JP2004149451A - ジアゾニウム塩および記録材料 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジアゾニウム塩、およびジアゾニウム塩を含む記録材料に関し、詳しくは、アゾ色素の合成中間体、分析試薬、感熱記録材料用素材等として有用な新規ジアゾニウム塩、および高画質画像を安定的に形成することができる記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジアゾニウム塩は、アゾ色素の重要な合成中間体として知られている。アゾ色素の合成法については、従来から種々の方法が知られており、酸化反応による合成や、還元反応による合成、置換反応による合成、付加反応による合成、縮合反応による合成、その他種々の合成法がある(例えば、非特許文献1参照)。かかる方法では、合成の過程において、ジアゾニウム塩の爆発を伴なうといった危険性を有しており、その爆発の懸念の少ない安定なジアゾニウム塩の開発が要請されていた。
【0003】
一方、ジアゾニウム塩は、体液中に含まれる胆汁色素の主成分であるビリルビンの定量的分析に使用されており、医学および薬学分野においても重要な化合物として位置付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
他方、ジアゾニウム塩は一般に非常に化学的活性の高い化合物であり、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する、いわゆるカプラーと呼ばれる化合物と反応して容易にアゾ染料を形成すると共に、感光性をも有し、光照射によって分解し、その活性を失うという性質を有するため、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古くから利用されている(例えば、非特許文献2参照)。その代表例として、ジアゾニウム塩とカプラーとを含む記録層を設けた記録材料を、画像信号にしたがって加熱、反応させ画像形成した後、更に光照射して定着する、光定着型の感熱記録材料が提案されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0005】
ジアゾニウム塩を発色成分とする記録材料は、ジアゾニウム塩の化学的活性が非常に高く、暗所でも徐々に熱分解してその反応性を失うことから、記録材料としてのシェルフライフが短いという欠点があった。また、非画像部である地肌部では光定着時に残留ジアゾニウム塩が分解し、着色した分解生成物(ステイン)の生成により地肌部が着色するという欠点もあった。さらに、定着後でも地肌部は耐光性が弱く、太陽光や蛍光灯下に長時間曝されると次第に着色されてしまうという欠点もあった。
また更に、記録速度の向上は長年の課題として検討が続けられており、光定着性を改良し、短時間で光定着できるジアゾニウム塩が求められていた。
【0006】
従来からジアゾニウム塩の不安定さを改善する手段として様々な方法が提案されており、最も有効な手段の1つとして、ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包する方法がある。ジアゾニウム塩をマイクロカプセル化することにより、ジアゾニウム塩が水や塩基といった分解を促進させる物質から隔離され、その分解が著しく抑制されるため、記録材料のシェルフライフを飛躍的に向上できる(例えば、非特許文献4参照)。
【0007】
ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包する一般的な方法としては、疎水性溶媒にジアゾニウム塩を溶解して油相とし、この油相を水溶性高分子を溶解した水溶液(水相)に加えてホモジナイザー等で乳化分散すると共に、マイクロカプセルの壁材となるモノマー若しくはプレポリマーを油相及び/又は水相に添加しておくことにより油相/水相界面で重合反応を起こさせ、あるいはポリマーを析出させて高分子化合物からなる壁を形成させてマイクロカプセルとする方法である(例えば、非特許文献5〜6参照)。
【0008】
形成されるカプセル壁としては、架橋ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース類、ウレア樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ナイロン樹脂等が使用される。特に、ウレア樹脂やウレタン樹脂のようにガラス転移温度を有し、そのガラス転移温度が室温よりやや高い壁を有するマイクロカプセルの場合、室温ではカプセル壁が物質非透過性を示す一方、ガラス転移温度以上では物質透過性を示すため、熱応答性マイクロカプセルと呼ばれ、感熱系の記録材料に有用である。すなわち、支持体上に、ジアゾニウム塩を含む熱応答性マイクロカプセルとカプラーとを発色成分として含む感熱記録層を有する感熱記録材料では、ジアゾニウム塩を長期間安定に保持できると同時に、加熱により容易に画像形成でき、更に光照射して形成画像を定着処理することにより、記録材料としての安定性を飛躍的に向上させることが可能となった。
【0009】
このように記録材料としての安定性は飛躍的に向上したものの、ジアゾニウム塩自体に起因する不安定さは完全に抑制されておらず、感熱記録材料等の長期保存性を充分に確保するまでには至っていない。また、定着後においても光源下に長時間曝されてしまうとジアゾニウム塩の光分解物が光分解反応を起こし、該反応に伴なって着色ステインが増加する結果、定着後の地肌白色度が低下し、形成画像のコントラストの低下を招来するとの問題もある。しかも、上記のような光分解反応は均一には起こり得ず、周囲の環境等により様々な分解生成物を生じることが知られており、数十種以上にも及ぶ分解生成物中に特に可視領域に吸収を有する光分解ステインを生ずる。このステインの発生が著しいと、光定着後の地肌部の白色度が低くなり、画像コントラストの低下を来し、結果として記録材料自体の商品価値を著しく損なうことになる。
【0010】
ところが、ジアゾニウム塩の光分解反応は複雑であり、その生成物を特定することは難しいことから、光分解ステインの抑制は困難とされている。
したがって、近年では光分解ステインに起因する長期安定化に関する研究が盛んに行なわれており、例えば、光定着型ジアゾニウム塩を含有するマイクロカプセルに特定の疎水性オイルを併用することにより、生保存性に優れると共に長期間の曝光下でも白色度を損なわない画像保存性を有する光定着型感熱記録材料(例えば、特許文献2参照)や、最大光吸収波長が350nm近傍より短波長域にあり、ジアゾニウム塩自身の安定性の良好な新規ジアゾニウム塩を用いた非定着型の感熱記録材料が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
しかし、保存環境によっては、生保存性、画像形成後の発色部および地肌部(非画像部)における画像保存性は未だ不充分であり、更なる向上が求められているのが現状である。また更に、近年では画像記録に要する記録時間の短縮、すなわち印画、定着を含めた画像形成の高速化の要望が高く、特にジアゾニウム塩を用いた光定着型の感熱記録材料において、既述のような安定性の向上を図りながら高速化をも達成しうる技術の要望が高く、該要望に応えるには、ジアゾニウム塩自体の光分解速度の向上が不可欠とされている。
【0012】
ジアゾニウム塩を発色成分とする記録材料は、光定着を高効率に行なう点から定着工程で波長360nm前後の紫外線を照射することが一般的であった。しかし、紫外線は特殊な光源を必要とするばかりか、目への影響が懸念されるなどの問題もあることから、400nmより長波長の可視光線の光源を用いて効率よく定着し得るジアゾニウム塩を用いた記録材料が求められていた。ところが、従来のジアゾニウム塩を発色成分とすると、400nmより長波長の光源を用いて失活させ、定着するには長時間の光照射が不可避であり、長時間の光定着を行なった場合には定着によって生じた生成物が更に反応してしまい、形成画像の地肌白色度が低下することがあった。
【0013】
また、本発明者等は、極大吸収波長(λmax)が400nmを越える新規なジアゾニウム塩、すなわち4−インドリノ型のジアゾニウム塩であり、窒素を含む複素環構造部の芳香環上の置換基が水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、アシル基またはアシルアミノ基であるものを提案している(例えば、特許文献4参照)。しかし、このジアゾニウム塩を発色成分とする感熱記録材料でも、光定着後の地肌着色の抑制という点において更なる改良が望まれていた。
【0014】
【特許文献1】
特開平11−228517号公報
【特許文献2】
特開平8−324129号公報
【特許文献3】
特開平11−78232号公報
【特許文献4】
特開平11−116553号公報
【非特許文献1】
新実験化学講座(丸善株式会社、14‐III巻、p.1516〜1534)
【非特許文献2】
日本写真学会編「写真工学の基礎−非銀塩写真編−」コロナ社(1982)p.89〜117、p.182〜201参照
【非特許文献3】
画像電子学会誌 第11巻 第4号(1982)、佐藤弘次ら、p.290〜296等
【非特許文献4】
電子写真学会誌 第26巻 第2号(1987)、宇佐美智正ら、p.115〜125
【非特許文献5】
マイクロカプセル(近藤朝士著、日刊工業新聞社、1970年発行)
【非特許文献6】
マイクロカプセル(近藤保ら著、三共出版、1977年発行)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、下記目的を達成することを課題とする。すなわち、
本発明は、新規なジアゾニウム塩を提供すること、並びに400〜500nmの波長の光に対して定着感度を持ち、光定着性に優れ、生感材保存性に優れた記録材料を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、これまで知られていなかったベンゾチアゾリンを母核とするジアゾニウム塩の合成に成功したこと、このジアゾニウム塩を発色成分とすることが、記録材料の光定着性、生感材保存性の向上に有用であるとの知見に基づくものである。
【0017】
すなわち、前記課題を達成するための手段は、以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩である。
【化3】
【0018】
前記一般式(1)中、R1は、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表す。R2は、アルキル基またはアリール基を表す。R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表し、R3、R4、R5およびR6の少なくとも一つは−N2 +X−を表す。X−はアニオンを表す。
【0019】
<2> 前記R3、R4、R5およびR6が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、またはN2 +X−を表す前記<1>に記載のジアゾニウム塩である。
<3> 前記R4がアルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、かつ前記R5が−N2 +X−を表す前記<2>に記載のジアゾニウム塩である。
【0020】
<4> 前記<1>〜<3>のいずれかに記載のジアゾニウム塩を含む記録材料である。
<5> 支持体上に、前記<1>〜<3>のいずれかに記載のジアゾニウム塩およびカプラーを含む感熱記録層を有する前記<4>に記載の記録材料である。
<6> 前記カプラーが、下記一般式(2)で表される化合物またはその互変異性体である前記<5>に記載の記録材料である。
【0021】
【化4】
【0022】
前記一般式(2)中、E1およびE2は、それぞれ独立に電子吸引性基を表し、E1とE2とは互いに結合して環を形成してもよい。
【0023】
<7> 有機塩基を更に含む前記<4>〜<6>のいずれかに記載の記録材料である。
<8> 前記ジアゾニウム塩がマイクロカプセル中に内包されている前記<4>〜<7>のいずれかに記載の記録材料である。
<9> 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタン及び/又はポリウレアを構成成分として含む前記<8>に記載の記録材料である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のジアゾニウム塩、並びに該ジアゾニウム塩を含む本発明の記録材料について詳細に説明する。
【0025】
<ジアゾニウム塩>
本発明のジアゾニウム塩は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
【0026】
【化5】
【0027】
前記一般式(1)中、R1は、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、無置換でも置換基で置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボキシル基、スルホニル基、ヘテロ環残基が好ましい。
【0028】
前記R1で表されるアシル基としては、総炭素数1〜30のアシル基が好ましく、総炭素数1〜20のアシル基がさらに好ましい。具体例として、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ブチロイル基、4−フェノキシブチロイル基、ベンゾイル基、(4−エトキシフェニル)カルボニル基、(2−ブトキシフェニル)カルボニル基、(4−クロロフェニル)カルボニル基が好ましく、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、(4−クロロフェニル)カルボニル基が特に好ましい。
【0029】
前記R1で表されるアルコキシカルボニル基としては、総炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基が好ましく、総炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基がさらに好ましい。具体例として、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、(2−エチルヘキシル)オキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、(4−メトキシフェニル)オキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基が特に好ましい。
【0030】
前記R1で表されるカルバモイル基としては、総炭素数1〜30のカルバモイル基が好ましく、総炭素数1〜20のカルバモイル基がさらに好ましい。具体例として、カルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N,N−ジヘキシルカルバモイル基、N,N−ジフェニルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基、N−エチル−N−フェニルカルバモイル基、N−メチル−N−トリルカルバモイル、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、N,N−ビス(2−メトキシエチル)カルバモイル基が好ましく、N−ブチルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基が特に好ましい。
【0031】
前記R1で表されるアルキルスルホニル基としては、総炭素数1〜30のアルキルスルホニル基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキルスルホニル基がさらに好ましい。具体例として、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ベンジルスルホニル基が好ましく、メチルスルホニル基、ベンジルスルホニル基が特に好ましい。
【0032】
前記R1で表されるアリールスルホニル基としては、総炭素数1〜30のアリールスルホニル基が好ましく、総炭素数1〜20のアリールスルホニル基がさらに好ましい。具体例として、フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、4−メトキシスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基が好ましく、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基が特に好ましい。
【0033】
前記R1で表されるスルファモイル基としては、総炭素数1〜30のスルファモイル基が好ましく、総炭素数1〜20のスルファモイル基がさらに好ましい。具体例として、スルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジヘキシルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル基、N−メチル−N−トリルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、N,N−ビス(2−メトキシエチル)スルホニル基が好ましく、スルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基が特に好ましい。
【0034】
前記R2は、アルキル基またはアリール基を表し、無置換でも置換基で置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボキシル基、スルホニル基、ヘテロ環残基が好ましい。
【0035】
前記R2で表されるアルキル基としては、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキル基がさらに好ましい。具体例として、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ベンジル基、(4−エトキシフェニル)メチル基、N,N−ジエチルカルバモイルメチル基、N,N−ジブチルカルバモイルメチル基、1−(N,N−ジブチルカルバモイル)エチル基、2−メトキシエチル基、1−メチル−2−フェノキシエチル基、(4−クロロフェニル)メチル基、(2,4−ジクロロフェニル)メチル基が好ましく、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基、N,N−ジエチルカルバモイルメチル基、N,N−ジブチルカルバモイルメチル基、1−(N,N−ジブチルカルバモイル)エチル基、1−メチル−2−フェノキシエチル基、(4−クロロフェニル)メチル基、(2,4−ジクロロフェニル)メチル基が特に好ましい。
【0036】
前記R2で表されるアリール基としては、総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、総炭素数6〜20のアリール基がさらに好ましい。具体例として、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−フェニルフェノキシ基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、2,4−ジエトキシフェニル基、2,5−ジブトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基、ナフチル基、4−ジブチルカルバモイルフェニル基、4−ジブチルスルファモイルフェニル基が好ましく、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基が特に好ましい。
【0037】
前記R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表し、R3、R4、R5およびR6の少なくとも一つは−N2 +X−を表す。−N2 +はジアゾニオ基を表し、X−はアニオンを表す。
【0038】
前記R3〜R6で表される一価の置換基としては、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、−N2 +X−が好ましく、更にはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、または−N2 +X−がより好ましい。ただし、上記のように、R3、R4、R5およびR6のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。
【0039】
前記R3〜R6で表されるアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基は、前記R1における場合と同義であり、その好ましい具体例も同様である。また、前記R3〜R6で表されるアルキル基、アリール基は、前記R2における場合と同義であり、その好ましい具体例も同様である。
【0040】
前記R3、R4、R5又はR6で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、または沃素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子がさらに好ましい。
【0041】
前記R3、R4、R5又はR6で表されるアルコキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、総炭素数1〜20のアルコキシ基がさらに好ましい。具体例として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、2−フェノキシエトキシ基、2−(3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)エトキシ基、ジブチルカルバモイルメトキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、2−フェノキシエトキシ基、ジブチルカルバモイルメトキシ基がさらに好ましい。
【0042】
前記R3、R4、R5又はR6で表されるアリールオキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、総炭素数6〜20のアリールオキシ基がさらに好ましい。具体例として、フェノキシ基、トリルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、4−アセトアミドフェニルオキシ基、2−ブトキシフェニルオキシ基、2−ベンゾイルアミノフェニルオキシ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルオキシ基、3−オクチルオキシフェニルオキシ基が好ましく、フェノキシ基、トリルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、4−アセトアミドフェニルオキシ基、2−ブトキシフェニルオキシ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルオキシ基がさらに好ましい。
【0043】
前記R3、R4、R5又はR6で表されるアルキルチオ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルキルチオ基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキルチオ基がさらに好ましい。具体例として、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,5,5−トリメチルヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、2−フェノキシエチルチオ基、2−(3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)エチルチオ基、ジブチルカルバモイルメチルチオ基、ヘキサデシルチオ基、オクタデシルチオ基が好ましく、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,5,5−トリメチルヘキシルチオ基、2−フェノキシエチルチオ基、ジブチルカルバモイルメチルチオ基がさらに好ましい。
【0044】
前記R3、R4、R5又はR6で表されるアリールチオ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリールチオ基が好ましく、総炭素数6〜20のアリールチオ基がさらに好ましい。具体例として、フェニルチオ基、トリルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、4−アセトアミドフェニルチオ基、2−ブトキシフェニルチオ基、2−ベンゾイルアミノフェニルチオ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルチオ基、3−オクチルオキシフェニルチオ基が好ましく、フェニルチオ基、トリルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、4−アセトアミドフェニルチオ基、2−ブトキシフェニルチオ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルチオ基がさらに好ましい。
