JP3779424B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、トレッド踏面部を形成しているトレッドゴム内に長尺状の排水路を形成した空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
微細な長尺状の空洞を無数に含んだゴムをトレッドに用いたタイヤが提案されている。
【0003】
このタイヤは、トレッドが摩耗すると、長尺状の空洞がタイヤ踏面部に表れて長尺状の凹部となり、この凹部が排水路の役目をして接地面内の水を排除水することにより氷上性能及びウエット性能の向上を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記タイヤは、長尺状の空洞がトレッドゴム内で均一に分布しており、トレッドゴムの硬度(Hd)が一定である。
【0005】
このため、トレッドが摩耗すると溝深さとサイプの減少により排除水性が低下すると共にブロック剛性が高くなり、氷上性能及びウエット性能が低下する問題がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、摩耗が進んでも氷上性能及びウエット性能の変化が少ない空気入りタイヤを提供することが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、1対のビードコア間にトロイド状をなして跨がるカーカス層のクラウン部外周にベルト層とトレッドゴムを順次配置した空気入りタイヤであって、前記トレッドゴムは、樹脂からなる保護層により被覆された無数の長尺状独立気泡を有し、前記長尺状独立気泡は、最大長さLと平均中空径Dとの比L/Dが3以上に設定され、前記長尺状独立気泡の密度は、前記トレッドゴムのタイヤ半径方向外側が疎に、タイヤ半径方向内側が、タイヤ半径方向外側よりも密に設定されていることを特徴としている。
【0008】
次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
請求項1に記載の空気入りタイヤでは、走行によってトレッドゴムが摩耗すると、長尺状独立気泡による長尺状の凹部が接地表面に形成され、この長尺状の凹部が排水路の役目を果たし、接地面内の水を効率良く排除水する。
【0009】
したがって、本発明の適用されたスタッドレスタイヤで氷上走行を行った場合、氷面との間にわき出た水が長尺状の凹部により排除水されて氷上での摩擦係数を大きくすることができ、これにより高い氷上性能が得られる。なお、ウエット路面においても長尺状の凹部により接地面内の水が排除水されるので高いウエット性能が得られる。
【0010】
本発明はスタッドレスタイヤ以外のタイヤにも適用でき、例えば、サマータイヤ等に適用した場合にも同様に高いウエット性能が得られる。
【0011】
また、本発明の空気入りタイヤでは、トレッドが摩耗するにしたがって長尺状独立気泡の密度の高い部分が表れ、排水路の役目をする長尺状の凹部の密度が増大して行く。即ち、トレッドが摩耗するにしたがって踏面に表れる長尺状の凹部の容積が増大し、排除水性が増大する。そして、この長尺状の凹部による排除水性の増大分によって主溝やサイプの排除水性の低下分を補うことができ、これにより、スタッドレスタイヤでは摩耗による氷上性能の変化を抑えることができ、サマータイヤ等においては摩耗によるウエット性能の変化を抑えることができるようになる。
【0012】
さらに、樹脂からなる保護層が凹部の潰れを抑制するので、高荷重時においても排除水性が確保される。
【0013】
また、接地面に露出した樹脂による引っかき効果により、路面との摩擦係数を向上させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
本発明の空気入りタイヤの第1の実施形態を図1乃至図9にしたがって説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ(サイズ:185/70R13)10は、ケース1と、このケース1のクラウン部2のタイヤ半径方向外側をショルダー3間において被覆するトレッド12とを有している。
【0016】
ケース1は、一対のビード部4と、一方のビード部4から他方のビード部4まで延びるゴム引きコードからなるトロイダル状のカーカス5と、カーカス5のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されタイヤ周方向に延びる公知の非伸長性のベルト6とを有し、また、このケース1のタイヤ軸方向外側には耐屈曲性に優れた通常のゴムからなるサイドウォール7が配置されている。
【0017】
