JPH07238593A - チューブ構造の建築物 - Google Patents

チューブ構造の建築物

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JPH07238593A
JPH07238593A JP6030482A JP3048294A JPH07238593A JP H07238593 A JPH07238593 A JP H07238593A JP 6030482 A JP6030482 A JP 6030482A JP 3048294 A JP3048294 A JP 3048294A JP H07238593 A JPH07238593 A JP H07238593A
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和彦 磯田
Nobuyuki Maeda
信之 前田
Yoshihisa Kitamura
佳久 北村
Naoki Kojima
直樹 小島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 必要な剛性,耐力等を確保したうえで、超高
層ビル等の建築物を、低コストかつ短工期で構築するこ
とのできるチューブ構造の建築物を提供することを目的
とする。 【構成】 建築物1の各角部1aに隅切面2を形成した
構成とし、その躯体3を、外周部に沿ったチューブ状の
外周フレーム4と、その内方に設けたコアウォール5と
を備えた構成とした。そして、外周フレーム4をトラス
架構6とコンクリート造の壁体7とからなるハイブリッ
ド構造とするとともに、コアウォール5を耐震壁からな
る構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超高層ビル等の建築物
を構成するのに好適なチューブ構造の建築物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に、超高層ビル等の建築物を構築す
るに際して、建築物の躯体には、鉄骨造や鉄骨鉄筋コン
クリート造からなる柱と梁とを組み合わせて剛結合し
た、いわゆるラーメン構造が用いられている。周知のよ
うに、建築物が高層化するに伴い、下層部で支持すべき
荷重は増大する。これに対応するために、ラーメン構造
の建築物では、柱の本数を増やして柱を密に立設した
り、柱,梁の強度を高めるためにその断面積を大きくし
たりすることによって、躯体剛性を高め、剪断,曲げ,
捩じれ等の応力に対する剛性や耐力を確保している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の建築物には、以下のような問題が存在す
る。前記したように、躯体剛性を高めるために、躯体を
構成する柱の本数を増やしたり、各部材の断面寸法を大
きくすると、材料コストが大幅に上昇するばかりか、各
部材の取り扱いにも手間がかかり、工期の長期化を招
き、さらには、建築物内の空間の有効利用を妨げるとい
う問題がある。しかも、柱の本数を増やしたり各部材の
断面寸法を大きくすることによって、躯体自体の重量も
増大するため、建築物の高さを高くすればするほど前記
の問題は一層顕著なものとなり、従来のラーメン構造で
は、例えば300m以上といった高さの超々高層建築物
を実現するのが非現実的なものとなっていた。本発明
は、以上のような点を考慮してなされたもので、必要な
剛性,耐力等を確保したうえで、超高層ビル等の建築物
を、低コストかつ短工期で構築することのできるチュー
ブ構造の建築物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
平面視多角形状とされ、かつ各角部が上下方向に隅切り
されてなる建築物の躯体が、前記建築物の外周部に沿っ
て上下方向に軸線を有するチューブ状の外周フレームを
備えた構成とされ、該外周フレームが、前記建築物の隅
切面を形成する鉄筋コンクリート造の壁体と、隣り合っ
た前記隅切面間の各側面を形成する柱と梁とブレースと
から組み立てられたトラス架構とからなることを特徴と
している。
【0005】請求項2に係る発明は、請求項1記載のチ
ューブ構造の建築物において、上下方向に軸線を有する
筒状に形成された耐震壁からなる内周フレームが、前記
外周フレームの内方に設けられていることを特徴として
いる。
【0006】請求項3に係る発明は、請求項1または2
記載のチューブ構造の建築物において、前記内周フレー
ムの上端部と前記外周フレームの上端部とが、連結部材
で一体に連結されていることを特徴としている。
【0007】
【作用】請求項1記載の発明では、建築物の躯体を、そ
