JPH1120408A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

Info

Publication number
JPH1120408A
JPH1120408A JP9174914A JP17491497A JPH1120408A JP H1120408 A JPH1120408 A JP H1120408A JP 9174914 A JP9174914 A JP 9174914A JP 17491497 A JP17491497 A JP 17491497A JP H1120408 A JPH1120408 A JP H1120408A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
tire
resin
tread
closed cells
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9174914A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3779437B2 (ja
Inventor
Hiroaki Nishikawa
裕章 西川
Kazuaki Shinohara
一哲 篠原
Kojiro Yamaguchi
宏二郎 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP17491497A priority Critical patent/JP3779437B2/ja
Publication of JPH1120408A publication Critical patent/JPH1120408A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3779437B2 publication Critical patent/JP3779437B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C1/00Tyres characterised by the chemical composition or the physical arrangement or mixture of the composition
    • B60C1/0016Compositions of the tread
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/03Tread patterns
    • B60C11/032Patterns comprising isolated recesses
    • B60C11/0323Patterns comprising isolated recesses tread comprising channels under the tread surface, e.g. for draining water
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29KINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES B29B, B29C OR B29D, RELATING TO MOULDING MATERIALS OR TO MATERIALS FOR MOULDS, REINFORCEMENTS, FILLERS OR PREFORMED PARTS, e.g. INSERTS
    • B29K2105/00Condition, form or state of moulded material or of the material to be shaped
    • B29K2105/04Condition, form or state of moulded material or of the material to be shaped cellular or porous
    • B29K2105/046Condition, form or state of moulded material or of the material to be shaped cellular or porous with closed cells

