JPH11124660A - 表面平滑性に優れた溶融Zn−Al合金めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

表面平滑性に優れた溶融Zn−Al合金めっき鋼板およびその製造方法

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JPH11124660A
JPH11124660A JP28867497A JP28867497A JPH11124660A JP H11124660 A JPH11124660 A JP H11124660A JP 28867497 A JP28867497 A JP 28867497A JP 28867497 A JP28867497 A JP 28867497A JP H11124660 A JPH11124660 A JP H11124660A
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JP
Japan
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steel sheet
alloy
plated steel
cooling
dip
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Application number
JP28867497A
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English (en)
Inventor
Naoya Yokoyama
直也 横山
Akira Takase
朗 高瀬
Masaaki Yamashita
正明 山下
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スパングル粒界のひけすが問題となる片面めっ
き付着量が特に80g/m2 以上の溶融Zn−Al合金
めっき鋼板に関して、この凝固ひけすを緩和させること
により、平滑性の高い溶融Zn−Al合金めっき鋼板を
提供する 【解決手段】重量%で、Al:1〜10%を含み、残部
がZn及び不可避的不純物のめっき皮膜を両面に形成し
た溶融Zn−Al合金めっき鋼板において、めっき皮膜
の片面を(1)とし、その反対面を(2)とした時に、
表面粗さRypeakがRypeak(1)>Rypeak(2)
で、かつRypeak(2)≦8である表面平滑性に優れた
溶融Zn−Al合金めっき鋼板。ただし、Rypeakは、
凝固引け巣を一つ以上含む領域を対象とした粗さ測定に
て測定した場合のRy(JIS B 0601に基く)の最大値を
マイクロメートル(μm)で表したものをいう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に建材用途とし
て用いられる、めっき表面の平滑性に優れた溶融Zn−
Al合金めっき鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板への溶融めっきは主に耐食性の向上
を目的として行われ、その製品は自動車、建材、家電用
途などに広く使用されている。特に、通常の溶融亜鉛め
っきにアルミニウムを添加しためっき系は耐食性に優れ
ることから、その開発が進み、近年主に、5wt%のア
ルミニウムが添加された溶融Zn−Al合金めっき鋼板
が広く使用されている。この溶融Zn−Al合金めっき
鋼板は、凝固組織にAlを多く含む析出相を有している
ことから耐食性に優れ、また、鋼板素地との反応層が薄
いため優れた加工性を有している。しかし、この溶融Z
n−Al合金めっき鋼板表面には2〜5mm大のスパン
グルが形成され、このスパングル粒界には凝固引け巣
(以下デンツと記載)が存在する。このデンツは片面着
量が80g/m2 以上のめっき皮膜にて顕著に生成し、
その深さはめっき皮膜の半分にも及ぶ。このデンツを軽
減あるいは消失させるために従来より様々な検討がなさ
れている。検討は大きく2つに分類され、1つめはめっ
き後の冷却の制御による、もう一つは浴中への核生成元
素の添加による、スパングルの微細化である。前者につ
いては、水ミストあるいは薬液ミストといった、微細化
された熱媒体をまだ溶融状態にあるめっき皮膜に接触さ
せ、これによりめっき皮膜を急冷しスパングルを微細化
する方法であり、広く利用されている。後者について
は、特開平2-73954号公報では浴中にSiを添加する方
法、特開平5-125515号公報、特開平6-158256号公報、特
開平6-158257号公報、特開平6-158258号公報、特開平6-
158259号公報では浴中にTiを添加する方法が開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のめっき後の冷却の制御方法では、スパングルは
消失するものの、水あるいは薬液をスパングル消失に十
分な量をめっき皮膜に接触させると、現在一般に流通し
ているミストスプレーノズルによる噴霧では、熱媒体と
溶融状態にあるめっき皮膜の接触に由来する微細な凹凸
が生成してしまう。浴中へのSiの添加はそのスパング
ル微細化に有効な添加方法が困難で単純にAl−Si合
金の形態で添加してもスパングルの核として有効に作用
する高融点のAl−Si系合金やSi−O系の化合物は
生成せず、逆に共晶形成に作用しスパングルが肥大化す
ることもある。浴中へのTiの添加は高融点のAl−T
i系合金がスパングルの核として作用し、その結果、ス
パングルは少なくても1/10程度に微細化するが、デ
ンツの縮小効果は必ずしも十分ではなく、また、高融点
のAl−Ti系合金を定常的に被めっき物である鋼板に
随伴するめっき皮膜中に供給するのも困難である。その
他、めっき皮膜凝固後に後加熱することによりスパング
ルを消失させる技術も特開昭52-131934 号公報の開示さ
れている。この方法は効果があるが、コストがかかるう
え、実際には後加熱後の冷却が問題となる。
【0004】本発明の課題は、スパングル粒界のひけす
が問題となる片面めっき付着量が特に80g/m2 以上
の溶融Zn−Al合金めっき鋼板に関して、この凝固ひ
けすを緩和させることにより、平滑性の高い溶融Zn−
Al合金めっき鋼板及びその製造方法を提供することに
ある。更には、得られた溶融Zn−Al合金めっき鋼板
を原板とすることにより、表面平滑性の高い塗装あるい
はラミネート鋼板及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。 (1)本発明のめっき鋼板は、重量%で、Al:1〜1
0%を含み、残部がZn及び不可避的不純物のめっき皮
膜を両面に形成した溶融Zn−Al合金めっき鋼板にお
いて、めっき皮膜の片面を(1)とし、その反対面を
(2)とした時に、RypeakがRypeak(1)>Rype
ak(2)で、かつRypeak(2)≦8である表面平滑性
に優れた溶融Zn−Al合金めっき鋼板。
【0006】ただし、Rypeakは、凝固引け巣を一つ以
上含む領域を対象とした粗さ測定にて測定した場合のR
y(JIS B 0601に基く)の最大値、好ましくは6×6m
m以上の領域を走査線間隔50μm以下で測定した場合
の各走査線のRyの最大値をマイクロメートル(μm)
で表したものをいう。
【0007】(2)めっき皮膜は重量%でさらに、M
g: 1%以下(0%を含む)を含む表面平滑性に優れた
Zn−Al合金めっき鋼板。 (3)重量%で、Al:1〜10%を含み、残部がZn
及び不可避的不純物の組成のめっき浴で鋼板両面に溶融
Zn−Al合金めっきを施す工程と、めっき後にめっき
皮膜凝固温度域でめっき鋼板を冷却する工程とを備え、
この冷却工程において、めっき皮膜の片面を(1)、そ
の反対面を(2)とした場合、冷却速度Cr がCr
(1)>Cr (2)となるように冷却する表面平滑性に
優れた溶融Zn−Al合金めっき鋼板の製造方法。
【0008】ただし、Rypeakは、凝固引け巣を一つ以
上含む領域を対象とした粗さ測定にて測定した場合、好
ましくは6×6mm以上の領域を走査線間隔50μm以
下で測定した場合の各走査線のRyの最大値のRy(JI
S B 0601に基く)の最大値をマイクロメートル(μm)
で表したものをいう。
【0009】(4)めっき浴中に、更に、重量%で、M
g:1%以下(0%を含む)を含む表面平滑に優れた溶
融Zn−Al合金めっき鋼板の製造方法。 (5)片面(1)の冷却が気体吹き付け、水・薬液吹き
付け及び水・薬液ミストによる冷却から選択され、その
反対面(2)の冷却が大気放冷、気体吹き付け及び強制
加熱から選択される表面平滑に優れた溶融Zn−Al合
金めっき鋼板の製造方法。
【0010】(6)溶融Zn−Al合金めっき鋼板の面
(2)に80度光沢度70以上の塗膜を形成してなる溶
融Zn−Al合金めっき塗装鋼板。 (7)溶融Zn−Al合金めっき鋼板の面(2)に80
度光沢度70以上のフィルムラミネート皮膜を形成して
なる溶融Zn−Al合金めっきラミネート鋼板。 な
お、上記記載のRypeakはJIS B 0601により、光沢度は
JIS K 5400により、それぞれ規定されるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】めっきの形成を大きく変更するこ
となしに凝固のひけすを軽減するためには、凝固の起点
を増加させ、更に、凝固の進行方向を制御する必要があ
る。前者は、冷却速度を速めることにより実現される
が、前述の通り、従来の冷却方法では、十分な平滑性は
得られない。後者は、水平方向の凝固の成長の駆動力を
上回る作用を垂直方向の温度分布としてめっき融液に与
える必要がある。ここで、本発明者らは、溶融Zn−A
l合金めっき鋼板の主な使用用途の外観には片面のみの
平滑性が要求されることに着目した。すなわち、めっき
皮膜凝固時の抜熱方向を、最終的に平滑性が要求される
めっき面あるいはこれを原板とする塗装やラミネート面
の反対面のみに限定し、めっき皮膜の凝固状態を制御す
る方法を見いだした。この方法に依れば、めっき鋼板の
片面を選択的に冷却を強化することにより、平滑性が要
求される反対面でのめっき皮膜の凝固は鋼板とめっき皮
膜の界面から進行することになり、結果として、反対面
の平滑性が向上することになる。
【0012】以上の知見に基づき、本発明者らは、めっ
き浴組成を制御し、めっき皮膜の両面を面(1)、面
(2)に規定し、めっき皮膜が凝固する時点における抜
熱方向を鋼板の面(1)に大きく依存させることによ
り、面(2)の表面平滑性を向上させ、片面(面
(2))の表面平滑性に優れる溶融Zn−Al合金めっ
き鋼板を見出し、さらに、得られた溶融Zn−Al合金
めっき鋼板を原板とすることにより、表面平滑性の高い
溶融Zn−Al合金めっき塗装鋼板あるいは溶融Zn−
Al合金めっきラミネート鋼板を得られることを見出
し、本発明を完成させた。
【0013】すなわち、本発明はめっき浴組成、鋼板表
裏の表面粗度および製造条件を下記範囲に限定すること
により、表面平滑性に優れた溶融Zn−Al合金めっき
鋼板を得ることができ、さらに、得られた溶融Zn−A
l合金めっき鋼板を原板とすることにより、表面平滑性
の高い溶融Zn−Al合金めっき塗装鋼板あるいは溶融
Zn−Al合金めっきラミネート鋼板を得ることが出来
る。
【0014】以下、本発明の成分添加理由、成分限定理
由、めっき表面粗度の状態および製造条件の限定理由に
ついて説明する。 (1)めっき浴組成範囲 Al:1〜10% Alを添加することにより、メッキ皮膜に優れた耐食性
及び加工性を付与する。めっき浴中のAl濃度の範囲を
1〜10%とするのは、この範囲とすることにより粒状
のスパングル(亀甲状スパングル)が生成して平滑性が
問題となるためである。すなわち、この範囲のAl濃度
の場合に、めっき鋼板表面には放射状の共晶成長にとも
なう粒状組織(スパングル)とその粒界“ひけす”が生
成し、この“ひけす”が鋼板表面の平滑性を損なう原因
であり、また、このめっき鋼板表面に塗装あるいはフィ
ルムをラミネートした製品表面を損なう欠陥の原因とな
る。Al濃度1%未満及び10%を越えると、粒状のス
パングルが生成せず、平滑性が問題とならない。
【0015】Mg:0〜1% Mgを添加することにより、めっき皮膜に優れた耐食性
及び加工性が付与され、しかも平滑性阻害しない。しか
し、1%を越えてMgを添加した場合粒界腐食が問題と
なる。
【0016】Si、Ti、Ni、Co、Sb、ミッシュ
メタル(主成分La、Ce)に代表される第三元素を点
かすることにより、めっき皮膜に優れた耐食性及び加工
性が付与される。これら第三元素は、放射状スパングル
形成には影響しないため、本発明では、その添加量は特
に記載しないが、例えば、Siの過剰添加は皮膜の加工
性低下を招く、Tiの過剰添加は浴歩留まりの低下を招
く。Sbの過剰添加は粒界腐食を促進する。このため、
これらの点を考慮した最適添加量を設定することが望ま
しい。
【0017】なお、めっき皮膜組成は、上記のめっき浴
組成に対応するので、その添加理由及び添加範囲の限定
理由はめっき浴組成の場合と同様なのでその説明を省略
する。
【0018】(2)めっき表面粗度 本発明の溶融Zn−Al合金めっき鋼板は、従来に比べ
て、片面の表面平滑性が低下することを犠牲として、そ
の反対面の表面平滑性が向上する。すなわち、片面(1)
からの抜熱量を極端に増加させることにより、その反対
面(2) のめっき皮膜の凝固を鋼板界面からめっき表面に
向けて進行せしめ、凝固粒界のひけすが縮小することと
なる。この時、抜粋量を増加させるために、片面(1) は
水に代表される冷媒と接触することとなり、大気放冷時
に比べて表面平滑性が低下する。よって、JIS B 0601に
基づくRypeakを、従来の両面大気放冷面を(0)、本
発明の抜熱面を(1)、本発明の抜熱面の裏面を(2)
とする場合、Rypeak(2)<Rypeak(0)<Rype
ak(1)として表現される溶融Zn−Al合金めっき鋼
板が得られる。なお、この関係は板厚、付着量およびラ
インスピードに代表される製造条件が同一の溶融Zn−
Al合金めっき鋼板どうしの比較に限定される。また、
付着量が多いもの、特に片面付着量が80/m2 を越え
るものほど、前述関係式に基づく効果、特にRypeak
(2)<Rypeak(0)の効果が大きくなる。これは、
片面付着量が80/m2 を越えると従来材に生成するひ
けす量が顕著に増加することに基づく。そして、本発明
によれば、Rypeak(2)を8以下と従来方法では達成
できなかった平滑度を達成することができる。
【0019】このような特性のめっき鋼板は、以下の製
造方法により製造することができる。 (3)めっき鋼板製造工程 上記のめっき浴組成範囲に調整しためっき浴でめっきし
た後、めっき皮膜が凝固する温度域にて片面より選択的
に抜熱することにより、鋼板冷却を制御する。
【0020】これは、片面からの抜熱量を極端に増加さ
せることにより、その反対面のめっき皮膜の凝固を鋼板
界面からめっき表面に向けて進行せしめ、凝固粒界のひ
けすが縮小するためである。
【0021】従来方法での鋼板冷却の概念を図1(a)
に示す。めっき融液は、凝固温度に到達すると、初晶の
分散析出に引き続き、ある起点から共晶を析出しながら
凝固を完了する。この共晶は、起点を中心として放射状
に成長する特徴があり、各放射状の凝固粒の粒界に“ひ
けす”が生成する。この時、従来方法では、鋼板あるい
はめっき融液中の熱伝導とめっき表面から大気中への熱
伝達の速度に大きな差異がないため、めっき表面のめっ
き鋼板界面あるいは鋼板中心部との温度差が小さく、こ
のため、共晶の凝固はめっき鋼板に対して水平方向にほ
ぼ二次元的に成長する。この結果、共晶凝固粒界に“ひ
けす”が集中し、図2(b)のスパングル外観Cに示す
ような表面平滑性の損なわれためっき表面となる。
【0022】これに対して、めっき融液が凝固する温度
域にて、片面(1) より選択的に抜熱することにより、図
1(b)に示すように、鋼板およびめっき融液にはめっ
き鋼板の垂直方向に温度分布が形成され、共晶の凝固の
進行方向に、鋼板とめっき融液の界面からめっき表面に
向けての方向が加わり、この結果、共晶粒界の“ひけ
す”生成量が縮小し、図2(a)のスパングル外観a,
bに示すようにめっき鋼板の反対面(2) の表面平滑性は
向上する。
【0023】この時の凝固方向のベクトルは、片面(1)
からの選択的な抜熱量の大きさにより変化し、抜熱量Q
1が大きいほど、また、その裏面(2) の抜熱量Q2が小
さいほど、めっき鋼板に対して垂直方向の凝固が促進さ
れる。このため、冷却面(1)の抜熱が大気放冷である場
合、Cr(1)の抜熱には比較的大きな冷熱源とし、例
えば、片面(1) の冷却速度Cr(1)が25℃/sec
以上になるように冷却を冷却面の抜熱Q1にて実現可能
なものとするのがよい。このような条件を満足する片面
(1) の冷熱源としては、例えば、低温の大気あるいは熱
容量の大きな気体の吹き付け、水あるいはりん酸亜鉛に
代表される薬液の吹き付け(一流体、二流体ミスト)が
あげられる。また、この効果を促進する手段として、前
述のごとく、平滑面(2) の抜熱量Q2を低減する方法が
ある。これは、平滑面(2) を大気放冷の状態から、めっ
き皮膜を凝固温度以上に保持してしまわない程度に、熱
風吹き付け、赤外線加熱に代表される熱源により、大気
/めっき皮膜の温度上昇、めっき皮膜表面への熱付加す
る方法、あるいは、雰囲気を変化させることにより熱伝
達を低下させる方法があげられるが、その方法は特に限
定されない。
【0024】このようにして得られた溶融Zn−Al合
金めっき鋼板をスキンパスした場合、冷却面の凹凸が平
滑面に転写されることもあるが、この場合の平滑面のR
ypeakはスキンパスロールの粗度以上には悪化すること
なく、問題とはならない。
【0025】また、このめっき鋼板の表面に80度光沢
度(JIS K 5400)70以上の塗膜を塗装ある
いはフィルムをラミネートした場合、従来の溶融Zn−
Al合金めっき鋼板では、その後のスキンパスの有無を
問わず、ひけすの透過やひけすを起点とした塗膜・フィ
ルムの膨れ状欠陥が生成し製品の外観を著しく損ねてい
たが、本発明による溶融Zn−Al合金めっき鋼板の平
滑化した片面ではこれらの欠陥が著しく改善あるいは消
失される。以下に本発明の実施例を挙げ、本発明の効果
を立証する。
【0026】
【実施例】溶融Zn−Al合金めっき鋼板は連続式溶融
亜鉛めっきラインにより製造した。鋼板の板厚は0.5
mmとした。なお、浴中Al濃度は本発明例、従来例と
もNo.1〜3は、いずれも4.5wt%にそれぞれ調整し
た。
【0027】めっき鋼板の表面は、鋼板の中央部と端部
より採取した試験片に対して20×20mmの領域を粗
さ測定したRypeakの平均値により評価した(参考とし
てRaも示した)。また、得られた鋼板のスパングル形
態を、図2(a) のa(スパングルが目視上観察されない
状態)、b(スパングル粒界が目視上不明確になる状
態)、図2(b)のc(スパングル粒界が目視上明確に観察
される状態)に示すように分類し、評価した。
【0028】得られためっき鋼板には1%相当のスキン
パスを施した後、りん酸塩処理を行い、その上に5μm
のエポキシ系プライマ塗布後、20μmのポリエステル
系塗料を塗布した。この塗装鋼板表面外観は目視によ
り、めっき鋼板のひけすが光沢差として認識されるか否
かの判定を行った。表中では、光沢差が認識されるもの
を×、認識されないものを○として示した。
【0029】また、得られためっき鋼板には1%相当の
スキンパスを施した後、りん酸塩処理を行い、その上に
3μmのウレタン系接着剤を塗布後、100μmの塩化
ビニルフィルムをラミネートした。このラミネート鋼板
表面外観は目視により、ラミネート鋼板表面に生成する
膨れの有無を判定した。表中では、膨れが認識されるも
のを×、認識されないものを○として示した。
【0030】<実施例1>所定の浴中Al濃度でめっき
した鋼板を同表に示す条件にて冷却した。すなわち、本
発明例−1のNo.1〜3は、図1(b)に示す片面強
制冷却となるように、面(2)を冷却能力の強いミスト
条件にて冷却し、本発明例−2のNo.1〜3は本発明
例−1のNo.1〜3に比べて冷却能力の弱いミスト条
件にて冷却した。従来例No.1〜3の面(2)は大気
放冷の状態として冷却した。なお、本発明例、従来例を
問わず、面(1)は大気放冷とした。
【0031】なお、面(1)は平滑化させる面、面
(2)はその裏面となる冷却面、として定義した。結果
を表1にあわせて示す。面(1)および面(2)の冷却
速度は実測困難であったが、各条件での冷却速度は、従
来例(大気放冷)<本発明例−2(ミスト冷却)<本発
明例−1(ミスト冷却)であることは明らかであり、ラ
ボ的に切り板にて同一条件の冷却を実施した場合の、面
(1)〜大気放冷面〜の冷却速度は、それぞれ、本発明
例−1:32(℃/sec)、本発明例−2:18(℃
/sec)、従来例:4(℃/sec)であった。
【0032】両面ともに大気放冷とした従来例のNo.
1〜3の場合、図2(b)に示すスパングル形態cとな
り、同面の表面粗さはRa=0.5〜0.8、Rypeak
=10〜20であった。
【0033】これに対し、比較的強いミスト条件により
面(2)を冷却した本発明例−1のNo.1〜3の場
合、面(1)のスパングルは図2(a)に示す形態aと
なり、同面のRa=0.3、Rypeak=6〜7と従来例
の面(1)に対して表面が平滑化し、塗装あるいはラミ
ネート鋼板には欠陥は観察されなかった。
【0034】また、比較的弱いミスト条件により面
(2)を冷却した本発明例−2のNo.1〜3の場合、
面(1)のスパングルは図2(a)に示す形態bとな
り、同面のRa=2、Rypeak=7〜8と本発明例−1
のNo.1〜3の場合よりは粗いものの従来例の面
(1)に対して表面が平滑化し、塗装あるいはラミネー
ト鋼板には欠陥は観察されなかった。
【0035】<実施例2>上記の所定の浴中Al濃度で
めっきした鋼板を同表に示す条件にて冷却した。すなわ
ち、本発明例−1のNo.1〜3は、図1−(b)に示
す片面強制冷却となるように、面(2)を冷却能力の強
いミスト条件にて冷却し、本発明例−2のNo.1〜3
は本発明例−1のNo.1〜3に比べて冷却能力の弱い
ミスト条件にて冷却した。従来例No.1〜3の面
(2)は大気放冷の状態として冷却した。なお、本発明
例の場合、面(1)は350℃の熱風吹き付けとした。
従来例の場合、面(1)は大気放冷とした。結果を表2
にあわせて示す。
【0036】両面ともに大気放冷とした従来例のNo.
1〜3の場合、図2(b)に示すスパングル形態cとなり、
同面の表面粗さはRa=0.5〜0.8、Rypeak=1
0〜20であった。
【0037】これに対し、比較的強いミスト条件により
面(2)を冷却した本発明例−1のNo.1〜3の場
合、面(1)のスパングルは図2(a)の形態aとな
り、同面のRa=0.3、Rypeak=6と従来例の面
(1)に対して表面が平滑化し、塗装あるいはラミネー
ト鋼板には欠陥は観察されなかった。
【0038】比較的弱いミスト条件により面(2)を冷
却した本発明例−2のNo.1〜3の場合、面(1)の
スパングルは図2(a)の形態aとなり、同面のRa=
0.3、Rypeak=6〜7と本発明例−1のNo.1〜
3の場合とほぼ同等に従来例の面(1)に対して表面が
平滑化し、塗装あるいはラミネート鋼板には欠陥は観察
されなかった。
【0039】面(1)および面(2)の冷却速度は実測
困難であったが、各条件での冷却速度は、従来例(大気
放冷)<本発明例−2(ミスト冷却)<本発明例−1
(ミスト冷却)であることは明らかである。
【0040】面(2)のミスト冷却条件はノズルの種類
により、噴霧条件と冷却能力がことなる。本発明例にお
ける噴霧条件では、切り板に対するラボによるミスト噴
霧にて得られた面(1)〜大気放冷面〜の冷却速度は、
それぞれ、本発明例−1:32(℃/sec)、本発明
例−2:18(℃/sec)、従来例:4(℃/se
c)であった。
【0041】この効果が得られるためのミスト噴霧条件
は、板厚、ラインスピードによりことなる。本発明例で
はめっき鋼板の板厚は0.5mm、ラインスピードは9
0mpmで行った結果である。
【0042】なお、本発明例におけるミストノズルの方
向は、幅方向に150mm間隔で10個設置したもの
を、ライン方向に3段積み重ねる様に設置した。また、
鋼板ノズル間隔は130mmとした。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、鋼板の
片面の凝固ひけすがきわめて軽減された溶融Zn−Al
合金めっき鋼板を製造することが可能となり、更に、こ
の鋼板上に光沢度あるいは平滑度の高い皮膜を付与した
場合に、めっき鋼板由来の外観不良がきわめて軽減され
た製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき皮膜の凝固過程を示す説明図で、(a) は
大気中での自然放冷(従来の皮膜)、(b) は片面を強制
冷却した場合(本発明の皮膜凝固)を示す。
【図2】スパングル外観を示す金属組織の顕微鏡写真及
びその断面二次曲線で、(a) は本発明例1、2、(b) は
従来例を示す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Al:1〜10%を含み、残
    部がZn及び不可避的不純物の凝固引け巣を有するめっ
    き皮膜を両面に形成した溶融Zn−Al合金めっき鋼板
    において、めっき皮膜の片面を(1)とし、その反対面
    を(2)とした時に、RypeakがRypeak(1)>Ry
    peak(2)で、かつRypeak(2)≦8であることを特
    徴とする表面平滑性に優れた溶融Zn−Al合金めっき
    鋼板。ただし、Rypeakは、凝固引け巣を一つ以上含む
    領域を対象とした粗さ測定にて測定した場合のRy(JI
    S B 0601に基く)の最大値をマイクロメートル(μm)
    で表したものをいう。
  2. 【請求項2】 めっき皮膜は重量%でさらに、Mg:1%
    以下(0%を含む)を含むことを特徴とする請求項1に
    記載の表面平滑性に優れたZn−Al合金めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 重量%で、Al:1〜10%を含み、残
    部がZn及び不可避的不純物の組成のめっき浴で鋼板両
    面に溶融Zn−Al合金めっきを施す工程と、 めっき後にめっき皮膜凝固温度域でめっき鋼板を冷却す
    る工程とを備え、この冷却工程において、めっき皮膜の
    片面を(1)、その反対面を(2)とした場合、冷却速
    度Cr がCr (1)>Cr (2)となるように冷却する
    ことを特徴とする表面平滑性に優れた溶融Zn−Al合
    金めっき鋼板の製造方法。ただし、Rypeakは、凝固引
    け巣を一つ以上含む領域を対象とした粗さ測定にて測定
    した場合のRy(JIS B 0601に基く)の最大値をマイク
    ロメートル(μm)で表したものをいう。
  4. 【請求項4】 めっき浴中に、更に、重量%で、Mg:
    1%以下(0%を含む)を含むことを特徴とする請求項
    3に記載の表面平滑に優れた溶融Zn−Al合金めっき
    鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 片面(1)の冷却が気体吹き付け、水・
    薬液吹き付け及び水・薬液ミストによる冷却から選択さ
    れ、その反対面(2)の冷却が大気放冷、気体吹き付け
    及び強制加熱から選択されることを特徴とする請求項3
    又は4に記載の表面平滑に優れた溶融Zn−Al合金め
    っき鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2に記載の溶融Zn−Al
    合金めっき鋼板の面(2)に80度光沢度70以上の塗
    膜を形成してなることを特徴とする溶融Zn−Al合金
    めっき塗装鋼板。
  7. 【請求項7】 請求項1又は2に記載の溶融Zn−Al
    合金めっき鋼板の面(2)に80度光沢度70以上のフ
    ィルムラミネート皮膜を形成してなることを特徴とする
    溶融Zn−Al合金めっきラミネート鋼板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003049254A (ja) * 2001-08-07 2003-02-21 Kowa Industry Co Ltd 亜鉛−アルミニウム合金溶融メッキ方法
US7914851B2 (en) 2004-12-28 2011-03-29 Posco Method of manufacturing hot-dipped galvanized steel sheet

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