JP3026021B2 - スタッドレスタイヤ - Google Patents

スタッドレスタイヤ

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JP3026021B2
JP3026021B2 JP2-330655A JP33065590A JP3026021B2 JP 3026021 B2 JP3026021 B2 JP 3026021B2 JP 33065590 A JP33065590 A JP 33065590A JP 3026021 B2 JP3026021 B2 JP 3026021B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、一般路(乾燥路、湿潤路)における走行性
能を損なうこのなく氷雪路における摩擦力(制動性、駆
動性)、特に氷上摩擦力を向上させた全天候性能を有す
るスタッドレスタイヤに関する。
〔従来の技術〕
従来、積雪寒冷地において、冬期時に自動車が走行す
る場合には、タイヤにスパイクを打ち込んだスパイクタ
イヤを用いるか又はタイヤの外周にタイヤチャーンを装
着して雪上・氷上路での安全を確保している。しかしな
がら、スパイクタイヤ又はタイヤチェーンを装着したタ
イヤでは、道路の摩耗や損傷が発生し易く、それが粉塵
となって公害を引き起こし、大きな環境問題となる。
このような安全問題と環境問題とを解決するために、
スパイクやチェーンを使用せずに雪上路および氷上路に
おける制動性、駆動性を有したスタッドレスタイヤが現
在急速に普及しつつある。
このスタッドレスタイヤとして、トレッド部に独立気
泡を有する発泡ゴムを用いたものがある。かかる発泡ゴ
ムを用いたタイヤは、例えば、特開昭62−283001号公
報、特開昭63−90402号公報に開示されている。しか
し、これらのタイヤでは、氷雪路における摩擦力は良好
であるが、発泡ゴムの硬度が低いため、独立気泡による
エッジ効果と排水効果とが十分でなく、このため耐摩耗
性や一般路(乾燥路、湿潤路)における走行性能が低下
するという問題点がある。
このような問題点の解決に向けて鋭意検討した結果、
本発明者らは氷雪路におけるゴムの摩擦力の発現につい
て次のような知見を得た。すなわち、氷雪路のゴムの摩
擦力は、ゴムブロックのエッジによる掘り起こした摩擦
力とゴムが氷表面に接触して発生する凝着摩擦力がその
主要因である。したがって、この2つの摩擦力を鞆に最
大限に利用するゴム配合が望ましいが、エッジ効果を上
げるためにはゴムブロックのタイヤ周方向の剛性がある
程度高い方がよく、一方、凝着力を上げるためには氷面
に対して直角方向であるゴムブロックの径方向の剛性が
低い方がよい。
そこで、この問題点を改良するために、特開昭63−89
547号公報に記載されているように、発泡ゴムに短繊維
を加えてトレッド部の硬度を上げて一般路での走行性能
を改善させようとしている。しかしながら、この場合短
繊維が発泡ゴム中にランダムに混入されているため、ト
レッド部のブロック剛性が均一に高まり、タイヤ周方向
のブロック剛性がタイヤ径方向(ラジアル方向)のブロ
ック剛性よりも大きくはならないので、いわゆる凝着効
果(トレッド表面が氷面に着いてその氷表面の表面形状
に追随すること)が生じない。このため、氷上摩擦力が
向上しないという欠点がある。
さらに、スタッドレスタイヤは一般路(乾燥路、湿潤
路)において操縦性能が悪いが、この主要な原因は使用
するポリマーのガラス転移温度(Tg)に関係することが
分かった。すなわち、スタッドレスタイヤ用のトレッド
コンパウンドに使用されるポリマーは低温でもゴム弾性
を失わないことに重点があるため、Tgが低いことが必要
であると考えられている。このために、例えば、天然ゴ
ム(NR)、ポリブタジエンゴム(BR)、低スチレン含量
のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)などがス
タッドレスタイヤのポリマーとして汎用されている。一
