JP2014177071A - タイヤの製造方法 - Google Patents

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JP2014177071A JP2013053678A JP2013053678A JP2014177071A JP 2014177071 A JP2014177071 A JP 2014177071A JP 2013053678 A JP2013053678 A JP 2013053678A JP 2013053678 A JP2013053678 A JP 2013053678A JP 2014177071 A JP2014177071 A JP 2014177071A
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Abstract

【課題】プレキュア部材同士の接着性及びその剥離抗力に優れたタイヤを生産性よく製造することが可能なタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】プレキュアトレッドとプレキュアタイヤケーシングのクラウン部とを接着するタイヤの製造方法であって、(a)未加硫トレッド及び未加硫タイヤケーシングを各々成形・加硫して、プレキュアトレッド及びプレキュアタイヤケーシングを作製する工程と、(b)該プレキュアトレッドの接着面の表層ゴム及び該プレキュアタイヤケーシングのクラウン部の接着面の表層ゴムを削り取る工程と、(c)該接着面に未加硫のクッションゴム層を介して、該プレキュアトレッドを該プレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に貼付してトレッド貼付タイヤケーシングを作製する工程と、(d)該トレッド貼付タイヤケーシングを加熱して、該プレキュアトレッドをプレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に共加硫接着させる工程と、を有するタイヤの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤの製造方法及び加硫ゴム接着方法に関し、詳細には、プレキュアトレッドとプレキュアタイヤケーシングのクラウン部とを接着するタイヤの製造方法に関する。
従来におけるトラック・バス用ラジアルタイヤの更生タイヤ製造においては、摩耗して一次寿命を終えたタイヤ(以下、「台タイヤ」と称する)のトレッド面をバフし、この上に、予め加硫された更生用のトレッドゴム部(プレキュアトレッド)を貼りつける方法が代表的なものの1つとして知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、コールド(COLD)方式又はプレキュア方式等の名称で呼ばれ、台タイヤに未加硫のトレッドゴムをのせてモールド加硫するホット(HOT)方式と区別されている。
上記COLD方式では、トレッド面をバフした台タイヤとプレキュアトレッド、即ち、加硫ゴム同士を接着する方法として、まず未加硫のクッションゴムが、台タイヤに貼られ、さらにその上にプレキュアトレッドを貼り付けた上で、加硫缶で110〜140℃、2時間〜3時間加熱する方式が一般的である。
COLD方式を用いた更生タイヤの製造においては、一次寿命を終えた使用済みタイヤをタイヤケーシングとして使用するが、該タイヤケーシングのトレッド部には様々な形状でトレッドゴムが残っているため、ある一定の形状まで残ったトレッドゴムを削り取る必要がある。この場合のトレッドゴムを削り取る作業はバフと呼ばれ、バフされた面はバフ面と呼ばれる。また、トレッド部を削り取るには鋸状の刃を回転させるラスプと呼ばれる刃が用いられる。そして上記バフにおいては、ゴムを削り取るのが目的のため、ゴム屑が生じることは避けられず、また削り取るゴム量を問題としない。したがって、更生タイヤ用の台タイヤのバフ面は、表面粗さの大きい粗い面となる。また、この表面粗さの大きい粗い面とプレキュアトレッドとを接着させるために、バフ面等の表面粗さ以上の厚さを有するクッションゴムを用いることも必要である。