本実施形態の空気入りタイヤ10は所謂スタッドレスタイヤであり、図2に示すように、トレッド12にはタイヤ幅方向に等間隔で配置された4本の周方向溝14と、タイヤ周方向にほぼ等間隔にタイヤ幅方向に延びる横溝16が形成され、これら周方向溝14と横溝16とによって区画されたブロック18にはタイヤ幅方向に延びる複数のサイプ19が形成されている。
【0018】
図1に示すように、トレッド12は、少なくとも2層のゴム層、本実施形態では、タイヤ半径方向外側に位置し、路面に接する外側ゴム層(所謂キャップゴム層)12Aと、タイヤ半径方向内側に位置する内側ゴム層(所謂ベースゴム層)12Bとの2層のゴム層から構成されたトレッド踏面部、及びこのトレッド踏面部のタイヤ幅方向両側に配置された側ゴム部12Cからなっている。
【0019】
図3及び図4に示すように、外側ゴム層12Aは、略球形の球状独立気泡22と、全体が樹脂の保護層26で補強されている長尺状独立気泡24とを無数に含んだ発泡ゴムであり、保護層26で補強された長尺状独立気泡24の密度は、タイヤ径方向外側(矢印D方向側)が疎であり、タイヤ径方向内側がタイヤ径方向外側よりも密である。
【0020】
即ち、外側ゴム層12Aの単位体積当たりの長尺状独立気泡24の総体積は、タイヤ径方向内側がタイヤ径方向外側よりも大となっている。
【0021】
このように、長尺状独立気泡24の密度に変化を持たせる方法としては、例えば、長尺状独立気泡24の一つ当たりの大きさ(体積)が同一であれば、単位体積当たりの長尺状独立気泡24の数を、タイヤ径方向内側で多く、タイヤ径方向外側でタイヤ径方向内側よりも少なくすれば良い。また、単位体積当たりの長尺状独立気泡24の数を一定とした場合には、タイヤ径方向内側の長尺状独立気泡24の大きさを大きく、タイヤ径方向外側の長尺状独立気泡24の大きさをタイヤ径方向内側の長尺状独立気泡24の大きさよりも小さくすれば良い。なお、長尺状独立気泡24の数及び大きさの両方を変えても良い。
【0022】
図4に示すように、本実施形態では、長尺状独立気泡24は長手方向が実質的にタイヤ周方向(矢印A方向)とされている。
【0023】
図1に示す空気入りタイヤ10において、外側ゴム層12Aにおいて、タイヤ径方向内側のゴム層12A2 での単位体積当たりの長尺状独立気泡24の総体積を100としたときに、タイヤ径方向外側のゴム層12A1 の単位体積当たりの長尺状独立気泡24の総体積は100未満、好ましくは60〜90であり、前述したゴム層12A2 及びゴム層12A1 の少なくとも一方の厚さは0.2mm以上あるものである。
【0024】
なお、内側ゴム層12Bには発泡されていない通常のゴムが使用されており、ショアA硬度が、外側ゴム層12AのショアA硬度よりも高いゴムが使用されている。
(製造方法)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の外側ゴム層12Aの製造方法を説明する。
【0025】
外側ゴム層12Aを形成するためのゴム組成物に用いられるゴム成分としては、−60°C以下のガラス転移温度を有するものが望ましい。このガラス転移温度とするのは、トレッド12の外側ゴム層12Aが、低温域において十分なゴム弾性を維持し、十分な氷上性能を得るためである。
【0026】
また、外側ゴム層12Aを形成するためのゴム組成物は、天然ゴム及びジエン系合成ゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種のゴムを有することが好ましい。
【0027】
ジエン系合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、シス−1,4−ポリイソプレン、シス−1,4−ポリブタジエン等が含まれる。
【0028】
この中で、特にガラス転移温度が低く、氷上性能の効果が大きい点で、シス−1,4−ポリブタジエンが好適に使用され、特にシス含有率が90%以上のポリブタジエンが好ましい。
【0029】
外側ゴム層12Aに気泡を形成するために、ゴム組成物には発泡剤及び発泡助剤が含まれている。
【0030】
発泡剤の例としは、ジニトロソペンタメチレンテトラアミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタスチレンテトラミンやベンゼンスフォニルヒドラジド誘導体、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)等があるが、中でもアゾジカルボンアミド(ADCA)が製造加工性を考慮すると好ましい。
【0031】
発泡助剤としては、尿素、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛や亜鉛華等、通常発泡製品の製造に用いられる助剤が好ましく適用される。
【0032】
なお、発泡剤及び発泡助剤は、上記のもの以外を用いても良い。
