JP2022187181A - 多層建築物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、利用者への圧迫感が少なく開放感が得られる耐震性に優れた多層建築物を提供する。【解決手段】本発明に係る多層建築物10は、各階で室外に張り出す外周スラブ20a~20kと、多層建築物10の外周を囲う外殻トラス構造40と、を備える。外周スラブ20a~20kは、外縁に連続して設けられる鉄骨または鉄筋の外縁フレーム22と、各階の外周で連続する鉄筋コンクリート造の床本体と、を備える。外殻トラス構造40は、複数の第1斜材41と複数の第2斜材42とを含む。外殻トラス構造40は、複数の第1斜材41と複数の第2斜材42とが交差して形成された平行四辺形の枠状体50が外周に沿って複数連続して形成される。第1斜材41と第2斜材42のそれぞれは、鉄骨である。枠状体50のそれぞれは、複数階に渡って延在し、かつ、枠状体50と交わる各階の外縁フレーム22に接合される。【選択図】図1
Description
本発明は、耐震性に優れた多層建築物に関する。
従来、特許文献1のような一対の柱と梁の間に交差状に架け渡した鉄骨ブレースを有する耐震架構を備えた多層建築物が知られている。通常、このような耐震架構は、多層建築物の壁面の一部に導入される。
しかしながら、耐震架構としての鉄骨ブレースは太く多層建築物の利用者に圧迫感を与え、また、鉄骨ブレースが設けられた壁面に開口を設けたとしても開口面積は小さくならざるを得ないため開放感に乏しい。
そこで、本発明は、利用者への圧迫感が少なく開放感が得られる耐震性に優れた多層建築物を提供することを目的とする。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[1]本発明に係る多層建築物の一態様は、
各階で室外に張り出す外周スラブと、
多層建築物の外周を囲う外殻トラス構造と、
を備え、
前記外周スラブは、外縁に連続して設けられる鉄骨または鉄筋の外縁フレームと、各階の外周で連続する鉄筋コンクリート造の床本体と、を備え、
前記外殻トラス構造は、右斜め上方に向かって延びる複数の第1斜材と左斜め上方に向かって延びる複数の第2斜材とを含み、かつ、前記複数の第1斜材と前記複数の第2斜材とが交差して形成された平行四辺形の枠状体が前記多層建築物の外周に沿って複数連続して形成され、
前記第1斜材と前記第2斜材のそれぞれは、鉄骨であり、
前記枠状体のそれぞれは、複数階に渡って延在し、かつ、前記枠状体と交わる各階の前記外縁フレームに接合されることを特徴とする。
各階で室外に張り出す外周スラブと、
多層建築物の外周を囲う外殻トラス構造と、
を備え、
前記外周スラブは、外縁に連続して設けられる鉄骨または鉄筋の外縁フレームと、各階の外周で連続する鉄筋コンクリート造の床本体と、を備え、
前記外殻トラス構造は、右斜め上方に向かって延びる複数の第1斜材と左斜め上方に向かって延びる複数の第2斜材とを含み、かつ、前記複数の第1斜材と前記複数の第2斜材とが交差して形成された平行四辺形の枠状体が前記多層建築物の外周に沿って複数連続して形成され、
前記第1斜材と前記第2斜材のそれぞれは、鉄骨であり、
前記枠状体のそれぞれは、複数階に渡って延在し、かつ、前記枠状体と交わる各階の前記外縁フレームに接合されることを特徴とする。
[2]上記多層建築物の一態様において、
前記多層建築物は、1階の前記外周スラブと、最上階の前記外周スラブの上に庇状に設けられる前記外周スラブと、を含み、
前記第1斜材の下端と前記第2斜材の下端は、1階の前記外周スラブの前記外縁フレームにおける同一接合箇所で接合され、
前記第1斜材の上端と前記第2斜材の上端は、庇状の前記外周スラブの前記外縁フレームにおける同一接合箇所で接合されることができる。
前記多層建築物は、1階の前記外周スラブと、最上階の前記外周スラブの上に庇状に設けられる前記外周スラブと、を含み、
前記第1斜材の下端と前記第2斜材の下端は、1階の前記外周スラブの前記外縁フレームにおける同一接合箇所で接合され、
前記第1斜材の上端と前記第2斜材の上端は、庇状の前記外周スラブの前記外縁フレームにおける同一接合箇所で接合されることができる。
[3]上記多層建築物の一態様において、
前記多層建築物は、1階の前記外周スラブと、最上階の前記外周スラブと、を含み、
前記第1斜材の下端と前記第2斜材の下端は、1階の前記外周スラブの前記外縁フレームにおける同一接合箇所で接合され、