【0045】
前記R3、R4、R5又はR6で表されるアシルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアシルアミノ基が好ましく、総炭素数1〜20のアシルアミノ基がさらに好ましい。具体例として、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ブチリルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、トルオイルアミノ基、フェノシキアセチル基、(4−メトキシフェノキシ)アセチル基、2’,4’−ジクロロベンゾイルアミノ基、2’,4’−ジ−t−アミルベンゾイルアミノ基、アセチルメチルアミノ基、ベンゾイルメチルアミノ基、アセチルベンジルアミノ基が好ましく、アセチルアミノ基、ブチリルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、トルオイルアミノ基、フェノシキアセチル基、2’,4’−ジ−t−アミルベンゾイルアミノ基、アセチルメチルアミノ基、ベンゾイルメチルアミノ基、アセチルベンジルアミノ基がさらに好ましい。
【0046】
前記一般式(1)においては、R3、R4、R5およびR6のうち、少なくとも一つはアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが好ましい。また、置換位置として、R4がアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが特に好ましい。
【0047】
また、R3、R4、R5およびR6の少なくとも一つは−N2 +X−を表すが、R5が−N2 +X−であることが特に好ましい。
【0048】
前記X−で表されるアニオンとしては、無機アニオン、有機アニオンのいずれでもよい。前記無機アニオンとしては、例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオンが好ましく、中でもヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが特に好ましい。また、前記有機アニオンとしては、例えば、ポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン、特願2002−108919号明細書に記載のイオンが好ましく、中でもポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、特願2002−108919号明細書に記載のイオンが特に好ましい。
【0049】
さらに、前記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩は、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6が置換基としてジアゾニオアリール基を有し、複数のジアゾニオ基を有していてもよい。
【0050】
前記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩は、後述する合成方法により好適に合成することができる。
【0051】
以下、前記一般式(1)で表される化合物の具体例(例示化合物A−1〜A−30)を示す。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0052】
【化6】
【0053】
【化7】
【0054】
【化8】
【0055】
−ジアゾニウム塩の合成方法−
本発明のジアゾニウム塩は、下記一般式(3)で表される化合物を出発原料とすることにより好適に合成することができる。
【0056】
【化9】
【0057】
前記一般式(3)中、R1は、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表す。R2は、アルキル基、アリール基を表す。R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表し、かつR7、R8、R9およびR10で表される基の少なくとも一つは−NHR11を表し、R11は水素原子またはアシル基を表す。
【0058】
前記一般式(3)中のR1で表される、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびスルファモイル基は、既述の一般式(1)のR1における場合とそれぞれ同義であり、その好ましい態様も同様である。
【0059】
前記一般式(3)中のR7、R8、R9およびR10で表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、または−NHR11が好ましく、更にはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、または−NHR11が好ましい。ただし、上記のように、R7、R8、R9およびR10で表される基の少なくとも一つは−NHR11を表す。
【0060】
一般式(3)中のR7、R8、R9およびR10で表される、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基は、既述の一般式(1)のR3〜R6で表される一価の置換基における場合と同義であり、その好ましい例も同様である。
【0061】
前記一般式(3)においては、R7、R8、R9およびR10の少なくとも一つは−NHR11を表し、R11は水素原子またはアシル基を表す。
前記R11で表されるアシル基としては、総炭素数1〜30のアシル基が好ましく、総炭素数1〜20のアシル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ブチロイル基、4−フェノキシブチロイル基、ベンゾイル基、(4−エトキシフェニル)カルボニル基、(2−ブトキシフェニル)カルボニル基、(4−クロロフェニル)カルボニル基が好ましく、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、(4−クロロフェニル)カルボニル基が特に好ましい。
【0062】
前記一般式(3)におけるR7、R8、R9およびR10のいずれかがアミノ基(即ち、−NHR11であってR11がHの場合)である場合には、酸と塩を形成していてもよい。好ましい酸としては、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0063】
ジアゾニウム塩の合成にあたっては、前記一般式(3)におけるR7、R8、R9およびR10の少なくとも一つが−NHR11(R11=アシル基)である場合、これを−NHR11(R11=水素原子)に変換して用いる。この変換は、酸性条件下でも塩基性条件下でも可能であり、添加する酸としては塩酸、硫酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸が好ましく、添加する塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムが好ましい。添加によって酸を発生する化合物も好ましく、塩化アセチル、塩化プロピオニルが好ましい。
【0064】
合成に用いる反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、酢酸が好ましく、これらの混合溶媒も好ましい。反応温度は、室温から溶媒の沸点の間が好ましいが、反応速度および溶解性の点から50℃以上の高温で行なう方が好ましい。
【0065】
また、前記R7、R8、R9およびR10の少なくとも一つが−NHR11(R11=水素原子)の場合、この化合物を酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等を用いてジアゾ化することによりジアゾニウム塩が得られる。
【0066】
また、前記一般式(3)で表される化合物は、以下の第1または第2の合成法により好適に合成することができる。
第1の合成法として、下記一般式(4)で表される化合物を出発原料の一つとして合成することができる。
【化10】
【0067】
前記一般式(4)におけるR1、R2、R7、R8、R9及びR10は、前記一般式(3)におけるR1、R2、R7、R8、R9及びR10と各々同義であり、その好ましい態様も同様である。一般式(4)においては、R8がアルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、R9が−NHR11を表すものがより好ましく、ここでのR11の定義及びその好ましい態様は既述の一般式(3)におけるR11と同様である。
【0068】
第1の合成法における合成反応は酸化反応によるものである。酸化反応に用いる酸化剤としては、塩素、臭素、ヨウ素、塩化スルホニル、または塩化スルフリルが好ましく、取り扱い、収率の点からは、臭素が最も好ましい。酸化剤の使用量は、一般式(4)で表される化合物の量に対して、モル比で90〜130%が好ましい。合成反応に使用する溶媒は、酸化剤と反応しないものであればよく、酢酸、プロピオン酸、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、クロロベンゼンが好ましく、その使用量は一般式(4)で表される化合物の質量に対して100〜2000%が好ましい。
【0069】
反応温度は、−10℃〜120℃の範囲で選択すればよい。一般に高温ほど早く反応は完結するが、本態様の合成方法では室温以下でも速やかに反応が進行するため、収率の点から−5℃〜35℃の範囲で行なうことが好ましい。また、酢酸を溶媒に使用する場合には、酢酸の結晶化を防ぐために10℃以上で行なうことが好ましい。
【0070】
前記一般式(4)で表される化合物の合成は、「Organic Functional Group Preparations Volume II」(Stanley R.Sandler,Wolf Karo著(1971) Academic Press,Inc.)、「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応III」(1976;丸善株式会社)、J.Chem.Soc.(C)(1967)p.2212〜2220、等に記載の公知の方法で行なうことができる。
【0071】
第2の合成法として、下記一般式(5)で表される化合物と、下記一般式(6)で表される化合物および一般式(7)で表される化合物のいずれか一方とを出発原料として合成することができる。
【0072】
【化11】
【0073】
前記一般式(5)中、R2、R7、R8、R9及びR10は、前記一般式(3)におけるR2、R7、R8、R9及びR10と各々同義であり、その好ましい態様も同様である。また、一般式(5)においては、R8がアルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、R9が−NHR11を表すものがより好ましく、ここでのR11の定義及びその好ましい態様は既述の一般式(3)中のR11と同様である。
【0074】
前記一般式(6)中、R1は、前記一般式(3)におけるR1と同義であり、好ましい態様も同様である。また、Xはハロゲン原子を表し、塩素原子、臭素原子、または沃素原子が好ましい。前記一般式(7)中、R12は、アルキル基、アリール基を表し、Yは、酸素原子、硫黄原子を表す。前記R12で表されるアルキル基、アリール基は、前記一般式(1)のR2における場合と同義であり、その好ましい態様も同様である。
【0075】
第2の合成法による合成は、前記一般式(5)で表される化合物と共に、前記一般式(6)又は(7)で表される化合物を中性又は塩基性条件下にて反応させることによって行なうことができる。
前記一般式(6)又は(7)で表される化合物の使用量は、前記一般式(5)で表される化合物の量に対してモル比で90〜150%が好ましい。合成反応に使用する溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、又はこれらの混合溶媒等が好ましく、その使用量は一般式(5)で表される化合物の質量に対して、100〜2000質量%が好ましい。
【0076】
塩基性条件下で反応を行なう場合、ピリジン、トリエチルアミン、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが使用できる。
【0077】
反応温度は10℃〜180℃の範囲で選択すればよい。一般に高温ほど早く反応は完結するが、本態様の合成方法では室温でも速やかに反応が進行するため、収率の点から50℃〜130℃の範囲で行なうことが好ましい。
【0078】
前記一般式(5)で表される化合物の合成は、Tetrahedron 42(20)p.5739(1986)、Dyes and Pigments 10(1989)p.173〜181、J.Chem.Soc.(C)(1967)p.2212−2220、J.Chem.Soc.(1927)p.1209、J.Chem.Soc.(1926)p.2958,p.2961、特開昭54−109970号公報、特開昭53−9767号公報、等に記載の公知の方法で行なうことができる。
【0079】
前記一般式(6)、(7)で表される化合物はいずれも、市販のものを使用できるほか、「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応II」(1976、丸善株式会社)や、「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応III」(1976、丸善株式会社)等による公知の方法で合成して用いることができる。
【0080】
本発明のジアゾニウム塩は、後述する記録材料に好適に用いることができ、特に感熱記録材料の感熱記録層に発色成分として含有されることが好ましい。
【0081】
<記録材料>
本発明の記録材料は、既述の本発明のジアゾニウム塩を含有することを特徴とする。かかる記録材料としては、感熱記録材料、感光(感熱)記録材料等を挙げることができ、記録材料において、ジアゾニウム塩は油状物、結晶状態のいずれで用いてもよく、取扱い性の点で常温で結晶状態のものが好ましい。
本発明のジアゾニウム塩については、既述の通りであり、一種単独でも、二種以上を併用してもよく、また、既存のジアゾニウム塩と併用してもよい。
【0082】
以下、本発明の記録材料が感熱記録材料である場合を例に詳細に説明する。
本発明の記録材料が感熱記録材料である場合、該感熱記録材料は、支持体上に少なくとも感熱記録層を有して構成することができ、該感熱記録層は、前記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩とカプラーとを含有して構成することができる。また必要に応じ、有機塩基およびその他の成分を含有することができる。
【0083】
前記感熱記録層は、前記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩を内包したマイクロカプセルおよびカプラー、並びに必要に応じて有機塩基およびその他の成分を含有する塗布液を調製し、該塗布液を紙や合成樹脂フィルム等の支持体上に塗布、乾燥することにより塗設することができる。
【0084】
前記塗布液の塗布は、公知の塗布方法の中から適宜選択することができ、例えば、バー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等が挙げられる。
また、塗布、乾燥後の感熱記録層の乾燥塗布量としては、2.5〜30g/m2が好ましい。
【0085】
本発明のジアゾニウム塩を記録材料の感熱記録層に含有する場合の含有量としては、0.02〜5g/m2が好ましく、発色濃度の点から0.1〜4g/m2がより好ましい。
【0086】
本発明のジアゾニウム塩の安定化のために、塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズ等を用いて錯化合物を形成させ、ジアゾニウム塩の安定化を図ることもできる。
【0087】
既述の一般式(1)で表されるジアゾニウム塩は、後述のカプラーとの反応により発色し、高い発色濃度が得られる一方、蛍光灯等の380〜460nmの波長範囲での光分解性に優れ、短時間の光照射でも充分に定着を完了しうる、高速分解性を有するため、光定着型の感熱記録材料に用いる発色成分として非常に有用である。
【0088】
(カプラー)
次に、カプラー(カップリング成分)について説明する。
前記カプラーは、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾニウム塩とカップリングして色素を形成するものであればいずれの化合物も使用可能である。ハロゲン化銀写真感光材料用のいわゆる4当量カプラーはすべてカプラーとして使用可能である。これらは目的とする色相に応じて選択することが可能である。
例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などがあり、具体例として下記のものが挙げられ本発明の目的に合致する範囲で使用される。
【0089】
前記カプラーの具体例としては、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−l,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロへキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジーn−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、
【0090】
N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オタタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキジフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ビバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0091】
カプラーの詳細については、特開平4−201483号公報、特開平7−223367号公報、特開平7−223368号公報、特開平7−323660号公報、特願平5−278608号明細書、特願平5−297024号明細書、特願平6−18669号公報、特願平6−18670号明細書、特願平7−316280号明細書、特願平8−027095号明細書、特願平8−027096号明細書、特願平8−030799号明細書、特願平8−12610号明細書、特願平8−132394号明細書、特願平8−358755号明細書、特願平8−358756号明細書、特願平9−069990号明細書等に記載されている。
【0092】
上記のうち、本発明におけるカプラーとしては、下記一般式(2)で表される化合物またはその互変異性体が特に好ましい。以下に、一般式(2)で表される化合物について詳述する。
【0093】
【化12】
【0094】
前記一般式(2)において、E1およびE2は、それぞれ独立に電子吸引性基を表し、E1およびE2は互いに結合して環を形成してもよい。
【0095】
前記E1、E2で表される電子吸引性基とは、Hammettのσp値が正である置換基を意味し、これらは同一であっても異なっていてもよく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のオキシカルボニル基;カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−〔2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、N−〔2,4−ビス(オクチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、モルホリノカルボニル基等のカルバモイル基;メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基;ジエチルホスホノ基等のホスホノ基;ベンゾオキサゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−スルホン−2−イル基等の複素環基;ヘテロ環基;ニトロ基;イミノ基;シアノ基が好適に挙げられる。
【0096】
また、E1およびE2で表される電子吸引性基は、両者が結合し環を形成してもよく、形成される環としては、5員ないし6員の炭素環または複素環が好ましい。
【0097】
以下、前記一般式(2)で表されるカプラーの具体例(例示化合物B−1〜B−38)を示す。ただし、本発明においてはこれらに限定されるものではない。なお、以下に示すカプラーの互変異性体も好適なものとして挙げられる。
【0098】
【化13】
【0099】
【化14】
【0100】
【化15】
【0101】
【化16】
【0102】
【化17】
【0103】
【化18】
【0104】
前記カプラーの互変異性体とは、上記に代表されるカプラーの異性体として存在するものであって、その両者間で構造が容易に変化し合う関係にあるものをいい、本発明に用いるカプラーとしては、該互変異性体も好ましい。
【0105】
−マイクロカプセル化−
本発明の記録材料においては、その使用前の生保存性を良化する目的で、ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包させることが好ましい。該マイクロカプセルの形成方法としては、既に公知の方法の中から適宜選択することができる。
【0106】
マイクロカプセルのカプセル壁を形成する高分子物質としては、常温では非透過性であり、加熱時に透過性となる性質を有することが必要である点から、特にガラス転移温度が60〜200℃のものが好ましく、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン・メタクリレート共重合体、スチレン・アクリレート共重合体、およびこれらの混合系を挙げることができる。
【0107】
マイクロカプセル形成方法としては、具体的には、界面重合法や内部重合法が適している。該カプセル形成方法の詳細、およびリアクタントの具体例等については、米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書に記載がある。例えば、カプセル壁材として、ポリウレア、ポリウレタンを用いる場合には、ポリイソシアネートおよびそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオールやポリアミン)を水性媒体またはカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれらを乳化分散し次に加温することにより油滴界面で高分子形成反応を起こしマイクロカプセル壁を形成する。なお、上記第2物質の添加を省略した場合もポリウレアを生成することができる。
【0108】
本発明においては、マイクロカプセルのカプセル壁を形成する高分子物質としては、ポリウレタンおよびポリウレアの少なくとも1種を成分として含有することが好ましい。
【0109】
次に、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について述べる。
まず、ジアゾニウム塩は、カプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解または分散させ、マイクロカプセルの芯となる油相を調製する。このとき、さらに壁材として多価イソシアネートが添加される。
【0110】
前記油相の調製に際し、ジアゾニウム塩を溶解、分散してマイクロカプセルの芯の形成に用いる疎水性の有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、例えば、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
【0111】
カプセル化しようとするジアゾニウム塩の前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いるジアゾニウム塩の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもでき、該低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0112】
このため、ジアゾニウム塩は、高沸点疎水性有機溶媒、低沸点溶媒に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には、該溶剤に5%以上の溶解度を有していることが好ましい。水に対する溶解度は1%以下が好ましい。
