JP2004091346A - ジアゾニウム塩及びそれを用いた感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】発色濃度が充分高く、かつ、保存性の良好なジアゾ化合物を提供すること、及び、該ジアゾ化合物を利用した、発色性、耐光性、及び生保存性に優れた感熱記録材料を提供することである。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩、及び、支持体上に少なくとも、該ジアゾニウム塩を用いた感熱記録材料である。
【化1】
式中、R1は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基等を表す。R2は、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表す。Y1〜Y8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。ZはO又はSを表す。X−は陰イオンを表す。
【選択図】 なし
【解決手段】下記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩、及び、支持体上に少なくとも、該ジアゾニウム塩を用いた感熱記録材料である。
【化1】
式中、R1は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基等を表す。R2は、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表す。Y1〜Y8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。ZはO又はSを表す。X−は陰イオンを表す。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アゾ色素の合成中間体、あるいは分析試薬、感熱記録用素材として重要なジアゾニウム塩、及びジアゾニウム塩とカプラーとを発色成分として用いる感熱記録材料に関し、熱記録前の保存性及び熱記録時の発色濃度の高い感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジアゾニウム塩はアゾ色素の重要な合成中間体として知られている。アゾ色素の合成法については従来から種々の方法が知られており、酸化反応による合成、還元反応による合成、置換反応による合成、付加反応による合成、縮合反応による合成、その他の合成法が記載されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、アゾ色素の工業的製造方法として広く利用されているのは、原料の入手性、コスト、収率等の点から、ジアゾニウム塩と、アニリン、フェノール類等のカプラーとをアゾカップリングさせて合成する方法である。
【0004】
一方、ジアゾニウム塩は、体液中に含まれる胆汁色素の主成分であるビリルビンの定量的分析に使用されており、医学及び薬学分野においても重要な化合物として位置付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ジアゾニウム塩は、一般に非常に化学的活性の高い化合物であり、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する、いわゆるカプラーと呼ばれる化合物と反応して容易にアゾ染料を形成すると共に、感光性をも有し、光照射によって分解し、その活性を失う。そこで、ジアゾニウム塩は、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古くから利用されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0006】
更に、最近では、光によって分解し活性を失う性質を利用して、画像の定着が要求される記録材料にも応用され、代表的なものとしては、ジアゾニウム塩とカプラーとを含む記録層を設けた記録材料を画像信号に従って加熱、反応させ、画像形成させた後、光照射して画像を定着する、光定着型の感熱記録材料が提案されている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0007】
しかしながら、ジアゾニウム塩を発色成分とするこれらの記録材料は、ジアゾニウム塩の化学的活性が非常に高いため、暗所であってもジアゾニウム塩が徐々に熱分解し、その反応性を失う場合がある。そのため、保存後に画像記録を行うと、画像部の発色濃度が低下する傾向がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−228517号公報(第3〜10頁)
【非特許文献1】
日本化学会編、「新実験化学講座」、丸善(株)製、第14−III巻、
p.1516〜1534
【非特許文献2】
日本写真学会編、「写真工学の基礎−非銀塩写真編−」、コロナ社、1982年12月15日、p.89〜117、182〜201
【非特許文献3】
佐藤弘次ら,「画像電子学会誌」,1982年,第11巻,第4号,p.290〜296等
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、感熱記録材料用素材として発色濃度が高く、印画前の保存性いわゆる生保存性が良好で、且つ、アゾ色素の合成中間体あるいは分析試薬としても有用なジアゾニウム塩を提供すること、及び該ジアゾニウム塩を用いた、発色性、生保存性に優れた感熱記録材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表されることを特徴とするジアゾニウム塩。
【0011】
【化4】
【0012】
式中、R1は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基またはアシルアミノ基を表す。R2は、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表す。Y1〜Y8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子を表す。Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。X−は陰イオンを表す。
【0013】
<2> 前記ジアゾニウム塩は、下記一般式(2)で表されることを特徴とする上記<1>に記載のジアゾニウム塩。
【0014】
【化5】
【0015】
式中、R3は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基またはアシルアミノ基を表す。
R4は、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基を表す。R5 、R6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基を表す。Y1〜Y4は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、ハロゲン原子を表す。X−は陰イオンを表す。
<3> 支持体上に、ジアゾニウム塩を含む感熱記録層を設けた感熱記録材料であって、該ジアゾニウム塩が上記<1>のジアゾニウム塩であることを特徴とする感熱記録材料。
<4> 前記ジアゾニウム塩が上記<2>のジアゾニウム塩であることを特徴とする上記<3>に記載の感熱記録材料。
<5> 支持体上に、ジアゾニウム塩及びカプラーを含む感熱記録層を設けた感熱記録材料であって、該ジアゾニウム塩が上記<1>に記載のジアゾニウム塩であることを特徴とする感熱記録材料。
<6> 前記ジアゾニウム塩が上記<2>のジアゾニウム塩であることを特徴とする上記<5>に記載の感熱記録材料。
<7> 前記カプラーが、下記一般式(3)で表される化合物又はその互変異性体であることを特徴とする上記<5>又は<6>に記載の感熱記録材料。
【0016】
【化6】
【0017】
式中、E1及びE2はそれぞれ独立に電子吸引基を表す。E1及びE2が結合して環を形成しても良い。
<8> 前記感熱記録材料が、有機塩基を含有することを特徴とする上記<3>乃至<7>のいずれかに記載の感熱記録材料。
<9> 前記ジアゾニウム塩が、マイクロカプセルに内包されることを特徴とする上記<3>乃至<8>のいずれかに記載の感熱記録材料。
<10> 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタン及び/又はポリウレアを構成成分として含有することを特徴とする上記<9>に記載の感熱記録材料。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のジアゾニウム塩及びそれを用いた感熱記録材料について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
<本発明のジアゾニウム塩>
<一般式(1)で表される化合物>
本発明のジアゾニウム塩は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
【0020】
【化7】
【0021】
一般式(1)において、R1は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基またはアシルアミノ基を表す。R2は、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表す。Y1〜Y8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子を表す。Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。X−は陰イオンを表す。
【0022】
R1、Y1〜Y8で表されるアルキル基は、置換基を有していても無置換でも良い。総炭素数が1から30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基、アリル基、2−フェノキシエチル基、2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)エチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、ブトキシカルボニルエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0023】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアリール基は、置換基を有していても無置換でも良い。総炭素数が6から30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、2−(n−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(エチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−デシルオキシカルボニル)フェニル基、3−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(2−(4−ブトキシフェニル)エトキシカルボニル)フェニル基、2−(エトキシカルボニル)フェニル基、3−(エトキシカルボニル)フェニル基、4−(エトキシカルボニル)フェニル基が好ましい。
【0024】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアルコキシ基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0025】
一般式(1)において、R1 、Y1〜Y8で表されるアルコキシ基としては、総炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基が好ましい。
【0026】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアリールオキシ基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基が好ましい。
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアリールオキシ基としては、総炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、4−エチルフェニルオキシ基、2−メトキシフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基、2−クロロフェニルオキシ基等が挙げられる。
【0027】
一般式(1)において、R1、R2で表されるアシル基は総炭素数が2から30のアシル基が好ましく、アセチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクタクリロイル基、2−エチルヘキサノイル基、ドデカノイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−ブトキシベンゾイル基、4−オクチルオキシベンゾイル基、4−メトキシカルボニルベンゾイル基、4−オクチルオキシベンゾイル基、2−メトキシカルボニルベンゾイル基等が好ましい。総炭素数2から14のアシル基が更に好ましく、アセチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクタクリロイル基、2−エチルヘキサノイル基、ドデカノイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−ブトキシベンゾイル基が特に好ましい。
【0028】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアルキルアミノ基は、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であり、アルキル基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0029】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアルキルアミノ基としては、総炭素数1〜30のアルキルアミノ基が好ましく、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、n−デシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基、n−オクタデシルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ(2−エチルヘキシル)アミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジ−n−ドデシルアミノ基、ジ−n−オクタデシルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ブチルエチルアミノ基、ドデシルメチルアミノ基、ドデシルブチルアミノ基、オクタデシルメチルアミノ基、オクタデシル(2−エチルヘキシル)アミノ基、オクタデシルオクチルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、4−アセチルピペラジノ基、4−ベンゼンスルホニルピペラジノ基、ヘキサメチレンイミノ基等が好ましい。
【0030】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアリールアミノ基はモノアリールアミノ基またはN−アリール−N−アルキルアミノ基であり、アリール基は、無置換でも、または置換基を有していてもよく、その置換基としては例えば、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0031】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアリールアミノ基としては、総炭素数6〜30のアリールアミノ基が好ましく、例えば、フェニルアミノ基、4−メトキシフェニルアミノ基、4−クロロフェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基、3−メトキシフェニルアミノ基、2−メトキシフェニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−フェニル−N−エチルアミノ基、N−フェニル−N−ブチルアミノ基、N−4−メトキシフェニル−N−メチルアミノ基、等が挙げられる。
【0032】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアシルアミノ基は、アルキルカルボニルアミノ基、またはアリールカルボニルアミノ基が好ましく、アルキル基またはアリール基は置換基を有していても良い。
【0033】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアシルアミノ基としては、総炭素数2−30のアシルアミノ基が好ましく、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−メチルアセチルアミノ基等が好ましい。
【0034】
一般式(1)において、R2で表されるアルコキシカルボニル基は、総炭素数が2から30のアルコキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、2−(2−エトキシ)エトキシカルボニル基、2−(2−クロロエトキシ)エトキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。総炭素数が2から13のアルコキシカルボニル基が更に好ましく、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、2−(2−エトキシ)エトキシカルボニル基が特に好ましい。
【0035】
一般式(1)において、R2で表されるアリールオキシカルボニル基は、総炭素数が8から30のアリールオキシカルボニル基が好ましく、フェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基、4−クロロフェニルオキシカルボニル基、4−メチルフェニルオキシカルボニル基、4−エチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基等が好ましい。
【0036】
一般式(1)において、R2、Y1〜Y8で表されるカルバモイル基は、総炭素数が1から30のカルバモイル基が好ましく、無置換のカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−ブチルカルバモイル基、ピロリジノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、モルホリノカルボニル基、N’−スルホニルピペラジノカルボニル基、ヘキサメチレンイミノカルボニル基が好ましい。総炭素数が3から13のカルバモイル基が更に好ましく、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−ブチルカルバモイル基、ピロリジノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基が特に好ましい。
【0037】
一般式(1)において、R2で表されるアルキルスルホニル基、及びアリールスルホニル基はR1SO2 −で表される基が好ましい。
【0038】
一般式(1)において、R2、Y1〜Y8で表されるスルファモイル基は、総炭素数が0から30のスルファモイル基が好ましく、無置換のスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、ピロリジノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、モルホリノスルホニル基、N’−スルホニルピペラジノスルホニル基、ヘキサメチレンイミノスルホニル基が好ましい。総炭素数が3から13のカルバモイル基が更に好ましく、N,N−ジメチルスルファモイルル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジ−n−ブチルスルファモイル基、ピロリジノスルファモイル基、ピペリジノスルファモイル基が特に好ましい。
【0039】
一般式(1)において、Y1〜Y8で表されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子が特に好ましい。X−で表される陰イオンは、無機陰イオンとしては、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオンが好ましく、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが特に好ましい。有機陰イオンとしては、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオンが好ましい。
【0040】
<一般式(2)で表される化合物>
また、一般式(1)で表わされるジアゾニウム塩の中でも、下記一般式(2)で表わされるジアゾニウム塩が好ましい。
【0041】
【化8】
【0042】
一般式(2)において、式中、R3は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基またはアシルアミノ基を表す。R4は、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基を表す。R5 、R6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基を表す。Y1〜Y4は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、ハロゲン原子を表す。X−は陰イオンを表す。
【0043】
一般式(2)に示されるY1〜Y4及びX−は、一般式(1)におけるY1〜Y4及び X−と同義であり、好ましい例も同様である。
【0044】
一般式(2)において、R3で表されるアルキル基は、置換基を有していても無置換でも良い。総炭素数が1から30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基、アリル基、2−フェノキシエチル基、2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)エチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、t−ブトキシカルボニルエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基が好ましい。更に、総炭素数が1から13のアルキル基が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基が好ましい。
【0045】
一般式(2)において、R3で表されるアリール基は、置換基を有していても無置換でも良い。総炭素数が6から30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、2−(n−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−エチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−デシルオキシカルボニル)フェニル基、3−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(2−(4−ブトキシフェニル)エトキシカルボニル)フェニル基、2−(エトキシカルボニル)フェニル基、3−(エトキシカルボニル)フェニル基、4−(エトキシカルボニル)フェニル基が好ましい。更に、総炭素数が6から18のアリール基が特に好ましく、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、2−(n−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−エチルオキシカルボニル)フェニル基が好ましい。
【0046】
一般式(2)において、R3で表されるアルコキシ基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0047】
一般式(2)において、R3で表されるアルコキシ基としては、総炭素数1−30のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基が好ましい。更に、総炭素数が1から13のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基が好ましい。
【0048】
一般式(2)において、R3で表されるアリールオキシ基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基が好ましい。
【0049】
一般式(2)において、R3で表されるアリールオキシ基としては、総炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、4−ブチルフェニルオキシ基、4−オクチルフェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、4−ブトキシフェニルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基等が挙げられる。更に、総炭素数が6から13のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、4−ブチルフェニルオキシ基、4−ブトキシフェニルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基が好ましい。
【0050】
一般式(2)において、R3で表されるアルキルアミノ基は、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であり、アルキル基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0051】
