JPH11170034A - 接合金属部材及び該部材の接合方法 - Google Patents

接合金属部材及び該部材の接合方法

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JPH11170034A
JPH11170034A JP10252046A JP25204698A JPH11170034A JP H11170034 A JPH11170034 A JP H11170034A JP 10252046 A JP10252046 A JP 10252046A JP 25204698 A JP25204698 A JP 25204698A JP H11170034 A JPH11170034 A JP H11170034A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各バルブシート3をシリンダヘッド本体2の
各ポート2b開口周縁部(接合面部2a)に接合する場
合に、接合条件の厳格な管理を不要としつつ、短時間で
安定した高い接合強度のシリンダヘッド1が容易に得ら
れるようにする。 【解決手段】 予めバルブシート3の接合面部3a,3
bに、両部材2,3よりも融点の低くかつシリンダヘッ
ド本体2(Al)との共晶組成からなるろう材(Zn−
Al共晶合金)とバルブシート3との拡散層である鉄側
溶融反応層5を介してろう材層7を形成しておき、この
バルブシート3とシリンダヘッド本体2とを、該両部材
2,3間の通電に伴う発熱及び加圧により、ろう材が高
融点化するようにろう材とシリンダヘッド本体2との拡
散層であるアルミ側溶融反応層6を形成しかつ溶融した
ろう材を両部材2,3の接合面部2a、3a,3b間か
ら排出しながら、上記両溶融反応層5,6を介した液相
拡散接合を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第1の金属部材と
第2の金属部材とが液相拡散接合されてなる接合金属部
材及びその部材の接合方法に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えばエンジンのシリンダヘ
ッドにおいてバルブシートをシリンダヘッド本体の吸気
及び排気用ポートの開口周縁部に接合する場合のよう
に、金属部材同士を接合する方法としては焼ばめによる
方法がよく知られている。
【0003】また、例えば特開平8−100701号公
報に示されているように、バルブシートとAl系シリン
ダヘッド本体とをAl−Zn系ろう材及びフッ化物系フ
ラックスによりろう付け接合するようにすることが提案
されている。
【0004】さらに、例えば特開昭58−13481号
公報に示されているように、両部材の接合面部における
接触抵抗加熱を利用した抵抗溶接により金属部材同士を
接合する方法が知られている。そして、この抵抗溶接で
は、例えば特開平6−58116号公報に示されている
ように、焼結材で構成されたバルブシートの空孔に金属
を溶浸することによって、焼結材内部の発熱量を低減し
て接合面部での発熱量を増大させるようにすることや、
例えば特開平8−270499号公報に示されているよ
うに、バルブシートの表面に皮膜を形成し、その皮膜を
シリンダヘッド本体との結合時に溶融させるようにする
ことが提案されている。
【0005】また、例えば特開平8−200148号公
報に示されているように、バルブシートとシリンダヘッ
ド本体とを、シリンダヘッド本体の接合面部に塑性変形
層を形成しつつ溶融反応層を形成することなく固相拡散
接合(圧接接合)するようにすることが提案されてい
る。すなわち、この固相拡散接合方法では、接合過程
で、バルブシート表面に形成したCu被膜とシリンダヘ
ッド本体の材料との間で共晶合金層を生成させ、この共
晶合金層が液相に変化するのに伴って該共晶合金層を接
合面間から排出するようにしている。
【0006】さらにまた、例えば特開昭62−1992
60号公報に示されているように、2つの金属母材の接
合面間にろう材を介在させ、加熱してろう材と母材とを
反応させて合金層を形成すると共に、加圧して未反応の
ろう材を接合面間から外部へ排出するようにすることが
提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来例の
ように金属部材同士を焼ばめにより接合する方法では、
接合される金属部材の脱落を確実に防止しかつ焼ばめ時
の締付力に耐えるようにするために、その金属部材を比
較的大きくしておく必要がある。このため、シリンダヘ
ッドではバルブシートの肉厚や幅が大きくなり、ポート
間隔を狭くしたりスロート径を大きくしたりするには限
界がある。さらに、バルブシート及びシリンダヘッド本
体間には断熱層が存在するので、熱伝導率が低くなって
バルブ及びバルブシート近傍の温度を有効に低下させる
ことができないという問題がある。
【0008】また、単なるろう付けや抵抗溶接により金
属部材同士を接合する方法では、両部材間の熱伝導率を
向上させることはできるものの、基本的に接合強度が低
く、しかも、Al系鋳物用ろう材は融点が低いので、耐
熱性が低いという問題があり、バルブシートとシリンダ
ヘッドとの接合に採用するのは困難である。特にろう付
けによる接合方法では、炉の中で長時間加熱する必要が
あるので、インライン化対応も不可能であり、事前に熱
処理を施したAl系部材ではその熱処理効果が失われて
しまう。
【0009】一方、上記固相拡散接合方法では、焼ばめ
による接合方法よりもバルブシートを格段に小形化する
ことができ、エンジンの設計自由度を向上させることが
できるという利点を有するものの、固相拡散接合である
ため、特にAl系のシリンダヘッド本体とFe系のバル
ブシートとの接合では、Fe−Alという脆い金属間化
合物の発生を抑えつつFe及びAlの原子を拡散させる
という相反することを行う必要があるため、接合条件の
厳格な管理を必要とするという難点があると共に、接合
強度の向上にも限界がある。
【0010】また、ろう材と母材とを反応させて合金層
を形成すると共に、未反応のろう材を接合面間から外部
へ排出する方法では、両母材が該両母材にそれぞれ形成
される合金層同士を介して接合されるので、接合強度の
向上化を図れる可能性はあるものの、ろう材が共晶組成
から大きく外れた組成である場合には、初期の段階で低
融点成分(共晶成分)のみが溶融排出されて高融点成分
が残存するため、ろう材を完全に溶融させるには多くの
熱量を必要とする。この場合には、接合時間が長くなる
と共に、母材の接合面部が軟化してしまい、この軟化に
より、加圧力を高くしても接合面部の酸化皮膜を破壊さ
せる効果が減少し、しかも、ろう材の排出効果も減少す
る。この結果、この方法においても、上記固相拡散接合
方法と同様に、接合強度の向上には限界がある。
【0011】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、第1の金属部材と第
2の金属部材とを接合する場合に、上記従来の接合方法
を改良することによって、接合条件の厳格な管理を不要
としつつ、短時間で従来のものよりも安定した高い接合
強度を有する接合金属部材が容易に得られるようにする
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明では、第1の金属部材と第2の金属部材
とを、該両金属部材よりも融点が低くかつ第2の金属部
材との共晶組成ないしその近傍組成からなるろう材と第
1の金属部材との拡散層と、ろう材における第2の金属
部材成分の割合が多くなることでろう材が高融点化する
ように溶融拡散して形成されたろう材と第2の金属部材
との拡散層とを介した状態で液相拡散接合するようにし
た。
【0013】具体的には、請求項1の発明では、第1の
金属部材と第2の金属部材とを接合する接合方法を対象
とする。
【0014】そして、予め上記第1の金属部材の接合面
部に、上記両金属部材よりも融点が低くかつ第2の金属
部材との共晶組成ないしその近傍組成からなるろう材と
上記第1の金属部材との拡散層を介して上記ろう材層を
形成しておき、上記第1の金属部材と第2の金属部材と
を、該両金属部材間の上記ろう材の融点以上の温度への
加熱及び加圧により、ろう材における第2の金属部材成
分の割合が多くなることでろう材が高融点化するように
ろう材及び第2の金属部材の拡散層を形成しかつ溶融し
たろう材を両金属部材の接合面部間から排出しながら、
上記両拡散層を介した液相拡散接合を行うようにする。
【0015】このことにより、ろう材は共晶組成ないし
その近傍組成からなるので、共晶線に達すると一斉に固
相から液相に変化して第2の金属部材側に拡散し、第2
の金属部材と拡散層を形成する。この拡散によりろう材
は高融点化して凝固すると共に、溶融状態にある未反応
のろう材は加圧により排出され、両拡散層を介した状態
で第1の金属部材と第2の金属部材とが液相拡散接合す
る。このとき、ろう材は最も低い温度で溶融するため、
最小限の入熱により短時間でろう材を溶融させることが
でき、接合時間を短縮化することができる。しかも、第
2の金属部材の軟化を抑制することができ、高い加圧力
を印加することで、第2の金属部材表面部の酸化被膜を
破壊させることができると共に、その酸化被膜や汚れ等
をろう材と共に確実に排出することができる。したがっ
て、両拡散層が不純物を介さずに直接的に接合され、両
金属部材の接合強度を確実に向上させることができる。
また、固相拡散接合のように接合過程で共晶化するもの
ではないので、短時間の低入熱でも接合の安定性を向上
させることができると共に、ろう材を溶融しかつ排出す
ることが可能なように加圧力や加熱量を設定するだけで
済むので、高い接合強度が得られる条件範囲は広くな
る。さらに、ろう材は第2の金属部材との拡散層の形成
により高融点化しているので、接合層の融点を高くする
ことができる。よって、インラインの作業で、接合強度
が安定的に高くかつ使用したろう材以上の耐熱性を有す
る接合金属部材を得ることができる。
【0016】請求項2の発明では、請求項1の発明にお
いて、第1及び第2の金属部材間の通電に伴う発熱によ
り、ろう材の融点以上の温度への加熱を行うようにす
る。
【0017】こうすることで、両金属部材間の抵抗発熱
により容易にろう材を加熱溶融することができる。よっ
て、簡単な具体的加熱方法が容易に得られる。
【0018】請求項3の発明では、請求項1又は2の発
明において、第1の金属部材は、Fe系材料からなり、
第2の金属部材は、Al系材料からなり、ろう材は、Z
n系材料からなるものとする。
【0019】この発明により、Zn系のろう材はFe系
の第1の金属部材とFe−Znの拡散層を、またAl系
の第2の金属部材とAl−Znの拡散層をそれぞれ容易
に形成する。また、両拡散層を介した接合であるので、
Fe−Alという脆い金属間化合物が生成するのを有効
に防止することができる。よって、請求項1の発明にお
ける接合方法に最適な材料の組合せが得られる。
【0020】請求項4の発明では、請求項3の発明にお
いて、ろう材は、Znが92〜98重量%のZn−Al
系合金からなるものとする。
【0021】このことで、ろう材を400℃以下で溶融
させることができ、Fe系の第1の金属部材が変形する
のを防止することができると共に、Al系の第2の金属
部材が溶融したり軟化したりするのを確実に防止するこ