また、ゴム組成物には、上記の成分と共に、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、プロセスオイル、加硫剤、加硫促進剤等が併用され、これら以外にも、ゴム工業で通常使用されている老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、オゾン劣化防止剤等の添加剤が配合されている。
【0033】
上記ゴム組成物の精錬工程(混練工程)において、図5に示すような長尺状の樹脂32が混練され、樹脂32は均一に分散される。
【0034】
ここで、本実施形態に用いられる樹脂32は、熱可塑性の樹脂であり、タイヤ加硫工程においてゴムマトリクスよりも粘度が低くなる樹脂が用いられている。
【0035】
一般的に樹脂相の溶融前粘度は、ゴムマトリクスの架橋終了粘度(Max値)よりはるかに高い。しかしながら、樹脂相が一度溶融すると、その粘度は大巾に低下する。タイヤ加硫工程において、その初期から終了に至るまでの間に、ゴムマトリクスは架橋反応により粘度上昇して行く。その中で、長尺状樹脂相が溶融し、大巾に高かった粘度が溶融により低下し、そのときのゴムマトリクス粘度(架橋途中であるが)と相対的に逆転する。
【0036】
なお、ここでいうゴムマトリクスとは、樹脂32を除くゴム部分を指す。
全体が保護層26で補強された長尺状独立気泡24を得るための重要な条件は、ゴム中に配合する樹脂32が結晶性高分子の場合、その結晶性高分子の融点を加硫最高温度以下とすることである。
【0037】
保護層26で補強された長尺状独立気泡24は、加硫中に樹脂32が加硫時の熱により溶融してゴムマトリクスよりも粘度が低下し、ゴム中に予め含有させた発泡剤等から発生してゴム中に拡散あるいは溶解したガスが、ゴム内で最も粘度の低い前記溶融した樹脂32の内方に移動して集中することを利用して形成されるものである。
【0038】
したがって、樹脂32が結晶性高分子の場合、その融点はトレッド部の加硫最高温度以下とすることが重要である。なお、ここでいうトレッド部の加硫最高温度とは、モールド加硫においては、モールド内に入ってからモールドを出てタイヤが冷却されるまでのトレッド部の最高温度を指す。
【0039】
ちなみに、ゴムの粘度としては、ムーニー粘度30〜100の範囲である。
樹脂32の溶融粘度を支配するものとしては、融点(結晶性高分子の場合)、分子量が上げられる。
【0040】
樹脂32の融点は、使用するゴムの加硫最高温度よりも低いほど好ましい。これは、樹脂32の融点がゴムの加硫最高温度よりも低いほど加硫中に早期に溶融するため、ゴム中に生成したガスが樹脂32内に進入し易くなるためである。
【0041】
なお、ゴムの加硫最高温度に対して樹脂32の融点が近すぎると、樹脂32は加硫末期に溶融する。この時点では、ゴムマトリクスはガスを取り込んで架橋が進行しているために、ガスが溶融した樹脂32に進入し難く、長尺状独立気泡24が形成され難くなる。
【0042】
一方、樹脂32の融点が低すぎると、ゴムの混練時の熱で樹脂32が溶融してしまい、粘度が低下するために、混練の段階で樹脂32同士の融着が発生してゴム中の樹脂32の分散性が悪化するため好ましくない。また、樹脂32の融点が低すぎると、混練の段階で樹脂32がその長尺形状を保つことができなくなり、複数に分断されたり、場合によっては樹脂32がゴム中に溶け込んでミクロに分散してしまう。
【0043】
したがって、樹脂32の融点は、上記概念の範囲内で選択されるべきであり、樹脂32の融点は、ゴムの加硫最高温度よりも10°C以上低く、好ましくは20°C以上低く、更に好ましくは30°C以上低く設定するべきである。
【0044】
ちなみに、工業的にゴムの加硫温度は、最高で約190°Cであるので、加硫最高温度が190°Cに設定されている場合には、上記樹脂32の融点は190°C以下、好ましくは180°C以下、更に好ましくは170°C以下とするべきである。
【0045】
また、ゴムの混練工程を考えると、樹脂32の融点は、混練時の最高温度に対して、5°C以上、好ましくは10°C以上、更に好ましくは20°C以上に設定することが良い。ゴムの混練工程での最高温度、おおよそ95°Cを想定すると、樹脂32の融点は、100°C以上、好ましくは105°C以上、更に好ましくは115°C以上とすることが良い。
【0046】
樹脂32は、通常知られているように、同じ物質であっても分子量が高いほどある一定の温度における溶融粘度は高くなる。したがって、長尺状独立気泡24を得るためには、分子量は、トレッドゴムの加硫最高温度におけるゴムの流動粘度より樹脂32の粘度が高くならない様な範囲で選択されるべきである。
【0047】
