JPH11235022A - 同期整流回路 - Google Patents

同期整流回路

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JPH11235022A
JPH11235022A JP10028987A JP2898798A JPH11235022A JP H11235022 A JPH11235022 A JP H11235022A JP 10028987 A JP10028987 A JP 10028987A JP 2898798 A JP2898798 A JP 2898798A JP H11235022 A JPH11235022 A JP H11235022A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 負荷が小さいときにも、変換効率の高い、同
期整流方式を用いたスイッチング電源回路を実現する。 【解決手段】 第1スイッチ11が遮断されると、誘導
素子12の電流IL は、転流ダイオード14によって維
持され、誘導素子12は導通時に蓄積したエネルギを放
出する。転流ダイオード14に並列接続された第2スイ
ッチ15は、第1スイッチ11の導通期間と重ならない
ように導通する。第2スイッチ15の導通時には、上記
電流IL は、転流ダイオード14を流れないので、順方
向電圧降下に起因する効率低下を防止できる。誘導素子
電流検出回路22は、上記電流ILを監視して、向きが
逆になろうとした場合、コントロール回路21へ指示し
て、第2スイッチ15を遮断させる。これにより、負荷
が小さいときでも、誘導素子12に逆方向電流が流れ
ず、高効率なスイッチング電源回路を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所望の出力に応じ
た比率で入力される電力を断続した後、平滑化して出力
するスイッチング電源回路のうち、同期整流方式を用い
た同期整流回路に関し、特に、軽負荷時にも効率が低下
しない同期整流回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スイッチング電源回路は、小型かつ高効
率な電源回路として、従来から広く用いられている。当
該スイッチング電源回路は、入力電力を断続した後、平
滑化して出力するものであって、出力電圧や出力電流に
基づいて、断続する際の比率を調整することによって、
負荷の変動に拘わらず、一定の値の電圧や電流を負荷へ
供給できる。
【0003】近年では、スイッチング電源回路の効率を
さらに改善するために、種々の方法が提案されており、
例えば、特開平9−261950号公報では、同期整流
方式を採用したスイッチング電源回路(同期整流回路)
が開示されている。
【0004】図20に示すように、従来の同期整流回路
101において、第1スイッチ111が導通している
間、入力端子INに入力された入力電圧Vinは、誘導
素子112および第1スイッチ111を介して、出力端
子OUTに印加される。また、出力電圧Voutを一定
に保つために、出力端子OUTは、平滑コンデンサ11
3を介して接地されている。
【0005】この状態では、誘導素子112には、エネ
ルギが蓄積され、誘導素子112にて、出力端子OUT
への方向に流れる電流IL は、図21に示すように、
(Vin−Vout)/Lの傾きで増加する(図21の
taからtbまでの期間)。
【0006】一方、上記誘導素子112および平滑コン
デンサ113の直列回路には、転流ダイオード114お
よび第2スイッチ115が、それぞれ並列に設けられて
おり、第1スイッチ111が遮断されると(tbの時
点)、誘導素子112を流れる電流IL は、当該転流ダ
イオード114と、導通した第2スイッチ115とによ
って維持される。この状態では、誘導素子112に蓄積
されたエネルギは、放出され、電流IL は、−Vout
/Lの傾きで減少する(tbからteまでの期間)。t
eの時点になると、上記第1スイッチ111が再び導通
して、誘導素子112へエネルギを蓄積しはじめる。
【0007】上記第1および第2スイッチ111・11
5は、コントロール回路121によって制御されてお
り、コントロール回路121は、出力電圧Voutを監
視して、一定の値になるように、第1スイッチ111の
導通期間と遮断期間との割合を制御する。ここで、上記
両スイッチ111・115が同時に導通すると、入力端
子INは、両スイッチ111・115を介して接地さ
れ、非常に大きな貫通電流が流れてしまう。したがっ
て、コントロール回路121は、第1スイッチ111の
切り換えタイミングと、第2スイッチ115の切り換え
タイミングとの間に、所定のデッドタイムTdetを設
け、両スイッチ111・115が同時に導通しないよう
に制御している。
【0008】上記構成では、第2スイッチ115が導通
している間、誘導素子112を流れる電流IL は、主と
して、第2スイッチ115を流れ、転流ダイオード11
4には、殆ど電流が流れない。したがって、出力負荷電
流Ioutが大きい重負荷時であっても、転流ダイオー
ド114による順方向電圧損失は発生せず、極めて効率
のよい同期整流回路101を実現できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成の同期整流回路101は、軽負荷時において、効率が
低下しやすいという問題を有している。具体的には、軽
負荷時には、負荷電流Ioutが極めて少なく、コント
ロール回路121は、第1スイッチ111の遮断期間を
長く設定する。この結果、第1スイッチ111の導通期
間に誘導素子112へ蓄積されたエネルギが全て放出さ
れた時点(tx)を過ぎても、第1スイッチ111が導
通しないことがある。この状態では、通常とは、逆に、
出力端子OUTから、誘導素子112および第2スイッ
チ115を介してGNDへ電流が流れる。この結果、同
期整流回路101の変換効率が50%以下にまで低下し
てしまう。
【0010】なお、第2スイッチ115が極性を有して
いれば、逆方向の電流を防止できるが、第2スイッチ1
15として、MOSFETを利用すると、MOSFET
内に形成されたボディダイオードによって、極性と反対
の方向にも電流が流れてしまう。ここで、逆方向電流を
除去するために、例えば、ダイオードなどの整流素子を
MOSFETに直列に接続すれば、当該ダイオードの順
方向電圧によって、重負荷時の効率が低下してしまう。
【0011】本発明は、上記の問題点を鑑みてなされた
ものであり、その目的は、負荷が小さいときにも、変換
効率の高いスイッチング電源回路を実現することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る同
期整流回路は、上記課題を解決するために、入出力端子
間に設けられた誘導素子と、当該誘導素子と入力端子と
の間に設けられた第1スイッチと、上記第1スイッチと
誘導素子との間に一端が接続され、当該誘導素子に流れ
る第1電流を維持する極性を有する整流素子と、当該整
流素子へ並列に接続され、上記第1スイッチの導通期間
と重ならないように導通する第2スイッチとを有する同
期整流回路において、上記第1電流を監視する誘導素子
電流検出手段と、上記誘導素子電流検出手段の指示に基
づいて、上記第2スイッチを遮断する第1の制御手段と
を備えていることを特徴としている。
【0013】上記構成の同期整流回路では、通常時にお
いて、第1スイッチの導通時に、誘導素子に流れる第1
電流として誘導素子へ蓄積されたエネルギは、第1スイ
ッチの遮断時にて放出される。したがって、同期整流回
路は、ステップダウン型のスイッチング電源回路とな
り、第1スイッチの導通期間と遮断期間との割合を制御
することによって、出力電圧や出力電流などの出力を所
定の値に保つことができる。
【0014】上記構成では、第1スイッチが遮断されて
いる間、上記第1電流は、整流素子および第2スイッチ
の並列回路によって維持される。ここで、第2スイッチ
が導通している間、第1電流は、第2スイッチを経由し
て流れるので、整流素子の順方向電圧損失など、第1電
流が整流素子を流れた場合に発生する損失は発生しな
い。したがって、出力負荷電流が大きい場合であって
も、極めて効率良く同期整流できる。
【0015】ところで、第2スイッチは、整流素子に順
方向電流が流れる期間を短くするために、第1スイッチ
の導通期間と重ならない範囲で、できるだけ長く設定す
ることが望まれる。したがって、多くの場合、例えば、
所定のデッドタイムの間だけ、第1および第2スイッチ
の双方を遮断し、残余の期間では、第1スイッチおよび
第2スイッチのうちの一方のみが導通するように制御さ
れる。なお、第1および第2スイッチの導通期間が重な
れば、両スイッチを介して貫通電流が流れ、同期整流回
路の効率を大幅に低下させる。
【0016】一方、出力負荷電流が極めて少ない軽負荷
時には、第1スイッチの導通期間の割合は、通常時に比
べて極めて短くなる。この状態では、上記第1電流が0
に近づき、反転しようとした時点になっても、第1スイ
ッチが導通しない場合がある。この状態を放置して、第
2スイッチを導通させ続けていると、上記第1電流の向
きは逆転し、出力端子は、誘導素子を介して接地レベル
に短絡されてしまうので、同期整流回路の効率を大幅に
低下させる。
【0017】ところが、上記構成では、誘導素子電流検
出手段が、第1電流を監視しており、第1電流が0に近
づき、逆転しようとしていることを検出する。第1の制
御手段は、この検出結果に基づいて、第1電流が逆転し
ようした場合、第1スイッチが導通しているか否かに拘
わらず、第2スイッチを遮断する。これにより、軽負荷
時であっても、誘導素子には、逆方向の電流が流れな
い。したがって、軽負荷時であっても、変換効率の高い
同期整流回路を実現できる。
【0018】なお、通常時には、誘導素子電流検出手段
が第2スイッチの遮断を指示しないので、従来の同期整
流回路と同様に、第2スイッチの導通期間を十分長く設
定できる。したがって、常に、同期整流回路の変換効率
を高いレベルに維持できる。
【0019】また、請求項2の発明に係る同期整流回路
は、上記課題を解決するために、入出力端子間に設けら
れた誘導素子と、当該誘導素子と出力端子との間に設け
られ、当該誘導素子に流れる第1電流を維持する極性を
有する整流素子と、上記誘導素子と整流素子との間に一
端が接続された第1スイッチと、上記整流素子へ並列に
接続され、上記第1スイッチの導通期間と重ならないよ
うに導通する第2スイッチとを有する同期整流回路にお
いて、上記第1電流を監視する誘導素子電流検出手段
と、上記誘導素子電流検出手段の指示に基づいて、上記
第2スイッチを遮断する第1の制御手段とを備えている
ことを特徴としている。
【0020】上記構成によれば、第1スイッチの導通時
に、誘導素子に蓄積されたエネルギは、第1スイッチの
遮断時に、入力端子に印加される電圧に重畳されて出力
される。これにより、同期整流回路は、ステップアップ
型のスイッチング電源回路となり、第1スイッチの導通
期間と遮断期間との割合を制御することによって、出力
