JPH11211901A - 反射防止性物品 - Google Patents

反射防止性物品

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JPH11211901A
JPH11211901A JP10013004A JP1300498A JPH11211901A JP H11211901 A JPH11211901 A JP H11211901A JP 10013004 A JP10013004 A JP 10013004A JP 1300498 A JP1300498 A JP 1300498A JP H11211901 A JPH11211901 A JP H11211901A
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JP
Japan
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film
refractive index
compound
hard coat
compounds
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JP10013004A
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English (en)
Inventor
Koichiro Oka
紘一郎 岡
Shoichi Kurasaki
庄市 倉崎
Akitoshi Nakakimura
暁利 中木村
Tetsuji Kondo
哲司 近藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】帯電性が低く、使用中の帯電による人体への不
快感や、埃類の吸着による画面汚れのない、透明反射防
止性物品を提供する。 【解決手段】導電性ハードコート膜と低屈折率膜とを備
えた透明反射防止性物品で、前記導電性ハードコート膜
は、好ましくは1011 Ω/□以下の導電性と1.62
以上の屈折率をもち、前記低屈折率膜が、好ましくは
1.42以下の屈折率をもつ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビのブラウン
管や液晶表示装置などの各種表示装置の表示面またはそ
の全面板や偏光フィルター、反射防止フィルター、展示
用のケースやショーウインド、絵画の額、窓ガラス、光
学レンズ、メガネレンズなどに使われる制電性と反射防
止性を有する反射防止性物品に関するものである。
【0002】本発明は、特に好ましくは、各種表示装置
の表示面またはその全面板や偏光フィルター、反射防止
フィルター、展示用のケースやショーウインド、絵画の
額、窓ガラスの構成部材または貼付用部材として使用さ
れる、フィルムを基板とする制電性と反射防止性を有す
る透明反射防止性物品に関するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、各種表示装置に用いられる反射防
止用フィルターに代表される反射防止性物品は、基板に
低屈折率の光学薄膜を単層で設けるか、もしくは高屈折
率および低屈折率の光学薄膜を交互に積層して、多層の
反射防止膜を設けている場合が多い。
【0004】このような光学薄膜を得る方法としては、
蒸着やスパッタなどによって無機酸化物を基板に積層す
る方法が一般的であり、このようにして得られる反射防
止膜は低反射率で耐擦傷性に優れている。しかしなが
ら、無機酸化物を蒸着やスパッタして反射防止処理する
方法は、高性能な反射防止層が得られるものの、真空を
必要とする大がかりな装置を用いるので生産性が悪く、
製造コストは高価であった。また、これらの方法におい
ては、蒸着もしくはスパッタ時に、基板が80℃以上に
加熱されるので、耐熱性の点などから使用できる基板が
限定されていた。
【0005】また、近年、低屈折率の有機物質を溶媒に
溶解した後、基板に低屈折率の有機物質をコーティング
して低屈折率有機薄膜を形成し反射防止膜とする方法が
知られるようになった。このような溶液コーティング法
は、例えば、特開平4−355401号公報や特開平6
−18705号公報などに開示されている。これら溶液
コーティング法で用いられる低屈折率物質は、フッ素含
有率の高い樹脂であり、優れた反射防止特性を示してい
る。また、これらは溶液コーティングにより薄膜を形成
するので、無機酸化物を蒸着やスパッタして反射防止処
理する方法とは異なり、生産性よく反射防止膜を形成す
ることが可能である。
【0006】しかしながら、特開平4−355401号
公報あるいは特開平6−18705号公報に記載の含フ
ッ素樹脂からなる有機薄膜は、溶液コーティングが可能
なので生産性がよく、低屈折率のため優れた反射防止特
性を示すが、これら含フッ素樹脂硬化物は架橋密度が低
いので表面硬度が低く、耐擦傷性に劣るという問題があ
った。
【0007】さらに、フッ素系樹脂の特徴として、帯電
性が高く、使用中の帯電による人体への不快感や埃類の
吸着による画面汚れの問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の欠点を解消しようとするものであり、制電性
があり、低反射率で耐擦傷性に優れた反射防止性物品を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の反射防止性物品は、基板に、導電性ハードコート膜
と低屈折率膜とを設けてなることを基本とするもので、
本発明ではさらに次の好ましい実施態様を有している。
【0010】(a) 前記導電性ハードコート膜の導電性が
1011 Ω/□以下であり、かつ屈折率 が1.62
以上であること。
