JP7434067B2 - 鉄骨造建物 - Google Patents

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Description

本発明は、第1構面を構成する複数の第1鉄骨梁と、前記第1構面を複数の第2構面に区分する複数の第2鉄骨梁とを備えた鉄骨造建物に関する。
上記のような鉄骨造建物としては、例えば、大空間を覆う平面視矩形状の屋根構造体としての屋根を構成する鉄骨梁として、X方向に延びる6本のトラス梁(第1鉄骨梁)と、Y方向に延びる4本のトラス梁(第1鉄骨梁)と、Y方向に延びてトラス梁同士の間に架設された第1小梁(第2鉄骨梁)と、小梁同士あるいは小梁とトラス梁との間に架設された第2小梁(第2鉄骨梁)とを備え、これらのトラス梁と小梁とで囲まれた平面に水平ブレースが架設されたものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2018-35556号公報
上記の特許文献1に記載の構成においては、トラス梁と小梁とで囲まれた平面のそれぞれに水平ブレースが架設されることにより、各平面の面内剛性を高めることができ、これにより、トラス梁で囲まれた平面の面内剛性をも高めることができる。
しかしながら、特許文献1に記載の構成においては、トラス梁と小梁とで囲まれた平面のそれぞれに水平ブレースを架設する必要がある。そのため、水平ブレースの本数が多くなるとともに梁側と水平ブレースとの接合箇所が多くなり、よって、施工性の向上を図る上において改善の余地がある。
又、上記特許文献1に記載の構成とは別の構成として、例えば、大梁で囲まれた平面の面内剛性を高めるために、大梁同士の仕口部間にわたる架設スパンの長い一対の水平ブレースを備えることが考えられる。しかしながら、この構成において、各水平ブレースを各大梁の横補剛用に利用する場合には、各水平ブレースを横補剛用の小梁の位置で分割して、各分割端を小梁側に備えたガセットプレートに複数のボルトで接合する手間が生じる。そのため、この構成においても施工性の向上を図る上において改善の余地がある。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、水平ブレースの構成に工夫を凝らすことで、水平ブレースの機能を確保しながら施工性の向上を図れるようにする点にある。
本発明の第1特徴構成は、第1構面を構成する複数の第1鉄骨梁と、前記第1構面を複数の第2構面に区分する複数の第2鉄骨梁とを備えた鉄骨造建物であって、
前記第1構面の面内剛性を高める架設スパンの長い第1水平ブレースと、前記第2構面の面内剛性を高める架設スパンの短い第2水平ブレースとを、前記第1鉄骨梁の上部側と下部側とに配置高さを異ならせて備えている点にある。
本発明によると、例えば、第1鉄骨梁と第2鉄骨梁との梁成の差などを利用することにより、第1水平ブレースと第2水平ブレースの配置高さを異ならせることができ、よって、機能の異なる第1水平ブレースと第2水平ブレースとを、第1構面の面内において互いに干渉させることなく備えることができる。又、第1水平ブレースにおいて、第2鉄骨梁の位置で分割する必要が生じる箇所を少なくすることができ、よって、第1水平ブレースを構成する鋼材の数量を少なくすることができるとともに、第1水平ブレースにおける第2鉄骨梁との接合箇所を少なくすることができる。
しかも、第1構面の面内剛性を高める第1水平ブレースを備えることで、第2構面のそれぞれに第2水平ブレースを備える必要がなくなり、よって、第2水平ブレースの装備本数を少なくすることができ、第2水平ブレースと鉄骨梁との接合箇所を少なくすることができる。
つまり、機能の異なる第1水平ブレースと第2水平ブレースとを配置高さを異ならせて備えることにより、各水平ブレースの機能を確保しながら、構成の簡素化による施工性の向上を図ることができる。