方、乾燥路あるいは湿潤路におけるゴムの摩擦力は0℃
近辺でのゴムの損失正接に依存するところが大きく、こ
のためには粘弾性の温度依存性の転移領域が0℃近辺に
あるポリマー、すなわちTgの高いポリマーを用いるのが
よい。したがって、グリップ力を重視する高性能タイヤ
では、Tgの高い高スチレン含量のSBRが使用されてい
る。このようにポリマーのTgに関して必要な項目が異な
るため、氷雪上のグリップ力と乾燥路、湿潤路でのグリ
ップ力を両立させるトレッドコンパウンドはみられな
い。
このように、氷雪性能(氷雪路における摩擦力)と共
に耐摩耗性や一般路における走行性能をも満足する性能
を有したタイヤが得られていないのが現状である。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、乾燥・湿潤路面における走行性能を損なう
ことなく氷雪路における摩擦力を向上させたスタッドレ
スタイヤを提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明のスタッドレスタイヤは、トレッド部が独立気
泡を有する発泡ゴムと短繊維とから構成され、前記発泡
ゴムはガラス転移温度が−60℃〜−20℃のポリマーを含
有すると共に発泡剤配合量に対して同量未満の尿素系助
剤を含有し、かつトレッド表面の平均気泡面積が100〜5
000μm2、トレッド表面の各気泡面積の変動係数が0.5〜
0.8、およびトレッド表面の気泡占有面積率が1%〜4
%であり、さらに前記短繊維の殆んどが前記発泡ゴム中
でトレッド部のブロック表面および側面に沿ってタイヤ
周方向に配向したことを特徴とする。
本発明者らは、気泡の氷表面への摩擦力を高めると共
にタイヤトレッドブロックのエッジ効果を上げるべく検
討したが、内部の均一なゴムでは両者を共に高くするの
は困難であった。すなわち、エッジ効果を上げるために
はブロックの周方向剛性は或る程度高くなければなら
ず、いわゆる凝着摩擦の向上のためには路面の直角方向
でブロックの径方向剛性を低くしなければならないから
である。このために、本発明者らは、短繊維配合ゴムの
異方性を利用することを想起した。すなわち、ゴム中に
配合された短繊維を一方向に配列させると、その配列と
平行な方向の弾性率は上昇し、配列と直角な方向の弾性
率は殆ど変わらないことが知られている。そこで、トレ
ッドブロックの表面に平行に繊維を配列させるとトレッ
ドブロック表面に直角な方向では剛性を低下でき、一
方、表面に平行な方向に対しては剛性を高くすることが
できる。すなわち、短繊維配合ゴムの短繊維配向方向を
制御することによって始めて、エッジ効果と凝着摩擦力
とを最大にすることができる。
また、スタッドレスタイヤのトレッドコンパウンドの
ポリマーのTgとしては、−60℃以下のNR、シス結合成分
が高いBR、あるいは低スチレン含量のSBRなどが汎用さ
れている。特開昭62−283001号公報、特開昭63−90402
号公報によれば、−60℃以下のTgのポリマーを使用する
理由は、これらのポリマーがスタッドレスタイヤが使用
される低温であっても十分なゴム弾性を有しているから
である。
一方、乾燥路、湿潤路でのタイヤの運動性能のために
は低すぎるTgは好ましくない。というのはタイヤの運動
性能を上げるためにはトレッドゴムの高ヒステリシスロ
ス化をはかることによって路面との摩擦力を上げること
が重要であるが、摩擦中のゴムの振動数は数千ヘルツに
も及ぶため、ゴム温度より数十度低温での10Hz程度の損
失正接を大きくすることによって高ヒステリシスロス化
をはかることができる。実際、0℃におけるtanδはタ
イヤの制動摩擦力と良い相関を示すポリマー領域の損失
正接の粘弾性温度依存性の転移領域において最大とな
る。転移領域は一般にガラス転移温度を始点として、高
温側に30℃ぐらいの温度幅を持っているので、この幅の
内側に0℃を含めばポリマーの損失正接は大きくなる。
すなわち、乾燥路、湿潤路での運動性能のためには高い
Tgのポリマーがよいが、氷雪路面ではTgに近い温度で使
