JP2006341390A - 記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 記録材料(特に感熱記録材料)のステイン着色を抑え、地肌白色性を向上する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される化合物を含有する〔R1,R2:アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基;R3〜R5:H、アルキル基、アリール基;R6:置換基;X:2価の連結基、単結合;n=0〜1、m=0〜4〕。
【化1】
Figure 2006341390

【選択図】 なし

Description

本発明は、記録材料に関し、詳しくは、高画質画像の形成に好適な記録材料(特に地肌白色に優れた感熱記録材料)に関する。
ジアゾニウム塩化合物は、非常に化学的活性の高い化合物であり、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する化合物など(一般にカプラーと呼ばれる)と反応し容易にアゾ染料を形成する。また、同時に感光性も有し、光照射により分解してその活性を失う。そのため、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古くから利用されている(例えば、非特許文献1参照)。
さらに光により分解し、活性を失う性質を利用して、最近では画像の定着を要求される記録材料にも応用され、代表的なものとして、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとを熱で反応させて画像を形成し、その後、光照射して画像を定着させる光定着型感熱記録材料が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
しかし、ジアゾニウム塩化合物を発色要素として用いたこれらの記録材料は、ジアゾニウム塩化合物の活性が非常に高いために、暗所であってもジアゾニウム塩化合物が徐々に熱分解し反応性を失う、すなわち記録材料としてのシェルライフが短く、長期保存によって劣化しやすいという欠点があった。さらに、非画像部のジアゾニウム塩化合物を光照射により分解し、定着する際、着色したジアゾニウム塩化合物の分解物が生成し、非画像部も着色してしまう欠点もあった。また、非画像部の耐光性が弱く、定着後に完成した画像を太陽光や蛍光灯下で長時間光に曝しておくと、非画像部の着色が増加してしまうという欠点もあった。
第1の欠点であるジアゾニウム塩化合物の不安定さを解決する手段としては、様々な方法が提案されているが、最も有効な手段の一つにジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルに包含することが挙げられる。マイクロカプセル化することにより、ジアゾニウム塩を水・塩基などの分解を促進させるものから隔離することができ、その分解は著しく抑制され、これを用いた記録材料のシェルフライフも飛躍的に向上する(非特許文献3参照)。
しかしながら、マイクロカプセル化したジアゾニウム塩化合物を用いても、第2の欠点である光照射してジアゾニウム塩を分解したときに発生する光分解ステイン、及び第3の欠点である曝光により増加する非画像部の光着色ステインについては、依然解決されていなかった。
ジアゾニウム塩にそのジアゾニウム塩の分光吸収波長相当の光照射を行なうとジアゾ基が分解する。これは、ジアゾニウム塩化合物の光分解反応として周知であるが、この反応は均一な反応ではなく、周囲の環境等により様々な分解生成物を生じることが知られている。その生成物は数十種以上にも及び、その中で特に可視領域に吸収を有する生成物は、ジアゾニウム塩化合物の光分解ステインと呼ばれている。
ジアゾニウム塩化合物を用いた記録材料、例えば光定着型の感熱記録材料において、上記の光分解ステインの生成が著しいと、既述のように、光定着後の非記録部の白色度が低くなり、発色画像(記録部)とのコントラストが低下してしまい、記録材料としての商品価値を著しく損なう。その一方、ジアゾニウム塩化合物の光分解反応は複雑であり、かつ、その生成物を特定することも難しいため、光分解ステインの抑制は極めて困難とされていた。
更に、長時間光に曝されたときには、この初期のステイン以外に、画像形成後の光反応によるステインの増加も加わり、非画像部の白色度は更に著しく低下する。ところが、この場合のステインの生成反応も複雑であり、かつ、その生成物の特定も困難なため、光生成ステインの抑制は極めて困難であった。
近年では、光分解ステインに起因する長期安定化技術に関して盛んに研究が行なわれており、その一例として、光定着型のジアゾニウム塩を内包するマイクロカプセルに特定の疎水性オイルを併用することにより、画像形成後に長時間光に曝された場合でも非画像部(白地部)の白色度の低下を抑えた光定着型記録材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−324129号公報 日本写真学会編「写真工学の基礎−非銀塩写真編−」コロナ社(1982)89〜117頁、182〜201頁 佐藤弘次ら 画像電子学会誌 第11巻 第4号(1982)290〜296頁 宇佐美智正ら 電子写真学会誌 第26巻 第2号(1987)115〜125頁
上記のように、光分解ステインに起因する長期安定化技術については従来より種々の検討がなされているが、保存環境によっては、画像記録後の非画像部(白地部)の光分解ステインの抑制は未だ不充分であり、更なる性能の向上が求められている。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、ステイン着色が抑えられ、地肌白色性に優れた記録材料(特に感熱記録材料)を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種を含有する記録材料である。
Figure 2006341390
