JPH11152906A - 既存建築物の耐震補強方法および耐震補強構造 - Google Patents
既存建築物の耐震補強方法および耐震補強構造Info
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- JPH11152906A JPH11152906A JP32006797A JP32006797A JPH11152906A JP H11152906 A JPH11152906 A JP H11152906A JP 32006797 A JP32006797 A JP 32006797A JP 32006797 A JP32006797 A JP 32006797A JP H11152906 A JPH11152906 A JP H11152906A
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Abstract
における内部空間の利用に悪影響を与えることがなく、
なおかつ、建築物の外観意匠が変化することのないよう
な、既存建築物の耐震補強方法および耐震補強構造を提
供する。 【解決手段】 既存建築物2の各階を構成する床版およ
び小梁のうち、上方から見た場合に一定領域内に位置す
るものを前記各階のすべてに渡って撤去することによっ
て、既存建築物2内に上下方向に連通する連通空間7を
形成し、連通空間7内に、補強柱4,4,…を、既存架
構6から独立させた状態で新たに立設するとともに、こ
れら補強柱4,4,…間に補強梁5,5,…を架設する
ことにより新たに補強架構3を構築し、さらに、既存架
構6によって支持された床版を補強梁5b,5b,…に
支持させることにより、耐震補強構造1を形成した。
Description
性を向上させるための既存建築物の耐震補強方法および
耐震補強構造に関するものである。
れるようになってきており、新規に構築される建築物
は、十分な耐震性を有するのが通常となっている。しか
し、過去に建設され現在においても使用中の建物は、建
設当時においては十分な耐震性を有すると考えられてい
たとしても、現時点の基準から考えた場合、耐震性に問
題のあるものもあり、このような既存建築物には耐震性
を向上させるための補強が必要であるとされている。
一例として、既存建築物の建物の外部に、当該既存建築
物を囲むように、新たに剛性が既存建築物よりも大であ
るような架構を沿わせて増設する外部フレーム補強が知
られている。このような外部フレーム補強を施した場
合、地震時においては、既存建築物の架構の水平変位
が、新たに構築された外部フレームによって拘束される
とともに、既存建築物の水平方向の荷重が外部フレーム
によって負担されることとなるため、結果として既存建
築物の耐震性が向上されることとなる。また、この外部
フレーム補強においては、既存建築物の内部に耐震要素
等を付加する必要がなく、またこれにより、既存建築物
内部で作業を行う必要がない。したがって、耐震補強工
事に伴って、既存建築物の内部空間の居住性等が阻害さ
れることがなく、また、建築物の内部空間を利用しなが
ら施工を行うことができる。
ような外部フレーム補強は、既存建築物の外側に新たに
フレームを増設することから、既存建築物が文化財等で
あり、意匠的な変更が許されない場合や、既存建築物が
敷地境界線に近接して構築されている場合等には、採用
することができないという問題点があった。本発明は、
上記事情に鑑みなされたものであり、既存建築物の内部
空間の居住性や工事期間中における内部空間の利用に悪
影響を与えることがなく、なおかつ、建築物の外観意匠
が変化することのないような、既存建築物の耐震補強方
法および耐震補強構造を提供することを課題とする。
に本発明においては以下の手段を採用した。すなわち、
請求項1記載の既存建築物の耐震補強構造は、既存建築
物を構成する既存架構を補強して該既存建築物の耐震性
を向上させるための耐震補強方法であって、前記既存建
築物の各階を構成する床版および小梁のうち、上方から
見た場合に一定領域内に位置するものを前記各階のすべ
てに渡って撤去することによって、前記既存建築物内に
上下方向に連通する連通空間を形成し、該連通空間内
に、補強柱を、前記既存架構から独立させた状態で新た
に立設するとともに、これら補強柱間に補強梁を架設す
ることにより新たに補強架構を構築し、前記既存架構に
よって支持された床版の内の少なくとも一部を前記補強
梁に支持させることを特徴とする。
強方法によれば、施工部位を既存建築物内の一部に限定
することができる。
は、請求項1記載の既存建築物の耐震補強方法であっ
て、前記連通空間を形成する際には、前記既存建築物を
平面視した場合にその最外周に位置する床板および小梁
を撤去することを特徴とする。
の耐震補強方法によれば、既存建築物の内部空間に大き
な影響を与えることなく施工を実施できる。
は、既存建築物の各階を構成する床版および小梁のう
ち、上方から見た場合に一定領域内に位置するものが、
前記各階のすべてに渡って撤去されて、前記既存建築物
