JP4178568B2 - 金属部材の接合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1の金属部材と第2の金属部材とが拡散接合されてなる金属部材の接合方法に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばエンジンのシリンダヘッドにおいてバルブシートをシリンダヘッド本体の吸気及び排気用ポートの開口周縁部に接合する場合のように、金属部材同士を接合する方法としては焼ばめによる方法がよく知られている。
【0003】
また、例えば特開平8−100701号公報に示されているように、バルブシートとAl系シリンダヘッド本体とをAl−Zn系ろう材及びフッ化物系フラックスによりろう付け接合するようにすることが提案されている。
【0004】
さらに、例えば特開昭58−13481号公報に示されているように、両部材の接合面部における接触抵抗加熱を利用した抵抗溶接により金属部材同士を接合する方法が知られている。そして、この抵抗溶接では、例えば特開平6−58116号公報に示されているように、焼結材で構成されたバルブシートの空孔に金属を溶浸することによって、焼結材内部の発熱量を低減して接合面部での発熱量を増大させるようにすることや、例えば特開平8−270499号公報に示されているように、バルブシートの表面に皮膜を形成し、その皮膜をシリンダヘッド本体との結合時に溶融させるようにすることが提案されている。
【0005】
また、例えば特開平8−200148号公報に示されているように、バルブシートとシリンダヘッド本体とを、シリンダヘッド本体の接合面部に塑性変形層を形成しつつ溶融反応層を形成することなく固相拡散接合(圧接接合)するようにすることが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来例のように金属部材同士を焼ばめにより接合する方法では、被接合金属部材の脱落を確実に防止しかつ焼ばめ時の締付力に耐えるようにするために、被接合金属部材を比較的大きくしておく必要がある。このため、シリンダヘッドではバルブシートの肉厚や幅が大きくなり、ポート間隔を狭くしたりスロート径を大きくしたりするには限界がある。さらに、バルブシート及びシリンダヘッド本体間には断熱層が存在するので、熱伝導率が低くなってバルブ及びバルブシート近傍の温度を有効に低下させることができないという問題がある。
【0007】
また、ろう付けや抵抗溶接により金属部材同士を接合する方法では、両部材間の熱伝導率を向上させることはできるものの、基本的に接合強度が低く、バルブシートとシリンダヘッドとの接合に採用するのは困難である。特にろう付けによる接合方法では、炉の中で長時間加熱する必要があるので、インライン化対応も不可能、事前に熱処理を施したアルミ部材では熱処理効果が失われる、また、アルミニウム鋳物用ろう材は融点が低く、耐熱性が低いという問題がある。
【0008】
一方、上記固相拡散接合方法では、焼ばめによる接合方法よりもバルブシートを格段に小形化することができ、エンジンの設計自由度を向上させることができるという利点を有するが、固相拡散接合であるため、加圧力や電流量等の接合条件に厳格な管理が必要である。特に、Al系のシリンダヘッド本体とFe系のバルブシートとの接合では、Fe−Alという脆い金属間化合物の発生を抑えつつFe及びAlの原子を拡散させるという相反することを行う必要があるため、接合条件の設定をより厳格に行う必要がある。
【0009】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第1の金属部材を第2の金属部材に接合する場合に、上記従来の接合方法を改良することによって、従来よりも高い接合強度を有する金属部材を短時間で容易に得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、第1の金属部材と第2の金属部材とを、加圧した状態下でパルス電流により通電加熱して拡散接合することとした。
【0011】
具体的には、請求項1に記載の発明は、第1の金属部材を第2の金属部材の接合面に当接させた状態で加圧及び通電加熱することによって、該両部材を拡散接合する金属部材の接合方法であって、上記第2の金属部材は、Al系材料からなり、通電電流を、大小の電流値の繰り返しからなるパルス電流とし、予め第1の金属部材の表面部に超音波振動を付与して上記両金属部材よりも融点の低い、Zn−Al系材料からなるろう材をコーティングすることで該ろう材と該第1の金属部材との拡散層を形成すると共に、該第1の金属部材の表面部に該拡散層を介して上記ろう材層を形成しておき、上記第1の金属部材と第2の金属部材とを加圧、及び上記ろう材の融点以上の温度への通電加熱を行うことにより、該第2の金属部材の接合面部を塑性流動させると共に、上記ろう材における第2の金属部材成分の割合が多くなることでろう材が高融点化するようにろう材と第2の金属部材との拡散層を形成しかつ溶融したろう材を該両部材の接合面部間から排出しながら、該両部材を上記両拡散層を介した液相拡散状態で接合することとしたものである。
【0012】
このことにより、最初の大電流値パルスの通電時に、第1の金属部材と第2の金属部材との間の接触抵抗により大きな抵抗発熱が生じる。そのため、両部材間の接合面部の温度が上昇し、両部材の拡散接合が始まる。その後、温度が少し低下した時点で2回目以降の大電流値パルスの通電が行われる。このとき、両部材間の接合面部では、冶金的接合により接触抵抗が低下しているので、最初の大電流値パルス通電時と異なり、抵抗発熱量は減少する。そのため、両部材の温度は徐々に低下し、徐冷されるので、その硬さが大きく上昇することが防止される。その結果、加工性に優れ、種々の用途に便利な接合金属部材が得られる。
【0013】
また、ろう材を排出して拡散層を介した状態で第1の金属部材と第2の金属部材とを液相拡散接合するので、第2の金属部材表面部の酸化被膜や汚れ等がろう材と共に排出されると共に、ろう材層を介さずに拡散層が直接的に接合され、拡散がより一層促進される。しかも、その拡散は液相拡散であるので、極めて速く行われる。また、ろう材を溶融しかつ排出することが可能なように加圧力や電流値を設定するだけで済むので、高い接合強度が得られる条件範囲が広い。さらに、通常、ろう材の融点は低いが、そのろう材は排出され、僅かに残っていたとしても、ろう材の成分の割合が拡散層の形成により変化するので、接合後のろう材の融点を高くすることができる。よって、インラインの作業で、接合強度が高くかつ使用したろう材以上の耐熱性を有する接合金属部材を得ることができる。
【0014】
さらに、超音波によるキャビテーション作用により第1の金属部材の表面部の酸化被膜やメッキ層が破壊されるので、ろう材を第1の金属部材の表面部に擦りつけるという機械的な摩擦を利用する方法よりも確実にろう材を第1の金属部材側に拡散させることができる。また、フラックスを用いたろう付けを行う場合のようなフラックス除去のための後工程が不要である。よって、簡単な方法で拡散層を確実に形成することができ、接合強度のより高い接合金属部材が得られる。
【0015】
その上、第2の金属部材表面の酸化被膜が効果的に破壊されて接合面から排出されるので、ろう材を第2の金属部材側に確実に拡散させることができると共に、第2の金属部材の表面を特に保護しておく必要はない。一方、第2の金属部材の塑性流動は、第1の金属部材及び第2の金属部材を加圧するときにその加圧力を利用することで容易に行うことができ、特別な手段は不要である。よって、簡単な方法で拡散層を確実に形成することができ、接合金属部材の接合強度のさらなる向上化を図ることができる。
