JP2006083173A - プロピレンを製造し、かつ、使用済みの触媒の一部を再循環させるための移動床方法 - Google Patents

プロピレンを製造し、かつ、使用済みの触媒の一部を再循環させるための移動床方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、水蒸気分解および/または接触分解の軽質オレフィンフラクションからプロピレンを生成するための方法であって、該方法は触媒再生ループを有する移動床接触分解工程を含む方法に関する。
【解決手段】 本方法は、使用済み触媒の部分を移動床反応器の入口に再循環させる。本発明の方法を用いる転換率は高く、収率およびプロピレンの選択性が共に良好である。本方法は、形態選択性を有し、かつ、Si/Al比が50〜1200である少なくとも1種のゼオライトを含む担持触媒を用い、使用済み触媒の流れが反応器の下部から抜き出され、使用済み触媒の第一の部分が反応器の頂部に再循環され、使用済み触媒の相補部分が再生帯域に移されてここで少なくとも1回の制御された酸化工程を経、再生された触媒部分が該反応器の上部に再導入され、第一の部分である使用済み触媒と混合される。
【選択図】図1

Description

本発明は、水蒸気分解またはFCCからのC2〜C12、例えばC4および/またはC5フラクションのオレフィンを含む炭化水素原料油を少なくとも部分的にプロピレンに転換するための方法に関する。用語FCC(fluid catalytic cracking)は、流動床内の接触分解を意味し、用語Cnは、主としてn個の炭素原子を含む炭化水素のフラクションを示す。
オレフィンC4/C5フラクションは、石油精油所および水蒸気分解施設において大量に(しばしば過剰に)入手可能である。
しかしながら、それらを水蒸気分解工程に再循環させることは有利ではない。軽質オレフィンの収率がパラフィンフラクションとともにより低くなり、コークを形成する傾向が相対的により高くなるからである。
さらに、それらを従来のFCC装置に再循環させることは不可能である。減圧蒸留タイプの原料油に適合される、従来のFCC条件のもとではそれらの反応性が非常に低いからである。
本発明の方法のための原料油は、典型的には、軽質オレフィン原料油であり、これは、主として、4〜12個の炭素原子を含んでおり、従来の再循環が困難である。
本発明に記載される、軽質オレフィン原料油を、プロピレンを含むフラクションに転換するための方法は、前記軽質オレフィンをプロピレンに直接的に転換することができる、すなわち、予備的に独立したオレフィンのオリゴマー化工程がない触媒反応を用いる。第1のオリゴマー化工程を行った後に、触媒を用い、かつ、第1のオリゴマー化工程で用いられる条件とは区別される条件下に操作して行われるオリゴマー化工程からの流出物を分解する工程を行う二工程方法とは対照的に、本タイプの方法は一工程オリゴ分解と呼ばれる。
本文の残りの部分では、本発明の方法を一工程オリゴ分解方法、あるいは場合によっては簡単にオリゴ分解方法と示すことに関して説明され、単一の工程で行われることが理解される。
この種の反応に用いられる触媒は、一般的にゼオライト触媒であり、そのSi/Al比は50〜1200、好ましくは60〜800、より好ましくは75〜140であり、MFIおよびMELの2つの群から選択される。考慮されるSi/Al比は、触媒のゼオライト部分のみのものである。
本発明の方法は、移動床において反応器出口から取り除かれた使用済み触媒の一部を再循環させることによって反応器における平均的な触媒活性を非常に精密に制御しながら触媒を用いることを特徴とする。
特許文献1は、Si/Al比が180〜1000であるゼオライトMFI型触媒またはSi/Al比が150〜800であるゼオライトMEL型触媒を用い、前記高Si/Al比は、ジエン類および芳香族類の生成並びにオレフィンの飽和(プロピレン)に起因する水素移動反応を制限するために用いられる方法を記載する。温度は500〜600℃、オレフィンの分圧は0.01〜0.2MPa(1MPa=10Pa)、空間速度は5〜30h−1である。
この方法は移動床の態様で用いられ、触媒は断続的に除去され、その後、再生され再循環される。
当該発明によると、「移動床」は、概して実質的に球形であり、0.5〜5mmの特徴的な寸法を有していると共に、粒子がパッケージングされており、かつ、そのために各粒子が実質的に他の隣接する粒子と常時接触している反応器において用いられる粒子の床を示している。粒子(概して0.2mm未満の寸法を有する)が常時移動しており床中の粒子分布の混合と再生が迅速である流動床と対照的に、床の下部からの断続的または連続的な使用済み触媒粒子の一部の除去によって移動床の移動は非常に遅い。移動床中の粒子の平均流量(流れがない期間を含む)は非常に少なく、概して、0.1m/分よりはるかに少ない。
