JP5363739B2 - タイヤ - Google Patents

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本発明は、タイヤ、例えば、氷上走行等が行われる空気入りタイヤに関するものであり、より詳しくは、ウェットスキッド性能(WET性能)及び氷上性能を更に向上させたタイヤに関するものである。
従来から湿潤(ウェット)路面上での制動性や操縦性(走行安定性)と関係するウェットスキッド性能(以下、WET性能という)に優れたタイヤトレッド用ゴム組成物が提案されている。従来、WET性能を高めるための技術は、シリカを高充填配合にすること、ゴムのガラス転移温度(Tg)、すなわち、0℃ tanδを高くすること、及びカーボンブラックの粒径を細かくして高充填配合にすること等が知られている。しかし、シリカ高充填配合のタイヤトレッド用ゴム組成物は作業性(加工性)に課題がある。ゴムのTgを高くしたものは低温性能の低下と転がり抵抗(ローリングレジスタンス、以下、「RR」と称する)が高くなる点に課題がある。カーボンブラックの粒径を細かくして高充填配合したものはRRが高くなる。
このため、特殊なシリカと練りの工夫でWET性能を向上させたタイヤトレッド用ゴム組成物及びその製造方法が提案されている。例えば、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム100質量部に対して、凝固点が−48℃以下である低温性可塑剤10〜80質量部と、平均粒径が0.1〜1mmである炭化珪素、窒化珪素、及び酸化アルミニウム、珪石の単独又はこれらの混合物5〜40質量部とを配合して、WET性能の向上を図っている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、このような改良では、作業性(加工性)、耐摩耗性及び低発熱性等が課題として残る。
また、スパイクタイヤが規制されて以来、氷雪路面上でのタイヤの制動・駆動性能(以下、氷上性能という)を向上させるための開発がなされている。氷雪路面においては、その氷雪路面とタイヤとの摩擦熱等により水膜が発生し易く、その水膜はタイヤと氷雪路面との間の摩擦係数を低下させる。このため、タイヤのトレッドの水膜除去性能やエッヂ効果及びスパイク効果が、氷上性能に大きく影響する。タイヤにおける氷上性能を向上させるためには、トレッドの水膜除去性能、及びエッヂ効果並びにスパイク効果の改良が必要である。
トレッドに水膜除去性能を持たせるには、タイヤの表面にミクロな排水溝(深さ、幅共に100μm程度)を多数設け、これらのミクロな排水溝により水膜を排除し、タイヤの氷雪路面上での摩擦係数を大きくする。この場合、タイヤの使用初期における氷上性能を向上させることはできる。しかし、タイヤの摩耗に伴い、徐々に氷上性能が低下してしまうという問題がある。そこで、タイヤが摩耗しても氷上性能が低下しないようにするため、トレッド内に気泡を形成しておくことが考えられている。
ところで、従来からタイヤに短繊維入り発泡ゴムを前記トレッドに用いることにより、そのトレッドの表面に上述のミクロな排水溝を形成する手法が記載されている(例えば、特許文献2を参照)。この場合、走行によりトレッドが摩耗しても短繊維はトレッドから容易に離脱しない。しかし、短繊維は摩耗面と略平行でない場合が多く、当初の狙いのようなミクロな排水溝が常に効率的に形成できず、前記氷雪路面上での摩擦係数の向上が十分ではなかった。また短繊維の離脱は走行条件等に大きく左右され、確実に氷上性能を向上させることができないという問題が見られた。
また、発泡剤を含むゴム組成物の加硫時に、温度が加硫最高温度に達するまでの間にそのゴム組成物よりも粘度が低くなる有機繊維を配合して加硫することが提案されている(例えば、特許文献3を参照)。この場合、トレッドタイヤの表面にミクロな排水溝が形成されて水膜除去性能を改良する効果はある。しかしながら、このような加硫ゴムのトレッドタイヤの場合、エッヂ効果及びスパイク効果(引っ掻き効果)を向上させることについては改良の余地がある。
更に、有機繊維についても種々の機能性を持たせる提案がなされている(例えば、特許文献4を参照)。例えば、所定の径を有する有機繊維に、ガラス微粒子、水酸化アルミニウム微粒子、アルミナ微粒子、鉄微粒子、(メタ)アクリル系樹脂微粒子、エポキシ樹脂微粒子等の所定径を有する微粒子を含有させて成形した微粒子含有有機繊維をタイヤのゴム成分に添加することを提案している。そして、更にタイヤにおける水膜除去性能やエッヂ効果を高めるために、前記のタイヤのゴム組成物において、加硫時にゴム組成物の温度が加硫最高温度に達するまでの間に、ゴムマトリックスの粘度より繊維樹脂粘度が低くなる微粒子含有有機繊維を使用している。微粒子含有有機繊維を適用することで、水膜除去効果、摩擦係数の増大効果及びエッヂ効果が改善される。しかし、このような微粒子を含有させる有機繊維はある程度その径を太くする必要がある。このため、それが原因で押出し肌が低下し、工場作業性の低下を招くと共に押出し時にミクロ排水溝を形成する発泡層等に悪影響を与える。
また、特許文献5には、天然ゴムとポリブタジエンゴムが含まれるゴム成分と粒径が10μm以下である無機化合物粉体とを配合した発泡ゴム層をトレッドとするタイヤが開示されている。
しかしながら、無機化合物粉体の粒径が小さいため、排水性能向上の観点から、氷上性能をさらに改良する余地があった。
特開平2−135241号公報 特開平4−38207号公報 特開平11−48264号公報 特開2001−233993号公報 国際公開WO2006/062119号パンフレット
従って、本発明の課題は、前記の諸問題を解決するために、乾燥路面での制動性や操縦性(以下、DRY操縦安定性能という)、WET性能を維持しつつ、エッヂ効果又はスパイク効果を十分に発揮する氷上性能に優れたタイヤを提供することにある。