一般式(2)において、R3で表されるアルキルアミノ基としては、総炭素数1〜30のアルキルアミノ基が好ましく、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、n−デシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基、n−オクタデシルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ(2−エチルヘキシル)アミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジ−n−ドデシルアミノ基、ジオクタデシルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ブチルエチルアミノ基、ドデシルメチルアミノ基、ドデシルブチルアミノ基、オクタデシルメチルアミノ基、オクタデシル(2−エチルヘキシル)アミノ基、オクタデシルオクチルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、4−アセチルピペラジノ基、4−ベンゼンスルホニルピペラジノ基、ヘキサメチレンイミノ基等が好ましい。更に、総炭素数が1から18のアルキルアミノ基が好ましく、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、n−デシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基、n−オクタデシルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ(2−エチルヘキシル)アミノ基、ブチルエチルアミノ基、ドデシルメチルアミノ基、ドデシルブチルアミノ基が好ましい。
【0052】
一般式(2)において、R3で表されるアリールアミノ基はモノアリールアミノ基またはN−アリール−N−アルキルアミノ基であり、アリール基は、無置換でも、または置換基を有していてもよく、その置換基としては例えば、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0053】
一般式(2)において、R3で表されるアリールアミノ基としては、総炭素数6〜30のアリールアミノ基が好ましく、例えば、フェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基、4−ブチルフェニルアミノ基、4−メトキシフェニルアミノ基、4−ブトキシフェニルアミノ基、4−クロロフェニルアミノ基、3−メトキシフェニルアミノ基、2−メトキシフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−ブチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−フェニル−N−エチルアミノ基、N−フェニル−N−ブチルアミノ基、N−4−メトキシフェニル−N−メチルアミノ基、等が挙げられる。更に、総炭素数が6から18のアリールアミノ基が好ましく、例えば、フェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基、4−ブチルフェニルアミノ基、4−メトキシフェニルアミノ基、4−ブトキシフェニルアミノ基、4−クロロフェニルアミノ基、3−メトキシフェニルアミノ基、2−メトキシフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−フェニル−N−エチルアミノ基、N−フェニル−N−ブチルアミノ基、N−4−メトキシフェニル−N−メチルアミノ基が好ましい。
【0054】
一般式(2)において、R3で表されるアシルアミノ基は、アルキルカルボニルアミノ基、またはアリールカルボニルアミノ基が好ましく、アルキル基またはアリール基は置換基を有していても良い。
【0055】
一般式(2)において、R3で表されるアシルアミノ基としては、総炭素数2−30のアシルアミノ基が好ましく、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、オクタノイルアミノ基、デカノイルアミノ基、ドデカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−メチルアセチルアミノ基等が好ましい。更に、総炭素数が2から10のアシルアミノ基が好ましく、例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、オクタノイルアミノ基、デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−メチルアセチルアミノ基が好ましい。
【0056】
一般式(2)において、R4で表されるアルキル基は、置換基を有していても無置換でも良い。総炭素数が1から30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基、アリル基、2−フェノキシエチル基、2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)エチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、t−ブトキシカルボニルエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基が好ましい。更に、総炭素数が1から13のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基が好ましい。
【0057】
一般式(2)において、R4で表されるアリール基は、置換基を有していても無置換でも良い。総炭素数が6から30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、2−(n−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−エチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−デシルオキシカルボニル)フェニル基、3−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(2−(4−ブトキシフェニル)エトキシカルボニル)フェニル基、2−(エトキシカルボニル)フェニル基、3−(エトキシカルボニル)フェニル基、4−(エトキシカルボニル)フェニル基が好ましい。更に、総炭素数が6から18のアリール基が特に好ましく、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、2−(n−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−エチルオキシカルボニル)フェニル基が好ましい。
【0058】
一般式(2)において、R5またはR6は、それぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。この中でも、熱記録前の保存性が良好な点で、アルキル基が好ましい。
【0059】
一般式(2)において、R5またはR6で表されるアルキル基は、無置換でも、または置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アリールスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基、等が挙げられる。
【0060】
一般式(2)において、R5またはR6で表されるアルキル基は、総炭素数が1から30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基、アリル基、2−フェノキシエチル基、2−(2,5−ジ−t−アミノフェノキシ)エチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、n−ブトキシカルボニルエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0061】
一般式(2)において、R5またはR6で表されるアリール基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルスルフェニル基、アルキルスルホニル基が好ましい。
【0062】
R5またはR6で表されるアリール基は、総炭素数が6から30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、2−(n−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−エチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−デシルオキシカルボニル)フェニル基、3−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(2−(4−ブトキシフェニル)エトキシカルボニル)フェニル基、2−(エトキシカルボニル)フェニル基、3−(エトキシカルボニル)フェニル基、4−(エトキシカルボニル)フェニル基が好ましい。
【0063】
<一般式(1)または(2)の例示化合物>
以下に、一般式(1)または(2)で表されるジアゾニウム塩についての具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
【化9】
【0065】
【化10】
【0066】
【化11】
【0067】
<ジアゾニウム塩の合成方法>
一般式(1)または(2)で表されるジアゾニウム塩は、以下の一般的な方法で製造することが可能である。即ち、下記一般式(4)または(5)で表されるアニリンを、酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等を用いてジアゾ化することにより得られる。
【0068】
【化12】
【0069】
一般式(4)または/及び(5)に示すR1〜R6 、Y1〜Y8及びZは、それぞれ一般式(1)または/及び(2)に示したものと同義である。
【0070】
本発明のジアゾニウム塩の具体的な製造方法を以下に詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(4)または(5)のアニリン誘導体またはその塩酸塩をアルコール溶媒及び濃塩酸に入れて溶解し、−5℃以下となるよう冷却する。その溶液に、亜硝酸ナトリウムの水溶液を5℃以下に保ちながら滴下し、薄層クロマトグラフ(以下、TLCという。)により原料であるアニリン誘導体の消失をみて反応の終了を確認する。次に、例えば、カリウムヘキサフルオロホスフェート等のイオン性化合物含有水溶液を加え、加熱して反応溶液の温度を略35℃まで昇温させる。同温度にて略60分間攪拌して塩交換反応を行なう。TLCで、塩交換反応の終了を確認後、5℃まで冷却したのち水を加えてジアゾニウム塩を析出させる。析出物を濾取して、必要であればイソプロパノール等のアルコール溶媒で洗浄して結晶を得る。得られた結晶をアルコールと酢酸エチル等の混合溶媒にて再結晶を行い、乾燥させて目的物のジアゾニウム塩を得ることができる。
【0071】
本発明の製造方法における反応温度は、0℃から用いた有機溶媒の還流温度までが好ましい。ジアゾニウム塩は不安定な化合物であるので、0〜30℃の低温で反応を行なうことが更に好ましい。
【0072】
本発明の製造方法における反応時間としては30分〜6時間が好ましく、1時間〜3時間が更に好ましい。前記原料のジアゾニウム塩に対する前記イオン性化合物の使用量はその組み合わせにより適宜調製される。前記原料のジアゾニウム塩に対する前記イオン性化合物の使用量としては、1/2〜2倍モルが好ましく、0.9〜1.1倍モルが更に好ましい。該イオン化合物の添加方法としては、単独で加えることもできるが、溶液または懸濁液として添加することが好ましい。さらに、水に溶解して添加することが好ましい。
【0073】
本発明の製造方法により得られたジアゾニウム塩は、ジアゾニウム塩は有機層と水層を分離した後、有機層を濃縮することにより結晶としても油状物としても単離することができる。このとき、反応終了後、有機層を更に水及び/または食塩水で洗浄することが好ましい。また得られた有機層は、濃縮前に硫酸マグネシウム等の生成したジアゾニウム塩に影響がない乾燥剤を使用して乾燥しても良い。
【0074】
本発明の製造方法により得られたジアゾニウム塩は、塩交換反応終了後に得られた有機層を濃縮せず、そのまま次の操作に使用しても良い。例えば、カプラー等の反応剤を添加し、アゾ色素形成反応に用いても良い。また、そのまま感熱記録材料のための材料として使用しても良い。
【0075】
本発明の製造方法により得られたジアゾニウム塩は、有機層を濃縮した後さらに溶媒で再結晶し精製することも可能である。使用できる溶媒としては、生成するジアゾニウム塩に応じて有機溶媒等を適宜選択することができる。有機溶媒等とは、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒及び水等の単独若しくは混合溶媒として使用することができる。特に、イソプロパノールとヘキサンの混合溶媒が好ましい。
【0076】
本発明の製造方法において、原料であるジアゾニウム塩に対応するアニリンをジアゾ化した後、イオン性化合物を添加して得られた原料となる該ジアゾニウム塩を固体として単離精製した後、前述の単離工程を含まない場合と同様に、非水溶性有機溶媒と水の混合系において、該ジアゾニウム塩と異なる対アニオンを有するイオン性化合物との反応によりジアゾニウム塩の対アニオンとイオン性化合物の対アニオンが交換反応を起こし、対アニオンが前記イオン性化合物の対アニオンであるジアゾニウム塩へと変換することもできる。
【0077】
また、一般式(1)又は(2)で表されるジアゾニウム塩は、油状物、結晶状態のいずれであってもよいが、取扱い性の点で常温で結晶状態のものが好ましい。これらの本発明のジアゾニウム塩は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、また、既存のジアゾニウム塩と併用してもよい。
【0078】
本発明のジアゾニウム塩を、感熱記録材料の感熱記録層に用いる場合には、その含有量としては、0.02〜5g/m2が好ましく、発色濃度の点から0.1〜4g/m2がより好ましい。
【0079】
本発明のジアゾニウム塩の安定化のために、塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズ等を用いて錯化合物を形成させ、ジアゾニウム塩の安定化を図ることもできる。
【0080】
一般式(1)又は(2)で表されるジアゾニウム塩は、後述のカプラーとの反応により発色し、高い発色濃度が得られる一方、蛍光灯等の380〜460nmの波長範囲での光分解性に優れ、短時間の光照射でも十分に定着を完了しうる、高速分解性を有するため、光定着型の感熱記録材料に用いる発色成分として非常に有用である。
【0081】
<カプラー>
次に、本発明の感熱記録材料において使用可能なカプラー(カップリング成分)について説明する。
【0082】
前記カプラーは、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾニウム塩とカップリングして色素を形成するものであればいずれの化合物も使用可能である。ハロゲン化銀写真感光材料用のいわゆる4当量カプラーはすべてカプラーとして使用可能である。これらは目的とする色相に応じて選択することが可能である。
【0083】
例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などがあり、具体例として下記のものが挙げられ本発明の目的に合致する範囲で使用される。
【0084】
前記カプラーの具体例としては、例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−l,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロへキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジーn−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オタタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキジフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ビバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0085】
カプラーの詳細については、特開平4−201483号公報、特開平7−223367号公報、特開平7−223368号公報、特開平7−323660号公報、特願平5−278608号明細書、特願平5−297024号明細書、特願平6−18669号公報、特願平6−18670号明細書、特願平7−316280号明細書、特願平8−027095号明細書、特願平8−027096号明細書、特願平8−030799号明細書、特願平8−12610号明細書、特願平8−132394号明細書、特願平8−358755号明細書、特願平8−358756号明細書、特願平9−069990号明細書等に記載されている。
【0086】
上記のうち、本発明においては、下記一般式(3)で表される化合物又はその互変異性体が特に好ましい。
以下に、一般式(3)で表されるカプラーについて詳述する。
【0087】
【化13】
【0088】
一般式(3)において、E1及びE2は、それぞれ独立に、電子吸引性基を表す。また、E1及びE2は互いに結合して環を形成してもよい。
【0089】
前記E1及びE2で表される電子吸引性基とは、Hammettのσp値が正である置換基を意味し、これらは同一であっても異なっていてもよく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のオキシカルボニル基;カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−〔2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、N−〔2,4−ビス(オクチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、モルホリノカルボニル基等のカルバモイル基;メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基;ジエチルホスホノ基等のホスホノ基;ベンゾオキサゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−スルホン−2−イル基等の複素環基;ヘテロ環基;ニトロ基;イミノ基;シアノ基が好適に挙げられる。
【0090】
また、E1及びE2で表される電子吸引性基は、両者が結合し環を形成してもよい。E1及びE2で形成される環としては、5員ないし6員の炭素環又は複素環が好ましい。
【0091】
以下に、一般式(3)で表されるカプラーの具体例として例示化合物(B−1)〜(B−38)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示すカプラーの互変異性体も好適なものとして挙げることができる。
【0092】
【化14】
【0093】
【化15】
【0094】
【化16】
【0095】
【化17】
【0096】
【化18】
【0097】
【化19】
【0098】
前記カプラーの互変異性体とは、上記に代表されるカプラーの異性体として存在するものであって、その両者間で構造が容易に変化し合う関係にあるものをいい、本発明に用いるカプラーとしては、該互変異性体も好ましい。
【0099】
<マイクロカプセル化>
本発明の感熱記録材料においては、その使用前の生保存性を良化する目的で、ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包させることが好ましい。該マイクロカプセルの形成方法としては、既に公知の方法の中から適宜選択することができる。
【0100】
マイクロカプセルのカプセル壁を形成する高分子物質としては、常温では非透過性であり、加熱時に透過性となる性質を有することが必要である点から、特にガラス転移温度が60〜200℃のものが好ましく、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン・メタクリレート共重合体、スチレン・アクリレート共重合体、及びこれらの混合系を挙げることができる。
【0101】
マイクロカプセル形成方法としては、具体的には、界面重合法や内部重合法が適している。該カプセル形成方法の詳細、及びリアクタントの具体例等については、米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書に記載がある。例えば、カプセル壁材として、ポリウレア、ポリウレタンを用いる場合には、ポリイソシアネート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオールやポリアミン)を水性媒体又はカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれらを乳化分散し次に加温することにより油滴界面で高分子形成反応を起こしマイクロカプセル壁を形成する。なお、上記第2物質の添加を省略した場合もポリウレアを生成することができる。
【0102】
本発明においては、マイクロカプセルのカプセル壁を形成する高分子物質としては、ポリウレタン及びポリウレアの少なくとも1種を成分として含有することが好ましい。
【0103】
次に、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について述べる。まず、ジアゾニウム塩は、カプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ、マイクロカプセルの芯となる油相を調製する。このとき、さらに壁材として多価イソシアネートが添加される。
【0104】
前記油相の調製に際し、ジアゾニウム塩を溶解、分散してマイクロカプセルの芯の形成に用いる疎水性の有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、例えば、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
【0105】
カプセル化しようとするジアゾニウム塩の前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いるジアゾニウム塩の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもでき、該低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0106】
このため、ジアゾニウム塩は、高沸点疎水性有機溶媒、低沸点溶媒に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には、該溶剤に5%以上の溶解度を有していることが好ましい。水に対する溶解度は1%以下が好ましい。
【0107】
一方、用いる水相には水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、該水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、さらに均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は公知の乳化用界面活性剤が使用可能である。界面活性剤を添加する場合の添加量としては、油相質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
【0108】
調製された油相を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子は、乳化しようとする温度における、水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、例えば、ポリビニルアルコール及びその変成物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0109】
前記水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、もしくは低いことが好ましく、例えば、ゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成する等して反応性をなくしておくことが好ましい。
【0110】
前記多価イソシアネート化合物としては、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物であってもよい。具体的には、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
【0111】
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
【0112】
多価イソシアネートの使用量としては、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。また、その分散粒子径としては、0.2〜10μm程度が一般的である。
【0113】
水相中に油相を加えた乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0114】
水相中又は油相の疎水性溶媒中に、さらにポリオール及び/又はポリアミンを添加しておけば、多価イソシアネートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして用いることもできる。上記反応において、反応温度を高く保ち、あるいは、適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
【0115】
これらのポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
【0116】
多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
【0117】
乳化は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置の中から適宜選択して行うことができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、十分な攪拌を行う等の必要がある。
【0118】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩内包マイクロカプセルを得ることができる。
【0119】
