JP2004331616A - 油中水型乳化組成物 - Google Patents

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Masato Yoshioka
正人 吉岡
Sueko Daikai
須恵子 大海
Takashi Adachi
敬 安達
Keiichi Uehara
計一 植原
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Seiwa Kasei Co Ltd
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Abstract

【課題】体質顔料及び/又は白色顔料粉体と着色顔料を含有する油中水型乳化組成物において、着色顔料の分散性が良く、良好な使用感を有し、化粧崩れがなく、かつ経時安定性に優れたメーキャップ化粧料用の油中水型乳化組成物を提供する。
【解決手段】シリル化ペプチドの一種以上とシラン化合物の一種以上とを、反応モル比がシリル化ペプチド:シラン化合物=1:10〜1:100の範囲で水溶液中で縮重合させることにより得られ、固形分濃度が70質量%の時の20℃における粘度が500〜20,000mPa・sの範囲内にあるシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を2.5〜30質量%、1種以上の油性物質を5〜30質量%、1種以上の表面処理された体質顔料及び/又は白色顔料2〜50質量%、1種以上の表面処理された着色顔料0.1〜5質量%および水で乳化組成物を構成する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油中水型乳化組成物に関し、さらに詳しくは、着色顔料の分散性が良く、塗布後に化粧崩れしにくく、良好な使用感を有し、しかも乳化安定性に優れたメーキャップ化粧料用の油中水型乳化組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、メーキャップ用乳化化粧料には、皮膚表面上に水分透過性の油膜を残して長時間にわたって肌を乾燥から保護する、水仕事や発汗などによって水と接触しても再乳化を起こしにくく、色むら、よれなどの化粧崩れを起こしにくいなどの理由で、油中水型乳化組成物が主に用いられている。
【0003】
しかしながら、メーキャップ用化粧料では無機顔料などの粉体を含むため、油中水型乳化組成物では安定な乳化を得ることが困難であり、乳化剤として主にポリエーテル変性シリコーンが使用されているが、無機顔料などの粉体の分散性や乳化安定性に関しては充分に満足できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、上記のような従来技術における問題点を解決し、体質顔料および/または白色顔料と着色顔料を含有する油中水型乳化組成物において、着色顔料の分散性が良く、良好な使用感を有し、化粧崩れがなく、かつ経時安定性に優れたメーキャップ化粧料用の油中水型乳化組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定のシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を乳化剤として用い、1種以上の油性物質と表面処理された体質顔料および/または白色顔料と着色顔料を含有させて乳化組成物を調製するときには、乳化安定性に優れ、着色顔料の分散性が良く、良好な使用感を有し、化粧崩れがないメーキャップ化粧料用の油中水型乳化組成物を調製できることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(E)を含有することを特徴とするメーキャップ化粧料用油中水型乳化組成物である。
(A)下記の一般式(I)
【化2】
Figure 2004331616
〔式中、R は水酸基または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R は側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端アミノ基を除く側鎖の残基を示し、R はR 以外のアミノ酸側鎖を示し、Aは結合手で−CH −、−(CH −、−(CH OCH CH(OH)CH −、−(CH S−および−(CH OCOCH CH −よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表し、xは0〜50、yは1〜100、x+yは1〜100である(ただし、xおよびyはアミノ酸の数を示すのみで、アミノ酸配列の順序を示すものではない)〕
で示されるシリル化ペプチドの一種以上と下記の一般式(II)
mSi(OH)pY(4−p−m) (II)
〔式中、mは0から2の整数で、pは2から4の整数、m+p≦4で、R は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、m個のR は同じでもよく、異なっていてもよい。(4−p−m)個のYはアルコキシ基または水素原子である〕
で表されるシラン化合物の一種以上とを、反応モル比がシリル化ペプチド:シラン化合物=1:10〜1:100の範囲で水溶液中で縮重合させた後、下記の一般式(III)
Si(OH) (III)
〔式中、3個のR は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、3個のR は同じでもよく、異なっていてもよい〕
で示されるシラン化合物を水溶液中で付加させることにより得られ、固形分濃度が70質量%の時の20℃における粘度が500〜20,000mPa・sの範囲内にあるシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物2.5〜30質量%、(B)1種以上の油性物質5〜30質量%、
(C)1種以上の表面処理された体質顔料および/または白色顔料2〜50質量%、
(D)1種以上の表面処理された着色顔料0.1〜5質量%、
(E)水40〜80質量%
【0007】
