JPH11216881A - プリンタドライバの生成方法及びプリンタドライバを用いたカラープリントシステム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プリンタドライバのカラー補正テーブルの記
憶のために必要な記憶空間の容量を最小限にする。 【解決手段】 １つのルックアップテーブル（７０）あ
るいは（７２）が、複数の媒体タイプ（５４）、（５
６）、（５８）、（６０）、（６２）、（６４）の中の
１つ以上の媒体タイプで使用されることにより、プリン
タドライバのルックアップテーブルの数を最小限にし、
ルックアップテーブルの記憶のために必要な記憶空間の
容量を最小限にする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カラープリントシ
ステムに係り、特にインクジェットプリンタのような液
体インクプリンタのプリンタドライバのカラー補正テー
ブルの数を少なくする技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】圧電型、音響型、フェーズ・チェンジ・
ワックスベース型あるいはサーマル型のような連続(con
tinuous)ストリーム型あるいはドロップ・オン・ディマ
ンド型と称されるタイプの液体インクプリンタは、イン
ク滴を記録紙へ導く（放出する）少なくとも１つのプリ
ントヘッドを有する。プリントヘッド内では、インクは
複数のチャネルに含まれ、パワーパルスによってチャネ
ル端部のオリフィスまたはノズルから必要に応じてイン
ク滴が放出される。

【０００３】サーマルインクジェットプリンタにおいて
は、パワーパルスは通常それぞれ各チャネル中に設けら
れた抵抗によって作り出され、それらの抵抗は、チャネ
ル中のインクを加熱し気化させるために各個にアドレス
指定が可能となっている。電圧が選択された抵抗に印加
されると、蒸気の泡が対応するチャネルで成長し、チャ
ネルオリフィスから膨出した後破裂する。チャネルの中
のインクは後退し、膨出するインクから切り離されるこ
とによって、チャネルオリフィスから離れて記録媒体へ
向けて移動する（放出された）インク滴が形成され、イ
ンク滴が記録媒体に衝突することによって、記録媒体に
インクのスポットあるいはドットが付着する。そして、
毛管作用によってチャネルにインクが補充され、液体イ
ンクの補給容器からインクが吸引される。サーマルイン
クジェットプリンタの動作については、例えば、米国特
許第４, ８４９, ７７４号に説明されている。

【０００４】インクジェットプリントヘッドは、キャリ
ッジ型プリンタ、パーシャルページウィドス（width)ア
レイ型プリンタ、あるいはページウィドス(width) 型プ
リンタに組み込むことができる。キャリッジ型プリンタ
は、通常、内部にインクチャネル及びノズルが設けられ
た比較的小さいプリントヘッドを有する。このプリント
ヘッドは使い捨て型インク供給カートリッジに密封性を
保って取り付けられることができ、これらのプリントヘ
ッドとカートリッジを結合したアセンブリは（ノズルの
カラムの長さと等しい）幅（swath)の情報をペーパーあ
るいは透明フィルムのような静止している記録媒体の上
に一度にプリントするために往復動するキャリッジに取
り付けられる。その幅がプリントされた後、用紙はプリ
ントされた幅またはその一部の幅と等しい距離だけ移動
し、この幅と次にプリントされる幅が連続するあるいは
重なり合うようになっている。このような動作が、ペー
ジ全体がプリントされるまで繰り返される。これに対し
て、ページウィドスプリンタは、１度に１枚の記録媒体
の幅または長さにわたってプリントするのに十分な長さ
を持つ固定プリントヘッドを有する。プリント中、記録
媒体はプリントヘッドの長さ方向にほぼ直角な方向に一
定速度でまたは速度を変えてページウィドスプリントヘ
ッドを絶え間なく通過する。ページウィドスインクジェ
ットプリンタについては、例えば、米国特許第５, １９
２, ９５９号に説明されている。

【０００５】プリンタは、通常パーソナルコンピュー
タ、スキャナー、あるいはワークステーションのような
画像出力装置から受け取ったカラー、モノクロ画像をプ
リントする。プリントカラー画像は、いくつかのカラー
インクあるいは異なる色の着色剤で一度にプリントする
ことによって生成される。プリンタによって付着させら
れるインクの色とインクの量はスキャナーまたはコンピ
ュータワークステーションのような文書生成装置から受
け取られる画像情報に従って決定される。文書生成装置
は、通常デジタル形の測色項(colorimetric term) Ｒ，
Ｇ，Ｂで定義される画像を供給する。一般に、これは文
書を記述するページ記述言語（PDL ）ファイルの一部の
場合もある。コンピュータ生成された画像の場合は、ワ
ークステーションのユーザインタフェースでユーザによ
って定義される色を最初に三刺激値の色空間で定義する
ことができる。これらの色は何らかの特定の装置に依存
しないで定義され、従って「装置に依存しない」という
情報で表現される。

