要
する酸素原子の数、そしてその孔内に存在するカチオン
の性質によって決定される。それらは下記のユニークな
特性組み合わせを有する:内部表面積が高いこと;均一
に存在する孔が1種以上の個別サイズを有すること;イ
オン交換能力を有すること;熱安定性が良好なこと;そ
して有機化合物を吸着する能力を有すること。このよう
な結晶性シリケートの孔の大きさは実際上興味の持たれ
る数多くの有機分子のサイズに類似していることから、
反応体および生成物の出入りを調節し、その結果とし
て、触媒反応に特別な選択性を示す。MFI構造を有す
る結晶性シリケート類は下記の孔直径を有する双方向交
差孔系を有する:[010]に沿った真っすぐなチャン
ネル:0.53−0.56nmおよび[100]に沿っ
た正弦チャンネル:0.51−0.55nm。
【0041】この結晶性シリケート触媒に構造的および
化学的特性を持たせて、それを接触分解が容易に進行す
るような特定の反応条件下で用いる。この触媒にはいろ
いろな反応路が存在し得る。好適な工程条件、即ち流入
温度を約500ないし600℃、より好適には520な
いし600℃、更により好適には540ないし580℃
にし、そしてオレフィン分圧を0.1ないし2バール、
最も好適にはほぼ大気圧にすると、原料に含まれるオレ
フィンが有する二重結合のシフトが容易に達成され、そ
の結果として、二重結合の異性化がもたらされる。更
に、そのような異性化は熱力学的平衡に到達する傾向が
ある。プロピレンは、例えばヘキセンまたは重質オレフ
ィン原料の接触分解で直接製造可能である。オレフィン
の接触分解は結合の開裂による短分子の生成過程を含む
ものと理解することができる。
【0042】上記触媒に高いケイ素/アルミニウム原子
比、即ち少なくとも約180、好ましくは約180ない
し1000、好適には約200以上、より好適には約3
00以上の比率を持たせ、このようにすると、この触媒
は比較的低い酸性度を示すようになり得る。水素移動反
応は触媒上に存在する酸部位の強さおよび密度に直接関
係し、好適には上記反応を抑制してオレフィン転化過程
中にコークスの生成が起こらないようにし、そうしない
と、触媒の経時的安定性が低下することになるであろ
う。上記水素移動反応では飽和物、例えばパラフィン類
など、不安定な中間体であるジエン類および環状オレフ
ィン類および芳香族が生じる傾向があり、これらはいず
れも軽質オレフィン類を生じさせる分解で用いるには好
都合でない。環状オレフィン類は芳香族およびコークス
様分子の前駆体であり、特に固体状酸、即ち酸性の固体
状触媒が存在していると、それらの前駆体になる。触媒
の酸性度は、触媒をアンモニアに接触させることで触媒
上の酸部位にアンモニアを吸着させ次に高温でアンモニ
アを脱離させた後に触媒上に残存するアンモニアの量を
示差熱重量分析で測定することを通して測定可能であ
る。上記ケイ素/アルミニウム比を好適には180ない
し1000、最も好適には300ないし500の範囲に
する。
【0043】本発明の特徴の1つは、そのように結晶性
シリケート触媒中のケイ素/アルミニウム比を高くして
いることからオレフィン原料の源および組成がどのよう
であろうとも安定なオレフィン転化を30ないし50%
の高いオレフィン基準プロピレン収率で達成することが
できる点である。そのように比率を高くしておくと触媒
の酸性度が低くなり、それによって触媒の安定性が向上
する。
【0044】本発明の1つの好適な面に従い、本発明の
接触分解方法で用いるに適した高いケイ素/アルミニウ
ム原子比を持たせた触媒は、商業的に入手可能なシリカ
ライトからアルミニウムを除去することで製造可能であ
る。典型的な市販シリカライトのケイ素/アルミニウム
原子比は約120である。本発明に従い、結晶性シリケ
ートの骨格に存在する四面体アルミニウムの量を低下さ
せてアルミニウム原子を非晶質アルミナ形態の八面体ア
ルミニウムに変化させる蒸気処理を商業的に入手可能な
シリカライトに受けさせることを通して、それの修飾を
行う。この蒸気処理段階ではアルミニウム原子が結晶性
シリケート骨格構造から化学的に取り除かれてアルミナ
粒子が生じるが、このような粒子は、ある程度である
が、骨格内に存在する孔またはチャンネルの障害物にな
る。これは本発明のオレフィン分解過程を抑制するもの
である。従って、蒸気処理段階の後の結晶性シリケート
に抽出段階を受けさせることで、その非晶質アルミナを
孔から除去し、それによって、少なくともある程度であ
るが、細孔容積を回復させる。水に溶解し得るアルミニ
ウム錯体を生じさせることを経由した滲出段階で上記非
晶質アルミナを上記孔から物理的に除去すると、結晶性
シリケートの全体的脱アルミニウム効果がもたらされ
る。このようにして、結晶性シリケートの骨格からアル
ミニウムを取り除いた後それによって生じたアルミナを
上記孔から除去する過程は、触媒に含まれる孔表面全体
に渡る実質的に均一な脱アルミニウム化を達成するに役
立つ。その結果として触媒の酸性度が低下し、それによ
って、分解工程で起こる水素移動反応の度合が低くな
る。このような酸性度の低下を理想的には結晶性シリケ
ートの骨格内に限定されている孔全体に渡って実質的に
均一に起こさせる。この理由は、そのようにするとオレ
フィン分解過程で炭化水素種が孔の中に深く入り込むこ
とができるようになるからである。従って、酸性度の低
下、従って触媒の安定性を低くする可能性がある水素移
動反応の低下が骨格内の孔構造物全体に渡って生じるよ
うにする。好適な態様では、上記過程を用いて骨格のケ
イ素/アルミニウム比を少なくとも約180、好適には
約180ないし1000、より好適には少なくとも20
0、更により好適には少なくとも300、最も好適には
約480の値にまで高める。
【0045】本発明の好適な別の態様に従えば、この触
媒を少なくとも300、好適には300ないし1000
のケイ素/アルミニウム原子比を有する商業的に入手可
能なZSM−5型触媒[例えばCU Chemie U
eticon AG社(スイス)から商標ZEOCAT
P2−2の下で商業的に入手可能なZSM−5型触
媒]にする。
【0046】この触媒である結晶性シリケート、即ちシ
リカライトを結合剤、好適には無機結合剤と一緒に混合
して所望形状、例えばペレットなどに成形する。この結
合剤を、これが触媒製造過程および次に行うオレフィン
類の接触分解過程で用いる温度および他の条件に耐える
ように選択する。この結合剤は粘土、シリカ、金属酸化
物、例えばZrO2など、および/または金属、または
シリカと金属酸化物の混合物を含有するゲルなどから選
択される無機材料である。好適には、この結合剤にアル
ミナを含めない。それ自身が触媒作用を示す結合剤を結
晶性シリケートと一緒に用いると、それによって、上記
触媒が示す転化率および/または選択性が変化する可能
性がある。結合剤用の不活性な材料は、適切には、反応
速度を調節する他の手段を用いることなく製品を経済的
にかつ秩序正しく得ることができるように転化度合を調
節する希釈剤として働き得るものである。触媒に良好な
破壊強度(crush strength)を持たせる
のが望ましい。これは、商業的使用で触媒が粉末様材料
に分解しないようにするのが望ましいからである。その
ような粘土または酸化物である結合剤を用いる目的は、
通常は、単に触媒の破壊強度を向上させることにある。
本発明の触媒で用いるに特に好適な結合剤にはシリカが
含まれる。
【0047】微細結晶性シリケート材料と結合剤である
無機酸化物マトリックスの相対比は幅広く多様であり得
る。この結合剤の含有量を複合触媒の重量を基準にして
典型的には5ないし95重量%、より典型的20ないし
50重量%の範囲にする。そのような結晶性シリケート
と無機酸化物結合剤の混合物を調合結晶性シリケートと