また、(C)成分の表面処理された体質顔料や白色顔料に、上記(A)の固形分濃度が70質量%の時の20℃における粘度が500〜20,000mPa・sの範囲内にあるシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物で表面処理された体質顔料や白色顔料を使用すると、体質顔料や白色顔料の分散性が向上し、乳化組成物中により安定に含有させることができる。また、(B)成分の油性物質に、環状シリコーンを使用すると皮膚に塗布したときにべたつきがより少なく、さっぱりとした感触になり使用感が向上する。さらに、(F)成分としてポリエーテル変性シリコーンを少量添加すると、体質顔料、白色顔料および着色顔料の分散性や保存安定性がより優れた油中水型乳化組成物とすることができる。なお、上記一般式(I)において、x、y、一般式(II)において、m、(4−p−m)は下付け文字である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の油中水型乳化組成物に乳化剤として用いる(A)成分のシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物は、例えば、特開2001−48732号公報、特開2001−48775号公報などに開示の方法で合成できるが、具体的に示すと下記の通りである。
【0009】
すなわち、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の一方の成分である、上記一般式(I)で表されるシリル化ペプチドは、特開平8−59424号公報および特開平8−67608号公報に開示の方法で水溶液中で容易に合成できる。
【0010】
上記一般式(I)で表されるシリル化ペプチドにおいて、R は側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端アミノ基を除く側鎖の残基であるが、上記のような側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸としては、例えば、リシン、アルギニン、ヒドロキシリシンなどが挙げられる。また、R はR 以外のアミノ酸側鎖を示すが、そのようなアミノ酸としては、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、セリン、トレオニン、バリン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、チロシン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリンなどが挙げられる。
【0011】
上記一般式(I)で表されるシリル化ペプチドにおいて、xは0〜50、好ましくは0より大きく20以下であり、yは1〜100、好ましくは1〜50、x+yは1〜100、好ましくは2〜50である。すなわち、xが上記範囲より大きくなると、側鎖のアミノ基に結合するシリル官能基が増え、ペプチドの親水性の作用が減少し、yが上記範囲より大きくなるとシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の親水性が増し、乳化安定性が劣るようになる。なお、上記のx、yやx+yは、理論的には整数であるが、ペプチド部分が加水分解ペプチドである場合は、該加水分解ペプチドが分子量の異なるものの混合物として得られるため、測定値は平均値になる。
【0012】
上記一般式(I)で表されるシリル化ペプチドのペプチド部分としては、天然ペプチド、合成ペプチド、タンパク質(蛋白質)を酸、アルカリ、酵素またはそれらの併用で部分加水分解して得られる加水分解ペプチドなどが挙げられるが、タンパクの入手の容易さやペプチド部分の数平均分子量のコントロールしやすさから、加水分解ペプチドを用いるのが好ましい。
【0013】
加水分解ペプチドとしては、例えば、コラ−ゲン(その変性物であるゼラチンも含む)、ケラチン、絹フィブロイン(シルク)、セリシン、カゼイン、コンキオリン、エラスチン、鶏、あひるなどの卵の卵黄タンパク、卵白タンパク、大豆タンパク、小麦タンパク、トウモロコシタンパク、米(米糠)タンパク、ジャガイモタンパクなどの動植物由来のタンパク、あるいは、サッカロミセス属、カンディダ属、エンドミコプシス属の酵母菌や、いわゆるビ−ル酵母、清酒酵母といわれる酵母菌より分離した酵母タンパク、キノコ類(担子菌)より抽出したタンパク、クロレラより分離したタンパクなどの微生物由来のタンパクを酸、アルカリ、酵素またはそれらの併用で部分的に加水分解して得られるペプチドが挙げられる。
【0014】
本発明の油中水型乳化組成物に用いるシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物のもう一方の成分であるシラン化合物は、上記一般式(II)に示すものであるが、この化合物は、下記一般式(IV)
nSiX(4−n) (IV)
〔式中、nは0から2の整数で、R は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、n個のR は同じでもよく、異なっていてもよい。(4−n)個のXは水酸基、アルコキシ基およびハロゲン基から選ばれる少なくとも1種の基である〕
で表されるシラン化合物を水溶液中で加水分解することにより得られる。なお、上記一般式(IV)において、n、(4−n)は下付け文字である。
【0015】
一般式(IV)で表されるシラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルオクタデシル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、3−(トリメトキシシリル)プロピルポリオキシエチレン(10)エーテル、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、メチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシランなどが挙げられる。
【0016】
上記一般式(I)で表されるシリル化ペプチドと一般式(II)で表されるシリル化合物との反応は、例えば、まず、上記一般式(I)で表されるシリル化ペプチドの水溶液を塩酸や硫酸で酸性側に調整するか、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液で塩基性側に調整し、その中に一般式(IV)で表されるシラン化合物を滴下することにより、上記一般式(IV)で表されるシラン化合物のアルコキシ基やハロゲン基などが加水分解してケイ素原子に直結する水酸基を少なくとも2個有する一般式(II)で表されるシラン化合物になり、その後、中和することによって、一般式(I)で表される親水基を有する有機シラン化合物の水酸基と一般構造式(II)で表されるシラン化合物の水酸基との縮重合が進み、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物が得られる。
【0017】