【0016】
また、Zn系のろう材は融点が比較的低いので、ろう材の溶融及び排出を容易かつ確実に行うことができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金属部材の接合方法において、第1の金属部材は、Fe系材料からなることとしたものである。
【0018】
このことにより、Zn系のろう材はFe系の第1の金属部材とFe−Znの拡散層を、またAl系の第2の金属部材とAl−Znの拡散層をそれぞれ容易に形成する。さらに、両拡散層を介した接合であるので、Fe−Alという脆い金属間化合物が生成するのを有効に防止することができる。よって、請求項1に記載の接合方法に最適な材料の組合せが得られる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1〜2のいずれか一つに記載の金属部材の接合方法において、第1の金属部材を第2の金属部材に当接させる前に、予め該第1の金属部材の内部にCu系材料を溶浸することとしたものである。
【0020】
このことにより、Cu系材料が第1の金属部材内部の空孔に溶浸するので、鍛造と同様の効果が得られると共に、通電時に第1の金属部材内部の発熱を抑制してろう材を有効に溶融させることができる。よって、接合金属部材の接合強度を有効に向上させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(基本形態)
まず、本発明の適用対象として、エンジンのシリンダヘッド1をシリンダヘッド本体2に連続通電によって拡散接合する接合方法及び接合装置を、基本形態として説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態1に係る接合金属部材としてのエンジンのシリンダヘッド1の要部を示し、このシリンダヘッド1は、ベース部材(第2の金属部材)としてのシリンダヘッド本体2における4つの吸気及び排気用ポート2b,2b,…の開口周縁部つまりバルブが当接する位置に略リング状のバルブシート3,3,…(第1の金属部材)が後述の如く接合されてなるものである。上記各ポート2bの開口周縁部はシリンダヘッド1の下側から見て略正方形状に並べられており、その各開口周縁部は各バルブシート3との接合面部2aとされている。
【0023】
上記各バルブシート3の内周面部はバルブ当接面部3cとされて、バルブ上面の形状に沿うように上方に向かって径が小さくなるテーパ状に形成されている。また、各バルブシート3の外周面部は、シリンダヘッド本体2との第1接合面部3aであって、内周面と同様にテーパ状に形成されている。さらに、各バルブシート3の上面部は、シリンダヘッド本体2との第2接合面部3bであって、内周側に向かって上方に傾斜している。
【0024】
上記各バルブシート3はFe系材料からなる焼結材であり、その内部には高電気伝導率材料としてのCu系材料が溶浸されている。この各バルブシート3のシリンダヘッド本体2との第1及び第2接合面部3a,3bには、図2に模式的に示すように、Zn−Al系材料(約95重量%のZn成分及び約5重量%のAl成分)からなるろう材と該バルブシート3との拡散層たる拡散接合層5が形成されている。すなわち、この拡散接合層5は、上記ろう材のZn成分がバルブシート3側に拡散することにより形成されたFe−Znからなっている。
【0025】
一方、上記シリンダヘッド本体2はAl系材料からなり、このシリンダヘッド本体2の各バルブシート3との接合面部2aには上記ろう材と該シリンダヘッド本体2との拡散層たる溶融反応層6が形成されている。すなわち、この溶融反応層6は、上記ろう材のZn成分が溶融状態でシリンダヘッド本体2側に液相拡散することにより形成されたAl−Znからなっている。
【0026】
そして、上記各バルブシート3とシリンダヘッド本体2とは、上記拡散接合層5及び溶融反応層6を介した液相拡散状態で接合され、この拡散接合層5及び溶融反応層6のトータルの厚さは1.0μm以下とされている。尚、図2では、拡散接合層5及び溶融反応層6間にろう材層7が形成されているが、このろう材層7の厚さは極めて小さく実質的には殆ど無いと見做せる状態にある。
【0027】
以上の構成からなるシリンダヘッド1において各バルブシート3をシリンダヘッド本体2の各ポート2b開口周縁部(接合面部2a)に接合してシリンダヘッド1を製造する方法を説明する(尚、以下の製造工程では、シリンダヘッド本体2及びバルブシート3の天地は逆になっている)。
【0028】
先ず、Fe系材料の粉末を焼結することによってバルブシート3を作製する。このとき、バルブシート3は、図3に示すように、バルブシート3及びシリンダヘッド本体2の接合時の加圧力に耐え得るように、その内周側及び上側(図1では下側)に肉厚が厚くなるように形成されている。すなわち、この段階ではバルブ当接面部3cは形成せず、内周面は真っ直ぐに上方に延びるように、また上面は略水平状となるようにそれぞれ形成する。さらに、シリンダヘッド本体2との第1接合面部3aのテーパ角(図3のθ1)は約0.52rad(30°)に、また第2接合面部3bの傾斜角(図3のθ2)は約0.26rad(15°)にそれぞれ形成する。すなわち、上記第1接合面部3aのテーパ角θ1は、小さすぎると、バルブシート3をシリンダヘッド本体2に埋め込むのは容易ではあるが、シリンダヘッド本体2の接合面部2aにおける酸化皮膜破壊作用効果が低下する一方、大きすぎると、バルブシート3の埋め込みが困難になると共に、バルブシート3の最外径が大きくなりすぎて2つのポート2b,2bの間隔を狭くすることができなくなるので、約0.52rad(30°)に設定している。
【0029】
そして、Cu系材料の粉末を焼結することによって上記バルブシート3と略同径のリングを作製した後、このリングを上記焼結したバルブシート3の上面に載せた状態で加熱炉に入れて溶融させることによりバルブシート3の内部にCu系材料を溶浸させる。この後、バルブシート3の上記第1及び第2接合面部3a,3bを含む表面部全体に、酸化被膜形成防止等の観点からCuメッキ層(2μm程度)を施しておく。
【0030】
続いて、図5(a)に模式的に示すように、上記バルブシート3の接合面に拡散接合層5を介してろう材層7を形成する。このバルブシート3にろう材層7及び拡散接合層5を形成するには、ろう材浴中のバルブシート3の表面部に超音波振動の付与によりろう材をコーティング(超音波メッキ)する。すなわち、図6に示すように、振動板11の一端部を超音波発振機12に取り付け、上記バルブシート3をこの振動板11の他端部の上面に載せた状態で有底状容器13内のろう材浴14に浸漬する。この状態で上記超音波発振機12から振動板11を介して超音波振動をバルブシート3に付与すると、超音波によるキャビテーション作用によりバルブシート3の表面部のCuメッキ層や僅かに形成されていた酸化被膜が破壊され、ろう材のZn成分がバルブシート3側に拡散してFe−Znからなる拡散接合層5が形成されると共に、この拡散接合層5の表面側にろう材層7が形成される。このことで、ろう材をバルブシート3の表面部に擦りつけるという機械的な摩擦を利用する方法よりも確実かつ容易に拡散接合層5を形成することができる。尚、上記超音波メッキの条件としては、例えば、ろう材浴温度を400℃、超音波出力を400W、超音波振動付与時間を20秒にそれぞれ設定すればよい。
【0031】