なお、試験を行った結果、重量平均分子量が1〜2×105 程度の長尺状のポリエチレンを混入したゴム組成物では、加硫によって長尺状独立気泡24が形成されたが、重量平均分子量が7×105 以上とされる超高分子量ポリエチレンを混入したゴム組成物では、ゴム中に生成したガスがポリエチレン内部に集中せず、長尺状のポリエチレンは中空化しなかった。これは、分子量の違いに起因する溶融粘度の差によるものと考えられる。
【0048】
一方、分子量が低すぎる場合、ゴムの混練の段階で樹脂32の粘度が低下してしまい、樹脂32同士の融着が発生してゴム中の分散性が悪化するため好ましくない。
【0049】
本実施形態に用いられる樹脂32の分子量は、材質の化学組成、分子鎖の分岐の状態によって決まるものなので限定されるものではないが、選択材質により適当な範囲内で選択されるべきである。
【0050】
なお、上記融点とは、米国デュポン社製910型DSC測定装置により、昇温速度10°C/分、試料重量5mgの条件で測定された融解ピーク温度のことを指す。
【0051】
以上、本実施形態に必要とされる樹脂32の熱的特性について述べたが、本実施形態は融点を持つ結晶性高分子に限定されるものではなく、外周部分に樹脂32からなる保護層26が形成された長尺状独立気泡24が得られるものであれば、樹脂32は非結晶性高分子でも良い。
【0052】
樹脂32が非結晶性高分子の場合でも、重要な条件は、加硫工程において、トレッドゴムが加硫最高温度に達するまでに樹脂32の粘度がゴムの粘度よりも低くなることと、ゴム練り温度で樹脂32同士の融着が発生せずに分散性が良いことであり、これら要件を満たすよう材質、分子量を選定する。
【0053】
なお、結晶性高分子の樹脂32の具体例としては、例えば、ポリエチレン(PE、融点:135°C)、ポリプロピレン(PP、融点:167°C)、ポリブチレン(融点:129°C)、ポリブチレンサクシネート(融点:115°C)、ポリエチレンサクシネート(融点:105°C)、シンジオタクティック−1,2−ポリブタジエン(SPB、融点:130°C)のような単一組成重合物や、共重合、ブレンド等により融点を適当な範囲に操作したものも用いることができ、さらにこれらの樹脂32に添加剤を加えても良い。
【0054】
また、非結晶性高分子の樹脂32の具体例としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレンなどを用いることができる。
【0055】
なお、樹脂32は、前述した条件を満たすものであれば、上記具体例以外の樹脂32であっても良い。また、分散させる樹脂32の種類は1種類に限らず、複数種類であっても良い。
【0056】
例えば、空気入りタイヤ10の加硫最高温度が175°Cである場合、樹脂32としてポリエチレン(融点:135°C)を用いることができる。また、ポリエチレン(融点:135°C)とポリプロピレン(融点:167°C)の両方を分散させても良い。
【0057】
図6に示すように、長尺状の樹脂32の混練された生のゴム組成物36を、流路断面積が出口に向かって減少する押出機の口金38から押し出すと、樹脂32の向き、即ち、樹脂32の長手方向が押出し方向(矢印C方向)に沿って除々に揃い、口金38から出るときには樹脂32の長手方向が押出し方向に揃うので、その後、口金38から押し出された帯状のゴム組成物36を所望の長さでカットし、これを外側ゴム層12Aのゴムとして用いることができる。
【0058】
なお、樹脂32の長手方向が揃う程度は、流路断面積の減少ぐあい、押出し速度、ゴムの粘度等によって変化する。
【0059】
長尺状の樹脂32を所望する方向、即ち、押出方向に沿って配列するためには、ゴムの流動性を限られた温度範囲の中でコントロールすることが重要である。即ち、オイル、液状ポリマーなどの加工性改良剤をゴム組成物に適宜添加することにより、ゴムマトリクスの粘度を下げ、流動性を高めることによって、長尺状の樹脂32の融点以下といった押出温度の制約条件のなかでも、極めて良好に押出し、かつ、理想的に長尺状の樹脂32を押出方向に沿った方向に配列せしめることが可能となる。
【0060】
このようにして出来たゴム組成物からなる帯状の生の外側ゴム層12Aを、予め生タイヤケースのクラウン部に貼り付けられた生の内側ゴム層12BBの上に、長手方向がタイヤ周方向と一致するように貼り付け、所定のモールドで所定温度、所定圧力のもとで加硫成形することにより本実施形態の空気入りタイヤ10を形成することができる。
【0061】
ところで、保護層26で補強された長尺状独立気泡24の密度をタイヤ径方向外側で疎、タイヤ径方向内側で密にする方法であるが、一番簡単な方法は、例えば、樹脂32の含有量の多い帯状のゴム組成物と、樹脂32の含有量の少ない帯状のゴム組成物との2種類の帯状のゴム組成物を製造し、樹脂32の含有量の少ない帯状のゴム組成物がタイヤ径方向外側に、樹脂32の含有量の多い帯状のゴム組成物がタイヤ径方向内側となるように、生の内側ゴム層12Bの上に貼り付ければ良い。