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Tyre Moulding (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Tires In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長尺状独立気泡を含むトレッドゴムを備えた
空気入りタイヤの性能の急激な変化や、ブロック剛性低
下による各種性能低下を抑制する。 【解決手段】 樹脂からなる保護層26により被覆され
た長尺状独立気泡24を有する発泡ゴムでトレッド12
のキャップ部12Aを構成し、長尺状独立気泡24の密
度は、タイヤ半径方向外側を密に、タイヤ半径方向内側
を疎に設定する。摩耗するに従い除々に外側ゴム層12
Aの硬度が高くなり、内側ゴム層12Bの硬度に近づく
ので、緩やかに性能が変化して行く。また、トレッド1
2が1層構造の場合には、新品時においてもブロック剛
性が保たれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、トレッド踏面部
を形成しているトレッドゴム内に長尺状の排水路を形成
した空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】微細な長尺状の空洞を無数に含んだゴム
をトレッドに用いたタイヤが提案されている。
【0003】このタイヤは、トレッドが摩耗すると、長
尺状の空洞がタイヤ踏面部に表れて長尺状の凹部とな
り、この凹部が排水路の役目をして接地面内の水を排除
水することにより氷上性能及びウエット性能の向上を図
っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記タイヤ
は、長尺状の空洞がトレッドゴム内で均一に分布してい
た。
【0005】トレッドがキャップ/ベース構造の場合、
キャップ部には長尺状の空洞を有したゴムが用いられ、
ベース部には空洞を有していない通常のゴムが用いられ
る。このため、トレッドが摩耗してキャップゴム層から
ベースゴム層に移行する際に、トレッドゴムの性質が急
激に変化する問題がある。
【0006】また、トレッドが1層構造の場合、ブロッ
ク剛性が低下するため操縦性、耐摩耗性が不十分であ
る。
【0007】さらに、性能向上のためには空洞の数を増
やすこと(発泡率を上げること)が有効であるが、これ
は同時にタイヤトレッド部(ブロック)の剛性低下を招
いてしまい、タイヤトレッド(ブロック)の倒れ込みに
よる路面との接地面積の低下により、氷上性能、ウエッ
ト性能及びドライ性能が低下してしまう。
【0008】本発明は、上記事実を考慮し、長尺状の空
洞を含んだトレッドを備えた空気入りタイヤにおいて、
性能の急激な変化や、ブロック剛性低下による各種性能
低下を抑制することが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、1対のビードコア間にトロイド状をなして跨がるカ
ーカス層のクラウン部外周にベルト層とトレッドゴムを
順次配置した空気人りタイヤであって、前記トレッドゴ
ムは、樹脂からなる保護層により被覆された無数の長尺
状独立気泡を有し、前記長尺状独立気泡の密度は、前記
トレッドゴムのタイヤ半径方向外側が密に、タイヤ半径
方向内側が疎に設定されていることを特徴としている。
【0010】次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。請求項1に記載の空気入りタイヤのト
レッドは、長尺状独立気泡の密度がタイヤ半径方向外側
で密に、タイヤ半径方向内側で疎に設定されているた
め、例えば、トレッドがキャップベース構造で、キャッ
プ部における長尺状独立気泡の密度がタイヤ半径方向外
側で密に、タイヤ半径方向内側で疎に設定されている場
合には、トレッドが摩耗するに従い除々にトレッドゴム
の硬度が高くなるので、緩やかに性能が変化して行く。
また、トレッドが1層構造の場合には、新品時において
もブロック剛性が保たれ、一般路の操縦性、耐摩耗性が
向上する。
【0011】また、長尺状独立気泡の密度を一定とした
トレッドと比較してトレッドの剛性を高めることができ
るので、タイヤトレッドのブロックの倒れ込みを抑制で
き、路面との接地面積を十分に確保して、氷上性能、ウ
エット性能及びドライ性能を向上することができる。
【0012】なお、走行によってトレッドゴムが摩耗す
ると、長尺状独立気泡による長尺状の凹部が接地表面に
形成され、この長尺状の凹部が排水路の役目を果たし、
接地面内の水を効率良く排除水し、高い氷上性能及びウ
エット性能が得られる。
【0013】さらに、樹脂からなる保護層が凹部の潰れ
を抑制するので、高荷重時においても排除水性が確保さ
れる。
【0014】また、接地面に露出した樹脂による引っか
き効果により、路面との摩擦係数を向上させることがで
きる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]本発明の空気入りタイヤの第1の実
施形態を図1乃至図9にしたがって説明する。
【0016】図1に示すように、本実施形態の空気入り
タイヤ(サイズ:185/70R13)10は、ケース
1と、このケース1のクラウン部2のタイヤ半径方向外
側をショルダー3間において被覆するトレッド12とを
有している。
【0017】ケース1は、一対のビード部4と、一方の
ビード部4から他方のビード部4まで延びるゴム引きコ
ードからなるトロイダル状のカーカス5と、カーカス5
のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されタイヤ周
方向に延びる公知の非伸長性のベルト6とを有し、ま
た、このケース1のタイヤ軸方向外側には耐屈曲性に優
れた通常のゴムからなるサイドウォール7が配置されて
いる。
【0018】本実施形態の空気入りタイヤ10は所謂ス
タッドレスタイヤであり、図2に示すように、トレッド
12にはタイヤ幅方向に等間隔で配置された4本の周方
向溝14と、タイヤ周方向にほぼ等間隔にタイヤ幅方向
に延びる横溝16が形成され、これら周方向溝14と横
溝16とによって区画されたブロック18にはタイヤ幅
方向に延びる複数のサイプ19が形成されている。
【0019】図1に示すように、トレッド12は、少な
くとも2層のゴム層、本実施形態では、タイヤ半径方向
外側に位置し、路面に接する外側ゴム層(所謂キャップ
ゴム層)12Aと、タイヤ半径方向内側に位置する内側
ゴム層(所謂ベースゴム層)12Bとの2層のゴム層か
ら構成されたトレッド踏面部、及びこのトレッド踏面部
のタイヤ幅方向両側に配置された側ゴム部12Cからな
っている。
【0020】図3及び図4に示すように、外側ゴム層1
2Aは、略球形の球状独立気泡22と、全体が樹脂の保