電圧や出力電流などの出力を所定の値に保つことができ
る。
【0021】上記構成においても、請求項1の構成と同
様に、誘導素子電流検出手段が、第1電流を監視してお
り、第1の制御手段は、第1電流が0に近づき、逆転し
ようとしている場合、第1スイッチが導通しているか否
かに拘わらず、第2を遮断する。これにより、軽負荷時
であっても、誘導素子には、逆方向の電流が流れない。
したがって、軽負荷時であっても、変換効率の高い同期
整流回路を実現できる。
【0022】さらに、請求項3の発明に係る同期整流回
路は、上記課題を解決するために、入出力端子間に設け
られた第1スイッチと、上記第1スイッチと出力端子と
の間に設けられ、上記出力端子から入力端子への方向の
極性を有する整流素子と、当該整流素子と第1スイッチ
との間に一端が接続された誘導素子と、上記整流素子へ
並列に接続され、上記第1スイッチの導通期間と重なら
ないように導通する第2スイッチとを有する同期整流回
路において、上記第1電流を監視する誘導素子電流検出
手段と、上記誘導素子電流検出手段の指示に基づいて、
上記第2スイッチを遮断する第1の制御手段とを備えて
いることを特徴としている。
【0023】上記構成によれば、第1スイッチの導通時
に、誘導素子に蓄積されたエネルギは、第1スイッチの
遮断時に、極性が反転されて出力される。これにより、
同期整流回路は、反転型のスイッチング電源回路とな
り、第1スイッチの導通期間と遮断期間との割合を制御
することによって、出力電圧や出力電流などの出力を所
定の値に保つことができる。
【0024】上記構成においても、請求項1の構成と同
様に、誘導素子電流検出手段が、第1電流を監視してお
り、第1の制御手段は、第1電流が0に近づき、逆転し
ようとしている場合、第1スイッチが導通しているか否
かに拘わらず、第2を遮断する。これにより、軽負荷時
であっても、誘導素子には、逆方向の電流が流れない。
したがって、軽負荷時であっても、変換効率の高い同期
整流回路を実現できる。
【0025】加えて、請求項4の発明に係る同期整流回
路は、請求項2または3記載の発明の構成において、上
記第1スイッチおよび誘導素子の接続点と、上記整流素
子との間に設けられたコンデンサと、当該コンデンサと
整流素子との間に一端が接続された短絡用誘導素子また
は短絡用抵抗とを備えていることを特徴としている。
【0026】当該構成では、第1スイッチの導通時に、
誘導素子に蓄積されたエネルギは、コンデンサを介して
出力される。これにより、同期整流回路は、アップダウ
ン型のスイッチング電源回路となり、第1スイッチの導
通期間と遮断期間との割合を制御することによって、出
力電圧や出力電流などの出力を所定の値に保つことがで
きる。
【0027】上記構成においても、請求項1の構成と同
様に、誘導素子電流検出手段が、第1電流を監視してお
り、第1の制御手段は、第1電流が0に近づき、逆転し
ようとしている場合、第1スイッチが導通しているか否
かに拘わらず、第2を遮断する。これにより、軽負荷時
であっても、誘導素子には、逆方向の電流が流れない。
したがって、軽負荷時であっても、変換効率の高い同期
整流回路を実現できる。
【0028】一方、請求項5の発明に係る同期整流回路
は、上記課題を解決するために、入出力端子間に設けら
れた誘導素子と、当該誘導素子と入力端子との間に設け
られた第1スイッチと、上記第1スイッチと誘導素子と
の間に一端が接続され、当該誘導素子に流れる第1電流
を維持する極性を有する整流素子と、当該整流素子へ並
列に接続され、上記第1スイッチの導通期間と重ならな
いように導通する第2スイッチとを有する同期整流回路
において、上記入力端子電圧と出力端子電圧とに基づい
て、上記第1電流を推定し、上記第2スイッチを制御す
る第2の制御手段を備えていることを特徴としている。
【0029】上記構成では、誘導素子電流検出手段を用
いて第1電流を直接監視する代わりに、第2の制御手段
が、入力端子電圧と出力端子電圧とに基づいて上記第1
電流を推定している。したがって、電流を検出するため
に第1電流の流路上に抵抗を設けたり、磁気センサなど
によって、第1電流を検出する場合とは異なり、電圧を
増幅するアンプなどを用いて第2の制御手段を構成でき
る。したがって、ステップダウン型のスイッチング電源
回路として動作可能な請求項1と同様の効果を有し、よ
り小型で高効率の同期整流回路を実現できる。
【0030】また、請求項6の発明に係る同期整流回路
は、上記課題を解決するために、入出力端子間に設けら
れた誘導素子と、当該誘導素子と出力端子との間に設け
られ、当該誘導素子に流れる第1電流を維持する極性を
有する整流素子と、上記誘導素子と整流素子との間に一
端が接続された第1スイッチと、上記整流素子へ並列に
接続され、上記第1スイッチの導通期間と重ならないよ
うに導通する第2スイッチとを有する同期整流回路にお
いて、上記入力端子電圧と出力端子電圧とに基づいて、
上記第1電流を推定し、上記第2スイッチを制御する第
2の制御手段を備えていることを特徴としている。
【0031】上記構成では、請求項5の発明に係る同期
整流回路と同様に、第2の制御手段が、入力端子電圧と
出力端子電圧とに基づいて上記第1電流を推定してい
る。したがって、ステップアップ型のスイッチング電源
回路として動作可能な請求項2と同様の効果を有し、よ
り小型で高効率の同期整流回路を実現できる。
【0032】さらに、請求項7の発明に係る同期整流回
路は、上記課題を解決するために、入出力端子間に設け
られた第1スイッチと、上記第1スイッチと出力端子と
の間に設けられ、上記出力端子から入力端子への方向の
極性を有する整流素子と、当該整流素子と第1スイッチ
との間に一端が接続された誘導素子と、上記整流素子へ
並列に接続され、上記第1スイッチの導通期間と重なら
ないように導通する第2スイッチとを有する同期整流回
路において、上記入力端子電圧と出力端子電圧とに基づ
いて、上記第1電流を推定し、上記第2スイッチを制御
する第2の制御手段とを備えていることを特徴としてい
る。
【0033】上記構成では、請求項5の発明に係る同期
整流回路と同様に、第2の制御手段が、入力端子電圧と
出力端子電圧とに基づいて上記第1電流を推定してい
る。したがって、反転型のスイッチング電源回路として
動作可能な請求項3と同様の効果を有し、より小型で高
効率の同期整流回路を実現できる。
【0034】加えて、請求項8の発明に係る同期整流回
路は、請求項6または7記載の発明の構成において、上
記第1スイッチおよび誘導素子の接続点と、上記整流素
子との間に設けられたコンデンサと、当該コンデンサと
整流素子との間に一端が接続された短絡用誘導素子また
は短絡用抵抗とを備えていることを特徴としている。
【0035】当該構成では、第1スイッチの導通時に、
誘導素子に蓄積されたエネルギは、コンデンサを介して
出力される。したがって、アップダウン型のスイッチン
グ電源回路として動作可能な請求項4と同様の効果を有
し、より小型で高効率の同期整流回路を実現できる。
【0036】ところで、上記第2の制御手段が入力端子
電圧および出力端子電圧に基づいて、第1電流を推定す
る方法や第2の制御手段の実現方法は、種々の方法が考
えられる。例えば、第2の制御手段は、アナログ回路で
実現してもよいし、デジタル回路で実現することもでき
る。また、ある時点の入出力電圧に基づいて、第1電流
が逆転する時点近傍における第1電流を算出してもよ
い。少なくとも、第1電流が逆転する時点を算出可能な
程度に、第1電流を推定できる方法であれば、種々の算
出方法を採用できる。
【0037】ただし、実際に第1電流の向きが反転する
時点と、第1電流の推定結果に基づいて、第2スイッチ
を遮断する時点とが一致していない場合は、同期整流回
路の効率を低下させてしまう。
【0038】ここで、請求項9の発明に係る同期整流回
路は、請求項5、6、7または8記載の発明の構成にお
いて、上記第2の制御手段は、上記入力端子電圧と出力
端子電圧と上記第1スイッチが導通しているか否かとに
基づいて、上記第1電流の変動量に応じた電流を生成す
る電圧電流変換部と、当該電圧電流変換部の出力に、第
1端部が接続された蓄積コンデンサと、当該蓄積コンデ
ンサの第1端部の電圧に基づいて、上記第2スイッチを
制御する制御部とを備えていることを特徴としている。
【0039】一般に、第1電流の変動量は、第1スイッ
チが導通しているか否かが決定されれば、入出力端子電
圧から算出できる。請求項5の構成を例にして、入出力
電圧をVin、Voutとし、誘導素子のリアクタンス
をLとすると、第1電流の変動量は、例えば、第1スイ
ッチが導通している場合に(Vin−Vout)/Lと
なり、遮断されている場合に−Vout/Lとなる。
【0040】上記構成において、電圧電流変換部は、入
出力端子電圧に基づいて算出された当該第1電流の変動
量を算出し、当該変動量に応じた量の電流を生成する。
当該電流は、蓄積コンデンサに蓄積されるので、蓄積コ
ンデンサの第1端部の電圧は、上記変動量を積分した
値、すなわち、第1電流の量に応じて変化する。この結
果、極めて正確に第1電流を推定でき、向きが逆転しよ
うとする時点を高い精度で推定できる。したがって、誘
導素子に逆方向電流が流れることを確実に防止でき、同
期整流回路の変換効率をさらに向上できる。
【0041】加えて、上記電流電圧変換部や制御部は、
アンプなどのアナログ回路で実現できるので、例えば、
第1スイッチの導通期間を決定する回路など、同期整流
回路の他の部材と比較的容易に集積できる。また、デジ
タル回路で実現する場合に比べて、回路規模や消費電力
を削減できる。したがって、小型かつ低消費電力の同期
整流回路を実現できる。
【0042】また、請求項10の発明に係る同期整流回
路は、請求項9記載の発明の構成において、上記電圧電
流変換部は、上記入力端子電圧および出力端子電圧のう
ち、少なくとも一方に基づいて、第1スイッチの導通時
における上記第1電流の変動量に比例した電流を生成す
る第1アンプ回路と、上記第1スイッチの導通時にの
み、上記第1アンプ回路の出力電流と同じ量の電流を上
記蓄積コンデンサの第1端部へ流し込む第1のカレント
ミラー回路と、上記入力端子電圧および出力端子電圧の
うち、少なくとも一方に基づいて、第1スイッチの遮断
時における上記第1電流の変動量に比例した電流を生成
する第2アンプ回路と、上記第1スイッチの遮断時にの
み、上記第2アンプ回路の出力電流と同じ量の電流を上
記蓄積コンデンサの第1端部から引き抜く第2のカレン
トミラー回路とを備えていることを特徴としている。
【0043】上記構成では、第1スイッチの導通時に
は、第1アンプ回路と、第1のカレントミラー回路とが
動作して、上記蓄積コンデンサの第1端部に電荷を蓄積
する。一方、第1スイッチの遮断時には、第2アンプ回
路と、第2のカレントミラー回路とが動作して、上記蓄
積コンデンサの第1端部から電荷を放出する。これによ
り、電圧電流変換回路は、第1スイッチの導通と遮断時
との双方において、上記第1電流の変動量に応じた電流
を高い精度で生成できる。
【0044】
