JPH1121381A - ゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤ - Google Patents

ゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤ

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JPH1121381A
JPH1121381A JP9180154A JP18015497A JPH1121381A JP H1121381 A JPH1121381 A JP H1121381A JP 9180154 A JP9180154 A JP 9180154A JP 18015497 A JP18015497 A JP 18015497A JP H1121381 A JPH1121381 A JP H1121381A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 氷上性能及び耐摩耗性に優れたタイヤ等に好
適な加硫ゴムの提供。 【解決手段】 天然ゴム及びジエン系合成ゴムから選ば
れた少なくとも1種のゴム成分と、該ゴム成分100重
量部に対し、窒素吸着比表面積(N2 SA)が210〜
300m2 /gであるシリカ10〜80重量部とを含有
してなり、平均中空径(D)が20〜500μmであ
り、最大長さ(L)と平均中空径(D)との比(L/
D)が小さくとも3であり、かつ樹脂で被覆された長尺
状気泡を有してなることを特徴とする加硫ゴムである。
有機シラン化合物をシリカの全重量に対し5〜25重量
%含有する態様、カーボンブラックをゴム成分100重
量部に対し多くとも80重量部含有し、該カーボンブラ
ックとシリカとの合計量が30〜100重量部である態
様、平均発泡率が5〜35%である態様等が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術技術】本発明は、ゴム組成物、加硫
ゴム及びタイヤに関し、更に詳しくは、乾燥路面での耐
摩耗性を損なうことなく、氷雪路面での制動・駆動性能
(氷上性能)を飛躍的に向上させたタイヤ、該タイヤの
トレッド等に好適に使用できる加硫ゴム、及び該加硫ゴ
ムの原料等として好適に使用できるゴム組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】スパイクタイヤが規制されて以来、氷雪
路面上でのタイヤの制動・駆動性能(氷上性能)を向上
させるため、特にタイヤのトレッドについての研究が盛
んに行われてきている。前記氷雪路面においては、該氷
雪路面と前記タイヤとの摩擦熱等により水膜が発生し易
く、該水膜が、タイヤと氷雪路面との間の摩擦係数を低
下させる原因になっている。このため、前記タイヤのト
レッドの水膜除去能やエッヂ効果が、前記氷上性能に大
きく影響する。したがって、タイヤにおける前記氷上性
能を向上させるためには、前記トレッドの水膜除去能や
エッヂ効果を改良することが必要である。
【0003】近時、前記トレッドの水膜除去能やエッヂ
効果を改良する手段として、該トレッドに発泡ゴムを用
いることが提案されている。例えば、特許第25685
02号には、前記トレッドに発泡ゴムを用い、該発泡ゴ
ム中の気泡による微細な凹凸により、前記水膜除去能や
エッヂ効果を改良する技術が提案されている。しかし、
単なる発泡ゴムにおける気泡は、球状であり異方性を持
たず、ミクロな排水溝として機能し得ないため、この場
合、市場の要求レベルを満たす程度にまで前記氷上性能
を向上させることができないという問題がある。また、
特開平8−85738号公報には、トレッドに疎水性・
撥水性に優れたゴム組成物を用いる旨が記載されてい
る。しかし、この場合も上記同様、市場の要求レベル満
たす程度にまで氷上性能を十分に向上させることができ
ないという問題がある。
【0004】一方、特開平4−38207号公報には、
短繊維入発泡ゴムを前記トレッドに用いることにより、
該トレッドの表面に前記ミクロな排水溝を形成する手法
が記載されている。しかしながら、この場合、前記短繊
維が加硫時に熱収縮によってカールしたり、モールドの
溝部、即ちサイプ部に押し込まれてトレッド中で屈曲し
てしまうため、走行により該トレッドが摩耗しても、摩
耗面と略平行でない短繊維は、該トレッドから容易に離
脱せず、当初の狙いのような前記ミクロな排水溝が効率
的に形成できず、前記氷雪路面上での摩擦係数の向上が
十分でない。また、前記短繊維の離脱は走行条件等に大
きく左右され、確実に前記氷上性能を向上させることが
できないという問題がある。
【0005】他方、特開平4−110212号公報等に
は、前記トレッドに中空繊維を分散させることにより、
前記氷雪路面と前記トレッドとの間に存在する前記水膜
を該中空繊維の中空部分で排除し得るタイヤが開示され
ている。しかしながら、このタイヤの場合、該中空繊維
のゴム中への混練時や成形時における圧力、ゴム流れ、
温度等によって該中空繊維が潰れてしまい、実際には該
中空繊維は中空形状を保つことができず、前記ミクロな
排水溝が効率的に形成できず、依然として前記氷上性能
が十分でないという問題がある。また、この場合には、
耐摩耗性の低下が著しいという問題もある。
【0006】更に、氷上性能を重視したトレッドは、低
温性能に優れたポリブタジエンゴムを多量に配合する傾
向にあるが、その結果として湿潤路面での走行性能が低
下してしまう問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課
題とする。即ち、本発明は、乾燥路面での耐摩耗性を損
なうことなく、湿潤路面での走行性能を低下させること
なく、氷上に発生する水の除去能力に優れ、氷面との間
の摩擦係数が大きく、氷雪路面での制動・駆動性能(氷
上性能)を飛躍的に向上させたタイヤ、該タイヤのトレ
ッド等の氷上でのスリップを抑えることが必要な構造物
等に好適に使用できる加硫ゴム、及び該加硫ゴムの原料
等として好適に使用できるゴム組成物を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は、以下の通りである。即ち、 <1> 天然ゴム及びジエン系合成ゴムから選ばれた少
なくとも1種からなるゴム成分と、該ゴム成分100重
量部に対し、窒素吸着比表面積(N2 SA)が210〜
300m2 /gであるシリカ10〜80重量部とを含有
してなり、平均中空径(D)が20〜500μmであ
り、最大長さ(L)と平均中空径(D)との比(L/
D)が小さくとも3であり、かつ樹脂で被覆された長尺
状気泡を有してなることを特徴とする加硫ゴムである。 <2> 有機シラン化合物をシリカの全重量に対し5〜
25重量%含有する前記<1>に記載の加硫ゴムであ
る。 <3> カーボンブラックをゴム成分100重量部に対
し多くとも80重量部含有し、該カーボンブラックとシ
リカとの合計量が30〜100重量部である前記<1>
又は<2>に記載の加硫ゴムである。 <4> 平均発泡率が5〜35%である前記<1>から
<3>のいずれかに記載の加硫ゴムである。
【0009】<5> 天然ゴム及びジエン系合成ゴムか
ら選ばれた少なくとも1種からなるゴム成分と、該ゴム
成分100重量部に対し、窒素吸着比表面積(N2
A)が210〜300m2 /gであるシリカ10〜80
重量部とを含むゴムマトリックスと、加硫時にゴムマト
リックスの温度が加硫最高温度に達するまでの間にその
粘度がゴムマトリックスの粘度よりも低くなる長尺状樹
脂とを少なくとも含有してなり、加硫されて前記<1>
から<4>のいずれかに記載の加硫ゴムになることを特
徴とするゴム組成物である。 <6> ゴムマトリックスが発泡剤を含む前記<5>に
記載のゴム組成物である。 <7> 長尺状樹脂が結晶性高分子を含んでなり、その
融点が加硫最高温度よりも低い前記<5>又は<6>に
記載のゴム組成物である。
【0010】<8> 1対のビード部、該ビード部にト
ロイド状をなして連なるカーカス、該カーカスのクラウ
ン部をたが締めするベルト及びトレッドを有してなり、
少なくとも前記トレッドが、前記<1>から<4>のい
ずれかに記載の加硫ゴムを含んでなることを特徴とする
タイヤである。 <9> 長尺状気泡がタイヤ周方向に沿って配向された
