JP2000110245A - 柱省略建物ユニットとユニット建物とその構築方法 - Google Patents

柱省略建物ユニットとユニット建物とその構築方法

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JP2000110245A
JP2000110245A JP10282724A JP28272498A JP2000110245A JP 2000110245 A JP2000110245 A JP 2000110245A JP 10282724 A JP10282724 A JP 10282724A JP 28272498 A JP28272498 A JP 28272498A JP 2000110245 A JP2000110245 A JP 2000110245A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柱省略した広い連続空間を備えたユニット建
物を構築するため、複数の建物ユニットの柱省略コーナ
ー部を柱省略接合部にて互いに突き合せ配置するに際
し、該ユニット建物の天井構造強度を強化すること。 【解決手段】 ユニット建物10において、柱省略接合
部14の一方側の柱省略建物ユニット12の天井梁2
3、23の間に設けた補助梁27と、柱省略接合部14
の他方側の柱省略建物ユニット12の天井梁23、23
の間に設けた補助梁27とを一直線上に配置し、それら
の両補助梁27、27をそれらの接合継手で剛接合して
なるもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、柱省略建物ユニッ
トとユニット建物とその構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、柱省略した広い連続空間を備えた
ユニット建物を構築するため、柱と床梁と天井梁を箱形
に接合した建物ユニットを隣接設置して構築されるユニ
ット建物において、複数の建物ユニットそれぞれに定め
た少なくとも 1個の柱省略コーナー部を柱省略接合部に
て互いに突き合せ配置してなるものがある。ところが、
柱省略建物ユニットのユニットサイズが大きくなると、
その柱省略コーナー部に交差する天井梁と鉛直方向の撓
み、ひいては上階床面の撓みが大きくなり、建物構造強
度を維持できなくなる。
【0003】そこで、本出願人は、特開平8-277580号公
報に記載の如く、柱省略接合部の一方側の柱省略建物ユ
ニットの天井梁側から、他方側の柱省略建物ユニットの
天井梁側に渡る補強梁を設け、補強梁の両端部は、柱省
略接合部の一方側の柱省略建物ユニットの柱回りと、柱
省略接合部の他方側の柱省略建物ユニットの柱回りのそ
れぞれに接続され、補強梁の中央部には、複数の柱省略
建物ユニットの各柱省略コーナー部が接続されてなるも
のを提案している。この従来技術によれば、ユニット建
物の天井構造強度が、建物ユニットの天井梁の断面性能
の和に、補強梁の断面性能をも加えたものとなるから、
柱を省略した天井スパンを大きく拡大し、柱を省略した
広い連続空間を形成できる。
【0004】図9は、基礎1の上に、複数個の下階建物
ユニット2を据付け、それら下階建物ユニット2の上に
複数個の上階建物ユニット3を搭載するに際し、 4個の
下階建物ユニット2A〜2Dを上述の柱省略建物ユニッ
トとし、全柱省略建物ユニット4A〜4Dの柱省略コー
ナー部を柱省略接合部4にて互いに突き合せ配置したも
のである。そして、このユニット建物にあっては、柱省
略建物ユニット2A、2C天井梁側から、柱省略建物ユ
ニット2B、2Dの天井梁側に渡る補強梁5を設けてあ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、従来技術
(図9)では、下記、の問題点がある。 柱省略接合部の両側に位置する柱省略建物ユニットの
天井梁に添設できる補強梁の断面サイズに限界があるこ
とから、該補強梁による鉛直荷重の支持能力に限界があ