呼ぶ。
【0048】触媒を結合剤と一緒に混合する時、触媒を
調合してペレット状にするか、押出し加工して他の形状
にするか、或は噴霧乾燥で粉末にすることも可能であ
る。
【0049】典型的には、上記結合剤と結晶性シリケー
ト触媒を押出し加工で一緒に混合する。このような加工
では、結合剤、例えばゲル形態のシリカを上記結晶性シ
リケート触媒材料と一緒に混合した後、その結果として
得た混合物を押出し加工で所望形状、例えばペレット状
にする。その後、この調合結晶性シリケートに焼成を典
型的には200ないし900℃の温度の空気中または不
活性ガス中で1ないし48時間受けさせる。
【0050】好適には、上記結合剤に如何なるアルミニ
ウム化合物も含めず、例えばアルミナなどを含めない。
この理由は、上述したように、本発明で用いる好適な触
媒では、それに脱アルミニウム化させて結晶性シリケー
トのケイ素/アルミニウム比を高くしておくからであ
る。結合剤中にアルミナが存在している場合に結合段階
をアルミニウム抽出段階に先立って実施すると他の余分
なアルミナが生じる。アルミニウムを含有する結合剤を
アルミニウム抽出後の結晶性シリケート触媒と一緒に混
合すると、それによって上記触媒が再びアルミニウム化
される。結合剤中にアルミニウムが存在していると、触
媒が示すオレフィン選択性が低下しかつ触媒の経時的安
定性が低下する傾向がある。
【0051】加うるに、この触媒と結合剤の混合は蒸気
処理および抽出段階の前または後のいずれでも実施可能
である。
【0052】この蒸気処理を、大気圧下および13ない
し200kPaの水分圧下、高温、好適には425ない
し870℃の範囲、より好適には540ないし815℃
の範囲の温度で実施する。この蒸気処理を好適には蒸気
が5ないし100%入っている雰囲気中で実施する。こ
の蒸気処理を好適には1ないし200時間、より好適に
は20時間ないし100時間に渡って実施する。上述し
たように、この蒸気処理では、結晶性シリケートの骨格
内に存在する四面体アルミニウムの量がアルミナの生成
を伴って低下する傾向がある。
【0053】この蒸気処理の後、触媒からアルミニウム
を滲出で除去する目的で、抽出過程を実施する。好適に
は、アルミナと一緒になって可溶錯体を形成する傾向が
ある錯化剤を用いて、アルミニウムをシリカライトから
抽出する。この錯化剤を好適にはそれが入っている水溶
液の状態にする。このような錯化剤には有機酸、例えば
クエン酸、蟻酸、しゅう酸、酒石酸、マロン酸、こはく
酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸、
イソフタル酸、フマル酸、ニトリロトリ酢酸、ヒドロキ
シエチレンジアミントリ酢酸、エチレンジアミンテトラ
酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸など、または
上記酸の塩(例えばナトリウム塩)、または上記酸もし
くは塩の2種以上から成る混合物が含まれ得る。このア
ルミニウム用錯化剤は、好適には、アルミニウムと一緒
になって水に溶解し得る錯体を形成して、特に蒸気処理
段階中に生じたアルミナを上記シリカライトから除去す
るものである。特に好適な錯化剤にはアミン、好適には
エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)またはそれの
塩、特にそれのナトリウム塩が含まれ得る。
【0054】その後、脱アルミニウム化段階を受けさせ
た後の触媒に焼成を例えば大気圧下400ないし800
℃の温度で1ないし10時間受けさせる。
【0055】本発明の好適ないろいろな触媒は高い安定
性を示し、特に数日間、例えば10日間に及んで安定な
プロピレン収率をもたらす能力を有することを確認し
た。それによって、オレフィン分解過程を2基の並列
「自在(swing)」反応槽を用いて連続的に実施す
ることができ、このような連続運転では、1つの反応槽
を運転している時にもう一方の反応槽で触媒再生を行
う。また、本発明の触媒は数回に渡って再生可能であ
る。この触媒は、また、それを製油所または石油化学プ
ラントのいろいろな給源から来るいろいろな組成の多様
な原料(純粋または混合物のいずれも)の分解で用いる
ことができる点で柔軟性を示す。
【0056】本発明者らは、本発明に従うオレフィン接
触分解過程においてオレフィン含有原料中にジエン類が
存在しているとそれによって触媒の失活がより速く起こ
る可能性があることを見い出した。それによって、所望
オレフィン、例えばプロピレンを製造する時に触媒が示
すオレフィン基準収率が稼働時間が長くなるにつれて大
きく低下する可能性がある。本発明者らは、接触分解を
受けさせる原料にジエンが存在しているとそのジエンか
らゴム状物が生じて触媒に付着する可能性があり、それ
によって今度は触媒の活性が低下する可能性があること
を見い出した。本発明の方法に従い、触媒に安定な経時
的活性、典型的には少なくとも10日間に渡る安定な活
性を持たせるのが望ましい。
【0057】本発明のこの面に従い、上記オレフィン含
有原料にジエン類が含まれている場合には、オレフィン
の接触分解を行うに先立って、その原料に選択的水添過
程を受けさせて上記ジエン類を除去しておく。この水添
過程ではモノオレフィン類が飽和オレフィンにならない
ように調節を行う必要がある。この水添過程に、好適に
は、ニッケルを基とするか或はパラジウムを基とする触
媒、または第一段階の熱分解ガソリン(Pygas)の
水添で典型的に用いられる他の触媒を含める。C4溜分
の場合にそのようなニッケルを基とする触媒を用いる
と、水添によってモノオレフィンが有意な転化を受けて
パラフィンが生じるのを避けるのは不可能である。従っ
て、C4溜分の場合には、ジエンの水添に対して高い選
択性を示す上記パラジウムを基とする触媒を用いる方が
適切である。
【0058】特に好適な触媒は、パラジウムを触媒重量
を基準にして0.2−0.8重量%含有するように例え
ばアルミナなどに支持させたパラジウムを基とする触媒
である。上記水添過程を、好適には5ないし50バー
ル、より好適には10ないし30バールの絶対圧力下、
40ないし200℃の流入温度で実施する。水素/ジエ
ンの重量比を典型的には少なくとも1、より好適には1
ないし5、最も好適には約3にする。1時間当たりの液
体空間速度(liquid hourly space
velocity)(LHSV)を好適には少なくと
も2時-1、より好適には2から5時-1にする。
【0059】上記原料に含まれるジエン類を、好ましく
は、この原料中の最大ジエン含有量が約0.1重量%、
好適には約0.05重量%、より好適には約0.03重
量%になるように除去しておく。
【0060】本接触分解方法では、プロピレンの方向に
高い選択性が得られ、経時的に安定なオレフィン転化率
が得られかつ流出液中に安定なオレフィン生成物分布が
得られるように工程条件を選択する。圧力を低くし、流
入温度を高くしかつ接触時間を短くすることと協力させ
て触媒中の酸密度を低くする(即ちSi/Al原子比を
高くする)と、上記目的が好適に達成されるが、そのよ
うな工程パラメーターは全部相互に関係して全体として
累積効果を与える(例えば圧力をより高くした場合には
流入温度を更に高くすることでそれを相殺または補うこ
とができる)。パラフィン類、芳香族およびコークス前
駆体の生成をもたらす水素移動反応に好都合でない工程
条件を選択する。従って、本方法を操作する条件では高
い空間速度、低い圧力および高い反応温度を用いる。好
適には、LHSVを10ないし30時-1の範囲にする。
オレフィンの分圧を好適には0.1ないし2バール、よ
り好適には0.5ないし1.5バールの範囲にする。特
