JPH11198795A - 液圧式車両用ディスクブレーキ装置 - Google Patents

液圧式車両用ディスクブレーキ装置

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JPH11198795A
JPH11198795A JP551298A JP551298A JPH11198795A JP H11198795 A JPH11198795 A JP H11198795A JP 551298 A JP551298 A JP 551298A JP 551298 A JP551298 A JP 551298A JP H11198795 A JPH11198795 A JP H11198795A
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JP
Japan
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caliper
hydraulic
piston
valve
master
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JP551298A
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English (en)
Inventor
Isao Matsuno
功 松野
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Nissin Kogyo Co Ltd
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Nissin Kogyo Co Ltd
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  • Transmission Of Braking Force In Braking Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャリパピストンのノックバックを有効に防
止し、ブレーキ操作子の遊びストロークやキャリパピス
トンの作動ストロークが増大することによる初期制動の
立ち遅れを防ぎ、ブレーキフィーリングを良好に維持す
る。液圧経路内のブレーキ液が制動熱で膨脹・収縮した
場合に、キャリパピストンが所定の後退位置よりもキャ
リパシリンダ孔の底部方向へ引き戻されることによる初
期制動の立ち遅れを防ぎ、ブレーキフィーリングを良好
に維持する。 【解決手段】 リリーフポート16に、常時は貯液室1
5とマスタ液圧室12との連通を遮断するリリーフ弁2
9を設ける。リリーフ弁29を、キャリパピストン26
の作動開始液圧以上〜単独作動液圧までの範囲で開弁す
るよう設定する。非作動時のマスタ液圧室12からキャ
リパ液圧室28間の液圧経路中に、キャリパピストン2
6の単独作動液圧以下の液圧を設定する。リリーフ弁2
9にフロート弁33を付設する。フロート弁33を、液
圧経路内のブレーキ液が、ブレーキ作動終了後に冷却し
て体積を収縮することに伴って開弁するよう設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や自動二・
三輪車を始めとする各種の走行車両にあって、液圧マス
タシリンダで昇圧したブレーキ液によってディスクブレ
ーキを作動するようにした液圧式の車両用ディスクブレ
ーキ装置に係り、詳しくはキャリパピストンのノックバ
ックを防止する構造に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車や自動二輪車に用いられる液圧式
ディスクブレーキ装置は、液圧発生源となる液圧マスタ
シリンダと、車輪の近傍に配設される液圧式ディスクブ
レーキのキャリパとを液圧配管で接続して構成されてい
る。運転者のブレーキ操作によって、液圧マスタシリン
ダのマスタ液圧室で昇圧されたブレーキ液は、液圧配管
を通してディスクブレーキのキャリパ液圧室へ供給さ