り、たとえ補強梁を配置しても、柱を省略しない場合に
比して、天井梁6の鉛直方向の撓みδ(図9)、ひいて
は上階床面の撓みが未だ大きく、柱を省略した天井スパ
ンの拡大に限界がある。
【0006】補強梁が添設される天井梁は、補強梁の
一端側もしくは他端側では柱に支持されるものの、補強
梁の中央部では柱に支持されない片持ち梁になってい
る。このため、補強梁に添設される天井梁は、該補強梁
にぶら下がるように添設されるものとなり、該天井梁に
よる鉛直荷重の支持能力はほとんどないという程度であ
る。
【0007】本発明の課題は、柱省略した広い連続空間
を備えたユニット建物を構築するため、複数の建物ユニ
ットの柱省略コーナー部を柱省略接合部にて互いに突き
合せ配置するに際し、該ユニット建物の天井構造強度を
強化することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、柱と床梁と天井梁を箱形に接合するとともに、少な
くとも 1個の柱省略コーナー部を備えてなる柱省略建物
ユニットにおいて、柱省略コーナー部に交差する天井梁
と、この天井梁に相対する他の天井梁との間に、補助梁
を掛け渡し、補助梁の両端部のうち、柱省略コーナー部
に交差する天井梁の側の端部に相隣る建物ユニットとの
接合継手を設けてなるようにしたものである。
【0009】請求項2に記載の本発明は、請求項1に記
載の本発明において更に、前記補助梁が掛け渡された天
井梁と、この天井梁に相対する床梁との間で、該補助梁
との近傍に、中間柱を設けてなるようにしたものであ
る。
【0010】請求項3に記載の本発明は、複数の柱省略
建物ユニットを隣接設置して構築されるユニット建物に
おいて、請求項1又は2記載の柱省略建物ユニットを用
い、各柱省略建物ユニットに定めた柱省略コーナー部を
柱省略接合部にて互いに突き合せ配置し、柱省略接合部
の一方側の柱省略建物ユニットの天井梁間に設けた補助
梁と、柱省略接合部の他方側の柱省略建物ユニットの天
井梁間に設けた補助梁とを一直線上に配置し、それらの
両補助梁をそれらの接合継手で剛接合してなるようにし
たものである。
【0011】請求項4に記載の本発明は、請求項3に記
載の本発明において更に、前記柱省略接合部の一方側の
柱省略建物ユニットの天井梁端部と、他方側の柱省略建
物ユニットの天井梁端部とを剛接合してなるようにした
ものである。
【0012】請求項5に記載の本発明は、請求項3又は
4に記載の本発明において更に、前記柱省略接合部の一
方側の柱省略建物ユニットの天井梁側から、他方側の柱
省略建物ユニットの天井梁側に渡る補強梁を設け、補強
梁の両端部は、柱省略接合部の一方側の柱省略建物ユニ
ットの柱回りと、柱省略接合部の他方側の柱省略建物ユ
ニットの柱回りのそれぞれに接続され、補強梁の中央部
には、複数の柱省略建物ユニットの各柱省略コーナー部
が接続されてなるようにしたものである。
【0013】請求項6に記載の本発明は、請求項3〜5
のいずれかに記載のユニット建物の構築方法において、
柱省略建物ユニットとして、柱省略コーナー部に仮柱を
着脱自在としてなるものを用い、相隣る柱省略建物ユニ
ットの補助梁同士を剛接合するまでは仮柱を設けてお
き、補助梁同士の剛接合完了後に仮柱を取外すようにし
たものである。
【0014】
【作用】請求項1、3の本発明によれば下記の作用が
ある。 柱省略建物ユニットの天井面内に予め工場生産段階で
補助梁を設けておき、現地据付段階で相隣る柱省略建物
ユニットの補助梁同士を剛接合した。従って、このユニ
ット建物の天井構造強度は、天井梁のみからなる天井構
造強度に、両建物ユニットの補助梁を直列 1本化した両
持ち梁としての強度を加えたものに強化でき、天井梁の
鉛直方向の撓みδ(図2)、ひいては上階床面の撓みを
小とし、柱を省略した天井スパンを大きく拡大し、柱を
省略した広い連続空間を形成できる。
【0015】請求項1、4の本発明によれば下記の作
用がある。 相隣る柱省略建物ユニットの柱省略接合部を挟む両建