に好適なオレフィン分圧は大気圧(即ち1バール)であ
る。上記炭化水素原料の供給を好適にはこの原料が反応
槽の中を運ばれるに充分な全体的流入圧力下で行う。こ
の炭化水素原料は未希釈状態でか或は不活性ガス、例え
ば窒素などで希釈された状態で供給可能である。反応槽
内の全絶対圧力を好適には0.5ないし10バールの範
囲にする。本発明者らは、本分解方法で低いオレフィン
分圧、例えば大気圧を用いると水素移動反応が起こる度
合が低くなる傾向があり、それによって今度は、触媒の
安定性を低くする傾向があるコークスの生成が低下し得
ることを確認した。上記オレフィンの分解を好適には5
00ないし600℃、より好適には520ないし600
℃、更により好適には540ないし580℃、典型的に
は約560℃ないし570℃の原料流入温度で実施す
る。
【0061】本接触分解方法は固定床反応槽、可動床反
応槽または流動床反応槽内で実施可能である。典型的な
流動床反応槽は製油所における流動床接触分解で用いら
れるFCC型の反応槽である。典型的な可動床反応槽は
連続接触改質型の反応槽である。この上に記述したよう
に、本方法は1対の並列「自在」反応槽を用いて連続的
に実施可能である。
【0062】上記触媒はオレフィン転化に対して長期
間、典型的には少なくとも約10日間に渡って高い安定
性を示すことから、触媒再生の頻度は低い。従って、よ
り特別には、本触媒の寿命は1年を越え得る。
【0063】本発明のオレフィン分解方法は一般に吸熱
である。プロピレンをC4原料から製造する場合の吸熱
は、典型的に、C5または軽質分解ナフサ原料を用いる
場合よりも低い傾向がある。例えば、プロピレン収率が
約18.4%の軽質分解ナフサ(実施例1を参照)の場
合に送り込まれたエンタルピーは429.9kcal/
kgで取り出されたエンタルピーは346.9kcal
/kgであった。LCNから除去されたC5(C5−ex
LCN)原料(実施例2参照)の場合の相当する値は、
収率が16.8%で、送り込まれたエンタルピーは43
7.9kcal/kgで取り出されたエンタルピーは3
58.3kcal/kgであり、そしてMTBEから除
去されたC4原料(実施例3参照)の場合の相当する値
は、収率が15.2%で、送り込まれたエンタルピーは
439.7kcal/kgで取り出されたエンタルピー
は413.7kcal/kgであった。上記反応槽を典
型的には断熱条件下で操作し、最も典型的な条件では、
原料の流入温度を約570℃にし、オレフィン分圧を大
気圧にし、かつ原料のLHSVを約25時-1にする。用
いる個々の原料の接触分解過程は吸熱であることから、
出て来る流出液の温度も相当して低い。例えばこの上で
述べた液状分解ナフサ、LCNから除去されたC5およ
びMTBEから除去されたC4原料の場合の吸熱過程の
結果として得られた典型的な断熱ΔTは、それぞれ、1
09.3、98.5および31.1℃である。
【0064】このように、断熱反応槽内で起こる温度低
下は、C4オレフィン流の場合には約30℃である一
方、LCNおよびLCNから除去されたC5流の場合の
温度低下は有意に大きく、即ちそれぞれ約109℃およ
び98℃である。上記原料を2種類組み合わせて一緒に
反応槽に供給すると、それによって、選択的分解過程全
体の熱負荷低下がもたらされる可能性がある。従って、
4溜分をC5溜分または軽質分解ナフサと一緒にブレン
ドすると、本方法の全体的熱負荷が低下する可能性があ
る。このように、例えばMTBE装置から取り出された
4溜分を軽質分解ナフサと一緒にして複合原料を生じ
させると、それによって、本方法の熱負荷が低下して、
同じ量のプロピレンを製造する時に要するエネルギー量
が低くなる。
【0065】この接触分解過程で得た反応槽流出液を分
溜装置に送り込んでその流出液から所望のオレフィンを
分離する。本接触分解方法をプロピレンの製造で用いる
場合には、C3溜分(これには少なくともプロピレンが
95%入っている)に分溜を受けさせた後、混入物、例
えば硫黄種、ひ素などを全部除去する目的で、それの精
製を行う。C3より大きい重質オレフィンは再利用可能
である。
【0066】本発明者らは、本発明に従って用いるシリ
カライト触媒に蒸気処理および抽出を受けさせておくと
原料中に典型的に存在する硫黄含有化合物、窒素含有化
合物および酸素含有化合物による触媒活性低下(即ち触
媒毒)に特別抵抗を示すようになることを見い出した。
【0067】工業原料には分解で用いる触媒に影響を与
える可能性がある不純物が数種類含まれている可能性が
あり、例えばC4流にはメタノール、メルカプタン類お
よびニトリル類などが含まれている可能性があり、そし
て軽質分解ナフサにはメルカプタン類、チオフェン類、
ニトリル類およびアミン類が含まれている可能性があ
る。
【0068】毒含有原料を模擬する目的で、1−ヘキセ
ン原料にn−プロピルアミンまたはプロピオニトリル
[各々Nの量が100ppm(重量)になるように]、
2−プロピルメルカプタンまたはチオフェン[各々Sの
量が100ppm(重量)になるように]、およびメタ
ノール[Oの量が100または2000ppm(重量)
のいずれかになるように]を不純物として添加しておく
特定の試験を実施した。このようなドーパント(dop
ants)は、触媒が経時的に示す活性に関して触媒性
能に影響を与えなかった。
【0069】本発明のいろいろな面に従い、本分解方法
では、多様な異なるオレフィン原料を用いることができ
るばかりでなく、また使用する工程条件および個々の触
媒を適切に選択することを通して結果として生じる流出
液に含まれるオレフィンが選択的に特別な分布を示すよ
うにオレフィン転化過程を調節することができる。
【0070】例えば、本発明に従い、製油所または石油
化学プラントから得られるオレフィンが豊富な流に分解
を受けさせてプロピレンを生じさせる。この流出液に含
まれる軽質溜分、即ちC2およびC3溜分はプロピレンを
95%を越える量で含有し得る。このような溜分は化学
グレードのプロピレン原料を構成するに充分なほど高純
度である。本発明者らは、上記方法におけるオレフィン
基準プロピレン収率はC4またはそれ以上のオレフィン
類を1種以上含有する原料のオレフィン含有量を基にし
て30から50%の範囲になることを確認した。本方法
の流出液に含まれるオレフィンの分布は原料のそれに比
較して異なるが、全体的オレフィン含有量は実質的に同
じである。
【0071】以下に非制限実施例を言及することで本発
明のいろいろな面を以下に例示する。
【0072】
【実施例】実施例1 この実施例では結晶性シリケートを用いて軽質分解ナフ
サ(LCN)に分解を受けさせる。この触媒はシリカラ
イトであり、これを結合剤と一緒に調合し、加熱(蒸気
中)による前処理(以下に記述する如く)を受けさせ、
アルミニウム用錯化剤による脱アルミニウム化処理にか
けることでアルミニウムをそれから抽出し、そして最後
に焼成させておいた。その後、この触媒を用いて炭化水
素原料中のオレフィン類を分解すると、この接触分解方
法で生じた流出液に含まれるオレフィン含有量は、上記
原料に含まれるオレフィンの含有量と実質的に同じであ
った。
【0073】上記触媒の前処理では、UOP Mole
cular Sieve Plant社[P.O.Bo
x 11486、Linde Drive、Chick
asaw、AL 36611、米国]から商標S115
の下で商業的に入手可能なシリカライトを沈澱シリカを
含む結合剤と一緒に(この結合剤が結果として生じるシ
リカライト/結合剤組み合わせの50重量%を構成する
ように)して押出し加工を行うことでペレット状にし
た。より詳細には、538gの沈降シリカ[Degus
sa AG(フランクフルロ、ドイツ)から商標FK5
00の下で商業的に入手可能]を1000mlの蒸留水