特許文献2は、一部の触媒が反応帯域から引き出され、次いで、反応帯域へのその移送の間にストリッピングされる移動床の構成を記載する。その後、触媒は再生され反応部の頂部に送られる。
特許文献3は、使用済み触媒の一部を流動床接触分解方法における反応帯域の頂部に再循環させることを記載する。
再循環された非再生触媒の部分は、再生触媒部分との混合物として導入される。非再生触媒再循環流量は、使用済み触媒、再生触媒および再循環された触媒の流量の測定に基づいて自動的に制御される。
当該特許において記載された使用済み触媒の再循環は、流動床FCC装置に限定的に関係し、以下に説明されることになる本発明における場合のような移動床の態様において機能する装置に関係しない。
欧州特許出願1195424号明細書 米国特許第6284939号明細書 米国特許出願公開2003/02239918号明細書
本発明は、移動床の態様において軽質オレフィンをプロピレンに直接的に転換することができる、すなわち、予備的に独立したオレフィンのオリゴマー化工程がない触媒反応を用い、軽質オレフィン原料油を、プロピレンを含むフラクションに転換し、かつ、使用済みの触媒の一部を再循環させるための方法を提供することを目的とする。
本出願人は、驚くべきことに、オリゴ分解において移動床を用いると固定床における触媒試験に比較して期待外れの結果をもたらすことを発見した。その後、本出願人は、このことが移動床内の触媒活性の勾配を通ってオリゴ分解する場合に説明され得ることを発見した。すなわち、床の上部にある触媒は活性が高い再生触媒であり、これに対して、反応器の下部にある触媒はかなり使用されている。したがって、単一の至適な触媒活性を持たせることが不可能であるので、移動床の下部および上部における反応は、特に水素移動反応において、同じようには進行せず、これにより、平均全収率が低減される。
本発明により、使用済み触媒の一部を、移動床の頂部に再循環させて再生触媒と混合することによって、平均の全体触媒活性を低減することができ、それ自体を至適な値に適合させることができることが発見された。さらに、この活性低減効果は、使用済み触媒の活性を改変するように移動床の循環速度が調整され得るので底部より反応器の頂部において比較的より多く記録される。したがって、本発明は、反応器の頂部と底部との間の触媒活性勾配を低減し得る。反応の進行が乏しいことにより触媒活性の大きな格差が収率の損失をもたらすことが不可避であるので、この効果は有益である。
まとめると、本発明は、プロピレンを製造するために、2〜12個の炭素原子、好ましくは4〜12個の炭素原子を含む炭化水素を含む軽質オレフィン炭化水素原料油を接触オリゴ分解するための方法であって、該方法は、形態選択性を有し、Si/Al比が5〜1200、好ましくは60〜800、より好ましくは75〜140である少なくとも1種のゼオライトを含む担持触媒を用い、該ゼオライトは、MEL、MFI、NES、EUO、FER、CHA、MFS、MWWの群およびNU−85、NU−86、NU−88およびIM−5の群の1つのうちから選択されるか、または2つの群のゼオライトの混合物であり、該方法は、前記原料油が移動床の態様で機能する少なくとも1つの放射状反応器における触媒に対するクロスフローとして循環され、使用済み触媒の流れは、連続的または不連続的に反応器下部から抜き出され、前記使用済み触媒の第一の部分は、反応器頂部に再循環され、使用済み触媒の相補部分は、再生帯域に移送され、該再生帯域で少なくとも1回の制御された酸化工程を経、再生された触媒部分は、該反応器の上部に再導入され、使用済み触媒である第1の部分と混合されることを特徴とする方法として規定され得る。
本発明は、2〜12個の炭素原子、好ましくは4〜12個の炭素原子を含む炭化水素を含む軽質オレフィン炭化水素原料油を接触オリゴ分解してプロピレンを製造するための方法であって、形態選択性を有し、かつ、Si/Al比が50〜1200である少なくとも1種のゼオライトを含む担持触媒を用い、該ゼオライトは、下記2つの群のうちの1つから選択され、すなわち、該群の一つは、MEL、MFI、NES、EUO、FER、CHA、MFSおよびMWWによって形成された群であり、他方の群は、NU−85、NU−86、NU−88およびIM−5によって形成された群であり、または、該ゼオライトは該2つの群からのゼオライトの混合物であり、移動床の態様で機能する少なくとも1つの放射状反応器において該触媒に対するクロスフローとして該原料油が循環され、使用済み触媒の流れが連続的または不連続的に反応器の下部から抜き出され、該使用済み触媒の第一の部分が反応器頂部に再循環され、該使用済み触媒の相補部分が再生帯域に移されてこの再生帯域で少なくとも1回の制御された酸化工程を経、再生された触媒部分が該反応器の上部に再導入され、該使用済み触媒の第一の部分と混合されることを特徴とするものである。