物ユニットの天井梁同士を、直列一本化するように剛接
合し、これらの両天井梁をその両端部の柱で支持される
両持ち梁とした。従って、このユニット建物の天井構造
強度は、両柱省略建物ユニットの天井梁を直列 1本化し
た両持ち梁としての強度に強化できる。
【0016】請求項1、5の本発明によれば下記の作
用がある。 補強梁の両端部は、柱省略接合部の一方側の柱省略建
物ユニットの柱と、柱省略接合部の他方側の柱省略建物
ユニットの各柱のそれぞれに接続され、補強梁の中央部
には、複数の柱省略建物ユニットの各柱省略コーナー部
が接続される。従って、ユニット建物の天井構造強度
が、建物ユニットの天井梁の断面性能の和に、補強梁の
断面性能をも加えたものに強化できる。
【0017】請求項2、3の本発明によれば下記の作
用がある。 補助梁が掛け渡された天井梁を、補助梁の近傍に設け
た中間柱で支持することにより、大スパンの天井梁の撓
みを低減できる。
【0018】請求項6の本発明によれば下記の作用が
ある。 柱省略建物ユニットの柱省略コーナー部に設けた仮柱
は、該柱省略建物ユニットの工場製造段階、輸送保管段
階を経た現地据付け後、補強梁同士の剛接合完了まで取
外されない。従って、補強梁同士の接合時の柱省略建物
ユニットの強度を低下せしめることがなく、施工段階の
建物強度も十分に確保でき、施工性は良い。
【0019】
【発明の実施の形態】図1はユニット建物の要部を示す
斜視図、図2はユニット建物の天井補強構造と天井撓み
を示す模式図であり、(A)は要部斜視図、(B)は撓
み線図、図3は相隣る柱省略建物ユニットの天井補強構
造を示す模式図であり、(A)は縦断面図、(B)は要
部斜視図、図4は相隣る柱省略建物ユニットの天井補強
構造の他の例を示す模式図、図5は相隣る柱省略建物ユ
ニットの天井補強構造の更に他の例を示す模式図、図6
は補強梁接続構造を示す模式図であり、(A)は補強梁
中央部を示す斜視図、(B)は補強梁端部を示す斜視
図、図7は天井梁接合構造を示す模式図であり、(A)
は側面図、(B)は平面図、図8は建物ユニットを示す
模式図であり、(A)は標準建物ユニットを示す斜視
図、(B)は柱省略建物ユニットを示す斜視図、図9は
従来のユニット建物の天井撓みを示す模式図である。
【0020】(ユニット建物と建物ユニット)(図1、
図8) ユニット建物10は、図1に示す如く、工場生産した複
数の標準建物ユニット11、柱省略建物ユニット12を
建築現場に輸送し、予め設置してある基礎13の上にて
水平、鉛直方向に隣接設置して下階部分10A、上階部
分10B(不図示)が構築される。
【0021】標準建物ユニット11は、図8(A)に示
す如く、 4本の角鋼管製柱21と、4本の型鋼製床梁2
2と、 4本の型鋼製天井梁23とを箱形に接合した骨組
構造体である。建物ユニット11は、 4個のコーナー部
で、相交差する床梁22をジョイントピース22Aによ
り柱21の下端部に接続し、相交差する天井梁23をジ
ョイントピース23Aにより柱21の上端部に接合して
構成される。
【0022】柱省略建物ユニット12は、図8(B)に
示す如く、標準建物ユニット11の4本の柱21のうち
の 1本の柱21を省略したものである。柱省略建物ユニ
ット12は、柱省略コーナー部以外の 3個のコーナー部
では、相交差する床梁22をジョイントピース22Aに
より柱21の下端部に接合し、相交差する天井梁23を
ジョイントピース23Aにより柱21の上端部に接合す
るとともに、柱省略コーナー部では、相交差する床梁2
2をジョイントピース22Bにより短柱24に接合し、
相交差する天井梁23をジョイントピース23Bにより
短柱25に接合して構成される。そして、柱省略建物ユ
ニット12では、柱省略コーナー部に仮柱26を着脱自
在としている。仮柱26は、ボルト、ピン等の着脱手段
により、上述の短柱24と短柱25とに着脱自在に結合
される。
【0023】ここで、柱省略建物ユニット12にあって
は、柱省略コーナー部に交差する天井梁23と、この天