前記<8>に記載のタイヤである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のゴム組成物、加
硫ゴム及びタイヤについて以下に詳細に説明する。
【0012】(ゴム組成物)本発明のゴム組成物は、ゴ
ムマトリックスと、長尺状樹脂とを含んでなる。前記ゴ
ムマトリックスは、本発明のゴム組成物における前記長
尺状樹脂を除く成分を含み、具体的には、天然ゴム及び
ジエン系合成ゴムから選ばれた少なくとも1種からなる
ゴム成分とシリカとを少なくとも含み、更に、有機シラ
ン化合物、カーボンブラック、発泡剤、発泡助剤、無機
充填材等の必要に応じて適宜選択したその他の成分を含
む。
【0013】−−ゴムマトリックス−− −ゴム成分− 前記ジエン系合成ゴムとしては、特に制限はなく、公知
のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、
例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イ
ソプレン共重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエンな
どが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよい
し、2種以上を併用してもよい。これらのジエン系合成
ゴムの中でも、ガラス転移温度が低く、氷上性能の効果
が大きい点でシス−1,4−ポリブタジエンが好まし
く、シス含有率が90%以上のものが特に好ましく、ま
た、低温性能、耐摩耗性に優れる点で天然ゴムとポリブ
タジエンゴムとを含有する混合物が好ましい。
【0014】−シリカ− 前記シリカとしては、その窒素吸着比表面積(N2
A)が210〜300m 2 /gである必要があり、23
0〜300m2 /gであるのが好ましい。前記窒素吸着
比表面積(N2 SA)は、ASTM D3037−89
に規定された窒素吸着比表面積(m2 /g)を意味す
る。また、本発明においては、前記窒素吸着比表面積
(N2 SA)として、前記数値範囲のいずれかの下限値
若しくは上限値又は後述の実施例で採用した該窒素吸着
比表面積(N2 SA)のいずれの値を下限とし、前記数
値範囲のいずれかの下限値若しくは上限値又は後述の実
施例で採用した該窒素吸着比表面積(N2 SA)のいず
れの値を上限とする数値範囲も好ましい。
【0015】前記窒素吸着比表面積(N2 SA)が21
0m2 /g未満であると、該ゴム組成物を加硫して得ら
れた加硫ゴムの耐摩耗性及び湿潤路面での走行性(グリ
ップ性能)が十分に確保できない点で、また、300m
2 /gを越えるシリカは製造技術面から入手が容易でな
い点で、いずれも好ましくない。
【0016】前記シリカとしては、前記窒素吸着比表面
積(N2 SA)の条件を満たしている限り、その種類等
につき特に制限はなく、市販品を好適に使用することが
できる。前記市販品としては、例えば、Nipsil
KQ(日本シリカ社製)などが挙げられる。前記シリカ
は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して
もよい。
【0017】前記シリカのゴム組成物における含有量と
しては、ゴム成分100重量部に対し、10〜80重量
部であることが必要であり、20〜80重量部が好まし
い。また、本発明においては、前記含有量として、前記
数値範囲のいずれかの上限値若しくは下限値又は後述の
実施例において採用したいずれかの含有量の値を下限と
し、前記数値範囲のいずれかの上限値若しくは下限値又
は後述の実施例において採用したいずれかの含有量の値
を上限とする数値範囲も好ましい。
【0018】前記シリカの含有量が、10重量部未満で
あると該ゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムの耐摩
耗性及び湿潤路面での走行性(グリップ性能)が十分に
確保できない点で、80重量部を越えると、加硫ゴムが
硬くなり過ぎ、却って前記氷上性能及び耐摩耗性が低下
してしまう点で、いずれも好ましくない。なお、本発明
においては、前記シリカのゴム組成物における含有量と
して、前記ゴム成分100重量部におけるポリブタジエ
ンゴム(BR)の比率(重量部)が多くなる程、該シリ
カの前記含有量を増やすことが好ましい。
【0019】−その他の成分− 前記その他の成分としては、本発明の目的を害しない範
囲内で適宜選択することができ、例えば、軟化剤、硫黄
等の加硫剤、ジベンゾチアジルジスルフィド等の加硫促
進剤、加硫助剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチア
ジル−スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−ベン
ゾチアジル−スルフェンアミド等の老化防止剤、酸化亜
鉛、ステアリン酸、オゾン劣化防止剤、着色剤、帯電防
止剤、滑剤、酸化防止剤、軟化剤、カップリング剤等の
添加剤などの他、通常ゴム業界で用いる各種配合剤など
が挙げられる。なお、本発明においては、前記その他の
成分については市販品を好適に使用することができる。
本発明においては、前記その他の成分の中でも、有機シ
ラン化合物、カーボンブラック、発泡剤、発泡助剤等を
特に好適に使用することができる。
【0020】−有機シラン化合物− 前記有機シラン化合物としては、例えば、一般式、Y3
−Si−Cn 2nAで表されるシランカップリング剤な
どが好適に挙げられる。これらは1種単独で使用しても
よいし、2種以上を併用してもよい。前記一般式におい
て、Yは、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシル基
又は塩素原子を表す。3個のYは、互いに異なっていて
もよいし、同一であってもよい。Aは、−SmCn 2n
Si−Y3 、−X又は−SmZを表す。ここでXは、ニ
トロソ基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基、ビニ
ル基、塩素原子又はイミド基を表す。また、Zは、以下
の示す何れの基を表す。n及びmは、1〜6の整数を表
す。
【0021】
【化1】
【0022】前記シランカップリング剤の具体例として
は、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラス
ルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テト
ラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピ
ル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリル
エチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキ
シシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、
3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプ
ロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメ
トキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラ
ン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロ
エチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプ
ロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスル
フィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジ
メチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエ
トキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイ
ルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル
ベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシ
シリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3
−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスル
フィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレー
トモノスルフィド等が挙げられる。これらは1種単独で
使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これら
の中でも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テ
トラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベン
ゾチアゾールテトラスルフィドなどが好ましい。
【0023】前記有機シラン化合物のゴム組成物におけ
る含有量としては、前記シリカの全重量に対し、5〜2
5重量%が好ましく、15〜25重量%がより好まし
い。また、本発明においては、前記含有量として、前記
数値範囲のいずれかの上限値若しくは下限値又は後述の
実施例において採用したいずれかの含有量の値を下限と
し、前記数値範囲のいずれかの上限値若しくは下限値又
は後述の実施例において採用したいずれかの含有量の値
を上限とする数値範囲も好ましい。
【0024】前記有機シラン化合物のゴム組成物におけ
る含有量が、前記シリカの全重量に対し、5重量%未満
であると、前記シリカの前記ゴム成分中における分散性
の向上効果及び補強効果が十分でなく、該ゴム組成物を
加硫して得た加硫ゴムの前記氷上性能及び耐摩耗性が十
分に改善されないことがあり、25重量%を超えてもそ
れに見合う効果が得られないことがある。一方、前記有
機シラン化合物のゴム組成物における含有量が、前記数
値範囲内にあると、前記ゴム成分と前記シリカとが、該
シリカの表面における孔を介した物理的結合のみなら
ず、化学的に接着することができ、より強固な接着力が
得られ、該シリカがゴムマトリックスから脱離する問題
を大幅に改善することができる点で有利である。なお、
本発明において、前記ゴム組成物にカーボンブラックが
添加される場合、前記有機シラン化合物のゴム組成物に
おける含有量は、該カーボンブラックに吸着される前記
有機シラン化合物の量も勘案して、前記数値範囲内から
適宜選択される
【0025】−カーボンブラック− 前記カーボンブラックとしては、HAF級〜SAF級で
あれば、その種類等について特に制限はなく、市販品を
好適に使用することができる。前記市販品としては、例
えば、旭カーボン社製の旭#73H等が挙げられる。前
記カーボンブラックは、1種単独で使用してもよいし、
2種以上を併用してもよい。前記カーボンブラックがH
AF級未満のものであると、該カーボンブラックを含む
ゴム組成物を加硫して得られた加硫ゴムの耐摩耗性及び
走行性(グリップ性能)が十分でないことがある。
【0026】前記カーボンブラックのゴム組成物におけ
る含有量としては、ゴム成分100重量部に対して、多
くとも80重量部(即ち、80重量部以下)が好まし
く、20〜80重量部がより好ましい。本発明において
は、前記カーボンブラックの含有量としては、前記数値
範囲のいずれかの上限値若しくは下限値又は後述の実施
例において採用したいずれかの含有量の値を下限とし、
前記数値範囲のいずれかの上限値若しくは下限値又は後
述の実施例において採用したいずれかの含有量の値を上
限とする数値範囲も好ましい。前記含有量が、80重量
部を越えると、加硫ゴムが硬くなり過ぎ、却って前記氷
上性能及び耐摩耗性が低下してしまうことがある。
【0027】前記カーボンブラックを使用する場合、ゴ
ム成分100重量部に対し、該カーボンブラックと前記
シリカとの合計量としては、30〜100重量部が好ま
しく、30〜80重量部がより好ましく、40〜80重
量部が特に好ましい。本発明においては、前記合計量と
しては、前記数値範囲のいずれかの上限値若しくは下限
値又は後述の実施例において採用したいずれかの該合計
量の値を下限とし、前記数値範囲のいずれかの上限値若
しくは下限値又は後述の実施例において採用したいずれ
かの該合計量の値を上限とする数値範囲も好ましい。前
記合計量が、30重量部未満であると、該ゴム組成物を
加硫して得られる加硫ゴムの耐摩耗性及び湿潤路面での
走行性(グリップ性能)が十分に確保できない点で、1
00重量部を越えると、加硫ゴムが硬くなり過ぎ、却っ
て前記氷上性能及び耐摩耗性が低下してしまう点で、い
ずれも好ましくない。
【0028】前記発泡剤としては、例えば、ジニトロソ
ペンタメチレンテトラアミン(DPT)、アゾジカルボ
ンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタスチレンテト
ラミンやベンゼンスルフォニルヒドラジド誘導体、オキ
シビスベンゼンスルフォニルヒドラジド(OBSH)、
重炭酸アンモニウム、ニトロソスルホニルアゾ化合物、
N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソフタルアミ
ド、トルエンスルホニルヒドラジド、P−トルエンスル
ホニルセミカルバジド、P,P’−オキシービス(ベン
ゼンスルホニルセミカルバジド)等が挙げられる。これ
らは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して
もよい。これらの発泡剤の中でも、製造加工性を考慮す
ると、ジニトロソペンタメチレンテトラアミン(DP
T)、アゾジカルボンアミド(ADCA)が好ましい。
前記発泡剤を使用すると、該ゴム組成物を加硫して得ら
れる加硫ゴムを発泡率に富む発泡ゴムにすることがで
き、しかも、前記長尺状樹脂を効率的に長尺状気泡にで
きる点で有利である。
【0029】前記発泡助剤としては、例えば、尿素、ス
テアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛や亜鉛華
等、通常、発泡製品の製造に用る発泡助剤等が挙げられ
る。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を
併用してもよい。これらの発泡助剤の中でも、尿素、ス
テアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛等が好まし
い。前記発泡剤を用いる場合、前記発泡助剤を更に併用
すると効率的な発泡を行うことができる点で有利であ
る。
【0030】更に本発明においては、前記その他の成分
として、前記シリカ及び前記カーボンブラック以外の無
機充填材を好ましく使用することができる。前記無機充
填材としては、例えば、Al2 3 、ZnO、Ti
2 、SiC、Si、C、フェライト、ジルコニア、M
gO等のセラミックス、Fe、Co、Al、Ca、M
g、Na、Cu、Cr等の金属、これら金属よりなる合
金、これら金属の窒化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、
ケイ酸塩、硫酸塩、更にはその他、真ちゅう、ステンレ
ス、ガラス、カーボン、カーボンランダム、マイカ、ゼ
オライト、カオリン、アスベスト、モンモリロナイト、
ベントナイト、グラファイト、クレー、シリカ等が挙げ
られる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以
上を併用してもよい。これらの中でも、Al2 3 、S
iC、Si、C、シリカ、Alなどが好ましい。
【0031】−−長尺状樹脂−− 前記長尺状樹脂のデニールとしては、特に制限はなく、
目的に応じて適宜選択することができるが、前記氷上性
能を向上させる観点からは、1〜1000デニールが好
ましく、2〜800がより好ましい。
【0032】前記長尺状樹脂の平均長さ(L)として
は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが
できるが、該ゴム組成物を加硫して得た加硫ゴムをタイ
ヤにおけるトレッド等に使用した場合の該タイヤの前記
氷上性能を向上させる観点からは、小さくとも500μ
m(即ち、500μm以上)が好ましく、500〜50
00μmがより好ましい。前記平均長さ(L)が、50