とができる。よって、Fe系金属部材とAl系金属部材
とを接合する場合に、融点が低くて取り扱いの簡単なろ
う材の具体的材料が容易に得られる。
【0022】請求項5の発明では、請求項4の発明にお
いて、ろう材は、Znが95重量%のZn−Al共晶合
金からなるものとする。こうすることで、ろう材の融点
を最も低くすることができ、Fe系金属部材とAl系金
属部材との接合時に最適なろう材が得られる。
【0023】請求項6の発明では、請求項1〜5のいず
れかの発明において、第1の金属部材は、焼結材である
ものとする。このようにすることで、第1の金属部材を
所定の形状に簡単に製造することができる。
【0024】請求項7の発明では、請求項6の発明にお
いて、第1の金属部材は、焼結鍛造材であるものとす
る。
【0025】こうすることで、焼結により生じた第1の
金属部材内部の空孔が鍛造によって潰されるので、両金
属部材を加圧してろう材を排出するときにその力の一部
が上記空孔を潰すのに使われるということはなく、加圧
力の全てが直接的にろう材を排出するのに使用される。
よって、ろう材が効果的に排出され、接合金属部材の接
合強度をより一層向上させることができる。
【0026】請求項8の発明では、請求項6又は7の発
明において、第1の金属部材の内部に、ろう材層及び拡
散層を形成する前に予め高電気伝導率材料を溶浸するよ
うにする。
【0027】この発明により、高電気伝導率材料が第1
の金属部材内部の空孔に溶浸するので、鍛造と同様の効
果が得られると共に、通電時に第1の金属部材内部の発
熱を抑制してろう材を有効に溶融させることができる。
よって、接合金属部材の接合強度を有効に向上させるこ
とができる。
【0028】請求項9の発明では、請求項8の発明にお
いて、高電気伝導率材料は、Cu系材料であるものとす
る。このことで、コストの低い高電気伝導率材料の具体
的材料が容易に得られる。
【0029】請求項10の発明では、請求項1〜9のい
ずれかの発明において、第1の金属部材に、ろう材と第
1の金属部材との拡散層における厚さが1μm以下とな
るように、ろう材層及び該拡散層を形成するようにす
る。
【0030】このことにより、ろう材と第1の金属部材
とが拡散し過ぎるのを抑えることができ、その拡散層に
おいて第1の金属部材の割合が多くなってろう材の組成
が共晶組成から大きく外れるのを防止することができ
る。また、このように共晶組成から外れたろう材が多く
なるのを防止することができる。この結果、ろう材の組
成を共晶組成ないしその近傍組成に維持しておくことが
できる。よって、第2の金属部材表面部における酸化被
膜の破壊効果やろう材の排出効果が確実に得られ、両金
属部材の接合強度をより一層向上させることができる。
【0031】請求項11の発明では、請求項10の発明
において、ろう材浴中の第1の金属部材の表面部に超音
波振動の付与によりろう材をコーティングすることで、
第1の金属部材にろう材層及び上記ろう材と第1の金属
部材との拡散層を形成するようにする。
【0032】このことで、超音波によるキャビテーショ
ン作用により第1の金属部材の表面部の酸化被膜やメッ
キ層が破壊されるので、ろう材を第1の金属部材の表面
部に擦りつけるという機械的な摩擦を利用する方法より
も確実にろう材を第1の金属部材側に拡散させることが
できる。また、ろう材浴中に浸漬するだけの溶融メッキ
方法では、第1の金属部材に確実にろう材層及び拡散層
を形成するには長時間を必要とし、拡散層の厚さを1μ
m以下にすることが容易ではないのに対し、この発明で
は、短時間でろう材層及び拡散層を確実に形成すること
ができると共に、請求項10の発明を容易かつ確実に実
現することができる。さらに、フラックスを用いたろう
付けを行う場合のようなフラックス除去のための後工程
が不要である。よって、簡単な方法で、接合強度のより
高い接合金属部材が得られる。
【0033】請求項12の発明では、請求項1〜11の
いずれかの発明において、第1の金属部材及び第2の金
属部材の液相拡散接合は、第2の金属部材の接合面部を
塑性流動させて行うようにする。
【0034】こうすることで、第2の金属部材表面の酸
化被膜が効果的に破壊されて接合面から排出されるの
で、ろう材を第2の金属部材側に確実に拡散させること
ができると共に、第2の金属部材の表面を特に保護して
おく必要はない。一方、第2の金属部材の塑性流動は、
第1及び第2の金属部材を加圧するときにその加圧力を
利用することで容易に行うことができ、特別な手段は不
要である。よって、簡単な方法でろう材と第2の金属部
材との拡散層を確実に形成することができ、接合金属部
材の接合強度のさらなる向上化を図ることができる。
【0035】請求項13の発明では、Fe系材料からな
る第1の金属部材とAl系材料からなる第2の金属部材
とを接合する接合方法を対象とする。
【0036】そして、予め上記第1の金属部材の接合面
部に、Znが95重量%のZn−Al共晶合金からなる
ろう材と上記第1の金属部材との拡散層を介して上記ろ
う材層を形成しておき、上記第1の金属部材と第2の金
属部材とを、該両金属部材間の通電に伴う発熱及び加圧
により、上記ろう材におけるAl成分の割合が多くなる
ことでろう材が高融点化するようにろう材及び第2の金
属部材の拡散層を形成しかつ溶融したろう材を両金属部
材の接合面部間から排出しながら、上記両拡散層を介し
た液相拡散接合を行うようにする。
【0037】この発明により、Fe系金属部材とAl系
金属部材とを最も容易かつ確実な方法で接合することが
でき、その接合強度を安定向上させかつろう材以上に耐
熱性を向上させることができる。
【0038】請求項14の発明は、第1の金属部材と第
2の金属部材とが接合されてなる接合金属部材の発明で
ある。
【0039】そして、この発明では、上記第1の金属部
材と第2の金属部材とは、該第1の金属部材の接合面部
に形成された、上記両金属部材よりも融点が低くかつ第
2の金属部材との共晶組成ないしその近傍組成からなる
ろう材と第1の金属部材との拡散層と、該第2の金属部
材の接合面部に、上記ろう材における第2の金属部材成
分の割合が多くなることでろう材が高融点化するように
溶融拡散して形成されたろう材と第2の金属部材との拡
散層とを介した状態で液相拡散接合されているものとす
る。このことで、請求項1の発明と同様の作用効果を得
ることができる。
【0040】請求項15の発明では、請求項14の発明
において、第1の金属部材は、Fe系材料からなり、第
2の金属部材は、Al系材料からなり、ろう材は、Zn
系材料からなるものとする。このことにより、請求項3
の発明と同様に、請求項14の発明の接合金属部材とし
て最適な材料の組合せが得られる。
【0041】請求項16の発明では、請求項15の発明
において、ろう材は、Znが92〜98重量%のZn−
Al系合金からなるものとする。このようにすること
で、請求項4の発明と同様の作用効果が得られる。
【0042】請求項17の発明では、請求項16の発明
において、ろう材は、Znが95重量%のZn−Al共
晶合金からなるものとする。こうすることで、請求項5
の発明と同様の作用効果が得られる。
【0043】請求項18の発明では、請求項14〜17
のいずれかの発明において、第1の金属部材は、内部に
高電気伝導率材料が溶浸された焼結材であるものとす
る。この発明により、請求項8の発明と同様の作用効果
を得ることができる。
【0044】請求項19の発明では、請求項18の発明
において、第1の金属部材は、焼結鍛造材であるものと
する。このことにより、請求項7の発明と同様の作用効
果を得ることができる。
【0045】請求項20の発明では、請求項18又は1
9の発明において、高電気伝導率材料は、Cu系材料で
あるものとする。このことで、請求項9の発明と同様の
作用効果が得られる。
【0046】請求項21の発明では、請求項14〜20
のいずれかの発明において、ろう材と第1の金属部材と
の拡散層における厚さが、1μm以下に設定されている
ものとする。こうすることで、請求項10の発明と同様
の作用効果が得られる。
【0047】請求項22の発明では、請求項14〜21
のいずれかの発明において、第1の金属部材は、エンジ
ンのバルブシートであり、第2の金属部材は、シリンダ
ヘッド本体であり、接合金属部材は、上記バルブシート
がシリンダヘッド本体のポート開口周縁部に接合されて
なるシリンダヘッドであるものとする。
【0048】この発明により、焼ばめによる接合方法よ
りもバルブシートを格段に小形化することができるの
で、ポート間隔を狭くしたりスロート径を大きくしたり
することができる。また、断熱層が生じることはなくて
バルブ近傍の熱伝導率を向上させることができ、しか
も、ポート間の冷却水通路をバルブシート側により近づ
けることが可能であるので、バルブシート近傍の温度を
有効に低下させることができる。さらに、グロープラグ
やインジェクタをポート間に配設したとしても、その間
の肉厚を十分に確保することができる。よって、エンジ
ンの性能及び信頼性を向上させることができ、請求項1
4〜21の発明の有効な利用化を図ることができる。
【0049】請求項23の発明では、請求項14〜22
のいずれかの発明において、ろう材と第1の金属部材と
の拡散層及びろう材と第2の金属部材との拡散層間の少
なくとも一部に、該両拡散層同士の合金部が形成されて
いるものとする。このことにより、両拡散層同士の結合
が合金部によりさらに強められ、接合強度をより一層高
めることができる。
【0050】請求項24の発明では、Fe系材料からな
る第1の金属部材とAl系材料からなる第2の金属部材
とが接合されてなる接合金属部材を対象とする。
【0051】そして、上記第1の金属部材と第2の金属
部材とは、該第1の金属部材の接合面部に形成された、
Znが95重量%のZn−Al共晶合金からなるろう材
と第1の金属部材との拡散層と、該第2の金属部材の接
合面部に、上記ろう材におけるAl成分の割合が多くな
ることでろう材が高融点化するように溶融拡散して形成
されたろう材と第2の金属部材との拡散層とを介した状
態で液相拡散接合されているものとする。このことで、
請求項13の発明と同様の作用効果が得られる。
【0052】
【発明の実施の形態】(実施形態1)図1は、本発明の
実施形態1に係る接合金属部材としてのエンジンのシリ
ンダヘッド1の要部を示し、このシリンダヘッド1は、
第2の金属部材としてのシリンダヘッド本体2における
4つの吸気及び排気用ポート2b,2b,…の開口周縁
部つまりバルブが当接する位置に略リング状のバルブシ
ート3,3,…(第1の金属部材)が後述の如く接合さ
れてなるものである。上記各ポート2bの開口周縁部は
シリンダヘッド1の下側から見て略正方形状に並べられ
ており、その各開口周縁部は各バルブシート3との接合
面部2aとされている。
【0053】上記各バルブシート3の内周面部はバルブ
当接面部3cとされて、バルブ上面の形状に沿うように
上方に向かって径が小さくなるテーパ状に形成されてい
る。また、各バルブシート3の外周面部は、シリンダヘ
ッド本体2との第1接合面部3aであって、上記シリン
ダヘッド本体2の接合面部2aにより包囲されかつ内周
面と同様にテーパ状に形成されている。さらに、各バル
ブシート3の上面部は、シリンダヘッド本体2との第2
接合面部3bであって、内周側に向かって上方に傾斜し
ている。
【0054】上記各バルブシート3はFe系材料からな
