JP2000289412A - 重荷重用空気入りタイヤおよびその製造方法 - Google Patents

重荷重用空気入りタイヤおよびその製造方法

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JP2000289412A
JP2000289412A JP11104218A JP10421899A JP2000289412A JP 2000289412 A JP2000289412 A JP 2000289412A JP 11104218 A JP11104218 A JP 11104218A JP 10421899 A JP10421899 A JP 10421899A JP 2000289412 A JP2000289412 A JP 2000289412A
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tire
tread
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Yuichiro Nakamura
裕一郎 中村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 縦方向と横方向のバランスを損なうことなく
氷雪路面での制動・駆動性能を向上させた重荷重用空気
入りタイヤおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】 1対のビードコア2間にトロイド状をな
して跨るカーカス層のクラウン部径方向外側にベルト層
とトレッド部5とを配設した重荷重用空気入りタイヤ1
において、前記トレッド部5の少なくとも路面と接する
側に、熱可塑性樹脂からなる皮膜により覆われた長尺曲
線状の独立円筒気泡体7を含む発泡ゴム層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重荷重用空気入り
タイヤおよびその製造方法に関し、詳しくは、縦方向と
横方向のバランスを損なうことなく氷雪路面での制動・
駆動性能(以下「氷上性能」と総称する)を向上させた
重荷重用空気入りタイヤおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】氷雪路面においては、該氷雪路面とタイ
ヤとの摩擦熱等により水膜が発生し易く、該水膜が、タ
イヤと氷雪路面との間の摩擦係数を低下させる原因とな
っている。従って、タイヤにおける氷上性能を向上させ
るためには、タイヤトレッドの水膜除去能やエッヂ効果
を高めることが必要である。
【0003】近年、タイヤトレッドの水膜除去能やエッ
ヂ効果を高める手段として、該トレッドに発泡ゴムを用
い、微細な凹凸により前記効果を向上せしめる技術が提
案されている(例えば、特許第2568502号)。
【0004】また、最近では、発泡ゴムを用いたスタッ
ドレスタイヤの氷上性能をより一層高めるために、発泡
ゴムにポリエチレン等の熱可塑性樹脂の短繊維を配合す
る技術が提案されている(特開平10−25374号、
WO97/34776)。この技術においては、ゴム中
の気泡が独立した泡から筒状に発泡したものになってお
り、該筒状の気泡が存在することによって氷の表面に存
在する水膜の除去能力がより一層向上し、氷上性能の更
なる改良が図られた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】発泡ゴムに短繊維の熱
可塑性樹脂を配合する前記技術を重荷重用スタッドレス
タイヤに適用した場合、図5に示すように、タイヤの周
方向に気泡10が配向するため、縦方向の性能向上には
極めて効果的であるが、重荷重用スタッドレスタイヤに
とって横方向の性能が必ずしも十分ではなく、縦方向と
横方向とのバランスのとれた氷上性能を有する重荷重用
スタッドレスタイヤがなお望まれていた。
【0006】そこで本発明の目的は、縦方向と横方向の
バランスを損なうことなく氷雪路面での制動・駆動性能
を向上させた重荷重用空気入りタイヤおよびその製造方
法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、トレッドに熱可塑性樹脂
の皮膜で覆われた長尺曲線状の独立円筒気泡体を生ぜし