と一緒に混合した。その結果として生じたスラリーのp
Hを硝酸で1にした後、それを30分間混合した。その
後、このスラリーにシリカライトS115を520g、
グリセロールを15gおよびチロース(tylose)
を45g加えた。ペーストが得られるまで上記スラリー
を蒸発させた。このペーストを押出し加工して直径が
2.5mmの筒状押出し加工品に成形した。この押出し
加工品を110℃で16時間乾燥させた後、それに焼成
を600℃の温度で10時間受けさせた。その後、その
結果として得た結合剤調合シリカライト触媒に蒸気処理
を大気圧下550℃の温度で受けさせた。この雰囲気を
窒素に蒸気が72体積%含まれるように構成させて、蒸
気処理を48時間実施した。その後、この蒸気処理を受
けさせた触媒(145.5g)をアルミニウム用錯形成
化合物[エチレンジアミノテトラ酢酸(EDTA)がナ
トリウム塩として約0.05MのNa2EDTA濃度で
入っている溶液(611ml)の状態]で処理した。こ
の溶液を16時間還流させた。次に、このスラリーを水
で徹底的に洗浄した。次に、この触媒にNH4Cl
(0.1Nを触媒100g当たり480ml)を用いた
イオン交換を還流条件下で受けさせ、最後に洗浄、11
0℃で乾燥そして400℃で焼成を3時間受けさせた。
この脱アルミニウム化過程で上記シリカライトのSi/
Al比は初期の約220の値から約280の値にまで上
昇した。
【0074】得られたシリカライトは単斜結晶構造を有
していた。
【0075】次に、この触媒を粒子サイズが35−45
メッシュになるように粉砕した。
【0076】次に、この触媒を軽質分解ナフサの分解で
用いた。管状反応槽に上記粉砕触媒を10ml入れて5
60−570℃の温度にまで加熱した。この管状反応槽
に供給材料である軽質分解ナフサを約547℃の流入温
度、1バール(即ち大気圧)の流出炭化水素圧力および
約10時-1のLHSV速度で注入した。
【0077】実施例1および残りの実施例に示す流出炭
化水素圧力を以下の如く特徴付ける。これは流出液に含
まれるオレフィンの分圧といくらか存在する非オレフィ
ン炭化水素の分圧の合計を含む。所定流出炭化水素圧力
のオレフィン分圧は流出液に含まれるオレフィンのモル
含有量を基準にして容易に計算可能であり、例えば流出
炭化水素にオレフィンが50モル%含まれている場合の
流出オレフィン分圧は流出炭化水素圧力の半分である。
【0078】供給材料が軽質分解ナフサである場合に
は、それに予備的水添過程を受けさせてそれからジエン
類を除去しておく。この水添過程では、パラジウムを含
んでいてそれがアルミナ支持体に0.6重量%支持され
ている触媒を用い、水素/ジエンのモル比が約3になる
ように水素を存在させて、約30バールの絶対圧力下、
約130℃の流入温度で、上記触媒上に軽質分解ナフサ
と水素を約2時-1のLHSVで通した。
【0079】表1に、初期LCN供給材料の組成に加え
て、ジエン水添過程に従う水素化処理を受けさせた後の
供給材料の組成を、C1からC8の化合物の項目で示す。
この初期LCNは以下に示す如き蒸留曲線(ASTM
D 1160で測定)を与えた。
【0080】 表1中、文字Pはパラフィン種を表し、文字Oはオレフ
ィン種を表し、文字Dはジエン種を表し、そして文字A
は芳香族種を表す。表1にまた接触分解過程の結果とし
て生じる流出液の組成も示す。
【0081】接触分解過程の結果として生じる流出液に
含まれるオレフィン含有量と原料に含まれていたオレフ
ィン含有量が実質的に同じであることが表1から分かる
であろう。言い換えれば、LCNはオレフィンを約45
重量%含有しておりそして流出液はオレフィンを約46
重量%含有していた。しかしながら、本発明に従い、こ
の流出液に含まれるオレフィン類の組成は接触分解過程
を通して実質的に変化しており、流出液に含まれるプロ
ピレンの量は最初の0の値から流出液中の18.380
5重量%の値にまで高くなったことが分かるであろう。
このことから、接触分解過程におけるオレフィン基準プ
ロピレン収率は40.6%であった。このことは、本発
明に従う方法ではオレフィン類が接触分解を受けて他の
オレフィン類が生じ、この実施例ではプロピレンが高い
度合で生じることを立証している。
【0082】上記LCNにはC4ないしC8の炭化水素が
含まれておりそして上記流出液中にはオレフィン含有量
の40%以上、例えば約51%がC2ないしC3のオレフ
ィン類として存在していた。このことは、本発明の接触
分解方法では軽質分解ナフサ原料から低級オレフィン類
が高い収率で生じることを立証している。この流出液に
含まれるオレフィン類はプロピレンを約39重量%含ん
でいた。
【0083】本接触分解方法では、有意に、流出液に含
まれるC2ないしC4のオレフィン類の量がLCN原料に
比較して高くなっており、それに相当して、流出液に含
まれるC5+炭化水素種の量はLCN原料に比較して有
意に低い。このことは表2に明確に示されており、この
表から、流出液に含まれるC5+種の量は最初のLCN
原料中の約96重量%の値に比較して約63重量%の値
にまで有意に低下することが分かるであろう。表2にま
た初期LCN原料、水素化処理を受けさせたLCN原料
および流出液に含まれるC5+種の組成も示す。流出液
にはC2ないしC 4種が多量に存在し、その結果として、
この流出液から上記種を軽質オレフィンとして分溜する
のは容易である。それによって、今度は、表2に示す組
成(LCNに含まれるオレフィン量が初期のLCN原料
に比較して有意に低下した)を有するC5+液状産物が
もたらされる。これは、初期LCN原料に含まれていた
5+オレフィンがより軽質のC2ないしC4オレフィン
に変化した結果である。
【0084】表3を参照して、この表に、初期LCN原
料、水素化処理を受けさせたLCN原料および流出液に
含まれるC2からC4種の炭化水素価(hydrocar
bon number)を示す。LCN供給材料にはC
3種が全く存在しておらずそして流出液に含まれるC3
は実際上全部プロピレンとして存在していることが、C
3種の炭化水素価から分かるであろう。このように、C3
種を上記流出液から分溜した時のC3溜分に関するプロ
ピレンの純度は、ポリプロピレン製造用ポリマー出発材
料として用いることができるに充分なほど高い。
【0085】実施例2 軽質分解ナフサとは異なる原料(軽質分解ナフサから分
溜で得られたC5溜分を包含)を用いて実施例1を繰り
返した。加うるに、接触分解過程における流入温度を5
48℃にした。炭化水素流出圧力を約1バール(即ち大
気圧)にした。
【0086】表4に、LCNから得られたC5溜分であ
る供給材料、実施例1と同様なジエン水添処理を受けさ
せておいた水素化処理供給材料、および分解過程で生じ
る流出液に含まれる炭化水素種の分布を示す。初め上記
供給材料にC5種が多く含まれておりそして接触分解過
程の結果として生じる流出液に含まれるオレフィンの含
有量はそれと実質的に同じままであるがC5種の量は初
めの原料に含まれる上記種の量に比較して有意に低下し
ていることが分かるであろう。再び、より軽質なC2
いしC4のオレフィンは上記流出液から容易に分溜され
て、表5に示す組成を有するC5+液状産物が残存す
る。表6にC2ないしC4炭化水素種の組成を示す。再
び、接触分解過程で約34%の高いオレフィン基準プロ
ピレン収率が得られることが分かるであろう。流出液に
含まれるオレフィンの約49.5%はC 2ないしC3のオ
レフィンとして存在しており、この流出液に含まれるオ
レフィンの35%以上がプロピレンで構成されている。
更に、C2ないしC3化合物の95%以上がC2ないしC3
のオレフィンとして存在している。
【0087】上記流出液はオレフィン含有量の約49.