【0011】(b) 前記低屈折率膜の屈折率が1.42以
下であること。
【0012】(c) 前記導電性ハードコート膜が、スズ、
インジウムおよびアンチモンの中から選ばれた成分を導
電性付与主成分とするゾル粒子を含有していること。
【0013】(d) 前記低屈折率膜が、一般式:
【化3】 (式中、Fはフッ素含有アルキレン基、R1、R2 はH
またはCH3、a、cは0〜2の整数、bは2〜14の
整数を示す)、または一般式:
【化4】 (式中、Fはフッ素含有アルキレン基、d、hは0また
は1、e、gは0〜2 の整数、fは2〜14の整数
を示す)で示される化合物を含有し、硬化して なる
こと。 (e) 前記低屈折率膜の接触角が102度以上であるこ
と。 (f) 前記基板がフィルムであること。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の反射防止性物品は、基板
に対し、導電性ハードコート膜と低屈折率膜とを設けて
なるものである。
【0015】本発明で用いられる導電性ハードコート層
としては、有機または無機系バインダーあるいは両者の
混合系バインダーに、酸化アンチモン、酸化セレン、酸
化チタン、酸化タングステン、酸化スズ、アンチモンド
ープ酸化スズ、リンドープ酸化スズ、酸化亜鉛、アンチ
モン酸亜鉛、スズドープ酸化インジウムなどの屈折率の
高い金属化合物超微粒子や金、銀、アルミニウム、クロ
ムなど金属超微粒子を含む塗膜が一般的に用いられてい
る。金属化合物超微粒子は、一般に酸化安定性に問題が
あったり、調製しにくい傾向がある。
【0016】金属化合物超微粒子として、特に好ましく
用いられるのは、導電性の高いアンチモンドープ酸化ス
ズ、リンドープ酸化スズ、アンチモン酸亜鉛、スズドー
プ酸化インジウムなどスズ、アンチモン、インジウムの
中から選ばれる成分を主成分とするゾル粒子の場合であ
る。ここで、ゾル粒子とは、平均粒子径が好ましくは
0.1μm以下、より好ましくは0.08μm以下の超
微粒子のことで、コーティングすると透明性を示す。ゾ
ル粒子の平均粒子径が0.1μmを超えると、一般には
ヘイズ(もや)が大きくなって、透明性が劣るようにな
る。分散性の高いゾルを得るために、通常は水、アルコ
ール、エステル、炭化水素などの分散媒に分散させたも
のを用いる。
【0017】これらの金属化合物超微粒子は、導電性ハ
ードコート膜に好ましくは40〜80wt%、より好ま
しくは50〜75wt%加えられる。金属化合物超微粒
子の量が40wt%未満では、導電性や屈折率が不足
し、また80wt%を超えると、ハードコート膜として
の硬度が足りなくなる傾向がある。
【0018】ハードコート層に用いられるバインダーと
しては、ハードコート層の硬度を高くするために、通常
は塗工時に三次元架橋していなくても、塗工後に三次元
架橋した状態にできるバインダーが使われる。このよう
な目的のために使用される代表的化合物としては、(メ
タ)アクリレート化合物、エポキシ化合物、ビニルエー
テル化合物、シラン系化合物がある。以下にその例を挙
げる。
【0019】(メタ)アクリレート化合物としては、脂
肪族、脂環族、芳香族系モノ(メタ)アクリレート類、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペン
チルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール
テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)アクリレート、2,2ービス(3、5ー
ジブロモー4ー(メタ)アクリロイルオキシフェニル)
プロパン、2,2ービス{3、5ージブロモー4ー(2
ー(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}プ
ロパンなどの多官能(メタ)アクリレート類がある。こ
れらの化合物は、単独または混合されて用いられるが、
一般的には三次元架橋性のないモノ(メタ)アクリレー
ト類だけが単独で用いられない。
【0020】これらの(メタ)アクリレート化合物は、
アゾ系、パーオキサイド系などのラジカル重合開始剤を
用いて、好ましくは低酸素濃度下の条件で熱重合される
か、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン
系、アントラキノン系、チオキサンソン系などの光ラジ
カル重合開始剤を用い、好ましくは低酸素濃度下の条件
下で光(UV)重合される。また、これらの化合物は、
電子線重合も可能である。
【0021】また、エポキシ化合物としては、脂肪族、
脂環族、芳香族系単官能エポキシ化合物、プロピレング
リコールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロビスフェ
ノールA系ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA系
ジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステ
ル、ダイマー酸ジグリシジルエステルなどの2官能エポ
キシ化合物、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラ
グリシジルジアミノジフェニルメタンおよびクレゾール
ノボラックポリグリシジルエーテルなどの3官能あるい
はそれ以上のエポキシ化合物、エポキシ基含有シラン系
化合物などが挙げられる。
【0022】エポキシ化合物の硬化剤としては、アミン
系、酸無水物系、フェノール系、メルカプタン系、ヒド
ラジド系、イミダゾール系およびカチオン付与系などの
化合物が挙げられる。ポットライフの長さ、硬化速度の
早さから、これらの硬化剤のうち、カチオン付与系の化