本発明の第2特徴構成は、
前記第1鉄骨梁は鉄骨柱間にわたる大梁であり、前記第2鉄骨梁には、前記大梁の横補剛材として機能する小梁が含まれており、前記第1水平ブレースは水平力伝達用のブレースであり、前記第2水平ブレースは、複数の前記第2構面のうち、一辺に前記大梁を含む所定の第2構面に備えられた横補剛用のブレースである点にある。
本発明によると、水平力伝達用として機能する第1水平ブレースと横補剛用として機能する第2水平ブレースとを、大梁と小梁との梁成の差を利用して、第1構面の面内において互いに干渉させることなく備えることができる。
そして、地震や台風などによって水平力が発生した場合には、その水平力を第1水平ブレースから大梁や柱などに良好に伝達することができる。これにより、第2構面のそれぞれに水平力伝達用の水平ブレースを備える必要がなくなり、よって、水平ブレースの装備本数を少なくすることができ、水平ブレースと鉄骨梁との接合箇所を少なくすることができる。
又、第2水平ブレースにて大梁の横座屈に対する剛性を高めることから、第1水平ブレースを横補剛用に兼用する場合のように、第1水平ブレースを横補剛用の各小梁の位置で分割して各小梁に接合する必要がなくなる。よって、第1水平ブレースを構成する鋼材の数量を少なくすることができ、第1水平ブレースにおける小梁との接合箇所を少なくすることができる。
しかも、第2水平ブレースは架設スパンの短い横補剛用であることから、第2水平ブレースとして、接合用のボルト本数が少なくガセットプレートのサイズも小さくて済むターンバックルを使用することができる。
その結果、水平力伝達用の第1水平ブレースと横補剛用の第2水平ブレースとを配置高さを異ならせて備えることにより、各水平ブレースの機能を確保しながら、構成の簡素化による施工性の向上をより効果的に図ることができる。
本発明の第3特徴構成は、
前記第1鉄骨梁は鉄骨柱間にわたる大梁であり、前記第2鉄骨梁には、床材又は屋根材を支持する小梁が含まれており、当該小梁は、前記第2水平ブレースとともに前記大梁の上部側の高さ位置に備えられている点にある。
本発明によると、小梁が、大梁とともに床材又は屋根材を支持するのに適した大梁の上部側の高さ位置に備えられていることから、床材又は屋根材を、支持構造の複雑化を招くことなく、大梁と小梁とで安定性良く支持することができる。そして、このような支持構造を得ながらも、機能の異なる第1水平ブレースと第2水平ブレースとを、大梁と小梁との梁成の差を利用して、第1構面の面内に互いに干渉させることなく備えることができる。
その結果、床材又は屋根材の支持構造に支障を来すことなく、各水平ブレースの機能を確保しながら、構成の簡素化による施工性の向上を図ることができる。
鉄骨造建物における屋根組の構成を示す梁伏図 第1水平ブレースの構成などを示す大梁の下フランジレベルでの要部の拡大水平断面図 第2水平ブレースの構成などを示す大梁の上フランジレベルでの要部の拡大梁伏図 第1水平ブレース及び第2水平ブレースの高さ位置などを示す柱梁仕口部付近の垂直断面図 別実施形態での第2水平ブレースの設置個所を示す大梁の上フランジレベルでの概略梁伏図
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を、鉄骨造建物の屋根組(柱梁架構の一例)に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本発明は、鉄骨造建物の屋根組に限らず、鉄骨造建物の床組などに適用することができる。
図1には、鉄骨造建物における屋根組1の一部が示されており、本実施形態で例示する鉄骨造建物の屋根組1には、平面視で直交するX方向とY方向とに所定のスパン(柱芯間距離)を置いて建て込まれた複数の鉄骨柱2と、複数の矩形状の第1構面3を構成する複数の第1鉄骨梁4,5と、各第1構面3を複数の矩形状の第2構面6に区分する複数の第2鉄骨梁7~9と、X方向に張り出す張り出し部10を構成する複数の第3鉄骨梁11~13とが備えられている。