5%がC2ないしC3のオレフィンとして存在するオレフ
ィン含有量を有する。この実施例は、C2ないしC3のオ
レフィンをC5オレフィン原料から製造することができ
ることを示している。
【0088】実施例3 軽質分解ナフサの代わりに製油所のMTBE装置から得
られるC4抽残液(抽残液II)を原料として用いる以
外は実施例1を繰り返した。加うるに、原料の流入温度
を約560℃にした。炭化水素流出圧力を約1バール
(大気圧)にした。
【0089】本発明に従い、C4オレフィン原料からC2
と主にC3オレフィンが生じることが表7−9から分か
るであろう。流出液に含まれるオレフィン含有量の約3
4.5%がC2および/またはC3オレフィンとして存在
している。このC2および/またはC3オレフィンは上記
流出液から容易に分溜され得る。オレフィン基準プロピ
レン収率は29%であった。
【0090】実施例4 この実施例では、蒸気処理および脱アルミニウム処理そ
して焼成を受けさせておいたシリカライトを用いて1−
ヘキセン含有オレフィン原料の接触分解を管状反応槽に
供給する供給材料の流入温度を変えて実施した時の接触
分解過程を例示する。
【0091】シリカライト触媒にケイ素/アルミニウム
比が約120で結晶子サイズが4から6ミクロンで表面
積(BET)が399m2/gのシリカライトを含め
た。このシリカライトを圧縮し、洗浄した後、35−4
5メッシュの画分を保持した。このシリカライトに蒸気
処理を、蒸気が72体積%で窒素が28体積%の雰囲気
中、大気圧下、550℃の温度で48時間受けさせた。
次に、この蒸気処理を受けさせたシリカライト(11
g)にEDTA溶液(Na2EDTAが0.0225M
入っている100ml)による処理を還流下で6時間受
けさせることを通して、このシリカライトに脱アルミニ
ウムを受けさせた。次に、このスラリーを水で徹底的に
洗浄した。次に、この触媒に塩化アンモニウム(0.0
5Nを触媒10g当たり100ml)によるイオン交換
を還流下で受けさせ、洗浄し、110℃で乾燥させた
後、最後にそれに実施例1に記述した様式と同様な様式
の焼成を400℃で3時間受けさせた。上記脱アルミニ
ウム処理を受けさせた後の触媒のケイ素/アルミニウム
原子比は約180であった。
【0092】このシリカライトは単斜結晶形態であっ
た。
【0093】次に、この触媒を粉砕して管状反応槽に入
れて約580℃の温度に加熱した。1−ヘキセン供給材
料を1バール(大気圧)の流出炭化水素圧力になるよう
に約25時-1のLHSVで表10に示した如きいろいろ
な流入温度で注入した。表10に、流入温度を約507
から580℃に変えたいろいろな実験1−5で生じた流
出液に含まれるC1ないしC6+種の組成を示す。表10
に示した収率は、上記供給材料は100%オレフィンか
ら成ることから、オレフィン基準プロピレン収率と実際
のプロピレン収率[(プロピレンの重量/供給材料の重
量)x100%として定義される]の両方を表してい
る。
【0094】オレフィン基準プロピレン収率は流入温度
を高くするにつれて向上し、約507℃の温度の時の約
28ないし約580℃の流入温度の時の約47の値に向
かって変化することが分かるであろう。
【0095】流出液には元の1−ヘキセン原料に含まれ
ていたオレフィンよりも軽質のオレフィンが多く存在す
ることが分かるであろう。
【0096】実施例5 この実施例では原料にC4流(製油所のMTBE装置か
ら得られた抽残液II流を包含)を含めた。このC4
給材料は表11に示す如き初期組成を有していた。
【0097】接触分解過程で用いる触媒に実施例4に記
述した条件に従って調製したシリカライト触媒を含め
た。
【0098】このように、このシリカライト触媒は単斜
結晶構造を有していてケイ素/アルミニウム原子比は約
180であった。
【0099】この触媒を管状反応槽に入れて約550℃
の温度に加熱した。その後、上記C 4抽残液II供給材
料を上記管状反応槽に表11の実験1および2に指定す
る如きいろいろな流出炭化水素圧力および流入温度にな
るようにLHSVが約30時 -1の供給速度で注入した。
実験1では流出炭化水素圧力を1.2baraにしそし
て実験2では流出炭化水素圧力を3baraにした。そ
の結果として生じた流出液の組成を表11に示す。ここ
では、プロピレン収率およびパラフィン生成(即ちオレ
フィン損失)に対する圧力の影響を示す。
【0100】1.2バールの流出炭化水素圧力下で実施
した実験1では3バールの流出炭化水素圧力で実施した
実験2とは対照的に流出液にプロピレンが有意量で含ま
れていてプロピレンの量およびオレフィン基準プロピレ
ン収率が高いことが実験1および2の両方から分かるで
あろう。
【0101】実験1のオレフィン基準プロピレン収率は
34.6%で実験2のオレフィン基準プロピレン収率は
23.5%であった。
【0102】実験1の分解過程では主にC4オレフィン
原料からC3オレフィンが生じたことが分かるであろ
う。実験1ではC3化合物の少なくとも約95%がC3
レフィンとして存在することが分かるであろう。
【0103】より高い圧力で行った実験2では実験1の
場合に比べてパラフィン類(プロパン、即ちP5類)お
よび重質化合物(C6+)がより多い量で生じた。
【0104】実施例6 この実施例では、高いケイ素/アルミニウム原子比を有
する結晶性シリケート、特にシリカライト触媒を製造し
て、このシリカライト粉末を結合剤と一緒に調合した。
【0105】この結合剤にシリカを含めた。この結合剤
の調製では、Degussa AG[GBAC、D−6
000、フランクフルト、ドイツ]から商標FK500
の下で商業的に入手可能な沈澱シリカ(538g)を1
000mlの蒸留水と一緒に混合した。その結果として
生じたスラリーのpHを硝酸で1にした後、それを約3
0分間混合した。その後、このスラリーにUOP Mo
lecular Sieve Plant社[P.O.