る焼結材であり、その内部には高電気伝導率材料として
のCu系材料が溶浸されている。この各バルブシート3
のシリンダヘッド本体2との第1及び第2接合面部3
a,3bには、図2に模式的に示すように、Zn−Al
共晶合金(約95重量%のZn成分と約5重量%のAl
成分(後述するシリンダヘッド本体2の材料成分)との
共晶組成)からなるろう材と該バルブシート3との拡散
層である鉄側溶融反応層5が形成されている。すなわ
ち、この鉄側溶融反応層5は、上記ろう材のZn成分が
バルブシート3側に拡散することにより形成されたFe
−Znからなっている。
【0055】一方、上記シリンダヘッド本体2はAl系
材料からなり、このシリンダヘッド本体2の各バルブシ
ート3との接合面部2aには上記ろう材と該シリンダヘ
ッド本体2との拡散層であるアルミ側溶融反応層6が形
成されている。すなわち、このアルミ側溶融反応層6
は、上記ろう材のZn成分が溶融状態でシリンダヘッド
本体2側に液相拡散することにより形成されたAl−Z
nからなっている。尚、上記ろう材の融点は、各バルブ
シート3及びシリンダヘッド本体2よりも低い。
【0056】そして、上記各バルブシート3とシリンダ
ヘッド本体2とは、上記鉄側溶融反応層5及びアルミ側
溶融反応層6を介して液相拡散接合されており、この鉄
側溶融反応層5の厚さは1μm以下に設定されている。
上記鉄側溶融反応層5及びアルミ側溶融反応層6のトー
タルの厚さとしては、0.3〜1.0μm程度が好まし
い。また、鉄側溶融反応層5及びアルミ側溶融反応層6
間の少なくとも一部(実際には、略全ての部分)には、
該両溶融反応層5,6同士の合金部が形成されている。
この合金部の組成は、Al:5〜10%、Zn:約10
%、Fe:残部、となっており、両溶融反応層5,6及
び合金部の組成は全体に亘ってなだらかに傾斜してい
る。
【0057】以上の構成からなるシリンダヘッド1にお
いて各バルブシート3をシリンダヘッド本体2の各ポー
ト2b開口周縁部(接合面部2a)に接合してシリンダ
ヘッド1を製造する方法を説明する(尚、以下の製造工
程では、シリンダヘッド本体2及びバルブシート3の天
地は逆になっている)。
【0058】先ず、Fe系材料の粉末を焼結することに
よってバルブシート3を作製する。このとき、バルブシ
ート3は、図3に示すように、バルブシート3及びシリ
ンダヘッド本体2の接合時の加圧力に耐え得るように、
その内周側及び上側(図1では下側)に肉厚が厚くなる
ように形成されている。すなわち、この段階ではバルブ
当接面部3cは形成せず、内周面は真っ直ぐに上方に延
びるように、また上面は略水平状となるようにそれぞれ
形成する。さらに、シリンダヘッド本体2との第1接合
面部3aのテーパ角(図3のθ1)は約0.52rad
(30°)に、また第2接合面部3bの傾斜角(図3の
θ2)は約0.35rad(20°)にそれぞれ形成す
る。すなわち、上記第1接合面部3aのテーパ角θ1
は、小さすぎると、バルブシート3をシリンダヘッド本
体2に埋め込むのは容易ではあるが、シリンダヘッド本
体2の接合面部2aにおける酸化皮膜破壊作用効果が低
下する一方、大きすぎると、バルブシート3の埋め込み
が困難になると共に、バルブシート3の最外径が大きく
なりすぎて2つのポート2b,2bの間隔を狭くするこ
とができなくなるので、約0.52rad(30°)に
設定している。
【0059】そして、Cu系材料の粉末を焼結すること
によって上記バルブシート3と略同径のリングを作製し
た後、このリングを上記焼結したバルブシート3の上面
に載せた状態で加熱炉に入れて溶融させることによりバ
ルブシート3の内部にCu系材料を溶浸させる。この
後、バルブシート3の上記第1及び第2接合面部3a,
3bを含む表面部全体に、酸化被膜形成防止等の観点か
らCuメッキ層(2μm程度)を施しておく。
【0060】続いて、図5(a)に模式的に示すよう
に、上記バルブシート3の第1及び第2接合面部3a,
3bに鉄側溶融反応層5を介してろう材層7を形成す
る。このとき、バルブシート3に、鉄側溶融反応層5の
厚さが1μm以下となるようにする。このようにバルブ
シート3に鉄側溶融反応層5及びろう材層7を形成する
には、ろう材浴中のバルブシート3の表面部に超音波振
動の付与によりろう材をコーティング(超音波メッキ)
する。すなわち、図6に示すように、振動板11の一端
部を超音波発振機12に取り付け、上記バルブシート3
をこの振動板11の他端部の上面に載せた状態で有底状
容器13内のろう材浴14に浸漬する。この状態で上記
超音波発振機12から振動板11を介して超音波振動を
バルブシート3に付与すると、超音波によるキャビテー
ション作用によりバルブシート3の表面部のCuメッキ
層や僅かに形成されていた酸化被膜が破壊され、ろう材
のZn成分がバルブシート3側に拡散してFe−Znか
らなる鉄側溶融反応層5が形成されると共に、この鉄側
溶融反応層5の表面側にろう材層7が形成される。この
ことで、ろう材をバルブシート3の表面部に擦りつける
という機械的な摩擦を利用する方法(摩擦ハンダ法)よ
りも確実かつ容易に鉄側溶融反応層5を形成することが
できる。ここで、上記超音波メッキの条件としては、例
えば、ろう材浴温度を400℃、超音波出力を400
W、超音波振動付与時間を20秒にそれぞれ設定すれば
よい。尚、フラックス等の酸化被膜を破壊する手段を用
いて、バルブシート3をろう材浴14に浸漬するだけの
溶融メッキ方法でも鉄側溶融反応層5及びろう材層7を
形成することはできるが、超音波メッキの方がより簡単
かつ確実に鉄側溶融反応層5の厚さを1μm以下にする
ことができる。
【0061】次に、上記バルブシート3を、予め鋳造等
により作製しておいたシリンダヘッド本体2のポート2
b開口周縁部つまりバルブシート3との接合面部2aに
接合する。このとき、シリンダヘッド本体2の接合面部
2aは、図4(a)に示すように、接合完了時の形状
(バルブシート3の第1及び第2接合面部3a,3bと
同じ形状)とは異なり、約0.79rad(45°)の
テーパ角を有している。
【0062】そして、バルブシート3をシリンダヘッド
本体2の接合面部2aに接合するには、図7に示すよう
に、市販のプロジェクション溶接機を改良した接合装置
20を用いて行う。この接合装置20は、略コ字状の支
持本体21を有しており、この支持本体21の上下水平
部21a,21bは片側の鉛直部21cのみに支持され
た片持ち状とされて、鉛直部21cと反対側は開口状と
されている。上記支持本体21の上側水平部21aの下
部には加圧シリンダ22が設けられ、この加圧シリンダ
22の下側には、加圧シリンダ22のシリンダロッド2
3に取り付けられかつこのシリンダロッド23と同一軸
上を上下移動可能な略円筒状のCu製上側電極24が設
けられている。一方、上記下側水平部21bの上側に
は、移動台27を介してCu製下側電極25が上側電極
24に対向した状態で設けられ、この下側電極25の斜
めに傾いた上面にシリンダヘッド本体2を、その接合面
部2aがシリンダヘッド本体2の上側となるように載せ
ることが可能とされている。上記移動台27の下側水平
部21bに対する水平方向位置と下側電極25の上面の
傾きとは調整可能とされており、バルブシート3を接合
する接合面部2aの中心軸が鉛直方向となりかつ上側電
極24の中心軸に略一致するように調整する。
【0063】上記上側及び下側電極24,25は、支持
本体21の鉛直部21c内に収納された溶接電源26に
それぞれ接続され、下側電極25上面におけるシリンダ
ヘッド本体2の接合面部2aにバルブシート3を載せた
状態でそのバルブシート3の上面部に上側電極24を当
接させてバルブシート3及びシリンダヘッド本体2を加
圧シリンダ22により加圧しつつ上記溶接電源26をO
Nすると、電流がバルブシート3からシリンダヘッド本
体2へと流れるようになっている。そして、上記上側電
極24のバルブシート3上面部に当接する下面部には、
図8(a)及び(b)に拡大して示すように、支持本体
21の鉛直部21cと反対側(支持本体21の開口側)
に非通電部としての切欠部28が形成されている。
【0064】上記シリンダヘッド本体2を上記接合装置
20の下側電極25上面に載せ、バルブシート3を接合
する接合面部2aの中心軸が上側電極24と略一致する
ように移動台26の水平方向位置と下側電極24上面の
傾きとを調整した後、その接合面部2a上にバルブシー
ト3を載せる。このとき、図4(a)に示すように、バ
ルブシート3の第1及び第2接合面部3a,3bの角部
のみがシリンダヘッド本体2の接合面部2aに当接して
いる状態にある。
【0065】次いで、加圧シリンダ22の作動により上
側電極24を下側に移動させて上記バルブシート3の上
面に当接させ、この状態からバルブシート3及びシリン
ダヘッド本体2の加圧を開始する。この加圧力は294
20N(3000kgf)程度が望ましい。そして、図
9に示すように、この加圧力を保持しながら、加圧開始
から約1.5秒経過後に溶接電源26をONしてバルブ
シート3及びシリンダヘッド本体2間の通電に伴う抵抗
発熱によりろう材層7におけるろう材の融点以上の温度
への加熱を行い、そのろう材を溶融させる。この電流値
は70kA程度が望ましい。
【0066】このとき、ろう材は約95重量%のZn成
分と約5重量%のAl成分との共晶組成からなるので、
その融点は、図11に示すように、約380℃と極めて
低く、通電開始から直ぐに共晶線に達して一斉に溶融す
る。一方、加圧により、図4(b)に示すように、バル
ブシート3の第1接合面部3aと第2接合面部3bとの
角部がシリンダヘッド本体2の接合面部2aを塑性流動
させながらバルブシート3がシリンダヘッド本体2に埋
め込まれていく。このことで、シリンダヘッド本体2の
接合面部2aの酸化被膜が破壊され、溶融したろう材の
Zn成分がシリンダヘッド本体2側に液相拡散してAl
−Znからなるアルミ側溶融反応層6を形成する(図5
(b)参照)。この拡散により、ろう材はZn成分の割
合が低下(Al成分の割合が増加)するので、500℃
程度以上まで高融点化(図11参照)して凝固すると共
に、溶融状態にある未反応のろう材は、図5(c)に示
すように、バルブシート3の第1及び第2接合面部3
a,3bとシリンダヘッド本体2の接合面部2aとの間
から上記酸化被膜や汚れと共に加圧により排出される。
このため、ろう材層7を介さずに鉄側溶融反応層5及び
アルミ側溶融反応層6が直接的に接合され、その両溶融
反応層5,6間で拡散がより一層促進される。しかも、
両溶融反応層5,6を介することでFe−Alという脆
い金属間化合物が生成するのを有効に防止することがで
きる。また、鉄側溶融反応層5及びアルミ側溶融反応層
6間の殆ど全ての部分に両溶融反応層5,6同士の合金
部が形成される。
【0067】したがって、バルブシート3とシリンダヘ
ッド本体2とは、短時間で鉄側溶融反応層5及びアルミ
側溶融反応層6を介して液相拡散接合され、ろう材を溶
融するための入熱量は最小限で済む。また、超音波メッ
キによりバルブシート3に、鉄側溶融反応層5の厚さが
1μm以下となるように鉄側溶融反応層5及びろう材層
7を形成しているので、鉄側溶融反応層5においてFe
成分の割合が多くなってろう材の組成が共晶組成ないし
その近傍組成から大きく外れるのを防止することができ
ると共に、このように共晶組成ないしその近傍組成から
外れたろう材が多くなるのを防止することができる。こ
