JP3683713B2 - 感光感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はジアゾ化合物とカプラーを発色成分として用いる感光感熱記録材料に関し、特に生保存性に優れ、熱記録時の発色濃度の高い黄から青色発色型の感光感熱記録材料に関する。また、紫外領域のうち比較的波長の短い(350nm〜390nm)光によって高い感光性を有する感光感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジアゾ化合物は非常に化学的活性の高い化合物であり、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する、いわゆるカプラーと呼ばれる化合物と反応して容易にアゾ染料を形成すると共に、感光性をも有し、光照射によって分解し、その活性を失う。
そこで、ジアゾ化合物は、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古くから利用されている(日本写真学会編「写真工学の基礎−非銀塩写真編−」コロナ社(1982)P89〜P117、P182〜P201参照)。
【0003】
更に、光によって分解し活性を失う性質を利用して、最近では画像の定着が要求される記録材料にも応用され、代表的なものとして、ジアゾ化合物とカプラーを画像信号に従って加熱し、反応させて画像を形成させた後光照射して画像を定着する、光定着型感熱記録材料が提案されている(佐藤弘次ら 画像電子学会誌
第11巻 第4号(1982)P290−296など)。
【0004】
しかしながら、ジアゾ化合物を発色要素として用いたこれらの記録材料は、ジアゾ化合物の活性が非常に高く、暗所であってもジアゾ化合物が徐々に熱分解して反応性を失うので、記録材料としてのシェルフライフが短いという欠点があった。
このようなジアゾ化合物の不安定さを改善する手段としては様々な方法が提案されているが、最も有効な手段の一つとして、ジアゾ化合物をマイクロカプセル中に内包させる方法が挙げられる。
【0005】
このように、ジアゾ化合物をマイクロカプセル化することにより、ジアゾ化合物は水、塩基といった分解を促進させるものから隔離されるので、その分解は著しく抑制され、これを用いた記録材料のシェルフライフも飛躍的に向上する(宇佐美智正ら 電子写真学会誌 第26巻 第2号(1987)P115〜125)。
【0006】
ジアゾ化合物をマイクロカプセル中に内包させる一般的な方法は、疎水性溶媒にジアゾ化合物を溶解させ(油相)、これを水溶性高分子を溶解した水溶液中(水相)に加えてホモジナイザー等で乳化分散すると共に、マイクロカプセルの壁材となるモノマーあるいはプレポリマーを油相側または水相側の何れかあるいは両方に添加しておくことにより、油相と水相の界面で重合反応を生じさせ、あるいは、ポリマーを析出させることにより高分子壁を形成させ、マイクロカプセルとする方法である。
【0007】
これらの方法は、例えば近藤朝士著、「マイクロカプセル」日刊工業新聞社(1970年発行)、近藤 保ら著、「マイクロカプセル」三共出版(1977年発行)などに詳しい。
形成されるマイクロカプセル壁としては、架橋ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース類、ポリウレア、ポリウレタン、メラミン樹脂、ナイロン樹脂など様々なものが使用可能である。
【0008】
ウレア樹脂やウレタン樹脂のようにガラス転移温度を有し、そのガラス転移温度が室温よりやや高い壁を有するマイクロカプセルの場合には、室温におけるカプセル壁は物質非透過性を示す一方、ガラス転移温度以上では物質透過性を示すため、熱応答性マイクロカプセルと呼ばれ、感熱記録材料に有用である。
【0009】
即ち、支持体上に、ジアゾ化合物を含有した熱応答性マイクロカプセルとカプラーおよび塩基を含有する感光感熱記録層を塗布した記録材料を作製することにより、ジアゾ化合物を長期間安定に保持させることができると共に、加熱により容易に発色画像を形成させることができる上、光照射により画像を定着することも可能となる。
上述したように、マイクロカプセル化することによりジアゾ化合物の安定性を飛躍的に向上させることが可能である。
【0010】
しかしながら、マイクロカプセル化することにより、水、塩基といった分解を促進させるものからジアゾ化合物を隔離しても、ジアゾ化合物は本来それ自身不安定なものであり光によって分解する。従って、マイクロカプセル化することを前提にしても、ジアゾ化合物自身の安定化を図ることが不可欠である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、発明者等は、安定なジアゾ化合物の構造について、種々の検討を行ってきた。これらの検討の結果、ジアゾニオ基のオルト位にアルコキシ基やアリールオキシ基を有するベンゼンジアゾニウム塩が、紫外領域のうち比較的波長の短い(350nm〜390nm)定着光に対して感光性を有し、ジアゾニオ基のオルト位にアルコキシ基やアリールオキシ基を有していないベンゼンジアゾニウム塩に比べて熱安定性が改良されることを見出した(特開昭64−80588号公報、特開平4−59288号公報、特開平4−197782号公報)。
しかしながら、これらのジアゾ化合物を用いても、長期間保存後に使用した場合には、地肌部分が着色することがあり、シェルフライフを延ばすために更なる改良が望まれていた。
従って、本発明の目的は、生保存性が良好であり、得られる発色画像の発色濃度が十分高く、かつ紫外領域のうち比較的波長の短い(350nm〜390nm)光によって高い感光性を有する感光感熱記録材料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の諸目的は、支持体上に、ジアゾ化合物及びカプラーを含む感光感熱記録層を設けた感光感熱記録材料において、該ジアゾ化合物が一般式(1)で表わされる化合物であり、かつ該ジアゾ化合物がマイクロカプセル中に内包される感光感熱記録材料によって達成された。