前記第1斜材の上端と前記第2斜材の上端は、最上階の前記外周スラブの前記外縁フレームにおける同一接合箇所で接合されることができる。
前記多層建築物は、1階の前記外周スラブと、最上階の前記外周スラブと、を含み、
前記第1斜材の下端と前記第2斜材の下端は、1階の前記外周スラブの前記外縁フレームにおける同一接合箇所で接合され、
前記第1斜材の上端と前記第2斜材の上端は、最上階の前記外周スラブの前記外縁フレームにおける同一接合箇所で接合されることができる。
[4]上記多層建築物の一態様において、
前記多層建築物は、前記外周スラブ及び前記外殻トラス構造を有する上部構造体と、前記上部構造体を支持する下部構造体と、を備え、
前記下部構造体は、免震装置を介して前記上部構造体を支持することができる。
前記多層建築物は、前記外周スラブ及び前記外殻トラス構造を有する上部構造体と、前記上部構造体を支持する下部構造体と、を備え、
前記下部構造体は、免震装置を介して前記上部構造体を支持することができる。
本発明に係る多層建築物の一態様によれば、室内と外殻トラス構造との間に外周スラブを挟むことによりが利用者への圧迫感が少なく開放感が得られる耐震性に優れた多層建築物を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
本実施形態に係る多層建築物は、各階で室外に張り出す外周スラブと、多層建築物の外周を囲う外殻トラス構造と、を備え、前記外周スラブは、外縁に連続して設けられる鉄骨または鉄筋の外縁フレームと、各階の外周で連続する鉄筋コンクリート造の床本体と、を備え、前記外殻トラス構造は、右斜め上方に向かって延びる複数の第1斜材と左斜め上方に向かって延びる複数の第2斜材とを含み、かつ、前記複数の第1斜材と前記複数の第2斜材とが交差して形成された平行四辺形の枠状体が前記多層建築物の外周に沿って複数連続して形成され、前記第1斜材と前記第2斜材のそれぞれは、鉄骨であり、前記枠状体のそれぞれは、複数階に渡って延在し、かつ、前記枠状体と交わる各階の前記外縁フレームに接合されることを特徴とする。
1.多層建築物
図1及び図2を用いて、本実施形態に係る多層建築物10の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る多層建築物10の正面図であり、図2は、本実施形態に係る多層建築物10の側面図である。多層建築物10の背面図は正面図と基本的に同じ構造であり、多層建築物10の右側面図は図2と対象に表れる。
図1及び図2を用いて、本実施形態に係る多層建築物10の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る多層建築物10の正面図であり、図2は、本実施形態に係る多層建築物10の側面図である。多層建築物10の背面図は正面図と基本的に同じ構造であり、多層建築物10の右側面図は図2と対象に表れる。
図1及び図2に示すように、多層建築物10は、各階で室外に張り出す外周スラブ20a~20kと、多層建築物10の外周を囲う外殻トラス構造40と、を備える。多層建築物10は、外周スラブ20a~20k及び外殻トラス構造40を有する上部構造体12と、上部構造体12を支持する下部構造体14と、を備える。多層建築物10は、1階の外周スラブ20aと、最上階(10階)の外周スラブ20jの上に庇状に設けられる外周スラブ20kと、を含む。
上部構造体12は、下端が複数の免震装置140に支持された多層構造、例えば地上10階建てであり、鉄骨構造の構造躯体を有する。10階の上には屋上があり、例えば機械室が設けられる。上部構造体12は、横断面が略矩形の四角柱状であるが他の多角柱状であってもよいし円柱状であってもよい。上部構造体12は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、木造等であってもよい。上部構造体12は、例えばオフィスビルとして利用される。
