JP4028044B2 - ジアゾニウム塩及びそれを用いた感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、400nmより長波長の光源で定着可能な新規なジアゾニウム塩及び、該ジアゾニウム塩とカプラーを発色成分として用いる感光感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジアゾニウム塩は非常に化学的活性の高い化合物であり、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する、所謂カップリング成分と呼ばれる化合物と反応して容易にアゾ染料を形成すると共に、感光性をも有し、光照射によって分解し、その活性を失う。そこで、ジアゾニウム塩は、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古くから利用されている(日本写真学会編「写真工学の基礎−非銀塩写真編−」コロナ社(1982)P89〜P117、P182〜P201参照)。
【0003】
更に、光によって分解し活性を失う性質を利用して、最近では画像の定着が要求される記録材料にも応用され、代表的なものとして、ジアゾニウム塩とカップリング成分を含む記録層を設けた記録材料を画像信号に従って加熱して反応させて画像を形成させた後、光照射して画像を定着する、所謂光定着型感熱記録材料が提案されている(佐藤弘次ら 画像電子学会誌 第11巻 第4号(1982)P290−296など)。
【0004】
ジアゾニウム塩を発色要素として用いたこれらの記録材料は、光定着を効率よく行うため、定着工程で波長360nm前後の紫外線を照射することが一般的であった。紫外線は、特殊な光源を必要とし、さらに、例えば、目に対する影響が懸念されるなどの問題もあり、400nmより長波長の可視光線の光源により効率よく定着し得るジアゾニウム塩が求められていた。
【0005】
これまでに400nmより長波の光源で定着可能なジアゾニウム塩としていくつかの骨格が提案されている。
例えば「Photosensitive Diazo Componndsand thire uses」(1964 The Focal Press London and New York)P57−86 や「J,Int,Rec.Mater」(1990,5,p383−395)に詳しい。
これらの文献の記載に従えば、2−アルコキシ−4−アミノベンゼンジアゾニウム塩の極大吸収波長(λmax )は400nmを超えるものがないことが示されており、実際、特許においてもこの骨格のジアゾニウム塩を光分解するには365nm付近に発光特性(揮線)をもつランプが用いられている。
これらの具体例は特開平1−80588、特開平4−59288、特開平6−328853、及び本発明者らが先に出願した特願平7−121208などに記載されている。
この骨格で、極大吸収波長の長波化を行うためには、4位のアミノ基のo位(例えば5位)にアルコキシ基などの置換基を導入する方法が知られているが、その他の方法についてはこれまてに報告例がない。
【0006】
以上述べたように、公知の骨格を有するジアゾニウム塩では、極大吸収波長(λmax )は400nmを超えるもの、即ち、波長400nm以上の可視光のによって効率よく定着しうるジアゾニウム塩は未だ見いだされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、極大吸収波長(λmax )が400nmを超える新規なジアゾニウム塩及び該ジアゾニウム塩を発色成分とする、400nmより長波長の可視光線の光源によって定着し得る感熱記録材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このジアゾニウム塩における4位のアミノ基種とジアゾニウム塩の極大吸収波長の関係について検討を加えたところ、4位のアミノ基として下記の基を導入した場合に特異的に長波化することを見出し、本発明に至った。
【0009】
【化4】
【0010】
即ち、本発明の新規なジアゾニウム塩は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
【0011】
【化5】
【0012】
式中、R1 〜R4 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を表し、R5 〜R7 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、スルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アシルアミノ基、アリール基を表し、R8 〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、アシル基、アシルアミノ基を表す。X- は陰イオンを表す。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の感光感熱記録材料は、支持体上に、ジアゾニウム塩及びカップリング成分を含む感熱記録層を設けた感熱記録材料であって、該ジアゾニウム塩が、下記一般式(1)で表される化合物であり、且つ、該ジアゾニウム塩がマイクロカプセルに含有されていることを特徴とする。
本発明においては、カップリング成分が下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
【0014】
【化6】
【0015】
式中、R 1 〜R 4 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を表し、R 5 〜R 7 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、スルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アシルアミノ基、アリール基を表し、R 8 〜R 11 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、アシル基、アシルアミノ基を表す。X - は陰イオンを表す。
【0016】
【化7】
【0017】
式中、E1 、E2 はそれぞれ独立に電子吸引性基を表す。
【0018】
更に、ジアゾニウム塩を含有するマイクロカプセルのカプセル壁はポリウレタンおよび/またはポリウレアを構成成分として含むカプセル壁であることがより好ましい。
【0019】
前記一般式(1)で表されるジアゾ化合物は極大吸収波長(λmax )を400nmより長波長側に有する新規化合物であり、このジアゾ化合物を用いて得られる感光感熱記録材料は、400nmより長波の光源により効率よく定着することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のジアゾニウム塩は、前記一般式(1)で表される。このようなジアゾ化合物は、4位のアミノ基を下記の如き従来の構造(a)から、構造(b)のように変えたことで、従来の構造よりλmax が大幅に長波側にシフトすることがわかった。