用されるため、ゴム弾性を失い硬化してしまうので氷雪
摩擦力が発揮されないという問題がある。
そこで、このような高いTgのポリマーの低温での硬化
を防ぎ、ゴム弾性を保持させることを検討したところ、
ポリマーに気泡を含有させること、すなわち、発泡ゴム
を使用することが有効であることが分かった。ごく少な
い気泡量であっても高いTgのポリマーを含有させると比
較的低温までゴム弾性が失われず、スタッドレスタイヤ
として必要な性能を得ることができる。このような発泡
ゴムの特徴は特開平1−103501号公報によって公知であ
るが、全天候性を目的としたタイヤでは、トレッドのブ
ロック剛性も高いことが必要であるので、発泡ゴムのみ
では高温時の剛性が維持できず、本発明のように配向さ
せた短繊維を利用してブロック剛性の異方性を制御する
ことにより始めて、低弾性率のコンパウンドを使用する
ことが可能となる。本発明は、このような知見に基づき
なされたものである。
以下、図を参照してこの手段につき詳しく説明する。
第1図は本発明のスタッドレスタイヤの一例の子午線
方向半断面説明図である。この第1図において、本発明
のスタッドレスタイヤAは、左右一対のビード部11,11
とこれらビード部11,11に連結する左右一対のサイドウ
ォール部12,12とこれらサイドウォール部12,12間に配さ
れるトレッド部13からなる。左右一対のビード部11,11
間にはカーカス層14が装架されており、トレッド部13に
おいては、この外周を取り囲むようにベルト層15が配置
されている。10はトレッド表面である。
(1) 本発明では、トレッド部13を独立気泡を有する
発泡ゴムと短繊維とで構成している。この発泡ゴムは、
Tgが−60℃〜−20℃のポリマーを含有すると共に発泡剤
配合量に対して同量未満の尿素系助剤を含有する。
乾燥路、湿潤路でのグリップ力の向上のために、Tgが
−60℃以上のポリマーが必要である。また、Tgが−20℃
超であっては常温であっても硬くなり過ぎるので、かえ
ってグリップ力が低下してしまう。Tgが−60℃〜−20℃
の範囲に入るポリマーとしては、例えば、スチレン含量
の高いSBR、ブタジエン中のビニル成分の多いSBR、ビニ
ル成分の多いBR、ブチルゴムなどを挙げることができ
る。これらのポリマーの配合量は全ゴム100重量部中30
〜70重量部がよい。30重量部未満では乾燥路、潤滑路で
の運動性能が劣り、70重量部超では低温時の硬化が起こ
って氷雪路面でのグリップ力が不足するからである。残
余の70〜30重量部は、Tgが−60℃未満のジエン系ゴム、
例えばNR、シス成分の多いBR、低スチレン含量のSBRな
どを用いればよい。
また、本発明者らは、従来技術では達成することが困
難であった氷雪路面での摩擦力を改良するために鋭意研
究を行った結果、トレッド部13に比較的硬度の高い発泡
ゴムを用いることで上記目標を達成できることを見い出
し、本発明に至った。
すなわち、発泡ゴムに含有される独立気泡がエッジ効
果および排水効果を向上させ、特に0℃付近での疑似液
体層が存在する氷上で驚くべき効果があることを見い出
した。また、低温時低硬度で氷雪摩擦を改良するという
従来よりの考え方は発泡ゴムには当てはまらず、むしろ
ある程度硬くした方が路面に接する独立気泡がもたらす
エッジ効果と排水効果と著しく向上させる事実を見い出
した。しかも、比較的高硬度にしたことでブロック剛性
が向上し、従来の冬用タイヤの弱点であった一般路(乾
燥路、湿潤路)における走行性能を高レベルに保持させ
ることにもつながった。
ただし、発泡ゴムは非発泡ゴムに比べて硬度が大幅に
低下するため、通常、発泡ゴムの硬度を高くするにはマ
トリックスゴムの硬度を大幅に高くしておく。一般的に
はカーボンブラックなどの補強剤を大幅に増量するか、
又はオイルなどの軟化剤を大幅に減量するなどの調節を
行うが、加工性や発熱性などが悪化してしまうので好ま
しくない。そこで、、本発明者らは、発泡剤の分解温度
を低下させるために、発泡剤と併用することの多い尿素
