JPH11221459A - 内包済み微小カプセルおよびその製造方法 - Google Patents

内包済み微小カプセルおよびその製造方法

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JPH11221459A
JPH11221459A JP10041063A JP4106398A JPH11221459A JP H11221459 A JPH11221459 A JP H11221459A JP 10041063 A JP10041063 A JP 10041063A JP 4106398 A JP4106398 A JP 4106398A JP H11221459 A JPH11221459 A JP H11221459A
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Terumi Yoshihara
照美 吉原
Takashi Adachi
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Hiroshi Shintani
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱的、機械的安定性、耐光性を有すると共
に、生体不活性の内包済み微小カプセルを提供する。 【解決手段】 次の一般構造式RnSi(OH)mY
(4−m−n)〔式中、mは1〜4、nは0〜3、m+
n≦4、Rは有機基、n個のRは同じでもよく、異なっ
ていてもよい。(4−m−n)個のYはアルコキシ基、
水素およびシロキシ基よりなる群から選ばれる少なくと
も1種の基〕で示される化合物(B)群の中から選ばれ
る1種または数種の化合物(B)〔そのうち少なくとも
1種はm=2または3で、かつ連続相または分散相
のうち少なくとも一方に親媒性であるRを少なくとも1
個有する化合物(B)である〕を直接縮重合してオルガ
ノポリシロキサンを壁膜とする内包済み微小カプセルを
製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内包済み微小カプ
セルおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは、特定
のヒドロキシシランを縮重合したオルガノポリシロキサ
ンを壁膜とし、熱的、機械的安定性と耐光性を有すると
共に、生体不活性の内包済み微小カプセルおよびその製
造方法に関する。かかる本発明の内包済み微小カプセル
は、たとえば、医薬品、液晶、化成品、記録材料、化粧
料、香料、酵素、農業、接着剤、繊維、食品、触媒、洗
剤、染料、ペイント、防錆剤、溶剤用などに応用され
る。具体的には、たとえば、アスピリン入りカプセル、
ビタミン入りカプセル、液晶含有カプセル、感圧複写
紙、紫外線吸収剤入りカプセル、染料入りカプセル、顔
料入りカプセル、香料入りカプセル、メントール含有カ
プセル、殺虫剤含有カプセル、接着剤カプセル、リベッ
ト用防錆剤入りカプセルなどに応用されるが、もとよ
り、それらのみに限られるものではない。
【0002】
【従来の技術】オルガノポリシロキサンは、一般的基本
性質として熱的、機械的安定性と耐光性を有すると共に
生体不活性であるなど優れた特性を有することから、広
い分野での応用が期待され、マイクロカプセルやナノカ
プセルなどの微小カプセルの分野においても、ポリシロ
キサンまたはそれに類する材料を壁膜として微小カプセ
ルを製造することが試みられている。
【0003】たとえば、米国特許第3257330号明
細書には、オルガノポリシロキサンをマトリックス(間
充質)とする着色ゲル粒子の製造方法が開示されてい
る。しかしながら、そのマトリックスの出発物質となる
メチルトリエトキシシランなどの疎水性の有機基を有す
るアルコキシシランは、水溶液中で酸性または塩基性で
加水分解した後、中和すると短時間で一挙に重合組成物
が水溶液中から析出するため、水溶液中でアルコキシシ
ランの加水分解物を重合しながら、疎水性の芯物質を取
り込んでマイクロカプセルを製造することは困難であっ
た。
【0004】一方、米国特許第3551346号明細書
では、マイクロカプセルを作製する際に、トリアルコキ
シシランからポリシロキサンを合成しているが、このポ
リシロキサンの役割は単に内相と外相とを隔てるだけで
あって、上記米国特許明細書中でも壁膜としての充分な
強度を有していないことを認めており、そのため、従来
からのコアセルベーション法による壁膜を同時に作製し
て壁膜を二層構造にしたマイクロカプセルの製造方法を
開示している。すなわち、アルコキシシラン加水分解物
の縮重合物単独でマイクロカプセルの壁膜を作製するも
のではない。加えて、この方法で目指した内相と外相と
を隔ててお互いに反応させないというポリシロキサン壁
膜の機能が故に、内相に閉じ込められているトリアルコ
キシシランは一定量以上壁膜構築にあずかることができ
ないと考えられ、アルコキシシランの加水分解物縮重合
物からなる壁膜のマイクロカプセルの製造方法としては
限定的なものであり、汎用性を有するものとは考えられ
ない。
【0005】また、マイクロカプセルの壁膜を構築する
成分として架橋や重合にあずかる官能基を有するポリシ
ロキサンを架橋してマイクロカプセルの壁膜を作製して
いる例としては、特公昭60−25185号公報、特公
平3−10309号公報、特公平5−70496号公
報、特公平7−62109号公報などが挙げられる。し
かしながら、これらはヒドロキシシランの縮重合により
壁膜を作製するものではなく、また架橋や重合にあずか
る官能基を有する特殊なオルガノポリシロキサンを必要
とし、シリコーンメーカー以外で扱うのは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来技
術においては、オルガノポリシロキサンを壁膜とするマ
イクロカプセルを汎用性を有する状態で容易に製造する
ことは困難であった。
【0007】しかしながら、各種ヒドロキシシラン前駆
体からオルガノポリシロキサンの優れた特性をそのまま
生かしたオルガノポリシロキサン壁膜を有するマイクロ
カプセルを直接製造することができれば、コスト的にも
有利であり、また、各種ヒドロキシシラン前駆体を組み
合わせることによって、目的に適したマイクロカプセル
を設計する上で融通性が大きく、緻密なネットワークを
持つ壁膜ないし適度な物質透過性を持つ壁膜、あるいは
高強度な壁膜ないし適度に軟らかい壁膜まで種々製造で
き、従来の材質からなる壁膜を有するマイクロカプセル
では得られなかった特性を持つマイクロカプセルが得ら
れるものと期待され、非常に有用である。しかし、低分
子のヒドロキシシランのみでは重合速度や溶解性などの
条件を制御しながらマイクロカプセルを製造することが
困難であった。
【0008】従って、本発明は、オルガノポリシロキサ
ンを壁膜とする微小カプセルを種々条件を検討しながら
一般に流通している珪素化合物から容易に、かつ生産性
高く製造することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため、オルガノポリシロキサンを壁膜とする
微小カプセルを直接製造する方法について鋭意研究を重
ねた結果、次の一般構造式(I) RnSiX(4−n) (I) 〔式中、nは0から3の整数で、Rは炭素原子が珪素原
子に直接結合する有機基であり、n個のRは同じでもよ
く、異なっていてもよい。(4−n)個のXは水酸基、
水素、アルコキシ基、ハロゲン基、カルボキシ基、アミ
ノ基およびシロキシ基よりなる群から選ばれる少なくと
も1種の基である〕で示される化合物(A)群の中から
選ばれる1種または数種の化合物(A)の加水分解物で
あって、次の一般構造式(II) RnSi(OH)mY(4−m−n) (II) 〔式中、mは1から4の整数、nは0から3の整数、m
+n≦4で、Rは炭素原子が珪素原子に直接結合する有
機基であり、n個のRは同じでもよく、異なっていても
よい。(4−m−n)個のYはアルコキシ基、水素およ
びシロキシ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の
基である〕で示される化合物(B)群の中から選ばれる
1種または数種の化合物(B)を用いる場合において、
そのうちの少なくとも1種はm=2または3であり、
かつ連続相または分散相のうち少なくとも一方に親媒
性であるRを少なくとも1個有する化合物(B)を直接
縮重合して壁膜となるオルガノポリシロキサンを合成す
るときは、上記課題を解決できることを見出し、本発明
を完成するにいたった。なお、上記一般構造式(I)お
よび(II)中のn、(4−n)、m、(4−m−n)は
いずれも下付文字である。
【0010】すなわち、本発明によれば、いわゆるヒド
ロキシシランに属する化合物(B)から微小カプセルの
壁膜となるオルガノポリシロキサンを直接合成すること
ができ、しかも、上記オルガノポリシロキサンは、それ
単独で内包済み微小カプセルに必要とされる壁膜を構成
することができ、従来のようにコアセルベーション法に
よる壁膜の作製を要しない。
【0011】ただし、本発明において、上記化合物
(B)は水酸基が珪素原子に結合しているものであれば
よく、たとえば化合物(A)に相当するメチルトリエト
キシシランやテトラエトキシシランの部分加水分解物で
エトキシ基が珪素原子に結合して残っているようなもの
も本発明の化合物(B)に含まれる。
【0012】また、本発明者らは、上記のごとくオルガ
ノポリシロキサンを壁膜とする内包済み微小カプセルを
直接製造する場合に、化合物(B)群の中から選ばれる
1種または数種の化合物(B)を用いる場合において、
連続相または分散相に水性溶媒を用いる場合は、m=
2または3であり、かつ親水性のRを少なくとも1個
有する化合物(B)を少なくとも1種含有することが好
ましいことを見出した。
【0013】さらに、本発明者らは、上記のごとくオル
ガノポリシロキサンを壁膜とする内包済み微小カプセル
を直接製造する場合に、化合物(B)群の中から選ばれ
る1種または数種の化合物(B)を用いる場合におい
て、連続相または分散相に水性溶媒を用いる場合は、
m=2または3であり、かつ少なくとも1個のRが数
平均分子量100〜50000のポリペプタイドまたは
数平均重合度1〜2000のポリオキシエチレンを有す
る化合物(B)を少なくとも1種含有することが好まし
いことを見出した。
【0014】また、本発明者らは、内包済み微小カプセ
ルの壁膜を構築する珪素化合物を加える前の状態で、粘
度が10〜2000mPa・sである媒質中で内包済み
微小カプセルを製造することが好ましいことを見出し
た。
【0015】さらに、本発明者らは、内包済み微小カプ
セルの壁膜を構築する珪素化合物を加える前の状態で、
粘度が10〜2000mPa・sであるゼラチン水溶液
中で内包済み微小カプセルを製造することが好ましいこ
とを見出した。
【0016】また、本発明者らは、オルガノポリシロキ
サンを壁膜とする内包済み微小カプセルの製造方法にお
いて、水性溶媒中で化合物(B)の縮重合によりプレポ
リマーを調製する工程を経ることが好ましく、その後、
水性溶媒中におけるこのプレポリマーと疎水性物質およ
び/または非水性溶媒とを混合することによりエマルジ
ョンを調製する工程を経た後、時間経過または加熱によ
る脱水や、反応系外への脱水などにより縮重合反応をさ
らに進行させることによるオルガノポリシロキサンを壁
膜とする内包済み微小カプセルの製造方法を見出した。
【0017】さらに、本発明者らは、上記内包済み微小
カプセルの製造方法において、疎水性物質、親水性物
質、それらの混合物およびフルオロカーボン性物質より
なる群から選ばれる少なくとも1種を内包する微小カプ
セルの製造方法を見出した。
【0018】本発明において、微小カプセルとは、マイ
クロカプセルやナノカプセルなどのカプセルをいい、内
包済み微小カプセルとは、壁膜で形成される空間の内部
に芯物質を内包した微小カプセルをいう。また、本発明
において、上記化合物(B)の縮合とは、SiOH+S
iL→SiOSi+HLをいい、化合物(B)が上記縮
合反応により重合して壁膜となるオルガノポリシロキサ
ンが生成する。上記反応式中のLは水酸基、アルコキシ
基、ハロゲン基、カルボキシ基、アミノ基などの脱離基
である。
【0019】本発明において、オルガノポリシロキサン
とは、1種または数種の化合物(B)で、そのうち少な
くとも1種はm=2または3である化合物(B)を縮重
合した縮重合物をいい、その縮重合物の珪素原子上にア
ルコキシ基や水酸基などが部分的に残っていてもよい
し、さらに、m=1である化合物(B)と縮重合するな
どしたあとで、その縮重合物の珪素原子上にアルコキシ
基や水酸基などが部分的に残っていてもよいし、アルコ
キシ基または水酸基がまったくなくてもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法の概略をプロセ
ス順に示すと、「化合物(A)の加水分解−中和による
縮重合−芯物質および/または第2の液相との混合・乳
化−硬化処理」になり、さらに、必要に応じ、「硬化処
理」の前に「表面処理用の化合物(A)による処理」が
追加される。
【0021】本発明においては、化合物(A)の加水分
解にはじまりこれと疎水性物質および/または非水性溶
媒とを混合する前の中和による縮重合によりプレポリマ
ーを調製する工程に至るまでにおいて、化合物(A)の
加水分解による化合物(B)の生成と中和による縮重合
とにより、あらかじめプレポリマーを調製することが好
ましい。この目的は、この水性溶媒相とは別の液相を形
成するのを防ぐことと、疎水性物質および/または非水
性溶媒との混合による第2の液相を形成する前にある程
度重合を行うことによりこのプレポリマー上で異なるモ
ノマー同士が不均化して分布することをできるだけ防ぐ
ためである。すなわち、最初から2相以上の液相が存在
してその間でモノマーの分配が行われ異なる組成のポリ
マーが生成するのを防ぐためである。そのため、化合物
(A)を加水分解して生成する化合物(B)群の中から
選ばれる1種または数種の化合物(B)を用いる場合に
おいて、m=2または3であり、かつ連続相または
分散相のうち少なくとも一方に親媒性であるRを少なく
とも1個有する、特に、親水性のRを少なくとも1個有
する、さらに特に、少なくとも1個のRが数平均分子量
100〜50000のポリペプタイドまたは数平均重合
度1〜2000のポリオキシエチレンを有する化合物
(B)を少なくとも1種用いる方法はプレポリマーを安
定して存在させるための好ましい一つの方法である。ま
た、ゼラチン水溶液などの粘性のある溶液中で化合物
(A)を加水分解してプレポリマーを調製する方法は、
プレポリマーが不安定ですぐに析出しやすい場合に、プ
レポリマーを安定して存在させるための別の好ましい一
つの方法である。その後、この水性溶媒中におけるプレ
ポリマーと疎水性物質および/または非水性溶媒とを混
合してエマルジョンを調製することが好ましい。この目
的は、第2の液相を加えたときに、あらかじめ調製した
プレポリマーをその界面に局在させることによりプレポ
リマー同士の縮合を引き起こすことを目指すためであ
る。
【0022】また、本発明におけるプレポリマーおよび
壁膜を構成するオルガノポリシロキサンの組成式を示す
と、たとえば、次の一般式 (III) の通りである。 (R3 SiO1/2 )h(R2 SiO)i(RSiO3/2 )j(SiO2 )k…… … (III)
【0023】上記一般式(III )において、Rは炭素原
子が上記一般式 (III)中の珪素原子に直接結合する有機
基であり、1個の珪素原子上に2個以上のRが結合する
場合、Rは互いに異なっていてもよいし、また同じでも
よい。ただし、化合物(A)を加水分解して得られる化
合物(B)の加水分解の程度や、化合物(B)の縮合反
応の程度により、すべての珪素原子が、その水酸基やア
ルコキシ基などの脱離基が脱離しながら縮合してシロキ
サン結合の形成にあずかるとは限らないので、上記一般
式(III )において、全部ではなく、一部の酸素につい
て、酸素1個につき(R’O1/2 )p(HO1/2 )qH
r(O1/2 )(−r)………(IV)〔式(IV)中R’は
アルキル基で、下付文字p、q、rは0または正の整数
でかつp+q+r=2である。また、上記一般式(III
)の酸素の1個ごとにp、q、rの値が異なっていて
もよい。(−r)とはr個の(O1/2 )を組成式から減
じることを意味する〕が付加した形になる場合がある。
また、下付文字h、i、jの直前の括弧(カッコ)内に
示す組成式成分が、それぞれすべて同じであってもよい
し、異なるものであってもよい。すなわち、(R3 Si
1/2 )の部分にはRが3個あるが、その3個のRはす
べて同じものであってもよいし、また異なるものであっ
てもよく、h個の(R3 SiO1/2 )はすべて同じであ
ってもよいし、必ずしも同じである必要はない。また、
(R2 SiO)の部分にはRが2個あるが、その2個の
Rはすべて同じものであってもよいし、また異なるもの
であってもよい。i個の(R2 SiO)はすべて同じで
あってもよいし、必ずしも同じである必要はない。さら
に、j個の(RSiO3/2 )はすべて同じであってもよ
いし、必ずしも同じである必要はない。たとえば、メチ
ルトリエトキシシラン由来のものと、フェニルトリエト
キシシラン由来のものとからなるポリマーの場合であっ
ても、これらの有機1置換の組成部分についてはRSi
3/2 ですべて意味するものとする。ここで、プレポリ
マーと壁膜を構成するオルガノポリシロキサンの関係に
ついて触れると、プレポリマー上のSiOHが別のプレ
ポリマー上のSiL(Lは、水酸基、アルコキシ基、ハ
ロゲン基、カルボキシ基、アミノ基などの脱離基)とS
iOH+SiL→SiOSiのような縮合反応を起こ
し、さらに大きなポリマーへと成長し壁膜を構成するオ
ルガノポリシロキサンとなるが、壁膜を構成するオルガ
ノポリシロキサンの組成式としてはプレポリマーと同様
に上記一般式(III )である。また、h、i、j、kの
範囲は上記一般式 (III)が壁膜を構成するオルガノポリ
シロキサンを表す場合、微小カプセルを形成するのに充
分な値である。上記一般式 (III)がプレポリマーを表す
場合、プレポリマーは遷移的なものであるので、経時的
に変化するが、h、i、j、kの範囲は上記一般式 (II
I)が壁膜を構成するオルガノポリシロキサンを表す場合
以下の0または正の整数である。また、(R’O1/2
p(HO1/2 )qHr(O1/2 )(−r)の付加モル数
については、化合物(A)を加水分解して得られる化合
物(B)の加水分解の程度や、化合物(B)の縮合反応
の程度に依存し、プレポリマーや壁膜を構成するオルガ
ノポリシロキサンを充分に形成する範囲であればよい。
【0024】本発明の製造方法において、化合物(A)
を1種または数種組み合わせて使用するのが好ましい。
さらに、この化合物(A)の選択と、および複数の種類
の化合物(A)を用いる場合にその比率が重要である。
化合物(A)は縮重合反応に際しては化合物(B)とし
て反応する。
【0025】化合物(A)を使用する場合、親水基を有
する化合物(A)、疎水基を有する化合物(A)、親フ
ルオロカーボン性基を有する化合物(A)、テトラアル
コキシシラン、両親媒性基を有する化合物(A)、界面
活性基を有する化合物(A)よりなる群から選ばれる化
合物(A)をかかるプレポリマーが連続相または分散相
のうち少なくとも一方に親媒性になるように1種または
数種組み合せて使用するのが好ましい。ただし、ここで
いう両親媒性とは、互いに混じり合わない2種の媒質の
両方に対して親和性を有することをいう。さらに、ここ
でいう両親媒性基とは、一つの基が、たとえば、親水基
と疎水基のような互いに異なる親媒性基を両有するよう
な基である。
【0026】つまり、縮重合反応に使用される化合物
(A)は、前記のプレポリマーが連続相または分散相の
うち少なくとも一方に親媒性である物質になるような化
合物(A)の組み合せであることが好ましい。
【0027】親水基を有する化合物(A)としては、化
合物(A)を示す一般構造式(I)におけるRが親水基
を有することが好ましく、親水基を有するRが一つの珪
素原子上に一つ以上あることが好ましい。また、他の親
媒性の置換基である疎水基や親フルオロカーボン性基が