加水分解反応は、一般的にはpH1〜3で良好に進行するが、一般式(I)で表されるシリル化ペプチドによっては酸性側で不溶物が生じやすいものがあり、その際にはpH10〜11で行うのが好ましい。一般式(IV)で表されるシラン化合物としてアルコキシシラン化合物を用いるときはpH調整はアルコキシシラン化合物の滴下前のみでよいが、一般式(IV)で表されるシラン化合物としてハロゲン化シラン化合物やカルボキシシラン化合物を用いて塩基性側で反応する場合は反応中にpHが下がるので、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液などを添加してpHを10〜11に保つ必要がある。また、一般式(IV)で表されるシラン化合物としてアミノシラン化合物を用いて酸性側で反応する場合は反応中にpHが上がるので、希塩酸や希硫酸などを添加してpHを1〜3に保つ必要がある。
【0018】
反応温度は低すぎると反応が進行しにくく、高すぎると上記一般式(IV)で表されるシラン化合物のアルコキシ基やハロゲン基が急激に加水分解するので、30〜60℃が好ましい。また、反応時間は、反応量によっても異なるが、上記一般式(IV)で表されるシラン化合物を2〜6時間かけて滴下し、その後の攪拌に5〜20時間攪拌を続けるのが好ましい。
【0019】
加水分解反応の終了時点では、反応溶液が酸性または塩基性のため、反応溶液が酸性側の場合は水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液を添加し、反応溶液が塩基性側の場合は希塩酸や希硫酸などの酸水溶液を添加し攪拌して溶液を中和する。この中和によって縮重合がさらに進みシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物が得られるが、中和後の攪拌は1〜10時間程度が好ましい。
【0020】
本発明の油中水型乳化組成物に用いるシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物は、上記一般式(I)で示されるシリル化ペプチドの一種以上と上記一般式(II)で示されるシラン化合物の一種以上を、反応モル比で1:10〜1:100の範囲、より好ましくは1:10〜1:85の範囲で縮重合させる。
【0021】
すなわち、一般式(I)で表されるシリル化ペプチドと一般式(II)で表されるシラン化合物の反応モル比が上記範囲以下では、乳化組成物での乳化剤としての作用が弱く、保存安定性に優れた乳化組成物が得られない恐れがあり、また、一般式(I)で表されるシリル化ペプチドと一般式(II)で表されるシラン化合物の反応モル比が上記範囲以上になると、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物が高粘度となって取り扱いが難しくなる恐れがある。
【0022】
上記のようにして得られたシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物は、末端のシリル基に水酸基が残っているため、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物同士が凝集して高分子化する恐れがあり、さらに、加水分解によってケイ素原子に直結する水酸基が1個生じる上記一般式(III)で表されるシラン化合物を反応させる。
【0023】
上記一般式(III)で表されるシラン化合物としては、下記一般式(V)
SiZ (V)
〔式中、3個のR は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、3個のR は同じでもよく、異なっていてもよく、Zは水酸基、アルコキシ基およびハロゲン基からなる群から選ばれる基である〕
で表されるシラン化合物を水溶液中で加水分解することにより得られる。
【0024】
加水分解によってケイ素原子に直結する水酸基が1個生じる一般式(V)で表されるシラン化合物としては、例えば、ジメチルビニルクロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブチルジフェニルクロロシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、トリメチルアイオドシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシランなどが挙げられる。
【0025】
また、この他にも、ヘキサメチルジシラザンのようなケイ素原子を2個有するシリル化合物も、加水分解によってケイ素原子に直結する水酸基が1個生じるので使用することができる。
【0026】
このような加水分解によってケイ素原子に直結する水酸基が1個生じる一般式(V)で表されるシラン化合物は、ケイ素原子に直結する反応基が一つであるため、それを加水分解して得られる一般式(III)で表されるシラン化合物は、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物中に存在する水酸基と反応して、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物中の水酸基を減少させ、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物がさらに縮重合するのを防止する。すなわち、この一般式(III)で表されるシラン化合物を反応させることによって、保存安定性のよいシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物にすることができる。
【0027】
シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と一般式(III)で表されるシラン化合物との反応は、例えば、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の水溶液中に一般式(V)で表されるシラン化合物を滴下することにより、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の水酸基と一般式(III)で表されるシラン化合物の水酸基が縮合する。
【0028】
