WO2014147981A1

WO2014147981A1 - 空気入りタイヤの製造方法及びプレキュアトレッドの製造方法、空気入りタイヤ及びトレッド

Info

Publication number: WO2014147981A1
Application number: PCT/JP2014/001192
Authority: WO
Inventors: 誠一郎川合; 溝田　康男; 喜多　真一
Original assignee: 株式会社ブリヂストン
Priority date: 2013-03-21
Filing date: 2014-03-04
Publication date: 2014-09-25

Abstract

　摩耗インジケータ部材が配置されたプレキュアトレッドを形成する、摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド形成工程を備えることを特徴とするプレキュアトレッドの製造方法及び空気入りタイヤの製造方法、並びに、該製造方法により製造されたトレッド及び空気入りタイヤ。

Description

空気入りタイヤの製造方法及びプレキュアトレッドの製造方法、空気入りタイヤ及びトレッド

　本発明は、特に、タイヤに傷を与えることなくトレッド内に摩耗インジケータ部材を配置することができる、プレキュアトレッドの製造方法及び空気入りタイヤの製造方法、並びに、該製造方法により製造されたトレッド及び空気入りタイヤに関する。

　タイヤは摩耗により初期の性能を失ってしまうため、摩耗が進んだときには、ユーザーはタイヤを交換する必要がある。ユーザーがタイヤの摩耗の度合いを視認できるようにするため、トレッドに摩耗インジケータが設けられた空気入りタイヤが知られている。従来の方法では、加硫済タイヤに穴を空けることによって、摩耗インジケータを配置するための穴部を形成し、その後に摩耗インジケータを配置して、トレッドに摩耗インジケータが設けられた空気入りタイヤを製造している（特許文献１参照）。

特開２００９－００６９８０号公報

　しかしながら、従来の製造方法では、タイヤに穴部を形成させる際に生じた傷が核となって、タイヤに亀裂が生じる可能性が高い。そのため、従来の製造方法では、タイヤの耐久性を低下させる虞があった。

　そこで、本発明は、ユーザーがタイヤの交換時期を容易に検知することを可能にし、且つ、耐久性の低下が抑制された、空気入りタイヤを製造することを目的とする。

　本発明の要旨は以下の通りである。
　本発明のプレキュアトレッドの製造方法は、摩耗インジケータ部材が配置されたプレキュアトレッドを形成する、摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド形成工程を備えることを特徴とする。

　ここで、本発明のプレキュアトレッドの製造方法では、前記摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド形成工程は、未加硫トレッドゴムを、タイヤ踏面に相当する面である外面と、台タイヤに対する貼付面に相当する面である内面とを有する帯状の未加硫トレッドに押出成形する、トレッド押出工程と、前記未加硫トレッドを加硫することによって、プレキュアトレッドを形成する、トレッド加硫工程、ここで、前記トレッド加硫工程は、前記未加硫トレッドの前記内面に開口し、前記未加硫トレッド内に終端する穴部を、前記未加硫トレッドに形成する、穴部形成工程を含む、と、前記未加硫トレッドゴムとは異なる材料からなる摩耗インジケータ部材を、前記穴部に配置する、インジケータ配置工程とを備えることが好ましい。

　またここで、本発明のプレキュアトレッドの製造方法では、前記摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド形成工程は、未加硫トレッドゴムを、タイヤ踏面に相当する面である外面と、台タイヤに対する貼付面に相当する面である内面とを有する帯状の未加硫トレッドに押出成形する、トレッド押出工程と、前記未加硫トレッドに、前記未加硫トレッドゴムの色とは異なる色を有する材料からなる摩耗インジケータ部材を配置することによって、インジケータ配置未加硫トレッドを作製する、インジケータ配置工程と、前記インジケータ配置未加硫トレッドを加硫することによって、インジケータ配置プレキュアトレッドを形成する、トレッド加硫工程とを備えることが好ましい。

　更に、本発明のプレキュアトレッドの製造方法では、加硫済みの前記摩耗インジケータ部材の硬度は、加硫済みのトレッドゴムの硬度以下であることが好ましい。
　更に、本発明のプレキュアトレッドの製造方法では、前記摩耗インジケータ部材は、ゴム材料からなることが好ましい。

　本発明のプレキュアトレッドは、タイヤ踏面に相当する面である外面と、台タイヤに対する貼付面に相当する面である内面とを有する帯状のトレッドと、前記トレッドの厚さ方向に延在する摩耗インジケータ部材と、を備え、前記摩耗インジケータ部材が、該摩耗インジケータ部材の一端を構成し、前記トレッドの内部に位置する第１部分と、該摩耗インジケータ部材の他端を構成し、前記内面の外側に突出して位置する第２部分と、を有し、少なくとも前記第２部分の色が、前記トレッドの色と異なることを特徴とする。

　ここで、前記第２部分が、前記他端に向かって先細りとなる形状を有することが好ましい。前記第１部分が、前記一端に向かって先細りとなる形状を有することが好ましい。

　本発明のプレキュアトレッドは、上記いずれかのプレキュアトレッドの製造方法により製造されたことを特徴とする。

　本発明の空気入りタイヤは、上記いずれかのプレキュアトレッドの製造方法を含む空気入りタイヤの製造方法により製造されたことを特徴とする。

　本発明の空気入りタイヤの製造方法、及び本発明のトレッドの製造方法によれば、タイヤに傷を与えることなく、トレッド内に摩耗インジケータを配置することができる。
　本発明の空気入りタイヤ、及び本発明のトレッドによれば、ユーザーがタイヤの交換時期を容易に検知することを可能にする、空気入りタイヤを提供することができ、且つ、耐久性の低下が抑制された空気入りタイヤを提供することができる。

本発明の実施形態の空気入りタイヤの製造方法及びプレキュアトレッドの製造方法の概略について示す図である。本発明の一例の空気入りタイヤの製造方法及びプレキュアトレッドの製造方法について示す図である。本発明の別の例の空気入りタイヤの製造方法及びプレキュアトレッドの製造方法について示す図である。（ａ）は、本発明の更なる例の空気入りタイヤの製造方法及びプレキュアトレッドの製造方法において用いられる摩耗インジケータ部材を側面図にて示す図であり、（ｂ）は、（ａ）に示す摩耗インジケータ部材を上面図にて示す図である。本発明の更なる例のプレキュアトレッドの製造方法により製造される本発明の更なる例のプレキュアトレッドをその延在方向に垂直な方向の断面にて示す図である。本発明の更なる例のプレキュアトレッドの製造方法におけるタイヤ成形工程及びタイヤ加硫工程について示す図である。

　以下、図面を参照して、本発明の実施形態の空気入りタイヤ製造方法及び本発明の実施形態のプレキュアトレッドの製造方法について概略を説明する。本発明の実施形態の空気入りタイヤの製造方法は、本発明の実施形態のプレキュアトレッドの製造方法を含む。

　図１に、本発明の実施形態の空気入りタイヤの製造方法、及び本発明の実施形態のプレキュアトレッドの製造方法の概略図を示す。
　本発明の実施形態の空気入りタイヤの製造方法は、まず、未加硫トレッド２を押出成形し（トレッド押出工程、図１参照）、次いで、摩耗インジケータ部材４が配置されたプレキュアトレッド（摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド５）を形成し（摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド形成工程、図１参照）、そして、該摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド５を用いて生タイヤ６を成形し（タイヤ成形工程、図１参照）、更に、該生タイヤ６を加硫することによって、加硫済タイヤ７を形成する（タイヤ加硫工程、図１参照）。

　このように、本発明の実施形態の空気入りタイヤの製造方法及び本発明の実施形態のプレキュアトレッドの製造方法は、摩耗インジケータ部材４が配置されたプレキュアトレッドを形成する、摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド形成工程を備えることを特徴とする。