【0062】
また、大きい樹脂32を含んだ帯状のゴム組成物と、小さく樹脂32を含んだ帯状のゴム組成物との2種類の帯状のゴム組成物を製造し、小さい樹脂32を含んだ帯状のゴム組成物がタイヤ径方向外側に、大きい樹脂32を含んだ帯状のゴム組成物がタイヤ径方向内側となるように、生の内側ゴム層12Bの上に貼り付けても良い。
【0063】
なお、長尺状独立気泡24の密度は、2段階以上に細かく変化させても良く、連続的に変化させても良い。
【0064】
生の外側ゴム層12Aがモールド内で加熱されると、図7(A)に示すように、発泡剤によってガス34が発生し始める。
【0065】
生の外側ゴム層12Aが加熱されて樹脂32が溶融(または軟化)し、その粘度がゴムマトリクスの粘度よりも低下すると(図8参照)、図7(B)に示すように樹脂32の周囲に発生したガス34が溶融した樹脂32の中へと移動する。最終的には、溶融した樹脂32のなかに移動したガス34の気泡同士がつながって長尺状の空間が形成され、樹脂32から離れた部位で発生したガスはその位置に止まる。
【0066】
冷却後の外側ゴム層12Aは、図7(C)及び図7(D)に示すように球状独立気泡22と、外周部分が固化した樹脂32の保護層26で補強された長尺状独立気泡24とが形成された発泡ゴムとなる。
(作用)
次に本実施形態の作用を説明する。
【0067】
本実施形態の空気入りタイヤ10を走行させると、図9に示すように、略球形の球状独立気泡22による凹部22Aと長尺状独立気泡24による溝状の凹部24Aとが摩耗の極めて初期の段階でトレッド12の接地面に現れる。
【0068】
空気入りタイヤ10を氷上で走行させると、接地圧と摩擦熱によってタイヤと氷面との間に水膜が生じるが、トレッド12の接地面に形成された無数の凹部22A,24Aによって接地面内の水分(水膜)は素早く排除水されて除去される。
【0069】
また、長手方向が実質的にタイヤ周方向となっている溝状の凹部24Aによって接地面内のタイヤ回転方向後側への排除水性が向上するため、特に氷上ブレーキ性能が向上する。
【0070】
さらに、トレッド12の摩耗が進行すると、周方向溝14やサイプ19等の溝体積の減少により排除水性が低下して行くが、本実施形態の空気入りタイヤ10では、摩耗するにしたがって長尺の排水路の役目をする凹部24Aの密度が増大して排除水性が増大し、凹部24Aによる排除水性の増大分が上記周方向溝14やサイプ19等の溝体積の減少による排除水性の低下を分を補い、氷上性能の変化を抑える。
【0071】
また、この溝状の凹部24Aは、外周部分がゴムマトリクスよりも硬い保護層26で補強されているため高荷重時でも潰れ難く、荷重の変化に影響されずに高い排除水性を常に維持することができる。
【0072】
さらに、本実施形態の空気入りタイヤ10では、接地面に露出した保護層26が路面を引っかく作用に基づき路面との間の摩擦力を更に向上でき、これにより更にハンドリングが良好になる。
【0073】
本実施形態の空気入りタイヤ10の製造方法によれば、加硫成形時の高温、高圧下のもとにおいても長尺状の樹脂32を中空化することが可能となり、十分な排除水性能を得ることのできる保護層26で補強された長尺状独立気泡24を確実に形成することができる。
【0074】
ここで、外側ゴム層12Aを構成している発泡ゴム部分において、球状独立気泡22の発泡率Vs1 と長尺状独立気泡24の発泡率Vs2 とを合わせた全発泡率をVsとすると、全発泡率Vsは、3〜40%の範囲内が望ましく、好ましくは5〜35%である。発泡ゴムの全発泡率Vsは、Vs=(ρ0 /ρ1 −1)×100(%)で表され、ρ1 は発泡ゴムの密度(g/cm3 )、ρ0 は発泡ゴムの固相部の密度(g/cm3 )である。
【0075】
全発泡率Vsが3%未満では、発生する水膜に対して絶対的な凹部体積の不足により充分な排除水が行われず、氷上性能の効果向上が望めない。
【0076】
全発泡率Vsが40%を越えると、氷上性能向上効果は充分だが、ゴム内の空隙が多すぎるために、コンパウンドの破壊限界が大巾に低下し、耐久性上好ましくない。
【0077】
全発泡率Vs3〜40%の設定範囲の中で、長尺状独立気泡24が全発泡率Vsの10%以上を占めることが大切である。10%未満では、適切な長尺状水路が少ないために、球状独立気泡のみの場合に対する効果が薄れるからである。
【0078】
また、長尺状の樹脂32の平均径は、2.3〜400μmが実際的である。その理由は、タイヤ加硫の一般的製造条件の中では、所望する長尺状独立気泡24の出来上がり中空径が20〜500μmになるためには、中空化前の段階で樹脂32の平均径が2.3〜400μm程度となっているためである。