本発明者は、路面と実質的に接する面、即ちトレッド面に所定の発泡率を有する天然ゴム及びポリブタジエンゴムを含むゴム組成物の発泡ゴム層を設ける際に、ゴム組成物に平均粒径が15μm以上の特定の無機化合物粉体を含有させることにより、タイヤにおける湿潤路面での制動性、操縦性、及び氷上性能が高まることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
(1)路面と接するトレッドに発泡ゴム層が設けられてなるタイヤであって、該発泡ゴム層の発泡率が3〜50%の範囲にあり、且つ該発泡ゴム層を構成するゴム組成物Aが、少なくとも天然ゴム20〜80質量%及びポリブタジエンゴム20〜80質量%が含まれるゴム成分の100質量部に対して、下記一般式(I)で表される平均粒径が15〜40μmである少なくとも1以上の無機化合物粉体5〜20質量部を含むことを特徴とするタイヤ、
M・xSiO2・yH2O・・・・・・(I)
〔式(I)中のMは、Al、Mg、Ti、及びCaから選択される金属の金属酸化物又は金属水酸化物であり、x及びyはそれぞれ独立に0〜10の整数である。〕
(2)前記一般式(I)で表される無機化合物粉体が下記一般式(II)で表される無機化合物粉体である前記(1)のタイヤ、
Al23・mSiO2・nH2O・・・・・・・(II)
〔式(II)中のm及びnはそれぞれ独立に0〜4の整数である。〕
(3)前記一般式(I)で表される無機化合物粉体が、水酸化アルミニウムからなる粉体である前記(1)のタイヤ、
(4)さらに、前記ゴム組成物Aが、ゴム成分100質量部に対してカーボンブラック5〜55質量部及びシリカ5〜55質量部を含む前記(1)〜(3)のいずれかのタイヤ、
(5)前記ゴム組成物Aが、微粒子を含有していない(a)有機繊維及び/又は(b)微粒子含有有機繊維を含む前記(1)〜(4)のいずれかのタイヤ、
(6)前記ゴム組成物Aが、ゴム成分100質量部に対して前記(a)有機繊維及び/又は(b)微粒子含有有機繊維の合計量1〜5質量部を含む前記(5)のタイヤ、
(7)前記(b)微粒子含有有機繊維が、該有機繊維全体の樹脂の100質量部に対して該微粒子5〜50質量部を含む前記(5)又は(6)のタイヤ、
(8)前記(b)微粒子含有有機繊維の微粒子のモース硬度が2以上であり、該微粒子の粒径分布の頻度数の80質量%以上が10〜50μmの範囲にあり、且つ該微粒子の平均粒径が10〜30μmの範囲にある(5)〜(7)のいずれかのタイヤ、
(9)前記(a)有機繊維及び/又は(b)微粒子含有有機繊維に使用される繊維の平均径が0.01〜0.1mmの範囲で、該繊維の平均長さが0.5〜20mmの範囲にある前記(5)〜(8)のいずれかのタイヤ、
(10)前記(b)微粒子含有有機繊維の微粒子が、粒度分布のピーク値での頻度数が20質量%以上である前記(5)〜(8)のいずれかのタイヤ、
(11)前記(b)微粒子含有有機繊維の微粒子のアスペクト比が1.1以上で、且つ該微粒子に角部が存在している前記(5)〜(10)のいずれかのタイヤ、
(12)前記(b)微粒子含有有機繊維の微粒子が、無機微粒子及び有機微粒子から選択される前記(5)〜(11)のいずれかのタイヤ、及び
(13)前記有機繊維の樹脂が、ポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれた少なくとも1種からなる結晶性高分子であり、且つ該樹脂の融点が190℃以下である前記(5)〜(12)のいずれかのタイヤ
である。
本発明によれば、DRY操縦安定性能及びWET性能を維持しつつ、エッヂ効果又はスパイク効果を十分に発揮する氷上性能に優れたタイヤを提供することができる。
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態、及び実施例を詳細に説明する。
図1は本発明に係るタイヤの断面概略説明図である。図2は本発明に係るタイヤのトレッド部の周方向に沿う断面概略図である。
本発明に係るタイヤは、路面と実質接する面に発泡ゴム層が設けられるタイヤ、具体的には、図1及び図2に示すように、タイヤトレッドの少なくとも路面と実質接する面に、独立気泡を含有する発泡ゴム層を設けた空気入りタイヤからなる。
例えば、図1に示すように、一対のビード部11、11'と、該一対のビード部11、11'にトロイド状をなして連なるカーカス12と、該カーカス12のクラウン部をたが締めするベルト13と、キャップ部15とベース部16との二層から成るトレッド14とを順次配置したラジアル構造を有する。
なお、トレッド14以外の内部構造は、一般のラジアルタイヤの構造と変わりないので説明は省略する。
タイヤ10は、その製造方法については特に制限はないが、例えば、所定のモールドで所定温度、所定圧力の下で加硫成形する。その結果、未加硫のトレッドが加硫されてなる本発明の発泡ゴム層で形成されたキャップ部15を有するタイヤ10が得られる。
本発明のタイヤ10は、路面と接するトレッド14に発泡ゴム層が設けられてなるタイヤであって、該発泡ゴム層の発泡率が3〜50%の範囲にあり、且つ該発泡ゴム層を構成するゴム組成物Aが、少なくとも天然ゴム20〜80質量%及びポリブタジエンゴム20〜80質量%が含まれるゴム成分の100質量部に対して、下記一般式(I)で表される平均粒径が15μm以上である少なくとも1以上の無機化合物粉体5〜20質量部を含むことを特徴とする。
M・xSiO2・yH2O・・・・・・(I)
式(I)中のMは、Al、Mg、Ti、及びCaから選択される金属の金属酸化物又は金属水酸化物であり、x及びyはそれぞれ独立に0〜10の整数である。前記一般式(I)で表される無機化合物粉体は、x及びyが共に0である場合には、Al、Mg、Ti、Caから選ばれる少なくとも一つの金属の金属酸化物又は金属水酸化物となる。
前記トレッド14のキャップ部15は、本発明に係るゴム組成物Aを加硫させて形成した発泡ゴム層であり、その発泡ゴム層は、そのゴム成分に少なくとも天然ゴムとポリブタジエンゴムが所定量含まれている限り、その他のゴム成分を含んでいても良い。
ゴム成分中、天然ゴムはゴム成分の100質量部に対して20〜80質量部の範囲、好ましくは30〜50質量部の範囲で含まれる。また、ゴム成分中、ポリブタジエンゴムはゴム成分の100質量部に対して20〜80質量部の範囲、好ましくは50〜70質量部の範囲で含まれる。天然ゴムが80質量部を超えて含まれるか、また、ポリブタジエンゴムが全く含まれない、或いは20質量部未満になると、タイヤ性能に影響が出て、氷上性能を悪くするおそれがある。