従来の製造法で得られた、例えば、高速重荷重用タイヤ等のゲージの厚いタイヤは、加硫時において、タイヤ内部の温度上昇がタイヤ表面部対比遅れるため、加硫後のタイヤのゴム物性は、表面近傍と内部とで差が生じ、性能面で悪影響を及ぼすことがある。
特開平9−57871号公報
本発明者らは、上記性能に対する対策として、未加硫トレッドと未加硫タイヤケーシングを別々に加硫した後、トレッドとタイヤケーシングの間に加硫速度の速い未加硫ゴム(クッションゴム)を挟んで再び加硫し、共加硫接着をさせる分割製造する方法を着想した。この方法では、加硫済みのトレッド及びタイヤケーシングを、未加硫ゴムを挟んで接着させるため、前記COLD方式の適用が可能と考えられる。
上記新品タイヤの製造に、前記COLD方式の更生タイヤの製造方法を適用する場合、更生タイヤとの最大の相違はタイヤケーシングが未使用である点である。よって、更生タイヤと異なり摩耗し残ったトレッドゴムを削り取る必要がないので、更生タイヤの場合と同様にタイヤケーシングをバフすると必要以上にゴムを削り取ることとなり、資源の無駄や、高コスト、産業廃棄物増加等の問題が生じる。
本発明は、このような状況下でなされたものであり、プレキュア部材同士の接着性及びその剥離抗力に優れたタイヤを生産性よく製造することが可能なタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、タイヤの製造においてプレキュア部材の接着面の表層ゴムを削り取る工程を設ける方法において、プレキュア部材の接着面を機械的に削り取ることによって、上記目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、
[1] プレキュアトレッドとプレキュアタイヤケーシングのクラウン部とを接着するタイヤの製造方法であって、
(a)未加硫トレッド及び未加硫タイヤケーシングを各々成形・加硫して、プレキュアトレッド及びプレキュアタイヤケーシングを作製する工程と、
(b)該プレキュアトレッドの接着面の表層ゴム及び該プレキュアタイヤケーシングのクラウン部の接着面の表層ゴムを削り取る工程と、
(c)該接着面に未加硫のクッションゴム層を介して、該プレキュアトレッドを該プレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に貼付してトレッド貼付タイヤケーシングを作製する工程と、
(d)該トレッド貼付タイヤケーシングを加熱して、該プレキュアトレッドをプレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に共加硫接着させる工程と、
を有するタイヤの製造方法、
[2] 前記プレキュアタイヤケーシングのクラウン部の前記クッションゴム層との接着面の(b)工程後の表面粗さが、ラジアル方向に切断した断面における輪郭曲線の算術平均高さRa(JIS B 0601:2001に準拠して測定する。)で0.003mm以上0.1mm以下である上記[1]に記載のタイヤの製造方法、
[3] 前記プレキュアトレッドの前記クッションゴム層との接着面の(b)工程後の表面粗さが、ラジアル方向に切断した断面における輪郭曲線の算術平均高さRa(JIS B 0601:2001に準拠して測定する。)で0.003mm以上0.1mm以下である上記[1]又は[2]に記載のタイヤの製造方法、
[4] 前記算術平均高さRaが、0.003mm以上0.08mm以下である上記[2]又は[3]に記載のタイヤの製造方法、及び
[5] 前記プレキュアトレッド及び前記プレキュアタイヤケーシングのクラウン部の表層ゴムを、不織布製研磨具を用いて削り取ることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載のタイヤの製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、プレキュア部材同士の接着性及びその剥離抗力に優れたタイヤを生産性よく製造することが可能なタイヤの製造方法を提供することができる。
