JP5845010B2 - プレキュアトレッドの製造方法、プレキュアトレッドの加硫成型モールド - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤの製造に用いられるプレキュアトレッドの製造方法等に関する。
タイヤの製造方法として、台タイヤのトレッド貼付面(台タイヤの外周面(クラウン部))に、プレキュアトレッド(予め加硫されたトレッドゴム)を貼り付けた状態で加硫する方法が知られている。この方法は、コールド(COLD)方式又はプレキュア方式等の名称で呼ばれ、台タイヤのトレッド貼付面に未加硫のトレッドゴムを載せてモールド加硫するホット(HOT)方式と区別されている。
COLD方式では、台タイヤのトレッド貼付面とプレキュアトレッドの貼付面とを接着するために、まず、未加硫のクッションゴム(接着用ゴム)が台タイヤのトレッド貼付面に設けられ、このクッションゴムの上にプレキュアトレッドの貼付面が貼り付けられた状態で、加硫缶のような加硫成型機を用いて110〜140℃の温度で加熱する方式が一般的である。
この場合、プレキュアトレッドの貼付面が当該プレキュアトレッドの加硫成型時に加硫成型モールドと接触していた面のままではプレキュアトレッドの貼付面の加硫度が高く、プレキュアトレッドの貼付面が硬くて滑らかな面となり、クッションゴムとの接着力が弱くなるので、プレキュアトレッドの貼付面とクッションゴムとの接着力が十分に得られない。そこで、加硫成型時に加硫成型モールドと接触していたプレキュアトレッドの面の表層ゴムをバフ処理等により削り取って貼付面として形成することによって、プレキュアトレッドの貼付面を細かな凹凸を有した粗面にして、プレキュアトレッドの貼付面とクッションゴムとの接着力を確保していた(例えば、特許文献1等参照)。
特開平5−116235号公報
上記従来技術では、加硫成型後に加硫成型モールドと接触していたゴムとの接着を悪化させる要因となるプレキュアトレッドの面の表層ゴムを削り取る削り取り作業を行うことによりプレキュアトレッドの貼付面を形成していたので、削り取り作業及び削り取り作業により削り取ったゴム屑の除去作業等が必要になって作業コストが高くなるばかりでなく、ゴム屑の発生による環境悪化、資源の無駄、産業廃棄物増加等を招いていた。
本発明は、プレキュアトレッドの貼付面を形成するためのモールド接触表層ゴムの削り取り作業を不要とできるプレキュアトレッドの製造方法等を提供する。
本発明に係るプレキュアトレッドの製造方法は、台タイヤのトレッド貼付面に加硫接着される貼付面となる貼付予定面を有した未加硫のトレッドゴムを加硫成型してプレキュアトレッドを製造するプレキュアトレッドの製造方法において、2つの未加硫のトレッドゴムの貼付予定面同士を互いに接触させた状態で加硫成型し、加硫成型された一方のプレキュアトレッドゴムの貼付予定面と他方のプレキュアトレッドゴムの貼付予定面との境界に沿って切断して分割することによって、当該切断面が貼付面として形成されたプレキュアトレッドを製造したことを特徴とするので、プレキュアトレッドの貼付面を形成するためのモールド接触表層ゴムの削り取り作業を不要とでき、かつ、加硫成型によって台タイヤのトレッド貼付面に良好に接着される貼付面を備えたプレキュアトレッドを得ることができる。よって、プレキュアトレッドの貼付面を形成するための削り取り作業に伴う問題を解消できるとともに、貼付面と台タイヤのトレッド貼付面との接着力が十分に確保され、台タイヤに対して剥離抗力の大きいプレキュアトレッドを得ることができる。
本発明に係るプレキュアトレッドの加硫成型モールドは、台タイヤのトレッド貼付面に加硫接着される貼付面となる貼付予定面を有した未加硫のトレッドゴムを加硫成型してプレキュアトレッドを製造するプレキュアトレッドの加硫成型モールドにおいて、2つの未加硫のトレッドゴムの貼付予定面同士を互いに接触させた状態で加硫成型するための加硫成型空間を備えたので、プレキュアトレッドの貼付面を形成するための削り取り作業に伴う問題を解消できるとともに、貼付面と台タイヤのトレッド貼付面との接着力が十分に確保され、台タイヤに対して剥離抗力の大きいプレキュアトレッドを得ることができる。