　従来の空気入りタイヤの製造方法の一例では、加硫済タイヤにタイヤの接地面側から穴を空けることによって、摩耗インジケータ部材を配置するための穴部を形成させているため、穴部がタイヤの接地面に開口する。ここで、生タイヤを加硫する前に摩耗インジケータ部材を予め設ける、本発明の空気入りタイヤの製造方法及び本発明のプレキュアトレッドの製造方法によれば、従来の空気入りタイヤの製造方法と比較して、加硫済タイヤに亀裂が生じる可能性が低い。本発明の空気入りタイヤの製造方法及び本発明のプレキュアトレッドの製造方法によれば、タイヤに傷を与えることなくトレッド内に摩耗インジケータ部材を配置することができる。そのため、本発明の空気入りタイヤ及び本発明のプレキュアトレッドによれば、ユーザーがタイヤの摩耗の度合いを視認することを可能にする空気入りタイヤの耐久性の低下を抑制することができる。
　従来の空気入りタイヤの製造方法の別の例は、未加硫のトレッドゴム中に摩耗インジケータ部材を配置することによって、生タイヤを成形し、その後に生タイヤを加硫している。本発明の空気入りタイヤの製造方法及び本発明のプレキュアトレッドの製造方法によれば、生タイヤを加硫した際に、トレッドが加硫済みであるために、摩耗インジケータ部材のトレッド内における位置にずれが生じにくい一方、従来の空気入りタイヤの製造方法では、生タイヤを加硫した際に、タイヤ全体が未加硫であることによりゴム流れが生じるために、摩耗インジケータ部材のトレッド内における位置にずれが生じやすい。従って、本発明の空気入りタイヤの製造方法及び本発明のプレキュアトレッドの製造方法によれば、摩耗インジケータ部材のトレッド内における位置決めを高い精度で行うことができる。これにより、本発明の空気入りタイヤ及び本発明のプレキュアトレッドの製造方法によれば、ユーザーはタイヤの摩耗の度合いを高い精度で視認することができ、タイヤの交換時期を正確に定めることが可能となる。

　ここで、トレッド表面が摩耗した空気入りタイヤを更生（リトレッド）する際には、摩耗したトレッドゴムを研削手段により除去することによって台タイヤを作製して、該台タイヤの外周面に新しいトレッドを形成することが必要になる。このとき、上記の通り、摩耗インジケータ部材のトレッド内における位置決めが高い精度でなされるため行うことができるため、台タイヤを作製する際に、摩耗インジケータ部材の完全な除去をトレッドゴムの除去の完了の基準とすることができる。そのため、本発明の空気入りタイヤ及び本発明のプレキュアトレッドによれば、トレッド表面が摩耗した空気入りタイヤの更生（リトレッド）を容易に行うことができる。

　以下、本発明の一例の空気入りタイヤ製造方法及び本発明の一例のプレキュアトレッドの製造方法についてより詳細に説明する。本発明の一例の空気入りタイヤの製造方法は、本発明の一例のプレキュアトレッドの製造方法を含む。
　図２に、本発明の一例の空気入りタイヤの製造方法、及び本発明の一例のプレキュアトレッドの製造方法の概略図を示す。

　本発明の一例の空気入りタイヤの製造方法は、摩耗インジケータ部材を配置するための穴部を形成させた加硫済みのプレキュアトレッドを準備し、その後穴部に摩耗インジケータ部材を配置することによって作製した、摩耗インジケータ部材が配置されたプレキュアトレッドを用いることによって、生タイヤを成形することを特徴とする。

　本発明の一例のプレキュアトレッドの製造方法では、まず、未加硫トレッドゴム１を用いて、タイヤのトレッドに用いる未加硫トレッド２を押出成形する（トレッド押出工程、図２参照）。未加硫トレッド２は、帯状の部材であり、トレッドに用いた際に、タイヤ踏面となる面である外面２ａと、台タイヤに対する貼付面に相当する面である内面２ｂとを有している。
　この工程では、まず、ゴム成分及び各種の配合剤等のゴム組成物原料を混合し、例えば、均一なゴム組成物となるように混練り機を用いて混練りすることによって、未加硫トレッドゴム１用のゴム組成物を準備する。次いで、準備したゴム組成物を、例えば、押出機に入れ、このゴム組成物を押し出して、帯状の未加硫トレッド２を成形する。

　なお、「台タイヤ」とは、ビード、サイドウォール、トレッド、カーカス、ベルト等を用いて成形される生タイヤからトレッドを除いたものを指す。

　次いで、この一例の製造方法では、未加硫トレッド２を加硫することによって、プレキュアトレッド３を形成する（トレッド加硫工程、図１参照）。

　この工程では、まず、金型１０を用いて、未加硫トレッド２の内面２ｂに開口し、未加硫トレッド２内に終端する穴部２ｅを、未加硫トレッド２に形成する（穴部形成工程、図１参照）。

　ここで、金型１０は、未加硫トレッド２の外面２ａを形成する、踏面成形部１１と、未加硫トレッド２の内面２ｂを形成する、背面成形部１２とを有する。踏面成形部１１は、トレッドの踏面に溝２ｃを形成する溝形成部１１ａと、トレッドの踏面に陸部２ｄを形成する陸部形成部１１ｂとを有する。そして、背面成形部１２は、未加硫トレッド２に穴部２ｅを形成するための穴部形成部１２ａを有する。図１に示すように、背面形成部１２に設けられる穴部形成部１２ａの位置は、踏面成形部１１における陸部形成部１１ｂの位置に対応する位置とする。
　上記金型１０を用いることによって、未加硫トレッド２のタイヤ踏面側となる面である外面２ａに、溝２ｃ、２ｃによって区画される陸部２ｄを設け、台タイヤ側となる面である内面２ｂに、特に、内面２ｂ上におけるタイヤ踏面側の陸部２ｄに対応する領域に、摩耗インジケータ部材４を配置するための穴部２ｅを設けることができる。

　穴部２ｅは、外面２ａから内面２ｂに向かう方向、すなわち、未加硫トレッド２を下記のトレッド加硫工程において加硫することによって得られるプレキュアトレッド３の厚さ方向、に垂直な面における断面積が、タイヤ踏面側から台タイヤ側に向かって大きくなるように形成されることが好ましい。

　上記構成とすれば、プレキュアトレッド３の厚さ方向のある点における摩耗インジケータ部材４の厚さ方向に垂直な面における断面積が、その点よりもタイヤ踏面側にある点における穴部２ｅの厚さ方向に垂直な面における断面積と比較して、小さい。そのため、摩耗インジケータ部材４が、穴部２ｅを、台タイヤ側からタイヤ踏面側に向かって脱落（落下）する虞が低減する。そのため、上記構成によれば、摩耗インジケータ部材が脱落しにくい、摩耗インジケータ部材を備える空気入りタイヤを製造することができる。

　穴部２ｅは、厚さ方向に垂直な面による断面における形状が、円形、楕円形、その他丸みを帯びた形状であることが好ましく、特に円形であることが好ましい。上記形状とすれば、トレッドゴムと穴部に配置される摩耗インジケータ部材４との間に亀裂が生じにくくすることができる。

　上記より、穴部２ｅの形状を、例えば、裁頭円錐状、裁頭半球状とすることができる。

　次いで、トレッド加硫工程では、穴部形成工程において用いた金型１０を用いて、例えば、金型１０で成形した未加硫トレッド２を加熱および加圧することによって、未加硫トレッドを加硫して、プレキュアトレッド３を形成する。

　続いて、この一例の空気入りタイヤの製造方法では、未加硫トレッドゴム１とは異なる材料からなる摩耗インジケータ部材４を、上記本発明の一例のプレキュアトレッドの製造方法により製造したプレキュアトレッド３に設けられた穴部２ｅに配置する（インジケータ配置工程、図２参照）。

　摩耗インジケータ部材４の形状は、穴部２ｅに適合する形状であることが好ましい。すなわち、摩耗インジケータ部材４を穴部２ｅに配置したときに、穴部２ｅが隙間なく埋まることが好ましい。
　摩耗インジケータ部材４の形状は、上記の穴部２ｅの形状に合わせて、例えば、裁頭円錐状、裁頭半球状とすることができる。また、摩耗インジケータ部材４は、配置時に、プレキュアトレッドの台タイヤ側の面３ｂに沿って位置する止め具を備えることもできる。