次に、本発明に用いるカプラーは、例えば、水溶性高分子、有機塩基、その他の発色助剤等とともに、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、特に好ましくは、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。さらに、カプラー、有機塩基は別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することも可能である。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
【0120】
前記カプラーの使用量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0121】
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載の高沸点オイルの中から適宜選択することができる。中でも、乳化分散物の乳化安定性の観点から、エステル類が好ましく、リン酸トリクレジルが特に好ましい。上記オイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0122】
前記有機溶剤に、さらに溶解助剤として、低沸点の補助溶剤を加えることもでき、該補助溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等を好適に挙げることができる。場合に応じて、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0123】
また、水相中に保護コロイドとして含有させる水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができ、中でも、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等が好ましい。
【0124】
また、水相中に含有させる界面活性剤としては、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤であって、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。該界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
【0125】
<有機塩基>
本発明において、ジアゾニウム塩とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で加える、塩基性物質としての使用可能な前記有機塩基について説明する。
【0126】
前記有機塩基としては、第3級アミン類、ピぺリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられ、例えば、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものを好適に挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0127】
上記のうち、具体的には、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ)ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,8−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0128】
前記有機塩基の使用量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0129】
前記使用量が、0.1質量部未満であると、十分な発色濃度が得られなくなることがあり、30質量部を超えると、ジアゾニウム塩の分解が促進されることがある。
【0130】
また、感熱記録層中には、上記有機塩基の他、発色反応を促進させる、即ち、低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画させる目的で、発色助剤を加えることもできる。ここで、発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、もしくは発色温度を制御する物質であり、カプラー、塩基性物質もしくはジアゾニウム塩等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下させうる作用により、ジアゾニウム塩、塩基性物質、カプラー等が反応しやすい条件とするためのものである。
【0131】
前記発色助剤としては、例えば、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物、ヒドロキシ化合物等が挙げられる。
【0132】
前記発色助剤には、熱融解性物質も含まれる。該熱融解性物質は、常温下では固体であって、加熱により融解する融点50℃〜150℃の物質であり、ジアゾニウム塩、カプラー、あるいは、有機塩基等を溶解しうる物質である。具体的には、カルボン酸アミド、N置換カルボン酸アミド、ケトン化合物、尿素化合物、エステル類等を挙げることができる。
【0133】
本発明の感熱記録材料においては、熱発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、又は、定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
【0134】
前記酸化防止剤については、例えば、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同第309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載されている。感熱もしくは感圧記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。
【0135】
前記各種添加剤としては、例えば、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0136】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2.4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0137】
前記酸化防止剤、又は各種添加剤の添加量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.05〜100質量部が好ましく、0.2〜30質量部がより好ましい。
【0138】
前記酸化防止剤及び各種添加剤は、マイクロカプセル中にジアゾニウム塩とともに含有させてもよいし、あるいは、固体分散物としてカプラー、塩基性物質及びその他の発色助剤とともに含有させてもよいし、乳化物にして適当な乳化助剤とともに含有させてもよいし、又はその両形態で含有させてもよい。また、酸化防止剤、又は各種添加剤は、単独で用いてもよく、複数併用することもできる。さらに、保護層に含有させることもできる。該酸化防止剤及び各種添加剤は、必ずしも同一層に添加しなくてもよい。
【0139】
前記酸化防止剤及び/又は各種添加剤を複数組合わせて用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ビンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、リン化合物、硫黄化合物のように構造的に分類し、互いに異構造のものを組合わせてもよいし、同一のものを複数組合わせることもできる。
【0140】
画像記録後の地肌部の黄着色を軽減する目的で、光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を添加することができる。
【0141】
前記遊離基発生剤としては、例えば、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類等が挙げられる。
【0142】
該遊離基発生剤の添加量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
【0143】
また、同様に黄着色を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、「ビニルモノマー」と称する。)を用いることもできる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。
【0144】
前記ビニルモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。該ビニルモノマーは、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.2〜20質量部の割合で用いる。
【0145】
前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾニウム塩と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
【0146】
さらに、酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することもできる。
<感熱記録材料>
【0147】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に少なくとも感熱記録層を有してなり、該感熱記録層は、少なくとも前記一般式(1)又は(2)のいずれかで表されるジアゾニウム塩と、カプラーとを有してなり、必要に応じて、有機塩基及びその他の添加物を有してもよい。前記一般式(1)又は(2)で表されるジアゾニウム塩は、複数種を併用することもできる。
【0148】
前記感熱記録層は、前記一般式(1)又は(2)のいずれかで表されるジアゾニウム塩を内包したマイクロカプセル、カプラー、必要に応じて有機塩基及びその他の添加物等を含有する塗布液を調製し、該塗布液を紙や合成樹脂フィルム等の支持体上に塗布、乾燥することにより塗設することができる。
【0149】
本発明においては、前記感熱記録層が有機塩基を含有する態様が好ましい。
【0150】
前記塗布は、公知の塗布方法の中から適宜選択することができ、例えば、バー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等が挙げられる。
また、塗布、乾燥後の感熱記録層の乾燥塗布量としては、2.5〜30g/m2が好ましい。
【0151】
本発明の感熱記録材料における感熱記録層の構成態様としては、特に限定されるものではなく、例えば、マイクロカプセル、カプラー、有機塩基等が全て同一層に含まれた、単一層よりなる態様であってもよいし、別層に含まれるような複数層積層型の態様であってもよい。また、支持体上に、特願昭59−177669号明細書等に記載の中間層を設けた後、感熱記録層を塗布形成した態様であってもよい。
【0152】
さらに、後述するように、色相の異なる単色かつ単一の感熱記録層を複数層積層したフルカラー発色型の態様であってもよい。
【0153】
本発明の感熱記録材料において、感熱記録層、中間層又は後述の保護層等の各層にはバインダーを含有することができ、該バインダとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等の中から適宜選択することができる。
【0154】
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変性物等が挙げられる。
【0155】
前記ラテックス類としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0156】
中でも、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン誘導体、ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリル酸アミド誘導体等が好ましい。
【0157】
また、本発明の感熱記録材料には顔料を含有させることもでき、該顔料としては、有機、無機を問わず公知のものが挙げられ、例えば、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
【0158】
また、必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその前駆体等の各種添加剤を使用することもできる。
【0159】
本発明の感熱記録材料においては、必要に応じて、感熱記録層上に保護層を設けてもよい。該保護層は、必要に応じて二層以上積層してもよい。
【0160】
前記保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類等が挙げられる。
【0161】
前記水溶性高分子化合物は、架橋させることで、より一層保存安定性を向上させることもできる。該架橋剤としては、公知の架橋剤の中から適宜選択することができ、例えば、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物;グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類;硼酸、硼砂等の無機系架橋剤;ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0162】
前記保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤等を使用することもできる。
【0163】
保護層の塗布量としては、乾燥塗布量で0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜2g/m2がより好ましい。その膜厚としては、0.2〜5μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。
【0164】
また、保護層を設ける場合には、該保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有させてもよい。
【0165】
前記保護層は、支持体上に感熱記録層を形成する場合と同様、上述の公知の塗布方法により設けることができる。
【0166】
本発明の感熱記録材料に使用可能な支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙等に用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム等を使用することができる。
【0167】
支持体上には、カールバランスを補正する目的で、あるいは、裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよい。該バックコート層は、前記保護層と同様にして設けることができる。
【0168】
さらに、必要に応じて、支持体と感熱記録層との間、あるいは、支持体の感熱記録層が設けられた側の表面にアンチハレーション層を、その裏側の表面にスベリ層、アンチスタチック層、粘着剤層等を設けることもできる。
【0169】
また、支持体の裏面(感熱記録層が設けられない側の表面)に、接着剤層を介して剥離紙を組合わせてラベルの形態としてもよい。
【0170】
上記のように、感熱記録層に本発明のジアゾニウム塩を用いることにより、高い発色濃度が得られるとともに、光定着を高速に行うことができる。この光定着速度の高速化により記録時間の短縮化が実現され、さらにジアゾニウム塩自身がその分解性に優れることから十分な定着効果が期待できる。従って、非画像部(地肌部)の着色による白色性の低下を防止でき、濃度変動の少ない高コントラストな画像を得ることができる。即ち、記録材料としての安定性の向上と高速化の両立が実現できる。
【0171】
さらに、ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包することにより、記録材料としての長期での安定性をより高めることができる。
【0172】
<画像形成方法>
本発明の感熱記録材料を用いた画像形成は、以下のような方法で行ってもよい。即ち、例えば、感熱記録材料の感熱記録層が設けられた側の表面を、サーマルヘッド等の加熱装置により画像様に加熱印画することにより、感熱記録層の加熱部で、層中のポリウレア及び/又はポリウレタンを含むカプセル壁が軟化して物質透過性となり、カプセル外のカプラーや塩基性物質(有機塩基)がマイクロカプセル内に浸入すると、画像様に発色して画像形成する態様の方法であってもよい。この場合、発色後、さらにジアゾニウム塩の吸収波長に相当する光を照射することにより(光定着)、ジアゾニウム塩が分解反応を起こしてカプラーとの反応性を失い、画像の定着を図ることができる。上記のように光定着を施すことにより、未反応のジアゾニウム塩は、分解反応を生じてその活性を失うため、形成した画像の濃度変動や、非画像部(地肌部)におけるステインの発生による着色、即ち、白色性の低下、該低下に伴う画像コントラストの低下を抑制することができる。
【0173】
前記光定着に用いる光源としては、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯等が挙げられ、これら光源の発光スペクトルが感熱記録材料中のジアゾニウム塩の吸収スペクトルとほぼ一致していることが、高効率に定着しうる点で好ましい。
【0174】
特に、本発明においては、照射される光の発光中心波長が、380〜460nmの光源を用いることが特に好ましい。
【0175】
また、光により画像様に書き込みを行い、熱現像して画像化する光書込み熱現像型感熱記録材料として用いることもできる。この場合、印字印画過程を、上記のような加熱装置に代えてレーザ等の光源が担う。
【0176】
本発明の感熱記録材料においては、互いに発色色相の異なる感熱記録層を複数積層することにより、多色の感熱記録材料を構成することもできる。積層する感熱記録層としては、光分解性のジアゾニウム塩を含む感熱記録層が挙げられる。
【0177】
前記多色の感熱記録材料については、特開平3−288688号公報、同4−135787号公報、同4−144784号公報、同4−144785号公報、同4−194842号公報、同4−247447号公報、同4−247448号公報、同4−340540号公報、同4−340541号公報、同5−34860号公報、同5−194842号公報、特願平7−316280号公報等に記載がある。
【0178】
例えば、フルカラー感熱記録材料の層構成としては、以下のような態様で構成されていてもよい。但し、本発明においては、これに限定されるものではない。即ち、
【0179】
感光波長が異なる2種のジアゾニウム塩を、それぞれのジアゾニウム塩と熱時反応して異なった色相に発色させうるカプラーと組合わせて別々の層に含有させてなる、発色色相の異なる2層の感熱記録層(B層、C層)と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組合わせた感熱記録層(A層)とを積層したフルカラー感熱記録材料であってもよく、あるいは、上記2層の感熱記録層(B層、C層)と、これらとはさらに感光波長が異なるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラーを組合わせた感熱記録層(A層)とを積層したフルカラー感熱記録材料であってもよい。
【0180】
具体的には、支持体側から、電子供与性無色染料と電子受容性化合物、あるいは、最大吸収波長が350nmより短いジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラー、を含有する第一の感熱記録層(A層)、極大吸収波長が360nm±20nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラーを含有する第二の感熱記録層(B層)、極大吸収波長が420±30nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラーを含有する第三の感熱記録層(C層)を、順次積層して構成されていてもよい。
【0181】
この場合において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選択することによりフルカラーの画像記録が可能となる。
【0182】
フルカラー記録材料の層構成としては、イエロー、マゼンタ、シアンの各発色層はどのように積層してもよいが、色再現性の点で、支持体側から、イエロー、シアン、マゼンタ、又はイエロー、マゼンタ、シアンの順に積層することが好ましい。
【0183】
多色感熱記録材料の場合の記録方法としては、例えば、以下のようにして行うことができる。即ち、
【0184】
まず、第三の感熱記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。次いで、400±20nmの光を照射してC層中に含まれている未反応のジアゾニウム塩を分解させる。次に、第二の感熱記録層(B層)が発色するに十分な熱を与え、該層に含まれているジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。このときC層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。この後、360±20nmの光を照射してB層に含まれているジアゾニウム塩を分解させる。最後に、第一の感熱記録層(A層)が発色するに十分な熱を与えて発色させる。このときC層、B層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。
【0185】
本発明の感熱記録材料においては、上記のように多色の感熱記録材料とすることが好ましい。
【0186】
上記のように、支持体面に直接積層される感熱記録層(A層)の発色機構としては、電子供与性染料と電子受容性染料との組合わせ、あるいは、ジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時に反応して発色するカプラーとの組合わせに限られず、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を生じて発色する発色系等のいずれであってもよい。この感熱記録層上にジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と反応し呈色するカプラーとを含有する感熱記録層を設けることにより多色感熱記録材料を構成することができる。
【0187】
多色の感熱記録材料とした場合、感熱記録層相互の混色を防ぐ目的で、各感熱記録層間に中間層を設けることもできる。
【0188】
該中間層は、ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子化合物からなり、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
【0189】
本発明の感熱記録材料が、支持体上に光定着型感熱記録層を有する、多色の感熱記録材料である場合、必要に応じて、さらにその上層として光透過率調整層もしくは保護層、又は光透過率調整層及び保護層を設けることが望ましい。
【0190】
前記光透過率調整層については、特開平9−39395号公報、同9−39396号公報、特願平7−208386号明細書等に記載されている。
【0191】
光透過率調整層に、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を用いる場合には、定着に必要な波長領域の光を照射する前は、紫外線吸収剤として機能しないために高い光透過率を有するため、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させることができ、かつ可視光線の透過率も高く、感熱記録層の定着に支障をきたすことはない。
【0192】
一方、前記紫外線吸収剤の前駆体は、光定着型感熱記録層の光定着(光照射によるジアゾニウム塩の光分解)に必要な波長領域の光を照射した後、該光により反応を起こし紫外線吸収剤として機能するようになる。この紫外線吸収剤により、紫外線領域の波長の光の大部分が吸収されてその透過率が低下し、感熱記録材料の耐光性を向上させることが可能となる。しかしながら、可視光線の吸収性はないため、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
【0193】
光透過率調整層は、感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、中でも特に、感熱記録層と保護層との間に形成することが好ましい。また、光透過率調整層の機能を保護層に持たせ、兼用させてもよい。
【0194】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0195】
【実施例1】
<例示化合物D−3の合成>
5L三口丸底フラスコに2,5−ジブトキシ4−(4−ピバロイルアミノフェニルチオ)アニリン(342g, 769mmol)、濃塩酸(313g, 3mol)、メタノール(1.5L)を入れた。−5℃まで冷却した後、亜硝酸ナトリウム(58.4g, 846mmol)の水溶液(70mL)を反応溶液温度5℃以下で滴下した。TLCで2,5−ジブトキシ4−(4−ピバロイルアミノフェニルチオ)アニリンの消失を確認した後、カリウムヘキサフルオロホスフェート(155g, 846mmol)を加え、反応溶液を35℃まで昇温した後、60分間撹拌し、TLCで塩交換が終了したことを確認した。5℃まで冷却しながら水(200mL)を加えた。析出物を濾取し、IPAで洗浄した。乾燥させた後、IPA−酢エチにより再結晶し目的物(131.6g, 収率28%)を得た。
【0196】
以下に、上記化合物の1H NMR(300 MHz, CDCl3)から得られたピークデータを示す。下記ピークの化学シフトδ値は、基準物質であるTMSからのδ値を示し、かっこ内にはそのピークにおけるプロトン数及びシングレット、ダブレット等のピーク形状を示す。
【0197】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ値: 7.81 (d, 2H), 7.57 (s, 1H), 7.51 (d, 2H), 7.27 (s, 1H), 6.27 (s, 1H), 4.18 (t, 4H), 3.92 (t, 4H), 1.84 (qu, 4H), 1.69 (qu, 4H), 1.54 (m, 4H), 1.35 (s, 9H), 1.00 (t, 3H), 0.90 (t, 3H).