【0079】
一方、長尺状独立気泡24の平均中空径D(=保護層26の内径。図4参照)は、20〜500μmの範囲内であることが好ましい。
【0080】
長尺状独立気泡24の平均中空径Dが20μm未満になると、排除水性が低下するため好ましくない。一方、長尺状独立気泡24の平均中空径Dが500μmよりも大きくなると、耐カット性、ブロック欠けが悪化し、また、乾燥路面での耐摩耗性が悪化するため好ましくない。
【0081】
また、長尺状独立気泡24の1個当たりの最大長さLと、平均中空径Dとの比L/Dは3以上が好ましい。
【0082】
比L/Dを3以上とすることにより、摩耗したゴム表面に現れる溝状の凹部24Aが長くなり、平均中空径Dを上記の最適範囲内とした上で容積を大きくとることができ、多量の水を排除水可能となる。特に、周方向溝14、横溝16、サイプ19等に端部が連結された溝状の凹部24Aは、吸収した水を周方向溝14、横溝16、サイプ19まで排出できるので効果的である。
【0083】
なお、上記空気入りタイヤ10では、長尺状独立気泡24の長手方向の向きをタイヤ周方向としたが、製造上の理由等から(図3参照)、一部周方向以外に配向しても良い。
【0084】
長尺状独立気泡24の長手方向をタイヤ軸方向(矢印B方向)とすると溝状の凹部24Aの方向がタイヤ軸方向となり、横方向に対する排除水性を特に向上させることができる。
[第2の実施形態]
本発明の空気入りタイヤの第2の実施形態を図10及び図11にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0085】
図10及び図11に示す本実施形態の空気入りタイヤ40(サイズ:185/70R13)は、所謂サマータイヤであり、トレッド12にはタイヤ幅方向に等間隔で配置された3本の周方向溝14と、タイヤ周方向にほぼ等間隔にタイヤ幅方向に対して若干傾斜して延びる横溝16とで区画されたブロック18を有している。
【0086】
図10に示すように、トレッド12は、1層のゴム層42から構成されたトレッド踏面部、及びこのトレッド踏面部のタイヤ幅方向両側に配置された側ゴム部12Cからなっている。
【0087】
なお、図示は省略するが、この第2実施形態の空気入りタイヤ40のゴム層42も第1実施形態の空気入りタイヤ10の外側ゴム層12Aと同様に略球形の球状独立気泡22と、全体が樹脂の保護層26で補強されている長尺状独立気泡24とを無数に含んだ発泡ゴムであり、ブロック18内においては、保護層26で補強された長尺状独立気泡24の密度がタイヤ径方向外側で疎、タイヤ径方向内側で密となっている。
【0088】
本実施形態の空気入りタイヤ40も第1の空気入りタイヤ10と同様に、略球形の球状独立気泡22による凹部22Aと長尺状独立気泡24による溝状の凹部24Aとが摩耗の極めて初期の段階でトレッド12の接地面に現れ、凹部22A及び溝状の凹部24Aによる排除水性が得られる。
【0089】
本実施形態の空気入りタイヤ40も第1の実施形態の空気入りタイヤ10と同様に、トレッド12の摩耗が進行すると凹部24Aの密度が増大して行くため、周方向溝14等の溝体積の減少による排除水性の低下を抑制でき、ウエット性能の変化を抑えることができる。
【0090】
なお、前述した空気入りタイヤ10,40は、いわゆる乗用車用であったが、本発明は乗用車用タイヤ以外、例えば、トラック・バス用のタイヤにも適用できるのは勿論である。
【0091】
また、前記実施形態では、加硫温度が175°Cであったが、ゴムの材質、タイヤの種類等によって加硫温度は適宜変更される。
【0092】
なお、本発明は、サイプ、ブロック形状等、タイヤ形状との組み合わせは自由である。
【0093】
また、空気入りタイヤは、所謂更生タイヤであっても良く、この場合には、長尺状の樹脂32を含んだ帯状のゴム組成を所定のモールドで加硫して貼り替え用のトレッドを成型し、これを台タイヤに貼り付ければ良い。
【0094】
なお、長尺状独立気泡24の潰れ抑制のために、保護層26と周囲のマトリクスゴムとの接着性は重要である。本発明の実施形態に用いたポリエチレンなどは、一旦溶融するためにゴムとある程度接着しているが、マトリクスゴムと保護層26との接着性をさらに良くする方法としては、例えば、樹脂32に表面処理を行う方法、樹脂32にゴムとの接着性を向上させる成分を含有させる方法等がある。
【0095】
前記実施形態では、長尺状の樹脂32を溶融しないようにゴム原料等と共に混練し、これを断面積が除々に小さくなる押出機の口金から押し出すことによって長手方向が押出し方向に沿って揃った長尺状の樹脂32を含んだゴム組成物を得たが、他の方法によっても同様なゴム組成物を得ることができる。
【0096】