下部構造体14は、複数の免震装置140を介して上部構造体12を支持する。多層建築物10が免震装置140を有することにより、これに支えられる上部構造体12の水平力の負担を軽減できるため、外殻トラス構造40を構成する第1斜材41及び第2斜材42を細く、軽量化することができる。下部構造体14は、地中に延びる複数の杭144と、杭144の上にフーチングを介して設置された免震装置140と、を備える。基礎スラブ145の直下の地盤に十分な耐力がある場合は、杭144を省略することができる。複数の免震装置140は、例えば地下に設けられた免震ピット142内に配置される。免震ピット142は、地盤上に施工された鉄筋コンクリート造の基礎スラブ145と、基礎スラブ145の外周縁から地上へ向けて立ち上がる擁壁146とに囲まれた空間である。
免震装置140は、免震ピット142内の複数個所に相互に間隔を空けて設置される。免震装置140は、上部構造体12を支え、上部構造体12に伝わる地震等の水平方向の揺れを低減させ、かつ、上部構造体12の相対位置の変化を元に戻す力を付与する機構であり、いわゆるアイソレータである。免震装置140は、積層ゴム、すべり支承及び転がり支承の少なくともいずれか一つを含む。
2.外周スラブ
次に、図1~図4を用いて外周スラブ20a~20kについて説明する。図3は、図1のA-A断面図であり、図4は、図3の階の概略構造図である。
次に、図1~図4を用いて外周スラブ20a~20kについて説明する。図3は、図1のA-A断面図であり、図4は、図3の階の概略構造図である。
図1~図3に示すように、外周スラブ20a~20jは、各階の室内30の床スラブ31(図3)から室外へ突出するように張り出す。外周スラブ20kは、屋上の外周に設けられ、階下(10階)の外周スラブ20jの上に庇状に張り出す。外周スラブ20a~20kは、室内30と室外とを隔てる壁34の外側に全周にわたって設けられる。屋上では壁34は室内と室外を隔てるものではないが、壁34が階下と概ね同じ位置に設けられる。
図3に示す多層建築物10の7階の外周スラブ20gは、他の階の外周スラブ20a~20e及び20h~20kと基本的に同じ構造を有している。図3において、外周スラブ20gは、その範囲を明確に示すため網掛け処理で表している。室内30は壁34で囲まれており、壁34の内側には構造材としての複数の柱32が設けられる。壁34は、例えば全面ガラス製の窓で構成され、一部が開閉可能である。
通常、免震装置140上の多層建築物であれば、耐震性のためにさらに太い柱を多く配置しなければならないが、本実施形態に係る多層建築物10は外周スラブ20a~20kと外殻トラス構造40とによって室内30に設ける柱32を細く、しかも柱32の本数も
少なくすることができる。そのため、室内30から外を見るときに柱32によって遮蔽される面積が少ないので、室内30の利用者は開放感が得られる。特に、室内30と外殻トラス構造40との間に外周スラブ20a~20kを挟むことにより、室内30の利用者に対して外殻トラス構造40が与える圧迫感を減少させることができ、これにより利用者に開放感を与えることができる。圧迫感の軽減のために、例えば、外殻トラス構造40と室内30との間隔は、750mm以上となるように壁34の位置を設定することが好ましい。少なくとも外殻トラス構造40と室内30との間にある外周スラブ20a~20kの幅が750mm以上となることにより、メンテナンス作業に際し、作業者が外周スラブ20a~20k上を歩くことができるため好ましい。
少なくすることができる。そのため、室内30から外を見るときに柱32によって遮蔽される面積が少ないので、室内30の利用者は開放感が得られる。特に、室内30と外殻トラス構造40との間に外周スラブ20a~20kを挟むことにより、室内30の利用者に対して外殻トラス構造40が与える圧迫感を減少させることができ、これにより利用者に開放感を与えることができる。圧迫感の軽減のために、例えば、外殻トラス構造40と室内30との間隔は、750mm以上となるように壁34の位置を設定することが好ましい。少なくとも外殻トラス構造40と室内30との間にある外周スラブ20a~20kの幅が750mm以上となることにより、メンテナンス作業に際し、作業者が外周スラブ20a~20k上を歩くことができるため好ましい。
外周スラブ20gは、室内30の利用者が出入りできる回廊状のベランダとして利用してもよいし、植栽により緑化してもよい。
図4に示すように、外周スラブ20gは、外周スラブ20gの外縁に連続して設けられる鉄骨または鉄筋の外縁フレーム22と、各階の外周で連続する鉄筋コンクリート造の床本体26と、を備える。外周スラブ20gは、本実施形態では、外縁フレーム22が鉄骨である例を示す。