特に、本発明のタイヤの製造方法によれば、更生タイヤを得るためのCOLD方式により製造された場合でも、予め加硫されたトレッド部を有しないプレキュアタイヤケーシングのクラウン部の外周に、未加硫のクッションゴム層を介して予め加硫されたプレキュアトレッドを共加硫接着させてなる、未加硫トレッドと未加硫タイヤケーシングを別々に加硫する分割製法のタイヤにおいて、新品のプレキュアトレッドの接着面の表層ゴム及び新品のプレキュアタイヤケーシングのクラウン部の接着面の表層ゴムを削り取ることによって、好ましくは深さ10nm〜1mmで削り取ることによって、より優れた接着が可能となり、剥離抗力が向上するのでさらに好ましい。
一方、従来のCOLD方式により製造された場合は、一次寿命を終えた使用済みタイヤをタイヤケーシングとして使用するが、該タイヤケーシングのトレッド部には様々な形状でトレッドゴムが残っているため、ある一定の形状まで残ったトレッドゴムを削り取る必要がある。
両者を比較すると、前者は(1)機械的に切削する廃棄ゴムの量を少なくし、(2)切削時間を短くし、(3)クッシヨンゴムの厚さをより少なくすることができ、また、該タイヤを生産性よく製造することが可能な製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法により得られたタイヤのクラウン部の一例を示すタイヤラジアル方向(タイヤ幅方向)の部分断面図である。 未加硫トレッドがセットされた金型の一例を示す断面図である。
以下、タイヤの製造方法に係る本発明を詳細に説明する。
本発明のタイヤの製造方法は、プレキュアトレッドとプレキュアタイヤケーシングのクラウン部とを接着するタイヤの製造方法であって、
(a)未加硫トレッド及び未加硫タイヤケーシングを各々成形・加硫して、プレキュアトレッド及びプレキュアタイヤケーシングを作製する工程と、
(b)該プレキュアトレッドの接着面の表層ゴム及び該プレキュアタイヤケーシングのクラウン部の接着面の表層ゴムを削り取る工程と、
(c)該接着面に未加硫のクッションゴム層を介して、該プレキュアトレッドを該プレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に貼付してトレッド貼付タイヤケーシングを作製する工程と、
(d)該トレッド貼付タイヤケーシングを加熱して、該プレキュアトレッドをプレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に共加硫接着させる工程と、
を有することを特徴とする。
以下、本発明の製造方法により得られるタイヤの構成を説明する。
図1は、本発明の製造方法により得られたタイヤのクラウン部の一例を示すタイヤラジアル方向(タイヤ幅方向)の部分断面図である。図1において、2は本発明の製造方法により得られたタイヤに用いられるプレキュアトレッドであり、このプレキュアトレッド2は加硫ゴム部材(加硫済みのゴム部材)から構成されている。このプレキュアトレッド2はタイヤラジアル方向(タイヤ幅方向)断面が略台形状を呈しており、その表面4は幅狭でタイヤとなったとき踏面となり、一方、その裏面6は幅広で、クッションゴム層10を介して、加硫済みであるプレキュアタイヤケーシング12の貼付け面8(タイヤ半径方向外側の表面)に貼付けられる接着面となる。なお、プレキュアトレッド2及びプレキュアタイヤケーシング12は、未加硫のクッションゴム層を介して貼り合わされた後、共加硫接着により接着されている。
そして、前記プレキュアトレッド2の裏面6はプレキュアタイヤケーシング12の貼付け面8とほぼ同一の曲率半径でプレキュアトレッド2の表面4に向かって凹んでおり、その深さは幅方向中央に向かうに従い徐々に深くなっている。また、前記プレキュアトレッド2の表面4には長手方向に延びる広幅の溝が複数本形成され、これらの溝は、タイヤとなったとき、タイヤ周方向に延びる主溝及び副溝となる。
本発明のタイヤの製造方法においては、共加硫後のクッションゴム層10の平均厚さ(クッションゴムゲージ)を1nm以上0.5mm以下とすることが好ましい。その理由は、上記平均厚さが0.5mm以下であれば、タイヤにおけるトレッド部の溝下とタイヤケーシング表面との間隔を狭くすることができ、この結果、走行時にトレッド部が変形しにくくなって発熱が抑えられ、低発熱性となると共に耐久性が向上することができる。一方、前記平均厚さが1nm以上であれば、接着面における凹凸を埋めることができ、十分な接着性を確保することができるからである。