【0198】
【実施例2】
<例示化合物D−2の合成>
500mL三口丸底フラスコに2,5−ジブトキシ4−(4−イソブチリルアミノフェニルチオ)アニリン(22.1g, 51.3mmol)、濃塩酸(21.4g, 205mmol)、メタノール(200mL)を入れた。−5℃まで冷却した後、亜硝酸ナトリウム(4.3g, 61mmol)の水溶液(10mL)を反応溶液温度5℃以下で滴下した。TLCで2,5−ジブトキシ4−(4−イソブチリルアミノフェニルチオ)アニリンの消失を確認した後、カリウムヘキサフルオロホスフェート(11.4g, 61mmol)を加え、反応溶液を35℃まで昇温した後60分間撹拌し、TLCで塩交換が終了したことを確認した。5℃まで冷却しながら水(200mL)を加えた。析出物を濾取して乾燥させた後、IPAにより再結晶し目的物(8.2g, 収率27%)を得た。
【0199】
上記化合物の1H NMR(300 MHz, CDCl3)から得られたピークデータは以下のとおりであった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ値: 7.82 (d, 2H), 7.56 (s, 1H), 7.49 (d, 2H), 6.27 (s, 1H), 4.18 (t, 4H), 3.92 (t, 4H), 2.61 (sept, 1H), 1.85 (qu, 4H), 1.69 (qu, 4H), 1.55 (m, 4H), 1.30 (s, 3H), 1.27 (s, 3H), 0.98 (t, 3H), 0.90 (t, 3H).
【0200】
【実施例3】
<例示化合物D−4の合成>
300mL三口丸底フラスコに2,5−ジブトキシ4−(4−ベンゾイルアミノフェニルチオ)アニリン(5.9g, 12.8mmol)、濃塩酸(5.4g, 51.2mmol)、メタノール(50mL)を入れた。−5℃まで冷却した後、亜硝酸ナトリウム(1.1g, 15.4mmol)の水溶液を反応溶液温度5℃以下で滴下した。TLCで2,5−ジブトキシ4−(4−ベンゾイルアミノフェニルチオ)アニリンの消失を確認した後、カリウムヘキサフルオロホスフェート(2.2g)を加え、反応溶液を40℃まで昇温し30分間撹拌、更に室温まで冷却しながら30分間撹拌した。TLCで塩交換が終了したことを確認した後0℃まで冷却し、水を加えた。沈殿物をろ過しIPAで洗浄した。乾燥した後、IPA−酢エチにより再結晶した。さらにIPA−MeOHで再結晶し目的物(2.3g, 収率29%)を得た。
【0201】
上記化合物の1H NMR(300 MHz, CDCl3)から得られたピークデータは以下のとおりであった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ値: 8.10 (s, 1H), 7.96〜7.91 (m, 4H), 7.62〜7.52 (m, 6H), 6.30 (s, 1H), 4.19 (t, 2H), 3.91 (t, 2H), 1.85 (qu, 2H), 1.69 (qu, 2H), 1.55 (m, 2H), 1.35 (he, 2H), 1.00 (t, 3H), 0.90 (t, 3H).
【0202】
【実施例4】
<例示化合物D−6の合成>
500mL三口丸底フラスコに4−(4−フェノキシアセチルアミノフェニルチオ)アニリン(25.3g, 51.2mmol)、濃塩酸(21.4g, 205mmol)、メタノール(200mL)を入れた。−5℃まで冷却した後、亜硝酸ナトリウム(4.3g, 61mmol)の水溶液を反応溶液温度5℃以下で滴下した。TLCで4−(4−フェノキシアセチルアミノフェニルチオ)アニリンの消失を確認した後、カリウムヘキサフルオロホスフェート(11.2g, 61mmol)を加え、反応溶液を40℃まで昇温した後30分間撹拌、更に室温まで冷却しながら30分間撹拌した。TLCで塩交換が終了したことを確認した後0℃まで冷却し、水を加えた。析出物をろ過して乾燥させた後、IPA−酢エチにより再結晶することにより目的物(11.3g, 収率34%)を得た。
【0203】
上記化合物の1H NMR(300 MHz, CDCl3)から得られたピークデータは以下のとおりであった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ値:8.51 (s, 1H), 7.87 (d, 2H), 7.64 (s, 1H), 7.57 (d, 2H), 7.39 (t, 2H), 7.10 (t, 1H), 7.02 (d, 2H), 6.26 (s, 1H), 4.68 (s, 2H), 4.19 (t, 2H), 3.91 (t, 2H), 1.85 (qu, 2H), 1.69 (qu, 2H), 1.55 (m, 2H), 1.35 (he, 2H), 1.00 (t, 3H), 0.90 (t, 3H).
【0204】
【実施例5】
<感熱記録材料の作成>
(フタル化ゼラチン水溶液の調製)
フタル化ゼラチン水溶液(商品名:MGPゼラチン、ニッビコレーゲン(株)製)32質量部と、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143質量部と、イオン交換水367.1質量部とを混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0205】
(アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製)
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名:#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5質量部と、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286質量部と、水酸化カルシウム0.153質量部と、イオン交換水143.6質量部とを混合し、50℃にて溶解し、アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0206】
(ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Laの調製)
酢酸エチル17gにジアゾ化合物(例示化合物D−3)2.6g、トリクレジルホスフェート9.8g、及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO、BASFジャパン(株))0.5gを添加して均一に混合した。次いでこの混合溶液にカプセル壁材としてキシレンジイソシアネート/トリメチルプロパン付加物とキシレンジイソシアネート/ビスフェノールA(商品名:タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業製)8.5gを加え混合しI液を得た。次に上記フタル化ゼラチン水溶液56g、イオン交換水16.5g、Scraph AG−8(50質量%、日本精化(株)製)0.45gの混合液に上記I液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rpmで10分間乳化分散した。得られた乳化物に水20gを加えて均一化した後、撹拌しながら40℃で3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.1gを加え、更に一時間撹拌した。イオン交換樹脂をろ過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節し、ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Laを得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果メジアン径で0.60μmであった。
【0207】
(カプラー乳化液Lbの調製)
酢酸エチル32.0gにカプラー(例示化合物B−1)9.8g、トリフェニルグアニジン(保土ケ谷化学(株)製)9.9g、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールM(三井石油化学(株)製)20.5g、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピシキ)−1,1’−スピロダイン(三協化学(株)製)3.2g、4−(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.7g、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液、竹本油脂(株)製)4.2gを溶解しII液を得た。
別途上記アルカリ処理ゼラチン水溶液205.5gにイオン交換水108.5gを混合した中に、II液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rpmで10分間乳化分散した。得られた乳化物を減圧、過熱し酢酸エチルを除去後、固形分濃度が26.5質量%になるように濃度調節を行った。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果メジアン径で0.22μmであった。ここへSBRラテックス(商品名:SN−307、48質量%溶液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5質量%に濃度調節したものを9g添加して、カプラー乳化液Lbを得た。
【0208】
(感熱記録層塗布液Lcの調製)
ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液La及びカプラー乳化液Lbを、カプラ−/ジアゾニウム塩の質量比が2.2/1になるように混合し、感熱記録層塗布液Lcを得た。
【0209】
(光透過率調整層用塗布液Ldの調製)
1.紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製
酢酸エチル71質量部に、紫外線吸収剤前駆体として(2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル)
ベンゼンスルホナート14.5質量部と、2,2’−t−オクチルハイドロキノン5.0質量部と、リン酸トリクレジル1.9質量部と、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100、三井化学(株)製)5.7質量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液)、竹本油脂(株)製)0.45質量部とを均一に溶解した。この混合液に、カプセル壁材としてキシレンジイソシアネート/トリメチルプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)54.7質量部を添加し、均一に撹拌し、紫外線吸収剤前駆体混合液を得た。
【0210】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318、クラレ(株)製)52質量部に、30質量%リン酸水溶液8.9質量部と、イオン交換水532.6質量部とを混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
【0211】
紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516質量部に、上記の紫外線吸収剤前駆体混合液を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254質量部を加え均一化した後、40℃下で撹拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94質量部を加え、更に一時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果メジアン径で0.21〜0.22μmであった。このカプセル液860質量部に、カルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307、(48質量%水溶液)、住友ノーガタック(株)製)2.42質量部とイオン交換水40質量部とを混合し紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0212】
2.光透過率調整層用塗布液Ldの調製
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液Ld1000質量部と、フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120、大日本インキ化学工業(株)、5質量%水溶液)5質量部と、4質量%水酸化ナトリウム水溶液7.8質量部と、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0質量%水溶液)74質量部とを混合して、光透過率調整層塗布液Ldを得た。
【0213】
(保護層用塗布液Leの調製)
1.保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製
【0214】
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130、電気化学工業(株)製)160質量部と、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルとの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54質量%水溶液)、東邦化学工業(株)製)9質量部と、イオン交換水3822質量部とを混合し、90℃のもとで1時間溶解し、均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0215】
2.保護層用顔料分散液の調製
硫酸バリウム(商品名:BF−21F、硫酸バリウム含有量93%以上、堺化学工業(株)製)8質量部に、陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40質量%水溶液)、花王(株)製)0.2質量部と、イオン交換水12質量部を混合し、ダイノミルにて分散した。この分散液は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果メジアン径で0.16μm以下であった。
得られた分散液46質量部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20質量%水分散液、日産化学(株)製)8質量部を添加して目的の保護層用顔料分散液を得た。
【0216】
3.保護層用マット剤分散液の調製
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉s,新進食料工業(株)製)220質量部に、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.9質量部とイオン交換水1978.02質量部と、を混合し、均一に分散し、保護層用マット分散液を得た。
【0217】
4.保護層用塗布ブレンド液の調製
上記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000質量部に、フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120、大日本インキ化学工業(株)、5質量%水溶液)40質量部と、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製2.0質量%水溶液)50質量部と、上記保護層用顔料分散液50質量部と、上記保護層用マット剤分散液16.55質量部と、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115、20.5質量%水溶液、中京油脂(株)製)48.5質量部と、を均一に混合し、保護層用塗布ブレンド液(保護層用塗布液Le)を得た。
【0218】
(下塗り層つき支持体の作製)
1.下塗り層塗布液の調製
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40質量部を、イオン交換水60質量部に加えて、40℃で撹拌溶解して、下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
【0219】
別途、水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100、コープケミカル社製)8質量部とイオン交換水92質量部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、体積平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5質量%となるようにイオン交換水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
ついで、40℃の40質量%の上記下塗り層用ゼラチン水溶液100質量部にイオン交換水120質量部とメタノール550質量部とを加え、十分撹拌混合した後、上記5質量%雲母分散液210質量部を加えて、十分に撹拌混合し、さらに、1.70質量%ポリスチレンオキサイド系界面活性剤9.9質量部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.2質量部を加えて下塗り用塗布液(5.6質量%)を調製した。
【0220】
2.下塗り層つき支持体の作製
LBPS50質量部とLBPK50質量部からなる木材パルプを、ダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシベヘン酸アミド0.5質量部とアニオンポリアクリルアミド1.0質量部と、硫酸アルミニウム1.0質量部と、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1質量部と、カチオンポリアクリルアミド0.5質量部と、をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量115g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理によって厚み100μmに調製した。
【0221】
上記原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(この面を「ウラ面」と呼ぶ)。次に、上記樹脂層を形成したウラ面とは反対側の面に溶融押出機を用いて、アナターゼ型二酸化チタン10質量%と微量の群青とを含有したポリエチレンを樹脂厚50μmになるようにコーティングし、光沢面からなる樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名:アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名:スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)をイオン交換水に分散させて、乾燥後の質量で0.2g/m2となるように塗布した。次に、オモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り層用塗布液を含有する雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0222】
(塗布)
上記下塗り層つき支持体の下塗り層上に、上記感熱記録層塗布液Lc、上記光透過率調整用塗布液Ld,保護層用塗布液Leの順に、3層同時に連続塗布し、30℃、30%RH、及び40℃、30%RHの条件で連続に乾燥して、実施例5の感熱記録材料M1を得た。
【0223】
(発色試験)
京セラ株式会社製サーマルヘッド(KST型)を用い、単位面積あたりの記録エネルギーが25mJ/mm2となるようにサーマルヘッドに対する印加電圧及びパルス幅を決め、上記で得られた感熱記録材料M1を熱印画した後、発光中心波長450nm、出力40Wの紫外線ランプ下に10秒間曝し、定着し画像を得た。得られた画像の発色濃度(発色部の画像濃度)を測定した。別途、熱印画せずに発光中心波長450nm、出力40Wの紫外線ランプ下に10秒間曝し、定着し地肌濃度(非画像部の濃度)を測定した。なお、発色濃度及び地肌濃度は、MacbethRD918を用い、Yポジションでの濃度を測定した。
結果を表1に示す。
【0224】
(保存性試験)
未印画の感熱記録材料M1を、60℃、30%RHの環境条件下で72時間強制保存した。その後、上記発色試験と同様にして、熱印画して画像を得てから発色濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0225】
【実施例6】
ジアゾニウム塩として(例示化合物D−3)2.6gの代わりに(例示化合物D−2)2.4gを用いた他は、実施例5と同様にして感熱記録材料M2を作成した。得られた感熱記録材料M2について実施例5と同様にして、発色試験、保存性試験を行った。結果を以下の表1に併記する。
【0226】
【実施例7】
ジアゾニウム塩として(例示化合物D−3)2.6gの代わりに(例示化合物D−4)2.7gを用いた他は、実施例5と同様にして感熱記録材料M3を作成した。得られた感熱記録材料M3について実施例5と同様にして、発色試験、保存性試験を行った。結果を以下の表1に併記する。
【0227】
【比較例1】
ジアゾニウム塩として(例示化合物D−3)2.6gの代わりに下記ジアゾニウム塩C−1 2.7gを用いた他は、実施例5と同様にして感光感熱記録材料M4を作成した。得られた感熱記録材料M4について実施例5と同様にして、発色試験、保存性試験を行った。結果を以下の表1に併記する。
【0228】
【比較例2】
ジアゾニウム塩として(例示化合物D−3)2.6gの代わりに下記ジアゾニウム塩C−2 2.3gを用いた他は、実施例5と同様にして感光感熱記録材料M5を作成した。得られた感熱記録材料M5について実施例5と同様にして、発色試験、保存性試験を行った。結果を以下の表1に併記する。
【0229】
【比較例3】
ジアゾニウム塩として(例示化合物D−3)2.6gの代わりに下記ジアゾニウム塩C−3 3.4gを用いた他は、実施例5と同様にして感光感熱記録材料M6を作成した。得られた感熱記録材料M6について実施例5と同様にして、発色試験、保存性試験を行った。結果を以下の表1に併記する。
【0230】
【化20】
【0231】
【表1】
【0232】
上記表1の結果から、本発明の感熱記録材料は発色濃度が極めて高く、更に強制保存試験後に熱印画しても、高い発色性能を示すことがわかる。一方、比較例の場合は、発色濃度が高くなく、強制保存試験後に熱印画すると、発色濃度の低下が著しいことがわかる。
【0233】
【発明の効果】
本発明によれば、発色濃度が高く、印画前の保存性いわゆる生保存性が良好で、且つ、アゾ色素の合成中間体あるいは分析試薬としても有用なジアゾニウム塩を提供することができる。また、本発明の該ジアゾニウム塩を用いた、発色性、生保存性に優れた感熱記録材料を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アゾ色素の合成中間体、あるいは分析試薬、感熱記録用素材として重要なジアゾニウム塩、及びジアゾニウム塩とカプラーとを発色成分として用いる感熱記録材料に関し、熱記録前の保存性及び熱記録時の発色濃度の高い感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジアゾニウム塩はアゾ色素の重要な合成中間体として知られている。アゾ色素の合成法については従来から種々の方法が知られており、酸化反応による合成、還元反応による合成、置換反応による合成、付加反応による合成、縮合反応による合成、その他の合成法が記載されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、アゾ色素の工業的製造方法として広く利用されているのは、原料の入手性、コスト、収率等の点から、ジアゾニウム塩と、アニリン、フェノール類等のカプラーとをアゾカップリングさせて合成する方法である。
【0004】
一方、ジアゾニウム塩は、体液中に含まれる胆汁色素の主成分であるビリルビンの定量的分析に使用されており、医学及び薬学分野においても重要な化合物として位置付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ジアゾニウム塩は、一般に非常に化学的活性の高い化合物であり、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する、いわゆるカプラーと呼ばれる化合物と反応して容易にアゾ染料を形成すると共に、感光性をも有し、光照射によって分解し、その活性を失う。そこで、ジアゾニウム塩は、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古くから利用されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0006】
更に、最近では、光によって分解し活性を失う性質を利用して、画像の定着が要求される記録材料にも応用され、代表的なものとしては、ジアゾニウム塩とカプラーとを含む記録層を設けた記録材料を画像信号に従って加熱、反応させ、画像形成させた後、光照射して画像を定着する、光定着型の感熱記録材料が提案されている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0007】
