JP2012111910A - プレキュアトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)天然ゴムを80質量%以上有するゴム成分100質量部に対して、(B)シリカを3質量部以上配合することを特徴とするプレキュアトレッド用ゴム組成物及び予め加硫されたトレッド部を有しないプレキュアタイヤケーシングのクラウン部の外周に、未加硫のクッションゴム層を介して予め加硫されたプレキュアトレッドを共加硫接着させてなる空気入りタイヤであって、該プレキュアトレッドが上記ゴム組成物からなる空気入りタイヤである。
【選択図】なし
Description
このように、更生タイヤ用の台タイヤのバフ面は、表面粗さの大きい粗い面となり、この表面粗さの大きい粗い面とプレキュアトレッドとを接着させるために、バフ面等の表面粗さ以上の厚さを有するクッションゴムを用いることが通常行われる。
一方、上記更生タイヤに限らず、トレッドとタイヤケーシングとを接着させて新品のタイヤを製造する場合にも、加硫済みのトレッド及びタイヤケーシングを、未加硫ゴムを挟んで接着させるため、前記COLD方式の適用が可能と考えられる。
パターンが欠けることを避けるために、引き剥がしの速度を低速にしたり、引き剥がし部の局率を大きくするような治具を当てる方法などがあるが、いずれも生産性が極めて低下することを免れない。
すなわち、本発明は、
(1)(A)天然ゴムを80質量%以上有するゴム成分100質量部に対して、(B)シリカを3質量部以上配合することを特徴とするプレキュアトレッド用ゴム組成物、及び
(2)予め加硫されたトレッド部を有しないプレキュアタイヤケーシングのクラウン部の外周に、未加硫のクッションゴム層を介して予め加硫されたプレキュアトレッドを共加硫接着させてなる空気入りタイヤであって、該プレキュアトレッドが上記(1)に記載のゴム組成物からなることを特徴とする空気入りタイヤ、
を提供するものである。
<(A)ゴム成分>
本発明におけるゴム成分は、天然ゴム(NR)を80質量%以上含有することが特徴である。天然ゴムが80質量%以上であると、平金型を用いた加硫においてもパターンが欠けるなどの問題がない。すなわち、加硫後の金型の温度は、一般に135℃以上であるが、ゴム成分中の天然ゴムの含有量が80質量%以上であると、加硫ゴムの破断伸び(%)が向上し、上述のパターンの欠けを生じさせないものとなる。以上の観点から、ゴム成分中の天然ゴムの含有量は85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明においては、ゴム成分中の天然ゴム以外のゴム成分としては特に制限はなく、合成ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等の合成ゴムを用いることができる。これらのうち、BR及びSBRが好適であり、特に、摩耗速度の速い条件ではBRを配合することが好ましく、路面との粘着摩擦が必要な場合には、SBRを配合することが好ましい。
本発明のプレキュアトレッド用ゴム組成物に用いるシリカとしては特に制限はなく、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカを用いることができる。これらは単独に又は混合して使用することができる。また、狭義の二酸化珪素のみを意味するものではなく、ケイ酸系充填剤を意味し、具体的には、無水ケイ酸の他に、含水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩を含むものである。なお、シランカップリング剤を併用してもよい。
シリカの含有量は、(A)ゴム成分100質量部に対して3質量部以上である。3質量部以上含有させることで、耐引き裂き性を向上させ、上述の平金型を用いた加硫においてもパターンが欠けることを抑制するものである。以上の観点から、シリカの含有量はゴム成分100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがさらに好ましい。一方、シリカの含有量の上限値については、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、未加硫のトレッドを押し出し成形する際に、ゴムの表層状態を安定させ、単位長さ当たりの重量を一定にし、加硫ゴムがトレッドの表層に配されないようにするとの観点から、ゴム成分100質量部に対して35質量部以下であることが好ましい。
後に詳述する本発明のタイヤにおいては、プレキュアトレッドの路面と接する面に発泡ゴム層を有することが好ましい。具体的には、プレキュアトレッド全体が、発泡ゴム層からなっていてもよいし、ベーストレッドの上に発泡ゴム層からなるキャップトレッドを有する2層構成であってもよい。このような発泡ゴム層は、上述のプレキュアトレッド用ゴム組成物に、加流後に気泡を形成させるための発泡剤を配合することで得られる。
該発泡剤としては、例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタスチレンテトラミンやベンゼンスルホニルヒドラジド誘導体、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、二酸化炭素を発生する重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、窒素を発生するニトロソスルホニルアゾ化合物、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソフタルアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、p,p’−オキシービス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等が挙げられる。