めることにより前記目的を達成し得ることを見出し、本
発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記の(1)
〜(8)に示す通りである。
【0008】(1)1対のビードコア間にトロイド状を
なして跨るカーカス層のクラウン部径方向外側にベルト
層とトレッド部とを配設した重荷重用空気入りタイヤに
おいて、前記トレッド部の少なくとも路面と接する側
に、熱可塑性樹脂からなる皮膜により覆われた長尺曲線
状の独立円筒気泡体を含む発泡ゴム層を有することを特
徴とする重荷重用空気入りタイヤである。
【0009】(2)前記重荷重用空気入りタイヤにおい
て、前記トレッド部の発泡ゴム層のタイヤ周方向の弾性
率が軸方向の弾性率の1.5倍以下である重荷重用空気
入りタイヤである。
【0010】(3)前記重荷重用空気入りタイヤにおい
て、前記トレッド部の発泡ゴム層の全発泡容積の10%
以上が前記長尺曲線状の独立円筒気泡体で占められてい
る重荷重用空気入りタイヤである。
【0011】(4)前記重荷重用空気入りタイヤにおい
て、前記長尺曲線状の独立円筒気泡体の平均中空径が3
〜200μmで、アスペクト比が2以上である重荷重用
空気入りタイヤである。
【0012】(5)前記重荷重用空気入りタイヤにおい
て、前記発泡ゴム層の平均発泡率が3〜30%である重
荷重用空気入りタイヤである。
【0013】(6)前記重荷重用空気入りタイヤの製造
方法において、前記トレッド部の少なくとも路面と接す
る層に、発泡剤と、加硫温度で溶融または軟化して配合
ゴム組成物よりも粘度が低くなる長尺曲線状の熱可塑性
樹脂とを含む未加硫のトレッドゴムを生タイヤケースの
クラウン部径方向外側に貼り付け、得られた生タイヤを
所定の金型内に入れて加硫成型し、前記トレッドゴム内
の少なくとも路面と接する側部分に前記樹脂からなる皮
膜により覆われた長尺独立気泡を形成せしめることを特
徴とする重荷重用空気入りタイヤの製造方法である。
【0014】(7)前記重荷重用空気入りタイヤの製造
方法において、前記熱可塑性樹脂の融点または軟化点が
最高加硫温度よりも10℃以上低い重荷重用空気入りタ
イヤの製造方法である。
【0015】(8)前記重荷重用空気入りタイヤの製造
方法において、前記熱可塑性樹脂の融点または軟化点が
190℃以下である重荷重用空気入りタイヤの製造方法
である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づき説明する。図1に示すように、本実施形態の重
荷重用空気入りタイヤ1は、一対のビードコア2間にト
ロイド状をなして跨るカーカス3のクラウン部外周に補
強層としてのベルト4とトレッド5とを順次配置したラ
ジアル構造を有する。なお、トレッド5以外の内部構造
は、従来の重荷重用ラジアルタイヤの構造と変わりはな
く、慣用に従うことができる。
【0017】図2に示すトレッド5の少なくとも路面に
接する側のゴム層の概略断面図のように、このゴム層
は、略球形の球状独立気泡6と、長尺曲線状独立円筒気
泡7とを無数に含んだ発泡ゴムである。トレッドがキャ
ップ−ベース構造の2層構造を有する場合には、キャッ
プゴムに当該ゴム層を用い、ベースゴムには発泡されて
いない通常のゴムを使用することができる。
【0018】かかるゴム層を形成するためのゴム組成物
に用いられるゴム成分としては、−60℃以下のガラス
転移温度を有するものが好ましい。これは、当該ゴム層
が低温域において十分なゴム弾性を維持し、十分な氷上
性能を得るためである。
【0019】また、このゴム組成物は、天然ゴムおよび
ジエン系合成ゴムからなる群より選ばれた少なくとも1
種のゴムを有することが好ましい。ジエン系合成ゴムと
しては、スチレン−ブタジエン共重合体、シス−1,4
−ポリイソプレン、シス−1,4−ポリブタジエン等が
含まれる。この中で、特にガラス転移温度が低く、氷上
性能の効果が大きい点で、シス−1,4−ポリブタジエ
ンが好適に使用され、特にシス含有率が90%以上のポ
リブタジエンが好ましい。
【0020】本発明においては、トレッド5の少なくと
も路面に接する側のゴム層に気泡を形成するために、ゴ
ム組成物には発泡剤、および必要に応じ発泡助剤が含ま
れている。
【0021】発泡剤の例としては、ジニトロソペンタメ