系助剤が架橋密度を増加させることに着目して種々の検
討を行った。この結果、ゴム組成物に尿素系助剤を単独
で配合しても硬度は上がるが、発泡剤と併用することで
更にその効果が大となることがわかった。すなわち、発
泡剤に対して尿素系助剤を特定量配合することで、発泡
による硬度低下が抑えられ、非発泡ゴムと同程度の硬度
にできることが見い出され、また加工性や発熱性などに
悪影響を及ぼさないことも確認された。さらに、発泡剤
としては例えばニトロソ化合物を選択すると分解反応の
途中でホルムアルデヒドが生成され、強い刺激臭を与え
るので、この場合にもアルデヒドの受体となる尿素系助
剤を配合することは作業性の面から大変有効である。
このように気泡の氷路面への摩擦力を高めると共にタ
イヤトレッドブロックのエッジ効果を上げるべく検討し
たが、内部の均一なゴムでは両者を共に高くするのは困
難であった。すなわち、エッジ効果を上げるためにはブ
ロックの周方向剛性はある程度高くなければならず、い
わゆる凝着摩擦力のためには路面と直角な方向であるブ
ロックの径方向剛性は低くしなければならないからであ
る。
このために、本発明者は、短繊維配合ゴムの異方性を
利用することを想起した。すなわち、ゴム中に配合され
た短繊維を一方向に配列すると、配列方向と平行な方向
の弾性率は上昇し、配列方向と直角な方向の弾性率は殆
ど変わらないことが知られている。そこで、ゴムブロッ
クの表面に平行に繊維を配列するとブロック表面に直角
な方向には剛性を低くし、一方、表面に平行な方向に対
しては剛性を高くすることができる。すなわち、短繊維
配合ゴムの短繊維配向方向を制御することによって、始
めて、エッジ効果と凝着摩擦力を最大にすることができ
るのである。
本発明者らは、かかる知見を得たうえで、気泡の分布
状態、トレッドパターンなどの研究を重ね、本発明に到
達したのである。
本発明において、この発泡ゴムは、通常のゴム組成物
に発泡剤を加え、さらに発泡剤配合量に対して同量未満
の尿素系助剤を配合してなる。好ましくは、発泡剤配合
量に対して30〜90重量%の尿素系助剤を配合するのがよ
い。尿素系助剤を配合しないと、発泡ゴムの硬度が非発
泡ゴムより大幅に低下するためにカーボンブラックなど
の補強剤を大幅に増量するか、又はオイルなどの軟化剤
を大幅に減量するなどの調節が必要となり、加工性や発
熱性などが悪化し、しかも分解温度の高い発泡剤を用い
た場合には通常の加硫温度によりタイヤを製造するのが
困難になる。また、発泡剤配合量に対して同量以上の尿
素系助剤を配合すると、発泡による硬度低下を抑える効
果が飽和して不経済であり、しかも発泡剤によっては分
解温度が低下し過ぎて、混合、押出工程で未加硫ゴムが
発泡する恐れがある。
本発明においてスタッドレスタイヤのトレッド部を独
立気泡を有する発泡ゴムで構成するには、トレッド部に
用いられるゴム組成物に発泡剤および尿素系助剤を加
え、通常のタイヤ製造方法により加硫を行なうことによ
ればよい。この場合の発泡剤としては、有機又は無機の
発泡剤を任意に選択できる。例えば、有機発泡剤として
はベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメ
チレンテトラミン、アゾジカルボンアミド等であり、無
機発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウ
ム、亜硫酸アンモニウムであり、特に限定されない。尿
素系助剤としては、凝集防止剤、吸湿防止のための酸性
物質等と尿素との化合物あるいは尿素単独物が用いられ
る。具体的には例えば、永和化成工業(株)のセルペー
ストM3(尿素+酸性物質)、セルペーストK5(尿素+酸
性物質)、セルペースト101(尿素+凝集防止剤)が挙
げられる。その他、カーボンブラック、軟化剤、加工助
剤、老化防止剤、ワックス、加硫剤、加硫促進剤等の配
合剤を当業界の慣行に従い適宜に適量配合してもよい。
ただし、発泡剤は特に本発明タイヤを得るために原料ゴ