れ、キャリパシリンダ孔内にピストンシールにて保持さ
れるキャリパピストンを押動して、摩擦パッドのライニ
ングをディスクロータの側面へ摺接させて制動作用を行
なうようになっている(例えば、実開昭63−8179
3号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような構成にあっ
ては、制動解除後のキャリパピストンが、車両のコーナ
リング走行による横荷重やディスクロータの歪み,ピス
トンシールの熱膨張等によって、所定の後退位置よりも
キャリパシリンダ孔の底部方向へ押し戻されてしまう、
いわゆるノックバックを生じることがあり、爾後の制動
操作を行なった際に、ブレーキ操作子の遊びストローク
が増大したり、キャリパピストンの作動ストロークが延
びて初期制動の立ち遅れを招く、といった不具合が懸念
される。
【0004】そこで本発明は、キャリパピストンのノッ
クバックを有効に防止して、上述の不具合を解消するこ
とのできる液圧式車両用ディスクブレーキ装置を提供す
ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の目的に
従って、ディスクブレーキのキャリパに穿設された有底
のキャリパシリンダ孔に、ピストンシールを介してキャ
リパピストンを内挿し、液圧マスタシリンダのシリンダ
ボディに穿設された有底のマスタシリンダ孔にマスタピ
ストンを内挿して、前記キャリパシリンダ孔の底部とマ
スタシリンダ孔の底部に画成されたキャリパ液圧室とマ
スタ液圧室とを液圧配管にて接続し、該マスタ液圧室
と、別途にブレーキ液を貯留するリザーバの貯液室とを
リリーフポートにて連通させた液圧式車両用ディスクブ
レーキ装置において、前記リリーフポートに、常時は前
記貯液室と前記マスタ液圧室との連通を遮断するリリー
フ弁を設けて、非作動時の前記マスタ液圧室からキャリ
パ液圧室までの液圧経路に、前記キャリパピストンが前
記ピストンシールとの摩擦抵抗に打ち勝って、作動方向
へ単独で作動する液圧以下の液圧を設定し、前記リリー
フ弁を、前記キャリパピストンがピストンシールを弾性
変形させながら作動方向へ動き出す作動開始液圧から、
前記キャリパピストンが前記ピストンシールとの摩擦抵
抗に打ち勝って単独で作動する単独作動液圧までの範囲
で開弁するよう設定すると共に、前記リリーフ弁に、前
記液圧経路内のブレーキ液がブレーキ作動終了後に冷却
して体積を収縮することに伴って開弁する一方向弁を付
設したことを特徴としている。この一方向弁は、ブレー
キ液よりも比重の小さいフロートを有するフロート弁と
することができる。
【0006】かかる構成により、リリーフ弁とこれに付
設された一方向弁は、キャリパピストンとマスタピスト
ンが作動方向へ移動する制動時、並びに非作動方向へ移
動(ロールバック)する制動解除時に閉弁状態を保持し
ており、キャリパピストンとマスタピストンが、非作動
方向へロールバックしてそれぞれ所定の後退位置へ復帰
した際には、リリーフ弁と一方向弁の閉弁によってマス
タ液圧室からキャリパ液圧室までの液圧経路に液圧が残
留する。この残留液圧は、キャリパピストンの単独作動
液圧以下に設定されているため、キャリパピストンが所
定の後退位置へロールバックする際の妨げとはならず、
また所定の後退位置に復帰したキャリパピストンの背面
には、それ以上の押し込みを阻止する抗力として作用す
る。
【0007】従って、制動解除後の摩擦パッドがディス
クロータの歪みによって叩かれたり、車両のコーナリン
グ走行による横荷重やピストンシールの熱膨張等によっ
て、キャリパピストンが所定の後退位置よりもキャリパ
シリンダ孔の底部方向へ押し戻されようとした場合に、
キャリパピストンのノックバックが、液圧経路内の設定
された液圧の範囲で防止される。
【0008】また、キャリパピストンに対する押し込み
力が、液圧経路内の残留液圧よりも大きい場合には、リ
リーフ弁が開弁してマスタ液圧室内のブレーキ液がリリ
ーフポートからリザーバの貯液室へ流入して行き、キャ
リパピストンに対する押し込み力が、リリーフ弁のセッ
