JPH1113190A - 建築物の取り合い構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業効率に優れるとともに、耐火性、遮音
性、気密性等の点で優れたデッキプレートと建築構造部
材との取り合い部の構造を提供すること。 【解決手段】 デッキプレートと建築構造部材との取り
合い部における空隙に不燃材料ブロックを充填及び固定
してなること特徴とする建築物の取り合い構造。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、構築物、特に建物
の壁、天井、梁、柱、床等とデッキプレートとの取り合
い部の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、構築物、特に建物の壁、天井、
梁、柱、床等とデッキプレートとの取り合い部の構造の
処理に関しては、例えば、図９〜１０に示すように、デ
ッキプレートの下方に外壁や間仕切り壁を形成する場
合、床面に不図示の下部ランナーとデッキプレートの下
面に上部ランナーとを固定し、その間にスタッドを設け
て壁の下地構造とし、この下地に石膏ボード等の建築板
を面材として張り合せている。このとき、デッキプレー
トの空間Ａの形に合うように、石膏ボード等の面材を裁
断して張り合せ、空間Ａを塞いでいる。

【０００３】又、別の方法として、図１１〜１２に示す
ように、デッキプレートの空間Ａの部分に合った形状の
メタルラスを、下張り面材と上張り面材との間に挟み込
んで固定し、このメタルラスを支持材として、このメタ
ルラスに蛭石プラスター又はロックウールモルタルを塗
付及び固化させて空間Ａを密閉する方法が行われてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、上
記の建築板を裁断して使用する場合には、デッキプレー
トは波型板材であることから、デッキプレートの空間Ａ
の部分を塞ぐ必要があり、そのためには、石膏ボード等
の面材をデッキプレートの波形形状に一致するように裁
断して使用する必要がある。この場合、デッキプレート
は種々のサイズのものが使用されているので、面材の張
り合せに際しては施工現場において面材の端部をデッキ
プレートの波形に一致するように裁断しなければならな
いという煩雑性がある。更に面材の裁断を正確に行うこ
とが困難であるので、デッキプレートと面材との当接部
には断熱性、気密性、遮音性等の要求から、シール処理
が要求されるという煩雑性があり、施工期間の長期化の
原因となっている。

【０００５】上記の施工方法の問題点を解決するため
に、前記メタルラスを使用する場合には、メタルラスを
空間Ａの形状に合わせて裁断することが必要であり、更
に蛭石プラスターやロックウールモルタル等の湿式の材
料は、施工現場において水と混練することが必要であっ
て、メタルラスへの塗付が煩雑な作業であるばかりでな
く、モルタル等の混練及び塗付の際に建築物及びその周
囲が汚れ易く、施工性に大きな問題があった。従って本
発明の目的は、作業効率に優れるとともに、耐火性、遮
音性、気密性等の点で優れたデッキプレートと建築構造
部材との取り合い部の構造を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、デッキプレート
と建築構造部材との取り合い部における空隙に不燃材料
ブロックを充填及び固定してなること特徴とする建築物
の取り合い構造である。

【０００７】本発明によれば、デッキプレートと建築構
造部材との取り合い部における空隙に、予め用意してあ
る不燃材料ブロックを充填及び固定することによって、
作業効率に優れるとともに、耐火性、遮音性、気密性等
の点で優れたデッキプレートと建築構造部材との取り合
い部の構造を提供することができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】次に図面に示す好ましい実施の形
態を挙げて本発明を更に具体的に説明する。図１は、上
部ランナーと不図示の下部ランナーとこれらのランナー
間に固定されたスタッドとからなる壁の下地を構成し、
その上部ランナーをデッキプレートの下面に当接及び接
合し、この下地に建築板である石膏ボードを張り合せた
構造を示している。この際にはデッキプレート上面と上
部ランナー（建築板）との間に空間Ａが生じるが、この
空間Ａを不燃材料ブロックであるロックウールブロック
を充填し、該ブロックの周囲を適当なシール材でシール
している。

【０００９】図２は、図１の垂直断面図であり、上部ラ
ンナーは、図面に表わされていないデッキプレートの下
面において固定されているが、デッキプレートの上面と
の間には空間Ａがあり、この空間Ａ中に、不燃材料ブロ
ックであるロックウールブロックが充填されて、該ブロ
ックの周囲を適当なシール材でシールした構造を示して
いる。該下張り面材の表面には上張り面材が適当な方法
で張り合せられている。そして下張り面材の端部とブロ
ック、及び上張り面材の端部とブロックとは適当なシー
ル材によってシールされている。上記構造では、面材と
して下張り面材と上張り面材との２枚の建築板が使用さ
れているが、建築板は２枚である必要はなく、何れか一
方の面材のみでもよい。図３〜４に示す例は、図１〜２
に示す例において、部材の境界面のシール処理に加え
て、ロックウールブロックの表面全体をシール材でシー
ル処理し、気密性、遮音性等を更に向上させた例を示し
ている。

【００１０】上記の取り合い構造では、先ず第一に建築
板である石膏ボードを施工現場で裁断するという煩雑な
工程が解消されている。そして、デッキプレートと上部
ランナーとで区画される空間Ａの密閉には、予め適当な
サイズに形成されている不燃材料ブロックを押し込み、
その周囲を適当なシール材でシールするのみであるの
で、施工現場において、メタルラスを使用することも、
メタルラスを裁断する必要もなく、従って施工時間が著
しく節約されるという利点がある。