また、発泡ゴムとする場合には、効率的な発泡を行う観点から、発泡助剤を用い、上記発泡剤と併用するのが好ましい。該発泡助剤としては、例えば、尿素、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛や亜鉛華等、通常、発泡製品の製造に使用する助剤等が挙げられる。これらの中でも、尿素、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛等が好ましい。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記発泡剤の含有量としては、目的に応じて適宜決定すればよいが、(A)ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部程度が好ましい。
なお、発泡率(Vs)は、下記式(I)により求めることができる。
Vs=(ρ0/ρ1−1)×100(%) ・・・ 式(I)
(式中、ρ1は発泡ゴム密度(g/cm3)であり、ρ0は発泡ゴムの固相部の密度(g/cm3)である)。
本発明のプレキュアトレッド用ゴム組成物には(D)短繊維を配合することが好ましい。短繊維としては、特に制限はないが、熱可塑性樹脂からなる短繊維であって、該短繊維が加硫時にゴム組成物の温度が加硫最高温度に達するまでの間に該ゴム組成物中で溶融又は軟化するものであることが好ましい。ここで、該短繊維の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対し1〜15質量部であり、好ましくは3〜10質量部である。また、加硫最高温度とは、加硫時におけるゴム組成物が達する最高温度を意味する。
本発明のゴム組成物中に前記短繊維を配合すると、前記発泡剤の添加により発生する気泡がトレッド中に長尺状気泡として存在し、該トレッドの摩耗によって長尺状気泡が表面に露出して穴部が形成され、効率的な排水を行う排水路として機能する。ここで、穴部とは、穴状、窪み状及び溝状のいずれの形状であってもよい。また、トレッドの穴部の表面が溶融又は軟化した短繊維が固化した保護層で被覆されているため、水路形状保持性、水路エッジ部摩耗性、荷重入力時の水路保持性等にも優れる。
該結晶性高分子としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、シンジオタクティック-1,2-ポリブタジエン(SPB)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の単一組成重合物や、共重合、ブレンド等により融点を適当な範囲に制御したものも使用でき、更にこれらに添加剤を加えたものも使用できる。これらは、一種単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。これら結晶性高分子の中でも、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体が好ましく、汎用で入手し易い点でポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)がより好ましく、融点が低く、取扱いが容易な点でポリエチレン(PE)が特に好ましい。
本発明のゴム組成物には、上記シリカの他に充填剤を含有していてもよい。該充填剤としては、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等を挙げることができる。これら充填剤の種類としては特に制限はなく、従来ゴムの充填剤として慣用されているものの中から任意のものを選択して用いることができる。これらのうち、特にカーボンブラック、水酸化アルミニウムが好ましい。
本発明のゴム組成物には、前記ゴム成分、カーボンブラック等の充填剤の他、プロセスオイル等の油分、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、酸化亜鉛、オゾン劣化防止剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、カップリング剤、発泡剤、発泡助剤及びステアリン酸等のゴム業界で通常使用されるゴム用配合材料を、本実施形態の目的を害しない範囲内で適宜選択し配合することができる。これら配合剤は、市販品を好適に使用できる。
上記ゴム組成物からなる予め加硫されたプレキュアトレッドを用いた本発明のタイヤは、予め加硫されたトレッド部を有しないプレキュアタイヤケーシングのクラウン部の外周に、未加硫のクッションゴム層を介して予め加硫されたプレキュアトレッドを共加硫接着させてなる空気入りタイヤである。
以下、図面を用いて本実施形態のタイヤを説明する。
<プレキュアトレッド及びプレキュアタイヤケーシングを作製する工程>
まず、前述のようなプレキュアトレッド2を製造する場合には、幅方向断面が略台形状をした未加硫ゴムからなるトレッド素材20を押出し機(図示せず)から押し出した後、所定長に切断し、その後、切断された帯状のトレッド素材20を、図2に示すような下金型21の成型凹み22内に表面14が底面と接触するようにしてセットする。ここで、前記成形凹み22の底面には長手方向に延びる複数本の主骨23が形成されている。
その後、これらを図示していない加硫装置に搬入して加硫を行い、トレッド素材20をプレキュアトレッド2とする。このとき、主骨23がトレッド素材20の表面14にくい込み、該表面14に長手方向に延びる複数本の溝16を形成する。