例えば、粒状の樹脂をゴム原料等と共に混練し、樹脂が溶融又は軟化するように押出し時の温度を設定して押出機の口金から押し出すようにすると、溶融又は軟化した樹脂が除々の押出し方向に延ばされながらゴム組成物が押し出され、口金から押し出されたときには、樹脂は長手方向が押出し方向とされた長尺状となる。
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、比較例1のスタッドレスタイヤ及び本発明の適用された実施例1のスタッドレスタイヤを試作して氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及び氷上フィーリングの各々に付いて実車テストを行って比較を行うと共に、比較例2のサマータイヤ及び本発明の適用された実施例のサマータイヤ2を試作してドライフィーリング及びウエットフィーリングの各々に付いて実車テストを行って比較を行った。
【0097】
以下に比較例1,2及び実施例1,2のタイヤを説明する。
各例のタイヤ共に、タイヤサイズは185/70R13である。実施例1のスタッドレスタイヤは第1の実施形態で説明した構造のタイヤ(図1〜3参照)であり、比較例1のスタッドレスタイヤは、実施例のスタッドレスタイヤと同一パターンで、長尺状独立気泡24の密度が一定のタイヤである。一方、実施例2のサマータイヤは第2の実施形態で説明した構造のタイヤ(図10及び図12参照)であり、比較例2のサマータイヤは、実施例のサマータイヤと同一パターンで、長尺状独立気泡24の密度が一定のタイヤである。
【0098】
次に、各例のタイヤのその他の仕様及び試験方法を以下に説明する。
球状独立気泡と長尺状独立気泡の体積比:タイヤトレッドからセンター部ブロック片を切り取り、更に、タイヤ周方向に対して垂直に、かつトレッド表面に対して垂直に、鋭利なカミソリで観察面を切り出す。このカットサンプルを走査型電子顕微鏡で、倍率100倍にて写真撮影を行う。尚、写真撮影場所については無作為に抽出する。次いでこの写真中の球状独立気泡部分と樹脂保護層を備えた長尺状独立気泡部分を分別し、それぞれの面積を測定して、ある一定面積内の球状独立気泡と長尺状独立気泡の面積比を算出する。以上の測定を10回行い、面積比の平均を求め、これを球状独立気泡と長尺状独立気泡の体積比とした。
【0099】
硬度:加硫したゴム組成物をJIS K6301に準拠し、室温(24°C)にて測定したものである。
【0100】
長尺状独立気泡の平均内径:長尺状独立気泡の平均内径については、上記測定における長尺状独立気泡全面積を、観察された長尺状独立気泡個数で割り、1独立気泡当たりの平均断面積を求め、下記式により断面が完全な円状である事を仮定した際の直径を算出した。
【0101】
長尺状独立気泡内径=(1独立気泡当たり断面積÷π)0.5 ×2
以上の測定を10回行い、その平均値を長尺状独立気泡内径とした。
【0102】
長尺状独立気泡の長さについては、独立気泡に沿ってサンプルを切断し、実測したものとする。
【0103】
長尺状独立気泡の樹脂層の厚み:長尺状独立気泡の樹脂層の厚みについては、上記測定に用いたカットサンプルを用い、走査型電子顕微鏡を樹脂の厚みが測定できるほどの高倍率にして写真撮影し、1個の長尺状独立気泡につき、4ヵ所の厚みを測定する。この測定を40個の長尺状独立気泡に対して行い、平均値を長尺状独立気泡の保護層の厚みとした。
【0104】
実車テストは、内圧200kPaを充填した供試タイヤを日本製1600CCクラスの乗用車(2名乗車)に装着して行った。各試験の方法は以下に説明する通りである。
【0105】
氷上ブレーキ性能:氷盤路で時速20km/hからのフル制動したときの制動距離を測定した。結果は、制動距離の逆数を新品の比較タイヤ1を100として指数表示した。なお、数値が大きいほど氷上ブレーキ性能が良いことを示す。
【0106】
氷上トラクション性能:氷盤路での20mの距離での発進からの加速通過時間を測定した。結果は、加速通過時間の逆数を新品の比較タイヤ1を100として指数表示した。なお、数値が大きいほど氷上トラクション性能が良いことを示す。
【0107】
氷上フィーリング:氷盤路面のテストコースにおける制動、発進性、直進性、コーナリング性の総合フィーリング(テストドライバーによるフィーリング評価)。結果は、新品の比較タイヤ2を100として指数表示した。なお、数値が大きいほど氷上フィーリングが良いことを示す。
【0108】
ドライフィーリング:乾燥した舗装路のテストコースにおける直進性、レーンチェンジ性、コーナリング性の総合フィーリング(テストドライバーによるフィーリング評価)。結果は、新品の比較タイヤ1を100として指数表示した。なお、数値が大きいほどドライフィーリングが良いことを示す。
【0109】