0μm未満であると、該長尺状樹脂のゴム組成物中にお
ける配向性が十分でないことがある。なお、前記長尺状
樹脂の平均長さ(L)は、用いた長尺状樹脂の長さの平
均値を意味する。
【0033】前記長尺状樹脂の平均径(D)としては、
特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ
るが、タイヤの前記氷上性能を向上させる観点からは、
30〜500μmが好ましく、50〜200μmがより
好ましい。前記平均径(D)が、30μm未満である
と、該ゴム組成物を加硫して得た加硫ゴムの水排除機能
が十分でなく、前記氷上性能が改善されず、500μm
を越えると、前記加硫ゴムの耐久性、耐カット性及び耐
摩耗性が低下してしまう点でいずれも好ましくない。な
お、前記長尺状樹脂の平均径(D)は、例えば、顕微鏡
観察を行うこと等により算出することができる。
【0034】前記長尺状樹脂の平均長さ(L)と平均径
(D)との比(L/D)としては、小さくとも3.0
(3.0以上)が好ましく、5〜100がより好まし
い。前記比(L/D)が、3.0未満であると、押出後
に十分な配向性が得られず、前記氷上性能を十分に向上
させることができず、該ゴム組成物を加硫して得られる
加硫ゴムの耐摩耗性が劣化してしまう点で好ましくな
い。
【0035】前記長尺状樹脂は、加硫時に該長尺状樹脂
が含まれるゴム組成物の温度が加硫最高温度に達するま
での間に、その粘度が該ゴムマトリックスの粘度よりも
低くなる特性を有していることが必要である。前記加硫
最高温度とは、該長尺状樹脂が含まれるゴム組成物の加
硫時における該ゴム組成物が達する最高温度を意味す
る。例えば、モールド加硫の場合には、該ゴム組成物が
モールド内に入ってからモールドを出て冷却されるまで
に該ゴム組成物が達する最高温度を意味する。前記加硫
最高温度は、例えば、前記ゴム組成物中に熱電対を埋め
込むこと等により測定することができる。なお、前記ゴ
ムマトリックスの粘度は流動粘度を意味し、前記長尺状
樹脂の粘度は溶融粘度を意味し、これらは、例えばコー
ンレオメーター、キャピラリーレオメーター等を用いて
測定することができる。
【0036】前記長尺状樹脂としては、前記熱特性を有
している限りその材質等について特に制限はなく目的に
応じて適宜選択することができるが、該熱特性を有する
長尺状樹脂としては、例えば、その融点が前記加硫最高
温度よりも低い結晶性高分子からなる長尺状樹脂などが
好適に挙げられる。
【0037】該結晶性高分子からなる樹脂を例に説明す
ると、その融点と、該長尺状樹脂が含まれるゴム組成物
の前記加硫最高温度との差が大きくなる程、加硫中に速
やかに該長尺状樹脂が溶融するため、該長尺状樹脂部分
の粘度がゴムマトリックスの粘度よりも低くなる時期が
早くなり、該長尺状樹脂が溶融した後、発泡剤から発生
したガス等はゴムマトリックスよりも低粘度である長尺
状樹脂内部に移行していく。その結果、該加硫ゴム中に
は、該長尺状樹脂により被覆されてなる長尺状気泡が多
く形成されている。
【0038】一方、前記長尺状樹脂の融点が、該長尺状
樹脂が含まれるゴム組成物の前記加硫最高温度に近くな
り過ぎると、加硫初期に速やかに該長尺状樹脂が溶融せ
ず、加硫終期に該長尺状樹脂が溶融する。加硫終期で
は、発泡剤から発生したガス等が、加硫したゴムマトリ
ックス中に取り込まれてしまっているため、溶融した長
尺状樹脂内でのガスの保持が不十分になる。他方、前記
長尺状樹脂の融点が低くなり過ぎると、該ゴム組成物の
混練り時の熱で該長尺状樹脂が溶融し、混練りの段階の
該長尺状樹脂同士の融着による分散不良、混練りの段階
で該長尺状樹脂が複数に分断される、該長尺状樹脂がゴ
ム組成物中に溶け込んでミクロに分散してしまう、等の
不都合が生じ得る点で好ましくない。
【0039】したがって、前記長尺状樹脂の融点は、以
上の点を考慮して選択するのが好ましく、一般的には、
前記長尺状樹脂の融点としては、該樹脂が含まれるゴム
組成物の前記加硫最高温度よりも、10℃以上低いのが
好ましく、20℃以上低いのがより好ましい。ゴム組成
物の工業的な加硫温度は、一般的には、最高で約190
℃程度であるが、例えば、加硫最高温度がこの190℃
に設定されている場合には、前記長尺状樹脂の融点とし
ては、通常190℃以下で選択され、180℃以下が好
ましく、170℃以下がより好ましい。
【0040】一方、ゴム組成物の混練りを考慮すると、
前記長尺状樹脂の融点としては、混練り時の最高温度に
対して、5℃以上が好ましく、10℃以上がより好まし
く、20℃以上が特に好ましい。ゴム組成物の混練りで
の最高温度を例えば95℃と想定した場合には、前記長
尺状樹脂の融点としては、100℃以上が好ましく、1
05℃以上がより好ましく、115℃以上が特に好まし
い。なお、本発明においては、前記融点は、それ自体公
知の融点測定装置等を用いて測定することができ、例え
ば、DSC測定装置(例えば米国デュポン社製910
型)を用いて測定(昇温速度10℃/分、試料重量5m
gの条件下等)した融解ピーク温度を前記融点とするこ
とができる。
【0041】また、本発明においては、前記長尺状樹脂
が、前記ゴム組成物の押出温度以下の温度で軟化する特
性を有しているのが好ましい。この場合、前記長尺状樹
脂の配向の制御が容易である点で有利である。
【0042】前記長尺状樹脂は、結晶性高分子から形成
されていてもよいし、非結晶性高分子から形成されてい
てもよいし、結晶性高分子と非結晶性高分子とから形成
されていてもよいが、本発明においては、相転移がある
ために粘度変化がある温度で急激に起こり、粘度制御が
容易な点で結晶性高分子を含む有機素材から形成される
のが好ましく、結晶性高分子から形成されるのがより好
ましい。
【0043】前記結晶性高分子の具体例としては、例え
ば、ポリエチレン(PE、融点:135℃)、ポリプロ
ピレン(PP、融点:167℃)、ポリブチレン(融
点:129℃)、ポリブチレンサクシネート(融点:1
15℃)、ポリエチレンサクシネート(融点:105
℃)、シンジオタクティック−1,2−ポリブタジエン
(SPB、融点:130℃)等の単一組成重合物や、共
重合、ブレンド等により融点を適当な範囲に操作したも
のも用いることができ、更にこれらの長尺状樹脂に添加
剤を加えてもよい。これらの結晶性高分子の中でも、ポ
リオレフィン、ポリオレフィン共重合体が好ましく、更
には汎用で入手し易い点でポリエチレン、ポリプロピレ
ンが好ましい。
【0044】前記非結晶性高分子としては、例えば、ポ
リメチルメタクリレート、アクリロニトリルブタジエン
スチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン、ポリエチ
レンNR系、SPB、PMMA、PAN、これらの共重
合体、これらのブレンド物等が挙げられる。
【0045】前記長尺状樹脂には、本発明の目的を害し
ない範囲において、必要に応じて公知の各種添加剤が添
加されていてもよい。
【0046】前記長尺状樹脂における前記有機素材の分
子量としては、該有機素材の化学組成、分子鎖の分岐の
状態等によって異なり一概に規定することはできない
が、前記熱特性を害しない範囲であれば特に制限はな
い。一般に、該長尺状樹脂は、同じ有機素材で形成され
ていてもその分子量が高い程、ある一定の温度における
粘度(溶融粘度)は高くなる。したがって、本発明にお
いては、前記長尺状樹脂における前記有機素材の分子量
は、該長尺状樹脂を含むゴム組成物の前記加硫最高温度
における該ゴム組成物の粘度(流動粘度)よりも該長尺
状樹脂の粘度(溶融粘度)が高くならないような範囲で
選択される。
【0047】なお、一試験例では、長尺状樹脂が、1〜
2×105 程度の重量平均分子量のポリエチレンの場合
の方が、7×105 以上の重量平均分子量のポリエチレ
ンの場合よりも、発泡剤から発生したガスが加硫後の長
尺状樹脂の内部に多量に包含されていた。この相違は、
長尺状樹脂の素材であるポリエチレンの分子量の違いに
起因する粘度(溶融粘度)の差に基づくものと推測され
る。一方、前記長尺状樹脂における前記有機素材の分子
量が低すぎると、該長尺状樹脂が含まれるゴム組成物の
混練りの段階で、該長尺状樹脂の粘度(溶融粘度)が低
下し、該長尺状樹脂同士の融着が発生してしまい、ゴム
組成物中の長尺状樹脂の分散性が悪化するため好ましく
ない。
【0048】前記長尺状樹脂の前記ゴム組成物における