合物が特に好ましく使用される。なかでも、熱または光
(UV)分解カチオン付与系の化合物が適しており、具
体的には、スルホニウム塩、スルホキソニウム塩、キノ
リニウム塩、ピラジニウム塩、オニウム塩およびフェロ
セン類等が挙げられる。
【0023】また、ビニルエーテル化合物としては、脂
肪族、脂環族、芳香族系単官能ビニルエーテル化合物、
1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチ
ルー1、3−プロパンジオールジビニルエーテル、ジエ
チレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジ
ビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル等
の2官能あるいはそれ以上のビニルエーテル化合物およ
びビニルエーテル含有シラン系化合物などが挙げられ
る。
【0024】ビニルエーテル系化合物の硬化剤として
は、カチオン付与系の硬化剤が好ましく使用される。な
かでも、熱または光(UV)分解カチオン付与系の硬化
剤が適しており、具体的には、スルホニウム塩、スルホ
キソニウム塩、キノリニウム塩、ピラジニウム塩、オニ
ウム塩、フェロセン類等が挙げられる。
【0025】シラン系化合物としては、テトラメチルシ
リケート、テトラエチルシリケート、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
イルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシ
ラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、ジ
メチルジメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピ
ルメチルジメトキシシランなどのシラン類またはその加
水分解物が挙げられる。
【0026】シラン系化合物の硬化には、通常は熱硬化
法が用いられる。その際、硬化速度を早める目的で、カ
ルボン酸のアルカリ金属塩やアルミニウム、チタンおよ
びジルコニウムなどの各種金属アルコキシドあるいはキ
レート化合物が使用される。本発明の好ましい態様は、
金属化合物超微粒子との馴染み(化学的ないし物理的な
結合性、親和性)のよいシラン系化合物を使用し、さら
にシラン系化合物と化学結合できる(メタ)アクリレー
ト化合物または/およびエポキシ化合物または/および
ビニルエーテル化合物を併用する場合である。シラン系
化合物は、塗膜からの金属化合物超微粒子の脱落防止作
用をするとともに、膜硬度を高める働きをする。また、
(メタ)アクリレート化合物、エポキシ化合物およびビ
ニルエーテル化合物は、膜の硬度、対クラック性、耐久
性などの諸特性を向上させる目的ために使用される。こ
のため、シラン系化合物としては、ビニルトリエトキシ
シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γーメルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシ
エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
メチルジメトキシシランなどのように、(メタ)アクリ
レート化合物、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物
と化学結合できるものが特に好ましく使用される。
【0027】シラン系化合物とエポキシ化合物が併用さ
れる場合は、硬化剤として、アルミニウム、チタン、ジ
ルコニウム、鉄および銅などの各種金属キレート化合物
を用いると、両者を同時に硬化できるので好ましい。本
発明においては、塗料の安定性、コーティング後の塗膜
の着色防止などの点から、特に下記に示すアルミニウム
キレート化合物が好適である。
【0028】ここでいうアルミニウムキレート化合物と
は、例えば一般式AlXn3ーnで示されるアルミニウム
化合物である。[ただし、式中XはOL(Lは低級アル
キル基)、Yは一般式M1COCH2COM2(M1,M2
はいずれも低級アルキル基)で示される化合物に由来す
る配位子、および一般式M3COCH2COOM4(M3
4はいずれも低級アルキル基)で示される化合物に由
来する配位子から選ばれる少なくとも1つであり、nは
0、1または2である]。
【0029】本発明の硬化剤として、特に有用な上記一
般式AlXn3ーnで示されるアルミニウム化合物のうち
では、塗料への溶解性、安定性、硬化剤としての効果な
どの観点から、アルミニウムアセチルアセトネート、ア
ルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルア
セトネート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノ
エチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−iso−
プロポキシド−モノメチルアセトアセテートなどが好ま
しく用いられる。これらの化合物は,エポキシ化合物と
シラン系化合物の合計に対し、好適には0.1〜20w
t%程度が用いられる。
【0030】本発明では、これらのバインダー成分は、
好ましくは全体の20〜60wt%使用される。ここ
で、バインダー成分を100とした場合いの組成比につ
いて、本発明の好ましい態様を述べる。バインダー成分
全体としては、(メタ)アクリレート化合物0〜100
wt%、エポキシ化合物0〜100wt%、ビニルエー
テル化合物0〜100wt%、シラン系化合物0〜10
0wt%である。なかでも好ましい組成は、(メタ)ア
