JPH11116553A - ジアゾニウム塩及びそれを用いた感熱記録材料 - Google Patents

ジアゾニウム塩及びそれを用いた感熱記録材料

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JPH11116553A
JPH11116553A JP9274618A JP27461897A JPH11116553A JP H11116553 A JPH11116553 A JP H11116553A JP 9274618 A JP9274618 A JP 9274618A JP 27461897 A JP27461897 A JP 27461897A JP H11116553 A JPH11116553 A JP H11116553A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 極大吸収波長(λmax )が400nmを
超える新規なジアゾニウム塩及び該ジアゾニウム塩を発
色成分とする、400nmより長波長の可視光線の光源
によって定着し得る感熱記録材料を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表されるジアゾニウ
ム塩。なお、式中、R1〜R4 は、それぞれ独立に、水
素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキ
シカルボニル基等を表し、R5 〜R7 は、水素原子、ア
ルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、スルホニル基、
アシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基などを表
し、R8 〜R11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、ハロゲン基等を表す。X- は陰イオンを表す。この
ジアゾニウム塩は、カップリング成分とともに感熱記録
材料の発色成分として用いられる。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、400nmより長
波長の光源で定着可能な新規なジアゾニウム塩及び、該
ジアゾニウム塩とカプラーを発色成分として用いる感光
感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ジアゾニウム塩は非常に化学的活性の高
い化合物であり、フェノール誘導体や活性メチレン基を
有する、所謂カップリング成分と呼ばれる化合物と反応
して容易にアゾ染料を形成すると共に、感光性をも有
し、光照射によって分解し、その活性を失う。そこで、
ジアゾニウム塩は、ジアゾコピーに代表される光記録材
料として古くから利用されている(日本写真学会編「写
真工学の基礎−非銀塩写真編−」コロナ社(1982)
P89〜P117、P182〜P201参照)。
【0003】更に、光によって分解し活性を失う性質を
利用して、最近では画像の定着が要求される記録材料に
も応用され、代表的なものとして、ジアゾニウム塩とカ
ップリング成分を含む記録層を設けた記録材料を画像信
号に従って加熱して反応させて画像を形成させた後、光
照射して画像を定着する、所謂光定着型感熱記録材料が
提案されている(佐藤弘次ら 画像電子学会誌 第11
巻 第4号(1982)P290−296など)。
【0004】ジアゾニウム塩を発色要素として用いたこ
れらの記録材料は、光定着を効率よく行うため、定着工
程で波長360nm前後の紫外線を照射することが一般
的であった。紫外線は、特殊な光源を必要とし、さら
に、例えば、目に対する影響が懸念されるなどの問題も
あり、400nmより長波長の可視光線の光源により効
率よく定着し得るジアゾニウム塩が求められていた。
【0005】これまでに400nmより長波の光源で定
着可能なジアゾニウム塩としていくつかの骨格が提案さ
れている。例えば「Photosensitive D
iazo Componndsand thire u
ses」(1964 The Focal Press
London and New York)P57−8
6 や「J,Int,Rec.Mater」(199
0,5,p383−395)に詳しい。これらの文献の
記載に従えば、2−アルコキシ−4−アミノベンゼンジ
アゾニウム塩の極大吸収波長(λmax )は400nmを
超えるものがないことが示されており、実際、特許にお
いてもこの骨格のジアゾニウム塩を光分解するには36
5nm付近に発光特性(揮線)をもつランプが用いられ
ている。これらの具体例は特開平1−80588、特開
平4−59288、特開平6−328853、及び本発
明者らが先に出願した特願平7−121208などに記
載されている。この骨格で、極大吸収波長の長波化を行
うためには、4位のアミノ基のo位(例えば5位)にア
ルコキシ基などの置換基を導入する方法が知られている
が、その他の方法についてはこれまてに報告例がない。
【0006】以上述べたように、公知の骨格を有するジ
アゾニウム塩では、極大吸収波長(λmax )は400n
mを超えるもの、即ち、波長400nm以上の可視光の
によって効率よく定着しうるジアゾニウム塩は未だ見い
だされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、極大
吸収波長(λmax )が400nmを超える新規なジアゾ
ニウム塩及び該ジアゾニウム塩を発色成分とする、40
0nmより長波長の可視光線の光源によって定着し得る
感熱記録材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このジア
ゾニウム塩における4位のアミノ基種とジアゾニウム塩
の極大吸収波長の関係について検討を加えたところ、4
位のアミノ基として下記の基を導入した場合に特異的に
長波化することを見出し、本発明に至った。
【0009】
【化3】
【0010】即ち、本発明の新規なジアゾニウム塩は、
下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
【0011】
【化4】
【0012】式中、R1 〜R4 は、それぞれ独立に、水
素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキ
シカルボニル基、カルバモイル基を表し、R5 〜R
7 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコ
キシ基、ハロゲン基、スルホニル基、アシル基、アルコ
キシカルボニル基、シアノ基、アシルアミノ基、アリー
ル基を表し、R8 〜R11は、それぞれ独立に、水素原
子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、アシル
基、アシルアミノ基を表す。X- は陰イオンを表す。
【0013】また、本発明の請求項2に記載の感光感熱
記録材料は、支持体上に、ジアゾニウム塩及びカップリ
ング成分を含む感熱記録層を設けた感熱記録材料であっ
て、該ジアゾニウム塩が、前記一般式(1)で表される
化合物であり、且つ、該ジアゾニウム塩がマイクロカプ
セルに含有されていることを特徴とする。本発明におい
ては、カップリング成分が下記一般式(2)で表される
化合物が好ましい。
【0014】
【化5】
【0015】式中、E1 、E2 はそれぞれ独立に電子吸
引性基を表す。
【0016】更に、ジアゾニウム塩を含有するマイクロ
カプセルのカプセル壁はポリウレタンおよび/またはポ
リウレアを構成成分として含むカプセル壁であることが
より好ましい。
【0017】前記一般式(1)で表されるジアゾ化合物
は極大吸収波長(λmax )を400nmより長波長側に
有する新規化合物であり、このジアゾ化合物を用いて得
られる感光感熱記録材料は、400nmより長波の光源
により効率よく定着することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のジアゾニウム塩は、前記一般式(1)で
表される。このようなジアゾ化合物は、4位のアミノ基
を下記の如き従来の構造(a)から、構造(b)のよう
に変えたことで、従来の構造よりλmax が大幅に長波側
にシフトすることがわかった。
【0019】
【化6】
【0020】以下に、前記一般式(1)で表される化合
物の構造について詳細に説明する。前記一般式(1)に
おいて、R1 〜R4 は同一でも異なっていてもよく、水
素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキ
シカルボニル基、カルバモイル基を表すが、なかでも、
水素原子、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子
数6〜10のアリール基、炭素原子数1〜10のアシル
基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭
素原子数3〜20のカルバモイル基が好ましく、特に、
水素原子、炭素数原子数1〜10のアルキル基、フェニ
ル基、炭素数原子数2〜15のアルコキシカルボニル
基、炭素数原子数3〜17のカルバモイル基、が好まし
い。R1 〜R4 としては、具体的には、例えば、下記の
構造を挙げることができる。
【0021】
【化7】
【0022】また、本発明のジアゾニウム塩のうち、窒
素原子を含む複素環構造で、R1 〜R4 が関与する部分
構造としては次のものを好ましく例示することができ
る。
【0023】
【化8】
【0024】前記一般式(1)において、R5 〜R7
同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、
アルコキシ基、ハロゲン基、スルホニル基、アシル基、
アルコキシカルボニル基、シアノ基、アシルアミノ基、
アリール基を表すが、R5 〜R7 としては、水素原子、
炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜10
のアリール基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、
F、Cl、炭素原子数1〜18のアルキルスルホニル
基、炭素原子数6〜15のアリールスルホニル基、炭素
原子数1〜10のアシル基、炭素原子数2〜20のアル
コキシカルボニル基、CN、炭素原子数1〜20のアシ
ルアミノ基が好ましく、特に、水素原子、炭素数原子数
1〜8のアルキル基、フェニル基、炭素原子数1〜14
のアルコキシ基、F、Cl、炭素原子数1〜12のアル
キルスルホニル基、フェニルスルホニル基、炭素原子数
1〜6のアシル基、炭素原子数2〜13のアルコキシカ
ルボニル基、炭素原子数1〜10のアシルアミノ基が好
ましい。具体的には、R5 〜R7 として下記の構造で表
わされるものが挙げられる。
【0025】
【化9】
【0026】R5 〜R7 のうち、置換位置としてはジア
ゾニオ基のo位に置換基を有している場合が好ましい。
【0027】前記一般式(1)において、R8 〜R11
同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、