しかしながら、ジアゾニウム塩を発色成分とするこれらの記録材料は、ジアゾニウム塩の化学的活性が非常に高いため、暗所であってもジアゾニウム塩が徐々に熱分解し、その反応性を失う場合がある。そのため、保存後に画像記録を行うと、画像部の発色濃度が低下する傾向がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−228517号公報(第3〜10頁)
【非特許文献1】
日本化学会編、「新実験化学講座」、丸善(株)製、第14−III巻、
p.1516〜1534
【非特許文献2】
日本写真学会編、「写真工学の基礎−非銀塩写真編−」、コロナ社、1982年12月15日、p.89〜117、182〜201
【非特許文献3】
佐藤弘次ら,「画像電子学会誌」,1982年,第11巻,第4号,p.290〜296等
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、感熱記録材料用素材として発色濃度が高く、印画前の保存性いわゆる生保存性が良好で、且つ、アゾ色素の合成中間体あるいは分析試薬としても有用なジアゾニウム塩を提供すること、及び該ジアゾニウム塩を用いた、発色性、生保存性に優れた感熱記録材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表されることを特徴とするジアゾニウム塩。
【0011】
【化4】
【0012】
式中、R1は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基またはアシルアミノ基を表す。R2は、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表す。Y1〜Y8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子を表す。Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。X−は陰イオンを表す。
【0013】
<2> 前記ジアゾニウム塩は、下記一般式(2)で表されることを特徴とする上記<1>に記載のジアゾニウム塩。
【0014】
【化5】
【0015】
式中、R3は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基またはアシルアミノ基を表す。
R4は、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基を表す。R5 、R6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基を表す。Y1〜Y4は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、ハロゲン原子を表す。X−は陰イオンを表す。
<3> 支持体上に、ジアゾニウム塩を含む感熱記録層を設けた感熱記録材料であって、該ジアゾニウム塩が上記<1>のジアゾニウム塩であることを特徴とする感熱記録材料。
<4> 前記ジアゾニウム塩が上記<2>のジアゾニウム塩であることを特徴とする上記<3>に記載の感熱記録材料。
<5> 支持体上に、ジアゾニウム塩及びカプラーを含む感熱記録層を設けた感熱記録材料であって、該ジアゾニウム塩が上記<1>に記載のジアゾニウム塩であることを特徴とする感熱記録材料。
<6> 前記ジアゾニウム塩が上記<2>のジアゾニウム塩であることを特徴とする上記<5>に記載の感熱記録材料。
<7> 前記カプラーが、下記一般式(3)で表される化合物又はその互変異性体であることを特徴とする上記<5>又は<6>に記載の感熱記録材料。
【0016】
【化6】
【0017】
式中、E1及びE2はそれぞれ独立に電子吸引基を表す。E1及びE2が結合して環を形成しても良い。
<8> 前記感熱記録材料が、有機塩基を含有することを特徴とする上記<3>乃至<7>のいずれかに記載の感熱記録材料。
<9> 前記ジアゾニウム塩が、マイクロカプセルに内包されることを特徴とする上記<3>乃至<8>のいずれかに記載の感熱記録材料。
<10> 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタン及び/又はポリウレアを構成成分として含有することを特徴とする上記<9>に記載の感熱記録材料。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のジアゾニウム塩及びそれを用いた感熱記録材料について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
<本発明のジアゾニウム塩>
<一般式(1)で表される化合物>
本発明のジアゾニウム塩は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
【0020】
【化7】
【0021】
一般式(1)において、R1は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基またはアシルアミノ基を表す。R2は、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表す。Y1〜Y8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子を表す。Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。X−は陰イオンを表す。
【0022】
R1、Y1〜Y8で表されるアルキル基は、置換基を有していても無置換でも良い。総炭素数が1から30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基、アリル基、2−フェノキシエチル基、2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)エチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、ブトキシカルボニルエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0023】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアリール基は、置換基を有していても無置換でも良い。総炭素数が6から30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、2−(n−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(エチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−デシルオキシカルボニル)フェニル基、3−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(2−(4−ブトキシフェニル)エトキシカルボニル)フェニル基、2−(エトキシカルボニル)フェニル基、3−(エトキシカルボニル)フェニル基、4−(エトキシカルボニル)フェニル基が好ましい。
【0024】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアルコキシ基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0025】
一般式(1)において、R1 、Y1〜Y8で表されるアルコキシ基としては、総炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基が好ましい。
【0026】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアリールオキシ基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基が好ましい。
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアリールオキシ基としては、総炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、4−エチルフェニルオキシ基、2−メトキシフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基、2−クロロフェニルオキシ基等が挙げられる。
【0027】
一般式(1)において、R1、R2で表されるアシル基は総炭素数が2から30のアシル基が好ましく、アセチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクタクリロイル基、2−エチルヘキサノイル基、ドデカノイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−ブトキシベンゾイル基、4−オクチルオキシベンゾイル基、4−メトキシカルボニルベンゾイル基、4−オクチルオキシベンゾイル基、2−メトキシカルボニルベンゾイル基等が好ましい。総炭素数2から14のアシル基が更に好ましく、アセチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクタクリロイル基、2−エチルヘキサノイル基、ドデカノイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−ブトキシベンゾイル基が特に好ましい。
【0028】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアルキルアミノ基は、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であり、アルキル基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0029】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアルキルアミノ基としては、総炭素数1〜30のアルキルアミノ基が好ましく、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、n−デシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基、n−オクタデシルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ(2−エチルヘキシル)アミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジ−n−ドデシルアミノ基、ジ−n−オクタデシルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ブチルエチルアミノ基、ドデシルメチルアミノ基、ドデシルブチルアミノ基、オクタデシルメチルアミノ基、オクタデシル(2−エチルヘキシル)アミノ基、オクタデシルオクチルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、4−アセチルピペラジノ基、4−ベンゼンスルホニルピペラジノ基、ヘキサメチレンイミノ基等が好ましい。
【0030】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアリールアミノ基はモノアリールアミノ基またはN−アリール−N−アルキルアミノ基であり、アリール基は、無置換でも、または置換基を有していてもよく、その置換基としては例えば、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0031】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアリールアミノ基としては、総炭素数6〜30のアリールアミノ基が好ましく、例えば、フェニルアミノ基、4−メトキシフェニルアミノ基、4−クロロフェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基、3−メトキシフェニルアミノ基、2−メトキシフェニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−フェニル−N−エチルアミノ基、N−フェニル−N−ブチルアミノ基、N−4−メトキシフェニル−N−メチルアミノ基、等が挙げられる。
【0032】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアシルアミノ基は、アルキルカルボニルアミノ基、またはアリールカルボニルアミノ基が好ましく、アルキル基またはアリール基は置換基を有していても良い。
【0033】
一般式(1)において、R1、Y1〜Y8で表されるアシルアミノ基としては、総炭素数2−30のアシルアミノ基が好ましく、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−メチルアセチルアミノ基等が好ましい。
【0034】
一般式(1)において、R2で表されるアルコキシカルボニル基は、総炭素数が2から30のアルコキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、2−(2−エトキシ)エトキシカルボニル基、2−(2−クロロエトキシ)エトキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。総炭素数が2から13のアルコキシカルボニル基が更に好ましく、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、2−(2−エトキシ)エトキシカルボニル基が特に好ましい。
【0035】
一般式(1)において、R2で表されるアリールオキシカルボニル基は、総炭素数が8から30のアリールオキシカルボニル基が好ましく、フェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基、4−クロロフェニルオキシカルボニル基、4−メチルフェニルオキシカルボニル基、4−エチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基等が好ましい。
【0036】
一般式(1)において、R2、Y1〜Y8で表されるカルバモイル基は、総炭素数が1から30のカルバモイル基が好ましく、無置換のカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−ブチルカルバモイル基、ピロリジノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、モルホリノカルボニル基、N’−スルホニルピペラジノカルボニル基、ヘキサメチレンイミノカルボニル基が好ましい。総炭素数が3から13のカルバモイル基が更に好ましく、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−ブチルカルバモイル基、ピロリジノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基が特に好ましい。
【0037】
一般式(1)において、R2で表されるアルキルスルホニル基、及びアリールスルホニル基はR1SO2 −で表される基が好ましい。
【0038】
一般式(1)において、R2、Y1〜Y8で表されるスルファモイル基は、総炭素数が0から30のスルファモイル基が好ましく、無置換のスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、ピロリジノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、モルホリノスルホニル基、N’−スルホニルピペラジノスルホニル基、ヘキサメチレンイミノスルホニル基が好ましい。総炭素数が3から13のカルバモイル基が更に好ましく、N,N−ジメチルスルファモイルル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジ−n−ブチルスルファモイル基、ピロリジノスルファモイル基、ピペリジノスルファモイル基が特に好ましい。
【0039】
一般式(1)において、Y1〜Y8で表されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子が特に好ましい。X−で表される陰イオンは、無機陰イオンとしては、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオンが好ましく、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが特に好ましい。有機陰イオンとしては、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオンが好ましい。
【0040】
<一般式(2)で表される化合物>
また、一般式(1)で表わされるジアゾニウム塩の中でも、下記一般式(2)で表わされるジアゾニウム塩が好ましい。
【0041】
【化8】
【0042】
一般式(2)において、式中、R3は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基またはアシルアミノ基を表す。R4は、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基を表す。R5 、R6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基を表す。Y1〜Y4は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、ハロゲン原子を表す。X−は陰イオンを表す。
【0043】
一般式(2)に示されるY1〜Y4及びX−は、一般式(1)におけるY1〜Y4及び X−と同義であり、好ましい例も同様である。
【0044】
一般式(2)において、R3で表されるアルキル基は、置換基を有していても無置換でも良い。総炭素数が1から30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基、アリル基、2−フェノキシエチル基、2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)エチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、t−ブトキシカルボニルエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基が好ましい。更に、総炭素数が1から13のアルキル基が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基が好ましい。
【0045】
一般式(2)において、R3で表されるアリール基は、置換基を有していても無置換でも良い。総炭素数が6から30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、2−(n−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−エチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−デシルオキシカルボニル)フェニル基、3−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(2−(4−ブトキシフェニル)エトキシカルボニル)フェニル基、2−(エトキシカルボニル)フェニル基、3−(エトキシカルボニル)フェニル基、4−(エトキシカルボニル)フェニル基が好ましい。更に、総炭素数が6から18のアリール基が特に好ましく、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、2−(n−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−エチルオキシカルボニル)フェニル基が好ましい。
【0046】
一般式(2)において、R3で表されるアルコキシ基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0047】
一般式(2)において、R3で表されるアルコキシ基としては、総炭素数1−30のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基が好ましい。更に、総炭素数が1から13のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基が好ましい。
【0048】
一般式(2)において、R3で表されるアリールオキシ基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基が好ましい。
【0049】
一般式(2)において、R3で表されるアリールオキシ基としては、総炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、4−ブチルフェニルオキシ基、4−オクチルフェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、4−ブトキシフェニルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基等が挙げられる。更に、総炭素数が6から13のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、4−ブチルフェニルオキシ基、4−ブトキシフェニルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基が好ましい。
【0050】
一般式(2)において、R3で表されるアルキルアミノ基は、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であり、アルキル基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0051】
一般式(2)において、R3で表されるアルキルアミノ基としては、総炭素数1〜30のアルキルアミノ基が好ましく、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、n−デシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基、n−オクタデシルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ(2−エチルヘキシル)アミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジ−n−ドデシルアミノ基、ジオクタデシルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ブチルエチルアミノ基、ドデシルメチルアミノ基、ドデシルブチルアミノ基、オクタデシルメチルアミノ基、オクタデシル(2−エチルヘキシル)アミノ基、オクタデシルオクチルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、4−アセチルピペラジノ基、4−ベンゼンスルホニルピペラジノ基、ヘキサメチレンイミノ基等が好ましい。更に、総炭素数が1から18のアルキルアミノ基が好ましく、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、n−デシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基、n−オクタデシルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ(2−エチルヘキシル)アミノ基、ブチルエチルアミノ基、ドデシルメチルアミノ基、ドデシルブチルアミノ基が好ましい。
【0052】
一般式(2)において、R3で表されるアリールアミノ基はモノアリールアミノ基またはN−アリール−N−アルキルアミノ基であり、アリール基は、無置換でも、または置換基を有していてもよく、その置換基としては例えば、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0053】
一般式(2)において、R3で表されるアリールアミノ基としては、総炭素数6〜30のアリールアミノ基が好ましく、例えば、フェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基、4−ブチルフェニルアミノ基、4−メトキシフェニルアミノ基、4−ブトキシフェニルアミノ基、4−クロロフェニルアミノ基、3−メトキシフェニルアミノ基、2−メトキシフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−ブチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−フェニル−N−エチルアミノ基、N−フェニル−N−ブチルアミノ基、N−4−メトキシフェニル−N−メチルアミノ基、等が挙げられる。更に、総炭素数が6から18のアリールアミノ基が好ましく、例えば、フェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基、4−ブチルフェニルアミノ基、4−メトキシフェニルアミノ基、4−ブトキシフェニルアミノ基、4−クロロフェニルアミノ基、3−メトキシフェニルアミノ基、2−メトキシフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−フェニル−N−エチルアミノ基、N−フェニル−N−ブチルアミノ基、N−4−メトキシフェニル−N−メチルアミノ基が好ましい。
【0054】