クリレート化合物5〜99wt%、特に好ましくは10
〜97wt%、または/およびエポキシ化合物5〜99
wt%、特に好ましくは10〜97wt%、シラン化合
物1〜95wt%、特に好ましくは3〜90wt%の場
合である。
【0031】シラン系化合物が1wt%未満では、金属
化合物超微粒子が脱落しやすく、95wt%を超える
と、塗膜にクラックが入りやすくなるとともに、屈折率
が低くなって、目的とする高い反射防止性能が得られに
くくなる傾向がみられる。
【0032】本発明の金属化合物超微粒子とバインダ
ー、および、必要に応じて加えられる硬化剤や重合開始
剤は、アルコール系、エステル系、エーテルアルコール
系、炭化水素系溶剤やジメチルホルマミド(DMF)な
どの極性の高い溶剤、場合によってはそれらに少量の水
を含む溶剤など、溶解性や均一コーティング性の観点か
ら選ばれる単独または混合系の溶剤に、均一に分散、溶
解され、塗料とされる。 上記塗料には、このほか均一
コーティング性と密着性向上のために、界面活性剤、レ
ベリング剤、カップリング剤およびポリマー類などが加
えられることがある。
【0033】以上のようにして調製された塗料は、ディ
ッピング法、スピンコート法、グラビアコート法、ダイ
コート法およびリバースコート法などの方法で、ポリカ
ーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、
ポリエチレンテレフテレート、セルローストリアセテー
ト、ノルボルネン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレ
ン、ジエチレングリコールジアリルカーボネート樹脂な
どの、プライマーコートのない、あるいはプライマーコ
ートのあるフィルム等のシート状物(基板)に塗布さ
れ、その後、溶剤の乾燥と硬化反応処理されて本発明の
導電性ハードコート膜が形成される。
【0034】本発明では、特に大面積のコーティングが
容易なフィルム用途、なかでも液晶ディスプレイに使わ
れる透明基板、偏光板、保護板、光学フィルターまたは
同用途のための貼付用フィルム、CRTの保護板、光学
フィルターまたは同用途のための貼付用フィルムの製造
に使われるセルローストリアセテートフィルムやポリエ
チレンテレフタレートフィルムに好適に適用される。
【0035】本発明の導電性ハードコート膜は、通常
0.4〜10μm程度の膜厚である。0.4μ未満では
硬度、導電性が不足する場合がある。また、10μmを
超えるとクラックが入りやすくなる。
【0036】また、本発明の導電性ハードコート膜は、
好ましくは1011Ω/□以下、より好ましくは1010Ω
/□以下の導電性と、エリプソ法で、D線、20℃で測
定した屈折率が、好ましくは1.62以上、より好まし
くは1.65以上の値をもつ。
【0037】導電性が1011Ω/□より大きくなると、
帯電性が高くなり、使用中の帯電による人体への不快感
や埃類の吸着による画面汚れの問題が発生しやすくな
る。ここで、導電性とは、JIS K6911に準じて
測定されるシート抵抗を指す。また、屈折率が1.62
未満では、低屈折率膜の屈折率にもよるが、十分な反射
防止効果を得られないことがある。
【0038】次に、本発明で用いられる低屈折率膜につ
いて述べる。
【0039】本発明の低屈折率膜は、一般式:
【化5】 (式中、F はフッ素含有アルキレン基、R1、R2は、
HまたはCH3、a、cは0〜2、bは2〜14の整数
を表す)で示されるか(以下、化合物A−1と称す
る)、または一般式:
【化6】 (式中、F はフッ素含有アルキレン基、d、hは0ま
たは1、e、gは0〜2の整数、fは2〜14の整数を
表す)で示される化合物(以下、化合物A−2と称す
る。また、化合物A−1とA−2とを総称して、「化合
物A」とする)の少なくともいずれかを使用する。上記
式に示されるFは、直鎖あるいは分枝のアルキレン基の
いずれであってもよく、炭素に結合する水素の一部また
は全部がフッ素と置換されている。また、上記アルキレ
ン基の炭素数は、好ましくは2〜14である。
【0040】本発明で好ましく使用されるFは、製造の
容易性から直鎖のアルキレン基の場合であり、より低屈
折率の光学薄膜を得る目的から、全部の水素がフッ素と
置換したパーフルオロアルキレン基が好ましく用いられ
る。
【0041】また、製造の容易性から、a、cは0〜
2、d、hは0〜1、e、gは0〜2の整数である。f
は2〜14、好ましくは4〜12の整数である。fが2
未満では屈折率が十分に低くならず、12を超えると膜
の硬度が低下する傾向を示す。本発明では、光学薄膜の
屈折率、硬度および密着性などの性能を改善または調整
する目的で、「化合物A」と重合し得る、「化合物A」
以外の化合物を添加することができる(以下、これを
「化合物B」と称する)。
【0042】その代表例を以下に示す。二重結合をもつ
化合物(以下、化合物B−1と称する)として、沸点の
高い脂肪族、脂環族、芳香族系モノ(メタ)アクリレー
ト、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレ
ート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メ
タ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフ
ルオロブチル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオ
ロオクチル)エチル(メタ)アクリレートのようなフッ
素含有単官能(メタ)アクリレート、トリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートが
挙げられる。これらのうち、フッ素系化合物は、膜の屈
折率を低くするので、本発明には特に有効である。化合
物B−1の場合は、重合性から化合物A−1と組み合わ
せて用いることが好ましい。(メタ)アクリレート化合
物である化合物A−1と化合物B−1は、アゾ系、パー
オキサイド系などのラジカル重合開始剤を用いて、好ま
しくは低酸素濃度下の条件で熱重合されるか、アセトフ
ェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、アントラ
キノン系、チオキサンソン系などの光(UV)ラジカル
重合開始剤を用い、好ましくは低酸素濃度下の条件下で
光(UV)重合される。また、電子線重合も可能であ
る。
【0043】エポキシ化合物(以下、化合物B−2と称
する)としては、脂肪族、脂環族、芳香族系単官能エポ
キシ化合物、プロピレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ヘキサヒドロビスフェノールA系ジグリシジルエー
テル、ビスフェノールA系ジグリシジルエーテル、フタ
ル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエ
ステルなどの2官能エポキシ化合物、トリグリシジルイ
ソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニル
メタン、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル
などの3官能あるいはそれ以上のエポキシ化合物、エポ
キシ基含有シラン系化合物、3−パーフルオロブチル−
1,2−エポキシプロパン、3−パーフルオロオクチル
−1,2−エポキシプロパン、3−(1H,1H,5H
−オクタフルオロペンチロイル)−1,2−エポキシプ
ロパン、3−(1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロ
ノニロイル)−1,2−エポキシプロパンのようなフッ
素を含有するエポキシ化合物などが挙げられる。これら
のうち、フッ素系化合物は、屈折率を低くするので、本
発明には特に有効である。化合物B−2の場合は、重合
性から化合物A−2と組み合わせて使用することが好ま
しい。
【0044】エポキシ化合物の硬化剤として、アミン
系、酸無水物系、フェノール系、メルカプタン系、ヒド
ラジド系、イミダゾール系、カチオン付与系などの化合
物が挙げられる。ポットライフの長さ、硬化速度の早さ
から、これらの硬化剤のうち、カチオン付与系が特に好
ましく使用される。なかでも、熱または光(UV)分解
カチオン付与系が適しており、スルホニウム塩、スルホ
キソニウム塩、キノリニウム塩、ピラジニウム塩、オニ
ウム塩、フェロセン類等が挙げられる。
【0045】本発明の「化合物A」と「化合物B」の好
ましい使用比率は、「化合物A」が5〜100wt%、
「化合物B」が0〜95wt%、より好ましくは、「化
合物A」が10〜100wt%、「化合物B」が0〜9
0wt%の時である。「化合物A」が5wt%未満で
は、「化合物B」の種類にもよるが、屈折率の十分に低
い低屈折率膜が得られにくく、したがって反射率の十分
に低い物品が得られにくい。
【0046】本発明の低屈折率膜には、「化合物A」と
「化合物B」以外の化合物として、シラン系化合物(以
下、「化合物C」と称する)を使用することができる。
シラン系化合物は、後述するように、エポキシ化合物と
ある種の硬化剤と作用して膜全体を相乗的に硬化する機
能を持つほか、エポキシ化合物の存在しない場合でも、
それ自体が三次元架橋して硬度向上作用をもつ。
【0047】本発明の低屈折率膜に使用されるシラン系
化合物としては、テトラメチルシリケート、テトラエチ
ルシリケート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリ
エトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニ
ルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パー
フルオロオクチルトリエトキシシラン,γ−クロロプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、ジメチル
ジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
メトキシシランなどのシラン類またはその加水分解物等
が挙げられる。
【0048】これらのシラン系化合物の硬化には、通常
は熱硬化法が用いられる。硬化速度を早める目的で、カ
ルボン酸のアルカリ金属塩やアルミニウム、チタン、ジ
ルコニウムなどの各種金属アルコキシドあるいはキレー
ト化合物等ワイピングクロス用いることができる。
【0049】本発明の好ましい態様は、(メタ)アクリ
レート化合物または/およびエポキシ化合物と化学結合
できるシラン系化合物を使用する場合である。このた
め、シラン系化合物としては、γ−(メタ)アクリロイ
ルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのよ
うに、(メタ)アクリレート化合物、エポキシ化合物と
化学結合できるものが特に好ましく使用される。
【0050】本発明で用いられる「化合物C」の好まし
い使用比率は、化合物(A+B)が5〜100wt%、
「化合物C」が0〜95wt%、より好ましくは、化合
物(A+B)が10〜100wt%、「化合物C」が0
〜90wt%の時である。化合物(A+B)が5wt%
未満では、「化合物C」の種類にもよるが、屈折率の十
分に低い低屈折率膜が得られにくく、従って反射率の十
分に低い物品が得られにくい。