　なお、プレキュアトレッド３の外面３ａ及び内面３ｂは、それぞれ、未加硫トレッド２の外面２ａ及び内面２ｂに対応する面を指す。

　加硫済みの摩耗インジケータ部材４の硬度を、加硫済みのトレッドゴムの硬度よりも大きくすると、摩耗インジケータ部材４とプレキュアトレッド３のトレッドゴムとの境界部分が、トレッドの亀裂を生む核になる虞がある。加硫済みの摩耗インジケータ部材４の硬度を、加硫済みのトレッドゴムの硬度以下とすれば、その虞が少ない。そのため、上記構成とすれば、耐久性の高い空気入りタイヤを製造することができる。

　摩耗インジケータ部材４の色は、タイヤの地色とは異なる色、例えば、黄色であることが好ましい。また、摩耗インジケータ部材４は、光沢を有することが好ましい。上記のようにすれば、ユーザーがタイヤの摩耗の度合いを容易に視認することができる。
　また、摩耗インジケータ部材４が、周囲のトレッドゴムの物性に起因して変色することを防ぐために、摩耗インジケータ部材４を被覆して、周囲のトレッドゴムと接触しないようにすることもできる。

　摩耗インジケータ部材４は、未加硫の生ゴムや樹脂を、インジェクションマシン等を用いて、穴部２ｅに充填することによって、穴部２ｅに配置することができる。また、上記未加硫材料を、押出機等を用いて、穴部２ｅに適合する形状に予め成型し、この成型した未加硫材料を穴部２ｅに挿入することによって、穴部２ｅに配置することもできる。
　この場合、生ゴムや樹脂は、後述のタイヤ加硫工程においてプレキュアトレッド３のトレッドゴムと加硫時の温度で反応して、摩耗インジケータ部材４とプレキュアトレッド３との接着性を高めることができる。

　更に、摩耗インジケータ部材４は、穴部２ｅに適合する形状を有する、言い換えれば、穴部２ｅに嵌合するような、加硫済みのゴム部材又は樹脂部材を、穴部２ｅに挿入することによって、穴部２ｅに配置することもできる。
　この方法によれば、後述のタイヤ加硫工程前後における摩耗インジケータ部材４とプレキュアトレッド３との位置関係の変動が相対的に小さくなるため、摩耗インジケータ部材４のトレッド内における位置決めをより高い精度で行うことができる。

　上記の通り、本発明の一例のプレキュアトレッドの製造方法により、本発明の一例のトレッドであるプレキュアトレッド３を製造することができる。

　続いて、この一例の空気入りタイヤの製造方法では、プレキュアトレッド３の内面３ｂを台タイヤ１３に接着させることによって、生タイヤ６を成形する（タイヤ成形工程、図２参照）。

　この工程では、拡縮可能な円筒状の成形ドラムや剛体コア等からなる被成形体に取り付けた台タイヤ１３に、摩耗インジケータ部材を配置したプレキュアトレッド５がタイヤのクラウン部に位置するように、プレキュアトレッド５を巻き付けて、未加硫の生タイヤ６を作製する。

　最後に、この一例の製造方法では、生タイヤ６を加硫することによって、加硫済タイヤ７を形成する（タイヤ加硫工程）。この工程では、生タイヤ６を、加硫缶１４に入れて、所定圧力及び所定温度を与えることによって、加硫済タイヤ７を形成する。

　上記の通り、本発明の一例の空気入りタイヤの製造方法により、本発明の一例の空気入りタイヤである加硫済タイヤ７を製造することができる。

　本発明の一例の空気入りタイヤの製造方法により製造された、本発明の一例の空気入りタイヤによれば、耐久性の低下が抑制された空気入りタイヤを提供することができる。また、ユーザーがタイヤの交換時期を正確に定めることを可能にする、空気入りタイヤを提供することができる。更に、トレッド表面が摩耗した空気入りタイヤの更生（リトレッド）を容易に行うことができる。
　本発明の一例のプレキュアトレッドの製造方法により製造された、本発明の一例のプレキュアトレッドによれば、上記本発明の一例の空気入りタイヤを提供することができる。

　以下、本発明の別の例の空気入りタイヤ製造方法、及び本発明の別の例のプレキュアトレッドの製造方法についてより詳細に説明する。本発明の別の例の空気入りタイヤの製造方法は、本発明の別の例のプレキュアトレッドの製造方法を含む。
　図３に、本発明の別の例の空気入りタイヤの製造方法、及び本発明の別の例のプレキュアトレッドの製造方法の概略図を示す。以下、図２に示す本発明の一例の空気入りタイヤの製造方法、及び本発明の一例のプレキュアトレッドの製造方法における要素と同様の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　本発明の別の例の空気入りタイヤの製造方法及び本発明の別の例のプレキュアトレッドの製造方法は、未加硫トレッドに摩耗インジケータ部材を配置することによって、摩耗インジケータ部材を配置した未加硫トレッド（インジケータ配置未加硫トレッド）を準備し、その後、インジケータ配置未加硫トレッドを加硫することによって、摩耗インジケータ部材が配置されたプレキュアトレッド（インジケータ配置プレキュアトレッド）を作製することを特徴とする。

　前述の本発明の一例の空気入りタイヤの製造方法及び本発明の一例のプレキュアトレッドの製造方法では、帯状のトレッドに穴部を設けながら加硫して、穴部を有するプレキュアトレッドを作製した後に、該プレキュアトレッドに形成した穴部に摩耗インジケータ部材を配置する。これらの製造方法では、摩耗インジケータ部材の周囲のトレッドゴムが加硫済みであるため、摩耗インジケータ部材と加硫済みのトレッドゴムとの間に隙間が生じる等の要因により、摩耗インジケータ部材とトレッドゴムとの接着性が十分でない虞があると考えられる。
　本発明の別の例の空気入りタイヤの製造方法によれば、未加硫状態にある未加硫トレッドに摩耗インジケータ部材を配置して、その後この未加硫トレッドを加硫するため、加硫前に、未加硫状態にあるトレッドゴムのゴム流れにより、トレッドゴムが摩耗インジケータ部材の周囲に密着して、摩耗インジケータ部材とトレッドゴムとの間に隙間が生じにくくなる。このように、摩耗インジケータ部材とトレッドゴムとの接着性を高めることができる。そのため、例えば、車両走行中にトレッドにおいて生じる歪みにより、接着部位を核としてクラックが発生する虞を低減することができ、摩耗インジケータ部材が配置された空気入りタイヤの耐久性を向上させることができる。

　本発明の別の例のプレキュアトレッドの製造方法では、まず、未加硫トレッドゴム１を用いて、タイヤのトレッドに用いる未加硫トレッド２を押出成形する（トレッド押出工程、図３参照）。
　この工程の概要は、前述の本発明の一例のプレキュアトレッドの製造方法におけるトレッド押出工程と同様である。図２に示す一例の製造方法における要素と同様の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　特に、この別の例の製造方法におけるトレッド押出工程では、押出機２０の口金２１の内面の断面形状を台形としており、ここで、台形の長辺には長辺側から短辺側に向かって凸となる部分が設けられている。これにより、口金２１から押し出された帯状の未加硫トレッド２の内面２ｂの少なくとも摩耗インジケータ部材４を配置する位置を含む部分に、凹部８が形成される（図３参照）。

　次いで、この別の例の製造方法では、未加硫トレッド２に、摩耗インジケータ部材４を配置することによって、インジケータ配置未加硫トレッド９を作製する（インジケータ配置工程、図１参照）。ここで、摩耗インジケータ部材４は、未加硫トレッドゴム１の色とは異なる色を有する材料からなる。
　特に、この別の例の製造方法では、摩耗インジケータ部材４として加硫済みのゴムを用いている。

　この工程では、まず、未加硫トレッド２の内面２ｂに形成された凹部８に、摩耗インジケータ部材４の他端４ｂが凹部８に適合するように、摩耗インジケータ部材４を配置し、そして、摩耗インジケータ部材４を、内面２ｂから外面２ａに向かって、未加硫トレッド２に挿入する。