本発明に係るプレキュアトレッドの加硫成型モールドは、2つの未加硫のトレッドゴムの貼付予定面間に非加硫性の板を挟んだ状態で加硫成型するための加硫成型空間を備えたので、プレキュアトレッドの貼付面を形成するための削り取り作業に伴う問題を解消できるとともに、貼付面と台タイヤのトレッド貼付面との接着力が十分に確保され、台タイヤに対して剥離抗力の大きいプレキュアトレッドを得ることができ、また、加硫成型後、2つのプレキュアトレッドに分割する作業を簡単にできる
プレキュアトレッドの製造方法を説明した図(実施形態1)。 プレキュアトレッドの製造に用いる加硫成型モールドの断面図(実施形態1)。 プレキュアトレッドを用いて製造されたタイヤの断面図(実施形態1)。 プレキュアトレッドの製造方法を説明した図(実施形態2)。
実施形態1
図3に示すように、実施形態1のタイヤ1は、台タイヤ2と、台タイヤ2のトレッド貼付面3にクッションゴム4を介して貼付けられたプレキュアトレッド5とにより構成される。
実施形態1によるプレキュアトレッド5の製造方法を図1;図2に基づいて説明する。実施形態1によるプレキュアトレッド5の製造方法は、以下の工程を備える。
台タイヤ2のトレッド貼付面3にクッションゴム4(図3参照)を介して加硫接着される貼付面6となる貼付予定面7を有した連続する板状の未加硫のトレッドゴム8(図1(a)参照)を押出成形等により成形する第1の工程。
連続する未加硫のトレッドゴム8を台タイヤ2のトレッド貼付面3を構成する台タイヤ2の外周面の外周長さに対応した所望の長さに切断する第2の工程。
所望の長さに切断された2つの未加硫のトレッドゴム8;8の貼付予定面7;7同士を互いに接触させた重ね合わせトレッドゴム10(図1(b)参照)を形成する第3の工程。
重ね合わせトレッドゴム10を加硫成型モールド20(図2参照)により加硫成型することによってトレッドパターンを形成する溝11等が形成された重ね合わせプレキュアトレッドゴム13(図1(c)参照)を成形する第4の工程。
重ね合わせプレキュアトレッドゴム13の一方のプレキュアトレッドゴム13aの貼付予定面8aと他方のプレキュアトレッドゴム13bの貼付予定面8bとの境界に沿ってカッターのような切断手段により貼付予定面8aと貼付予定面8bとの境界を切断することによって、重ね合わせプレキュアトレッドゴム13を2つに分割し、当該切断面を貼付面6;6とした2つのプレキュアトレッド5;5(図1(d)参照)を形成する第5の工程。
即ち、2つの未加硫のトレッドゴム8;8の貼付予定面7;7同士を互いに接触させた状態で加硫成型し、加硫成型された一方のプレキュアトレッドゴム13aの貼付予定面8aと他方のプレキュアトレッドゴム13bの貼付予定面8bとの境界に沿って貼付予定面8aと貼付予定面8bとの境界を切断して分割ことによって、当該切断面が貼付面6;6として形成されたプレキュアトレッド5;5を製造する。
そして、当該プレキュアトレッド5の貼付面6をクッションゴム4を介して台タイヤ2のトレッド貼付面3に貼り付けた状態で加硫缶のような加硫成型機を用いて加硫成型することによって図3に示すようなタイヤ1が製造される。
図2に示すように、2つの未加硫のトレッドゴム8;8の貼付予定面7;7同士を互いに接触させた重ね合わせトレッドゴム10を加硫成型するための加硫成型モールド20は、重ね合わせトレッドゴム10を収納して重ね合わせプレキュアトレッドゴム13を成形するためのキャビティ23(加硫成型空間)を形成する下型21及び上型22を備えたものである。
台タイヤ2は、トレッドを備えないタイヤ形状に形成された加硫済みタイヤ構成部品である。
トレッドを備えないタイヤ形状に形成された加硫済みタイヤ構成部品とは、トレッドを除いた一般的なタイヤの構成を備えた加硫済みタイヤ構成部品のことをいう。
台タイヤ2としては、中古の台タイヤと新品の台タイヤとがある。
中古の台タイヤ2は、トレッドゴムの磨耗した使用済みタイヤのトレッド部分がバフ(切削)加工により除去されてプレキュアトレッド5を貼付けるためのトレッド貼付面3が形成されたことにより、再利用に供されるトレッドを備えないタイヤ形状に形成された加硫済みタイヤ構成部品である。実施形態1では、このような中古の台タイヤ2と上記プレキュアトレッド5とを用い、上述したCOLD方式によってタイヤ1を製造できる。