上記クッションゴム層10の平均厚さは100nm以上0.5mm以下とすることがより好ましく、1000nm以上0.5mm以下とすることがさらに好ましい。
以下、本発明のタイヤの製造方法を、各工程に沿って説明する。
(a)<プレキュアトレッド及びプレキュアタイヤケーシングを作製する工程>
まず、前述のようなプレキュアトレッド2を製造する場合には、幅方向断面が略台形状をした未加硫ゴムからなる未加硫トレッド20を押出し機(図示せず)から押し出した後、所定長に切断し、その後、切断された帯状の未加硫トレッド20を、図2に示すような下金型21の成型凹み22内に未加硫トレッド20の表面20aが底面と接触するようにしてセットする。ここで、前記成形凹み22の底面には長手方向に延びる複数本の主骨23が形成されている。
次に、下面に型付け面24を有する上金型25を下金型21に当接するまで下降させる。これにより、加硫金型26、即ち下金型21、上金型25は閉止して内部に形成されたキャビティ27に未加硫トレッド20が収納されるが、このとき、前記型付け面24は未加硫トレッド20の裏面20bに接触する。
その後、これらを図示していない加硫装置に搬入して加硫を行い、未加硫トレッド20をプレキュアトレッド2とする。このとき、下金型21の主骨23が未加硫トレッド20の表面20aにくい込み、該表面20aに長手方向に延びる複数本の溝20cを形成する。
他方、前述のプレキュアタイヤケーシング12を製造する場合には、まず未加硫タイヤケーシングを成形する。未加硫タイヤケーシングは、公知のタイヤ製造方法におけるグリーンタイヤの成形工程と同様にして成形される。例えば、成形ドラム上に未加硫ゴムがゴム引きされたカーカス層を巻き付け、その両端部にビードコアをセットした後、その両端部を折り返し、さらにサイドウォール部の未加硫ゴムを貼り付ける。次いで、その幅方向中央部を膨径させて断面馬蹄形の円環状にした後、カーカス層外周上に未加硫のベルト層を設ければ、未加硫タイヤケーシングを得ることができる。また、必要に応じ、ベルト層の外側に未加硫トレッドと同じゴム組成物又はその他のゴム組成物からなるゴム層12aを設けてもよい。このゴム層12aは、プレキュアタイヤケーシングのクラウン部の接着面の表層ゴムの削り取られる深さより厚いことが好ましい。前記(b)工程でベルト層に傷を付けないようにするためである。また、このゴム層12aを未加硫トレッドと同じゴム組成物にすれば、クッションゴム層のゴム組成物を選定し易くなり、プレキュアトレッドとの接着性がさらに向上する。
上記未加硫のタイヤケーシングを金型(モールド)にセットして、加硫成形することにより、トレッド部を有しないプレキュアタイヤケーシング12を得ることができる。
(b)<プレキュアトレッドにおける接着面及びプレキュアタイヤケーシングのクラウン部における接着面の表層ゴムを削り取る工程>
前工程で得られたプレキュアトレッドやプレキュアタイヤケーシングにおいては、加硫中にモールド面と接していたタイヤケーシング表面が未加硫ゴムと共架橋し難い性質があるため、接着性を確保することを目的として表層ゴムを取り除く(削り取る)必要がある。表層ゴムの削り取られる深さが10nm〜1mmであれば、接着性を十分確保することができるので好ましい。
上記表層ゴムが削り取られた後の面(接着面)においては、接着性確保等の観点から形状が重要であり、接触面積増大及び界面歪分散の観点からは、複雑な形状(界面粗さ)が有利であるが、必ずしも必要ではない。
本発明では、前記プレキュアタイヤケーシングのクラウン部の前記クッションゴム層との接着面の(b)工程後の表面粗さが、ラジアル方向に切断した断面における輪郭曲線の算術平均高さRa(JIS B 0601:2001に準拠して測定する。)で0.003mm以上0.1mm以下であることが好ましく、前記プレキュアトレッドの前記クッションゴム層との接着面の(b)工程後の表面粗さが、ラジアル方向に切断した断面における輪郭曲線の算術平均高さRa(JIS B 0601:2001に準拠して測定する。)で0.003mm以上0.1mm以下であることが好ましい。