また、ポリブタジエンゴムが80質量部を超えて含まれるか、また天然ゴムが全く含まないか、20質量部未満となる場合は加工性に問題が生じてくる。
ゴム成分に加えることができるその他のゴムとしては、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スチレンーブタジエン共重合体(SBR)、ポリイソプレンゴム等を挙げることができる。
尚、タイヤのトレッドに用いる場合、前記ゴム成分は、温度−60℃以下のガラス転移温度を有するものが好ましい。このようなガラス転移温度を有するゴム成分を用いると、該トレッド等は、低温域においても十分なゴム弾性を維持し、良好な前記氷上性能を示す点で有利である。
また、前記発泡ゴム層を構成するゴム組成物Aが、ゴム成分100質量部に対してカーボンブラック5〜55質量部及びシリカ5〜55質量部を含むことが好ましい。
前記発泡ゴム層において、カーボンブラックは、そのゴム層の力学的性能を高め、加工性等を改善させるものである限り、I2吸着量、CTAB比表面積、N2吸着量、DBP吸着量等の範囲を適宜選択した公知のカーボンブラックを使用することができる。
カーボンブラックの種類としては、例えば、SAF、ISAF−LS、HAF、HAF−HS等の公知のものを適宜選択して使用することができる。
前記ゴム層においてカーボンブラックはゴム成分の100質量部に対して好ましくは5〜55質量部の範囲、より好ましくは10〜50質量部の範囲で含まれる。
カーボンブラックの含まれる量が55質量部を超えると、タイヤ性能を低下させ、氷上性能にも影響を与える。また、カーボンブラックを全く含まないか、又は5質量未満である場合も氷上性能に悪影響を与える。
前記発泡ゴム層において、シリカは、湿式シリカ、乾式シリカのいずれでも良いが、湿式シリカが好ましい。
前記ゴム層においてシリカはゴム成分の100質量部に対して好ましくは5〜55質量部の範囲、より好ましくは30〜50質量部の範囲で含まれる。
シリカの含まれる量が55質量部を超えると、耐破壊性を低下させ、作業性にも悪影響を与える。また、シリカを全く含まないか、又は5質量未満である場合もWET性能に悪影響を与える。
前記一般式(I)で表される無機化合物粉体の具体例としては、アルミナ(Al23)、水酸化アルミニウム[Al(OH) 3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH) 2]、酸化マグネシウム(MgO2)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)等が挙げられる。なお、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO3)も本発明の無機化合物粉体と同等の効果を発揮するものとなる。
さらに、一般式(I)で表される(B)無機化合物粉体は、下記一般式(II)で表される無機化合物粉体であることが好ましい。
Al23・mSiO2・nH2O ・・・・・(II)
ここで、m及びnはそれぞれ独立に0〜4の整数である。
上記一般式(II)で表される無機化合物の具体例としては、水酸化アルミニウム、アルミナ、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)等が挙げられる。
以上述べた(B)無機化合物粉体の内、クレー(Al23・2SiO2)、水酸化アルミニウム[Al(OH) 3]、アルミナ(Al23)が好ましく、水酸化アルミニウムが氷上性能及びWET性能の向上の観点から特に好ましい。また、本発明で用いる水酸化アルミニウムは、アルミナ水和物も含むものである。
前記無機化合物粉体は、その平均粒径が15μm以上であることを要し、好ましくは、15〜40μm、さらに好ましくは、18〜30μmである。該無機化合物粉体の平均粒径が15μm以上であれば、氷上性能及びWET性能を向上し得る。無機化合物粉体の粒径を大きくすることにより排水溝が大きくなるため、排水が効率よく行われる。これにより、排水性能が向上する。一方、40μm以下であれば、タイヤトレッド用ゴムの耐破壊特性、特に耐摩耗性に対する影響が小さいので好ましい。また、本発明で用いる前記特性を有する無機化合物粉体は、単独で又は2以上を混合して用いることができる。なお、前記の条件を満足しない無機化合物粉体、例えば、Al、Mg、Ti、Caから選ばれる硫化物、硫酸塩及び炭酸塩等の他の構造のものはWET性能の向上に効果がない。
本発明で用いる前記特性を有する無機化合物粉体の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して、5〜20質量部、好ましくは、10〜15質量部である。無機化合物粉体の配合量が5質量部未満であると、氷上性能やWET性能を向上させることができず、20質量部を超えると、耐摩耗性に悪影響を及ぼし好ましくない。
本発明に係る発泡ゴム層を構成するゴム組成物Aが、微粒子を含有していない(a)有機繊維及び/又は微粒子を含有してなる(b)微粒子含有有機繊維を含むことが好ましく、ゴム組成物Aのゴム成分100質量部に対して前記(a)有機繊維及び/又は(b)微粒子含有有機繊維の合計量1〜5質量部を含むことが好ましく、1.5〜3質量部の範囲であることが特に好ましい。
これらの合計量が1質量部未満であると、繊維を配合する効果を十分に発揮することができず、即ち、引っ掻き効果が十分に発揮されず、タイヤのトレッドにあっては、エッヂ効果或いはスパイク効果、それに対応する氷上性能の十分な向上が見られない。一方、その配合量が5質量部を超えると、押出作業性を悪くし、肌荒れを生じて、加硫ゴムやタイヤのトレッドにあってはクラック等の不都合を生じることがあり好ましくない。