ただし、上記一般式(V)で表されるシラン化合物においてZがハロゲン基のシラン化合物は加水分解性がよいので、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物水溶液中に上記一般式(V)で表されるシラン化合物を直接滴下することによって上記反応は進行するが、上記一般式(V)で表されるシラン化合物でZがアルコキシ基のものや、ヘキサメチルジシラザンなどのケイ素原子が2個のシラン化合物では、あらかじめpH2〜3の水溶液中で加水分解して一般式(III)で表されるシラン化合物とし、その後、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物水溶液に滴下する必要がある。
【0029】
シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と上記一般式(V)で表されるシラン化合物との反応温度は30〜60℃が好ましい。また、反応時間は、反応量によっても異なるが、一般式(V)で表されるシラン化合物の滴下に30分〜2時間、その後の攪拌は1〜6時間程度が好ましい。
【0030】
攪拌終了後、反応溶液を水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で中和し、さらに1〜10時間程度攪拌を続けて反応を完結させることによって、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物が得られ、pHや濃度を調整後、固形分濃度が70質量%の時の20℃における粘度が500〜20,000mPa・sの範囲内にあるものが本発明の油中水型乳化組成物の乳化剤として用いられる。
【0031】
本発明の油中水型乳化組成物に含有させるシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を、固形分濃度が70質量%の時の20℃における粘度が500〜20,000mPa・sの範囲内のものと規定しているのは、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の固形分濃度が70質量%の時の20℃における粘度が上記範囲以下では、重合が不充分で、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の乳化能が現れない恐れがあり、粘度が上記範囲以上になると、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物に流動性がなくなり、取り扱いにくくなるからである。
【0032】
本発明の油中水型乳化組成物において、固形分濃度が70質量%の時の20℃における粘度が500〜20,000mPa・sのシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の油中水型乳化組成物中の含有量(油中水型乳化組成物への配合量)は、2.5〜30質量%が好ましく、特に5〜20質量%が好ましい。これは、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の含有量が上記範囲より少ない場合は、本発明の油中水型乳化組成物の(C)成分や(D)成分である体質顔料および/または白色顔料や着色顔料を充分に分散できない恐れがあり、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の含有量が上記範囲より多くなっても、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の増加に伴う分散力の向上が認めらない。そして、油中水型乳化組成物の調製にあたっては、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0033】
本発明の油中水型乳化組成物の(B)成分の油性物質は、化粧品に用いられるものなら特に制限はなく、例えば、高級脂肪酸類、炭化水素類、エステル油類、ロウ類、動植物油類、高級アルコール類、シリコーン油類などが挙げられる。
【0034】
高級脂肪酸類としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられ、炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、イソパラフィン、スクワラン、セレシン、ワセリンなどが挙げられ、エステル油類としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸−2−ヘキシルデシル、ステアリン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイルなどが挙げられる。
【0035】
また、ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ラノリンなどが挙げられ、動植物油類としては、例えば、オリーブ油、アーモンド油、アボガド油、ナタネ油、ひまし油、パーム油、大豆油、ヤシ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、椿油、茶実油、ヒマワリ油、ミンク油、牛脂、タラ肝油、魚油などが挙げられ、高級アルコール類としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコールなどが挙げられる。
【0036】
シリコーン油類としては、例えば、メチルポリシロキサン、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルキルポリシロキサンなどのほか、後述する環状シリコーン類が挙げられる。
【0037】
(B)成分の油性物質の油中水型乳化組成物中の含有量(油中水型乳化組成物への配合量)としては、5〜30質量%が好ましく、特に15〜25質量%が好ましい。これは、油性物質の油中水型乳化組成物中の含有量が上記範囲より少なくても多くなっても、均一な乳化組成物を調製することが難しくなるためである。そして、油中水型乳化組成物の調製にあたっては、油性物質は単独で用いてもよいし2種以上を混合して用いてもよいが、油性物質の1種に環状シリコーンを使用すると、皮膚に塗布したときにべたつきが軽減され、さっぱりとした感触になり使用感がさらに向上する。
【0038】
環状シリコーンは、下記一般式(VI)
【化3】
Figure 2004331616
で表され、揮発性を有するため、化粧料に使用した場合、皮膚上に残らず、油性感がなく、さっぱりした感触を与えることができるが、本発明の油中水型乳化組成物に使用するものとしては、上記一般式(VI)において、kが4、5、6のものが使用感の点で好適である。
【0039】