上記未加硫のタイヤケーシングを金型(モールド)にセットして、加硫成形することにより、トレッド部を有しないプレキュアタイヤケーシング12を得ることができる。
前工程で得られたプレキュアトレッドやプレキュアタイヤケーシングにおいては、加硫中にモールド面と接していたタイヤケーシング表面が未加硫ゴムと共架橋し難い性質があるため、接着性を確保することを目的として表層ゴムを取り除く(削り取る)必要がある。ただし、削り取る表層ゴムは、その目的からして、厚さ0.001mm以下の極めて薄い層で十分である。
具体的には、前記プレキュアトレッドにおける前記クッションゴム層との接着面、及び前記プレキュアタイヤケーシングのクラウン部における前記クッションゴム層との接着面の表面粗さが、ラジアル方向に切断した断面における断面曲線の算術平均粗さRaで0.001mm〜0.1mmの範囲であることが好適である。上記算術平均粗さRaをこの範囲とすることにより、共加硫接着後の接着力を十分に確保できる。
本工程では、まずプレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に未加硫のクッションゴム層を形成する。前述のように、プレキュアトレッド及びプレキュアタイヤケーシングにおける接着面の表面粗さがかなり小さいため、両者の間を埋める接着層としてのクッションゴム層の加硫後の平均厚さは、前記のように0.1mm以下で十分となる。
このため、本実施形態における未加硫のクッションゴム層としては、通常のシート状のクッションゴムではなく、液状ゴムを接着面に塗布して形成されることが望ましい。なお、液状ゴムの塗布は、通常プレキュアタイヤケーシングの接着面に対して行われるが、プレキュアトレッドの接着面に行ってもよく、両者に行ってもよい。
次いで、前記トレッド貼付タイヤケーシングを、図示していない加硫装置に搬入して、未加硫クッションゴムを加硫しタイヤとする。このとき、前記プレキュアトレッドはプレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に共加硫接着される。
加硫条件としては、90〜135℃程度、2〜7時間で行うことが好ましい。
なお、諸特性は下記の方法に従って測定した。
各実施例及び比較例にて製造したプレキュアトレッドの金型から剥離した際の1m当たりのトレッドゴムの欠損数で評価した。
(2)トレッドチャンクアウト個数
各実施例及び比較例にて製造した空気入りタイヤを用いて、悪路30%走行にて1万km走行した後の、10mm以上のトレッドゴムの欠損数で評価した。
第1表に示す配合組成の8種類のタイヤトレッド用ゴム組成物を、バンバリーミキサーを用いて調製した。次いで、各ゴム組成物について、特開平5−111921号明細書の実施例に記載される金型No.5を用いて、タイヤサイズ:195/65R15に使用するプレキュアトレッドを得た。製造条件としては、プレス圧30kg/m2、温度160℃、加硫時間17分の条件で加硫を行った。上記方法にて評価したトレッドゴム欠損数を第1表に示す。
次に、上記プレキュアトレッドとは別に加硫成形したプレキュアタイヤケーシングを用意した。プレキュアタイヤケーシングに用いたゴム組成物は、プレキュアトレッドに用いたゴム組成物と同じものを用いた。
次いで、プレキュアトレッドとプレキュアタイヤケーシングの接着面を研磨し、プレキュアタイヤケーシングの接着面に、接着用のクッションゴム配合のゴム組成物(未加硫)を、刷毛によりほぼ均一に塗布した。ここで用いた液状ゴムは、濃度が約10質量%となるようにガソリンに溶解させて調製した。なお、クッションゴム組成物の配合は第2表に示すとおりである。
続いて、各プレキュアトレッドを各プレキュアタイヤケーシングに貼り付け、その後、加硫装置により150℃で25分間加硫を行い、プレキュアトレッド及びプレキュアタイヤケーシングが接着された各タイヤを得た。上記方法にて評価したトレッドチャンクアウト個数を第1表に示す。
4:表面
6:裏面
8:貼付け面
10:クッションゴム層
12:プレキュアタイヤケーシング
14:表面
15:裏面
16:溝
20:トレッド素材
21:下金型
22:成型凹み
23:主骨
24:型付け面
25:上金型
26:加硫金型
27:キャビティ
Claims (6)
- (A)天然ゴムを80質量%以上有するゴム成分100質量部に対して、(B)シリカを3質量部以上配合することを特徴とするプレキュアトレッド用ゴム組成物。
- 前記(A)ゴム成分100質量部に対して、さらに(C)発泡剤1〜10質量部配合することを特徴とする請求項1に記載のプレキュアトレッド用ゴム組成物。
- 前記(A)ゴム成分100質量部に対して、さらに(D)短繊維1〜15質量部配合する請求項2に記載のプレキュアトレッド用ゴム組成物。
- 予め加硫されたトレッド部を有しないプレキュアタイヤケーシングのクラウン部の外周に、未加硫のクッションゴム層を介して予め加硫されたプレキュアトレッドを共加硫接着させてなる空気入りタイヤであって、該プレキュアトレッドが請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物からなることを特徴とする空気入りタイヤ。
- 前記プレキュアトレッドの路面と接する面に発泡ゴム層を有し、該発泡ゴム層が請求項2又は3に記載のゴム組成物からなり、該発泡ゴム層が平均直径15〜80μmの独立気泡を含み、発泡率が10〜25%であることを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
- 前記発泡ゴム層にサイプを有し、接地面積1cm2当たりの全サイプ長さが0.5〜1cmである請求項4又は5に記載の空気入りタイヤ。
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