【発明の実施の形態】〔第1の実施形態〕本発明の一実
施形態について図1および図2に基づいて説明すると以
下の通りである。すなわち、本実施形態に係るスイッチ
ング電源回路は、同期整流方式を用いたステップダウン
型のDC/DCコンバータであって、例えば、電圧が変
動する直流電源から、所望の値の定電圧を生成するため
などに好適に用いられている。
【0045】具体的には、図1に示すように、上記スイ
ッチング電源回路1には、入力端子INと出力端子OU
Tとの間に、第1スイッチ11と誘導素子12とからな
る直列回路が設けられている。上記誘導素子12と出力
端子OUTとの接続点は、平滑コンデンサ13を介して
接地されており、第1スイッチ11と誘導素子12との
接続点は、誘導素子12の電流を維持する極性に接続さ
れた転流ダイオード(整流素子)14を介して接地され
ている。また、当該転流ダイオード14に並列に第2ス
イッチ15が設けられている。
【0046】上記スイッチング電源回路1は、上記両ス
イッチ11・15の導通/遮断を制御するコントロール
回路(第1および第2制御手段)21を備えており、両
スイッチ11・15は、導通期間が互いに重ならないよ
うに制御されている。また、当該コントロール回路21
は、出力端子OUTの出力電圧Voutを監視して、当
該出力電圧Voutが一定になるように、第1スイッチ
11の導通期間と遮断期間との割合を制御する。
【0047】さらに、本実施形態に係るスイッチング電
源回路1は、誘導素子12と出力端子OUTとの接続点
における電流の向きを検出する誘導素子電流検出回路
(誘導素子電流検出手段)22を備えている。上記誘導
素子電流検出回路22は、例えば、誘導素子12に直列
に接続された抵抗などであり、この場合は、当該抵抗の
両端の電位を比較することで、誘導素子12に流れる電
流の向きを検出できる。なお、本実施形態では、抵抗と
して、配線の抵抗成分を用いるなどして、当該抵抗の電
圧降下に起因する効率低下を防止している。
【0048】上記構成のスイッチング電源回路1では、
図2に示すように、コントロール回路21は、第2スイ
ッチ15が遮断されている状態で、第1スイッチ11を
導通させる(t1の時点)。これにより、入力端子IN
に印加される入力電圧Vinは、第1スイッチ11およ
び誘導素子12を介して、出力端子OUTへ出力され
る。この状態では、誘導素子12に流れる電流IL は、
以下の式(1)に示す傾きdIL /dtで増加する。
【0049】 dIL /dt=(Vin−Vout)/L …(1) なお、上式(1)において、誘導電流IL の方向は、入
力端子INから出力端子OUTへの方向を正としてお
り、Lは、誘導素子12のリアクタンスを示している。
この状態では、誘導素子12の入力側に、入力電圧Vi
nが印加されているので、転流ダイオード14は、逆極
性となって遮断されている。また、第2スイッチ15も
遮断されている。
【0050】t2の時点になると、第1スイッチ11は
遮断され、コントロール回路21は、所定のデッドタイ
ムTdetが経過した後、第2スイッチ15を導通させ
る(t3の時点)。さらに、コントロール回路21は、
t4の時点で第2スイッチ15を導通した後、所定のデ
ッドタイムTdetが経過してから、第1スイッチ11
を導通させる(t5の時点)。このように、コントロー
ル回路21は、第1スイッチ11の遮断時点と第2スイ
ッチ15の導通時点との間と、第2スイッチ15の遮断
時点と第1スイッチ11の導通時点との間との双方に所
定のデッドタイムTdetを設けている。したがって、
両スイッチ11・15が同時に導通した際に流れる貫通
電流は、発生しない。
【0051】ここで、第1スイッチ11が遮断されてい
る期間(t2からt5までの期間)では、誘導素子12
に流れる電流IL は、転流ダイオード14およ第2スイ
ッチ15によって維持されており、電流IL の傾きdI
L /dtは、以下の式(2)に示すように、 dIL /dt=−(Vout/L) …(2) となる。
【0052】また、上記t2からt5までの期間のう
ち、t3からt4までの期間は、第2スイッチ15が導
通しており、上記電流IL は、転流ダイオード14では
なく、第2スイッチ15を流れる。したがって、第2ス
イッチ15が導通している期間は、転流ダイオード14
の順方向電圧に起因する損失が発生しない。この結果、
出力負荷電流Ioutが大きく、誘導素子12を流れる
電流IL が大きい場合であっても、スイッチング電源回
路1の変換効率は、例えば、80%以上と、高い値に保
つことができる。
【0053】このように、第1スイッチ11の導通期間
中に、誘導電流IL として誘導素子12へ蓄積されたエ
ネルギは、第1スイッチ11の遮断期間中に放出され、
平滑コンデンサ13で平滑化された後、出力端子OUT
から出力される。ここで、コントロール回路21は、出
力電圧Voutを監視して、出力電圧Voutが一定と
なるように、第1スイッチ11の導通期間と遮断期間と
の割合を帰還制御する。これにより、スイッチング電源
回路1は、負荷の変動に拘わらず、一定の値の電圧を出
力し続けることができる。
【0054】例えば、出力負荷電流Ioutが増大する
などして、出力電圧Voutが所望の値Vconよりも
減少しようとすると、コントロール回路21は、第1ス
イッチ11の導通期間を延長する。一方、出力負荷電流
Ioutが減少するなどして、出力電圧Voutが所望
の値Vconよりも増大しようとすると、第1スイッチ
11の導通期間は、短縮される。
【0055】ここで、上述の式(2)に示すように、誘
導素子12を流れる電流IL は、第1スイッチ11が遮
断されている間、減少しつづけるので、第1スイッチ1
1の遮断期間が長くなるに従って、誘導電流IL は、0
に近づいていく。したがって、出力負荷電流Ioutが
極端に少ない場合など、第1スイッチ11の遮断期間が
極めて長い場合(t11以降)には、第2スイッチ15
を導通させ続けると、誘導電流IL が0以下となり、誘
導電流IL の向きが反転することがある。この場合は、
出力端子OUTから、誘導素子12および第2スイッチ
15を介して、GNDへ電流が流れるので、スイッチン
グ電源回路1の変換効率が50%以下に低下してしま
う。
【0056】ところが、本実施形態では、誘導素子電流
検出回路22が誘導電流IL の向きを常に監視してお
り、誘導素子12の順方向電流が0に近づき、向きが反
転しようとした時点(t14の時点)で、第2スイッチ
15を遮断するための信号をコントロール回路21へ送
出する。コントロール回路21は、当該信号を受けた場
合、第1スイッチ11の導通/遮断に拘わらず、第2ス
イッチ15を遮断させる。これにより、誘導素子12に
は、出力負荷が少ないときでも、逆方向電流が流れな
い。したがって、出力負荷が少ないときでも高い変換効
率を維持できる。この結果、常に、変換効率を高い値
(例えば、80%以上)に保つことができるステップダ
ウン型のスイッチング電源回路1を実現できる。
【0057】〔第2の実施形態〕上記第1の実施形態で
は、ステップダウン型のスイッチング電源回路1につい
て説明したが、本発明は、これに限らず、他の型のスイ
ッチング電源回路にも適用できる。本実施形態では、他
の適用例として、ステップアップ型に適用した場合につ
いて説明する。
【0058】すなわち、図3に示すように、ステップア
ップ型のスイッチング電源回路1aでは、誘導素子12
の一端は、入力端子INに接続されており、他端は、第
1スイッチ11を介して接地されている。誘導素子12
と第1スイッチ11との接続点は、転流ダイオード14
および第2スイッチ15からなる並列回路を介して、出
力端子OUTに接続されている。当該転流ダイオード1
4の極性は、誘導素子12の電流ILaを維持する方向、
すなわち、誘導素子12から出力端子OUTへの方向に
設定されている。また、出力端子OUTとGNDとの間
には、平滑コンデンサ13が設けられている。一方、本
実施形態に係る誘導素子電流検出回路22は、誘導素子
12と入力端子INとの接続点の電流ILaを監視してい
る。これにより、本実施形態に係るコントロール回路2
1は、第1の実施形態と同様に、出力電圧Voutに応
じて、第1スイッチ11の導通期間と遮断期間との割合
を調整し、導通期間が互いに重ならないように、第1お
よび第2スイッチ11・15を制御すると共に、誘導素
子12の順方向電流が0に近づき、逆方向電流が流れよ
うとした場合に、第2スイッチ15を遮断できる。
【0059】上記構成では、図2に示すように、誘導電
流ILaは、第1スイッチ11が導通している期間(t1
からt2までの期間)に増加し、遮断されている期間
(t2からt5までの期間)に減少する。ここで、増加
時および減少時における傾きdILa/dtは、以下の式
(3)および(4)に示すように、 dILa/dt=Vin/L …(3) dILa/dt=(Vin−Vout)/L …(4) となる。
【0060】当該構成では、第1スイッチ11の導通期
間において、誘導素子12に蓄積されたエネルギは、第
1スイッチ11の遮断期間において、入力電圧Vinに
重畳されて出力される。この結果、スイッチング電源回
路1aは、入力電圧Vinよりも大きな出力電圧Vou
tを負荷に供給できる。また、第1の実施形態と同様
に、第1スイッチ11の導通期間と遮断期間との割合を
出力電圧Voutに応じて帰還制御することによって、
当該出力電圧Voutを一定の値Vconに保つことが
できる。
【0061】ここで、当該構成においても、誘導素子1
2を流れる電流ILaは、上述の式(4)に示すように、
第1スイッチ11が遮断されている間、減少しつづけ
る。したがって、第1スイッチ11の遮断期間が極めて
長い場合(t11以降)には、第1の実施形態と同様
に、第2スイッチ15を導通させ続けると、誘導電流I
Laが0以下となり、誘導電流ILaの向きが反転すること
がある。この場合は、出力端子OUTから、第2スイッ
チ15および誘導素子12を介して、入力端子INへ電
流が流れるので、スイッチング電源回路1aの変換効率
が50%以下に低下してしまう。
【0062】ところが、本実施形態では、誘導素子電流
検出回路22が誘導電流ILaの向きを常に監視してお
り、誘導素子12の順方向電流が0に近づき、向きが反
転しようとした時点(t14の時点)で、第2スイッチ
15を遮断するための信号をコントロール回路21へ送
出する。コントロール回路21は、当該信号を受けた場
合、第1スイッチ11の導通/遮断に拘わらず、第2ス
イッチ15を遮断させる。これにより、誘導素子12に
は、出力負荷が少ないときでも、逆方向電流が流れな
い。したがって、出力負荷が少ないときでも高い変換効
率を維持できる。この結果、常に、変換効率を高い値
(例えば、80%以上)に保つことができるステップア
ップ型のスイッチング電源回路1aを実現できる。
【0063】〔第3の実施形態〕本実施形態では、他の
適用例として、反転型に適用した場合について、図4お
よび図2に基づいて説明する。すなわち、図4に示すよ
うに、反転型のスイッチング電源回路1bにおいて、誘