そして、環状シリコーンの油中水型乳化組成物中の含有量(油中水型乳化組成物への配合量)としては、5〜30質量%が好ましく、特に8〜25質量%が好ましい。これは、環状シリコーンの油中水型乳化組成物中の含有量が上記範囲より少ない場合は、化粧料にさっぱりとした使用感を付与できないためであり、環状シリコーンの含有量が上記範囲より多くなっても、含有量の増加に見合う効果の向上が認められないからである。そして、油中水型乳化組成物の調製にあたっては、環状シリコーンは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0040】
本発明の油中水型乳化組成物の(C)成分である表面処理された体質顔料および/または白色顔料は、化粧品に一般的に用いられ体質顔料または白色顔料の表面を処理して撥水性を付与したものであり、粉体の具体例としては、マイカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、硫酸バリウムなどの体質顔料、二酸化チタン、酸化亜鉛などの白色顔料が挙げられる。そして、体質顔料および白色顔料の表面処理剤としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのシリコーン、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、金属石鹸、アルキルリン酸エステル、フッ素化合物などが挙げられるが、本発明の油中水型乳化組成物の(A)成分であるシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物で体質顔料および白色顔料の表面を処理した顔料は油中水型乳化組成物中での安定性に優れ、特に好適である。
【0041】
シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物での体質顔料や白色顔料の表面処理は、体質顔料や白色顔料100質量部に対してシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を1〜30質量部使用し、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を有機溶媒に溶解した溶液に体質顔料や白色顔料を投入し、攪拌混合後、溶媒を除去する方法、体質顔料や白色顔料とシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を混合した後、ボールミル、ジェットミルなどで粉砕混合する方法などの公知の粉体処理法を利用できる。なお、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物よる体質顔料や白色顔料の表面処理においては、一般式(I)で表されるシリル化ペプチドと一般式(II)で表されるシラン化合物の縮重合した段階のもの、すなわち、一般式(III)で表されるケイ素原子に直結する水酸基が1個生じるシラン化合物を反応させる前の状態のシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物が顔料表面と結合しやすく、体質顔料や白色顔料の表面処理剤として好ましい。
【0042】
表面処理された体質顔料および/または白色顔料の油中水型乳化組成物中の含有量(油中水型乳化組成物への配合量)は、2〜50質量%が好ましく、特に5〜20質量%が好ましい。それは、表面処理された体質顔料および/または白色顔料の油中水型乳化組成物中の含有量が上記範囲より少ない場合は、皮膚に塗布した際の感触が悪くなったり、(D)成分の着色顔料の色合いを充分に引き出せない恐れがあり、表面処理された体質顔料および/または白色顔料の油中水型乳化組成物中の含有量が上記範囲より多くなると、乳化組成物が固化しやすくなったり、皮膚に塗布した際の感触が悪くなったりする恐れがあるからである。そして、油中水型乳化組成物の調製にあたっては、表面処理された体質顔料および/または白色顔料は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0043】
本発明の油中水型乳化組成物の(D)成分である表面処理された着色顔料は、化粧品に一般的に用いられる着色顔料の表面を処理して撥水性を付与したもので、着色顔料の具体例としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青などが挙げられ、着色顔料の表面処理剤としては、前記体質顔料および白色顔料の表面処理剤として例示したものが挙げられる。
【0044】
表面処理された着色顔料の油中水型乳化組成物中の含有量(油中水型乳化組成物への配合量)は、0.1〜5質量%が好ましく、特に0.5〜2質量%が好ましい。それは、着色顔料の油中水型乳化組成物中での含有量が上記範囲以下であると充分な着色ができず、着色顔料の油中水型乳化組成物中での含有量が上記範囲以上になると、色が濃すぎてメーキャップ化粧料としては不向きなものになる恐れがあるからである。そして、油中水型乳化組成物の調製にあたっては、着色顔料は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0045】
本発明の油中水型乳化組成物は、上記のように、(A)特定のシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物、(B)1種以上の油性物質、(C)1種以上の表面処理された体質顔料および/または白色顔料、(D)1種以上の表面処理された着色顔料、および(E)水で構成されるが、さらに、(F)ポリエーテル変性シリコーンを少量含有させると、体質顔料、白色顔料および着色顔料の分散性や保存安定性がより優れた油中水型乳化組成物にすることができる。
【0046】
ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、下記の一般式(VII)
【化4】
Figure 2004331616
で表されるが、本発明の油中水型乳化組成物に使用するものとしては、上記一般式(VII)において、rは300〜500、sは8〜12、tが0〜30、uが0〜30のものが乳化力の点から好ましい。
【0047】
(F)成分のポリエーテル変性シリコーンの油中水型乳化組成物中の含有量(油中水型乳化組成物への配合量)は、0.01〜2質量%が好ましく、特に0.05〜1質量%が好ましい。それは、ポリエーテル変性シリコーンの油中水型乳化組成物中での含有量が上記範囲以下であると油中水型乳化組成物中でのポリエーテル変性シリコーンの乳化力が充分に発揮できず、ポリエーテル変性シリコーンの油中水型乳化組成物中での含有量が上記範囲以上になっても、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物が乳化剤として使用されているため、含有量の増加に見合う効果の増加が望めないからである。