　特に、この別の例の製造方法では、未加硫トレッド２に凹部８を形成し、この凹部８に摩耗インジケータ部材４を配置しているため、インジケータ配置工程において、未加硫トレッドゴム１上で複数の摩耗インジケータ部材４を、整列させながら配置しやすくなる。そのため、摩耗インジケータ部材４のトレッド内における位置決めの精度を向上させることができる。

　なお、図３に示す、本発明の別の例の空気入りタイヤの製造方法では、未加硫トレッド２に、摩耗インジケータ部材４を配置するための凹部８が形成されるが、本発明の空気入りタイヤの製造方法では、これに限定されることなく、凹部８が形成されていなくてもよい。

　続いて、この別の例の製造方法では、インジケータ配置未加硫トレッド９を加硫することによって、インジケータ配置プレキュアトレッド５を形成する（トレッド加硫工程、図３参照）。
　この工程の概要は、前述の本発明の一例のプレキュアトレッドの製造方法におけるトレッド加硫工程と同様である。図２に示す一例の製造方法における要素と同様の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　特に、この別の例の製造方法では、金型の踏面成形部１１と背面成形部１２とによりインジケータ配置未加硫トレッド９を挟み込む際に、摩耗インジケータ部材４の一端４ａを背面形成部１２により押圧し、摩耗インジケータ部材４を一端４ａ側から他端４ｂ側に押し込むことによって、摩耗インジケータ部材４を未加硫トレッド２に挿入することができる。
　また、図３に示す摩耗インジケータ部材４は加硫済みの部材であるため、押し込み時に摩耗インジケータ部材４に変形が生じにくい。

　次いで、トレッド加硫工程では、例えば、インジケータ配置未加硫トレッド９を加熱および加圧することによって、インジケータ配置未加硫トレッド９を加硫して、インジケータ配置プレキュアトレッド５を形成する。
　なお、この別の例の製造方法において未加硫トレッド２に形成される凹部８の大部分は、トレッド加硫工程において金型に挟まれる際に失われる。そのため、インジケータ配置プレキュアトレッド５の内面３ｂがほぼ平板状となり、インジケータ配置プレキュアトレッド５の台タイヤ６（後述）に対する接着が容易になる。

　上記の通り、本発明の別の例のプレキュアトレッドの製造方法により、本発明の別の例のトレッドであるインジケータ配置プレキュアトレッド５を製造することができる。

　更に、この別の例の空気入りタイヤの製造方法では、インジケータ配置プレキュアトレッド５の内面３ｂを台タイヤ１３に接着させることによって、生タイヤ６を成形する（タイヤ成形工程、図３参照）。

　この工程では、まず、拡縮可能な円筒状の成形ドラムや剛体コア等からなる被成形体に取り付けた台タイヤ１３に、インジケータ配置プレキュアトレッド５がタイヤのクラウン部に位置するように、インジケータ配置プレキュアトレッド５を巻き付けて、未加硫の生タイヤ６を作製する。

　最後に、この別の例の製造方法では、生タイヤ６を加硫することによって、加硫済タイヤ７を形成する（タイヤ加硫工程、図３参照）。この工程では、生タイヤ６を、加硫缶１４に入れて、所定圧力及び所定温度を与えることによって、加硫済タイヤ７を形成する。

　上記の通り、本発明の別の例の空気入りタイヤの製造方法により、本発明の別の例の空気入りタイヤである加硫済タイヤ７を製造することができる。

　本発明の別の例の空気入りタイヤの製造方法、及び本発明の別の例のプレキュアトレッドの製造方法によれば、タイヤに傷を与えることなくトレッド内に摩耗インジケータ部材を配置することができる。これにより、ユーザーがタイヤの交換時期を容易に検知することを可能にし、且つ、耐久性の低下が抑制された空気入りタイヤを提供することができる。また、本発明の別の例の空気入りタイヤの製造方法、及び本発明の別の例のプレキュアトレッドの製造方法によれば、摩耗インジケータ部材とトレッドゴムとの接着性を高めることができる。これにより、摩耗インジケータ部材が配置された空気入りタイヤの耐久性を向上させることができる。
　本発明の別の例の空気入りタイヤ、及び本発明の別の例のトレッドによれば、ユーザーがタイヤの交換時期を容易に検知することを可能にし、且つ、耐久性を向上させた空気入りタイヤを提供することができる。また、本発明の別の例の空気入りタイヤ、及び本発明の別の例のトレッドによれば、摩耗インジケータ部材が配置された空気入りタイヤの耐久性を向上させることができる。

　なお、図３に示す本発明の別の例のプレキュアトレッドの製造方法では、摩耗インジケータ部材４は、加硫済みの部材であるが、本発明のプレキュアトレッドの製造方法では、摩耗インジケータ部材４は、未加硫の部材とすることもできる。
　摩耗インジケータ部材４として未加硫の部材を用いた場合、インジケータ配置工程において、摩耗インジケータ部材４を、インジェクションマシン等を用いて未加硫トレッド２に挿入することによって、未加硫トレッド２に摩耗インジケータ部材４を配置することができる。インジェクションマシンを用いれば、未加硫の部材である摩耗インジケータ部材４が挿入時に変形することを防ぐことができる。
　ここで、未加硫の部材である摩耗インジケータ部材４は、例えば、押出機等を用いて未加硫ゴムを押し出して棒状部材とし、その後、この棒状部材を一定長さに切断することによって、作製することができる。

　またなお、図３に示す本発明の別の例のプレキュアトレッドの製造方法では、摩耗インジケータ部材４を未加硫トレッド２の内面２ｂから外面２ａに向かって挿入しているが、本発明のプレキュアトレッドの製造方法では、これに限定されることなく、摩耗インジケータ部材４を未加硫トレッド２の外面２ａから内面２ｂに向かって挿入してもよい。また、別の例のプレキュアトレッドの製造方法では、摩耗インジケータ部材４の一端４ａが未加硫トレッド２の内面２ｂに現れるように、摩耗インジケータ部材４が配置されるが、本発明のプレキュアトレッドの製造方法では、これに限定されることなく、摩耗インジケータ部材４の一端４ａが未加硫トレッド２の内部に留まるように、摩耗インジケータ部材４が埋設されていてもよい。

　更になお、別の例のプレキュアトレッドの製造方法では、摩耗インジケータ部材４は、未加硫トレッドゴム１の色とは異なる色を有する材料からなるが、本発明のプレキュアトレッドの製造方法では、摩耗インジケータ部材４の全部が上記材料からなることに限定されず、摩耗インジケータ部材４の一部が上記材料からなっていればよい。

　以下、本発明の別の例の空気入りタイヤの製造方法及び本発明の別の例のプレキュアトレッドの製造方法において用いられる構成要素の詳細を記載する。

　未加硫トレッドゴム１に用いられるゴム成分としては、例えば、天然ゴム（ＮＲ）やジエン系合成ゴム等が挙げられる。

　摩耗インジケータ部材４の素材としては、例えば、ゴムや樹脂等が挙げられる。
　特に、摩耗インジケータ部材４は、ゴム材料からなることが好ましい。この構成とすれば、摩耗インジケータ部材４の材料もトレッドの材料もゴムとすることができるため、トレッドゴムと摩耗インジケータ部材４との接着性を更に高めることができる。
　更に特に、摩耗インジケータ部材４は、加硫済みのゴムからなることが好ましい。インジケータ配置工程において、未加硫トレッド２に摩耗インジケータ部材４を配置する際、トレッドゴム及び摩耗インジケータ部材４の両方にゴム流れが生じるため、摩耗インジケータ部材４のトレッド内における位置決めの精度が低下する虞がある。摩耗インジケータ部材４が加硫済みのゴムからなるようにすれば、全体的なゴム流れを低減することができ、上記位置決めの精度を向上させることができる。
　更に特に、摩耗インジケータ部材４の材料の色としては、例えば、黄色、赤色等が挙げられる。