【0113】
一方、用いる水相には水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行なうが、該水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、さらに均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は公知の乳化用界面活性剤が使用可能である。界面活性剤を添加する場合の添加量としては、油相質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
【0114】
調製された油相を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子は、乳化しようとする温度における、水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、例えば、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0115】
前記水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、もしくは低いことが好ましく、例えば、ゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成する等して反応性をなくしておくことが好ましい。
【0116】
前記多価イソシアネート化合物としては、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物であってもよい。具体的には、キシレンジイソシアネートおよびその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびその水添物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
【0117】
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
【0118】
多価イソシアネートの使用量としては、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。また、その分散粒子径としては、0.2〜10μm程度が一般的である。
【0119】
水相中に油相を加えた乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0120】
水相中または油相の疎水性溶媒中に、さらにポリオール及び/又はポリアミンを添加しておけば、多価イソシアネートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして用いることもできる。上記反応において、反応温度を高く保ち、あるいは、適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
【0121】
これらのポリオールまたはポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
【0122】
多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
【0123】
乳化は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置の中から適宜選択して行なうことができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行なう等の必要がある。
【0124】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩内包マイクロカプセルを得ることができる。
【0125】
次に、本発明に用いるカプラーは、例えば、水溶性高分子、有機塩基、その他の発色助剤等とともに、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、特に好ましくは、予め水に難溶性または不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。さらに、カプラー、有機塩基は別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することも可能である。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
前記カプラーの使用量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0126】
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載の高沸点オイルの中から適宜選択することができる。中でも、乳化分散物の乳化安定性の観点から、エステル類が好ましく、リン酸トリクレジルが特に好ましい。上記オイル同士、または他のオイルとの併用も可能である。この有機溶剤には、さらに溶解助剤として低沸点の補助溶剤を加えることもでき、該補助溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルおよびメチレンクロライド等を好適に挙げることができる。場合に応じて、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0127】
また、水相中に保護コロイドとして含有させる水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができ、中でも、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等が好ましい。
【0128】
また、水相中に含有させる界面活性剤としては、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤であって、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。該界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
【0129】
(その他の成分)
本発明に係る感熱記録層は、ジアゾニウム塩とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で、塩基性物質として有機塩基を含有する態様が好ましい。
前記有機塩基としては、第3級アミン類、ピぺリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられ、例えば、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものを好適に挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0130】
上記のうち、具体的には、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ)ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,8−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0131】
前記有機塩基の使用量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。前記使用量が、0.1質量部未満であると、充分な発色濃度が得られなくなることがあり、30質量部を超えると、ジアゾニウム塩の分解が促進されることがある。
【0132】
また、感熱記録層中には、上記有機塩基の他、発色反応を促進させる、すなわち低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画させる目的で、発色助剤を加えることもできる。ここで、発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、もしくは発色温度を制御する物質であり、カプラー、塩基性物質もしくはジアゾニウム塩等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下させうる作用により、ジアゾニウム塩、塩基性物質、カプラー等が反応しやすい条件とするためのものである。
【0133】
前記発色助剤としては、例えば、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物、ヒドロキシ化合物等が挙げられる。
【0134】
前記発色助剤には、熱融解性物質も含まれる。該熱融解性物質は、常温下では固体であって、加熱により融解する融点50℃〜150℃の物質であり、ジアゾニウム塩、カプラー、あるいは、有機塩基等を溶解しうる物質である。具体的には、カルボン酸アミド、N置換カルボン酸アミド、ケトン化合物、尿素化合物、エステル類等を挙げることができる。
【0135】
本発明の感熱記録材料においては、熱発色画像の光および熱に対する堅牢性を向上させ、または、定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
【0136】
前記酸化防止剤については、例えば、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同第309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載されている。感熱もしくは感圧記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。
【0137】
前記各種添加剤としては、例えば、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0138】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2.4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0139】
前記酸化防止剤、または各種添加剤の添加量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.05〜100質量部が好ましく、0.2〜30質量部がより好ましい。
前記酸化防止剤および各種添加剤は、マイクロカプセル中にジアゾニウム塩とともに含有させてもよいし、あるいは、固体分散物としてカプラー、塩基性物質およびその他の発色助剤とともに含有させてもよいし、乳化物にして適当な乳化助剤とともに含有させてもよいし、またはその両形態で含有させてもよい。また、酸化防止剤、または各種添加剤は、単独で用いてもよく、複数併用することもできる。さらに、保護層に含有させることもできる。
【0140】
前記酸化防止剤および各種添加剤は、必ずしも同一層に添加しなくてもよい。
前記酸化防止剤及び/又は各種添加剤を複数組合わせて用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ビンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、リン化合物、硫黄化合物のように構造的に分類し、互いに異構造のものを組合わせてもよいし、同一のものを複数組合わせることもできる。
【0141】
画像記録後の地肌部の黄着色を軽減する目的で、光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を添加することができる。前記遊離基発生剤としては、例えば、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類等が挙げられる。
該遊離基発生剤の添加量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
【0142】
また、同様に黄着色を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、「ビニルモノマー」と称する。)を用いることもできる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。
【0143】
前記ビニルモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸およびその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。該ビニルモノマーは、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.2〜20質量部の割合で用いる。
前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾニウム塩と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
さらに、酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することもできる。
【0144】
感熱記録層の構成態様としては、特に限定されるものではなく、例えば、マイクロカプセル、カプラー、有機塩基等が全て同一層に含まれた、単一層よりなる態様であってもよいし、別層に含まれるような複数層積層型の態様であってもよい。また、支持体上に、特願昭59−177669号明細書等に記載の中間層を設けた後、感熱記録層を塗布形成した態様であってもよい。さらに、後述するように、色相の異なる単色かつ単一の感熱記録層を複数層積層したフルカラー発色型の態様であってもよい。
【0145】
本発明の記録材料において、感熱記録層、中間層または後述の保護層等の各層にはバインダーを含有することができ、該バインダとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等の中から適宜選択することができる。
【0146】
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等およびこれらの変性物等が挙げられる。
【0147】
前記ラテックス類としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。中でも、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン誘導体、ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリル酸アミド誘導体等が好ましい。
【0148】
また、感熱記録材料には顔料を含有させることもでき、該顔料としては、有機、無機を問わず公知のものが挙げられ、例えば、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
【0149】
また、必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤およびその前駆体等の各種添加剤を使用することもできる。
【0150】
感熱記録材料においては、必要に応じて、感熱記録層上に保護層を設けてもよい。該保護層は、必要に応じて二層以上積層してもよい。
保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子化合物、およびスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類等が挙げられる。
【0151】
上記水溶性高分子化合物は、架橋させることで、より一層保存安定性を向上させることもできる。該架橋剤としては、公知の架橋剤の中から適宜選択することができ、例えば、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物;グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類;硼酸、硼砂等の無機系架橋剤;ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0152】
保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤等を使用することもできる。また、保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有させてもよい。
【0153】
前記保護層は、支持体上に感熱記録層を形成する場合と同様、上述の公知の塗布方法により設けることができる。保護層の塗布量としては、乾燥塗布量で0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜2g/m2がより好ましい。その膜厚としては、0.2〜5μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。
【0154】
(支持体)
感熱記録材料に使用可能な支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙等に用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム等を使用することができる。
【0155】
支持体上には、カールバランスを補正する目的で、あるいは、裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよい。該バックコート層は、前記保護層と同様にして設けることができる。
【0156】
さらに、必要に応じて、支持体と感熱記録層との間、あるいは、支持体の感熱記録層が設けられた側の表面にアンチハレーション層を、その裏側の表面にスベリ層、アンチスタチック層、粘着剤層等を設けることもできる。
また、支持体の裏面(感熱記録層が設けられない側の表面)に、接着剤層を介して剥離紙を組合わせてラベルの形態としてもよい。
【0157】
上記のように、感熱記録層に本発明のジアゾニウム塩を含有することにより、高い発色濃度が得られるとともに、光定着を高速に行なうことができる。この光定着速度の高速化により記録時間の短縮化が実現され、さらにジアゾニウム塩自身がその分解性に優れることから充分な定着効果が期待できる。従って、非画像部(地肌部)の着色による白色性の低下を防止でき、濃度変動の少ない高コントラストな画像を得ることができる。即ち、記録材料としての安定性の向上と高速化の両立が実現できる。
さらに、ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包することにより、記録材料としての長期での安定性をより高めることができる。
【0158】
感熱記録材料を用いた画像形成は、以下のような方法で行なってもよい。
即ち、例えば、感熱記録材料の感熱記録層が設けられた側の表面を、サーマルヘッド等の加熱装置により画像様に加熱印画することにより、感熱記録層の加熱部で、層中のポリウレア及び/又はポリウレタンを含むカプセル壁が軟化して物質透過性となり、カプセル外のカプラーや塩基性物質(有機塩基)がマイクロカプセル内に浸入すると、画像様に発色して画像形成することができる。この場合、発色後、さらにジアゾニウム塩の吸収波長に相当する光を照射することにより(光定着)、ジアゾニウム塩が分解反応を起こしてカプラーとの反応性を失い、画像の定着を図ることができる。上記のように光定着を施すことにより、未反応のジアゾニウム塩は、分解反応を生じてその活性を失うため、形成した画像の濃度変動や、非画像部(地肌部)におけるステインの発生による着色、すなわち白色性の低下、該低下に伴う画像コントラストの低下を抑制することができる。
【0159】
光定着に用いる光源としては、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯等が挙げられ、これら光源の発光スペクトルが感熱記録材料中のジアゾニウム塩の吸収スペクトルとほぼ一致していることが、高効率に定着しうる点で好ましい。
特に、照射される光の発光中心波長が、380〜460nmの光源を用いることが特に好ましい。
【0160】
また、光により画像様に書き込みを行い、熱現像して画像化する光書込み熱現像型感熱記録材料(感光感熱記録材料)として用いることもできる。この場合、印字印画過程を、上記のような加熱装置に代えてレーザ等の光源が担う。
【0161】
感熱記録材料においては、互いに発色色相の異なる感熱記録層を複数積層することにより、多色の感熱記録材料を構成することもできる。積層する感熱記録層としては、光分解性のジアゾニウム塩を含む感熱記録層が挙げられる。
前記多色の感熱記録材料については、特開平3−288688号公報、同4−135787号公報、同4−144784号公報、同4−144785号公報、同4−194842号公報、同4−247447号公報、同4−247448号公報、同4−340540号公報、同4−340541号公報、同5−34860号公報、同5−194842号公報、特願平7−316280号公報等に記載がある。
【0162】
例えば、フルカラー感熱記録材料の層構成としては、以下のような態様で構成することができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。感光波長が異なる2種のジアゾニウム塩を、それぞれのジアゾニウム塩と熱時反応して異なった色相に発色させうるカプラーと組合わせて別々の層に含有させてなる、発色色相の異なる2層の感熱記録層(B層、C層)と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組合わせた感熱記録層(A層)とを積層したフルカラー感熱記録材料であってもよく、あるいは、上記2層の感熱記録層(B層、C層)と、これらとはさらに感光波長が異なるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラーを組合わせた感熱記録層(A層)とを積層したフルカラー感熱記録材料であってもよい。
【0163】
具体的には、支持体側から、電子供与性無色染料と電子受容性化合物、あるいは、最大吸収波長が350nmより短いジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラー、を含有する第一の感熱記録層(A層)、極大吸収波長が360nm±20nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラーを含有する第二の感熱記録層(B層)、極大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラーを含有する第三の感熱記録層(C層)を、順次積層して構成されていてもよい。
【0164】
この場合において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選択することによりフルカラーの画像記録が可能となる。フルカラー記録材料の層構成としては、イエロー、マゼンタ、シアンの各発色層はどのように積層してもよいが、色再現性の点で、支持体側から、イエロー、シアン、マゼンタ、またはイエロー、マゼンタ、シアンの順に積層することが好ましい。
【0165】
多色感熱記録材料の場合の記録方法としては、例えば、以下のようにして行なうことができる。すなわち、
まず、第三の感熱記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。次いで、400±20nmの光を照射してC層中に含まれている未反応のジアゾニウム塩を分解させる。次に、第二の感熱記録層(B層)が発色するに充分な熱を与え、該層に含まれているジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。このときC層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。この後、360±20nmの光を照射してB層に含まれているジアゾニウム塩を分解させる。最後に、第一の感熱記録層(A層)が発色するに充分な熱を与えて発色させる。このときC層、B層のも同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。
【0166】
本発明の記録材料においては、上記のように多色の感熱記録材料とすることも好ましい。
上記のように、支持体面に直接積層される感熱記録層(A層)の発色機構としては、電子供与性染料と電子受容性染料との組合わせ、あるいは、ジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時に反応して発色するカプラーとの組合わせに限られず、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を生じて発色する発色系等のいずれであってもよい。この感熱記録層上にジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と反応し呈色するカプラーとを含有する感熱記録層を設けることにより多色感熱記録材料を構成することができる。