チレンテトラアミン(DPT)、アゾジカルボンアミド
(ADCA)、ジニトロソペンタスチレンテトラミンや
ベンゼンスフォニルヒドラジド誘導体、オキシビスベン
ゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)等があるが、中
でもアゾジカルボンアミド(ADCA)が製造加工性を
考慮すると好ましい。
【0022】発泡助剤としては、尿素、ステアリン酸亜
鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛や亜鉛華等、通常発泡製
品の製造に用いられる助剤が好ましく適用される。な
お、発泡剤および発泡助剤は、上記のもの以外のものを
用いてもよい。
【0023】また、かかるゴム組成物には、上記成分と
共に、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング
剤、プロセスオイル、加硫剤、加硫促進剤等が併用さ
れ、これら以外にも、ゴム工業で通常使用されている老
化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、オゾン劣化防止剤
等の添加剤が配合可能である。
【0024】本発明においては、上記ゴム組成物の混練
り工程において、図3および図4に示すような長尺曲線
状の熱可塑性樹脂を一緒に混練し、該樹脂を均一に分散
させる。
【0025】かかる熱可塑性樹脂としては、タイヤ加硫
工程においてゴムマトリックスよりも粘度が低くなる樹
脂を用いる。
【0026】長尺曲線状独立円筒気泡を得るための重要
な条件は、ゴム中に配合する樹脂が結晶性高分子の場合
には、その結晶性高分子の融点を加硫最高温度以下とす
ることである。
【0027】樹脂皮膜で覆われた長尺曲線状独立円筒気
泡は、加硫中に樹脂が加硫時の熱により溶融してゴムマ
トリックスよりも粘度が低下し、ゴム中に予め含有させ
た発泡剤等から発生してゴム中に拡散あるいは溶解した
ガスが、ゴム内で最も粘度の低い前記溶融した樹脂の内
方に移動して集中することを利用して形成されるもので
ある。
【0028】従って、樹脂が結晶性高分子の場合、その
融点はトレッド部の加硫最高温度以下とすることが重要
である。なお、ここでいうトレッド部の加硫最高温度と
は、モールド加硫においては、モールド内に入ってから
モールドを出てタイヤが冷却されるまでのトレッド部の
最高温度を指す。
【0029】樹脂の溶融粘度を支配するものとしては、
融点(結晶性高分子の場合)、分子量が挙げられる。樹
脂の融点は、ゴムの加硫最高温度よりも10℃以上低
く、好ましくは20℃以上低く、更に好ましくは30℃
以上低く設定するべきである。ちなみに、工業的にゴム
の加硫温度は、最高で約190℃であるので、加硫最高
温度が190℃に設定されている場合には、樹脂の融点
は190℃以下、好ましくは180℃以下、更に好まし
くは170℃以下とするべきである。
【0030】また、ゴムの混練工程を考えると、樹脂の
融点は、混練時の最高温度に対して、5℃以上、好まし
くは10℃以上、更に好ましくは20℃以上に設定する
ことがよい。ゴムの混練工程での最高温度、おおよそ9
5℃を想定すると、樹脂の融点は、100℃以上、好ま
しくは105℃以上、更に好ましくは115℃以上とす
ることがよい。
【0031】樹脂は、通常知られているように、同じ物
質であっても分子量が高いほどある一定の温度における
溶融粘度は高くなる。従って、長尺曲線状独立円筒気泡
を得るためには、分子量は、トレッドゴムの加硫最高温
度におけるゴムの流動粘度より樹脂の粘度が高くならな
いような範囲で選択されるべきである。
【0032】本発明に用いられる樹脂の分子量は、材質
の化学組成、分子鎖の分岐の状態によって決まるものな
ので限定されるものではないが、選択材質により適当な
範囲内で選択されるべきである。
【0033】本発明は融点を持つ結晶性高分子に限定さ
れるものではなく、外周部分に樹脂からなる皮膜が形成
された長尺曲線状独立円筒気泡が得られるものであれ
ば、樹脂は非結晶性高分子でもよい。
【0034】樹脂が非結晶性高分子の場合でも、重要な
条件は、加硫工程において、トレッドゴムが加硫最高温
度に達するまでに樹脂の粘度がゴムの粘度よりも低くな