のため、ろう材の組成を共晶組成ないしその近傍組成の
まま維持しておくことができる。この結果、少ない入熱
量で接合することができるため、バルブシート3の変形
やシリンダヘッド本体2の軟化を抑制することができ、
酸化被膜の破壊効果やろう材の排出効果を有効に高める
ことができる。よって、バルブシート3とシリンダヘッ
ド本体2との結合強度を非常に高くすることができる。
また、ろう材がシリンダヘッド本体2側に拡散すること
により、そのろう材の融点は500℃程度以上まで高く
なっているので、接合後は使用したろう材の融点以上の
耐熱性を有することになる。
【0068】さらに、バルブシート3の内部に、高電気
伝導率のCu系材料が溶浸されているので、焼結材内部
の空孔がCu系材料で満たされ、加圧力の一部が上記空
孔を潰すのに使われるということはなく、加圧力の全て
が直接的にシリンダヘッド本体2の接合面部2aを塑性
流動させかつろう材を排出するのに使用されると共に、
通電時にバルブシート3内部の発熱を抑制してろう材を
有効に溶融させることができる。
【0069】また、支持本体21の上下水平部21a,
21bは片持ち状とされて、その上下水平部21a,2
1bの撓みにより加圧力は支持本体21開口側が低くな
り、その分だけ各接合面部2a、3a,3bにおける支
持本体21開口側に相当する部分の接触抵抗が高くなっ
ているので、開口側の発熱量が過大となり、シリンダヘ
ッド本体2が局部的に溶融してバルブシート3との隙間
が生じることがある。これを防止するため、上述の如
く、上側電極24の下面部において支持本体21開口側
に切欠部28を形成してもよい。この場合、バルブシー
ト3及びシリンダヘッド本体2の支持本体21開口側に
相当する部分では電流値が小さくなる。このため、シリ
ンダヘッド本体2における支持本体21の開口側が局所
的に溶融してバルブシート3との間に隙間が生じるとい
うことはない。また、加圧シリンダ22のシリンダロッ
ド23と上側電極24との中心軸が一致しているので、
それらが一致していない装置に比べて上側電極24全体
における加圧力の差や上側電極24の水平方向位置の変
化を小さくすることができ、切欠部28の切欠きの程度
は少なくて済むと共に、シリンダヘッド本体2の接合面
部2aに対するバルブシート3の芯ずれを防止すること
ができる。尚、上記切欠部28を設ける代わりに上側電
極24の下面部に絶縁部材を貼り付けることでも、シリ
ンダヘッド本体2の局所的な溶融を防止することができ
る。
【0070】続いて、通電の開始から1.5〜2.5秒
経過後に溶接電源26をOFFして通電を停止すると、
バルブシート3はシリンダヘッド本体2の接合面部2a
に完全に埋め込まれた状態となる(図4(c)参照)。
このとき、加圧は停止しないでそのまま継続させる。す
なわち、アルミ側溶融反応層6が完全に凝固冷却するま
で加圧力を保持して、バルブシート3とシリンダヘッド
本体2との熱膨張率が異なることによる各接合面部2
a、3a,3bでの剥離や割れを防止する。
【0071】尚、図10に示すように、通電の停止と略
同時に加圧力を低下させるのがより望ましい。すなわ
ち、大きな加圧力では変形能が小さくなる凝固直後にお
いて加圧により各接合面部2a、3a,3bで割れが生
じる可能性が高いので、収縮変形に追従させ得る程度の
加圧力まで低下させて、加圧による凝固後の各接合面部
2a、3a,3bでの割れを確実に防止する。
【0072】その後、通電の停止から約1.5秒経過後
に加圧を停止することによりバルブシート3とシリンダ
ヘッド本体2との接合が完了する。続いて、同じシリン
ダヘッド本体2において同様の作業を繰り返して残り3
つの接合面部2a,2a,…に各バルブシート3を接合
する。
【0073】最後に、各バルブシート3の内周面部や上
面部等を切削加工することでバルブ当接面部3cを形成
する等して所定の形状に仕上げる。このことにより、シ
リンダヘッド本体2の各ポート2b開口周縁部に各バル
ブシート3が接合されたシリンダヘッド1が完成する。
【0074】したがって、上記実施形態1では、バルブ
シート3とシリンダヘッド本体2とを、通電に伴う発熱
及び加圧により、鉄側溶融反応層5及びアルミ側溶融反
応層6を介して液相拡散接合するようにしたので、接合
強度が高くかつ使用したろう材以上の耐熱性を有するシ
リンダヘッド1を短時間で得ることができる。また、ろ
う材を溶融しかつ排出することが可能なように加圧力や
電流値を設定するだけで済むので、高い接合強度が得ら
れる条件範囲が広い。しかも、焼ばめによる接合方法よ
りもバルブシート3を格段に小形化することができるの
で、2つのポート2b,2bの間隔を狭くしたりスロー
ト径を大きくしたりすることができる。さらに、断熱層
が生じることはなくてバルブ近傍の熱伝導率を向上させ
ることができ、しかも、ポート2b,2b間に設けた冷
却水通路をバルブシート側により近づけることが可能で
あるので、バルブ近傍の温度を有効に低下させることが
できる。さらに、グロープラグやインジェクタをポート
2b,2b間に配設したとしても、その間の肉厚を十分
に確保することができる。よって、エンジンの性能、信
頼性及び設計の自由度を向上させることができる。
【0075】尚、上記実施形態1では、各バルブシート
3を焼結により製造してその内部にCu系材料を溶浸す
るようにしたが、各バルブシート3内部の密度がある程
度確保されていれば、必ずしも溶浸する必要はない。ま
た、各バルブシート3を、焼結した後に鍛造を行って得
られる焼結鍛造材とすることにより、溶浸するのと同様
に、バルブシート3内部の空孔をなくすことができるの
で、ろう材を効果的に排出することができる。
【0076】また、上記実施形態1では、バルブシート
3及びシリンダヘッド本体2間の通電に伴う抵抗発熱に
よりろう材層7におけるろう材の融点以上の温度への加
熱を行い、そのろう材を溶融させるようにしたが、高周
波加熱等の局部加熱によりろう材を溶融させるようにし
てもよい。
【0077】さらに、上記実施形態1では、ろう材を共
晶組成からなるものとしたが、その近傍の組成であって
もよく、この場合、Znの割合が92〜98重量%とす
れば、ろう材の融点を400℃以下にすることができ、
バルブシート3の変形又はシリンダヘッド本体2の溶融
若しくは軟化を確実に防止することができ、バルブシー
ト3及びシリンダヘッド本体2の接合強度を有効に向上
させることができる。
【0078】(実施形態2)図12は本発明の実施形態
2を示し、バルブシート3及びシリンダヘッド本体2の
接合時における通電の制御方法が上記実施形態1と異な
る。
【0079】すなわち、この実施形態では、一定の電流
値で連続して電流を流すのではなく、大小の電流値の繰
り返しからなるパルス通電としたものである。このパル
ス通電の大きい側の電流値は約70kAで一定であり、
小さい側の電流値は0に設定している。また、大電流値
パルスの通電時間は0.25〜1秒であり、小電流値パ
ルスの通電時間(電流を流していない時間)は0.1〜
0.5秒程度である。さらに、大電流値パルス数は3〜
9パルス(図12では4パルス)が望ましい。尚、加圧
開始から最初の大電流値パルスの通電開始までの時間及
び最後の大電流値パルスの通電停止から加圧停止までの
時間は上記実施形態1と同じ1.5秒である。
【0080】このようなパルス通電を行ったときのバル
ブシート3の温度変化を図13に示す。つまり、Fe系
材料からなるバルブシート3の熱容量はかなり小さいた
めに、バルブシート3の抵抗発熱による温度上昇が激し
く、特にその上下方向中央部では、上側電極24やシリ
ンダヘッド本体2への放熱が容易な上下端部に比べて放
熱し難く、最初の大電流値パルスの通電時には、バルブ
シート3及びシリンダヘッド本体2間の接触抵抗が高い
ので、抵抗発熱量も大きくてバルブシート3の上下方向
中央部の温度は、その最初の大電流値パルスの通電停止
時にはA1変態点以上となっている。この段階で、バル
ブシート3はシリンダヘッド本体2に殆ど完全に埋め込
まれた状態となっているので、通電を完全に停止するこ
とも可能であるが、バルブシート3はA1変態点以上の
温度から急激に冷却されるので、その上下方向中央部に
は焼きが入って硬さが上昇してしまうことになる。
【0081】そこで、温度が少し低下した時点で2回目
の大電流値パルスの通電を行う。このとき、最初の大電
流値パルスの通電時とは異なり、冶金的接合により接触
抵抗が小さくなって抵抗発熱量は減少し、放熱も行われ
るので、最初と同じ電流値であってもそれ程温度上昇は
せず、このことを繰り返すことにより、徐冷されるた
め、バルブシート3の硬さは殆ど上昇しない。
【0082】したがって、上記実施形態2では、パルス
通電によりバルブシート3の上下方向中央部の温度を徐
々に低下させるようにしたので、バルブシート3の硬さ
が大きく上昇することはなく、その内周面部を切削加工
するときの加工性の悪化を防止することができる。ま
た、バルブ当接面部3cが硬くなりすぎることによって
バルブが摩耗し易くなるのを有効に抑制することができ
る。
【0083】尚、上記実施形態2では、パルス通電の大
電流値を一定とし、小電流値を0としたが、これに限ら
ず、例えば、図14(a)に示すように、大電流値を段
階的に低下させていってもよく、図14(b)に示すよ
うに、小電流値を0とせずに大電流値と0との中間値に
設定してもよい。また、図14(c)に示すように、最
初の大電流値パルスの通電に続いて小電流値パルス(図
14(c)では0)を通電した後、電流値を時間に対し
て比例して減少させる連続通電に切り替えてもよく、最
初の大電流値パルスの通電停止後は、バルブシート3を
徐冷可能であれば、どのような通電制御を行ってもよ
い。
【0084】また、バルブシート3の上側電極24への
放熱を向上させるために、その上側電極24内に冷却水
を通して水冷するようにすることが望ましい。さらに、
図15に示すように、上側電極24の下部に、バルブシ
ート3の内周面部に対向する円筒状の突起部31を設
け、この突起部31の外周部に円周方向に略等間隔に設
けた複数のノズル32,32,…から上側電極24内の
冷却水をバルブシート3の内周面部に噴霧するようにし
てもよい。このことで、バルブシート3の上下方向中央
部を有効に冷却し、バルブシート3がA1変態点以上に
過熱されるのを防止することができる。
【0085】(実施形態3)図16は本発明の実施形態
3を示し、バルブシート3及びシリンダヘッド本体2の
接合時における通電の制御方法を上記実施形態1,2と
異ならせたものである。
【0086】すなわち、この実施形態では、接合装置2
0が、バルブシート3の高さ方向の位置を検出するシー
ト位置検出手段としてのリミットスイッチ(図示せず)
を有し、バルブシート3がシリンダヘッド本体2に殆ど
完全に埋め込まれた状態となる接合位置で上記リミット
スイッチが作動するように構成されている。そして、通
電を開始した後、このリミットスイッチが作動すると、
通電開始時の初期電流値(約70kA)よりも小さい一
定の電流値に切り替えて通電するようになっている。そ
して、切り替え後の通電の停止は時間で行われ、初期電
流値の通電開始から1.5〜5秒で停止するようになっ
ている。
【0087】このようにバルブシート3がシリンダヘッ
ド本体2に殆ど完全に埋め込まれた状態で小さい電流値
に切り替えるという通電制御を行った場合の挙動につい
て説明する。
【0088】先ず、通電開始時には、上記実施形態2で