【００１１】上記構造において使用するデッキプレート
とは、厚さ０．８〜１．６ｍｍ程度の鋼板を折り曲げて
作った一種の折り板構造であり、２〜４ｍのスパンを架
け渡すことができる。例えば、鉄骨造りのビルの床や天
井等を形成する時には、鉄骨梁にデッキプレートを架け
渡し、その上にコンクリートスラブを流し込んで、床構
造や天井構造等とする際等に使用される材料である。

【００１２】又、上記で使用する下地としては、スタッ
ド、ランナー、Ｈ鋼等の如く通常鋼鉄製であるが、木材
製であってもよい。これらの下地の形状は従来公知の形
状でよい。又、下張り面材としては、例えば、ケイカル
板、フレキ板、石膏ボード、石膏板等の建築板が挙げら
れ、上張り面材としては、上記下張り面材にラミネート
化粧、転写化粧、塗装化粧、樹脂化粧したものであっ
て、従来公知のいずれの化粧板も使用することができ
る。

【００１３】デッキプレートと下地（及び建築板）とか
ら形成される空間Ａを塞ぐ不燃材料ブロックとしては、
ロックウールブロック、シリコンブロック及びグラスウ
ールブロック等が挙げられ、これらの不燃材料ブロック
は、デッキプレートのリブ（凸部）の山の高さに合った
厚みの不燃材料ブロック（例えば、サイズ１５０×１５
０×７５ｍｍや１５０×１５０×５０ｍｍ等）をデッキ
プレートの空間Ａに合う形にノコギリやカッターで切断
し、空間Ａに容易に押し込める形状とする。このとき、
不燃材料ブロックを壁厚に合わせて切断してもよい。
又、予め、デッキプレートの形に合ったブロックでもよ
い。又、複数のブロックを一緒に使用して空間Ａに充填
してもよい。

【００１４】本発明では、上記のように空間Ａに不燃材
料ブロックを充填するが、該ブロックの充填中或いはそ
の前後に不燃材料ブロックの周囲と該ブロックを囲んで
いるデッキプレート及び下地（建築板）との境界面をシ
ール材で処理して遮音性、防火性、気密性等を向上させ
ることが好ましい。又、不燃材料ブロックの露出部全面
をシールして、より強度と耐火性等を向上させてもよ
い。使用するシール材としては、構造物には十分な耐火
性が要求されるために、石膏系、炭酸カルシウム系等の
ペースト状無機質系シール材又は不燃性であるシリコー
ン系シール剤やロックウールモルタル等を使用すること
が好ましい。

【００１５】図５〜６に示す構造は、デッキプレートの
下面に梁を付設する場合の実施例を示している。即ち、
図５に示すようにデッキプレートの下面にＨ鋼等の梁部
材を固定すると、デッキプレートの上面とＨ鋼の上面と
の間には空間Ａが形成されるが、この空間には前記の如
く不燃材料ブロックを充填してシール処理する。図６は
図５の断面図であり、図面に現れていないデッキプレー
トの下面にＨ鋼が固定され、該Ｈ鋼には留め金具を介し
て下張り面材がビス留めされており、下張り面材の表面
には上張り面材が任意の方法で貼り付けられている。Ｈ
鋼の上面とデッキプレートの上面とで区画される空間Ａ
には、前記図１〜４に示すと同様に不燃材ブロックであ
るロックウールブロックが充填されるとともに、その周
囲はシール材によってシール処理されている。

【００１６】図７〜８に示す例は、デッキプレートの端
部におけるデッキプレートと梁との取り合い構造であ
る。デッキプレートを用いて床や天井を構成する場合、
デッキプレートの端部のリブ（凸部）を潰したり、流し
込むコンクリートスラブが外に流出しないように、デッ
キプレートの端部を折り曲げることがある。例えば、デ
ッキプレートの端部を押し潰したとしても、押し潰した
部分が完全に平滑になることはなく、多少の空隙が残
る。この場合にも図５〜６に示すと同様にロックウール
ブロック及びシール材により、デッキプレートと梁との
間に生じる空間を塞ぐことができる。上記各実施例にお
ける各部材は、前記図１〜４に示す実施例における各部
材と同様である。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、デッキプレートと建築
構造部材との取り合い部における空隙に、予め用意して
ある不燃材料ブロックを充填及び固定することによっ
て、作業効率に優れるとともに、耐火性、遮音性、気密
性等の点で優れたデッキプレートと建築構造部材との取
り合い部の構造を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の取り合い構造の１例を示す図

【図２】 図１の断面図

【図３】 本発明の取り合い構造の１例を示す図

【図４】 図２の断面図

【図５】 本発明の取り合い構造の１例を示す図

【図６】 図５の断面図

【図７】 本発明の取り合い構造の１例を示す図

【図８】 図７の断面図

【図９】 従来の取り合い構造の１例を示す図

【図１０】 図９の断面図

【図１１】 従来の取り合い構造の１例を示す図

【図１２】 図１１の断面図

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 デッキプレートと建築構造部材との取り
   合い部における空隙に不燃材料ブロックを充填及び固定
   してなることを特徴とする建築物の取り合い構造。
2. 【請求項２】 不燃材料ブロックの周囲又は全面とデッ
   キプレート及び建築部材との境界がシール処理されてい
   る請求項１に記載の建築物の取り合い構造。
3. 【請求項３】 建築構造部材が、壁の下地と該下地に張
   り合せた建築板とからなる壁構造である請求項１に記載
   の建築物の取り合い構造。
4. 【請求項４】 建築構造部材が、Ｈ鋼とその周囲に張り
   合せた建築板とからなる梁構造である請求項１に記載の
   建築物の取り合い構造。
5. 【請求項５】 不燃材料ブロックが、ロックウールブロ
   ック、シリコンブロック及びグラスウールブロックから
   選ばれる請求項１に記載の建築物の取り合い構造。