護層26で補強されている長尺状独立気泡24とを無数
に含んだ発泡ゴムであり、保護層26で補強された長尺
状独立気泡24の密度は、タイヤ径方向外側(矢印D方
向側)が密であり、タイヤ径方向内側が疎である。
【0021】即ち、外側ゴム層12Aの単位体積当たり
の長尺状独立気泡24の総体積は、タイヤ径方向内側が
タイヤ径方向外側よりも大となっている。
【0022】このように、長尺状独立気泡24の密度に
変化を持たせる方法としては、例えば、長尺状独立気泡
24の一つ当たりの大きさ(体積)が同一であれば、単
位体積当たりの長尺状独立気泡24の数を、タイヤ径方
向内側で多く、タイヤ径方向外側で少なくすれば良い。
また、単位体積当たりの長尺状独立気泡24の数を一定
とした場合には、タイヤ径方向内側の長尺状独立気泡2
4の大きさ大きく、タイヤ径方向外側の長尺状独立気泡
24の大きさ小さくすれば良い。なお、長尺状独立気泡
24の数及び大きさの両方を変えても良い。
【0023】図4に示すように、本実施形態では、長尺
状独立気泡24は長手方向が実質的にタイヤ周方向(矢
印A方向)とされている。
【0024】図1に示す空気入りタイヤ10において、
外側ゴム層12Aにおいて、タイヤ径方向外側のゴム層
12A1 での単位体積当たりの長尺状独立気泡24の総
体積を100としたときに、タイヤ径方向内側のゴム層
12A2 の単位体積当たりの長尺状独立気泡24の総体
積は100未満、好ましくは60〜90である。
【0025】なお、内側ゴム層12Bには発泡されてい
ない通常のゴムが使用されており、ショアA硬度が、外
側ゴム層12AのショアA硬度よりも高いゴムが使用さ
れている。 (製造方法)次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の
外側ゴム層12Aの製造方法を説明する。
【0026】外側ゴム層12Aを形成するためのゴム組
成物に用いられるゴム成分としては、−60°C以下の
ガラス転移温度を有するものが望ましい。このガラス転
移温度とするのは、トレッド12の外側ゴム層12A
が、低温域において十分なゴム弾性を維持し、十分な氷
上性能を得るためである。
【0027】また、外側ゴム層12Aを形成するための
ゴム組成物は、天然ゴム及びジエン系合成ゴムからなる
群より選ばれた少なくとも1種のゴムを有することが好
ましい。
【0028】ジエン系合成ゴムとしては、スチレン−ブ
タジエン共重合体、シス−1,4−ポリイソプレン、シ
ス−1,4−ポリブタジエン等が含まれる。
【0029】この中で、特にガラス転移温度が低く、氷
上性能の効果が大きい点で、シス−1,4−ポリブタジ
エンが好適に使用され、特にシス含有率が90%以上の
ポリブタジエンが好ましい。
【0030】外側ゴム層12Aに気泡を形成するため
に、ゴム組成物には発泡剤及び発泡助剤が含まれてい
る。
【0031】発泡剤の例としは、ジニトロソペンタメチ
レンテトラアミン(DPT)、アゾジカルボンアミド
(ADCA)、ジニトロソペンタスチレンテトラミンや
ベンゼンスフォニルヒドラジド誘導体、オキシビスベン
ゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)等があるが、中
でもアゾジカルボンアミド(ADCA)が製造加工性を
考慮すると好ましい。
【0032】発泡助剤としては、尿素、ステアリン酸亜
鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛や亜鉛華等、通常発泡製
品の製造に用いられる助剤が好ましく適用される。
【0033】なお、発泡剤及び発泡助剤は、上記のもの
以外を用いても良い。また、ゴム組成物には、上記の成
分と共に、カーボンブラック、シリカ、シランカップリ
ング剤、プロセスオイル、加硫剤、加硫促進剤等が併用
され、これら以外にも、ゴム工業で通常使用されている
老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、オゾン劣化防止
剤等の添加剤が配合されている。
【0034】上記ゴム組成物の精錬工程(混練工程)に
おいて、図5に示すような長尺状の樹脂32が混練さ
れ、樹脂32は均一に分散される。
【0035】ここで、本実施形態に用いられる樹脂32
は、熱可塑性の樹脂であり、タイヤ加硫工程においてゴ
ムマトリクスよりも粘度が低くなる樹脂が用いられてい
る。
【0036】一般的に樹脂相の溶融前粘度は、ゴムマト
リクスの架橋終了粘度(Max値)よりはるかに高い。
しかしながら、樹脂相が一度溶融すると、その粘度は大
巾に低下する。タイヤ加硫工程において、その初期から
終了に至るまでの間に、ゴムマトリクスは架橋反応によ
り粘度上昇して行く。その中で、長尺状樹脂相が溶融
し、大巾に高かった粘度が溶融により低下し、そのとき
のゴムマトリクス粘度(架橋途中であるが)と相対的に
逆転する。
【0037】なお、ここでいうゴムマトリクスとは、樹
脂32を除くゴム部分を指す。全体が保護層26で補強
された長尺状独立気泡24を得るための重要な条件は、
ゴム中に配合する樹脂32が結晶性高分子の場合、その
結晶性高分子の融点を加硫最高温度以下とすることであ
る。
【0038】保護層26で補強された長尺状独立気泡2
4は、加硫中に樹脂32が加硫時の熱により溶融してゴ
ムマトリクスよりも粘度が低下し、ゴム中に予め含有さ
せた発泡剤等から発生してゴム中に拡散あるいは溶解し
たガスが、ゴム内で最も粘度の低い前記溶融した樹脂3
2の内方に移動して集中することを利用して形成される
ものである。
【0039】したがって、樹脂32が結晶性高分子の場
合、その融点はトレッド部の加硫最高温度以下とするこ
とが重要である。なお、ここでいうトレッド部の加硫最
高温度とは、モールド加硫においては、モールド内に入
ってからモールドを出てタイヤが冷却されるまでのトレ
ッド部の最高温度を指す。
【0040】ちなみに、ゴムの粘度としては、ムーニー
粘度30〜100の範囲である。樹脂32の溶融粘度を
支配するものとしては、融点(結晶性高分子の場合)、
分子量が上げられる。
【0041】樹脂32の融点は、使用するゴムの加硫最
高温度よりも低いほど好ましい。これは、樹脂32の融
点がゴムの加硫最高温度よりも低いほど加硫中に早期に
溶融するため、ゴム中に生成したガスが樹脂32内に進
入し易くなるためである。
【0042】なお、ゴムの加硫最高温度に対して樹脂3
2の融点が近すぎると、樹脂32は加硫末期に溶融す
る。この時点では、ゴムマトリクスはガスを取り込んで
架橋が進行しているために、ガスが溶融した樹脂32に
進入し難く、長尺状独立気泡24が形成され難くなる。
【0043】一方、樹脂32の融点が低すぎると、ゴム
の混練時の熱で樹脂32が溶融してしまい、粘度が低下
するために、混練の段階で樹脂32同士の融着が発生し
てゴム中の樹脂32の分散性が悪化するため好ましくな
い。また、樹脂32の融点が低すぎると、混練の段階で