【0021】
【化8】
【0022】
以下に、前記一般式(1)で表される化合物の構造について詳細に説明する。前記一般式(1)において、R1 〜R4 は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を表すが、なかでも、水素原子、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数1〜10のアシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数3〜20のカルバモイル基が好ましく、特に、水素原子、炭素数原子数1〜10のアルキル基、フェニル基、炭素数原子数2〜15のアルコキシカルボニル基、炭素数原子数3〜17のカルバモイル基、が好ましい。
R1 〜R4 としては、具体的には、例えば、下記の構造を挙げることができる。
【0023】
【化9】
【0024】
また、本発明のジアゾニウム塩のうち、窒素原子を含む複素環構造で、R1 〜R4 が関与する部分構造としては次のものを好ましく例示することができる。
【0025】
【化10】
【0026】
前記一般式(1)において、R5 〜R7 は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、スルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アシルアミノ基、アリール基を表すが、R5 〜R7 としては、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、F、Cl、炭素原子数1〜18のアルキルスルホニル基、炭素原子数6〜15のアリールスルホニル基、炭素原子数1〜10のアシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、CN、炭素原子数1〜20のアシルアミノ基が好ましく、特に、水素原子、炭素数原子数1〜8のアルキル基、フェニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、F、Cl、炭素原子数1〜12のアルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、炭素原子数1〜6のアシル基、炭素原子数2〜13のアルコキシカルボニル基、炭素原子数1〜10のアシルアミノ基が好ましい。
具体的には、R5 〜R7 として下記の構造で表わされるものが挙げられる。
【0027】
【化11】
【0028】
R5 〜R7 のうち、置換位置としてはジアゾニオ基のo位に置換基を有している場合が好ましい。
【0029】
前記一般式(1)において、R8 〜R11は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、アシル基、アシルアミノ基を表すが、R8 〜R11のうち、水素原子、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、Cl、炭素原子数1〜10のアシル基、炭素原子数1〜20のアシルアミノ基が好ましく、特に、水素原子、炭炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のアシル基、炭素原子数1〜10のアシルアミノ基が好ましい。
具体的には、R8 〜R11として下記の構造で表わされるものが挙げられる。
【0030】
【化12】
【0031】
また、本発明のジアゾニウム塩のうち、窒素原子を含む複素環構造で、R8 〜R11が関与する部分構造としては次のものを好ましく例示することができる。
【0032】
【化13】
【0033】
また、前記一般式(1)中、X- で表わされる陰イオンは、無機陰イオンとしてはヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオンが好ましく、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが特に好ましい。有機陰イオンとしてはポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオンが好ましい。
【0034】
以下に、前記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物の具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
【0035】
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】
【化16】
【0038】
【化17】
【0039】
【化18】
【0040】
本発明の感光感熱記録材料において、一般式(1)で表されるジアゾニウム塩は単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも出来る。さらに色相調整等の諸目的に応じて、一般式(1)で表されるジアゾニウム塩と既存のジアゾニウム塩を併用してもよい。既存のジアゾニウム塩については、特公平5−33676号、特願平8−224252号、特開平4−59287号、特開平8−156417号、特開平1−80588号、特開平4−59288号、特開平6−328853号、特願平7−121208号等に記載されている。
【0041】
本発明の前記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩は既知の方法で製造することが可能である。すなわち、対応するアニリンを酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等を用いてジアゾ化することにより得られる。
【0042】
本発明のジアゾニウム塩の安定化のために塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズ等を用いて錯化合物を形成させてジアゾニウム塩の安定化を行なうこともできる。これらのジアゾニウム塩は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
本発明において使用できるカップリング成分としては、塩基性雰囲気および/または中性雰囲気でジアゾニウム塩とカップリングして色素を形成するものであればいずれの化合物も可能である。ハロゲン化銀写真感光材料用のいわゆる4当量カプラーはすべてカップリング成分として使用可能である。これらは目的とする色相に応じて選択することが可能である。
【0044】
例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などがあり、具体例として下記のものが挙げられ本発明の目的に合致する範囲で使用される。
【0045】