上記算術平均高さRaをこの範囲とすることにより、共加硫接着後の接着力を十分に確保できるとともに、廃棄物削減(発生するゴム屑量の削減)及びコスト削減をも両立させることができる。
上記算術平均高さRaは、プレキュアトレッド及びプレキュアタイヤケーシングで各々独立に0.003mm以上0.08mm以下であることがより好ましく、0.003mm以上0.07mm以下であることがさらに好ましく、0.008mm以上0.06mm以下であることが特に好ましい。
表層ゴムを削り取る方法に関しては、前記表面粗さを好適範囲とすることができれば特に制限がなく、砥石、金属製研磨器具、不織布製研磨材などを用いて前記接着面を研磨すればよく、これらの研磨具等を用いて前記適切な算術平均高さRaで表される表面粗さを有する面を形成することができる。中でも削り取る表層ゴムの厚さを10nm〜1mmときわめて薄くするためには不織布製研磨材を用いることが好ましい。不織布製研磨材は研磨のために加えられた力がスプリング効果によって分散されるため削りすぎや深いスクラッチが入らず、上記のように表面層を均一に薄く削り取る(粗らす)ためには好ましい研磨材である。このようにして表面を削り取ることによって目的とする算術平均高さRaを得ることができる。尚、上記不織布製研磨材は、既存のバフ機に装着することで研磨を実施することができる。
従来の金属切削によるタイヤ周上の切削量のバラツキ、大量の切削ゴム(廃棄物)と切削粉の飛散等を改善することが出来、清掃時間短縮や廃棄ゴムの削減が可能である。また、タイヤ周上ゲージの均一化が可能である。不織布製研磨材として具体的には住友スリーエム株式会社製の「スコッチブライト」等が挙げられる。
(c)<未加硫のクッションゴム層を介して、プレキュアトレッドをプレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に貼付してトレッド貼付タイヤケーシングを作製する工程>
本工程では、まずプレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に未加硫のクッションゴム層を形成する。前述のように、プレキュアトレッド及びプレキュアタイヤケーシングにおける接着面の表面粗さがかなり小さいため、両者の間を埋める接着層としてのクッションゴム層の加硫後の平均厚さは、前記のように0.5mm以下で十分となる。
本発明における未加硫のクッションゴム層としては、共加硫後のクッションゴム層の平均厚さが0.1〜0.5mmの場合は、予め、ロールによるシート出し、薄膜押出成型等により任意の厚さのシート状に加工した未加硫のクッションゴムを配設することが好ましいが、共加硫後のクッションゴム層の平均厚さが0.1mm以下の場合は、ゴムセメントを接着面に塗布して形成されることが望ましい。
上記ゴムセメントとしては、未加硫のゴム組成物、例えば、クッションゴム組成物を溶媒に溶解させたゴム溶液を用いることが、初期接着力の向上や低粘度化が可能である点から好ましい。
当該クッションゴム組成物としては、通常のゴム組成物に用いられるゴム成分、各種加硫促進成分、架橋成分以外に、必要に応じて、補強充填材としてのカーボンブラック、軟化剤(オイル)、老化防止剤、硫黄などの架橋剤等の通常ゴム工業で使用される薬品類等を適宜配合することができる。なお、ゴム成分としては、天然ゴム(NR)又は合成ゴムを単独又はこれらをブレンドして使用することができる。合成ゴムとしては、例えば、合成ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、ハロゲン化ブチル等が挙げられる。特にクッションゴム組成物を溶媒に溶解させたゴムセメントが好ましい。
