JP2006335031A - 更生タイヤ用金型、更生タイヤの製造方法及び更生タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】未加硫トレッドゴム層のゴムが台タイヤのサイドウォール部側にオーバーフローするのを防止し、それにより外観不良の発生を回避し、生産性を向上することが可能な更生タイヤ用金型、更生タイヤの製造方法、及び更生タイヤを提供する。
【解決手段】台タイヤ100のトレッド部101に未加硫トレッドゴム層102を環状に配置して加硫する際に使用される更生タイヤ用金型1である。台タイヤ100に配置した環状の未加硫トレッドゴム層102の両端部102a,102bに対応する金型内面1Aの部分1Aa,1Abに、加硫中に未加硫トレッドゴム層102のゴムを逃がす逃がし溝9A,9Bが環状に延設されている。逃がし溝9A,9Bは、金型内面1Aに露出する第1溝部10とその第1溝部10の底に形成した第2溝部11から構成され、第2溝部11の溝幅Wsが第1溝部10の溝幅Wfより狭くなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、更生タイヤ用金型、更生タイヤの製造方法及び更生タイヤに関し、更に詳しくは、外観不良の発生を回避し、生産性を改善することができる更生タイヤ用金型、その金型を用いて製造する更生タイヤの製造方法、及びその製造方法による製造された更生タイヤに関する。
例えば、航空機用タイヤは、トレッドゴム層の肉厚を比較的薄くし、離着陸などの高速走行時にトレッド部での発熱を抑えることにより高速耐久性を確保するようにしている。その結果、摩耗寿命が短く、ケーシング耐久性の余裕度が高いことから、更生タイヤとして再利用されている。
通常、更生タイヤを製造する際に、必要とするゴム量より多めに成形した未加硫トレッドゴム層を使用するため、加硫中に未加硫トレッドゴム層のゴムが台タイヤのサイドウォール部側にオーバーフローし、外観不良を招く。そこで、オーバーフローするゴムを逃がす複数の凹凸を内面に形成した金型を使用し、未加硫トレッドゴム層のゴムが台タイヤのサイドウォール部側にオーバーフローするのを防止するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、小型の航空機に使用するタイヤは、タイヤサイズが小さいので、サイドウォール部の表面にトレッド部側までブランドマークなどが形成されており、その結果、オーバーフローするゴムを逃がす凹凸を十分に金型内面に設けるスペースがないため、加硫中に未加硫トレッドゴム層のゴムが台タイヤのサイドウォール部側にオーバーフローし、外観不良が発生する。そこで、外観を良好にするため、バフ加工などによりオーバーフローしたゴムを除去する煩雑な作業が必要になり、生産性が低下するという問題があった。
特開2001−1343号公報
本発明の目的は、未加硫トレッドゴム層のゴムが台タイヤのサイドウォール部側にオーバーフローするのを防止し、それにより外観不良の発生を回避し、生産性を向上することが可能な更生タイヤ用金型、更生タイヤの製造方法、及び更生タイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の更生タイヤ用金型は、台タイヤのトレッド部に未加硫トレッドゴム層を環状に配置して加硫する際に使用される更生タイヤ用金型において、前記台タイヤに配置した環状の未加硫トレッドゴム層の両端部に対応する金型内面の部分に、加硫中に未加硫トレッドゴム層のゴムを逃がす逃がし溝を環状に延設し、該逃がし溝を金型内面に露出する第1溝部と該第1溝部の底に形成した第2溝部から構成し、該第2溝部の溝幅を前記第1溝部の溝幅より狭くしたことを特徴とする。
本発明の更生タイヤの製造方法は、トレッド部に未加硫トレッドゴム層を環状に配置した台タイヤを加硫する際に、上記更生タイヤ用金型内にセットして加硫することを特徴とする。
本発明の更生タイヤは、上記更生タイヤの製造方法により製造してなることを特徴とする。
上述した本発明によれば、台タイヤに配置した環状の未加硫トレッドゴム層の両端部に対応する金型内面の部分に逃がし溝を設けたので、加硫中、未加硫トレッドゴム層の余分なゴムが逃がし溝に流れ込み、台タイヤのサイドウォール部側にオーバーフローするのを抑えることができる。その結果、サイドウォール部に外観不良が発生するのを回避し、サイドウォール部にオーバーフローしたゴムを除去する煩雑な作業を省くことができるので、生産性の向上が可能になる。