本発明の感熱記録材料において使用するカップリング成分としては、前記一般式(2)で表される化合物が、特に、好ましい。次に、一般式(2)で表されるカップリング成分について詳細に述べる。式中E1 、E2 で表される電子吸引性基とは、HammettのσP 値が正である置換基を意味し、これらは同一であっても、異なっていても良く、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基、ホスホノ基等が好ましい。アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のオキシカルボニル基、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−〔2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、N−〔2,4−ビス(オクチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、モルホリノカルボニル基等のカルバモイル基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基、ジエチルホスホノ基等のホスホノ基、ベンゾオキサゾール−2−イル基、ベンゾチフプールー2−イル基、3,4−ジヒドロキナヅリンー4−オンー2−イル基、3,4一ジヒドロキナゾリンー4一スルホンー2一イル基等の複素環基、ニトロ基、イミノ基、シアノ基が好ましい。
【0046】
また、E1 、E2 で表される電子吸引性基は、両者が結合して環を形成してもよい。E1 、E2 で形成される環としては5ないし6員の炭素環あるいは複素環が好ましい。
【0047】
本発明において使用できるカップリング成分の具体例を挙げると、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキジプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミト、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−l,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロへキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジーn−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オタタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキジフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オタタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ビラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ビバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等がある。カップリング成分の詳細については、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特開平7−125446号、特開平7−96671号、特開平9−156229号、特開平9−216468号、特開平9−216469号公報等に記載されている他、本願出願人が先に提出した特願平8−30799号、特願平8−132394号、特願平8−358755号、特願平8−358756号、特願平9−69990号等も参照できる。
【0048】
以下に、本発明の感熱記録材料に好適に用い得る一般式(2)で表されるカップリング成分の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
【化19】
【0050】
【化20】
【0051】
【化21】
【0052】
【化22】
【0053】
【化23】
【0054】
本発明の感熱記録材料は、その使用前の生保存性を良好とするために、ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包させる。その形成方法は既に公知の方法を用いることができる。カプセル壁を形成する高分子物質は常温では不透過性であり、加熱時に透過性となることが必要であり、特にガラス転移温度が60〜200℃のものが好ましい。これらの例として、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン−メタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体およびこれらの混合系をあげることができる。
【0055】
マイクロカプセル形成法としては、界面重合法および内部重合法が適している。カプセル形成方法の詳細およびリアクタントの具体例については、米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明納言に記載がある。例えば、ポリウレア、ポリウレタンをカプセル壁材として用いる場合は、ポリイソシアネートおよびそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えばポリオール、ポリアミン)を水性媒体またはカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれらを乳化分散し次に加温することにより油滴界面で高分子形成反応を起こしマイクロカプセル壁を形成する。なお上記第2物質の添加を省略した場合もポリウレアが生成する。
本発明においては、マイクロカプセル壁を形成する高分子物質は、ポリウレタンやポリウレアの中がら選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
以下に、本発明におけるジアゾニウム塩内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について述べる。
【0056】
まず、ジアゾニウム塩はカプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解または分散させる。この場合の有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましい。芯溶媒中には、更に、多価イソシアネートが壁材として添加される(油相)。
【0057】
一方、水相としては、ポリビニルアルコール、ゼラチンなどの水溶性高分子を溶解した水溶液を用意し、次いで前記油相を投入し、ボモジナイサー等の手段により乳化分散を行う。このとき水溶性高分子は乳化分散の安定化剤として作用する。乳化分散を更に安定に行うために、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。
【0058】