前記(b)微粒子含有有機繊維を前記ゴムの発泡層に含ませて用いると、タイヤ面における除水及び摩擦の増大に効果を発挿し、氷上性能を高める。また、後述するように(b)微粒子含有有機繊維に使用する微粒子に比較的硬度がある材料を使用した場合、含有させる有機繊維径との関係等から押出時に未加硫ゴム組成物A及び成形物の表面に影響を与え、また、そのような原因と共に工場での作業性の低下を招く。そこで、微粒子を含有しない(a)有機繊維と(b)微粒子含有有機繊維とを所定の割合でゴム組成物Aに含ませることが好ましい。
このような割合としては、{(a)有機繊維/(b)微粒子含有有機繊維}の質量比は、(98/2)〜(2/98)の範囲、特に、(95/5)〜(5/95)の範囲にすることが好ましい。
前記(a)有機繊維及び(b)微粒子含有有機繊維に使用される有機繊維としては、必ずしもその材質、形状、径、長さ等が一致した同一のものを同時に使用することはなく、互いに異なった有機繊維を使用しても良いが、共に以下の性質を有する範囲の有機繊維を使用することが望ましい。
(a)有機繊維及び(b)微粒子含有有機繊維に使用される有機繊維の材質は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかしながら、上述したように、ゴム成分との関係から加硫時に加硫最高温度に達するまでの間に、ゴム成分のゴムマトリックスの粘度よりも低くなる粘度特性を有する樹脂を用いることが本発明においては好ましい。即ち、前記有機繊維樹脂は、ゴム組成物Aが加硫最高温度に達するまでの間に溶融(軟化を含む)する熱特性を有していることが肝要である。
有機繊維樹脂がこのような熱特性を有していると、ゴム組成物Aを加硫して得た加硫ゴム中にミクロな排水溝として機能し得る上述の長尺状気泡を容易に形成することができる。
尚、加硫最高温度とは、ゴム組成物Aの加硫時におけるゴム組成物が達する最高温度を意味する。例えば、モールド加硫の場合には、ゴム組成物Aがモールド内に入ってからモールドを出て冷却されるまでの間に、該ゴム組成物Aが達する最高温度を意味する。加硫最高温度は、例えば、ゴム組成物中に熱電対を埋め込むこと等により測定することができる。また、ゴムマトリックスの粘度は、流動粘度を意味し、例えば、コーンレオメーター、キヤピラリーレオメーター等を用いて測定する。また、前記樹脂の粘度は、溶融粘度を意味し、例えば、コーンレオメーター、キヤピラリーレオメーター等を用いて測定する。
従って、本発明で選択される好ましい樹脂は、例えば、その融点が前記加硫最高温度よりも低い結晶性高分子樹脂等が特に好適に挙げられる。
前記結晶性高分子では、その融点と、ゴム組成物Aの加硫最高温度との差が大きくなる程、ゴム組成物Aの加硫中に速やかに溶融するため、高分子の粘度がゴムマトリックスの粘度よりも低くなる時期が早くなる。このため、高分子が溶融すると、そのゴム組成物Aに配合した発泡剤から発生したガスは、ゴムマトリックスよりも低粘度である高分子の内部に集まる。その結果、加硫ゴム中には、ゴムマトリックスとの間に微粒子を含有する樹脂層を有する気泡、即ち、前記樹脂により被覆されたカプセル状の長尺状気泡が潰れのない状態で効率良く形成される。
タイヤトレッドとなる発泡ゴム層において、このカプセル状の長尺状気泡はトレッドの表面に現れ、摩擦により生じた溝が前記ミクロな排水溝として機能し、水膜排除効果と共に、エッヂ効果及びスパイク効果も十分に発揮する。
これに対して、有機繊維の樹脂融点が、ゴム組成物Aの加硫最高温度に近い場合、加硫初期に速やかに溶融せず、加硫終期に溶融する。加硫終期では、ゴム組成物A中に存在するガスの一部は加硫したゴムマトリックス中に取り込まれてしまい、溶融した樹脂の内部には集まらない。その結果、前記ミクロな排水溝として効果的機能する長尺状気泡が、効率良く形成されない。また、有機繊維の樹脂融点が低過ぎる場合、有機繊維をゴム組成物A中に配合し混練りする際に有機繊維同士の融着が発生し、有機繊維の分散不良が生じる。これもまた、ミクロな排水溝して機能し得る長尺状気泡が効率良く形成されない。したがって、有機繊維の樹脂の融点は、加硫前の各工程における温度では溶融軟化せず、加硫工程中にゴムマトリックスと樹脂との粘度とが逆転するような範囲で選択するのが好ましい。
有機繊維樹脂の融点の上限としては、特に制限はないものの前記の点を考慮して選択するのが好ましく、前記ゴムマトリックスの加硫最高温度よりも低く、10℃以上低いのがより好ましく、20℃以上低いのが特に好ましい。ゴム組成物の工業的な加硫温度は、一般的には最高で約190℃程度であるが、例えば、加硫最高温度がこの190℃を超えて設定されている場合には、前記樹脂の融点としては、190℃以下の範囲で選択され、180℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。
なお、前記樹脂の融点は、それ自体公知の融点測定装置等を用いて測定することができ、例えば、DSC測定装置を用いて測定した融解ピーク温度を前記融点とすることができる。
以上のことから有機繊維の樹脂は、結晶性高分子及び/又は非結晶性高分子から形成されていても良い。但し、上述したように本発明においては、相転移があるために粘度変化がある温度で急激に起こり、粘度制御が容易な点で結晶性高分子を多く含む有機素材から形成されていることが好ましく、結晶性高分子のみから形成されるのがより好ましい。
このような結晶性高分子の具体例としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、シンジオタクティツク−1,2−ポリブタジエン(SPB)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の単一組成重合物が挙げられる。また、これらの共重合、及びブレンド等により融点を適当な範囲に制御したものも使用でき、更にこれらに添加剤を加えたものも使用できる。これらの結晶性高分子の中でも、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体が好ましく、汎用で入手し易い点でポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)がより好ましく、融点が比較的低く、取扱いが容易な点でポリエチレン(PE)が特に好ましい。