外縁フレーム22は、外周スラブ20gの外縁にある。外縁フレーム22は、外周スラブ20gの外縁に沿って全周にわたり延在する平面視で四角い枠状に形成される。外縁フレーム22は、例えば溝形鋼であり、床本体26の小口部を構成する水平材である。溝形鋼の外縁フレーム22は、例えば図6に示すように配置される。床本体26は、当該階の複数の大梁36,36aの内最も外縁フレーム22に近い大梁36aから外縁まで延びる略水平の床面を構成する。床本体26は、鉄筋コンクリート造であって、大梁36aに一端が固定された片持ちスラブと同様に形成することができる。床本体26は、鉄筋コンクリート造の内部に大梁36aから外縁フレーム22まで延びる水平力伝達用の補強鉄骨を内蔵してもよい。床本体26の床面は、例えば、外縁フレーム22に近い大梁36aの内側に形成される床スラブ31の床面と連続して設けられる。床本体26には外縁付近に落下防止用の手摺等が設けられてもよい。
外縁フレーム22は、外殻トラス構造40と溶接やボルト等で接合し一体化する。この接合構造の詳細については後述する。外縁フレーム22は、外周スラブ20g及び外殻トラス構造40の水平力の伝達と、外周スラブ20gに生じる引張力に抗するように作用する。そのため、地震等の水平方向の揺れに対して床本体26における損傷を軽減できる。
外周スラブ20a~20kは、各階の床スラブ31の外周を囲むように連続する枠状に形成され、当該階に生じた水平力を床本体26及び外縁フレーム22を介して外殻トラス構造40へ伝達する。
室内30は、壁34で囲まれた内側にあり、複数の柱32と、階下の柱32間を結ぶ複数の大梁36,36aと、大梁36,36aの上に打設されたコンクリート造の床スラブ31と、を備える。床スラブ31は、外周スラブ20a~20kと連続して一体に形成される。柱32の下方は、フーチングを介して免震装置140により支持される。
3.外殻トラス構造
次に、図1~図4を用いて外殻トラス構造40について説明する。
次に、図1~図4を用いて外殻トラス構造40について説明する。
図1及び図2に示すように、外殻トラス構造40は、右斜め上方に向かって延びる複数の第1斜材41と左斜め上方に向かって延びる複数の第2斜材42とを含み、かつ、複数の第1斜材41と複数の第2斜材42とが交差して形成された平行四辺形の枠状体50が
多層建築物10の外周に沿って複数連続して形成される。「右斜め上方」及び「左斜め上方」とは、多層建築物10の外から各壁34に対向して立った人から見た方向である。枠状体50は、破線で囲った部分である。
多層建築物10の外周に沿って複数連続して形成される。「右斜め上方」及び「左斜め上方」とは、多層建築物10の外から各壁34に対向して立った人から見た方向である。枠状体50は、破線で囲った部分である。
第1斜材41と第2斜材42のそれぞれは、鉄骨であり、鉄骨の種類としてはブレース構造に採用される例えばH形鋼や円形鋼管等である。
第1斜材41の下端410と第2斜材42の下端420は、1階の外周スラブ20aの外縁フレーム22における同一接合箇所で接合される。第1斜材41の上端412と第2斜材42の上端422は、庇状の外周スラブ20kの外縁フレーム22における同一接合箇所で接合される。下端410,420と外縁フレーム22との接合及び上端412,422と外縁フレーム22との接合は、溶接やボルト接合等で行われる。
図1における第1斜材41は6本であり、その左端の2本は下端が外周スラブ20cと外周スラブ20gの外縁フレーム22に接合されるが、図2における右端の2本の第1斜材41の上端にも接合され、側面にある1階の外周スラブ20aと接合する下端410から正面にある第1斜材41の上端412まで連続するように構成される。このように、全ての第1斜材41は、外周スラブ20aから外周スラブ20kまで連続する1本の構造材と考えることができる。また、これと同様に第2斜材42も外周スラブ20aから外周スラブ20kまで連続する1本の構造材と考えることができる。
第1斜材41と第2斜材42とが交差する4つの頂部51,52,53,54を有する領域が1つの平行四辺形の枠状体50を形成する。図1では右下の枠状体50を破線で囲って示し、図2では左下の枠状体50を破線で囲って示す。したがって、複数の枠状体50が上下左右に連続して多層建築物10の全周を囲むように配置される。多層建築物10は、免震装置140を備えるため、第1斜材41及び第2斜材42を比較的細いものとすることができるので、室内30の利用者への圧迫感が少なく、室内30から外が見やすいので開放感が高くなる。