　インジケータ配置プレキュアトレッド５において、加硫済みの摩耗インジケータ部材４の硬度は、加硫済みのトレッドゴムの硬度以下とすることが好ましい。摩耗インジケータ部材４の硬度を、加硫済みのトレッドゴムの硬度よりも大きくすると、トレッドゴムと摩耗インジケータ部材４との境界部分が、トレッドの亀裂を生む核になる虞がある。上記構成とすれば、トレッドの亀裂の虞を低減することができ、耐久性の高い空気入りタイヤを製造することができる。
　なお、「硬度」とはＪＩＳ　Ａ硬度を指し、ここで、「ＪＩＳ　Ａ硬度」とは、ＪＩＳ　Ｋ６２５３に規定される、タイプＡデュロメータを用いたデュロメータ硬さ試験により得られるデュロメータ硬さを指す。

　摩耗インジケータ部材４は、その一端４ａから他端４ｂに向かう方向に垂直な面における断面積が、一端４ａから他端４ｂに向かって小さくなるような形状であることが好ましい。そして、この摩耗インジケータ部材４は、その一端４ａから他端４ｂに向かう方向が、内面２ｂから外面２ａに向かう方向となるように、未加硫トレッド２に配置されることが好ましい。
　摩耗インジケータ部材４の形状を上記のようにすれば、インジケータ配置プレキュアトレッド５の厚さ方向に関して外面側における摩耗インジケータ部材４の上記断面積が、同じく内面側における摩耗インジケータ部材４の上記断面積と比較して、小さくなる。そのため、配置された摩耗インジケータ部材４が、台タイヤに対する貼付面に相当する面である内面２ｂの側からタイヤ踏面に相当する面である外面２ａの側に向かって移動しにくくなり、摩耗インジケータ部材４のトレッド内における位置決めの精度を向上させることができる。

　摩耗インジケータ部材４は、その一端４ａから他端４ｂに向かう方向に垂直な面による断面における形状が、円形、楕円形、その他丸みを帯びた形状であることが好ましく、特に、円形であることが好ましい。摩耗インジケータ部材４の形状は、例えば、裁頭円錐状、裁頭半球状とすることができる。上記形状とすれば、トレッドゴムと摩耗インジケータ部材３との間に亀裂が生じることを防ぐことができる。

　なお、図３に示す摩耗インジケータ部材４は、その一端４ａに、配置時にプレキュアトレッド５の内面３ｂに沿って位置する止め具２３を備えている。止め具２３により、配置された摩耗インジケータ部材４が、内面３ｂ側から外面３ａ側に向かって移動しにくくなり、摩耗インジケータ部材４のトレッド内における位置決めの精度を向上させることができる。しかしながら、本発明のプレキュアトレッドの製造方法において用いられる摩耗インジケータ部材４は、これに限定されることなく、その一端４ａに止め具２３を有していなくてもよい。

　図４（ａ）、（ｂ）に、摩耗インジケータ部材４の形状として特に好適なものを示す。
　特に好適な形状を有する摩耗インジケータ部材４（以下では、特に、「摩耗インジケータ部材４０」という）は、第１部分４１と第２部分４２と第３部分４３とを有し、ここで、第３部分４３は、第１部分４１と第２部分４２との間に位置し、摩耗インジケータ部材４の延在方向及びそれに直交する方向に沿った寸法が第１部分４１と比較して大きい。

　以下、本発明の更なる例の空気入りタイヤの製造方法及び本発明の更なる例のプレキュアトレッドの製造方法についてより詳細に説明する。本発明の更なる例の空気入りタイヤの製造方法は、本発明の更なる例のプレキュアトレッドの製造方法を含む。以下、図２に示す一例の製造方法及び／又は図３に示す別の例の製造方法における要素と同様の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
　また、本発明の更なる例のプレキュアトレッドの製造方法により製造された、本発明の更なる例のプレキュアトレッド、及び本発明の更なる例の空気入りタイヤの製造方法により製造された、本発明の更なる例の空気入りタイヤについてもより詳細に説明する。
　この例は、摩耗インジケータ部材４として、特に、図４に示す形状を有する摩耗インジケータ部材４０を用いた場合である。図４（ａ）に、本発明の更なる例の空気入りタイヤの製造方法及びプレキュアトレッドの製造方法において用いられる摩耗インジケータ部材の側面図を示し、図４（ｂ）に、（ａ）に示す摩耗インジケータ部材の上面図を示す。

　初めに、本発明の更なる例のプレキュアトレッド、及び本発明の更なる例の空気入りタイヤについて記載する。

　図５に、本発明の更なる例のプレキュアトレッドの製造方法により製造された、本発明の更なる例のプレキュアトレッドの厚さ方向の断面図を示す。
　この摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド５は、プレキュアトレッド３と摩耗インジケータ部材４０とを備える。
　摩耗インジケータ部材４０は、主に、リトレッドタイヤを製造する際に、クッションゴム（後述）のバフのレベルを示すインジケータとして機能する。また、該摩耗インジケータ部材４０は、以下で詳細に説明する更なる構成を備えることによって、空気入りタイヤのトレッドの摩耗レベルを示す摩耗インジケータとしても機能し得る。

　また、摩耗インジケータ部材４０は、図５に示す通り、トレッドの厚さ方向に延在している。ここで、摩耗インジケータ部材４０の第１部分４１は、摩耗インジケータ部材４０の他端４０ｂを構成し、トレッドの内部に位置し、第２部分４２は、摩耗インジケータ部材４０の一端４０ａを構成する。第２部分４２は、プレキュアトレッドの内面３ｂの外側に突出して位置し、また、第３部分４３は、トレッドの内部に位置する。
　更なる例のプレキュアトレッド５では、摩耗インジケータ部材４０の少なくとも第２部分４２の色が、トレッドゴムの色と異なっていることが必要である。このように、摩耗インジケータ部材４０は、トレッドゴムとは異なる色を有している。

　このとき、プレキュアトレッド５が、摩耗インジケータ部材４０の他端４０ｂを構成し、トレッドの内部に位置する第１部分４１と、該摩耗インジケータ部材４０の一端４０ａを構成し、内面３ｂの外側に突出して位置する第２部分４２とを有し、少なくとも第２部分４２の色が、トレッドの色と異なっていることによって、リトレッドタイヤを製造する際に、適正なバフのレベルを容易に検知することが可能である。

　リトレッドの際には、プレキュアトレッド５と、プレキュアトレッド５と台タイヤ１３との間に配置されたクッションゴム５０（後述、図６参照）とを、バフにより除去する。ここで、例えば、プレキュアトレッド５の内面３ｂから摩耗インジケータ部材４０の第２部分４２の一端４２ａまでの距離Ｈを、バフにより除去する必要のあるクッションゴム５０の厚さと同じにする。そして、トレッドゴムとクッションゴム５０とをバフする際には、トレッドゴムとは色が異なるインジケータが視認できなくなった時点をバフの終点とすれば、クッションゴム５０を適正なレベルまでバフすることができ、バフが不十分でリトレッドタイヤのタイヤ性能に悪影響を及ぼしたり、過剰にバフを行なって台タイヤ１３を損傷させたりすることがない。また、このような方法でバフのレベルを検知することができれば、タイヤの表面の一部から台タイヤ１３の補強部材まで穴を開けてバフのレベルを確認する必要がないので、製造効率の低下を防止すると共に、タイヤを損傷することがない。

　また、摩耗インジケータ部材４０は、第２部分４２に加え、第１部分４１の色も、トレッドの色と異なっていてよい。
　タイヤが摩耗すると、タイヤと路面との間の水を除去できず、タイヤがスリップするおそれがある。このため、タイヤと路面との間の水の除去のために、タイヤ踏面において、十分な深さの溝を確保することが必要である。特に、使用限度は、残り溝深さ１．６ｍｍ以上と法律で定められており、残り溝深さ１．６ｍｍの目安として、トレッド面には「スリップサイン」が設けられていた。しかしながら、スリップサインは一見しただけではわかりづらいという欠点がある。
　本発明の更なる例のプレキュアトレッド５は、上述のような構成の摩耗インジケータ部材４０を含み、該摩耗インジケータ部材４０の第１部分４１の色がトレッドの色と異なることによって、空気入りタイヤのトレッド踏面が摩耗し、摩耗インジケータ部材４０の第１部分４１が露出した場合に、タイヤの交換時期を容易に検知することが可能である。