ム100重量部に対して0.5〜20重量部配合するのが好まし
い。さらに、氷雪路性能、一般路性能を向上される手法
として、キャップトレッドゴム/ベーストレッドゴム構
造のような二層、三層のトレッド構造を導入すれば、一
層これらの性能を向上できるようになるので好ましい。
(2) トレッド表面の平均気泡面積が100〜5000μm2
であること。
発泡ゴムの平均気泡面積は、100〜5000μm2の独立気
泡であることが必要であり、好ましくは500〜3000μm2
である。100μm2未満では氷雪路性能の改良効果が不十
分であり、5000μm2を超えると耐摩耗性や一般路面での
走行性能が大幅に低下するからである。
(3) トレッド表面の各気泡面積の変動係数が0.5〜
0.8であること。
気泡の形状および分布状態について調べた結果、気泡
の分布は分布幅が狭く、気泡の形状および占有面積比率
を最適化することにより雪氷路性能、一般路性能を同時
に満足することを見出したことによる。
ここで、独立気泡の変動係数(K)とは下式に従って
求められる。
K=S/ :平均気泡面積(μm2) S:の標準偏差(μm2) この独立気泡の変動係数(K)は、0.5〜0.8の分布状
態であることが必要である。この変動係数(K)が0.5
未満では気泡のエッジ効果を低下により氷雪路性能およ
び一般路性能が低下し、0.8超では気泡の排水効果の低
下により氷雪性能が低下する。
(4) トレッド表面の気泡占有面積率が1%〜4%で
あること。
気泡占有面積率(発泡率)は、雪氷性能のためには高
い方がよく、スタッドレスタイヤとして使用される場合
は10%〜20%である。しかしながら、このような気泡占
有面積律を持ったタイヤが乾燥した路面を走行するとき
の摩耗は著しく速く、特に春夏の日照りのある路面では
殆ど使用できないくらい摩耗が速い。これでは、冬期の
雪氷路面だけしか走行できないことを前提としたスタッ
ドレスタイヤではまだしも、全天候性能を有するタイヤ
としては許し難く、また、カーボンブラック量などの配
合変更によっても改良することができない。高い気泡占
有面積率のトレッドが氷雪グリップ力に優れる理由は、
表面が摩耗することによって内部気泡が表面に出てくる
ため氷雪と接する表面の粗さが増し、この粗さによって
氷雪面の水膜を排除するという真実接触面積が増大する
ことによっている。一方、本発明のごとくゴムを発泡さ
せることによって高いTgのポリマーが低温でもゴム弾性
を失わないようにすることを目的とした場合には、低い
気泡占有面積率でもよく、その効果はたかだか気泡占有
面積率1%であっても発現する。それ未満ではさすがに
有効とは認め難い。また、4%超の気泡占有面積率では
乾燥路面での摩擦が著しく速く、実用化できない。
(5) 短繊維の殆んどが発泡ゴム中でトレッド部13の
ブロック表面および側面に沿ってタイヤ周方向に配向し
ていること。
短繊維の配向の様子を第2図および第3図に示す。第
2図は本発明のスタッドレスタイヤの一例のトレッド部
の平面視説明図、第3図はそのK−K′線断面図であ
る。第2図および第3図に示すように、短繊維17は、ト
レッド部13のブロック16の表面aおよび側面bに沿って
タイヤ周方向EE′に配向している。
このような短繊維の配向を得るためには、ある程度の
長/径比を持った繊維はマトリックスであるゴムの流れ
方向に並ぶ傾向があることを利用する。このような傾向
は、タイヤが加硫されるとき、モールドの突起部によっ
て未加硫トレッドゴムがモールドに沿って流れる場合に
も観察され、結果としてモールド突起部に沿って短繊維
が配向され、トレッドブロックの表面および側面に沿っ
て配向されることになる。
このように表面および側面に短繊維をタイヤ周方向に
配向させたブロックは、ブロック全体の剛性は著しく高
い配向方向と直角方向、すなわち表面から内部方向への
弾性率はそれ程高くないという弾性率の異方性が発現す
る。このようなブロックの弾性率の異方性があるから本
発明のごとく、発泡させた低弾性のゴムを使用しても夏
期高温時の操縦安定性を維持することができる。