【０００６】他方、プリンタは、プリンタに対してその
能力、着色剤、プリンタインクを付着させる媒体により
一意に定義されるCMYK（シアン−マゼンタ−イエロー−
キーあるいはブラック）と呼ばれる色空間に存在するも
のとして定義され得る出力を備えることがしばしばあ
る。プリンタの動作は、ページに対してインクまたは着
色剤の複数層をオーバーラップさせて付加するか、ある
いは（複数の）着色剤を隣接付着させることにより行わ
れる。プリンタのレスポンスは比較的非線形性な傾向が
ある。これらの色は特定の装置毎に定義され、従って
「装置依存である」という情報で表現される。このよう
に、プリンタは装置に依存しない色空間の情報を受け取
るので、その情報は、第一にプリンタの可能な色レン
ジ、第二にスキャナーあるいはコンピュータ生成画像に
よって定義される色に基づくカラープリンタによる画像
のプリント、を反映した装置依存の色空間でプリントす
るために変換されなければならない。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】画像の知覚色は、記録
媒体に付着した各着色剤の相対量によってだけではな
く、着色剤がプリントされる順序及び媒体のタイプによ
っても左右される。つまり、最終的なプリント画像に影
響を及ぼす変数は数多くある。従って、正確にオリジナ
ルの画像を再現するためには、装置に依存しない色空間
から、少なくとも一部は着色剤、画像濃度、媒体タイプ
及びプリント速度の複合効果によって各々決定される一
群の装置依存の色空間への変換が必要である。

【０００８】本発明の一部の態様に関連すると考えられ
る種々のカラープリントシステム及び記録媒体にカラー
画像をプリントするための方法が下記の文献に開示され
ている。

【０００９】米国特許第４, ２７５, ４１３号（サカモ
ト、他）には、カラースキャナー、カラーファクシミリ
画像生成装置等のような画像複写機のメモリにおけるカ
ラー信号の線形補間方法及び装置が開示されている。こ
のメモリ中の信号の線形補間方法は、複写機における画
像の色補正のために用いられる。

【００１０】米国特許第５, ６６４, ０７２号（ウエ
ダ、他）には、カラー画像を出力するためのデータを含
む色値データをCPU に入力するようにした色変換装置が
開示されている。色変換手段は、入力カラーデータのセ
ットをプリント制御データのセットに変換し、その際、
人間の視覚に関して一様な色空間中の歪みを修正するこ
とが好ましいとされる。

【００１１】第１１回国際プリント研究学会（Canandai
gua 、ニューヨーク、１９７１年）のコールマン（Korm
an）とユール（Yule）による「カラースキャナーにおけ
るドットエリアの計算(Digital Computation of Dot Ar
eas in a Colour Scanner)」（９３〜９６ページ）に
は、デジタルコンピュータによるカラースキャナーにお
ける使用に適した正確なカラー再生のために必要なドッ
トエリアの計算の方法が記載されている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明１つの態様は、カ
ラー液体インクプリンタ用で複数の異なる媒体タイプの
中から１つの媒体タイプを選択するためのユーザインタ
フェースを有するプリンタドライバを生成する方法であ
る。本発明のこの方法は、上記複数の異なる各媒体タイ
プ用のカラーテストパターンを生成するステップと、そ
の生成されたカラーテストパターンの１つを所望の色属
性の関数としてとして選択するステップと、その選択さ
れたカラーテストパターン用のカラールックアップテー
ブルを生成するステップ、その生成されたカラールック
アップテーブルを含むプリンタドライバを生成するステ
ップで、該生成されたカラールックアップテーブルがユ
ーザインタフェースから該複数の媒体タイプの複数（２
つ）の選択の関数として選択可能であるステップとを具
備したものである。