ることと、ゴム練り温度で樹脂同士の融着が発生せずに
分散性がよいことであり、これらの要件を満たすような
材質、分子量を選定する。
【0035】結晶性高分子の樹脂の具体例としては、例
えば、ポリエチレン(PE、融点:135℃)、ポリプ
ロピレン(PP、融点:167℃)、ポリブチレン(融
点:129℃)、ポリブチレンサクシネート(融点:1
15℃)、ポリエチレンサクシネート(融点:105
℃)、シンジオタクティック−1,2−ポリブタジエン
(SPB、融点:130℃)のような単一組成重合物
や、共重合、ブレンド等により融点を適当な範囲に操作
したものを挙げることができ、さらにこれらの樹脂に添
加剤を加えてもよい。
【0036】また、非結晶性高分子の樹脂の具体例とし
ては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリルニ
トリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレンな
どを挙げることができる。
【0037】なお、樹脂は、前述した条件を満たすもの
であれば、上記具体例以外の樹脂であってもよく、ま
た、分散させる樹脂の種類は1種類に限らず、複数種類
であってもよい。
【0038】本発明においては、独立気泡の配向の程度
を表す指標として、タイヤ周方向の弾性率と軸方向の弾
性率との比を用いることができ、縦横のバランスをとる
上では、この比が1.5倍以下となるようにすることが
好ましく、より好ましくは1.2倍以下である。
【0039】また、本発明においては、発泡ゴム部分に
おいて、球状独立気泡の発泡率Vs1と長尺曲線状独立
円筒気泡の発泡率Vs2とを合わせた全発泡率をVsと
すると、全発泡率Vsは、3〜30%の範囲内が好まし
い。発泡ゴムの全発泡率Vsは、Vs=(ρ/ρ
1)×100(%)で表され、ρは発泡ゴムの密度
(g/cm)、ρは発泡ゴムの固相部の密度(g/
cm)である。
【0040】全発泡率Vsが3%未満では、発生する水
膜に対して絶対的な凹部体積の不足により十分な排除水
が行われず、氷上性能の効果向上が望めない。一方、3
0%を超えると、氷上性能向上効果は十分だが、ゴム内
の空隙が多すぎるために、コンパウンドの破壊限界が大
幅に低下し、耐久性上好ましくない。
【0041】全発泡率Vs3〜30%の設定範囲の中
で、長尺曲線状独立円筒気泡が全発泡容積の10%以上
を占めることが大切である。また、性能向上を考えた場
合、より好適には50%以上とする。10%未満では、
適切な長尺曲線状水路が少ないために、球状独立気泡の
みの場合に対する効果が薄れるからである。
【0042】また、図3および図4に示すような長尺曲
線状の樹脂の屈曲回数、曲率等は特に制限はなく、長軸
方向に直線でなければよい。
【0043】さらに、長尺曲線状の樹脂の平均径Dは、
長尺曲線状独立円筒気泡の平均中空径dが、3〜200
μmの範囲内となるように選定することが好ましい。長
尺曲線状独立円筒気泡の平均中空径dが3μm未満にな
ると、排除水性が低下するため好ましくない。一方、長
尺曲線状独立円筒気泡の平均中空径dが200μmより
も大きくなると、耐カット性、ブロック欠けが悪化し、
また、乾燥路面での耐摩耗性が悪化するため好ましくな
い。
【0044】また、長尺曲線状独立円筒気泡の1個当た
りの最大長さLと、平均中空径dとの比であるアスペク
ト比L/dは2以上が好ましく、より好ましくは5以上
である。アスペクト比を2以上とすることにより、摩耗
したゴム表面に現れる溝状の凹部が長くなり、多量の水
を排除可能となる。なお、本発明は、サイプ、ブロック
形状等、タイヤ形状との組み合わせは自由である。
【0045】次に、本発明の製造方法について説明す
る。先ず、トレッド部の少なくとも路面と接する層に、
前記発泡剤と、前記長尺曲線状の熱可塑性樹脂とを含む
未加硫のトレッドゴムを生タイヤケースのクラウン部径
方向外側に貼り付ける。次いで、得られた生タイヤを所
定の金型内に入れて加硫成型する。かかる加硫成型中
に、トレッドゴム自体が加硫最高温度に達するまでの間
にゴムマトリックスよりも樹脂の粘度が低下すると共に
前記発泡剤により気体が生成され、粘度が低くなった樹
脂内に前記気体の少なくとも一部が集まることによって