ゴムセメントの塗布方法としては、所望の層厚で均一に未加硫クッションゴム層が形成できれば特に制限はなく、例えば刷毛塗り、フローコーターによる塗布、スプレー塗布など種々の塗布方法が挙げられる。所望の加硫後のクッションゴム層を平均厚さを得るためには、ゴムセメントの濃度(質量%){ゴム組成物質量部/(ゴム組成物質量部+溶媒質量部)×100}を制御する方法と複数回数塗布する方法とがある。ゴムセメントの濃度が高過ぎると均一に塗布しにくくなり、ゴムセメントの濃度が低過ぎると複数回数塗布する必要が生じる場合がある。上記の塗布方法を用いる場合、加硫後のクッションゴム層を平均厚さが0.1mmを超える厚さにしようとすると、何度も塗布を繰り返す等の工程が必要となる場合がある。この観点からも、加硫後のクッションゴム層の平均厚さが0.1mm以下の場合には、ゴムセメントの塗布方法を用いることが好ましい。
なお、上記ゴムセメントの塗布は、通常プレキュアタイヤケーシングの接着面に対して行われることが好ましいが、プレキュアトレッドの接着面に行ってもよく、両者に行ってもよい。
次いで、前記プレキュアトレッドをプレキュアタイヤケーシングのトレッド部に貼付け、図1に示すように、プレキュアトレッド2の裏面6をプレキュアタイヤケーシング12の貼付け面8にクッションゴム層10を介して密着させ、プレキュアトレッド2が接着されたプレキュアタイヤケーシング12(トレッド貼付タイヤケーシング)を得る。
(d)<トレッド貼付タイヤケーシングを加熱して、プレキュアトレッドをプレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に共加硫接着させる工程>
次いで、前記トレッド貼付タイヤケーシングを、図示していない加硫装置に搬入して、未加硫クッションゴムを加硫しタイヤとする。このとき、前記プレキュアトレッドはプレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に共加硫接着される。この際には、生産性と共に予め加硫されているプレキュアタイヤケーシングが過加硫にならないように配慮する必要がありプレキュアとレッドとプレキュアタイヤケーシングの間に置かれるクッシヨンゴムには比較的低温かつ短時間加硫でも高耐破壊特性のゴムが要求される。
加硫条件としては、60〜140℃程度、1〜10時間で行うことが好ましい。
本発明の製造方法で得られるタイヤは、トレッドとトレッド部を含まないタイヤケーシングとを別々に加硫した後、上述のように両者の間に加硫速度の速い未加硫ゴムを挟んで再び加硫し、これらを共加硫接着させる方法により得られるものであるが、これによりトレッドとタイヤケーシングとを一体成形して加硫した場合に比べ、タイヤ内部及び表面近傍でのゴム物性が均一化される。また、トレッドとタイヤケーシングとの接着面の表面粗さを極力小さくしたことによって、クッションゴム層を薄層化できるものとなる。
以上、本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、その発明の目的から逸脱しない範囲内において、任意の変更、改変を行うことができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、諸特性は下記の方法に従って測定した。
(1)表面粗さ
プレキュアタイヤケーシングのクラウン部表面(接着面)、プレキュアトレッドの接着面又は加硫ゴム部材表面層について、後述する方法で研磨した後、JIS B 0601:2001に準拠して、算術平均高さRaを算出し、これを表面粗さとした。
(2)クッションゴム層の平均厚さ
共加硫後のクッションゴム層の平均厚さは、加硫後のタイヤをタイヤ半径方向に切断し、断面(図1に示す断面)におけるクッションゴム層の厚さをタイヤ幅方向センター中心1cmm以内でタイヤ周方向の異なる任意の10点を測定し、それらの平均値として求めた。
(3)剥離抗力
共加硫接着後のプレキュアタイヤケーシングのクラウン部とクッションゴム層間の剥離抗力(接着力)を剥離試験により測定した。剥離試験の試験条件は、下記の通りである。・試験サンプル:作製した新品タイヤのプレキュアトレッド・クッションゴム層・ケーシングに渡る1インチ角のサンプルを切り出す。
・試験機及び試験方法; 上記サンプルをJISK6256−1に基づいて剥離抗力を測定した。これらについて、実施例1の剥離抗力を指数100として指数表示した。指数が大きいほど剥離抗力が大きいことを示す。
剥離抗力指数=(供試サンプルの剥離抗力/実施例1の剥離抗力)×100