上記本発明の方法において、再生帯域が、400〜650℃の温度で空気/窒素混合物、空気または酸素枯渇空気を用いて触媒上に形成された炭素堆積物を燃焼させるための少なくとも1つの相を含むことが好ましい。
上記本発明の方法において、反応温度が450〜620℃であることが好ましい。
上記本発明の方法において、触媒の質量に対する原料油の質量流量の比として規定される空間速度が0.5〜6h−1であることが好ましい。
上記本発明の方法において、操作圧力が0.1〜0.5MPaであることが好ましい。
上記本発明の方法において、該方法のための新しい原料油に含まれるオレフィンの量に対する1通過当たりのプロピレンの収率が25〜50重量%であることが好ましい。
上記本発明の方法において、非再生の使用済み触媒の部分および再生触媒の相補部分が反応帯域の上流に配置された定位ミキサーによって接触されることが好ましい。
上記本発明の方法において、非再生の使用済み触媒の部分および再生触媒の相補部分が反応帯域の上流に配置された流動床によって接触されることが好ましい。
上記本発明の方法において、オリゴ分解反応器の頂部に再循環される非再生の使用済み触媒の流量は、オレフィン原料油中にブテン含量のインライン測定に基づいて制御されることが好ましい。
上記本発明の方法において、オリゴ分解反応器の頂部に再循環される非再生の使用済み触媒の流量は、流出物中のプロピレン含量のインライン測定に基づいて制御されることが好ましい。
上記本発明の方法において、反応器頂部において用いられる定位ミキサーの直径に対する長さの比が5〜15であることが好ましい。
上記本発明の方法において、反応器頂部において用いられる流動床は最小の流動速度の2〜10倍の流動速度で操作されることが好ましい。
本発明は、移動床において反応器出口から取り除かれた使用済み触媒の一部を再循環させるので、反応器における平均的な触媒活性を非常に精密に制御しながら触媒を用いることができる。
したがって、本発明は、4〜12個の炭素原子を主として含むオレフィン炭化水素フラクションからプロピレンを製造するための改善された移動床接触オリゴ分解方法に関する。
本発明の移動床接触オリゴ分解方法のための原料油は、典型的には20〜100重量%、通常は25〜60重量%のオレフィン、特に4および/または5個の炭素原子を含む軽質オレフィンを含む。
典型的には、触媒は、形態選択性を有する少なくとも1種のゼオライトを含んでもよく、前記ゼオライトのSi/Al比は50〜1200、特には60〜800、好ましくは75〜140である。
担持触媒は、MEL、MFI、NES、EUO、FER、CHA、MFS、MWW構造型の1つを有するゼオライトによって構成された群またはNU−85、NU−86、NU−88およびIM−5のゼオライトによって構成された群に属する形態選択性を有する少なくとも1種のゼオライトを含むか、または、その2種のゼオライトの混合物によって構成される。
形態選択性を有する前記ゼオライトによる1つの利点は、それらがより良好なプロピレン/イソブテン選択性をもたらすこと、すなわち、プロピレン/イソブテン比が分解流出物においてより高いことにある。
1種または複数種のゼオライトは、シリカ、ジルコニア、アルミナまたはシリカ−アルミナをベースとするマトリクス中に分散されてもよく、ゼオライトの比率は、通常は15〜80重量%、好ましくは30〜80重量%である。
75〜140の好ましい範囲におけるSi/Al比は、ゼオライトの製造時において、または、脱アルミニウムおよび続くアルミナの除去によって得られてよい。
特に、Zeolyst International,Valley Forge PA,19482 USAから市販のZSM−5ゼオライト:CBV28014(Si/Al比:140)およびCBV1502(Si/Al比:75)またはSud Chemie(Munich,Germany)からのSi/Al比が125であるZSM−5ペンタシルを用いることが可能である。