内に上下方向に連通する連通空間が形成され、前記連通
空間内に、前記既存建築物を支持する地盤から立設され
た補強柱が配置され、該補強柱間には、補強梁が架設さ
れ、前記既存建築物内の床版の少なくとも一部が、前記
補強梁によって支持されていることを特徴とする。
強構造においては、施工部位を既存建築物内の一定領域
に限定することができる。
は、請求項3記載の既存建築物の耐震補強構造であっ
て、前記連通空間は、前記既存建築物を平面視した場合
に、その最外周側に形成されていることを特徴とする。
強構造は、既存建築物の外壁や内部空間に大きな影響を
与えることなく設置が可能である。
は、請求項3または4記載の既存建築物の耐震補強構造
であって、前記補強柱および前記補強梁によって形成さ
れる構面内にはブレースが配置されていることを特徴と
する。
強構造においては、その水平耐力を増強することが可能
である。
を、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実
施の形態の耐震補強構造1は、既存建築物2の内部に補
強架構3を組み込んだ構成とされている。補強架構3
は、既存建築物2を平面視した場合に、その最外周部2
aに位置するように設けられた補強柱4,4,…と、補
強柱4,4,…間に架設された補強梁5,5,…とを備
えた構成とされている。補強柱4は、既存建築物2の最
外周部2aに設けられた上下に連通する連通空間7内に
おいて地盤Gより立設された構成とされ、また、既存建
築物2を構成する既存架構6とは、構造的に独立した状
態で設けられている。また、補強梁5,5,…は、その
一部5a,5a,…が、既存建築物2の最外周部2aに
設けられ、また、別の一部5b,5b,…が既存架構6
内に配置された構成とされている。既存架構6内に配置
された補強梁5b,5b,…は、既存建築物2の床スラ
ブ(図示せず)の一部を支持している。
である。図中に示すように、既存建築物2の最外周2a
に配置された補強梁5a,5a,…と補強柱4,4,…
とによって形成される構面9内には、ブレース11,1
1,…が配置されている。また、図中に示すように補強
梁5,5,…は、既存建築物2において2層おきに設け
られている。図3は、図2におけるB−B断面を示す図
であるが、この図に示すように、補強梁5,5,…の配
置されない階においては、補強柱4,4,…のみが配置
されることとなる。
強梁5aおよびブレース11との接合部の状況を示した
図である。図中に示すように補強柱4は、鉄骨柱13,
…と鉄骨補強材14,14,…とを組み合わせることに
よって形成されており、補強柱4に対して接合された補
強梁5aもまた、複数の鉄骨部材16,…を組み合わせ
ることによって形成されている。さらに、これら補強柱
4および補強梁5aに接合されたブレース11も鉄骨に
より形成されている。
るが、次に、本実施の形態における既存建築物2の耐震
補強方法についてを説明する。本実施の形態における既
存建築物2の耐震補強方法は、具体的には、既存建築物
2に対し補強架構3を組み込むことにより、既存建築物
2の耐震性の向上を図るものであり、以下の手順により
行われる。
および小梁のうち、その最外周部2aの一定領域内に位
置するものを、各階の全てに渡って撤去し、これにより
既存建築物2内に連通空間7,7,…を形成する。続い
て、連通空間7,7,…内において鉄骨柱13,…およ
び鉄骨補強材14,14,…を組み立てることによって
補強柱4,4,…を地盤Gより立設する。さらに補強柱
4,4,…間に、既存建築物2の略2層に対応した上下
間隔をおいて補強梁5,5,…を架設する。また、既存
建築物2の最外周部2aに配置された補強梁5a,5
a,…と補強柱4,4,…とのなす構面9には、ブレー
ス11,11,…を配置し、その一方、既存架構6内に
位置するように配置された補強梁5b,5b,…と既存
架構6内の図示しない床スラブとを接合することによっ
て、これら床スラブを補強梁5b,5b,…によって支
持させる。これにより、既存建築物2内部に、補強架構
3が組み入れられた形で形成されることとなる。
築物2においては、地震時に既存架構6に作用する地震
力が、既存架構6内の図示しない床スラブを介して補強
梁5b,5b,…に伝達される。したがって、補強架構
3がこの地震力を負担するように作用することとなり、
既存建築物2の耐震性が向上されることとなる。
存建築物2内に形成された連通空間7,7,…内に、既
存架構6から構造的に独立した補強柱4,4,…を立設
し、これら補強柱4,4,…間に補強梁5,5,…を架
設するとともに、一部の補強梁5b,5b,…には、既
存架構6によって支持されていた床スラブの一部を支持
させる構成とされている。これにより、施工部位を既存
建築物内の一部に限定することができ、既存建築物2が
敷地境界線に近接している場合においても補強実施が可
能である。また、補強工事実施後には、既存建築物2の
外壁5がそのままに残されることとなり、既存建築物2
