JP3913919B2 - 感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はジアゾニウム塩化合物の感光性を利用した記録材料に関するものである。更に詳しくは画像保存性、画像定着性に優れた新規な赤〜マゼンタ〜紫発色型のジアゾ感熱記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジアゾニウム塩化合物は、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古くから利用されており、更に、光によって分解して機能を失う性質を利用して最近では画像の定着が要求される記録材料にも応用され、代表的なものとしてはジアゾニウム塩化合物とカプラ−を画像信号に従って加熱し、反応させて画像を形成した後、光照射により画像を定着する光定着型感熱記録材料が提案されている(佐藤弘次ら、画像電子学会誌、第11巻、290〜296頁(1982年))。
【0003】
更に、ジアゾニウム塩化合物の保在性改良等の技術的な発展もあり、フルカラー感熱記録材料への適用が報告されている(電子写真学会誌、第26巻、115〜125ぺ一ジ(1987年)、FUJIFILM Research&Development,40巻、13頁(1995年)、特公平4−10879号等)。
【0004】
これまでフルカラー感材を作る多くの研究に於いて、マゼンタは365nm付近に極大吸収を有するジアゾを用いて色素を形成させていた。しかしながら、感熱記録材料の高性能化に伴って視感度の高いマゼンタを最上層におくこくによりシャープネスを高める設計が有効であることが分かった。そのためには、420nm前後の波長で定着が可能なジアゾニウム塩化合物を用いてマゼンタ色素を形成するカプラーを用いる必要がある。
420nm前後の波長で定着が可能なジアゾニウム塩化合物と熱時反応して発色するマゼンタカプラーとして、これまで365nm付近に極大吸収を有するジアゾニウム塩化合物と熱時反応して発色する1−ヒドロキシクマリン等のカプラーを用いた場合には、非常にブロードで茶色い色味を示す色素を与えてしまい、その母核上の置換基を変えてもマゼンタを形成することはできなかった。
【0005】
また、これを改良する目的で、特願平9−152414号に新しいジアゾニウム塩が提案されている。1−ヒドロキシクマリンカプラーから得られる色相は、従来型のジアゾから得られるものに比べて改良されているものの、色相として満足できるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、420nm前後の波長で定着が可能なジアゾニウム塩化合物を用いて、色相の良好なマゼンタ色素を与えるカプラ−を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下に示す感熱記録材料を提供することにより達成される。
(1)支持体上にジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して発色するカプラ−とを含有する感熱記録層を設けた感熱記録材料において、該カプラーとして、下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する感熱記録材料。
【0008】
【化4】
【0009】
(式中、Yは、炭素原子または硫黄原子を表す。Zは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Rは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはアミノ基を表す。n1は、Yが炭素原子のときは1を表し、Yが硫黄原子のときは1または2を表す。n1が2のとき、2つのZは、同じであっても異なっていても良い。X1 、X2 、X3 は、それぞれ独立に5員芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子団を表す。但し、X1 、X2 、X3 の組み合わせとして2つが炭素原子、残り1つが窒素原子を表すことはない。)
【0010】
(2)前記ジアゾニウム塩が、下記一般式(2)で表わされる化合物である前記(1)に記載の感熱記録材料。
【0011】
【化5】
【0012】
(式中、R11は、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシル基、アシル基またはシアノ基を表す。 R13、R14は、それぞれ水素原子、アルキル基またはアリ−ル基を表す。 R12、R15、R16は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。X- は陰イオンを表す。R13とR14、R12とR13、またはR14とR15は、互いに結合して環を形成してもよい。)
【0013】
(3)前記ジアゾニウム塩化合物が、下記一般式(3)で表される化合物前記(1)に記載の感熱記録材料。
【0014】
【化6】
【0015】
(式中、R11は、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリ−ルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基またはシアノ基を表す。 R13、R14は、それぞれ水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。X- は陰イオンを表す。R13とR14は、互いに結合して環を形成してもよい。)
【0016】
(4)前記(1)乃至(3)のジアゾニウム塩化合物がマイクロカプセルに内包されている感熱記録材料。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に少なくともジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して発色するカプラ−とを含有し、該カプラーとして、前記一般式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有してなる。一般式(1)で表される化合物は、種々の互変異性構造をとりうるものであり、本発明の一般式(1)で表される化合物は、これら互変異性体をも含むものである。
【0018】
本発明において、カプラーとして用いられる一般式(1)で表される化合物について詳しく説明する。
【0019】
一般式(1)中、Yは、炭素原子または硫黄原子を表し、好ましくは、硫黄原子を表す。Zは、酸素原子または硫黄原子を表し、好ましくは、酸素原子を表す。n1は、Yが炭素原子のときは1を表し、Yが硫黄原子のときは1または2を表す。n1が2のとき、2つのZは同じであっても、異なっていても良い。Yが硫黄原子のときn1として好ましくは2である。
【0020】