　例えば、プレキュアトレッド５の内面３ｂから摩耗インジケータ部材４０の第１部分４１の他端４１ｂまでの距離を、タイヤが安全に走行するのに必要なトレッドの厚さと同じに設定することもできる。タイヤはトレッド踏面から摩耗していくところ、タイヤが摩耗して、トレッドゴムとは色の異なる摩耗インジケータ部材４０が視認された時点をタイヤ交換時期とすれば、ユーザーが摩耗しすぎたタイヤの使用を継続することを防止することができる。また、上述したような構成を有する摩耗インジケータ部材４０は、タイヤの交換時期の検知を容易にする。

　図４（ａ）、（ｂ）に示す摩耗インジケータ部材４０において、第１部分４１の寸法は、例えば、トレッドの長手方向及び幅方向において１～２０ｍｍ、トレッドの厚さ方向において２～５ｍｍである。また、第２部分４２の寸法は、トレッドの長手方向、幅方向及び厚さ方向において、第１部分４１の寸法よりも小さく、例えば、トレッドの厚さ方向において、０．５ｍｍ以上２ｍｍ未満である。
　そして、図４（ａ）、（ｂ）に示す例では、第１部分４１及び第３部分４３が円柱状であり、第２部分が裁頭円錐状である。

　また、この例では、摩耗インジケータ部材４０の第２部分４２は、図４（ａ）、（ｂ）に示すように、一端４２ａに向かって先細りとなる形状を有している。空気入りタイヤの製造において、未加硫クッションゴムが未加硫トレッド２の内面２ｂに貼り付けられて加硫に供されるところ、第２部分４２がその一端４２ａに向かって先細り形状となっていることによって、未加硫クッションゴム４９（図６参照）の加硫時のゴム流れが妨げられることがなく、所期通りの形状を有するリトレッドタイヤを得ることができる。第２部分４２が先細り形状となっていない場合、例えば、第２部分４２が円柱状の場合には、未加硫クッションゴムがスムーズに流れず、摩耗インジケータ部材４０周辺を隙間なく埋めることができないため、空隙が発生する場合があり、その場合は、トレッド剥離の原因になるおそれがある。また、未加硫クッションゴムの流動が悪いと、トレッド側が凸状に形成される可能性があり、結果として、偏摩耗を発生させるおそれがある。

　図４に示す摩耗インジケータ部材４０の第２部分４２の断面形状は台形であるが、該断面形状は、例えば、三角形であってもよい。また、第２部分４２の水平方向の断面形状は、円形であっても、多角形であってもよいが、製造効率や未加硫クッションゴムのゴム流れの観点から、円形であることが好ましい。そして、例えば、第２部分４２の一端４２ａを含む面の形状は、φ０．１ｍｍの円形である。

　また、図示しないが、摩耗インジケータ部材４０は、第２部分４２を複数備えていてもよい。例えば、摩耗インジケータ部材４０は、その延在方向に延びる、摩耗インジケータ部材４０の中心線の周囲に等間隔で円形状に配列された３つ以上の第２部分４２を備えていてもよい。

　更に、摩耗インジケータ部材４０が上記のような第３部分４３を更に備えることによって、車両の走行中に、トレッド踏面が摩耗し、インジケータが露出した場合であっても、第３部分の存在によって、摩耗インジケータ部材４０が脱落することが防止される。
　ここで、図示しないが、摩耗インジケータ部材４０は、第３部分４３を備える代わりに、他端４１ｂに向かって先細りとなる形状の第１部分４１を有していてもよい。第１部分４１が一端４１ａに向かって先細りとなっていることによって、上記第３部分４３を備える場合と同様に、トレッド踏面が摩耗した場合であっても摩耗インジケータ部材４０がトレッドから脱落することを抑制することができる。

　そして、図５に示す更なる例のプレキュアトレッド５では、内面３ｂから摩耗インジケータ部材４０の一端４２ａまでの、トレッドゴムの厚さ方向に沿う距離Ｈが、２ｍｍ未満であることが好ましい。通常、プレキュアトレッドを台タイヤ１３に貼り付けるのに使用される未加硫クッションゴムの厚さは２ｍｍ程度である。従って、プレキュアトレッドの内面２ｂから、摩耗インジケータ部材４０の一端４２ａまでの、トレッドの厚さ方向に沿う距離を２ｍｍ未満とすることによって、リトレッド時、過剰にクッションゴム５０（図６参照）がバフされることを防ぎ、過剰なバフによって台タイヤ１３が損傷するのを防止することができる。

　摩耗インジケータ部材４０の素材としては、例えば、樹脂及びゴムが使用されるが、好ましくはゴムが使用される。摩耗インジケータ部材４０の素材としてゴムを使用した場合には、周囲のクッションゴムや、トレッドゴムとの接着性が向上する。一方、摩耗インジケータ部材４０の素材として樹脂を使用する場合、周囲のゴムと十分に接着されず、クッションゴムのバフ時に摩耗インジケータ部材４０がトレッドゴムから外れる虞がある。

　摩耗インジケータ部材４０の製造方法は、特に制限されないが、例えば、第１部分４１、第２部分４２及び第３部分４３は、金型を使用して一体的に成型され、その後、加硫することにより摩耗インジケータ部材４０が得られる。

（空気入りタイヤ）
　本発明の更なる例の空気入りタイヤの製造方法により製造された、本発明の更なる例の空気入りタイヤは、図６に示すように、前述のプレキュアトレッド５と、台タイヤ１３と、プレキュアトレッド５と台タイヤ１３との間に配置されたクッションゴム５０とを含む、加硫済みのタイヤである。なお、ここで、「空気入りタイヤ」には、新品タイヤとリトレッドタイヤの両方が含まれるものとする。

　加硫済タイヤ７においては、プレキュアトレッド５の内面３ｂから摩耗インジケータ部材４０の第２部分４２の一端４２ａまでの距離Ｈが、クッションゴム５０の厚さの０．５倍以上１．０倍未満の範囲内であることが好ましい。クッションゴム５０のタイヤ径方向寸法に対する摩耗インジケータ部材４０の第２部分４２の寸法を上記範囲内とすることにより、トレッドの貼り替えに際して台タイヤ１３をバフする時、摩耗インジケータ部材４０の存否により、クッションゴム５０の適正なバフのレベルを検知することができる。すなわち、周囲のトレッドゴムと色が異なる摩耗インジケータ部材４０の第２部分４２が残存している場合には、バフを継続し、摩耗インジケータ部材４０の第２部分４２が視認されなくなったときにバフを終了することにより、クッションゴム５０を過剰に削って台タイヤ１３を損傷させることを防止すると共に、反対にバフが不十分となってタイヤ性能を低下させることを防止することができる。また、加硫済タイヤ７において、上記距離Ｈは、クッションゴム５０のタイヤ径方向寸法の０．５倍以上０．８倍以下であることがより好ましい。

　本発明の更なる例のプレキュアトレッド５は、例えば、図２に示す本発明の一例のプレキュアトレッドの製造方法に従って製造してもよく、また、図３に示す本発明の別の例のプレキュアトレッドの製造方法に従って製造してもよい。

　初めに、未加硫トレッド２の加硫後に、得られたプレキュアトレッド３に摩耗インジケータ部材４０を設置するプレキュアトレッドの製造方法について図２、６を参照しながら説明する。

　まず、未加硫トレッドゴム１を押出成形し、帯状の未加硫トレッド２を作製する（トレッド押出成形工程）。図２では、未加硫トレッドゴム１は、タイヤ踏面となる面である外面２ａと、台タイヤに対する貼付面に相当する面である内面２ｂとを有している。
　この工程で使用される未加硫ゴムは、当該分野で通常使用される材料及び方法を用いて調製される。例えば、未加硫ゴムの成分としては、天然ゴム（ＮＲ）及びジエン系合成ゴムが使用される。また、未加硫ゴムは例えば、押出機により押し出され、帯状の未加硫トレッド２へと成形される。