次に、上記バルブシート3を、予め鋳造等により作製しておいたシリンダヘッド本体2のポート2b開口周縁部つまりバルブシート3との接合面部2aに接合する。このとき、シリンダヘッド本体2の接合面部2aは、図4(a)に示すように、接合完了時の形状(バルブシート3の第1及び第2接合面部3a,3bと同じ形状)とは異なり、約0.79rad(45°)のテーパ角を有している。
【0032】
そして、バルブシート3をシリンダヘッド本体2の接合面部2aに接合するには、図7に示すように、市販のプロジェクション溶接機を改良した接合装置20を用いて行う。この接合装置20は、略コ字状の支持本体21を有しており、この支持本体21の上下水平部21a,21bは片側の鉛直部21cのみに支持された片持ち状とされて、鉛直部21cと反対側は開口状とされている。上記支持本体21の上側水平部21aの下部には加圧シリンダ22が設けられ、この加圧シリンダ22の下側には、加圧シリンダ22のシリンダロッド23に取り付けられ、かつこのシリンダロッド23と同一軸上を上下移動可能な略円筒状のCu製上側電極24が設けられている。一方、上記下側水平部21bの上側には、移動台27を介してCu製下側電極25が上側電極24に対向した状態で設けられ、この下側電極25の斜めに傾いた上面にシリンダヘッド本体2を、その接合面部2aがシリンダヘッド本体2の上側となるように載せることが可能とされている。上記移動台27の下側水平部21bに対する水平方向位置と下側電極25の上面の傾きとは調整可能とされており、バルブシート3を接合する接合面部2aの中心軸が鉛直方向となりかつ上側電極24の中心軸に略一致するように調整する。
【0033】
上記上側及び下側電極24,25は、支持本体21の鉛直部21c内に収納された溶接電源26にそれぞれ接続され、下側電極25上面におけるシリンダヘッド本体2の接合面部2aにバルブシート3を載せた状態でそのバルブシート3の上面部に上側電極24を当接させてバルブシート3及びシリンダヘッド本体2を加圧シリンダ22により加圧しつつ上記溶接電源26をONすると、電流がバルブシート3からシリンダヘッド本体2へと流れるようになっている。そして、上記上側電極24のバルブシート3上面部に当接する下面部には、図8に拡大して示すように、支持本体21の鉛直部21cと反対側(支持本体21の開口側)に非通電部としての切欠部28が形成されている。
【0034】
上記シリンダヘッド本体2を上記接合装置20の下側電極25上面に載せ、バルブシート3を接合する接合面部2aの中心軸が上側電極24と略一致するように移動台26の水平方向位置と下側電極24上面の傾きとを調整した後、その接合面部2a上にバルブシート3を載せる。このとき、図4(a)に示すように、バルブシート3の第1及び第2接合面部3a,3bの角部のみがシリンダヘッド本体2の接合面部2aに当接している状態にある。
【0035】
次いで、加圧シリンダ22の作動により上側電極24を下側に移動させて上記バルブシート3の上面に当接させ、この状態からバルブシート3及びシリンダヘッド本体2の加圧を開始する。この加圧力は29420N(3000kgf)程度が望ましい。そして、図9に示すように、この加圧力を保持しながら、加圧開始から約1.5秒経過後に溶接電源26をONしてバルブシート3及びシリンダヘッド本体2間の通電に伴う抵抗発熱によりろう材層7のろう材を溶融させる。この電流値は70kA程度が望ましい。
【0036】
このとき、約95重量%のZn成分及び約5重量%のAl成分からなるろう材の融点は、図11に示すように、約380℃と極めて低く、通電開始から直ぐに溶融する。また、上記抵抗発熱によりシリンダヘッド本体2の接合面部2aは軟化し、図4(b)に示すように、加圧によりバルブシート3の第1接合面部3aと第2接合面部3bとの角部がシリンダヘッド本体2の接合面部2aを塑性流動させながらバルブシート3がシリンダヘッド本体2に埋め込まれていく。このことで、シリンダヘッド本体2の接合面部2aの酸化被膜が確実に破壊され、溶融したろう材のZn成分がシリンダヘッド本体2側に液相拡散してAl−Znからなる溶融反応層6を形成する(図5(b)参照)。
【0037】
一方、図5(c)に示すように、加圧によりろう材層7のろう材が殆ど全てバルブシート3の第1及び第2接合面部3a,3bとシリンダヘッド本体2の接合面部2aとの間から上記酸化被膜や汚れと共に排出される。このため、ろう材層7を介さずに拡散接合層5及び溶融反応層6が直接的に接合され、その両層5,6間で拡散がより一層促進される。しかも、両層5,6を介することでFe−Alという脆い金属間化合物が生成するのを有効に防止することができる。したがって、バルブシート3とシリンダヘッド本体2とは、拡散接合層5及び溶融反応層6を介した液相拡散状態で接合され、その結合強度は非常に高くなる。また、ろう材層7が僅かに残っていたとしても、そのろう材のZn比率は拡散により減少し、その融点は500℃程度以上まで上昇する(図11参照)。このため、接合後は使用したろう材の融点以上の耐熱性を有することになる。
【0038】
さらに、バルブシート3の内部に、高電気伝導率のCu系材料が溶浸されているので、焼結により生じた内部の空孔がCu系材料で満たされ、加圧力の一部が上記空孔を潰すのに使われるということはなく、加圧力の全てが直接的にシリンダヘッド本体2の接合面部2aを塑性流動させかつろう材を排出するのに使用されると共に、通電時にバルブシート3内部の発熱を抑制してろう材を有効に溶融させることができる。
【0039】
また、支持本体21の上下水平部21a,21bは片持ち状とされて、その上下水平部21a,21bの撓みにより加圧力は支持本体の開口側が低くなり、その分だけ接触抵抗が高くなっているので、開口側の発熱量が過大となり、アルミニウムが局部的に溶解してバルブシートとの隙間が生じることがある。これを防止するため、図8(a)及び(b)に示すように、上側電極24の下面部において支持本体21開口側に切欠部28を形成してもよい。この場合、バルブシート3及びシリンダヘッド本体2の支持本体21開口側に相当する部分では電流値が小さくなる。このため、シリンダヘッド本体2における支持本体21の開口側が局所的に溶融してバルブシート3との間に隙間が生じるということはない。また、加圧シリンダ22のシリンダロッド23と上側電極24との中心軸が一致しているので、それらが一致していない装置に比べて上側電極24全体における加圧力の差や上側電極24の水平方向位置の変化を小さくすることができ、切欠部28の切欠きの程度は少なくて済むと共に、シリンダヘッド本体2の接合面部2aに対するバルブシート3の芯ずれを防止することができる。尚、上記切欠部28を設ける代わりに上側電極24の下面部に絶縁部材を貼り付けることでも、シリンダヘッド本体2の局所的な溶融を防止することができる。
【0040】
続いて、通電の開始から1.5〜2.5秒経過後に溶接電源26をOFFして通電を停止すると、バルブシート3はシリンダヘッド本体2の接合面部2aに完全に埋め込まれた状態となる(図4(c)参照)。このとき、加圧は停止しないでそのまま継続させる。すなわち、溶融反応層6が完全に凝固するまで加圧力を保持して、バルブシート3とシリンダヘッド本体2との熱膨脹率が異なることによる各接合面部2a、3a,3bでの剥離や割れを防止する。
【0041】
尚、図10に示すように、通電の停止と略同時に加圧力を低下させるのがより望ましい。すなわち、大きな加圧力では変形能が小さくなる凝固直後において各接合面部2a,3a,3bで割れが生じる可能性が高いので、収縮変形に追従させ得る程度の加圧力まで低下させて、凝固後の各接合面部2a,3a,3bでの割れを確実に防止する。