枠状体50のそれぞれは、複数階(本実施形態では4つの階)に渡って延在し、かつ、枠状体50と交わる各階の外縁フレーム22に接合される。つまり、図1または図2に破線で示す枠状体50は、第1斜材41が外周スラブ20a~20eの外縁フレーム22のそれぞれに接合され、第2斜材42が外周スラブ20a~20eの外縁フレーム22のそれぞれに接合される。一つの枠状体50が複数階に渡って延在する大きな平行四辺形を形成することで、各階の室内30における圧迫感を減らし開放感を向上させる。なお、接合構造については、後述する。
枠状体50は、4つの頂部51,52,53,54を有する平行四辺形である。外縁フレーム22が接合するのは頂部51,52,53,54だけではなく、外縁フレーム22と交差する各辺(第1斜材41及び第2斜材42)の途中でも接合する。また、図1の頂部54は、図2の頂部53と接合し、同様に多層建築物10の角部で隣接する頂部54と頂部53は互いに接合する。
4.接合構造
図5及び図6を用いて、第1斜材41、第2斜材42及び外縁フレーム22の接合構造について説明する。図5は、図1におけるC部分を拡大した接合部23を正面側から見た模式図であり、図6は、図5のB-B断面図である。
図5及び図6を用いて、第1斜材41、第2斜材42及び外縁フレーム22の接合構造について説明する。図5は、図1におけるC部分を拡大した接合部23を正面側から見た模式図であり、図6は、図5のB-B断面図である。
図5に示すように、第1斜材41は、第2斜材42と交差する箇所で接合して一体化する。例えば、予め鉄工所でH形鋼をX字状に溶接した接合部材の4つの先端に、通常の直
線状のH形鋼を溶接等で接合して一体化される。外周スラブ20eは、外縁フレーム22がX字状に交差する第1斜材41及び第2斜材42の背面側で接合する。第1斜材41及び第2斜材42と外縁フレーム22との接合、第1斜材41同士の接合、または第2斜材42同士の接合は、例えば溶接やボルト接合等で行われる。
線状のH形鋼を溶接等で接合して一体化される。外周スラブ20eは、外縁フレーム22がX字状に交差する第1斜材41及び第2斜材42の背面側で接合する。第1斜材41及び第2斜材42と外縁フレーム22との接合、第1斜材41同士の接合、または第2斜材42同士の接合は、例えば溶接やボルト接合等で行われる。
図6に示すように、外縁フレーム22は、外周スラブ20eの先端に設けられる。外縁フレーム22は、例えば溝形鋼であり、凹部に頭付きスタッド230及びコッター231が設けられる。コッター231は金具であり、対向するコッター231同士は溶接やボルト接合される。頭付きスタッド230は床本体26を構成するコンクリート内に延在し、凹部にはコンクリートが収容されて、外周スラブ20eが形成される。
この接合部23により、外殻トラス構造40の第1斜材41及び第2斜材42から外周スラブ20eの外縁フレーム22へと水平力が伝達される。また、外周スラブ20eの外縁を囲む外縁フレーム22は、外周スラブ20eに生じる引張力に抗することができる。なお、各階の外殻トラス構造40と第1斜材41または第2斜材42との接合構造は、外周スラブ20eと基本的に同じ構造である。
5.他の接合構造
図7及び図8を用いて、他の接合構造について説明する。図7は、他の接合部23を正面側から見た模式図であり、図8は、図7のD-D断面図である。図5及び図6と重複する部分の説明は省略する。
図7及び図8を用いて、他の接合構造について説明する。図7は、他の接合部23を正面側から見た模式図であり、図8は、図7のD-D断面図である。図5及び図6と重複する部分の説明は省略する。
図7及び図8に示すように、外縁フレーム22が溝形鋼ではなく水平鉄筋233である点で図5及び図6とは異なる。水平鉄筋233は、外周スラブ20eの先端に埋設され、定着板235を用いてコの字型のコッター234に先端が定着される。コッター234は金具であり、第1斜材41及び第2斜材42の背面側に溶接やボルト接合される。水平鉄筋233は、第1斜材41及び第2斜材42に固定されたコッター234に定着されて引張力に対する反力を処理する。また、外周スラブ20eの両端からプレストレスを導入して引張軸力に対応してもよい。
6.変形例