【0167】
多色の感熱記録材料とした場合、感熱記録層相互の混色を防ぐ目的で、各感熱記録層間に中間層を設けることもできる。中間層は、ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子化合物からなり、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
【0168】
本発明の記録材料が、支持体上に光定着型感熱記録層を有する、多色の感熱記録材料である場合、必要に応じて、さらにその上層として光透過率調整層もしくは保護層、または光透過率調整層および保護層を設けることが望ましい。
光透過率調整層については、特開平9−39395号公報、同9−39396号公報、特願平7−208386号明細書等に記載されている。
【0169】
光透過率調整層に、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を用いる場合には、定着に必要な波長領域の光を照射する前は、紫外線吸収剤として機能しないために高い光透過率を有するため、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を充分に透過させることができ、かつ可視光線の透過率も高く、感熱記録層の定着に支障をきたすことはない。
【0170】
一方、前記紫外線吸収剤の前駆体は、光定着型感熱記録層の光定着(光照射によるジアゾニウム塩の光分解)に必要な波長領域の光を照射した後、該光により反応を起こし紫外線吸収剤として機能するようになる。この紫外線吸収剤により、紫外線領域の波長の光の大部分が吸収されてその透過率が低下し、感熱記録材料の耐光性を向上させることが可能となる。しかしながら、可視光線の吸収性はないため、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
【0171】
光透過率調整層は、感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、中でも特に、感熱記録層と保護層との間に形成することが好ましい。また、光透過率調整層の機能を保護層に持たせ、兼用させてもよい。
【0172】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0173】
〔実施例1〕:例示化合物A−1の合成
下記式で示される化合物(1−a)6.5gを20mLのメタノールに溶解し、濃塩酸5mLを加えて3時間加熱環流した後、0℃に冷却した。ここへ亜硝酸ナトリウム0.9gを水2mLに加えて得た溶液を滴下して10℃で1時間攪拌した後、反応混合物にカリウムヘキサフルオロホスフェート2.8gを加えて室温で30分撹拌した。これに更に水40mLを加えて晶析した。析出した結晶を濾集し水で洗浄した後、エタノールとイソプロパノールの混合溶媒から再結晶した。乾燥後、目的とする化合物(例示化合物A−1)6.8gを得た。
【0174】
【化19】
【0175】
得られた化合物のメタノール中での紫外可視吸収スペクトルは、λmax402nm,ε1.9×104であった。また、得られた化合物について1H−NMRにより同定した結果を以下に示す。
1H−NMR(dmso−d6)δ;8.98(s,1H),8.11(d,2H),7.40(d,2H),6.81−7.21(m,6H),4.60(m,2H),4.50(m,2H),4.37(m,1H),2.41(s,3H),1.80−1.91(m,5H),1.30−1.49(m,6H),0.90(t,3H)
【0176】
〔実施例2〕:例示化合物A−7の合成
下記式で示される化合物(2−a)17.8gを70mLのメタノールに溶解し、濃塩酸14mLを加えて3.5時間加熱環流した後、0℃に冷却した。ここへ亜硝酸ナトリウム2.6gを水7mLに加えて得た溶液を滴下し10℃で0.5時間攪拌した後、反応混合物にカリウムヘキサフルオロホスフェート8.3gを加えて室温で1時間撹拌した。これに更に水150mLを加えて晶析した。析出した結晶を濾集し水で洗浄した後、酢酸エチルとイソプロパノールの混合溶媒から再結晶した。乾燥後、目的とする化合物(例示化合物A−7)11.5gを得た。
【0177】
【化20】
【0178】
得られた化合物のメタノール中での紫外可視吸収スペクトルは、λmax395nm,ε1.8×104であった。また、得られた化合物について1H−NMRにより同定した結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3)δ;8.40(s,1H),7.21−7.40(m,5H),6.79(s,1H),5.61(s,2H),4.37(m,2H),4.22(t,2H),1.82(m,1H),1.65(m,2H),1.40(t,3H),1.18(m,2H),0.96(d,3H),0.85(s,9H)
【0179】
〔実施例3〕:例示化合物A−9の合成
下記式で示される化合物(3−a)11.6gを40mLのメタノールに溶解し、濃塩酸8mLを加えて2時間加熱環流した後、0℃に冷却した。ここへ亜硝酸ナトリウム1.5gを水4mLに加えて得た溶液を滴下し10℃で0.5時間攪拌した後、反応混合物にカリウムヘキサフルオロホスフェート4.8gを加えて室温で1時間撹拌した。これに更に水100mLを加えて晶析した。析出した結晶を濾集し水で洗浄した後、イソプロパノールから再結晶した。乾燥後、目的とする化合物(例示化合物A−9)11.2gを得た。
【0180】
【化21】
【0181】
得られた化合物のメタノール中での紫外可視吸収スペクトルは、λmax405nm,ε1.5×104であった。また、得られた化合物について1H−NMRにより同定した結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3)δ;8.20(s,1H),7.21−7.40(m,5H),6.79(s,1H),5.78(br,1H),5.59(s,2H),4.27(t,2H),3.36(m,2H),1.82(m,1H),1.55−1.69(m,4H),1.18−1.40(m,15H),0.96(d,3H),0.85(m,12H)
【0182】
〔実施例4〕:例示化合物A−13の合成
下記式で示される化合物(4−a)7.7gを30mLのメタノールに溶解し、濃塩酸5mLを加えて2時間加熱環流した後、0℃に冷却した。ここへ亜硝酸ナトリウム1.0gを水3mLに加えて得た溶液を滴下し10℃で0.5時間攪拌した後、反応混合物にカリウムヘキサフルオロホスフェート3.1gを加えて室温で1.5時間撹拌した。これに更に水100mLを加えて晶析した。析出した結晶を濾集し水で洗浄した後、酢酸エチル、エタノールおよびイソプロパノールの混合溶媒から再結晶した。乾燥後、目的とする化合物(例示化合物A−13)7.3gを得た。
【0183】
【化22】
【0184】
得られた化合物のメタノール中での紫外可視吸収スペクトルは、λmax393nm,ε1.2×104であった。また、得られた化合物について1H−NMRにより同定した結果を以下に示す。
1H−NMR(dmso−d6)δ;8.88(s,1H),7.75(d,2H),6.91−7.30(m,6H),6.60(d,2H),4.60(m,2H),4.44(m,2H),4.27(m,1H),2.37(s,3H),1.80(m,2H),1.61(d,3H),1.43(m,2H),1.38(m,4H),0.90(t,3H)
【0185】
〔実施例5〕:感熱記録材料
本発明の記録材料として、感熱記録材料を以下のようにして作製した。
(フタル化ゼラチン水溶液の調製)
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン、ニッビコレーゲン(株)製)32質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143質量部、イオン交換水367.1質量部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0186】
(アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製)
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286質量部、水酸化カルシウム0.153質量部、イオン交換水143.6質量部を混合し、50℃にて溶解し、アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0187】
(ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Aの調製)
酢酸エチル16.1gにジアゾニウム塩(例示化合物A−1)4.7g、トリクレジルホスフェート9.6g、およびジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASFジャパン(株))0.4gを添加して均一に混合した。次いでこの混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチルプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名:タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業製)8.6gを加え混合しI液を得た。
【0188】
次に、上記フタル化ゼラチン水溶液56.5g、イオン交換水16.5g、Scraph AG−8(50質量%,日本精化(株)製)0.35gの混合液に上記I液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rpmで乳化分散した。得られた乳化物に水20gを加えて均一化した後、攪拌しながら40℃で3時間カプセル化反応を行なった。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2gを加え、さらに1時間撹拌した。イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節し、ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Aを得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.57μmであった。
【0189】
(カプラー乳化液Bの調製)
酢酸エチル33.0gに、カプラー(例示化合物B−1)9.9g、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9g、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールM(三井石油化学(株)製)20.8g、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピキシ)−1,1’−スピロインダン(三協化学(株)製)3.3g、4−(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6g、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8g、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.3gを溶解し、II液を得た。
【0190】
別途、上記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3gにイオン交換水107.5gを混合した中に、II液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rpmで10分間乳化分散した。得られた乳化物を減圧、加熱し酢酸エチルを除去後、固形分濃度が26.5質量%になるように濃度調節を行なった。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21マイクロメートルであった。ここへSBRラテックス(商品名:SN−307,48質量%溶液,住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5質量%に濃度調節したものを9g添加して、カプラー乳化液Bを得た。
【0191】
(感熱記録層塗布液Cの調製)
ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Aおよびカプラー乳化液Bを、カプラー/ジアゾニウム塩化合物の質量比が2.2/1になるように混合し、感熱記録層塗布液Cを得た。
【0192】
(光透過率調整層用塗布液の調製)
1.紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製
酢酸エチル71質量部に、紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5質量部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン5.0質量部、燐酸トリクレジル1.9質量部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7質量部、およびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)0.45質量部を混合し、均一に溶解した。この混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)54.7質量部を添加して均一に攪拌し、紫外線吸収剤前駆体混合液を得た。
【0193】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52質量部に30質量%燐酸水溶液8.9質量部、イオン交換水532.6質量部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06質量部に上記紫外線吸収剤前駆体混合液を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行なった。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このカプセル液859.1質量部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48質量%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416質量部、イオン交換水39.5質量部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0194】
2.光透過率調整層用塗布液の調製
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000質量部、フッ素系界面活性剤〔商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株))(5質量%水溶液〕5.2質量部、4質量%水酸化ナトリウム水溶液7.75質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製2.0質量%水溶液)73.39質量部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0195】
(保護層用塗布液の調製)
1.保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160質量部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルとの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54質量%水溶液)、東邦化学工業(株)製)8.74質量部、イオン交換水3832質量部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0196】
2.保護層用顔料分散液の調製
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8質量部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40質量%水溶液),花王(株)製)0.2質量部、イオン交換水11.8質量部を混合し、ダイノミルにて分散した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
得られた分散液45.6質量部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20質量%水分散液、日産化学(株)製)8.1質量部を添加して目的の保護層用顔料分散液を得た。
【0197】
3.保護層用マット剤分散液の調製
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220質量部に1−2ベンズイソチアゾリン3オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81質量部、イオン交換水1976.19質量部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0198】
4.保護層用塗布ブレンド液の調製
上記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000質量部に、フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株)製、5質量%水溶液)40質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0質量%水溶液)50質量部、上記保護層用顔料分散液49.87質量部、上記保護層用マット剤分散液16.65質量部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5質量%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0199】
(下塗り層つき支持体の作製)
1.下塗り層用塗布液の調製
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40質量部をイオン交換水60質量部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途、水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8質量部と水92質量部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、体積平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5質量%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0200】
次いで、40℃の40質量%の上記下塗り層用ゼラチン水溶液100質量部に、水120質量部およびメタノール556質量部を加え、充分攪拌混合した後、5質量%上記雲母分散液208質量部を加えて、充分に攪拌混合し、1.66質量%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8質量部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3質量部を加えて下塗り層用塗布液(5.7質量%)を調製した。
【0201】
2.下塗り層つき支持体の作製
LBPS50質量部およびLBPK50質量部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5質量部、アニオンポリアクリルアミド1.0質量部、硫酸アルミニウム1.0質量部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1質量部、カチオンポリアクリルアミド0.5質量部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
【0202】
上記原紙の両面にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーティングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面を「ウラ面」と称する)。次に、上記樹脂層を形成したウラ面とは反対側の面に溶融押出機を用いて、アナターゼ型二酸化チタン10質量%および微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmになるようにコーティングし、光沢面からなる樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」と称する)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名:アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名:スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2となるように塗布した。次に、オモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り層用塗布液を含有する雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0203】
(塗布)
前記支持体の下塗り層表面に、該下塗り層側から順に上記より得た感熱記録層塗布液C、光透過率調整層用塗布液、保護層塗布液を3層同時に連続塗布し、30℃、相対湿度30%の環境条件、および40℃、相対湿度30%の環境条件で連続的に乾燥させ、本発明の感熱記録材料(1)を得た。
【0204】
〔実施例6〕
実施例1において、ジアゾニウム塩として、例示化合物(A−1)を例示化合物(A−7)に代えたこと以外、実施例5と同様にして本発明の感熱記録材料(2)を作製した。
【0205】
〔実施例7〕
実施例1において、ジアゾニウム塩として、例示化合物(A−1)を例示化合物(A−9)に代えたこと以外、実施例5と同様にして本発明の感熱記録材料(3)を作製した。
【0206】
〔比較例1〕
実施例1において、ジアゾニウム塩として、例示化合物(A−1)を下記比較化合物1に代えたこと以外、実施例5と同様にして比較の感熱記録材料(4)を作製した。
【0207】
【化23】
【0208】
[評価]
上記より得た感熱記録材料(1)〜(4)を用いて下記の評価を行なった。なお、以下の各試験において、発色部および地肌部の濃度は、Macbeth RD918を用いてYポジションでの濃度を測定した。測定した結果を下記表1に示す。
【0209】
(発色試験)
京セラ株式会社製サーマルヘッド(KST型)を用い、単位面積あたりの記録エネルギーが23mJ/mm2となるようにサーマルヘッドに対する印加電力およびパルス幅を決め、各感熱記録材料に熱印画し画像を得た。次いで、発光中心波長450nm、出力40Wの紫外線ランプ下に10秒間曝した。発色濃度および地肌濃度を測定した。
【0210】
(保存性試験)
記録前の各感熱記録材料を、60℃、30%RHの条件にて72時間強制保存した。その後上記と同様に熱記録と濃度測定を行なった。
【0211】
(光定着性試験)
未印画の各感熱記録材料を、発光中心波長450nm、出力40Wの紫外線ランプ下に時間を変えて曝した後、上記と同様に熱記録と濃度測定を行なった。定着時間に対する発色濃度をプロットし、その傾きを後述の比較化合物の傾きの比として算出した。数字が大きいほど定着性に優れる。
【0212】
【表1】
【0213】
上記表1に示すように、本発明のジアゾニウム塩を用いた感熱記録材料(1)〜(3)では、比較の感熱記録材料(4)に比し、保存性に優れており、光定着に対する定着感度が高く光定着性に優れていた。また、発色濃度および地肌白色性を損なうこともなかった。
【0214】
【発明の効果】
本発明によれば、新規なジアゾニウム塩を提供すること、並びに400〜500nmの波長の光に対して定着感度を持ち、光定着性に優れ、生感材保存性に優れた記録材料を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジアゾニウム塩、およびジアゾニウム塩を含む記録材料に関し、詳しくは、アゾ色素の合成中間体、分析試薬、感熱記録材料用素材等として有用な新規ジアゾニウム塩、および高画質画像を安定的に形成することができる記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジアゾニウム塩は、アゾ色素の重要な合成中間体として知られている。アゾ色素の合成法については、従来から種々の方法が知られており、酸化反応による合成や、還元反応による合成、置換反応による合成、付加反応による合成、縮合反応による合成、その他種々の合成法がある(例えば、非特許文献1参照)。かかる方法では、合成の過程において、ジアゾニウム塩の爆発を伴なうといった危険性を有しており、その爆発の懸念の少ない安定なジアゾニウム塩の開発が要請されていた。