【0042】
その後、通電の停止から約1.5秒経過後に加圧を停止することによりバルブシート3とシリンダヘッド本体2との接合が完了する。続いて、同じシリンダヘッド本体2において同様の作業を繰り返して残り3つの接合面部2a,2a,…に各バルブシート3を接合する。
【0043】
最後に、各バルブシート3の内周面部や上面部等を切削加工することでバルブ当接面部3cを形成する等して所定の形状に仕上げる。このことにより、シリンダヘッド本体2の各ポート2b開口周縁部に各バルブシート3が接合されたシリンダヘッド1が完成する。
【0044】
したがって、上記基本形態では、バルブシート3とシリンダヘッド本体2とを、通電に伴う発熱及び加圧により、拡散接合層5及び溶融反応層6を介した液相拡散状態で接合するようにしたので、接合強度が高くかつ使用したろう材以上の耐熱性を有するシリンダヘッド1を短時間で得ることができる。また、ろう材を溶融しかつ排出することが可能なように加圧力や電流値を設定するだけで済むので、高い接合強度が得られる条件範囲が広い。しかも、焼ばめによる接合方法よりもバルブシート3を格段に小形化することができるので、2つのポート2b,2bの間隔を狭くしたりスロート径を大きくしたりすることができる。さらに、断熱層が生じることはなくてバルブ近傍の熱伝導率を向上させることができ、しかも、ポート2b,2b間に設けた冷却水通路をバルブシート側により近づけることが可能であるので、バルブ近傍の温度を有効に低下させることができる。さらに、グロープラグやインジェクタをポート2b,2b間に配設したとしても、その間の肉厚を十分に確保することができる。よって、エンジンの性能、信頼性及び設計の自由度を向上させることができる。
【0045】
尚、上記基本形態では、各バルブシート3を焼結により製造してその内部にCu系材料を溶浸するようにしたが、各バルブシート3内部の密度がある程度確保されていれば、必ずしも溶浸する必要はない。また、各バルブシート3を、焼結した後に鍛造を行って得られる焼結鍛造材とすることにより、溶浸するのと同様に、バルブシート3内部の空孔をなくすことができるので、ろう材を効果的に排出することができる。
【0046】
(実施形態1)
次に、上記基本形態を対象として、通電電流をパルス電流とした本発明に係る実施形態を、実施形態1として説明する。
【0047】
図12に示すように、実施形態1では、バルブシート3及びシリンダヘッド本体2の接合時における通電の制御方法が上記基本形態と異なる。
【0048】
すなわち、この実施形態では、一定の電流値で連続して電流を流すのではなく、大小の電流値の繰り返しからなるパルス通電としたものである。このパルス通電の大きい側の電流値は約70kAで一定であり、小さい側の電流値は0に設定している。また、大電流値パルスの通電時間は0.25〜1秒であり、小電流値パルスの通電時間(電流を流していない時間)は0.1〜0.5秒程度である。さらに、大電流値パルス数は3〜9パルス(図12では4パルス)が望ましい。尚、加圧開始から最初の大電流値パルスの通電開始までの時間及び最後の大電流値パルスの通電停止から加圧停止までの時間は上記基本形態と同じ1.5秒である。
【0049】
このようなパルス通電を行ったときのバルブシート3の温度変化を図13に示す。つまり、Fe系材料からなるバルブシート3の熱容量はかなり小さいために、バルブシート3の抵抗発熱による温度上昇が激しく、特にその上下方向中央部では、上側電極24やシリンダヘッド本体2への放熱が容易な上下端部に比べて放熱し難く、最初の大電流値パルスの通電時には、バルブシート3及びシリンダヘッド本体2間の接触抵抗が高いので、抵抗発熱量も大きくてバルブシート3の上下方向中央部の温度は、その最初の大電流値パルスの通電停止時にはA1変態点以上となっている。この段階で、バルブシート3はシリンダヘッド本体2に殆ど完全に埋め込まれた状態となっているので、通電を完全に停止することも可能であるが、通電を停止するとバルブシート3はA1変態点以上の温度から急激に冷却されるので、その上下方向中央部には焼きが入って硬さが上昇してしまうことになる。
【0050】
そこで、温度が少し低下した時点で2回目の大電流値パルスの通電を行う。このとき、最初の大電流値パルスの通電時とは異なり、冶金的接合により接触抵抗が小さくなって抵抗発熱量は減少し、バルブシート3からシリンダヘッド本体2への放熱も行われやすいので、最初と同じ電流値であってもバルブシート3の温度はそれ程上昇はせず、このことを繰り返すことにより、徐冷されるため、バルブシートの硬さは殆ど上昇しない。
【0051】
したがって、上記実施形態1では、パルス通電によりバルブシート3の上下方向中央部の温度を徐々に低下させるようにしたので、バルブシート3の硬さが大きく上昇することはなく、その内周面部を切削加工するときの加工性の悪化を防止することができる。また、バルブ当接面部3cが硬くなりすぎることによってバルブが摩耗し易くなるのを有効に抑制することができる。
【0052】
尚、上記実施形態1では、パルス通電の大電流値を一定とし、小電流値を0としたが、これに限らず、例えば、図14(a)に示すように、大電流値を段階的に低下させていってもよく、図14(b)に示すように、小電流値を0とせずに大電流値と0との中間値に設定してもよい。また、図14(c)に示すように、最初の大電流値パルスの通電に続いて小電流値パルス(図14(c)では0)を通電した後、電流値を時間に対して比例して減少させる連続通電に切り替えてもよく、最初の大電流値パルスの通電停止後は、バルブシート3を徐冷可能であれば、どのような通電制御を行ってもよい。
【0053】
また、バルブシート3の上側電極24への放熱を向上させるために、その上側電極24内に冷却水を通して水冷するようにすることが望ましい。さらに、図15に示すように、上側電極24の下部に、バルブシート3の内周面部に対向する円筒状の突起部31を設け、この突起部31の外周部に円周方向に略等間隔に設けた複数のノズル32,32,…から上側電極24内の冷却水をバルブシート3の内周面部に噴霧するようにしてもよい。このことで、バルブシート3の上下方向中央部を有効に冷却し、バルブシート3がA1変態点以上に過熱されるのを防止することができる。
【0054】
なお、上記の実施形態は、被接合金属部材であるバルブシート3とベース部材であるシリンダヘッド本体2とをパルス通電により液相拡散接合したものであるが、パルス通電による拡散接合は、液相拡散接合に限定されるものではない。すなわち、被接合金属部材とベース部材とを固体のまま接合する固相拡散接合において上記パルス通電を行ってもよい。
【0055】
本実施形態に係る接合方法は、図7に示す接合装置20の溶接電源26が、電極23,24間に上記パルス電流を供給することによってなされる。つまり、溶接電源26は、本発明でいうところのパルス電流発生手段となる。
【0056】
(実施形態2)
実施形態2は、接合装置20が、バルブシート3の高さ方向の位置を検出するシート位置検出手段としてのリミットスイッチ(図示せず)を有しているものである。まず、本発明によるパルス通電を適用する対象として、連続通電を行う実施形態について説明する。
【0057】
図16は本発明によるパルス通電の適用対象となる基本の実施形態を示し、バルブシート3及びシリンダヘッド本体2の接合時における通電の制御方法を上記基本形態及び実施形態1と異ならせたものである。