一般式(1)中、Rは、アルキル基(例えばメチル基、イソプロピル基、2- エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロヘキシル基)、アリール基(例えばフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基)、ヘテロ環基、アルコキシ基(例えばメトキシ基、イソプロピルオキシ基、デシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基)、またはアミノ基(例えばアミノ基、メチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルヘキシルアミノ基、ジオクチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基)を表す。こらの基は、さらに置換基を有していても良く、該置換基としては、 アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハゲロン原子、水酸基が挙げられる。Rとして好ましくは、アルキル基またはアリール基である。また置換基として好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基または塩素原子である。
【0021】
一般式(1)中、X1 、X2 、X3 は、それぞれ独立に5員芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子団を表す。但し、X1 、X2 、X3 の組み合わせとして2つが炭素原子、残り1つが窒素原子を表すことはない。
X1 として好ましくは、酸素原子、硫黄原子、−N(R31)一であり、更に好ましくは、硫黄原子である。X2 として好ましくは、窒素原子、−C(R32)=であり、更に好ましくは、窒素原子である。 X3 として好ましくは、窒素原子、一C(R33)=であり、更に好ましくは−C(R33)=である。 R31は、水素原子、アルキル基もしくはアリール基を表し、好ましくは、アルキル基を表す。これらの基は、更に置換基を有していても良く、該置換基としては、Rの置換基で挙げられたものと同様である。 R32、R33は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、アシル基、スルホニル基、スルホニルアミノ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ハロゲン原子等を表し、好ましくは、アルキル基、アリール基、およびヘテロ環基を表す。これらは更に置換基を有していても良く、該置換基としては、Rの置換基で挙げられたものと同様である。
【0022】
一般式(1)中のX1 、X2 、X3 が形成する5員芳香族ヘテロ環の代表例としては以下のもの(H1〜H11)が挙げられ、これらのうちで好ましくは、H1、H2、H3、H4、H5、H9、H11であり、更に好ましくはH1、H2、H9であり、最も好ましくはH1である。
【0023】
【化7】
【0024】
以下に本発明のカプラーとして用いる一般式(1)で表される化合物の具体例(K−1〜K−92)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】
【化11】
【0029】
【化12】
【0030】
【化13】
【0031】
【化14】
【0032】
【化15】
【0033】
【化16】
【0034】
【化17】
【0035】
【化18】
【0036】
【化19】
【0037】
【化20】
【0038】
【化21】
【0039】
【化22】
【0040】
【化23】
【0041】
次に本発明のカプラ−は種々の方法により合成できるが、代表的な合成例を以下に示す。
(合成例1)(例示化合物K−1の合成)
【0042】
【化24】
【0043】
1a(50g)と1b(20g)を2−プロパノール(500ml)中で、2時間還流した。反応液を氷冷し、析出した結晶を濾過、冷やした2−プロパノールで洗浄、風乾した。この結晶を炭酸水素ナトリウム水溶液中に分散し、1時間攪拌した。その後、結晶を濾過、水洗、風乾することにより1cを52g(94%)得た。
1c(21g)とテトラヒドロフラン(300ml)の混合物を氷冷後、1d(42g)を加え、続いてNaHのオイル分散物(含有率40%)を反応液が15℃以下を保つように加えた。その後更に30分攪拌し、そこに1N塩酸(150ml)と酢酸エチル(300ml)を加えた。水層を分離し、更に有機層を水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、ヘキサンから晶析し、更に得られた結晶を酢酸エチル(40ml)とヘキサン(300ml)から再結晶することにより例示化合物K−1を38g(64%)得た。融点116〜117℃。
【0044】
(合成例2)(例示化合物K−59の合成)
【0045】
【化25】
【0046】
59a(4.4g)と59b(1.8g)を2−プロパノ−ル(30ml)中で混合し、3時間還流した。溶媒を留去後、酢酸エチル(50ml)に溶かし、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を濃縮後、残査を酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒を用いてシリカゲルカラム精製することにより例示化合物K−59を4.5g(87%)得た。
【0047】
本発明のカプラーとして用いる一般式(1)で表される化合物の感光層中の含有量は、0.02〜5g/m2 の範囲が好ましく、0.1〜4g/m2 の範囲がさらに好ましい。0.02g/m2 より小さいと発色性が不十分となり易く、5g/m2 を超えると塗布適性に問題が生じ易くなる。
【0048】
本発明の感熱記録材料に用いられるジアゾニウム塩化合物は、下記一般式(A)で表される化合物であり、加熱によりカプラーとカップリング反応を起こして発色し、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
一般式(A) Ar−N2 + X-
(一般式(A)中、Arは芳香族部分を示し、X- は酸アニオンを示す)
【0049】
塩を形成するジアゾニウム塩化合物の具体例としては、4−(p−トリルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(4−クロロフェニルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジプロピルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−アニリノベンゼンジアゾニウム、4−〔N−(4−メトキシベンゾイル)アミノ〕−2.5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−ピロリジノ−3−エチルベンゼンジアゾニウム、4−〔N−(1−メチル−2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ〕−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−〔N−(2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ〕−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、2−(1−エチルプロピルオキシ)−4−〔ジ−(ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル)アミノ〕ベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