　次いで、未加硫トレッド２に、内面２ｂに開口し、且つ、未加硫トレッド２内で終端する穴部２ｅを形成する（穴部形成工程）。そして、未加硫トレッド２を加硫して、外面２ａと内面２ｂとを有するプレキュアトレッド３を得る（トレッド加硫工程）。この場合、例えば、図２に示すように、穴部形成部１２ａを有する金型１０を用いて、未加硫トレッド２に穴部２ｅを形成し、その後、高温、加圧下で加硫を行なう。ここで、金型１０は、未加硫トレッド２の外面２ａを形成する踏面成形部１１と、未加硫トレッド２の内面２ｂを形成する背面成形部１２とを有する。そして、踏面形成部１１は、未加硫トレッド２の外面２ａに溝２ｃを形成する溝形成部１１ａと、陸部２ｄを形成する陸部形成部１１ｂとを有する。そして、背面成形部１２は、未加硫トレッド２に、穴部２ｅを形成するための穴部形成部１２ａを有する。この例では、図２に示すように、背面成形部１２に設けられた穴部形成部１２ａの位置は、踏面形成部１１における陸部形成部１１ｂの位置に対応している。すなわち、穴部形成工程とトレッド加硫工程とは、当該分野で認識されている一般的なトレッドの加硫プロセスと同様のプロセスで一度に行われ、使用される金型１０が、穴部２ｅ形成用の穴部形成部１２ａを備えている点で、一般的な加硫プロセスとは異なる。
　ここで、穴部形成工程は、図２に示すようにトレッド加硫工程の前に行われてもよいが、トレッド加硫工程の後に行われてもよい。この場合、例えば、未加硫トレッド２を加硫してプレキュアトレッド３を得た後に、例えば、トレッドゴムをくり抜くことによって穴部２ｅを形成することができる。なお、未加硫トレッド２の加硫で使用される金型１０は、穴部形成部１２ａを備えていない。

　ここで、穴部２ｅは、摩耗インジケータ部材４０の形状に合わせて形成されることが好ましい。
　穴部２ｅは、厚さ方向に垂直な面における断面形状が、円形、楕円形等であることが好ましく、中でも円形であることがより好ましい。このような形状とすれば、未加硫トレッド２と、穴部２ｅ内に配置される摩耗インジケータ部材４０との間に亀裂を生じにくくすることができる。すなわち、穴部２ｅの好ましい全体形状は、裁頭円錐状、裁頭半球状である。

　次いで、穴部２ｅに、少なくとも一部がトレッドゴム２と異なる色を有する摩耗インジケータ部材４０を配置する（インジケータ配置工程）。ここで配置される摩耗インジケータ部材４０は、例えば、少なくとも第２部分４２がトレッドゴムと異なる色を有する。

　摩耗インジケータ部材４０の第２部分４２は、断面形状が、図４に示すような台形であっても、三角形であってもよいが、台形であることがより望ましい。以下で説明するタイヤ成形工程において、摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド５を台タイヤ１３に貼り付ける際に、通常、トレッドの内面３ｂをバフして、未加硫クッションゴムによって接着させやすくすることが行なわれているが、第２部分４２の断面形状が三角形の場合、摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド５の内面３ｂのバフ時に、他端４２ｂとなる三角形の先端部分が削れる可能性が高いためである。
　ここで、摩耗インジケータ部材４０の硬度は、加硫後のトレッドゴムの硬度以下であることが好ましい。摩耗インジケータ部材４０の硬度を、加硫後のトレッドゴムの硬度よりも大きくすると、トレッドゴムと摩耗インジケータ部材４０との境界部分が核となってトレッドに亀裂を生ずる虞があるが、トレッドゴムの硬度以下とすることにより、摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド５に生ずる亀裂を低減することができ、耐久性の高い空気入りタイヤを製造することができるためである。

　このプレキュアトレッドの製造方法によれば、リトレッドを行なってリトレッドタイヤを製造する際に、適正なバフのレベルを容易に検知することを可能にするプレキュアトレッドを提供することができる。そして、当該製造方法によれば、トレッドにおいて、トレッドゴムと摩耗インジケータ部材４０との位置関係の変動を低減することができ、摩耗インジケータ部材４０の位置決めを高い精度で行なうことができる。

　上記製造方法によって作製した摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド５を用いて、空気入りタイヤを製造することができる。
　特に、本発明の更なる例の空気入りタイヤの製造方法では、図２に示す一例の製造方法におけるタイヤ成形工程及びタイヤ加硫工程に代えて、図６に示すタイヤ成形工程及びタイヤ加硫工程を含む。

　図６に示すように、摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド５を、未加硫クッションゴム４９を用いて台タイヤ１３に貼り付け、生タイヤ６を作製する（タイヤ成形工程）。そして、生タイヤ６を加硫缶１４内で加硫して、プレキュアトレッド５と、台タイヤ１３と、プレキュアトレッド５と台タイヤ１３との間に配置されたクッションゴム５０とを含んだ空気入りタイヤ（加硫済タイヤ７）を得る（タイヤ加硫工程）。この工程では、生タイヤ６は、所定圧力及び温度にて加硫される。

　以上のようにして作製された空気入りタイヤにおいて、摩耗インジケータ部材４０の第２部分４２のトレッドの厚さ方向の寸法は、上述したのと同様の理由により、クッションゴム５０のタイヤ径方向寸法の０．５倍以上１．０倍未満であることが好ましく、０．５倍以上０．８倍以下であることがより好ましい。

　次に、加硫前にトレッドゴムに摩耗インジケータ部材４０を設置する、別の例に係るプレキュアトレッドの製造方法について、図３、６を参照しながら以下に説明する。

　まず、未加硫トレッドゴム１を押出成形し、タイヤ踏面となる面である外面２ａと、台タイヤに対する貼付面に相当する面である内面２ｂと、該内面２ｂに開口する凹部８とを有する帯状の未加硫トレッド２を作製する（トレッド押出成形工程）。ここで、凹部８は、当該分野で既知の手法を用いて形成される。凹部８は、各々独立していてもよく、また、図３に示されるようにトレッドの長手方向に連続的に且つ互いに平行に延在する溝状部分として形成されてもよい。ここで、例えば、凹部８の開口は、摩耗インジケータ部材４０の第１部分４１を挿入することができる幅に形成される。また、ここで使用する未加硫ゴムの成分は前述と同様である。

　次いで、凹部８に、第１部分４１と、未加硫トレッド２の長手方向、幅方向及び厚さ方向において、第１部分４１よりも寸法が小さい第２部分４２とを有する摩耗インジケータ部材４０を配置する（インジケータ配置工程）。ここでは、例えば、摩耗インジケータ部材４０の他端４０ｂが、凹部８の底面側、すなわちトレッドの外面２ａ側に、第２部分４２の他端４２ｂが、凹部８の開口、すなわちトレッドの内面２ｂ側から突出するように配置する。

　その後、摩耗インジケータ部材４０を配置した未加硫トレッド２を加硫して、外面２ａ及び内面２ｂを有するトレッドと、トレッドと異なる色を有する第２部分４２を有する摩耗インジケータ部材４０とを含むプレキュアトレッド５を得る（トレッドゴム加硫工程）。この工程では、図３に示すように、踏面形成部１１と背面成形部１２とを有する金型１０を用いる。この金型１０は、穴部形成部１２ａを含まず、背面成形部１２の表面が平坦であること以外は、図３を参照して先に説明した金型１０と同様の構成を有する。この工程では、金型１０の踏面形成部１１と背面成形部１２とにより、摩耗インジケータ部材４０を配置した未加硫トレッド２を挟み込んで押圧し、摩耗インジケータ部材４０を、内面２ｂ側から外面２ａ側へと押し込むことにより、未加硫トレッド２内に挿入することができる。