【0048】
本発明の油中水型乳化組成物は、(A)特定のシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物、(B)1種以上の油性物質、(C)1種以上の表面処理された体質顔料および/または白色顔料、(D)1種以上の表面処理された着色顔料、および(E)水、場合によっては、さらに(F)ポリエーテル変性シリコーンを含有させることによって構成されるが、油中水型乳化組成物の製造に当たっては、(A)成分〜(E)成分、場合によってはこれに(F)成分を混合し、水を徐々に添加しながら攪拌することによって調製できるが、体質顔料、白色顔料および着色顔料の分散性を高める面から、(A)成分と(B)成分を混合して(E)成分の一部を徐々に添加しながら攪拌して乳化ベースを調製し、(C)成分を加えて攪拌混合した乳化物に、(D)成分の着色顔料を成分(B)、場合によっては成分(B)と成分(F)に溶解混合したものを添加混合攪拌する調製法が好ましい。
【0049】
本発明の油中水型乳化組成物は、(A)特定のシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物、(B)1種以上の油性物質、(C)1種以上の表面処理された体質顔料および/または白色顔料、(D)1種以上の表面処理された着色顔料、および(E)水、場合によっては、さらに(F)ポリエーテル変性シリコーンを加えることで調製されるが、本発明の油中水型乳化組成物の安定性を損なわない範囲で、化粧品に配合できる各種成分を含有させることができる。
【0050】
そのような成分としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性ポリマー、両性ポリマー、アニオン性ポリマー、増粘剤、ポリサッカライドまたはその誘導体、動植物および微生物由来のタンパク質の加水分解ペプチドやその誘導体、アミノ酸、保湿剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、消炎剤、ビタミン、ホルモンなどの薬剤、pH調整剤、金属封鎖剤、香料などが挙げられる。
【0051】
【発明の効果】
本発明の油中水型乳化組成物は、乳化安定性に優れ、着色顔料の分散性が良く、良好な使用感を有し、化粧崩れがないなどメーキャップ化粧料用油中水型乳化組成物として最適である。
【0052】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例に先立ち、実施例で使用するシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の製造方法を参考例として示す。また、以下の参考例、実施例、比較例などにおいて溶液や分散液の濃度を示す%は質量%である。
【0053】
参考例1
N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−メチルジヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解セリシン−ジメチルジエトキシシラン−オクチルトリエトキシシラン共重合組成物〔1:25:25(モル比)〕の製造
内径12cm、容量2リットルの丸底円筒形ガラス製反応容器に、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−メチルジヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解セリシン(加水分解セリシンの分子量は数平均分子量で約500)の10%水溶液200gと18%塩酸11.5gを加えてpHを1.5にし、60℃に加温した。つぎに400rpmで攪拌しながら、ジメチルジエトキシシラン(信越シリコーン社製KBE−22)99.1gとオクチルトリエトキシシラン(日本ユニカー社製A−137)184.7gの混液を5時間かけて滴下した。滴下終了後、60℃で更に15時間攪拌を続けた。つぎに、攪拌しながら20%水酸化ナトリウム水溶液10.2gを徐々に滴下してpHを6に調整し、さらに60℃で1時間攪拌した。この反応液を60℃、400rpmで攪拌しながらトリメチルクロロシラン(信越シリコーン社製KA−31)11.6gを加えた後、60℃で1時間攪拌した。ついで20%水酸化ナトリウム水溶液19.7gを滴下し、pHを6に調整した後、60℃で1時間攪拌し、さらに反応液の温度を80℃に上げ1時間攪拌した。その後、反応液をロータリーエバポレーターにて減圧濃縮して固形分濃度を70%に調整し、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−メチルジヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解セリシン−ジメチルジエトキシシラン−オクチルトリエトキシシラン共重合組成物を260g得た。
【0054】
このようにして得られたN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−メチルジヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解セリシン−ジメチルジエトキシシラン−オクチルトリエトキシシラン共重合組成物の70%水溶液の20℃での粘度を、B型粘度計、ロータ3、回転数6回転で測定したところ、粘度は2,120mPa・sであった。
【0055】
参考例2
N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−メチルジヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解シルク−ジメチルジエトキシシラン−オクチルトリエトキシシラン共重合組成物〔1:40:40(モル比)〕の製造