樹脂32がその長尺形状を保つことができなくなり、複
数に分断されたり、場合によっては樹脂32がゴム中に
溶け込んでミクロに分散してしまう。
【0044】したがって、樹脂32の融点は、上記概念
の範囲内で選択されるべきであり、樹脂32の融点は、
ゴムの加硫最高温度よりも10°C以上低く、好ましく
は20°C以上低く、更に好ましくは30°C以上低く
設定するべきである。
【0045】ちなみに、工業的にゴムの加硫温度は、最
高で約190°Cであるので、加硫最高温度が190°
Cに設定されている場合には、上記樹脂32の融点は1
90°C以下、好ましくは180°C以下、更に好まし
くは170°C以下とするべきである。
【0046】また、ゴムの混練工程を考えると、樹脂3
2の融点は、混練時の最高温度に対して、5°C以上、
好ましくは10°C以上、更に好ましくは20°C以上
に設定することが良い。ゴムの混練工程での最高温度、
おおよそ95°Cを想定すると、樹脂32の融点は、1
00°C以上、好ましくは105°C以上、更に好まし
くは115°C以上とすることが良い。
【0047】樹脂32は、通常知られているように、同
じ物質であっても分子量が高いほどある一定の温度にお
ける溶融粘度は高くなる。したがって、長尺状独立気泡
24を得るためには、分子量は、トレッドゴムの加硫最
高温度におけるゴムの流動粘度より樹脂32の粘度が高
くならない様な範囲で選択されるべきである。
【0048】なお、試験を行った結果、重量平均分子量
が1〜2×105 程度の長尺状のポリエチレンを混入し
たゴム組成物では、加硫によって長尺状独立気泡24が
形成されたが、重量平均分子量が7×105 以上とされ
る超高分子量ポリエチレンを混入したゴム組成物では、
ゴム中に生成したガスがポリエチレン内部に集中せず、
長尺状のポリエチレンは中空化しなかった。これは、分
子量の違いに起因する溶融粘度の差によるものと考えら
れる。
【0049】一方、分子量が低すぎる場合、ゴムの混練
の段階で樹脂32の粘度が低下してしまい、樹脂32同
士の融着が発生してゴム中の分散性が悪化するため好ま
しくない。
【0050】本実施形態に用いられる樹脂32の分子量
は、材質の化学組成、分子鎖の分岐の状態によって決ま
るものなので限定されるものではないが、選択材質によ
り適当な範囲内で選択されるべきである。
【0051】なお、上記融点とは、米国デュポン社製9
10型DSC測定装置により、昇温速度10°C/分、
試料重量5mgの条件で測定された融解ピーク温度のこ
とを指す。
【0052】以上、本実施形態に必要とされる樹脂32
の熱的特性について述べたが、本実施形態は融点を持つ
結晶性高分子に限定されるものではなく、外周部分に樹
脂32からなる保護層26が形成された長尺状独立気泡
24が得られるものであれば、樹脂32は非結晶性高分
子でも良い。
【0053】樹脂32が非結晶性高分子の場合でも、重
要な条件は、加硫工程において、トレッドゴムが加硫最
高温度に達するまでに樹脂32の粘度がゴムの粘度より
も低くなることと、ゴム練り温度で樹脂32同士の融着
が発生せずに分散性が良いことであり、これら要件を満
たすよう材質、分子量を選定する。
【0054】なお、結晶性高分子の樹脂32の具体例と
しては、例えば、ポリエチレン(PE、融点:135°
C)、ポリプロピレン(PP、融点:167°C)、ポ
リブチレン(融点:129°C)、ポリブチレンサクシ
ネート(融点:115°C)、ポリエチレンサクシネー
ト(融点:105°C)、シンジオタクティック−1,
2−ポリブタジエン(SPB、融点:130°C)のよ
うな単一組成重合物や、共重合、ブレンド等により融点
を適当な範囲に操作したものも用いることができ、さら
にこれらの樹脂32に添加剤を加えても良い。
【0055】また、非結晶性高分子の樹脂32の具体例
としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリ
ルニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレ
ンなどを用いることができる。
【0056】なお、樹脂32は、前述した条件を満たす
ものであれば、上記具体例以外の樹脂32であっても良
い。また、分散させる樹脂32の種類は1種類に限ら
ず、複数種類であっても良い。
【0057】例えば、空気入りタイヤ10の加硫最高温
度が175°Cである場合、樹脂32としてポリエチレ
ン(融点:135°C)を用いることができる。また、
ポリエチレン(融点:135°C)とポリプロピレン
(融点:167°C)の両方を分散させても良い。
【0058】図6に示すように、長尺状の樹脂32の混
練された生のゴム組成物36を、流路断面積が出口に向
かって減少する押出機の口金38から押し出すと、樹脂
32の向き、即ち、樹脂32の長手方向が押出し方向
(矢印C方向)に沿って除々に揃い、口金38から出る
ときには樹脂32の長手方向が押出し方向に揃うので、
その後、口金38から押し出された帯状のゴム組成物3
6を所望の長さでカットし、これを外側ゴム層12Aの
ゴムとして用いることができる。
【0059】なお、樹脂32の長手方向が揃う程度は、
流路断面積の減少ぐあい、押出し速度、ゴムの粘度等に
よって変化する。
【0060】長尺状の樹脂32を所望する方向、即ち、
押出方向に沿って配列するためには、ゴムの流動性を限
られた温度範囲の中でコントロールすることが重要であ
る。即ち、オイル、液状ポリマーなどの加工性改良剤を
ゴム組成物に適宜添加することにより、ゴムマトリクス
の粘度を下げ、流動性を高めることによって、長尺状の
樹脂32の融点以下といった押出温度の制約条件のなか
でも、極めて良好に押出し、かつ、理想的に長尺状の樹
脂32を押出方向に沿った方向に配列せしめることが可
能となる。
【0061】このようにして出来たゴム組成物からなる
帯状の生の外側ゴム層12Aを、予め生タイヤケースの
クラウン部に貼り付けられた生の内側ゴム層12BBの
上に、長手方向がタイヤ周方向と一致するように貼り付
け、所定のモールドで所定温度、所定圧力のもとで加硫
成形することにより本実施形態の空気入りタイヤ10を
形成することができる。
【0062】ところで、保護層26で補強された長尺状
独立気泡24の密度をタイヤ径方向外側で密、タイヤ径
方向内側で疎にする方法であるが、一番簡単な方法は、
例えば、樹脂32の含有量の多い帯状のゴム組成物と、
樹脂32の含有量の少ない帯状のゴム組成物との2種類
の帯状のゴム組成物を製造し、樹脂32の含有量の少な
い帯状のゴム組成物がタイヤ径方向内側に、樹脂32の
含有量の多い帯状のゴム組成物がタイヤ径方向疎側とな
るように、生の内側ゴム層12Bの上に貼り付ければ良
い。
【0063】また、大きい樹脂32を含んだ帯状のゴム
組成物と、小さく樹脂32を含んだ帯状のゴム組成物と
の2種類の帯状のゴム組成物を製造し、小さい樹脂32