<実施例1〜7、比較例1>
タイヤサイズを11R22.5で共通にし、トレッドパターンを予め型付けするように加硫成形したプレキュアトレッドと、これとは別に加硫成形したプレキュアタイヤケーシングを各々用意した。次いで、比較例1を除いて、これら両者の接着面を不織布製研磨材:住友スリーエム株式会社製の「スコッチブライト」により研磨し、研磨後の接着面の表面粗さ及び発生ゴム屑量を測定した。
次に、接着用のクッションゴム用配合処方の未加硫ゴム組成物を、濃度が約50質量%となるようにゴム揮発油に溶解させ、ゴムセメントを調製した。このゴムセメントの粘度は0.1Pa・sであった。
実施例1、2、5及び比較例1において、上記ゴムセメントを、前記接着面となるクラウン部表面を研磨した(比較例1は研磨なしの)プレキュアタイヤケーシングの接着面に刷毛によりほぼ均一に塗布した。実施例2においては、2度塗りした。なおこのとき、目視により、未加硫クッションゴム層の形成への上記ゴムセメント塗布の適用可否を判断した。実施例3、4、6及び7において、予めロールによるシート出しを用い任意の厚さのシート状に加工した未加硫クッションゴムをプレキュアタイヤケーシングの接着面に配設し、未加硫のクッションゴム層を設けた。実施例1〜7及び比較例1の共加硫後のクッションゴム層の厚さを第3表に記載したように調整した。
続いて、各プレキュアトレッドを各プレキュアタイヤケーシングに貼り付け、その後、加硫装置により120℃で2時間加硫を行い、プレキュアトレッド及びプレキュアタイヤケーシングが接着された各タイヤを得た。
なお、上記タイヤとして使用したクッションゴム及びトレッドゴムとタイヤケーシング表層(トレッドゴム側表層)の配合処方を第1表及び第2表に示す。なお、第1表の加硫速度(t0.9)は、JIS K 6300−2:2001に準拠しディスク加硫試験機法により測定し、破断応力は、JIS K 6251:2010に準拠し切断時引張応力を測定した。
Figure 2014177071
[注]
*1.カーボンブラックHAF−LS:商品名「シースト300」、東海カーボン(株)製
*2.老化防止剤 Nフェニル−N’-(1,3−ジメチル)−p−フェニレンジアミン: 商品名「ノクラック6C」、大内新興(株)製,
*3.粘着付与剤:p−t-ブチルフェノールアセチレン樹脂:商品名「コレシン」、BASF社製
*4.DPG:1,3−ジフェニルグアニジン、商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業(株)製
*5.加硫促進剤TDTD:テトラ(n−ドデシル)チウラムジスルフィド
*6.加硫促進剤TOTD:テトラ(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド
*7:配合原材料に関する数値はいずれも質量部で記載した。
Figure 2014177071
[注]
*11.スチレンブタジエンゴム:商品名「SBR 1500」、JSR(株)製
*12.カーボンブラックN220:商品名「旭#80」、旭カーボン(株)製
*13.老化防止剤:商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業(株)社製
*14.加硫促進剤 DPG:1,3−ジフェニルグアニジン、商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業(株)製
*15.加硫促進剤 DM:ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、商品名「ノクセラーDM」、大内新興化学工業(株)製
*16.加硫促進剤NS:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、商品名「ノクセラーNS−F]、大内新興化学工業(株)製
得られた上記8種のタイヤ(タイヤサイズ11R22.5)を用い、前記の方法に従い、剥離抗力を評価した。評価結果を第3表に示す。
Figure 2014177071