触媒は、移動床において、特に、1〜3mmの好ましい寸法を有するビーズの形態で用いられる。
再生相は、典型的には、例えば空気/窒素混合物、空気または酸素枯渇空気(例えば排気再循環(exhaust recirculation)による)を用いる触媒上に形成された炭素堆積物の燃焼相を含み、場合によっては、触媒を処理および再生するための他の相を含んでもよい。
接触オリゴ分解装置は、通常は450〜620℃、好ましくは480〜580℃の温度、一般に0.5〜6h−1、好ましくは1〜4h−1の空間速度で操作される。
操作圧力は一般に0.1〜0.5MPaである。
オリゴ分解触媒再生条件は、概して400〜650℃の温度を用い、圧力は通常はオリゴ分解圧力前後である。
一般に、本方法のための新しい原料油中に含まれるオレフィンの量に対するプロピレンの通過当たりの収率は25〜50重量%である。
本発明の移動床オリゴ分解方法は、一般に、非再生の使用済み触媒の部分および反応帯域の上流に配置される再生された触媒の相補部分を接触させかつこれを混合するシステムを含む。
この接触システムは、所定の場合には、定位ミキサーまたは以下の記載においてより詳細に記載されることになる流動床であってよい。
最後に、オリゴ分解反応器の頂部に再循環される非再生の使用済み触媒の流量は、オレフィン原料油に含まれるブテンのインライン測定または流出物中のプロピレンの量に基づいて制御されてよい。原料油および/または流出物の物理化学測定のうちの他のインライン測定が想定されてよく、本発明の範囲をいかなる形であれ制限しない。
しかしながら、一定の場合には、例えば、次の実験から推論される最適な部分分けの分析に基づいてオリゴ分解反応器の頂部に再循環されるべき非再生の使用済み触媒の部分分けを操作者が決めてもよい。
本発明の方法は、反応器出口から抜き出された使用済みの触媒の一部を移動床反応器の入口に再循環させることによる反応器内の触媒の活性の最適な制御の力によって、C2〜C12、好ましくはC4〜C12のオレフィン原料油からのプロピレンの高い転換率、選択性および収率をもたらし得る。
本発明の方法のための典型的な原料油は、FCC装置または水蒸気分解装置に一般に由来するオレフィン原料油である。
本発明の方法のための原料油はまた、C4/C5フラクションまたはチャンバコーキングまたは流動床コーキングまたはビスブレーキング装置またはフィッシャー・トロプシュ合成装置に由来するより広いフラクションを含んでもよい。
原料油はまた、水蒸気分解ガソリンまたはFCCガソリンまたは別のオレフィンガソリンのフラクションを含んでもよい。用語「ガソリン」は、少なくとも1つの転換または合成装置、例えばFCC、ビスブレーキング、コーキングまたはフィッシャー・トロプシュ装置に主として由来する炭化水素フラクションを意味し、これらの大部分は、少なくとも5個の炭素原子を含み、220℃前後の終点を有する炭化水素によって構成される。
本発明の方法のための原料油を構成するオレフィンフラクションは、概して、2〜12個の炭素原子、好ましくは4〜12個の炭素原子を含むオレフィンを含む。それは好ましくは上記に規定された原料油から選択されるか、または、それは、上記に規定された原料油の混合物によって構成されてよい。
それはまた、エチレン、場合によっては少量の未精留プロピレン、ヘキサン、および7〜10個の炭素原子を含むオレフィンを含んでよい。
原料油はまた、しばしば、高度に不飽和化された化合物、例えば、ジエン類(ジオレフィン類)、特に4または5個の炭素原子を含むもの(特にブタジエン)、および2〜10個の炭素原子を含む少量のアセチレン様化合物を含む。典型的には、オレフィン原料油の少なくとも80重量%は、1以上の炭化水素分解装置、例えば、FCC、水蒸気分解、ビスブレーキング、コーキングの装置に属する装置に直接的に由来する。
触媒再生ループによる移動床の態様において機能する放射状反応器が石油および石油化学工業においてよく知られており、多くの方法、例えば炭化水素の連続的接触改質方法に用いられている。これらの方法における触媒は、1〜3mm寸法のほぼ球形の粒子の形態である。
典型的には、直列する放射状反応器のための共通の触媒再生ループにより直列で機能する1以上の放射状反応器が用いられる。直列の各放射状反応器には先行の反応器から使用済み触媒が供給される。
用語「放射状反応器」は、触媒の流れの軸に対して実質的に垂直な軸に沿って、概して反応器外側から内側に原料油が床を横切る移動床反応器を意味する。次いで、反応流出物が穴または中央の収集機に集められる。