新品の台タイヤ2は、文字通り、トレッドを備えないタイヤ形状となるように新たに製造されたトレッド貼付面3を備えた新品の加硫済みタイヤ構成部品である。新品の台タイヤ2は、図外の加硫成型金型を用いて製造される。実施形態1では、このような新品の台タイヤ2と上記プレキュアトレッド5とを用い、新品の台タイヤ2とプレキュアトレッド5との間にこれら台タイヤ2とプレキュアトレッド5よりも加硫速度の速いクッションゴム4(未加硫ゴム)を挟んで加硫成型することでタイヤ1を製造できる。当該製造方法は、分割製法と呼ばれている。
台タイヤ2のトレッド貼付面3は、所定幅の円筒周面状に形成され、例えば、タイヤの幅方向の断面中央部がタイヤの幅方向の断面両端部よりも突出するようにタイヤ幅方向に沿って湾曲する形状に形成されている。即ち、台タイヤ2のトレッド貼付面3は、例えば、タイヤ幅方向及びタイヤ周方向に曲率を有する面に形成される。
一般的なタイヤは、ビードワイヤー、ビードフィラー、インナーライナー、カーカス、ベルト、サイドウォール、ショルダー、トレッドなどの各部材を組み合わせて形成された生タイヤ(グリーンタイヤ)を加硫成型機で加硫することにより製造されるのに対し、実施形態によるタイヤ1は、図3に示すように、トレッドを除いた、ビードワイヤー31、ビードフィラー32、インナーライナー33、カーカス34、ベルト35、サイドウォール36、ショルダー37などの各部材を組み合わせて形成された生ゴム状態の生台タイヤを加硫成型機で加硫することにより製造された加硫済みの新品の台タイヤ2、あるいは、上述した一端的なタイヤを構成する各部材を備えた中古タイヤのトレッド部分を除去してトレッド貼付面3を形成した加硫済みの中古の台タイヤ2と、このような台タイヤ2とは別に製造された上記プレキュアトレッド5とが組み合わされて製造される。
プレキュアトレッド5は、上述した一般的なタイヤと比べてトレッドを備えないタイヤ形状に形成された台タイヤ2の周面であるトレッド貼付面3の幅(タイヤ幅)に対応した寸法の幅、及び、台タイヤ2の周面の周方向の長さに対応した寸法の長さを有した帯状に形成される。
実施形態1によれば、一度の加硫成型によって2つのプレキュアトレッド5を得ることができる。即ち、従来のように、一度の加硫成型によって1つのプレキュアトレッドしか得られない方法に比べ、一度の加硫成型によって2倍のプレキュアトレッド5を作製できる。
また、重ね合わせプレキュアトレッドゴム13の一方のトレッドゴム13aの貼付予定面8aと他方のトレッドゴム13bの貼付予定面8bとの境界に沿って切断することによって重ね合わせプレキュアトレッドゴム13を分割し、切断面を貼付面6とした2つのプレキュアトレッド5;5を製造するので、加硫後の切断によって、加硫時に加硫成型モールド20と接触していなかったフレッシュな貼付面6を、削り取り作業を要せずに得ることができる。当該プレキュアトレッド5の貼付面6は、加硫成型モールド20に接触していた面よりも加硫度が低くて柔らかい貼付面となり、かつ、切断されたことによって、加硫成型モールド20に接触していた面よりも粗い面となるため、加硫成型によってクッションゴム4に良好に接着される。
即ち、従来のようなプレキュアトレッドの貼付面を形成するためのモールド接触表層ゴムの削り取り作業に伴う問題を解消できるとともに、貼付面6とクッションゴム4との接着力が十分に確保されるので、プレキュアトレッド5の貼付面6と台タイヤ2のトレッド貼付面3との接着力が十分に確保され、台タイヤ2に対して剥離抗力の大きいプレキュアトレッド5を得ることができる。
実施形態2
実施形態2によるプレキュアトレッド5の製造方法を図4に基づいて説明する。実施形態2によるプレキュアトレッド5の製造方法は、以下の工程を備える。
台タイヤ2のトレッド貼付面3にクッションゴム4を介して加硫接着される貼付面6となる貼付予定面7を有した連続する板状の未加硫のトレッドゴム8(図4(a)参照)を押出成形等により成形する第1の工程。
連続する未加硫のトレッドゴム8を台タイヤ2のトレッド貼付面3を構成する台タイヤ2の外周面の外周長さに対応した所望の長さに切断する第2の工程。
所望の長さに切断された2つの未加硫のトレッドゴム8;8の貼付予定面7;7との間に熱伝導率の低い非加硫性の板14(例えば、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等を含有した板)を挟むように、2つの未加硫のトレッドゴム8;8及びクッションゴムを重ね合わせた重ね合わせトレッドゴム10A(図4(b)参照)を形成する第3の工程。