【００１３】本発明の他の様態は、複数の異なる媒体タ
イプから選択される選択された媒体上に画像をプリント
するためのカラープリントシステムにある。本発明のこ
のカラープリントシステムは、上記の選択された媒体上
に着色剤を付着させて該媒体上に画像をプリントするた
めのカラープリントヘッドと、該カラープリントヘッド
に接続されていて、異なるタイプの複数の媒体の中の１
つの媒体を選択するためのユーザインタフェース、及び
複数のカラールックアップテーブルを含むプリントドラ
イバで、該複数のカラールックアップテーブルの１つが
複数の媒体タイプの数の選択の関数として選択されるプ
リントドライバとを具備したものである。

【００１４】本発明を、本発明の好ましい実施形態に関
連して述べるが、本発明はその実施例に限定されないこ
とが理解されよう。また、本発明は、請求項に規定され
る本発明の精神と範囲に含まれるような全ての代替、変
更及び均等物を含むことが意図されるものである。

【００１５】

【発明の実施の形態】図１はカラーサーマルインクジェ
ットプリンタ１０を含むカラープリントシステムの斜視
図である。図示のプリンタ１０は単に一例を示したもの
に過ぎない。本発明は、他の形態のサーマルインクジェ
ットプリンタで実施することもでき、さらには、文書ラ
スタ入力スキャナーからの信号にあるいはパーソナルコ
ンピュータ１１のような計算装置から受け取った信号よ
って駆動される液体インクプリンタを含む他の複写装置
で実施することも可能である。プリンタ１０は、キャリ
ッジレール２２によって支えられたキャリッジ２０上の
プリンタカートリッジ１９に取り付けられた４つのイン
クジェットインク容器１２、１４、１６及び１８を有す
る。キャリッジレール２２はインクジェットプリンタ１
０のフレーム２４によって支えられている。これらのイ
ンク容器を具備したプリントヘッドカートリッジには、
ケーブル２７を介してプリンタ１０のコントローラ（図
示省略の）から供給される電気信号の制御のもとで選択
的にインク滴を放出する１つ以上のサーマルインクジェ
ットプリントヘッド２６に供給するためのインクが入っ
ている。プリントヘッド２６は、１つ以上のインク容器
１２、１４、１６及び１８からプリントヘッド２６の各
インク噴出オリフィスあるいはノズルへインクを供給す
る複数のインクチャネルを有する。

【００１６】プリント時には、キャリッジ２０は矢印２
８の方向にキャリッジレール２２に沿って往復動、すな
わち前後に走査する。プリントヘッド２６が、例えば、
用紙または透明フィルムが入っている入力スタック３２
から供給される記録媒体３０を横切るように前後に往復
動するのに伴って、選択されたプリントヘッドノズルか
ら記録媒体３０に向けてインク滴が放出される。インク
噴出オリフィスまたはノズルは、通常、走査方向２８に
対してほぼ直角な方向のリニアアレイとして配列され、
従って画像はプリントヘッドの複数の幅においてライン
毎に生成される。ページウィドスプリンタにおいては、
１ラインの情報が記録媒体のほぼ全幅または全長にわた
る。

【００１７】カラーでプリントする場合は、上記のよう
なリニアアレイを、セグメントに分けて、アレイのセグ
メントが互いに異なる色のインクを記録媒体に付着させ
てカラー画像を完成するようにすることも可能である。
また、プリンタが各インク毎に４つのリニアアレイを備
えるように、各インクタンクは個別のリニアノズルアレ
イに接続されるか個別のリニアノズルアレイを具備する
ことも可能である。セグメント化したアレイと個別アレ
イの組み合わせを用いることも可能である。キャリッジ
２０の毎回のパス（移動）の間、記録媒体３０は静止位
置に保たれる。各パスが終わると、記録媒体は矢印３４
の方向に移動する。プリントヘッド及びこれによるプリ
ントに関するより詳細な説明については、米国特許第
４, ５７１, ５９９号及び米国特許第Re. ３２, ５７２
号を参照すればよい。なお、これらの米国特許の関連部
分は本願に参照組込みされる。

【００１８】１枚の記録紙３０は、入力スタックから曲
面状プラテン３６と案内部材３８によって形成される経
路に沿ってプリンタへ供給される。記録紙３０は、当業
者には容易に理解されるようにして、あるいは、例えば
本願に参照組込みされる米国特許第５, ５３４, ９０２
号に説明されているようにして、駆動ローラ４０によっ
て上記経路に沿って移動させられる。記録媒体または記
録紙３０は、プラテン３６と案内部材３８との間のスロ
ットから排出させられる時、逆方向に曲げられ、プリン
トヘッド２６によるプリントのためのプラテン３６の平
らな部分によって支持されるされるようになっている。