親水基を有するRに結合していてもよい。ただし、親水
基を有する化合物(A)と水性溶媒との組み合わせにつ
いては、化合物(A)を酸またはアルカリで加水分解し
た後に生成する化合物(B)や、中和したときに他の親
媒性のRを有する化合物(A)由来の化合物(B)と縮
合して形成されるプレポリマーが安定に分散するような
親水基を有する化合物(A)の選択が好ましい。
【0028】親水基としては、たとえば、ポリオキシエ
チレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンポ
リオキシプロピレンコポリマーのようなポリエーテル
類、プルラン、ソルビトール、キチン、キトサンのよう
な単糖から多糖に至る糖類またはアミノ糖類、タンパク
質、抗体、加水分解タンパク、ポリアミノ酸、カルボン
酸またはその塩・誘導体、ポリカルボン酸またはその塩
・誘導体、硫酸またはその塩・誘導体、燐酸またはその
塩・誘導体、スルホン酸またはその塩・誘導体、ホスホ
ン酸またはその塩・誘導体、第4級アンモニウム基、ア
ミンまたはその塩、ポリアミンまたはその塩などが挙げ
られ、これらのいずれかあるいは複数の官能基がRに結
合していることが好ましい。ただし、親水基としては上
記例示のものに限られることはない。上記例示の親水基
と結合するRとしては、たとえば、−CH2 −、−(C
2 2 −、−(CH2 3 −、−(CH2 3 OCH
2 CH(OH)CH2 −、−(CH2 3 NHCO−な
どがあり、この部分構造式の左側に珪素原子が結合し、
右側に上記親水基が結合する。
【0029】この親水基を有する化合物(A)の具体例
としては、親水基としてポリオキシエチレン、ポリオキ
シプロピレン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレ
ンコポリマーのようなポリエーテル類を有する信越化学
工業(株)製のポリオキシエチレン変性シリコーン〔た
とえば、KF−354(商品名)〕、ポリエトキシプロ
ピルトリメトキシシラン〔たとえば、KBM−641
(商品名)〕などがあり、さらに、γ−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシランまたはγ−グリシドキシプロ
ピルメチルジエトキシシランと前記のような親水基を有
する親水性物質とから誘導されるN−〔2−ヒドロキシ
−3−(3’−トリヒドロキシシリル)プロポキシ〕プ
ロピル加水分解タンパク、N−〔2−ヒドロキシ−3−
(3’−ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ〕プロ
ピル加水分解タンパク(特開平8−67608号公報)
などがあり、さらに、β−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン、γ−〔N−(β−
アミノエチル)アミノ〕プロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−〔N−(β−アミノエチル)アミノ〕プロピル
トリメトキシシラン、γ−〔N−(β−アミノエチル)
アミノ〕プロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、γ−(N−フェニルアミノ)プロピルトリ
メトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
イソシアネートプロピルトリエトキシシランのようなシ
ランカップリング剤と前記のような親水基を有する親水
性物質とから誘導される化合物(A)などがある。ただ
し、親水基を有する化合物(A)は上記例示のものに限
られることはない。
【0030】親水基を有する化合物(A)は、上記例示
のものを1種類または複数の種類を使用する。
【0031】前記のポリオキシエチレン、ポリオキシプ
ロピレン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコ
ポリマーのようなポリエーテル類については、オキシエ
チレンとオキシプロピレンの数平均重合度の合計が1〜
2000、特に4〜800が好ましい。
【0032】また、前記の加水分解タンパクとしては、
コラーゲン、エラスチン、ケラチン、フィブロイン(シ
ルク)、セリシン(シルク)、カゼイン、コンキオリン
のような動物由来タンパク質、小麦タンパク、大豆タン
パク、ゴマタンパク、ツェイン(トウモロコシタンパ
ク)のような植物由来タンパク質、酵母タンパクのよう
な微生物由来タンパク質の加水分解物が好ましいが、こ
れに限られるものではない。さらに、加水分解タンパク
の数平均分子量は、100〜50000、特に200〜
5000が好ましい。
【0033】疎水基を有する化合物(A)としては、R
が疎水基を有することが好ましく、疎水基を有するRが
一つの珪素原子上に一つ以上あることが好ましい。ま
た、親フルオロカーボン性基が疎水基を有するRに結合
していてもよい。
【0034】疎水基としては、たとえば、直鎖炭化水
素、分岐炭化水素、不飽和炭化水素、芳香族、エステル
などが挙げられ、これらのいずれか、または複数の官能
基がRに結合していることが好ましい。ただし、疎水基
としては上記例示のものに限られることはない。
【0035】この疎水基を有する化合物(A)の具体例
としては、たとえば、メチルジエトキシシランから、メ
チルジクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメ
チルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジ
メチルジクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラ
ン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキ
シシラン、ジフェニルジクロロシラン、ヘキシルトリメ
トキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルト
リメトキシシラン、ステアロキシプロピルトリメトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルトリス−(β−メトキシエトキシ)シ
ラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、オクタデシルジメチル−(3−トリメトキシシリル
プロピル)アンモニウムクロライド、ジメチルヘキサデ
シル−(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウ
ムクロライドに至るもの、さらに、ビニルトリメトキシ
シランから、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス
−(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、γ−〔N−(β−アミノエチル)アミノ〕プ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−〔N−(β−アミ
ノエチル)アミノ〕プロピルトリメトキシシラン、γ−
〔N−(β−アミノエチル)アミノ〕プロピルトリエト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−フ
ェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルト
リエトキシシランに至るようなシランカップリング剤と
前記のような疎水基を有する疎水性物質とから誘導され
る化合物(A)がある。さらに、化合物(A)を示す一
般構造式(I)におけるXがシロキシ基である具体例と
しては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジハイ
ドロジェンヘキサメチルシクロテトラシロキサン、トリ
ハイドロジェンペンタメチルシクロテトラシロキサンな
どがある。ただし、疎水基を有する化合物(A)は上記
例示のものに限られることはない。
【0036】疎水基を有する化合物(A)は、上記例示
のものを1種類または複数の種類を使用する。
【0037】親フルオロカーボン性基を有する化合物
(A)としては、化合物(A)を示す一般構造式(I)
におけるRが親フルオロカーボン性基を有することが好
ましく、親フルオロカーボン性基を有するRが一つの珪
素原子上に一つ以上あることが好ましい。
【0038】親フルオロカーボン性基を有する化合物
(A)としては、たとえば、C8 17CH2 CH2 Si
(OCH3 3 、CF3 CH2 CH2 Si(OCH3
3 などがある。さらに、ビニルトリメトキシシランか
ら、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−(β−
メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、
γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジエトキシシラン、さらに、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、γ−〔N−(β−アミノエチル)アミノ〕プ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−〔N−(β−アミ
ノエチル)アミノ〕プロピルトリメトキシシラン、γ−
〔N−(β−アミノエチル)アミノ〕プロピルトリエト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−フ
ェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルト
リエトキシシランに及ぶシランカップリング剤と親フル
オロカーボン性物質とから誘導される化合物(A)があ
る。ただし、親フルオロカーボン性基を有する化合物
(A)は上記例示のものに限られることはない。
【0039】親フルオロカーボン性基を有する化合物
(A)は、上記例示のものを1種類または複数の種類を
使用する。
【0040】この親水基と疎水基の両方の基を有する化
合物(A)の具体例としては、親水基を有する化合物
(A)として、すでに上記に例示しているが、たとえ
ば、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシ
メチルシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解タンパク
などがある。
【0041】水または親水性の連続相に分散する内包済
み微小カプセルの場合、親水基を有する化合物(A)の
親水基がポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマーの
ようなポリエーテル類の場合、オキシエチレンとオキシ
プロピレンとの数平均重合度の合計は10〜1000、
特に20〜400が好ましく、加水分解タンパクの場
合、その数平均分子量は200〜50000、特に40
0〜5000が好ましく、親水基を有する化合物(A)
(親水基と疎水基が一つのRに存在する場合を含む)と
疎水基を有する化合物(A)とのモノマー換算のモル比
はモノマーとして1対0から1対1000、特に1対2
から1対200が好ましい。
【0042】疎水基を有する化合物(A)としてRの1
個だけがメチル基であるモノメチル型の化合物(A)を
用いる場合は、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ
メトキシシランおよびメチルトリクロロシランよりなる
群から選ばれる少なくとも1種、または、これとたとえ
ばジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジクロロシラン、オクタメチルシクロテト
ラシロキサン、フェニトリエトキシシラン、ヘキシルト
リメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシ
ルトリメトキシシランおよびステアロキシプロピルトリ
メトキシシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種
とを組み合わせて使用するが、モノメチル型の化合物
(A)とそのほかの疎水基を有するものとのモノマー換
算のモル比は、100対0から0対100、特に100
対3から100対80が好ましい。ただし、モノメチル
型の化合物(A)やそのほかの疎水基を有するものは上
記例示に限られることはない。
【0043】疎水性の連続相または非水性の連続相に分
散する内包済み微小カプセルの場合、親水基を有する化
合物(A)の親水基がポリオキシエチレン、ポリオキシ
プロピレン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
コポリマーのようなポリエーテル類の場合、オキシエチ
レンとオキシプロピレンとの重合度の合計は3〜20、
特に5〜10が好ましく、加水分解タンパクの場合、そ
の数平均分子量は100〜2000、特に200〜10
00が好ましく、親水基を有する化合物(A)と疎水基
を有する化合物(A)のモノマー換算のモル比は1対5
から1対1000、特に1対10から1対200が好ま
しい。疎水基を有する化合物(A)としてメチル基を珪
素原子上に1個有するモノメチル型の化合物(A)を用
いる場合は、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメ
トキシシランおよびメチルトリクロロシランよりなる群
から選ばれる少なくとも1種、または、これとたとえば
ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジクロロシラン、オクタメチルシクロテト
ラシロキサン、フェニトリエトキシシラン、ヘキシルト
リメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシ
ルトリメトキシシランおよびステアロキシプロピルトリ
メキシシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種と
を組み合わせて使用するが、モノメチル型の化合物
(A)とそのほかの疎水基を有するものとのモノマー換
算のモル比は、0対100から100対100、特に1
0対100から80対100が好ましい。ただし、モノ
メチル型の化合物(A)やそのほかの疎水基を有するも
のは上記例示に限られることはない。
【0044】つぎに、化合物(A)の加水分解について
述べる。
【0045】化合物(A)の加水分解の媒質としては、
通常、水を使用するが、そのほか、水に可溶の少量の有
機溶媒、塩類、尿素のようなタンパク変性剤などが水に
添加されていてもよい。これらの添加剤を加えること
は、化合物(A)の加水分解後の中和や第2の液相との
混合による乳化を0℃以下の温度で行う場合などに有効
であり、一つの好ましい方法である。さらに、化合物
(A)の加水分解から化合物(B)を経てプレポリマー
を生成するまでの過程で、縮合反応が速くなりすぎない
ように反応速度を制御して、プレポリマーの不溶化に伴
う析出を防ぎ、溶液を安定化するために、内包済み微小
カプセルの壁膜を構築する珪素化合物を加える前の状態
で、粘度が10〜2000mPa・sである媒質を用い
ることが一つの好ましい方法であり、粘度が10〜20
00mPa・sであるゼラチン水溶液を用いることが一
つの好ましい方法である。化合物(A)の加水分解は充
分に攪拌しながら−5℃〜90℃、特に5℃〜75℃で
行うのが好ましい。化合物(A)の加水分解は酸性側で
も塩基性側でもよいが、どちら側で行うかは化合物
(A)の性質に依存する。
【0046】上記の粘度が10〜2000mPa・sで
ある媒質を調製するための増粘物質としては、たとえ
ば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸アミド、カ
ルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチ
ルデキストラン、ヒドロキシエチルセルロース、カラギ
ーナン、キチン、キトサン、ポリペプタイド、ゼラチ
ン、セリシンなどがある。
【0047】化合物(A)の加水分解を酸性側で行う場
合、pH1〜5、特にpH2〜4で行うのが好ましい。
化合物(A)の組み合わせや濃度にもよるが、加水分解
時の酸性が強すぎると、後で芯物質を充分に取り込めな
かったり、ガラス状物質が一部生成してくることがあ
る。使用する酸としては、たとえば、塩酸、硫酸、燐酸
などの無機酸のほか、酢酸などの有機酸を用いてもよ
い。特に、たとえばコラーゲン、エラスチン、ケラチ
ン、フィブロイン(シルク)、セリシン(シルク)、カ
ゼイン、コンキオリンのような動物由来タンパク質の加
水分解物が親水基であるような化合物(A)の加水分解
物を得ようとする場合、化合物(A)の加水分解を酸性
側で行う方が最終的に内包済み微小カプセルを得る際に
好ましい結果が得られる。
【0048】化合物(A)の加水分解を塩基性側で行う
場合、pH7.5〜11.5、特にpH8〜10で行う
のが好ましい。化合物(A)の組み合わせや濃度にもよ
るが、加水分解の塩基性が強すぎると、後で芯物質を充
分に取り込めなかったり、ガラス状物質が一部生成して
くることがある。使用するアルカリとしては、たとえ
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ
る。特に、たとえば小麦タンパク、大豆タンパク、ゴマ
タンパクのような植物由来タンパク質の加水分解物が親
水基であるような化合物(A)の加水分解物を得ようと
する場合、化合物(A)の加水分解を塩基性側で行う方
が最終的に内包済み微小カプセルを得る際に好ましい結
果が得られる。
【0049】この化合物(A)の加水分解に引き続き中
和を行う。
【0050】中和は、充分に攪拌しながら−30℃〜8
0℃、特に−5℃〜55℃で行うのが好ましい。中和に
使用する酸またはアルカリは前記の加水分解のところで
例示したものを使用するのが好ましい。
【0051】つぎに、芯物質および/または第2の液相
との混合・乳化について述べる。この芯物質および/ま
たは第2の液相との混合・乳化とは、たとえば、水また
は親水性の分散媒に分散する内包済み微小カプセルの場
合、水性の分散媒中でプレポリマーを調製し、液状の芯
物質(第2の液相)だけかまたは芯物質とその溶媒(第
2の液相)を加える。また、疎水性の分散媒または非水
性の分散媒に分散する内包済み微小カプセルの場合、芯
物質がたとえば水性溶媒に溶解性または親水性のとき、
プレポリマーの水性溶媒分散液にそのまま加えるかまた
は水性溶媒に溶かして加え、別個に水性溶媒と混和しな
い第2の液相で連続相となる溶媒と混じて反転乳化させ
ることを意味する。この場合、反転乳化した後、芯物質
を加えてもよい。本発明では、中性で芯物質を入れるこ
とができるので、中性以外では不安定な物質を内包する
微小カプセルを製造することができる。芯物質および/
または第2の液相との混合・乳化は−30℃〜95℃、
特に−5℃〜60℃で行うのが好ましい。内包する芯物
質を例示すると、以下の通りである。
【0052】たとえば、「水」、「高級脂肪酸類」、
「炭化水素類」、「有機溶媒」、「エステル類」、「フ
ェノール類」、「シリコーン類」、「シラン類」、「金
属アルコキサイド」、「高級アルコール類」、「動植物
油」、「抽出成分類」、「電子供与性呈色性有機化合
物」、「色素類」、「紫外線吸収剤」、「ビタミン
類」、「薬効成分」、「香気成分」、「塩類」、「アミ
ノ酸、タンパク、糖類など」、「酵素」、「フルオロカ
ーボン性物質」などが挙げられ、さらに、具体的に例示
すると、以下の通りである。
【0053】「高級脂肪酸類」としては、たとえば、カ
プリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリ
ン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、イソステアリ
ン酸、リノール酸、オレイン酸、リノレン酸、アラキド