【0058】
すなわち、この実施形態では、接合装置20が、バルブシート3の高さ方向の位置を検出するシート位置検出手段としてのリミットスイッチ(図示せず)を有し、バルブシート3がシリンダヘッド本体2に殆ど完全に埋め込まれた状態となる接合位置で上記リミットスイッチが作動するように構成されている。そして、通電を開始した後、このリミットスイッチが作動すると、通電開始時の初期電流値(約70kA)よりも小さい一定の電流値に切り替えて通電するようになっている。そして、切り替え後の通電の停止は時間で行われ、初期電流値の通電開始から1.5〜5秒で停止するようになっている。
【0059】
このようにバルブシート3がシリンダヘッド本体2に殆ど完全に埋め込まれた状態で小さい電流値に切り替えるという通電制御を行った場合の挙動について説明する。
【0060】
先ず、通電開始時には、上記実施形態1で説明したように、バルブシート3はAl系材料からなるシリンダヘッド本体2よりも格段に温度が上昇するので、熱膨張率(線膨脹係数)がシリンダヘッド本体2よりも小さいにも拘らず、熱膨張量は大きい。このため、バルブシート3がシリンダヘッド本体2に殆ど完全に埋め込まれた状態で通電を完全に停止すると、バルブシート3の収縮量がシリンダヘッド本体2よりも大きいので、バルブシート3に引張の熱応力が生じる。
【0061】
そこで、初期電流値よりも小さい電流値に切り替えて通電を行うと、上記実施形態1と同様に、バルブシート3の温度は徐々に低下していく。一方、シリンダヘッド本体2の温度はバルブシート3からの熱により上昇するので、バルブシート3とシリンダヘッド本体2との温度差は小さくなる。この状態で、通電を停止すれば、収縮量の差は小さくなり、バルブシート3に生じる熱応力を低減することができる。
【0062】
したがって、上記実施形態では、バルブシート3がシリンダヘッド本体2に殆ど完全に埋め込まれた状態で初期電流値よりも小さい電流値に切り替えるようにしたので、バルブシート3及びシリンダヘッド本体2の熱容量及び熱膨張率の差に起因して生じる熱膨張量(収縮量)の差を小さくすることができる。よって、バルブシート3に生じる引張の熱応力を低減し、その内周面部に縦クラックが発生するのを防止することができる。
【0063】
尚、上記実施形態では、リミットスイッチの作動による切替後の電流値を一定としたが、これに限らず、例えば、図17(a)に示すように、切替後の電流値を時間に対して比例するように低下させていってもよい。
【0064】
本発明に係る実施形態2は、図17(b)に示すように、上記実施形態1と同様に、リミットスイッチの作動後は大電流値が初期電流値よりも小さいパルス通電としたものである。なお、上記説明より明らかなように、実施形態1と同じ通電制御方法であっても、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
また、上記実施形態では、リミットスイッチによりバルブシート3の高さ方向の位置を検出して電流値を切り替えるようにしたが、光センサ等の位置検出手段を用いてもよく、位置を検出する代わりに時間で電流値を切り替えるタイミングを制御してもよい。この場合、通電開始から0.25〜1秒、望ましくは0.25〜0.5秒で電流値を切り替える。この時間であればバルブシート3がシリンダヘッド本体2に殆ど完全に埋め込まれた状態で切り替わることになる。
【0066】
さらに、バルブシート3をシリンダヘッド本体2に接合する前に、シリンダヘッド本体2を200℃程度まで予熱しておくことが望ましい。このようにすれば、それらの温度差はより一層小さくなって、熱応力を低く抑えることができる。この結果、バルブシート3の縦クラックの発生を確実に防止することができ、リミットスイッチの作動後における電流値の切替を不要にすることもできる。このようにシリンダヘッド本体2を予熱するには、上記接合装置20を用いればよい。すなわち、接合装置20の上側及び下側電極24,25をカーボン製のものと交換し、その両電極24,25でシリンダヘッド本体2を挟んだ状態にして溶接電源をONすることにより予熱を行う。このとき、両電極24,25がカーボン製であるので、自己発熱が大きく、シリンダヘッド本体2を効率良く予熱することができる。このようにすれば、インライン化対応も可能となる。
【0067】
また、図18に示すように、バルブシート3の上部には内周面側に向かって高さが高くなる上面テーパ部3dを設ける一方、上側電極24の下部には上記バルブシート3の上面テーパ部3dが略嵌合する円錐状の凹部34を形成しておき、バルブシート3の上面テーパ部3dを上側電極24の凹部34に略嵌合した状態で加圧するようにしてもよい。すなわち、このように加圧すれば、バルブシート3の縮径方向にも加圧力が作用するので、バルブシート3の温度が上昇してもその膨張を防止することができ、シリンダヘッド本体2との温度差が大きくても収縮量の差は小さくなる。よって、この場合でも、バルブシート3に縦クラックが発生するのを防止することができる。
【0068】
さらに、図19に示すように、バルブシート3の内周面側の応力集中を緩和すべく、内周面部と上面部及び下面部との角部に面取り部3e,3eを形成することが望ましい。
【0069】
また、バルブシート3の内周面側は最終的には削り取る部分であるので、その削り取る部分のみを安価な材料として焼結するようにすることもできる。
【0070】
(実施形態3)
図20は、本発明の実施形態3に係る接合装置20の要部を示し(尚、図7と同じ部分についてはその詳細な説明は省略し、異なる箇所のみを説明する)、通電経路を上記実施形態1〜2とは異ならせたものである。
【0071】
すなわち、この実施形態では、接合装置20は、上記実施形態1〜2と同様に、下側電極25を有するが、この下側電極25は溶接電源26には接続されておらず、バルブシート3及びシリンダヘッド本体2を加圧するためにのみ用いられている。そして、上側電極24は2つの第1及び第2電極24a,24bからなり、この第1電極24aは上記実施形態1〜2と同じものである。一方、上記第2電極24bは、第1電極24aを上下移動させる加圧シリンダ22と同様の別の加圧シリンダにより独立して上下移動可能とされている。また、上記第2電極24bは、第1電極24aとは異なり、カーボン製であり、この両電極24a,24bがそれぞれ溶接電源26に接続されている。
【0072】
上記第1及び第2電極24a,24bは、同じシリンダヘッド本体2において新たに接合する未接合バルブシート3及び前回接合した既接合バルブシート3の上面にそれぞれ当接するようになっている。そして、溶接電源26をONすると、電流は、順に第1電極24a、未接合バルブシート3、シリンダヘッド本体2、既接合バルブシート3及び第2電極24bを流れ、溶接電源26に戻るようになっている。このことで、既接合バルブシート3は、未接合バルブシート3の接合時の戻り側の通電経路とされている。
【0073】
したがって、上記実施形態3では、未接合バルブシート3を接合するときに、既接合バルブシート3側では抵抗発熱量が小さく既接合バルブシート3の内部温度が未接合バルブシート3のように上昇することはないが、カーボン製の第2電極24bが自己発熱するので、上記実施形態1で説明したように、既接合バルブシート3に焼きが入って硬さが上昇していたとしても、適度に焼戻しを行うことが可能となる。しかも、インラインで工程を増やすことなく既接合バルブシート3の焼戻しを行うことができる。よって、接合時におけるバルブシート3の硬さの上昇という熱影響を効果的に抑えることができる。