本発明に使用する短繊維は、その平均直径が1μm以
上で平均長さが100〜5,000μm、好ましくは1,000〜3,0
00μmの範囲内であることが望ましい。短繊維の平均直
径を1μm以上、平均長を100〜5,000μmの範囲内にす
ることによりトレッド部の押出成形時に発泡ゴム中の短
繊維を押出方向に配向し易くし、前述のブロックの弾性
率又は剛性の異方性を大きくすることができる。
本発明において、短繊維が非円形断面形状を有する場
合は、その平均直径は最大直径と最小直径との総和平均
値をいう。さらに、短繊維の平均直径Dに対する平均長
さlの比l/Dは、好ましくは10〜1000の範囲内にするの
がよい。
この短繊維としては、例えば、綿、絹などの天然繊
維、セルロース系繊維、ナイロン繊維に代表されるポリ
アミド系繊維、ポリエステル系繊維、ビニロン等のポリ
ビニルアルコール系繊維などの化学繊維、カーボン繊維
等を用いることができる。好ましくはレーヨン等のセル
ロース系の短繊維がよい。
このように短繊維をトレッドブロック表面及び側面に
沿ってタイヤ周方向に配向させることにより、トレッド
ブロックのタイヤ周方向剛性をタイヤ径方向剛性よりも
大きくすることができる。このため、凝着効果が生じ、
氷上摩擦力が向上する。
〔実施例〕
実施例1〜4、比較例1〜4、参考例1,2 表に示す配合内容(重量部)でトレッド部を構成した
タイヤサイズが185/70 R13 85Qのタイヤを各種作製し、
これらタイヤ(従来例、実施例1〜4、比較例1〜4、
参考例1,2)について次の評価を行った。この結果を表
に示す。なお、テスト車は1600ccのFF車を使用した。
平均気泡面積、気泡の変動係数、気泡占有面積率: 各テストタイヤのトレッド部より試験片を切り出し、
これを平面とした後、柏木研究所製NEXUS6400を用いて1
65倍にて画像処理を行ない、10個のサンプルの平均値で
評価した。
氷上路面での制動性能: 氷盤上を初速30km/hで走行し、制動した時の制動距離
を測定し、従来タイヤ(従来例)を100として指数表示
した。数値は大なる程、制動が良好であることを示す。
雪上路面での駆動性能: 圧雪路面を乗用車で制動を繰返して、路面をツルツル
にしたツルツル圧雪路面において5%(2.9゜)勾配の
登坂試験を行い、ゼロ発進方法により30m区間の登坂加
速タイムを計測し、従来タイヤに対する指数で示した。
数値は大なる程、駆動性が良好であることを示す。
湿潤路での制動性能: 撤水したアスファルト路面を初速40km/hで走行し、制
御した時の制動距離を測定し、従来タイヤを100として
指数表示した。数値は大なる程、制動が良好であること
を示す。
耐摩耗性(乾燥路面): JATMAに規定されている設計常用荷重、空気圧の条件
で乾燥路面を20,000km走行した後、各タイヤの摩耗量を
従来タイヤの摩耗量に対する指数で示した。数値は大な
る程、耐摩耗性が良好であることを示す。
動的ヤング率(ブロックの中心部、表面部)〔MPa〕: 各テストタイヤのトレッド部よりタイヤ回転軸に対し
て径方向にブロックの中心部および表面部からサンプル
を切り出し、東洋精製(株)製の粘弾性スペクトロメー
ターを用いて、チャック間長さ20mm、幅5mm、厚さ2mmの
試料を周波数20Hz、初期歪10%、動的歪±2%、温度0
℃の条件で測定した。数値は大なる程、剛性が大きいこ
とを示す。
注) *1 スチレン含量14.1重量%、ブタジエン部分のビニル
成分量30重量%、Tg−56℃。
*2 スチレン含量23.5重量%、ブタジエン部分のビニル
成分量18重量%、Tg−53℃。
*3 シス成分98%、Tg−103℃。
*4 短繊維A…セルロース系短繊維(日本モンサント
(株)製サントウェブD) 平均長1500μm、平均径12μm(長径16μm,短径8
μm)。
*5 短繊維B…カーボン短繊維、平均長5μm、平均径
1μm。
*6 短繊維C…ナイロン短繊維、平均長50μm、平均径
10μm。
*7 短繊維D…ナイロン短繊維、平均長1500μm、平均