説明したように、バルブシート3はAl系材料からなる
シリンダヘッド本体2よりも格段に温度が上昇するの
で、熱膨張率(線膨張係数)がシリンダヘッド本体2よ
りも小さいにも拘らず、熱膨張量は大きい。このため、
バルブシート3がシリンダヘッド本体2に殆ど完全に埋
め込まれた状態で通電を完全に停止すると、バルブシー
ト3の収縮量がシリンダヘッド本体2よりも大きいの
で、バルブシート3に引張の熱応力が生じる。
【0089】そこで、初期電流値よりも小さい電流値に
切り替えて通電を行うと、上記実施形態2と同様に、バ
ルブシート3の温度は徐々に低下していく。一方、シリ
ンダヘッド本体2の温度はバルブシート3からの熱によ
り上昇するので、バルブシート3とシリンダヘッド本体
2との温度差は小さくなる。この状態で、通電を停止す
れば、収縮量の差は小さくなり、バルブシート3に生じ
る熱応力を低減することができる。
【0090】したがって、上記実施形態3では、バルブ
シート3がシリンダヘッド本体2に殆ど完全に埋め込ま
れた状態で初期電流値よりも小さい電流値に切り替える
ようにしたので、バルブシート3及びシリンダヘッド本
体2の熱容量及び熱膨張率の差に起因して生じる熱膨張
量(収縮量)の差を小さくすることができる。よって、
バルブシート3に生じる引張の熱応力を低減し、その内
周面部に縦クラックが発生するのを防止することができ
る。
【0091】尚、上記実施形態3では、リミットスイッ
チの作動による切替後の電流値を一定としたが、これに
限らず、例えば、図17(a)に示すように、切替後の
電流値を時間に対して比例するように低下させていって
もよく、図17(b)に示すように、上記実施形態2と
同様に、リミットスイッチの作動後は大電流値が初期電
流値よりも小さいパルス通電としてもよい。さらに、上
記実施形態2と同じ通電制御方法であっても、同様の作
用効果を得ることができる。
【0092】また、上記実施形態3では、リミットスイ
ッチによりバルブシート3の高さ方向の位置を検出して
電流値を切り替えるようにしたが、光センサ等の位置検
出手段を用いてもよく、位置を検出する代わりに時間で
電流値を切り替えるタイミングを制御してもよい。この
場合、通電開始から0.25〜1秒(より望ましくは
0.25〜0.5秒)で電流値を切り替えるのが望まし
く、この時間であればバルブシート3がシリンダヘッド
本体2に殆ど完全に埋め込まれた状態で切り替わること
になる。
【0093】さらに、バルブシート3をシリンダヘッド
本体2に接合する前に、シリンダヘッド本体2を200
℃程度まで予熱しておくことが望ましい。このようにす
れば、それらの温度差はより一層小さくなって、熱応力
を低く抑えることができる。この結果、バルブシート3
の縦クラックの発生を確実に防止することができ、リミ
ットスイッチの作動後における電流値の切替を不要にす
ることもできる。このようにシリンダヘッド本体2を予
熱するには、上記接合装置20を用いればよい。すなわ
ち、接合装置20の上側及び下側電極24,25をカー
ボン製のものと交換し、その両電極24,25でシリン
ダヘッド本体2を挟んだ状態にして溶接電源をONする
ことにより予熱を行う。このとき、両電極24,25が
カーボン製であるので、自己発熱が大きく、シリンダヘ
ッド本体2を効率良く予熱することができる。このよう
にすれば、インライン化対応も可能となる。
【0094】また、図18に示すように、バルブシート
3の上部には内周面側に向かって高さが高くなる上面テ
ーパ部3dを設ける一方、上側電極24の下部には上記
バルブシート3の上面テーパ部3dが略嵌合する円錐状
の凹部34を形成しておき、バルブシート3の上面テー
パ部3dを上側電極24の凹部34に略嵌合した状態で
加圧するようにしてもよい。すなわち、このように加圧
すれば、バルブシート3の縮径方向にも加圧力が作用す
るので、バルブシート3の温度が上昇してもその膨張を
防止することができ、シリンダヘッド本体2との温度差
が大きくても収縮量の差は小さくなる。よって、この場
合でも、バルブシート3に縦クラックが発生するのを防
止することができる。
【0095】さらに、図19に示すように、バルブシー
ト3の内周面側の応力集中を緩和すべく、内周面部と上
面部及び下面部との角部に面取り部3e,3eを形成す
ることが望ましい。
【0096】また、バルブシート3の内周面側は最終的
には削り取る部分であるので、その削り取る部分のみを
安価な材料として焼結するようにすることもできる。
【0097】(実施形態4)図20は、本発明の実施形
態4に係る接合装置20の要部を示し(尚、図7と同じ
部分についてはその詳細な説明は省略し、異なる箇所の
みを説明する)、通電経路を上記実施形態1〜3とは異
ならせたものである。
【0098】すなわち、この実施形態では、接合装置2
0は、上記実施形態1〜3と同様に下側電極25を有す
るが、この下側電極25は溶接電源26には接続されて
おらず、バルブシート3及びシリンダヘッド本体2を加
圧するためにのみ用いられている。そして、上側電極2
4は2つの第1及び第2電極24a,24bからなり、
この第1電極24aは上記実施形態1〜3と同じもので
ある。一方、上記第2電極24bは、第1電極24aを
上下移動させる加圧シリンダ22と同様の別の加圧シリ
ンダにより独立して上下移動可能とされている。また、
上記第2電極24bは、第1電極24aとは異なり、カ
ーボン製であり、この両電極24a,24bがそれぞれ
溶接電源26に接続されている。
【0099】上記第1及び第2電極24a,24bは、
同じシリンダヘッド本体2において新たに接合する未接
合バルブシート3及び前回接合した既接合バルブシート
3の上面にそれぞれ当接するようになっている。そし
て、溶接電源26をONすると、電流は、順に第1電極
24a、未接合バルブシート3、シリンダヘッド本体
2、既接合バルブシート3及び第2電極24bを流れ、
溶接電源26に戻るようになっている。このことで、既
接合バルブシート3は、未接合バルブシート3の接合時
の戻り側の通電経路とされている。
【0100】したがって、上記実施形態4では、未接合
バルブシート3を接合するときに、既接合バルブシート
3側では抵抗発熱量が小さく既接合バルブシート3の内
部温度が未接合バルブシート3のように上昇することは
ないが、カーボン製の第2電極24bが自己発熱するの
で、上記実施形態2で説明したように、既接合バルブシ
ート3に焼きが入って硬さが上昇していたとしても、適
度に焼戻しを行うことが可能となる。しかも、インライ
ンで工程を増やすことなく既接合バルブシート3の焼戻
しを行うことができる。よって、接合時におけるバルブ
シート3の硬さの上昇という熱影響を効果的に抑えるこ
とができる。
【0101】尚、上記実施形態4では、第2電極24b
をカーボン製としたが、これは最も自己発熱量が大きい
材料であるので、既接合バルブシート3の温度が高くな
りすぎる場合には、第2電極24bを、例えば鉄製又は
黄銅製として焼戻しを有効に行えるものを選択すればよ
い。
【0102】また、上記実施形態1〜4では、シリンダ
ヘッド本体2の接合面部2aを、接合前に約0.79r
ad(45°)のテーパ形状としたが、このテーパをな
くすようにしてもよい。この場合、図47(a)に示す
ように、予めバルブシート3を上側電極24に保持させ
ておく。すなわち、上側電極24の下部に、下方に向か
って外径が僅かに小さくなる突出部36を形成してお
き、この突出部36の外周面にバルブシート3の内周面
を若干の締り嵌め状態で嵌合させておく。次いで、上記
実施形態1〜4と同様に、上側電極24を下側に移動さ
せてバルブシート3及びシリンダヘッド本体2間の通電
及び加圧により両者を接合する(図47(b)参照)。
このとき、バルブシート3の第1接合面部3aと第2接
合面部3bとによりシリンダヘッド本体2を塑性流動さ
せながらバルブシート3がシリンダヘッド本体2に埋め
込まれていく。こうして接合が完了すると、図47
(c)に示すように、バルブシート3がシリンダヘッド
本体2に完全に埋め込まれた状態となり、シリンダヘッ
ド本体2には接合面部2aが形成されることになる。そ
して、上側電極24を上昇させると、その突出部36は
バルブシート3の内周面から容易に外れる。このように
シリンダヘッド本体2に予めテーパ状の接合面部2aを
形成しなくても、シリンダヘッド本体2とバルブシート
3との接合状態は、上記実施形態1〜4と殆ど同じとな
る。また、バルブシート3を予め上側電極24の突出部
36に保持しておくことで、バルブシート3のシリンダ
ヘッド本体2に対する位置決めを正確に行うことがで
き、しかも、シリンダヘッド本体2に対する機械加工を
省略することができるので、シリンダヘッド本体2のテ
ーパ状の接合面部2a上にバルブシート3を供給しかつ
位置決めして接合する場合よりも生産性を向上させるこ
とができる。
【0103】さらに、上記実施形態1〜4では、ろう材
を、Znが95重量%のZn−Al共晶合金としたが、
共晶組成ないしその近傍組成(例えばZnが92〜98
重量%)からなるZn−Al系合金であってもよい。
【0104】(実施形態5)図21は、本発明の実施形
態5に係る接合金属部材としてのディーゼルエンジンの
ピストン41を示し、このピストン41は、上記実施形
態1と同様に、Al系材料からなるピストン本体42
(第2の金属部材)の上部外周部にFe系材料からなる
耐摩環43(第1の金属部材)が、またピストン本体4
2の上部中央部に設けた燃焼室42a内のリップ部にF
e系(例えばオーステナイト系ステンレス鋼等)の強化
部材44(第1の金属部材)がそれぞれ接合されてな
る。
【0105】すなわち、従来は、耐摩環43を鋳ぐるん
でピストン本体42を鋳造しているが、ピストン本体4
2をT6熱処理してその強度を向上させようとしても、
耐摩環43を鋳ぐるんだ状態ではFe−Alという脆い
金属間化合物が生じるので、T6熱処理を行うことは不
可能である。しかし、この実施形態では、予めピストン
本体42をT6熱処理しておき、そのピストン本体42
に耐摩環43を接合することができる。また、たとえピ
ストン本体42に耐摩環43を接合した後にT6熱処理
したとしてもその耐熱性は良好であり、Fe−Alは生
じ難いので、問題はない。このため、ピストン41の耐
摩耗性及び強度の両方を向上させることができる。
【0106】一方、ピストン本体42の燃焼室42a内
の壁部には、特に角隅部にクラックが生じ易いという問
題がある。しかし、この実施形態では、燃焼室42a内
のリップ部に強化部材44が接合されているので、燃焼
室42a内の壁部にクラックが発生するのを防止するこ
とができる。
【0107】(実施形態6)図22は、本発明の実施形
態6に係る接合金属部材としてのエンジンのシリンダブ
ロック51の要部を示し、このシリンダブロック51
は、上記実施形態1と同様に、Al系材料からなるシリ
ンダブロック本体52(第2の金属部材)のウォーター
ジャケット52aの上部にFe系材料からなるリブ部材
53(第1の金属部材)が接合されてなる。尚、54は
気筒内周面部に嵌め込まれた鋳鉄製のライナである。
【0108】すなわち、従来は、シリンダブロック51
の剛性を向上させるために、そのシリンダブロック本体
52の鋳造時に砂中子を使用してウォータージャケット
部の上部にリブを一体で形成しているが、この方法で
は、鋳造時のサイクルタイムが長くなり、生産性が悪い