含有量としては、前記ゴムマトリックス100重量部に
対して、1〜20重量部が好ましく、3〜15重量部が
より好ましく、5〜10重量部が特に好ましい。また、
本発明においては、前記長尺状樹脂の前記ゴム組成物に
おける含有量として、前記数値範囲のいずれかの下限値
若しくは上限値又は後述の実施例において採用した含有
量の値を下限とし、前記数値範囲のいずれかの下限値若
しくは上限値又は後述の実施例において採用した含有量
の値を上限とする数値範囲も好ましい。
【0049】前記含有量が1重量部未満であると、ゴム
組成物中に配合する前記長尺状樹脂に対し、該ゴム組成
物中に取り込み乃至保持されるガスの量が多くなり、長
尺状気泡の平均径(D)が大きくなり過ぎてしまうこと
があり、該ゴム組成物を加硫して得た加硫ゴムをタイヤ
のトレッド等に使用しても前記氷上性能を十分に向上さ
せることができない。一方、前記含有量が20重量部を
越えると、前記長尺状樹脂のゴム組成物中での分散性が
悪化する、ゴム押出時の作業性が悪化する、トレッド等
にクラックが発生する等の不都合が生ずることがある。
前記含有量が前記好ましい数値範囲内にあると、そのよ
うなことがなく、生産性、耐摩耗性、耐久性、耐カット
性及び前記氷上性能が、高いレベルでバランス良く維持
される点で好ましい。
【0050】−ゴム組成物の調製− 本発明のゴム組成物は、以上のような各成分を混練り
し、熱入れし、押出すること等を適宜行うことにより調
整され、前記押出により前記ゴム組成物中における前記
長尺状樹脂は、該押出方向と略平行方向に配向する。
【0051】前記混練りの条件としては、混練り装置へ
の投入体積、ローターの回転速度、ラム圧等、混練り温
度、混練り時間、混練り装置の種類等の諸条件について
目的に応じて適宜選択することができる。前記混練り装
置としては、市販品を好適に使用することができ、この
ような市販品としては、例えば、通常タイヤ用ゴム組成
物の混練りに用いるバンバリーミキサー、インターミッ
クス、ニーダー等が挙げられる。
【0052】前記熱入れの条件としては、熱入れ温度、
熱入れ時間、熱入れ装置等の諸条件について目的に応じ
て適宜選択することができる。前記熱入れ装置として
は、市販品を好適に使用することができ、このような市
販品としては、例えば、通常タイヤ用ゴム組成物の熱入
れに用いるロール機等が挙げられる。
【0053】前記押出の条件としては、押出時間、押出
速度、押出装置等の諸条件について目的に応じて適宜選
択することができる。前記押出装置としては、市販品を
好適に使用することができ、このような市販品として
は、例えば、通常タイヤ用ゴム組成物の押出に用いる押
出機等が挙げられる。なお、前記押出温度は、前記長尺
状樹脂の融点及び発泡剤の発泡開始温度等に応じて適宜
決定することができる。
【0054】本発明のゴム組成物においては、前記押出
の結果、前記長尺状樹脂の相が、押出方向と略平行方向
に配列しているが、これを効果的に達成するためには、
限られた温度範囲の中で前記ゴムマトリックスの流動性
をコントロールすればよく、具体的には、前記ゴムマト
リックス中に、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、パ
ラフィン系オイル、エステル系オイル等の可塑剤、液状
ポリイソプレンゴム、液状ポリブタジエンゴム等の液状
ポリマーなどの加工性改良剤を適宜添加して該ゴムマト
リックスの粘度を低下させ、その流動性を高めることに
より、極めて良好に押出を行うことができ、かつ理想的
に前記長尺状樹脂の相を押出方向と略平行に配列させる
ことができる。
【0055】前記ゴム組成物において、前記長尺状樹脂
の相が押出方向と略平行に配列している場合、このゴム
組成物を加硫して得られる加硫ゴムをタイヤのトレッド
等に使用すると、詳しくは該トレッドにおける地面と接
触する表面に平行な方向、より好ましくは該タイヤの周
方向に、前記長尺状樹脂の相を配向させた状態で用いる
と、該タイヤの走行方向の排水性が高まり、前記氷上性
能を向上させることができる点で好ましい。
【0056】前記ゴム組成物中で前記長尺状樹脂の相を
所定の方向に配向させるには、公知の方法を採用するこ
とができるが、例えば、図1に示すように、長尺状樹脂
15が混練りされたゴムマトリックス16を、流路断面
積が出口に向かって減少する押出機の口金17から押し
出す方法などが挙げられる。この場合、押し出される前
のゴムマトリックス16中の長尺状樹脂15は、口金1
7へ押し出されていく過程でその長手方向が押出方向
(A方向)に沿って除々に揃うようになり、口金17か
ら押し出されるときには、その長手方向が押出方向(A
方向)にほぼ完全に揃うようになる。なお、この場合の
長尺状樹脂15のゴムマトリックス16中の配向の程度
は、流路断面積の減少程度、押出速度、ゴムマトリック
スの粘度等によって変化する。
【0057】なお、前記長尺状樹脂の相の平均長さ
(L)と平均径(D)との関係は、逆相関関係にあり、
押出温度と押出速度とを適宜変更することにより調整す
ることができる。即ち、前記押出温度を前記長尺状樹脂
の融点よりも大幅に高く設定することで該長尺状樹脂の
相の粘度を下げ、前記押出速度を速めることで長尺状樹
脂の相の平均径(D)を小さく(細く)し、平均長さ
(L)を長くすることができ、前記長尺状樹脂の相の平
均長さ(L)と平均径(D)との比(L/D)が大きく
し得る。
【0058】したがって、所望する長尺状樹脂の相の寸
法(平均長さ(L)及び平均径(D))に応じて、押
出温度、押出速度、初期分散粒径を設定し、それに
伴う混練最高温度、回数等の混練り条件を設定するこ
とが必要となるが、これらの各条件を適宜変えることに
より、細径で、かつ平均長さ(L)と平均径(D)との
比(L/D)が小さい長尺状樹脂の相から、太径で、か
つ平均長さ(L)と平均径(D)との比(L/D)が大
きい長尺状樹脂の相まで任意に得ることができる。
【0059】前記長尺状樹脂を含むゴム組成物において
は、加硫前では、ゴムマトリックスよりも該長尺状樹脂
の方が粘度が高くなっている。加硫開始後、該ゴム組成
物が加硫最高温度に達するまでの間に、該ゴム組成物に
含まれるゴムマトリックスは加硫によりその粘度が上昇
していく。一方、該ゴム組成物に含まれる該長尺状樹脂
は、溶融によりその粘度が大幅に低下していく。そし
て、加硫中において、ゴムマトリックスよりも該長尺状
樹脂の方が粘度が低くなる。即ち、加硫前のゴムマトリ
ックスと該長尺状樹脂との間における粘度の関係が、加
硫途中の段階で逆転する現象が生ずる。この間、ゴム組
成物中では、発泡剤を使用している場合には該発泡剤に
よる効率的な発泡が生じ、ガスが生ずる。この発泡によ
り生じたガスは、加硫反応が進行して粘度が高くなって
いるゴムマトリックスに比べて相対的に粘度が低下した
溶融した該長尺状樹脂内に移動し、容易に取り込まれ
る。
【0060】その結果、該ゴム組成物の加硫後の加硫ゴ
ムにおいては、ゴム組成物における該長尺状樹脂が存在
していた場所に長尺状気泡が存在する。該長尺状気泡
は、該長尺状気泡に面する周囲(長尺状気泡の内壁)が
該長尺状樹脂の素材によって被覆されており、加硫ゴム
内において互いに独立して存在している。また、該長尺
状樹脂の素材を、ポリエチレン、ポリプロピレン等とし
た場合は加硫したゴムマトリックスと該長尺状樹脂の素
材による被覆層(以下「保護層」と称することがある)
とは強固に接着している。なお、前記発泡剤を使用した
場合には、発泡率に富む加硫ゴムが得られる。
【0061】なお、本発明のゴム組成物を加硫して得た
加硫ゴムにおいて、前記長尺状樹脂と、加硫したゴムマ
トリックスとの接着力は、該加硫ゴムが加硫される前の
前記ゴム組成物中に、適宜選択した添加剤を添加するこ
とにより任意に調節することができる。
【0062】本発明のゴム組成物は、各種分野において
好適に使用することができるが、後述の本発明の加硫ゴ
ムの原料等として特に好適に使用することができる。
【0063】(加硫ゴム)本発明の加硫ゴムは、前記本
発明のゴム組成物を加硫することにより容易に得られ
る。本発明の加硫ゴムは、後述のタイヤのトレッド等に
用いる場合には、加硫する前に、原料である前記本発明
のゴム組成物中の前記長尺状樹脂を、上述の図1に示す
方法の外、公知の方法にて所定の方向に配向させるのが
好ましい。具体的には、該トレッドにおける地面と接触