図1~4に示すように、複数の第1鉄骨梁4,5には、X方向の鉄骨柱2間にわたる複数の第1大梁4と、Y方向の鉄骨柱2間にわたる複数の第2大梁5とが含まれている。複数の第2鉄骨梁7~9には、各第1構面3をX方向に二等分する複数の第1小梁7と、各第1構面3をY方向に六等分する複数の第2小梁8と、隣接する第1大梁4と第2小梁8との間において第2大梁5と第1小梁7との間を三等分する複数の第3小梁9とが含まれている。なお、各小梁7~9による各第1構面3の区分方法や区分数量、及び、各小梁7~9の設置本数などは種々の変更が可能である。
複数の第3鉄骨梁11~13には、Y方向の外端に配置された鉄骨柱2又は第1大梁4からY方向に張り出す複数の片持ち梁11と、隣接する片持ち梁11の張り出し端部間に掛け渡される複数の第4小梁12と、隣接する片持ち梁11間を三等分する複数の第5小梁13とが含まれている。なお、各片持ち梁11の配置及び設置本数は、各第2大梁5及び各第1小梁7の配置及び設置本数に応じて種々の変更が可能である。又、各第5小梁13の配置及び設置本数は、各第3小梁9の配置及び設置本数に応じて種々の変更が可能である。
各第1構面3には、各大梁4,5の下フランジレベルに配置される一対の第1水平ブレース31が備えられている。複数の第2構面6のうちの所定の第2構面6Aには、各大梁4,5の上フランジレベルに配置される一対の第2水平ブレース32が備えられている。これにより、各第1構面3の面内には、各第1水平ブレース31と各第2水平ブレース32とが、各大梁4,5の上部側と下部側とに配置高さを異ならせた状態で備えられている。
なお、本実施形態においては、第2水平ブレース32が備えられる所定の第2構面6Aとして、X方向の一辺に第1大梁4を含み、かつ、Y方向の一辺に第2大梁5又は第1小梁7を含む構成の各第2構面6が設定されている。
ちなみに、図2は各大梁4,5の下フランジレベルでの要部の拡大水平断面図であることから、図2においては、各大梁4,5の上フランジレベルに備えられる各小梁7~9と各第2水平ブレース32のうち、各小梁7~9が二点鎖線(想像線)で示され、各第2水平ブレース32の図示が省略されている。又、図3は各大梁4,5の上フランジレベルでの要部の拡大梁伏図であることから、図3においては、各大梁4,5の下フランジレベルに備えられる第1水平ブレース31の図示が省略されている。
図1~3に示すように、各第1小梁7は、隣接する第1大梁4間に掛け渡されている。各第2小梁8は、隣接する第2大梁5と第1小梁7とに掛け渡されている。各第3小梁9は、隣接する第1大梁4と第2小梁8とに掛け渡されている。各第5小梁13は、隣接する第1大梁4と第4小梁12とに掛け渡されている。
図2~4に示すように、各鉄骨柱2には角形鋼管が採用されている。各鉄骨柱2の上部には、上ダイアフラム21と下ダイアフラム22とが溶接されている。なお、各鉄骨柱2には、角形鋼管に限らず、円形鋼管やH形鋼又はコンクリート充填鋼管(CFT)などを採用することができる。
各大梁4,5にはH形鋼が採用されている。各大梁4,5は、それらの上フランジ4a,5aの梁端部が鉄骨柱2の上ダイアフラム21に接合されている。各大梁4,5は、それらの下フランジ4b,5bの梁端部が鉄骨柱2の下ダイアフラム22に接合されている。各大梁4,5は、それらのウェブ4c,5cの梁端部が鉄骨柱2の外側面に接合されている。なお、各大梁4,5には、H形鋼に限らず、ビルドH鋼やトラス梁などを採用することができる。
図1~3に示すように、各第1小梁7には、各大梁4,5よりも梁成が大きいH形鋼が採用されている。各第1小梁7は、それらの各梁端部が第1大梁4に接合されている。各第1小梁7は、それらの上フランジ7aの高さ位置が、各大梁4,5の上フランジ4a,5aの高さ位置と同じ高さに設定されている。なお、各第1小梁7には、前述したH形鋼に限らず、各大梁4,5よりも梁成の小さいH形鋼や溝形鋼などを採用することができる。