という問題がある。しかし、この実施形態では、シリン
ダブロック本体52の鋳造を容易にしつつ、リブ部材5
3を短時間でシリンダブロック本体52のウォータージ
ャケット52aの上部に接合することができ、シリンダ
ブロックの剛性を向上させることができる。このため、
気筒内周面部のライナ54の変形を防止することがで
き、LOCやNVH等のエンジン性能を向上させること
ができる。また、ライナレスシリンダブロックへの適用
も可能となる。
【0109】
【実施例】次に、具体的に実施した実施例について説明
する。先ず、第2の金属部材として、図23に示すよう
に、Al合金鋳物(JIS規格H5202に規定されて
いるAC4D)で試験片61を鋳造した。そして、この
試験片61に対してT6熱処理を施した。
【0110】続いて、表1に示すように、ろう材コーテ
ィング方法、シート形状及び第1接合面部のテーパ角θ
1を異ならせて5種類のFe系バルブシートを作製した
(実施例1〜5)。
【0111】この表1において、ろう材コーティング方
法の欄における「Friction」とは、バルブシー
トの表面部に鉄側溶融反応層及びろう材層を形成する
際、ろう材を擦りつけることによりコーティングを行う
方法(摩擦ハンダ法)のことである。一方、「超音波」
とは、上記実施形態1で説明したように、超音波メッキ
によりろう材のコーティングを行う方法のことである。
また、シート形状の欄における「薄肉」とは、図24に
示すように、バルブシートが最終形状に近い形状をして
肉厚が薄いことをいう。一方、「厚肉」とは、図25に
示すように、上記実施形態と同様の形状をして肉厚が厚
いことをいう。
【0112】尚、バルブシートの材料は、表2に示す成
分のものを使用した。この表2において、数値は重量%
であり、TCとは、総炭素量(遊離炭素(黒鉛)とセメ
ンタイトの炭素との合計量)のことである。
【0113】また、ろう材には、95重量%のZn成
分、4.95重量%のAl成分及び0.05重量%のM
g成分(Zn−Al共晶合金)からなるものを使用し
た。
【0114】さらに、各バルブシートの内部にはCu系
材料を溶浸し、表面にはCuメッキを施した。
【0115】上記実施例1〜5の各バルブシートを、上
記実施形態1と同様にして、接合装置により上記試験片
61に接合した。この接合時における加圧力及び電流値
は、表1に示す値に設定した。尚、電流値については、
加圧力の変化等によりバルブシート及び試験片61間の
接触抵抗が変化してバルブシートの埋め込み深さが変わ
るので、略同一埋め込み深さとなるように設定してい
る。
【0116】また、比較のために、厚肉形状でかつθ1
=0.52rad(30°)のバルブシート(表面にC
uメッキしたもの)を、加圧力及び電流値をそれぞれ2
9420N(3000kgf)及び70kAとして固相
拡散接合(圧接接合)した(比較例)。
【0117】次に、上記実施例1〜5及び比較例のバル
ブシートの接合強度を測定した。すなわち、図26に示
すように、試験片61を、バルブシート62の接合した
側が下側となるように治具台63の上面に置き、このと
き、バルブシート62がその治具台63に接触しないよ
うに、治具台63の略中央部に設けた貫通孔63aの上
側に位置させる。そして、試験片61の貫通孔61aの
上側から円筒状の加圧治具64を挿入してバルブシート
62を押し、バルブシート62が試験片61から抜けた
ときの抜き荷重を測定する。この抜き荷重が接合強度に
相当する。
【0118】上記抜き荷重測定試験の結果を図27に示
す。この結果、実施例1と実施例2とを比較すること
で、超音波メッキによりバルブシートの表面部に鉄側溶
融反応層及びろう材層を形成する方が、ろう材を擦りつ
けることによりコーティングを行う方法よりも接合強度
が向上することが判る。これは、試験後のバルブシート
の表面には、実施例2においては後述の如く鉄側溶融反
応層が残っていた(図30参照)のに対し、実施例1に
おいてはろう材層や鉄側溶融反応層の痕跡が殆ど認めら
れなかったことから、実施例1では鉄側溶融反応層が完
全に形成されていないためと推定することができる。
【0119】ここで、上記実施例2において、超音波メ
ッキした直後のバルブシート表面部の顕微鏡写真(倍率
約180倍)を図28に、また接合後におけるバルブシ
ート及び試験片61の接合面部の顕微鏡写真(倍率約3
60倍)を図29に、さらに抜き荷重測定試験後のバル
ブシート表面部の顕微鏡写真(倍率約360倍)を図3
0にそれぞれ示す。図28において、上側がバルブシー
トであり、その下側にはCuメッキ層ではなく薄い鉄側
溶融反応層を介してろう材層が形成されている。尚、バ
ルブシート内部には、Cu系材料が溶浸された空孔が存
在することが判る。また、図29において、上側のバル
ブシートと下側の試験片61との間には鉄側溶融反応層
及びアルミ側溶融反応層が存在している。さらに、図3
0において、バルブシートの表面部(下面部)には薄く
鉄側溶融反応層が残っていることが判る。
【0120】また、実施例2と実施例3とを比較するこ
とにより、厚肉形状のバルブシートの方が薄肉形状より
も抜き荷重が大きくなることが判る。これは、実施例2
のものは、バルブシートの各角部等に変形が生じている
ことから、変形によって接合面部に作用する実際の加圧
力が低下したためと推定することができる。
【0121】そして、実施例3と実施例4とを比較する
ことにより、第1接合面部のテーパ角θ1が大きい実施
例4の方が、上記実施形態1で説明したように、酸化皮
膜破壊作用効果が優れていて、接合強度は大きくなるこ
とが判る。
【0122】さらに、実施例4と実施例5とを比較する
と、加圧力が大きい実施例5の方が接合強度は高くなる
ことが判る。しかも、加圧力を29420N(3000
kgf)とすることで、比較例のものよりも接合強度が
格段に向上することが判る。
【0123】ここで、上記実施例5において、接合後に
おけるバルブシート及び試験片61の接合面部の電子顕
微鏡写真(倍率約10000倍)を図31に示す。この
図において、左側がバルブシート(白く見える部分を含
む)であり、右側が試験片61である。そして、その間
の灰色に見える部分が鉄側溶融反応層及びアルミ側溶融
反応層である。この両層の厚みは1μm以下であること
が判る。尚、この両層の元素を分析すると、Fe、Zn
及びAlがそれぞれ検出された。
【0124】上記加圧力の影響に関してさらに詳細に調
べるために、ろう材コーティング方法、シート形状及び
第1接合面部のテーパ角θ1を上記実施例4,5と同じ
にして加圧力を9807N(1000kgf)、147
10N(1500kgf)及び29420N(3000
kgf)にそれぞれ設定してバルブシートを試験片61
に接合し、上記最初に行った抜き荷重測定試験と同様
に、その抜き荷重を測定した。
【0125】また、加圧力が9807N(1000kg
f)のものと29420N(3000kgf)のものと
で接合後の試験片61の硬さを測定した。この硬さの測
定は、バルブシートの第1接合面部と第2接合面部との
角部(図33において接合面部からの距離=0の点)か
ら試験片61の外周側に向かってバルブシートが接合さ
れた側と反対側に約0.79rad(45°)傾いた方
向に沿って所定の距離ごとに行った。
【0126】上記抜き荷重測定試験の結果を図32に、
また硬さ測定試験の結果を図33にそれぞれ示す。この
ことで、加圧力が大きいほど接合強度は高く、高加圧力
の方が試験片61の接合面部近傍の硬さが高いことが判
る。これは、高加圧力の方が接触抵抗が低くて発熱量が
小さい分、試験片61の軟化が抑制されているからであ
り、軟化が抑えられると、塑性流動が確実に行われて酸
化皮膜の破壊作用効果が高まると共に、ろう材の排出も
確実に行われるためである。
【0127】次いで、パルス通電の効果を調べるため
に、パルス通電を行うことによりバルブシートを試験片
61に接合した。このパルス通電の大電流値及び小電流
値はそれぞれ70kA及び0とした。また、大電流値パ
ルスの通電時間は0.5秒とし、小電流値パルスの通電
時間は0.1秒とした。さらに、大電流値パルス数は6
パルスとした。一方、比較のために、連続通電(60k
Aの電流値で2秒間通電)によりバルブシートを試験片
61に接合した。尚、加圧力はどちらも29420N
(3000kgf)とした。
【0128】そして、パルス通電及び連続通電により接
合したものについて、各々、バルブシートの上下両端部
(A部)及び上下方向中央部(B部)における接合前及
び接合後の硬さ、試験片61においてバルブシートの第
1接合面部と第2接合面部との角部から該試験片61の
外周側に向かってバルブシートが接合された側と反対側
に約0.79rad(45°)傾いた方向に沿った所定
距離ごとの硬さ並びに抜き荷重を測定した。
【0129】上記接合前及び接合後の硬さ測定試験の結
果を図34に示す。このことで、連続通電により接合し
たものは、特に上下方向中央部(B部)の硬さが接合後
に非常に高くなるのに対し、パルス通電により接合した
ものは、徐冷により焼きが入らず、硬さが殆ど上昇して
いないことが判る。
【0130】また、接合面部からの距離による硬さ測定
試験の結果を図35に示す。この結果、パルス通電によ
り接合したものでは、バルブシートからの熱を受けるこ
とにより試験片61の硬さが低くなっていることが判
る。
【0131】さらに、抜き荷重測定結果を図36に示
す。以上のことから、パルス通電により、バルブシート
内部の徐冷を行って硬さが上昇するのを抑えつつ、試験
片61への放熱によりバルブシート及び試験片61の温
度差を低減して収縮量の差を小さくすることができ、し
かも、接合強度を向上させることができる。
【0132】続いて、パルス通電においてバルブシート
が試験片61にどのように埋め込まれていくかを調べる
ために、加圧開始からの時間に応じてその埋め込み量y
(図37参照)を測定した。このとき、パルス通電の大
電流値は68kAとし、小電流値は0とした。また、大
電流値パルスの通電時間(H)、小電流値パルスの通電
時間(C)及び大電流値パルス数(N)は可変とし、基
本条件では、それぞれ0.5秒、0.1秒及び6パルス
とした。そして、この基本条件に対していずれか1つの
みを変えて試験を行った(変更条件については図38参
照)。
【0133】上記埋め込み量測定試験の結果を図38に
示す。このことより、最初の大電流値パルスの通電によ
り殆ど埋め込みが完了し、後の通電では埋め込みは進行
していないことが判る。また、この試験の設定条件の範
囲では、埋め込み量は殆ど変わらない。但し、大電流値
パルスの通電時間が1秒と長い場合は、他の場合よりも
最初の大電流値パルスの通電のときから埋め込み量が僅
かに大きく、パルス数が9パルスと多い場合は、途中か
ら試験片61が軟化して埋め込みが進行することが判
る。したがって、最初の大電流値パルスの通電ではバル
ブシートの埋め込みが行える条件に、また2回目以降の
大電流値パルスの通電ではバルブシート内部の徐冷及び
シリンダヘッド本体への放熱が行える条件にそれぞれ設
定すればよい。
【0134】次に、バルブシートを焼結鍛造材とし、こ
れを29420N(3000kgf)の加圧力でパルス
通電により試験片61に接合した。このとき、パルス通
電の大電流値は60kAとし、小電流値は0とした。ま
た、大電流値パルスの通電時間、小電流値パルスの通電
時間及び大電流値パルス数を、それぞれ0.5秒、0.