前記一般式(1)において、R1及びR2は、各々独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基を表し、R3、R4、及びR5は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、R6は置換基を表し、Xは2価の連結基又は単結合を表す。R1とR2とは互いに連結して環を形成していてもよく、R3とR4とは互いに連結して環を形成していてもよい。nは0又は1を表し、mは0〜4の整数を表す。
<2> 前記R6で表される置換基が、アルキル基又はアリール基である前記<1>に記載の記録材料である。
<3> 前記化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である前記<1>又は<2>に記載の記録材料である。
Figure 2006341390
前記一般式(2)において、R1及びR2は、各々独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基を表し、R1とR2とは互いに連結して環を形成していてもよい。Xは、2価の連結基又は単結合を表し、nは0又は1を表す。
<4> 少なくとも1種のジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させる少なくとも1種のカプラーとを更に含有する前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の記録材料である。
<5> 前記ジアゾニウム塩化合物と前記一般式(1)で表される化合物とがともにマイクロカプセルに内包されている前記<4>に記載の記録材料である。
<6> 前記ジアゾニウム塩化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である前記<4>又は<5>に記載の記録材料である。
Figure 2006341390
前記一般式(3)において、R11、R12、及びR13は、各々独立に、アルキル基、又はアリール基を表し、X-は陰イオンを表す。
<7> 有機塩基を更に含有する前記<4>〜<6>のいずれか1つに記載の記録材料である。
<8> 前記マイクロカプセルのカプセル壁がウレタン及び/又はウレアを構成成分として含む前記<5>〜<7>のいずれか1つに記載の記録材料である。
<9> 支持体上に少なくとも一層の記録層を有してなり、前記記録層が、前記一般式(1)で表される化合物とジアゾニウム塩化合物とを少なくとも含む前記<4>〜<8>のいずれか1つに記載の記録材料である。
<10> 前記記録層が、熱印加により記録を行なう感熱記録層である前記<9>に記載の記録材料である。
本発明によれば、ステイン着色が抑えられ、地肌白色性に優れた記録材料(特に感熱記録材料)を提供することができる。
以下、本発明の記録材料について詳細に説明する。
本発明の記録材料は、以下に示す一般式(1)で表される化合物を少なくとも含んでなり、好ましくは発色成分(特にジアゾニウム塩化合物及びカプラー)を更に含んでなり、必要に応じて更に、他の成分を用いて構成することができる。また、本発明の記録材料は、支持体上に少なくとも一層の記録層を設けて構成することができ、好ましくは少なくとも一層の感熱記録層を設けて構成される。
本発明の記録材料には、熱の印加により発色する感熱記録層を有する感熱記録材料、圧力の印加により発色する感圧記録層を有する感圧記録材料、及び光によって潜像を形成し熱によって発色する感光感熱記録材料等が含まれる。
以下、本発明の記録材料として、支持体上に記録層(特に感熱記録層)を有する記録材料(特に感熱記録材料)である場合を中心に説明する。但し、本発明においては、これに限定されるものではない。
−一般式(1)で表される化合物−
本発明の記録材料は、(好ましくは記録層、より好ましくは感熱記録層に)下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種を含有する。この化合物をステインを発する物質近傍に存在させることにより、記録材料のステイン着色を効果的に防止することができる。例えば、ジアゾ発色系の記録材料(特に感熱記録材料)を構成する場合、発色成分であるジアゾニウム塩化合物と共に(好ましくはともにマイクロカプセルに内包させて)併用することにより、ジアゾニウム塩化合物の光分解ステインの発生による地肌着色を効果的に防止することができる。
Figure 2006341390
前記一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基を表す。
1又はR2で表されるアルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ノルマルヘキシル基、シクロヘキシル基、ノルマルオクチル基、ベンジル基、4−ビニルベンジル基、3−ビニルベンジル基、アリル基が好適に挙げられる。中でも、総炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、ノルマルブチル基、ノルマルヘキシル基、シクロヘキシル基、4−ビニルベンジル基、3−ビニルベンジル基が特に好ましい。
前記R1又はR2で表されるアリール基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリール基が好ましい。例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基が好適に挙げられる。中でも、総炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、フェニルが特に好ましい。
前記R1又はR2で表されるアルコキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基、ノルマルオクチルオキシ基、ノルマルドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、4−ビニルベンジルオキシ基、3−ビニルベンジルオキシ基が好適に挙げられる。中でも、総炭素数1〜10のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルブトキシ基、4−ビニルベンジルオキシ基、3−ビニルベンジルオキシ基が特に好ましい。