尚、非結晶性高分子の樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル、これらの共重合体、これらのブレンド物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
また、本発明において使用される(a)有機繊維及び(b)微粒子含有有機織椎の有機繊維としては、その繊維の平均長さが、0.5乃至20mmの範囲、特に、1乃至10mmの範囲にあることが好ましい。
前記発泡ゴム層を形成する際の加硫ゴム中に前記の長さで有機繊維が存在すれば、エッヂ効果及びスパイク効果が有効に作用する。また後述の発泡剤等を含めるとミクロな排水溝として効率良く機能し得る長尺状気泡を十分に形成できる。前記有機繊維長が0.5mm未満では、前記効果を十分に発揮できない。また、前記有機繊維の平均長さが20mmを超えると、有機繊維同士が絡まり、その分散性が低下する傾向にある。
また、前記有機繊維において、その繊維の平均径が0.01〜0.1mmの範囲、特に0.015〜0.09mmの範囲が好ましい。前記有機繊維は、その繊維の平均径が0.01mm未満では切断が生じ易いため、前記エッヂ効果或いはスパイク効果を十分に発揮できない。また、前記の繊維の平均径が0.1mmを超える場合には、加工性に問題が生じてくる。
本発明の(b)微粒子含有有機繊維において、前記有機繊維に含有される微粒子としては、無機微粒子及び有機微粒子が挙げられる。具体的には、無機微粒子としては、ガラス微粒子、水酸化アルミニウム微粒子、アルミナ微粒子、鉄微粒子等が挙げられる。前記有機微粒子としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂微粒子、エポキシ樹脂微粒子等が挙げられる。これらは、一種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。これらの中でも、氷上での引っ掻き効異に優れる点で、無機微粒子が好ましい。
本発明に使用される微粒子はそのモース硬度が硬度2より、特に硬度5より高いものが好ましい。その微粒子のモース硬度が氷の硬度(1乃至2)以上、即ち、2以上であると、一層の引っ掻き効果を前記発泡ゴム層の表面部でトレッドとして発揮させることができる。このため、得られるタイヤは氷雪路面との間の摩擦係数が大きく、氷上性能(氷雪路面でのタイヤの面制動・駆動性能)に優れている。
このような硬度の高い微粒子としては、例えば、石膏、方解石、蛍石、正長石、石英、金剛石等が挙げられるが、好ましくは、モース硬度5以上のシリカガラス(硬度6.5)、石英(硬度7.0)、溶融アルミナ(硬度9.0)等を挙げることができる。中でもシリカガラス、アルミナ(酸化アルミニウム)等が安価で容易に使用することができる。
また、前記微粒子はその粒径分布の頻度数の80質量%以上、好ましく90質量%以上が10〜50μmの範囲にあることが好ましく、また、その平均粒径が10〜30μmの範囲であることが好ましい。
前記頻度数における粒径が10μmを下回ってくると、(b)微粒子含有有機繊維を製造する際に、粒子同士が凝集してなるものが見られ、その分散性が低下する傾向にある。また、このような繊維を用いたタイヤにあっては、十分な引き掻き効果、或いはエッヂ効果、スパイク効果を発揮することができない。一方、前記粒径が50μmを超えると、(b)微粒子含有有機繊維の製造時に繊維切れ等の問題が頻発し、所望する(b)微粒子含有有機繊維が効率良く得られない。
前記微粒子はまた、粒度分布のピーク値での頻度数が20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは25質量%以上であり、更に好ましくは30質量%以上である。
前記微粒子のピーク値での頻度数が20質量%以上であれば、微粒子の粒度分布曲線がシャープとなり、粒径が均一となる。このため、前記微粒子含有有機繊維の紡糸に際して切れが発生し難い良好な繊維が得られる。かかる繊維をタイヤに使用した場合には氷上性能性が安定してくる。これに対して、前記微粒子のピーク値での頻度数が20質量%未満では、前記繊維の紡糸に際して切れが生じやすくなる。また、タイヤとしての性能もばらつきが生じやすくなってくる。また、上述した前記範囲内の粒径の大きさでは、その粒径が大きいほどタイヤの氷上性能が向上する。
尚、ここで、頻度数とは全体の粒子質量に対する粒度分布(粒度分布曲線)における粒子粒径を2μmの刻み幅で区分したときのその区分幅での存在粒子の質量率をいう。ピーク値での頻度数とは、粒度分布曲線における前記刻み幅に最大ピーク値を含んでいる区分幅における頻度数を言う。
更に前記微粒子は、そのアスペクト比が1.1以上であることが好ましく、且つ角部が存在していることが好ましい。より好ましくはアスペクト比が1.2以上、更に好ましくは1.3以上である。ここで、角部が存在するとは、表面の全てが球面或いは滑らかなカーブ面でないことを意味する。
本発明における微粒子には最初から角部を有する微粒子も使用できる。また、微粒子が球形状であっても粉砕することにより、微粒子表面に角部を存在させて使用することができると共に、より多くの角部を存在させることができる。
本発明において、微粒子形状はその微粒子群を電子蹟微鏡で観察することにより確認が可能であり、球状でないことを確認するものである。また粒子の長軸と短軸の比率をあらわすアスペクト比が1.1以上であれば、粒子表面に形成される角部の存在が十分に角張ることができる。このため、このような微粒子を含む微粒子含有有機繊維を使用したタイヤ等にあっては、引っ掻き効果、或いはエッヂ効果、及びスパイク効果を十分に高めることができる。
また、無機化合物粉体や微粒子の平均粒径及び粒径分布は、電子顕微鏡法により粉体又は微粒子の投影面積円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径であり、 Heywood径とも呼ぶ)無作為に200個を測定し、粒径分布を得ると共に、相加平均により平均粒径を求める。