多価イソシアネートの使用量は、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0059】
水相中にポリオールを添加しておけば、多価イソシアネートとポリオールが反応してポリウレタン壁を形成することもできる。反応速度を速めるために反応温度を高く保ち、あるいは適当な重合触媒を添加することが好ましい。多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩日敬治 編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
【0060】
マイクロカプセル壁の原料として用いる多価イソシアネート化合物としては3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物を併用してもよい。具体的にはキシレンジイソシアネートおよびその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびその水添物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシヌレート)の他、トリメチロールプロパンなどのポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパンなどのポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物などが挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、本願出願人が先に提出した特願平8−268721号等に記載の化合物が好ましい。
【0061】
さらに、ポリオール又はポリアミンを、芯となる疎水性溶媒中又は分散媒となる水溶性高分子溶液中に添加しておき、マイクロカプセル壁の原料の一つとして用いることもできる。これらのポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、へキサメチレンジアミンなどが挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
【0062】
前記のジアゾニウム塩を溶解し、マイクロカプセルの芯を形成するときの疎水性有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、具体的には、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類などが挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
【0063】
カプセル化しようとするジアゾニウム塩のこれらの溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いようとするジアゾニウム塩の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。具体的には、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。このため、ジアゾニウム塩はこれら高沸点疎水性有機溶媒、低沸点補助溶媒に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には該溶剤に5%以上の溶解度を有していることが好ましい。水に対する溶解度ば1%以下が好ましい。
【0064】
このようにして調製されたカプセルの油相を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子は、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としては、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0065】
これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないが、低いことが好ましく、たとえばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成するなどして反応性をなくしておくことが好ましい。また、界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤の添加量は、油相の重量に対して0.1%〜5%、特に0.5%、2%であることが好ましい。
【0066】
乳化は、ホモジナイサー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミルなど、公知の乳化装置を用いることができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行う等の必要がある。
【0067】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加しても良い。重合反応の進行に伴って炭酸がスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩内包マイクロカプセルを得ることができる。
【0068】
本発明に用いられるカップリング成分は、塩基性物質、その他の発色助剤等とともに、サンドミル等により水溶性高分子とともに固体分散して用いることもできるが、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして有する水相と混合し、乳化分散物として用いても良い。乳化分散を容易にする観点から、界面活性剤を用いることが好ましい。
【0069】
この場合に使用される有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルの中から適宜選択することができる。
これらの中でもエステル類を使用することが、乳化分散物の乳化安定性の観点がら好ましく、中でも、リン酸トリクレジルが特に好ましい。上記のオイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0070】
上記の有機溶剤に、更に低沸点の溶解助剤として補助溶剤を加えることもできる。このような補助溶剤として、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等を特に好ましいものとして挙げることができる。場合により、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0071】
これらの成分を含有する油相と混合する水相に、保護コロイドとして含有させる水溶性高分子は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。好ましい水溶性高分子としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等を挙げることができる。
【0072】