一般式(2)において、R3で表されるアシルアミノ基は、アルキルカルボニルアミノ基、またはアリールカルボニルアミノ基が好ましく、アルキル基またはアリール基は置換基を有していても良い。
【0055】
一般式(2)において、R3で表されるアシルアミノ基としては、総炭素数2−30のアシルアミノ基が好ましく、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、オクタノイルアミノ基、デカノイルアミノ基、ドデカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−メチルアセチルアミノ基等が好ましい。更に、総炭素数が2から10のアシルアミノ基が好ましく、例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、オクタノイルアミノ基、デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−メチルアセチルアミノ基が好ましい。
【0056】
一般式(2)において、R4で表されるアルキル基は、置換基を有していても無置換でも良い。総炭素数が1から30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基、アリル基、2−フェノキシエチル基、2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)エチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、t−ブトキシカルボニルエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基が好ましい。更に、総炭素数が1から13のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基が好ましい。
【0057】
一般式(2)において、R4で表されるアリール基は、置換基を有していても無置換でも良い。総炭素数が6から30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、2−(n−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−エチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−デシルオキシカルボニル)フェニル基、3−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(2−(4−ブトキシフェニル)エトキシカルボニル)フェニル基、2−(エトキシカルボニル)フェニル基、3−(エトキシカルボニル)フェニル基、4−(エトキシカルボニル)フェニル基が好ましい。更に、総炭素数が6から18のアリール基が特に好ましく、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、2−(n−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−エチルオキシカルボニル)フェニル基が好ましい。
【0058】
一般式(2)において、R5またはR6は、それぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。この中でも、熱記録前の保存性が良好な点で、アルキル基が好ましい。
【0059】
一般式(2)において、R5またはR6で表されるアルキル基は、無置換でも、または置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アリールスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホン酸基、アシル基、ヘテロ環基、等が挙げられる。
【0060】
一般式(2)において、R5またはR6で表されるアルキル基は、総炭素数が1から30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基、アリル基、2−フェノキシエチル基、2−(2,5−ジ−t−アミノフェノキシ)エチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、n−ブトキシカルボニルエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0061】
一般式(2)において、R5またはR6で表されるアリール基は、無置換でも、また置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルスルフェニル基、アルキルスルホニル基が好ましい。
【0062】
R5またはR6で表されるアリール基は、総炭素数が6から30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、2−(n−ヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−エチルオキシカルボニル)フェニル基、2−(n−デシルオキシカルボニル)フェニル基、3−(n−オクチルオキシカルボニル)フェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)フェニル基、2−(2−(4−ブトキシフェニル)エトキシカルボニル)フェニル基、2−(エトキシカルボニル)フェニル基、3−(エトキシカルボニル)フェニル基、4−(エトキシカルボニル)フェニル基が好ましい。
【0063】
<一般式(1)または(2)の例示化合物>
以下に、一般式(1)または(2)で表されるジアゾニウム塩についての具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
【化9】
【0065】
【化10】
【0066】
【化11】
【0067】
<ジアゾニウム塩の合成方法>
一般式(1)または(2)で表されるジアゾニウム塩は、以下の一般的な方法で製造することが可能である。即ち、下記一般式(4)または(5)で表されるアニリンを、酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等を用いてジアゾ化することにより得られる。
【0068】
【化12】
【0069】
一般式(4)または/及び(5)に示すR1〜R6 、Y1〜Y8及びZは、それぞれ一般式(1)または/及び(2)に示したものと同義である。
【0070】
本発明のジアゾニウム塩の具体的な製造方法を以下に詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(4)または(5)のアニリン誘導体またはその塩酸塩をアルコール溶媒及び濃塩酸に入れて溶解し、−5℃以下となるよう冷却する。その溶液に、亜硝酸ナトリウムの水溶液を5℃以下に保ちながら滴下し、薄層クロマトグラフ(以下、TLCという。)により原料であるアニリン誘導体の消失をみて反応の終了を確認する。次に、例えば、カリウムヘキサフルオロホスフェート等のイオン性化合物含有水溶液を加え、加熱して反応溶液の温度を略35℃まで昇温させる。同温度にて略60分間攪拌して塩交換反応を行なう。TLCで、塩交換反応の終了を確認後、5℃まで冷却したのち水を加えてジアゾニウム塩を析出させる。析出物を濾取して、必要であればイソプロパノール等のアルコール溶媒で洗浄して結晶を得る。得られた結晶をアルコールと酢酸エチル等の混合溶媒にて再結晶を行い、乾燥させて目的物のジアゾニウム塩を得ることができる。
【0071】
本発明の製造方法における反応温度は、0℃から用いた有機溶媒の還流温度までが好ましい。ジアゾニウム塩は不安定な化合物であるので、0〜30℃の低温で反応を行なうことが更に好ましい。
【0072】
本発明の製造方法における反応時間としては30分〜6時間が好ましく、1時間〜3時間が更に好ましい。前記原料のジアゾニウム塩に対する前記イオン性化合物の使用量はその組み合わせにより適宜調製される。前記原料のジアゾニウム塩に対する前記イオン性化合物の使用量としては、1/2〜2倍モルが好ましく、0.9〜1.1倍モルが更に好ましい。該イオン化合物の添加方法としては、単独で加えることもできるが、溶液または懸濁液として添加することが好ましい。さらに、水に溶解して添加することが好ましい。
【0073】
本発明の製造方法により得られたジアゾニウム塩は、ジアゾニウム塩は有機層と水層を分離した後、有機層を濃縮することにより結晶としても油状物としても単離することができる。このとき、反応終了後、有機層を更に水及び/または食塩水で洗浄することが好ましい。また得られた有機層は、濃縮前に硫酸マグネシウム等の生成したジアゾニウム塩に影響がない乾燥剤を使用して乾燥しても良い。
【0074】
本発明の製造方法により得られたジアゾニウム塩は、塩交換反応終了後に得られた有機層を濃縮せず、そのまま次の操作に使用しても良い。例えば、カプラー等の反応剤を添加し、アゾ色素形成反応に用いても良い。また、そのまま感熱記録材料のための材料として使用しても良い。
【0075】
本発明の製造方法により得られたジアゾニウム塩は、有機層を濃縮した後さらに溶媒で再結晶し精製することも可能である。使用できる溶媒としては、生成するジアゾニウム塩に応じて有機溶媒等を適宜選択することができる。有機溶媒等とは、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒及び水等の単独若しくは混合溶媒として使用することができる。特に、イソプロパノールとヘキサンの混合溶媒が好ましい。
【0076】
本発明の製造方法において、原料であるジアゾニウム塩に対応するアニリンをジアゾ化した後、イオン性化合物を添加して得られた原料となる該ジアゾニウム塩を固体として単離精製した後、前述の単離工程を含まない場合と同様に、非水溶性有機溶媒と水の混合系において、該ジアゾニウム塩と異なる対アニオンを有するイオン性化合物との反応によりジアゾニウム塩の対アニオンとイオン性化合物の対アニオンが交換反応を起こし、対アニオンが前記イオン性化合物の対アニオンであるジアゾニウム塩へと変換することもできる。
【0077】
また、一般式(1)又は(2)で表されるジアゾニウム塩は、油状物、結晶状態のいずれであってもよいが、取扱い性の点で常温で結晶状態のものが好ましい。これらの本発明のジアゾニウム塩は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、また、既存のジアゾニウム塩と併用してもよい。
【0078】
本発明のジアゾニウム塩を、感熱記録材料の感熱記録層に用いる場合には、その含有量としては、0.02〜5g/m2が好ましく、発色濃度の点から0.1〜4g/m2がより好ましい。
【0079】
本発明のジアゾニウム塩の安定化のために、塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズ等を用いて錯化合物を形成させ、ジアゾニウム塩の安定化を図ることもできる。
【0080】
一般式(1)又は(2)で表されるジアゾニウム塩は、後述のカプラーとの反応により発色し、高い発色濃度が得られる一方、蛍光灯等の380〜460nmの波長範囲での光分解性に優れ、短時間の光照射でも十分に定着を完了しうる、高速分解性を有するため、光定着型の感熱記録材料に用いる発色成分として非常に有用である。
【0081】
<カプラー>
次に、本発明の感熱記録材料において使用可能なカプラー(カップリング成分)について説明する。
【0082】
前記カプラーは、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾニウム塩とカップリングして色素を形成するものであればいずれの化合物も使用可能である。ハロゲン化銀写真感光材料用のいわゆる4当量カプラーはすべてカプラーとして使用可能である。これらは目的とする色相に応じて選択することが可能である。
【0083】
例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などがあり、具体例として下記のものが挙げられ本発明の目的に合致する範囲で使用される。
【0084】
前記カプラーの具体例としては、例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−l,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロへキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジーn−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オタタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキジフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ビバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0085】
カプラーの詳細については、特開平4−201483号公報、特開平7−223367号公報、特開平7−223368号公報、特開平7−323660号公報、特願平5−278608号明細書、特願平5−297024号明細書、特願平6−18669号公報、特願平6−18670号明細書、特願平7−316280号明細書、特願平8−027095号明細書、特願平8−027096号明細書、特願平8−030799号明細書、特願平8−12610号明細書、特願平8−132394号明細書、特願平8−358755号明細書、特願平8−358756号明細書、特願平9−069990号明細書等に記載されている。
【0086】
上記のうち、本発明においては、下記一般式(3)で表される化合物又はその互変異性体が特に好ましい。
以下に、一般式(3)で表されるカプラーについて詳述する。
【0087】
【化13】
【0088】
一般式(3)において、E1及びE2は、それぞれ独立に、電子吸引性基を表す。また、E1及びE2は互いに結合して環を形成してもよい。
【0089】
前記E1及びE2で表される電子吸引性基とは、Hammettのσp値が正である置換基を意味し、これらは同一であっても異なっていてもよく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のオキシカルボニル基;カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−〔2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、N−〔2,4−ビス(オクチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、モルホリノカルボニル基等のカルバモイル基;メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基;ジエチルホスホノ基等のホスホノ基;ベンゾオキサゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−スルホン−2−イル基等の複素環基;ヘテロ環基;ニトロ基;イミノ基;シアノ基が好適に挙げられる。
【0090】
また、E1及びE2で表される電子吸引性基は、両者が結合し環を形成してもよい。E1及びE2で形成される環としては、5員ないし6員の炭素環又は複素環が好ましい。
【0091】
以下に、一般式(3)で表されるカプラーの具体例として例示化合物(B−1)〜(B−38)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示すカプラーの互変異性体も好適なものとして挙げることができる。
【0092】
【化14】
【0093】
【化15】
【0094】
【化16】
【0095】
【化17】
【0096】
【化18】
【0097】
【化19】
【0098】
前記カプラーの互変異性体とは、上記に代表されるカプラーの異性体として存在するものであって、その両者間で構造が容易に変化し合う関係にあるものをいい、本発明に用いるカプラーとしては、該互変異性体も好ましい。
【0099】
<マイクロカプセル化>
本発明の感熱記録材料においては、その使用前の生保存性を良化する目的で、ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包させることが好ましい。該マイクロカプセルの形成方法としては、既に公知の方法の中から適宜選択することができる。
【0100】
マイクロカプセルのカプセル壁を形成する高分子物質としては、常温では非透過性であり、加熱時に透過性となる性質を有することが必要である点から、特にガラス転移温度が60〜200℃のものが好ましく、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン・メタクリレート共重合体、スチレン・アクリレート共重合体、及びこれらの混合系を挙げることができる。
【0101】
マイクロカプセル形成方法としては、具体的には、界面重合法や内部重合法が適している。該カプセル形成方法の詳細、及びリアクタントの具体例等については、米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書に記載がある。例えば、カプセル壁材として、ポリウレア、ポリウレタンを用いる場合には、ポリイソシアネート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオールやポリアミン)を水性媒体又はカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれらを乳化分散し次に加温することにより油滴界面で高分子形成反応を起こしマイクロカプセル壁を形成する。なお、上記第2物質の添加を省略した場合もポリウレアを生成することができる。
【0102】
本発明においては、マイクロカプセルのカプセル壁を形成する高分子物質としては、ポリウレタン及びポリウレアの少なくとも1種を成分として含有することが好ましい。
【0103】
次に、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について述べる。まず、ジアゾニウム塩は、カプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ、マイクロカプセルの芯となる油相を調製する。このとき、さらに壁材として多価イソシアネートが添加される。
【0104】
前記油相の調製に際し、ジアゾニウム塩を溶解、分散してマイクロカプセルの芯の形成に用いる疎水性の有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、例えば、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
【0105】
カプセル化しようとするジアゾニウム塩の前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いるジアゾニウム塩の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもでき、該低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0106】
このため、ジアゾニウム塩は、高沸点疎水性有機溶媒、低沸点溶媒に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には、該溶剤に5%以上の溶解度を有していることが好ましい。水に対する溶解度は1%以下が好ましい。
【0107】
一方、用いる水相には水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、該水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、さらに均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は公知の乳化用界面活性剤が使用可能である。界面活性剤を添加する場合の添加量としては、油相質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
【0108】
調製された油相を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子は、乳化しようとする温度における、水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、例えば、ポリビニルアルコール及びその変成物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0109】
前記水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、もしくは低いことが好ましく、例えば、ゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成する等して反応性をなくしておくことが好ましい。
【0110】
前記多価イソシアネート化合物としては、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物であってもよい。具体的には、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
【0111】
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
【0112】
多価イソシアネートの使用量としては、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。また、その分散粒子径としては、0.2〜10μm程度が一般的である。
【0113】
水相中に油相を加えた乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0114】
水相中又は油相の疎水性溶媒中に、さらにポリオール及び/又はポリアミンを添加しておけば、多価イソシアネートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして用いることもできる。上記反応において、反応温度を高く保ち、あるいは、適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
【0115】
これらのポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
【0116】
多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
【0117】
乳化は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置の中から適宜選択して行うことができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、十分な攪拌を行う等の必要がある。
【0118】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩内包マイクロカプセルを得ることができる。
【0119】
次に、本発明に用いるカプラーは、例えば、水溶性高分子、有機塩基、その他の発色助剤等とともに、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、特に好ましくは、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。さらに、カプラー、有機塩基は別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することも可能である。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
【0120】
前記カプラーの使用量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0121】
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載の高沸点オイルの中から適宜選択することができる。中でも、乳化分散物の乳化安定性の観点から、エステル類が好ましく、リン酸トリクレジルが特に好ましい。上記オイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0122】
前記有機溶剤に、さらに溶解助剤として、低沸点の補助溶剤を加えることもでき、該補助溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等を好適に挙げることができる。場合に応じて、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0123】
また、水相中に保護コロイドとして含有させる水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができ、中でも、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等が好ましい。
【0124】
また、水相中に含有させる界面活性剤としては、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤であって、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。該界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
【0125】
<有機塩基>