ン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸など
が挙げられる。
【0054】「炭化水素類」としては、たとえば、流動
パラフィン、イソパラフィン、オゾケライト、プリスタ
ン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワック
スなどが挙げられる。
【0055】「有機溶媒」としては、たとえば、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、クロロベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙
げられる。
【0056】「エステル類」としては、たとえば、ミリ
スチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン
酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステ
アリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミ
リスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキ
シルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸ラノリ
ン、イソステアリン酸メチル、ステアリン酸イソセチ
ル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−
2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエ
リスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸−
n−アルキルグリコール、ジカプリン酸プロピレングリ
コール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリカ
プリン酸グリセリル、ネオペンタン酸イソステアリル、
リンゴ酸ジイソステアリル、モノステアリン酸グリセリ
ル、ジステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウン
デカン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリ
メチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロ
ールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチル
グリコール、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリ
スリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、
2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸−2−エチ
ルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イ
ソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸
−2−エチルヘキシル、トリミリスチン酸グリセリル、
トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリ
セリル、ヒマシ油脂肪酸メチル、オレイン酸オレイル、
酢酸グリセリル、パルミチン酸−2−ヘプチルウンデシ
ル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチ
ル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチル
ドデシルエステル、アジピン酸−2−ヘプチルウンデシ
ル、ラウリン酸エチル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキ
シル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、パルミチン
酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデ
シル、コハク酸−2−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイ
ソプロピルなどが挙げられる。
【0057】「フェノール類」としては、たとえば、t
−ブチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェ
ノール、α−ナフトール、β−ナフトール、ハイドロキ
ノンモノメチルエーテル、p−クロルフェノール、p−
プロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−フェ
ニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−
ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プ
ロピル、3−イソプロピルカテコール、p−t−ブチル
カテコール、4,4’−メチレンジフェノール、ビスフ
ェノールA、1,2−ジヒドロキシナフタレン、クロル
カテコール、ブロモカテコール、2,4−ジヒドロキシ
ベンゾフェノン、フェノールフタレイン、没食子酸メチ
ル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸ヘキ
シル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、没食子酸
セチル、没食子酸ステアリル、タンニン酸、フェノール
樹脂、サリチル酸亜鉛、t−ブチルサリチル酸亜鉛など
が挙げられる。
【0058】「シリコーン類」としては、たとえば、ジ
メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサ
ン、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサ
ン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルメトキシシロ
キサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルエトキシ
シロキサン共重合体、トリメチルシロキシケイ酸、メチ
ルシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシ
ロキサン、高重合メチルポリシロキサン、架橋型メチル
ポリシロキサンなどが挙げられる。
【0059】「シラン類」としては、たとえば、メチル
トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキ
シシラン、デシルトリメトキシシラン、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。
【0060】「金属アルコキサイド」としては、たとえ
ば、硼酸トリメチル、硼酸トリエチル、チタン酸テトラ
エチル、チタン酸テトライソプロピルなどが挙げられ
る。
【0061】「高級アルコール類」としては、たとえ
ば、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリス
チルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコ
ール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレ
イルアルコール、セトステアリルアルコール、モノステ
アリルグリセリルエーテル、2−デシルテトラデカノー
ル、2−ヘキシルデカノール、2−ヘキシルドデカノー
ル、2−オクチルドデカノール、2−ヘプチルウンデカ
ノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィト
ステロール、イソステアリルアルコールなどが挙げられ
る。
【0062】「動植物油」としては、たとえば、アポガ
ド油、ツバキ油、マカデミヤナッツ油、トウモロコシ
油、オリーブ油、月見草油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ
油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ
油、硬化ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、
硬化綿実油、大豆油、硬化大豆油、落花生油、茶実油、
カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、シナモ
ン油、ホホバ油、胚芽油、アーモンド油、カカオ油、ヤ
シ油、硬化ヤシ油、馬脂、タートル油、ミンク油、スク
ワラン、スクワレン、オレンジラッフィー油、牛脂、硬
化牛脂、牛骨脂、牛脚脂、羊脂、豚脂、鯨脂、硬化鯨
脂、魚油、硬化魚油、ラノリン、ラノリンアルコール、
水添ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、ラノリン
脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸コレステリル、還
元ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエ
ーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールアセテ
ート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、ポリオ
キシエチレン水素添加ラノリンアルコールエーテル、カ
ルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバロウ、硬質ラ
ノリン、モクロウ、サトウキビロウ、綿ロウ、ベイベリ
ーロウ、イボタロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、セラッ
クロウ、ホホバロウ、密ロウ、鯨ロウ、ホホバアルコー
ル、アビエチン酸、水添アビエチン酸などが挙げられ
る。
【0063】「電子供与性呈色性有機化合物」として
は、たとえば、ジアリールフタリド類、ポリアリールカ
ルビノール類、ロイコオーラミン類、アシルオーラミン
類、アリールオーラミン類、ローダミン−β−ラクタム
類、インドリン類、スピロピラン類、フルオラン類など
が挙げられ、その具体例としては、たとえば、クリスタ
ルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクト
ン、ミヒラーヒドロール、クリスタルバイオレットカル
ビノール、マラカイトグリーンカルビノール、N−
(2,3−ジクロロフェニル)ロイコオーラミン、N−
ベンゾイルオーラミン、N−アセチルオーラミン、N−
フェニルオーラミン、ローダミン−β−ラクタム、2−
(フェニルイミノエタンジリデン)−3,3−ジメチル
インドリン、N−3,3−トリメチルインドリノベンズ
スピロラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ク
ロルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフ
ルオラン、3−ジエチルアモノ−6−ベンジルオキシフ
ルオラン、1,2−ベンズ−6−ジエチルアミノフルオ
ランなどが挙げられる。
【0064】「色素類」としては、たとえば、二酸化チ
タン、酸化亜鉛などの無色白色顔料、酸化鉄(ベンガ
ラ)、チタン酸鉄などの無機赤色系顔料、γ−酸化鉄な
どの無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土などの無機黄色系
顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタンな
どの無機黒色系顔料、マンゴバイオレット、コバルトバ
イオレットなどの無機紫色系顔料、酸化クロム、水酸化
クロム、チタン酸コバルトなどの無機緑色系顔料、群
青、紺青などの無機青色系顔料、赤色201号、赤色2
02号、赤色204号、赤色205号、赤色218号、
赤色220号、赤色225号、赤色226号、赤色22
8号、赤色405号、橙色201号、橙色203号、橙
色204号、黄色401号、緑色202号、青色404
号などの有機染料、赤色3号、赤色104号、赤色10
6号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤
色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色
202号、黄色203号、緑色3号、紫色201号、青
色11号などのジルコニウム、バリウムまたはアルミニ
ウムレーキなどの有機顔料、クロロフィル、β−カロチ
ンなどの天然色素、雲母チタン、ベンガラ処理雲母チタ
ン、黄酸化鉄処理雲母チタン、黒酸化鉄処理雲母チタ
ン、酸化鉄・黄酸化鉄処理雲母チタン、紺青処理雲母チ
タン、カルミン処理雲母チタン、酸化クロム処理雲母チ
タン、カーボンブラック処理雲母チタンなど。また、タ
ルク、カオリン、雲母、キン雲母、セリサイト、白雲
母、合成雲母、紅雲母、リチア雲母、バーミキュライト
など。フッ化アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラ
ミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミ
チン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)、
窒化ホウ素、シリカーアルミナ、シリカーマグネシア、
ベントナイト、フラーズアース、サンセイ白土、活性白
土、モンモリロナイト、アタパルガイドなどの無機粉
末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレ
ン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉
末、スチレン・アクリル酸共重合体樹脂粉末、ベンゾグ
アナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロ
ース粉末などの有機粉末などが挙げられる。
【0065】「紫外線吸収剤」としては、たとえば、フ
ェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレ
ート、p−オクチルフェニルサリシレートなどのサリチ
ル酸系の紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノ
ン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベ
ンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−
スルホベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸
収剤またはその誘導体、2−(2’−ヒドロキシ−5’
−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリア
ゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t
−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒ
ドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5
−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ
−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリア
ゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3”,
4”,5”,6”−デトラヒドロフタルイミドメチル)
−5’−メチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ
−3’−ウンデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−トリデシ
ル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
〔2’−ヒドロキシ−4’−(2”−エチルヘキシル)
オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒ
ドロキシ−4’−(2”−エチルオクチル)オキシフェ
ニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−
4’−(2”−プロピルオクチル)オキシフェニル〕ベ
ンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−4’−
(2”−プロピルヘプチル)オキシフェニル〕ベンゾト
リアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−4’−(2”−
プロピルヘキシル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾー
ル、2−〔2’−ヒドロキシ−4’−(1”−エチルヘ
キシル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−
〔2’−ヒドロキシ−4’−(1”−エチルヘプチル)
オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒ
ドロキシ−4’−(1”−エチルオクチル)オキシフェ
ニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−
4’−(1”−プロピルオクチル)オキシフェニル〕ベ
ンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−4’−
(1”−プロピルヘプチル)オキシフェニル〕ベンゾト
リアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−4’−(1”−
プロピルヘキシル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾー
ル、メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベン
ゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニ
ル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量
約300)との縮合物、パラメトキシケイヒ酸−2−エ
チルヘキシルのようなパラメトキシケイヒ酸の誘導体ま
たはそのエステル、パラジメチルアミノ安息香酸−2−
エチルヘキシルのようなパラアミノ安息香酸の誘導体ま
たはそのエステル、ケイヒ酸ベンジルのようなケイヒ酸
の誘導体またはそのエステル、アントラニレート、サリ
シレート、ベンゾオキサゾールの誘導体、2,4,6−
トリ−(p−アニリノ)−1−(カルボキシ−2’−エ
チルヘキシル)−1,3,5−トリアジン、4−t−ブ
チル−4' −メトキシジベンゾイルメタンや4−イソプ
ロピルジベンゾイルメタンのようなジベンゾイルメタン
の誘導体、フラノン誘導体、フェルラ酸またはそのエス
テル、γ−オリザノールなどが挙げられる。
【0066】「ビタミン類」としては、たとえば、ビタ
ミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミ
ンE、塩酸チアミン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸
カルシウム、ビスベンチアミン、メチルメチオニンスル
ホニウムクロリドなどのビタミン類またはその誘導体、
たとえばリン酸−L−アスコルビルマグネシウム、硫酸
−L−アスコルビルマグネシウム二ナトリウム、酢酸ト
コフェロールなどが挙げられる。
【0067】「薬効成分」としては、たとえば、スルフ
ァメトミジンのようなサルファ剤、ホバチン酸カルシウ
ム、塩酸パパベリン、塩酸ジルチアゼム、レセルピンの
ような循環器系薬剤、塩酸トリメトキノール、塩酸ブロ
ムヘキシン、ヒベンズ酸チペピジンのような呼吸促進、
鎮咳去たん剤、ベンジルペニシリンカリウム、ベンジル
ペニシリンナトリウム、フェノキシメチルペニシリンカ
リウム、アンピシリンのような抗生物質、5−フルオロ
ウラシル、N−(2−テトラヒドロフリル)−5−フル
オロウラシル、塩酸ブレオマイシンのような抗癌性腫瘍
剤、臭化チメピジウム、塩酸リドカイン、塩酸クロルプ
ロマジンのような精神神経系薬剤、塩酸ジフェンヒドラ
ミン、マレイン酸クロルフェニラミンのような抗ヒスタ
ミン剤、アスピリン、塩酸キニーネ、スルピリンのよう
な解熱鎮痛消炎剤、サリチル酸、ヒノキチオール、イオ
ウ、パラベン類などの殺菌剤、防腐剤、そのほか、感光
素類、システインまたはその誘導体、グアイアズレンま
たはその誘導体、グルタチオンまたはその誘導体などが
挙げられる。
【0068】「抽出成分」としては、たとえば、油溶性
アルニカエキス、アロエエキス、油溶性オドリコソウエ
キス、カミツレエキス、油溶性カモミラエキス、油溶性
甘草エキス、クチナシエキス、油溶性クワエキス、油溶
性ゴボウエキス、油溶性コラーゲンエキス、油溶性サル
ビアエキス、油溶性シコンエキス、油溶性シナノエキ
ス、油溶性シラカバエキス、油溶性スギナエキス、油溶
性セイヨウノコギリソウエキス、油溶性セージエキス、
センブリエキス、タイムエキス、チンピエキス、油溶性
テウチグルミエキス、油溶性トウキエキス、油溶性トウ
キンセンカエキス、油溶性ニンジンエキス、油溶性ノバ
ラエキス、油溶性ビワ葉エキス、油溶性プラセンタエキ
ス、油溶性ホップエキス、油溶性マロニエエキス、油溶
性桃葉エキス、ヨモギエキス、油溶性ヨクイニンエキ
ス、ラベンダーエキス、レモンエキス、オレンジエキ
ス、油溶性ローズマリーエキス、油溶性ローヤルゼリー
エキスなど。タンニン類、フラボノイド類などを含有す
る緑茶、杜仲茶、ルイボス茶、槐花、黄ごん、ソウハク
ヒ抽出物などの生薬成分またはその各種塩類などが挙げ
られる。
【0069】「香気成分」としては、たとえば、アーモ
ンド、アニス、カラウェー、カッシア、セダーリーフ、
セダーウッド、シナモン、シトロネラ、チョウジ、ユー
カリ、ゼラニウム、グレープフルーツ、ラベンダー、レ
モン、レモン草、バラ油、ライム、オレンジ花(ネロ
リ)、ナツメグ、オニオン、ガーリック、オレンジ、リ
ガナム、オリス、ペパーミント、パイン、松葉、ローズ
マリー、サンドルウッド、サッサフラス、スペアミン
ト、タイム、コーヒー、紅茶、チェリー、リンゴ、パイ
ナップル、バナナ、ピーチ、バニラなどの香りを有する
油などが挙げられる。
【0070】「塩類」としては、たとえば、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸
カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、硫
酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金
属塩、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カ
ルシウム(焼きセッコウ)、リン酸カルシウム、塩化リ
チウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニ
ウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、
ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、
ヨウ素、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニ
ウム、硝酸アンモニウム、石灰窒素、過リン酸石灰、焼
成リン肥、リン酸ナトリウムなどの塩などが挙げられ
る。
【0071】「アミノ酸、タンパク、糖類など」として
は、たとえば、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン
酸マグネシウム、グルタミン酸ナトリウム、塩酸リシ
ン、グルタチオンのようなアミノ酸またはペプチド類、
コラーゲン、エラスチン、ケラチン、フィブロイン、セ
リシン、カゼイン、コンキオリンのような動物由来タン
パク質、小麦タンパク、大豆タンパク、ゴマタンパクの
ような植物由来タンパク質、酵母タンパクのような微生
物由来タンパク質またはそれらのタンパク質の加水分解
物、胎盤抽出物、ムコ多糖類、尿素などが挙げられる。
【0072】「酵素」としては、たとえば、リパーゼ、
プロテアーゼ、スーパーオキサイドディスムターゼ、リ
ゾチーム、アルカリフォスファターゼ、アミラーゼ、パ
ンクレアチン、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラ
ーゼなどの酵素類などが挙げられる。
【0073】「フルオロカーボン性物質」としては、モ
ンテフルオス社(イタリア、ミラノ)製のポリオキシパ
ーフルオロアルカンの一種である液状パーフルオロエー
テルであるフォンブリンHC/04(商品名)、フォン
ブリンHC/25(商品名)、フォンブリンHC/R
(商品名)などが挙げられる。
【0074】以上の中から1つまたはそれ以上を組み合
わせて芯物質とすることができる。ただし、芯物質は上
記例示のものに限られることはない。
【0075】疎水性の連続相または非水性の連続相に分
散する内包済み微小カプセルの場合、連続相として、芯
物質として例示した高級脂肪酸類、炭化水素類、有機溶
媒、エステル類、シリコーン類、高級アルコール類、動
植物油の中から1つまたはそれ以上を組み合わせて用い
てもよく、カプセル調製プロセスを通じて液状であれば
よい。有機溶媒のうち、沸点が水の沸点以下のものでも
水を共沸的に系外に追い出すことのできるものであれば
よい。
【0076】エマルジョン調製において、たとえば、メ
カニカルスターラを備えた内径12cm、容量2リット
ルの丸底円筒形ガラス製反応容器で、主に粒径0.3〜
100μmの分布の範囲で、中心粒径が1〜20μmの
範囲で粒径を調節する場合は、反応液を50〜1000
rpm、特に300〜1000rpmで攪拌するのが好
ましい。
【0077】エマルジョン調製において、たとえば、メ
カニカルスターラで反応液を攪拌した後、ホモミキサー
で主に粒径0.1〜30μmの分布の範囲で、中心粒径
が0.5〜5μmの範囲で粒径を調節する場合は、反応
液をホモミキサーで1000〜20000rpm、特に
5000〜10000rpmで処理するのが好ましい。
【0078】エマルジョン調製において、たとえば、メ
カニカルスターラで反応液を攪拌し、ホモミキサーで処
理した後、マイクロフルイダイザーで主に粒径0.1〜
1 μmの分布の範囲で、中心粒径が0.2〜0.8μm
の範囲で粒径を調節する場合は、マイクロフルイタイザ
ーで300〜5000kg/cm2 で処理するのが好ま
しい。
【0079】ホモミキサーやマイクロフルイダイザーで
処理する目的の一つは、粒径を小さくすることにある
が、もう一つの目的は、後に壁膜の強化処理を加えるこ
とと併せた結果、この処理でかけられた程度の剪断力が
加わったときに壁膜が破壊されないような内包済み微小
カプセルを製造するためである。
【0080】本発明における微小カプセルは、マイクロ
カプセル、ナノカプセルのいずれも包含するが、一般に
マイクロカプセルは粒径が1μm以上1mm未満のもの
をいい、ナノカプセルは粒径が1μm未満のものをい
う。
【0081】つぎに、内包済み微小カプセルの製造中間
物の化合物(A)による処理について述べる。
【0082】内包済み微小カプセルの製造中間物の化合
物(A)による表面処理を行わなくても内包済み微小カ
プセルを製造することができる。しかし、本発明の製造
方法によれば、乳化直後の未硬化カプセル表面に縮合に
あずかっていないシラノール基が残っていると考えられ
る。このシラノール基は、新たに加えられた化合物
(A)または、その加水分解物である化合物(B)と縮
合してカプセル表面に新たな性質を付与する足がかりと
なる。
【0083】表面処理用の化合物(A)がトリメチルク
ロロシランのようなクロロシランやヘキサメチルジシラ
ザンのように水中で容易に加水分解するような化合物
(A)の場合は、乳化に引き続きこの中性のエマルジョ
ン溶液にこの化合物(A)を加え中和するのが好まし
い。
【0084】表面処理用の化合物(A)がトリメチルエ
トキシシランのようなアルコキシシランの場合は、乳化
に引き続きこの中性溶液をやや酸性または塩基性にして
加えた化合物(B)を一旦加水分解する必要がある。は
じめからシラノール基を有するような化合物(A)をそ
のまま表面処理に用いる場合も、乳化に引き続きこの中
性の化合物(A)溶液をやや酸性または塩基性にして化
合物(A)を加える必要がある。次に中和を行うことに
よりカプセル表面に化合物(A)を定着させる。ただ
し、pHの調節に当たってはカプセルを破壊しないよう
に注意する必要があり、酸性側での処理ではpH3〜
6.5が好ましい。塩基性側での処理ではpH7.5〜
10が好ましい。この表面処理に使用する化合物(A)
については後に例示するが、それらに限られることはな
い。
【0085】また、表面処理の目的に内包済み微小カプ
セルの凝集を防止することがあるが、内包済み微小カプ
セルの凝集を防止するために、エマルジョン調製後、ト
リメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、t
−ブチルジメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシロキ
サン、ヘキサメチルジシラザンなどの珪素原子上に3個
のアルキル基を持つ化合物(A)を添加することが好ま
しい。
【0086】さらに、エマルジョン調製後、カチオン基
を有機置換基に持つ化合物(A)として、たとえばオク
タデシルジメチル−(3−トリメトキシシリルプロピ
ル)アンモニウムクロライドを添加し加水分解して中和
することにより内包済み微小カプセルの表面をカチオン
性にすることができる。
【0087】また、エマルジョン調製後、メチルジエト
キシシランから、メチルジクロロシラン、テトラメトキ
シシラン、テトラエトキシシラン、テトラクロロシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジメトキシシ
ラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシ
ラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、フェニル
トリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フ
ェニルトリクロロシラン、ジフェニルジメトキシラン、
ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラ
ン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキ
シシラン、デシルトリメトキシシラン、ステアロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−(β−
メトキシエトキシ)シランビニルトリクロロシラン、γ
−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロ
プロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリ
エトキシシラン、オクタデシルジメチル−(3−トリメ
トキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキ
サデシルジメチル−(3−トリメトキシシリルプロピ
ル)アンモニウムクロライド、メトキシ(エトキシ)n
(プロポキシ)mプロピルメチルジアルコキシシラン、
メトキシ(エトキシ)n(プロポキシ)mプロピルトリ
アルコキシシランに及ぶ化合物(A)、N−〔2−ヒド
ロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシリル)プロポキ
シ〕プロピル加水分解タンパク、N−〔2−ヒドロキシ
−3−(3’−ジヒドロキシメチルシリル)プロポキ
シ〕プロピル加水分解タンパクのようにγ−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルメチルジエトキシシランと他の物質から誘導される
化合物(A)、さらに、β−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)エチルトリメトキシシランから、γ−〔N−
(β−アミノエチル)アミノ〕プロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−〔N−(β−アミノエチル)アミノ〕プ
ロピルトリメトキシシラン、γ−〔N−(β−アミノエ
チル)アミノ〕プロピルトリエトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン、γ−(N−フェニルアミノ)プロピ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−(β−メトキ
シエトキシ)シランビニルトリクロロシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメ
トキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキ
シシランに及ぶシランカップリング剤と他の物質とから
誘導される化合物(A)をpHを調節して中和すること
により、内包済み微小カプセルの表面の性質を種々に修
飾することができ、種々の機能を付与することができ
る。
【0088】上記の一連の表面処理を複数組み合わせて
もよい。
【0089】硬化処理においては、化合物(A)の一種
であるアルコキシシランの加水分解によって発生したア
ルコールを除去したり、時間経過や加熱による脱水や、
反応系外への脱水などにより、縮重合反応をさらに進行
させることによって内包済み微小カプセルの壁膜の強度
を増加させることができる。加熱温度としては、反応液
の温度で低くても30℃以上が好ましく、圧力により沸
点を変化させてもよいが、反応系の水が沸騰する温度で
加熱すると、特に好ましい。上記の時間経過による脱水
とは、シロキサン縮合は中性のpHで自然に脱水縮合す
るので、単なる時間経過で脱水することを意味してお
り、また、上記の反応系外への脱水とは、たとえば留去
(溶媒蒸気が冷却されてできた液を反応系に戻さず反応
系外に除去する)などを意味する。
【0090】このようにして得られた内包済み微小カプ
セルにおいて、芯物質の重量は内包済み微小カプセルの
重量に対して0.01〜99重量%の範囲が好ましい。
この内包済み微小カプセルの重量に対する芯物質の重量
の比率を以下「内包率」という。上記のように、本発明
による場合は、内包率の範囲が広いので、壁膜の厚みは
内包率と粒径とを相関させながら調節が容易である。ま
た、内包済み微小カプセルはpHが中性付近で使用する
とき充分に耐水性である。
【0091】さらに、カプセルの強度としては、使用し
た化合物(A)の種類、粒径、硬化条件、内包率に依存
し、たとえば、粒径1〜2μmで内包率90%の化粧品
向けに製造した微小カプセルでは、機械的混合過程を経
て化粧品に配合した上で肌に使用した場合でも崩壊は認
められなかった。
【0092】また、本発明によって製造した内包済み微
小カプセルは、凍結乾燥やスプレードライにて処理し
て、粉末にすることができる。
【0093】本発明によって製造した内包済み微小カプ
セルへの芯物質の取込率は5〜99.99重量%であ
り、多くの場合、60〜99重量%である。この取込率
とは、投入した芯物質のうち何%がカプセル内に取り込
まれたかを示すものであって、前記の内包率とは異な
る。本発明によれば、多くの場合、取込率が充分に高
く、取り込まれなかった芯物質の除去などの精製は必ず
しも必要ではないが、精製方法については、次の通りで
ある。
【0094】精製方法の一つとしては、カプセルを分散
させている液相と混じらず、かつカプセルを分散させな
い液相を加え、2つの液相をよく混ぜ合わせた後、両液
相が分離したところでデカンテーションまたは分液によ
って両液相を分けることにより、不純物を別の液相に移
らせる方法がある。両液相が分離しにくい時は遠心分離
によってもよい。また、両液相が分離しにくい時はさら
にカプセルを分散させている液相と混和する液相を加え
てカプセルを洗い分離してもよい。
【0095】精製方法のもう一つの方法としては、遠心
分離により沈降または浮上した内包済み微小カプセルを
分取する方法がある。この方法による場合、上記分散
後、溶媒と共に不純物を除去し、カプセルを分散させる
ことができる溶媒に再び分散させる。また、これを繰り
返す。
【0096】精製方法のさらにもう一つの方法として
は、限外濾過による方法がある。この限外濾過による精
製方法では、限外濾過により溶出した不純物を除去し、
濃縮した内包済み微小カプセルを分散させることができ
る溶媒に再び分散させる。また、これを繰り返す。
【0097】
【発明の効果】本発明の内包済み微小カプセルは、その
壁膜がオルガノポリシロキサンの一般的基本性質である
熱的、機械的安定性と耐光性を有すると共に、生体不活
性である。また、本発明では、アルコキシシラン、ハロ
ゲン化シラン、ハイドロジェンシラン、ポリシロキサン
などの化合物(A)から直接内包済み微小カプセルを製
造することができるのでコスト的にも有利である。加え
て、各種化合物(A)を組み合わせることにより、目的
にあわせた内包済み微小カプセルを設計する上で融通性
が大きい。
【0098】このような多様な性質を有する本発明の内
包済み微小カプセルは、医薬品、液晶、化成品、記録材
料、化粧料、香料、酵素、農業、接着剤、繊維、食品、
触媒、洗剤、染料、ペイント、防錆剤、浴剤用に広く適
用できる。
【0099】また、本発明の内包済み微小カプセルは、
その製造にあたって、珪素原子上で縮合にあずかる結合
数が4ないし1である化合物(B)を縮重合させるの
で、壁膜と内容物の重量比を広い範囲で選択でき、ま
た、これと関連させながら壁膜の厚さと粒子径を調節
し、緻密なネットワークを持つ壁膜ないし適度な物質透
過性を持つ壁膜あるいは高強度な壁膜ないし適度に軟ら
かい壁膜などを種々調製することができる。
【0100】
【実施例】本発明の他の目的、特徴および利点は、本発
明の種々の実施例を参照した以下の説明的記載より明ら
かにされるが、これらの実施例は説明のためのみに示さ
れるものであり、本発明の範囲を限定するものではな
い。また、特に単位を表示しない限り%は重量%であ
る。
【0101】実施例1メトキシ(エトキシ)nプロピルジヒドロキシメチルシ
ラン、メチルトリエトキシシランおよびフェニルトリエ
トキシシランの加水分解物共縮重合体からなるオルガノ
ポリシロキサンを壁膜とするパラメトキシケイヒ酸−2
−エチルヘキシルの内包済み微小カプセルの製造
【0102】1)プレポリマーの調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水90gとポリオキ
シエチレン変性シリコーン〔信越化学工業(株)製のK
F−354A(商品名)、メトキシ(エトキシ)nプロ
ピルジヒドロキシメチルシランの縮合物で両末端がトリ
メチルシリル基で封じられたもの〕10gと18%塩酸
0.2gを入れておき、50℃で攪拌しながらメチルト
リエトキシシラン4.4gとフェニルトリエトキシシラ
ン1.2gの混合物を滴下ロートから滴下した。さらに
50℃で6時間攪拌した。次に、攪拌を続けながら4%
水酸化ナトリウム水溶液1.6gを滴下し、pHを7.