また、逃がし溝を設けることにより、製造された更生タイヤには逃がし溝に起因するスピューが発生するが、金型内面に露出する第1溝部とその溝底に形成した溝幅の狭い第2溝部とを有する構成に逃がし溝を形成することで、スピューの処理、即ち第2溝部で形成されるスピューの薄い部分を作業者が切除することによりスピューが目立たなくなり、外観不良となるスピューの処理を容易に行うことができる一方、スピューの薄い部分を作業者が切除する際に、第1溝部で形成されるスピューの厚い部分があるため、サイドウォール部の表面を傷付けるような不具合を招くことがない。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の更生タイヤ用金型を用いて更生タイヤを製造する方法の加硫工程を示し、1は摩耗寿命に達したトレッドゴム層を除去した台タイヤ100のトレッド部101に未加硫トレッドゴム層102を環状に配置して加硫する際に使用される更生タイヤ用金型である。
この更生タイヤ用金型1は、環状の上型2と下型3、周方向に沿って複数(通常8〜12)のセグメント4に分割した環状の側型5、及び上下のビードリング6,7を備えている。8はセグメント4を保持するセグメントホルダーである。
台タイヤ100のトレッド部101に配置した環状の未加硫トレッドゴム層102の両端部102a,102bに対応する金型内面1Aの部分1Aa,1Abには、加硫中に未加硫トレッドゴム層102の余分なゴムを逃がす逃がし溝9A,9Bが環状に延設されている。
逃がし溝9A,9Bは、図2にその詳細を示すように、金型内面1Aに露出する第1溝部10と第1溝部10の底に形成した第2溝部11から構成され、第2溝部11の溝幅を第1溝部10の溝幅より狭くした2段溝構造になっている。
逃がし溝9A,9Bを配置する位置としては、未加硫トレッドゴム層102の両端102x,102yに対応する金型内面1Aの位置X,Yから未加硫トレッドゴム層102の中央部102mに対応する金型内面1Aの部分1Amに向けて内面1Aに沿って測定した際に、第1溝部10の幅方向の中心Oまでの距離Gが5〜20mmとなるようにするのが、加硫中に未加硫トレッドゴム層102の余分なゴムを逃がし溝9A,9Bに効果的に逃がす上でよい。
図示する例では、上型2と複数のセグメント4の合い面2a,4a及び下側3と複数のセグメント4の合い面3a,4bが位置する金型内面1Aの箇所が、上述した範囲K内に位置するため、逃がし溝9A,9Bが、上型2と複数のセグメント4の合い面2a,4a及び下側3と複数のセグメント4の合い面3a,4bが位置する金型内面1Aに配置されている。
逃がし溝9Aの第1溝部10が上型2の内面2xにセグメント4の合い面4aに隣接して形成され、逃がし溝9Aの第2溝部11が合い面2a,4a間に形成されている。逃がし溝9Bの第1溝部10は下型3の内面3xにセグメント4の合い面4bに隣接して形成され、逃がし溝9Bの第2溝部11が合い面3a,4b間に形成されている。
各第1溝部10の溝幅Wf及び溝深さDfとしては、1mm以上にするのが加硫中に未加硫トレッドゴム層102の余分なゴムを逃がし溝9A,9Bに効果的に逃がす上でよい。溝幅Wfの上限値は3mm以下、溝深さDfの上限値は2mm以下にするのが、発熱等に起因する耐久性の点から好ましい。
各第2溝部11の溝幅Wsとしては、0.1mm以上にするのが加硫中に未加硫トレッドゴム層102の余分なゴムを第2溝部11に効果的に逃がす上でよい。溝幅Wsの上限値としては、0.5mm以下にするのがよく、それにより第2溝部11に流れ込んだゴムにより加硫後に形成されるスピューを作業者が手で容易に除去することができる。
各第2溝部11の溝深さDsとしては、10mm以上確保するのが加硫中に未加硫トレッドゴム層102の余分なゴムを逃がし溝9A,9Bに効果的に逃がす上でよい。上限値は、タイヤサイズにより適宜設定でき、例えば、小型航空機用の更生タイヤでは、30mm程度にすることができる。なお、ここで言う溝深さDsとは、第2溝部11に沿って測定した長さである。
上述した更生タイヤ用金型1を用いて更生タイヤT(図3参照)を製造するには、図1に示すように、摩耗寿命に達したトレッドゴム層を除去したトレッド部101に未加硫トレッドゴム層102を環状に配置した台タイヤ100を、不図示のタイヤ加硫機に取り付けた上記更生タイヤ用金型1にセットし、インフレートしたブラダー110により内圧を付与しながら未加硫トレッドゴム層102を加硫する。加硫中、未加硫トレッドゴム層102の余分なゴムが逃がし溝9A,9Bに逃げるので、台タイヤ100のサイドウォール部103側にオーバーフローするのが回避される。
加硫後、更生タイヤTの加硫されたトレッドゴム層102’には、図3に示すように、逃がし溝9A,9Bに流れ込んだゴムによるスピュー104が形成される。スピュー104は、第1溝部10に流れ込んだゴムによる形成された第1スピュー部105と、第2溝部11に流れ込んだゴムによる形成され、第1スピュー部105より厚さが薄い第2スピュー部106とからなる。この薄い第2スピュー部106を作業者が引きちぎって除去することで、製品としての更生タイヤが得られる。
上述した本発明では、更生タイヤ用金型1に逃がし溝9A,9Bを設けたので、加硫中、未加硫トレッドゴム層102の余分なゴムが逃がし溝9A,9Bに流れ込み、台タイヤ100のサイドウォール部103側にオーバーフローするのを防止することができる。そのため、サイドウォール部103における外観不良の発生を回避し、サイドウォール部103のオーバーフローしたゴムを除去する煩雑な作業を不要にすることができるので、生産性を向上することができる。