【0013】
【化3】
【0014】
式中、R1 及びR2 は同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜5の無置換のアルキル基を表す。R1 及びR2は互いに結合して環を形成してもよい。R3 及びR4 は同一でも異なっていてもよく、アルキル基を表す。R3 及びR4は互いに結合して環を形成してもよい。
【0015】
本発明においては、カプラーが下記一般式(3)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0016】
【化4】
【0017】
式中、E1 、E2 はそれぞれ独立に電子吸引性基を表す。E1 とE2 が結合し環を形成してもよい。
【0018】
本発明においては、ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルのカプセル壁がポリウレタンおよび/またはポリウレアを構成成分として含む壁であることがより好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に一般式(1)で表されるジアゾ化合物について詳細に述べる。
式中、R1 又はR2 で表されるアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びアミル基等である。
【0020】
式中、R3 又はR4 で表されるアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基である。−CHR3 R4 としては、例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基、2−ペンチル基,3−ペンチル基、シクロペンチル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基等であり、炭素数6以下の二級アルキル基が好ましく、具体的には、イソプロピル基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
【0021】
以下に本発明の一般式(1)で表されるジアゾ化合物の具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
一般式(1)で表されるジアゾ化合物は既知の方法で製造することが可能である。すなわち、対応するアニリンを酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等を用いてジアゾ化することにより得られる。例として例示化合物A−11の合成例を以下に示す。
【0025】
〔例示化合物A−11の合成例〕
(原料2−シクロペンチルオキシ−4−ニトロ−アセトアニリドの合成)
4−ニトロ−2−ヒドロキシ−アセトアニリド49g、炭酸カリウム41.5g、及びジメチルアセトアミド220ccの混合物を70℃で攪拌し、これにブロモシクロペンタン55.9gを滴下し、得られた混合物を90℃に昇温して、6時間攪拌した。反応混合物を水300gに注ぐと結晶が析出した。この結晶を濾過し、水洗し、乾燥させると、黄土色の2−シクロペンチルオキシ−4−ニトロ−アセトアニリド結晶62.6gが得られた。
【0026】
(前駆体2−シクロペンチルオキシ−4−ジブチルアミノ−アセトアニリドの合成)
塩化アンモニウム1.19g、水60cc、イソプロパノール180cc、及び鉄粉58.14gを加熱還流した中に、2−シクロペンチルオキシ−4−ニトロ−アセトアニリド58.14gを少しずつ添加した。反応混合物を1時間加熱しながら攪拌した後、室温まで冷却して不溶物をセライトを用いて濾過した。濾液を濃縮すると、4−アミノ−2−シクロペンチルオキシ−アセトアニリド50.00gが得られた。得られた4−アミノ−2−シクロペンチルオキシ−アセトアニリド23.43gに、炭酸カリウム34.6g、ヨウ化カリウム16.6g、及びジメチルアセトアミド170ccを添加し、さらに1−ブロモブタン41.1gを加えて、得られた混合物を80℃で3時間加熱しながら攪拌した。反応混合物に水350ccを添加し、生成した2−シクロペンチルオキシ−4−ジブチルアミノ−アセトアニリドを酢酸エチルで抽出し、有機層を濃縮して、カラムクロマトグラフィーにより精製し、2−シクロペンチルオキシ−4−ジブチルアミノ−アセトアニリド30.55gを得た。
【0027】
(例示化合物A−11の合成)
2−シクロペンチルオキシ−4−ジブチルアミノ−アセトアニリド27.72gをメタノール60ccに溶解し、得られた溶液に濃塩酸44.2ccを添加し、混合物を80℃で1時間加熱しながら攪拌した。反応混合物を−10℃に冷却し、この混合物に水15ccに溶かした亜硝酸ナトリウム6.9gを−10℃で滴下した。これを10℃で1時間攪拌した後、反応混合物にヘキサフルオロリン酸カリウム23.0gを添加し、得られた混合物を室温で1時間攪拌した。析出した結晶を濾過し、水、イソプロパノールで順次洗浄後、エタノールから再度結晶を析出させた。得られた結晶を乾燥後、25.8gの例示化合物A−11を得た。メタノール中の例示化合物A−11の紫外可視吸収スペクトルはλmax 369nm、ε36000であった。
【0028】
一般式(1)で表わされる化合物は油状物、結晶状態のいずれであってもよいが、取扱い性の点で結晶状態のものが好ましい。
これらの一般式(1)の化合物は単独で用いてもよいし、2種以上併用することもできる。
また一般式(1)の化合物を感光感熱記録材料に用いる場合、感光感熱記録層中において0.02〜5g/m 2 の範囲で用いることが好ましいが、発色濃度の点から0.1〜4g/m 2 の範囲で用いることが特に好ましい。
【0029】
上記ジアゾ化合物の安定化のために塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズ等を用いて錯化合物を形成させジアゾ化合物の安定化を行なうこともできる。これらのジアゾ化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