0にした後、50℃で1時間攪拌した。
【0103】2)芯物質の添加と乳化 1)で調製した反応液を600rpmで攪拌しながらパ
ラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル5.4gを加
え、さらに、600rpmで4時間攪拌し続けた。
【0104】3)凝集防止と壁膜の硬化処理 2)で調製した反応液を反応容器で50℃、600rp
mで攪拌しながらトリメチルクロロシラン0.5gを加
えた後、直ちに20%水酸化ナトリウム水溶液1gを滴
下した。反応液の温度を徐々に上げ還流させた。アルコ
ールを含む蒸気を留去し、さらに、150rpmで攪拌
しながら6時間加熱還流させた。この反応液を室温で1
50rpmで攪拌しながら冷却し内包済み微小カプセル
を得た。
【0105】分析法1 得られた内包済み微小カプセルの分散液約10gを正確
に秤量し、(株)島津製作所製の赤外線式水分量計LI
BROR EB−280MOC(商品名)で内包済み微
小カプセルの分散液の水分量を測定し、その結果から、
生成した微小カプセルを含む分散液中の非水部分〔内包
済み微小カプセル+遊離の芯物質(カプセル中に取り込
まれなかった芯物質)+灰分(ash)〕の重量を求め
る。つまり、実施例1のように、水中油型のカプセルの
場合、カプセルを含む分散液の重量は、「水+内包済み
微小カプセル+遊離の芯物質+灰分(ash)」の重量
であり、この分析法1により水分を測定すると、その結
果から、上記分散液中の非水部分〔内包済み微小カプセ
ル+遊離の芯物質+灰分(ash)〕の重量がわかる。
【0106】分析法2 セイコー電子工業(株)製のICP発光分光分析装置S
PS1700HVR(商品名)により、カプセル分散液
中のNaの濃度を測定し、生成した微小カプセルを含む
分散液中のNaClの重量を算出する。上記分析法1の
ところで説明したようにカプセルを含む分散液中には、
灰分(ash)も含まれているが、その灰分のシリカ以
外のほとんどを占めるのがNaClと考えられる。そこ
で、この分析法2でNaCl量を求め、その結果を後記
の内包率を求める際に灰分量として使用する。
【0107】分析法3 得られた内包済み微小カプセルの分散液約1gを正確に
秤量し、これを水約100mlで洗い込みながら500
mlの分液ロートに移す。n−ヘキサン100mlを加
えよく振り混ぜた後、静置する。液相が分離した後、n
−ヘキサン抽出液100mlを別の容器に移す。この分
液操作を3回繰り返し、得られたn−ヘキサン抽出液を
合して濃縮し正確に100mlとする。このn−ヘキサ
ン抽出液からマイクロシリンジで1μlをとり、液体ク
ロマトグラフにかけ、別途作成した標準濃度の検量線か
ら得られた内包済み微小カプセルの分散液約1g中に存
在する微小カプセル中に取り込まれなかった遊離の芯物
質(実施例1の場合はパラメトキシケイヒ酸−2−エチ
ルヘキシル)の重量を求めた上で計算により生成した微
小カプセルを含む分散液中の遊離の芯物質の重量を求め
る。
【0108】分析法4 得られた内包済み微小カプセルの分散液約0.1gを正
確に秤量し、これに5N水酸化ナトリウム水溶液5ml
を加え50℃で1時間攪拌し室温まで冷却する。これを
水約100mlで洗い込みながら500mlの分液ロー
トに移す。n−ヘキサン100mlを加え、よく振り混
ぜた後、静置する。液相が分離した後、n−ヘキサン抽
出液100mlを別の容器に移す。この分液操作を3回
繰り返し、得られたn−ヘキサン抽出液を合して濃縮し
正確に100mlとする。このn−ヘキサン溶液からマ
イクロシリンジで1μlをとり、液体クロマトグラフに
かけ、別途作成した標準濃度の検量線から得られた内包
済み微小カプセルの分散液約0.1g中に存在する微小
カプセル中に取り込まれなかった遊離の芯物質(実施例
1の場合はパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシ
ル)と微小カプセル中に取り込まれた芯物質(実施例1
の場合はパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル)
の重量の合計を決定する。
【0109】〔(分析法4の値)−(分析法3の値)〕
/〔(分析法1の値)−(分析法2の値)−(分析法3
の値)〕×100を内包率として微小カプセルに取り込
まれた芯物質(実施例1の場合はパラメトキシケイヒ酸
−2−エチルヘキシル)を微小カプセルの重量に対する
重量%で示す。すなわち、分析法4の値は「カプセル中
に取り込まれた芯物質(実施例1の場合はパラメトキシ
ケイヒ酸−2−エチルヘキシル)と遊離の芯物質(カプ
セル中に取り込まれなかった芯物質)」の合計量であ
り、分析法3の値は「遊離の芯物質」の重量であるか
ら、上記計算式中の分子の〔(分析法4の値)−(分析
法3の値)〕は〔(取り込まれた芯物質+遊離の芯物
質)−(遊離の芯物質)〕になり、「カプセル中に取り
込まれた芯物質」の重量を示す。
【0110】一方、分析法1の値は「内包済み微小カプ
セル+遊離の芯物質+灰分」の重量であり、分析法2の
値は実質上「灰分」の量で、分析法3の値は「遊離の芯
物質」の重量であるから、上記計算式中の分母の〔(分
析法1の値)−(分析法2の値)−(分析法3の値)〕
は、〔(内包済み微小カプセル+遊離の芯物質+灰分)
−(灰分)−(遊離の芯物質)〕になり、「内包済み微
小カプセル」の重量になる。このように、分子は「カプ
セル中に取り込まれた芯物質」の重量で、分母は「内包
済み微小カプセル」の重量であるから、上記計算式
〔(分析法4の値)−(分析法3の値)〕/〔(分析法
1の値)−(分析法2の値)−(分析法3の値)〕×1
00は内包率を示すことになる。
【0111】分析法5 得られた内包済み微小カプセルの分散液約0.1gをと
り、これに水約5mlを加える。このものの1滴をプレ
パラートにとりカバーガラスをした後、光学顕微鏡で1
000倍の倍率で観察し、目視により粒度分布を求め
る。
【0112】分析法6 得られた内包済み微小カプセルの粒度分布を(株)島津
製作所製SALD−2000(商品名)で測定する。
【0113】試験法1 1cm角で厚さ2mmの2枚のガラス板の間に20倍に
希釈した内包済み微小カプセルの分散液1滴(約50μ
l)を挟み、それを水平の堅い台の上に置き、上方から
1.5kg/cm2 の圧力をかける。圧力をかけた後、
顕微鏡でカプセルが破裂するか否かを観察する。ただ
し、挟んだ際や圧力をかけた際に、はみ出してもよいも
のとし、顕微鏡観察の時はこれを拭き取っておく。
【0114】上記実施例1で得られた内包済み微小カプ
セルの分散液を上記分析法1〜5により分析したところ
以下の通りであった。
【0115】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 130g 水を除いた成分 14.8% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 0.4% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 26%
【0116】また、上記実施例1で得られた内包済み微
小カプセルを上記試験法1によりカプセルが破裂するか
否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0117】比較例1メトキシ(エトキシ)nプロピルジヒドロキシメチルシ
ラン、メチルトリエトキシシランおよびフェニルトリエ
トキシシランの加水分解物共縮重合体からなるオルガノ
ポリシロキサンを壁膜とするパラメトキシケイヒ酸−2
−エチルヘキシルのカプセルの製造において、連続相と
芯物質の界面で重合を行う場合
【0118】1)カプセル壁膜の作製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの円底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水90gとポリオキ
シエチレン変性シリコーン〔信越化学工業(株)製のK
F−354A(商品名)〕10gおよび18%塩酸0.
2gを入れておき、50℃で攪拌しながらメチルトリエ
トキシシラン4.4gとフェニルトリエトキシシラン
1.2gの混合物を滴下ロートから滴下した。さらに、
50℃で6時間攪拌した後、反応液を600rpmで攪
拌しながらパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル
5.4gを加えた。さらに、600rpmで4時間攪拌
を続けた後、攪拌しながら4%水酸化ナトリウム水溶液
1.9gを滴下し、pHを7.0にした後、50℃で1
時間攪拌した。
【0119】2)凝集防止と壁膜の硬化処理 1)で調製した反応液を反応容器で50℃、600rp
mで攪拌しながらトリメチルクロロシラン3gを加えた
後、直ちに5N水酸化ナトリウム水溶液5.6gを滴下
した。反応液の温度を徐々に上げ還流させた。アルコー
ルを含む蒸気を留去し、さらに150rpmで攪拌しな
がら6時間加熱還流した。この反応液を室温で150r
pmで攪拌しながら冷却し生成物を得た。粘着性の物質
が反応容器壁に付着し、加えたパラメトキシケイヒ酸−
2−エチルヘキシルと同程度の量の油が分離していたの
みであった。
【0120】実施例1Aメトキシ(エトキシ)nプロピルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシランおよびフェニルトリエトキシ
シランの加水分解物共縮重合体からなるオルガノポリシ
ロキサンを壁膜とするパラメトキシケイヒ酸−2−エチ
ルヘキシルの内包済み微小カプセルの製造
【0121】1)プレポリマーの調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水97gとポリエト
キシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)
製のKBM−641(商品名)〕3gおよび18%塩酸
0.2gを入れておき、50℃で攪拌しながらメチルト
リエトキシシラン4.2gとフェニルトリエトキシシラ
ン1.2gの混合物を滴下ロートから滴下した。さら
に、50℃で6時間攪拌した。次に攪拌を続けながら4
%水酸化ナトリウム水溶液1.7gを滴下し、pHを
7.0にした後、20℃で1時間攪拌した。
【0122】2)芯物質の添加と乳化 1)で調製した反応液を600rpmで攪拌しながらパ
ラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル4.0gを加
え、さらに600rpmで4時間攪拌を続けた。
【0123】3)凝集防止と壁膜の硬化処理 2)で調製した反応液を反応容器で50℃、600rp
mで攪拌しながらトリメチルクロロシラン1.0gを加
えた後、直ちに20%水酸化ナトリウム水溶液1.8g
を滴下した。反応液の温度を徐々に上げ還流させた。ア
ルコールを含む蒸気を留去し、さらに150rpmで攪
拌しながら6時間加熱還流させた。この反応液を室温で
150rpmで攪拌しながら冷却して内包済み微小カプ
セルを得た。
【0124】この実施例1Aで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0125】 直径0.3〜10μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 107g 水を除いた成分 14.0% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 0.5% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 28%
【0126】前記実施例1では親水基を有する化合物
(A)としてKF−354A(商品名)のようなポリエ
ーテル変性シリコーンを用い、これを加水分解してプレ
ポリマーを調製し、芯物質を投入し、乳化することによ
って内包済み微小カプセルを製造することができたが、
比較例1のように芯物質と連続相との界面で重合体を生
成させようとした場合、内包済み微小カプセルは形成さ
れず、重合体と芯物質は分離した。また、実施例1Aで
は、親水基を有する化合物(A)としてKBK−641
(商品名)のようなポリエーテル基を有するトリアルコ
キシシランを用いたが、実施例1と同様に内包済み微小
カプセルを製造することができた。
【0127】また、上記実施例1Aで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0128】実施例2N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシ
リル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン、メチ
ルトリエトキシシランおよびフェニルトリエトキシシラ
ンの加水分解物共縮重合体からなるオルガノポリシロキ
サンを壁膜とするパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘ
キシルの内包済み微小カプセルの製造
【0129】1)プレポリマーの調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水135gとN−
〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシリ
ル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン(加水分
解コラーゲンの分子量は数平均分子量で約2000)1
5gおよび18%塩酸3.6gを入れておき、50℃で
攪拌しながらメチルトリエトキシシラン45.9gとフ
ェニルトリエトキシシラン12.4gの混合物を滴下ロ
ートから滴下した。
【0130】さらに、50℃で6時間攪拌した。次に、
攪拌を続けながら25%水酸化ナトリウム水溶液2.9
gを滴下し、pHを7.0にした後、50℃で1時間攪
拌した。
【0131】2)芯物質の添加と乳化 1)で調製した反応液を600rpmで攪拌しながらパ
ラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル389gを加
えた。さらに、600rpmで4時間攪拌し続けた。
【0132】3)微粒化 2)で調製した反応液をホモミキサーの容器に移して、
50℃、6000rpmで90分間ホモミキサーにかけ
て、微粒化した。
【0133】4)凝集防止と壁膜の硬化処理 3)で調製した反応液を元の反応容器で50℃、600
rpmで攪拌しながらトリメチルクロロシラン3.0g
を加えた後、直ちに25%水酸化ナトリウム水溶液4.
4gを滴下した。反応液の温度を徐々に上げて還流させ
た。アルコールを含む蒸気を留去し、さらに150rp
mで攪拌しながら2時間加熱還流した。この反応液を室
温で150rpmで攪拌しながら冷却し内包済み微小カ
プセルを得た。
【0134】この実施例2で得られた内包済み微小カプ
セルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したとこ
ろ以下の通りであった。
【0135】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmの微小カプセルの水中分散液 850g 水を除いた成分 50% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 4% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 84%
【0136】この後、分散液中における遊離のパラメト
キシケイヒ酸−2−エチルヘキシルはヘキサンで洗うこ
とにより除去して、加水分解コラーゲン(分子量は数平
均分子量で約2000)を親水基とするヒドロキシシラ
ンを用いてパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル
の内包済み微小カプセルを精製状態で得た。なお、上記
4)の凝集防止と壁膜の硬化処理において、メチルトリ
クロロシランの添加とそれに続く中和の一連の処理を省
略すると、肉眼では本実施例のものと差はなかったが、
顕微鏡観察によると微小カプセル粒子同士がくっつきあ
って一部凝集が認められた。しかし、本実施例ではその
ような凝集は認められなかった。また、上記実施例2で
得られた内包済み微小カプセルを前記試験法1に準じて
カプセルが破裂するか否かを調べたところ、カプセルの
破裂はなかった。
【0137】実施例2AN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシ
リル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン、メチ
ルトリエトキシシランおよびフェニルトリエトキシシラ
ンの加水分解物共縮重合体からなるオルガノポリシロキ
サンを壁膜とするパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘ
キシルと4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイル
メタン混合物の内包済み微小カプセルの製造
【0138】1)プレポリマーの調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水135gとN−
〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシリ
ル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン(加水分
解コラーゲンの分子量は数平均分子量で約2000)1
5gおよび18%塩酸3.6gを入れておき、50℃で
攪拌しながらメチルトリエトキシシラン45.9gとフ
ェニルトリエトキシシラン12.4gの混合物を滴下ロ
ートから滴下した。
【0139】さらに、50℃で6時間攪拌した後、一旦
20℃に冷却してから、攪拌を続けながら25%水酸化
ナトリウム水溶液2.9gを滴下し、pHを7.0にし
た後、20℃で1時間攪拌した。
【0140】2)芯物質の添加と乳化 1)で調製した反応液を600rpmで攪拌しながらあ
らかじめ4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイル
メタン19.5gをパラメトキシケイヒ酸−2−エチル
ヘキシル78.2gに溶解しておいた混合液を加え、さ
らに、600rpmで4時間攪拌を続けた。
【0141】3)微粒化 2)で調製した反応液をホモミキサーの容器に移して、
50℃、6000rpmで90分間ホモミキサーにかけ
て、微粒化した。
【0142】4)凝集防止と壁膜の硬化処理 3)で調製した反応液を元の反応容器で50℃、600
rpmで攪拌しながらトリメチルクロロシラン3.0g
を加えた後、直ちに25%水酸化ナトリウム水溶液4.