Box 11486、Linde Drive、Chi
ckasaw、AL 36611、米国]から商標S1
15の下で商業的に入手可能なシリカライトを520g
加え、それと一緒にグリセロールを15gおよびチロー
スを45g加えることを通して、触媒であるシリカライ
トと結合剤であるシリカを一緒にした。ペーストが得ら
れるまで上記スラリーを蒸発させた。このペーストを押
出し加工して直径が2.5mmの筒状押出し加工品に成
形した。この押出し加工品を約110℃の温度で約16
時間乾燥させた。その後、この乾燥させたペレットに焼
成を約600℃の温度で約10時間受けさせた。上記結
合剤が複合触媒の50重量%を構成していた。
【0106】上記シリカを結合剤として用いて調合した
シリカライトに、その後、この触媒を蒸気中で加熱した
後にその触媒からアルミニウムを抽出する段階を受けさ
せることで、この触媒のSi/Al原子比を高くした。
初期シリカライト触媒のSi/Al原子比は220であ
った。結合剤であるシリカと一緒に押出し加工品形態で
調合したシリカライトに処理を蒸気を72体積%と窒素
を28体積%含有する蒸気雰囲気中で大気圧下約550
℃の温度で48時間受けさせた。水分圧は72kPaで
あった。その後、この蒸気処理を受けさせた触媒(14
5.5g)をNa2EDTAが0.05M入っている水
溶液(611ml)に浸漬して、その溶液を16時間還
流させた。次に、その結果として生じたスラリーを水で
徹底的に洗浄した。次に、この触媒に塩化アンモニウム
(0.1NのNH4Clを触媒100g当たり480m
lの量)を用いたイオン交換を還流条件下で受けさせ
た。最後に、この触媒を洗浄し、約110℃の温度で乾
燥させた後、これに焼成を約400℃の温度で約3時間
受けさせた。
【0107】その結果として得た触媒は280を越える
Si/Al原子比および単斜結晶構造を有していた。
【0108】実施例7 この実施例では、シリカライトを基にして高いケイ素/
アルミニウム原子比を持たせた結晶性シリケート触媒
を、実施例6に記述した過程とは異なる段階順を用いて
製造した。実施例7では、上記シリカライトに蒸気処理
および脱アルミニウムを受けさせた後、このシリカライ
ト触媒を結合剤と一緒に調合した。
【0109】最初の蒸気処理段階では、UOP Mol
ecular Sieve Plant社[P.O.B
ox 11486、Linde Drive、Chic
kasaw、AL 36611、米国]から商標S11
5の下で商業的に入手可能なSi/Al原子比が220
のシリカライトに蒸気を用いた処理を蒸気を72体積%
と窒素を28体積%含有する雰囲気中で大気圧下約55
0℃の温度で48時間受けさせた。水分圧は72kPa
であった。その後、この蒸気処理を受けさせた触媒(2
kg)をNa2EDTAが0.05M入っている水溶液
(8.4リットル)に浸漬して約16時間還流させた。
その結果として生じたスラリーを水で徹底的に洗浄し
た。その後、この触媒に塩化アンモニウム(0.1Nの
NH4Clを触媒1kg当たり4.2リットル)用いた
イオン交換を還流条件下で受けさせた。最後に、この触
媒を洗浄し、約110℃の温度で乾燥させた後、これに
焼成を約400℃の温度で約3時間受けさせた。
【0110】その結果として得たシリカライト触媒は約
280のSi/Al原子比および単斜結晶構造を有して
いた。
【0111】その後、上記シリカライトを無機結合剤で
あるシリカと一緒に調合した。このシリカはDegus
sa AG社[GBAC、D−6000、フランクフル
ト、ドイツ]から商標FK500の下で商業的に入手可
能な沈澱シリカの形態であった。215gの上記シリカ
を850mlの蒸留水と一緒に混合した後、このスラリ
ーのpHを硝酸で1になるまで下げた後、それを1時間
混合した。その後、このスラリーに、この上で処理した
シリカライトを850g、グリセロールを15gおよび
チロースを45g加えた。次に、ペーストが得られるま
で上記スラリーを蒸発させた。このペーストを押出し加
工して直径が1.6mmの筒状押出し加工品に成形し
た。この押出し加工品を約110℃の温度で約16時間
乾燥させた後、これに焼成を約600℃の温度で約10
時間受けさせた。
【0112】上記結合剤が複合触媒の20重量%を構成
していた。
【0113】実施例8および比較実施例1および2 実施例8では、蒸気処理および抽出による脱アルミニウ
ム過程を受けさせておいたシリカライト触媒をブテン含
有原料の接触分解で用いた。この触媒は実施例4に従っ
て蒸気処理および脱アルミニウム化を受けさせることで
調製したシリカライトであり、これのケイ素/アルミニ
ウム原子比は180であった。
【0114】この接触分解過程で用いたブテン含有原料
は表12aに示す組成を有していた。
【0115】接触分解過程を545℃の流入温度で流出
炭化水素圧力が大気圧になるようにして30時-1のLS
HVで実施した。
【0116】表12aに流出液中に存在するプロピレ
ン、イソブテンおよびn−ブテン量の分類を示す。プロ
ピレンの量が比較的高いことが分かるであろう。また、
上記シリカライトは接触分解過程で経時的安定性を示し
てプロピレンの選択率は20時間および164時間の稼
働時間(TOS)後でも同じであることを注目すること
ができる。このように、本発明に従って製造した触媒を
用いると経時的に安定したオレフィン転化率が得られか
つもたらされるパラフィン生成量、特にプロパン生成量
は低い。
【0117】比較実施例1および2でも実質的に同じ原
料および分解条件を用いたが、上記実施例とは対照的
に、比較実施例1では触媒に実施例4と同じ出発シリカ
ライトを含めてそれに如何なる蒸気過程も抽出過程も受
けさせず、そして比較実施例2では、触媒に実施例4と
同じ出発シリカライトを含めてそれに実施例4と同じ蒸
気処理を受けさせたが抽出処理は受けさせなかった。結
果をそれぞれ表12bおよび12cに示す。比較実施例
1および2では各々アルミニウムをシリカライトの骨格
から除去する抽出過程を用いておらず、その結果とし
て、触媒のケイ素/アルミニウム原子比は実施例8の触
媒のそれに比較して有意に低かった。
【0118】比較実施例1および比較実施例2では触媒
が安定性を示さなかったことが分かるであろう。言い換
えれば、上記触媒が分解過程を触媒する能力は経時的に
低下した。これは触媒上にコークスが生じたことによる
ものであると考えており、これは逆に、この使用した触
媒のケイ素/アルミニウム原子比が低い結果として触媒
の酸性度が比較的高かったことによるものであると考え
ている。
【0119】比較実施例1ではまたパラフィン類、例え
ばプロパンの生成量も多かった。
【0120】実施例9および10 実施例9および10では、オレフィンの接触分解過程で
用いるシリカライト触媒のケイ素/アルミニウム原子比
を高くしておくとそれによって触媒の安定性が向上する
ことを例示する。
【0121】図1に、実施例1で用いたシリカライトと
同様な初期ケイ素/アルミニウム原子比が約220のシ
リカライトを用いたがその比率を実施例1に記述した蒸
気処理および脱アルミニウム段階で高くしておいた触媒
を用いた場合の収率および時間の間の変化を示す。プロ
ピレンの収率が経時的に有意には低下しないことが分か
るであろう。このことは上記触媒が高い安定性を示すこ
とを例証している。原料にジエンの量を低くしておいた
4原料を含めた。
【0122】図2に、シリカライト触媒のケイ素/アル
ミニウム原子比が低いと触媒の安定性がどれくらい低い
かを示し(実施例10)、これは接触分解過程における
プロピレンの収率が経時的に低下することで明らかにな
る。実施例10の触媒に実施例9で用いた触媒の出発触
媒を含め、このシリカライトのケイ素/アルミニウム原
子比は約220であった。
【0123】実施例11−13および比較実施例3 実施例11から13では、ジエンの量を低くしておいた
4含有オレフィン原料の接触分解過程でプロピレンの
収率が時間に伴って変化する度合を試験した(実施例1
1)。この触媒に実施例6のシリカライト触媒、即ち2
20の初期ケイ素/アルミニウム原子比を有するシリカ
ライトに押出し加工段階を押出された触媒/結合剤複合
体中のシリカ含有量が50重量%になるようにシリカ含
有結合剤と一緒に受けさせておいた触媒を含めた。上記
押出し加工は実施例6の言及で開示した加工と同様であ
った。その後、この結合剤と一緒に調合したシリカライ