本発明において使用できるカプラーとしては、塩基性雰囲気および/または中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであればいずれの化合物も可能である。ハロゲン化銀写真感光材料用のいわゆる4当量カプラーはすべてカプラーとして使用可能である。これらは目的とする色相に応じて選択することが可能である。
【0031】
例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などがあり、具体例として下記のものが挙げられ本発明の目的に合致する範囲で使用される。
【0032】
本発明において使用できるカプラーとして特に好ましくは、一般式(3)で表される化合物である。次に一般式(3)で表されるカプラーについて詳細に述べる。式中E1 、E2 で表される電子吸引性基は、Hammettのσ値が正である置換基をさし、これらは同一であっても異なっていても良く、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基、ホスホノ基等が好ましい。アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のオキシカルボニル基、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−〔2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、N−〔2,4−ビス(オクチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、モルホリノカルボニル基等のカルバモイル基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基、ジエチルホスホノ基等のホスホノ基、ベンゾオキサゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−スルホン−2−イル基等の複素環基、ニトロ基、イミノ基、シアノ基が好ましい。
【0033】
また、E1 、E2 で表される電子吸引性基は、両者が結合し環を形成してもよい。E1 、E2 で形成される環としては5ないし6員の炭素環あるいは複素環が好ましい。
【0034】
具体例を挙げると、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等がある。 カプラーの詳細については、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特願平5−278608号、特願平5−297024号、特願平6−18669号、特願平6−18670号、特願平7−316280号、特願平8−027095号、特願平8−027096号、特願平8−030799号、特願平8−12610号、特願平8−132394号、特願平8−358755号、特願平8−358756号、特願平9−069990号等に記載されている。
【0035】
以下に本発明の一般式(2)で表されるカプラーの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【化7】
【0037】
【化8】
【0038】
【化9】
【0039】
【化10】
【0040】
本発明の感光感熱記録材料は、その使用前の生保存性を良好とするために、ジアゾ化合物をマイクロカプセルに内包させる。その形成方法は既に公知の方法を用いることができる。カプセル壁を形成する高分子物質は常温では不透過性であり、加熱時に透過性となることが必要で有り、特にガラス転移温度が60−200℃のものが好ましい。これらの例として、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン・メタクリレート共重合体、スチレン・アクリレート共重合体およびこれらの混合系をあげることができる。
【0041】
マイクロカプセル形成法としては、界面重合法および内部重合法が適している。カプセル形成方法の詳細およびリアクタントの具体例については、米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書に記載がある。例えば、ポリウレア、ポリウレタンをカプセル壁材として用いる場合は、ポリイソシアネートおよびそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えばポリオール、ポリアミン)を水性媒体またはカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれらを乳化分散し次に加温することにより油滴界面で高分子形成反応を起こしマイクロカプセル壁を形成する。なお上記第2物質の添加を省略した場合もポリウレアが生成する。
本発明においては、マイクロカプセル壁を形成する高分子物質は、ポリウレタンやポリウレアの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
以下に、本発明におけるジアゾ化合物内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について述べる。
【0042】
まず、ジアゾ化合物はカプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解または分散させる。この場合の有機溶媒としては、沸点100−300℃の有機溶媒が好ましい。芯溶媒中には、更に、多価イソシアネートが壁材として添加される(油相)。
【0043】
一方、水相としては、ポリビニルアルコール、ゼラチンなどの水溶性高分子を溶解した水溶液を用意し、次いで前記油相を投入し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行う。このとき水溶性高分子は乳化分散の安定化剤として作用する。乳化分散を更に安定に行うために、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。