リフトポットは、各連続の反応器からの出口において触媒を回収し、次いで、これを空気圧、例えば窒素流を用いて次の反応器または触媒が再生される再生帯域に移すために用いられる。
再生相は、典型的には、例えば空気/窒素混合物または酸素枯渇空気(例えば排気循環による)または好ましくは脱水された空気を用いて触媒上に形成された炭素堆積物を燃焼するための相を少なくとも1つ含み、場合によっては、前記触媒の処理および再生のための他の相を含んでよい。
次いで、再生された触媒は、直列の一番目の反応器の上部に、場合によっては、直列の他の反応器への補助として空気圧により移される。
再生帯域はまた、移動床の態様、一般的に平均処理圧力前後の圧力、一般的に400〜650℃の温度で操作されてよい。
いくつかの反応器が直列で用いられる場合、触媒は、原料油に対して全体的な向流または全体的な並流として循環してよい。移動床方法についてのさらなる詳細は、米国特許第3838039号、米国特許第5336829号、米国特許第5849976号および欧州特許第1195424号の特許を参照することによって得られ得る。
より正確には、本発明は、プロピレンの製造のために主として4〜12個の炭素原子を含む軽質オレフィン炭化水素原料油の接触(オリゴ)分解によって直接的に転換するための方法であって、該方法は、担持触媒上での該原料油の直接的な分解を含む、方法に関する。
担持触媒は、MEL、MFI、NES、EUO、FER、CHA、MFS、MWWの構造型の1つを有するゼオライトによって構成された群、またはNU−85、NU−86、NU−88およびIM−5のゼオライトによって構成された群に属する形態選択性を有する少なくとも1種のゼオライトを含む。
接続詞「または」は、排他的な意味に解釈されるべきではなく、これは、触媒が一定の場合には上記に規定された2つの群のそれぞれに属するゼオライトの混合物によって構成されてよいことを意味する。
原料油は、450〜580℃の温度で、前記触媒を用いる少なくとも1つの移動床内の触媒床を好ましくは放射状に通って循環する。
使用済み触媒(すなわち、一般的にコークと呼ばれる炭素堆積物を含んでいる)の流れは、反応器の下部から連続的または不連続的に抜き出され、それらの一部は、前記反応器への入口に直接的に再循環され、他の部分は使用済み触媒が少なくとも1回の制御された酸化工程を経る再生帯域に移される。
再生された触媒(すなわち、使用済み触媒に対して低減された量の炭素堆積物を含む)は、1番目の直列反応器の上部に直接的または間接的に再導入され、ここで、再生を経ない部分と混合される。
非再生の使用済み触媒の部分と再生された触媒の相補部分とを混合するためのシステムは、1番目の直列反応器の上部において用いられる。
前記システムは、再生された触媒を、再生を経ない部分と混合するための定位ミキサーであってよい。ミキサーは反応器のラインの上流に配置される。
ミキサーの型およびその長さは、再循環される触媒の割合、したがって、再生された触媒および非再生の触媒の流量の比率に応じて選択されることになる。
ミキサーの直径に対するミキサーの長さの比は、5〜15の範囲で変動してよく、好ましくは8〜12の範囲である。ミキサーは、例えば、固体中に渦をもたらす交互に逆向きになったピッチ(alternating reversed pitches)を備えた固定された内部要素を有してよい(例えば、Kenics KM定位ミキサー)。
別の構成では、ミキサーは、固体の流れを個々の細流に分離して、続いて、再度それらを接触させるようにしてもよい(例えば、Sulzer SMX定位ミキサー)。
2種の固体を混合するためのさらなる手段は、流動床の使用である。流動化ガスは窒素であってよく、整流板を用いて流動床の基部に均一に注入される。再生触媒および非再生触媒は、流動化の作用の下で接触され混合され、この結果、流動化された固体が相当攪拌される。移動床に用いられる粒子はそれらの流動化のための適性を低くする寸法を有するが、それらは流動化され得る。
混合は一般に良好であり、固体は、ガス流動化の速度が流動化の最小速度の2〜10倍、好ましくは最小流動化速度の3〜8倍になった時点から飛沫同伴されない。
よく混合された固体は、流動床の基部から抜き出され、その後、直列の1番目の反応器に送り込まれる。
直接再循環された使用済み触媒(すなわち、非再生)の流量は、反応器流出物中の収率およびプロピレン選択性の点で触媒混合物の最適な平均活性を得るように決定される。