内径12cm、容量2リットルの丸底円筒形ガラス製反応容器に、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−メチルジヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解シルク(加水分解シルクの分子量は数平均分子量で約600)の10%水溶液127.3gと18%塩酸4.8gを加えてpHを1.5にし、60℃に加温した。つぎに400rpmで攪拌しながら、ジメチルジエトキシシラン(信越シリコーン社製KBE−22)88.0gとオクチルトリエトキシシラン(日本ユニカー社製A−137)164.0gの混液を5時間半かけて滴下した。滴下終了後、60℃でさらに15時間攪拌を続けた。つぎに、攪拌しながら5%水酸化ナトリウム水溶液17.1gを徐々に滴下してpHを6に調整し、さらに60℃で1時間攪拌した。この反応液を60℃、400rpmで攪拌しながらトリメチルクロロシラン(信越シリコーン社製KA−31)6.4gを滴下し、60℃で1時間攪拌した。ついで攪拌しながら5%水酸化ナトリウム水溶液45.7gを徐々に滴下してpHを6に調整した後、60℃で1時間攪拌し、さらに反応液の温度を80℃に上げて1時間攪拌した。その後、反応液をロータリーエバポレーターにて減圧濃縮して固形分濃度を70%に調整し、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−メチルジヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解シルク−ジメチルジエトキシシラン−オクチルトリエトキシシラン共重合組成物を209g得た。
【0056】
このようにして得られたN−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−メチルジヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解シルク−ジメチルジエトキシシラン−オクチルトリエトキシシラン共重合組成物の70%水溶液の20℃での粘度を、B型粘度計、ロータ3、回転数30回転で測定したところ、粘度は640mPa・sであった。
【0057】
実施例1および比較例1
表1に示す組成の2種類のクリームファンデーションを調製し、顔料分散性および化粧崩れの有無を評価した。
【0058】
実施例1では、参考例1で得られたシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物、油性物質として環状シリコーンのデカメチルシクロペンタシロキサンとオクタメチルシクロテトラシロキサンとイソステアリン酸イソプロピル、表面処理された体質顔料や白色顔料としてシリル化ペプチド−シラン化合物共重合体組成物で表面処理した酸化チタンやタルク、表面処理された着色顔料としてはメチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理した酸化鉄などを用いている。一方、比較例1ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を含まず、他の油性物質、表面処理された体質顔料や白色顔料、着色顔料などは実施例1と同じである。なお、実施例1の油性物質を除き、他は実施例1と同じ組成のクリームファンデーションの調製も試みたが、乳化せず、クリームファンデーションには調製できなかった。
【0059】
【表1】
Figure 2004331616
【0060】
表1中、*1の黄色カラーペーストは、メチルハイドロジェンポリシロキサン表面処理黄酸化鉄、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体の混合物で、セイワサプライ(株)販売のCP YELLOW(商品名)、*2の赤色カラーペーストは、メチルハイドロジェンポリシロキサン表面処理ベンガラ、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体の混合物で、セイワサプライ(株)販売のCP RED−7S(商品名)、*3の赤色カラーペーストは、メチルハイドロジェンポリシロキサン表面処理ベンガラ、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体の混合物で、セイワサプライ (株)販売のCP RED−RL(商品名)、*4の黒色カラーペーストは、メチルハイドロジェンポリシロキサン表面処理黒酸化鉄、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体の混合物で、セイワサプライ(株)販売のCP BLACK(商品名)である。
【0061】
上記実施例1および比較例1のクリームファンデーションを適量スライドグラスにとり、その上にカバーガラスをのせて顔料の分散性(凝集の有無)を目視で観察したところ、実施例1のクリームファンデーションは顔料の凝集がなく均一であったが、比較例1のクリームファンデーションは顔料が均一に分散していず凝集が見られ、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合体組成物を含有する実施例1のクリームファンデーションは顔料分散性に優れていることが明らかであった。
【0062】
つぎに、上記実施例1および比較例1のクリームファンデーションの化粧崩れの有無を専門パネラー10名により評価した。評価の方法は、それぞれの固形ファンデーションを被験者の左右の頬に塗布し、5時間後の塗布膜の状態を目視によってパネラーに観察させ、塗布膜のむらおよび塗布膜の喪失が認められた場合を「化粧崩れあり」と判定させた。その結果を表2に、「化粧崩れあり」と判定したパネラーの人数で示す。
【0063】
【表2】
Figure 2004331616
【0064】
表2に示す結果から、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合体組成物を含有する実施例1のクリームファンデーションは、比較例1のクリームファンデーションと比較して化粧崩れが起きにくいことが明らかであった。
【0065】
実施例2および比較例2
表3に示す組成の2種類のリキッドファンデーションを調製し、皮膚に塗布したときののびおよびしっとり感について評価し、さらにそれぞれのリキッドファンデーションの経時安定性について評価した。
【0066】
実施例2では、参考例2で得られたシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物、油性物質として環状シリコーンのデカメチルシクロペンタシロキサンとオクタメチルシクロテトラシロキサンとスクワラン、表面処理された体質顔料や白色顔料としてメチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理した酸化チタンおよびタルク、表面処理された着色顔料としてメチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理した酸化鉄などを用いている。一方、比較例2ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を含まず、他の油性物質、表面処理された体質顔料や白色顔料、着色顔料などは実施例1と同じである。なお、実施例2の油性物質を除き、他は実施例2と同じ組成のリキッドファンデーションの調製も試みたが、乳化せず、リキッドファンデーションは調製できなかった。