第3表に示す結果から明らかなように、実施例の接着面表面を研磨した実施例1〜7のタイヤでは、表層の削り取りを行わなかった比較例1のタイヤと比較して、大きな剥離抗力を得ることができた。
さらに、その接着面表面の表面粗さを特定の範囲としたプレキュアタイヤケーシングにプレキュアトレッドを貼付してなる実施例1〜4のタイヤでは、表面粗さRaの低い実施例5のタイヤと比較してより大きな剥離抗力を得ることができた。また、実施例1〜4のタイヤは、実施例6及び7のタイヤと比較して、ゴム屑の発生量を大幅に低減することができた。特に、実施例1及び2のタイヤでは、クッションゴム層をゴムセメント塗布により行うことができるため、省資源性、作業性にもさらに優れた製造方法を実現することができた。
本発明のタイヤの製造方法は、未加硫トレッドと未加硫タイヤケーシングを別々に加硫する分割製法のタイヤにおいて、プレキュア部材同士の接着性及びその剥離抗力に優れたタイヤを生産性よく製造することができるので、各種タイヤ、特に、トラック・バス用空気入りタイヤの分割製法による製造に好適に用いられる。
2:プレキュアトレッド
4:表面
6:裏面
8:貼付け面
10:クッションゴム層
12:プレキュアタイヤケーシング
20:未加硫トレッド
20a:未加硫トレッドの表面
20b:未加硫トレッドの裏面
20c:未加硫トレッドの溝
21:下金型
22:成型凹み
23:下金型の主骨
25:上金型
26:加硫金型
27:キャビティ

Claims (5)

  1. プレキュアトレッドとプレキュアタイヤケーシングのクラウン部とを接着するタイヤの製造方法であって、
    (a)未加硫トレッド及び未加硫タイヤケーシングを各々成形・加硫して、プレキュアトレッド及びプレキュアタイヤケーシングを作製する工程と、
    (b)該プレキュアトレッドの接着面の表層ゴム及び該プレキュアタイヤケーシングのクラウン部の接着面の表層ゴムを削り取る工程と、
    (c)該接着面に未加硫のクッションゴム層を介して、該プレキュアトレッドを該プレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に貼付してトレッド貼付タイヤケーシングを作製する工程と、
    (d)該トレッド貼付タイヤケーシングを加熱して、該プレキュアトレッドをプレキュアタイヤケーシングのクラウン部外周に共加硫接着させる工程と、
    を有するタイヤの製造方法。
  2. 前記プレキュアタイヤケーシングのクラウン部の前記クッションゴム層との接着面の(b)工程後の表面粗さが、ラジアル方向に切断した断面における輪郭曲線の算術平均高さRa(JIS B 0601:2001に準拠して測定する。)で0.003mm以上0.1mm以下である請求項1に記載のタイヤの製造方法。
  3. 前記プレキュアトレッドの前記クッションゴム層との接着面の(b)工程後の表面粗さが、ラジアル方向に切断した断面における輪郭曲線の算術平均高さRa(JIS B 0601:2001に準拠して測定する。)で0.003mm以上0.1mm以下である請求項1又は2に記載のタイヤの製造方法。
  4. 前記算術平均高さRaが、0.003mm以上0.08mm以下である請求項2又は3に記載のタイヤの製造方法。
  5. 前記プレキュアトレッド及び前記プレキュアタイヤケーシングのクラウン部の表層ゴムを、不織布製研磨具を用いて削り取ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤの製造方法。
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CN115096736A (zh) * 2022-08-25 2022-09-23 广东粤港澳大湾区黄埔材料研究院 一种民用航空轮胎胎面磨耗性能的测试方法及其应用

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CN115096736B (zh) * 2022-08-25 2022-11-29 广东粤港澳大湾区黄埔材料研究院 一种民用航空轮胎胎面磨耗性能的测试方法及其应用

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