4gを滴下した。反応液の温度を徐々に上げ還流させ
た。アルコールを含む蒸気を留去し、さらに150rp
mで攪拌しながら2時間加熱還流させた。この反応液を
室温で150rpmで攪拌しながら冷却して内包済み微
小カプセルを得た。
【0143】この実施例2Aで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0144】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 315g 水を除いた成分 42.3% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 0.2% 分散液中における遊離の4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.2% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 56% カプセル重量中の4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 14%
【0145】上記のように、この実施例2Aにおいて
は、パラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシルの他に
2番目の芯物質として4−t−ブチル−4’−メトキシ
ジベンゾイルメタンを同時に微小カプセル中に内包する
ことができた。
【0146】また、上記実施例2Aで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0147】実施例2BN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシ
リル)プロポキシ〕プロピル加水分解小麦タンパク、メ
チルトリエトキシシランおよびフェニルトリエトキシシ
ランの加水分解物共縮重合体からなるオルガノポリシロ
キサンを壁膜とするパラメトキシケイヒ酸−2−エチル
ヘキシルの内包済み微小カプセルの製造
【0148】1)プレポリマーの調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水283gとN−
〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシリ
ル)プロポキシ〕プロピル加水分解小麦タンパク(加水
分解小麦タンパクの分子量は数平均で約400)16.
8gおよび20%水酸化ナトリウム水溶液4.5gを入
れておき、50℃で攪拌しながらメチルトリエトキシシ
ラン24gとフェニルトリエトキシシラン8.2gの混
合物を滴下ロートから滴下した。
【0149】さらに、50℃で6時間攪拌した。次に、
攪拌し続けながら18%塩酸4.1gを滴下し、pHを
7.0にした後、50℃で1時間攪拌した。
【0150】2)芯物質の添加と乳化 1)で調製した反応液を600rpmで攪拌しながらパ
ラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル12.3gを
加えた。さらに、600rpmで4時間攪拌を続けた。
【0151】3)微粒化 2)で調製した反応液をホモミキサーの容器に移して、
50℃、6000rpmで90分間ホモミキサーにかけ
て、微粒化した。
【0152】4)凝集防止と壁膜の硬化処理 3)で調製した反応液を元の反応容器で50℃、600
rpmで攪拌しながらトリメチルクロロシラン1.2g
を加えた後、直ちに20%水酸化ナトリウム水溶液1.
4gを滴下してpH5.5に調整した。反応液の温度を
徐々に上げ還流させた。アルコールを含む蒸気を留去
し、さらに150rpmで攪拌しながら2時間加熱還流
させた。この反応液を室温で150rpmで攪拌しなが
ら冷却して内包済み微小カプセルを得た。
【0153】この実施例2Bで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0154】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 595g 水を除いた成分 11% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル0.03% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 23.8%
【0155】上記のように、この実施例2Bでは、加水
分解小麦タンパクを親水基とする化合物(A)を用い
て、内包済み微小カプセルを製造することができた。な
お、化合物(A)の加水分解は塩基性で行った。
【0156】また、上記実施例2Bで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0157】比較例2 実施例2Bにおけるシランの塩基性側での加水分解に代
えて、酸性側で加水分解を行ったところ、多量の粘着物
質が反応容器の内壁に付着して微小カプセルの製造を継
続できなかった。
【0158】実施例2CN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシ
リル)プロポキシ〕プロピル加水分解大豆タンパク、メ
チルトリエトキシシランおよびフェニルトリエトキシシ
ランの加水分解物共縮重合体からなるオルガノポリシロ
キサンを壁膜とするパラメトキシケイヒ酸−2−エチル
ヘキシルの内包済み微小カプセルの製造
【0159】1)プレポリマーの調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水177mlとN−
〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシリ
ル)プロポキシ〕プロピル加水分解大豆タンパク(加水
分解大豆タンパクの分子量は数平均分子量で約350)
9.3gおよび20%水酸化ナトリウム水溶液3.5g
を加えて、50℃で攪拌しながら、メチルトリエチトキ
シシラン10gとフェニルトリエトキシシラン2.7g
の混合物を滴下ロートから滴下した。さらに、50℃で
6時間攪拌した後、攪拌しながら18%塩酸3.2gを
滴下し、pHを7.0にした後、50℃で1時間攪拌し
た。
【0160】2)芯物質の添加と乳化 1)で調製した反応液を600rpmで攪拌しながらパ
ラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル6.5gを加
え、さらに600rpmで4時間攪拌を続けた。
【0161】3)微粒化 2)で調製した反応液をホモミキサーの容器に移して、
50℃、6000rpmで90分間ホモミキサーにかけ
て、微粒化した。
【0162】4)凝集防止と壁膜の硬化処理 3)で調製した反応液を元の反応容器で50℃、600
rpmで攪拌しながらトリメチルクロロシラン2.4g
を加えた後、20%水酸化ナトリウム水溶液1.2gを
滴下し、pH5.5に調整した。反応液の温度を徐々に
上げて還流させた。アルコールを含む蒸気を留去し、さ
らに150rpmで攪拌しながら6時間加熱還流させ
た。この反応液を室温で150rpmで攪拌しながら冷
却して内包済み微小カプセルを得た。
【0163】この実施例2Cで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0164】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 360g 水を除いた成分 7.6% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 0.5% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 27.0%
【0165】上記のように、この実施例2Cでは、加水
分解大豆タンパク(分子量は数平均分子量で約350)
を親水基とする化合物(A)を用いて、内包済み微小カ
プセルを製造することができた。なお、この実施例2C
では化合物(A)の加水分解を塩基性で行った。
【0166】また、上記実施例2Cで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0167】実施例2D 実施例2におけるフェニルトリエトキシシランに代えて
ヘキシルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)のK
BM−3063(商品名)〕を8.7g用い、メチルト
リエトキシシランは38.3g用い、パラメトキシケイ
ヒ酸−2−エチルヘキシルは87.4g用い、メチルト
リクロロシランによる処理を行わなかったほかは、実施
例2と同様にして内包済み微小カプセルを製造した。
【0168】この実施例2Dで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りになった。
【0169】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 507g 水を除いた成分 23.6% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 0.2% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 70%
【0170】また、上記実施例2Dで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0171】実施例2E 実施例2におけるフェニルトリエトキシシランに代えて
デシルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製のK
BM−3103C(商品名)〕を6.7g用い、メチル
トリエトキシシランは30.0g用い、パラメトキシケ
イヒ酸−2−エチルヘキシルは6.7g用い、メチルト
リクロロシランによる処理を行わなかったほかは、実施
例2と同様にして内包済み微小カプセルを製造した。
【0172】この実施例2Eで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0173】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 300g 水を除いた成分 11.9% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 0.1% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 18%
【0174】この実施例2Eや先の実施例2Dでは、実
施例2とは異なる疎水基を有するヒドロキシシランを用
いたが、実施例2と同様に内包済み微小カプセルの製造
をすることができた。
【0175】また、上記実施例2Eで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0176】実施例2F 実施例2におけるN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−
トリヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解
コラーゲンに代えて、ペプタイド部分の数平均分子量が
約2000のN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒ
ドロキシメチルシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解
コラーゲンを15g用いたほかは、実施例2と同様に内
包済み微小カプセルを製造した。
【0177】この実施例2Fで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0178】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 687g 水を除いた成分 54.3% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 5% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 82%
【0179】この実施例2Fでは、実施例2におけるN
−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシリ
ル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲンに代え
て、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシ
メチルシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲ
ンを用いたが、実施例2と同様に内包済み微小カプセル
を製造することができた。
【0180】また、上記実施例2Fで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0181】実施例2G 実施例2におけるN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−
トリヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解
コラーゲンに代えてN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’
−ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ〕プロピル加
水分解コラーゲンを15g用い、フェニルトリエトキシ
シランに代えてステアロキシプロピルトリメトキシシラ
ン〔信越化学工業(株)製のKBM−6000(商品
名)〕を22.8g用い、パラメトキシケイヒ酸−2−
エチルヘキシルを60g用いたほかは、実施例2と同様
に内包済み微小カプセルを製造した。
【0182】この実施例2Gで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0183】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 400g 水を除いた成分 25% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 6% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 40%
【0184】この実施例2Gでは、前記実施例2Fとは
異なる疎水基を有するヒドロキシシランを用いたが、実
施例2Fと同様に内包済み微小カプセルを製造すること
ができた。
【0185】また、上記実施例2Gで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0186】実施例2H 実施例2におけるメチルトリエトキシシラン45.9g
に代えてジメチルジエトキシシランを19.1gとメチ
ルトリエトキシシランを23.0g用い、パラメトキシ
ケイヒ酸−2−エチルヘキシルは97.7g用いたほか
は、実施例2と同様に内包済み微小カプセルを製造し
た。
【0187】この実施例2Hで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0188】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 460g 水を除いた成分 27.1% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 1.0% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 70%
【0189】この実施例2Hでは、実施例2におけるト
リヒドロキシシランの一部をジヒドロキシシランに置き
換えたが、実施例2と同様に内包済み微小カプセルを製
造することができた。
【0190】また、上記実施例2Hで得られた内包済み
微小カプセルを上記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0191】実施例2I 実施例2Hにおけるジメチルジエトキシシランに代えて
オクタメチルシクロテトラシロキサンを9.6g用いた
ほかは、実施例2Hと同様に内包済み微小カプセルを製
造した。
【0192】この実施例2Iで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0193】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 425g 水を除いた成分 25.1% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 1.0% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 70%
【0194】この実施例2Iでは、実施例2Hにおける
化合物(A)をアルコキシシランから環状シロキサンに
置き換えたが、実施例2Hと同様に内包済み微小カプセ
ルを製造をすることができた。
【0195】また、上記実施例2Iで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0196】実施例2J 実施例2Fにおけるパラメトキシケイヒ酸−2−エチル
ヘキシルに代えてイソステアリン酸イソプロピルを1
6.2gとアビエチン酸を4.1gを用い、ホモミキサ
ー処理をしなかったほかは、実施例2Fと同様に内包済
み微小カプセルを製造した。
【0197】この実施例2Jで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0198】 直径1〜100μm、主に10〜50μmのカプセルの水中分散液 226g 水を除いた成分 30% 分散液中における遊離のアビエチン酸 1.0% カプセル重量中のアビエチン酸 5.7%
【0199】この実施例2Jでは、室温で固体の樹脂で
あるアビエチン酸をイソステアリン酸イソプロピルに溶
かしてカプセルに内包させることができた。
【0200】また、上記実施例2Jで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、およそ粒径8μm以上のカプ
セルは破裂した。特に粒径が8〜15μmのカプセルは
破裂した状態では、芯物質がカプセルから滲出した様子
が観察され、壁膜と芯物質とがそれぞれ丸くなり8の字
状になっていることが観察された。
【0201】実施例2K 実施例2FにおけるN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’
−ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ〕プロピル加
水分解コラーゲンに代えて、ペプタイド部分の数平均分
子量が約1000のN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’
−ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ〕プロピル加
水分解シルクタンパク(フィブロイン)15gを用いた
ほかは、実施例2Fと同様に内包済み微小カプセルを製
造した。
【0202】この実施例2Kで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0203】 直径1〜100μm、主に10〜50μmのカプセルの水中分散液 375g 水を除いた成分 20% 分散液中における遊離のアビエチン酸 1.0% カプセル重量中のアビエチン酸 5.5%
【0204】この実施例2Kでは、実施例2Jとは異な
り、加水分解シルクタンパク(フィブロイン)を親水基
とする化合物(A)を用いたが、実施例2Jと同様に内
包済み微小カプセルを製造することができた。
【0205】また、上記実施例2Kで得られた内包済み
微小カプセルを上記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、およそ粒径8μm以上のカプ
セルは破裂した。特に粒径が8〜15μmのカプセルは
破裂した状態では、芯物質がカプセルから滲出した様子
が観察され、壁膜と芯物質とがそれぞれ丸くなり8の字
状になっていることが観察された。
【0206】実施例2Lヒマシ油の内包済み微小カプセルの製造
【0207】実施例2Fにおけるパラメトキシケイヒ酸
−2−エチルヘキシルに代えてヒマシ油を10.5g用
い、メチルトリエトキシシランは38.2g用い、フェ
ニルトリエトキシシランは10.3g用いたほかは、実
施例2Fと同様に内包済み微小カプセルを製造した。
【0208】この実施例2Lで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0209】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 300g 水を除いた成分 15% 分散液中における遊離のヒマシ油 1.5% カプセル重量中のヒマシ油 20%
【0210】この実施例2Lでは、室温で粘稠な油であ
るヒマシ油の内包済み微小カプセルを製造することがで
きた。
【0211】また、上記実施例2Lで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0212】実施例2M 実施例2においてメチルトリエトキシシランを17.0
gとフェニルトリエトキシシランを4.6g加え、同時
にオクタデシルジメチル−(3−トリメトキシシリルプ
ロピル)アンモニウムクロライドを0.5g加え、かつ
実施例2におけるN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−
トリヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解
コラーゲンに代えてペプタイド部分の数平均分子量が約
2000のN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒド
ロキシメチルシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解コ
ラーゲンを16.7g用いたほかは、実施例2と同様に
内包済み微小カプセルを製造した。
【0213】この実施例2Mで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0214】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 370g 水を除いた成分 11.9% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル0.14% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 21.4%
【0215】この実施例2Mでは、壁膜を構築するオル
ガノポリシロキサンのモノマー成分の一つとしてカチオ
ン基を有する化合物(A)を用いて内包済み微小カプセ
ルを製造することができた。
【0216】また、上記実施例2Mで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0217】実施例2Nパルミチン酸レチノールの内包済み微小カプセルの製造
【0218】実施例2におけるパラメトキシケイヒ酸−
2−エチルヘキシルに代えてパルミチン酸レチノールを
4.6gとイソステアリン酸イソプロピルを4.6g用
いたほかは、実施例2と同様に内包済み微小カプセルを
製造した。
【0219】この実施例2Nで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0220】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 310g 水を除いた成分 14.8% 分散液中における遊離のパルミチン酸レチノール 0.1% カプセル重量中のパルミチン酸レチノール 9.9%
【0221】この実施例2Nでは、粘稠なパルミチン酸
レチノールをイソステアリン酸イソプロピルに溶かして
内包済み微小カプセルを製造することができた。
【0222】また、上記実施例2Nで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0223】実施例2O酢酸トコフェノールの内包済み微小カプセルの製造
【0224】実施例2におけるパラメトキシケイヒ酸−
2−エチルヘキシルに代えて酢酸トコフェノールを4.