導素子12の一端は、接地されており、他端は、第1ス
イッチ11を介して入力端子INに接続されている。誘
導素子12と第1スイッチ11との接続点は、転流ダイ
オード14と第2スイッチ15とからなる並列回路を介
して、出力端子OUTに接続されている。当該転流ダイ
オード14の極性は、誘導素子12の電流ILbを維持す
る方向、すなわち、出力端子OUTから誘導素子12へ
の方向に設定されている。また、出力端子OUTとGN
Dとの間には、平滑コンデンサ13が設けられている。
一方、本実施形態に係る誘導素子電流検出回路22は、
誘導素子12からGNDへ流れる電流ILbを監視してい
る。これにより、本実施形態に係るコントロール回路2
1は、第1の実施形態と同様に、出力電圧Voutに応
じて、第1スイッチ11の導通期間と遮断期間との割合
を調整し、導通期間が互いに重ならないように、第1お
よび第2スイッチ11・15を制御すると共に、誘導素
子12の順方向電流が0に近づき、逆方向電流が流れよ
うとした場合に、第2スイッチ15を遮断できる。
【0064】上記構成では、図2に示すように、誘導電
流ILbは、第1スイッチ11が導通している期間(t1
からt2までの期間)に増加し、遮断されている期間
(t2からt5までの期間)に減少する。ここで、増加
時および減少時における傾きdILb/dtは、以下の式
(5)および(6)に示すように、 dILb/dt=Vin/L …(5) dILb/dt=Vout/L …(6) となる。
【0065】当該構成では、第1スイッチ11の導通期
間にて、誘導素子12に蓄積されたエネルギは、第1ス
イッチ11の遮断期間にて、入力電圧Vinとは逆の極
性で出力される。この結果、入力電圧Vinに対して逆
極性の出力電圧Voutを負荷に供給できる。また、第
1の実施形態と同様に、第1スイッチ11の導通期間と
遮断期間との割合を出力電圧Voutに応じて帰還制御
することによって、当該出力電圧Voutを一定の値V
conに保つことができる。
【0066】ここで、上述の式(5)に示すように、当
該構成においても、誘導素子12を流れる電流ILbは、
第1スイッチ11が遮断されている間、減少しつづけ
る。ところが、第1の実施形態と同様に、誘導素子電流
検出回路22が誘導電流ILbの向きを常に監視してお
り、コントロール回路21は、誘導素子電流検出回路2
2の指示に基づいて、誘導素子12の順方向電流が0に
近づき、向きが反転しようとした時点(t14の時点)
で第2スイッチ15を遮断する。これにより、誘導素子
12には、出力負荷が少ないときでも、逆方向電流が流
れない。したがって、出力負荷が少ないときでも高い変
換効率を維持できる。この結果、常に、変換効率を高い
値(例えば、80%以上)に保つことができる反転型の
スイッチング電源回路1bを実現できる。
【0067】〔第4の実施形態〕本実施形態では、他の
適用例として、アップダウン型に適用した場合につい
て、図5および図2に基づいて説明する。すなわち、図
5に示すように、アップダウン型のスイッチング電源回
路1cは、図3に示すスイッチング電源回路1aと略同
様であるが、誘導素子12と第1スイッチ11との接続
点と、転流ダイオード14との間に、コンデンサ16が
設けられており、コンデンサ16と転流ダイオード14
との接続点は、短絡用の誘導素子、または、短絡用の抵
抗からなるインピーダンス素子(図中では、Zと表記す
る)17を介して接地されている。なお、残余の構成
は、上記スイッチング電源回路1aと同様であるため、
同じ機能を有する部材には、同じ符号を付して説明を省
略する。
【0068】上記構成では、図2に示すように、誘導素
子12に流れる誘導電流ILcは、第1スイッチ11が導
通している期間(t1からt2までの期間)に増加し、
遮断されている期間(t2からt5までの期間)に減少
する。ここで、増加時および減少時における傾きdILc
/dtは、以下の式(7)および(8)に示すように、 dILc/dt=Vin/L …(7) dILc/dt=−(Vout/L) …(8) となる。
【0069】当該構成では、第1スイッチ11の導通期
間にて、誘導素子12に蓄積されたエネルギは、第1ス
イッチ11の遮断期間に、コンデンサ16を介して出力
される。したがって、第1の実施形態と同様に、第1ス
イッチ11の導通期間と遮断期間との割合を出力電圧V
outに応じて帰還制御することによって、当該出力電
圧Voutを一定の値Vconに保つことができる。本
実施形態では、コンデンサ16およびインピーダンス素
子17によって、誘導素子12を流れる電流ILcと出力
負荷電流Ioutとの間に位相差が生ずる。この結果、
入力電圧Vinと出力電圧Voutとの大小関係が変化
する場合であっても、当該出力電圧Voutを一定の値
Vconに維持可能なアップダウン型のスイッチング電
源回路1cを実現できる。
【0070】ここで、上述の式(7)に示すように、当
該構成においても、誘導素子12を流れる電流ILcは、
第1スイッチ11が遮断されている間、減少しつづけ
る。ところが、第1の実施形態と同様に、誘導素子電流
検出回路22が誘導電流ILcの向きを常に監視してお
り、コントロール回路21は、誘導素子電流検出回路2
2bからの指示に基づいて、誘導素子12の順方向電流
が0に近づき、向きが反転しようとした時点(t14の
時点)で第2スイッチ15を遮断する。これにより、誘
導素子12には、出力負荷が少ないときでも、逆方向電
流が流れない。したがって、出力負荷が少ないときでも
高い変換効率を維持できる。この結果、常に、変換効率
を高い値(例えば、80%以上)に保つことができるア
ップダウン型のスイッチング電源回路1cを実現でき
る。
【0071】〔第5の実施形態〕ところで、上記第1な
いし第4の実施形態では、誘導素子電流検出回路22を
用いて誘導素子12を流れる電流の向きを直接検出する
ことによって、第2スイッチ15を遮断している。当該
誘導素子電流検出回路22は、例えば、誘導素子12に
直列に接続された抵抗の両端間電圧を測定したり、ホー
ル素子などを用いて、磁界の強さを測定したりして、上
記電流の向きを検出できる。
【0072】ところが、磁界を測定する素子は、集積が
難しいため、スイッチング電源回路が大型化しやすい。
一方、抵抗を用いて検出する場合は、抵抗の電圧降下に
よって、スイッチング電源回路全体の効率が低下する虞
れがある。なお、測定用の抵抗として、配線の抵抗成分
を利用すれば、効率の低下を削減できる。また、抵抗値
を小さくすれば、抵抗に起因する損失を抑制できる。と
ころが、いずれの場合であっても、測定用抵抗の抵抗値
が小さくなるので、電流の向きを測定するために必要な
精度やゲインは、極めて高くなる。一方、第1スイッチ
11のスイッチング周波数は、変換効率を向上させるた
めに、年々向上しているので、より速い検出速度が必要
とされる。したがって、測定精度と動作速度との双方が
所望のレベルを満足するように誘導素子電流検出回路2
2を形成する必要があり、小型で、低損失のスイッチン
グ電源回路を実現することは難しい。
【0073】これに対して、以下の実施形態では、入力
電圧Vinおよび出力電圧Voutに基づいて、誘導素
子12を流れる電流の向きが反転する時点を予測して、
第2スイッチ15を遮断する構成について説明する。
【0074】すなわち、図6に示すスイッチング電源回
路2は、ステップダウン型のスイッチング電源回路であ
って、図1に示すスイッチング電源回路1と略同様の構
成である。ただし、誘導素子電流検出回路22に代え
て、電圧積分コントロール回路(第2の制御手段)23
が設けられている点が異なっている。
【0075】上記電圧積分コントロール回路23は、入
力電圧Vinと出力電圧Voutとを検知して、誘導素
子12に流れる電流IL を計算し、電流IL が反転する
時点で、第2スイッチ15を遮断するための信号をコン
トロール回路21へ送出する。具体的には、両スイッチ
11・15の導通時における両端間電圧を0V、第1ス
イッチ11の導通時間をTONとすると、第1スイッチ1
1の導通時に誘導素子12へ蓄積されたエネルギが放出
されるまでの時間xは、上述の式(1)および式(2)
から、以下の式(9)に示すように、 x =TON・(Vin−Vout)/Vout …(9) となる。したがって、電圧積分コントロール回路23が
上記時間xを算出し、第1スイッチ11の遮断時点から
時間xが経過するまでの間に、コントロール回路21が
第2スイッチ15を遮断すれば、誘導素子12に逆方向
電流が流れない。また、第1スイッチ11の遮断時間T
OFF が、上記時間x以下になるように、第2スイッチ1
5の導通/遮断を制御しても、逆方向電流の発生を防止
できる。
【0076】なお、第2スイッチ15の遮断時点が、逆
方向電流が流れ始める時点よりも前の場合、順方向電流
が転流ダイオード14を介して流れる。この結果、第2
スイッチ15を遮断するまでの間に、転流ダイオード1
4による順方向電圧損失が発生し、スイッチング電源回
路2の効率を低下させる。一方、逆方向電流が流れ始め
る時点よりも後に、第2スイッチ15を遮断した場合
は、第2スイッチ15を遮断するまでの間に、逆方向電
流が流れるので、逆方向電流に起因する損失が発生す
る。したがって、逆方向電流が流れ始める時点と一致す
るように、第2スイッチ15の遮断時点を制御すること
が最も好ましい。ただし、ここで、逆方向電流に起因す
る損失は、転流ダイオード14の順方向電圧に起因する
損失よりも大きいので、逆方向電流が流れ始める時点を
正確に予測できない場合は、第2スイッチ15を早めに
遮断して、逆方向電流が流れないように制御する方がよ
い。
【0077】これにより、誘導電流IL を直接測定せず
に、確実に、逆方向電流を防止できる。この結果、第1
の実施形態と同様に、出力負荷が少ないときでも、変換
効率を維持でき、常に変換効率を高い値(例えば、80
%以上)に保つことのできるステップダウン型のスイッ
チング電源回路2を実現できる。
【0078】また、本実施形態に係る電圧積分コントロ
ール回路23は、入力電圧Vinおよび出力電圧Vou
tに基づいて、第2スイッチ15の遮断タイミングを決
定している。したがって、誘導素子12に直列に抵抗を
配さずに、遮断タイミングを決定できる。この結果、第
1の実施形態のスイッチング電源回路1の場合、すなわ
ち、誘導素子電流検出回路22にて、遮断タイミングを
決定する場合に比べて、小型かつ低損失のスイッチング
電源回路を比較的容易に実現できる。
【0079】〔第6の実施形態〕上記第5の実施形態で
は、ステップダウン型のスイッチング電源回路に、電圧
積分コントロール回路を設ける場合について説明した
が、本発明は、これに限らず、他の型のスイッチング電
源回路にも適用できる。例えば、図3に示すステップア
ップ型のスイッチング電源回路1aにおいて、誘導素子
電流検出回路22の代わりに電圧積分コントロール回路
23aを設けると、図7に示すスイッチング電源回路2
aが構成される。
【0080】上記構成では、第1スイッチ11の導通時
における誘導電流ILaは、上述の式(3)および式