の外周部に沿ったチューブ状の外周フレームから構成
し、この外周フレームの各隅切面を鉄筋コンクリート造
とするとともに、各側面をトラス架構で形成する構成と
した。これにより、この外周フレームは、高い耐力と剛
性を有するものとなる。しかも、外周フレーム全体をト
ラス構造とする場合に比較して、曲げ剛性を大きくする
ことのできる外周の隅切面を鉄筋コンクリートの耐震壁
とすることにより、鉄骨の使用量を低減することができ
る。また、建築物の各角部に隅切面を有する構成とする
ことにより、風による気流が各角部で滑らかになり、建
築物に作用する抗力を小さくし、空力不安定振動を抑さ
えることが可能となる。
【0008】請求項2記載の発明では、外周フレームの
内方に、耐震壁からなる筒状の内周フレームを設ける構
成とした。これによって、躯体が外周フレームと内周フ
レームとからなる二重のチューブ構造となり、躯体の剪
断剛性がさらに高められることになる。
【0009】請求項3記載の発明では、内周フレームの
上端部と外周フレームの上端部とを、連結部材で一体に
連結する構成とした。これにより、外周フレームと内周
フレームとの間で曲げ応力を伝達することが可能とな
り、曲げ変形を抑制することができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を図面に示す一実施例を参照し
て説明する。図1は、本発明に係るチューブ構造の建築
物を適用した建築物の一例を示すものである。図1ない
し図3に示すように、建築物1は、例えば地上48階、
200m程度の高さを有した高層ビルで、その外形形状
が平面視略正方形の角柱状とされている。この建築物1
の各角部1aには、当該建築物1を上下方向にわたって
隅切してなる隅切面2が形成されている。
【0011】この建築物1を構成する躯体3は、建築物
1の外周面に沿って形成された外周フレーム4と、その
内方に構築されたコアウォール(内周フレーム)5とを
主要構成としている。
【0012】外周フレーム4は、建築物1の各側面1b
を形成する部分が、鉄骨造のトラス架構6からなる構成
とされ、各角部1a、すなわち隅切面2を形成する部分
が、鉄筋コンクリート造の壁体7からなる構成とされて
いる。このように、外周フレーム4は、異種材料を組み
合わせたハイブリッド構造となっている。
【0013】図1および図2に示したように、各トラス
架構6は、該トラス架構6の両側に位置して上下方向に
延在するH型鋼からなる柱8,8と、これら柱8,8間
に、上下方向に例えば三階毎の間隔で架設されたH型鋼
からなる梁9と、これら柱8,梁9間に設けられた断面
視ロ字状のボックス鋼からなるブレース10とが、剛に
結合された構成からなっている。これら柱8,梁9,ブ
レース10によって、トラス架構6は、建築物1の三階
分のピッチを有したトラス構造となっている。
【0014】図4に示すように、柱8と梁9とブレース
10とが取り合う接合部Pには、接合部材11が配設さ
れ、この接合部材11を介して、柱8,梁9,ブレース
10が剛に結合された構成となっている。図5に示すよ
うに、接合部材11は、梁9と略同一断面形状を有した
梁接合ブラケット12の上下のフランジ部12a,12
aに、柱8と略同一断面形状を有した柱接合ブラケット
13,13と、ブレース10の延在する方向に延出して
ブレース10と略同一断面形状を有したブレース接合ブ
ラケット14,14とが、一体に形成された構成とされ
ている。さらに梁接合ブラケット12のフランジ部12
a,12a間には、各柱接合ブラケット13のフランジ
部13a,13aおよび各プレース接合ブラケット14
の側面14aに対向するようにして、垂直補強板15,
15,15が配設されている。また、各柱接合ブラケッ
ト13のフランジ13a,13a間には、これに接合さ
れたブレース接合ブラケット14の側面14bに対向す
るように、水平補強板16が配設されている。図4に示
したように、この接合部材11の前後面には、それぞ
れ、垂直面内に位置する略K字状のカバー板17が設け
られている。このような構成からなる接合部材11は、
予め工場等で、鋼板を所定の形状に溶接することにより
一体に構成したものとなっている。そして、梁接合ブラ
ケット12,柱接合ブラケット13,ブレース接合ブラ
ケット14,垂直補強板15,水平補強板16,カバー
板17によって、この接合部材11は、ボックス状をな
した構成となっている。そして、この接合部材11の梁
接合ブラケット12,柱接合ブラケット13,ブレース
接合ブラケット14に、それぞれ梁9,柱8,ブレース
10が、図示しないジョイントを介して結合されてい
る。
【0015】図4に示したように、梁9とブレース10