有機繊維の平均径及び平均長さは、顕微鏡法により、無作為に200個の長さと直径をそれぞれ測定し、それぞれ相加平均により平均径及び平均長さを求める。
前記微粒子は、前記微粒子含有有機繊維を形成する樹脂100質量都に対して5乃至50質量部、特に、7乃至50質量部の範囲で含有されることが好ましい。
前記微粒子量が5質量部未満では、ゴム組成物Aのゴム製品における引っ掻き効果、タイヤのトレッドにあってはエッヂ効果及びスパイク効果が十分に生じなくなる場合がある。一方、前記微粒子量が50質量部を超えると、微粒子含有有機繊維の製造時に繊維切れ等の問題が頻発し、微粒子含有有機繊維が効率良く得られなくなる虞がある。
本発明においては、加流後に気泡を形成させるために、前記発泡ゴム層の成形前の未加硫ゴム組成物A中に発泡剤を配合する。発泡剤及び前記繊維を用いることにより、加硫ゴム或いはトレッドとなる前記発泡ゴム層は、長尺状気泡を有してミクロな排水溝を形成して水膜除去性能が付与される。
前記発泡剤としては、例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタスチレンテトラミンやベンゼンスルホニルヒドラジド誘導体、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、二酸化炭素を発生する炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、窒素を発生するニトロソスルホニルアゾ化合物、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソフタルアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、p,p’−オキシービス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等が挙げられる。
これらの発泡剤の中でも、製造加工性を考慮すると、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)が好ましい。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。前記発泡剤の作用により、得られた前記加硫ゴムは発泡率に富む発泡ゴムとなる。
本発明においては、効率的な発泡を行う観点から、その他の成分として発泡助剤を用い、前記発泡剤と併用するのが好ましい。前記発泡助剤としては、例えば、尿素、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛や亜鉛華等、通常、発泡製品の製造に使用する助剤等が挙げられる。これらの中でも、尿素、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛等が好ましい。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記発泡剤の含有量としては、目的に応じて適宜決定すれば良いが、一般にはゴム成分100質量部に対して1乃至10質量部程度が好ましい。前記発泡剤はゴムマトリックス中に配合しても良く、また各有機繊維中に配合しても良い。
本発明に使用するその他の成分としては、本発明の効果を害しない範囲で用いることができ、例えば、硫黄等の加硫剤、ジベンゾチアジルジスルフイド等の加硫促進剤、加硫促進助剤、N一シクロへキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−ベンゾチアジル−スルフェンアミド等の硫化防止剤、オゾン劣化防止剤、着色剤、帯電防止剤、分散剤、滑剤、酸化防止剤、軟化剤、カーボンブラックやシリカ等の無機充填材等の他に、通常ゴム業界で用いる各種配合剤等を目的に応じて適宜選択して使用することができる。これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよく、市販品を使用しても良い。
本発明に係るタイヤの発泡ゴム層を形成するには、前記で詳述したゴム組成物Aを、以下の条件、手法にて混練り、熱入れ、押出等する。
混練は、混練装置への投入体積、ローター回転速度、混練温度、混練時間等の混練装置等の諸条件について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。混練装置としては、市販品を好適に使用する。
熱入れ又は押出は、熱入れ又は押出時間、熱入れ又は押出装置等の諸条件について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。熱入れ又は押出装置としては、市販品を好適に使用する。尚、熱入れ又は押出温度は、発泡剤が存在する場合はその発泡を起こさないような範囲で適宜選択される。押出温度は、90乃至110℃程度が望ましい。
本発明において、押出等により上述の有機繊維は押出方向に配向させることが好ましい。このような配向を効果的に行うには、限られた温度範囲の中でゴム組成物Aの流動性を制御する。具体的にはゴム組成物A中に、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、エステル系オイル等の可塑剤、又は/及び液状ポリイソプレンゴム、液状ポリブタジエンゴム等の液状ポリマー等の加工性改良剤を適宜添加して、ゴム組成物Aの粘度を変化させ、その流動性を高める。
本発明において有機繊維を含める場合、トレッドの発泡ゴム層を製造するには、(a)有機繊維及び(b)微粒子含有有機繊維を、トレッドにおける接地面に平行な方向に配向、即ち、タイヤの周方向に配向させることが良い。タイヤの走行方向の排水性を高めることができ、氷上性能を効果的に向上させることができる。