1秒及び4パルスとした。尚、比較のために、Cu系材
料で溶浸した焼結材からなるバルブシートを同様に試験
片61に接合した。但し、パルス通電の大電流値は53
kAとした。そして、バルブシートが焼結鍛造材のもの
と溶浸した焼結材のものとについて、試験片61におい
てバルブシートの第1接合面部と第2接合面部との角部
から該試験片61の外周側に向かってバルブシートが接
合された側と反対側に約0.79rad(45°)傾い
た方向に沿った所定距離ごとの硬さを測定した。
【0135】この結果を図39に示す。このことより、
溶浸した焼結材の方が試験片61内部の硬さが低いこと
が判る。これは、Cu系材料の溶浸によりバルブシート
内部の発熱が抑制されて接合面部において発熱が有効に
行われたために、試験片61が軟化したからである。し
かし、バルブシートが焼結鍛造材であっても接合は良好
に行われている。このことは、シート及び試験片61の
接合面部の顕微鏡写真(図40では倍率約50倍、図4
1では倍率約400倍)からも判る。これは、鍛造によ
りバルブシート内部の空孔が潰されて、溶浸したのと同
様の効果を有するからである。
【0136】次いで、バルブシート(銅溶浸したもの)
に鉄側溶融反応層及びろう材層を形成する際に溶融メッ
キで行う場合と超音波メッキで行う場合とで抜き荷重に
どのような差が生じるかを調べた。このとき、溶融メッ
キ及び超音波メッキを施した各バルブシートを、それぞ
れ29420N(3000kgf)の加圧力でパルス通
電により試験片61に接合した。このパルス通電の大電
流値は70kAとし、小電流値は0とした。また、大電
流値パルスの通電時間、小電流値パルスの通電時間及び
大電流値パルス数を、それぞれ0.5秒、0.1秒及び
3パルスとした。
【0137】この抜き荷重測定結果を図42に示す。
尚、参考のために固相拡散接合した場合の抜き荷重も併
せて示す。この結果、超音波メッキの場合の方が溶融メ
ッキの場合よりも接合強度が向上することが判る。但
し、溶融メッキの場合でも固相拡散接合の場合よりも接
合強度は向上している。
【0138】ここで、溶融メッキを施した直後における
バルブシートの鉄側溶融反応層及びろう材層の顕微鏡写
真を図43に、また超音波メッキを施した直後における
バルブシートの鉄側溶融反応層及びろう材層の顕微鏡写
真を図44にそれぞれ示す(倍率は共に1000倍)。
これらの写真において上側がバルブシートであり、その
下側に鉄側溶融反応層及びろう材層が順に形成されてい
るが、溶融メッキの場合ではそれら2層が略同じ厚さで
あるのに対し、超音波メッキの場合では鉄側溶融反応層
は極めて薄い(1μm以下)。
【0139】そして、表3に、溶融メッキを施した直後
におけるバルブシートの鉄側溶融反応層及びろう材層の
化学成分と、超音波メッキを施した直後におけるバルブ
シートのろう材層の化学成分とを測定した結果を示す
(数値は重量%)。尚、超音波メッキの場合は上述の如
く鉄側溶融反応層が極めて薄いため、化学成分の測定は
不可能であった。但し、線分析の結果では、鉄側溶融反
応層が存在することが認められる。
【0140】このことより、溶融メッキの場合には、超
音波メッキの場合よりも鉄側溶融反応層がかなり厚くな
ると共に、鉄側溶融反応層におけるZn成分の割合が少
なくなって(Fe成分及びAl成分の割合は多くな
る)、ろう材の組成が共晶組成から大きく外れることも
判る。したがって、溶融メッキの場合、ろう材層は共晶
組成を維持しているものの、鉄側溶融反応層に非共晶組
成のろう材が多く存在するため、ろう材を溶融させるた
めの入熱量が多くなって試験片61が軟化し、このこと
で酸化被膜の破壊効果やろう材の排出効果が不十分とな
って、上記測定結果のように接合強度が超音波メッキの
場合よりも小さくなったと考えられる。このことより、
ろう材として最初から共晶組成から大きく外れた組成の
ものを使用すると、ろう材層も共晶組成から大きく外れ
た組成となって、酸化被膜の破壊効果やろう材の排出効
果が大幅に低下すると推定することができる。一方、超
音波メッキの場合には、ろう材の組成を共晶組成ないし
その近傍組成に維持して、酸化被膜の破壊効果やろう材
の排出効果が確実に得られ、両金属部材の接合強度をよ
り一層向上させることができる。
【0141】また、上記溶融メッキの場合と超音波メッ
キの場合とで接合後におけるバルブシート及び試験片6
1の接合面部の電子顕微鏡写真(倍率は共に10000
倍)を図45及び図46にそれぞれ示す。これら写真に
おいて上側がバルブシート(白く見える部分は溶浸され
た銅である)であり、下側の黒い部分が試験片61であ
る。そして、その間の灰色に見える部分が鉄側溶融反応
層及びアルミ側溶融反応層である。このことより、超音
波メッキの場合には、接合後においても鉄側溶融反応層
及びアルミ側溶融反応層のトータル厚みを溶融メッキの
場合よりもからり小さくできることが判る。
【0142】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明で
は、第1の金属部材と第2の金属部材とを接合する接合
方法として、予め上記第1の金属部材の接合面部に、上
記両金属部材よりも融点が低くかつ第2の金属部材との
共晶組成ないしその近傍組成からなるろう材と上記第1
の金属部材との拡散層を介して上記ろう材層を形成して
おき、上記第1の金属部材と第2の金属部材とを、該両
金属部材間の上記ろう材の融点以上の温度への加熱及び
加圧により、ろう材における第2の金属部材成分の割合
が多くなることでろう材が高融点化するようにろう材及
び第2の金属部材の拡散層を形成しかつ溶融したろう材
を両金属部材の接合面部間から排出しながら、上記両拡
散層を介した液相拡散接合を行うようにした。また、請
求項14の発明では、第1の金属部材と第2の金属部材
とが接合されてなる接合金属部材として、上記第1の金
属部材と第2の金属部材とを、該第1の金属部材の接合
面部に形成された上記両金属部材よりも融点が低くかつ
第2の金属部材との共晶組成ないしその近傍組成からな
るろう材と第1の金属部材との拡散層と、該第2の金属
部材の接合面部に、上記ろう材における第2の金属部材
成分の割合が多くなることでろう材が高融点化するよう
に溶融拡散して形成されたろう材と第2の金属部材との
拡散層とを介した状態で液相拡散接合するようにした。
したがって、これらの発明によると、インラインの作業
で、接合強度が安定的に高くかつ使用したろう材以上の
耐熱性を有する接合金属部材が得られる。
【0143】請求項2の発明によると、第1及び第2の
金属部材間の通電に伴う発熱により、ろう材の融点以上
の温度への加熱を行うようにしたことにより、簡単な具
体的加熱方法が容易に得られる。
【0144】請求項3又は15の発明によると、第1の
金属部材をFe系材料とし、第2の金属部材をAl系材
料とし、ろう材をZn系材料としたことにより、請求項
1の発明における接合方法又は請求項14の発明の接合
金属部材として、材料の組合せの最適化を図ることがで
きる。
【0145】請求項4又は16の発明によると、ろう材
をZnが92〜98重量%のZn−Al系合金としたこ
とにより、Fe系金属部材とAl系金属部材とを接合す
る場合に、融点が低くて取り扱いの簡単なろう材の具体
的材料が容易に得られる。
【0146】請求項5又は17の発明によると、ろう材
を、Znが95重量%のZn−Al共晶合金としたこと
により、Fe系金属部材とAl系金属部材との接合時に
最適なろう材が得られる。
【0147】請求項6の発明によると、第1の金属部材
を焼結材としたことにより、所定の形状を有する第1の
金属部材の製造を容易に行うことができる。
【0148】請求項7又は19の発明によると、第1の
金属部材を焼結鍛造材としたことにより、接合金属部材
の接合強度のさらなる向上化を図ることができる。
【0149】請求項8又は18の発明によると、第1の
金属部材の内部に高電気伝導率材料を溶浸するようにし
たことにより、接合金属部材の接合強度を効果的に向上
させることができる。
【0150】請求項9又は20の発明によると、高電気
伝導率材料をCu系材料としたことにより、安価な高電
気伝導率材料の具体的材料を容易に得ることができる。
【0151】請求項10の発明では、第1の金属部材
に、ろう材と第1の金属部材との拡散層における厚さが
1μm以下となるように、ろう材層及び該拡散層を形成
するようにした。また、請求項21の発明では、ろう材
と第1の金属部材との拡散層における厚さを1μm以下
に設定した。したがって、これらの発明によると、第2
の金属部材表面部における酸化被膜の破壊効果やろう材
の排出効果が確実に得られ、両金属部材の接合強度のさ
らなる向上化を図ることができる。
【0152】請求項11の発明によると、ろう材浴中の
第1の金属部材の表面部に超音波振動の付与によりろう
材をコーティングすることで、第1の金属部材にろう材
層及び拡散層を形成するようにしたことにより、簡単な
方法でろう材と第1の金属部材との拡散層を確実に形成
することができ、接合強度のより高い接合金属部材が得
られる。
【0153】請求項12の発明によると、第1の金属部
材及び第2の金属部材の液相拡散接合を、第2の金属部
材の接合面部を塑性流動させて行うようにしたことによ
り、簡単な方法でろう材と第2の金属部材との拡散層を
確実に形成することができ、接合金属部材の接合強度の
より一層の向上化を図ることができる。
【0154】請求項13の発明では、Fe系材料からな
る第1の金属部材とAl系材料からなる第2の金属部材
とを接合する接合方法として、予め上記第1の金属部材
の接合面部に、Znが95重量%のZn−Al共晶合金
からなるろう材と上記第1の金属部材との拡散層を介し
て上記ろう材層を形成しておき、上記第1の金属部材と
第2の金属部材とを、該両金属部材間の通電に伴う発熱
及び加圧により、上記ろう材におけるAl成分の割合が
多くなることでろう材が高融点化するようにろう材及び
第2の金属部材の拡散層を形成しかつ溶融したろう材を
両金属部材の接合面部間から排出しながら、上記両拡散
層を介した液相拡散接合を行うようにした。また、請求
項24の発明では、Fe系材料からなる第1の金属部材
とAl系材料からなる第2の金属部材とが接合されてな
る接合金属部材として、上記第1の金属部材と第2の金
属部材とを、該第1の金属部材の接合面部に形成され
た、Znが95重量%のZn−Al共晶合金からなるろ
う材と第1の金属部材との拡散層と、該第2の金属部材
の接合面部に、上記ろう材におけるAl成分の割合が多
くなることでろう材が高融点化するように溶融拡散して
形成されたろう材と第2の金属部材との拡散層とを介し
た状態で液相拡散接合するようにした。したがって、こ
れらの発明によると、Fe系金属部材とAl系金属部材
とを最も容易かつ確実な方法で接合することができ、そ
の接合強度を安定向上させかつろう材以上に耐熱性を向
上させることができる。
【0155】請求項22の発明によると、第1の金属部
材をエンジンのバルブシートとし、第2の金属部材をシ
リンダヘッド本体とし、接合金属部材を、そのバルブシ
ートがシリンダヘッド本体のポート開口周縁部に接合さ
れてなるシリンダヘッドとしたことにより、エンジンの
性能及び信頼性を向上させることができ、請求項14〜
21の発明の有効な利用化を図ることができる。
【0156】請求項23の発明によると、ろう材と第1
の金属部材との拡散層及びろう材と第2の金属部材との
拡散層間の少なくとも一部に、該両拡散層同士の合金部
を形成したことにより、接合強度のさらなる向上化を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る接合金属部材として
のエンジンのシリンダヘッドの要部を示す断面図であ
る。
【図2】バルブシート及びシリンダヘッド本体の接合状
態を模式的に示す断面図である。
【図3】バルブシートの接合前の形状を示す断面図であ
る。
【図4】バルブシートのシリンダヘッド本体への接合手
順を示す説明図である。
【図5】バルブシート及びシリンダヘッド本体の接合過
程を模式的に示す説明図である。
【図6】ろう材浴中のバルブシートの表面部に超音波振
動の付与によりろう材をコーティングしている状態を示
す説明図である。
【図7】接合装置を示す側面図である。
【図8】(a)は図7のVIII方向矢示図であり、(b)
は上側電極の下面図である。
【図9】加圧及び通電の制御方法を示すタイミングチャ
ートである。
【図10】加圧制御方法の他の例を示す図9相当図であ
る。
【図11】Al−Zn合金の状態図である。
【図12】実施形態2を示す図9相当図である。
【図13】パルス通電によるバルブシート内部の温度変
化を示すグラフである。
【図14】通電制御方法の他の例を示す図9相当図であ
る。
【図15】バルブシート内周面部に冷却水を噴霧してい
る状態を示す断面図である。
【図16】実施形態3を示す図9相当図である。
【図17】通電制御方法の他の例を示す図9相当図であ
る。
【図18】バルブシートを縮径方向にも加圧してその熱
膨張を抑えるようにしている状態を示す断面図である。
【図19】バルブシートの他の形状例を示す図3相当図
である。