アルコキシ基、ハロゲン基、アシル基、アシルアミノ基
を表すが、R8 〜R11のうち、水素原子、炭素原子数1
〜16のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ
基、Cl、炭素原子数1〜10のアシル基、炭素原子数
1〜20のアシルアミノ基が好ましく、特に、水素原
子、炭炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1
〜16のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のアシル基、
炭素原子数1〜10のアシルアミノ基が好ましい。具体
的には、R8 〜R11として下記の構造で表わされるもの
が挙げられる。
【0028】
【化10】
【0029】また、本発明のジアゾニウム塩のうち、窒
素原子を含む複素環構造で、R8 〜R11が関与する部分
構造としては次のものを好ましく例示することができ
る。
【0030】
【化11】
【0031】また、前記一般式(1)中、X- で表わさ
れる陰イオンは、無機陰イオンとしてはヘキサフルオロ
リン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオ
ン、硫酸イオンが好ましく、ヘキサフルオロリン酸イオ
ン、ホウフッ化水素酸イオンが特に好ましい。有機陰イ
オンとしてはポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、
ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、テトラフェニ
ルホウ酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スル
ホン酸イオンが好ましい。
【0032】以下に、前記一般式(1)で表されるジア
ゾニウム塩化合物の具体例を挙げるが、これに限定され
るものではない。
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】
【化16】
【0038】本発明の感光感熱記録材料において、一般
式(1)で表されるジアゾニウム塩は単独で用いてもよ
いし、2種以上を併用することも出来る。さらに色相調
整等の諸目的に応じて、一般式(1)で表されるジアゾ
ニウム塩と既存のジアゾニウム塩を併用してもよい。既
存のジアゾニウム塩については、特公平5−33676
号、特願平8−224252号、特開平4−59287
号、特開平8−156417号、特開平1−80588
号、特開平4−59288号、特開平6−328853
号、特願平7−121208号等に記載されている。
【0039】本発明の前記一般式(1)で表されるジア
ゾニウム塩は既知の方法で製造することが可能である。
すなわち、対応するアニリンを酸性溶媒中、亜硝酸ナト
リウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等を用いて
ジアゾ化することにより得られる。
【0040】本発明のジアゾニウム塩の安定化のために
塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズ等を用いて錯化合
物を形成させてジアゾニウム塩の安定化を行なうことも
できる。これらのジアゾニウム塩は単独で用いてもよい
し、2種以上を併用してもよい。
【0041】本発明において使用できるカップリング成
分としては、塩基性雰囲気および/または中性雰囲気で
ジアゾニウム塩とカップリングして色素を形成するもの
であればいずれの化合物も可能である。ハロゲン化銀写
真感光材料用のいわゆる4当量カプラーはすべてカップ
リング成分として使用可能である。これらは目的とする
色相に応じて選択することが可能である。
【0042】例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を
有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導
体、ナフトール誘導体などがあり、具体例として下記の
ものが挙げられ本発明の目的に合致する範囲で使用され
る。
【0043】本発明の感熱記録材料において使用するカ
ップリング成分としては、前記一般式(2)で表される
化合物が、特に、好ましい。次に、一般式(2)で表さ
れるカップリング成分について詳細に述べる。式中
1 、E2 で表される電子吸引性基とは、Hammet
tのσP 値が正である置換基を意味し、これらは同一で
あっても、異なっていても良く、アシル基、アルコキシ
カルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ
環基、ホスホノ基等が好ましい。アセチル基、プロピオ
ニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリクロロ
アセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシク
ロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカ
ルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル
基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイ
ル基等のアシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカ
ルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−
メトキシフェノキシカルボニル基等のオキシカルボニル
基、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル
基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカ
ルバモイル基、N−〔2,4−ビス(ペンチルオキシ)
フェニル〕カルバモイル基、N−〔2,4−ビス(オク
チルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、モルホリノカ
ルボニル基等のカルバモイル基、メタンスルホニル基、
ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアル
キルスルホニル基またはアリールスルホニル基、ジエチ
ルホスホノ基等のホスホノ基、ベンゾオキサゾール−2
−イル基、ベンゾチフプールー2−イル基、3,4−ジ
ヒドロキナヅリンー4−オンー2−イル基、3,4一ジ
ヒドロキナゾリンー4一スルホンー2一イル基等の複素
環基、ニトロ基、イミノ基、シアノ基が好ましい。
【0044】また、E1 、E2 で表される電子吸引性基
は、両者が結合して環を形成してもよい。E1 、E2
形成される環としては5ないし6員の炭素環あるいは複
素環が好ましい。
【0045】本発明において使用できるカップリング成
分の具体例を挙げると、レゾルシン、フロログルシン、
2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキ
シナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロ
キシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−
ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2
−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2
−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプ
ロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホ
ン酸−2−エチルヘキシルオキジプロピルアミド、2−
ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘ
キシルアミト、5−アセトアミド−1−ナフトール、1
−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−
ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセト
アミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、
1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3
−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキ
シ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−
3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−l,3−
シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオ
ン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−
1,3−シクロへキサンジオン、5−フェニル−4−メ
トキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5
−(2,5−ジーn−オクチルオキシフェニル)−1,
3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシ
ルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビ
ツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オタタデシル
バルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−
n−オクチルオキジフェニル)バルビツール酸、N,
N’−ビス(オタタデシルオキシカルボニルメチル)バ
ルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾ
ロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−
アニリノ−5−ビラゾロン、1−(2,4,6−トリク
ロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、
6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−
エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベ
ンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピ
バロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルア
セトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセト
アニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセ
トアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルフ
ァモイル)−1−ビバロイルアセトアミドベンゼン、1
−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ
−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリ
ジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3
−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジ
ヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオ
キシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピ
ラゾール等がある。カップリング成分の詳細について
は、特開平4−201483号、特開平7−22336
7号、特開平7−223368号、特開平7−3236
60号、特開平7−125446号、特開平7−966
71号、特開平9−156229号、特開平9−216
468号、特開平9−216469号公報等に記載され
ている他、本願出願人が先に提出した特願平8−307
99号、特願平8−132394号、特願平8−358
755号、特願平8−358756号、特願平9−69
990号等も参照できる。
【0046】以下に、本発明の感熱記録材料に好適に用
い得る一般式(2)で表されるカップリング成分の具体
例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0047】
【化17】
【0048】
【化18】
【0049】
【化19】
【0050】
【化20】
【0051】
【化21】
【0052】本発明の感熱記録材料は、その使用前の生
保存性を良好とするために、ジアゾニウム塩をマイクロ
カプセルに内包させる。その形成方法は既に公知の方法
を用いることができる。カプセル壁を形成する高分子物
質は常温では不透過性であり、加熱時に透過性となるこ
とが必要であり、特にガラス転移温度が60〜200℃
のものが好ましい。これらの例として、ポリウレタン、
ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、尿素・ホルム
アルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレ
ン−メタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート
共重合体およびこれらの混合系をあげることができる。
【0053】マイクロカプセル形成法としては、界面重
合法および内部重合法が適している。カプセル形成方法
の詳細およびリアクタントの具体例については、米国特
許第3,726,804号、同第3,796,669号
等の明納言に記載がある。例えば、ポリウレア、ポリウ
レタンをカプセル壁材として用いる場合は、ポリイソシ
アネートおよびそれと反応してカプセル壁を形成する第
2物質(例えばポリオール、ポリアミン)を水性媒体ま
たはカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれ
らを乳化分散し次に加温することにより油滴界面で高分
子形成反応を起こしマイクロカプセル壁を形成する。な
お上記第2物質の添加を省略した場合もポリウレアが生
成する。本発明においては、マイクロカプセル壁を形成
する高分子物質は、ポリウレタンやポリウレアの中がら
選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。以下
に、本発明におけるジアゾニウム塩内包マイクロカプセ
ル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について
述べる。
【0054】まず、ジアゾニウム塩はカプセルの芯とな
る疎水性の有機溶媒に溶解または分散させる。この場合
の有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒
が好ましい。芯溶媒中には、更に、多価イソシアネート
が壁材として添加される(油相)。
【0055】一方、水相としては、ポリビニルアルコー
ル、ゼラチンなどの水溶性高分子を溶解した水溶液を用
意し、次いで前記油相を投入し、ボモジナイサー等の手
段により乳化分散を行う。このとき水溶性高分子は乳化
分散の安定化剤として作用する。乳化分散を更に安定に
行うために、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面
活性剤を添加してもよい。
【0056】多価イソシアネートの使用量は、マイクロ
カプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが
0.01〜0.3μmとなるように決定される。分散粒
子径は0.2〜10μm程度が一般的である。乳化分散
液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネー
トの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0057】水相中にポリオールを添加しておけば、多
価イソシアネートとポリオールが反応してポリウレタン
壁を形成することもできる。反応速度を速めるために反
応温度を高く保ち、あるいは適当な重合触媒を添加する
ことが好ましい。多価イソシアネート、ポリオール、反
応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリ
アミン等については成書に詳しい(岩日敬治 編 ポリ
ウレタンハンドブック日刊工業新聞社(1987))。
【0058】マイクロカプセル壁の原料として用いる多
価イソシアネート化合物としては3官能以上のイソシア
ネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシ
アネート化合物を併用してもよい。具体的にはキシレン
ジイソシアネートおよびその水添物、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびその
水添物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシア
ネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体
(ビューレットあるいはイソシヌレート)の他、トリメ
チロールプロパンなどのポリオールとキシリレンジイソ
シアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体と
して多官能としたもの、トリメチロールプロパンなどの
ポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イ
ソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等
の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を
導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン
縮合物などが挙げられる。特開昭62−212190号
公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317
694号公報、本願出願人が先に提出した特願平8−2
68721号等に記載の化合物が好ましい。
【0059】さらに、ポリオール又はポリアミンを、芯
となる疎水性溶媒中又は分散媒となる水溶性高分子溶液
中に添加しておき、マイクロカプセル壁の原料の一つと
して用いることもできる。これらのポリオール又はポリ
アミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリ
セリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミ
ン、ソルビトール、へキサメチレンジアミンなどが挙げ
られる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン
壁が形成される。
【0060】前記のジアゾニウム塩を溶解し、マイクロ
カプセルの芯を形成するときの疎水性有機溶媒として
は、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、具体
的には、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタ
ン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、
アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エス
テル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル
類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エ
ステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エ
ステル類などが挙げられる。これらは2種以上混合して
用いてもよい。
【0061】カプセル化しようとするジアゾニウム塩の
これらの溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いよう
とするジアゾニウム塩の溶解性の高い低沸点溶媒を補助
的に併用することもできる。具体的には、酢酸エチル、
酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレ
ンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、
アセトンなどが挙げられる。このため、ジアゾニウム塩
はこれら高沸点疎水性有機溶媒、低沸点補助溶媒に対す
る適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的に
は該溶剤に5%以上の溶解度を有していることが好まし
い。水に対する溶解度ば1%以下が好ましい。
【0062】このようにして調製されたカプセルの油相
を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子
は、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が
5%以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例として
は、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアク
リル酸アミドおよびその誘導体、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレ
ン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレ
イン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−ア
クリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、
カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼ
イン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン
酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0063】これらの水溶性高分子は、イソシアネート
化合物との反応性がないが、低いことが好ましく、たと
えばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有
するものは、予め変成するなどして反応性をなくしてお
くことが好ましい。また、界面活性剤を添加する場合に
は、界面活性剤の添加量は、油相の重量に対して0.1
%〜5%、特に0.5%、2%であることが好ましい。
【0064】乳化は、ホモジナイサー、マントンゴーリ
ー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミルなど、
公知の乳化装置を用いることができる。乳化後は、カプ
セル壁形成反応を促進させるために乳化物を30〜70
℃に加温することが行われる。また反応中はカプセル同
士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝
突確率を下げたり、充分な攪拌を行う等の必要がある。
【0065】また、反応中に改めて凝集防止用の分散物
を添加しても良い。重合反応の進行に伴って炭酸がスの
発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁
形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反
応させることにより、目的のジアゾニウム塩内包マイク
ロカプセルを得ることができる。
【0066】本発明に用いられるカップリング成分は、
塩基性物質、その他の発色助剤等とともに、サンドミル
等により水溶性高分子とともに固体分散して用いること
もできるが、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解し
た後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護
コロイドとして有する水相と混合し、乳化分散物として
用いても良い。乳化分散を容易にする観点から、界面活
性剤を用いることが好ましい。
【0067】この場合に使用される有機溶剤は、例え
ば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点
オイルの中から適宜選択することができる。これらの中
でもエステル類を使用することが、乳化分散物の乳化安
定性の観点がら好ましく、中でも、リン酸トリクレジル
が特に好ましい。上記のオイル同士、又は他のオイルと
の併用も可能である。
【0068】上記の有機溶剤に、更に低沸点の溶解助剤
として補助溶剤を加えることもできる。このような補助
溶剤として、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢
酸ブチル及びメチレンクロライド等を特に好ましいもの
として挙げることができる。場合により、高沸点オイル
を含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0069】これらの成分を含有する油相と混合する水
相に、保護コロイドとして含有させる水溶性高分子は、
公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分
子の中から適宜選択することができる。好ましい水溶性
高分子としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチ
ン、セルロース誘導体等を挙げることができる。
【0070】また、水相に含有させる界面活性剤は、ア
ニオン性またはノニオン性の界面活性剤の中から、上記
保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを
適宜選択して使用することができる。好ましい界面活性
剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アル
キル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリ
ウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることが
できる。
【0071】本発明においては、ジアゾニウム塩とカッ
プリング成分とのカップリング反応を促進する目的で有
機塩基を加えることもできる。これらの有機塩基は、単
独で用いても2種以上併用して用いることもできる。塩
基性物質としては、第3級アミン類、ピぺリジン類、ピ
ペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン
類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙
げられる。これらの化合物としては、特公昭52−46
806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭
57−169745号公報、特開昭60−94381号
公報、特開昭57−123086号公報、特開昭60−
49991号公報、特公平2−24916号公報、特公
平2−28479号公報、特開昭60−165288号
公報、特開昭57−185430号公報に記載のものを
使用できる。
【0072】これらの中でも、特に、N,N’−ビス
(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジ
ン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−
2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス
〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプ
ロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチ
オ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−
ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピ
ル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒ
ドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−
ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキ
シ〕プロピルオキシ)ベンゼンなどのピペラジン類、N
−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピ
ルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒ
ドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,8−ビス
(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロビルオキシ)
ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−
2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピ
ペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジ
ン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシル
フェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0073】本発明においては、ジアゾニウム塩1重量
部に対するカップリング成分及び塩基性物質の使用量
は、それぞれ0.1〜30重量部であることが好まし
い。
【0074】本発明においては、上記した有機塩基の他
にも、発色反応を促進させる目的で発色助剤を加えるこ
とができる。発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高
くする、もしくは発色温度を制御する物質があり、カッ
プリング成分、塩基性物質、もしくはジアゾニウム塩等
の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめ
る作用により、ジアゾニウム塩、塩基性物質、カップリ
ング成分等が反応しやすい状況を作るためのものであ
る。
【0075】本発明に用いられる発色助剤として、例え
ば低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画が行われるよう
に、発色層中にフェノール誘導体、ナフトール誘導体、
アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン
類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミ
ド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物、ヒド
ロキシ化合物等を加えることができる。
【0076】本発明の感熱記録材料においては、熱発色
面像の光及び熟に対する堅牢性を向上させ、または、定
着後の未印字部分の光による黄変を軽減する目的で、以
下に示す公知の酸化防止剤等を用いることが好ましい。
上記の酸化防止剤については、例えばヨーロッパ公開特
許第223739号公報、同第309401号公報、同
第309402号公報、同第310551号公報、同第
310552号公報、同第459416号公報、ドイツ
公開特許第3435443号公報、特開昭54−485
35号公報、同62−262047号公報、同63−1
13536号公報、同63−163351号公報、特開
平2−262654号公報、特開平2−71262号公
報、特開平3−121449号公報、特開平5−611
66号公報、特開平5−119449号公報、米国特許
第4814262号、米国特許第4980275号等に
記載されている。
【0077】さらに、本発明においては感熱記録材料や
感圧記録材料において既に用いられている公知の各種添