ト荷重以下になった段階で、リリーフ弁が再び閉じて、
マスタ液圧室と貯液室との連通を遮断する。
【0009】リリーフ弁と一方向弁の閉弁で密閉された
液圧経路内では、ディスクロータと摩擦パッドとの摺接
による制動熱の影響によってブレーキ液の体積が膨脹
し、制動解除後にはブレーキ液が徐々に冷却されて行っ
て元の体積が収縮する。このように、液圧経路内のブレ
ーキ液が体積を収縮すると、キャリパピストンに所定の
後退位置よりもキャリパシリンダ孔の底部方向へ引き戻
そうとする負力が発生するが、一方向弁は、液圧経路内
のブレーキ液の体積が収縮するのに伴って開弁するよう
に設定されていて、リザーバ内のブレーキ液を液圧経路
のブレーキ液が体積を収縮した分だけ液圧経路へ補給し
て行くので、キャリパピストンは、所定の後退位置から
キャリパシリンダ孔の底部方向へ引き戻されないで済
む。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を自動二輪車のフロ
ントブレーキに適用した一形態例を、図面に基づいて説
明する。自動二輪車のフロント用ディスクブレーキ装置
1は、ブレーキレバー2と共にハンドルバーに取着され
る液圧マスタシリンダ3と、前輪回りに配設される液圧
式のディスクブレーキ4と、液圧マスタシリンダ3の出
力ポート5及びディスクブレーキ4の入力ポート6とを
つなぐ液圧配管7とからなっている。
【0011】上記液圧マスタシリンダ3は、横長のシリ
ンダボディ8の上部に、ブレーキ液を貯留するリザーバ
9を備えたリザーバ一体型で、シリンダボディ8に穿設
された有底のマスタシリンダ孔10にマスタピストン1
1を内挿して、マスタピストン11とマスタシリンダ孔
10の底壁8aとの間に、マスタ液圧室12を画成して
いる。
【0012】マスタピストン11の前後部外周には、プ
ライマリカップ13aとセコンダリカップ13bとが嵌
着されていて、マスタ液圧室12を液密にシールしてい
る。プライマリカップ13aとセコンダリカップ13b
に挟まれたマスタピストン11の小径軸部外周は、マス
タ液圧室12の補助液室14となっており、マスタシリ
ンダ孔10とリザーバ9の貯液室15とを仕切る隔壁8
bには、マスタ液圧室12と貯液室15とを連通するリ
リーフポート16と、補助液室14と貯液室15とを連
通するサプライポート17とが設けられている。
【0013】マスタシリンダ孔10の底壁8aには、前
述の出力ポート5がマスタ液圧室12に連通して設けら
れており、底壁8aとマスタピストン11との間に、コ
イル状のリターンスプリング18が縮設されている。非
作動時のマスタピストン11は、リターンスプリング1
8の弾発力にてマスタシリンダ孔10の開口部方向へ付
勢され、その後退限を、マスタシリンダ孔10の開口部
に係着した止め輪19との当接にて規制されており、マ
スタシリンダ孔10の開口部から突出するマスタピスト
ン11の後端に、前述のブレーキレバー2を当接させて
いる。
【0014】前記ディスクブレーキ4は、前輪と一体に
回転するディスクロータ20と、該ディスクロータ20
の一側部で車体に固設されるキャリパブラケット21
と、該キャリパブラケット21に固設されたスライドピ
ン22にて、ディスク軸方向へ移動可能に支持されるピ
ンスライド型のキャリパ23と、該キャリパ23の作用
部23a及び反作用部23bとの間に、前記ディスクロ
ータ20を挟んで対向配置される一対の摩擦パッド2
4,24とを持っている。
【0015】作用部23aには、有底のキャリパシリン
ダ孔25がディスクロータ側に開口して設けられ、該キ
ャリパシリンダ孔25にコップ状のキャリパピストン2
6がピストンシール27を介して液密且つ移動可能に内
挿されている。キャリパピストン26とキャリパシリン
ダ孔25の底壁23cとの間にはキャリパ液圧室28が
画成され、該キャリパ液圧室28に前記入力ポート6が
連通して設けられている。マスタ液圧室12とキャリパ
液圧室28は、出力ポート5と入力ポート6につながれ
た液圧配管7を通して連通しており、これら液圧配管
7,マスタ液圧室12,キャリパ液圧室28とで、ブレ