【0074】
尚、上記実施形態3では、第2電極24bをカーボン製としたが、これは最も自己発熱量が大きい材料であるので、既接合バルブシート3の温度が高くなりすぎる場合には、第2電極24bを、例えば、鉄製又は黄銅製として焼戻しを有効に行えるものを選択すればよい。
【0075】
(実施形態4)
図21は、本発明の実施形態4に係る接合金属部材としてのディーゼルエンジンのピストン41を示し、このピストン41は、上記基本形態と同様に、Al系材料からなるピストン本体42(ベース部材)の上部外周部にFe系材料からなる耐摩環43(非接合金属部材)が、またピストン本体42の上部中央部に設けた燃焼室42a内の壁部表面部にFe系の遮熱部材44(非接合金属部材)がそれぞれ接合されてなる。
【0076】
すなわち、従来は、耐摩環43を鋳ぐるんでピストン本体42を鋳造しているが、ピストン本体42をT6熱処理してその強度を向上させようとしても、耐摩環43を鋳ぐるんだ状態ではFe−Alという脆い金属間化合物が生じるので、T6熱処理を行うことは不可能である。しかし、この実施形態では、予めピストン本体42をT6熱処理しておき、そのピストン本体42に耐摩環43を接合することができる。また、たとえピストン本体42に耐摩環43を接合した後にT6熱処理したとしてもその耐熱性は良好であり、Fe−Alは生じ難いので、問題はない。このため、ピストン41の耐摩耗性及び強度の両方を向上させることができる。
【0077】
一方、ピストン本体42の燃焼室42a内の壁部には、特に角隅部にクラックが生じ易いという問題がある。しかし、この実施形態では、燃焼室42a内のリップ部に強化部材44、例えばオーステナイト系ステンレス鋼などが接合されているので、燃焼室42a内の壁部にクラックが発生するのを防止することができる。
【0078】
(実施形態5)
図22は、本発明の実施形態5に係る接合金属部材としてのエンジンのシリンダブロック51の要部を示し、このシリンダブロック51は、Al系材料からなるシリンダブロック本体52(ベース部材)のウォータージャケット52aの上部にFe系材料からなるリブ部材53(非接合金属部材)が接合されてなる。尚、54は気筒内周面部に嵌め込まれた鋳鉄製のライナである。
【0079】
すなわち、従来は、シリンダブロック51の剛性を向上させるために、そのシリンダブロック本体52の鋳造時に砂中子を使用してウォータージャケット部の上部にリブを一体で形成しているが、この方法では、鋳造時のサイクルタイムが長くなり、生産性が悪いという問題がある。しかし、この実施形態では、シリンダブロック本体52の鋳造を容易にしつつ、リブ部材53を短時間でシリンダブロック本体52のウォータージャケット52aの上部に接合することができ、シリンダブロックの剛性を向上させることができる。このため、気筒内周面部のライナ54の変形を防止することができ、LOCやNVH等のエンジン性能を向上させることができる。また、ライナレスにすることも可能となる。
【0080】
【実施例】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
【0081】
先ず、ベース部材として、図23に示すように、Al合金鋳物(JIS規格H5202に規定されているAC4D)で試験片61を鋳造した。そして、この試験片61に対してT6熱処理を施した。
【0082】
続いて、表1に示すように、ろう材コーティング方法、シート形状及び第1接合面部のテーパ角θ1を異ならせて5種類のFe系バルブシートを作製した(実施例1〜5)。
【0083】
この表1において、ろう材コーティング方法の欄における「Friction」とは、バルブシートの表面部に拡散接合層及びろう材層を形成する際、ろう材を擦りつけることによりコーティングを行う方法のことである。一方、「超音波」とは、上記基本形態で説明したように、超音波メッキによりろう材のコーティングを行う方法のことである。また、シート形状の欄における「薄肉」とは、図24に示すように、バルブシートが最終形状に近い形状をして肉厚が薄いことをいう。一方、「厚肉」とは、図25に示すように、上記実施形態と同様の形状をして肉厚が厚いことをいう。
【0084】
尚、バルブシートの材料は、表2に示す成分のものを使用した。この表2において、数値は重量%であり、TCとは、総炭素量(遊離炭素(黒鉛)とセメンタイトの炭素との合計量)のことである。
【0085】
また、ろう材には、95重量%のZn成分、4.95重量%のAl成分及び0.05重量%のMg成分からなるものを使用した。
【0086】
さらに、各バルブシートの内部にはCu系材料を溶浸し、表面にはCuメッキを施した。
【0087】
上記実施例1〜5の各バルブシートを、上記基本形態と同様にして、接合装置により上記試験片61に接合した。この接合時における加圧力及び電流値は、表1に示す値に設定した。尚、電流値については、加圧力の変化等によりバルブシート及び試験片61間の接触抵抗が変化してバルブシートの埋め込み深さが変わるので、略同一埋め込み深さとなるように設定している。
【0088】
また、比較のために、厚肉形状でかつθ1=0.52rad(30°)のバルブシート(表面にCuメッキしたもの)を、加圧力及び電流値をそれぞれ29420N(3000kgf)及び70kAとして固相拡散接合(圧接接合)した(比較例)。
【0089】
次に、上記実施例1〜5及び比較例のバルブシートの接合強度を測定した。すなわち、図26に示すように、試験片61を、バルブシート62の接合した側が下側となるように治具台63の上面に置き、このとき、バルブシート62がその治具台63に接触しないように、治具台63の略中央部に設けた貫通孔63aの上側に位置させる。そして、試験片61の貫通孔61aの上側から円筒状の加圧治具64を挿入してバルブシート62を押し、バルブシート62が試験片61から抜けたときの抜き荷重を測定する。この抜き荷重が接合強度に相当する。
【0090】
上記抜き荷重測定試験の結果を図27に示す。この結果、実施例1と実施例2とを比較することで、超音波メッキによりバルブシートの表面部に拡散接合層及びろう材層を形成する方が、ろう材を擦りつけることによりコーティングを行う方法よりも接合強度が向上することが判る。これは、試験後のバルブシートの表面には、実施例2においては後述の如く拡散接合層が残っていた(図30参照)のに対し、実施例1においてはろう材層や拡散接合層の痕跡が殆ど認められなかったことから、実施例1では拡散接合層が完全に形成されていないためと推定することができる。
【0091】
ここで、上記実施例2において、超音波メッキした直後のバルブシート表面部の顕微鏡写真(倍率約180倍)を図28に、また接合後におけるバルブシート及び試験片61の接合面部の顕微鏡写真(倍率約360倍)を図29に、さらに抜き荷重測定試験後のバルブシート表面部の顕微鏡写真(倍率約360倍)を図30にそれぞれ示す。図28において、上側がバルブシートであり、その下側にはCuメッキ層ではなく薄い拡散接合層を介してろう材層が形成されている。尚、バルブシート内部には、Cu系材料が溶浸された空孔が存在することが判る。また、図29において、上側のバルブシートと下側の試験片61との間には隙間がなくて拡散接合層及び溶融反応層が明確に存在している。さらに、図30において、バルブシートの表面部(下面部)には薄く拡散接合層が残っていることが判る。
【0092】