【0044】
多価イソシアネートの使用量は、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0045】
水相中にポリオールを添加しておけば、多価イソシアネートとポリオールが反応してポリウレタン壁を形成することもできる。反応速度を速めるために反応温度を高く保ち、あるいは適当な重合触媒を添加することが好ましい。多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治 編 ポリウレタンハンドブック
日刊工業新聞社 (1987))。
【0046】
マイクロカプセル壁の原料として用いる多価イソシアネート化合物としては3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物を併用してもよい。具体的にはキシリレンジイソシアネートおよびその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびその水添物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパンなどのポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパンなどのポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物などが挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
【0047】
更に、ポリオール又はポリアミンを、芯となる疎水性溶媒中又は分散媒となる水溶性高分子溶液中に添加しておき、マイクロカプセル壁の原料の一つとして用いることもできる。これらのポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
【0048】
前記のジアゾ化合物化合物を溶解し、マイクロカプセルの芯を形成するときの疎水性有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、具体的にはアルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類などが挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
【0049】
カプセル化しようとするジアゾ化合物のこれらの溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いようとするジゾ化合物の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。このため、ジアゾ化合物はこれら高沸点疎水性有機溶媒、低沸点補助溶媒に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には該溶剤に5%以上の溶解度を有していることが好ましい。水に対する溶解度は1%以下が好ましい。
【0050】
このようにして調製されたカプセルの油相を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子は、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としては、ポリビニルアルコールおよびその変性物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0051】
これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、低いことが好ましく、たとえばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変性するなどして反応性をなくしておくことが必要である。
また、界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤の添加量は、油相の重量に対して0.1%〜5%、特に0.5%〜2%であることが好ましい。
【0052】
乳化は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミルなど、公知の乳化装置を用いることができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行う等の必要がある。
【0053】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加しても良い。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾ化合物内包マイクロカプセルを得ることができる。
【0054】
本発明に用いられるカプラーは、塩基性物質、その他の発色助剤等とともに、サンドミル等により水溶性高分子とともに固体分散して用いることもできるが、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして有する水相と混合し、乳化分散物とすることが好ましい。乳化分散を容易にする観点から、界面活性剤を用いることが好ましい。
【0055】
この場合に使用される有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルの中から適宜選択することができる。
これらの中でもエステル類を使用することが、乳化分散物の乳化安定性の観点から好ましく、中でも、リン酸トリクレジルが特に好ましい。
上記のオイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0056】
上記の有機溶剤に、更に低沸点の溶解助剤として補助溶剤を加えることもできる。このような補助溶剤として、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等を特に好ましいものとして挙げることができる。場合により、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0057】