前記R1又はR2で表されるアリールオキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましい。例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、2−イソプロピル−5−メチルフェノキシ基、4−ビニルフェノキシ基、3−イソプロペニルフェノキシ基、4−イソプロペニルフェノキシ基が好適に挙げられる。中でも、総炭素数6〜10のアリールオキシ基がより好ましく、フェノキシ基が特に好ましい。
前記R1、R2で表されるアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。具体的には、アルキル基としてメチル基、エチル基、ブチル基が、アリール基としてフェニル基が、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が、アリールオキシ基としてフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基が、ハロゲン原子としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子が、アルコキシカルボニル基としてメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が好ましい。
前記R1とR2とは互いに連結して環を形成してもよく、環を形成する場合の環としては、ホスファシクロペンタン、1−ホスファ−2,5−ジオキサシクロペンタン、9−ホスファ−ビシクロ[3.3.1]ノナン、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン等が挙げられる。これらは、置換基を有していてもよい。
前記一般式(1)中、R3、R4、及びR5は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
3〜R5で表されるアルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ノルマルヘキシル基、ノルマルオクチル基、ノルマルノニル基、イソノニル基、ターシャリーノニル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基、アリル基、クロロメチル基が好適に挙げられる。中でも、総炭素数1〜12のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、ターシャリーブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基が特に好ましい。
3〜R5で表されるアリール基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリール基が好ましい。例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基が好適に挙げられる。中でも、総炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、フェニルが特に好ましい。
前記R3〜R5で表されるアルキル基、アリール基が置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アリール基等が挙げられる。具体的には、アルキル基としてメチル基、エチル基、ブチル基が好ましく、アリール基としてフェニル基が好ましい。
3とR4とは互いに連結して環を形成していてもよく、環を形成する場合の環としては、シクロヘキセン環が好適に挙げられる。
前記R3、R4、又はR5で表される基としては、各々、水素原子、又はメチル基が特に好ましい。
前記一般式(1)中、R6は置換基を表し、R6で表される置換基は、特に制限されることなく本発明の効果を奏し得るものであるが、好ましくは、アルキル基、又はアリール基である。
前記R6で表されるアルキル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ノルマルヘキシル基、ノルマルオクチル基、ノルマルノニル基、イソノニル基、ターシャリーノニル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基、アリル基、クロロメチル基が好適に挙げられる。中でも、総炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、ターシャリーブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、α−メチルベンジル基が特に好ましい。
前記R6で表されるアリール基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリール基が好ましい。例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基が好適に挙げられる。中でも、総炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。
前記R6で表されるアルキル基、アリール基が置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。具体的には、アルキル基としてメチル基、エチル基、ブチル基が、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が、ハロゲン原子としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
前記一般式(1)中、Xは2価の連結基又は単結合を表す。