また、実施例2と実施例3とを比較することにより、厚肉形状のバルブシートの方が薄肉形状よりも抜き荷重が大きくなることが判る。これは、実施例2のものは、バルブシートの各角部等に変形が生じていることから、変形によって接合面部に作用する実際の加圧力が低下したためと推定することができる。
【0093】
そして、実施例3と実施例4とを比較することにより、第1接合面部のテーパ角θ1が大きい実施例4の方が、上記基本形態で説明したように、酸化皮膜破壊作用効果が優れていて、接合強度は大きくなることが判る。
【0094】
さらに、実施例4と実施例5とを比較すると、加圧力が大きい実施例5の方が接合強度は高くなることが判る。しかも、加圧力を29420N(3000kgf)とすることで、比較例のものよりも接合強度が格段に向上することが判る。
【0095】
ここで、上記実施例5において、接合後におけるバルブシート及び試験片61の接合面部の電子顕微鏡写真(倍率約10000倍)を図31に示す。この図において、左側がバルブシート(白く見える部分を含む)であり、右側が試験片61である。そして、その間の灰色に見える部分が拡散接合層及び溶融反応層である。この両層の厚みは約1μmであることが判る。尚、この両層の元素を分析すると、Fe、Zn及びAlがそれぞれ検出された。
【0096】
上記加圧力の影響に関してさらに詳細に調べるために、ろう材コーティング方法、シート形状及び第1接合面部のテーパ角θ1を上記実施例4,5と同じにして加圧力を9807N(1000kgf)、14710N(1500kgf)及び29420N(3000kgf)にそれぞれ設定してバルブシートを試験片61に接合し、上記最初に行った抜き荷重測定試験と同様に、その抜き荷重を測定した。
【0097】
また、加圧力が9807N(1000kgf)のものと29420N(3000kgf)のものとで接合後の試験片61の硬さを測定した。この硬さの測定は、バルブシートの第1接合面部と第2接合面部との角部(図33において接合面部からの距離=0の点)から試験片61の外周側に向かってバルブシートが接合された側と反対側に約0.79rad(45°)傾いた方向に沿って所定の距離ごとに行った。
【0098】
上記抜き荷重測定試験の結果を図32に、また硬さ測定試験の結果を図33にそれぞれ示す。このことで、加圧力が大きいほど接合強度は高く、高加圧力の方が試験片61の接合面部近傍の硬さが大きいことが判る。これは、高加圧力の方が接触抵抗が低くて発熱量が小さい分、試験片61の軟化が抑制されているからであり、軟化が抑えられると、塑性流動が確実に行われて酸化皮膜の破壊作用効果が高まると共に、ろう材の排出も確実に行われるためである。
【0099】
次いで、パルス通電の効果を調べるために、パルス通電を行うことによりバルブシートを試験片61に接合した。このパルス通電の大電流値及び小電流値はそれぞれ70kA及び0とした。また、大電流値パルスの通電時間は0.5秒とし、小電流値パルスの通電時間は0.1秒とした。さらに、大電流値パルス数は6パルスとした。一方、比較のために、連続通電(60kAの電流値で2秒間通電)によりバルブシートを試験片61に接合した。尚、加圧力はどちらも29420N(3000kgf)とした。
【0100】
そして、パルス通電及び連続通電により接合したものについて、各々、バルブシートの上下両端部(A部)及び上下方向中央部(B部)における接合前及び接合後の硬さ、試験片61においてバルブシートの第1接合面部と第2接合面部との角部から該試験片61の外周側に向かってバルブシートが接合された側と反対側に約45°傾いた方向に沿った所定距離ごとの硬さ並びに抜き荷重を測定した。
【0101】
上記接合前及び接合後の硬さ測定試験の結果を図34に示す。このことで、連続通電により接合したものは、特に上下方向中央部(B部)の硬さが接合後に非常に高くなるのに対し、パルス通電により接合したものは、徐冷により焼きが入らず、硬さが殆ど上昇していないことが判る。
【0102】
また、接合面部からの距離による硬さ測定試験の結果を図35に示す。この結果、パルス通電により接合したものでは、バルブシートからの熱を受けることにより試験片61の硬さが低くなっていることが判る。
【0103】
さらに、抜き荷重測定結果を図36に示す。以上のことから、パルス通電により、バルブシート内部の徐冷を行って硬さが上昇するのを抑えつつ、試験片61への放熱によりバルブシート及び試験片61の温度差を低減して収縮量の差を小さくすることができ、しかも、接合強度を向上させることができる。
【0104】
続いて、パルス通電においてバルブシートが試験片61にどのように埋め込まれていくかを調べるために、加圧開始からの時間に応じてその埋め込み量y(図37参照)を測定した。このとき、パルス通電の大電流値は68kAとし、小電流値は0とした。また、大電流値パルスの通電時間(H)、小電流値パルスの通電時間(C)及び大電流値パルス数(N)は可変とし、基本条件では、それぞれ0.5秒、0.1秒及び6パルスとした。そして、この基本条件に対していずれか1つのみを変えて試験を行った(変更条件については図38参照)。
【0105】
上記埋め込み量測定試験の結果を図38に示す。このことより、最初の大電流値パルスの通電により殆ど埋め込みが完了し、後の通電では埋め込みは進行していないことが判る。また、この試験の設定条件の範囲では、埋め込み量は殆ど変わらない。但し、大電流値パルスの通電時間が1秒と長い場合は、他の場合よりも最初の大電流値パルスの通電のときから埋め込み量が僅かに大きく、パルス数が9パルスと多い場合は、途中から試験片61が軟化して埋め込みが進行することが判る。したがって、最初の大電流値パルスの通電ではバルブシートの埋め込みが行える条件に、また2回目以降の大電流値パルスの通電ではバルブシート内部の徐冷及びシリンダヘッド本体への放熱が行える条件にそれぞれ設定すればよい。
【0106】
最後に、バルブシートを焼結鍛造材とし、これを29420N(3000kgf)の加圧力でパルス通電により試験片61に接合した。このとき、パルス通電の大電流値は60kAとし、小電流値は0とした。また、大電流値パルスの通電時間、小電流値パルスの通電時間及び大電流値パルス数を、それぞれ0.5秒、0.1秒及び4パルスとした。尚、比較のために、Cu系材料で溶浸した焼結材からなるバルブシートを同様に試験片61に接合した。但し、パルス通電の大電流値は53kAとした。そして、バルブシートが焼結鍛造材のものと溶浸した焼結材のものとについて、試験片61においてバルブシートの第1接合面部と第2接合面部との角部から該試験片61の外周側に向かってバルブシートが接合された側と反対側に約0.79rad(45°)傾いた方向に沿った所定距離ごとの硬さを測定した。
【0107】
この結果を図39に示す。このことより、溶浸した焼結材の方が試験片61内部の硬さが低いことが判る。これは、Cu系材料の溶浸によりバルブシート内部の発熱が抑制されて接合面部において発熱が有効に行われたために、試験片61が軟化したからである。しかし、バルブシートが焼結鍛造材であっても接合は良好に行われている。このことは、シート及び試験片61の接合面部の顕微鏡写真(図40では倍率約50倍、図41では倍率約400倍)からも判る。これは、鍛造によりバルブシート内部の空孔が潰されて、溶浸したのと同様の効果を有するからである。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明では、第1の金属部材を第2の金属部材の接合面に当接させた状態で加圧し、大小の電流値の繰り返しからなるパルス電流で通電加熱することにより、両部材を拡散接合することとしている。そのため、最初の大電流値パルスの通電時には、両部材間に大きな抵抗発熱が生じ、両部材が拡散接合される一方、2回目以降の大電流値パルスの通電時では、両部材の冶金的接合による接触抵抗の低下により抵抗発熱量が減少し、金属部材は徐冷される。その結果、金属部材の硬さの上昇が抑制される。従って、加工性等に優れ、種々の用途に便利な金属部材を得ることができる。