ーキ液を所定の液圧に昇圧してディスクブレーキ4を作
動する液圧経路が構成される。
【0016】前記リリーフポート16の貯液室側は、隔
壁8bに隆起するボス部8cに開口しており、該リリー
フポート16の貯液室側開口部に、リリーフ弁29が設
けられている。このリリーフ弁29は、バルブピストン
30の弁室31に、一方向弁として球状のフロート32
を配置したフロート弁33を付設し、通常時はバルブピ
ストン30とフロート32の閉動作によって、マスタ液
圧室12と貯液室15との連通を遮断している常閉型弁
で、リリーフ弁29の開弁によって、キャリパ液圧室2
8から貯液室15へのみブレーキ液の流通を許容し、ま
たフロート弁33の開弁では、貯液室15からキャリパ
液圧室28へのみブレーキ液の流通を許容する。
【0017】リリーフ弁29のバルブピストン30とフ
ロート弁33のフロート32は、ボス部8cに圧入にて
取付けられた籠型のリテーナ34内に昇降自在に収容さ
れ、リテーナ34の上底壁34aとの間に縮設されたバ
ルブスプリング35の弾発力によって、常時リリーフポ
ート16方向へ付勢されている。バルブピストン30
は、縦長のピストン本体36と、該本体36の下部外周
に嵌着されるバルブシール37とからなっており、ピス
トン本体36の中心軸上には、貯液室15側に開口する
液通孔38と、リリーフポート16側に開口する上述の
弁室31とが連設されている。
【0018】フロート弁33のフロート32には、ブレ
ーキ液よりも比重の小さな材料、例えばブレーキ液の比
重1.03〜1.05に対して、0.91〜0.92の
ポリプロピレン樹脂や、比重0.93〜0.94のSB
Rゴム等が用いられ、弁室31にブレーキ液が満ちてい
る通常時には、フロート32が、バルブピストン30の
弁室31と液通孔38との間の弁座39に着座し、また
弁室31内の液位が低下したり、リリーフ弁29によっ
てマスタ液圧室12からキャリパ液圧室28までの液圧
経路内のブレーキ液が熱収縮した場合には、フロート3
2が弁座39から離れて下降するようになっている。バ
ルブスプリング35には所定のセット荷重が設定されて
おり、制動時及び非制動時のリリーフ弁29は、バルブ
ピストン30をリリーフポート16方向へ弾発して、バ
ルブシール37の下縁をリリーフポート16の貯液室側
開口部外周に着座させている。
【0019】バルブスプリング35のセット荷重は、制
動時のキャリパピストン26が、ピストンシール27の
内周側を摩擦抵抗で弾性変形させながら、キャリパシリ
ンダ孔25をディスクロータ方向へ動き出す作動開始液
圧以上で、且つキャリパピストン26がピストンシール
27との摩擦抵抗に打ち勝ち、ピストンシール27を内
周側が弾性変形したまま残して、キャリパシリンダ孔2
5の開口部方向へ単独で作動する単独作動液圧までの範
囲で、液圧経路内のブレーキ液がキャリパピストン26
の単独作動液圧以上に昇圧した場合には、バルブピスト
ン30が液圧経路内のブレーキ液によってバルブスプリ
ング35の弾発力に抗して押し上げられ、バルブシール
37がリリーフポート16の貯液室側開口部外周より離
間するようになっている。
【0020】次に、このように構成された本形態例の作
動を説明する。ディスクブレーキ装置1は、ブレーキレ
バー2を握り操作しない非作動状態ににおいて、マスタ
ピストン11とキャリパピストン26がそれぞれ所定の
後退位置にあり、マスタピストン11の先端は、リリー
フポート16からマスタシリンダ孔10の開口部側へ無
効ストローク分後退している(図1及び図2)。
【0021】また、非作動時のリリーフ弁29は、バル
ブピストン30がバルブスプリング35の弾発力でリリ
ーフポート16方向へ下降して、バルブシール37がリ
リーフポート16の貯液室側開口部外周に着座し、また
フロート弁33では、フロート32が弁室31に満ちた
ブレーキ液によって弁座39に着座した閉弁状態にある
(図1及び図2)。非作動時のマスタ液圧室12と貯液
室15とは、このようなリリーフ弁29とフロート弁3
3の閉弁によって連通が遮断されており、マスタ液圧室