【0050】
本発明に用いられるジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmax は、450nm以下であることが効果の点から好ましく、290〜440nmであることがより好ましい。ジアゾニウム塩化合物が上記波長領域よりも長波長側にλmax を有すると生保存性の点で、短波長側にλmax を有するとカプラーとの組み合わせにおいて画像定着性、画像保存性の点でいずれも好ましくない。
また、本発明において用いられるジアゾニウム塩化合物は、炭素原子数が12以上で、水に対する溶解度が1%以下で、かつ酢酸エチルに対する溶解度が5%以上であることが望ましい。
【0051】
これらのジアゾニウム塩化合物の中でも、本発明の特定カプラーとの組み合わせにおいて、形成される色素の色相、画像の濃度、画像保存性、画像定着性の点で、前記一般式(2)、一般式(3)で表されるジアゾニウム塩化合物の少なくとも1種を用いることがより好ましい。
【0052】
次に一般式(2)および(3)で表されるジアゾニウム塩化合物について詳細に説明する。
【0053】
一般式(2)および(3)中、R11で表されるアルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
特に総炭素数1〜30のアルキルスルフェニル基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、2−(N,N−ジオクチルカルバモイル)エチルチオ基)、アリルチオ基、ベンジルチオ基、総炭素数6〜30のアリールスルフェニル基(例えばフェニルチオ基、4−メトキシフェニルチオ基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルチオ基、2−ブトキシカルボニルフェニルチオ基、2−クロロフェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基)が好ましい。
【0054】
一般式(2)および(3)中、R11で表されるアルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
特に総炭素数1〜30のアルキルスルフィニル基(例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、オクタデシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、2−(N,N−ジオクチルカルバモイル)エチルスルフィニル基)、アリルスルフィニル基、ベンジルスルフィニル基、総炭素数6〜30のアリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル基、4−メトキシフェニルスルフィニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルフィニル基、2−ブトキシカルボニルフェニルスルフィニル基、2−クロロフェニルスルフィニル基、4−クロロフェニルスルフィニル基、4−メチルフェニルスルフィニル基)が好ましい。
【0055】
一般式(2)および(3)中、R11で表されるアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基は置換基を有していてもよく、その置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
特に総炭素数1〜30のアルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、オクタデシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、2−(N,N−ジオクチルカルバモイル)エチルスルホニル基)、アリルスルホニル基、ベンジルスルホニル基、総炭素数6〜30のアリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルホニル基、2−ブトキシカルボニルフェニルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基)が好ましい。
【0056】
一般式(2)および(3)中、R11で表されるスルファモイル基は無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数3〜30のN,N−ジアルキル(あるいはアリール)スルファモイル基が好ましく、例えばN,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジオクチルスルファモイル基、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)スルファモイル基、N−エチル−N−ベンジルスルファモイル基、N−エチル−N−ブチルスルファモイル基、ピペリジノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基、モルホリノスルホニル基、4−オクタノイルピペラジノスルホニル基、ヘキサメチレンイミノスルホニル基が好ましい。
【0057】
一般式(2)および(3)中、R11で表されるアルコキシカルボニル基は無置換でも置換基を有していてもよく、その置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
特に総炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、2−エトキシエトキシカルボニル基、2−クロロエトキシカルボニル基、2−フェノキシエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。
【0058】
一般式(2)および(3)中、R11で表されるカルバモイル基は無置換でも置換基を有していてもよく、N,N−ジアルキル(あるいはアリール)カルバモイル基が好ましく、このアルキル基(あるいはアリール基)は無置換でも置換基を有していてもよく、置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
特に総炭素数3〜30のN,N−ジアルキル(あるいはアリール)カルバモイル基が好ましく、例えばN,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N,N−ジオクチルカルバモイル基、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)カルバモイル基、N−エチル−N−ベンジルカルバモイル基、N−エチル−N−ブチルカルバモイル基、ピペリジノカルボニル基、ピロリジノカルボニル基、モルホリノカルボニル基、4−オクタノイルピペラジノカルボニル基、ヘキサメチレンイミノカルボニル基が好ましい。
【0059】
一般式(2)および(3)中、R11で表されるアシル基は脂肪族アシル基、芳香族アシル基、ヘテロ環アシル基が好ましく、これらは無置換でも置換基を有していてもよく、その置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
特に総炭素数2〜30のアシル基が好ましく、例えばアセチル基、ブタノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基が好ましい。