径10μm。
*8 短繊維E…カーボン短繊維、平均長8000μm、平均
径10μm。
*9 接着助剤…ヘキサメトキシメチルメラミン(日本モ
ンサント(株)製製レジメン3520)。
*10 発泡剤…ジニトロソペンタメチレンテトラミン
(永和化成工業(株)製セルラーD)。
*11 尿素系助剤…尿素化合物(永和化成工業(株)製
セルペーストK5)。
上表において、従来例は従来のスタッドレスタイヤで
あって、発泡ゴムおよび短繊維を含まない。
実施例1,2,3及び4は本発明の発泡ゴム+短繊維配合
のタイヤで、氷雪性能と一般性能が両立できる。
比較例1は発泡ゴムを有するがTgの低いポリマーを使
用したタイヤで、氷雪性能はよいが一般路での性能が劣
る。
比較例2,3はポリマーのTgおよび繊維配向は本発明の
範囲内であるが、発泡率を大としたコンパウンドであ
る。氷雪性能は良好であり、湿潤路面での制動性能も良
好であるが、耐摩耗性が大きく劣っており、実用的でな
い。
比較例4は発泡ゴム+短繊維配合のタイヤであるが、
短繊維の長さが短かすぎるため、ゴム中で短繊維がラン
ダムに配向し、トレッドブロックの中心部と表面部との
弾性率がほぼ同じて低いので氷雪性能は改善されない。
参考例1は短繊維の平均長を極端に短かくする(10μ
m)と、氷雪性能を充分に改良できなくなることを示
し、また、参考例2は短繊維の平均長を極端に長くする
(8,000μm)と、タイヤ性能が従来例と実質的に変わ
らなくなることを示している。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば路面に接触するト
レッド部を、発泡剤と尿素系助剤とを特定割合だけ配合
すると共にTgが−60℃〜−20℃のポリマーを配合して作
製した独立気泡を有する発泡ゴムと短繊維とから構成
し、トレッド表面の平均気泡面積、気泡の変動係数およ
び気泡占有面積率を特定範囲とし、さらに短繊維を発泡
ゴム中でトレッド部のブロック表面および側面に沿って
タイヤ同方向に配向させたため、一般路(乾燥路、湿潤
路)における走行性能を損なうことなく氷雪路における
摩擦力を著しく改良させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のスタッドレスタイヤの一例の子午線方
向半断面説明図、第2図は本発明のスタッドレスタイヤ
の一例のトレッド部の平面視説明図、第3図はそのK−
K′線断面図である。 10……トレッド表面、11……ビード部、12……サイドウ
ォール、13……トレッド部、14……カーカス層、15……
ベルト層、16……ブロック、17……短繊維。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60C 1/00,11/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレッド部が独立気泡を有する発泡ゴムと
    短繊維とから構成され、前記発泡ゴムはガラス転移温度
    が−60℃〜−20℃のポリマーを含有すると共に発泡剤配
    合量に対して同量未満の尿素系助剤を含有し、かつトレ
    ッド表面の平均気泡面積が100〜5,000μm2、トレッド表
    面の各気泡面積の変動係数が0.5〜0.8、およびトレッド
    表面の気泡占有面積率が1%〜4%であり、さらに前記
    短繊維の殆んどが前記発泡ゴム中でトレッド部のブロッ
    ク表面および側面に沿ってタイヤ周方向に配向したスタ
    ッドレスタイヤ。
  2. 【請求項2】前記短繊維が1μm以上の平均直径と100
    〜5,000μmの範囲内の平均長を有する請求項(1)に
    記載のスタッドレスタイヤ。
JP2-330655A 1990-08-30 1990-11-30 スタッドレスタイヤ Expired - Lifetime JP3026021B2 (ja)

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