反応器の上流に配置されたミキサーへの入口に再循環される再生触媒および使用済み触媒の各流量は、原料油に関してなされたインライン測定、例えばブテン含量またはプロピレン収率のインライン測定、またはC4転換およびプロピレン選択性のインライン測定、または装置性能の任意の他の測定に応じて決定される。流出物中のブテンの百分率、プロピレンの百分率およびプロパンの百分率の測定を同時に用いることも可能である。速度論的モデルに比較して、コンピュータは、平均触媒活性が正しいか否かを推論し、もし必要であれば、再循環される使用済み触媒の流量および/または平均触媒循環速度を変更する。
再生触媒および直接再循環される使用済み触媒の各流量は、リフトポットに注入される移送ガス流量を介して制御される。
好ましくは、触媒に使用される1種または複数種のゼオライトは、構造型MEL、MFIおよびCHAを有するゼオライトによって構成される小群または構造型MFIを有するゼオライトの小群に属する。特に、ZSM−5ゼオライトが用いられてよい。使用される触媒はまたこれらの異なるゼオライトの混合物であってよい。
本発明の方法は、1以上の反応器、または同一の反応容器の内側に配置された複数の反応帯域を用いてよい。
空間速度HSVは、各反応帯域に含まれる触媒の質量に対する炭化水素原料油の質量流量の比として規定され、例えば0.5〜6h−1であってよく、好ましくは1〜4h−1である。
移動床オリゴ分解装置に導入される前に、原料油は、予備工程において選択的水素化を経て、原料油中にしばしば存在するジオレフィンおよび他のアセチレン不純物を除去してもよい。
これらの種々の高度に不飽和化された化合物は、オリゴ分解触媒の若干の不活性化の原因となり、選択的水素化は転換可能なオレフィンの量を増大させることがある。
移動床接触オリゴ分解装置からの流出物は、典型的には、通常はガスの圧縮を含む1回の精留(fractionation)工程と、流出物を分離しプロピレンを豊富に含むC3留分または実質的に純粋なプロピレンを製造するための1回以上の蒸留工程を経る。蒸留工程は、操作費用および建造費の低減を可能にする内壁を含む蒸留カラムを用いて実施されてよい。
本発明の移動床接触オリゴ分解装置が水蒸気分解装置またはFCC装置と同一の場所に配置されるのであれば、前記移動床オリゴ分解装置からの流出物は、共通の精留(fractionation)のために水蒸気分解の装置またはFCC装置と結合されてよい。
移動床接触オリゴ分解装置からの流出物はまた、水蒸気分解またはFCC装置とは別々に処理されてよい。
本発明は、図1の記載からより良く理解されることになる。
原料油(50)が、蒸気形態で移動床反応器(105)に導入される。
原料油は、触媒床を放射状に通過し、そして反応して流出物(51)を生成する。流出物(51)は、反応器の中央で集められ、次いで、次の処理に送られる。
新しい補充の触媒(1)が、再生成器の下部ホッパ(100)に導入され、ここで再生成器の上部ホッパ(109)からの使用済み触媒(10)と混合される。触媒混合物(2)が第1の移動床放射状再生成器帯域(101)に重力の流れによって半連続的に送り込まれ、ここでそれは空気(20)を豊富に含むガス(21)の存在下に燃焼を経る。燃焼ガス(22)が抜き出され、交換器(120)に送られる。次いで、触媒は、第2の帯域において空気(22)を豊富に含むガス(21)存在下に焼成される。燃焼ガス(23)も乾燥器(121)での脱水のための適切な温度に冷却するために交換器(120)に送られる。次いで、乾燥されたガス(25)は、圧縮器(122)に導入される。圧縮された燃焼ガス(26)は炉(123)において加熱され、その後、空気(20)と混合され、次いで、再生器に再導入される。
再生された触媒(3)は、ホッパ(102)に入り、次いで、移送用窒素(27)を用いて反応器の上部ホッパ(104)への空気圧による移送のためにリフトポット(103)に入る。
反応器の上部ホッパ(104)では、再生触媒(5)が反応器(108)の第2のリフトポットからの使用済み触媒(11)と混合される。
水流(flush:40)は、粒子フィルタ(41)への移送の間に形成された微粉を排除することができる。
再生触媒(5)の部分と使用済み触媒(11)の部分との混合物(6)が放射状移動床反応器(105)に導入され、ここで原料油(50)と接触される。
触媒は、重力下に反応器内に流れ、ホッパ(106)の底部から回収される。触媒(9)の部分は、反応器の第一リフトポット(107)を用いて空気圧により再生工程に送られ、使用済み触媒(11)の部分が反応器の第二リフトポット(108)によって反応器頂部に直接的に送られる。リフトポット(108)にはまた、図示されないラインを経由してホッパ(106)を介して使用済み触媒が供給される。反応器の2つのリフトポットには、ライン(27)を介して駆動ガス(窒素)が供給される。