トに実施例6に開示した如き蒸気処理および抽出処理を
受けさせた。図3に、接触分解過程におけるプロピレン
収率の経時的変化を示す。プロピレン収率の低下は50
0時間に及ぶ稼働時間(TOS)全体に渡って若干のみ
でプロピレン収率は稼働時間が数時間または169時間
の時よりも実質的に高いことが分かるであろう。
【0124】実施例12では、シリカライト触媒を結合
剤と一緒にシリカが複合触媒の50重量%を構成するよ
うに調合する押出し加工段階に先立って蒸気処理および
アルミニウム抽出段階を実施例7の場合と同様な様式で
実施する以外は同じ触媒を用いた。実施例12の場合の
プロピレン収率は実施例11の場合に比べて経時的に有
意に低下することが図4から分かるであろう。このこと
は、調合シリカライト触媒に含める結合剤の量を約50
%にする場合には押出し加工段階を蒸気処理および抽出
段階の前に実施する方が好適であることを示している。
【0125】実施例13は、実施例11の触媒と同様な
触媒を用いて接触分解過程におけるプロピレンの経時的
収率を試験する点で実施例12と同様であるが、実施例
13では、上記触媒に含める結合剤であるシリカの量を
この結合剤と一緒に調合したシリカライト触媒の重量を
基準にして20重量%のみにした。プロピレンの収率は
実施例11(この場合の触媒には結合剤をより多い量で
含めた)の場合に比べて経時的にあまり低下しなかった
ことが図5から分かるであろう。このように、この実施
例は、結合剤の量が低い場合には蒸気処理および抽出段
階を押出し加工段階の前に実施して触媒を結合剤に付着
させてもよいことを示しており、この場合には、オレフ
ィン原料の接触分解過程におけるプロピレン収率の経時
的な低下は有意には起こらなかった。
【0126】比較実施例3では、結合剤にシリカではな
くアルミナを結合剤であるアルミナがシリカライト/結
合剤複合触媒の50重量%を構成するように含める以外
は実施例12の様式と同様な様式でシリカライト触媒の
調製を行った。その結果として得た触媒をC4(ジエン
類の量を少なくしておいた)オレフィン原料の接触分解
で用い、その結果を図6に示す。アルミニウム含有結合
剤、特にアルミナを用いると接触分解過程で得られるプ
ロピレンの収率が経時的に有意に低下することが分かる
であろう。このアルミニウム含有結合剤は高い酸性度を
有することから触媒上にコークスが生成し、それによっ
て今度は上記触媒がオレフィンの接触分解過程で示す活
性が経時的に低下したと考えている。
【0127】実施例14および比較実施例4 実施例14および比較実施例4では、ジエンを除去して
おいた原料を用いる方が好適であること、特に原料に含
まれるジエンを水添で除去しておくのが好適であること
を例示する。
【0128】実施例14では、下記の特性を有するシリ
カライト(AKZO社から入手)を用いた:Si/Al
原子比:111、表面積:389m2/gおよび結晶子
サイズ:2から5ミクロン。このシリカライトを圧縮
し、粉砕した後、35−45メッシュの画分を保持し
た。この画分に蒸気含有量が72体積%で窒素含有量が
28体積%の蒸気雰囲気を用いた処理を大気圧下553
℃で約48時間受けさせた。この蒸気処理を受けさせた
触媒(104g)をNa2EDTAが0.025M入っ
ている1000mlの水溶液に浸漬して16時間還流さ
せた。このスラリーを水で徹底的に洗浄した。次に、こ
の触媒にNH4Cl(0.05Nを触媒100g当たり
1000ml)による交換を還流条件下で受けさせた。
次に、この触媒を最終的に洗浄し、110℃で乾燥させ
た後、それに焼成を400℃で3時間受けさせた。上記
脱アルミニウム処理を受けさせた後の最終Si/Al原
子比は182であった。
【0129】次に、この触媒をオレフィンを37重量%
含有する軽質分解ナフサである供給材料の分解で用いた
が、ここでは、この供給材料に前以てジエンの水添をも
たらす処理を受けさせておいた。工程条件は流入温度が
557℃で流出炭化水素圧力が大気圧でLHSVが25
-1であった。図7にエチレン、プロピレン、C1から
4のパラフィン類およびブテン類の経時的収率分布を
示す。プロピレン生産量は試験時間全体に渡って安定で
パラフィン類の追加的生成は見られないことが図7から
分かるであろう。
【0130】それとは対照的に、比較実施例4では、シ
リカライト触媒を用いたオレフィン分解過程でジエンの
水添をもたらす水素化処理を前以て受けさせておかなか
った供給材料を用いた。この触媒は実施例4に従って製
造した触媒と同じ触媒(脱アルミニウムの結果としてS
i/Al原子比が180の触媒)であった。この触媒を
オレフィンを49重量%含有するLCN供給材料(この
供給材料はジエンを0.5重量%含有する)の分解過程
で用いた。工程条件は流入温度が570℃で流出炭化水
素圧力が大気圧でLHSVが27時-1であった。
【0131】図8に、ジエン含有量を低くしておいた分
解ナフサにシリカライトを用いた選択的分解を受けさせ
た時のいろいろなオレフィン成分の収率とプロパンの収
率の間の関係を時間に関して示す。比較実施例4ではプ
ロピレンの収率が経時的に有意に低下することが分かる
であろう。これは原料にジエンが存在していると結果と
してゴム状物が触媒に付着し得ることでそれの活性が経
時的に低下することによるものであると考えている。
【0132】実施例15 この実施例では、原料に1番目の炭化水素流(C4オレ
フィンを含有)、特にジエン水添を受けさせておいたC
4流(主成分としてC4オレフィンを含有する)と2番目
の炭化水素流(軽質分解ナフサを包含)を含めた。この
2つの炭化水素流の組成および結果として生じた混合物
の組成を表11に示す。この混合した原料をシリカライ
ト触媒の上に約550℃の原料流入温度で炭化水素圧力
が大気圧になるようにして約23時-1の原料LHSVで
送り込んだ。このような混合原料の場合、結果として生
じる流出液のオレフィン含有量は上記原料混合物のオレ
フィン含有量と実質的に同じでありそして流出液にプロ
ピレンが16.82%含まれることが分かるであろう。
本明細書の上に記述したように、C4オレフィン流とL
CNの混合物を用いると本発明の接触分解方法の全体的
熱負荷の低下がもたらされ得る。
【0133】実施例16 この実施例では、CU Chennie Uetico
n AG社(スイス)から商標ZEOCAT P2−2
の下で商業的に入手可能な触媒を用いて反応槽に表14
に示した組成を有する1−ブテン供給材料から成る原料
を約560℃の流入温度で流出炭化水素圧力が大気圧に
なるようにして約23時-1のLHSVで送り込んだ。こ
の触媒のケイ素/アルミニウム原子比は300であっ
た。この触媒は商業的に入手可能であり、これは有機鋳
型を用いた結晶化で調製されたもので、後で如何なる蒸
気処理も脱アルミニウム処理も全く受けさせていないも
のであった。この触媒の結晶サイズは2ないし5ミクロ
ンでペレットサイズは35ないし45メッシュであっ
た。流出液の組成を40時間の稼働時間後および112
時間の稼働時間後に検査し、この流出液の分析結果を表
14に示す。表14は、流出液に含まれるプロピレンに
対して選択性のある接触分解過程に関してケイ素/アル
ミニウム原子比が300の触媒は大きな安定性を有する
ことを示している。このように、稼働時間が40時間後
の流出液ではそれの18.32重量%をプロピレンが構
成している一方、稼働時間が112時間後の流出液では
それの18.19重量%をプロピレンが構成していた。
稼働時間が162時間後の流出液ではそれの17.89
重量%をプロピレンが構成していた。このことは、流出
液中のプロピレン含有量は約5日間に及ぶ極めて長い時
間(3日を越える)に渡って有意には低下しないことを
示している。3日間は、典型的に、固定床型の2基の並
列「自在」反応槽の場合に用いられる再利用、即ち再生
期間である。実施例16の場合の112時間および16
2時間後の結果はそれぞれ比較実施例1の場合の97時
間および169時間の結果に匹敵し得る。比較実施例1
の場合の触媒は97時間に渡ってかなり安定で流出液に
含まれるプロピレンの量が初期体積に比較して低下した
度合は約1.1%であったが、これの安定性は97時間
から169時間の間で有意に低下し、このことは、実施
例16の場合の相当する期間である112時間および1
62時間には当てはまらない。
【0134】比較実施例5 この比較実施例では、ブテン含有原料の接触分解でケイ