の外観意匠に歴史的価値がある場合に、特に好適にこの
耐震補強方法を用いることができる。さらに、上述のよ
うに施工部位が限定されるために、仮設工事の削減を図
ることができる。
存建築物2内部において、連通空間7,7,…を設ける
際に、既存建築物2の最外周部2aに位置する床版およ
び小梁の一部を撤去する構成としたことから、補強実施
に際して、既存建築物2内部での施工を最小限とするこ
とができる。これにより、既存建築物2の内部空間の利
用を行いながら工事を実施することができる。
物2内部に補強架構3を組み込んだ構成とされているた
めに、既存建築物を外部フレーム補強した従来の耐震補
強構造とは異なり、建物の外観が変更されることがな
く、これにより外観意匠に歴史的価値がある建築物の耐
震補強にも良好に適用することができる。さらに、補強
架構3が既存建築物2の外壁18(図1参照)の内側に
位置することとなるために、既存建築物2の周囲に敷地
的な余裕がない場合にも好適に用いることができる。
は、補強架構3を構成する補強柱4,4,…が既存建築
物2の最外周部2aに設けられた構成とされ、これら補
強柱4,4,…間に補強梁5,5,…が架設された構成
とされるために、既存建築物2の内部空間に対する補強
を最小限とすることができ、これにより、既存建築物内
部にブレース等の耐震補強要素を新たに付加する場合と
は異なり、既存建築物2の内部空間の居住性・利用性等
が新たに付加された補強要素によって阻害されることが
避けられる。
構面9にブレース11,11,…が設けられた構成とさ
れていることから、補強架構3の水平耐力の増強を図る
ことができ、これにより、既存建築物2の耐震安全性の
より一層の向上を図ることができる。
主旨を逸脱しない範囲内で、補強架構3の各所の構造、
材料や、耐震補強構造1が適用される既存建築物2の種
類等の構成について、他の構成を採用するようにしても
よい。
構3は、鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造
であってもよい。また、上記実施の形態におけるブレー
ス11,11,…に対して制震ダンパーを設けることに
よって、制震機能を付加するようにすれば、補強構造3
が地震入力エネルギーを吸収する制震構造とされること
となり、これによって既存建築物2の耐震安全性のより
一層の向上を図ることができる。
存建築物の耐震補強方法は、既存建築物内の各階を構成
する床版および小梁のうち、上方から見た際に一定領域
内に位置するものを各階の全てに渡って撤去することに
よって、あらたに連通空間を形成するとともに、これら
連通空間内に、既存架構から構造的に独立した補強柱を
立設し、さらに、これら補強柱間に補強梁を架設すると
ともに、一部の補強梁に、既存架構によって支持されて
いた床版の一部を支持させる構成とされている。したが
って、この耐震補強方法によれば、施工部位を既存建築
物内の一部に限定することができ、既存建築物が敷地境
界線に近接している等、その周囲に敷地的余裕がない場
合にも補強実施が可能である。また、補強工事実施後
も、既存建築物の外壁がそのままに残されることとな
り、既存建築物の外観意匠に歴史的価値がある場合に、
特に好適にこの耐震補強方法を用いることができる。さ
らに、上述のように、施工部位が限定されるために、従
来一般の耐震補強方法に比較して、仮設工事の削減を図
ることができる。
は、既存建築物内部において、連通空間を設ける際に、
既存建築物の最外周部に位置する床版および小梁の一部
を撤去する構成とされていることから、補強実施に際し
て、既存建築物の内部空間における施工を最小限とする
ことができる。これにより、工事期間中における既存建
築物の内部空間の供用が可能とされる。
は、既存建築物内部に補強架構を組み込んだ構成とされ
ているために、既存建築物を外部フレーム補強した従来
の耐震補強構造と異なり、建物の外観が変更されること
がなく、これにより外観意匠に歴史的価値がある建築物
の耐震補強にも良好に適用することができる。さらに、
補強架構が既存建築物の外壁の内側に位置することとな
るために、既存建築物の周囲に敷地的な余裕がない場合
にも適用可能である。
は、補強架構を構成する補強柱が構築される連通空間が
既存建築物の最外周に設けられた構成とされているた
め、既存建築物内部に対する補強を最小限とすることが
でき、これにより、既存建築物内部にブレース等の補強
要素を新たに付加する一般的な耐震補強構造とは異な
り、既存建築物の内部空間の居住性・利用性等が新たに
付加された補強要素によって阻害されることがない。
は、補強梁および補強柱によって形成される構面内にブ
レースが設けられることから、補強架構の水平耐力の増
強を図ることができ、これにより、既存建築物の耐震安
全性のより一層の向上を図ることができる。
って、耐震補強構造が適用された既存建築物の平断面図
である。
梁、およびブレースの接合部の状況を拡大して示した正
面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 既存建築物を構成する既存架構を補強し