を含んだ帯状のゴム組成物がタイヤ径方向内側に、大き
い樹脂32を含んだ帯状のゴム組成物がタイヤ径方向外
側となるように、生の内側ゴム層12Bの上に貼り付け
ても良い。
【0064】なお、長尺状独立気泡24の密度は、2段
階以上に細かく変化させても良く、連続的に変化させて
も良い。
【0065】生の外側ゴム層12Aがモールド内で加熱
されると、図7(A)に示すように、発泡剤によってガ
ス34が発生し始める。
【0066】生の外側ゴム層12Aが加熱されて樹脂3
2が溶融(または軟化)し、その粘度がゴムマトリクス
の粘度よりも低下すると(図8参照)、図7(B)に示
すように樹脂32の周囲に発生したガス34が溶融した
樹脂32の中へと移動する。最終的には、溶融した樹脂
32のなかに移動したガス34の気泡同士がつながって
長尺状の空間が形成され、樹脂32から離れた部位で発
生したガスはその位置に止まる。
【0067】冷却後の外側ゴム層12Aは、図7(C)
及び図7(D)に示すように球状独立気泡22と、外周
部分が固化した樹脂32の保護層26で補強された長尺
状独立気泡24とが形成された発泡ゴムとなる。 (作用)次に本実施形態の作用を説明する。
【0068】本実施形態の空気入りタイヤ10では、外
側ゴム層12Aの長尺状独立気泡24の密度がタイヤ半
径方向外側で密に、タイヤ半径方向内側で疎に設定され
ているため、外側ゴム層12Aが摩耗するに従い除々に
外側ゴム層12Aの硬度が高くなり、内側ゴム層12B
の硬度に除々に近づくため急激な性能変化が無い。
【0069】また、長尺状独立気泡の密度を一定とした
外側ゴム層を有したトレッドのブロックと比較して、本
実施形態のトレッド12のブロック18は剛性を高める
ことができるので、ブロック18の倒れ込みを抑制で
き、路面との接地面積を十分に確保して、氷上性能、ウ
エット性能、ドライ性能及び耐摩耗性を向上することが
できる。
【0070】また、本実施形態の空気入りタイヤ10を
走行させると、図9に示すように、略球形の球状独立気
泡22による凹部22Aと長尺状独立気泡24による溝
状の凹部24Aとが摩耗の極めて初期の段階でトレッド
12の接地面に現れる。
【0071】空気入りタイヤ10を氷上で走行させる
と、接地圧と摩擦熱によってタイヤと氷面との間に水膜
が生じるが、トレッド12の接地面に形成された無数の
凹部22A,24Aによって接地面内の水分(水膜)は
素早く排除水されて除去される。
【0072】長手方向が実質的にタイヤ周方向となって
いる溝状の凹部24Aによって接地面内のタイヤ回転方
向後側への排除水性が向上するため、特に氷上ブレーキ
性能が向上する。また、この溝状の凹部24Aは、外周
部分がゴムマトリクスよりも硬い保護層26で補強され
ているため高荷重時でも潰れ難く、荷重の変化に影響さ
れずに高い排除水性を常に維持することができる。
【0073】本実施形態の空気入りタイヤ10の製造方
法によれば、加硫成形時の高温、高圧下のもとにおいて
も長尺状の樹脂32を中空化することが可能となり、十
分な排除水性能を得ることのできる保護層26で補強さ
れた長尺状独立気泡24を確実に形成することができ
る。
【0074】ここで、外側ゴム層12Aを構成している
発泡ゴム部分において、球状独立気泡22の発泡率Vs
1 と長尺状独立気泡24の発泡率Vs2 とを合わせた全
発泡率をVsとすると、全発泡率Vsは、3〜40%の
範囲内が望ましく、好ましくは5〜35%である。発泡
ゴムの全発泡率Vsは、Vs=(ρ0 /ρ1 −1)×1
00(%)で表され、ρ1 は発泡ゴムの密度(g/cm
3 )、ρ0 は発泡ゴムの固相部の密度(g/cm3 )で
ある。
【0075】全発泡率Vsが3%未満では、発生する水
膜に対して絶対的な凹部体積の不足により充分な排除水
が行われず、氷上性能の効果向上が望めない。
【0076】全発泡率Vsが40%を越えると、氷上性
能向上効果は充分だが、ゴム内の空隙が多すぎるため
に、コンパウンドの破壊限界が大巾に低下し、耐久性上
好ましくない。
【0077】全発泡率Vs3〜40%の設定範囲の中
で、長尺状独立気泡24が全発泡率Vsの10%以上を
占めることが大切である。10%未満では、適切な長尺
状水路が少ないために、球状独立気泡のみの場合に対す
る効果が薄れるからである。
【0078】また、長尺状の樹脂32の平均径は、2.
3〜400μmが実際的である。その理由は、タイヤ加
硫の一般的製造条件の中では、所望する長尺状独立気泡
24の出来上がり中空径が20〜500μmになるため
には、中空化前の段階で樹脂32の平均径が2.3〜4
00μm程度となっているためである。
【0079】一方、長尺状独立気泡24の平均中空径D
(=保護層26の内径。図4参照)は、20〜500μ
mの範囲内であることが好ましい。
【0080】長尺状独立気泡24の平均中空径Dが20
μm未満になると、排除水性が低下するため好ましくな
い。一方、長尺状独立気泡24の平均中空径Dが500
μmよりも大きくなると、耐カット性、ブロック欠けが
悪化し、また、乾燥路面での耐摩耗性が悪化するため好
ましくない。
【0081】また、長尺状独立気泡24の1個当たりの
最大長さLと、平均中空径Dとの比L/Dは3以上が好
ましい。
【0082】比L/Dを3以上とすることにより、摩耗
したゴム表面に現れる溝状の凹部24Aが長くなり、平
均中空径Dを上記の最適範囲内とした上で容積を大きく
とることができ、多量の水を排除水可能となる。特に、
周方向溝14、横溝16、サイプ19等に端部が連結さ
れた溝状の凹部24Aは、吸収した水を周方向溝14、
横溝16、サイプ19まで排出できるので効果的であ
る。
【0083】なお、上記空気入りタイヤ10では、長尺
状独立気泡24の長手方向の向きをタイヤ周方向とした
が、製造上の理由等から(図3参照)、一部周方向以外
に配向しても良い。
【0084】長尺状独立気泡24の長手方向をタイヤ軸
方向(矢印B方向)とすると溝状の凹部24Aの方向が
タイヤ軸方向となり、横方向に対する排除水性を特に向
上させることができる。 [第2の実施形態]本発明の空気入りタイヤの第2の実
施形態を図10及び図11にしたがって説明する。な
お、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、そ
の説明は省略する。
【0085】図10及び図11に示す本実施形態の空気
入りタイヤ40(サイズ:185/70R13)は、所
謂サマータイヤであり、トレッド12にはタイヤ幅方向
に等間隔で配置された3本の周方向溝14と、タイヤ周
方向にほぼ等間隔にタイヤ幅方向に対して若干傾斜して
延びる横溝16とで区画されたブロック18を有してい
る。
【0086】図10に示すように、トレッド12は、1
層のゴム層42から構成されたトレッド踏面部、及びこ
のトレッド踏面部のタイヤ幅方向両側に配置された側ゴ
ム部12Cからなっている。