図2は使用済み触媒および再生触媒の各流れを制御するための手段を示している。
測定手段(1000)および(1002)が原料油(50)および流出物(51)にそれぞれ配置されている。これらの手段は、例えば、原料油および流出物のブテンおよび/またはプロピレンおよび/またはプロパンの含有量を測定することができる。コンピュータ(1001)は、プロピレンの転換率および選択性を計算することができる。コンピュータからの情報(測度論的モデルを含む)は、リフトポット(108)からの再循環された使用済み触媒(11)の流量、再生帯域の方向のリフトポット(107)からの使用済み触媒(9)の流量およびリフトポット(103)からの再生触媒(5)の流量をそれぞれ調整するために移送ガスの流量を制御するバルブ(1003)、(1004)および(1005)に送られる。
(実施例)
以下の実施例は、プロピレンの選択性の点から本発明の重要性を例示する。実施例1(従来技術)および2(本発明)はSi/Al比が75であるMFIゼオライトを用い、実施例3(従来技術)および4(本発明)はSi/Al比が140であるMFIゼオライトを用いた。
(実施例1:従来技術)
この従来技術の実施例では、処理対象の原料油は、100%イソブテンによって構成されていた。
原料油は、移動床態様で機能する反応器に注入された。
使用された触媒は、Si/Al比が0.75であるMFI型ゼオライトを80%含むCBV1502であった。触媒は、823Kの温度および0.10MPaの圧力で機能する再生帯域において再生された。
触媒の循環時間は48時間であった。反応は、853Kの温度および0.12MPaの全圧で実施された。液体の空間速度は4.5h−1であった。
反応器からの出口において得られた組成が表1に示される。
Figure 2006083173
選択性および収率の点での装置の性能は以下の通りであった。
エチレンの選択性 19.10%
プロピレンの選択性 31.15%
エチレンの収率 15.30%
プロピレンの収率 24.95%
(実施例2:本発明)
この実施例では、処理対象の原料油および触媒は、実施例1(従来技術)において用いられたものと同一であった。使用済み触媒の流れの49重量%が移動床反応器の頂部に直接的に再循環され、相補的な再生触媒の51%と混合された。触媒は、実施例1(従来技術)の条件と同一の条件下に再生された。
反応器からの出口において得られた組成が表2に示される。
Figure 2006083173
選択性および収率の点での装置の性能は以下の通りであった。
エチレンの選択性 15.30%
プロピレンの選択性 46.13%
エチレンの収率 9.61%
プロピレンの収率 28.97%
使用済み触媒の部分を再循環させることによってプロピレンの選択性が15%増加し、プロピレンの収率が4%増加することが理解され得る。
(実施例3:従来技術)
この従来技術の実施例では、処理対象の原料油は、100%イソブテンによって構成された。
原料油は、移動床の態様で機能する反応器に注入された。
用いられた触媒は、Si/Al比が140であるMFI型ゼオライトを30%含むCBV28014であった。触媒は、823Kの温度、0.10MPaの圧力で再生された。
触媒の循環時間は48時間であった。反応は、783Kの温度、0.12MPaの全圧で実施された。液体の空間速度は1.7h−1であった。
反応器からの出口において得られた組成が表3に示される。
Figure 2006083173
選択性および収率の点での装置の性能は以下の通りであった。
エチレンの選択性 6.24%
プロピレンの選択性 40.55%
エチレンの収率 3.63%
プロピレンの収率 23.61%
(実施例4:本発明)
この実施例では、処理対象の原料油および触媒は、実施例3(従来技術)において用いられたものと同一である。触媒は、実施例3において用いられた条件と同一条件の下に再生された。
使用済み触媒の流れのうち25重量%が移動床反応器の頂部に直接的に再循環され、75%の再生触媒と混合された。
反応器からの出口において得られた組成が表4に示される。
Figure 2006083173
選択性および収率の点での装置の性能は以下の通りであった。
エチレンの選択性 5.80%
プロピレンの選択性 41.56%
エチレンの収率 3.25%
プロピレンの収率 23.29%
使用済み触媒の部分を再循環させることによって、プロピレンの選択性が1%増加し、プロピレンの収率は実質的に一定であることが理解され得る。