て該既存建築物の耐震性を向上させるための耐震補強方
法であって、 前記既存建築物の各階を構成する床版および小梁のう
ち、上方から見た場合に一定領域内に位置するものを前
記各階のすべてに渡って撤去することによって、前記既
存建築物内に上下方向に連通する連通空間を形成し、 該連通空間内に、補強柱を、前記既存架構から独立させ
た状態で新たに立設するとともに、これら補強柱間に補
強梁を架設することにより新たに補強架構を構築し、 前記既存架構によって支持された床版の内の少なくとも
一部を前記補強梁に支持させることを特徴とする既存建
築物の耐震補強方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の既存建築物の耐震補強方
法であって、 前記連通空間を形成する際には、前記既存建築物を平面
視した場合にその最外周に位置する床板および小梁を撤
去することを特徴とする既存建築物の耐震補強方法。 - 【請求項3】 既存建築物の各階を構成する床版および
小梁のうち、上方から見た場合に一定領域内に位置する
ものが、前記各階のすべてに渡って撤去されて、前記既
存建築物内に上下方向に連通する連通空間が形成され、 前記連通空間内に、前記既存建築物を支持する地盤から
立設された補強柱が配置され、 該補強柱間には、補強梁が架設され、 前記既存建築物内の床版の少なくとも一部が、前記補強
梁によって支持されていることを特徴とする既存建築物
の耐震補強構造。 - 【請求項4】 請求項3記載の既存建築物の耐震補強構
造であって、 前記連通空間は、前記既存建築物を平面視した場合に、
その最外周側に形成されていることを特徴とする既存建
築物の耐震補強構造。 - 【請求項5】 請求項3または4記載の既存建築物の耐
震補強構造であって、 前記補強柱および前記補強梁によって形成される構面内
にはブレースが配置されていることを特徴とする既存建
築物の耐震補強構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32006797A JP3721482B2 (ja) | 1997-11-20 | 1997-11-20 | 既存建築物の耐震補強方法および耐震補強構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32006797A JP3721482B2 (ja) | 1997-11-20 | 1997-11-20 | 既存建築物の耐震補強方法および耐震補強構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11152906A true JPH11152906A (ja) | 1999-06-08 |
JP3721482B2 JP3721482B2 (ja) | 2005-11-30 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32006797A Expired - Fee Related JP3721482B2 (ja) | 1997-11-20 | 1997-11-20 | 既存建築物の耐震補強方法および耐震補強構造 |
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JP (1) | JP3721482B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007056465A (ja) * | 2005-08-22 | 2007-03-08 | Takenaka Komuten Co Ltd | 補強構造および補強構造物 |
CN106121266A (zh) * | 2016-07-20 | 2016-11-16 | 邱炎新 | 一种既有建筑围套式加层结构的施工方法 |
-
1997
- 1997-11-20 JP JP32006797A patent/JP3721482B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007056465A (ja) * | 2005-08-22 | 2007-03-08 | Takenaka Komuten Co Ltd | 補強構造および補強構造物 |
CN106121266A (zh) * | 2016-07-20 | 2016-11-16 | 邱炎新 | 一种既有建筑围套式加层结构的施工方法 |
CN106121266B (zh) * | 2016-07-20 | 2018-06-19 | 江西省中宁建筑工程有限公司 | 一种既有建筑围套式加层结构的施工方法 |
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---|---|
JP3721482B2 (ja) | 2005-11-30 |
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