【0087】なお、図示は省略するが、この第2実施形
態の空気入りタイヤ40のゴム層42も第1実施形態の
空気入りタイヤ10の外側ゴム層12Aと同様に略球形
の球状独立気泡22と、全体が樹脂の保護層26で補強
されている長尺状独立気泡24とを無数に含んだ発泡ゴ
ムであり、ブロック18内においては、保護層26で補
強された長尺状独立気泡24の密度がタイヤ径方向外側
で密、タイヤ径方向内側で疎となっている。
【0088】長尺状独立気泡の密度を一定としたゴム層
からなるトレッドのブロックと比較して、本実施形態の
トレッド12はブロック18の剛性を高めることができ
るので、ブロック18の倒れ込みを抑制でき、路面との
接地面積を十分に確保して、ドライ性能及び耐摩耗性を
向上することができる。
【0089】また、本実施形態の空気入りタイヤ40も
第1の空気入りタイヤ10と同様に、略球形の球状独立
気泡22による凹部22Aと長尺状独立気泡24による
溝状の凹部24Aとが摩耗の極めて初期の段階でトレッ
ド12の接地面に現れ、凹部22A及び溝状の凹部24
Aによる排除水性が得られる。
【0090】なお、前述した空気入りタイヤ10,40
は、いわゆる乗用車用であったが、本発明は乗用車用タ
イヤ以外、例えば、トラック・バス用のタイヤにも適用
できるのは勿論である。
【0091】また、前記実施形態では、加硫温度が17
5°Cであったが、ゴムの材質、タイヤの種類等によっ
て加硫温度は適宜変更される。
【0092】なお、本発明は、サイプ、ブロック形状
等、タイヤ形状との組み合わせは自由である。
【0093】また、空気入りタイヤは、所謂更生タイヤ
であっても良く、この場合には、長尺状の樹脂32を含
んだ帯状のゴム組成を所定のモールドで加硫して貼り替
え用のトレッドを成型し、これを台タイヤに貼り付けれ
ば良い。
【0094】なお、長尺状独立気泡24の潰れ抑制のた
めに、保護層26と周囲のマトリクスゴムとの接着性は
重要である。本発明の実施形態に用いたポリエチレンな
どは、一旦溶融するためにゴムとある程度接着している
が、マトリクスゴムと保護層26との接着性をさらに良
くする方法としては、例えば、樹脂32に表面処理を行
う方法、樹脂32にゴムとの接着性を向上させる成分を
含有させる方法等がある。
【0095】前記実施形態では、長尺状の樹脂32を溶
融しないようにゴム原料等と共に混練し、これを断面積
が除々に小さくなる押出機の口金から押し出すことによ
って長手方向が押出し方向に沿って揃った長尺状の樹脂
32を含んだゴム組成物を得たが、他の方法によっても
同様なゴム組成物を得ることができる。
【0096】例えば、粒状の樹脂をゴム原料等と共に混
練し、樹脂が溶融又は軟化するように押出し時の温度を
設定して押出機の口金から押し出すようにすると、溶融
又は軟化した樹脂が除々の押出し方向に延ばされながら
ゴム組成物が押し出され、口金から押し出されたときに
は、樹脂は長手方向が押出し方向とされた長尺状とな
る。 (試験例)本発明の効果を確かめるために、比較例1の
スタッドレスタイヤ及び本発明の適用された実施例1の
スタッドレスタイヤを試作して氷上ブレーキ性能、氷上
トラクション性能、氷上フィーリング及び耐摩耗性の各
々に付いて実車テストを行って比較を行うと共に、比較
例2のサマータイヤ及び本発明の適用された実施例2の
サマータイヤを試作してドライフィーリング及び耐摩耗
性の各々に付いて実車テストを行って比較を行った。
【0097】以下に比較例1,2及び実施例1,2のタ
イヤを説明する。各例のタイヤ共に、タイヤサイズは1
85/70R13である。実施例1のスタッドレスタイ
ヤは第1の実施形態で説明した構造のタイヤ(図1〜3
参照)であり、比較例1のスタッドレスタイヤは、実施
例1のスタッドレスタイヤと同一パターンで、長尺状独
立気泡24の密度が一定のタイヤである。一方、実施例
2のサマータイヤは第2の実施形態で説明した構造のタ
イヤ(図10及び図12参照)であり、比較例2のサマ
ータイヤは、実施例のサマータイヤと同一パターンで、
長尺状独立気泡24の密度が一定のタイヤである。
【0098】次に、各例のタイヤのその他の仕様及び試
験方法を以下に説明する。 球状独立気泡と長尺状独立気泡の体積比:タイヤトレッ
ドからセンター部ブロック片を切り取り、更に、タイヤ
周方向に対して垂直に、かつトレッド表面に対して垂直
に、鋭利なカミソリで観察面を切り出す。このカットサ
ンプルを走査型電子顕微鏡で、倍率100倍にて写真撮
影を行う。尚、写真撮影場所については無作為に抽出す
る。次いでこの写真中の球状独立気泡部分と樹脂保護層
を備えた長尺状独立気泡部分を分別し、それぞれの面積
を測定して、ある一定面積内の球状独立気泡と長尺状独
立気泡の面積比を算出する。以上の測定を10回行い、
面積比の平均を求め、これを球状独立気泡と長尺状独立
気泡の体積比とした。
【0099】硬度:加硫したゴム組成物をJIS K6
301に準拠し、室温(24°C)にて測定したもので
ある。
【0100】長尺状独立気泡の平均内径:長尺状独立気
泡の平均内径については、上記測定における長尺状独立
気泡全面積を、観察された長尺状独立気泡個数で割り、
1独立気泡当たりの平均断面積を求め、下記式により断
面が完全な円状である事を仮定した際の直径を算出し
た。
【0101】長尺状独立気泡内径=(1独立気泡当たり
断面積÷π)0.5 ×2 以上の測定を10回行い、その平均値を長尺状独立気泡
内径とした。
【0102】L/D:L/Dは上記測定により求めた内
径で投入短繊維長さを除した値である。長尺状独立気泡
の長さについては、独立気泡に沿ってサンプルを切断
し、実測しても良いが、誤差を多く含むため、前述のよ
うに定義した。
【0103】長尺状独立気泡の樹脂層の厚み:長尺状独
立気泡の樹脂層の厚みについては、上記測定に用いたカ
ットサンプルを用い、走査型電子顕微鏡を樹脂の厚みが
測定できるほどの高倍率にして写真撮影し、1個の長尺
状独立気泡につき、4ヵ所の厚みを測定する。この測定
を40個の長尺状独立気泡に対して行い、平均値を長尺
状独立気泡の保護層の厚みとした。
【0104】実車テストは、内圧200kPaを充填し
た供試タイヤを日本製1600CCクラスの乗用車(2
名乗車)に装着して行った。各試験の方法は以下に説明
する通りである。
【0105】氷上ブレーキ性能:氷盤路で時速20km/h
からのフル制動したときの制動距離を測定した。結果
は、制動距離の逆数を比較例のタイヤを100として指
数表示した。なお、数値が大きいほど氷上ブレーキ性能
が良いことを示す。また、数値は、新品〜摩耗時の平均
値である。
【0106】氷上トラクション性能:氷盤路での20m
の距離での発進からの加速通過時間を測定した。結果
は、加速通過時間の逆数を比較例のタイヤを100とし
て指数表示した。なお、数値が大きいほど氷上トラクシ
ョン性能が良いことを示す。また、数値は、新品〜摩耗
