JPS5843485Y2 - メ−タリングバルブ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はディスク・ドラムの二種のブレーキ装置を併用
する車両に用いるメータリングバルブに関するものであ
る。

ディスク・ドラムの異種ブレーキ装置に油圧を同時に作
用させた場合には、後者には油圧作用に抗するブレーキ
シューのリターンスプリングが装着されているため、前
者が先にブレーキ力を発生し、ために摩擦パッドの早期
摩耗を招くという問題のあることが一般に知られている
。

そこでこれら異種のブレーキ装置を前後輪に分けて使用
することのある車両では、ディスクブレーキへの油圧伝
達をその初期において行なわせないようにするメータリ
ングバルブを介設するのが普通である。

本考案はこのメータリングバルブとして構造が簡単でか
つブレーキ解放時にディスクブレーキ装置内に残圧をで
きるだけ残さないようにしたものを提供せんとするもの
である。

即ち本考案は、バルブ室内に配置されて付勢バネ力によ
り一方向に偏倚され、かつ油圧作用によりバネ力に抗し
て移動するピストンと、該ピストンから略中空錘形状に
延出されて前記バネ力により弁座に係合し、バルブ室内
を入・出力油室に区分する弁体と、該鉢形状をなす弁体
に形成された入・出力油室の補助流路と該弁体の鉢形内
周面部に組付けられて前記補助流路を覆い、かつ出力油
室から入力油室への油漏出のみを許容するダイヤフラム
シールとを備えたことを特徴とするメータリングバルブ
である。

そして、特に前記ダイヤフラムシールは、中央部におい
てピストンに固定され、かつこれから弁体の鐘形内周面
に沿って延出した外周のリップ部が変形容易な薄肉形状
をなし、したがって油圧を受けて容易に変形することで
補助流路を塞ぎあるいは油漏出を許容するようになって
いるという顕著な特徴を持っているのである。

以下本考案を図面に示す一実施例に基づいて説明する。

図において１はバルブボディ、２はバルブ室内を閉塞す
るプラグ、３はバルブボディ１に形成されたシリンダ、
４は一端が該シリンダ３に挿入滑合されかつ他端側に大
径フランジ部５が形成されているピストン６はこのピス
トン５に固着されて先端大径側が開口した中空鉢形状の
弁体であり、開口先端にはバルブシート７が固着され、
かつ肉厚を貫通した補助流路８が形成されている。

９はピストン４を弁体６側に押圧するスプリングであり
、この押圧力により通常バルブシート７は弁座をなすプ
ラグ２内端面に係合されている。

１０はスプリング座、１１はピストンカップである。

１２．１３はバルブシート７と弁座の当合により区分さ
れたバルブ室内の入・出力油室であり、前者の入力油室
１２は入力ポート１４を介してマスクシリンダ（図示せ
ず）に連通され、後者の出力油室１３は出力ポート１５
を介してディスクブレーキ装置（図示せず）に連通され
ている。

１６は弁体６の鐘形部中空内周面部に組付けられたダイ
ヤフラムシールであり、同様の鉢形状をなしてその外周
部のリップ部１６ａは変形容易な薄肉舌片状に形成され
、補助流路８を覆って出力油室１３から入力油室１２へ
の油漏出のみを許容しうるように設けられている。

次ぎにその作動について説明する。

非ブレーキ時には、油圧作用がないためピストン４及び
弁体６はスプリング９の押圧力により図の左右に偏倚さ
れ、バルブシート７と弁座が当合して入・出力油室の連
通は遮断されている。

ブレーキ時にマスクシリンダから入力油室１２に油圧が
伝えられると、ダイヤフラムシール１６のリップ部は弁
体６との間にある程度の間隙があれば弾性変形し、出力
油室１３内の圧力はある程度上昇するがそれ以上は上昇
しない。

そして入力油室Ｐ１が更に上昇すればピストン４及び弁
体６に作用する図の右方への油圧力が増大し、スプリン
グ９に抗してこれらが移動を始める。

従ってバルブシート７は弁座から離れ油圧はこの開いた
流路を通って入力油室１２から出力油室１３に伝えられ
る。

このためピストン４及び弁体６への油圧力は図の左方へ
も生じてこれらは再びバルブシート１を弁座に当合せし
めるように左方に移動する。

このように入力油圧Ｐｉの上昇に伴なってピストン４及
び弁体６は図の左・右方向に移動を繰り返し、一定の割
合で出力油圧Ｐ。

上昇させる。

そして入力油圧Ｐｉが充分大きるなると図の右方への油
圧力がスプリング９のバネ力を上回ってピストン４及び
弁体６は図の右方にのみ移動を継続し、結局人・出力油
室１２，１３は常に連通を保った状態となる。

以上の関係は第２図のブレーキ油圧上昇特性図に示す通
りであり、入力油圧Ｐｉの上昇に対し出力油圧Ｐ。

は極く低い油圧Ｐ１で上昇重塔となり、その後油圧Ｐ２
で急上昇率ｔａｎθ〉１に移行した後油圧Ｐ３以後にお
いてｔａｎθ＝１／１の上昇率を示すことになる。

ブレーキ解放時には、入力油圧Ｐｉがなくなるためバル
ブシート７は弁座に当合し、出力油圧Ｐｏは補助流路８
を経てダイヤフラムシール１６と弁座６の間から入力油
室１２に漏出することになる。

この場合、ダイヤフラムシール１６のリップ部１６ａが
弁体に弾着する剛性度の大きさにより出力油室１３内に
残る残圧の値が決まるが、本例のようにダイヤフラムシ
ール１６のリップ部１６ａが入力油圧Ｐｉの油圧作用を
受けた容易な変形により補助流路８を閉塞させる構成と
すればその端部の弁体６への弾着程度は極めて微小とす
ることができ、出力油圧Ｐｉの残圧は例えばディスクブ
レーキ装置のピストン戻り機構等に対して殆ど問題にな
らない程度に小さくできる。

以上述べた如く本考案よりなるメータリングバルブは極
めて簡単なる構成により所期の目的を達成できるもので
ありその実用上の利益は犬なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すメータリングバルブの
縦断面図、第２図は同バルブによる油圧上昇特性図であ
る。 １・・・・・・バルブボディ、２・・・・・・プラグ、
３・・・・・・シリンダ、４・・・・・・ピストン、５
・・・・・・大径フランジ部、６・・・・・・弁体、Ｉ
・・・・・・バルブシート、８・・・・・・補助流路、
９・・・・・・スプリング、１０・・・・・・スプリン
グ座、１１・・・・・・ピストンカップ、１２・・・・
・・入力油室、１３・・・・・・出力油室、１４・・・
・・・入力ポート、１５・・・・・・出力ポート、１６
・・・・・・ダイヤフラムシール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バルブ室内に配置されて付勢バネ力により一方向に偏倚
   され、かつ油圧作用によりバネ力に抗して移動するピス
   トンと、該ピストンから略中空錘形状に延出されて前記
   バネ力により弁座に係合し、バルブ室内を入・出力油室
   に区分する弁体と、該鉢形状をなす弁体に形成された入
   ・出力油室の補助流路と、該弁体の鐘形内局面部におい
   て、中央部が前記ピストンに固定され、かつ外周の可撓
   性リップ部が鐘形内周面に沿って延出することで前記補
   助流路を覆い、該リップ部の変形で出力油室から入力油
   室への油漏出のみを許容するダイヤフラムシールとを備
   えたことを特徴とするメータリングバルブ。