また、水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。好ましい界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができる。
【0073】
本発明においては、ジアゾニウム塩とカップリング成分とのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を加えることもできる。これらの有機塩基は、単独で用いても2種以上併用して用いることもできる。塩基性物質としては、第3級アミン類、ピぺリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙げられる。これらの化合物としては、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものを使用できる。
【0074】
これらの中でも、特に、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ)ベンゼンなどのピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,8−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロビルオキシ)ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0075】
本発明においては、ジアゾニウム塩1重量部に対するカップリング成分及び塩基性物質の使用量は、それぞれ0.1〜30重量部であることが好ましい。
【0076】
本発明においては、上記した有機塩基の他にも、発色反応を促進させる目的で発色助剤を加えることができる。発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、もしくは発色温度を制御する物質があり、カップリング成分、塩基性物質、もしくはジアゾニウム塩等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾニウム塩、塩基性物質、カップリング成分等が反応しやすい状況を作るためのものである。
【0077】
本発明に用いられる発色助剤として、例えば低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画が行われるように、発色層中にフェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物、ヒドロキシ化合物等を加えることができる。
【0078】
本発明の感熱記録材料においては、熱発色面像の光及び熟に対する堅牢性を向上させ、または、定着後の未印字部分の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることが好ましい。
上記の酸化防止剤については、例えばヨーロッパ公開特許第223739号公報、同第309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号、米国特許第4980275号等に記載されている。
【0079】
さらに、本発明においては感熱記録材料や感圧記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの各種添加剤の具体例としては、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載されてる化合物を挙げることができる。
【0080】
これらの酸化防止剤および各種添加剤の添加重は、ジアゾニウム塩1重量部に対して0.05〜100重量部の割合であることが好ましく、特に0.2〜30重量部であることが好ましい。
このような公知の酸化防止剤および各種添加剤はジアゾニウム塩と共にマイクロカプセル中に含有させて用いることも、あるいはカップリング成分や塩基性物質、その他の発色助剤と共に、固体分散物として、もしくは適当な乳化助剤と共に乳化物にして用いることも、あるいはその両方の形態で用いることもできる。また酸化防止剤および各種添加剤を単独または複数併用することができるのはもちろんである。また、保護層に添加または存在させることもできる。
【0081】
これらの酸化防止剤および各種添加剤は同一層に添加しなくてもよい。更にこれらの酸化防止剤および各種添加剤を組み合わせて複数用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、リン化合物、硫黄化合物のように構造的に分類し、互いに異なる構造のものを組み合わせてもよいし、同一のものを複数組み合わせることもできる。
【0082】
本発明の感熱記録材料には、記録後の地肌部の黄着色を軽減する目的で光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を加えることができる。遊離基発生剤としては、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類などが挙げられる。添加する量は、ジアゾニウム塩1重量部に対して、遊離基発生剤0.01〜5重量部が好ましい。
【0083】
また同様に黄着色を軽減ずる目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、ビニルモノマーと呼ぶ)を用いることができる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。これらの例として、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。ビニルモノマーはジアゾニウム塩1重量部に対して0.2〜20重量部の割合で用いる。前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾニウム塩と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
【0084】
本発明では以上の素材の他に酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することができる。
【0085】
本発明の感熱記録材料は、ジアゾニウム塩を含有したマイクロカプセル、カップリング成分、有機塩基、及びその他の添加物を含有した塗布液を調製し、紙や合成樹脂フィルム等の支持体の上にバーコーティング、ブレードコーティング、エアナイフコーティング、グラビアコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング等の塗布方法により塗布乾燥して、固型分2.5〜30g/m2 の感熱層を設けることが好ましい。
本発明の感熱記録材料においては、マイクロカプセル、カップリング成分、塩基などが同一層に含まれていてもよいが、別層に含まれるような積層型の構成をとることもできる。また、支持体の上に特開昭61−54980号明細書等に記載されているような中間層を設けた後、感熱層を塗布することもできる。