図9を用いて、変形例に係る多層建築物100について説明する。図9は、変形例に係る多層建築物100の正面図である。多層建築物100は、上述の多層建築物10と基本的に同じ構造であるため、同じ部材には同じ符号を付して重複する説明については省略する。
図9を用いて、変形例に係る多層建築物100について説明する。図9は、変形例に係る多層建築物100の正面図である。多層建築物100は、上述の多層建築物10と基本的に同じ構造であるため、同じ部材には同じ符号を付して重複する説明については省略する。
図9に示すように、多層建築物100は、最上階が11階である。多層建築物10は、1階の外周スラブ20aと、最上階(11階)の外周スラブ20kと、を含む。したがって、変形例における外周スラブ20kは、屋上から延びる庇ではなく、最上階の床スラブ31に連続する外周スラブ20kである。
第1斜材41の下端410と第2斜材42の下端420は、1階の外周スラブ20aの外縁フレーム22における同一接合箇所で接合される。そして、第1斜材41の上端412と第2斜材42の上端422は、最上階である11階の外周スラブ20kの外縁フレーム22における同一接合箇所で接合される。
このように、多層建築物10の最上階に庇状の部分がない場合であっても、外殻トラス構造40の上端が最上階の外周スラブ20kと接合することによって、10階までの高い耐震性能を備えることができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10,100…多層建築物、12…上部構造体、14…下部構造体、20a~20k…外周スラブ、22…外縁フレーム、23…接合部、230…頭付きスタッド、231…コッター、233…水平鉄筋、234…コッター、235…定着板、26…床本体、30…室内、31…床スラブ、32…柱、34…壁、36,36a…大梁、40…外殻トラス構造、41…第1斜材、410…下端、412…上端、42…第2斜材、420…下端、422…上端、50…枠状体、51,52,53,54…頂部、140…免震装置、142…免震ピット、144…杭、145…基礎スラブ、146…擁壁
Claims (4)
- 各階で室外に張り出す外周スラブと、
多層建築物の外周を囲う外殻トラス構造と、
を備え、
前記外周スラブは、外縁に連続して設けられる鉄骨または鉄筋の外縁フレームと、各階の外周で連続する鉄筋コンクリート造の床本体と、を備え、
前記外殻トラス構造は、右斜め上方に向かって延びる複数の第1斜材と左斜め上方に向かって延びる複数の第2斜材とを含み、かつ、前記複数の第1斜材と前記複数の第2斜材とが交差して形成された平行四辺形の枠状体が前記多層建築物の外周に沿って複数連続して形成され、
前記第1斜材と前記第2斜材のそれぞれは、鉄骨であり、
前記枠状体のそれぞれは、複数階に渡って延在し、かつ、前記枠状体と交わる各階の前記外縁フレームに接合されることを特徴とする、多層建築物。 - 請求項1において、
前記多層建築物は、1階の前記外周スラブと、最上階の前記外周スラブの上に庇状に設けられる前記外周スラブと、を含み、
前記第1斜材の下端と前記第2斜材の下端は、1階の前記外周スラブの前記外縁フレームにおける同一接合箇所で接合され、
前記第1斜材の上端と前記第2斜材の上端は、庇状の前記外周スラブの前記外縁フレームにおける同一接合箇所で接合されることを特徴とする、多層建築物。 - 請求項1において、
前記多層建築物は、1階の前記外周スラブと、最上階の前記外周スラブと、を含み、
前記第1斜材の下端と前記第2斜材の下端は、1階の前記外周スラブの前記外縁フレームにおける同一接合箇所で接合され、
前記第1斜材の上端と前記第2斜材の上端は、最上階の前記外周スラブの前記外縁フレームにおける同一接合箇所で接合されることを特徴とする、多層建築物。 - 請求項1~請求項3のいずれか一項において、
前記多層建築物は、前記外周スラブ及び前記外殻トラス構造を有する上部構造体と、前記上部構造体を支持する下部構造体と、を備え、
前記下部構造体は、免震装置を介して前記上部構造体を支持することを特徴とする、多層建築物。
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JP2021095056A Pending JP2022187181A (ja) | 2021-06-07 | 2021-06-07 | 多層建築物 |
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