(4)に示すように変化するので、第1スイッチ11の
導通時に誘導素子12へ蓄積されたエネルギが放出され
るまでの時間xa は、以下の式(10)に示すように、 xa =TON・Vin/(Vout−Vin) …(10) となる。したがって、第5の実施形態と同様に、電圧積
分コントロール回路23aが上記時間xa を算出し、第
1スイッチ11の遮断時点から時間xa が経過するまで
の間に、コントロール回路21が第2スイッチ15を遮
断すれば、誘導素子12に逆方向電流が流れない。ま
た、第1スイッチ11の遮断時間TOFF が、上記時間x
a 以下になるように、第2スイッチ15の導通/遮断を
制御しても、逆方向電流の発生を防止できる。
【0081】この結果、第2の実施形態と同様に、出力
負荷が少ないときでも変換効率を維持でき、常に変換効
率を高い値(例えば、80%以上)に維持可能なステッ
プアップ型のスイッチング電源回路2aを実現できる。
また、本実施形態では、第5の実施形態と同様に、誘導
電流ILaを直接測定せずに、第2スイッチ15の遮断時
間を決定している。したがって、第2の実施形態より
も、さらに小型で高効率のスイッチング電源回路2aを
比較的容易に実現できる。
【0082】〔第7の実施形態〕また、図4に示す反転
型のスイッチング電源回路1bにおいて、誘導素子電流
検出回路22の代わりに、電圧積分コントロール回路2
3bを設けると、図8に示すスイッチング電源回路2b
が構成される。
【0083】上記構成では、第1スイッチ11の導通時
における誘導電流ILbは、上述の式(5)および式
(6)に示すように変化するので、第1スイッチ11の
導通時に誘導素子12へ蓄積されたエネルギが放出され
るまでの時間xb は、以下の式(11)に示すように、 xb =TON・Vin/(−Vout) …(11) となる。したがって、第5の実施形態と同様に、電圧積
分コントロール回路23bが上記時間xb を算出し、第
1スイッチ11の遮断時点から時間xb が経過するまで
の間に、コントロール回路21が第2スイッチ15を遮
断すれば、誘導素子12に逆方向電流が流れない。ま
た、第1スイッチ11の遮断時間TOFF が、上記時間x
b 以下になるように、第2スイッチ15の導通/遮断を
制御しても、逆方向電流の発生を防止できる。この結
果、第3の実施形態と同様に、出力負荷が少ないときで
も変換効率を保つことができ、常に変換効率を高い値
(80%以上)に維持可能な反転型のスイッチング電源
回路2bを実現できる。また、本実施形態では、第5の
実施形態と同様に、誘導電流ILbを直接測定せずに、第
2スイッチ15の遮断時間を決定しているので、第3の
実施形態よりも、さらに小型で高効率のスイッチング電
源回路2bを比較的容易に実現できる。
【0084】〔第8の実施形態〕さらに、図5に示すア
ップダウン型のスイッチング電源回路1cにおいて、誘
導素子電流検出回路22の代わりに、電圧積分コントロ
ール回路23cを設けると、図9に示すスイッチング電
源回路2cが構成される。
【0085】上記構成では、第1スイッチ11の導通時
における誘導電流ILcは、上述の式(7)および式
(8)に示すように変化するので、第1スイッチ11の
導通時に誘導素子12へ蓄積されたエネルギが放出され
るまでの時間xc は、以下の式(12)に示すように、 xc =TON・Vin/Vout …(12) となる。したがって、第5の実施形態と同様に、電圧積
分コントロール回路23cが上記時間xc を算出し、第
1スイッチ11の遮断時点から時間xc が経過するまで
の間に、コントロール回路21が第2スイッチ15を遮
断すれば、誘導素子12に逆方向電流が流れない。ま
た、第1スイッチ11の遮断時間TOFF が、上記時間x
c 以下になるように、第2スイッチ15の導通/遮断を
制御しても、逆方向電流の発生を防止できる。
【0086】この結果、第4の実施形態と同様に、出力
負荷が少ないときでも変換効率を保つことができ、常に
変換効率を高い値(例えば、80%以上)に維持可能な
アップダウン型のスイッチング電源回路2cを実現でき
る。また、本実施形態では、第5の実施形態と同様に、
誘導電流ILcを直接測定せずに、第2スイッチ15の遮
断時間を決定しているので、第4の実施形態よりも、さ
らに小型で高効率のスイッチング電源回路2bを比較的
容易に実現できる。
【0087】〔第9の実施形態〕ところで、上記第5な
いし第8の実施形態に係る電圧積分コントロール回路2
3は、例えば、デジタル回路によって実現してもよい
し、アナログ回路を用いて実現してもよい。また、上述
の演算式(9)ないし式(12)を簡略化して、ある時点
における入出力電圧Vin・Voutに基づいて、逆方
向電流が流れ始める時点を推測することもできる。
【0088】ただし、上述の演算式(9)ないし式(1
2)の場合、デジタル回路で実現すると、回路規模や消
費電力が、アナログ回路の場合に比べて増大しがちであ
る。一方、上述したように、実際に逆方向電流が流れ始
める時点が推測した時点とズレていると、スイッチング
電源回路の変換効率が低下するので、近似式を用いて推
測すると、スイッチング電源回路の変換効率を向上する
ことが難しい。
【0089】以下では、電圧積分コントロール回路23
の好適な構成例として、アナログの積分器を用いた場合
について説明する。具体的には、本実施形態に係るスイ
ッチング電源回路3は、ステップダウン型の回路であっ
て、図10に示すように、電圧積分コントロール回路2
3は、入力電圧Vinと出力電圧Voutとを検知し
て、両電圧Vin、Voutをそのまま、または、加減
算処理した電圧を電流へ変換することによって、誘導電
流IL の変化量dIL /dtに応じた電流を生成する電
圧電流変換回路(電圧電流変換部)31と、電圧電流変
換回路31の出力電流を蓄積して電圧へと変換する電流
電圧変換コンデンサ32と、電流電圧変換コンデンサ
(蓄積コンデンサ)32の出力電圧Vcを所定の値の基
準電圧Vref1と比較するコンパレータ(制御部)3
3と、上記基準電圧Vref1を生成してコンパレータ
33へ入力する電源34とを備えている。なお、残余の
構成は、図6と同様であるため、同じ機能を有する部材
には、同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0090】上記電圧電流変換回路31は、第1スイッ
チ11が導通している間、入力電圧Vinおよび出力電
圧Voutに基づいて、Vin−Voutに比例した電
流を生成し、上記電流電圧変換コンデンサ32へ流し込
む。一方、第1スイッチ11が遮断されている間、電圧
電流変換回路31は、出力電圧Voutに比例した電流
を上記電流電圧変換コンデンサ32から引き抜く。な
お、電流生成時の比例定数は、導通期間と遮断期間とで
共通である。
【0091】これにより、図11に示すように、電流電
圧変換コンデンサ32の両端電圧Vcは、誘導素子12
に流れる順方向電流IL に比例して変化する。したがっ
て、誘導素子12に逆電流が流れ始める時点を、両端電
圧Vcが0Vになる時点として正確に検出できる。この
結果、コンパレータ33が、両端電圧Vcと、基準電圧
Vref1とを比較して、両端電圧Vcが0〔V〕にな
る前に、第2スイッチ15の遮断をコントロール回路2
1へ指示すれば、誘導素子12に逆方向電流が流れる前
に、第2スイッチ15を遮断できる。したがって、出力
負荷が少ないときであっても、誘導素子12に逆方向電
流が流れることがなく、常に変換効率を高い値(例え
ば、80%以上)に維持可能なステップダウン型のスイ
ッチング電源回路3を実現できる。
【0092】〔第10の実施形態〕本実施形態では、図
12を参照して、図7と同様のステップアップ型のスイ
ッチング電源回路3aにおいて、アナログの積分器を用
いて、電圧積分コントロール回路23aを構成した場合
について説明する。
【0093】本実施形態に係る電圧積分コントロール回
路23aは、図10に示す電圧積分コントロール回路2
3と略同様であるが、電圧電流変換回路31に代えて、
誘導電流ILaを算出するための電圧電流変換回路31a
が設けられている。具体的には、上記電圧電流変換回路
31aは、第1スイッチ11が導通している間、入力電
圧Vinに比例した電流を生成し、上記電流電圧変換コ
ンデンサ32へ流し込む。一方、第1スイッチ11が遮
断されている間、電圧電流変換回路31aは、入力電圧
Vinおよび出力電圧Voutに基づいて、Vout−
Vinに比例した電流を上記電流電圧変換コンデンサ3
2から引き抜く。なお、電流生成時の比例定数は、導通
期間と遮断期間とで共通である。
【0094】これにより、図13に示すように、電流電
圧変換コンデンサ32の両端電圧Vca は、誘導素子1
2に流れる順方向電流ILaに比例して変化する。したが
って、誘導素子12に逆電流が流れ始める時点を、両端
電圧Vca が0Vになる時点として正確に検出できる。
この結果、コンパレータ33が、両端電圧Vca と、基
準電圧Vref1とを比較して、両端電圧Vca が0
〔V〕になる前に、第2スイッチ15の遮断をコントロ
ール回路21へ指示すれば、誘導素子12に逆方向電流
が流れる前に、第2スイッチ15を遮断できる。したが
って、出力負荷が少ないときであっても、誘導素子12
に逆方向電流が流れることがなく、常に変換効率を高い
値(例えば、80%以上)に維持可能なステップダウン
型のスイッチング電源回路3aを実現できる。
【0095】〔第11の実施形態〕また、本実施形態で
は、図14を参照しながら、図8と同様の反転型のスイ
ッチング電源回路3bにおいて、アナログの積分器を用
いて、電圧積分コントロール回路23bを構成した場合
について説明する。
【0096】本実施形態に係る電圧積分コントロール回
路23bは、図10に示す電圧積分コントロール回路2
3と略同様であるが、電圧電流変換回路31に代えて、
誘導電流ILbを算出するための電圧電流変換回路31b
が設けられている。具体的には、上記電圧電流変換回路
31bは、第1スイッチ11が導通している間、入力電
圧Vinに比例した電流を生成し、上記電流電圧変換コ
ンデンサ32へ流し込む。一方、第1スイッチ11が遮
断されている間、電圧電流変換回路31bは、出力電圧
Voutに基づいて、−Voに比例した電流を上記電流
電圧変換コンデンサ32から引き抜く。なお、電流生成
時の比例定数は、導通期間と遮断期間とで共通である。
【0097】これにより、図15に示すように、電流電
圧変換コンデンサ32の両端電圧Vcb は、誘導素子1
2に流れる順方向電流ILbに比例して変化する。したが
って、誘導素子12に逆電流が流れ始める時点を、両端
電圧Vcb が0Vになる時点として正確に検出できる。
この結果、コンパレータ33が、両端電圧Vcb と、基
準電圧Vref1とを比較して、両端電圧Vcb が0
〔V〕になる前に、第2スイッチ15の遮断をコントロ
ール回路21へ指示すれば、誘導素子12に逆方向電流
が流れる前に、第2スイッチ15を遮断できる。したが
って、出力負荷が少ないときであっても、誘導素子12
に逆方向電流が流れることがなく、常に変換効率を高い