加剤を用いることも有効である。これらの各種添加剤の
具体例としては、特開昭60−107384号公報、同
60−107383号公報、同60−125470号公
報、同60−125471号公報、同60−12547
2号公報、同60−287485号公報、同60−28
7486号公報、同60−287487号公報、同60
−287488号公報、同61−160287号公報、
同61−185483号公報、同61−211079号
公報、同62−146678号公報、同62−1466
80号公報、同62−146679号公報、同62−2
82885号公報、同63−051174号公報、同6
3−89877号公報、同63−88380号公報、同
63−088381号公報、同63−203372号公
報、同63−224989号公報、同63−25128
2号公報、同63−267594号公報、同63−18
2484号公報、特開平1−239282号公報、同4
−291685号公報、同4−291684号公報、同
5−188687号公報、同5−188686号公報、
同5−110490号公報、同5−170361号公
報、特公昭48−043294号公報、同48−033
212号公報等に記載されてる化合物を挙げることがで
きる。
【0078】これらの酸化防止剤および各種添加剤の添
加重は、ジアゾニウム塩1重量部に対して0.05〜1
00重量部の割合であることが好ましく、特に0.2〜
30重量部であることが好ましい。このような公知の酸
化防止剤および各種添加剤はジアゾニウム塩と共にマイ
クロカプセル中に含有させて用いることも、あるいはカ
ップリング成分や塩基性物質、その他の発色助剤と共
に、固体分散物として、もしくは適当な乳化助剤と共に
乳化物にして用いることも、あるいはその両方の形態で
用いることもできる。また酸化防止剤および各種添加剤
を単独または複数併用することができるのはもちろんで
ある。また、保護層に添加または存在させることもでき
る。
【0079】これらの酸化防止剤および各種添加剤は同
一層に添加しなくてもよい。更にこれらの酸化防止剤お
よび各種添加剤を組み合わせて複数用いる場合には、ア
ニリン類、アルコキシベンゼン類、ヒンダードフェノー
ル類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、リ
ン化合物、硫黄化合物のように構造的に分類し、互いに
異なる構造のものを組み合わせてもよいし、同一のもの
を複数組み合わせることもできる。
【0080】本発明の感熱記録材料には、記録後の地肌
部の黄着色を軽減する目的で光重合性組成物等に用いら
れる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合
物)を加えることができる。遊離基発生剤としては、芳
香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエー
テル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキ
シムエステル類などが挙げられる。添加する量は、ジア
ゾニウム塩1重量部に対して、遊離基発生剤0.01〜
5重量部が好ましい。
【0081】また同様に黄着色を軽減ずる目的で、エチ
レン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、ビ
ニルモノマーと呼ぶ)を用いることができる。ビニルモ
ノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレ
ン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する
化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を
持つものである。これらの例として、不飽和カルボン酸
及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール
とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化
合物とのアミド等が挙げられる。ビニルモノマーはジア
ゾニウム塩1重量部に対して0.2〜20重量部の割合
で用いる。前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジア
ゾニウム塩と共にマイクロカプセル中に含有して用いる
こともできる。
【0082】本発明では以上の素材の他に酸安定剤とし
てクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロ
リン酸等を添加することができる。
【0083】本発明の感熱記録材料は、ジアゾニウム塩
を含有したマイクロカプセル、カップリング成分、有機
塩基、及びその他の添加物を含有した塗布液を調製し、
紙や合成樹脂フィルム等の支持体の上にバーコーティン
グ、ブレードコーティング、エアナイフコーティング、
グラビアコーティング、ロールコーティング、スプレー
コーティング、ディップコーティング、カーテンコーテ
ィング等の塗布方法により塗布乾燥して、固型分2.5
〜30g/m2 の感熱層を設けることが好ましい。本発
明の感熱記録材料においては、マイクロカプセル、カッ
プリング成分、塩基などが同一層に含まれていてもよい
が、別層に含まれるような積層型の構成をとることもで
きる。また、支持体の上に特開昭61−54980号明
細書等に記載されているような中間層を設けた後、感熱
層を塗布することもできる。
【0084】本発明の感熱記録材料において使用される
バインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテ
ックス類などを使用することができる。水溶性高分子化
合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビ
アゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合
体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルア
ルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カル
ボキシ変性ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン
変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル
酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等
及びこれらの変性物等が挙げられ、ラテックス類として
は、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸
メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマル
ジョン等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシエチル
セルロース、でんぷん誘導体、ゼラチン、ポリビニルア
ルコール誘導体、ポリアクリル酸アミド誘導体等が挙げ
られる。
【0085】本発明の感熱記録材料に使用できる顔料と
しては、有機、無機を問わず公知のものを使用すること
ができる。具体的には、カオリン、焼成カオリン、タル
ク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アル
ミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、
非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリ
カ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バ
リウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿
素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、
セルロースフィラー等が挙げられる。
【0086】本発明の感熱記録材料においてはその必要
に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電
剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその前駆
体など各種添加剤を使用することができる。
【0087】本発明の感熱記録材料には必要に応じて記
録層の表面に保護層を設けてもよい。保護層は必要に応
じて二層以上積層してもよい。保護層に用いる材料とし
ては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニ
ルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、
珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキ
シメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼ
イン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチ
レン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、
イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポ
リアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリ
スチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水
溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテ
ックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテック
ス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢
酸ビニルエマルジョン等のラテックス類が用いられる、
保護層の水溶性高分子化合物を架橋して、より一層保存
安定性を向上きせることもでき、その架橋剤としては公
知の架橋剤を使用することができる。具体的にはN−メ
チロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマ
リン等の水溶性初期絡合物、グリオキザール、グルタル
アルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼砂等の
無機系架橋剤、ポリアミドエピクロルヒドリンなどが挙
げられる。保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、
ワックス、界面活性剤などを使用することもできる。保
護層の塗布量は0.2〜5g/m2 が好ましく、さらに
は0.5〜2g/m2 が好ましい。またその膜厚は0.