12からキャリパ液圧室28までの液圧経路には、予め
キャリパピストン26の単独作動液圧以下の液圧が保持
されている。
【0022】このような非作動状態からブレーキレバー
2を握り操作すると、マスタピストン11がマスタシリ
ンダ孔10を底部方向へ押し込まれて行き、マスタ液圧
室12内のブレーキ液を昇圧して行く。マスタ液圧室1
2で昇圧されたブレーキ液は、出力ポート5から液圧配
管7を通して、キャリパ23の入力ポート6よりキャリ
パ液圧室28へ供給され、キャリパピストン26を押動
する。
【0023】キャリパピストン26は、ピストンシール
27の内周側を弾性変形させながら、キャリパシリンダ
孔25をディスクロータ方向へ移動し、作用部側の摩擦
パッド24を押動して、該パッド24をディスクロータ
20の一側面に押圧する。次に、キャリパピストン26
からの制動反力を受けたキャリパ23が作用部23a方
向へスライドして、反作用部23bが反作用部側の摩擦
パッド24を押動し、該パッド24をディスクロータ2
0の他側面に押圧して、制動作用が行なわれる。
【0024】また、ブレーキレバー2の握り操作を解除
すると、マスタピストン11が、リターンスプリング1
8の弾発力によって、止め輪19に係止される後退限位
置に復帰し、同時にキャリパ液圧室28内のブレーキ液
がマスタ液圧室12側へ還流して行き、ブレーキ液によ
る押圧を解除されたキャリパピストン26が、ピストン
シール27の復元力によってキャリパシリンダ孔25を
底部方向へロールバックし、所定の後退位置に復帰する
(図1及び図2)。
【0025】非作動状態に復帰したマスタ液圧室12か
らキャリパ液圧室28までの液圧経路には、予め設定さ
れたキャリパピストン26の作動開始液圧〜単独作動液
圧の範囲の液圧が残留する。この残留液圧は、最大でも
キャリパピストン26の単独作動液圧以下に設定されて
いるため、ピストンシール27の復元力によるキャリパ
ピストン26のロールバックを妨げることはなく、制動
解除後のキャリパピストン26を所定の後退位置へ確実
にロールバックさせて、摩擦パッド24のライニング2
4aの引き摺りを有効に防止する一方、所定の後退位置
に復帰したキャリパピストン26の背面には、それ以上
の押し込みを阻止する抗力として作用する。
【0026】これにより、制動解除後の摩擦パッド24
がディスクロータ20の歪みによって叩かれたり、車両
のコーナリング走行による横荷重やピストンシール27
の熱膨張等によって、キャリパピストン26が所定の後
退位置よりもキャリパシリンダ孔25の底部方向へ押し
戻されようとした場合に、キャリパピストン26のロー
ルバックが、リリーフ弁29の閉弁で液圧経路内に作動
開始液圧〜単独作動液圧の範囲で設定された残留液圧に
よって有効に防止することができる。従って、ブレーキ
レバー2の遊びストロークやキャリパピストン26の作
動ストロークを増大させることがなくなり、これらを起
因とする初期制動が立ち遅れを有効に防止して、良好な
ブレーキフィーリングを得ることができる。
【0027】また、キャリパピストン26に対する押し
込み力が大きく、液圧経路内のブレーキ液がキャリパピ
ストン26の単独作動液圧以上に昇圧した場合には、リ
リーフ弁29のバルブピストン30がバルブスプリング
35の弾発力に抗して押し上げられ、バルブシール37
がリリーフポート16の貯液室側開口部外周より離間し
て、液圧経路内のブレーキ液がマスタ液圧室12からリ
リーフポート16を通してリリーフ弁29のリテーナ3
4内に入り、該リテーナ34の通孔34bより貯液室1
5へ流出して行く。そして、液圧経路内のブレーキ液が
単独作動液圧と同圧以下になった段階でバルブピストン
30が下降し、バルブシール37が再びリリーフポート
16の貯液室側開口部外周に着座して、マスタ液圧室1
2と貯液室15との連通を遮断する。
【0028】また上述の制動時に、ディスクブレーキ4
では、ディスクロータ20と摩擦パッド24,24との
摺接によって高温の制動熱が発生し、この制動熱は、キ
ャリパ23やキャリパピストン26を通して、リリーフ