【0003】
一方、ジアゾニウム塩は、体液中に含まれる胆汁色素の主成分であるビリルビンの定量的分析に使用されており、医学および薬学分野においても重要な化合物として位置付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
他方、ジアゾニウム塩は一般に非常に化学的活性の高い化合物であり、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する、いわゆるカプラーと呼ばれる化合物と反応して容易にアゾ染料を形成すると共に、感光性をも有し、光照射によって分解し、その活性を失うという性質を有するため、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古くから利用されている(例えば、非特許文献2参照)。その代表例として、ジアゾニウム塩とカプラーとを含む記録層を設けた記録材料を、画像信号にしたがって加熱、反応させ画像形成した後、更に光照射して定着する、光定着型の感熱記録材料が提案されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0005】
ジアゾニウム塩を発色成分とする記録材料は、ジアゾニウム塩の化学的活性が非常に高く、暗所でも徐々に熱分解してその反応性を失うことから、記録材料としてのシェルフライフが短いという欠点があった。また、非画像部である地肌部では光定着時に残留ジアゾニウム塩が分解し、着色した分解生成物(ステイン)の生成により地肌部が着色するという欠点もあった。さらに、定着後でも地肌部は耐光性が弱く、太陽光や蛍光灯下に長時間曝されると次第に着色されてしまうという欠点もあった。
また更に、記録速度の向上は長年の課題として検討が続けられており、光定着性を改良し、短時間で光定着できるジアゾニウム塩が求められていた。
【0006】
従来からジアゾニウム塩の不安定さを改善する手段として様々な方法が提案されており、最も有効な手段の1つとして、ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包する方法がある。ジアゾニウム塩をマイクロカプセル化することにより、ジアゾニウム塩が水や塩基といった分解を促進させる物質から隔離され、その分解が著しく抑制されるため、記録材料のシェルフライフを飛躍的に向上できる(例えば、非特許文献4参照)。
【0007】
ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包する一般的な方法としては、疎水性溶媒にジアゾニウム塩を溶解して油相とし、この油相を水溶性高分子を溶解した水溶液(水相)に加えてホモジナイザー等で乳化分散すると共に、マイクロカプセルの壁材となるモノマー若しくはプレポリマーを油相及び/又は水相に添加しておくことにより油相/水相界面で重合反応を起こさせ、あるいはポリマーを析出させて高分子化合物からなる壁を形成させてマイクロカプセルとする方法である(例えば、非特許文献5〜6参照)。
【0008】
形成されるカプセル壁としては、架橋ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース類、ウレア樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ナイロン樹脂等が使用される。特に、ウレア樹脂やウレタン樹脂のようにガラス転移温度を有し、そのガラス転移温度が室温よりやや高い壁を有するマイクロカプセルの場合、室温ではカプセル壁が物質非透過性を示す一方、ガラス転移温度以上では物質透過性を示すため、熱応答性マイクロカプセルと呼ばれ、感熱系の記録材料に有用である。すなわち、支持体上に、ジアゾニウム塩を含む熱応答性マイクロカプセルとカプラーとを発色成分として含む感熱記録層を有する感熱記録材料では、ジアゾニウム塩を長期間安定に保持できると同時に、加熱により容易に画像形成でき、更に光照射して形成画像を定着処理することにより、記録材料としての安定性を飛躍的に向上させることが可能となった。
【0009】
このように記録材料としての安定性は飛躍的に向上したものの、ジアゾニウム塩自体に起因する不安定さは完全に抑制されておらず、感熱記録材料等の長期保存性を充分に確保するまでには至っていない。また、定着後においても光源下に長時間曝されてしまうとジアゾニウム塩の光分解物が光分解反応を起こし、該反応に伴なって着色ステインが増加する結果、定着後の地肌白色度が低下し、形成画像のコントラストの低下を招来するとの問題もある。しかも、上記のような光分解反応は均一には起こり得ず、周囲の環境等により様々な分解生成物を生じることが知られており、数十種以上にも及ぶ分解生成物中に特に可視領域に吸収を有する光分解ステインを生ずる。このステインの発生が著しいと、光定着後の地肌部の白色度が低くなり、画像コントラストの低下を来し、結果として記録材料自体の商品価値を著しく損なうことになる。
【0010】
ところが、ジアゾニウム塩の光分解反応は複雑であり、その生成物を特定することは難しいことから、光分解ステインの抑制は困難とされている。
したがって、近年では光分解ステインに起因する長期安定化に関する研究が盛んに行なわれており、例えば、光定着型ジアゾニウム塩を含有するマイクロカプセルに特定の疎水性オイルを併用することにより、生保存性に優れると共に長期間の曝光下でも白色度を損なわない画像保存性を有する光定着型感熱記録材料(例えば、特許文献2参照)や、最大光吸収波長が350nm近傍より短波長域にあり、ジアゾニウム塩自身の安定性の良好な新規ジアゾニウム塩を用いた非定着型の感熱記録材料が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
しかし、保存環境によっては、生保存性、画像形成後の発色部および地肌部(非画像部)における画像保存性は未だ不充分であり、更なる向上が求められているのが現状である。また更に、近年では画像記録に要する記録時間の短縮、すなわち印画、定着を含めた画像形成の高速化の要望が高く、特にジアゾニウム塩を用いた光定着型の感熱記録材料において、既述のような安定性の向上を図りながら高速化をも達成しうる技術の要望が高く、該要望に応えるには、ジアゾニウム塩自体の光分解速度の向上が不可欠とされている。
【0012】
ジアゾニウム塩を発色成分とする記録材料は、光定着を高効率に行なう点から定着工程で波長360nm前後の紫外線を照射することが一般的であった。しかし、紫外線は特殊な光源を必要とするばかりか、目への影響が懸念されるなどの問題もあることから、400nmより長波長の可視光線の光源を用いて効率よく定着し得るジアゾニウム塩を用いた記録材料が求められていた。ところが、従来のジアゾニウム塩を発色成分とすると、400nmより長波長の光源を用いて失活させ、定着するには長時間の光照射が不可避であり、長時間の光定着を行なった場合には定着によって生じた生成物が更に反応してしまい、形成画像の地肌白色度が低下することがあった。
【0013】
また、本発明者等は、極大吸収波長(λmax)が400nmを越える新規なジアゾニウム塩、すなわち4−インドリノ型のジアゾニウム塩であり、窒素を含む複素環構造部の芳香環上の置換基が水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、アシル基またはアシルアミノ基であるものを提案している(例えば、特許文献4参照)。しかし、このジアゾニウム塩を発色成分とする感熱記録材料でも、光定着後の地肌着色の抑制という点において更なる改良が望まれていた。
【0014】
【特許文献1】
特開平11−228517号公報
【特許文献2】
特開平8−324129号公報
【特許文献3】
特開平11−78232号公報
【特許文献4】
特開平11−116553号公報
【非特許文献1】
新実験化学講座(丸善株式会社、14‐III巻、p.1516〜1534)
【非特許文献2】
日本写真学会編「写真工学の基礎−非銀塩写真編−」コロナ社(1982)p.89〜117、p.182〜201参照
【非特許文献3】
画像電子学会誌 第11巻 第4号(1982)、佐藤弘次ら、p.290〜296等
【非特許文献4】
電子写真学会誌 第26巻 第2号(1987)、宇佐美智正ら、p.115〜125
【非特許文献5】
マイクロカプセル(近藤朝士著、日刊工業新聞社、1970年発行)
【非特許文献6】
マイクロカプセル(近藤保ら著、三共出版、1977年発行)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、下記目的を達成することを課題とする。すなわち、
本発明は、新規なジアゾニウム塩を提供すること、並びに400〜500nmの波長の光に対して定着感度を持ち、光定着性に優れ、生感材保存性に優れた記録材料を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、これまで知られていなかったベンゾチアゾリンを母核とするジアゾニウム塩の合成に成功したこと、このジアゾニウム塩を発色成分とすることが、記録材料の光定着性、生感材保存性の向上に有用であるとの知見に基づくものである。
【0017】
すなわち、前記課題を達成するための手段は、以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩である。
【化3】
【0018】
前記一般式(1)中、R1は、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表す。R2は、アルキル基またはアリール基を表す。R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表し、R3、R4、R5およびR6の少なくとも一つは−N2 +X−を表す。X−はアニオンを表す。
【0019】
<2> 前記R3、R4、R5およびR6が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、またはN2 +X−を表す前記<1>に記載のジアゾニウム塩である。
<3> 前記R4がアルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、かつ前記R5が−N2 +X−を表す前記<2>に記載のジアゾニウム塩である。
【0020】
<4> 前記<1>〜<3>のいずれかに記載のジアゾニウム塩を含む記録材料である。
<5> 支持体上に、前記<1>〜<3>のいずれかに記載のジアゾニウム塩およびカプラーを含む感熱記録層を有する前記<4>に記載の記録材料である。
<6> 前記カプラーが、下記一般式(2)で表される化合物またはその互変異性体である前記<5>に記載の記録材料である。
【0021】
【化4】
【0022】
前記一般式(2)中、E1およびE2は、それぞれ独立に電子吸引性基を表し、E1とE2とは互いに結合して環を形成してもよい。
【0023】
<7> 有機塩基を更に含む前記<4>〜<6>のいずれかに記載の記録材料である。
<8> 前記ジアゾニウム塩がマイクロカプセル中に内包されている前記<4>〜<7>のいずれかに記載の記録材料である。
<9> 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタン及び/又はポリウレアを構成成分として含む前記<8>に記載の記録材料である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のジアゾニウム塩、並びに該ジアゾニウム塩を含む本発明の記録材料について詳細に説明する。
【0025】
<ジアゾニウム塩>
本発明のジアゾニウム塩は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
【0026】
【化5】
【0027】
前記一般式(1)中、R1は、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、無置換でも置換基で置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボキシル基、スルホニル基、ヘテロ環残基が好ましい。
【0028】
前記R1で表されるアシル基としては、総炭素数1〜30のアシル基が好ましく、総炭素数1〜20のアシル基がさらに好ましい。具体例として、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ブチロイル基、4−フェノキシブチロイル基、ベンゾイル基、(4−エトキシフェニル)カルボニル基、(2−ブトキシフェニル)カルボニル基、(4−クロロフェニル)カルボニル基が好ましく、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、(4−クロロフェニル)カルボニル基が特に好ましい。
【0029】
前記R1で表されるアルコキシカルボニル基としては、総炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基が好ましく、総炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基がさらに好ましい。具体例として、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、(2−エチルヘキシル)オキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、(4−メトキシフェニル)オキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基が特に好ましい。
【0030】
前記R1で表されるカルバモイル基としては、総炭素数1〜30のカルバモイル基が好ましく、総炭素数1〜20のカルバモイル基がさらに好ましい。具体例として、カルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N,N−ジヘキシルカルバモイル基、N,N−ジフェニルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基、N−エチル−N−フェニルカルバモイル基、N−メチル−N−トリルカルバモイル、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、N,N−ビス(2−メトキシエチル)カルバモイル基が好ましく、N−ブチルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基が特に好ましい。
【0031】
前記R1で表されるアルキルスルホニル基としては、総炭素数1〜30のアルキルスルホニル基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキルスルホニル基がさらに好ましい。具体例として、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ベンジルスルホニル基が好ましく、メチルスルホニル基、ベンジルスルホニル基が特に好ましい。
【0032】
前記R1で表されるアリールスルホニル基としては、総炭素数1〜30のアリールスルホニル基が好ましく、総炭素数1〜20のアリールスルホニル基がさらに好ましい。具体例として、フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、4−メトキシスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基が好ましく、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基が特に好ましい。
【0033】
前記R1で表されるスルファモイル基としては、総炭素数1〜30のスルファモイル基が好ましく、総炭素数1〜20のスルファモイル基がさらに好ましい。具体例として、スルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジヘキシルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル基、N−メチル−N−トリルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、N,N−ビス(2−メトキシエチル)スルホニル基が好ましく、スルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基が特に好ましい。
【0034】
前記R2は、アルキル基またはアリール基を表し、無置換でも置換基で置換されていてもよい。置換されている場合の置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボキシル基、スルホニル基、ヘテロ環残基が好ましい。
【0035】
前記R2で表されるアルキル基としては、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキル基がさらに好ましい。具体例として、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ベンジル基、(4−エトキシフェニル)メチル基、N,N−ジエチルカルバモイルメチル基、N,N−ジブチルカルバモイルメチル基、1−(N,N−ジブチルカルバモイル)エチル基、2−メトキシエチル基、1−メチル−2−フェノキシエチル基、(4−クロロフェニル)メチル基、(2,4−ジクロロフェニル)メチル基が好ましく、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基、N,N−ジエチルカルバモイルメチル基、N,N−ジブチルカルバモイルメチル基、1−(N,N−ジブチルカルバモイル)エチル基、1−メチル−2−フェノキシエチル基、(4−クロロフェニル)メチル基、(2,4−ジクロロフェニル)メチル基が特に好ましい。
【0036】
前記R2で表されるアリール基としては、総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、総炭素数6〜20のアリール基がさらに好ましい。具体例として、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−フェニルフェノキシ基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、2,4−ジエトキシフェニル基、2,5−ジブトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基、ナフチル基、4−ジブチルカルバモイルフェニル基、4−ジブチルスルファモイルフェニル基が好ましく、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基が特に好ましい。
【0037】
前記R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表し、R3、R4、R5およびR6の少なくとも一つは−N2 +X−を表す。−N2 +はジアゾニオ基を表し、X−はアニオンを表す。
【0038】
前記R3〜R6で表される一価の置換基としては、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、−N2 +X−が好ましく、更にはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、または−N2 +X−がより好ましい。ただし、上記のように、R3、R4、R5およびR6のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。
【0039】
前記R3〜R6で表されるアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基は、前記R1における場合と同義であり、その好ましい具体例も同様である。また、前記R3〜R6で表されるアルキル基、アリール基は、前記R2における場合と同義であり、その好ましい具体例も同様である。
【0040】
前記R3、R4、R5又はR6で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、または沃素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子がさらに好ましい。
【0041】
前記R3、R4、R5又はR6で表されるアルコキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、総炭素数1〜20のアルコキシ基がさらに好ましい。具体例として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、2−フェノキシエトキシ基、2−(3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)エトキシ基、ジブチルカルバモイルメトキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、2−フェノキシエトキシ基、ジブチルカルバモイルメトキシ基がさらに好ましい。
【0042】
前記R3、R4、R5又はR6で表されるアリールオキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、総炭素数6〜20のアリールオキシ基がさらに好ましい。具体例として、フェノキシ基、トリルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、4−アセトアミドフェニルオキシ基、2−ブトキシフェニルオキシ基、2−ベンゾイルアミノフェニルオキシ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルオキシ基、3−オクチルオキシフェニルオキシ基が好ましく、フェノキシ基、トリルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、4−アセトアミドフェニルオキシ基、2−ブトキシフェニルオキシ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルオキシ基がさらに好ましい。
【0043】
前記R3、R4、R5又はR6で表されるアルキルチオ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルキルチオ基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキルチオ基がさらに好ましい。具体例として、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,5,5−トリメチルヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、2−フェノキシエチルチオ基、2−(3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)エチルチオ基、ジブチルカルバモイルメチルチオ基、ヘキサデシルチオ基、オクタデシルチオ基が好ましく、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,5,5−トリメチルヘキシルチオ基、2−フェノキシエチルチオ基、ジブチルカルバモイルメチルチオ基がさらに好ましい。
【0044】
前記R3、R4、R5又はR6で表されるアリールチオ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリールチオ基が好ましく、総炭素数6〜20のアリールチオ基がさらに好ましい。具体例として、フェニルチオ基、トリルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、4−アセトアミドフェニルチオ基、2−ブトキシフェニルチオ基、2−ベンゾイルアミノフェニルチオ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルチオ基、3−オクチルオキシフェニルチオ基が好ましく、フェニルチオ基、トリルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、4−アセトアミドフェニルチオ基、2−ブトキシフェニルチオ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルチオ基がさらに好ましい。
【0045】