各第2小梁8には、各大梁4,5よりも梁成の小さいH形鋼が採用されている。各第2小梁8は、一方の梁端部が第2大梁5に接合され、他方の梁端部が第1小梁7に接合されている。各第2小梁8は、それらの上フランジ8aの高さ位置が、各大梁4,5の上フランジ4a,5aの高さ位置と同じ高さに設定されている。これにより、各第2小梁8の下方には、第1水平ブレース31の設置空間が確保されている。なお、各第2小梁8には、H形鋼に限らず、溝形鋼や山形鋼などを採用することができる。
各第3小梁9には、第2小梁8よりも梁成の小さいH形鋼が採用されている。各第3小梁9は、一方の梁端部が第1大梁4に接合され、他方の梁端部が第2小梁8に接合されている。各第3小梁9は、それらの上フランジ9aの高さ位置が、各大梁4,5の上フランジ4a,5aの高さ位置と同じ高さに設定されている。これにより、各第3小梁9の下方には、第1水平ブレース31の設置空間が確保されている。なお、各第3小梁9には、H形鋼に限らず、溝形鋼や山形鋼などを採用することができる。
各片持ち梁11には、各大梁4,5と同等以上の梁成を有するH形鋼が採用されている。各片持ち梁11は、それらの一方の梁端部が鉄骨柱2又は第1大梁4に接合されている。各片持ち梁11は、それらの上フランジ11aの高さ位置が、各大梁4,5の上フランジ4a,5aの高さ位置と同じ高さに設定されている。
各第4小梁12には、各大梁4,5と同等の梁成を有するH形鋼が採用されている。各第4小梁12は、それらの各梁端部が片持ち梁11に接合されている。各第4小梁12は、それらの上フランジ12aの高さ位置が、各大梁4,5の上フランジ4a,5aの高さ位置と同じ高さに設定されている。
各第5小梁13には、第3小梁9と同等の梁成を有するH形鋼が採用されている。各第5小梁13は、一方の梁端部が第1大梁4に接合され、他方の梁端部が第4小梁12に接合されている。各第5小梁13は、それらの上フランジ13aの高さ位置が、各大梁4,5の上フランジ4a,5aの高さ位置と同じ高さに設定されている。なお、各第5小梁13には、H形鋼に限らず、溝形鋼や山形鋼などを採用することができる。
つまり、各小梁7~9,12,13及び各片持ち梁11は、各大梁4,5とともに折板やALCパネル(軽量気泡コンクリート建材)などの屋根材(図示せず)を支持し易くするために、又、各第2小梁8及び各第3小梁9の下方に第1水平ブレース31の設置空間を確保するために、それらの上端位置が揃えられた状態で、各大梁4,5の上部側の高さ位置に備えられている。そして、各第1小梁7及び各第3小梁9が、各第1大梁4の横補剛材として機能し、各第2小梁8が、各第2大梁5の横補剛材として機能するように設置されている。
図1~2、図4に示すように、各第1水平ブレース31は、各第1構面3の面内剛性を高める架設スパンの長いブレースであり、各第1構面3の柱梁仕口部14間に掛け渡されている。図1、図3~4に示すように、各第2水平ブレース32は、所定の各第2構面6Aの面内剛性を高める架設スパンの短いブレースであり、所定の各第2構面6Aの仕口部15間に掛け渡されている。
図2、図4に示すように、各第1水平ブレース31は、第1小梁7の位置で第1ブレース部31Aと第2ブレース部31Bとに二分割されている。各ブレース部31A,31Bには、山形鋼からなる第1鋼材33と第2鋼材34とが上下に背合わせで配置された、いわゆる2丁使いの山形鋼ブレースが採用されている。各第1鋼材33及び各第2鋼材34の一端部は、第2大梁5における下フランジ5bの梁端部に突き合わせ溶接されたガセットプレート16にボルト接合されている。各第1鋼材33及び各第2鋼材34の他端部は、第1小梁7における長手方向中央部の下部側に溶接されたガセットプレート17にボルト接合されている。