前記発泡ゴム層において各有機繊維を揃わせて配向する方法としては、微粒子含有有機繊維を含むゴム組成物Aを、流路断面積が出口に向かって減少する押出機の口金から押し出すことにより、微粒子含有有機繊維等を一定の方向に配向させれば良い。なお、この場合、押し出される前のゴム組成物A中の微粒子含有有機繊維等は、口金へ押し出されていく過程でその長手方向が押出方向に沿って除々に揃うようになる。口金から押し出されるときには、その長手方向が押出方向にほぼ完全に配向させることができる。この場合における微粒子含有有機繊維等のゴム組成物A中での配向の程度は、流路断面積の減少面積、押出速度、未加硫のゴム組成物Aの粘度等によって変化させる。
本発明において、加硫の条件乃至方法等については特に制限はなく、ゴム成分の種類等に応じて適宜選択することができる。本発明のようにトレッドとしての発泡ゴム層を製造する場合にはモールド加硫が良い。加硫の温度としては、上述したように加硫中の前記ゴム組成物Aの加硫最高温度が前記有機繊維を構成する樹脂の融点以上になるように選択されることが好ましい。加硫最高温度が樹脂の融点未満であると、上述したように繊維が溶融せず、発泡により生じたガスを樹脂中に取り込むことができない。発泡ゴム層に長尺状気泡を効率良く形成できない。加硫装置は、特に制限はなく、市販品を好適に使用することができる。
図2に示すように、本発明のタイヤのトレッド14のキャップ部15(発泡ゴム層)が長尺状気泡21を有する好適例においては、トレッド表面に生じた長尺状気泡21の凹部22は上述の製造方法により方向性を持たせるように配設される。このため、効率的な排水を行う排水路として機能する。また、該凹部22は前記保護層23、特に微粒子を存在させた保護層を有するため、該凹部22は、耐剥離性、水路形状保持性、水路エッヂ部摩耗性、荷重入力時の水路保持性等に壊れる。更に本発明のタイヤの好適例においては、長尺状気泡が発泡層全体に存在するため、使用初期から末期まで前記凹部による諸機能が発揮され、前記氷上性能に優れる。さらに、微粒子含有有機繊維により形成される、保護層23に微粒子24が付着した長尺状気泡21によりエッヂ効果又はスパイク効果が格別に向上することとなる。なお、発泡ゴム層には、長尺状気泡21と共に気泡25も存在する。
前記発泡ゴム層における発泡率は、3〜50%の範囲であり、特に、15〜40%の範囲にあることが好ましい。
発泡率が3%未満であると、前記トレッドにおける凹部の体積が小さく、前記氷上性能を十分に向上させることができない。一方、発泡率が50%を超えると、トレッドにおける前記氷上性能は十分であるものの、トレッド内における気泡が多くなり破壊限界が低下する傾向にあり、耐久性の点で好ましくない。尚、発泡率のVsは、加硫ゴム或いはトレッドにおける全発泡率を意味し、次式により算出できる。
Vs={(ρ0/ρ1)−1}×100(%)
ここで、ρ1は、加硫ゴム(発泡ゴム)の密度(g/cm3)を表す。ρ0は、加硫ゴム(発泡ゴム)における固相部の密度(g/cm3)を表す。なお、加硫後のゴム(発泡ゴム)の密度及び加硫後のゴム(発泡ゴム)における固相部の密度は、例えば、エタノール中の質量と空気中の質量を測定し、これから算出した。
本発明において、発泡ゴム層に形成される長尺状気泡の平均径(μm)は、10乃至500μm程度であるのが好ましい。前記平均径が10μm未満であると、ゴム表面に形成されるミクロの排水溝の水排除性能が低下する。前記平均径が500μmを超えると、ゴムの耐カット性、ブロック欠けが悪化し、また、乾燥路面での耐摩耗性が悪化することがある。
本発明に係るタイヤは、いわゆる乗用車用のみならず、トラック・バス用等の各種の乗物に好適に適用できる。氷雪路面上でのスリップを抑えることが必要な構造物に好適に使用できる。タイヤのトレッドは、前記氷上でのスリップを抑えることが必要な限り、例えば、更生タイヤの貼り替え用のトレッド、中実タイヤ等に使用できる。また、タイヤが空気入りタイヤである場合、内部に充填する気体としては空気のほかに窒素等の不活性ガスを用いることができる。
尚、前記実施形態においては二層構造を持つトレッドを例にして説明したが、トレッドの構造は特に制限はなく一層構造でも良い。更にタイヤ半径方向に分割された多層構造、タイヤ周方向或いはトレッド幅方向に分割された構造でも良い。トレッドの表面層の少なくとも一部が本発明のゴム組成物Aにより構成されていることが好ましい。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1〜7及び比較例1〜10
表1に示す配合処方により実施例1〜7及び比較例1〜10の17種類のゴム組成物を調製した。これら各ゴム組成物を用い、タイヤのトレッド(発泡ゴム層)を形成し、通常のタイヤ製造条件に従って各試験用の17種類の乗用車用ラジアルタイヤ(タイヤサイズは185/70R13)を製造した。これらの乗用車用ラジアルタイヤを以下の評価方法により、氷上性能、ドライ操縦安定性能、WET性能及び耐摩耗性を評価した。結果を表1に示す。
<氷上性能>
供試乗用車用ラジアルタイヤ4本を国産1600ccクラスの乗用車に装着し、氷温−1℃の氷上制動性能を該乗用車走行により確認した。比較例1のタイヤをコントロールタイヤとして、氷上性能=(コントロールタイヤの制動距離/その他の例の制動距離)×100とした。指数が大きい程、氷上性能が良好である。
<ドライ操縦安定性能>
プロのテストドライバーによるフィーリングに基づいて、試験コースの乾燥したアスファルト路面におけるコーナリング性能及び制駆動性能を総合性能指数として評価した。比較例1のタイヤを100とし、指数が大きい程、DRY性能が良好である。
<WET性能>
湿潤アスファルト路面にて、初速度40、60、80km/hrからの制動距離を測定し、各速度で比較例1を100(コントロール)とし、他の値については、WET性能=(比較例1の制動距離÷供試タイヤの制動距離)×100にて指数を求め、その三水準の平均値にて指数表示した。従って、指数が大きい程、WET性能が良好である。
<耐摩耗性>
実車にて舗装路面を1万km走行後、残溝を測定し、トレッドが1mm摩耗するのに要する走行距離を相対比較し、比較例1を100(8000km/mmに相当)として以下の式により指数表示した。
(供試タイヤのトレッドが1mm摩耗するのに要する走行距離÷比較例1のタイヤのトレッドが1mm摩耗するのに要する走行距離)×100