2〜5μmが好ましく、特に0.5〜2μmが好まし
い。本発明の感熱記録材料に保護層を設ける場合、保護
層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有してもよ
い。
【0088】本発明の支持体としては、通常の感圧紙や
感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙などに用いられる紙
支持体はいずれも使用することができる。その他、酸性
紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネー
ト紙、合成紙、プラスチックフィルムなどを使用するこ
とができる。支持体のカールバランスを補正するため或
いは、裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バック
コート層を設けてもよく、また裏面に接着剤層を介して
剥離紙を組み合わせてラベルの形態にしてもよい。この
バックコート層は、上記保護層と同様の手段によって設
けることができる。
【0089】本発明の感熱記録材料の記録面にサーマル
ヘッド等で加熱すると、ポリウレアおよび/またはポリ
ウレタンのカプセル壁が軟化し、カプセル外に存在する
カップリング成分と塩基化合物がカプセル内に浸入して
発色する。発色後にジアゾニウム塩の吸収波長の光を照
射することにより、ジアゾニウム塩が分解し、カップリ
ング成分との反応性を失うため画像の定着が行なわれ
る。
【0090】定着光源としては、種々の蛍光灯、キセノ
ンランプ、水銀灯などが用いられ、この発光スペクトル
が感熱記録材料で用いたジアゾニウム塩の吸収スペクト
ルにほぼ一致していることが効率よく定着でき好まし
い。本発明の新規ジアゾニウム塩の極大吸収波長は40
0nmを超えるため、このジアゾ化合物を用いた本発明
の感熱記録材料は、400nm以上の長波長光源で定着
可能であり、発光中心波長が400〜500nmの定着
光源が特に好ましい。
【0091】本発明の感熱記録材料においては、互いに
発色色相の異なる感熱記録層を複数積層することによ
り、多色の感熱記録材料とすることができる。ここで、
積層する感熱記録層としては、光分解性のジアゾニウム
塩を含む感熱記録層が挙げられる。この多色の感熱記録
材料(感光感熱記録材料)については、特開平4−13
5787号公報、同4−144784号公報、同4−1
44785号公報、同4−194842号公報、同4−
247447号公報、同4−247448号公報、同4
−340540号公報、同4−340541号公報、同
5−34860号公報、特開平9−156229号公報
等に記載されている。層構成としては特に限定されるも
のではないが、特に感光波長が異なるジアゾニウム塩と
それぞれのジアゾニウム塩と熱時反応して異なった色相
に発色するカプラーとを組み合わせた感熱記録層を多層
に積層した多色感熱記録材料が好ましい。たとえば、支
持体側から、本発明に係る最大吸収波長が350nmよ
り短いジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応し
て呈色するカプラーとを含有する第1の感熱記録層(A
層)、極大吸収波長360nm±20nmであるジアゾ
ニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して呈色するカ
プラーを含有する第2の感熱記録層(B層)、極大吸収
波長400±20nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾ
ニウム塩と熱時反応して呈色するカプラーを含有する第
3の感熱記録層(C層)とするものである。この例にお
いて、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原
色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選んでお
けば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0092】フルカラー記録材料の場合の層構成は、イ
エロー、マゼンタ、シアンの各発色層はどのように積層
してもよいが、色再現性の点で、支持体側から、イエロ
ー、シアン、マゼンタまたはイエロー、マゼンタ、シア
ンの順に積層するのが好ましい。
【0093】この多色感熱記録材料の記録方法は、まず
第3の感熱記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジ
アゾニウム塩とカプラーとを発色させる。次に400±
20nmの光を照射してC層中に含まれている未反応の
ジアゾニウム塩を分解させたのち、第2の感熱記録層
(B層)が発色するに十分な熱を与え、該層に含まれて
いるジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。このと
きC層も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム
塩は分解しており、発色能力が失われているので発色し
ない。さらに360±20nmの光を照射してB層に含
まれているジアゾニウム塩を分解して、最後に第1の感
熱記録層(A層)が発色する十分な熱を与えて発色させ
る。このときC層、B層の感熱記録層も同時に強く加熱
されるが、すでにジアゾニウム塩は分解しており発色能
力が失われているので発色しない。本発明の感熱記録材
料は上記のような多色感熱記録材料とすることが好まし
い。
【0094】多色感熱記録材料とした場合、感熱記録層
相互の混色を防ぐため、感熱記録層間に中間層を設ける
こともできる。この中間層はゼラチン、フタル化ゼラチ
ン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなど
の水溶性高分子化合物からなり、適宜各種添加剤を含ん
でいてもよい。
【0095】支持体上に光定着型感熱記録層を有する多
色感熱記録材料の場合、必要によりさらにその上層に光
透過率調整層もしくは保護層、または光透過率調整層お
よび保護層を有することが望ましい。光透過率調整層に
ついては、特開平9−39395号公報、特開平9−3
9396号公報、特開平9−95487号公報等に記載
されている。
【0096】本発明において用い得る光透過率調整層
は、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を含有す
るものであり、定着に必要な領域の波長の光照射前は該
紫外線吸収剤の前駆体は紫外線吸収剤として機能しない
ので、光透過率調整層の光透過率が高く、光定着型感熱
記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に