このようにして、各第1水平ブレース31は、第2大梁5における下フランジ5bの高さ位置に、第2大梁5と第2小梁8及び第3小梁9との梁成の差を利用して第2小梁8及び第3小梁9との干渉が回避された状態で、各第1構面3の柱梁仕口部14間に掛け渡されている。そして、各第1水平ブレース31は、地震や台風などによって水平力が発生した場合に、その水平力を鉄骨柱2などに伝達する水平力伝達用のブレースとして機能する。
なお、各第1水平ブレース31は、2丁使いの山形鋼ブレースに限らず、2丁使いの山形鋼の一方を上下反転させたZ形使いの山形鋼ブレース、又は、2丁使いの溝形鋼ブレースなどであってもよい。
図3~4に示すように、各第2水平ブレース32には長さ調節可能なターンバックルが採用されている。各第2水平ブレース32の一端部は、第2大梁5の上フランジ5a又は第1小梁7の上フランジ7aにおける梁端部又は当該梁端部に隣接する第2小梁8との接合箇所に溶接されたガセットプレート18にボルト接合されている。各第2水平ブレース32の他端部は、第3小梁9における上フランジ9aの梁端部に溶接されたガセットプレート19にボルト接合されている。
このようにして、各第2水平ブレース32は、第2大梁5又は第1小梁7における上フランジ5a,7aの高さ位置に、第2大梁5の梁成を利用して第1水平ブレース31との干渉が回避された状態で、複数の第2構面6のうちの所定の第2構面6Aの仕口部15間に掛け渡されている。そして、各第2水平ブレース32は、第1大梁4の横座屈を防止する横補剛用のブレースとして機能する。
以上の構成により、本実施形態にて例示された鉄骨造建物の屋根組1においては、水平力伝達用として機能する各第1水平ブレース31と横補剛用として機能する各第2水平ブレース32とを、第2大梁5と第2小梁8及び第3小梁9との梁成の差を利用して、各第1構面3の面内において互いに干渉させることなく備えることができる。又、各第1水平ブレース31を、第2小梁8及び第3小梁9の位置で分割する必要がないことから、各第1水平ブレース31を構成する第1鋼材33及び第2鋼材34の数量を少なくすることができるとともに、各第1水平ブレース31における第2小梁8及び第3小梁9との接合箇所を無くすことができる。
そして、地震や台風などによって水平力が発生した場合には、その水平力を各第1水平ブレース31にて鉄骨柱2などに良好に伝達することができる。これにより、第2水平ブレース32を、第2構面6のそれぞれに水平力伝達用として備える必要がなくなり、よって、第2水平ブレース32の装備本数が少なくなり、第2水平ブレース32と第2大梁5や第1小梁7などとの接合箇所も少なくなる。
しかも、各第2水平ブレース32は架設スパンの短い横補剛用であることから、各第2水平ブレース32として、接合用のボルト本数が少なく各ガセットプレート18,38のサイズも小さくて済むターンバックルを使用することができる。
その上、折板やALCパネルなどの屋根材を支持する各小梁7~9,12,13及び各片持ち梁11が、各大梁4,5とともに屋根材を支持するのに適した各大梁4,5の上部側の高さ位置に備えられていることから、屋根材を、支持構造の複雑化を招くことなく、各大梁4,5や各小梁7~9,12,13などで安定性良く支持することができる。
従って、水平力伝達用の各第1水平ブレース31と横補剛用の各第2水平ブレース32とを上記のように配置高さを異ならせて備えることにより、屋根材の支持構造に支障を来すことなく、各水平ブレース31,32の機能を確保しながら、構成の簡素化による施工性の向上を図ることができる。