値(例えば、80%以上)に維持可能な反転型のスイッ
チング電源回路3bを実現できる。
【0098】〔第12の実施形態〕さらに、本実施形態
では、図16を参照しながら、図9と同様のアップダウ
ン型のスイッチング電源回路3cにおいて、アナログの
積分器を用いて、電圧積分コントロール回路23cを構
成した場合について説明する。
【0099】本実施形態に係る電圧積分コントロール回
路23cは、図10に示す電圧積分コントロール回路2
3と略同様であるが、電圧電流変換回路31に代えて、
誘導電流ILcを算出するための電圧電流変換回路31c
が設けられている。具体的には、上記電圧電流変換回路
31cは、第1スイッチ11が導通している間、入力電
圧Vinに基づいて、Vinに比例した電流を生成し、
上記電流電圧変換コンデンサ32へ流し込む。一方、第
1スイッチ11が遮断されている間、電圧電流変換回路
31cは、出力電圧Voutに基づいて、Voに比例し
た電流を上記電流電圧変換コンデンサ32から引き抜
く。なお、電流生成時の比例定数は、導通期間と遮断期
間とで共通である。
【0100】これにより、図17に示すように、電流電
圧変換コンデンサ32の両端電圧Vcc は、誘導素子1
2に流れる順方向電流ILcに比例して変化する。したが
って、誘導素子12に逆電流が流れ始める時点を、両端
電圧Vcc が0Vになる時点として正確に検出できる。
この結果、コンパレータ33が、両端電圧Vcc と、基
準電圧Vref1とを比較して、両端電圧Vcc が0
〔V〕になる前に、第2スイッチ15の遮断をコントロ
ール回路21へ指示すれば、誘導素子12に逆方向電流
が流れる前に、第2スイッチ15を遮断できる。したが
って、出力負荷が少ないときであっても、誘導素子12
に逆方向電流が流れることがなく、常に変換効率を高い
値(例えば、80%以上)に維持可能な高いアップダウ
ン型のスイッチング電源回路3cを実現できる。
【0101】〔第13の実施形態〕ところで、上記第5
ないし第12の各実施形態は、誘導素子12に流れる電
流を直接検出せず、入力電圧Vinと出力電圧Vout
とに基づいて、誘導素子12に逆方向電流が流れ始める
時点を検出しているため、IC( Integrated Circuit
)などに集積化しやすい。本実施形態では、図18を
参照しながら、集積が容易なスイッチング電源回路の構
成例について、さらに詳細に説明する。なお、以下で
は、第12の実施形態と同様のアップダウン型のスイッ
チング電源回路4cを例にして説明するが、他の実施形
態でも同様に、集積が容易な回路を実現できる。
【0102】すなわち、本実施形態では、第1スイッチ
11は、NチャネルのMOSトランジスタN1で構成さ
れており、第2スイッチ15は、PチャネルのMOSト
ランジスタP1で構成されている。また、インピーダン
ス素子17は、誘導素子L1にて形成される。
【0103】一方、本実施形態に係るコントロール回路
21cは、出力電圧Voutを分圧する抵抗41・42
と、所定の値の基準電圧Vref2を生成する電源43
と、上記両抵抗41・42の接続点の電圧Vadjが正
入力端子に、上記基準電圧Vref2が負入力端子に印
加された誤差検出用のコンパレータ44とを備えてい
る。さらに、コントロール回路21cには、所定の周期
の三角波を生成する三角波発生器45と、所定の値の基
準圧Vref3を生成する電源46と、上記コンパレー
タ44の出力と上記基準電圧Vref3とを正入力と
し、上記三角波発生器45からの三角波を負入力とする
PWM( Pulse Width Modulation )用のコンパレータ
47とが設けられている。当該コンパレータ47の出力
は、インバータ48を介して、上記MOSトランジスタ
N1のゲートに印加されると共に、2入力NAND回路
49を介して、MOSトランジスタP1のゲートに印加
される。
【0104】上記構成において、出力電圧Voutは、
抵抗41・42にて分圧され、帰還電圧Vadjとし
て、誤差検出用のコンパレータ44に印加される。当該
コンパレータ44は、基準電圧Vref2と、帰還電圧
Vadjとを比較して、両者の誤差に応じた電圧を出力
する。一方、PWM用のコンパレータ47は、上記コン
パレータ44の出力電圧と基準電圧Vref3とのうち
で高い方の電圧と、三角波発生器45で生成した三角波
とを比較してパルス信号を生成する。ここで、コンパレ
ータ44の出力は、帰還電圧Vadjが基準電圧Vre
f2よりも大きい場合、パルス幅が減少する方向に変化
し、帰還電圧Vadjの方が小さい場合に、パルス幅が
増加する方向に変化するように設定されている。したが
って、上記パルス信号のパルス幅は、帰還電圧Vadj
と、基準電圧Vref2とが一致するように制御され
る。
【0105】上記パルス信号は、インバータ48で反転
された後、NチャネルのMOSトランジスタN1のゲー
トへ印加される。また、当該パルス信号は、電圧積分コ
ントロール回路23cから第2スイッチ15の遮断が指
示されていない間、NAND回路49で反転された後、
PチャネルのMOSトランジスタP1のゲートへ印加さ
れる。したがって、第1スイッチ11の導通時には、第
2スイッチ15が遮断され、第1スイッチ11の遮断時
には、第2スイッチ15が導通するように制御される。
この結果、両スイッチ11・15のオン/オフは、出力
電圧Voutが所望の値Vconになるように制御され
る。
【0106】上記インバータ48とMOSトランジスタ
N1との間、並びに、上記NAND回路49とMOSト
ランジスタP1との間には、図示しないプリバッファが
それぞれ設けられており、各プリバッファの遅延時間
は、オン時の方がオフ時よりも長く設定されている。こ
れにより、両MOSトランジスタN1・P1の一方は、
他方が遮断してから所定のデッドタイムTdetが経過
するまでの間、導通しないように制御される。
【0107】また、コンパレータ47は、コンパレータ
の出力電圧が基準電圧Vref3よりも低い場合、基準
電圧Vref3と三角波とを比較してパルス信号を生成
する。したがって、パルス幅の最大値が制限され、スイ
ッチング電源回路4cの起動時など、出力電圧Vout
が極めて低い場合であっても、第1スイッチ11の導通
期間を制限して、第1スイッチ11の損傷を防止でき
る。
【0108】なお、両MOSトランジスタN1・P1の
切り換えタイミングをズラす方法は、上記構成に限るも
のではなく、例えば、図19に示すように、上記インバ
ータ48およびNAND回路49と、両MOSトランジ
スタN1・P1との間にタイミング制御部50を設けて
制御してもよい。当該タイミング制御部50では、イン
バータ48の出力は、AND回路50aおよびバッファ
50bを介して、上記MOSトランジスタN1のゲート
に印加される。同様に、NAND回路49の出力は、O
R回路50cおよびバッファ50dを介して、上記MO
SトランジスタP1のゲートに印加される。また、上記
バッファ50bの出力は、上記OR回路50cへ入力さ
れており、バッファ50dの出力は、上記AND回路5
0aへ入力される。
【0109】当該構成では、AND回路50aは、イン
バータ48からMOSトランジスタN1の導通が指示さ
れても、バッファ50dがMOSトランジスタP1の遮
断を指示するまで、出力をローレベルに保ってMOSト
ランジスタN1の導通を阻止している。そして、AND
回路50aの出力は、バッファ50dが遮断を指示した
後、ハイレベルとなり、バッファ50bを介して、MO
SトランジスタN1のゲートに印加される。したがっ
て、AND回路50aおよびバッファ50bの遅延時間
によって、MOSトランジスタN1の導通タイミング
は、MOSトランジスタP1の遮断タイミングよりも遅
く設定される。
【0110】同様に、OR回路50cは、NAND回路
49からMOSトランジスタP1の導通が指示されて
も、バッファ50bがMOSトランジスタN1の遮断を
指示するまで、出力をハイレベルに保って、MOSトラ
ンジスタP1の導通を阻止している。この結果、MOS
トランジスタP1の導通タイミングは、MOSトランジ
スタN1の遮断タイミングよりも遅く設定される。
【0111】一方、図18に示すように、本実施形態に
係る電圧電流変換回路31cは、第1スイッチ11の導
通時に入力電圧Vinに比例した電流を出力するため
に、入力電圧Vinを分圧する抵抗51・52と、両抵
抗51・52の接続点が正入力端子に接続されたアンプ
53と、アンプ53の出力にベースが接続され、エミッ
タが抵抗54を介して接地されたNPN型のトランジス
タ55と、上記コントロール回路21cから、第1スイ
ッチ11の導通を示す信号SONを受け取った場合に、当
該トランジスタ55のコレクタ電流と同じ値の電流を折
り返して出力するスイッチ付きのカレントミラー回路5
6とを備えている。また、上記トランジスタ55と抵抗
54との接続点は、アンプ53の負入力端子に負帰還さ
れており、アンプ53は、上記抵抗54の両端電圧が、
上記抵抗51・52の接続点の電圧になるように、トラ
ンジスタ55のベース電圧を制御できる。なお、上記ア
ンプ53が、特許請求の範囲に記載の第1アンプ回路に
対応し、上記カレントミラー回路56が、第1のカレン
トミラー回路に対応している。
【0112】上記構成において、入力電圧Vinを抵抗
51・52で分圧して生成された電圧は、アンプ53に
よって、抵抗54に流れる電流へ変換される。当該電流
は、上記信号SONが導通を示している場合、カレントミ
ラー回路56によって折り返される。これにより、電圧
電流変換回路31cは、第1スイッチ11の導通してい
る間、入力電圧Vinに比例した電流を、電流電圧変換
コンデンサ32へ出力できる。なお、信号SONが導通を
示していない場合は、カレントミラー回路56は、動作
停止している。したがって、後述するカレントミラー回
路67の出力電流のみが、電流電圧変換コンデンサ32
から引き込まれる。
【0113】また、本実施形態に係る電圧電流変換回路
31cは、第1スイッチ11の遮断時に出力電圧Vou
tに比例した電流を出力するために、出力電圧Vout
を分圧する抵抗61・62と、両抵抗61・62の接続
点が正入力端子に接続されたアンプ63と、アンプ63
の出力にベースが接続され、エミッタが抵抗64を介し
て接地されたNPN型のトランジスタ65と、上記コン
トロール回路21cから、第1スイッチ11の遮断を示
す信号SOFF を受け取った場合に、当該トランジスタ6
5のコレクタ電流と同じ値の電流を折り返して出力する
スイッチ付きのカレントミラー回路66と、当該カレン
トミラー回路66の出力電流を再度折り返すカレントミ
ラー回路67とを備えている。また、上記トランジスタ
65と抵抗64との接続点は、アンプ63の負入力端子
に負帰還されており、アンプ63は、上記抵抗64の両
端電圧が、上記抵抗51・62の接続点の電圧になるよ
うに、トランジスタ65のベース電圧を制御できる。な
お、上記アンプ63が特許請求の範囲に記載の第2アン
プ回路に対応し、カレントミラー回路66および67
が、第2のカレントミラー回路に対応している。