【0109】
また、予め第1の金属部材の表面部に、ろう材と第1の金属部材との拡散層を介してろう材層を形成しておき、この第1の金属部材と第2の金属部材とを、該両部材間の通電に伴う発熱及び加圧により、ろう材及び第2の金属部材の拡散層を形成しかつ溶融したろう材を両部材の接合面部間から排出しながら、上記両拡散層を介した液相拡散状態で接合するようにした。したがって、インラインの作業で、接合強度が高くかつ使用したろう材以上の耐熱性を有する金属部材が得られる。
【0110】
さらに、第1の金属部材とろう材との拡散層は、超音波振動を付与して第1の金属部材の表面部にろう材をコーティングすることにより形成するようにしたので、簡単な方法で拡散層を確実に形成することができ、接合強度のより高い金属部材が得られる。
【0111】
その上、第1の金属部材と第2の金属部材との拡散接合を、第2の金属部材の接合面部を塑性流動させて行うようにしたことにより、簡単な方法で接合層を確実に形成することができ、接合金属部材の接合強度をさらに向上させることができる。
【0112】
請求項2に記載の発明では、第1の金属部材をFe系材料としたことにより、請求項1の発明における接合方法として材料の組合せの最適化を図ることができる。
【0113】
請求項3に記載の発明では、第1の金属部材と第2の金属部材とを接合する前に、予め第1の金属部材の内部にCu系材料を溶浸するようにしたことにより、金属部材の接合強度を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本形態に係る接合金属部材としてのエンジンのシリンダヘッドの要部を示す断面図である。
【図2】 バルブシート及びシリンダヘッド本体の接合状態を模式的に示す断面図である。
【図3】 バルブシートの接合前の形状を示す断面図である。
【図4】 バルブシートのシリンダヘッド本体への接合手順を示す説明図である。
【図5】 バルブシート及びシリンダヘッド本体の接合過程を模式的に示す説明図である。
【図6】 ろう材浴中のバルブシートの表面部に超音波振動の付与によりろう材をコーティングしている状態を示す説明図である。
【図7】 接合装置を示す側面図である。
【図8】 (a)は図7のVIII方向矢示図であり、(b)は上側電極の下面部の平面図である。
【図9】 加圧及び通電の制御方法を示すタイミングチャートである。
【図10】 加圧制御方法の他の例を示す図9相当図である。
【図11】 Al−Zn合金の状態図である。
【図12】 実施形態1を示す図9相当図である。
【図13】 パルス通電によるバルブシート内部の温度変化を示すグラフである。
【図14】 通電制御方法の他の例を示す図9相当図である。
【図15】 バルブシート内周面部に冷却水を噴霧している状態を示す断面図である。
【図16】 実施形態2を示す図9相当図である。
【図17】 通電制御方法の他の例を示す図9相当図である。
【図18】 バルブシートを縮径方向にも加圧してその熱膨張を抑えるようにしている状態を示す断面図である。
【図19】 バルブシートの他の形状例を示す図3相当図である。
【図20】 実施形態3に係る接合装置によりバルブシート及びシリンダヘッド本体を接合している状態を示す要部断面図である。
【図21】 実施形態4に係る接合金属部材としてのエンジンのピストンを示す断面図である。
【図22】 実施形態5に係る接合金属部材としてのエンジンのシリンダブロックの要部を示す断面図である。
【図23】 試験片を示す断面図である。
【図24】 薄肉形状のバルブシートを示す断面図である。
【図25】 厚肉形状のバルブシートを示す断面図である。
【図26】 抜き荷重測定試験の要領を示す概略断面図である。
【図27】 実施例1〜5及び比較例のバルブシートにおいて抜き荷重測定試験の結果を示すグラフである。
【図28】 超音波メッキした直後のバルブシート表面部の状態を示す顕微鏡写真である。
【図29】 実施例2におけるバルブシート及び試験片の接合状態を示す顕微鏡写真である。
【図30】 抜き荷重測定試験後のバルブシート表面部の状態を示す顕微鏡写真である。
【図31】 実施例5におけるバルブシート及び試験片の接合状態を示す顕微鏡写真である。
【図32】 接合時加圧力と抜き荷重との関係を示すグラフである。
【図33】 試験片の接合面部からの距離による硬さの変化を示すグラフである。
【図34】 連続通電及びパルス通電においてバルブシートの接合前後の硬さの変化を示すグラフである。
【図35】 連続通電及びパルス通電において試験片の接合面部からの距離による硬さの変化を示すグラフである。
【図36】 連続通電及びパルス通電において抜き荷重測定試験の結果を示すグラフである。
【図37】 埋め込み量測定試験における埋め込み量yを示す説明図である。
【図38】 加圧開始からの時間と埋め込み量yとの関係を示すグラフである。
【図39】 バルブシートが焼結鍛造材のものと溶浸した焼結材のものとにおいて試験片の接合面部からの距離による硬さの変化を示すグラフである。
【図40】 焼結鍛造材からなるバルブシートと試験片との接合状態を示す顕微鏡写真である。
【図41】 焼結鍛造材からなるバルブシートと試験片との接合状態をさらに拡大して示す顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド
2 シリンダヘッド本体(第2の金属部材)
2a 接合面部
2b ポート
3 バルブシート(第1の金属部材)
3a 第1接合面部
3b 第2接合面部
5 拡散接合層
6 溶融反応層
7 ろう材層
14 ろう材浴
Claims (3)
- 第1の金属部材を第2の金属部材の接合面に当接させた状態で加圧及び通電加熱することによって、該両部材を拡散接合する金属部材の接合方法であって、
上記第2の金属部材は、Al系材料からなり、
通電電流を、大小の電流値の繰り返しからなるパルス電流とし、
予め第1の金属部材の表面部に超音波振動を付与して上記両金属部材よりも融点の低い、Zn−Al系材料からなるろう材をコーティングすることで該ろう材と該第1の金属部材との拡散層を形成すると共に、該第1の金属部材の表面部に該拡散層を介して上記ろう材層を形成しておき、
上記第1の金属部材と第2の金属部材とを加圧、及び上記ろう材の融点以上の温度への通電加熱を行うことにより、該第2の金属部材の接合面部を塑性流動させると共に、上記ろう材における第2の金属部材成分の割合が多くなることでろう材が高融点化するようにろう材と第2の金属部材との拡散層を形成しかつ溶融したろう材を該両部材の接合面部間から排出しながら、該両部材を上記両拡散層を介した液相拡散状態で接合する
ことを特徴とする金属部材の接合方法。 - 請求項1に記載の金属部材の接合方法において、
第1の金属部材は、Fe系材料からなる
ことを特徴とする金属部材の接合方法。 - 請求項1〜2のいずれか一つに記載の金属部材の接合方法において、
第1の金属部材を第2の金属部材に当接させる前に、予め該第1の金属部材の内部にCu系材料を溶浸する
ことを特徴とする金属部材の接合方法。
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