井梁23に相対する他の天井梁との間に、補助梁27を
掛け渡してある。補助梁27は、例えば角鋼管からな
り、図3に示す如く、補助梁27の一端に溶接したエン
ドプレート27Aが柱省略コーナー部に交差する天井梁
23のウエブに仮接合されて接合継手28を形成可能と
するとともに、補助梁27の他端に溶接したL型金物2
7Bが他の天井梁23の上フランジに載置されてボルト
によりピン結合される。
【0024】また、柱省略建物ユニット12にあって
は、所望により、補助梁27が掛け渡された天井梁23
と、この天井梁23に相対する床梁22との間で、補助
梁27との近傍に中間柱29を設けることができる。中
間柱29は、中間柱29の上端に溶接したエンドプレー
ト29Aが天井梁23の下フランジに突き合されてボル
トによりピン結合されるとともに、中間柱29の下端に
溶接したエンドプレート29Bが床梁22の上フランジ
に突き合されてボルトによりピン結合される。中間柱2
9は、相隣る柱省略建物ユニット12により構築される
ユニット建物10に柱省略した広い連続空間を形成する
こととの関係で、柱省略建物ユニット12の柱省略コー
ナー部に交差する天井梁23に相対する天井梁23の側
に設けるのが良い。但し、中間柱29は、柱省略建物ユ
ニット12の柱省略コーナー部に交差する天井梁23の
側に設けても良い。尚、柱省略建物ユニット12にあっ
ては、中間柱29を設けることを必須としない。
【0025】また、柱省略建物ユニット12にあって
は、基本的に、相対する天井梁23、23と相対する補
助梁27、天井梁23とが区画する 2個の天井フレーム
のそれぞれにおいて、それら天井フレームの対角線上に
位置するコーナー部同士を水平ブレース101、102
で連結し、天井構造強度の補強を図ることが好ましい。
【0026】(ユニット建物補強構造)(図1〜図4、
図6、図7) 然るに、ユニット建物10は、下階部分10Aの一部に
て、図1に示す如く、4個の柱省略建物ユニット12そ
れぞれの柱省略コーナー部を柱省略接合部14にて互い
に突き合せ配置し、それら 4個の柱省略建物ユニット1
2によって柱21に遮られることのない広く連続した居
室空間を形成するものとしている。以下、 4個の柱省略
建物ユニット12の接合構造について説明する。
【0027】ユニット建物10の下階部分10Aにおい
て、 4個の柱省略建物ユニット12は、下記(A) 〜(D)
の補強構造、即ち(A) 補助梁連結構造、(B) 中間柱設置
構造、(C) 天井梁連結構造、(D) 補強梁設置構造により
補強される。本発明にあっては、(A) を採用することを
必須とし、(B) 〜(D) の 1以上を(A) に任意に組合わせ
て採用できる。
【0028】(A) 補助梁連結構造(図1〜図4) ユニット建物10において、柱省略接合部14を挟んで
相隣る柱省略建物ユニット12は、補助梁連結部30で
連結されて補強される。補助梁連結部30は、図3に示
す如く、柱省略接合部14の一方側の柱省略建物ユニッ
ト12の天井梁23、23間に設けた前述の補助梁27
と、他方側の柱省略建物ユニット12の天井梁23、2
3間に設けた前述の補助梁27とを一直線上に配置し、
それら両補助梁27、27をそれらの接合継手28で剛
接合する。即ち、一方の補助梁27のエンドプレート2
7Aと、他方の補助梁27のエンドプレート27Aと
が、相隣る柱省略建物ユニット12の天井梁23、2
3、それらの間のスペーサ31を挟んだ状態で、高力ボ
ルト32により高力ボルト接合(摩擦接合)(剛接合)
される。尚、柱省略建物ユニット12の天井梁23にお
いて、補助梁27のエンドプレート27Aが接合される
ウエブの両側にはスチフナ33が溶接されている。
【0029】(B) 中間柱設置構造(図1、図4) ユニット建物10において、柱省略接合部14を構成す
る柱省略建物ユニット12にあっては、前述の中間柱2
9を備えて補強される。このとき、中間柱29は、前述
した如く、相隣る柱省略建物ユニット12により構築さ
れるユニット建物10に柱省略した広い連続空間を形成