6gとイソステアリン酸イソプロピルを4.6g用いた
ほかは、実施例2と同様に内包済み微小カプセルを製造
した。
【0225】上記実施例2Oで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0226】 直径0.3〜10μm、主に2〜7μmのカプセルの水中分散液 324g 水を除いた成分 14.3% 分散液中における遊離の酢酸トコフェロール 0.1% カプセル重量中の酢酸トコフェロール 9.8%
【0227】この実施例2Oでは、ビタミンEの誘導体
である酢酸トコフェロールの内包済み微小カプセルを製
造することができた。
【0228】また、上記実施例2Oで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、およそ粒径8μm以上のカプ
セルは破裂した。特に粒径が8〜10μmのカプセルは
破裂した状態では、芯物質がカプセルが滲出した様子が
観察され、壁膜と芯物質とがそれぞれ丸くなり8の字状
になっていることが観察された。
【0229】実施例3 実施例2におけるトリメチルクロロシランの処理前に、
18%塩酸3.0gを反応液に入れておき、オクタデシ
ルジメチル−(3−トリメトキシシリルプロピル)アン
モニウムクロライド10.6gを加え、25%水酸化ナ
トリウム水溶液2.4gを加えて中和したほかは、実施
例2と同様に内包済み微小カプセルを製造した。
【0230】この実施例3で得られた内包済み微小カプ
セルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したとこ
ろ以下の通りであった。
【0231】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 820g 水を除いた成分 61.1% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 1% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 76%
【0232】この実施例3の内包済み微小カプセルの製
造工程において、オクタデシルジメチル−(3−トリメ
トキシシリルプロピル)アンモニウムクロライドの添加
とそれに続く中和の一連の処理およびメチルトリクロロ
シランの添加とそれに続く中和の一連の処理を省略する
と、肉眼による観察では本実施例のものと差がなかった
が、顕微鏡観察によると微小カプセル粒子同士がくっつ
きあって一部凝集が認められた。しかし、本実施例では
そのような凝集は認められなかった。
【0233】また、上記実施例3で得られた内包済み微
小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂する
か否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0234】実施例4N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシメチ
ルシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン、
メチルトリエトキシシランおよびフェニルトリエトキシ
シランの加水分解物共縮重合体からなるオルガノポリシ
ロキサンを壁膜とするパラメトキシケイヒ酸−2−エチ
ルヘキシルの内包済み微小カプセルの製造
【0235】1)プレポリマーの調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水405gとN−
〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシメチルシ
リル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン(加水
分解コラーゲンの分子量は数平均分子量で約2000)
45gおよび18%塩酸10.8gを入れておき、50
℃で攪拌しながらメチルトリエトキシシラン137.7
gとフェニルトリエトキシシラン37.1gの混合物を
滴下ロートから滴下した。
【0236】さらに、50℃で6時間攪拌した後、攪拌
を続けながら25%水酸化ナトリウム水溶液8.7gを
滴下し、pHを7.0にした後、50℃で1時間攪拌し
た。
【0237】2)芯物質の添加と乳化 1)で調製した反応液を600rpmで攪拌しながらパ
ラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル126.9g
を加え、さらに、600rpmで4時間攪拌を続けた。
【0238】3)微粒化 2)で調製した反応液の約半分をホモミキサーの容器に
移して、50℃、6000rpmで90分間ホモミキサ
ーにかけた。さらに、この処理液を50℃、1500k
g/cm2 で5回マイクロフルイダイザー〔マイクロフ
ルイデックス・インターナショナル・コーポレーション
製のM110−E/H(商品名)〕にかけて、微粒化し
た。
【0239】4)凝集防止と壁膜の硬化処理 3)で調製した反応液を元の反応容器で50℃、600
rpmで攪拌しながらトリメチルクロロシラン1.0g
を加えた後、直ちに25%水酸化ナトリウム水溶液1.
48gを滴下した。反応液の温度を徐々に上げて還流さ
せた。アルコールを含む蒸気を留去し、さらに150r
pmで攪拌しながら6時間加熱還流させた。この反応液
を室温で150rpmで攪拌しながら冷却して内包済み
微小カプセルを得た。
【0240】この実施例4で得られた内包済み微小カプ
セルの分散液を前記分析法1〜4および分析法6に準じ
て分析したところ以下の通りであった。なお、この実施
例4では、微粒化を上記のようにマイクロフルイダイザ
ーを用いて行ったので、得られた内包済み微小カプセル
はナノカプセルの領域のものになった。そのため、この
実施例4で得られた内包済み微小カプセルに関しては、
分析法5による光学顕微鏡を用いてその目視による観察
では粒度分布を求めることができず、分析法6のSAL
D−2000(商品名)による粒度分布の測定を行っ
た。
【0241】 直径0.3〜1μm、主に0.4〜0.7μmのカプセルの水中分散液250g 水を除いた成分 20% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 0.1% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 50%
【0242】また、上記実施例4で得られた内包済み微
小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂する
か否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0243】実施例4A 実施例4の2)の「芯物質の添加と乳化」で調製した反
応液の残り約半分を3)の「微粒化」でのマイクロフル
イダイザーによる微粒化処理を行うことなく仕上げたほ
かは、実施例4と同様にして内包済み微小カプセルを製
造した。
【0244】この実施例4Aで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜4および分析法6に準
じて分析したところ以下の通りであった。
【0245】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 250g 水を除いた成分 20% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 0.1% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 50%
【0246】上記実施例4Aで得られた内包済み微小カ
プセルを上記試験法1に準じてカプセルが破裂するか否
かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0247】前記実施例4のようにマイクロフルイタイ
ザー処理を取り入れた場合には、ナノカプセルに属する
粒径の内包済み微小カプセルが得られたが、同じバッチ
の中間生成物についてマイクロフルイタイザー処理しな
かった実施例4Aでは実施例4のようなナノカプセルは
得られず、マイクロカプセルに属する粒径の内包済み微
小カプセルしか得ることができなかった。
【0248】実施例5内包済み微小カプセルのスプレードライ処理
【0249】1)プレポリマーの調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水210gとN−
〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシメチルシ
リル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン(加水
分解コラーゲンの分子量は数平均分子量で約2000)
90gおよび18%塩酸21.8gを入れておき、50
℃で攪拌しながらメチルトリエトキシシラン45.9g
とヘキシルトリメトキシシラン10.5gの混合物を滴
下ロートから滴下した。さらに、50℃で6時間攪拌し
た後、攪拌を続けながら25%水酸化ナトリウム水溶液
22gを滴下し、pHを7.0にした後、50℃で1時
間攪拌した。
【0250】2)芯物質の添加と乳化 1)で調製した反応液を600rpmで攪拌しながらパ
ラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル389gを加
え、さらに、600rpmで4時間攪拌を続けた。
【0251】3)微粒化 2)で調製した反応液をホモミキサーの容器に移して、
50℃、6000rpmで90分間ホモミキサーにかけ
て、微粒化した。
【0252】4)硬化処理 3)で調製した反応液を元の反応容器でさらに150r
pmで攪拌しながら2時間加熱還流させた。この反応液
を室温で150rpmで攪拌しながら冷却して内包済み
微小カプセルを得た。
【0253】この実施例5で得られた内包済み微小カプ
セルの分散液を前記分析法5に準じて分析したところ、
直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中
分散液であった。
【0254】5)スプレードライ 4)で得た生成物の一部をスプレードライ処理したとこ
ろ粉末になった。この粉末0.1gを水10mlに入れ
てよく攪拌して分散し分析法5に準じて観察したとこ
ろ、スプレードライする前と同様の観察結果であった。
【0255】実施例5A内包済み微小カプセルの凍結乾燥処理
【0256】実施例5の4)で得た生成物の一部をスプ
レードライ処理せずに凍結乾燥処理したところ粉末にな
った。この粉末0.1gを再び水10mlに入れてよく
攪拌して分散し分析法5に準じて観察したところ、スプ
レードライする前と同様の観察結果であった。
【0257】実施例6内包済み微小カプセルの遠心分離器を用いた精製
【0258】実施例2におけるフェニルトリエトキシシ
ランに代えてヘキシルトリメトキシシランを8.7g用
い、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキ
シシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲンに
代えてN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキ
シメチルシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラー
ゲン(加水分解コラーゲンの分子量は数平均分子量で約
2000)を15g用い、メチルトリエトキシシランは
38.3g用い、パラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘ
キシルは35.3g用い、メチルトリクロロシランによ
る処理をしなかったほかは、実施例2と同様に内包済み
微小カプセルを製造した。
【0259】得られた内包済み微小カプセルを遠心分離
し(4000rpm、10分)、上澄みを除去した後、
沈殿物に対して2〜5容の水を加え再び懸濁した後、再
び遠心分離(4000rpm、10分)した。この操作
を3回繰り返し、濃度を調節した内包済み微小カプセル
を得た。
【0260】この実施例6で得られた内包済み微小カプ
セルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したとこ
ろ以下の通りであった。
【0261】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルの水中分散液 150g 水を除いた成分 44% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 0.1% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 50% 遠心分離器処理前の分散液中のNaCl 0.34% 遠心分離器処理後の分散液中のNaCl 0.02%
【0262】このように、遠心分離器処理によってNa
Clが減少することが確認された。
【0263】実施例6A実施例2Fで得られた内包済み微小カプセルの限外濾過
による精製
【0264】実施例2Fで得られた内包済み微小カプセ
ルの一部を限外濾過した後、残留物に対して2〜5容の
水を加え再び分散した後、再び限外濾過した。この操作
を3回繰り返し濃度を調節した内包済み微小カプセルを
得た。
【0265】この実施例6Aで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したと
ころ以下の通りであった。
【0266】 直径1〜10μm、主に3〜7μmのカプセルの水中分散液 200g 水を除いた成分 20% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 0.1% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 50% 限外濾過処理前の分散液中のNaCl 0.38% 限外濾過処理後の分散液中のNaCl 0.03%
【0267】このように、限外濾過処理によってNaC
lが減少することが確認された。
【0268】実施例7N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシメチ
ルシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン、
ジメチルジエトキシシランおよびヘキシルトリメトキシ
シランの加水分解物共縮重合体からなるオルガノポリシ
ロキサンを壁膜とするW/O型内包済み微小カプセルの
製造
【0269】1)プレポリマーの調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水131gとN−
〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジメチルヒドロキシシ
リル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン(加水
分解コラーゲンの分子量は数平均分子量で約400)9
gおよび18%塩酸8gを入れておき、50℃で攪拌し
ながらジメチルジエトキシシラン20.6gとヘキシル
トリメトキシシラン57.3gの混合物を滴下ロートか
ら滴下した。
【0270】さらに、50℃で6時間攪拌した後、攪拌
を続けながら25%水酸化ナトリウム水溶液6.3gを
滴下し、pHを7.0にした後、50℃で1時間攪拌し
た。
【0271】2)油相の添加と反転乳化 1)で調製した反応液を600rpmで攪拌しながらト
ルエン150gを加え、さらに、600rpmで4時間
攪拌し続けた。
【0272】3)微粒化 2)で調製した反応液をホモミキサーの容器に移して、
50℃、6000rpmで90分間ホモミキサーにかけ
て、微粒化した。
【0273】4)凝集防止と壁膜の硬化処理 3)で調製した反応液を元の反応容器で50℃、600
rpmで攪拌しながらトリメチルクロロシラン3gを加
えた後、直ちに25%水酸化ナトリウム水溶液4.4g
を滴下し、600rpmで攪拌しながら徐々に反応液の
温度を上げて還流させながら85%の水を留去した。さ
らに150rpmで攪拌しながら6時間加熱還流させ
た。この反応液を室温で150rpmで攪拌しながら冷
却して内包済み微小カプセルを得た。
【0274】この実施例7で得られた内包済み微小カプ
セルの分散液を前記分析法5に準じて分析したところ以
下の通りであった。
【0275】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルのトルエン中分散液として 241g
【0276】この分散液をガラス板上に塗布しトルエン
が蒸発して形成された膜をひっかくと水滴がガラス面上
に観察された。また、この分散液を水と混ぜ合わせた
後、静置すると2層に分離し、カプセルはトルエン層に
分散した。このことから表面が疎水性で水を内包する微
小カプセルを製造することができたことがわかった。
【0277】実施例7A 実施例7におけるヘキシルトリメトキシシランの使用量
を573.3gから86.0gに変更し、かつジメチル
ジエトキシシランの使用をやめ、2)の油相の添加と反
転乳化の際に、使用したトルエンに代えてイソステアリ
ン酸イソプロピル160gを用い、かつ1)で調製した
プレポリマー溶液をこのイソステアリン酸イソプロピル
に加え、4)の凝集防止と壁膜の硬化処理時に水酸化ナ
トリウムに代えて等モルの水酸化カリウムを用い、イソ
ステアリン酸イソプロピルと混合するときに同時に35
%塩化カリウム水溶液30.8gを加えたほかは、実施
例7と同様に内包済み微小カプセルを製造した。
【0278】この実施例7Aで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法5に準じ分析したところ以
下の通りであった。
【0279】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルのイソステアリン酸イソプロピ ル中分散液として 280g
【0280】この実施例7Aの分散液を水と混ぜ合わせ
たのち静置すると2層に分離し、内包済み微小カプセル
はイソステアリン酸イソプロピル層に分散していた。こ
のように、この実施例7Aでは、実施例7とは異なり、
ジアルコキシシランを用いることなくW/O型の内包済
み微小カプセルを製造することができた。
【0281】また、上記実施例7Aで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0282】実施例7B 実施例7におけるジメチルジエトキシシランとヘキシル
トリメトキシシランに代えてヘキシルトリメトキシシラ
ンを71.6gとフェニルトリエトキシシランを16.