【0114】上記構成において、出力電圧Voutを抵
抗61・62で分圧して生成された電圧は、アンプ63
によって、抵抗64に流れる電流へ変換される。当該電
流は、上記信号SOFF が遮断を示している場合、カレン
トミラー回路66によって折り返され、さらに、カレン
トミラー回路67によって、電流電圧変換コンデンサ3
2から電圧電流変換回路31cへの方向へと折り返され
る。これにより、電圧電流変換回路31cは、第1スイ
ッチ11の導通している間、出力電圧Vout比例した
電流を、電流電圧変換コンデンサ32から引き込むこと
ができる。なお、上記信号SOFF が導通を示している場
合、上記カレントミラー回路66は、動作しない。した
がって、上述のカレントミラー回路56の出力電流のみ
が、電流電圧変換コンデンサ32へ供給される。
【0115】これにより、電圧電流変換回路31cは、
第1スイッチ11が導通している間、入力電圧Vinに
比例した電流を供給して、電流電圧変換コンデンサ32
に電荷を蓄積できる。一方、第1スイッチ11が遮断さ
れている間、電圧電流変換回路31cは、出力電圧Vo
utに比例した電流を引き抜いて、電流電圧変換コンデ
ンサ32の電荷を放出できる。この結果、電流電圧変換
コンデンサ32の両端電圧Vcc は、誘導電流ILcに比
例して変動する。
【0116】さらに、コンパレータ33は、両端電圧V
c が、所定の値の基準電圧Vref1を下回った場
合、誘導電流ILcが0に近づき、逆方向に流れようとし
ていると判定し、NAND回路49へ出力する電圧を低
下させる。この結果、コントロール回路21cにおい
て、NAND回路49は、コンパレータ47の出力に拘
わらず、PチャネルのMOSトランジスタP1のゲート
へ、常にハイレベルの出力を印加する。これにより、電
圧積分コントロール回路23cは、誘導電流ILcが逆方
向に流れようとした時点を正確に判定し、コントロール
回路21cに第2スイッチ15を遮断させることができ
る。
【0117】ここで、上記構成のコントロール回路21
cおよび電圧積分コントロール回路23cは、アンプや
抵抗およびトランジスタなど、集積が容易な回路で構成
されている。したがって、コントロール回路21cおよ
び電圧積分コントロール回路23cをICとして集積し
た場合、第1スイッチ11、誘導素子12、平滑コンデ
ンサ13、転流ダイオード14、第2スイッチ15、コ
ンデンサ16およびインピーダンス素子17を当該IC
に外付けするだけで、高精度で高効率なスイッチング電
源回路4cを構成できる。上記コントロール回路21c
は、例えば、誤差検出用のコンパレータ44や三角波発
生器45など、高い周波数で動作し、かつ、高い精度が
要求される回路を含んでいる。一方、電圧積分コントロ
ール回路23cにおいて、電圧電流変換回路31cの演
算精度が低いと、誘導電流ILcを正しく算出できず、第
2スイッチ15の導通/遮断のタイミングがズレるの
で、スイッチング電源回路4cの効率が低下する。した
がって、コントロール回路21cおよび電圧積分コント
ロール回路23を集積すれば、それぞれの演算精度を容
易に向上できるので、高精度で高効率なスイッチング電
源回路4cを実現できる。なお、第1スイッチ11、転
流ダイオード14、および第2スイッチ15を集積する
ことで、さらに部品点数を削減できる。また、基準電圧
Vref2の値が一定であっても、両抵抗41・42の
分圧比を変更すれば、出力電圧Voutの目標値Vco
nを変更できる。したがって、両抵抗41・42を外付
けした場合は、異なる目標値Voutを有するスイッチ
ング電源回路間で、上記集積回路を共用できる。
【0118】
【発明の効果】請求項1の発明に係る同期整流回路は、
以上のように、第1スイッチの導通時にエネルギを蓄積
する誘導素子と、第1スイッチの遮断時に、上記誘導素
子に流れる電流を維持する整流素子と、整流素子へ並列
に接続された第2スイッチとを有するステップダウン型
の同期整流回路において、上記誘導素子に流れる第1電
流を監視する誘導素子電流検出手段と、上記誘導素子電
流検出手段の指示に基づいて、上記第2スイッチを遮断
する第1の制御手段とを備えている構成である。
【0119】上記構成では、誘導素子電流検出手段が第
1電流を監視しており、第1の制御手段は、誘導素子電
流検出手段の指示に従い、第1電流が0に近づき、逆転
しようとする場合に、第2スイッチを遮断する。これに
より、軽負荷時であっても、誘導素子には、逆方向の電
流が流れず、高い変換効率を維持できる。この結果、常
に変換効率の高いステップダウン型の同期整流回路を実
現できるという効果を奏する。
【0120】請求項2の発明に係る同期整流回路は、以
上のように、ステップアップ型の同期整流回路におい
て、誘導素子に流れる第1電流を監視する誘導素子電流
検出手段と、上記誘導素子電流検出手段の指示に基づい
て、上記第2スイッチを遮断する第1の制御手段とを備
えている構成である。
【0121】それゆえ、請求項1と同様に、軽負荷時で
あっても、誘導素子には、逆方向の電流が流れず、高い
変換効率を維持できる。この結果、常に変換効率の高い
ステップアップ型の同期整流回路を実現できるという効
果を奏する。
【0122】請求項3の発明に係る同期整流回路は、以
上のように、反転型の同期整流回路において、誘導素子
に流れる第1電流を監視する誘導素子電流検出手段と、
上記誘導素子電流検出手段の指示に基づいて、上記第2
スイッチを遮断する第1の制御手段とを備えている構成
である。
【0123】それゆえ、請求項1と同様に、軽負荷時で
あっても、誘導素子には、逆方向の電流が流れず、高い
変換効率を維持できる。この結果、常に変換効率の高い
反転型の同期整流回路を実現できるという効果を奏す
る。
【0124】請求項4の発明に係る同期整流回路は、以
上のように、請求項2または3記載の発明の構成におい
て、上記第1スイッチおよび誘導素子の接続点と、上記
整流素子との間に設けられたコンデンサと、当該コンデ
ンサと整流素子との間に一端が接続された短絡用誘導素
子または短絡用抵抗とを備えている構成である。
【0125】上記構成では、第1スイッチの導通時に、
誘導素子に蓄積されたエネルギは、コンデンサを介して
出力される。それゆえ、この結果、常に変換効率の高い
アップダウン型の同期整流回路を実現できるという効果
を奏する。
【0126】請求項5の発明に係る同期整流回路は、以
上のように、上記ステップダウン型の同期整流回路にお
いて、誘導素子電流検出手段および第1の制御手段に代
えて、上記入力端子電圧と出力端子電圧とに基づいて、
上記第1電流を推定し、上記第2スイッチを制御する第
2の制御手段を備えている構成である。
【0127】上記構成では、誘導素子電流検出手段を用
いて第1電流を直接監視する代わりに、第2の制御手段
が、入力端子電圧と出力端子電圧とに基づいて上記第1
電流を推定している。したがって、ステップダウン型の
スイッチング電源回路として動作可能な請求項1と同様
の効果を有し、より小型で高効率の同期整流回路を実現
できるという効果を奏する。
【0128】請求項6の発明に係る同期整流回路は、以
上のように、上記ステップアップ型の同期整流回路にお
いて、誘導素子電流検出手段および第1の制御手段に代
えて、上記入力端子電圧と出力端子電圧とに基づいて、
上記第1電流を推定し、上記第2スイッチを制御する第
2の制御手段を備えている構成である。
【0129】上記構成では、誘導素子電流検出手段を用
いて第1電流を直接監視する代わりに、第2の制御手段
が、入力端子電圧と出力端子電圧とに基づいて上記第1
電流を推定している。したがって、ステップアップ型の
スイッチング電源回路として動作可能な請求項2と同様
の効果を有し、より小型で高効率の同期整流回路を実現
できるという効果を奏する。
【0130】請求項7の発明に係る同期整流回路は、以
上のように、上記反転型の同期整流回路において、誘導
素子電流検出手段および第1の制御手段に代えて、上記
入力端子電圧と出力端子電圧とに基づいて、上記第1電
流を推定し、上記第2スイッチを制御する第2の制御手
段を備えている構成である。
【0131】上記構成では、誘導素子電流検出手段を用
いて第1電流を直接監視する代わりに、第2の制御手段
が、入力端子電圧と出力端子電圧とに基づいて上記第1
電流を推定している。したがって、反転型のスイッチン
グ電源回路として動作可能な請求項3と同様の効果を有
し、より小型で高効率の同期整流回路を実現できるとい
う効果を奏する。
【0132】請求項8の発明に係る同期整流回路は、以
上のように、請求項6または7記載の発明の構成におい
て、上記第1スイッチおよび誘導素子の接続点と、上記
整流素子との間に設けられたコンデンサと、当該コンデ
ンサと整流素子との間に一端が接続された短絡用誘導素
子または短絡用抵抗とを備えている構成である。
【0133】当該構成では、第1スイッチの導通時に、
誘導素子に蓄積されたエネルギは、コンデンサを介して
出力される。したがって、アップダウン型ののスイッチ
ング電源回路として動作可能な請求項4と同様の効果を
有し、より小型で高効率の同期整流回路を実現できると
いう効果を奏する。
【0134】請求項9の発明に係る同期整流回路は、以
上のように、請求項5、6、7または8記載の発明の構
成において、上記制御手段は、上記入力端子電圧と出力
端子電圧と上記第1スイッチが導通しているか否かとに
基づいて、上記第1電流の変動量に応じた電流を生成す
る電圧電流変換部と、当該電圧電流変換部の出力に、第
1端部が接続された蓄積コンデンサと、当該蓄積コンデ
ンサの第1端部の電圧に基づいて、上記第2スイッチを
制御する制御部とを備えている構成である。
【0135】上記構成では、入出力端子電圧に基づいて
算出された当該第1電流の変動量を積分して算出するの
で、極めて高精度に第1電流を推定できる。この結果、
誘導素子に逆方向電流が流れることを確実に防止でき、
同期整流回路の変換効率をさらに向上できるという効果
を奏する。
【0136】加えて、上記電流電圧変換部や制御部は、
アンプなどのアナログ回路で実現できるので集積化が容
易で、かつ、デジタル回路で実現する場合に比べて消費
電力や回路規模を削減できる。この結果、小型かつ低消
費電力の同期整流回路を実現できるという効果を併せて
奏する。
【0137】請求項10の発明に係る同期整流回路は、
以上のように、請求項9記載の発明の構成において、上
記電圧電流変換部は、上記入力端子電圧および出力端子
電圧のうち、少なくとも一方に基づいて、第1スイッチ
の導通時における上記第1電流の変動量に比例した電流
を生成する第1アンプ回路と、上記第1スイッチの導通
時にのみ、上記第1アンプ回路の出力電流と同じ量の電
流を上記蓄積コンデンサの第1端部へ流し込む第1のカ
レントミラー回路と、上記入力端子電圧および出力端子
電圧のうち、少なくとも一方に基づいて、第1スイッチ
の遮断時における上記第1電流の変動量に比例した電流
を生成する第2アンプ回路と、上記第1スイッチの遮断
時にのみ、上記第2アンプ回路の出力電流と同じ量の電
流を上記蓄積コンデンサの第1端部から引き抜く第2の