逃がし溝9A,9Bを設けることにより、更生タイヤTにはスピュー104が発生するが、逃がし溝9A,9Bを、金型内面1Aに露出する第1溝部10とその第1溝部10の底に形成した溝幅の狭い第2溝部11とを有する構成にすることで、スピュー104の処理、即ち薄い第2スピュー部106を作業者が切除することでスピュー104が目立たなくなり、外観不良となるスピュー104の処理を容易に行うことができる。また、第2スピュー部106を作業者が切除する際に、第1スピュー部105があるため、サイドウォール部103の表面を傷付けることがない。
本発明において、第2溝部11は、図4に示すように、第2溝部11の底側の幅を広くする構成であってもよく、第1溝部10に続く第2溝部11の部分11aを少なくとも第1溝部10より上記のように狭くする構成であればよい。
本発明は、航空機用の更生タイヤ、特に小型航空機用の更生タイヤを製造する際に好適に用いることができるが、他の更生タイヤ、例えば、重荷重用の更生タイヤなどを製造する場合にも適用することができる。
逃がし溝を未加硫トレッドゴム層の両端に対応する金型内面の位置から12mm離間した位置に形成し、第1溝部の溝幅Wfを2.0mm、溝深さDfを1.0mm、第2溝部の溝幅Wsを0.2mm、溝深さDsを30mmにした図1に示す更生タイヤ用金型を作製し、該金型を用いてタイヤサイズ27.75×8.75R14.5 24PRの航空機用の更生タイヤを製造した。
製造した更生タイヤの外観を調べたところ、サイドウォール部側にゴムのオーバーフローの発生がなく、サイドウォール部表面の外観は良好であった。
また、更生タイヤに発生したスピューの第2スピュー部をサイドウォール部の表面を傷付けることもなく容易に切除できて、スピューに起因する外観不良を招くこともなかった。
本発明の更生タイヤ用金型を用いて更生タイヤを製造する方法の加硫工程を示す要部断面図である。 図1の部分拡大断面図である。 図1の更生タイヤ用金型を用いて製造した更生タイヤの要部断面図である。 逃がし溝の他の例を示す拡大断面図である。
符号の説明
1 更生タイヤ用金型
1A 金型内面
1Aa,1Ab,1Am 部分
2 上型
2a 合い面
3 下型
3a 合い面
4 セグメント
4a,4b 合い面
5 側型
9A,9B 逃がし溝
10 第1溝部
11 第2溝部
100 台タイヤ
101 トレッド部
102 未加硫トレッドゴム層
102a,102b 端部
102m 中央部
102x,102y 端
103 サイドウォール部
104 スピュー
105 第1スピュー部
106 第2スピュー部
Df,Ds 溝深さ
G 距離
O 第1溝部の幅方向の中心
T 更生タイヤ
Wf,Ws 溝幅
X ,Y 位置

Claims (6)

  1. 台タイヤのトレッド部に未加硫トレッドゴム層を環状に配置して加硫する際に使用される更生タイヤ用金型において、前記台タイヤに配置した環状の未加硫トレッドゴム層の両端部に対応する金型内面の部分に、加硫中に未加硫トレッドゴム層のゴムを逃がす逃がし溝を環状に延設し、該逃がし溝を金型内面に露出する第1溝部と該第1溝部の底に形成した第2溝部から構成し、該第2溝部の溝幅を前記第1溝部の溝幅より狭くした更生タイヤ用金型。
  2. 前記逃がし溝を前記未加硫トレッドゴム層の両端に対応する金型内面の位置から該未加硫トレッドゴム層の中央部に対応する金型内面の部分に向けて、第1溝部の幅方向の中心までの距離が5〜20mmとなるように配置した請求項1に記載の更生タイヤ用金型。
  3. 前記第1溝部の溝幅が1〜3mm、溝深さが1〜2mm、前記第2溝部の溝幅が0.1〜0.5mm、溝深さが10mm以上である請求項1または2に記載の更生タイヤ用金型。
  4. 上型と下型、及び複数のセグメントに分割した環状の側型とを備え、前記逃がし溝を前記上型と前記複数のセグメントの合い面、及び前記下型と前記複数のセグメントの合い面の位置に設けた請求項1,2または3に記載の更生タイヤ用金型。
  5. トレッド部に未加硫トレッドゴム層を環状に配置した台タイヤを加硫する際に、請求項1乃至4に記載の更生タイヤ用金型内にセットして加硫する更生タイヤの製造方法。
  6. 請求項5に記載の更生タイヤの製造方法により製造してなる更生タイヤ。
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JP2014076769A (ja) * 2012-10-11 2014-05-01 Yokohama Rubber Co Ltd:The 更生タイヤ
WO2021166884A1 (ja) * 2020-02-18 2021-08-26 株式会社ブリヂストン 航空機用タイヤ

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