7g用い、トルエンの添加時に同時に36%L−アスコ
ルビン酸水溶液を34.4g加え、ホモミキサーで処理
する前に50%の水を留去したほかは、実施例7と同様
に内包済み微小カプセルを製造した。
【0283】この実施例7Bで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法5に準じて分析したところ
以下の通りであった。
【0284】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルのトルエン中分散液として 216g
【0285】この実施例7Bの分散液をガラス板上に塗
布しトルエンが蒸発してできた膜をひっかくと水滴がガ
ラス面上に観察された。この分散液を水と混ぜ合わせた
のち静置すると、2層に分離し、内包済み微小カプセル
はトルエン層に分散していた。
【0286】また、上記実施例7Bで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0287】実施例7C 実施例7におけるトルエンに代えてジイソブチルアジペ
ートを235g用い、このジイソブチルアジペートを加
えるときに同時に2−リン酸−L−アスコルビルマグネ
シウムの10%水溶液106gを加え、実施例6に準じ
て遠心分離により精製し、ホモミキサーで処理した後
に、ほとんどの水を40℃、減圧で留去した後、常圧の
加熱で残りの水を留去したほかは、実施例7と同様に内
包済み微小カプセルを製造した。
【0288】この実施例7Cで得られた内包済み微小カ
プセルの分散液を前記分析法5に準じて分析したところ
以下の通りであった。
【0289】 直径0.3〜5μm、主に1〜2μmのカプセルのジイソブチルアジペート中分 散液として 324g
【0290】また、この実施例7Cで得られた分散液2
0gにn−ヘキサン200mlを加え、100mlの水
で抽出し(株)島津製作所製紫外線・可視分光光度計U
V−1600(商品名)で測定したところ、加えた2−
リン酸−L−アスコルビルマグネシウムの10%が遊離
していることがわかった。さらに、この実施例7Cで得
られた分散液2gに50mlのクロロホルムを加え50
℃で1時間攪拌したところカプセルが破壊され、これを
100mlの水で抽出し紫外線分光光度計で測定したと
ころ、加えた2−リン酸−L−アスコルビルマグネシウ
ムの95%が回収されていることがわかった。この結
果、取り込み率が85%であることがわかった。さら
に、遊離の2−リン酸−L−アスコルビルマグネシウム
は水で抽出し洗浄することにより除去できることが明ら
かになった。
【0291】この実施例7Cの分散液を水と混ぜ合わせ
たのち静置すると、2層に分離し、内包済み微小カプセ
ルはジイソブチルアジペート層に分散していた。
【0292】また、上記実施例7Cで得られた内包済み
微小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂す
るか否かを調べたところ、カプセルの破裂はなかった。
【0293】実施例8N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシメチ
ルシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン、
テトラエトキシシランおよびC8 17CH2 CH2 Si
(OCH3 3 〔信越化学工業(株)製のKBM−78
03(商品名)〕の加水分解物共縮重合体からなるオル
ガノポリシロキサンを壁膜とする液状パーフルオロエー
テルの内包済み微小カプセルの製造
【0294】1)プレポリマーの調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水90gとN−〔2
−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシメチルシリ
ル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン(加水分
解コラーゲンの分子量は数平均分子量で約2000)1
0gおよび18%塩酸2.4gを入れておき、50℃で
攪拌しながらテトラエトキシシランの19.0gと前出
のKBM−7803〔商品名、信越化学工業(株)製の
8 17CH2 CH2 Si(OCH3 3 〕の3.2g
の混合物を滴下ロートから滴下した。
【0295】さらに、50℃で12時間攪拌した後、攪
拌を続けながら0.6%水酸化ナトリウム水溶液100
gを滴下し、pHを7.0にした後、50℃で1時間攪
拌した。
【0296】2)液状パーフルオロエーテルの添加と乳
化 1)で調製した反応液を500rpmで攪拌しながら液
状パーフルオロエーテルであるフォンブリンHC/R
(商品名)〔モンテフルオス社(イタリア、ミラノ)
製、平均分子量:6250、CF3 〔(OCF(C
3 )CF2 )n(OCF2 )m〕OCF3 、n/m=
20〜40〕の6.8gと前出のKBM−7803〔商
品名、信越化学工業(株)製のC8 17CH2 CH2
i(OCH3 3〕の3.2gとの混合物を加え、さら
に、500rpmで4時間攪拌を続けた。
【0297】3)微粒化 2)で調製した反応液をホモミキサーの容器に移して、
50℃、6000rpmで90分間ホモミキサーにかけ
て、微粒化した。
【0298】4)凝集防止と壁膜の硬化処理 3)で調製した反応液を元の反応容器で50℃、500
rpmで攪拌しながらトリメチルクロロシラン1.23
gを加えた後、直ちに25%水酸化ナトリウム水溶液
1.2gを滴下し、500rpmで攪拌しながら徐々に
反応液の温度を上げて還流させ、さらに150rpmで
攪拌しながら6時間加熱還流させた。この反応液を室温
で150rpmで攪拌しながら冷却して乳白色分散液と
して内包済み微小カプセルを得た。
【0299】この実施例8で得られた内包済み微小カプ
セルの分散液を前記分析法1および分析法5に準じて分
析したところ以下の通りであった。
【0300】 直径5〜10μmのカプセルの水中分散液として 110g 水を除いた成分の% 17.1%
【0301】この分散液は凍結乾燥することができた。
【0302】また、上記実施例8で得られた内包済み微
小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂する
か否かを調べたところ、およそ粒径8μm以上のカプセ
ルは破裂した。特に粒径が8〜10μmのカプセルは破
裂した状態では、芯物質がカプセルから滲出した様子が
観察され、壁膜と芯物質とがそれぞれ丸くなり8の字状
になっていることが観察された。
【0303】比較例8 1)カプセル壁膜の調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水90gとN−〔2
−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシメチルシリ
ル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン(加水分
解コラーゲンの分子量は数平均分子量で約2000)1
0gおよび18%塩酸2.4gを入れておき、50℃で
攪拌しながらテトラエトキシシランの19.0gと前出
のKBM−7803〔商品名、信越化学工業(株)製の
8 17CH2 CH2 Si(OCH3 3 〕の9.5g
の混合物を滴下ロートから滴下した。
【0304】さらに、50℃で12時間攪拌した後、攪
拌を続けながら0.6%水酸化ナトリウム水溶液100
gを滴下し、pHを7.0にした後、50℃で1時間攪
拌した。
【0305】2)液状パーフルオロエーテルの添加と乳
化 1)で調製した反応液を500rpmで攪拌しながら液
状パーフルオロエーテルであるフォンブリンHC/R
(商品名)〔モンテフルオス社(イタリア、ミラノ)
製、平均分子量:6250、CF3 〔(OCF(C
3 )CF2 )n(OCF2 )m〕OCF3 、n/m=
20〜40〕の6.8gを加え、さらに、500rpm
で4時間攪拌を続けた。
【0306】3)微粒化 2)で調製した反応液をホモミキサーの容器に移して、
50℃、6000rpmで90分間ホモミキサーにかけ
て、微粒化した。
【0307】4)凝集防止と壁膜の硬化処理 3)で調製した反応液を元の反応容器で50℃、500
rpmで攪拌しながらトリメチルクロロシラン1.23
gを加えた後、直ちに25%水酸化ナトリウム水溶液
1.2gを滴下し、500rpmで攪拌しながら徐々に
反応液の温度を上げて還流させ、さらに150rpmで
攪拌しながら6時間加熱還流させた。この反応液を室温
で150rpmで攪拌しながら冷却した。3層に分離し
た外観が観察された。
【0308】この比較例8で得られた内包済み微小カプ
セルの分散液を前記分析法5に準じて分析したところ以
下の通りであった。
【0309】顕微鏡観察で粒子は観察されなかった。 3層に分離液として 260g
【0310】上記比較例8では内包済み微小カプセルを
製造することができなかったが、前記実施例8では比較
例8で使用したパーフルオロアルカン基を有する化合物
(A)であるC8 17CH2 CH2 Si(OCH3 3
〔信越化学工業(株)製のKBM−7803(商品
名)〕の一部を芯物質と共に加えることによって、液状
パーフルオロエーテルの内包済み微小カプセルを製造す
ることができた。
【0311】実施例9ゼラチン水溶液中でのメチルトリエトキシシランの加水
分解物共縮重合体からなるオルガノポリシロキサンを壁
膜とするパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシルの
内包済み微小カプセルの製造
【0312】1)プレポリマーの調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、水120gを入れ、増粘剤とし
てゼラチン6gを加えて加温して溶解した。この液を2
0℃まで冷却し、粘度を50mPa・sに調整した。こ
の溶液に10%塩酸5.5gを加えて酸性にした後、フ
ェニルトリエトキシシラン12.8gを加え、20℃で
30分間攪拌した。次いで、メチルトリエトキシシラン
48gを加え、10分間攪拌して溶解させた。
【0313】2)芯物質の添加と乳化 1)で調製した液に、25%水酸化ナトリウム水溶液
2.5gを加えてpH7.0に調整し、直ちに、600
rpmで攪拌しながらパラメトキシケイヒ酸−2−エチ
ルヘキシル100gを加えて乳濁液とした。
【0314】3)微粒化 2)で調製した液をさらに20℃で10分間攪拌した
後、水60gを加えて希釈し、次いで、40℃、600
0rpmで60分間ホモミキサーで微粒化した。
【0315】4)凝集防止と壁膜の硬化処理 3)で微粒化した乳濁液を40℃に保ち、攪拌しながら
ヘキサメチルジシラザン1.0gを滴下し、25%水酸
化ナトリウム水溶液1.0gを加えてpH7.0にし、
反応液の温度を徐々に上げてアルコールを含む蒸気を留
去した後、6時間加熱還流させた。冷却後、内包済み微
小カプセルの分散液を得た。
【0316】5)ゼラチンと遊離のパラメトキシケイヒ
酸−2−エチルヘキシルの除去 4)で得た分散液を遠心分離器で分離し、上澄み液を捨
て、残留物に水100mlを加えて洗浄した。同様の操
作を5回行い、ゼラチンと遊離のパラメトキシケイヒ酸
−2−エチルヘキシルを除去した。最後に、残留物に水
100mlを加えて内包済み微小カプセルの分散液を得
た。
【0317】この実施例9で得られた内包済み微小カプ
セルの分散液を前記分析法1〜5に準じて分析したとこ
ろ以下の通りであった。
【0318】 直径1〜30μm、主に10〜20μmのカプセルの水中懸濁液 200g 水を除いた成分 50% 分散液中における遊離のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 4% カプセル重量中のパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル 75%
【0319】この実施例9では、ゼラチン水溶液中でメ
チルトリエトキシシランの加水分解物共縮重合体からな
るオルガノポリシロキサンを壁膜とするパラメトキシケ
イヒ酸−2−エチルヘキシルの内包済み微小カプセルを
安定して製造することができた。
【0320】また、上記実施例9で得られた内包済み微
小カプセルを前記試験法1に準じてカプセルが破裂する
か否かを調べたところ、およそ粒径8μm以上のカプセ
ルは破裂した。特に粒径が8〜15μmのカプセルは破
裂した状態では、芯物質がカプセルから滲出した様子が
観察され、壁膜と芯物質とがそれぞれ丸くなり8の字状
になっていることが観察された。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年4月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】本発明において、オルガノポリシロキサン
とは、1種または数種の化合物(B)で、そのうち
なくとも1種はm=2または3である化合物(B)を縮
重合した縮重合物をいい、その縮重合物の珪素原子上に
アルコキシ基や水酸基などが部分的に残っていてもよい
し、さらに、m=1である化合物(B)と縮重合するな
どしたあとで、その縮重合物の珪素原子上にアルコキシ
基や水酸基などが部分的に残っていてもよいし、アルコ
キシ基または水酸基がまったくなくてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】化合物(A)の加水分解を塩基性側で行う
場合、pH7.5〜11.5、特にpH8〜10で行う
のが好ましい。化合物(A)の組み合わせや濃度にもよ
るが、加水分解の塩基性が強すぎると、後で芯物質を
充分に取り込めなかったり、ガラス状物質が一部生成し
てくることがある。使用するアルカリとしては、たとえ
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ
る。特に、たとえば小麦タンパク、大豆タンパク、ゴマ
タンパクのような植物由来タンパク質の加水分解物が親
水基であるような化合物(A)の加水分解物を得ようと
する場合、化合物(A)の加水分解を塩基性側で行う方
が最終的に内包済み微小カプセルを得る際に好ましい結
果が得られる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正内容】
【0081】つぎに、内包済み微小カプセルの製造中間
物の化合物(A)による表面処理について述べる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正内容】
【0084】表面処理用の化合物(A)がトリメチルエ
トキシシランのようなアルコキシシランの場合は、乳化
に引き続きこの中性溶液をやや酸性または塩基性にして
加えた化合物(B)のアルコキシシランを一旦加水分解
する必要がある。はじめからシラノール基を有するよう
な化合物(A)をそのまま表面処理に用いる場合も、乳
化に引き続きこの中性の化合物(A)溶液をやや酸性ま
たは塩基性にして化合物(A)を加える必要がある。次
に中和を行うことによりカプセル表面に化合物(A)を
定着させる。ただし、pHの調節に当たってはカプセル
を破壊しないように注意する必要があり、酸性側での処
理ではpH3〜6.5が好ましい。塩基性側での処理で
はpH7.5〜10が好ましい。この表面処理に使用す
る化合物(A)については後に例示するが、それらに限
られることはない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0159
【補正方法】変更
【補正内容】
【0159】1)プレポリマーの調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水177mlとN−
〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシリ
ル)プロポキシ〕プロピル加水分解大豆タンパク(加水
分解大豆タンパクの分子量は数平均分子量で約350)
9.3gおよび20%水酸化ナトリウム水溶液3.5g
を加えて、50℃で攪拌しながら、メチルトリエトキシ
シラン10gとフェニルトリエトキシシラン2.7gの
混合物を滴下ロートから滴下した。さらに、50℃で6
時間攪拌した後、攪拌しながら18%塩酸3.2gを滴
下し、pHを7.0にした後、50℃で1時間攪拌し
た。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年1月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0269
【補正方法】変更
【補正内容】
【0269】1)プレポリマーの調製 上蓋に滴下ロートと還流冷却器を備え、メカニカルスタ
ーラを備えた内径12cm、容量2リットルの丸底円筒
形ガラス製反応容器に、あらかじめ水131gとN−
〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシメチル
リル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン(加水
分解コラーゲンの分子量は数平均分子量で約400)9
gおよび18%塩酸8gを入れておき、50℃で攪拌し
ながらジメチルジエトキシシラン20.6gとヘキシル
トリメトキシシラン57.3gの混合物を滴下ロートか
ら滴下した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野坂 浩司 大阪府東大阪市布市町1丁目2番14号 株 式会社成和化成内 (72)発明者 吉原 照美 大阪府東大阪市布市町1丁目2番14号 株 式会社成和化成内 (72)発明者 安達 敬 大阪府東大阪市布市町1丁目2番14号 株 式会社成和化成内 (72)発明者 新谷 博 大阪府東大阪市布市町1丁目2番14号 株 式会社成和化成内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般構造式(I) RnSiX(4−n) (I) 〔式中、nは0から3の整数で、Rは炭素原子が珪素原
    子に直接結合する有機基であり、n個のRは同じでもよ
    く、異なっていてもよい。(4−n)個のXは水酸基、
    水素、アルコキシ基、ハロゲン基、カルボキシ基、アミ
    ノ基およびシロキシ基よりなる群から選ばれる少なくと
    も1種の基である〕で示される化合物(A)群の中から
    選ばれる1種または数種の化合物(A)の加水分解物で
    あって、次の一般構造式(II) RnSi(OH)mY(4−m−n) (II) 〔式中、mは1から4の整数、nは0から3の整数、m
    +n≦4で、Rは炭素原子が珪素原子に直接結合する有
    機基であり、n個のRは同じでもよく、異なっていても
    よい。(4−m−n)個のYはアルコキシ基、水素およ
    びシロキシ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の
    基である〕で示される化合物(B)群の中から選ばれる
    1種または数種の化合物(B)を用いる場合において、
    そのうちの少なくとも1種はm=2または3であり、
    かつ連続相または分散相のうち少なくとも一方に親媒
    性であるRを少なくとも1個有する化合物(B)を直接
    縮重合して合成したオルガノポリシロキサンを壁膜とす
    ることを特徴とする内包済み微小カプセル。
  2. 【請求項2】 親水性のRを少なくとも1個有する化合
    物(B)を少なくとも1種含有することを特徴とする請
    求項1記載の内包済み微小カプセル。
  3. 【請求項3】 少なくとも1個のRが数平均分子量10
    0〜50000のポリペプタイドまたは数平均重合度1
    〜2000のポリオキシエチレンを有する化合物(B)
    を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1記
    載の内包済み微小カプセル。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の内包済
    み微小カプセルの壁膜の表面をさらに、化合物(A)で
    処理した内包済み微小カプセル。
  5. 【請求項5】 疎水性物質、親水性物質、それらの混合
    物およびフルオロカーボン性物質よりなる群から選ばれ
    る少なくとも1種を内包した請求項1〜4のいずれかに
    記載の内包済み微小カプセル。
  6. 【請求項6】 次の一般構造式(I) RnSiX(4−n) (I) 〔式中、nは0から3の整数で、Rは炭素原子が珪素原
    子に直接結合する有機基であり、n個のRは同じでもよ
    く、異なっていてもよい。(4−n)個のXは水酸基、
    水素、アルコキシ基、ハロゲン基、カルボキシ基、アミ
    ノ基およびシロキシ基よりなる群から選ばれる少なくと
    も1種の基である〕で示される化合物(A)群の中から
    選ばれる1種または数種の化合物(A)の加水分解物で
    あって、次の一般構造式(II) RnSi(OH)mY(4−m−n) (II) 〔式中、mは1から4の整数、nは0から3の整数、m
    +n≦4で、Rは有機基であり、n個のRは同じでもよ
    く、異なっていてもよい。(4−m−n)個のYはアル
    コキシ基、水素およびシロキシ基よりなる群から選ばれ
    る少なくとも1種の基である〕で示される化合物(B)
    群の中から選ばれる1種または数種の化合物(B)を用
    いる場合において、そのうち少なくとも1種はm=2
    または3であり、かつ連続相または分散相のうち少な
    くとも一方に親媒性であるRを少なくとも1個有する化
    合物(B)を直接縮重合して壁膜となるオルガノポリシ
    ロキサンを合成することを特徴とするオルガノポリシロ
    キサンを壁膜とする内包済み微小カプセルの製造方法。
  7. 【請求項7】 親水性のRを少なくとも1個有する化合
    物(B)を少なくとも1種含有することを特徴とする請
    求項6記載の内包済み微小カプセルの製造方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも1個のRが数平均分子量10
    0〜50000のポリペプタイドまたは数平均重合度1
    〜2000のポリオキシエチレンを有する化合物(B)
    を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項6記
    載の内包済み微小カプセルの製造方法。
  9. 【請求項9】 水性溶媒中における化合物(B)の縮重
    合によりプレポリマーを調製する工程を経た後、この水
    性溶媒中におけるプレポリマーと疎水性物質および/ま
    たは非水性溶媒とを混合してエマルジョンを調製する工
    程を経ることを特徴とし、その後、時間経過または加熱
    による脱水や、反応系外への脱水などにより縮重合反応
    を、さらに、進行させる請求項6〜8のいずれかに記載
    の内包済み微小カプセルの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項6〜9のいずれかに記載の内包
    済み微小カプセルの表面をさらに、化合物(A)で処理
    する内包済み微小カプセルの製造方法。
  11. 【請求項11】 疎水性物質、親水性物質、それらの混
    合物およびフルオロカーボン性物質よりなる群から選ば
    れた少なくとも1種を内包した請求項6〜10のいずれ
    かに記載の内包済み微小カプセルの製造方法。
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