【0060】
一般式(2)および(3)中、R13、R14で表されるアルキル基は無置換でも置換基を有していてもよく、その置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
特に総炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、2−(4−ブトキシフェノキシ)エチル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基が好ましい。
【0061】
一般式(2)および(3)中、R13、R14で表わされるアリール基は無置換でも置換基を有していてもよく、その置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
特に総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基が好ましい。
【0062】
一般式(2)中、R12、R15、R16で表されるアルキル基は無置換でも置換基を有していてもよく、その置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
特に総炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基、クロロエチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0063】
一般式(2)中、R12、R15、R16で表されるアリール基は無置換でも置換基を有していてもよく、その置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
特に総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基が好ましい。
【0064】
一般式(2)中、R12、R15、R16で表されるアルコキシ基は無置換でも置換基を有していてもよく、その置換基としては例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基が好ましい。
特に総炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−フェノキシエトキシ基が好ましい。
【0065】
一般式(2)中、R12、R15、R16で表されるハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
【0066】
なお、R13とR14あるいはR12とR13あるいはR14とR15は互いに結合して環を形成する場合、5ないし7員環を形成することが好ましい。
また、R13とR14が結合し含窒素複素環を形成する場合、5ないし7員環を形成することが好ましく、例えばピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、4−アシルピペラジノ基、4−スルホニルピペラジノ基、ヘキサメチレンイミノ基が好ましい。
さらに、R11、R12、R13、R14、R15、R16が置換基としてジアゾニオフェニル基を有した置換基であり、ビス体あるいはそれ以上の多量体を形成してもよい。
【0067】
一般式(2)および(3)中、X- で表わされる陰イオンは無機陰イオンとしてはヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオンが好ましく、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが特に好ましい。有機陰イオンとしてはポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオンが好ましい。
【0068】
以下に本発明の一般式(2)または(3)で表されるジアゾニウム塩化合物の具体例(A−1〜A−47)を示す。しかし、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0069】
【化26】
【0070】
【化27】
【0071】
【化28】
【0072】
【化29】
【0073】
【化30】
【0074】
【化31】
【0075】
【化32】
【0076】
【化33】
【0077】
【化34】
【0078】
一般式(2)または(3)で表されるジアゾニウム塩化合物は既知の方法で製造することが可能である。すなわち、対応するアニリンを酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等を用いてジアゾ化することにより得られる。例として例示化合物A−1の合成例を以下に示す。
【0079】
〔例示化合物A−1の合成例〕
(2−ドデシルスルホニル−4−ピロリジノニトロベンゼンの合成例)
2−ドデシルスルホニル−4−クロロニトロベンゼン 27.5グラム、ピロリジン 5.5グラム、炭酸カリウム 13.8グラム、ジメチルアセトアミド70ミリリットルの混合物を90℃で3時間加熱攪拌した。反応混合物に水210ミリリットルを添加し、析出した結晶を濾集し、アセトニトリルで再結晶し2−ドデシルスルホニル−4−ピロリジノニトロベンゼン 12.7グラムを得た。
【0080】
(2−ドデシルスルホニル−4−ピロリジノアニリンの合成例)
鉄粉 19.5グラム、塩化アンモニウム 2.0グラム、水 35ミリリットル、イソプロパノール 105ミリリットルを加熱還流した中に、2−ドデシルスルホニル−4−ピロリジノニトロベンゼン 20.7グラムを分割添加した。反応混合物を30分加熱還流したのち、室温まで冷却し不溶物をセライトを用いて濾別した。濾液を濃縮後カラムクロマトにより精製し、2−ドデシルスルホニル−4−ピロリジノアニリンを11.6グラム得た。
【0081】
〔例示化合物A−2の合成例〕
0℃に冷却した 2−ドデシルスルホニル4−ピロリジノアニリン 11.6グラム、濃塩酸 7.5ミリリットル、メタノール 60ミリリットルの混合物に亜硝酸ナトリウム 2.3グラム、水 12ミリリットルの溶液を滴下した。10℃で1時間攪拌した後、反応混合物にヘキサフルオロリン酸カリウム 6.6グラム、水 60ミリリットルを添加し室温で1時間攪拌した。析出した結晶を濾集し水、イソプロパノールで順次洗浄後、酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒から再結晶した。乾燥後、例示化合物A−1を10.1グラム得た。メタノール中の紫外可視吸収スペクトルはλmax 392nm,ε 3.06×104 であった。
【0082】
一般式(2)または(3)で表わされる化合物は油状物、結晶状態のいずれであってもよいが、取扱い性の点で結晶状態のものが好ましい。
これらの一般式(2)または(3)の化合物は単独で用いてもよいし、2種以上併用することもできる。
また一般式(2)または(3)の化合物を感熱記録材料に用いる場合、感光感熱記録層中において0.02〜5g/m2の範囲で用いることが好ましいが、発色濃度の点から0.1〜4g/m2の範囲で用いることが特に好ましい。
【0083】