する表面に平行な方向に、更には、該タイヤの周方向に
沿って前記長尺状樹脂を配向させると、該加硫ゴムにお
いて、前記長尺状樹脂が存在していた場所に長尺状気泡
が配向した状態で形成されている。その結果、該加硫ゴ
ムをタイヤにおけるトレッドに使用すると、前記長尺状
気泡による微細な排水溝が該タイヤの表面に露出し、こ
の排水溝が水膜除去能及びエッヂ効果を発揮し、該タイ
ヤの走行方向の排水性が高められ、前記氷上性能が向上
される。
【0064】前記加硫を行う装置、方式、条件等につい
ては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すること
ができる。前記加硫を行う装置の具体例としては、通常
タイヤ用ゴム組成物の加硫に用いる金型による成形加硫
機などが挙げられる。なお、前記条件として加硫温度
は、通常、100〜190℃程度である。
【0065】本発明の加硫ゴムにおいては、加硫したゴ
ムマトリックス中に、溶融した前記長尺状樹脂の内部に
ガスが包含されてなる長尺状気泡が多く存在している。
原料である前記本発明のゴム組成物を押出等することに
よって該ゴム組成物中の前記長尺状樹脂を一方向に配向
させた場合には、加硫ゴムにおいては、図3に示すよう
に、長尺状気泡12が、該押出方向(A方向)に配向し
た状態で存在している。この長尺状気泡12は、溶融し
た長尺状樹脂が加硫したゴムマトリックスと接着してな
る保護層14により囲まれている。このため、長尺状気
泡12は、加硫ゴムにおいて独立した空間として存在
し、該長尺状気泡12内部には、発泡剤から発生したガ
ス等が取り込まれている。
【0066】また、図2に示すように、加硫したゴムマ
トリックス中には、発泡剤から発生したガスが、球状の
気泡18として存在している(なお、前記ガスは、前記
長尺状樹脂が溶融した際に、該溶融樹脂中に取り込まれ
なかった分のガスを意味する)。本発明の加硫ゴムを、
例えばタイヤのトレッドに使用した場合等においては、
その表面に露出した長尺状気泡12あるいは球状の気泡
18が、水の効率的な排出を行う排水路として機能す
る。なお、該長尺状気泡12の周囲には耐剥離性に優れ
る保護層14が存在するため、該長尺状気泡12を有す
る本発明の加硫ゴムは、水路形状保持性、水路エッジ部
摩耗性、荷重入力時の水路保持性等に特に優れる。
【0067】本発明の加硫ゴムにおいては、長尺状気泡
12における、それぞれ、1個当たりの平均長さ(L)
(図3参照)と、平均中空径(D)との比(L/D)と
しては、小さくとも3(即ち、3以上)である必要があ
り、小さくとも5(即ち、5以上)が好ましい。なお、
前記比(L/D)の上限は、特に制限はないが、100
程度が選択される。また、本発明においては、前記比
(L/D)として、前記数値範囲のいずれかの下限値若
しくは上限値又は後述の実施例において採用した該比
(L/D)の値を下限とし、前記数値範囲のいずれかの
下限値若しくは上限値又は後述の実施例において採用し
た該比(L/D)の値を上限とする数値範囲も好まし
い。
【0068】前記比(L/D)が3未満であると、摩耗
した加硫ゴムの表面に現れる長尺状気泡12の長さを長
くすることができず、また容積を大きくすることができ
ないため、該加硫ゴムをタイヤのトレッド等に用いる場
合には、該タイヤ等の水排除性能を向上させることがで
きない点で好ましくない。
【0069】本発明の加硫ゴムにおいては、長尺状気泡
12の平均長さ(L)(=保護層14の長径、図2参
照)としては、500〜5000mmが好ましい。前記
平均長さ(L)が、500mm未満であると、該加硫ゴ
ムをタイヤのトレッド等に用いる場合には、該タイヤの
水排除性能が低下し、5000mmを越えると、該加硫
ゴムの耐カット性、ブロック欠けが悪化し、また、乾燥
路面での耐摩耗性が悪化するため、いずれも好ましくな
い。
【0070】本発明の加硫ゴムにおいては、長尺状気泡
12の平均中空径(D)(=保護層14の内径、図2参
照)としては、20〜500μmであることが必要であ
る。前記平均中空径(D)が、20μm未満であると、
該加硫ゴムをタイヤのトレッド等に用いる場合には、該
タイヤの水排除性能が低下し、前記氷上性能が十分でな
く、500μmを越えると、該加硫ゴムの耐久性、耐カ
ット性、ブロック欠けが悪化し、また、乾燥路面での耐
摩耗性が悪化するため、いずれも好ましくない。
【0071】本発明の加硫ゴムにおける平均発泡率Vs
としては、前記氷上性能と耐摩耗性の観点から、5〜3
5%が好ましく、10〜35%がより好ましい。また、
本発明においては、前記平均発泡率Vsとして、前記数
値範囲のいずれかの下限値若しくは上限値又は後述の実
施例における平均発泡率Vsの値を下限とし、前記数値
範囲のいずれかの下限値若しくは上限値又は後述の実施
例における平均発泡率Vsの値を上限とする数値範囲も
好ましい。
【0072】前記平均発泡率をVsとは、球状の気泡1
8の発泡率Vs1 と、長尺状気泡12の発泡率Vs2 と
を合計を意味し、次式により算出できる。 Vs=(ρ0 /ρ1 −1)×100(%) ここで、ρ1 は、加硫ゴム(発泡ゴム)の密度(g/c
3 )を表す。ρ0 は、加硫ゴム(発泡ゴム)における
固相部の密度(g/cm3 )を表す。なお、前記加硫ゴ
ム(発泡ゴム)の密度及び前記加硫ゴム(発泡ゴム)に
おける固相部の密度は、例えば、エタノール中の重量と
空気中の重量を測定し、これから算出した。
【0073】前記平均発泡率Vsが、5%未満である
と、発生する水膜に対して絶対的な凹部体積の不足によ
り十分な水排除機能が得られず、前記氷上性能の効果向
上が望めず、一方、35%を越えると、前記氷上性能を
十分に向上させることができるものの、加硫ゴム内にお
ける気泡が多くなり過ぎるために、加硫ゴムの破壊限界
が大巾に低下し、耐久性、耐摩耗性上好ましくない。前
記平均発泡率Vsは、前記発泡剤の種類、量、組み合わ
せる前記発泡助剤の種類、量、樹脂の配合量等により適
宜変化させることができる。
【0074】なお、前記平均発泡率Vsが5〜35%で
あると共に、長尺状気泡が前記平均発泡率Vsにおける
10%以上を占めることが好ましい。前記比率が10%
未満であると、前記長尺状気泡による適切な排水路が少
ないために、水排除機能が十分でなく、良好な前記氷上
性能が得られないことがある。また、前記加硫ゴム中の
長尺状気泡12は、溶融した長尺状樹脂が加硫したゴム
マトリックスと接着してなる保護層14により囲まれて
いるが、該保護層14の厚みとしては、大きくとも50
μm(50μm以下)が好ましい。前記厚みが、50μ
mを越えると、加硫ゴムが硬くなり過ぎ、却って前記氷
上性能が低下することがある。
【0075】本発明の加硫ゴムは、各種分野において好
適に使用することができるが、氷上でのスリップを抑え
ることが必要な構造物に特に好適に使用でき、タイヤの
トレッド等に最も好適に用いることができる。前記氷上
でのスリップを抑えることが必要な構造物としては、例
えば、更生タイヤの貼り替え用のトレッド、中実タイ
ヤ、氷雪路走行に用いるゴム製タイヤチェーンの接地部
分、雪上車のクローラー、靴底、ベルト、キャスター等
が挙げられる。
【0076】(タイヤ)本発明のタイヤは、少なくとも
トレッドを有してなり、少なくとも該トレッドが前記本
発明の加硫ゴムを含む限り、他の構成としては特に制限
はなく、目的に応じて適宜選択することができる。換言
すれば、前記本発明のゴム組成物を用い、これを加硫す
ることにより該トレッドを形成したタイヤが本発明のタ
イヤである。
【0077】本発明のタイヤの一例を図面を用いて説明
すると以下の通りである。なお、以下の例は、タイヤ
(空気入りタイヤ)のトレッドに、前記本発明のゴム組
成物を加硫して得られる加硫ゴムを用いた場合の例であ
る。
【0078】図3に示すように、本発明のタイヤ(サイ
ズ:185/70R14)4は、一対のビード部1と、
該一対のビード部1にトロイド状をなして連なるカーカ
ス2と、該カーカス2のクラウン部をたが締めするベル
ト3と、トレッド5とを順次配置したラジアル構造を有
する。なお、トレッド5を除く内部構造は、一般のラジ
アルタイヤの構造と異ならないので説明は省略する。
【0079】トレッド5には、図4に示すように、複数
本の周方向溝8及びこの周方向溝8と交差する複数本の
横溝9とによって複数のブロック10が形成されてい
る。また、ブロック10には、氷上でのブレーキ性能及