本発明において、ジアゾニウム塩とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で加える、塩基性物質としての使用可能な前記有機塩基について説明する。
【0126】
前記有機塩基としては、第3級アミン類、ピぺリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられ、例えば、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものを好適に挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0127】
上記のうち、具体的には、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ)ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,8−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0128】
前記有機塩基の使用量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0129】
前記使用量が、0.1質量部未満であると、十分な発色濃度が得られなくなることがあり、30質量部を超えると、ジアゾニウム塩の分解が促進されることがある。
【0130】
また、感熱記録層中には、上記有機塩基の他、発色反応を促進させる、即ち、低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画させる目的で、発色助剤を加えることもできる。ここで、発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、もしくは発色温度を制御する物質であり、カプラー、塩基性物質もしくはジアゾニウム塩等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下させうる作用により、ジアゾニウム塩、塩基性物質、カプラー等が反応しやすい条件とするためのものである。
【0131】
前記発色助剤としては、例えば、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物、ヒドロキシ化合物等が挙げられる。
【0132】
前記発色助剤には、熱融解性物質も含まれる。該熱融解性物質は、常温下では固体であって、加熱により融解する融点50℃〜150℃の物質であり、ジアゾニウム塩、カプラー、あるいは、有機塩基等を溶解しうる物質である。具体的には、カルボン酸アミド、N置換カルボン酸アミド、ケトン化合物、尿素化合物、エステル類等を挙げることができる。
【0133】
本発明の感熱記録材料においては、熱発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、又は、定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
【0134】
前記酸化防止剤については、例えば、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同第309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載されている。感熱もしくは感圧記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。
【0135】
前記各種添加剤としては、例えば、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0136】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2.4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0137】
前記酸化防止剤、又は各種添加剤の添加量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.05〜100質量部が好ましく、0.2〜30質量部がより好ましい。
【0138】
前記酸化防止剤及び各種添加剤は、マイクロカプセル中にジアゾニウム塩とともに含有させてもよいし、あるいは、固体分散物としてカプラー、塩基性物質及びその他の発色助剤とともに含有させてもよいし、乳化物にして適当な乳化助剤とともに含有させてもよいし、又はその両形態で含有させてもよい。また、酸化防止剤、又は各種添加剤は、単独で用いてもよく、複数併用することもできる。さらに、保護層に含有させることもできる。該酸化防止剤及び各種添加剤は、必ずしも同一層に添加しなくてもよい。
【0139】
前記酸化防止剤及び/又は各種添加剤を複数組合わせて用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ビンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、リン化合物、硫黄化合物のように構造的に分類し、互いに異構造のものを組合わせてもよいし、同一のものを複数組合わせることもできる。
【0140】
画像記録後の地肌部の黄着色を軽減する目的で、光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を添加することができる。
【0141】
前記遊離基発生剤としては、例えば、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類等が挙げられる。
【0142】
該遊離基発生剤の添加量としては、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
【0143】
また、同様に黄着色を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、「ビニルモノマー」と称する。)を用いることもできる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。
【0144】
前記ビニルモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。該ビニルモノマーは、ジアゾニウム塩1質量部に対して、0.2〜20質量部の割合で用いる。
【0145】
前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾニウム塩と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
【0146】
さらに、酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することもできる。
<感熱記録材料>
【0147】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に少なくとも感熱記録層を有してなり、該感熱記録層は、少なくとも前記一般式(1)又は(2)のいずれかで表されるジアゾニウム塩と、カプラーとを有してなり、必要に応じて、有機塩基及びその他の添加物を有してもよい。前記一般式(1)又は(2)で表されるジアゾニウム塩は、複数種を併用することもできる。
【0148】
前記感熱記録層は、前記一般式(1)又は(2)のいずれかで表されるジアゾニウム塩を内包したマイクロカプセル、カプラー、必要に応じて有機塩基及びその他の添加物等を含有する塗布液を調製し、該塗布液を紙や合成樹脂フィルム等の支持体上に塗布、乾燥することにより塗設することができる。
【0149】
本発明においては、前記感熱記録層が有機塩基を含有する態様が好ましい。
【0150】
前記塗布は、公知の塗布方法の中から適宜選択することができ、例えば、バー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等が挙げられる。
また、塗布、乾燥後の感熱記録層の乾燥塗布量としては、2.5〜30g/m2が好ましい。
【0151】
本発明の感熱記録材料における感熱記録層の構成態様としては、特に限定されるものではなく、例えば、マイクロカプセル、カプラー、有機塩基等が全て同一層に含まれた、単一層よりなる態様であってもよいし、別層に含まれるような複数層積層型の態様であってもよい。また、支持体上に、特願昭59−177669号明細書等に記載の中間層を設けた後、感熱記録層を塗布形成した態様であってもよい。
【0152】
さらに、後述するように、色相の異なる単色かつ単一の感熱記録層を複数層積層したフルカラー発色型の態様であってもよい。
【0153】
本発明の感熱記録材料において、感熱記録層、中間層又は後述の保護層等の各層にはバインダーを含有することができ、該バインダとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等の中から適宜選択することができる。
【0154】
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変性物等が挙げられる。
【0155】
前記ラテックス類としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0156】
中でも、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン誘導体、ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリル酸アミド誘導体等が好ましい。
【0157】
また、本発明の感熱記録材料には顔料を含有させることもでき、該顔料としては、有機、無機を問わず公知のものが挙げられ、例えば、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
【0158】
また、必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその前駆体等の各種添加剤を使用することもできる。
【0159】
本発明の感熱記録材料においては、必要に応じて、感熱記録層上に保護層を設けてもよい。該保護層は、必要に応じて二層以上積層してもよい。
【0160】
前記保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類等が挙げられる。
【0161】
前記水溶性高分子化合物は、架橋させることで、より一層保存安定性を向上させることもできる。該架橋剤としては、公知の架橋剤の中から適宜選択することができ、例えば、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物;グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類;硼酸、硼砂等の無機系架橋剤;ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0162】
前記保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤等を使用することもできる。
【0163】
保護層の塗布量としては、乾燥塗布量で0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜2g/m2がより好ましい。その膜厚としては、0.2〜5μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。
【0164】
また、保護層を設ける場合には、該保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有させてもよい。
【0165】
前記保護層は、支持体上に感熱記録層を形成する場合と同様、上述の公知の塗布方法により設けることができる。
【0166】
本発明の感熱記録材料に使用可能な支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙等に用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム等を使用することができる。
【0167】
支持体上には、カールバランスを補正する目的で、あるいは、裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよい。該バックコート層は、前記保護層と同様にして設けることができる。
【0168】
さらに、必要に応じて、支持体と感熱記録層との間、あるいは、支持体の感熱記録層が設けられた側の表面にアンチハレーション層を、その裏側の表面にスベリ層、アンチスタチック層、粘着剤層等を設けることもできる。
【0169】
また、支持体の裏面(感熱記録層が設けられない側の表面)に、接着剤層を介して剥離紙を組合わせてラベルの形態としてもよい。
【0170】
上記のように、感熱記録層に本発明のジアゾニウム塩を用いることにより、高い発色濃度が得られるとともに、光定着を高速に行うことができる。この光定着速度の高速化により記録時間の短縮化が実現され、さらにジアゾニウム塩自身がその分解性に優れることから十分な定着効果が期待できる。従って、非画像部(地肌部)の着色による白色性の低下を防止でき、濃度変動の少ない高コントラストな画像を得ることができる。即ち、記録材料としての安定性の向上と高速化の両立が実現できる。
【0171】
さらに、ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに内包することにより、記録材料としての長期での安定性をより高めることができる。
【0172】
<画像形成方法>
本発明の感熱記録材料を用いた画像形成は、以下のような方法で行ってもよい。即ち、例えば、感熱記録材料の感熱記録層が設けられた側の表面を、サーマルヘッド等の加熱装置により画像様に加熱印画することにより、感熱記録層の加熱部で、層中のポリウレア及び/又はポリウレタンを含むカプセル壁が軟化して物質透過性となり、カプセル外のカプラーや塩基性物質(有機塩基)がマイクロカプセル内に浸入すると、画像様に発色して画像形成する態様の方法であってもよい。この場合、発色後、さらにジアゾニウム塩の吸収波長に相当する光を照射することにより(光定着)、ジアゾニウム塩が分解反応を起こしてカプラーとの反応性を失い、画像の定着を図ることができる。上記のように光定着を施すことにより、未反応のジアゾニウム塩は、分解反応を生じてその活性を失うため、形成した画像の濃度変動や、非画像部(地肌部)におけるステインの発生による着色、即ち、白色性の低下、該低下に伴う画像コントラストの低下を抑制することができる。
【0173】
前記光定着に用いる光源としては、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯等が挙げられ、これら光源の発光スペクトルが感熱記録材料中のジアゾニウム塩の吸収スペクトルとほぼ一致していることが、高効率に定着しうる点で好ましい。
【0174】
特に、本発明においては、照射される光の発光中心波長が、380〜460nmの光源を用いることが特に好ましい。
【0175】
また、光により画像様に書き込みを行い、熱現像して画像化する光書込み熱現像型感熱記録材料として用いることもできる。この場合、印字印画過程を、上記のような加熱装置に代えてレーザ等の光源が担う。
【0176】
本発明の感熱記録材料においては、互いに発色色相の異なる感熱記録層を複数積層することにより、多色の感熱記録材料を構成することもできる。積層する感熱記録層としては、光分解性のジアゾニウム塩を含む感熱記録層が挙げられる。
【0177】
前記多色の感熱記録材料については、特開平3−288688号公報、同4−135787号公報、同4−144784号公報、同4−144785号公報、同4−194842号公報、同4−247447号公報、同4−247448号公報、同4−340540号公報、同4−340541号公報、同5−34860号公報、同5−194842号公報、特願平7−316280号公報等に記載がある。
【0178】
例えば、フルカラー感熱記録材料の層構成としては、以下のような態様で構成されていてもよい。但し、本発明においては、これに限定されるものではない。即ち、
【0179】
感光波長が異なる2種のジアゾニウム塩を、それぞれのジアゾニウム塩と熱時反応して異なった色相に発色させうるカプラーと組合わせて別々の層に含有させてなる、発色色相の異なる2層の感熱記録層(B層、C層)と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組合わせた感熱記録層(A層)とを積層したフルカラー感熱記録材料であってもよく、あるいは、上記2層の感熱記録層(B層、C層)と、これらとはさらに感光波長が異なるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラーを組合わせた感熱記録層(A層)とを積層したフルカラー感熱記録材料であってもよい。
【0180】
具体的には、支持体側から、電子供与性無色染料と電子受容性化合物、あるいは、最大吸収波長が350nmより短いジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラー、を含有する第一の感熱記録層(A層)、極大吸収波長が360nm±20nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラーを含有する第二の感熱記録層(B層)、極大吸収波長が420±30nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラーを含有する第三の感熱記録層(C層)を、順次積層して構成されていてもよい。
【0181】
この場合において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選択することによりフルカラーの画像記録が可能となる。
【0182】
フルカラー記録材料の層構成としては、イエロー、マゼンタ、シアンの各発色層はどのように積層してもよいが、色再現性の点で、支持体側から、イエロー、シアン、マゼンタ、又はイエロー、マゼンタ、シアンの順に積層することが好ましい。
【0183】
多色感熱記録材料の場合の記録方法としては、例えば、以下のようにして行うことができる。即ち、
【0184】
まず、第三の感熱記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。次いで、400±20nmの光を照射してC層中に含まれている未反応のジアゾニウム塩を分解させる。次に、第二の感熱記録層(B層)が発色するに十分な熱を与え、該層に含まれているジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。このときC層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。この後、360±20nmの光を照射してB層に含まれているジアゾニウム塩を分解させる。最後に、第一の感熱記録層(A層)が発色するに十分な熱を与えて発色させる。このときC層、B層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。
【0185】
本発明の感熱記録材料においては、上記のように多色の感熱記録材料とすることが好ましい。
【0186】
上記のように、支持体面に直接積層される感熱記録層(A層)の発色機構としては、電子供与性染料と電子受容性染料との組合わせ、あるいは、ジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時に反応して発色するカプラーとの組合わせに限られず、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を生じて発色する発色系等のいずれであってもよい。この感熱記録層上にジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と反応し呈色するカプラーとを含有する感熱記録層を設けることにより多色感熱記録材料を構成することができる。
【0187】
多色の感熱記録材料とした場合、感熱記録層相互の混色を防ぐ目的で、各感熱記録層間に中間層を設けることもできる。
【0188】
該中間層は、ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子化合物からなり、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
【0189】
本発明の感熱記録材料が、支持体上に光定着型感熱記録層を有する、多色の感熱記録材料である場合、必要に応じて、さらにその上層として光透過率調整層もしくは保護層、又は光透過率調整層及び保護層を設けることが望ましい。
【0190】
前記光透過率調整層については、特開平9−39395号公報、同9−39396号公報、特願平7−208386号明細書等に記載されている。
【0191】
光透過率調整層に、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を用いる場合には、定着に必要な波長領域の光を照射する前は、紫外線吸収剤として機能しないために高い光透過率を有するため、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させることができ、かつ可視光線の透過率も高く、感熱記録層の定着に支障をきたすことはない。
【0192】
一方、前記紫外線吸収剤の前駆体は、光定着型感熱記録層の光定着(光照射によるジアゾニウム塩の光分解)に必要な波長領域の光を照射した後、該光により反応を起こし紫外線吸収剤として機能するようになる。この紫外線吸収剤により、紫外線領域の波長の光の大部分が吸収されてその透過率が低下し、感熱記録材料の耐光性を向上させることが可能となる。しかしながら、可視光線の吸収性はないため、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
【0193】
光透過率調整層は、感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、中でも特に、感熱記録層と保護層との間に形成することが好ましい。また、光透過率調整層の機能を保護層に持たせ、兼用させてもよい。
【0194】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0195】
【実施例1】
<例示化合物D−3の合成>
5L三口丸底フラスコに2,5−ジブトキシ4−(4−ピバロイルアミノフェニルチオ)アニリン(342g, 769mmol)、濃塩酸(313g, 3mol)、メタノール(1.5L)を入れた。−5℃まで冷却した後、亜硝酸ナトリウム(58.4g, 846mmol)の水溶液(70mL)を反応溶液温度5℃以下で滴下した。TLCで2,5−ジブトキシ4−(4−ピバロイルアミノフェニルチオ)アニリンの消失を確認した後、カリウムヘキサフルオロホスフェート(155g, 846mmol)を加え、反応溶液を35℃まで昇温した後、60分間撹拌し、TLCで塩交換が終了したことを確認した。5℃まで冷却しながら水(200mL)を加えた。析出物を濾取し、IPAで洗浄した。乾燥させた後、IPA−酢エチにより再結晶し目的物(131.6g, 収率28%)を得た。
【0196】
以下に、上記化合物の1H NMR(300 MHz, CDCl3)から得られたピークデータを示す。下記ピークの化学シフトδ値は、基準物質であるTMSからのδ値を示し、かっこ内にはそのピークにおけるプロトン数及びシングレット、ダブレット等のピーク形状を示す。
【0197】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ値: 7.81 (d, 2H), 7.57 (s, 1H), 7.51 (d, 2H), 7.27 (s, 1H), 6.27 (s, 1H), 4.18 (t, 4H), 3.92 (t, 4H), 1.84 (qu, 4H), 1.69 (qu, 4H), 1.54 (m, 4H), 1.35 (s, 9H), 1.00 (t, 3H), 0.90 (t, 3H).
【0198】
【実施例2】
<例示化合物D−2の合成>
500mL三口丸底フラスコに2,5−ジブトキシ4−(4−イソブチリルアミノフェニルチオ)アニリン(22.1g, 51.3mmol)、濃塩酸(21.4g, 205mmol)、メタノール(200mL)を入れた。−5℃まで冷却した後、亜硝酸ナトリウム(4.3g, 61mmol)の水溶液(10mL)を反応溶液温度5℃以下で滴下した。TLCで2,5−ジブトキシ4−(4−イソブチリルアミノフェニルチオ)アニリンの消失を確認した後、カリウムヘキサフルオロホスフェート(11.4g, 61mmol)を加え、反応溶液を35℃まで昇温した後60分間撹拌し、TLCで塩交換が終了したことを確認した。5℃まで冷却しながら水(200mL)を加えた。析出物を濾取して乾燥させた後、IPAにより再結晶し目的物(8.2g, 収率27%)を得た。
【0199】
上記化合物の1H NMR(300 MHz, CDCl3)から得られたピークデータは以下のとおりであった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ値: 7.82 (d, 2H), 7.56 (s, 1H), 7.49 (d, 2H), 6.27 (s, 1H), 4.18 (t, 4H), 3.92 (t, 4H), 2.61 (sept, 1H), 1.85 (qu, 4H), 1.69 (qu, 4H), 1.55 (m, 4H), 1.30 (s, 3H), 1.27 (s, 3H), 0.98 (t, 3H), 0.90 (t, 3H).