上記ジアゾニウム塩化合物の安定化のために塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズ等を用いて錯化合物を形成させジアゾニウム塩化合物の安定化を行なうこともできる。これらのジアゾニウム塩化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0084】
本発明の感熱記録材料は、その使用前の生保存性を良好とするために、ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルに内包させることが好ましい。その形成方法は既に公知の方法を用いることができる。カプセル壁を形成する高分子物質は常温では不透過性であり、加熱時に透過性となることが必要で有り、特にガラス転移温度が60−200℃のものが好ましい。これらの例として、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン・メタクリレート共重合体、スチレン・アクリレート共重合体およびこれらの混合系をあげることができる。
【0085】
マイクロカプセル形成法としては、界面重合法および内部重合法が適している。カプセル形成方法の詳細およびリアクタントの具体例については、米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書に記載がある。例えば、ポリウレア、ポリウレタンをカプセル壁材として用いる場合は、ポリイソシアネートおよびそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えばポリオール、ポリアミン)を水性媒体またはカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれらを乳化分散し次に加温することにより油滴界面で高分子形成反応を起こしマイクロカプセル壁を形成する。なお上記第2物質の添加を省略した場合もポリウレアが生成する。
本発明においては、マイクロカプセル壁を形成する高分子物質は、ポリウレタンやポリウレアの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
以下に、本発明におけるジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について述べる。
【0086】
まず、ジアゾニウム塩化合物はカプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解または分散させる。この場合の有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましい。芯溶媒中には、更に、多価イソシアネートが壁材として添加される(油相)。
【0087】
一方、水相としては、ポリビニルアルコール、ゼラチンなどの水溶性高分子を溶解した水溶液を用意し、次いで前記油相を投入し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行う。このとき水溶性高分子は乳化分散の安定化剤として作用する。乳化分散を更に安定に行うために、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。
【0088】
多価イソシアネートの使用量は、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0089】
水相中にポリオールを添加しておけば、多価イソシアネートとポリオールが反応してポリウレタン壁を形成することもできる。反応速度を速めるために反応温度を高く保ち、あるいは適当な重合触媒を添加することが好ましい。多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治 編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社 (1987))。
【0090】
マイクロカプセル壁の原料として用いる多価イソシアネート化合物としては3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物を併用してもよい。具体的にはキシレンジイソシアネートおよびその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびその水添物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシヌレート)の他、トリメチロールプロパンなどのポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパンなどのポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物などが挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
【0091】
更に、ポリオール又はポリアミンを、芯となる疎水性溶媒中又は分散媒となる水溶性高分子溶液中に添加しておき、マイクロカプセル壁の原料の一つとして用いることもできる。これらのポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
【0092】
前記のジアゾニウム塩化合物化合物を溶解し、マイクロカプセルの芯を形成するときの疎水性有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、具体的にはアルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類などが挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
【0093】
カプセル化しようとするジアゾニウム塩化合物のこれらの溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いようとするジゾ化合物の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。このため、ジアゾニウム塩化合物はこれら高沸点疎水性有機溶媒、低沸点補助溶媒に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には該溶剤に5%以上の溶解度を有していることが好ましい。水に対する溶解度は1%以下が好ましい。
【0094】
このようにして調製されたカプセルの油相を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子は、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としては、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0095】
これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、低いことが好ましく、たとえばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成するなどして反応性をなくしておくことが必要である。
また、界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤の添加量は、油相の重量に対して0.1%〜5%、特に0.5%〜2%であることが好ましい。
【0096】
乳化は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミルなど、公知の乳化装置を用いることができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行う等の必要がある。
【0097】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加しても良い。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセルを得ることができる。
【0098】
本発明に用いられるカプラーは、塩基性物質、その他の発色助剤等とともに、サンドミル等により水溶性高分子とともに固体分散して用いることもできるが、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして有する水相と混合し、乳化分散物とすることが好ましい。乳化分散を容易にする観点から、界面活性剤を用いることが好ましい。
【0099】
この場合に使用される有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルの中から適宜選択することができる。
これらの中でもエステル類を使用することが、乳化分散物の乳化安定性の観点から好ましく、中でも、リン酸トリクレジルが特に好ましい。
上記のオイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0100】
上記の有機溶剤に、更に低沸点の溶解助剤として補助溶剤を加えることもできる。このような補助溶剤として、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等を特に好ましいものとして挙げることができる。場合により、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0101】
これらの成分を含有する油相と混合する水相に、保護コロイドとして含有させる水溶性高分子は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。好ましい水溶性高分子としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等を挙げることができる。
【0102】
又水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。好ましい界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができる。
【0103】
本発明においては、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を加えることもできる。これらの有機塩基は、単独で用いても2種以上併用して用いることもできる。塩基性物質としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙げられる。特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭58−1347901号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものを使用できる。
【0104】
これらの中でも、特に、N,N′−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N′−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0105】
本発明においては、ジアゾニウム塩化合物1重量部に対するカプラー及び塩基性物質の使用量は、それぞれ0.1〜30重量部であることが好ましい。
【0106】
本発明においては、上記した有機塩基の他にも、発色反応を促進させる目的で発色助剤を加えることができる。発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、もしくは最低発色温度を低くする物質であり、カプラー、塩基性物質、もしくはジアゾニウム塩化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾニウム塩化合物、塩基性物質、カプラー等が反応しやすい状況を作るためのものである。
【0107】
本発明に用いられる発色助剤として、例えば低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画が行われるように、発色層中にフェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物ヒドロキシ化合物、等を加えることができる。
【0108】
本発明の感熱記録材料においては、熱発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、または、定着後の未印字部分の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることが好ましい。
上記の酸化防止剤については、例えばヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載されている。
【0109】
更に、本発明においては感熱記録材料や感圧記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの各種添加剤の具体例としては、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載されてる化合物を挙げることができる。
【0110】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0111】
これらの酸化防止剤および各種添加剤の添加量は、ジアゾニウム塩化合物1重量部に対して0.05〜100重量部の割合であることが好ましく、特に0.2〜30重量部であることが好ましい。
このような公知の酸化防止剤および各種添加剤はジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセル中に含有させて用いることも、あるいはカプラーや塩基性物質、その他の発色助剤と共に、固体分散物として、もしくは適当な乳化助剤と共に乳化物にして用いることも、あるいはその両方の形態で用いることもできる。また酸化防止剤および各種添加剤を単独または複数併用することができるのは勿論である。また、保護層に添加または存在させることもできる。
【0112】
これらの酸化防止剤および各種添加剤は同一層に添加しなくてもよい。更にこれらの酸化防止剤および各種添加剤を組み合わせて複数用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、りん化合物、硫黄化合物の様に構造的に分類し、互いに異なる構造のものを組み合わせてもよいし、同一のものを複数組み合わせることもできる。
【0113】
本発明の感熱記録材料には、記録後の地肌部の黄着色を軽減する目的で光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を加えることができる。遊離基発生剤としては、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類などが挙げられる。添加する量は、ジアゾニウム塩化合物1重量部に対して、遊離基発生剤0.01〜5重量部が好ましい。
【0114】
また同様に黄着色を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、ビニルモノマーと呼ぶ)を用いることができる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。これらの例として、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。ビニルモノマーはジアゾニウム塩化合物1重量部に対して0.2〜20重量部の割合で用いる。
前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
【0115】
本発明では以上の素材の他に酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することができる。
【0116】
本発明の感熱記録材料は、ジアゾニウム塩化合物を含有したマイクロカプセル、カプラー、及び有機塩基、その他の添加物を含有した塗布液を調製し、紙や合成樹脂フィルム等の支持体の上にバー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等の塗布方法により塗布乾燥して、固型分2.5〜30g/m2の感熱層を設けることが好ましい。
本発明の感熱記録材料においては、マイクロカプセル、カップリング成分、塩基などが同一層に含まれていてもよいが、別層に含まれるような積層型の構成をとることもできる。また、支持体の上に特願昭59−177669号明細書等に記載されているような中間層を設けた後、感熱層を塗布することもできる。
【0117】
本発明の感熱記録材料において使用されるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類などを使用することができる。水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変成ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変成物等が挙げられ、ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0118】
本発明の感熱記録材料に使用できる顔料としては、有機、無機を問わず公知のものを使用することができる。具体的には、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
【0119】
本発明の感熱記録材料においてはその必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその前駆体など各種添加剤を使用することができる。
【0120】
本発明の感熱記録材料には必要に応じて記録層の表面に保護層を設けてもよい。保護層は必要に応じて二層以上積層してもよい。保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類が用いられる。保護層の水溶性高分子化合物を架橋して、より一層保存安定性を向上させることもでき、その架橋剤としては公知の架橋剤を使用することができる。具体的にはN−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼砂等の無機系架橋剤、ポリアミドエピクロルヒドリンなどが挙げられる。保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤などを使用することもできる。保護層の塗布量は0.2〜5g/m2が好ましく、さらには0.5〜2g/m2が好ましい。またその膜厚は0.2〜5μmが好ましく、特に0.5〜2μmが好ましい。
【0121】
本発明の感熱記録材料に保護層を使用する場合、保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有してもよい。
【0122】
本発明の支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙などに用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、プラスチックフィルムなどを使用することができる。
支持体のカールバランスを補正するため或いは、裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよく、また裏面に接着剤層を介して剥離紙を組み合わせてラベルの形態にしてもよい。このバックコート層についても上記保護層と同様にして設けることができる。
【0123】
本発明の感熱記録材料の記録面にサーマルヘッド等で加熱すると、ポリウレアおよび/またはポリウレタンのカプセル壁が軟化し、カプセル外のカプラーと塩基化合物がカプセル内に進入して発色する。発色後はジアゾニウム塩化合物の吸収波長の光を照射する事により、ジアゾニウム塩化合物が分解しカプラーとの反応性を失うため画像の定着が行なわれる。
【0124】
定着光源としては、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯などが用いられ、この発光スペクトルが感熱記録材料で用いたジアゾニウム塩化合物の吸収スペクトルにほぼ一致していることが効率よく定着でき好ましい。
本発明においては、発光中心波長が360〜440nmの定着光源が特に好ましい。
【0125】
本発明では、光分解波長が異なる光分解性ジアゾニウム塩化合物を別層に用いることにより多色記録材料とすることもできる。
【0126】
本発明の感熱記録材料を多層多色感熱記録材料とした場合には感光感熱記録層相互の混色を防ぐため、中間層を設けることもできる。この中間層はゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子化合物からなり、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
【0127】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は『重量部』を意味する。
【0128】
〔実施例1〕
(ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Aの調製)
酢酸エチル19部にジアゾニウム塩化合物(A−1)2.8部、トリクレジルホスフェート10部を添加して均一に混合した。次いでこの混合液に壁材としてタケネートD110N(武田薬品工業製)7.6部を加え混合しI液を得た。次にフタル化ゼラチンの8%水溶液46部、水17.5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの10%水溶液2部の混合液に上記I液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rpmで10分間乳分散した。得られた乳化物に水20部を加えて均一化した後、攪拌しながら40℃で3時間カプセル化反応をおこなわせてカプセル液Aを得た。カプセルの粒径は0.7〜0.8マイクロメートルであった。
【0129】
(カプラー乳化液Bの調製)
酢酸エチル10.5部にカプラー(K−1)3部、トリフェニルグアニジン3部、トリクレジルホスフェート0.5部、マレイン酸ジエチル0.24部を溶解しII液を得た。
次に石灰処理ゼラチンの15%水溶液49部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの10%水溶液9.5部、水35部を40℃で均一に混合した中にII液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rpmで10分間乳化分散した。得られた乳化物を40℃で2時間攪拌して酢酸エチルを除去後、蒸発した酢酸エチルと水の量を加水によりおぎない、カプラー乳化液Bを得た。
【0130】
(感光感熱記録層塗布液Cの調製)
カプセル液A3.6部、水3.3部、カプラー乳化液B9.5部を混合し、感光感熱記録層塗布液Cを得た。
【0131】
(保護層塗布液Dの調製)
イタコン酸変性ポリビニルアルコール(KL−318;商品名、クラレ株式会社製)6%水溶液100部とエポキシ変性ポリアミド(FL−71;商品名、東邦化学株式会社製)30%の分散液10部とを混合した液に、ステアリン酸亜鉛40%の分散液(ハイドリンZ;商品名、中京油脂株式会社製)15部を均一に混合し保護層塗布液Dを得た。
【0132】
(塗布)
上質紙にポリエチレンをラミネートした印画紙用支持体上にワイヤーバーで感熱記録層塗布液C、保護層塗布液Dの順に順次塗布と50℃での乾燥を行ない、目的の感熱記録材料を得た。固形分としての塗布量は各々8.0グラム/m2 、1.2グラム/m2 であった。
【0133】
(発色試験)
京セラ株式会社製サーマルヘッド(KST型)を用い、単位面積あたりの記録エネルギーが50mj/mm2 となるようにサーマルヘッドに対する印画電力およびパルス幅を決め、感熱記録材料に熱印画し画像を得た。次いで、発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプ下に10秒間曝した。得られた発色画像から、可視域における吸収極大波長と半値幅(吸収極大の吸収度を1.0と規格化した時の吸光度0.5での吸収波長域の値)を測定した。
【0134】
〔実施例2〕
カプラーとしてK−2を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製、評価した。
【0135】
〔実施例3〕
ジアゾニウム塩化合物としてA−44を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製、評価した。
【0136】
〔実施例4〕
カプラーとしてK−4を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製、評価した。
【0137】
〔実施例5〕
カプラーとしてK−5を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製、評価した。
【0138】
〔実施例6〕
ジアゾニウム塩化合物としてA−46を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製、評価した。
【0139】
〔実施例7〕
カプラーとしてK−77を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製、評価した。
【0140】
〔実施例8〕
カプラーとしてK−78を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製、評価した。
【0141】
〔比較例1〕
カプラーとしてH−1を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製、評価した。
【0142】
【化35】
【0143】
以下に実施例1〜8及び比較例1の結果を表1に示す。
【表1】
【0144】
結果より、本発明の感熱記録材料においては、極めてシャープな吸収特性を有する発色画像が得られることがわかる。
【0145】
〔実施例9〕
カプラー(K−1)とジアゾニウム塩化合物(A−1)とから得られる色素の溶液吸収(クロロホルム/メタノール=1/1)の吸収極大波長と半値幅(前記に説明)を測定した。
【0146】
〔実施例10〕
カプラー(K−2)とジアゾニウム塩化合物(A−1)とから得られる色素の溶液吸収を実施例9と同様にして測定した。
【0147】
〔実施例11〕
カプラー(K−3)とジアゾニウム塩化合物(A−1)とから得られる色素の溶液吸収を実施例9と同様にして測定した。
【0148】
〔実施例12〕
カプラー(K−4)とジアゾニウム塩化合物(A−1)とから得られる色素の溶液吸収を実施例9と同様にして測定した。
【0149】
〔実施例13〕
カプラー(K−5)とジアゾニウム塩化合物(A−1)とから得られる色素の溶液吸収を実施例9と同様にして測定した。
【0150】
〔実施例14〕
カプラー(K−1)とジアゾニウム塩化合物(A−44)とから得られる色素の溶液吸収を実施例9と同様にして測定した。
【0151】
〔比較例2〕
カプラー(下記化合物(B))とジアゾニウム塩化合物(A−1)とから得られる色素の溶液吸収を実施例9と同様にして測定した。
【0152】
【化36】
【0153】
〔比較例3〕
カプラー(化合物(B))とジアゾニウム塩化合物(A−44)とから得られる色素の溶液吸収を実施例9と同様にして測定した。
【0154】
〔比較例4〕
カプラー(下記化合物(C))とジアゾニウム塩化合物(A−44)とから得られる色素の溶液吸収を実施例9と同様にして測定した。
【0155】
【化37】
【0156】
実施例9〜14および比較例2〜4の結果を表2に示す。
【0157】
【表2】
【0158】
表2からわかるように、比較例のカプラー(化合物(B)(クマリン)、化合物(C)(ピラゾロン))から得られる色素は、吸収がブロ−ドで暗いマゼンタを与えるのに対して、本発明のカプラ−はいずれも吸収がシャ−プで鮮やかなマゼンタを与えており、本発明の有用性は明白である。
【0159】
【発明の効果】
本発明は、定着阻害がなく、優れた発色性、色再現性、画像堅牢性を有する感光感熱記録材料を提供することができ、さらに、420nm前後の波長で定着が可能なジアゾニウム塩化合物を用いても、色相の良好なマゼンタ色素を与えるカプラ−を提供することができる。
Claims (4)
- 支持体上にジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して発色するカプラ−とを含有する感熱記録層を設けた感熱記録材料において、該カプラーとして、下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする感熱記録材料。
- 前記ジアゾニウム塩が、下記一般式(2)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
- 前記ジアゾニウム塩化合物がマイクロカプセルに内包されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の感熱記録材料。
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