【0067】
【表3】
Figure 2004331616
【0068】
表3中、*5の黄色カラーペーストは、メチルハイドロジェンポリシロキサン表面処理黄酸化鉄、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体の混合物で、セイワサプライ(株)販売のCP YELLOW(商品名)、*6の赤色カラーペーストは、メチルハイドロジェンポリシロキサン表面処理ベンガラ、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体の混合物で、セイワサプライ(株)販売のCP RED−7S(商品名)、*7の赤色カラーペーストは、メチルハイドロジェンポリシロキサン表面処理ベンガラ、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体の混合物で、セイワサプライ (株)販売のCP RED−RL(商品名)、*8の黒色カラーペーストは、メチルハイドロジェンポリシロキサン表面処理黒酸化鉄、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体の混合物で、セイワサプライ(株)販売のCP BLACK(商品名)である。
【0069】
上記実施例2および比較例2のリキッドファンデーションの皮膚に塗布したときののびおよびさっぱり感について、専門パネラー10名にて評価を行った。評価の方法は、それぞれのリキッドファンデーションを左右の頬に塗布し、塗布時ののび、塗布後のさっぱり感について、どちらのリキッドファンデーションが優れているか、あるいは両者に差がないかを評価させた。その結果を表4に、実施例2が優れていると答えた人数、比較例2が優れていると答えた人数、両者に差はないと答えた人数で示す。
【0070】
【表4】
Figure 2004331616
【0071】
表4に示すように、実施例2のリキッドファンデーションは、比較例2のリキッドのファンデーションに比べて、パネラーの大多数が塗布時ののびおよび塗布後のさっぱり感が優れていると答えていて、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合体組成物を含有する実施例2のリキッドファンデーションは、優れた使用感を与えることが明らかであった。
【0072】
つぎに、上記実施例2および比較例2のリキッドファンデーションの経時安定性について評価した。評価方法は、上記実施例2および比較例2のリキッドファンデーションを50℃で1週間静置保存し、外観を目視によって観察し、それぞれの粘度を調製翌日と調製1週間後に測定することによって行った。粘度の測定は、試料を25℃に調整した後、B型粘度計で25℃、ロータ3、回転数30回転、測定時間1分で3回測定し、3回の平均値を粘度の測定値とした。これらの結果を表5に示す。
【0073】
【表5】
Figure 2004331616
【0074】
表5に示す結果から明らかなように、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合体組成物を含有する実施例2のリキッドファンデーションは、比較例2のリキッドファンデーションに比べて、経時安定性に優れていた。

Claims (4)

  1. 次の成分(A)〜(E)を含有することを特徴とする油中水型乳化組成物。
    (A)下記の一般式(I)
    Figure 2004331616
    〔式中、R は水酸基または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R は側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端アミノ基を除く側鎖の残基を示し、R はR 以外のアミノ酸側鎖を示し、Aは結合手で−CH −、−(CH −、−(CH OCH CH(OH)CH −、−(CH S−および−(CH OCOCH CH −よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表し、xは0〜50、yは1〜100、x+yは1〜100である(ただし、xおよびyはアミノ酸の数を示すのみで、アミノ酸配列の順序を示すものではない)〕
    で示されるシリル化ペプチドの一種以上と下記の一般式(II)
    mSi(OH)pY(4−p−m) (II)
    〔式中、mは0から2の整数で、pは2から4の整数、m+p≦4で、R は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、m個のR は同じでもよく、異なっていてもよい。(4−p−m)個のYはアルコキシ基または水素原子である〕
    で表されるシラン化合物の一種以上とを、反応モル比がシリル化ペプチド:シラン化合物=1:10〜1:100の範囲で水溶液中で縮重合させた後、下記の一般式(III)
    Si(OH) (III)
    〔式中、3個のR は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、3個のR は同じでもよく、異なっていてもよい〕
    で示されるシラン化合物を水溶液中で付加させることにより得られ、固形分濃度が70質量%の時の20℃における粘度が500〜20,000mPa・sの範囲内にあるシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物2.5〜30質量%
    (B)1種以上の油性物質5〜30質量%
    (C)1種以上の表面処理された体質顔料および/または白色顔料2〜50質量%
    (D)1種以上の表面処理された着色顔料0.1〜5質量%
    (E)水40〜80質量%
  2. (B)成分の油性物質の1種以上が環状シリコーンである請求項1記載の油中水型乳化組成物。
  3. (C)成分がシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物で表面処理された粉体である請求項1または2記載の油中水型乳化組成物。
  4. さらに、(F)ポリエーテル変性シリコーンを0.01〜2質量%含有する請求項1、2または3に記載の油中水型乳化組成物。
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