ウエットブレーキ性能:水深2mmの舗装路を、80,60及び40km/hの各速度においてフル制動したときの制動距離を測定し、平均制動距離を求めた。結果は、平均制動距離の逆数を新品の比較タイヤ2を100として指数表示した。なお、数値が大きいほどウエットブレーキ性能が良いことを示す。
【0110】
スタッドレスタイヤの仕様及び試験結果を以下の表1に示し、サマータイヤの仕様及び試験結果を以下の表2に示す。
【0111】
【表1】
Figure 0003779424
【0112】
【表2】
Figure 0003779424
【0113】
なお、上記表1,2中の加硫ゴム組成物の第1独立気泡は前述した実施形態で説明した球状独立気泡を指し、第2独立気泡は同実施形態で説明した長尺状独立気泡を指す。
【0114】
シス−1,4−ポリブタジエン:JSR製 BR01
スチレン−ブタジエン共重合タイヤゴム:旭化成製 タフデン2530
カーボンブラック:旭カーボン N110
シリカ:日本シリカ工業(株)製 Nipsl AQ
シランカップリング剤:DEGUSSA製 Si69
老化防止剤:N−(1,3ジメチルブチル)−N−フェニル−P−フェニレンジアミン
加硫促進剤:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−1−スルフェンアミド
発泡剤DPT:永和化成工業(株)製 セルラーD
発泡助剤(尿素系):永和化成工業(株) セルペーストK5
熱可塑性樹脂:PE(ポリエチレン)
試験の結果、本発明を適用した実施例1のスタッドレスタイヤは、摩耗による氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及び氷上フィーリングの各々の変化を抑制できることが証明された。
【0115】
また、本発明を適用した実施例2のサマータイヤは、摩耗によるドライフィーリング及びウエットブレーキ性能の各々の変化を抑制できることが証明された。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、トレッドが摩耗すると、長尺状の凹部による排除水性の増大分が主溝やサイプによる排除水性の低下分を補うことができ、これにより、スタッドレスタイヤでは摩耗による氷上性能及びウエット性能の変化を抑えることができ、サマータイヤ等においては摩耗によるウエット性能の変化を抑えることができる、という優れた効果を有する。
【0117】
また、樹脂からなる保護層が長尺状の凹部の潰れを抑制するので、高荷重時においても凹部による排除水性を確保でき、荷重変化による氷上性能やウエット性能の変化を抑えることができる、という優れた効果を有する。
【0118】
また、接地面に露出した樹脂による引っかき効果によって摩擦係数を向上できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の適用された第1の実施形態に係る空気入りタイヤの断面図である。
【図2】 第1の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの平面図である。
【図3】 ブロックの拡大断面図である。
【図4】 外側ゴム層の拡大断面図である。
【図5】 長尺状の樹脂の斜視図である。
【図6】 長尺状の樹脂の方向を揃える原理を説明する説明図である。
【図7】 (A)〜(D)は、長尺状独立気泡が形成される順序を説明する説明図である。
【図8】 温度(加硫時間)とゴム及び樹脂の粘度の関係を示したグラフである。
【図9】 摩耗した外側ゴム層の拡大断面図である。
【図10】 第2の実施形態に係る空気入りタイヤの断面図である。
【図11】 第2の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの平面図である。
【符号の説明】
4 ビードコア
6 カーカス
8 ベルト
10 空気入りタイヤ
12 トレッド
24 長尺状独立気泡
26 保護層
32 樹脂
40 空気入りタイ

Claims (1)

  1. 1対のビードコア間にトロイド状をなして跨がるカーカス層のクラウン部外周にベルト層とトレッドゴムを順次配置した空気入りタイヤであって、
    前記トレッドゴムは、樹脂からなる保護層により被覆された無数の長尺状独立気泡を有し、
    前記長尺状独立気泡は、最大長さLと平均中空径Dとの比L/Dが3以上に設定され、
    前記長尺状独立気泡の密度は、前記トレッドゴムのタイヤ半径方向外側が疎に、タイヤ半径方向内側が、タイヤ半径方向外側よりも密に設定されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
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