【0051】シラン系化合物とエポキシ化合物が併用さ
れる場合は、硬化剤として、アルミニウム、チタン、ジ
ルコニウム、鉄、銅などの各種金属キレート化合物を用
いると、両者を同時に硬化できるので好ましい。本発明
では、塗料の安定性、コーティング後の塗膜の着色防止
などの点から、特に下記に示すアルミニウムキレート化
合物が好適である。
【0052】ここでいうアルミニウムキレート化合物と
は、一般式AlXn3ーnで示されるアルミニウム化合物
である。[ただし、式中XはOL(Lは低級アルキル
基)、Yは一般式M1COCH2COM2(M1,M2はい
ずれも低級アルキル基)で示される化合物に由来する配
位子、および一般式M3COCH2COOM4(M3,M4
はいずれも低級アルキル基)で示される化合物に由来す
る配位子から選ばれる少なくとも1つであり、nは0、
1、または2である]。
【0053】本発明の硬化剤として、特に有用な一般式
AlXn3ーnで示されるアルミニウム化合物のうちで
は、塗料への溶解性、安定性、硬化剤としての効果など
の観点から、アルミニウムアセチルアセトネート、アル
ミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセ
トネート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−ノエチ
ルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−iso−プロ
ポキシド−モノメチルアセトアセテートなどが好まし
い。これらの化合物は、エポキシ化合物とシラン系化合
物合計に対し0.1〜20wt%程度用いられる。
【0054】本発明の低屈折率膜を形成するために用い
られる塗料は、「化合物A」、「化合物B」、「化合物
C」および、必要に応じて加えられる硬化剤や重合開始
剤を、アルコール系、エステル系、エーテルアルコール
系、炭化水素系溶剤やジメチルホルマミド(DMF)な
どの極性の高い溶剤、場合によってはそれらに少量の水
を含む溶剤など、溶解性や均一コーティング性の観点か
ら選ばれる単独または混合系の溶剤に、均一に溶解され
て調製される。
【0055】上記塗料には、このほか均一コーティング
性と密着性向上のために、界面活性剤、レベリング剤、
カップリング剤およびポリマー類などが加えられること
がある。
【0056】以上のようにして調製された塗料は、ディ
ッピング法、スピンコート法、グラビアコート法、ダイ
コート法およびリバースコート法などの方法で、本発明
の導電性ハードコート膜を塗布ずみのポリカーボネー
ト、ポリメチルメチクリレート(PMMA)、ポリエチ
レンテレフテレート、セルローストリアセテート、ノル
ボルネン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレンおよびジ
エチレングリコールジアリルカーボネート樹脂などのシ
ートやフィルムへ塗布され、その後、溶剤の乾燥と硬化
反応処理され、本発明の透明反射防止物品が形成され
る。先述のとおり、フィルム用途、なかでもセルロース
トリアセテートフィルムやポリエチレンテレフタレート
フィルムには好適に適用される。
【0057】本発明の低屈折率膜は、いわゆる光学薄膜
レベルの膜厚に設計される。光学薄膜では、薄膜を有す
る基材に光線が入射したとき、光線が屈折率の異なる境
界で干渉をおこす。例えば、透明基板上に透明な光学薄
膜を一層設けたとき、入射反射光の一部は空気と薄膜と
の境界で反射し、一部は薄膜と基板界面で反射し、全体
として反射光はそれらの干渉光となる。干渉光は結果的
に基材の反射率を低減もしくは増加させる。光学薄膜
は、光が干渉作用をおこす程度に薄く、反射率は光学薄
膜の屈折率と膜厚に依存する。
【0058】本発明は、光学薄膜の用途は特に限定され
るものではないが、反射率の低減を目的とした低屈折率
の光学薄膜を提供する場合は、光学薄膜の膜厚は、λ/
4nの奇倍数が好ましい。ここで、λは光の波長を示
し、nは薄膜の屈折率である。光の波長がある程度の幅
で存在している場合は、λは光の中心波長を示す。本発
明で対象となる光の波長は、多くの場合可視光であり、
中心波長は通常人間が感じる500〜550nmに設定
するのが好ましい。
【0059】低屈折率の光学薄膜を設ける場合、その膜
厚は膜の屈折率にもよるが、好ましくは70〜200n
m、より好ましくは80〜120nmである。光学薄膜
の膜厚が70nm未満の場合は、可視光における光干渉
による反射率の低減が不十分となる場合がある。また光
学薄膜の膜厚が200nmを超える場合は、反射率はほ
ぼ空気と薄膜界面の反射のみに依存するようになるの
で、可視光における光干渉による反射率の低減が不十分
となる傾向がある。
【0060】本発明では,低屈折率膜のD線、20℃で
測定した屈折率が1.42、好ましくは1.41以下の
屈折率になるように、化合物A、B、C成分を選択す
る。屈折率が低いほど透明反射防止性物品の低反射率化
には有利であり、導電性ハードコート膜の屈折率にもよ
るが、1.42を超えると十分に反射率の低い物品は得
られにくい傾向がある。
【0061】また、本発明の低屈折率膜は、20℃で測
定した水に対する静置接触角が好ましくは102度以
上、より好ましくは104度以上である.接触角が10
2度未満では,指紋、化粧品、清涼飲料水などに対し汚
染しやすく、また拭いても取れにくい傾向がある。
【0062】光学薄膜による反射防止作用は、屈折率の
異なる多層の膜を、光学膜厚により積層することにより
性能が高められることが知られている。本発明において
も、ハードコート層と該光学薄膜の中間に、ハードコー
ト層の屈折率よりも高い高屈折率の光学薄膜を設ける
と、反射防止性物品の性能をより高めることが可能であ