びトラクション性能を向上させるために、タイヤ幅方向
(図5中のB方向)に沿って延びるサイプ11が形成さ
れている。
【0080】トレッド5は、図5に示すように、直接路
面に接地する上層のキャップ部6と、このキャップ部6
のタイヤ内部側に隣接して配置される下層のベース部7
とから構成されており、いわゆるキャップ・ベース構造
とされている。
【0081】キャップ部6は、図2及び図7に示すよう
に、球状の気泡18と、長尺状気泡12とを無数に含ん
だ発泡ゴムであり、ベース部7には発泡されていない通
常のゴムが使用されている。この発泡ゴムが、前記本発
明の加硫ゴムである。長尺状気泡12は、図2に示すよ
うに、その長手方向が実質的にタイヤ周方向(A方向)
に配向されており、その周囲が長尺状樹脂による保護層
14で補強されている。
【0082】タイヤ4は、その製造方法については特に
制限はないが、例えば、以下のようにして製造すること
ができる。
【0083】キャップ部6を形成するための本発明のゴ
ム組成物における天然ゴム及びジエン系合成ゴムより選
ばれる少なくとも1種のゴム成分としては、−60℃以
下のガラス転移温度を有するものが好ましい。このガラ
ス転移温度とするのは、トレッド5のキャップ部6が、
低温域において十分なゴム弾性を維持し、前記氷上性能
を十分に向上させるためである。前記ゴム組成物の混練
り時において、樹脂がゴムマトリックス中に混練りされ
均一に分散される。前記樹脂は、タイヤ加硫工程におけ
る該ゴム組成物の温度が加硫最高温度に達するまでの間
に、ゴムマトリックスの粘度(流動粘度)よりも粘度
(溶融粘度)が低くなる素材により形成されている。
【0084】図1に示すように、長尺状樹脂15の混練
りされたゴムマトリックス16を、流路断面積が出口に
向かって減少する押出機の口金17から押し出すと、長
尺状樹脂15の向き、即ち、長尺状樹脂15の長手方向
が押出方向(A方向)に沿って除々に揃い、口金17か
ら出るときには長尺状樹脂15の長手方向が押出方向に
揃うので、その後、口金17から押し出された帯状のゴ
ム組成物を所望の長さでカットし、これをキャップ部6
のゴムとして用いることができる。
【0085】このようにして得られたゴム組成物による
帯状の未加硫のキャップ部6を、予め未加硫タイヤケー
スのクラウン部に貼り付けられた未加硫のベース部7
(図5参照)の上に、その長手方向がタイヤ周方向と一
致するように貼り付け、所定のモールドで所定温度、所
定圧力の下で加硫成形することによりタイヤ4を製造す
ることができる。
【0086】このとき、未加硫のキャップ部6がモール
ド内で加熱されると、ゴムマトリックス中で、発泡剤に
よる発泡が生じ、ガスが生ずる。一方、長尺状樹脂が溶
融(又は軟化)し、その粘度(溶融粘度)がゴムマトリ
ックスの粘度(流動粘度)よりも低下することにより
(図6参照)、長尺状樹脂の周囲において、前記発泡剤
による発泡により生じたガスが溶融した長尺状樹脂内へ
と移動する。図2に示すように、冷却後のキャップ部6
には、球状の気泡18と、長尺状気泡12とが存在して
いる発泡率に富むゴムとなっている。この発泡率に富む
ゴムは、本発明の加硫ゴムである。
【0087】次に、タイヤ4の作用について説明する。
即ち、タイヤ4を走行させると、図7に示すように、球
状の気泡18による凹部19と、長尺状気泡12による
溝状の凹部13とが摩耗の極めて初期の段階でトレッド
5のキャップ部6の接地面に現れる。この状態でタイヤ
4を氷上で走行させると、接地圧と摩擦熱によってタイ
ヤ4と氷面との間に水膜が生じるが、トレッド5のキャ
ップ部6の接地面に形成された無数の凹部13及び凹部
19によって接地面内の水分(水膜)は素早く排除され
て除去される。
【0088】タイヤ4においては、長手方向が実質的に
タイヤ周方向となっている長尺状(溝状)の凹部13が
効率的な水の排出を行う排水路として機能し、この長尺
状(溝状)の凹部13により、接地面内のタイヤ回転方
向後側への水排除性能が向上するため、特に氷上ブレー
キ性能が向上する。また、この長尺状(溝状)の凹部1
3は、その周囲がゴムマトリックスよりも硬い素材によ
りなり、耐剥離性に優れる保護層14で補強されている
ため耐剥離性に優れ、高荷重時でも潰れ難く、高い水路
形状保持性、高い水排除性能が常に維持される。更にタ
イヤ4においては、接地面に露出した保護層14によっ
て引っ掻き効果が生じるため、この引っ掻き効果によっ
て横方向の氷上μが向上し、氷上ハンドリングが良好に
なる。
【0089】タイヤ4のトレッド5は、前記本発明の加
硫ゴムで形成され、又は前記本発明のゴム組成物を用
い、これを加硫することにより形成されているので、ト
レッド5においては、球状の気泡18に比べて長尺状気
泡12の体積比率が高い。このため、タイヤ4の走行中
に、長尺状気泡12による凹部13がタイヤ4の表面に
露出する確率が高く、その結果、凹部13による水排除
機能が全体的に向上し、タイヤ4の前記氷上性能が向上
する。
【0090】なお、タイヤ4においては、長尺状気泡1
2による長尺状(溝状)の凹部13の長手方向の向き
は、総てタイヤ周方向となっていなくてもよく、一部タ
イヤ周方向以外の向きになっていてもよい(図5参
照)。
【0091】本発明のタイヤは、いわゆる乗用車用のみ
ならず、トラック・バス用等の各種の乗物に好適に適用
できる。
【0092】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明するが、本発
明は、これの実施例に何ら限定されるものではない。
【0093】(実施例1〜7及び比較例1〜7)表1及
び表2に示す組成の各ゴム組成物を押出機(押出条件:
(V2 /V1 )=1.04)にて押出して調製し、該各
ゴム組成物を加硫してトレッドを加硫ゴムにし、通常の
タイヤ製造条件にて常法に従って185/70R14サ
イズの乗用車用スタッドレスタイヤ(空気入りタイヤ)
を製造した。このタイヤにおいては、トレッドが加硫ゴ
ムで形成されている。
【0094】前記タイヤの構造は図3に示す通りであ
る。即ち、一対のビード部1と、該一対のビード部1に
トロイド状をなして連なるカーカス2と、該カーカス2
のクラウン部をたが締めするベルト3と、トレッド5と
を順次配置したラジアル構造を有する。
【0095】タイヤ4において、カーカス2は、タイヤ
周方向に対し90°の角度で配置され、コードの打ち込
み数は、50本/5cmである。タイヤ4のトレッド5
には、図3に示す通り、タイヤ幅方向に4個のブロック
10が配列されている。ブロック10のサイズは、タイ
ヤ周方向の寸法が35mmであり、タイヤ幅方向の寸法
が30mmである。また、ブロック10に形成されてい
るサイプ11は、幅が0.4mmであり、タイヤ周方向
の間隔が約7mmになっている。なお、タイヤ4のトレ
ッド5には、長尺状気泡12が含まれており、その長手
方向が実質的にタイヤ周方向(図2、図5及び図7中の
A方向)に配向されており、その周囲が長尺状樹脂によ
る保護層14で補強されている。
【0096】得られた各タイヤのトレッドの発泡率は、
以下のようにして求めた。即ち、各タイヤのトレッドか
らブロック状試料を切り出し、該ブロック状試料におけ
る密度ρ1 (g/m3 )を測定する。一方、無発泡ゴム
(固相ゴム)の密度ρ0 を測定する。そして、式
(4):発泡率=(ρ0 /ρ1 −1)×100(%)に
より算出した。
【0097】また、各タイヤのトレッドにおける長尺状
気泡の平均中空径(D)(=保護層14の内径、図2参
照)は、以下のようにして求めた。即ち、各タイヤ4の
トレッドからブロック状試料を切り出し、このブロック
状試料を更にトレッド表面に対して垂直に鋭利なカミソ
リによって切断する。このカットサンプルを走査型電子
顕微鏡を用いて100倍の倍率にて写真撮影を行う。な
お、写真撮影部分は、無作為に抽出する。次いで、長尺
状気泡部分の全面積を測定し、該測定した長尺状気泡の
個数で除することにより、長尺状気泡1個当たりの平均
断面積を求めた。ここで、下式により前記平均中空径を
算出した。 長尺状気泡の平均中空径=(長尺状気泡1個当たりの平
均断面積/π)1/2 以上の測定を10回行い、その平均値を前記平均中空径
とした。
【0098】また、各タイヤのトレッドにおける長尺状
気泡の平均長さ(L)と前記平均中空径(D)との比
(L/D)は、長尺状樹脂の平均長さを、上述のように