前記R3、R4、R5又はR6で表されるアシルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアシルアミノ基が好ましく、総炭素数1〜20のアシルアミノ基がさらに好ましい。具体例として、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ブチリルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、トルオイルアミノ基、フェノシキアセチル基、(4−メトキシフェノキシ)アセチル基、2’,4’−ジクロロベンゾイルアミノ基、2’,4’−ジ−t−アミルベンゾイルアミノ基、アセチルメチルアミノ基、ベンゾイルメチルアミノ基、アセチルベンジルアミノ基が好ましく、アセチルアミノ基、ブチリルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、トルオイルアミノ基、フェノシキアセチル基、2’,4’−ジ−t−アミルベンゾイルアミノ基、アセチルメチルアミノ基、ベンゾイルメチルアミノ基、アセチルベンジルアミノ基がさらに好ましい。
【0046】
前記一般式(1)においては、R3、R4、R5およびR6のうち、少なくとも一つはアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが好ましい。また、置換位置として、R4がアルコキシ基またはアリールオキシ基であることが特に好ましい。
【0047】
また、R3、R4、R5およびR6の少なくとも一つは−N2 +X−を表すが、R5が−N2 +X−であることが特に好ましい。
【0048】
前記X−で表されるアニオンとしては、無機アニオン、有機アニオンのいずれでもよい。前記無機アニオンとしては、例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオンが好ましく、中でもヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが特に好ましい。また、前記有機アニオンとしては、例えば、ポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン、特願2002−108919号明細書に記載のイオンが好ましく、中でもポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、特願2002−108919号明細書に記載のイオンが特に好ましい。
【0049】
さらに、前記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩は、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6が置換基としてジアゾニオアリール基を有し、複数のジアゾニオ基を有していてもよい。
【0050】
前記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩は、後述する合成方法により好適に合成することができる。
【0051】
以下、前記一般式(1)で表される化合物の具体例(例示化合物A−1〜A−30)を示す。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0052】
【化6】
【0053】
【化7】
【0054】
【化8】
【0055】
−ジアゾニウム塩の合成方法−
本発明のジアゾニウム塩は、下記一般式(3)で表される化合物を出発原料とすることにより好適に合成することができる。
【0056】
【化9】
【0057】
前記一般式(3)中、R1は、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表す。R2は、アルキル基、アリール基を表す。R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表し、かつR7、R8、R9およびR10で表される基の少なくとも一つは−NHR11を表し、R11は水素原子またはアシル基を表す。
【0058】
前記一般式(3)中のR1で表される、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびスルファモイル基は、既述の一般式(1)のR1における場合とそれぞれ同義であり、その好ましい態様も同様である。
【0059】
前記一般式(3)中のR7、R8、R9およびR10で表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、または−NHR11が好ましく、更にはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、または−NHR11が好ましい。ただし、上記のように、R7、R8、R9およびR10で表される基の少なくとも一つは−NHR11を表す。
【0060】
一般式(3)中のR7、R8、R9およびR10で表される、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基は、既述の一般式(1)のR3〜R6で表される一価の置換基における場合と同義であり、その好ましい例も同様である。
【0061】
前記一般式(3)においては、R7、R8、R9およびR10の少なくとも一つは−NHR11を表し、R11は水素原子またはアシル基を表す。
前記R11で表されるアシル基としては、総炭素数1〜30のアシル基が好ましく、総炭素数1〜20のアシル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ブチロイル基、4−フェノキシブチロイル基、ベンゾイル基、(4−エトキシフェニル)カルボニル基、(2−ブトキシフェニル)カルボニル基、(4−クロロフェニル)カルボニル基が好ましく、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、(4−クロロフェニル)カルボニル基が特に好ましい。
【0062】
前記一般式(3)におけるR7、R8、R9およびR10のいずれかがアミノ基(即ち、−NHR11であってR11がHの場合)である場合には、酸と塩を形成していてもよい。好ましい酸としては、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0063】
ジアゾニウム塩の合成にあたっては、前記一般式(3)におけるR7、R8、R9およびR10の少なくとも一つが−NHR11(R11=アシル基)である場合、これを−NHR11(R11=水素原子)に変換して用いる。この変換は、酸性条件下でも塩基性条件下でも可能であり、添加する酸としては塩酸、硫酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸が好ましく、添加する塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムが好ましい。添加によって酸を発生する化合物も好ましく、塩化アセチル、塩化プロピオニルが好ましい。
【0064】
合成に用いる反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、酢酸が好ましく、これらの混合溶媒も好ましい。反応温度は、室温から溶媒の沸点の間が好ましいが、反応速度および溶解性の点から50℃以上の高温で行なう方が好ましい。
【0065】
また、前記R7、R8、R9およびR10の少なくとも一つが−NHR11(R11=水素原子)の場合、この化合物を酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等を用いてジアゾ化することによりジアゾニウム塩が得られる。
【0066】
また、前記一般式(3)で表される化合物は、以下の第1または第2の合成法により好適に合成することができる。
第1の合成法として、下記一般式(4)で表される化合物を出発原料の一つとして合成することができる。
【化10】
【0067】
前記一般式(4)におけるR1、R2、R7、R8、R9及びR10は、前記一般式(3)におけるR1、R2、R7、R8、R9及びR10と各々同義であり、その好ましい態様も同様である。一般式(4)においては、R8がアルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、R9が−NHR11を表すものがより好ましく、ここでのR11の定義及びその好ましい態様は既述の一般式(3)におけるR11と同様である。
【0068】
第1の合成法における合成反応は酸化反応によるものである。酸化反応に用いる酸化剤としては、塩素、臭素、ヨウ素、塩化スルホニル、または塩化スルフリルが好ましく、取り扱い、収率の点からは、臭素が最も好ましい。酸化剤の使用量は、一般式(4)で表される化合物の量に対して、モル比で90〜130%が好ましい。合成反応に使用する溶媒は、酸化剤と反応しないものであればよく、酢酸、プロピオン酸、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、クロロベンゼンが好ましく、その使用量は一般式(4)で表される化合物の質量に対して100〜2000%が好ましい。
【0069】
反応温度は、−10℃〜120℃の範囲で選択すればよい。一般に高温ほど早く反応は完結するが、本態様の合成方法では室温以下でも速やかに反応が進行するため、収率の点から−5℃〜35℃の範囲で行なうことが好ましい。また、酢酸を溶媒に使用する場合には、酢酸の結晶化を防ぐために10℃以上で行なうことが好ましい。
【0070】
前記一般式(4)で表される化合物の合成は、「Organic Functional Group Preparations Volume II」(Stanley R.Sandler,Wolf Karo著(1971) Academic Press,Inc.)、「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応III」(1976;丸善株式会社)、J.Chem.Soc.(C)(1967)p.2212〜2220、等に記載の公知の方法で行なうことができる。
【0071】
第2の合成法として、下記一般式(5)で表される化合物と、下記一般式(6)で表される化合物および一般式(7)で表される化合物のいずれか一方とを出発原料として合成することができる。
【0072】
【化11】
【0073】
前記一般式(5)中、R2、R7、R8、R9及びR10は、前記一般式(3)におけるR2、R7、R8、R9及びR10と各々同義であり、その好ましい態様も同様である。また、一般式(5)においては、R8がアルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、R9が−NHR11を表すものがより好ましく、ここでのR11の定義及びその好ましい態様は既述の一般式(3)中のR11と同様である。
【0074】
前記一般式(6)中、R1は、前記一般式(3)におけるR1と同義であり、好ましい態様も同様である。また、Xはハロゲン原子を表し、塩素原子、臭素原子、または沃素原子が好ましい。前記一般式(7)中、R12は、アルキル基、アリール基を表し、Yは、酸素原子、硫黄原子を表す。前記R12で表されるアルキル基、アリール基は、前記一般式(1)のR2における場合と同義であり、その好ましい態様も同様である。
【0075】
第2の合成法による合成は、前記一般式(5)で表される化合物と共に、前記一般式(6)又は(7)で表される化合物を中性又は塩基性条件下にて反応させることによって行なうことができる。
前記一般式(6)又は(7)で表される化合物の使用量は、前記一般式(5)で表される化合物の量に対してモル比で90〜150%が好ましい。合成反応に使用する溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、又はこれらの混合溶媒等が好ましく、その使用量は一般式(5)で表される化合物の質量に対して、100〜2000質量%が好ましい。
【0076】
塩基性条件下で反応を行なう場合、ピリジン、トリエチルアミン、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが使用できる。
【0077】
反応温度は10℃〜180℃の範囲で選択すればよい。一般に高温ほど早く反応は完結するが、本態様の合成方法では室温でも速やかに反応が進行するため、収率の点から50℃〜130℃の範囲で行なうことが好ましい。
【0078】
前記一般式(5)で表される化合物の合成は、Tetrahedron 42(20)p.5739(1986)、Dyes and Pigments 10(1989)p.173〜181、J.Chem.Soc.(C)(1967)p.2212−2220、J.Chem.Soc.(1927)p.1209、J.Chem.Soc.(1926)p.2958,p.2961、特開昭54−109970号公報、特開昭53−9767号公報、等に記載の公知の方法で行なうことができる。
【0079】
前記一般式(6)、(7)で表される化合物はいずれも、市販のものを使用できるほか、「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応II」(1976、丸善株式会社)や、「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応III」(1976、丸善株式会社)等による公知の方法で合成して用いることができる。
【0080】
本発明のジアゾニウム塩は、後述する記録材料に好適に用いることができ、特に感熱記録材料の感熱記録層に発色成分として含有されることが好ましい。
【0081】
<記録材料>
本発明の記録材料は、既述の本発明のジアゾニウム塩を含有することを特徴とする。かかる記録材料としては、感熱記録材料、感光(感熱)記録材料等を挙げることができ、記録材料において、ジアゾニウム塩は油状物、結晶状態のいずれで用いてもよく、取扱い性の点で常温で結晶状態のものが好ましい。
本発明のジアゾニウム塩については、既述の通りであり、一種単独でも、二種以上を併用してもよく、また、既存のジアゾニウム塩と併用してもよい。
【0082】
以下、本発明の記録材料が感熱記録材料である場合を例に詳細に説明する。
本発明の記録材料が感熱記録材料である場合、該感熱記録材料は、支持体上に少なくとも感熱記録層を有して構成することができ、該感熱記録層は、前記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩とカプラーとを含有して構成することができる。また必要に応じ、有機塩基およびその他の成分を含有することができる。
【0083】
前記感熱記録層は、前記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩を内包したマイクロカプセルおよびカプラー、並びに必要に応じて有機塩基およびその他の成分を含有する塗布液を調製し、該塗布液を紙や合成樹脂フィルム等の支持体上に塗布、乾燥することにより塗設することができる。
【0084】
前記塗布液の塗布は、公知の塗布方法の中から適宜選択することができ、例えば、バー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等が挙げられる。
また、塗布、乾燥後の感熱記録層の乾燥塗布量としては、2.5〜30g/m2が好ましい。
【0085】
本発明のジアゾニウム塩を記録材料の感熱記録層に含有する場合の含有量としては、0.02〜5g/m2が好ましく、発色濃度の点から0.1〜4g/m2がより好ましい。
【0086】
本発明のジアゾニウム塩の安定化のために、塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズ等を用いて錯化合物を形成させ、ジアゾニウム塩の安定化を図ることもできる。
【0087】
既述の一般式(1)で表されるジアゾニウム塩は、後述のカプラーとの反応により発色し、高い発色濃度が得られる一方、蛍光灯等の380〜460nmの波長範囲での光分解性に優れ、短時間の光照射でも充分に定着を完了しうる、高速分解性を有するため、光定着型の感熱記録材料に用いる発色成分として非常に有用である。
【0088】
(カプラー)
次に、カプラー(カップリング成分)について説明する。
前記カプラーは、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾニウム塩とカップリングして色素を形成するものであればいずれの化合物も使用可能である。ハロゲン化銀写真感光材料用のいわゆる4当量カプラーはすべてカプラーとして使用可能である。これらは目的とする色相に応じて選択することが可能である。
例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などがあり、具体例として下記のものが挙げられ本発明の目的に合致する範囲で使用される。
【0089】
前記カプラーの具体例としては、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−l,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロへキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジーn−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、
【0090】
N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オタタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキジフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ビバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0091】
カプラーの詳細については、特開平4−201483号公報、特開平7−223367号公報、特開平7−223368号公報、特開平7−323660号公報、特願平5−278608号明細書、特願平5−297024号明細書、特願平6−18669号公報、特願平6−18670号明細書、特願平7−316280号明細書、特願平8−027095号明細書、特願平8−027096号明細書、特願平8−030799号明細書、特願平8−12610号明細書、特願平8−132394号明細書、特願平8−358755号明細書、特願平8−358756号明細書、特願平9−069990号明細書等に記載されている。
【0092】
上記のうち、本発明におけるカプラーとしては、下記一般式(2)で表される化合物またはその互変異性体が特に好ましい。以下に、一般式(2)で表される化合物について詳述する。
【0093】
【化12】
【0094】
前記一般式(2)において、E1およびE2は、それぞれ独立に電子吸引性基を表し、E1およびE2は互いに結合して環を形成してもよい。
【0095】
前記E1、E2で表される電子吸引性基とは、Hammettのσp値が正である置換基を意味し、これらは同一であっても異なっていてもよく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のオキシカルボニル基;カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−〔2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、N−〔2,4−ビス(オクチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、モルホリノカルボニル基等のカルバモイル基;メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基;ジエチルホスホノ基等のホスホノ基;ベンゾオキサゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−スルホン−2−イル基等の複素環基;ヘテロ環基;ニトロ基;イミノ基;シアノ基が好適に挙げられる。
【0096】
また、E1およびE2で表される電子吸引性基は、両者が結合し環を形成してもよく、形成される環としては、5員ないし6員の炭素環または複素環が好ましい。
【0097】
以下、前記一般式(2)で表されるカプラーの具体例(例示化合物B−1〜B−38)を示す。ただし、本発明においてはこれらに限定されるものではない。なお、以下に示すカプラーの互変異性体も好適なものとして挙げられる。
【0098】
【化13】
【0099】
【化14】
【0100】
【化15】
【0101】
【化16】
【0102】
【化17】
【0103】
【化18】
【0104】
前記カプラーの互変異性体とは、上記に代表されるカプラーの異性体として存在するものであって、その両者間で構造が容易に変化し合う関係にあるものをいい、本発明に用いるカプラーとしては、該互変異性体も好ましい。
【0105】
−マイクロカプセル化−
本発明の記録材料においては、その使用前の生保存性を良化する目的で、ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包させることが好ましい。該マイクロカプセルの形成方法としては、既に公知の方法の中から適宜選択することができる。
【0106】
マイクロカプセルのカプセル壁を形成する高分子物質としては、常温では非透過性であり、加熱時に透過性となる性質を有することが必要である点から、特にガラス転移温度が60〜200℃のものが好ましく、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン・メタクリレート共重合体、スチレン・アクリレート共重合体、およびこれらの混合系を挙げることができる。
【0107】
マイクロカプセル形成方法としては、具体的には、界面重合法や内部重合法が適している。該カプセル形成方法の詳細、およびリアクタントの具体例等については、米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書に記載がある。例えば、カプセル壁材として、ポリウレア、ポリウレタンを用いる場合には、ポリイソシアネートおよびそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオールやポリアミン)を水性媒体またはカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれらを乳化分散し次に加温することにより油滴界面で高分子形成反応を起こしマイクロカプセル壁を形成する。なお、上記第2物質の添加を省略した場合もポリウレアを生成することができる。
【0108】
本発明においては、マイクロカプセルのカプセル壁を形成する高分子物質としては、ポリウレタンおよびポリウレアの少なくとも1種を成分として含有することが好ましい。
【0109】
次に、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について述べる。
まず、ジアゾニウム塩は、カプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解または分散させ、マイクロカプセルの芯となる油相を調製する。このとき、さらに壁材として多価イソシアネートが添加される。
【0110】
前記油相の調製に際し、ジアゾニウム塩を溶解、分散してマイクロカプセルの芯の形成に用いる疎水性の有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、例えば、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
【0111】
カプセル化しようとするジアゾニウム塩の前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いるジアゾニウム塩の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもでき、該低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0112】
このため、ジアゾニウム塩は、高沸点疎水性有機溶媒、低沸点溶媒に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には、該溶剤に5%以上の溶解度を有していることが好ましい。水に対する溶解度は1%以下が好ましい。
【0113】
一方、用いる水相には水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行なうが、該水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、さらに均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は公知の乳化用界面活性剤が使用可能である。界面活性剤を添加する場合の添加量としては、油相質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
【0114】