トレッドゴム内の少なくとも外周部分に樹脂皮膜からな
る長尺曲線状独立円筒気泡が形成される。なお、長尺曲
線状の熱可塑性樹脂の長さは、ゴム中に練り込んだ場合
若干伸び、円筒気泡は、伸びた形状で形成される。
【0046】長尺曲線状の樹脂を含んだ未加硫のトレッ
ドゴムは、更生タイプの貼り替え用のトレッドゴムとし
て用いることもできる。なお、長尺曲線状独立円筒気泡
の潰れ抑制のために、樹脂皮膜と周囲のマトリックスゴ
ムとの接着性は重要である。両者の接着性をよくする方
法としては、例えば、樹脂に表面処理を行う方法、樹脂
にゴムとの接着性を向上させる成分を含有させる方法等
がある。
【0047】本実施形態の空気入りタイヤ1を走行させ
ると、接地圧と摩擦熱によってタイヤと氷面との間に水
膜が生じるが、トレッド5の接地面に、球状独立気泡お
よび長尺曲線状独立円筒気泡により形成された無数の凹
部6、7によって接地面内の水分(水膜)は素早く排除
されて除去される。また、この溝状の凹部7は、外周部
分がゴムマトリックスよりも硬い樹脂皮膜で補強されて
いるため高荷重時でも潰れ難く、高い排除水性を常に維
持することができる。さらに、かかる樹脂皮膜によって
引っかき効果が生じる。この結果、縦方向と横方向のバ
ランスのとれた優れた氷上性能が得られる。また、本発
明の空気入りタイヤの製造方法によれば、加硫成形時の
高温、高圧下のもとにおいても長尺曲線状の樹脂を中空
化することが可能となり、十分な排除水性能を得ること
のできる樹脂皮膜で補強された長尺曲線状独立円筒気泡
を確実に形成することができる。
【0048】次に、本発明を実施例に基づき説明する。
下記の表1に示す配合処理方法に従い、各種供試タイヤ
トレッド用ゴム組成物を調製した。尚、実施例1〜3に
おいて用いた樹脂短繊維の形態は、ほぼ図3に示すもの
であった。次いで、得られた各ゴム組成物を用いて常法
に従い供試タイヤを作製した。発泡ゴムの性質およびタ
イヤ性能に関する各試験方法を以下に示す。
【0049】実験条件 1.平均発泡径 タイヤのトレッドから試料を切り出し、断面を顕微鏡で
観察し、求めた。 2.アスペクト比 顕微鏡で観察した気泡の直径(d)、長さ(L)の比
(L/d)とした。ただし、屈曲した気泡の長さ(L)
は図3に示す部分とした。 3.発泡率 発泡したゴムと無発泡ゴムの密度より前記式に従い求め
た。 4.氷上性能 (1)直進 11R22.5サイズの各供試タイヤを装着したトラッ
クの、速度20km/hからのロック状態における停止
距離を測定した。測定結果は指数表示し、停止距離が短
い程、指数が大きく、結果が良好である。尚、比較例1
(球状発泡ゴム)をコントロールとして指数100とし
た。 (2)旋回 前記(1)と同様のトラックで直径50mの円を描くよ
うに走り、その周回に要した時間を測定した。この時間
が短い程、指数が大きく、結果が良好である。尚、比較
例1(球状発泡ゴム)をコントロールとして指数100
とした。 5.耐摩耗性 11R22.5サイズの各供試タイヤをトラックに装着
し、2万km走行後のトレッド摩耗量を測定した。この
摩耗量が少ない程、指数が大きく、結果が良好である。
尚、比較例1(球状発泡ゴム)をコントロールとして指
数100とした。 6.円筒気泡占有率 ゴムの断面を顕微鏡にて拡大し、観察された球状気泡、
円筒気泡の面積を求め、その比を用いて占有比率を求め
た。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】比較例1は球状の発泡形態を持つトレッド
ゴムを有する従来タイヤである。また、比較例2は、真
直ぐな円筒状の気泡がタイヤの周方向に配向している従
来タイヤである。比較例2では氷上性能の向上は直進方
向のみにとどまっている。
【0053】また、比較例3はアスペクト比が1に近い
例であるが、この場合、球状に発泡したゴムと性能面で
殆ど変わらない。さらに、比較例4は、樹脂にPP(ポ
リプロピレン)を用いて試作したが、本試験では全て1
45℃で加硫したので、融点まで達せず、円筒状の気泡
は形成されなかった。また、比較例5は、樹脂に低密度
PE(ポリエチレン)を用いた例であるが、この樹脂は
融点が高く、プロ練り中に融けてしまったことにより望
みの円筒状の気泡は形成されなかった。
【0054】これに対し、実施例3〜5においては、氷