とが取り合う接合部Qには、接合部材20が配設され、
この接合部材20を介して、梁9,ブレース10が剛に
結合された構成となっている。図6に示すように、接合
部材20は、垂直板21の両側に、それぞれ梁9と略同
一断面を有する梁接合ブラケット22が形成され、梁接
合ブラケット22の上下のフランジ部22a,22aお
よび垂直板21に、ブレース10の延在する方向に延出
して、ブレース10と略同一断面を有したブレース接合
ブラケット23,23,…が形成された構成とされてい
る。そして、梁接合ブラケット22の上下のフランジ部
22a,22a間には、上下のブレース接合ブラケット
23,23のフランジ部23a,23aを結ぶように、
垂直補強板24,24が設けられている。さらに、図4
に示したように、この接合部材20の前後面には、それ
ぞれ垂直面内に位置する略X字状のカバー板25が設け
られている。このような構成からなる接合部材20は、
図5に示した接合部材11と同様に、予め工場等で鋼板
を所定の形状に溶接することにより一体に形成されたも
ので、梁接合ブラケット22,ブレース接合ブラケット
23,垂直補強板24,カバー板25によって、ボック
ス状をなした構成となっている。そして、図4に示した
ように、この接合部材20の梁接合ブラケット22,ブ
レース接合ブラケット23に、それぞれ梁9,ブレース
10が、図示しないジョイントを介して結合されてい
る。
【0016】また、前記梁9,9,…間には、一階毎の
ピッチでサブ梁26,26がそれぞれ配設され、これに
より各階の床面を支持するようになっている。このサブ
梁26は、柱8,ブレース10に、図示しないガセット
プレートを介してピン結合されている。
【0017】上記のような構成からなる各トラス架構6
の両側には、前記の鉄筋コンクリート造の壁体7が、以
下のようにして形成されている。図7および図8に示す
ように、互いに隣り合ったトラス架構6,6の柱8,8
間には、水平方向に延在するH型鋼からなる水平部材2
7が配設されている。図8に示したように、この水平部
材27は、各階の梁9あるいはサブ梁27とその上面を
一致するよう、図示しないガセットプレートを介して、
その両端が柱8,8に結合されている。このようにして
上下方向に一定間隔(一階毎)に配設された水平部材2
7,27,…間には、垂直方向に延在する垂直部材2
8,28が設けられている。そして、この垂直部材2
8,28には、水平方向に延在する胴縁29が、上下に
一定間隔毎に取り付けられている。そして、これら胴縁
29の外面側に、上下方向に一定寸法を有したプレキャ
ストコンクリート造の型枠30が、上下に複数連続して
取り付けられている。図7に示したように、この型枠3
0は、その両端部が、両側のトラス架構6,6に沿うよ
う折曲された形状とされている。そして、この型枠30
の内側には、一定厚さに亘って、鉄筋コンクリート造の
壁体7が形成された構成となっている。
【0018】図3に示したように、前記コアウォール5
は平面視略正方形状で、その四隅には、平面視ロ字状の
充填鋼管コンクリート造の柱31,31,…が配設され
ている。さらに、隣り合った柱31,31の中間部に
は、同じく平面視ロ字状の充填鋼管コンクリート造の柱
32が配設されている。そして、互いに隣接する各柱3
1,32間には、耐震壁34が形成されている。これら
柱31,32と耐震壁34によって、平面視正方形で上
下方向に軸線を有した筒状のコアウォール5が形成され
た構成となっている。
【0019】図1および図2に示したように、このよう
な構成からなるコアウォール5は、外周フレーム4より
もその高さが一定寸法高く設定され、コアウォール5の
上端部5aが外周フレーム4の上端部4aよりも上方に
突出した形態とされている。そして、コアウォール5の
上端部5aの角部と、外周フレーム4の側面の上端部4
aとの間には、例えば鉄骨からなる連結部材36,3
6,…が、それぞれ建築物1の側面1bと直交する方向
に延在するように設けられている。これによって、コア
ウォール5と外周フレーム4とが、それぞれの上端部5
a,4aで一体に連結された構成となっている。
【0020】図3に示したように、前記外周フレーム4
とコアウォール5とを主要構成とした建築物1の躯体3
の各階の構造は以下のようになっている。すなわち、外
周フレーム4とコアウォール5との間には、建築物1の
各側面1bと直交する方向に延在して、一端がトラス架
構6に接合され、他端がコアウォール5の柱31,32
に接合された大梁37,37,…が設けられている。ま
た、各隅切面2の両側には、これと直交する方向に延在
して、一端がトラス架構6の端部に接合され、他端が大