透過させ、また、可視光線の透過率も高く、感熱記録層
の定着に影響を及ぼすことはない。
【0097】この紫外線吸収剤の前駆体は、光定着型感
熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照
射が終了した後、光または熱などの輻射線の照射により
構造変化がおこり、紫外線吸収剤として機能するように
なる。その後は、紫外線領域の波長の光は光透過率調整
層に生成した紫外線吸収剤によりその大部分が吸収さ
れ、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸
収効果はないので、可視光線の透過率は実質的に変わら
ず、形成された画像の外観に影響を及ぼすことはない。
【0098】光透過率調整層は光定着型感熱記録材料中
に少なくとも1層設けることができ、配置する位置とし
ては光定着型感熱記録層と保護層との間に形成するのが
最も好ましいが、必ずしもこれに限定されず、例えば、
光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。
【0099】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれらによって制限されるものではない。 [実施例1] (具体的例示化合物(1) の合成)インドリン5.96g
を、水素化ナトリウム(60重量%品)3gをN,N−
ジメチルホルムアミド50mlに分散させた溶液に添加
する。反応液を65℃で1時間攪拌した後、室温で、4
−クロロニトロベンゼン8.67gを添加する。発熱が
おさまった後、50℃で1時間攪拌する。反応混合物を
水にあけ、析出した結晶をろ過し、メタノールで洗浄し
た。このようにして得られた粗結晶を酢酸エチル−メタ
ノールで再結晶し、下記式で表される中間体Aを7.1
g得た。
【0100】
【化22】
【0101】前記中間体A5.0gを還元鉄7g、塩化
アンモニウム0.3g、水10ml、イソプロピルアル
コール50mlを内温80℃で攪拌した反応器に数回に
分けて添加した。内温80〜85℃で2時間攪拌した
後、反応液をセライトろ過し、セライトを酢酸エチルで
数回洗浄した。このようにして得た有機層に水を入れて
分液し、有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2
4 で乾燥濃縮し、下記式で表される中間体Bの粗生成
物を4.8g得た。
【0102】
【化23】
【0103】この中間体Bの粗生成物1.73gを濃塩
酸3.7gとメタノール40mlより調液した液に加
え、内温0℃付近に保った。内温5℃以下を保つように
NaNO2 0.51gの水溶液を滴下し、ジアゾ化を
行なった。0℃〜5℃でジアゾ液を30分間攪拌し、同
温で30分間攪拌し、同温でKPF6 を1.6g添加し
た。内温を30℃にして、30分間攪拌し、塩交換を行
なった。反応液を0℃に冷却し、得られた結晶をろ過、
水洗し、先にジアゾニウム塩の具体例として挙げた例示
化合物(1) を粗結晶として、2.28g得た。該粗結晶
をクロロホルムにより再結晶し、例示化合物(1) を2.
11g得た。例示化合物(1) はメタノール中の極大吸収
波長を432nmに示した。下記式で表される比較化合
物Cが同条件下で極大吸収波長を379nmに示すこと
を考慮すれば、本発明の例示化合物(1) は吸収特性が4
00nmより長波のランプで定着可能であることがわか
る。
【0104】
【化24】
【0105】[実施例2] (具体的例示化合物(8) の合成)出発物質として、実施
例1の4−クロロニトロベンゼン8.67gの代わり
に、4−クロロ−2−(2−エチルヘキシル)オキシニ
トロベンゼン15.7gを使用し、再結晶溶媒として酢
酸エチル−エタノールを使用した他は、実施例1と同様
にして下記式で表される中間体Dを得た。
【0106】
【化25】
【0107】この中間体Dに対して、実施例1のイソプ
ロピルアルコール50mlを75mlに換えた他は、実
施例1の中間体Aから中間体Bへの反応と同様にして下
記式で表される中間体Eを得た。
【0108】
【化26】
【0109】この中間体Eに対して、実施例1における
再結晶溶媒をクロロホルムに換えてクロロホルム−酢酸
エチルを使用した他は、実施例1と同様にしてジアゾ
化、塩交換を経て例示化合物(8) を得た。例示化合物
(8) はメタノール中の極大吸収波長を422nmに示し
た。下記式に表される比較化合物Fが同条件下で、極大
吸収波長を370nmに示すことを考慮すれば、本発明
の例示化合物(8) は吸収特性が400nmより長波のラ
ンプで定着可能であることがわかる。
【0110】
【化27】
【0111】(例示化合物(1) 及び(8) の評価)実施例
1、2で得られたジアゾニウム塩例示化合物(1) 及び
(8) と比較化合物C、Fのメタノール溶液を高圧水銀灯
で照射し、光分解試験を行なった。ジアゾニウム塩のメ
タノール溶液は各々0.04mmolの濃度となるよう
に調製した。高圧水銀灯としてウシオ製ランプ(UM−
102)を用い、400nmより短波領域の光を遮断す
る目的で、ランプにシャープカットフィルター(ケンコ
ー製、L−40)を用いて、光照射を行なった。
【0112】その結果、例示化合物(1) 及び(8) は速や
かに極大吸収波長の減衰が観察されたものの、比較化合
物C、Fは、ほとんど変化しなかった。このような簡易
テストにより、本発明の例示化合物(1) 及び(8) は40
0nmより長波のランプで定着可能なことがわかる。
【0113】[実施例3] (ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Aの調製)酢
酸エチル19部にジアゾニウム塩(先に実施例2で合成
した例示化合物(8))2.6部、トリクレジルホスフェ
ート12部を添加して均一に混合した。次いでこの混合
液に壁材としてタケネートD110N(武田薬品工業株
式会社製)7.6部を加え混合しI液を得た。次にフタ
ル化ゼラチンの8%水溶液46部、水17.5部、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ソーダの10%水溶液2.5部
の混合液に上記I液を添加しホモジナイザーを使用して
40℃、10000rpmで10分間乳化分散した。得
られた乳化物に水20部を加えて均一化した後、攪拌し
ながら40℃で3時間マイクロカプセル化反応をおこな
わせてジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Aを得
た。マイクロカプセルの平均粒径は0.7〜0.9μm
であった。
【0114】(カップリング成分乳化液Bの調製)酢酸
エチル10.5部にカップリング成分(先に好ましい具
体例として挙げた例示化合物B−13)3部、トリフェ
ニルグアニジン3部、トリクレジルホスフェート0.6