素/アルミニウム原子比が25の市販ZSM−5触媒を
用いた。この接触分解過程で用いたブテン含有原料の組
成は表15に示す通りであった。
【0135】この接触分解過程を560℃の流入温度で
流出炭化水素の圧力を大気圧にして50時-1のLHSV
で実施した。
【0136】本明細書の上で引用したヨーロッパ特許出
願公開第0109059号に開示されている相当する触
媒および条件を模擬するように触媒および工程条件、特
に高い空間速度を選択した。
【0137】この接触分解過程をほぼ40時間に渡って
実施して流出液の組成を逐次的稼働時間(TOS)で定
期的に測定した。個々の稼働時間後の流出液の組成を表
15に示し、これはブテン転化度の指示に相当する。
【0138】約25の低いケイ素/アルミニウム原子比
を有するZSM−5触媒を高い空間速度と一緒に用いる
(ヨーロッパ特許出願公開第0109059号には高い
プロピレン収率を達成するに重要であると示されてい
る)とプロピレンの収率は流出液にプロピレンが約16
重量%含まれるに充分なほど高くなり得たが、これは稼
働時間が約15−20時間の間であり、その期間を過ぎ
るとプロピレンの収率が急速に悪化することが表15か
ら分かるであろう。このことは、ヨーロッパ特許出願公
開第0109059号に開示されている方法で用いられ
ているように高い空間速度と一緒に低いケイ素/アルミ
ニウム原子比を用いると触媒の安定性が低くなることを
示している。
【0139】
【表1】
【0140】
【表2】
【0141】
【表3】
【0142】
【表4】
【0143】
【表5】
【0144】
【表6】
【0145】
【表7】
【0146】
【表8】
【0147】
【表9】
【0148】
【表10】
【0149】
【表11】
【0150】
【表12】
【0151】
【表13】
【0152】
【表14】
【0153】
【表15】
【0154】
【表16】
【0155】
【表17】
【0156】
【表18】
【0157】
【表19】
【0158】
【表20】
【0159】
【表21】
【0160】
【表22】
【0161】
【表23】
【0162】
【表24】
【0163】
【表25】
【0164】
【表26】
【0165】
【表27】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に従う接触分解方法および比較
実施例に従う接触分解方法それぞれに関するいろいろな
産物(プロピレンを包含)の収率と時間の間の関係を示
すグラフである。
【図2】本発明の実施例に従う接触分解方法および比較
実施例に従う接触分解方法それぞれに関するいろいろな
産物(プロピレンを包含)の収率と時間の間の関係を示
すグラフである。
【図3】触媒をいろいろな結合剤を用いていろいろな加
工段階で製造した場合のとりわけプロピレンの収率と時
間の間の関係を示すグラフである。
【図4】触媒をいろいろな結合剤を用いていろいろな加
工段階で製造した場合のとりわけプロピレンの収率と時
間の間の関係を示すグラフである。
【図5】触媒をいろいろな結合剤を用いていろいろな加
工段階で製造した場合のとりわけプロピレンの収率と時
間の間の関係を示すグラフである。
【図6】触媒をいろいろな結合剤を用いていろいろな加
工段階で製造した場合のとりわけプロピレンの収率と時
間の間の関係を示すグラフである。
【図7】接触分解を受けさせる前の原料に予備的ジエン
水添段階を受けさせた場合と受けさせなかった場合のと
りわけプロピレンの収率と時間の間の関係を示すグラフ
である。
【図8】接触分解を受けさせる前の原料に予備的ジエン
水添段階を受けさせた場合と受けさせなかった場合のと
りわけプロピレンの収率と時間の間の関係を示すグラフ
である。
【図9】本発明の選択的接触分解方法におけるオレフィ
ン原料転化量、プロピレン収率および他の成分の総量と
ケイ素/アルミニウム原子比の間の関係を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジヤツク−フランソワ・グロートジヤン ベルギー・ビー−3061レーフダール・ネー リレステーンベーク39 (72)発明者 クサビエ・バンアエラン ベルギー・ビー−1332ジヤンバル・ビユー シユマンドレルプ63 (72)発明者 ワルター・ベルメイレン ベルギー・ビー−3530ウータレン・ウイニ ングストラート4

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C4またはそれ以上のオレフィン類を1
    種以上含有するオレフィンが豊富な原料からプロピレン
    を製造する方法であって、該オレフィン含有原料を少な
    くとも約180のケイ素/アルミニウム原子比を有する
    MFI型の触媒に接触させてプロピレンを含有する流出
    液を該原料のオレフィン含有量を基準にして30ないし
    50%のオレフィン基準プロピレン収率で生じさせるこ
    とを含んでなる方法。
  2. 【請求項2】 該原料が軽質分解ナフサを含む請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 該原料が製油所内の流動床接触分解装置
    由来のC4溜分、製油所内のメチルt−ブチルエーテル
    製造用装置由来のC4溜分または蒸気分解装置由来のC4
    溜分を含む請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 該原料が蒸気分解装置または軽質分解ナ
    フサ由来のC5溜分を含む請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 該流出液中に存在する全てのC3化合物
    の少なくとも95重量%がプロピレンとして存在する前
    請求項のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 該原料を該触媒に500ないし600℃
    の流入温度で接触させる前請求項のいずれかに記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 該流入温度が540ないし580℃であ
    る請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 該原料を該触媒に0.1ないし2バール
    のオレフィン分圧で接触させる前請求項のいずれかに記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 該原料を該触媒の上に10ないし30時
    -1のLHSVで通す前請求項のいずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】 該ケイ素/アルミニウム原子比が18
    0から1000である前請求項のいずれかに記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 該触媒が該触媒を蒸気中での加熱によ
    り前処理されそして該触媒をアルミニウム用錯化剤で処
    理することにより該触媒が脱アルミニウム化されてお
    り、この前処理で該触媒のケイ素/アルミニウム原子比
    が少なくとも約180の値にまで高められているもので
    ある前請求項のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 該MFI型の触媒がシリカライト型の
    触媒である請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法
  13. 【請求項13】 該MFI型の触媒がZSM−5型の触
    媒である請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法
  14. 【請求項14】 該触媒がZSM−5型の触媒であり、
    有機鋳型を用いた結晶化で作られたものであり、その後
    如何なる蒸気処理も脱離アルミニウム化処理も受けてお
    らず、300ないし1000のケイ素/アルミニウム原
    子比を有する触媒である請求項1〜9のいずれか1項に
    記載の方法。
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