【0086】
本発明の感熱記録材料において使用されるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類などを使用することができる。水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変性物等が挙げられ、ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシエチルセルロース、でんぷん誘導体、ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリル酸アミド誘導体等が挙げられる。
【0087】
本発明の感熱記録材料に使用できる顔料としては、有機、無機を問わず公知のものを使用することができる。具体的には、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
【0088】
本発明の感熱記録材料においてはその必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその前駆体など各種添加剤を使用することができる。
【0089】
本発明の感熱記録材料には必要に応じて記録層の表面に保護層を設けてもよい。保護層は必要に応じて二層以上積層してもよい。保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類が用いられる、保護層の水溶性高分子化合物を架橋して、より一層保存安定性を向上きせることもでき、その架橋剤としては公知の架橋剤を使用することができる。具体的にはN−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期絡合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼砂等の無機系架橋剤、ポリアミドエピクロルヒドリンなどが挙げられる。保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤などを使用することもできる。保護層の塗布量は0.2〜5g/m2 が好ましく、さらには0.5〜2g/m2 が好ましい。またその膜厚は0.2〜5μmが好ましく、特に0.5〜2μmが好ましい。 本発明の感熱記録材料に保護層を設ける場合、保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有してもよい。
【0090】
本発明の支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙などに用いられる紙支持体はいずれも使用することができる。その他、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、プラスチックフィルムなどを使用することができる。支持体のカールバランスを補正するため或いは、裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよく、また裏面に接着剤層を介して剥離紙を組み合わせてラベルの形態にしてもよい。このバックコート層は、上記保護層と同様の手段によって設けることができる。
【0091】
本発明の感熱記録材料の記録面にサーマルヘッド等で加熱すると、ポリウレアおよび/またはポリウレタンのカプセル壁が軟化し、カプセル外に存在するカップリング成分と塩基化合物がカプセル内に浸入して発色する。発色後にジアゾニウム塩の吸収波長の光を照射することにより、ジアゾニウム塩が分解し、カップリング成分との反応性を失うため画像の定着が行なわれる。
【0092】
定着光源としては、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯などが用いられ、この発光スペクトルが感熱記録材料で用いたジアゾニウム塩の吸収スペクトルにほぼ一致していることが効率よく定着でき好ましい。本発明の新規ジアゾニウム塩の極大吸収波長は400nmを超えるため、このジアゾ化合物を用いた本発明の感熱記録材料は、400nm以上の長波長光源で定着可能であり、発光中心波長が400〜500nmの定着光源が特に好ましい。
【0093】
本発明の感熱記録材料においては、互いに発色色相の異なる感熱記録層を複数積層することにより、多色の感熱記録材料とすることができる。ここで、積層する感熱記録層としては、光分解性のジアゾニウム塩を含む感熱記録層が挙げられる。この多色の感熱記録材料(感光感熱記録材料)については、特開平4−135787号公報、同4−144784号公報、同4−144785号公報、同4−194842号公報、同4−247447号公報、同4−247448号公報、同4−340540号公報、同4−340541号公報、同5−34860号公報、特開平9−156229号公報等に記載されている。
層構成としては特に限定されるものではないが、特に感光波長が異なるジアゾニウム塩とそれぞれのジアゾニウム塩と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーとを組み合わせた感熱記録層を多層に積層した多色感熱記録材料が好ましい。たとえば、支持体側から、本発明に係る最大吸収波長が350nmより短いジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する第1の感熱記録層(A層)、極大吸収波長360nm±20nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して呈色するカプラーを含有する第2の感熱記録層(B層)、極大吸収波長400±20nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して呈色するカプラーを含有する第3の感熱記録層(C層)とするものである。この例において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0094】
フルカラー記録材料の場合の層構成は、イエロー、マゼンタ、シアンの各発色層はどのように積層してもよいが、色再現性の点で、支持体側から、イエロー、シアン、マゼンタまたはイエロー、マゼンタ、シアンの順に積層するのが好ましい。
【0095】
この多色感熱記録材料の記録方法は、まず第3の感熱記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。次に400±20nmの光を照射してC層中に含まれている未反応のジアゾニウム塩を分解させたのち、第2の感熱記録層(B層)が発色するに十分な熱を与え、該層に含まれているジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。このときC層も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。さらに360±20nmの光を照射してB層に含まれているジアゾニウム塩を分解して、最後に第1の感熱記録層(A層)が発色する十分な熱を与えて発色させる。このときC層、B層の感熱記録層も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩は分解しており発色能力が失われているので発色しない。本発明の感熱記録材料は上記のような多色感熱記録材料とすることが好ましい。