【0200】
【実施例3】
<例示化合物D−4の合成>
300mL三口丸底フラスコに2,5−ジブトキシ4−(4−ベンゾイルアミノフェニルチオ)アニリン(5.9g, 12.8mmol)、濃塩酸(5.4g, 51.2mmol)、メタノール(50mL)を入れた。−5℃まで冷却した後、亜硝酸ナトリウム(1.1g, 15.4mmol)の水溶液を反応溶液温度5℃以下で滴下した。TLCで2,5−ジブトキシ4−(4−ベンゾイルアミノフェニルチオ)アニリンの消失を確認した後、カリウムヘキサフルオロホスフェート(2.2g)を加え、反応溶液を40℃まで昇温し30分間撹拌、更に室温まで冷却しながら30分間撹拌した。TLCで塩交換が終了したことを確認した後0℃まで冷却し、水を加えた。沈殿物をろ過しIPAで洗浄した。乾燥した後、IPA−酢エチにより再結晶した。さらにIPA−MeOHで再結晶し目的物(2.3g, 収率29%)を得た。
【0201】
上記化合物の1H NMR(300 MHz, CDCl3)から得られたピークデータは以下のとおりであった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ値: 8.10 (s, 1H), 7.96〜7.91 (m, 4H), 7.62〜7.52 (m, 6H), 6.30 (s, 1H), 4.19 (t, 2H), 3.91 (t, 2H), 1.85 (qu, 2H), 1.69 (qu, 2H), 1.55 (m, 2H), 1.35 (he, 2H), 1.00 (t, 3H), 0.90 (t, 3H).
【0202】
【実施例4】
<例示化合物D−6の合成>
500mL三口丸底フラスコに4−(4−フェノキシアセチルアミノフェニルチオ)アニリン(25.3g, 51.2mmol)、濃塩酸(21.4g, 205mmol)、メタノール(200mL)を入れた。−5℃まで冷却した後、亜硝酸ナトリウム(4.3g, 61mmol)の水溶液を反応溶液温度5℃以下で滴下した。TLCで4−(4−フェノキシアセチルアミノフェニルチオ)アニリンの消失を確認した後、カリウムヘキサフルオロホスフェート(11.2g, 61mmol)を加え、反応溶液を40℃まで昇温した後30分間撹拌、更に室温まで冷却しながら30分間撹拌した。TLCで塩交換が終了したことを確認した後0℃まで冷却し、水を加えた。析出物をろ過して乾燥させた後、IPA−酢エチにより再結晶することにより目的物(11.3g, 収率34%)を得た。
【0203】
上記化合物の1H NMR(300 MHz, CDCl3)から得られたピークデータは以下のとおりであった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ値:8.51 (s, 1H), 7.87 (d, 2H), 7.64 (s, 1H), 7.57 (d, 2H), 7.39 (t, 2H), 7.10 (t, 1H), 7.02 (d, 2H), 6.26 (s, 1H), 4.68 (s, 2H), 4.19 (t, 2H), 3.91 (t, 2H), 1.85 (qu, 2H), 1.69 (qu, 2H), 1.55 (m, 2H), 1.35 (he, 2H), 1.00 (t, 3H), 0.90 (t, 3H).
【0204】
【実施例5】
<感熱記録材料の作成>
(フタル化ゼラチン水溶液の調製)
フタル化ゼラチン水溶液(商品名:MGPゼラチン、ニッビコレーゲン(株)製)32質量部と、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143質量部と、イオン交換水367.1質量部とを混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0205】
(アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製)
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名:#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5質量部と、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286質量部と、水酸化カルシウム0.153質量部と、イオン交換水143.6質量部とを混合し、50℃にて溶解し、アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0206】
(ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Laの調製)
酢酸エチル17gにジアゾ化合物(例示化合物D−3)2.6g、トリクレジルホスフェート9.8g、及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO、BASFジャパン(株))0.5gを添加して均一に混合した。次いでこの混合溶液にカプセル壁材としてキシレンジイソシアネート/トリメチルプロパン付加物とキシレンジイソシアネート/ビスフェノールA(商品名:タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業製)8.5gを加え混合しI液を得た。次に上記フタル化ゼラチン水溶液56g、イオン交換水16.5g、Scraph AG−8(50質量%、日本精化(株)製)0.45gの混合液に上記I液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rpmで10分間乳化分散した。得られた乳化物に水20gを加えて均一化した後、撹拌しながら40℃で3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.1gを加え、更に一時間撹拌した。イオン交換樹脂をろ過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節し、ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液Laを得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果メジアン径で0.60μmであった。
【0207】
(カプラー乳化液Lbの調製)
酢酸エチル32.0gにカプラー(例示化合物B−1)9.8g、トリフェニルグアニジン(保土ケ谷化学(株)製)9.9g、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールM(三井石油化学(株)製)20.5g、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピシキ)−1,1’−スピロダイン(三協化学(株)製)3.2g、4−(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.7g、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液、竹本油脂(株)製)4.2gを溶解しII液を得た。
別途上記アルカリ処理ゼラチン水溶液205.5gにイオン交換水108.5gを混合した中に、II液を添加しホモジナイザーを使用して40℃、10000rpmで10分間乳化分散した。得られた乳化物を減圧、過熱し酢酸エチルを除去後、固形分濃度が26.5質量%になるように濃度調節を行った。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果メジアン径で0.22μmであった。ここへSBRラテックス(商品名:SN−307、48質量%溶液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5質量%に濃度調節したものを9g添加して、カプラー乳化液Lbを得た。
【0208】
(感熱記録層塗布液Lcの調製)
ジアゾニウム塩含有マイクロカプセル液La及びカプラー乳化液Lbを、カプラ−/ジアゾニウム塩の質量比が2.2/1になるように混合し、感熱記録層塗布液Lcを得た。
【0209】
(光透過率調整層用塗布液Ldの調製)
1.紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製
酢酸エチル71質量部に、紫外線吸収剤前駆体として(2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル)
ベンゼンスルホナート14.5質量部と、2,2’−t−オクチルハイドロキノン5.0質量部と、リン酸トリクレジル1.9質量部と、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100、三井化学(株)製)5.7質量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液)、竹本油脂(株)製)0.45質量部とを均一に溶解した。この混合液に、カプセル壁材としてキシレンジイソシアネート/トリメチルプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)54.7質量部を添加し、均一に撹拌し、紫外線吸収剤前駆体混合液を得た。
【0210】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318、クラレ(株)製)52質量部に、30質量%リン酸水溶液8.9質量部と、イオン交換水532.6質量部とを混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
【0211】
紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516質量部に、上記の紫外線吸収剤前駆体混合液を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254質量部を加え均一化した後、40℃下で撹拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94質量部を加え、更に一時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果メジアン径で0.21〜0.22μmであった。このカプセル液860質量部に、カルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307、(48質量%水溶液)、住友ノーガタック(株)製)2.42質量部とイオン交換水40質量部とを混合し紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0212】
2.光透過率調整層用塗布液Ldの調製
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液Ld1000質量部と、フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120、大日本インキ化学工業(株)、5質量%水溶液)5質量部と、4質量%水酸化ナトリウム水溶液7.8質量部と、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0質量%水溶液)74質量部とを混合して、光透過率調整層塗布液Ldを得た。
【0213】
(保護層用塗布液Leの調製)
1.保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製
【0214】
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130、電気化学工業(株)製)160質量部と、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルとの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54質量%水溶液)、東邦化学工業(株)製)9質量部と、イオン交換水3822質量部とを混合し、90℃のもとで1時間溶解し、均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0215】
2.保護層用顔料分散液の調製
硫酸バリウム(商品名:BF−21F、硫酸バリウム含有量93%以上、堺化学工業(株)製)8質量部に、陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40質量%水溶液)、花王(株)製)0.2質量部と、イオン交換水12質量部を混合し、ダイノミルにて分散した。この分散液は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果メジアン径で0.16μm以下であった。
得られた分散液46質量部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20質量%水分散液、日産化学(株)製)8質量部を添加して目的の保護層用顔料分散液を得た。
【0216】
3.保護層用マット剤分散液の調製
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉s,新進食料工業(株)製)220質量部に、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.9質量部とイオン交換水1978.02質量部と、を混合し、均一に分散し、保護層用マット分散液を得た。
【0217】
4.保護層用塗布ブレンド液の調製
上記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000質量部に、フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120、大日本インキ化学工業(株)、5質量%水溶液)40質量部と、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製2.0質量%水溶液)50質量部と、上記保護層用顔料分散液50質量部と、上記保護層用マット剤分散液16.55質量部と、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115、20.5質量%水溶液、中京油脂(株)製)48.5質量部と、を均一に混合し、保護層用塗布ブレンド液(保護層用塗布液Le)を得た。
【0218】
(下塗り層つき支持体の作製)
1.下塗り層塗布液の調製
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40質量部を、イオン交換水60質量部に加えて、40℃で撹拌溶解して、下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
【0219】
別途、水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100、コープケミカル社製)8質量部とイオン交換水92質量部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、体積平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5質量%となるようにイオン交換水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
ついで、40℃の40質量%の上記下塗り層用ゼラチン水溶液100質量部にイオン交換水120質量部とメタノール550質量部とを加え、十分撹拌混合した後、上記5質量%雲母分散液210質量部を加えて、十分に撹拌混合し、さらに、1.70質量%ポリスチレンオキサイド系界面活性剤9.9質量部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.2質量部を加えて下塗り用塗布液(5.6質量%)を調製した。
【0220】
2.下塗り層つき支持体の作製
LBPS50質量部とLBPK50質量部からなる木材パルプを、ダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシベヘン酸アミド0.5質量部とアニオンポリアクリルアミド1.0質量部と、硫酸アルミニウム1.0質量部と、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1質量部と、カチオンポリアクリルアミド0.5質量部と、をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量115g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理によって厚み100μmに調製した。
【0221】
上記原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(この面を「ウラ面」と呼ぶ)。次に、上記樹脂層を形成したウラ面とは反対側の面に溶融押出機を用いて、アナターゼ型二酸化チタン10質量%と微量の群青とを含有したポリエチレンを樹脂厚50μmになるようにコーティングし、光沢面からなる樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名:アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名:スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)をイオン交換水に分散させて、乾燥後の質量で0.2g/m2となるように塗布した。次に、オモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り層用塗布液を含有する雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0222】
(塗布)
上記下塗り層つき支持体の下塗り層上に、上記感熱記録層塗布液Lc、上記光透過率調整用塗布液Ld,保護層用塗布液Leの順に、3層同時に連続塗布し、30℃、30%RH、及び40℃、30%RHの条件で連続に乾燥して、実施例5の感熱記録材料M1を得た。
【0223】
(発色試験)
京セラ株式会社製サーマルヘッド(KST型)を用い、単位面積あたりの記録エネルギーが25mJ/mm2となるようにサーマルヘッドに対する印加電圧及びパルス幅を決め、上記で得られた感熱記録材料M1を熱印画した後、発光中心波長450nm、出力40Wの紫外線ランプ下に10秒間曝し、定着し画像を得た。得られた画像の発色濃度(発色部の画像濃度)を測定した。別途、熱印画せずに発光中心波長450nm、出力40Wの紫外線ランプ下に10秒間曝し、定着し地肌濃度(非画像部の濃度)を測定した。なお、発色濃度及び地肌濃度は、MacbethRD918を用い、Yポジションでの濃度を測定した。
結果を表1に示す。
【0224】
(保存性試験)
未印画の感熱記録材料M1を、60℃、30%RHの環境条件下で72時間強制保存した。その後、上記発色試験と同様にして、熱印画して画像を得てから発色濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0225】
【実施例6】
ジアゾニウム塩として(例示化合物D−3)2.6gの代わりに(例示化合物D−2)2.4gを用いた他は、実施例5と同様にして感熱記録材料M2を作成した。得られた感熱記録材料M2について実施例5と同様にして、発色試験、保存性試験を行った。結果を以下の表1に併記する。
【0226】
【実施例7】
ジアゾニウム塩として(例示化合物D−3)2.6gの代わりに(例示化合物D−4)2.7gを用いた他は、実施例5と同様にして感熱記録材料M3を作成した。得られた感熱記録材料M3について実施例5と同様にして、発色試験、保存性試験を行った。結果を以下の表1に併記する。
【0227】
【比較例1】
ジアゾニウム塩として(例示化合物D−3)2.6gの代わりに下記ジアゾニウム塩C−1 2.7gを用いた他は、実施例5と同様にして感光感熱記録材料M4を作成した。得られた感熱記録材料M4について実施例5と同様にして、発色試験、保存性試験を行った。結果を以下の表1に併記する。
【0228】
【比較例2】
ジアゾニウム塩として(例示化合物D−3)2.6gの代わりに下記ジアゾニウム塩C−2 2.3gを用いた他は、実施例5と同様にして感光感熱記録材料M5を作成した。得られた感熱記録材料M5について実施例5と同様にして、発色試験、保存性試験を行った。結果を以下の表1に併記する。
【0229】
【比較例3】
ジアゾニウム塩として(例示化合物D−3)2.6gの代わりに下記ジアゾニウム塩C−3 3.4gを用いた他は、実施例5と同様にして感光感熱記録材料M6を作成した。得られた感熱記録材料M6について実施例5と同様にして、発色試験、保存性試験を行った。結果を以下の表1に併記する。
【0230】
【化20】
【0231】
【表1】
【0232】
上記表1の結果から、本発明の感熱記録材料は発色濃度が極めて高く、更に強制保存試験後に熱印画しても、高い発色性能を示すことがわかる。一方、比較例の場合は、発色濃度が高くなく、強制保存試験後に熱印画すると、発色濃度の低下が著しいことがわかる。
【0233】
【発明の効果】
本発明によれば、発色濃度が高く、印画前の保存性いわゆる生保存性が良好で、且つ、アゾ色素の合成中間体あるいは分析試薬としても有用なジアゾニウム塩を提供することができる。また、本発明の該ジアゾニウム塩を用いた、発色性、生保存性に優れた感熱記録材料を提供することができる。
Claims (10)
- 下記一般式(1)で表されることを特徴とするジアゾニウム塩。
- 支持体上に、ジアゾニウム塩を含む感熱記録層を設けた感熱記録材料であって、該ジアゾニウム塩が請求項1のジアゾニウム塩であることを特徴とする感熱記録材料。
- 前記ジアゾニウム塩が請求項2のジアゾニウム塩であることを特徴とする請求項3に記載の感熱記録材料。
- 支持体上に、ジアゾニウム塩及びカプラーを含む感熱記録層を設けた感熱記録材料であって、該ジアゾニウム塩が請求項1に記載のジアゾニウム塩であることを特徴とする感熱記録材料。
- 前記ジアゾニウム塩が請求項2のジアゾニウム塩であることを特徴とする請求項5に記載の感熱記録材料。
- 前記感熱記録材料が、有機塩基を含有することを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の感熱記録材料。
- 前記ジアゾニウム塩が、マイクロカプセルに内包されることを特徴とする請求項3乃至8のいずれかに記載の感熱記録材料。
- 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタン及び/又はポリウレアを構成成分として含有することを特徴とする請求項9に記載の感熱記録材料。
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JP2002252289A JP2004091346A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | ジアゾニウム塩及びそれを用いた感熱記録材料 |
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- 2002-08-30 JP JP2002252289A patent/JP2004091346A/ja active Pending
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