る。
【0063】
【実施例】本発明について、実施例を用いて具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】次の参考例1〜4に従い、導電性ハードコ
ート膜を調製した。
【0065】(参考例1)厚さ80μmのトリアセテー
トフィルム(冨士写真フィルム社製”フジタック”)の
片面に、下記組成塗料をグラビアコートし、脱溶媒後、
2パージ下でUVランプで1000mJ照射して、ハ
ードコート膜を得た。
【0066】 セルナックスCXZ300M−1F(日産化学社製、 230重量部 アンチモン酸亜鉛を30wt%含むメタノールゾル) ペンタエリスリトールトリアクリレート 30 CG−907(日本チバガイギー社製、UV硬化剤) 2 1−メトキシ−2−プロパノール 1000 得られたハードコート膜の膜厚はおよそ3μm、導電性
はおよそ6×108Ω/□、また屈折率は1.66であ
った。
【0067】(参考例2)厚さ75μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム(東レ社製”ルミラー”)の片
面に、下記組成の塗料をグラビアコートし、脱溶媒後、
2パージ下でUVランプで1000mJ照射して、ハ
ードコート膜を得た。
【0068】 ”エルコム”Wー32(触媒化成社製、リンドープ酸化 217重量部 スズを30wt%含むベンジルアルコールゾル) ペンタエリスリトールトリアクリレート 35 CG−907(日本チバガイギー社製、UV硬化剤) 2 1−メトキシ−2−プロパノール 1000 得られたハードコート膜の膜厚はおよそ3μm、導電性
はおよそ3×108Ω/□、また屈折率は1.67であ
った。
【0069】(参考例3)厚さ80μmのトリアセテー
トフィルム(冨士写真フィルム社製”フジタック”)の
片面に、下記組成の塗料をグラビアコートし、脱溶媒
後、130℃の熱風オーブン中で20秒、続いて110
℃の熱風オーブン中で2時間処理して、ハードコート膜
を得た。
【0070】 セルナックスCXZ300M−1F(日産化学社製、 183重量部 アンチモン酸亜鉛を30wt%含むメタノールゾル) ”エピコート827”(油化シェルエポキシ社製、 25 ビスフェノールA系エポキシ樹脂) γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン加水分解物 5 アルミニウムアセチルアセトナート 5 1−メトキシ−2−プロパノール 1000 得られたハードコート膜の膜厚はおよそ3μm、導電性
はおよそ5×1010Ω/□、また屈折率は1.63であ
った。
【0071】(参考例4)厚さ75μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム(東レ社製”ルミラー”)の片
面に、下記塗料をグラビアコートし、脱溶媒後、160
℃の熱風オーブン中でフィルムが熱損傷を受けない時間
(1分以内)だけ熱処理して、ハードコート膜を得た。
【0072】 ”エルコム”Wー32(触媒化成社製、リンドープ酸化 230重量部 スズを30wt%含むベンジルアルコールゾル) トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル 5 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン加水分解物 25 アルミニウムアセチルアセトナート 5 1−メトキシ−2−プロパノール 1000 得られたハードコート膜の膜厚はおよそ3μm、導電性
はおよそ2×108Ω/□、また屈折率は1.66であ
った。
【0073】次に、参考例5〜11に従い、低屈折率膜
を調製した。
【0074】(参考例5)下記組成の塗料をグラビアコ
ートし、脱溶媒後、140℃の熱風オーブン中で、基材
が熱損傷を受けない時間内(1分くらい)の条件で熱硬
化して低屈折率膜を得た。
【0075】
【化7】 100重量部 ”サンエイド”SI−100L(三新化学工業社製、 5 カチオン重合開始剤) メチルイソブチルケトン 10000 得られた低屈折率膜の膜厚はおよそ90nmであり、屈
折率は1.40、また接触角は106度であった。
【0076】(参考例6)下記組成の塗料をグラビアコ
ートし、脱溶媒後、110℃2時間の条件で熱硬化して
低屈折率膜を得た。
【0077】
【化8】 80重量部 水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル 20 ”サンエイド”SI−100L(三新化学工業社製、 5 カチオン重合開始剤) メチルイソブチルケトン 10000 得られた低屈折率膜の膜厚はおよそ90nmであり、屈
折率は1.42、また接触角は106度であった。
【0078】(参考例7)下記組成の塗料をグラビアコ
ートし、脱溶媒後、140℃の熱風オーブン中で、基材
が熱損傷を受けない時間内(1分くらい)の条件で熱硬
化して低屈折率膜を得た。
【0079】
【化9】 50重量部 3−パーフルオロブチル−1,2−エポキシプロパン 50 アルミニウムアセチルアセトナート 5 n−プロパノール 10000 得られた低屈折率膜の膜厚はおよそ90nmであり、屈
折率は1.37、また接触角は108度であった。
【0080】(参考例8)下記組成の塗料をグラビアコ
ートし、脱溶媒後、140℃の熱風オーブン中で、基材
が熱損傷を受けない時間内(1分くらい)の条件で熱硬
化して低屈折率膜を得た。
【0081】
【化10】 70重量部 3−パーフルオロブチル−1,2−エポキシプロパン 15 γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン加水分解物 15 アルミニウムアセチルアセトナート 5 n−プロパノール 10000 得られた低屈折率膜の膜厚はおよそ90nmであり、屈