することとの関係で、柱省略建物ユニット12の柱省略
コーナー部に交差する天井梁23に相対する天井梁23
の側に設けるのが良い。
【0030】(C) 天井梁連結構造(図2、図4、図6、
図7) ユニット建物10において、柱省略接合部14を挟んで
相隣る柱省略建物ユニット12は、天井梁連結部40で
連結されて補強される。天井梁連結部40は、図6、図
7に示す如く、柱省略接合部14の左右の一方側の柱省
略建物ユニット12の天井梁23の端部に接合してある
短柱25と、柱省略接合部14の左右の他方側の柱省略
建物ユニット12の天井梁23の端部に接合してある短
柱25との間の上下両端部に平板短冊状のスペーサ4
1、42を介装し、それら両短柱25、25を 2本の高
力ボルト43とナット44で高力ボルト接合(摩擦接
合)(剛接合)することにて接合される。
【0031】(D) 補強梁設置構造(図1、図2、図4、
図6) 補強梁50は、図1、図6に示す如く、長尺板材からな
り、柱省略接合部14の左右の一方側にて相隣る 2個の
柱省略建物ユニット12の天井梁23、23の間から、
左右の他方側にて相隣る他の 2個の柱省略建物ユニット
12の天井梁23、23の間に渡って設けられる。
【0032】補強梁50の両端部は、図6(B)に示す
如く、柱省略接合部14の左右の一方側にて相隣る 2個
の柱省略建物ユニット12の各柱21と、柱省略接合部
14の他方側にて相隣る 2個の柱省略建物ユニット12
の各柱21のそれぞれに接続される。このとき、補強梁
50の両端部は、高力ボルト51を用いた天井梁23、
ジョイントピース23Aとの高力ボルト接合(摩擦接
合)を介して柱21に接続される。
【0033】補強梁50の中央部には、図6(A)に示
す如く、 4個の柱省略建物ユニット12の各柱省略コー
ナー部が接続される。このとき、補強梁50の中央部
は、高力ボルト52を用いた天井梁23、ジョイントピ
ース23Bとの接合を介して短柱25に接続される。
【0034】尚、柱省略建物ユニット12によりユニッ
ト建物10を構築するに際し、上述(A) の補助梁連結部
30、(C) の天井梁連結部40、(D) の補強梁50が施
工されるとき、各柱省略建物ユニット12の柱省略コー
ナー部には短柱25に着脱自在の仮柱26が未だ接合さ
れている。そして、それらの補助梁連結部30、天井梁
連結部40、補強梁50の施工が完了した後、仮柱26
は短柱25から取外される。
【0035】また、柱省略接合部14で互いに突き合わ
せ配置された 4個の柱省略建物ユニット12は、基本的
には、前述の如く、それらの天井面に水平ブレース10
1、102を備える。但し、 4個の柱省略建物ユニット
12のうち、少なくとも 3個の柱省略建物ユニット12
の天井面にだけ水平ブレースを設け、残る 1個の柱省略
建物ユニット12の天井面は水平ブレースを備えない吹
き抜け空間として用いるものであっても良い。
【0036】従って、本実施形態によれば、以下の作用
がある。 柱省略建物ユニット12の天井面内に予め工場生産段
階で補助梁27を設けておき、現地据付段階で相隣る柱
省略建物ユニット12の補助梁27同士を補助梁連結部
30で剛接合した。従って、このユニット建物10の天
井構造強度は、天井梁23のみからなる天井構造強度
に、両建物ユニットの補助梁27を直列 1本化した両持
ち梁としての強度を加えたものに強化でき、天井梁23
の鉛直方向の撓みδ(図2)、ひいては上階床面の撓み
を小とし、柱21を省略した天井スパンを大きく拡大
し、柱21を省略した広い連続空間を形成できる。
【0037】相隣る柱省略建物ユニット12の柱省略
接合部を挟む両建物ユニットの天井梁23同士を、直列
一本化するように天井梁連結部40で剛接合し、これら
の両天井梁23をその両端部の柱21で支持される両持
ち梁とした。従って、このユニット建物10の天井構造
強度は、両柱省略建物ユニット12の天井梁23を直列
1本化した両持ち梁としての強度に強化できる。
【0038】補強梁50の両端部は、柱省略接合部1