して算出した前記平均中空径で除することにより算出し
た。
【0099】各タイヤについて、以下のようにして前記
氷上性能及び耐摩耗性について評価した。その結果を表
1及び表2に示した。 <氷上性能>各タイヤを国産2000CCクラスのFF
車に装着し、該FF車を、平滑な乾燥路面(テストコー
ス上)で慣らし走行(1000km)をさせた後、氷上
(氷温−1℃)平坦路を走行させ、時速20km/hの
時点でブレーキを踏んでタイヤをロックさせ、停止する
までの距離を測定した。結果は、距離の逆数を比較例1
のタイヤの制動距離を100として指数表示した。な
お、数値が大きいほど氷上性能が良いことを示す。
【0100】<耐摩耗性>前記氷上性能の評価に用いた
のと同様のタイヤ及び車輛にて、国内一般市街地を各々
10000km走行させた時の残溝深さより求めた。比
較例1のタイヤの場合を100として指数表示した。即
ち数値が大きい程、耐摩耗性が良好である。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】なお、表1及び表2において、配合量の数
値は「重量部」を意味する。シス−1,4−ポリブタジ
エンは、JSR社製、BR01である。「カーボンブラ
ック」は、東海カーボン社製、シースト9である。「シ
リカ」は、調製品である。「N2 SA」は、上述の通り
である。「シランカップリング剤」は、ビス−(3−ト
リメトキシシリルプロピル)−テトラスルフィド(DE
GUSSA社製、SI69)である。「老化防止剤」
は、N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−
p−フェニレンジアミンである。「加硫促進剤」は、N
−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−1−スルフェ
ンアミドである。「発泡剤」は、ジニトロペンタメチレ
ンテトラミン(永和化成工業(株)製、セルラーD)で
ある。「発泡助剤」は、尿素(永和化成工業(株)製、
セルペーストK5)である。
【0104】ポリエチレン(HDPE:重量平均分子量
(Mw)1.7×105 )は、Dupont社製DSC
により、昇温速度10℃/分、サンプル重量約5mgの
条件にて測定した融点ピーク温度(融点)が135℃で
あった。また、ポリプロピレン(重量平均分子量(M
w)2.3×105 )は、Dupont社製DSCによ
り、昇温速度10℃/分、サンプル重量約5mgの条件
にて測定した融点ピーク温度(融点)が167℃であっ
た。長尺状気泡に関し、「Vs」は全発泡率を意味し、
「L:長さ」は平均長さ(μm)を意味し、「D:径」
は平均中空径(μm)を意味する。
【0105】なお、実施例1〜7において、ゴム組成物
の加硫時における加硫最高温度は、該ゴム組成物中に熱
電対を埋め込んで測定したところ175℃であった。実
施例1〜7では、長尺状樹脂の融点は、前記ゴム組成物
の加硫時における加硫最高温度よりも低くなっている。
実施例1〜7では、前記ゴム組成物の加硫時において、
前記ゴム組成物の温度が加硫最高温度に達するまでの間
に、前記長尺状樹脂の粘度が前記ゴムマトリックスの粘
度よりも低くなった(図6参照)。
【0106】表1及び表2の結果から、以下のことが明
らかである。即ち、樹脂で被覆された長尺状気泡を有し
ない比較例1、シリカの窒素吸着比表面積(N2 SA)
が210m2 /g未満である比較例2、ゴム成分100
重量部に対しシリカの含有量が10重量部未満である比
較例3、ゴム成分100重量部に対しシリカの含有量が
80重量部を越える比較例4、長尺状気泡の最大長さ
(L)と平均中空径(D)との比(L/D)が3未満で
ある比較例5、長尺状気泡の平均中空径(D)が20μ
m未満である比較例6、及び、長尺状気泡の平均中空径
(D)が500μmを越える比較例7では、いずれも氷
上性能及び耐摩耗性をバランス良く向上させることがで
きない。これに対し、本発明の実施例の場合には、氷上
性能及び耐摩耗性をバランス良く向上させることができ
る。
【0107】
【発明の効果】本発明によると、前記従来における諸問
題を解決することができる。また、本発明によると、乾
燥路面での耐摩耗性を損なうことなく、氷面との間に生
ずる水の除去能力に優れ、氷面との間の摩擦係数が大き
く、氷雪路面での制動・駆動性能(氷上性能)を飛躍的
に向上させたタイヤ、該タイヤのトレッド等の氷上での
スリップを抑えることが必要な構造物等に好適に使用で
きる加硫ゴム、及び該加硫ゴムの原料として好適に使用
できるゴム組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、長尺状樹脂の配向を揃える原理を説明
する説明図である。
【図2】図2は、本発明の加硫ゴムの断面概略説明図で
ある。
【図3】図3は、本発明のタイヤの一部断面概略説明図
である。
【図4】図4は、本発明のタイヤの周面の一部概略説明
図である。
【図5】図5は、本発明のタイヤのトレッドの一部断面
概略説明図である。
【図6】図6は、温度(加硫時間)とゴムマトリックス
の粘度及び長尺状樹脂の粘度との関係を示したグラフで
ある。
【図7】図7は、本発明のタイヤの摩耗したトレッドの
一部断面拡大概略説明図である。
【符号の説明】
1 一対のビード部 2 カーカス 3 ベルト 4 タイヤ 5 トレッド 6 キャップ部 7 ベース部 8 周方向溝 9 横溝 10 ブロック 11 サイプ 12 長尺状気泡 13 凹部 14 保護層 15 長尺状樹脂 16 ゴムマトリックス 17 口金 18 球状の気泡 19 凹部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然ゴム及びジエン系合成ゴムから選ば
    れた少なくとも1種からなるゴム成分と、該ゴム成分1
    00重量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が2
    10〜300m2 /gであるシリカ10〜80重量部と
    を含有してなり、 平均中空径(D)が20〜500μmであり、最大長さ
    (L)と平均中空径(D)との比(L/D)が小さくと
    も3であり、かつ樹脂で被覆された長尺状気泡を有して
    なることを特徴とする加硫ゴム。
  2. 【請求項2】 有機シラン化合物をシリカの全重量に対
    し5〜25重量%含有する請求項1に記載の加硫ゴム。
  3. 【請求項3】 カーボンブラックをゴム成分100重量
    部に対し多くとも80重量部含有し、該カーボンブラッ
    クとシリカとの合計量が30〜100重量部である請求
    項1又は2に記載の加硫ゴム。
  4. 【請求項4】 平均発泡率が5〜35%である請求項1
    から3のいずれかに記載の加硫ゴム。
  5. 【請求項5】 天然ゴム及びジエン系合成ゴムから選ば
    れた少なくとも1種からなるゴム成分と、該ゴム成分1
    00重量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が2
    10〜300m2 /gであるシリカ10〜80重量部と
    を含むゴムマトリックスと、加硫時にゴムマトリックス
    の温度が加硫最高温度に達するまでの間にその粘度がゴ
    ムマトリックスの粘度よりも低くなる長尺状樹脂とを少
    なくとも含有してなり、加硫されて請求項1から4のい
    ずれかに記載の加硫ゴムになることを特徴とするゴム組
    成物。
  6. 【請求項6】 ゴムマトリックスが発泡剤を含む請求項
    5に記載のゴム組成物。
  7. 【請求項7】 長尺状樹脂が結晶性高分子を含んでな
    り、その融点が加硫最高温度よりも低い請求項5又は6
    に記載のゴム組成物。
  8. 【請求項8】 1対のビード部、該ビード部にトロイド
    状をなして連なるカーカス、該カーカスのクラウン部を
    たが締めするベルト及びトレッドを有してなり、少なく
    とも前記トレッドが、請求項1から4のいずれかに記載
    の加硫ゴムを含んでなることを特徴とするタイヤ。
  9. 【請求項9】 長尺状気泡がタイヤ周方向に沿って配向
    された請求項8に記載のタイヤ。
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