【００１９】パーソナルコンピュータ１１のような文書
作成装置から受け取ったカラー画像をプリントするする
ためには、画像は、通常デジタル形である測式項Ｒ，
Ｇ，Ｂの電子信号で定義される画像から、通常CMY 及び
Ｋの電子信号の色空間に存在するものとして定義される
出力に変換されなければならない。このような変換を行
うためには、プリント出力の結果、オリジナルの画像が
所望の形で再現されるようにオリジナルの色空間をプリ
ンタの色空間に変換しなければならない。

【００２０】図２は、最小限の数のカラールックアップ
テーブルを生成するための本発明の一態様を示したもの
である。一つの色空間からもう一つの色空間に変換する
ために、較正信号発生器５０はプリンタ５２に複数のカ
ラー較正テストシート５４、５６、５８、６０、６２及
び６４を生成させるためのいくつかの較正信号を出力す
る。各較正テストシートは、図１のプリンタで使用され
る複数の媒体タイプの各タイプ毎にプリンタ色空間の全
体にわたって分布する１, ０００のオーダー（１０のイ
エロー濃度×１０のマゼンタ濃度×１０のシアン濃度）
の多数のカラーパッチをプリントすることによって生成
される。これらの媒体タイプには、普通紙、上質コ−ト
紙、透明フィルム、高解像度用紙、高解像度光沢紙及び
転写媒体が含まれる。他の関連するCMY コンビネーショ
ン、例えば、皮膚調、好みのグラフィックス調、あるい
はその他のメモリカラーを含めることもできる。

【００２１】各カラー較正テストシートが完成すると、
一つのテストシート中の各カラーパッチの色を、分光光
度計または濃度計のような測色計（カラーメータ）６６
で測定して、テストシート上に生成された色の特性を
Ｒ，Ｂ，Ｇに関して測定する。次に、これらの値はテス
トシート５４〜６４各々に付着したインクのカラーレン
ジのグラフィカル表現を生成するカラーレンジアナライ
ザ６８に入力される。

【００２２】以前は、高品質プリンタ出力画像を得るた
めに、インクジェットプリンタには各媒体タイプ毎に少
なくとも１つのカラー補正ルックアップテーブル（LUT
）が設けられていた。しかしながら、このようなプリ
ンタでは、すべてのルックアップテーブルが利用可能と
なる記憶空間の容量が特定の設計上の制約条件のために
不十分となる場合があるということが明らかである。こ
のことは、インク特性によって実際の色域(color gamu
t) が生成可能だとしても、色域のような所望のカラー
属性の範囲は、各媒体が異なる形で色の範囲を制限する
ような媒体によって制限されるということを考慮する場
合、特に当てはまる。さらに、記録された画像の種類に
よって出力画像の外観を変えるために色域が調整される
ことがしばしばある。例えば、写真の画像はグラフィッ
クス画像と異なる色域で通常プリントされる。その結
果、インクジェットプリンタ環境で利用可能なプリント
媒体の数と共にプリントされる画像の種類と画像の形態
とを考慮する場合、カラー補正テーブルの記憶ために必
要な記憶空間は非常に大きくなる。従って、本発明は、
液体インクプリンタによってプリントされる高品質画像
を生成するために必要なカラー補正テーブルの数を最小
限にしようとするものである。

【００２３】一例として、色範囲アナライザ６８を用い
て図３に示すような色範囲を示すグラフを作成した。３
種類の異なる媒体、すなわちＬＸ画像シリーズ用紙、無
光沢紙（マット(matte) 紙）、及び有光沢媒体に標準的
なテストパターンによりインクを付着させた。異なる各
媒体タイプで色ずれがどのように変わるかを観察するた
めに、その色範囲をCIE L*ab色空間と比較した。色の測
定はD ５０照明下でX−RITE９３８分光光度計及び２度
オブザーバを用いて行った。図３に示すように、色範囲
プロットは、色相線(hue line)が三原色のCMY とほぼ一
致すること、また二次三原色Ｒ，Ｇ，Ｂに小量の色ずれ
があることを示している。また、３次元モデリングも行
った。さらに、図４に示すように、３種類の媒体間でダ
イナミックレンジに変化が見られるということが明らか
になった。