指数が大きい程、耐摩耗性が良好なことを示す。
Figure 0005363739
(注)
*1.シス−1,4−ポリブタジエンゴム:(商品名;UBEPOL 150L:宇部興産社製)
*2.カーボンブラック:(N134(N2SA:146m2/g):旭カーボン社製)
*3.シリカ:(Nipsil AQ:日本シリカ株式会社製)
*4.シランカップリング剤(Si69:デグサ社製)
*5.プロセスオイル:ナフテン系プロセスオイル(商品名「ダイアナプロセスオイルNS−24」、流動点(−30℃):出光興産(株)製)
*6.老化防止剤IPPD:(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
*7.加硫促進剤MBTS:ジベンゾチアジルジスルフイド
*8.加硫促進剤CBS:N−シクロへキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
*9.発泡剤DNPT:ジニトロソペンタメチレンテトラミン
*10.有機短繊維a:繊維を構成する樹脂(ポリエチレン融点132℃、繊維平均径32μm、繊維平均長さ2mm)
*11.有機短繊維b:繊維を構成する樹脂(ポリエチレン融点132℃、微粒子含有量15質量部、微粒子平均粒径20μm、繊維平均径32μm、繊維平均長さ2mm、微粒子:モース硬度が9の溶融アルミナ、微粒子平均粒径:20μm、微粒子のピーク値での頻度数が32質量%、微粒子のアスペクト比:1.5、微粒子の粒径分布の頻度数の90質量%が10〜50μmの範囲にあった)
*12.水酸化アルミニウムA:(昭和電工(株)製、商品名「ハイジライトH−31」、平均粒径20μm)
*13.水酸化アルミニウムB:(昭和電工(株)製、商品名「ハイジライトH−32」、平均粒径8μm)
表1の結果から明らかなように、実施例1〜7は、氷上性能及びWET性能が共に良好であった。これに対し、比較例1〜10は、氷上性能及びWET性能の両立をなし得なかった。
本発明に係るタイヤは、氷上性能及びWET性能に優れ、産業上の利用可能性が極めて高いタイヤであり、乗用車用タイヤ、軽乗用車用タイヤ、小型トラック用タイヤやトラック・バス用タイヤに好適に用いられ、特に冬用やオールシーズン用の乗用車用ラジアルタイヤに好適に用いることができる。
図1は本発明に係るタイヤの断面概略説明図である。 図2は本発明に係るタイヤのトレッド部の周方向に沿う断面概略図である。
符号の説明
10 タイヤ
11、11' 一対のビード部
12 カーカス
13 ベルト
14 トレッド
15 キャップ部
16 ベース部
21 長尺状気泡
22 凹部
23 保護層
24 微粒子
25 気泡

Claims (13)

  1. 路面と接するトレッドに発泡ゴム層が設けられてなるタイヤであって、該発泡ゴム層の発泡率が3〜50%の範囲にあり、且つ該発泡ゴム層を構成するゴム組成物Aが、少なくとも天然ゴム20〜80質量%及びポリブタジエンゴム20〜80質量%が含まれるゴム成分の100質量部に対して、下記一般式(I)で表される平均粒径が15〜40μmである少なくとも1以上の無機化合物粉体5〜20質量部を含むことを特徴とするタイヤ。
    M・xSiO2・yH2O・・・・・・(I)
    〔式(I)中のMは、Al、Mg、Ti、及びCaから選択される金属の金属酸化物又は金属水酸化物であり、x及びyはそれぞれ独立に0〜10の整数である。〕
  2. 前記一般式(I)で表される無機化合物粉体が、下記一般式(II)で表される無機化合物粉体である請求項1記載のタイヤ。
    Al23・mSiO2・nH2O・・・・・・・(II)
    〔式(II)中のm及びnはそれぞれ独立に0〜4の整数である。〕
  3. 前記一般式(I)で表される無機化合物粉体が水酸化アルミニウムからなる粉体である請求項1に記載のタイヤ。
  4. さらに、前記ゴム組成物Aが、ゴム成分100質量部に対してカーボンブラック5〜55質量部及びシリカ5〜55質量部を含む請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 前記ゴム組成物Aが、微粒子を含有していない(a)有機繊維及び/又は(b)微粒子含有有機繊維を含む請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 前記ゴム組成物Aが、ゴム成分100質量部に対して前記(a)有機繊維及び/又は(b)微粒子含有有機繊維の合計量1〜5質量部を含む請求項5記載のタイヤ。
  7. 前記(b)微粒子含有有機繊維が、該有機繊維全体の樹脂の100質量部に対して該微粒子5〜50質量部を含む請求項5又は6に記載のタイヤ。
  8. 前記(b)微粒子含有有機繊維の微粒子のモース硬度が2以上であり、該微粒子の粒径分布の頻度数の80質量%以上が10〜50μmの範囲にあり、且つ該微粒子の平均粒径が10〜30μmの範囲にある請求項5〜7のいずれかに記載のタイヤ。
  9. 前記(a)有機繊維及び/又は(b)微粒子含有有機繊維に使用される繊維の平均径が0.01〜0.1mmの範囲で、該繊維の平均長さが0.5〜20mmの範囲にある請求項5〜8のいずれかに記載のタイヤ。
  10. 前記(b)微粒子含有有機繊維の微粒子が、粒度分布のピーク値での頻度数が20質量%以上である請求項5〜8のいずれかに記載のタイヤ。
  11. 前記(b)微粒子含有有機繊維の微粒子のアスペクト比が1.1以上で、且つ該微粒子に角部が存在している請求項5〜10のいずれかに記載のタイヤ。
  12. 前記(b)微粒子含有有機繊維の微粒子が、無機微粒子及び有機微粒子から選択される請求項5〜11のいずれかに記載のタイヤ。
  13. 前記有機繊維の樹脂が、ポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれた少なくとも1種からなる結晶性高分子であり、且つ該樹脂の融点が190℃以下である請求項5〜12のいずれかに記載のタイヤ。
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