折率は1.41、また接触角は107度であった。
【0082】(参考例9)下記組成の塗料をグラビアコ
ートし、脱溶媒後、N2パージ下でUVランプで800
mJ照射し、低屈折率硬化膜を得た。
【0083】
【化11】 100重量 部 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン 0.5 n−プロパノール 10000 得られた低屈折率膜の膜厚はおよそ90nmであり、屈
折率は1.40、また接触角は106度であった。
【0084】(参考例10)下記組成の塗料をグラビア
コートし、脱溶媒後、N2パージ下でUVランプで80
0mJ照射し、低屈折率硬化膜を得た。
【0085】
【化12】 50重量 部 パーフルオロオクチルエチルアクリレート 50 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン 0.5 n−プロパノール 10000 得られた低屈折率膜の膜厚はおよそ90nmであり、屈
折率は1.38、また接触角は108度であった。
【0086】(参考例11)下記組成の塗料をグラビア
コートし、脱溶媒後、N2パージ下でUVランプで80
0mJ照射し、低屈折率硬化膜を得た。
【0087】
【化13】 50重量 部 パーフルオロオクチルエチルアクリレート 30 γーアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン加水分解物 20 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン 0.5 n−プロパノール 10000 得られた低屈折率膜の膜厚はおよそ90nmであり、屈
折率は1.42、また接触角は106度であった。
【0088】(実施例1〜13)参考例1〜2で得られ
た導電性ハードコート膜付き基材に、参考例5〜11に
示す低屈折率膜を塗布した結果を表1に示す。
【0089】
【表1】 なお、ここでいう片面反射率とは、裏面の反射をなくす
るために黒く裏面を塗装した試料片の表面反射率を分光
光度計で測定し、500〜600nmの平均値をとった
ものである。
【0090】(実施例14〜26)参考例3〜4で得ら
れた導電性ハードコート膜付き基材に、参考例5〜11
に示す低屈折率膜を塗布した結果を表2に示す。
【0091】
【表2】
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、制電性があり、低反射
率で耐擦傷性に優れた反射防止性物品が得られる。この
反射防止性物品は、テレビのブラウン管や液晶表示装置
などの各種表示装置の表示面またはその全面板や偏光フ
ィルター、反射防止フィルター、展示用のケースやショ
ーウインド、絵画の額、窓ガラス、光学レンズ、メガネ
レンズなどに使われ、特に、各種表示装置の表示面また
はその全面板や偏光フィルター、反射防止フィルター、
展示用のケースやショーウインド、絵画の額、窓ガラス
の構成部材または貼付用部材として使用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 133/16 C09D 133/16 163/00 163/00 201/00 201/00 G02B 1/10 G09F 9/00 321Z G09F 9/00 321 H01J 29/88 H01J 29/88 29/89 29/89 B32B 7/02 103 // B32B 7/02 103 G02B 1/10 Z (72)発明者 近藤 哲司 滋賀県大津市園山1丁目1番1号東レ株式 会社滋賀事業場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に導電性ハードコート膜と低屈折率
    膜を設けてなることを特徴とする反射防止性物品。
  2. 【請求項2】 前記導電性ハードコートの膜導電性が1
    11 Ω/□以下であり、かつ屈折率が1.62以上で
    あることを特徴とする請求項1記載の反射防止性物品。
  3. 【請求項3】 前記低屈折率膜の屈折率が1.42以下
    であることを特徴とする請求項1または2記載の反射防
    止性物品。
  4. 【請求項4】 前記導電性ハードコート膜が、スズ、イ
    ンジウムおよびアンチモンの中から選ばれた成分を導電
    性付与主成分とするゾル粒子を含有していることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止性物
    品。
  5. 【請求項5】 前記低屈折率膜が、一般式: 【化1】 (式中、Fはフッ素含有アルキレン基、R1、R2 はH
    またはCH3、a、cは0〜2の整数、bは2〜14の
    整数を示す)、または一般式: 【化2】 (式中、Fはフッ素含有アルキレン基、d、hは0また
    は1、e、gは0〜2の整数、fは2〜14の整数を示
    す)で示される化合物を含有し、硬化してなることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止性物
    品。
  6. 【請求項6】 前記低屈折率膜の接触角が102度以上
    であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
    の反射防止性物品。
  7. 【請求項7】 前記基板がフィルムであることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止性物品。
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