時の平均値である。
【0107】氷上フィーリング:氷盤路面のテストコー
スにおける制動、発進性、直進性、コーナリング性の総
合フィーリング(テストドライバーによるフィーリング
評価)。結果は、比較例のタイヤを100として指数表
示した。なお、数値が大きいほど氷上フィーリングが良
いことを示す。また、数値は、新品〜摩耗時の平均値で
ある。
【0108】ドライフィーリング:乾燥した舗装路のテ
ストコースにおける直進性、レーンチェンジ性、コーナ
リング性の総合フィーリング(テストドライバーによる
フィーリング評価)。結果は、比較例のタイヤを100
として指数表示した。なお、数値が大きいほどドライフ
ィーリングが良いことを示す。また、数値は、新品〜摩
耗時の平均値である。
【0109】ウエットブレーキ性能:水深2mmの舗装路
を、80,60及び40km/hの各速度においてフル制動
したときの制動距離を測定し、平均制動距離を求めた。
結果は、平均制動距離の逆数を比較例のタイヤを100
として指数表示した。なお、数値が大きいほどウエット
ブレーキ性能が良いことを示す。また、数値は、新品〜
摩耗時の平均値である。
【0110】耐摩耗性:一般道を1万〜2万km走行した
ときの、km当たりの摩耗量を測定した。結果は、摩耗量
の逆数を比較例のタイヤを100として指数表示した。
なお、数値が大きいほど耐摩耗性が良いことを示す。
【0111】スタッドレスタイヤの仕様及び試験結果を
以下の表1に示し、サマータイヤの仕様及び試験結果を
以下の表2に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】なお、上記表1,2中の加硫ゴム組成物の
第1独立気泡は前述した実施形態で説明した球状独立気
泡を指し、第2独立気泡は同実施形態で説明した長尺状
独立気泡を指す。
【0115】シス−1,4−ポリブタジエン:JSR製
BR01 スチレン−ブタジエン共重合タイヤゴム:旭化成製 タ
フデン2530 カーボンブラック:旭カーボン N110 シリカ:日本シリカ工業(株)製 Nipsil AQ シランカップリング剤:DEGUSSA製 Si69 老化防止剤:N−(1,3ジメチルブチル)−N−フェ
ニル−P−フェニレンジアミン 加硫促進剤:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル
−1−スルフェンアミド 発泡剤DPT:永和化成工業(株)製 セルラーD 発泡助剤(尿素系):永和化成工業(株) セルペース
トK5 熱可塑性樹脂:PE(ポリエチレン) 試験の結果、本発明を適用した実施例1のスタッドレス
タイヤは、氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能、
氷上フィーリング及び耐摩耗性を向上できることが証明
された。
【0116】また、本発明を適用した実施例2のサマー
タイヤは、ドライフィーリング及び耐摩耗性を向上でき
ることが証明された。
【0117】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
空気入りタイヤは上記の構成としたので、例えば、トレ
ッドがキャップベース構造である場合には剛性を除々に
上げることができ、性能を緩やかに変化させることがで
き、トレッドが1層構造の場合には、新品時においても
ブロック剛性を保つことができる、という優れた効果を
有する。また、長尺状独立気泡の密度を一定としたトレ
ッドと比較して本発明ではトレッドの剛性を高めること
ができるので、タイヤトレッドのブロックの倒れ込みを
抑制でき、路面との接地面積を十分に確保して、氷上性
能、ウエット性能及びドライ性能を向上することができ
る、という優れた効果を有する。
【0118】また、走行によってトレッドゴムが摩耗す
ると、長尺状独立気泡による長尺状の凹部が接地表面に
形成され、高い氷上性能及びウエット性能が得られる。
さらに、樹脂からなる保護層が凹部の潰れを抑制するの
で、高荷重時においても排除水性が確保される。また、
接地面に露出した樹脂による引っかき効果により、路面
との摩擦係数を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用された第1の実施形態に係る空気
入りタイヤの断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッ
ドの平面図である。
【図3】ブロックの拡大断面図である。
【図4】外側ゴム層の拡大断面図である。
【図5】長尺状の樹脂の斜視図である。
【図6】長尺状の樹脂の方向を揃える原理を説明する説
明図である。
【図7】(A)〜(D)は、長尺状独立気泡が形成され
る順序を説明する説明図である。
【図8】温度(加硫時間)とゴム及び樹脂の粘度の関係
を示したグラフである。
【図9】摩耗した外側ゴム層の拡大断面図である。
【図10】第2の実施形態に係る空気入りタイヤの断面
図である。
【図11】第2の実施形態に係る空気入りタイヤのトレ
ッドの平面図である。
【符号の説明】
4 ビードコア 6 カーカス 8 ベルト 10 空気人りタイヤ 12 トレッド 12A 外側ゴム層(トレッドゴム) 24 長尺状独立気泡 26 保護層 32 樹脂 40 空気人りタイヤ 42 ゴム層(トレッドゴム)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1対のビードコア間にトロイド状をなし
    て跨がるカーカス層のクラウン部外周にベルト層とトレ
    ッドゴムを順次配置した空気人りタイヤであって、 前記トレッドゴムは、樹脂からなる保護層により被覆さ
    れた無数の長尺状独立気泡を有し、 前記長尺状独立気泡の密度は、前記トレッドゴムのタイ
    ヤ半径方向外側が密に、タイヤ半径方向内側が疎に設定
    されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
JP17491497A 1997-06-30 1997-06-30 空気入りタイヤ Expired - Fee Related JP3779437B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17491497A JP3779437B2 (ja) 1997-06-30 1997-06-30 空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17491497A JP3779437B2 (ja) 1997-06-30 1997-06-30 空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1120408A true JPH1120408A (ja) 1999-01-26
JP3779437B2 JP3779437B2 (ja) 2006-05-31