【0096】
多色感熱記録材料とした場合、感熱記録層相互の混色を防ぐため、感熱記録層間に中間層を設けることもできる。この中間層はゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子化合物からなり、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
【0097】
支持体上に光定着型感熱記録層を有する多色感熱記録材料の場合、必要によりさらにその上層に光透過率調整層もしくは保護層、または光透過率調整層および保護層を有することが望ましい。光透過率調整層については、特開平9−39395号公報、特開平9−39396号公報、特開平9−95487号公報等に記載されている。
【0098】
本発明において用い得る光透過率調整層は、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を含有するものであり、定着に必要な領域の波長の光照射前は該紫外線吸収剤の前駆体は紫外線吸収剤として機能しないので、光透過率調整層の光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、また、可視光線の透過率も高く、感熱記録層の定着に影響を及ぼすことはない。
【0099】
この紫外線吸収剤の前駆体は、光定着型感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光または熱などの輻射線の照射により構造変化がおこり、紫外線吸収剤として機能するようになる。その後は、紫外線領域の波長の光は光透過率調整層に生成した紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果はないので、可視光線の透過率は実質的に変わらず、形成された画像の外観に影響を及ぼすことはない。
【0100】
光透過率調整層は光定着型感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、配置する位置としては光定着型感熱記録層と保護層との間に形成するのが最も好ましいが、必ずしもこれに限定されず、例えば、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。
【0101】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
[実施例1]
(具体的例示化合物(1) の合成)
インドリン5.96gを、水素化ナトリウム(60重量%品)3gをN,N−ジメチルホルムアミド50mlに分散させた溶液に添加する。反応液を65℃で1時間攪拌した後、室温で、4−クロロニトロベンゼン8.67gを添加する。 発熱がおさまった後、50℃で1時間攪拌する。反応混合物を水にあけ、析出した結晶をろ過し、メタノールで洗浄した。
このようにして得られた粗結晶を酢酸エチル−メタノールで再結晶し、下記式で表される中間体Aを7.1g得た。
【0102】
【化24】
【0103】
前記中間体A5.0gを還元鉄7g、塩化アンモニウム0.3g、水10ml、イソプロピルアルコール50mlを内温80℃で攪拌した反応器に数回に分けて添加した。
内温80〜85℃で2時間攪拌した後、反応液をセライトろ過し、セライトを酢酸エチルで数回洗浄した。
このようにして得た有機層に水を入れて分液し、有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2 SO4 で乾燥濃縮し、下記式で表される中間体Bの粗生成物を4.8g得た。
【0104】
【化25】
【0105】
この中間体Bの粗生成物1.73gを濃塩酸3.7gとメタノール40mlより調液した液に加え、内温0℃付近に保った。
内温5℃以下を保つようにNaNO2 0.51gの水溶液を滴下し、ジアゾ化を行なった。
0℃〜5℃でジアゾ液を30分間攪拌し、同温で30分間攪拌し、同温でKPF6 を1.6g添加した。内温を30℃にして、30分間攪拌し、塩交換を行なった。
反応液を0℃に冷却し、得られた結晶をろ過、水洗し、先にジアゾニウム塩の具体例として挙げた例示化合物(1) を粗結晶として、2.28g得た。
該粗結晶をクロロホルムにより再結晶し、例示化合物(1) を2.11g得た。 例示化合物(1) はメタノール中の極大吸収波長を432nmに示した。
下記式で表される比較化合物Cが同条件下で極大吸収波長を379nmに示すことを考慮すれば、本発明の例示化合物(1) は吸収特性が400nmより長波のランプで定着可能であることがわかる。
【0106】
【化26】
【0107】
[実施例2]
(具体的例示化合物(8) の合成)
出発物質として、実施例1の4−クロロニトロベンゼン8.67gの代わりに、4−クロロ−2−(2−エチルヘキシル)オキシニトロベンゼン15.7gを使用し、再結晶溶媒として酢酸エチル−エタノールを使用した他は、実施例1と同様にして下記式で表される中間体Dを得た。
【0108】
【化27】
【0109】
この中間体Dに対して、実施例1のイソプロピルアルコール50mlを75mlに換えた他は、実施例1の中間体Aから中間体Bへの反応と同様にして下記式で表される中間体Eを得た。
【0110】
【化28】
【0111】
この中間体Eに対して、実施例1における再結晶溶媒をクロロホルムに換えてクロロホルム−酢酸エチルを使用した他は、実施例1と同様にしてジアゾ化、塩交換を経て例示化合物(8) を得た。
例示化合物(8) はメタノール中の極大吸収波長を422nmに示した。
下記式に表される比較化合物Fが同条件下で、極大吸収波長を370nmに示すことを考慮すれば、本発明の例示化合物(8) は吸収特性が400nmより長波のランプで定着可能であることがわかる。
【0112】
【化29】
【0113】
(例示化合物(1) 及び(8) の評価)
実施例1、2で得られたジアゾニウム塩例示化合物(1) 及び(8) と比較化合物C、Fのメタノール溶液を高圧水銀灯で照射し、光分解試験を行なった。
ジアゾニウム塩のメタノール溶液は各々0.04mmolの濃度となるように調製した。
高圧水銀灯としてウシオ製ランプ(UM−102)を用い、400nmより短波領域の光を遮断する目的で、ランプにシャープカットフィルター(ケンコー製、L−40)を用いて、光照射を行なった。
【0114】
その結果、例示化合物(1) 及び(8) は速やかに極大吸収波長の減衰が観察されたものの、比較化合物C、Fは、ほとんど変化しなかった。
このような簡易テストにより、本発明の例示化合物(1) 及び(8) は400nmより長波のランプで定着可能なことがわかる。