重ね合わせトレッドゴム10Aを加硫成型モールド20(図2参照)により加硫成型することによってトレッドパターンを形成する溝11等が形成された重ね合わせプレキュアトレッドゴム13A(図4(c)参照)を成形する第4の工程。
重ね合わせプレキュアトレッドゴム13Aの一方のトレッドゴム13aの貼付予定面8aと非加硫性の板14とを剥離させ、他方のトレッドゴム13bの貼付予定面8bと非加硫性の板14とを剥離させることによって2つのプレキュアトレッド5;5(図4(d)参照)を形成する第5の工程。
重ね合わせトレッドゴム10Aを加硫成型するための加硫成型モールドは、図2に示した加硫成型モールド20と同様に、重ね合わせトレッドゴム10Aを収納して重ね合わせプレキュアトレッドゴム13Aを成形するための図外のキャビティ(加硫成型空間)を形成する下型及び上型を備えたものを使用すればよい。
実施形態2によれば、所望の長さに切断された2つの未加硫のトレッドゴム8;8の貼付予定面7;7との間に熱伝導率の低い非加硫性の板14を挟んで加硫成型することによって、プレキュアトレッド5の貼付面6は、加硫成型モールドに接触していた面よりも加硫度が低くて柔らかい貼付面となるため、加硫成型によってクッションゴム4に良好に接着される。
よって、実施形態1と同様に、削り取り作業に伴う問題を解消できるとともに、当該貼付面6とクッションゴム4との接着力が十分に確保されるので、プレキュアトレッド5の貼付面6と台タイヤ2のトレッド貼付面3との接着力が十分に確保され、台タイヤ2に対して剥離抗力の大きいプレキュアトレッド5を得ることができる。
また、加硫成型後、貼付予定面8aと非加硫性の板14とを剥離させるだけなので、切断手段を用いることなく、重ね合わせプレキュアトレッドゴム13Aを2つのプレキュアトレッド5;5に分割できるので、分割作業が簡単となる。
尚、本発明のプレキュアトレッドは、台タイヤ2のトレッド貼付面3にクッションゴム4を介さないで加硫接着される貼付面となる貼付予定面を有したものであってもよく、この場合でも、プレキュアトレッドの貼付面と台タイヤ2のトレッド貼付面3との接着力が確保され、台タイヤ2に対して剥離抗力の大きいプレキュアトレッドを得ることができる。
1 タイヤ、2 台タイヤ、3 トレッド貼付面、4 クッションゴム、
5 プレキュアトレッド、6 貼付面、7 貼付予定面、8 未加硫のトレッドゴム、
13a 一方のプレキュアトレッドゴム、13b 他方のプレキュアトレッドゴム、
14 非加硫性の板、20 加硫成型モールド。

Claims (3)

  1. 台タイヤのトレッド貼付面に加硫接着される貼付面となる貼付予定面を有した未加硫のトレッドゴムを加硫成型してプレキュアトレッドを製造するプレキュアトレッドの製造方法において、
    2つの未加硫のトレッドゴムの貼付予定面同士を互いに接触させた状態で加硫成型し、加硫成型された一方のプレキュアトレッドゴムの貼付予定面と他方のプレキュアトレッドゴムの貼付予定面との境界に沿って切断して分割することによって、当該切断面が貼付面として形成されたプレキュアトレッドを製造したことを特徴とするプレキュアトレッドの製造方法。
  2. 台タイヤのトレッド貼付面に加硫接着される貼付面となる貼付予定面を有した未加硫のトレッドゴムを加硫成型してプレキュアトレッドを製造するプレキュアトレッドの加硫成型モールドにおいて、
    2つの未加硫のトレッドゴムの貼付予定面同士を互いに接触させた状態で加硫成型するための加硫成型空間を備えたことを特徴とするプレキュアトレッドの加硫成型モールド。
  3. 台タイヤのトレッド貼付面に加硫接着される貼付面となる貼付予定面を有した未加硫のトレッドゴムを加硫成型してプレキュアトレッドを製造するプレキュアトレッドの加硫成型モールドにおいて、
    2つの未加硫のトレッドゴムの貼付予定面間に非加硫性の板を挟んだ状態で加硫成型するための加硫成型空間を備えたことを特徴とするプレキュアトレッドの加硫成型モールド。
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