調製された油相を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子は、乳化しようとする温度における、水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、例えば、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0115】
前記水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、もしくは低いことが好ましく、例えば、ゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成する等して反応性をなくしておくことが好ましい。
【0116】
前記多価イソシアネート化合物としては、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物であってもよい。具体的には、キシレンジイソシアネートおよびその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびその水添物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
【0117】
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
【0118】
多価イソシアネートの使用量としては、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。また、その分散粒子径としては、0.2〜10μm程度が一般的である。
【0119】
水相中に油相を加えた乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0120】
水相中または油相の疎水性溶媒中に、さらにポリオール及び/又はポリアミンを添加しておけば、多価イソシアネートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして用いることもできる。上記反応において、反応温度を高く保ち、あるいは、適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
【0121】
これらのポリオールまたはポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
【0122】
多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
【0123】
乳化は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置の中から適宜選択して行なうことができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行なう等の必要がある。
【0124】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩内包マイクロカプセルを得ることができる。
【0125】
次に、本発明に用いるカプラーは、例えば、水溶性高分子、有機塩基、その他の発色助剤等とともに、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、特に好ましくは、予め水に難溶性または不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。さらに、カプラー、有機塩基は別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することも可能である。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
前記カプラーの使用量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0126】
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載の高沸点オイルの中から適宜選択することができる。中でも、乳化分散物の乳化安定性の観点から、エステル類が好ましく、リン酸トリクレジルが特に好ましい。上記オイル同士、または他のオイルとの併用も可能である。この有機溶剤には、さらに溶解助剤として低沸点の補助溶剤を加えることもでき、該補助溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルおよびメチレンクロライド等を好適に挙げることができる。場合に応じて、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0127】
また、水相中に保護コロイドとして含有させる水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができ、中でも、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等が好ましい。
【0128】
また、水相中に含有させる界面活性剤としては、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤であって、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。該界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
【0129】
(その他の成分)
本発明に係る感熱記録層は、ジアゾニウム塩とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で、塩基性物質として有機塩基を含有する態様が好ましい。
前記有機塩基としては、第3級アミン類、ピぺリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられ、例えば、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものを好適に挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0130】
上記のうち、具体的には、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ)ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,8−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0131】
前記有機塩基の使用量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。前記使用量が、0.1質量部未満であると、充分な発色濃度が得られなくなることがあり、30質量部を超えると、ジアゾニウム塩の分解が促進されることがある。
【0132】
また、感熱記録層中には、上記有機塩基の他、発色反応を促進させる、すなわち低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画させる目的で、発色助剤を加えることもできる。ここで、発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、もしくは発色温度を制御する物質であり、カプラー、塩基性物質もしくはジアゾニウム塩等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下させうる作用により、ジアゾニウム塩、塩基性物質、カプラー等が反応しやすい条件とするためのものである。
【0133】
前記発色助剤としては、例えば、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物、ヒドロキシ化合物等が挙げられる。
【0134】
前記発色助剤には、熱融解性物質も含まれる。該熱融解性物質は、常温下では固体であって、加熱により融解する融点50℃〜150℃の物質であり、ジアゾニウム塩、カプラー、あるいは、有機塩基等を溶解しうる物質である。具体的には、カルボン酸アミド、N置換カルボン酸アミド、ケトン化合物、尿素化合物、エステル類等を挙げることができる。
【0135】
本発明の感熱記録材料においては、熱発色画像の光および熱に対する堅牢性を向上させ、または、定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
【0136】
前記酸化防止剤については、例えば、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同第309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載されている。感熱もしくは感圧記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。
【0137】
前記各種添加剤としては、例えば、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0138】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2.4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0139】
前記酸化防止剤、または各種添加剤の添加量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.05〜100質量部が好ましく、0.2〜30質量部がより好ましい。
前記酸化防止剤および各種添加剤は、マイクロカプセル中にジアゾニウム塩とともに含有させてもよいし、あるいは、固体分散物としてカプラー、塩基性物質およびその他の発色助剤とともに含有させてもよいし、乳化物にして適当な乳化助剤とともに含有させてもよいし、またはその両形態で含有させてもよい。また、酸化防止剤、または各種添加剤は、単独で用いてもよく、複数併用することもできる。さらに、保護層に含有させることもできる。
【0140】
前記酸化防止剤および各種添加剤は、必ずしも同一層に添加しなくてもよい。
前記酸化防止剤及び/又は各種添加剤を複数組合わせて用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ビンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、リン化合物、硫黄化合物のように構造的に分類し、互いに異構造のものを組合わせてもよいし、同一のものを複数組合わせることもできる。
【0141】
画像記録後の地肌部の黄着色を軽減する目的で、光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を添加することができる。前記遊離基発生剤としては、例えば、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類等が挙げられる。
該遊離基発生剤の添加量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
【0142】
また、同様に黄着色を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、「ビニルモノマー」と称する。)を用いることもできる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。
【0143】
前記ビニルモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸およびその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。該ビニルモノマーは、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.2〜20質量部の割合で用いる。
前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾニウム塩と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
さらに、酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することもできる。
【0144】
感熱記録層の構成態様としては、特に限定されるものではなく、例えば、マイクロカプセル、カプラー、有機塩基等が全て同一層に含まれた、単一層よりなる態様であってもよいし、別層に含まれるような複数層積層型の態様であってもよい。また、支持体上に、特願昭59−177669号明細書等に記載の中間層を設けた後、感熱記録層を塗布形成した態様であってもよい。さらに、後述するように、色相の異なる単色かつ単一の感熱記録層を複数層積層したフルカラー発色型の態様であってもよい。
【0145】
本発明の記録材料において、感熱記録層、中間層または後述の保護層等の各層にはバインダーを含有することができ、該バインダとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等の中から適宜選択することができる。
【0146】
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等およびこれらの変性物等が挙げられる。
【0147】
前記ラテックス類としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。中でも、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン誘導体、ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリル酸アミド誘導体等が好ましい。
【0148】
また、感熱記録材料には顔料を含有させることもでき、該顔料としては、有機、無機を問わず公知のものが挙げられ、例えば、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
【0149】
また、必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤およびその前駆体等の各種添加剤を使用することもできる。
【0150】
感熱記録材料においては、必要に応じて、感熱記録層上に保護層を設けてもよい。該保護層は、必要に応じて二層以上積層してもよい。
保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子化合物、およびスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類等が挙げられる。
【0151】
上記水溶性高分子化合物は、架橋させることで、より一層保存安定性を向上させることもできる。該架橋剤としては、公知の架橋剤の中から適宜選択することができ、例えば、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物;グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類;硼酸、硼砂等の無機系架橋剤;ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0152】
保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤等を使用することもできる。また、保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有させてもよい。
【0153】
前記保護層は、支持体上に感熱記録層を形成する場合と同様、上述の公知の塗布方法により設けることができる。保護層の塗布量としては、乾燥塗布量で0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜2g/m2がより好ましい。その膜厚としては、0.2〜5μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。
【0154】
(支持体)
感熱記録材料に使用可能な支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙等に用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム等を使用することができる。
【0155】
支持体上には、カールバランスを補正する目的で、あるいは、裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよい。該バックコート層は、前記保護層と同様にして設けることができる。
【0156】
さらに、必要に応じて、支持体と感熱記録層との間、あるいは、支持体の感熱記録層が設けられた側の表面にアンチハレーション層を、その裏側の表面にスベリ層、アンチスタチック層、粘着剤層等を設けることもできる。
また、支持体の裏面(感熱記録層が設けられない側の表面)に、接着剤層を介して剥離紙を組合わせてラベルの形態としてもよい。
【0157】
上記のように、感熱記録層に本発明のジアゾニウム塩を含有することにより、高い発色濃度が得られるとともに、光定着を高速に行なうことができる。この光定着速度の高速化により記録時間の短縮化が実現され、さらにジアゾニウム塩自身がその分解性に優れることから充分な定着効果が期待できる。従って、非画像部(地肌部)の着色による白色性の低下を防止でき、濃度変動の少ない高コントラストな画像を得ることができる。即ち、記録材料としての安定性の向上と高速化の両立が実現できる。
さらに、ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包することにより、記録材料としての長期での安定性をより高めることができる。
【0158】
感熱記録材料を用いた画像形成は、以下のような方法で行なってもよい。
即ち、例えば、感熱記録材料の感熱記録層が設けられた側の表面を、サーマルヘッド等の加熱装置により画像様に加熱印画することにより、感熱記録層の加熱部で、層中のポリウレア及び/又はポリウレタンを含むカプセル壁が軟化して物質透過性となり、カプセル外のカプラーや塩基性物質(有機塩基)がマイクロカプセル内に浸入すると、画像様に発色して画像形成することができる。この場合、発色後、さらにジアゾニウム塩の吸収波長に相当する光を照射することにより(光定着)、ジアゾニウム塩が分解反応を起こしてカプラーとの反応性を失い、画像の定着を図ることができる。上記のように光定着を施すことにより、未反応のジアゾニウム塩は、分解反応を生じてその活性を失うため、形成した画像の濃度変動や、非画像部(地肌部)におけるステインの発生による着色、すなわち白色性の低下、該低下に伴う画像コントラストの低下を抑制することができる。
【0159】
光定着に用いる光源としては、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯等が挙げられ、これら光源の発光スペクトルが感熱記録材料中のジアゾニウム塩の吸収スペクトルとほぼ一致していることが、高効率に定着しうる点で好ましい。
特に、照射される光の発光中心波長が、380〜460nmの光源を用いることが特に好ましい。
【0160】
また、光により画像様に書き込みを行い、熱現像して画像化する光書込み熱現像型感熱記録材料(感光感熱記録材料)として用いることもできる。この場合、印字印画過程を、上記のような加熱装置に代えてレーザ等の光源が担う。
【0161】
感熱記録材料においては、互いに発色色相の異なる感熱記録層を複数積層することにより、多色の感熱記録材料を構成することもできる。積層する感熱記録層としては、光分解性のジアゾニウム塩を含む感熱記録層が挙げられる。
前記多色の感熱記録材料については、特開平3−288688号公報、同4−135787号公報、同4−144784号公報、同4−144785号公報、同4−194842号公報、同4−247447号公報、同4−247448号公報、同4−340540号公報、同4−340541号公報、同5−34860号公報、同5−194842号公報、特願平7−316280号公報等に記載がある。
【0162】
例えば、フルカラー感熱記録材料の層構成としては、以下のような態様で構成することができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。感光波長が異なる2種のジアゾニウム塩を、それぞれのジアゾニウム塩と熱時反応して異なった色相に発色させうるカプラーと組合わせて別々の層に含有させてなる、発色色相の異なる2層の感熱記録層(B層、C層)と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組合わせた感熱記録層(A層)とを積層したフルカラー感熱記録材料であってもよく、あるいは、上記2層の感熱記録層(B層、C層)と、これらとはさらに感光波長が異なるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラーを組合わせた感熱記録層(A層)とを積層したフルカラー感熱記録材料であってもよい。
【0163】
具体的には、支持体側から、電子供与性無色染料と電子受容性化合物、あるいは、最大吸収波長が350nmより短いジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラー、を含有する第一の感熱記録層(A層)、極大吸収波長が360nm±20nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラーを含有する第二の感熱記録層(B層)、極大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラーを含有する第三の感熱記録層(C層)を、順次積層して構成されていてもよい。
【0164】
この場合において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選択することによりフルカラーの画像記録が可能となる。フルカラー記録材料の層構成としては、イエロー、マゼンタ、シアンの各発色層はどのように積層してもよいが、色再現性の点で、支持体側から、イエロー、シアン、マゼンタ、またはイエロー、マゼンタ、シアンの順に積層することが好ましい。
【0165】
多色感熱記録材料の場合の記録方法としては、例えば、以下のようにして行なうことができる。すなわち、
まず、第三の感熱記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。次いで、400±20nmの光を照射してC層中に含まれている未反応のジアゾニウム塩を分解させる。次に、第二の感熱記録層(B層)が発色するに充分な熱を与え、該層に含まれているジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。このときC層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。この後、360±20nmの光を照射してB層に含まれているジアゾニウム塩を分解させる。最後に、第一の感熱記録層(A層)が発色するに充分な熱を与えて発色させる。このときC層、B層のも同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。
【0166】
本発明の記録材料においては、上記のように多色の感熱記録材料とすることも好ましい。
上記のように、支持体面に直接積層される感熱記録層(A層)の発色機構としては、電子供与性染料と電子受容性染料との組合わせ、あるいは、ジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時に反応して発色するカプラーとの組合わせに限られず、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を生じて発色する発色系等のいずれであってもよい。この感熱記録層上にジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と反応し呈色するカプラーとを含有する感熱記録層を設けることにより多色感熱記録材料を構成することができる。
【0167】
多色の感熱記録材料とした場合、感熱記録層相互の混色を防ぐ目的で、各感熱記録層間に中間層を設けることもできる。中間層は、ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子化合物からなり、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
【0168】
本発明の記録材料が、支持体上に光定着型感熱記録層を有する、多色の感熱記録材料である場合、必要に応じて、さらにその上層として光透過率調整層もしくは保護層、または光透過率調整層および保護層を設けることが望ましい。