Family

ID=15986919

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17491497A Expired - Fee Related JP3779437B2 (ja) 1997-06-30 1997-06-30 空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3779437B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1447426A1 (en) * 2001-09-28 2004-08-18 Bridgestone Corporation Rubber composition pneumatic tire and method of manufacturing the pneumatic tire
JP2007131084A (ja) * 2005-11-09 2007-05-31 Bridgestone Corp タイヤ
US20080308205A1 (en) * 2007-06-18 2008-12-18 Bridgesione Firestone North American Tire, Llc Tire tread with synthetic fibers
US20100200133A1 (en) * 2007-07-02 2010-08-12 Societe de Technolologie Michelin Tire comprising a tread with rubbery foam
US20100230021A1 (en) * 2007-07-02 2010-09-16 Michelin Recherche Et Technoique S.A. Tire comprising a high grip tread

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1447426A1 (en) * 2001-09-28 2004-08-18 Bridgestone Corporation Rubber composition pneumatic tire and method of manufacturing the pneumatic tire
EP1447426A4 (en) * 2001-09-28 2008-11-05 Bridgestone Corp RUBBER COMPOSITION, PNEUMATIC TIRE AND METHOD FOR THE PRODUCTION OF PNEUMATIC TIRE
JP2007131084A (ja) * 2005-11-09 2007-05-31 Bridgestone Corp タイヤ
US20080308205A1 (en) * 2007-06-18 2008-12-18 Bridgesione Firestone North American Tire, Llc Tire tread with synthetic fibers
US20100200133A1 (en) * 2007-07-02 2010-08-12 Societe de Technolologie Michelin Tire comprising a tread with rubbery foam
US20100230021A1 (en) * 2007-07-02 2010-09-16 Michelin Recherche Et Technoique S.A. Tire comprising a high grip tread
US8479788B2 (en) * 2007-07-02 2013-07-09 Compagnie Generale Des Establissements Michelin Tire comprising a tread with rubbery foam
US8485236B2 (en) * 2007-07-02 2013-07-16 Compagnie Generale Des Etablissements Michelin Tire comprising a high grip tread

Also Published As

Publication number Publication date
JP3779437B2 (ja) 2006-05-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4589465B2 (ja) 空気入りタイヤ、空気入りタイヤの製造方法、ゴム組成物及び、加硫ゴム成形体
JP4171531B2 (ja) 空気入りタイヤ
US6427738B1 (en) Tire and vulcanized rubber including elongated cells
JP5288784B2 (ja) ゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤ
JP4605976B2 (ja) ゴム組成物、加硫ゴム、及びタイヤ
JP4679173B2 (ja) ゴム組成物、加硫ゴムおよびタイヤ
JP3766183B2 (ja) ゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤ
JP3779437B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP4008537B2 (ja) 加硫ゴムの製造方法、及びトレッドの製造方法
JP5390106B2 (ja) ゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤ
JP3779427B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP3779426B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP3779424B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP4694659B2 (ja) タイヤ用のゴム組成物、タイヤ用の加硫ゴム及びタイヤ
JP3779425B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP3904680B2 (ja) ゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤ
JP4518577B2 (ja) タイヤの製造方法
JP5390107B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤ
JP3851421B2 (ja) ゴム組成物の製造方法
JPH10329510A (ja) 空気入りタイヤ及びその製造方法
JP3660428B2 (ja) 空気入りタイヤ及び空気入りタイヤの製造方法
JP2000289412A (ja) 重荷重用空気入りタイヤおよびその製造方法
JP2003105116A (ja) 未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物およびその製造方法、並びに、それを用いたタイヤ
JPH1178435A (ja) 空気入りタイヤ
JPH1160771A (ja) ゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040528

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050906

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051104

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060302

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090310

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100310

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100310

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110310

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110310

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120310

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120310

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130310

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130310

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140310

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees