JPH11123388A - ボイラ水処理薬剤 - Google Patents

ボイラ水処理薬剤

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JPH11123388A JP9288490A JP28849097A JPH11123388A JP H11123388 A JPH11123388 A JP H11123388A JP 9288490 A JP9288490 A JP 9288490A JP 28849097 A JP28849097 A JP 28849097A JP H11123388 A JPH11123388 A JP H11123388A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 N−置換アミノ基を有する複素環式化合物の
防食作用をより高めると共に、一液製剤で優れた防食作
用とスケール防止作用を発揮するボイラ水処理薬剤を提
供する。 【解決手段】 N−置換アミノ基を有する複素環式化合
物と、アルカリ剤及び/又は水溶性高分子とを含有する
ボイラ水処理薬剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はボイラ水処理薬剤に
関し、詳しくは、一液製剤で優れた防食作用(脱酸素作
用)とスケール防止作用を併せ持つボイラ水処理薬剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】ボイラ給水に含まれている溶存酸素は、
ボイラ本体、ボイラ本体の前段に配置される熱交換器や
エコノマイザ、ボイラ本体の後段に配置される蒸気・復
水系配管などのボイラシステムの腐食の原因となる。従
って、これらボイラシステムの腐食を防止するために
は、ボイラ給水を脱酸素処理して、ボイラ給水中の溶存
酸素を除去する必要がある。
【0003】従来、この脱酸素処理としては、化学的処
理或いは物理的処理が実施されており、そのうち、化学
的処理法としては例えばヒドラジン(N2 4 )、亜硫
酸ナトリウム(Na2 SO3 )又は糖類などの脱酸素剤
をボイラ給水に添加する方法が広く採用されてきた。
【0004】しかしながら、上記従来の脱酸素剤のう
ち、ヒドラジンは安全性への疑いがあり、その取り扱い
が問題視されている。
【0005】亜硫酸ナトリウムは酸素との反応が速すぎ
るため、ボイラ給水に添加する前に、これを溶解タンク
内で水に溶解して貯蔵している間に、空気中の酸素と反
応して有機成分濃度が低下し、このため十分な溶存酸素
の除去効果を得られない場合がある。しかも、亜硫酸ナ
トリウムで処理したボイラ給水には、亜硫酸ナトリウム
と酸素の反応生成物の硫酸イオンが存在するため、ボイ
ラシステムの腐食やスケール付着が起こりやすくなると
いう問題もある。
【0006】また、糖類はボイラ水中の残留濃度を測定
するのが困難であるため、添加量を過不足なく調整する
のが難しい上に、蒸気に着臭するという欠点を有してい
る。
【0007】このようなことから、これらの脱酸素剤に
替わる脱酸素剤として、本発明者は先に1−アミノピロ
リジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン等のN−置
換アミノ基を有する複素環式化合物を提案した。これら
のN−置換アミノ基を有する複素環式化合物は、ボイラ
給水に添加されると、ボイラ給水中の溶存酸素と反応し
て優れた脱酸素効果を発揮し、ボイラシステムの防食に
優れた効果を示す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ボイラ給水の処理分野
においては、脱酸素剤によるより一層の脱酸素作用の向
上が要求されている。
【0009】また、一液製剤で脱酸素作用とスケール防
止作用が得られるならば、水処理作業のみならず、薬剤
の管理等のすべての作業は著しく軽減される。
【0010】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あって、N−置換アミノ基を有する複素環式化合物によ
る防食効果をより一層高めると共に、一液製剤で優れた
防食作用とスケール防止作用とを発揮するボイラ水処理
薬剤を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のボイラ水処理薬
剤は、N−置換アミノ基を有する複素環式化合物或いは
その塩と、アルカリ剤及び/又は水溶性高分子とを含有
することを特徴とする。
【0012】N−置換アミノ基を有する複素環式化合物
又はその塩は、水温が低い場合、中性条件においては脱
酸素反応が遅いが、アルカリ性の条件下においては脱酸
素反応が速くなる特性を有している。従って、アルカリ
剤を併用することにより、低温の給水配管においてもよ
り優れた脱酸素効果を発揮するようになる。その結果、
給水ラインにおける防食効果がより一層高まると共に、
ボイラ内に持ち込まれる鉄が減少する。給水から持ち込
まれる鉄分やボイラ缶内から溶出する鉄分は、酸化鉄ス
ラッジとなって伝熱面に付着し、酸素濃淡電池等を生じ
ることにより腐食の原因となるが、給水ラインの防食効
果が高まることによりこのような2次的な腐食をも低減
することができる。
【0013】また、水溶性高分子を併用することによ
り、そのスラッジ分散作用によって酸化鉄スラッジの付
着による腐食が低減される。更に、万一軟化器やイオン
交換装置から硬度成分がリークした際でも伝熱面へのス
ケールの付着を防止できる。
【0014】更に、中和性アミンを併用することによ
り、蒸気凝縮水のpH値が中性ないしアルカリ性に保持
されることになるため、蒸気凝集水の配管系統(即ち蒸
気ドレン系)の腐食が抑制される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0016】本発明で用いられるN−置換アミノ基を有
する複素環式化合物としては、好ましくは、1−アミノ
ピロリジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、1−
アミノピペリジン、1−アミノホモピペリジン、1,4
−ジアミノピペラジン、N−アミノモルホリン、モルホ
リノビグアニド等が挙げられ、これらの複素環式化合物
の塩としては、例えば、これらの複素環式化合物と、コ
ハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸、グリコ
ール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の脂肪族
カルボン酸、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸等との
水溶性塩などが挙げられるが、特にこれらに限定される
ものではない。これらの複素環式化合物又はその塩は、
それぞれ単独で用いてもよく、また、2種類以上を適宜
に混合して用いても良い。
【0017】本発明で用いられるアルカリ剤としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム等が挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。これらのアルカリ剤は、それぞれ単独で用
いてもよく、また、2種類以上を適宜に混合して用いて
も良い。
【0018】また、本発明で用いられる水溶性高分子と
しては、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメタク
リル酸、アクリル酸とアクリルアミドとの共重合体、ア
クリル酸とヒドロキシアリロキシプロパンスルホン酸と
の共重合体、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸との共重合体或いはこれらの塩
などが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。これらの水溶性高分子は、それぞれ単独で用いても
よく、また、2種類以上を適宜に混合して用いても良
い。
【0019】更に、本発明で用いられる中和性アミンと
しては、ボイラ水及び蒸気凝縮水を中性ないしアルカリ
性にする能力を備えているものであれば良く特に制限は
ないが、例えば、シクロヘキシルアミン、2−アミノ−
2−メチル−1−プロパノール、モノエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、モルホリン、モノイソプロパ
ノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエ
タノールアミン、ジメチルプロパノールアミン、ジメチ
ルプロピルアミン等が挙げられる。これらの中和性アミ
ンは、それぞれ単独で用いてもよく、また、2種類以上
を適宜に混合して用いても良い。
【0020】本発明のボイラ水処理薬剤は、上記したN
−置換アミノ基を有する複素環式化合物又はその塩と、
アルカリ剤及び/又は水溶性高分子と、更に必要に応じ
て中和性アミンとを混合することによって調製すること
ができるが、これらを別々に注入するようにしても良
い。
【0021】本発明のボイラ水処理薬剤の添加濃度は、
処理対象とするボイラシステムのボイラ給水中の溶存酸
素濃度や他の水質条件によって適宜変化させることがで
きるが、通常、ボイラ給水1Lに対し、N−置換アミノ
基を有する複素環式化合物又はその塩、アルカリ剤、水
溶性高分子が、それぞれ、0.001〜1000mg、
好ましくは0.01〜300mg、さらに好ましくは
0.02〜100mgとなるような添加量とするのが好
ましい。
【0022】特にアルカリ剤はボイラの種類によっても
異なるが系内のpHが8〜12程度となるように添加す
るのが好ましい。
【0023】また、中和性アミンを併用する場合、その
添加濃度はボイラ給水1Lに対し、0.01〜500m
g,特に0.1〜100mgであることが好ましい。
【0024】特に、本発明のボイラ水処理薬剤のN−置
換アミノ基を有する複素環式化合物又はその塩とアルカ
リ剤及び/又は水溶性高分子との比率は、重量比で次の
ような割合とするのが好ましい。
【0025】 N−置換アミノ基を有する複素環式化
合物又はその塩とアルカリ剤とを併用する場合 N−置換アミノ基を有する複素環式化合物又はその塩:
アルカリ剤=1:0.01〜20 N−置換アミノ基を有する複素環式化合物又はその
塩と水溶性高分子とを併用する場合 N−置換アミノ基を有する複素環式化合物又はその塩:
水溶性高分子=1:0.01〜20 N−置換アミノ基を有する複素環式化合物又はその
塩とアルカリ剤と水溶性高分子とを併用する場合 N−置換アミノ基を有する複素環式化合物又はその塩:
アルカリ剤:水溶性高分子=1::0.01〜20:
0.01〜20 更に中和性アミンを併用する場合、N−置換アミノ基を
有する複素環式化合物又はその塩:中和性アミン=
1::0.01〜20(重量比)であることが好まし
い。
【0026】なお、本発明のボイラ水処理薬剤は、上
記、N−置換アミノ基を有する複素環式化合物又はその
塩と、アルカリ剤及び/又は水溶性高分子と、必要に応
じて併用する中和性アミンの他に、更に場合により、ヒ
ドラジン、亜硫酸ナトリウム、糖類、コハク酸、グルコ
ン酸、前記中和性アミン以外のアミン類等の他の公知の
脱酸素剤又は腐食抑制剤、更には、既知の分散剤、キレ
ート剤、スケール抑制剤、或いはこれらの混合物が配合
されていても良い。
【0027】本発明のボイラ水処理薬剤は、低圧、中圧
又は高圧の各種ボイラシステムに有効に使用することが
でき、ボイラ圧力やボイラ形式、給水種等によって何ら
制約を受けることはない。
【0028】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
より具体的に説明する。
【0029】実施例1〜5、比較例1 純水1Lにアルカリ剤として水酸化ナトリウムを加えて
各々pH8.0、9.0、10.0、11.0、12.
0に調整し、試験液とした。これを、60℃に保持され
た恒温水槽中で1時間撹拌し、空気中の酸素により飽和
させ、溶存酸素濃度を溶存酸素計(オービスフェア製、
MOCA3600)を用いて測定した。ここにN−置換
アミノ基を有する複素環式化合物として1−アミノピロ
リジン(1−AP)を100mg添加して十分に撹拌し
た後、この溶液を200mLのフランビンに注ぎ、空隙
のないように密栓して60℃の恒温水槽中に戻し、20
分間反応させた。20分後にフランビンを恒温水槽から
取り出し、溶液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素計を用い
て測定した。1−アミノピロリジンを添加する直前の溶
存酸素濃度に対する添加後の溶存酸素濃度の割合から、
各試験液中の溶存酸素残留率を算出した(実施例1〜
5)。これらの操作は窒素雰囲気中で、手早く行った。
【0030】比較のため、水酸化ナトリウムを添加せ
ず、pH6.8の試験液についても同様に試験を行った
(比較例1)。
【0031】この試験の結果を表1及び図1に示した。
【0032】これらの結果より、N−置換アミノ基を有
する複素環式化合物である1−アミノピロリジンとアル
カリ剤とを併用することによって、脱酸素効果が著しく
向上することが明らかである。
【0033】
【表1】
【0034】実施例6〜8、比較例2,3 40℃において空気中の酸素で飽和させた厚木市水の軟
化水にN−置換アミノ基を有する複素環式化合物として
1−アミノピロリジンを30mg添加し、これを容量5
Lの実験用電気ボイラに給水し、下記の条件で運転して
蒸気を発生させた。運転時間は240時間とした。
【0035】 給水ライン及び電気ボイラの缶内並びに蒸気ドレン系に
は予め、長さ50mm、幅15mm、厚さ1mmのSS
400製試験片を設置しておいた。このときの試験片の
腐食量を測定し、腐食速度を求め、結果を表2に示し
た。同時にボイラ缶内に設置した試験片に付着した酸化
鉄に含まれる鉄の量(付着鉄量)を測定し、結果を表2
に示した(比較例2)。
【0036】次に、表2に示した薬剤成分をそれぞれ表
2に示す濃度となるように、前記した軟化水に溶解させ
た後定量ポンプを用いてボイラに給水した。
【0037】各種薬剤を添加した軟化水を用いて発生さ
せた蒸気の凝縮水に関し、上記と同様の条件で試験を行
って試験片の腐食速度を算出すると共に、付着鉄量を調
べ、結果を表2に示した(実施例6〜8、比較例3)。
【0038】表2より、1−アミノピロリジンとアルカ
リ剤及び/又は水溶性高分子を併用することにより、更
に中和性アミンを併用することにより、良好な防食効果
とスケール防止効果が得られることが明らかである。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、一
液製剤で優れた防食作用とスケール防止作用を兼ね備え
たボイラ水処理剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜5及び比較例1の結果を示すグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23F 11/14 101 C23F 11/14 101 14/02 14/02 A F28G 9/00 F28G 9/00 N

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−置換アミノ基を有する複素環式化合
    物或いはその塩と、アルカリ剤及び/又は水溶性高分子
    とを含有することを特徴とするボイラ水処理薬剤。
  2. 【請求項2】 請求項1において、更に、中和性アミン
    を含有することを特徴とするボイラ水処理薬剤。
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