梁37に接合された大梁38,38が配設されている。
そして、このようにして平面視略放射状に配設されて、
互いに隣接したこれら大梁37,38間には、いずれか
一方の側の大梁37,38と直交する方向に延在する小
梁39,40,41が、一定間隔毎に配設された構成と
なっている。さらに、コアウォール5の内方には、大梁
42が、柱32,32,…間で十字状をなすよう配設さ
れている。そして、これら大梁37,38,42、小梁
39,40,41の上面に、各階の床版(図示なし)が
支持された構成となっている。このようにして、外周フ
レーム4とコアウォール5とが、各階においても連結さ
れて一体化された構成となっている。
【0021】上述したチューブ構造の建築物1では、建
築物1の躯体3が、その外周部に沿ったチューブ状の外
周フレーム4を備えた構成とされ、この外周フレーム4
がトラス架構6と、コンクリート造の壁体7とからなる
ハイブリッド構造とされている。このように、躯体3の
外周部の四隅にコンクリート造の壁体7を配置すること
により、躯体3の剪断,曲げ,捩じれに対する剛性が確
保される。そして、この壁体7と一体化されたトラス架
構6によって、より一層、躯体3の剪断,捩じれに対す
る剛性が高められるようになっている。したがって、躯
体3が高い耐力と剛性を有するものとなる。この結果、
従来のラーメン構造によってこの外周フレーム4と同等
の耐力,剛性を有したものを形成しようとした場合はも
ちろんのこと、外周フレーム4全体をトラス構造とする
場合に比較しても、外周フレーム4に使用する鉄骨の数
量を大幅に低減させることが可能となり、建築物1の施
工コストの大幅な削減を実現することができる。もちろ
ん、使用する鉄骨の数量が大幅に削減されれば、これに
ともなって、施工の手間も省くことができ、工期の短縮
化を図ることも可能となる。また、この外周フレーム4
の内方に、耐震壁34,34,…から構成されるコアウ
ォール5が設けられた構成とされている。これにより、
躯体3が外周フレーム4とコアウォール5とからなる二
重のチューブ構造となり、躯体3の剪断剛性が一層高め
られるので、従来のラーメン構造に比較して、柱の設置
密度,各部材の断面寸法を小さくすることができる。し
たがって、建築物1の内部空間を、柱の少ない広大なも
のとすることができ、内部空間の有効利用を図ることが
できる。しかも、この建築物1を、低コストかつ短工期
で構築することが可能となる。また、このような外周フ
レーム4と外周フレーム5とを兼ね備えた構造を適用す
れば、例えば300〜800mといった高さの超々高層
ビルを実現することも可能となる。しかも、この外周フ
レーム4の上端部4aと、コアウォール5の上端部5a
とが、連結部材36,36,…で一体に連結された構成
となっている。これによって、外周フレーム4とコアウ
ォール5との間で、躯体3にかかる曲げ応力を伝達する
(曲げ戻す)ことができ、コアウォール5の働きの有効
化を図り、躯体3の剪断剛性を一層高めることができ
る。さらには、建築物1が、各角部1aに隅切面2を有
する形状とされている。これにより、風による気流が各
角部1aで滑らかになり、建築物1に作用する抗力を小
さくすることが可能となる。またこの結果、風に起因す
る建築物1の振動が過大となることを抑制することがで
きる。加えて、図7に示したように、壁体7により、ト
ラス架構6の両側の柱8,8が覆われた構成とされてい
るので、この建築物1が、柱部材のない、個性豊かな外
観を有したものとなり、これによって、建築物1の付加
価値を高めることが可能となる。
【0022】なお、上記実施例において、建築物1の施
工方法については何ら限定するものではなく、効率よく
建築物1を構築することができるのであれば、いかなる
施工方法を用いてもよいのはいうまでもない。また、壁
体7には、出入口や採光,通気のために開口部を設ける
等してもよい。また、コアウォール5の内部空間を利用
できるのはいうまでもなく、これにともなって、耐震壁
34に出入口等を形成する構成としてもよい。さらに
は、建築物1の躯体3を、外周フレーム4とコアウォー
ル5とを備えたハイブリッド構造としたが、例えば高さ
300m以下程度の建築物を構成する場合には、コアウ
ォール5に耐震壁34を用いた構造とせずに、通常の
柱,梁を組み合わせた構造とするなどしてもよい。この
ような構造としても、図9に示すように、建築物1’の
躯体3’に、外周フレーム4を備える構成とするのであ
れば、外周フレーム4が、トラス架構6とコンクリート
造の壁体7とから構成されているので、前記と同様に、
剪断,曲げ,捩じれに対する十分な剛性を確保したうえ
で、低コストかつ短工期でこの建築物1’を構築するこ