弁29とフロート弁33の閉弁で密閉された液圧経路内
のブレーキ液にも伝達される。制動熱を受けた液圧経路
内のブレーキ液は体積を膨脹させ、制動解除後に時間が
経過するに連れて徐々に冷却されて行き、膨脹前の体積
へ収縮して行く。
【0029】このように、液圧経路内のブレーキ液が体
積を収縮して行くと、キャリパピストン26に、所定の
後退位置よりもキャリパシリンダ孔25の底部方向へ引
き戻そうとする負力が作用するが、フロート弁33のフ
ロート32は、液圧経路内のブレーキ液が体積を収縮す
るのに連れて、弁座39を離れて下降するように設定さ
れているので、マスタ液圧室12と貯液室15とが液通
孔38と弁室31を通して連通し、貯液室15内のブレ
ーキ液が、液圧経路内のブレーキ液の体積が収縮した分
だけマスタ液圧室12へ補給されて行く。
【0030】これにより、キャリパピストン26をキャ
リパシリンダ孔25の底部方向へ引き戻そうとする液圧
経路内の負力が消滅して、キャリパピストン26が所定
の後退位置にそのまま保持されるので、リリーフ弁29
の場合と同様に、ブレーキレバー2の遊びストロークや
キャリパピストン26の作動ストロークの増大を起因と
する初期制動が立ち遅れを有効に防止して、ブレーキフ
ィーリングを良好に維持することができる。
【0031】また本形態例は、このような作動をリリー
フ弁29と該弁29と一体のフロート弁33で行なうの
で、液圧マスタシリンダ3への組み付けやメンテナンス
が容易であり、更に構造が簡単であるために、低コスト
化が図れると共に高い信頼性を得ることができる。特に
一方向弁として、部品的にはフロート32だけで済むフ
ロート弁33を採用したことにより、リリーフ弁29へ
の組み付け性に優れると共にリリーフ弁29全体のコン
パクト化が図れるばかりか、経済性と耐久性にも優れて
いる。
【0032】尚、本発明のリリーフ弁は、リリーフポー
ト内やリリーフポートの貯液室側に設けることが適当で
あるが、マスタピストンの作動を妨げない範囲であれ
ば、リリーフポートのマスタ液圧室側に設けても差支え
ない。また本発明の一方向弁として、形態例で示したフ
ロート弁以外に、弁体をスプリング等で弁座に押圧する
ようにしたポペット弁や、一対の弾性リップで閉弁状態
を保持するようにしたダックビル弁を用いることもでき
る。
【0033】更に、上述の形態例では、液圧マスタシリ
ンダをリザーバ一体型で説明したが、本発明は、液圧マ
スタシリンダとリザーバとが別体の形式にも適用するこ
とができ、また自動二輪車のリアブレーキや、自動車を
始めとする他の走行車両のブレーキ装置に幅広く適用が
可能である。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の液圧式車
両用ディスクブレーキ装置によれば、キャリパピストン
のロールバックを許容して、摩擦パッドをディスクロー
タの側面から確実に離間させ、ディスクロータの引き摺
りによるライニングの偏摩耗を有効に防止しつつ、制動
解除後の摩擦パッドがディスクロータの歪みによって叩
かれたり、車両のコーナリング走行による横荷重やピス
トンシールの熱膨張等によって、キャリパピストンが所
定の後退位置よりもキャリパシリンダ孔の底部方向へ押
し戻されようとすることがあっても、キャリパピストン
のノックバックを、リリーフ弁によって液圧経路内に設
定された液圧の範囲で有効に防止することができるの
で、ブレーキ操作子の遊びストロークが増大したり、キ
ャリパピストンの作動ストロークが延びて初期制動が立
ち遅れるなどの不具合を解消することができ、ブレーキ
フィーリングを良好に維持することができる。
【0035】更に本発明は、液圧経路内のブレーキ液が
制動熱の影響で熱膨脹したのち、冷却に伴って元の体積
へ収縮する場合に、リリーフ弁に付設した一方向弁が開
弁して、リザーバのブレーキ液を液圧経路へ補給して行
くので、所定後退位置のキャリパピストンをそれ以上キ
ャリパシリンダ孔の底部方向へ引き戻さないで済むよう
になり、ブレーキ操作子の遊びストロークやキャリパピ
ストンの作動ストロークの増大を起因とする初期制動が