これらの成分を含有する油相と混合する水相に、保護コロイドとして含有させる水溶性高分子は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。好ましい水溶性高分子としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等を挙げることができる。
【0058】
又水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。好ましい界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができる。
【0059】
本発明においては、ジアゾ化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を加えることもできる。これらの有機塩基は、単独で用いても2種以上併用して用いることもできる。塩基性物質としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙げられる。特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭58−1347901号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものを使用できる。
【0060】
これらの中でも、特に、N,N′−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N′−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0061】
本発明においては、ジアゾ化合物1重量部に対するカプラー及び塩基性物質の使用量は、それぞれ0.1〜30重量部であることが好ましい。
【0062】
本発明においては、上記した有機塩基の他にも、発色反応を促進させる目的で発色助剤を加えることができる。発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、もしくは最低発色温度を低くする物質であり、カプラー、塩基性物質、もしくはジアゾ化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾ化合物、塩基性物質、カプラー等が反応しやすい状況を作るためのものである。
【0063】
本発明に用いられる発色助剤として、例えば低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画が行われるように、発色層中にフェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物、ヒドロキシ化合物等を加えることができる。
【0064】
本発明の感光感熱記録材料においては、熱発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、または、定着後の未印字部分の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることが好ましい。
上記の酸化防止剤については、例えばヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載されている。
【0065】
更に、本発明においては感熱記録材料や感圧記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの各種添加剤の具体例としては、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載されてる化合物を挙げることができる。
【0066】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサンカルボン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0067】
これらの酸化防止剤および各種添加剤の添加量は、ジアゾ化合物1重量部に対して0.05〜100重量部の割合であることが好ましく、特に0.2〜30重量部であることが好ましい。
このような公知の酸化防止剤および各種添加剤はジアゾ化合物と共にマイクロカプセル中に含有させて用いることも、あるいはカプラーや塩基性物質、その他の発色助剤と共に、固体分散物として、もしくは適当な乳化助剤と共に乳化物にして用いることも、あるいはその両方の形態で用いることもできる。また酸化防止剤および各種添加剤を単独または複数併用することができるのは勿論である。また、保護層に添加または存在させることもできる。
【0068】
これらの酸化防止剤および各種添加剤は同一層に添加しなくてもよい。更にこれらの酸化防止剤および各種添加剤を組み合わせて複数用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、りん化合物、硫黄化合物の様に構造的に分類し、互いに異なる構造のものを組み合わせてもよいし、同一のものを複数組み合わせることもできる。
【0069】
本発明の感光感熱記録材料には、記録後の地肌部の黄着色を軽減する目的で光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を加えることができる。遊離基発生剤としては、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類などが挙げられる。添加する量は、ジアゾ化合物1重量部に対して、遊離基発生剤0.01〜5重量部が好ましい。
【0070】