とができる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るチ
ューブ構造の建築物によれば、建築物の躯体を、その外
周部に沿ったチューブ状の外周フレームから構成し、こ
の外周フレームの隅切面を鉄筋コンクリート造の壁体か
ら構成するとともに、側面をトラス架構で形成する構成
とした。これにより、この外周フレームは、高い耐力と
剛性を有するものとなる。しかも、躯体全体を従来のラ
ーメン構造とする場合はもちろんのこと、外周フレーム
全体をトラス構造とする場合に比較しても、曲げ剛性を
大きくできる外周面の隅切面を鉄筋コンクリートの耐震
壁とすることにより、鉄骨の使用量を低減することがで
きるので、コストの大幅な削減,工期の短縮化を図るこ
とができる。また、建築物の各角部に隅切面を有する構
成としたので、風によって建築物に作用する抗力を、抑
さえることが可能となり、風に起因する建築物の振動が
過大となることを抑制することができる。
【0024】請求項2に係るチューブ構造の建築物によ
れば、外周フレームの内方に、耐震壁からなる内周フレ
ームを設けて、躯体を二重のチューブ構造とした。これ
によって躯体の剪断剛性が高められ、従来のラーメン構
造に比較して、柱の設置密度,各部材の断面寸法を小さ
くすることができる。したがって、超高層ビル等の建築
物の内部空間を、柱の少ない広大なものとすることがで
き、内部空間の有効利用を図ることができる。しかも、
このような建築物を、低コストかつ短工期で構築するこ
とが可能となる。しかも、このような外周フレームと外
周フレームとを兼ね備えた構造を適用すれば、例えば3
00〜800mといった高さの超々高層建築物を実現す
ることも可能となる。
【0025】請求項3に係るチューブ構造の建築物によ
れば、内周フレームの上端部と外周フレームの上端部と
を、連結部材で一体に連結する構成とした。これによ
り、外周フレームと内周フレームとの間で曲げ応力を伝
達することが可能となるので、耐震壁からなる内周フレ
ームの働きの有効化を図り、躯体の剪断剛性をより一層
高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るチューブ構造の建築物を適用した
建築物の躯体の一例を示す斜視図である。
【図2】前記躯体の正面図である。
【図3】前記躯体の平断面図である。
【図4】前記躯体のトラス架構の一部を示す正面図であ
る。
【図5】前記トラス架構の接合部を示す正面図である。
【図6】前記トラス架構の他の接合部を示す正面図であ
る。
【図7】前記躯体の壁体とトラス架構との取り合いを示
す平断面図である。
【図8】前記壁体を斜め側方から見た状態を示す図であ
る。
【図9】本発明に係るチューブ構造の建築物を適用した
建築物の躯体の他の一例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 建築物 2 隅切面 3 躯体 4 外周フレーム 5 コアウォール(内周フレーム) 6 トラス架構 7 躯体 8 柱 9 梁 10 ブレース 34 耐震壁 36 連結部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小島 直樹 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平面視多角形状とされ、かつ各角部が上
    下方向に隅切りされてなる建築物の躯体が、前記建築物
    の外周部に沿って上下方向に軸線を有するチューブ状の
    外周フレームを備えた構成とされ、該外周フレームが、
    前記建築物の隅切面を形成する鉄筋コンクリート造の壁
    体と、隣り合った前記隅切面間の各側面を形成する柱と
    梁とブレースとから組み立てられたトラス架構とからな
    ることを特徴とするチューブ構造の建築物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のチューブ構造の建築物に
    おいて、上下方向に軸線を有する筒状に形成された耐震
    壁からなる内周フレームが、前記外周フレームの内方に
    設けられていることを特徴とするチューブ構造の建築
    物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のチューブ構造の
    建築物において、前記内周フレームの上端部と前記外周
    フレームの上端部とが、連結部材で一体に連結されてい
    ることを特徴とするチューブ構造の建築物。
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