本発明の方法を説明する概略構成図である。 使用済み触媒および再生触媒の各流れを制御するための手段を示す概略構成図である。
符号の説明
1 触媒
2 触媒混合物
3 再生触媒
5 再生触媒
6 混合物
9 触媒
10 使用済み触媒
11 使用済み触媒
20 空気
21 ガス
22 燃焼ガス
23 燃焼ガス
25 ガス
26 燃焼ガス
27 移送用窒素
40 水流
41 粒子フィルタ
50 原料油
51 流出物
100 下部ホッパ
101 移動床放射状再生器帯域
102 ホッパ
103 リフトポット
104 上部ホッパ
105 移動床反応器
106 ホッパ
107 第1のリフトポット
108 第2のリフトポット
109 上部ホッパ
120 交換器
121 乾燥器
122 圧縮器
123 炉

Claims (12)

  1. 2〜12個の炭素原子、好ましくは4〜12個の炭素原子を含む炭化水素を含む軽質オレフィン炭化水素原料油を接触オリゴ分解してプロピレンを製造するための方法であって、形態選択性を有し、かつ、Si/Al比が50〜1200である少なくとも1種のゼオライトを含む担持触媒を用い、該ゼオライトは、下記2つの群のうちの1つから選択され、すなわち、該群の一つは、MEL、MFI、NES、EUO、FER、CHA、MFSおよびMWWによって形成された群であり、他方の群は、NU−85、NU−86、NU−88およびIM−5によって形成された群であり、または、該ゼオライトは該2つの群からのゼオライトの混合物であり、移動床の態様で機能する少なくとも1つの放射状反応器において該触媒に対するクロスフローとして該原料油が循環され、使用済み触媒の流れが連続的または不連続的に反応器の下部から抜き出され、該使用済み触媒の第一の部分が反応器頂部に再循環され、該使用済み触媒の相補部分が再生帯域に移されてこの再生帯域で少なくとも1回の制御された酸化工程を経、再生された触媒部分が該反応器の上部に再導入され、該使用済み触媒の第一の部分と混合されることを特徴とする方法。
  2. 再生帯域が、400〜650℃の温度で空気/窒素混合物、空気または酸素枯渇空気を用いて触媒上に形成された炭素堆積物を燃焼させるための少なくとも1つの相を含む、請求項1に記載の移動床オリゴ分解方法。
  3. 反応温度が450〜620℃である、請求項1に記載の移動床オリゴ分解方法。
  4. 触媒の質量に対する原料油の質量流量の比として規定される空間速度が0.5〜6h−1である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の移動床オリゴ分解方法。
  5. 操作圧力が0.1〜0.5MPaである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の移動床オリゴ分解方法。
  6. 該方法のための新しい原料油に含まれるオレフィンの量に対する1通過当たりのプロピレンの収率が25〜50重量%である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の移動床オリゴ分解方法。
  7. 非再生の使用済み触媒の部分および再生触媒の相補部分が反応帯域の上流に配置された定位ミキサーによって接触される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の移動床オリゴ分解方法。
  8. 非再生の使用済み触媒の部分および再生触媒の相補部分が反応帯域の上流に配置された流動床によって接触される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の移動床オリゴ分解方法。
  9. オリゴ分解反応器の頂部に再循環される非再生の使用済み触媒の流量は、オレフィン原料油中にブテン含量のインライン測定に基づいて制御される、請求項1〜8のいずれか1つに記載の移動床オリゴ分解方法。
  10. オリゴ分解反応器の頂部に再循環される非再生の使用済み触媒の流量は、流出物中のプロピレン含量のインライン測定に基づいて制御される、請求項1〜8のいずれか1つに記載の移動床オリゴ分解方法
  11. 反応器頂部において用いられる定位ミキサーの直径に対する長さの比が5〜15である、請求項7に記載の移動床オリゴ分解方法。
  12. 反応器頂部において用いられる流動床は最小の流動速度の2〜10倍の流動速度で操作される、請求項8に記載の移動床オリゴ分解方法。
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