また同様に黄着色を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、ビニルモノマーと呼ぶ)を用いることができる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。これらの例として、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。ビニルモノマーはジアゾ化合物1重量部に対して0.2〜20重量部の割合で用いる。
前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾ化合物と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
【0071】
本発明では以上の素材の他に酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することができる。
【0072】
本発明の感光感熱記録材料は、ジアゾ化合物を含有したマイクロカプセル、カプラー、及び有機塩基、その他の添加物を含有した塗布液を調製し、紙や合成樹脂フィルム等の支持体の上にバー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等の塗布方法により塗布乾燥して、固型分2.5〜30g/m 2 の感熱層を設けることが好ましい。
本発明の感光感熱記録材料においては、マイクロカプセル、カップリング成分、塩基などが同一層に含まれていてもよいが、別層に含まれるような積層型の構成をとることもできる。また、支持体の上に特願昭59−177669号明細書等に記載されているような中間層を設けた後、感熱層を塗布することもできる。
【0073】
本発明の感光感熱記録材料において使用されるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類などを使用することができる。水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変性物等が挙げられ、ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0074】
本発明の感光感熱記録材料に使用できる顔料としては、有機、無機を問わず公知のものを使用することができる。具体的には、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
【0075】
本発明の感光感熱記録材料においてはその必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその前駆体など各種添加剤を使用することができる。
【0076】
本発明の感光感熱記録材料には必要に応じて記録層の表面に保護層を設けてもよい。保護層は必要に応じて二層以上積層してもよい。保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類が用いられる。保護層の水溶性高分子化合物を架橋して、より一層保存安定性を向上させることもでき、その架橋剤としては公知の架橋剤を使用することができる。具体的にはN−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼砂等の無機系架橋剤、ポリアミドエピクロルヒドリンなどが挙げられる。保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤などを使用することもできる。保護層の塗布量は0.2〜5g/m 2 が好ましく、さらには0.5〜2g/m 2 が好ましい。またその膜厚は0.2〜5μmが好ましく、特に0.5〜2μmが好ましい。
【0077】
本発明の感光感熱記録材料に保護層を使用する場合、保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有してもよい。
【0078】
本発明の支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙などに用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、プラスチックフィルムなどを使用することができる。
支持体のカールバランスを補正するため或いは、裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよく、また裏面に接着剤層を介して剥離紙を組み合わせてラベルの形態にしてもよい。このバックコート層についても上記保護層と同様にして設けることができる。
【0079】
本発明の感光感熱記録材料の記録面にサーマルヘッド等で加熱すると、ポリウレアおよび/またはポリウレタンのカプセル壁が軟化し、カプセル外のカプラーと塩基化合物がカプセル内に進入して発色する。発色後はジアゾ化合物の吸収波長の光を照射する事により、ジアゾ化合物が分解しカプラーとの反応性を失うため画像の定着が行なわれる。
【0080】
定着光源としては、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯などが用いられ、この発光スペクトルが感光感熱記録材料で用いたジアゾ化合物の吸収スペクトルにほぼ一致していることが効率よく定着でき好ましい。
本発明においては、発光中心波長が360〜380nmの定着光源が特に好ましい。
【0081】
本発明では、光分解波長が異なる光分解性ジアゾ化合物を別層に用いることにより多色記録材料とすることもできる。
【0082】
本発明の感光感熱記録材料を多層多色感熱記録材料とした場合には感光感熱記録層相互の混色を防ぐため、中間層を設けることもできる。この中間層はゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子化合物からなり、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
【0083】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0084】
〔実施例1〕
(ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Aの調製)