上性能は直進、旋回共にバランスよく向上し、耐摩耗も
ほぼ比較例1と同等である。また、実施例1は発泡径が
大きく、実施例2は発泡率が高すぎる例であるが、この
場合、耐摩耗がやや劣っているものの、氷上性能につい
ては良好な結果が得られている。さらに、実施例6は樹
脂繊維配合量が少ない結果、形成された円筒気泡は非常
に少なかったが、比較例に比しての性能向上は見うけら
れた。
【0055】
【発明の効果】本発明によって、円筒状発泡の技術を重
荷重用タイヤに応用することが可能となり、氷上性能を
向上させることができた。しかも、独立円筒気泡体が特
定の方向に配向しないので、縦方向と横方向のバランス
を損なうこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の重荷重用空気入りタイヤの左断面
図である。
【図2】図1に示すタイヤのトレッド部の拡大断面図で
ある。
【図3】長尺曲線状の熱可塑性樹脂の一例の斜視図であ
る。
【図4】長尺曲線状の熱可塑性樹脂の他の一例の斜視図
である。
【図5】独立円筒気泡体がタイヤ周方向に配向したトレ
ッドの拡大断面図である。
【符号の説明】
1 重荷重用空気入りタイヤ 2 ビードコア 3 カーカス 4 ベルト 5 トレッド 6 球状独立気泡 7 長尺曲線状独立円筒気泡

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1対のビードコア間にトロイド状をなし
    て跨るカーカス層のクラウン部径方向外側にベルト層と
    トレッド部とを配設した重荷重用空気入りタイヤにおい
    て、 前記トレッド部の少なくとも路面と接する側に、熱可塑
    性樹脂からなる皮膜により覆われた長尺曲線状の独立円
    筒気泡体を含む発泡ゴム層を有することを特徴とする重
    荷重用空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記トレッド部の発泡ゴム層のタイヤ周
    方向の弾性率が軸方向の弾性率の1.5倍以下である請
    求項1記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】 前記トレッド部の発泡ゴム層の全発泡容
    積の10%以上が前記長尺曲線状の独立円筒気泡体で占
    められている請求項1または2記載の重荷重用空気入り
    タイヤ。
  4. 【請求項4】 前記長尺曲線状の独立円筒気泡体の平均
    中空径が3〜200μmで、アスペクト比が2以上であ
    る請求項1〜3のうちいずれか一項記載の重荷重用空気
    入りタイヤ。
  5. 【請求項5】 前記発泡ゴム層の平均発泡率が3〜30
    %である請求項1〜4のうちいずれか一項記載の重荷重
    用空気入りタイヤ。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のうちいずれか一項記載の
    重荷重用空気入りタイヤの製造方法において、 前記トレッド部の少なくとも路面と接する層に、発泡剤
    と、加硫温度で溶融または軟化して配合ゴム組成物より
    も粘度が低くなる長尺曲線状の熱可塑性樹脂と、を含む
    未加硫のトレッドゴムを生タイヤケースのクラウン部径
    方向外側に貼り付け、 得られた生タイヤを所定の金型内に入れて加硫成型し、
    前記トレッドゴム内の少なくとも路面と接する側部分に
    前記樹脂からなる皮膜により覆われた長尺独立円筒気泡
    を形成せしめることを特徴とする重荷重用空気入りタイ
    ヤの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記熱可塑性樹脂の融点または軟化点が
    最高加硫温度よりも10℃以上低い請求項6記載の重荷
    重用空気入りタイヤの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記熱可塑性樹脂の融点または軟化点が
    190℃以下である請求項6または7記載の重荷重用空
    気入りタイヤの製造方法。
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