4の一方側の柱省略建物ユニット12の柱21と、柱省
略接合部14の他方側の柱省略建物ユニット12の各柱
21のそれぞれに接続され、補強梁50の中央部には、
複数の柱省略建物ユニット12の各柱省略コーナー部が
接続される。従って、ユニット建物10の天井構造強度
が、建物ユニットの天井梁23の断面性能の和に、補強
梁50の断面性能をも加えたものに強化できる。
【0039】補助梁27が掛け渡された天井梁23
を、補助梁27の近傍に設けた中間柱29で支持するこ
とにより、大スパンの天井梁23の撓みを低減できる。
【0040】柱省略建物ユニット12の柱省略コーナ
ー部に設けた仮柱26は、該柱省略建物ユニット12の
工場製造段階、輸送保管段階を経た現地据付け後、補助
梁27同士を補助梁連結部30で剛接合し、天井梁23
同士を天井梁連結部40で剛接合し、且つ補強梁50を
接続完了するまで取外されない。従って、補助梁27同
士と天井梁23同士の接合と補強梁50の接続時の柱省
略建物ユニット12の強度を低下せしめることがなく、
施工段階の建物強度も十分に確保でき、施工性が良い。
【0041】以上、本発明の実施の形態を図面により詳
述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限
られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の
設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本
発明は以下の如くに変形できる。
【0042】(1) ユニット建物は、図5に示す如く、 2
個の柱省略建物ユニット12それぞれの柱省略コーナー
部を柱省略接合部14にて互いに突き合せ配置し、それ
ら 2個の柱省略建物ユニット12によって柱21に遮ら
れることのない広く連続した居室空間、広く連続した開
口部等を形成するものとしても良い。図5のユニット建
物にあっても、前述した(A) 補助梁連結構造、(B) 中間
柱設置構造を採用できる。また、図5のユニット建物に
おいて、前述した(C) 天井梁連結構造、(D) 補強梁設置
構造を採用することもできる。
【0043】(2) 前述の図1のユニット建物における如
く、 4個の柱省略建物ユニット12を突き合せ配置して
なるユニット建物10において、柱省略接合部の一方側
に位置する 2個の柱省略建物ユニット12においての
み、前述した(A) 補助梁連結構造、(B) 中間柱設置構造
を採用するものとしても良い。このとき、前述した(A)
補助梁連結構造、(B) 中間柱設置構造が採用されない他
方側に位置する 2個の柱省略建物ユニット12では、補
助梁27により遮られない天井吹抜け空間を形成した
り、中間柱29により遮られない壁開口部を形成でき
る。
【0044】(3) ユニット建物10は、下階部分10A
の一部を構成している複数個の柱省略建物ユニット12
の一部もしくは全部の上に、他の柱省略建物ユニット1
2もしくは標準建物ユニット11を搭載して上階部分1
0Bを構成することができる。
【0045】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、柱省略し
た広い連続空間を備えたユニット建物を構築するため、
複数の建物ユニットの柱省略コーナー部を柱省略接合部
にて互いに突き合せ配置するに際し、該ユニット建物の
天井構造強度を強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はユニット建物の要部を示す斜視図であ
る。
【図2】図2はユニット建物の天井補強構造と天井撓み
を示す模式図であり、(A)は要部斜視図、(B)は撓
み線図である。
【図3】図3は相隣る柱省略建物ユニットの天井補強構
造を示す模式図であり、(A)は縦断面図、(B)は要
部斜視図である。
【図4】図4は相隣る柱省略建物ユニットの天井補強構
造の他の例を示す模式図である。
【図5】図5は相隣る柱省略建物ユニットの天井補強構
造の更に他の例を示す模式図である。
【図6】図6は補強梁接続構造を示す模式図であり、
(A)は補強梁中央部を示す斜視図、(B)は補強梁端
部を示す斜視図である。
【図7】図7は天井梁接合構造を示す模式図であり、
(A)は側面図、(B)は平面図である。
【図8】図8は建物ユニットを示す模式図であり、
(A)は標準建物ユニットを示す斜視図、(B)は柱省
略建物ユニットを示す斜視図である。
【図9】図9は従来のユニット建物の天井撓みを示す模
式図である。
【符号の説明】
10 ユニット建物 11 標準建物ユニット 12 柱省略建物ユニット 14 柱省略接合部 21 柱 22 床梁 23 天井梁 26 仮柱 27 補助梁 29 中間柱 30 補強梁連結部 40 天井梁連結部 50 補強梁

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柱と床梁と天井梁を箱形に接合するとと
    もに、少なくとも 1個の柱省略コーナー部を備えてなる
    柱省略建物ユニットにおいて、 柱省略コーナー部に交差する天井梁と、この天井梁に相
    対する他の天井梁との間に、補助梁を掛け渡し、 補助梁の両端部のうち、柱省略コーナー部に交差する天
    井梁の側の端部に相隣る建物ユニットとの接合継手を設
    けてなることを特徴とする柱省略建物ユニット。
  2. 【請求項2】 前記補助梁が掛け渡された天井梁と、こ
    の天井梁に相対する床梁との間で、該補助梁との近傍
    に、中間柱を設けてなる請求項1記載の柱省略建物ユニ
    ット。
  3. 【請求項3】 複数の柱省略建物ユニットを隣接設置し
    て構築されるユニット建物において、 請求項1又は2記載の柱省略建物ユニットを用い、各柱
    省略建物ユニットに定めた柱省略コーナー部を柱省略接
    合部にて互いに突き合せ配置し、 柱省略接合部の一方側の柱省略建物ユニットの天井梁間
    に設けた補助梁と、柱省略接合部の他方側の柱省略建物
    ユニットの天井梁間に設けた補助梁とを一直線上に配置
    し、それらの両補助梁をそれらの接合継手で剛接合して
    なることを特徴とするユニット建物。
  4. 【請求項4】 前記柱省略接合部の一方側の柱省略建物
    ユニットの天井梁端部と、他方側の柱省略建物ユニット
    の天井梁端部とを剛接合してなる請求項3記載のユニッ
    ト建物。
  5. 【請求項5】 前記柱省略接合部の一方側の柱省略建物
    ユニットの天井梁側から、他方側の柱省略建物ユニット
    の天井梁側に渡る補強梁を設け、 補強梁の両端部は、柱省略接合部の一方側の柱省略建物
    ユニットの柱回りと、柱省略接合部の他方側の柱省略建
    物ユニットの柱回りのそれぞれに接続され、補強梁の中
    央部には、複数の柱省略建物ユニットの各柱省略コーナ
    ー部が接続されてなる請求項3又は4記載のユニット建
    物。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5のいずれかに記載のユニッ
    ト建物の構築方法において、 柱省略建物ユニットとして、柱省略コーナー部に仮柱を
    着脱自在としてなるものを用い、 相隣る柱省略建物ユニットの補助梁同士を剛接合するま
    では仮柱を設けておき、補助梁同士の剛接合完了後に仮
    柱を取外すことを特徴とするユニット建物の構築方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015178772A (ja) * 2015-06-12 2015-10-08 積水化学工業株式会社 付帯構造物及びユニット建物
JP2020114977A (ja) * 2019-01-17 2020-07-30 トヨタホーム株式会社 建物の補強構造

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