カレントミラー回路とを備えている構成である。
【0138】上記構成では、第1スイッチの導通時に
は、第1アンプ回路と、第1のカレントミラー回路とが
動作して、上記蓄積コンデンサの第1端部に電荷を蓄積
する。一方、第1スイッチの遮断時には、第2アンプ回
路と、第2のカレントミラー回路とが動作して、上記蓄
積コンデンサの第1端部から電荷を放出する。それゆ
え、電圧電流変換回路は、第1スイッチの導通と遮断時
との双方において、上記第1電流の変動量に応じた電流
を高い精度で生成できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、同期整
流方式を用いたステップダウン型のスイッチング電源回
路の要部を示すブロック図である。
【図2】上記スイッチング電源回路の動作を示す波形図
である。
【図3】本発明の他の実施形態を示すものであり、同期
整流方式を用いたステップアップ型のスイッチング電源
回路の要部を示すブロック図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態を示すものであ
り、同期整流方式を用いた反転型のスイッチング電源回
路の要部を示すブロック図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態を示すものであ
り、同期整流方式を用いたアップダウン型のスイッチン
グ電源回路の要部を示すブロック図である。
【図6】本発明のさらに実施形態を示すものであり、同
期整流方式を用いたステップダウン型のスイッチング電
源回路の要部を示すブロック図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態を示すものであ
り、同期整流方式を用いたステップアップ型のスイッチ
ング電源回路の要部を示すブロック図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態を示すものであ
り、同期整流方式を用いた反転型のスイッチング電源回
路の要部を示すブロック図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態を示すものであ
り、同期整流方式を用いたアップダウン型のスイッチン
グ電源回路の要部を示すブロック図である。
【図10】本発明のさらに実施形態を示すものであり、
同期整流方式を用いたステップダウン型のスイッチング
電源回路の要部を示すブロック図である。
【図11】上記スイッチング電源回路の動作を示す波形
図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態を示すものであ
り、同期整流方式を用いたステップアップ型のスイッチ
ング電源回路の要部を示すブロック図である。
【図13】上記スイッチング電源回路の動作を示す波形
図である。
【図14】本発明のさらに他の実施形態を示すものであ
り、同期整流方式を用いた反転型のスイッチング電源回
路の要部を示すブロック図である。
【図15】上記スイッチング電源回路の動作を示す波形
図である。
【図16】本発明のさらに他の実施形態を示すものであ
り、同期整流方式を用いたアップダウン型のスイッチン
グ電源回路の要部を示すブロック図である。
【図17】上記スイッチング電源回路の動作を示す波形
図である。
【図18】本発明のさらに他の実施形態を示すものであ
り、同期整流方式を用いたアップダウン型のスイッチン
グ電源回路の要部を詳細に示す回路図である。
【図19】本発明の一変形例を示すものであり、上記ス
イッチング電源回路に設けられるスイッチ切り換えタイ
ミング制御回路を示す回路図である。
【図20】従来例を示すものであり、同期整流回路の要
部構成を示すブロック図である。
【図21】上記スイッチング電源回路の動作を示す波形
図である。
【符号の説明】
11 第1スイッチ 12 誘導素子 14 転流ダイオード(整流素子) 15 第2スイッチ 16 コンデンサ 17 インピーダンス素子(短絡用抵抗、短絡用誘導
素子) 21 コントロール回路(第1の制御手段、第2の制
御手段) 22 誘導素子電流検出回路(誘導素子電流検出手
段) 23・23a〜23c 電圧積分コントロール回路
(第2の制御手段) 31・31a〜31c 電圧電流変換回路(電圧電流
変換部) 32 電流電圧変換コンデンサ(蓄積コンデンサ) 33 コンパレータ(制御部) 53 アンプ(第1アンプ回路) 56 カレントミラー回路(第1のカレントミラー回
路) 63 アンプ(第2アンプ回路) 66 カレントミラー回路(第2のカレントミラー回
路) 67 カレントミラー回路(第2のカレントミラー回
路) IN 入力端子 OUT 出力端子

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入出力端子間に設けられた誘導素子と、 当該誘導素子と入力端子との間に設けられた第1スイッ
    チと、 上記第1スイッチと誘導素子との間に一端が接続され、
    当該誘導素子に流れる第1電流を維持する極性を有する
    整流素子と、 当該整流素子へ並列に接続され、上記第1スイッチの導
    通期間と重ならないように導通する第2スイッチとを有
    する同期整流回路において、 上記第1電流を監視する誘導素子電流検出手段と、 上記誘導素子電流検出手段の指示に基づいて、上記第2
    スイッチを遮断する第1の制御手段とを備えていること
    を特徴とする同期整流回路。
  2. 【請求項2】入出力端子間に設けられた誘導素子と、 当該誘導素子と出力端子との間に設けられ、当該誘導素
    子に流れる第1電流を維持する極性を有する整流素子
    と、 上記誘導素子と整流素子との間に一端が接続された第1
    スイッチと、 上記整流素子へ並列に接続され、上記第1スイッチの導
    通期間と重ならないように導通する第2スイッチとを有
    する同期整流回路において、 上記第1電流を監視する誘導素子電流検出手段と、 上記誘導素子電流検出手段の指示に基づいて、上記第2
    スイッチを遮断する第1の制御手段とを備えていること
    を特徴とする同期整流回路。
  3. 【請求項3】入出力端子間に設けられた第1スイッチ
    と、 上記第1スイッチと出力端子との間に設けられ、上記出
    力端子から入力端子への方向の極性を有する整流素子
    と、 当該整流素子と第1スイッチとの間に一端が接続された
    誘導素子と、 上記整流素子へ並列に接続され、上記第1スイッチの導
    通期間と重ならないように導通する第2スイッチとを有
    する同期整流回路において、 上記第1電流を監視する誘導素子電流検出手段と、 上記誘導素子電流検出手段の指示に基づいて、上記第2
    スイッチを遮断する第1の制御手段とを備えていること
    を特徴とする同期整流回路。
  4. 【請求項4】上記第1スイッチおよび誘導素子の接続点
    と、上記整流素子との間に設けられたコンデンサと、当
    該コンデンサと整流素子との間に一端が接続された短絡
    用誘導素子または短絡用抵抗とを備えていることを特徴
    とする請求項2または3記載の同期整流回路。
  5. 【請求項5】入出力端子間に設けられた誘導素子と、 当該誘導素子と入力端子との間に設けられた第1スイッ
    チと、 上記第1スイッチと誘導素子との間に一端が接続され、
    当該誘導素子に流れる第1電流を維持する極性を有する
    整流素子と、 当該整流素子へ並列に接続され、上記第1スイッチの導
    通期間と重ならないように導通する第2スイッチとを有
    する同期整流回路において、 上記入力端子電圧と出力端子電圧とに基づいて、上記第
    1電流を推定し、上記第2スイッチを制御する第2の制
    御手段を備えていることを特徴とする同期整流回路。
  6. 【請求項6】入出力端子間に設けられた誘導素子と、 当該誘導素子と出力端子との間に設けられ、当該誘導素
    子に流れる第1電流を維持する極性を有する整流素子
    と、 上記誘導素子と整流素子との間に一端が接続された第1
    スイッチと、 上記整流素子へ並列に接続され、上記第1スイッチの導
    通期間と重ならないように導通する第2スイッチとを有
    する同期整流回路において、 上記入力端子電圧と出力端子電圧とに基づいて、上記第
    1電流を推定し、上記第2スイッチを制御する第2の制
    御手段を備えていることを特徴とする同期整流回路。
  7. 【請求項7】入出力端子間に設けられた第1スイッチ
    と、 上記第1スイッチと出力端子との間に設けられ、上記出
    力端子から入力端子への方向の極性を有する整流素子
    と、 当該整流素子と第1スイッチとの間に一端が接続された
    誘導素子と、 上記整流素子へ並列に接続され、上記第1スイッチの導
    通期間と重ならないように導通する第2スイッチとを有
    する同期整流回路において、 上記入力端子電圧と出力端子電圧とに基づいて、上記第
    1電流を推定し、上記第2スイッチを制御する第2の制
    御手段を備えていることを特徴とする同期整流回路。
  8. 【請求項8】上記第1スイッチおよび誘導素子の接続点
    と、上記整流素子との間に設けられたコンデンサと、当
    該コンデンサと整流素子との間に一端が接続された短絡
    用誘導素子または短絡用抵抗とを備えていることを特徴
    とする請求項6または7記載の同期整流回路。
  9. 【請求項9】上記第2の制御手段は、上記入力端子電圧
    と出力端子電圧と上記第1スイッチが導通しているか否
    かとに基づいて、上記第1電流の変動量に応じた電流を
    生成する電圧電流変換部と、 当該電圧電流変換部の出力に、第1端部が接続された蓄
    積コンデンサと、 当該蓄積コンデンサの第1端部の電圧に基づいて、上記
    第2スイッチを制御する制御部とを備えていることを特
    徴とする請求項5、6、7または8記載の同期整流回
    路。
  10. 【請求項10】上記電圧電流変換部は、上記入力端子電
    圧および出力端子電圧のうち、少なくとも一方に基づい
    て、第1スイッチの導通時における上記第1電流の変動
    量に比例した電流を生成する第1アンプ回路と、 上記第1スイッチの導通時にのみ、上記第1アンプ回路
    の出力電流と同じ量の電流を上記蓄積コンデンサの第1
    端部へ流し込む第1のカレントミラー回路と、 上記入力端子電圧および出力端子電圧のうち、少なくと
    も一方に基づいて、第1スイッチの遮断時における上記
    第1電流の変動量に比例した電流を生成する第2アンプ
    回路と、 上記第1スイッチの遮断時にのみ、上記第2アンプ回路
    の出力電流と同じ量の電流を上記蓄積コンデンサの第1
    端部から引き抜く第2のカレントミラー回路とを備えて
    いることを特徴とする請求項9記載の同期整流回路。
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