【００２４】さらに、色域の最大範囲に対する影響を調
べるために、四面体補間法(tetrahedral interpolatio
n) と正規化色調再現曲線（normalized tone reproduct
ion curve TRC）法を用いて３つの異なるカラー補正ル
ックアップテーブルを生成した。特に、普通紙用のルッ
クアップテーブルで、最大濃度が約１. ２より小さい制
限されたダイナミックレンジのために、色域マッピング
の問題が伴い、その結果、画像がより暗くなり、陰影の
細部が欠損することが明らかになった。これらの結果に
基づいて、これらの媒体タイプの間では色域はほぼ一定
であり、ダイナミックレンジのみに変動が見られるとい
うことが明らかになった。その結果、インクのダイナミ
ックレンジは最大になるが同時に色域を損なわない、と
いうことを基準として媒体の選択が行われた。しかし、
異なる媒体で明らかな色ずれが起こる場合は、３次元カ
ラー補正ルックアップテーブルを変える代わりに、色ず
れが起きた色のTRC を調整することによって、カラー出
力を調整することができる。その結果として、この例で
は、光沢紙のLUT とマット紙のLUT を適用して、普通紙
に画像を記録した。これらの両方のLUT のプリント品質
は、特に暗色及び陰影領域で普通紙LUT より良好である
ということが明らかになった。従って、色範囲が同じ色
相ラインに対して限られており、あまり大きな色ずれが
ない場合、プリンタドライバで使用するための多数のカ
ラー補正テーブルを生成する代わりに、最少限の数のカ
ラールックアップテーブルを生成して、異なるタイプの
媒体で使用することができる。この方法によれば、ルッ
クアップテーブルがより少なく済むので、必要メモリ量
が少なくなる。

【００２５】また、本発明の装置及び方法について、L*
圧縮技術との比較も行った。普通紙について普通紙ルッ
クアップテーブルを用いてL*圧縮を適用すると、黄色方
向への色ずれが見られるが、普通紙について有光沢紙ル
ックアップテーブルを用いると、飽和損失が小さくな
り、陰影領域及び暗色が効率的にマップされた。カラー
補正テーブルはより大きい色範囲を有するルックアップ
テーブルを用いて生成されたので、この陰影細部及び暗
色についての情報は圧縮技術なしに得られる。プリンタ
ドライバにおける記憶空間を最小限にし、陰影領域にお
ける色域マッピングの問題を解消するための有効な方法
を提供することに加えて、本発明の方法及び装置は、異
なる媒体について異なる色範囲を持ついかなるプリンタ
または複写機で役立つ。特に、普通紙について小さいダ
イナミックレンジを持つプリンタを、色域のダイナミッ
クレンジが最大になる特殊な媒体のための較正デザイン
を用いて較正することができる。

【００２６】図２に戻って、色範囲アナライザ６８で得
られた結果に基づいて、最少数のルックアップテーブ
ル、すなわちルックアップテーブル７０及びルックアッ
プテーブル７２が、当業者には容易に理解されるよう
に、較正信号発生器５０と関連して動作する色空間変換
プロセッサ７４によって生成される。

【００２７】図２は最少限の数のルックアップテーブル
を生成するプロセスを全体的に図示したものであるが、
各媒体に付着するインクの量及び所望の出力画像特性も
ルックアップテーブルの生成及び選択に関与することが
明らかになっている。例えば、単一種類の画像をプリン
トする限り、ルックアップテーブル７０は透明フィル
ム、高解像度用紙、及び高解像度用紙（有光沢）にプリ
ントするのに十分であるということ、ルックアップテー
ブル７２は普通紙、上質コート紙、及び転写媒体にプリ
ントするのに十分であるということが確認されている。
この６つの媒体の２グループへの初期の特徴付けは、各
媒体に付着させることが必要なインクの量に一部依存す
る。しかしながら、例えば写真画像とグラフィック画像
のように異なる種類の画像を考える場合は、これらの画
像の各種類毎にそれぞれが異なるルックアップテーブル
が必要になる。これは、ある種のインクジェットプリン
タでは、エンドユーザあるいはカスタマが、写真とグラ
フィックスとでは異なる見目（の画像）を好むからであ
る。それ故、一般には、媒体に画像が生成されるのに必
要なインクの量が同じならば、これらのタイプの媒体は
同じルックアップテーブルを共用することが可能であ
る。従って、各画像の種類毎に異なるルックアップテー
ブルが生成される。その結果、本発明の場合、各媒体グ
ループ毎にグラフィックス画像用と写真画像用にそれぞ
れ１つずつ２つのルックアップテーブルが設けられるこ
とになる。