　ここで、摩耗インジケータ部材４０は、未加硫トレッドゴム１よりも硬度が大きいことが好ましい。摩耗インジケータ部材４０が、未加硫トレッドゴム１よりも大きい硬度を有することにより、押し込み時に摩耗インジケータ部材４０に変形が生じ難い。なお、金型１０の背面成形部１２によって摩耗インジケータ部材４０の第２部分４２はわずかに変形するが、金型１０から取り出すと、その弾性ゆえに、形状が回復する。また、図３に示す例において説明したのと同様の理由により、摩耗インジケータ部材４０の硬度は、加硫後のトレッドゴムの硬度以下であることが好ましい。なお、図３において、未加硫トレッド２の凹部８の大部分は、金型１０によって挟まれ加硫される際に失われる。そのため、摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド５の内面３ｂは、摩耗インジケータ部材４０の第２部分４２を除いてほぼ平板状となる。加硫に際しては、ゴムの流動により凹部８が消滅するように、凹部８の深さを適宜調整することが好ましい。

　そして、摩耗インジケータ部材４０の第２部分４２の寸法が、未加硫トレッド２の長手方向、幅方向及び厚さ方向において、第１部分４１の寸法よりも小さいため、金型１０を用いた加硫時に、摩耗インジケータ部材４０がトレッドゴム内に埋没してしまうことがない。一方、第２部分４２の寸法が、上記各方向において、第１部分４１の寸法よりも大きいと、金型１０の背面形成部１２によって押圧される際に、必要以上に、タイヤ踏面に相当する面である外面２ａ側へと押し込まれ、所望の位置に摩耗インジケータ部材４０を埋設することができない。
　なお、摩耗インジケータ部材４０が先述の第３部分４３を備える場合には、第３部分４３のトレッドの長手方向及び幅方向に沿う寸法が第１部分４１よりも大きいため、摩耗インジケータ部材４０が必要以上に押し込まれることがなく、未加硫トレッド２の所望の位置に摩耗インジケータ部材４０を埋設することが、より容易になる。

　この工程において、摩耗インジケータ部材４０は、第１部分４１と第２部分４２との間に位置し、未加硫トレッド２の長手方向及び幅方向に沿う寸法が第１部分４１よりも大きい第３部分４３を更に有することが好ましい。摩耗インジケータ部材４０がこのような第３部分４３を更に備えることによって、加硫時に金型１０で押圧する際、摩耗インジケータ部材４０がトレッドゴム内に埋没するのをより効果的に防ぐことができる。

　その後、作製されたプレキュアトレッド５を使用して、図６に示す本発明の更なる例の空気入りタイヤの製造方法におけるタイヤ成形工程及びタイヤ加硫工程を経て、空気入りタイヤ（加硫済タイヤ７）を製造することができる。

　図３、６を参照して説明したこのプレキュアトレッドの製造方法によれば、プレキュア方式でリトレッドタイヤを製造する際に、適正なバフのレベルを容易に検知することを可能にするプレキュアトレッドを提供することができる。また、摩耗インジケータ部材４０を配置した後に未加硫トレッド２を加硫することにより、未加硫トレッド２を加硫した後に摩耗インジケータ部材４０を配置する場合と比較して、摩耗インジケータ部材４０とトレッドゴムとの接着性を向上させることができる。

　以上、図面を参照して、本発明の空気入りタイヤの製造方法及び本発明のプレキュアトレッドの製造方法、本発明の空気入りタイヤ及び本発明のプレキュアトレッドの実施形態を説明したが、本発明の空気入りタイヤの製造方法、及び本発明のプレキュアトレッドの製造方法、本発明の空気入りタイヤ及び本発明のプレキュアトレッドは、上記の例に限定されることはなく、上記実施形態には、適宜変更を加えることができる。

　１　未加硫トレッドゴム、２　未加硫トレッド、２ａ　未加硫トレッドの外面、２ｂ　未加硫トレッドの内面、２ｃ　溝、２ｄ　陸部、２ｅ　未加硫トレッドの穴部、３　プレキュアトレッド、３ａ　プレキュアトレッドの外面、３ｂ　プレキュアトレッドの内面、４　摩耗インジケータ部材、４ａ　一端、４ｂ　他端、５　摩耗インジケータを配置したプレキュアトレッド（摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド）、６　生タイヤ、７　加硫済タイヤ、８：凹部、９：インジケータ配置未加硫トレッド、１０　金型、１１　踏面成形部、１１ａ　溝形成部、１１ｂ　陸部形成部、１２　背面成形部、１２ａ　穴部形成部、１３　台タイヤ、１４　加硫缶、２０：押出機、２１：口金、２３：止め具、４０　摩耗インジケータ部材、４０ａ　一端、４０ｂ　他端、４１　第１部分、４１ａ　第１部分の一端、４２　第２部分、４２ｂ　第２部分の他端、４３　第３部分、４９　未加硫クッションゴム、５０　クッションゴム

Claims

　摩耗インジケータ部材が配置されたプレキュアトレッドを形成する、摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド形成工程を備える
ことを特徴とするプレキュアトレッドの製造方法。
　前記摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド形成工程は、
　未加硫トレッドゴムを、タイヤ踏面に相当する面である外面と、台タイヤに対する貼付面に相当する面である内面とを有する帯状の未加硫トレッドに押出成形する、トレッド押出工程と、
　前記未加硫トレッドを加硫することによって、プレキュアトレッドを形成する、トレッド加硫工程、ここで、前記トレッド加硫工程は、前記未加硫トレッドの前記内面に開口し、前記未加硫トレッド内に終端する穴部を、前記未加硫トレッドに形成する、穴部形成工程を含む、と、
　前記未加硫トレッドゴムとは異なる材料からなる摩耗インジケータ部材を、前記穴部に配置する、インジケータ配置工程と
を備える、
請求項１に記載のプレキュアトレッドの製造方法。
　前記摩耗インジケータ配置プレキュアトレッド形成工程は、
　未加硫トレッドゴムを、タイヤ踏面に相当する面である外面と、台タイヤに対する貼付面に相当する面である内面とを有する帯状の未加硫トレッドに押出成形する、トレッド押出工程と、
　前記未加硫トレッドに、前記未加硫トレッドゴムの色とは異なる色を有する材料からなる摩耗インジケータ部材を配置することによって、インジケータ配置未加硫トレッドを作製する、インジケータ配置工程と、
　前記インジケータ配置未加硫トレッドを加硫することによって、インジケータ配置プレキュアトレッドを形成する、トレッド加硫工程と
を備える、
請求項１に記載のプレキュアトレッドの製造方法。
　加硫済みの前記摩耗インジケータ部材の硬度は、加硫済みのトレッドゴムの硬度以下である、
請求項１～３のいずれか１項に記載のプレキュアトレッドの製造方法。
　前記摩耗インジケータ部材は、ゴム材料からなる、
請求項１～４のいずれか１項に記載のプレキュアトレッドの製造方法。
　タイヤ踏面に相当する面である外面と、台タイヤに対する貼付面に相当する面である内面とを有する帯状のトレッドと、前記トレッドの厚さ方向に延在する摩耗インジケータ部材と、を備え、
　前記摩耗インジケータ部材が、該摩耗インジケータ部材の一端を構成し、前記トレッドの内部に位置する第１部分と、該摩耗インジケータ部材の他端を構成し、前記内面の外側に突出して位置する第２部分と、を有し、
　少なくとも前記第２部分の色が、前記トレッドの色と異なる
ことを特徴とする、プレキュアトレッド。
　前記第２部分が、前記他端に向かって先細りとなる形状を有する、
請求項６に記載のプレキュアトレッド。
　前記第１部分が、前記一端に向かって先細りとなる形状を有する、
請求項６又は７に記載のプレキュアトレッド。
　請求項１～５のいずれか１項に記載のプレキュアトレッドの製造方法により製造された
ことを特徴とする、プレキュアトレッド。
　請求項１～５のいずれか１項に記載のプレキュアトレッドの製造方法を含む空気入りタイヤの製造方法により製造された
ことを特徴とする、空気入りタイヤ。