立ち遅れを有効に防止して、ブレーキフィーリングを良
好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態例を示す液圧式車両用ディスク
ブレーキ装置の概略図
【図2】本発明の一形態例を示す図1の要部拡大図
【符号の説明】
1…ディスクブレーキ装置 2…ブレーキレバー(ブレーキ操作子) 3…液圧マスタシリンダ 4…ディスクブレーキ 5…出力ポート 6…入力ポート 7…液圧配管 8…シリンダボディ 9…リザーバ 10…マスタシリンダ孔 11…マスタピストン 12…マスタ液圧室 15…貯液室 16…リリーフポート 17…サプライポート 20…ディスクロータ 21…キャリパブラケット 22…スライドピン 23…キャリパ 23a…作用部 23b…反作用部 24…摩擦パッド 25…キャリパシリンダ孔 26…キャリパピストン 27…ピストンシール 28…キャリパ液圧室 29…リリーフ弁 30…バルブピストン 31…弁室 32…フロート 33…フロート弁(本発明の一方向弁) 34…籠型のリテーナ 35…バルブスプリング 36…ピストン本体 37…バルブシール 38…液通孔 39…弁座

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスクブレーキのキャリパに穿設され
    た有底のキャリパシリンダ孔に、ピストンシールを介し
    てキャリパピストンを内挿し、液圧マスタシリンダのシ
    リンダボディに穿設された有底のマスタシリンダ孔にマ
    スタピストンを内挿して、前記キャリパシリンダ孔の底
    部とマスタシリンダ孔の底部に画成されたキャリパ液圧
    室とマスタ液圧室とを液圧配管にて接続し、該マスタ液
    圧室と、別途にブレーキ液を貯留するリザーバの貯液室
    とをリリーフポートにて連通させた液圧式車両用ディス
    クブレーキ装置において、前記リリーフポートに、常時
    は前記貯液室と前記マスタ液圧室との連通を遮断するリ
    リーフ弁を設けて、非作動時の前記マスタ液圧室からキ
    ャリパ液圧室までの液圧経路に、前記キャリパピストン
    が前記ピストンシールとの摩擦抵抗に打ち勝って、作動
    方向へ単独で作動する液圧以下の液圧を設定し、前記リ
    リーフ弁を、前記キャリパピストンがピストンシールを
    弾性変形させながら作動方向へ動き出す作動開始液圧か
    ら、前記キャリパピストンが前記ピストンシールとの摩
    擦抵抗に打ち勝って単独で作動する単独作動液圧までの
    範囲で開弁するよう設定すると共に、前記リリーフ弁
    に、前記液圧経路内のブレーキ液がブレーキ作動終了後
    に冷却して体積を収縮させることに伴って開弁する一方
    向弁を付設したことを特徴とする液圧式車両用ディスク
    ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 前記一方向弁は、前記ブレーキ液よりも
    比重の小さいフロートを有するフロート弁であることを
    特徴とする請求項1記載の液圧式車両用ディスクブレー
    キ装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6347689B1 (en) 2000-06-30 2002-02-19 Shimano Inc. Roll back seal for disc brake
US7555375B2 (en) * 2003-06-13 2009-06-30 Haldex Brake Products Ab Sensor system

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6347689B1 (en) 2000-06-30 2002-02-19 Shimano Inc. Roll back seal for disc brake
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