光透過率調整層については、特開平9−39395号公報、同9−39396号公報、特願平7−208386号明細書等に記載されている。
【0169】
光透過率調整層に、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を用いる場合には、定着に必要な波長領域の光を照射する前は、紫外線吸収剤として機能しないために高い光透過率を有するため、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を充分に透過させることができ、かつ可視光線の透過率も高く、感熱記録層の定着に支障をきたすことはない。
【0170】
一方、前記紫外線吸収剤の前駆体は、光定着型感熱記録層の光定着(光照射によるジアゾニウム塩の光分解)に必要な波長領域の光を照射した後、該光により反応を起こし紫外線吸収剤として機能するようになる。この紫外線吸収剤により、紫外線領域の波長の光の大部分が吸収されてその透過率が低下し、感熱記録材料の耐光性を向上させることが可能となる。しかしながら、可視光線の吸収性はないため、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
【0171】
光透過率調整層は、感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、中でも特に、感熱記録層と保護層との間に形成することが好ましい。また、光透過率調整層の機能を保護層に持たせ、兼用させてもよい。
【0172】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0173】
〔実施例1〕:例示化合物A−1の合成
下記式で示される化合物(1−a)6.5gを20mLのメタノールに溶解し、濃塩酸5mLを加えて3時間加熱環流した後、0℃に冷却した。ここへ亜硝酸ナトリウム0.9gを水2mLに加えて得た溶液を滴下して10℃で1時間攪拌した後、反応混合物にカリウムヘキサフルオロホスフェート2.8gを加えて室温で30分撹拌した。これに更に水40mLを加えて晶析した。析出した結晶を濾集し水で洗浄した後、エタノールとイソプロパノールの混合溶媒から再結晶した。乾燥後、目的とする化合物(例示化合物A−1)6.8gを得た。
【0174】
【化19】
【0175】
得られた化合物のメタノール中での紫外可視吸収スペクトルは、λmax402nm,ε1.9×104であった。また、得られた化合物について1H−NMRにより同定した結果を以下に示す。
1H−NMR(dmso−d6)δ;8.98(s,1H),8.11(d,2H),7.40(d,2H),6.81−7.21(m,6H),4.60(m,2H),4.50(m,2H),4.37(m,1H),2.41(s,3H),1.80−1.91(m,5H),1.30−1.49(m,6H),0.90(t,3H)
【0176】
〔実施例2〕:例示化合物A−7の合成
下記式で示される化合物(2−a)17.8gを70mLのメタノールに溶解し、濃塩酸14mLを加えて3.5時間加熱環流した後、0℃に冷却した。ここへ亜硝酸ナトリウム2.6gを水7mLに加えて得た溶液を滴下し10℃で0.5時間攪拌した後、反応混合物にカリウムヘキサフルオロホスフェート8.3gを加えて室温で1時間撹拌した。これに更に水150mLを加えて晶析した。析出した結晶を濾集し水で洗浄した後、酢酸エチルとイソプロパノールの混合溶媒から再結晶した。乾燥後、目的とする化合物(例示化合物A−7)11.5gを得た。
【0177】
【化20】
【0178】
得られた化合物のメタノール中での紫外可視吸収スペクトルは、λmax395nm,ε1.8×104であった。また、得られた化合物について1H−NMRにより同定した結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3)δ;8.40(s,1H),7.21−7.40(m,5H),6.79(s,1H),5.61(s,2H),4.37(m,2H),4.22(t,2H),1.82(m,1H),1.65(m,2H),1.40(t,3H),1.18(m,2H),0.96(d,3H),0.85(s,9H)
【0179】
〔実施例3〕:例示化合物A−9の合成
下記式で示される化合物(3−a)11.6gを40mLのメタノールに溶解し、濃塩酸8mLを加えて2時間加熱環流した後、0℃に冷却した。ここへ亜硝酸ナトリウム1.5gを水4mLに加えて得た溶液を滴下し10℃で0.5時間攪拌した後、反応混合物にカリウムヘキサフルオロホスフェート4.8gを加えて室温で1時間撹拌した。これに更に水100mLを加えて晶析した。析出した結晶を濾集し水で洗浄した後、イソプロパノールから再結晶した。乾燥後、目的とする化合物(例示化合物A−9)11.2gを得た。
【0180】
【化21】
【0181】
得られた化合物のメタノール中での紫外可視吸収スペクトルは、λmax405nm,ε1.5×104であった。また、得られた化合物について1H−NMRにより同定した結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3)δ;8.20(s,1H),7.21−7.40(m,5H),6.79(s,1H),5.78(br,1H),5.59(s,2H),4.27(t,2H),3.36(m,2H),1.82(m,1H),1.55−1.69(m,4H),1.18−1.40(m,15H),0.96(d,3H),0.85(m,12H)
【0182】
〔実施例4〕:例示化合物A−13の合成
下記式で示される化合物(4−a)7.7gを30mLのメタノールに溶解し、濃塩酸5mLを加えて2時間加熱環流した後、0℃に冷却した。ここへ亜硝酸ナトリウム1.0gを水3mLに加えて得た溶液を滴下し10℃で0.5時間攪拌した後、反応混合物にカリウムヘキサフルオロホスフェート3.1gを加えて室温で1.5時間撹拌した。これに更に水100mLを加えて晶析した。析出した結晶を濾集し水で洗浄した後、酢酸エチル、エタノールおよびイソプロパノールの混合溶媒から再結晶した。乾燥後、目的とする化合物(例示化合物A−13)7.3gを得た。
【0183】
【化22】
【0184】
得られた化合物のメタノール中での紫外可視吸収スペクトルは、λmax393nm,ε1.2×104であった。また、得られた化合物について1H−NMRにより同定した結果を以下に示す。
1H−NMR(dmso−d6)δ;8.88(s,1H),7.75(d,2H),6.91−7.30(m,6H),6.60(d,2H),4.60(m,2H),4.44(m,2H),4.27(m,1H),2.37(s,3H),1.80(m,2H),1.61(d,3H),1.43(m,2H),1.38(m,4H),0.90(t,3H)
【0185】
〔実施例5〕:感熱記録材料
本発明の記録材料として、感熱記録材料を以下のようにして作製した。
(フタル化ゼラチン水溶液の調製)
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン、ニッビコレーゲン(株)製)32質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143質量部、イオン交換水367.1質量部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0186】
(アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製)
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286質量部、水酸化カルシウム0.153質量部、イオン交換水143.6質量部を混合し、50℃にて溶解し、アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0187】
(ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Aの調製)
酢酸エチル16.1gにジアゾニウム塩(例示化合物A−1)4.7g、トリクレジルホスフェート9.6g、およびジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASFジャパン(株))0.4gを添加して均一に混合した。次いでこの混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチルプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名:タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業製)8.6gを加え混合しI液を得た。
【0188】
次に、上記フタル化ゼラチン水溶液56.5g、イオン交換水16.5g、Scraph AG−8(50質量%,日本精化(株)製)0.35gの混合液に上記I液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rpmで乳化分散した。得られた乳化物に水20gを加えて均一化した後、攪拌しながら40℃で3時間カプセル化反応を行なった。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2gを加え、さらに1時間撹拌した。イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節し、ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Aを得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.57μmであった。
【0189】
(カプラー乳化液Bの調製)
酢酸エチル33.0gに、カプラー(例示化合物B−1)9.9g、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9g、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールM(三井石油化学(株)製)20.8g、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピキシ)−1,1’−スピロインダン(三協化学(株)製)3.3g、4−(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6g、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8g、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.3gを溶解し、II液を得た。
【0190】
別途、上記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3gにイオン交換水107.5gを混合した中に、II液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rpmで10分間乳化分散した。得られた乳化物を減圧、加熱し酢酸エチルを除去後、固形分濃度が26.5質量%になるように濃度調節を行なった。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21マイクロメートルであった。ここへSBRラテックス(商品名:SN−307,48質量%溶液,住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5質量%に濃度調節したものを9g添加して、カプラー乳化液Bを得た。
【0191】
(感熱記録層塗布液Cの調製)
ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Aおよびカプラー乳化液Bを、カプラー/ジアゾニウム塩化合物の質量比が2.2/1になるように混合し、感熱記録層塗布液Cを得た。
【0192】
(光透過率調整層用塗布液の調製)
1.紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製
酢酸エチル71質量部に、紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5質量部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン5.0質量部、燐酸トリクレジル1.9質量部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7質量部、およびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)0.45質量部を混合し、均一に溶解した。この混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)54.7質量部を添加して均一に攪拌し、紫外線吸収剤前駆体混合液を得た。
【0193】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52質量部に30質量%燐酸水溶液8.9質量部、イオン交換水532.6質量部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06質量部に上記紫外線吸収剤前駆体混合液を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行なった。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このカプセル液859.1質量部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48質量%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416質量部、イオン交換水39.5質量部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0194】
2.光透過率調整層用塗布液の調製
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000質量部、フッ素系界面活性剤〔商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株))(5質量%水溶液〕5.2質量部、4質量%水酸化ナトリウム水溶液7.75質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製2.0質量%水溶液)73.39質量部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0195】
(保護層用塗布液の調製)
1.保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160質量部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルとの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54質量%水溶液)、東邦化学工業(株)製)8.74質量部、イオン交換水3832質量部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0196】
2.保護層用顔料分散液の調製
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8質量部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40質量%水溶液),花王(株)製)0.2質量部、イオン交換水11.8質量部を混合し、ダイノミルにて分散した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
得られた分散液45.6質量部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20質量%水分散液、日産化学(株)製)8.1質量部を添加して目的の保護層用顔料分散液を得た。
【0197】
3.保護層用マット剤分散液の調製
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220質量部に1−2ベンズイソチアゾリン3オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81質量部、イオン交換水1976.19質量部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0198】
4.保護層用塗布ブレンド液の調製
上記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000質量部に、フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株)製、5質量%水溶液)40質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0質量%水溶液)50質量部、上記保護層用顔料分散液49.87質量部、上記保護層用マット剤分散液16.65質量部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5質量%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0199】
(下塗り層つき支持体の作製)
1.下塗り層用塗布液の調製
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40質量部をイオン交換水60質量部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途、水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8質量部と水92質量部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、体積平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5質量%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0200】
次いで、40℃の40質量%の上記下塗り層用ゼラチン水溶液100質量部に、水120質量部およびメタノール556質量部を加え、充分攪拌混合した後、5質量%上記雲母分散液208質量部を加えて、充分に攪拌混合し、1.66質量%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8質量部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3質量部を加えて下塗り層用塗布液(5.7質量%)を調製した。
【0201】
2.下塗り層つき支持体の作製
LBPS50質量部およびLBPK50質量部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5質量部、アニオンポリアクリルアミド1.0質量部、硫酸アルミニウム1.0質量部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1質量部、カチオンポリアクリルアミド0.5質量部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
【0202】
上記原紙の両面にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーティングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面を「ウラ面」と称する)。次に、上記樹脂層を形成したウラ面とは反対側の面に溶融押出機を用いて、アナターゼ型二酸化チタン10質量%および微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmになるようにコーティングし、光沢面からなる樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」と称する)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名:アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名:スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2となるように塗布した。次に、オモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り層用塗布液を含有する雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0203】
(塗布)
前記支持体の下塗り層表面に、該下塗り層側から順に上記より得た感熱記録層塗布液C、光透過率調整層用塗布液、保護層塗布液を3層同時に連続塗布し、30℃、相対湿度30%の環境条件、および40℃、相対湿度30%の環境条件で連続的に乾燥させ、本発明の感熱記録材料(1)を得た。
【0204】
〔実施例6〕
実施例1において、ジアゾニウム塩として、例示化合物(A−1)を例示化合物(A−7)に代えたこと以外、実施例5と同様にして本発明の感熱記録材料(2)を作製した。
【0205】
〔実施例7〕
実施例1において、ジアゾニウム塩として、例示化合物(A−1)を例示化合物(A−9)に代えたこと以外、実施例5と同様にして本発明の感熱記録材料(3)を作製した。
【0206】
〔比較例1〕
実施例1において、ジアゾニウム塩として、例示化合物(A−1)を下記比較化合物1に代えたこと以外、実施例5と同様にして比較の感熱記録材料(4)を作製した。
【0207】
【化23】
【0208】
[評価]
上記より得た感熱記録材料(1)〜(4)を用いて下記の評価を行なった。なお、以下の各試験において、発色部および地肌部の濃度は、Macbeth RD918を用いてYポジションでの濃度を測定した。測定した結果を下記表1に示す。
【0209】
(発色試験)
京セラ株式会社製サーマルヘッド(KST型)を用い、単位面積あたりの記録エネルギーが23mJ/mm2となるようにサーマルヘッドに対する印加電力およびパルス幅を決め、各感熱記録材料に熱印画し画像を得た。次いで、発光中心波長450nm、出力40Wの紫外線ランプ下に10秒間曝した。発色濃度および地肌濃度を測定した。
【0210】
(保存性試験)
記録前の各感熱記録材料を、60℃、30%RHの条件にて72時間強制保存した。その後上記と同様に熱記録と濃度測定を行なった。
【0211】
(光定着性試験)
未印画の各感熱記録材料を、発光中心波長450nm、出力40Wの紫外線ランプ下に時間を変えて曝した後、上記と同様に熱記録と濃度測定を行なった。定着時間に対する発色濃度をプロットし、その傾きを後述の比較化合物の傾きの比として算出した。数字が大きいほど定着性に優れる。
【0212】
【表1】
【0213】
上記表1に示すように、本発明のジアゾニウム塩を用いた感熱記録材料(1)〜(3)では、比較の感熱記録材料(4)に比し、保存性に優れており、光定着に対する定着感度が高く光定着性に優れていた。また、発色濃度および地肌白色性を損なうこともなかった。
【0214】
【発明の効果】
本発明によれば、新規なジアゾニウム塩を提供すること、並びに400〜500nmの波長の光に対して定着感度を持ち、光定着性に優れ、生感材保存性に優れた記録材料を提供することができる。
Claims (9)
- 前記R3、R4、R5およびR6が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、または−N2 +X−を表す請求項1に記載のジアゾニウム塩。
- 前記R4がアルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、かつ前記R5が−N2 +X−を表す請求項2に記載のジアゾニウム塩。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のジアゾニウム塩を含む記録材料。
- 支持体上に請求項1〜3のいずれか1項に記載のジアゾニウム塩およびカプラーを含む感熱記録層を有する請求項4に記載の記録材料。
- 有機塩基を更に含む請求項4〜6のいずれか1項に記載の記録材料。
- 前記ジアゾニウム塩がマイクロカプセル中に内包されている請求項4〜7のいずれか1項に記載の記録材料。
- 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタン及び/又はポリウレアを構成成分として含む請求項8に記載の記録材料。
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