部、マレイン酸ジエチル0.3部を溶解しII液を得
た。次に石灰処理ゼラチンの15%水溶液49部、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ソーダの10%水溶液9.5
部、水35部を40℃で均一に混合した中にII液を添
加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rp
mで10分間乳化分散した。得られた乳化物を40℃で
2時間攪拌して酢酸エチルを除去後、水を添加して、カ
ップリング成分乳化液Bを得た。
【0115】(感熱記録層塗布液Cの調製)ジアゾニウ
ム塩含有マイクロカプセル液A3.6部、水3.3部、
カップリング成分乳化液B9.5部を混合し、感熱記録
層塗布液Cを得た。 (保護層塗布液Dの調製)イタコン酸変性ポリビニルア
ルコール(商品名:KL−318、クラレ株式会社製)
6%水溶液100部とエポキシ変性ポリアミド(商品
名:FL−71、東邦化学株式会社製)30%の分散液
10部とを混合した液に、ステアリン酸亜鉛40%の分
散液(商品名:ハイドリンZ、中京油脂株式会社製)1
5部を均一に混合し、保護層塗布液Dを得た。 (塗布)上質紙にポリエチレンをラミネートした印画紙
用支持体上にワイヤーバーで感熱記録層塗布液C、保護
層塗布液Dの順に順次塗布したのち、50℃での乾燥を
行ない、目的の感熱記録材料を得た。感熱記録層及び保
護層の固形分としての塗布量は各々8.0g/m2
1.2g/m2 であった。
【0116】(発色・定着試験)京セラ株式会社製サー
マルヘッド(KST型)を用い、単位面積あたりの記録
エネルギーが50mj/mm2 となるようにサーマルヘ
ッドに対する印加電力およびパルス幅を決め、感熱記録
材料に熱印画し画像を得た。次いで、発光中心波長42
0nm、出力40Wの光源に10秒間暴露して光定着を
行った。発色濃度および地肌濃度をX−rite濃度測
定計で測定した。次に、印加電力の加わらなかった地肌
部に対して熱スタンプを用いて150℃で20秒加熱し
た。ジアゾニウム塩の定着が行なわれているならば、熱
スタンプによる発色が認められないが、定着が不十分の
場合、発色が認められる。このようにジアゾニウム塩の
定着性を試験することができる。熱スタンプで加熱した
後の地肌濃度をX−rite濃度測定計で測定した。結
果を下記表1に示した。
【0117】[実施例4]カップリング成分として例示
化合物B−13に換えて、例示化合物B−11を用いた
他は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価
した。
【0118】[実施例5]カップリング成分として例示
化合物B−13に換えて、例示化合物B−25を用いた
他は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価
した。
【0119】[実施例6]ジアゾニウム塩として例示化
合物(8) に換えて例示化合物(9) を用いた他は実施例1
と同様にして感熱記録材料を作製し、評価した。
【0120】[実施例7]ジアゾニウム塩として例示化
合物(8) に換えて例示化合物(15)を用いた他は実施例1
と同様にして感熱記録材料を作製し、評価した。
【0121】[実施例8]ジアゾニウム塩として例示化
合物(8) に換えて例示化合物(19)を用いた他は実施例1
と同様にして感熱記録材料を作製し、評価した。
【0122】[比較例1]ジアゾニウム塩として例示化
合物(8) に換えて前記ジアゾニウム塩比較化合物Fを用
いた他は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、
評価した。
【0123】表中の(M)(Y)は、X−riteの測
定ポジションを示す。(M)はマゼンタ、(Y)はイエ
ローの光学濃度を反射で得ていることになる。
【0124】
【表1】
【0125】前記表1に明らかなように、実施例3〜8
の感熱記録材料は、画像部の発色濃度が充分であり、地
肌(非画像部)濃度は(Y)、(M)ともに小さいが、
比較例1の地肌濃度は特に(Y)が大きいことがわか
る。これはジアゾニウム塩比較化合物Fが定着されてお
らず、残存していることを示している。このことは、熱
スタンプによる後加熱を経た地肌濃度の値が比較例1で
大きく変化していることからも確認できる。
【0126】
【発明の効果】本発明の新規なジアゾニウム塩化合物
は、極大吸収波長が400nmより長波長側にあり、感
熱記録材料の発色成分として有用である。また、このジ
アゾニウム塩を用いた本発明の感熱記録材料は400n
mより長波長の可視光線の光源によって定着し得るとい
う優れた効果を示した。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるジアゾニウ
    ム塩。 【化1】 式中、R1 〜R4 は、それぞれ独立に、水素原子、アル
    キル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル
    基、カルバモイル基を表し、R5 〜R7 は、それぞれ独
    立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン
    基、スルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル
    基、シアノ基、アシルアミノ基、アリール基を表し、R
    8 〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、
    アルコキシ基、ハロゲン基、アシル基、アシルアミノ基
    を表す。X- は陰イオンを表す。
  2. 【請求項2】 支持体上に、ジアゾニウム塩及びカップ
    リング成分を含む感熱記録層を設けた感熱記録材料であ
    って、該ジアゾニウム塩が、前記一般式(1)で表され
    る化合物であり、且つ、該ジアゾニウム塩がマイクロカ
    プセルに含有されていることを特徴とする感熱記録材
    料。
  3. 【請求項3】 前記カップリング成分が下記一般式
    (2)で表される化合物であることを特徴とする請求項
    2に記載の感熱記録材料。 【化2】 (式中、E1 、E2 はそれぞれ独立に電子吸引性基を表
    す。E1 とE2 とが結合して環を形成してもよい。)
  4. 【請求項4】 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、
    ポリウレタンおよび/またはポリウレアを構成成分とし
    て含むカプセル壁であることを特徴とする請求項2又は
    3に記載の感熱記録材料。
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