【図20】実施形態4に係る接合装置によりバルブシー
ト及びシリンダヘッド本体を接合している状態を示す要
部断面図である。
【図21】実施形態5に係る接合金属部材としてのエン
ジンのピストンを示す断面図である。
【図22】実施形態6に係る接合金属部材としてのエン
ジンのシリンダブロックの要部を示す断面図である。
【図23】試験片を示す断面図である。
【図24】薄肉形状のバルブシートを示す断面図であ
る。
【図25】厚肉形状のバルブシートを示す断面図であ
る。
【図26】抜き荷重測定試験の要領を示す概略断面図で
ある。
【図27】実施例1〜5及び比較例のバルブシートにお
いて抜き荷重測定試験の結果を示すグラフである。
【図28】超音波メッキした直後のバルブシート表面部
の状態を示す顕微鏡写真である。
【図29】実施例2におけるバルブシート及び試験片の
接合状態を示す顕微鏡写真である。
【図30】抜き荷重測定試験後のバルブシート表面部の
状態を示す顕微鏡写真である。
【図31】実施例5におけるバルブシート及び試験片の
接合状態を示す顕微鏡写真である。
【図32】接合時加圧力と抜き荷重との関係を示すグラ
フである。
【図33】試験片の接合面部からの距離による硬さの変
化を示すグラフである。
【図34】連続通電及びパルス通電においてバルブシー
トの接合前後の硬さの変化を示すグラフである。
【図35】連続通電及びパルス通電において試験片の接
合面部からの距離による硬さの変化を示すグラフであ
る。
【図36】連続通電及びパルス通電において抜き荷重測
定試験の結果を示すグラフである。
【図37】埋め込み量測定試験における埋め込み量yを
示す説明図である。
【図38】加圧開始からの時間と埋め込み量yとの関係
を示すグラフである。
【図39】バルブシートが焼結鍛造材のものと溶浸した
焼結材のものとにおいて試験片の接合面部からの距離に
よる硬さの変化を示すグラフである。
【図40】焼結鍛造材からなるバルブシートと試験片と
の接合状態を示す顕微鏡写真である。
【図41】焼結鍛造材からなるバルブシートと試験片と
の接合状態をさらに拡大して示す顕微鏡写真である。
【図42】バルブシートに鉄側溶融反応層及びろう材層
を形成する際に溶融メッキで行う場合と超音波メッキで
行う場合との抜き荷重測定の結果を示すグラフである。
【図43】溶融メッキを施した直後のバルブシート表面
部の状態を示す顕微鏡写真である。
【図44】超音波メッキを施した直後のバルブシート表
面部の状態を示す顕微鏡写真である。
【図45】溶融メッキの場合におけるバルブシート及び
試験片の接合状態を示す顕微鏡写真である。
【図46】超音波メッキの場合におけるバルブシート及
び試験片の接合状態を示す顕微鏡写真である。
【図47】シリンダヘッド本体の接合前の形状を実施形
態1〜4と異ならせた変形例を示す図4相当図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド(接合金属部材) 2 シリンダヘッド本体(第2の金属部材) 2a 接合面部 2b ポート 3 バルブシート(第1の金属部材) 3a 第1接合面部 3b 第2接合面部 5 鉄側溶融反応層(ろう材とバルブシートとの拡散
層) 6 アルミ側溶融反応層(ろう材とシリンダヘッド本体
との拡散層) 7 ろう材層 14 ろう材浴
【表1】
【表2】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B23K 20/00 310 B23K 20/00 310L 310A 310M 20/10 20/10 35/28 310 35/28 310D C23C 2/32 C23C 2/32 F01L 3/02 F01L 3/02 E // B22F 3/26 B22F 3/26 B B23K 103:20 (72)発明者 杉本 幸弘 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 柴田 伸也 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の金属部材と第2の金属部材とを接
    合する接合方法であって、 予め上記第1の金属部材の接合面部に、上記両金属部材
    よりも融点が低くかつ第2の金属部材との共晶組成ない
    しその近傍組成からなるろう材と上記第1の金属部材と
    の拡散層を介して上記ろう材層を形成しておき、 上記第1の金属部材と第2の金属部材とを、該両金属部
    材間の上記ろう材の融点以上の温度への加熱及び加圧に
    より、ろう材における第2の金属部材成分の割合が多く
    なることでろう材が高融点化するようにろう材及び第2
    の金属部材の拡散層を形成しかつ溶融したろう材を両金
    属部材の接合面部間から排出しながら、上記両拡散層を
    介した液相拡散接合を行うことを特徴とする接合金属部
    材の接合方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の接合金属部材の接合方法
    において、 第1及び第2の金属部材間の通電に伴う発熱により、ろ
    う材の融点以上の温度への加熱を行うことを特徴とする
    接合金属部材の接合方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の接合金属部材の接
    合方法において、 第1の金属部材は、Fe系材料からなり、 第2の金属部材は、Al系材料からなり、 ろう材は、Zn系材料からなることを特徴とする接合金
    属部材の接合方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の接合金属部材の接合方法
    において、 ろう材は、Znが92〜98重量%のZn−Al系合金
    からなることを特徴とする接合金属部材の接合方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の接合金属部材の接合方法
    において、 ろう材は、Znが95重量%のZn−Al共晶合金から
    なることを特徴とする接合金属部材の接合方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の接合金
    属部材の接合方法において、 第1の金属部材は、焼結材であることを特徴とする接合
    金属部材の接合方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の接合金属部材の接合方法
    において、 第1の金属部材は、焼結鍛造材であることを特徴とする
    接合金属部材の接合方法。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7記載の接合金属部材の接
    合方法において、 第1の金属部材の内部に、ろう材層及び拡散層を形成す
    る前に予め高電気伝導率材料を溶浸することを特徴とす
    る接合金属部材の接合方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の接合金属部材の接合方法
    において、 高電気伝導率材料は、Cu系材料であることを特徴とす
    る接合金属部材の接合方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の接合
    金属部材の接合方法において、 第1の金属部材に、ろう材と第1の金属部材との拡散層
    における厚さが1μm以下となるように、ろう材層及び
    該拡散層を形成することを特徴とする接合金属部材の接
    合方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の接合金属部材の接合
    方法において、 ろう材浴中の第1の金属部材の表面部に超音波振動の付
    与によりろう材をコーティングすることで、第1の金属
    部材にろう材層及び上記ろう材と第1の金属部材との拡
    散層を形成することを特徴とする接合金属部材の接合方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載の接
    合金属部材の接合方法において、 第1の金属部材及び第2の金属部材の液相拡散接合は、
    第2の金属部材の接合面部を塑性流動させて行うことを
    特徴とする接合金属部材の接合方法。
  13. 【請求項13】 Fe系材料からなる第1の金属部材と
    Al系材料からなる第2の金属部材とを接合する接合方
    法であって、 予め上記第1の金属部材の接合面部に、Znが95重量
    %のZn−Al共晶合金からなるろう材と上記第1の金
    属部材との拡散層を介して上記ろう材層を形成してお
    き、 上記第1の金属部材と第2の金属部材とを、該両金属部
    材間の通電に伴う発熱及び加圧により、上記ろう材にお
    けるAl成分の割合が多くなることでろう材が高融点化
    するようにろう材及び第2の金属部材の拡散層を形成し
    かつ溶融したろう材を両金属部材の接合面部間から排出
    しながら、上記両拡散層を介した液相拡散接合を行うこ
    とを特徴とする接合金属部材の接合方法。
  14. 【請求項14】 第1の金属部材と第2の金属部材とが
    接合されてなる接合金属部材であって、 上記第1の金属部材と第2の金属部材とは、該第1の金
    属部材の接合面部に形成された、上記両金属部材よりも
    融点が低くかつ第2の金属部材との共晶組成ないしその
    近傍組成からなるろう材と第1の金属部材との拡散層
    と、該第2の金属部材の接合面部に、上記ろう材におけ
    る第2の金属部材成分の割合が多くなることでろう材が
    高融点化するように溶融拡散して形成されたろう材と第
    2の金属部材との拡散層とを介した状態で液相拡散接合
    されていることを特徴とする接合金属部材。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の接合金属部材におい
    て、 第1の金属部材は、Fe系材料からなり、 第2の金属部材は、Al系材料からなり、 ろう材は、Zn系材料からなることを特徴とする接合金
    属部材。
  16. 【請求項16】 請求項15記載の接合金属部材におい
    て、 ろう材は、Znが92〜98重量%のZn−Al系合金
    からなることを特徴とする接合金属部材。
  17. 【請求項17】 請求項16記載の接合金属部材におい
    て、 ろう材は、Znが95重量%のZn−Al共晶合金から
    なることを特徴とする接合金属部材。
  18. 【請求項18】 請求項14〜17のいずれかに記載の
    接合金属部材において、 第1の金属部材は、内部に高
    電気伝導率材料が溶浸された焼結材であることを特徴と
    する接合金属部材。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の接合金属部材におい
    て、 第1の金属部材は、焼結鍛造材であることを特徴とする
    接合金属部材。
  20. 【請求項20】 請求項18又は19記載の接合金属部
    材において、 高電気伝導率材料は、Cu系材料であることを特徴とす
    る接合金属部材。
  21. 【請求項21】 請求項14〜20のいずれかに記載の
    接合金属部材において、 ろう材と第1の金属部材との拡散層における厚さが、1
    μm以下に設定されていることを特徴とする接合金属部
    材。
  22. 【請求項22】 第1の金属部材は、エンジンのバルブ
    シートであり、 第2の金属部材は、シリンダヘッド本体であり、 上記バルブシートがシリンダヘッド本体のポート開口周
    縁部に接合されてなるシリンダヘッドであることを特徴
    とする請求項14〜21のいずれかに記載の接合金属部
    材。
  23. 【請求項23】 請求項14〜22のいずれかに記載の
    接合金属部材において、 ろう材と第1の金属部材との拡散層及びろう材と第2の
    金属部材との拡散層間の少なくとも一部に、該両拡散層
    同士の合金部が形成されていることを特徴とする接合金
    属部材。
  24. 【請求項24】 Fe系材料からなる第1の金属部材と
    Al系材料からなる第2の金属部材とが接合されてなる
    接合金属部材であって、 上記第1の金属部材と第2の金属部材とは、該第1の金
    属部材の接合面部に形成された、Znが95重量%のZ
    n−Al共晶合金からなるろう材と第1の金属部材との
    拡散層と、該第2の金属部材の接合面部に、上記ろう材
    におけるAl成分の割合が多くなることでろう材が高融
    点化するように溶融拡散して形成されたろう材と第2の
    金属部材との拡散層とを介した状態で液相拡散接合され
    ていることを特徴とする接合金属部材。
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