酢酸エチル16.0部にジアゾ化合物(A−5)2.4部、トリクレジルホスフェート12.1部を添加して均一に混合した。次いでこの混合液に壁材としてタケネートD110N(武田薬品工業社製)8.8部を加え混合しI液を得た。次にフタル化ゼラチンの8%水溶液60部、水23.5部の混合液に上記I液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、9000rpmで10分間乳分散した。得られた乳化物に水20部を加えて均一化した後、攪拌しながら40℃で3時間カプセル化反応をおこなわせてカプセル液Aを得た。カプセルの粒径は0.9〜1.1マイクロメートルであった。
【0085】
(カプラー乳化液Bの調製)
酢酸エチル10.5部にカプラー(B−30)3部、トリフェニルグアニジン3部、トリクレジルホスフェート0.5部、マレイン酸ジエチル0.24部を溶解しII液を得た。
次に石灰処理ゼラチンの15%水溶液49部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの10%水溶液9.5部、水35部を40℃で均一に混合した中にII液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rpmで10分間乳化分散した。得られた乳化物を40℃で2時間攪拌して酢酸エチルを除去後、蒸発した酢酸エチルと水の量を加水によりおぎない、カプラー乳化液Bを得た。
【0086】
(感光感熱記録層塗布液Cの調製)
カプセル液A3.0部、水3.0部、カプラー乳化液B5.8部を混合し、感光感熱記録層塗布液Cを得た。
(保護層塗布液Dの調製)
イタコン酸変性ポリビニルアルコール(KL−318;商品名、クラレ株式会社製)6%水溶液100部とエポキシ変性ポリアミド(FL−71;商品名、東邦化学株式会社製)30%の分散液10部とを混合した液に、ステアリン酸亜鉛40%の分散液(ハイドリンZ;商品名、中京油脂株式会社製)15部を均一に混合し保護層塗布液Dを得た。
【0087】
(塗布)
上質紙にポリエチレンをラミネートした印画紙用支持体上にワイヤーバーで感熱記録層塗布液C、保護層塗布液Dの順に順次塗布と50℃での乾燥を行ない、目的の感熱記録材料を得た。固形分としての塗布量は各々8.0グラム/m2 、1.2グラム/m2 であった。
(発色試験)
京セラ株式会社製サーマルヘッド(KST型)を用い、単位面積あたりの記録エネルギーが50mj/mm2 となるようにサーマルヘッドに対する印加電力およびパルス幅を決め、感熱記録材料に熱印画し画像を得た。次いで、発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプ下に12秒間曝し、地肌部分の濃度を測定した。
(生保存性試験)
記録前の感熱記録材料を60℃、30%RHの条件下72時間強制保存した。
強制保存後、発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプ下に12秒間曝し、地肌部分の濃度を測定した。
(濃度測定)
マクベス濃度計「MacbethRD918」を用い、発色部の濃度はC又はMポジションで、地肌部の濃度はYポジションで測定した。
【0088】
〔実施例2〕
カプラーとしてB−13を3.0部用いた以外は実施例1と同様にして感光感熱記録材料を作成、評価した。
【0089】
〔実施例3〕
ジアゾ化合物としてA−7を2.4部用いた以外は実施例1と同様にして感光感熱記録材料を作成、評価した。
【0090】
〔実施例4〕
ジアゾ化合物としてA−8を2.6部用いた以外は実施例1と同様にして感光感熱記録材料を作成、評価した。
【0091】
〔実施例5〕
ジアゾ化合物としてA−10を2.6部用いた以外は実施例1と同様にして感光感熱記録材料を作成、評価した。
【0092】
〔実施例6〕
ジアゾ化合物としてA−11を2.6部用いた以外は実施例1と同様にして感光感熱記録材料を作成、評価した。
【0093】
〔実施例7〕
ジアゾ化合物としてA−12を2.7部用いた以外は実施例1と同様にして感光感熱記録材料を作成、評価した。
【0094】
〔実施例8〕
ジアゾ化合物としてA−13を2.6部用いた以外は実施例1と同様にして感光感熱記録材料を作成、評価した。
【0095】
〔比較例1〕
ジアゾ化合物として下記C−1を3.0部用いた以外は実施例1と同様にして感光感熱記録材料を作成、評価した。
【0096】
〔比較例2〕
ジアゾ化合物として下記C−2を3.6部用いた以外は実施例1と同様にして感光感熱記録材料を作成、評価した。
【0097】
【化11】
【0098】
結果を以下に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
表1から、本発明の感光感熱記録材料では、発色部分の濃度を高く維持したまま、作製直後だけでなく高温高湿下で強制保存後に使用しても地肌部分の着色が少ないことが分かる。特に、ジアゾニオ基のオルト位に直鎖のアルコキシ基を有するジアゾ化合物(比較例1)やパラ位に長鎖のジアルキルアミノ基を有するジアゾ化合物(比較例2)と比較しても、本発明の感光感熱記録材料では強制保存後の使用においても地肌部分の着色が少なく、さらに、生保存性が改良されていることが分かる。
【0101】
【発明の効果】
本発明によれば、紫外領域のうち比較的波長の短い(350nm〜390nm)光に対する高い感光性を有し、得られる発色画像の発色濃度が極めて高く、かつ生保存性が大幅に改良された感光感熱記録材料が提供される。
Claims (3)
- ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタンおよび/またはポリウレアを構成成分として含むカプセル壁であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光感熱記録材料。
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