【００２８】図５は、本発明を採用した図１に示すよう
なインクジェットプリンタ用のプリントドライバで４つ
のルックアップテーブルを用いたドライバの制御構成を
示す概略ブロック図である。図１の文書生成手段１１
は、スキャナーまたはコンピュータワークステーション
等で、通常デジタル形である測色項Rc，Gc，Bcで定義さ
れるカラー画像を生成する。通常、この画像の表現は、
装置に依存しない項(term)で文書を記述するページ記述
言語ファイルの一部の場合もある。例えば、PDLファイ
ルはプリンタドライバを内蔵したプリンタ自体によって
受け取られるか、あるいは使用しているプリンタと関連
づけられたパーソナルコンピュータに記憶されたプリン
タドライバによって受け取られる。画像がRGB 項によっ
て生成されると、ユーザは、通常、同じくプリンタドラ
イバに含まれるユーザインタフェース８０（図６参照）
から、例えば、前述の６つの媒体タイプを含む媒体タイ
プや、カラーか白黒かのモードを含む出力スタイル、オ
ート（自動）かグラフィックスか写真かまたはテキスト
か等のような画像タイプを選択する。自動モードでは、
プリントドライバは決定された画像タイプに対して適切
なLUT を選択し、残りの３つについては、ユーザはその
出力スタイルを選択することができる。出力スタイルと
共に媒体タイプが選択されると、RGB 画像はプリンタ１
０によるプリントのためにCMY K 画像に変換される。プ
リントドライバには、写真部８２及びグラフィックス部
８４の他、必要な変換を行うための付加的部分、例えば
テキスト部（図示省略）が設けられている。選択された
出力スタイルが写真タイプのカラー画像であるとする
と、その写真部分８２は当業者には周知であるようなプ
リンタコントローラに実装された適切な制御ソフトウェ
アによって選択される。媒体タイプが媒体グループ１の
グループから選択されると、プリンタコントローラによ
って媒体グループ１（８６）用のルックアップテーブル
１がアクセスされ、そしてRGB 信号が処理されて、Rc，
Gc，Bcのデジタル信号をCMY 着色剤信号へ変換するため
に処理される際の一群の係数を記憶するテーブル８６へ
のアドレスエントリが生成される。マップされない値
は、補間法によって求めることができる。

【００２９】装置に依存しないデータから装置依存デー
タへの変換を行う方法は数多くあり、その１つの方法が
米国特許第４，２７５, ４１３号（サカモト）に記載さ
れており、この方法自体は変更可能である。変換テーブ
ルが設定されたならば、３線(Tri-line)法あるいは立体
(cubic) 補間と称される補間方法を用いて、限定された
入力値のセットから出力値を計算することも可能であ
る。

【００３０】装置依存の着色剤信号CMY が得られた場
合、ブラックの加色（Ｋプラス）が、CMY とK を出力す
るグレー成分置換テーブル８８に入力することにより行
われる。このステップはアンダーカラー除去としても知
られており、通常CMY 信号の最少濃度に依存する。ある
いは、４つの全ての着色剤についての値を含む３次元の
ルックアップテーブルを使うことによって、黒加色及び
アンダーカラー除去をルックアップテーブル１のカラー
補正プロセスと組み合わせることも可能である。CMY 及
びK 信号がGCR テーブル８８によって生成されると、色
調または明度が、当業者には周知のようにして、色調再
現曲線テーブル９０を用いて修正することによって調整
される。TRC ９０で示される色調再現曲線の適用後、C
p，Mp，Yp及びKp信号、すなわち写真調整部８２の出力
がハーフトーンプロセッサ９２に送られて、各画素の濃
度を記述するビット数をプリンタ１０上で再現可能なレ
ベル数に減らすハーフトーン処理が行われる。適用可能
なハーフトーン処理プロセスは、例えば米国特許第４,
１４９, １９４号（ホラデイ（Holladay））に記載され
ている。次に、プリンタ１０はハーフトーンのCMY 及び
K 信号を受け取って、プリント９４で示される最終プリ
ント出力を生成する。