なお、図1~3に示すように、第1大梁4と片持ち梁11と第4小梁12と第5小梁13、又は、第1大梁4と第4小梁12と第5小梁13とで構成される各第3構面40には、それらの面内剛性を高めるために、各第3構面40の仕口部41間にわたる架設スパンの短い一対の第3水平ブレース42が備えられている。各第3水平ブレース42には、長さ調節可能なターンバックルが採用されている。
〔別実施形態〕
本発明の別実施形態について説明する。
なお、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、上記の実施形態や他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)第1水平ブレース31及び第2水平ブレース32は、各第1構面3の面内において、第1水平ブレース31が各第1鉄骨梁4,5の上部側に配置され、第2水平ブレース32が各第1鉄骨梁4,5の下部側に配置されていてもよい。
(2)第1水平ブレース31は、各第1小梁7の梁成が各第1鉄骨梁4,5の梁成よりも小さい場合には、第1ブレース部31Aと第2ブレース部31Bとに二分割されない構成であってもよい。
(3)第1水平ブレース31は、対向する第1鉄骨梁(第1大梁)4間又は第1鉄骨梁(第2大梁)5間にV字状に掛け渡されるV字ブレースであってもよい。
(4)各第1構面3の面内に備えられる複数の第2構面6のうち、第2水平ブレース32が設置される所定の第2構面6Aの配置設定は種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、図1、図3に示すように、各第2水平ブレース32が設置される所定の第2構面6Aとして、X方向の一辺に第1大梁(第1鉄骨梁)4を含み、かつ、Y方向の一辺に第2大梁(第1鉄骨梁)5又は第1小梁7を含む構成の各第2構面6が設定された形態を例示したが、これに限らず、図5に示すように、一辺のみに第1大梁(第1鉄骨梁)4又は第2大梁(第1鉄骨梁)5を含む構成の各第2構面6Aを所定の第2構面6Aに設定して、これらの所定の第2構面6Aに第2水平ブレース32を設置するようにしてもよい。この構成では、各第2水平ブレース32を、各大梁(第1鉄骨梁)4,5の横補剛用として好適に機能させることができる。
なお、図5には、一対の第1大梁(第1鉄骨梁)4と一対の第2大梁(第1鉄骨梁)5とで構成された第1構面3が、複数の第2小梁8でY方向に六等分され、かつ、複数の第3小梁9でX方向に四等分された形態が例示されている。
2 鉄骨柱
3 第1構面
4 第1大梁(第1鉄骨梁)
5 第2大梁(第1鉄骨梁)
6 第2構面
6A 所定の第2構面
7 第1小梁(第2鉄骨梁)
8 第2小梁(第2鉄骨梁)
9 第3小梁(第2鉄骨梁)
31 第1水平ブレース(水平力伝達用)
32 第2水平ブレース(横補剛用)

Claims (3)

  1. 第1構面を構成する複数の第1鉄骨梁と、前記第1構面を複数の第2構面に区分する複数の第2鉄骨梁とを備えた鉄骨造建物であって、
    前記第1構面の面内剛性を高める架設スパンの長い第1水平ブレースと、前記第2構面の面内剛性を高める架設スパンの短い第2水平ブレースとを、前記第1鉄骨梁の上部側と下部側とに配置高さを異ならせて備えている鉄骨造建物。
  2. 前記第1鉄骨梁は鉄骨柱間にわたる大梁であり、前記第2鉄骨梁には、前記大梁の横補剛材として機能する小梁が含まれており、前記第1水平ブレースは水平力伝達用のブレースであり、前記第2水平ブレースは、複数の前記第2構面のうち、一辺に前記大梁を含む所定の第2構面に備えられた横補剛用のブレースである請求項1に記載の鉄骨造建物。
  3. 前記第1鉄骨梁は鉄骨柱間にわたる大梁であり、前記第2鉄骨梁には、床材又は屋根材を支持する小梁が含まれており、当該小梁は、前記第2水平ブレースとともに前記大梁の上部側の高さ位置に備えられている請求項1又は2に記載の鉄骨造建物。
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