【0115】
[実施例3]
(ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Aの調製)
酢酸エチル19部にジアゾニウム塩(先に実施例2で合成した例示化合物(8) )2.6部、トリクレジルホスフェート12部を添加して均一に混合した。次いでこの混合液に壁材としてタケネートD110N(武田薬品工業株式会社製)7.6部を加え混合しI液を得た。次にフタル化ゼラチンの8%水溶液46部、水17.5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの10%水溶液2.5部の混合液に上記I液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rpmで10分間乳化分散した。得られた乳化物に水20部を加えて均一化した後、攪拌しながら40℃で3時間マイクロカプセル化反応をおこなわせてジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Aを得た。マイクロカプセルの平均粒径は0.7〜0.9μmであった。
【0116】
(カップリング成分乳化液Bの調製)
酢酸エチル10.5部にカップリング成分(先に好ましい具体例として挙げた例示化合物B−13)3部、トリフェニルグアニジン3部、トリクレジルホスフェート0.6部、マレイン酸ジエチル0.3部を溶解しII液を得た。
次に石灰処理ゼラチンの15%水溶液49部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの10%水溶液9.5部、水35部を40℃で均一に混合した中にII液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rpmで10分間乳化分散した。得られた乳化物を40℃で2時間攪拌して酢酸エチルを除去後、水を添加して、カップリング成分乳化液Bを得た。
【0117】
(感熱記録層塗布液Cの調製)
ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液A3.6部、水3.3部、カップリング成分乳化液B9.5部を混合し、感熱記録層塗布液Cを得た。
(保護層塗布液Dの調製)
イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318、クラレ株式会社製)6%水溶液100部とエポキシ変性ポリアミド(商品名:FL−71、東邦化学株式会社製)30%の分散液10部とを混合した液に、ステアリン酸亜鉛40%の分散液(商品名:ハイドリンZ、中京油脂株式会社製)15部を均一に混合し、保護層塗布液Dを得た。
(塗布)
上質紙にポリエチレンをラミネートした印画紙用支持体上にワイヤーバーで感熱記録層塗布液C、保護層塗布液Dの順に順次塗布したのち、50℃での乾燥を行ない、目的の感熱記録材料を得た。感熱記録層及び保護層の固形分としての塗布量は各々8.0g/m2 、1.2g/m2 であった。
【0118】
(発色・定着試験)
京セラ株式会社製サーマルヘッド(KST型)を用い、単位面積あたりの記録エネルギーが50mj/mm2 となるようにサーマルヘッドに対する印加電力およびパルス幅を決め、感熱記録材料に熱印画し画像を得た。次いで、発光中心波長420nm、出力40Wの光源に10秒間暴露して光定着を行った。発色濃度および地肌濃度をX−rite濃度測定計で測定した。
次に、印加電力の加わらなかった地肌部に対して熱スタンプを用いて150℃で20秒加熱した。
ジアゾニウム塩の定着が行なわれているならば、熱スタンプによる発色が認められないが、定着が不十分の場合、発色が認められる。このようにジアゾニウム塩の定着性を試験することができる。熱スタンプで加熱した後の地肌濃度をX−rite濃度測定計で測定した。結果を下記表1に示した。
【0119】
[実施例4]
カップリング成分として例示化合物B−13に換えて、例示化合物B−11を用いた他は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価した。
【0120】
[実施例5]
カップリング成分として例示化合物B−13に換えて、例示化合物B−25を用いた他は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価した。
【0121】
[実施例6]
ジアゾニウム塩として例示化合物(8) に換えて例示化合物(9) を用いた他は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価した。
【0122】
[実施例7]
ジアゾニウム塩として例示化合物(8) に換えて例示化合物(15)を用いた他は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価した。
【0123】
[実施例8]
ジアゾニウム塩として例示化合物(8) に換えて例示化合物(19)を用いた他は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価した。
【0124】
[比較例1]
ジアゾニウム塩として例示化合物(8) に換えて前記ジアゾニウム塩比較化合物Fを用いた他は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価した。
【0125】
表中の(M)(Y)は、X−riteの測定ポジションを示す。(M)はマゼンタ、(Y)はイエローの光学濃度を反射で得ていることになる。
【0126】
【表1】
【0127】
前記表1に明らかなように、実施例3〜8の感熱記録材料は、画像部の発色濃度が充分であり、地肌(非画像部)濃度は(Y)、(M)ともに小さいが、比較例1の地肌濃度は特に(Y)が大きいことがわかる。これはジアゾニウム塩比較化合物Fが定着されておらず、残存していることを示している。このことは、熱スタンプによる後加熱を経た地肌濃度の値が比較例1で大きく変化していることからも確認できる。
【0128】
【発明の効果】
本発明の新規なジアゾニウム塩化合物は、極大吸収波長が400nmより長波長側にあり、感熱記録材料の発色成分として有用である。また、このジアゾニウム塩を用いた本発明の感熱記録材料は400nmより長波長の可視光線の光源によって定着し得るという優れた効果を示した。
Claims (4)
- 支持体上に、ジアゾニウム塩及びカップリング成分を含む感熱記録層を設けた感熱記録材料であって、該ジアゾニウム塩が、下記一般式(1)で表される化合物であり、且つ、該ジアゾニウム塩がマイクロカプセルに含有されていることを特徴とする感熱記録材料。
- 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタンおよび/またはポリウレアを構成成分として含むカプセル壁であることを特徴とする請求項2又は3に記載の感熱記録材料。
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