【００３１】ユーザがメインメニューから写真画像タイ
プを選択したが、一方で媒体グループ２から媒体を選択
したような場合は、プリンタドライバは適切なプリント
出力を生成するために、ルックアップテーブル２（９
６）を選択するはずである。処理は、ルックアップテー
ブル８６において前述したようにして進行する。しかし
ながら、グラフィック画像タイプが選択された場合は、
プリンタドライバのグラッフィック部８４は選択された
媒体のタイプによって、ルックアップテーブル９８また
はルックアップテーブル４（１００）を選択するはずで
ある。ルックアップテーブル１〜４のいずれの場合も、
選択されたルックアップテーブルは入力されたRGB 信号
を正確に再生し、これによってプリント９４で適切なプ
リント品質を確保しつつ、最少数のルックアップテーブ
ルが生成されるようになっている。そのために、ルック
アップテーブルの記憶に必要な記憶空間の大きさが小さ
くなる。本発明は、ハードウェアのロジックの導入によ
って、あるいはプログラム可能な処理装置のソフトウェ
アの導入によって、さらにはハードウェアとソフトウェ
アの組み合わせによって実施することができると言うこ
とは容易に理解されよう。

【００３２】

【発明の効果】要約すると、本願においては、最少数の
カラー補正テーブル有するカラープリントシステム及び
カラー液体インクプリンタ用のプリンタドライバを生成
する方法を開示した。従って、本発明によれば、２つ以
上の選択されたプリント媒体が一つのカラー補正ルック
アップテーブルにアクセスするようにしたので、様々な
プリント媒体にプリントするためのカラールックアップ
テーブルのセットにおけるテーブル数が少なくなること
は明白である。さらに、一つのルックアップテーブルに
アクセスする２つ以上のプリント媒体で色ずれが起こっ
ても、色調再現曲線によって別のカラールックアップテ
ーブルを用いることなく色ずれを修正することができ、
これによって電子表現されたルックアップテーブルのた
めの記憶空間を節約することができる。本発明は特定の
実施形態に関して述べてきたが、この分野の技術に熟練
した者にとって多くの代替、変更及び変形された形態が
存在することは明らかである。従って、本発明には、請
求項の精神と幅広い適用範囲に基づく全ての代替、変更
及び変形された形態が含有されることを意図するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を使用したカラーインクジェットプリン
トシステムの斜視図である。

【図２】図１のカラーインクジェットプリントシステム
で使用する最小限の数のカラールックアップテーブルの
生成方法を図解した概略ブロック図である。

【図３】異なる媒体タイプにおける色ずれを含むCIE L*
abの色範囲のグラフ表現を示した説明図である。

【図４】異なる媒体タイプにおける明度変化のグラフ表
現を示した説明図である。

【図５】最少数のカラールックアップテーブルを用いた
制御構成の概略回路図である。

【図６】本発明で使用されるユーザインタフェースの一
実施形態を示す説明図である。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カラー液体インクプリンタのための、複
   数の異なる媒体タイプの中から１つの媒体タイプを選択
   するためのユーザインタフェースを有するプリンタドラ
   イバを生成する方法であって、 該複数の異なる各媒体タイプ用のカラーテストパターン
   を生成するステップと、 生成されたカラーテストパターンの１つを所望の色属性
   の関数としてとして選択するステップと、 選択されたカラーテストパターン用のカラールックアッ
   プテーブルを生成するステップと、 生成されたカラールックアップテーブルを含むプリンタ
   ドライバを生成し、該生成されたカラールックアップテ
   ーブルがユーザインタフェースから該複数の媒体タイプ
   の２つの選択の関数として選択可能であるステップと、
   を含む方法。
2. 【請求項２】 複数の異なる媒体タイプから選択される
   選択された媒体上に画像をプリントするためのカラープ
   リントシステムであって、 該選択された媒体上に着色剤を付着させて該媒体上に画
   像をプリントするためのカラープリントヘッドと、 該カラープリントヘッドに接続され、異なるタイプの複
   数の媒体の中の１つの媒体を選択するためのユーザイン
   タフェース、及び複数のカラールックアップテーブルを
   含むプリンタドライバで、該複数のカラールックアップ
   テーブルの１つが複数の媒体タイプの数の選択の関数と
   して選択されるプリンタドライバと、を具備したカラー
   プリントシステム。