前記Xで表される2価の連結基としては、無置換でも置換基を有していてもよい総炭素数1〜30の連結基が好ましく、特に好ましくは総炭素数1〜12の連結基である。この連結基の例としては、芳香族基、脂肪族基、エーテル基、及びエステル基より選ばれる少なくとも1種の構造を有するものが挙げられる。具体的には、芳香族基の構造を有するものとしては、フェニレン、ナフチレンが好適である。脂肪族基の構造を有するものとしては、メチレン、エチレン、1−メチルエタン−1,2−ジイル、トリメチレン、テトラメチレンが好適である。エーテル基の構造を有するものとしては、1−オキサプロパン−1,3−ジイル、1−オキサ−1−メチルプロパン−1,3−ジイル、1,4−ジオキサヘキサン−1,6−ジイルが好適である。エステル基の構造を有するものとしては、2−オキシ−3−オキサプロパン−1,3−ジイル、3−オキシ−4−オキサブタン−1,4−ジイル、4−オキシ−5−オキサペンタン−1,5−ジイルが好適である。
前記一般式(1)中、nは0又は1を表し、mは0〜4の整数を表し、好ましいmは0である。
前記一般式(1)で表される化合物のうち、下記一般式(2)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2006341390
前記一般式(2)中のR1及びR2、X、並びにnは、前記一般式(1)におけるR1及びR2、X、並びにnと同義であり、これら各々の好ましい態様も同様である。
更には、前記一般式(2)において、R1及びR2がともに、メチル基、エチル基、フェニル基、エトキシ基、ノルマルブトキシ基、4−ビニルベンジルオキシ基、フェノキシ基、又は4−ビニルフェノキシ基であって、Xがメチレン基又は単結合であって、nが0又は1である化合物が特に好ましい。R1及びR2がともに、エチル基、フェニル基、エトキシ基、ノルマルブトキシ基、又はフェノキシ基であって、Xがメチレン基であって、nが0又は1である化合物が特に好ましい。
前記一般式(1)又は(2)で表される化合物は、油状又は結晶状のいずれであってもよいが、取り扱い性の観点から、室温で結晶状であるものが好ましい。
以下、前記一般式(1)で表される化合物の具体例(例示化合物T−1〜T−25)を列挙する。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
Figure 2006341390
Figure 2006341390
Figure 2006341390
Figure 2006341390
Figure 2006341390
上記の一般式(1)で表される化合物は、既知の方法により製造することができる。例えば、実験化学講座(第4版,24巻,p.229〜292(1992年)丸善株式会社)、特開2004−277322号公報、特開2004−331537号公報が挙げられる。
以下、前記一般式(1)で表される化合物の製造方法について、既述の例示化合物(T−1,T−5,T−12,T−14,T−16,T−17)の合成法を例に説明する。
(合成例1):例示化合物T−1の合成
4−ビニルベンジルアルコール8.1g(60mmol)、ピリジン5.2g(67mmol)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(以下、BHTと略記する。)約5mg、及びトルエン60mL(ミリリットル;以下同様。)の混合溶液を氷水浴上で冷却し、この混合溶液にジフェニルリン酸クロリド17.9g(67mmol)を滴下した。滴下後、室温で2時間撹拌した後、トリエチルアミン300mgを加えて更に室温で6時間撹拌した。得られた反応混合物に水100mLを加えて分液した後、有機相を水100mL、食塩水100mLで順次洗浄した。その後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過してBHTを約5mg加えた後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフにて精製し、無色透明な油状物(例示化合物T−1)14.9gを得た(収率68%)。
得られた油状物について、NMRによる構造確認を行なったところ、1H−NMR(CDCl3)δ7.2−7.4(m,8H),7.2(m,6H),6.7(dd,1H),5.8(d,1H),5.2−5.3(m,3H)、であった。
(合成例2):例示化合物T−5の合成
4−ビニルベンジルアルコール10.7g(80mmol)、ピリジン7.6g(96mmol)、BHT約5mg、及びトルエン80mLの混合溶液を氷水浴上で冷却した後、この混合溶液にジエチルリン酸クロリド15.2g(88mmol)を滴下した。氷水浴上で6時間撹拌後、水120mLを添加した。これに更に酢酸エチル40mLを加えて分液した後、有機相を水120mL、食塩水120mLで順次洗浄した。その後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過してBHTを約5mg加えた後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフにて精製し、無色透明な油状物(例示化合物T−5)13.2gを得た(収率61%)。
得られた油状物について、NMRによる構造確認を行なったところ、1H−NMR(CDCl3)δ7.4(d,2H),7.3(d,2H),6.7(dd,1H),5.8(d,1H),5.3(d,1H),5.0(d,2H),4.1 (q,4H),1.3(m,6H)、であった。
(合成例3):例示化合物T−12の合成
氷水冷下、水素化ナトリウム(60%ディスパージョン)4.5g(112mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド60mLに徐々に添加し、発泡がなくなったのを確認した後、亜リン酸ジフェニル23.8g(102mmol)を徐々に添加した。添加後、室温で1.5時間撹拌した後、氷水浴で冷却し、4−クロロメチルスチレン16.4g(102mmol)を滴下した。その後、室温で7.5時間撹拌した後、得られた反応混合物を水500mLに投入した。析出した結晶を濾取し、その濾液を酢酸エチル300mLで抽出後、有機相を食塩水100mLで2回洗浄した。その後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過してBHTを約5mg加えた後、減圧濃縮した。濃縮残渣及び濾取した結晶を合わせてシリカゲルクロマトグラフにて精製し、淡黄色油状物を得た。さらに酢酸エチル/ヘキサン=1/1の混合溶媒100mLを用いて結晶化し、濾取、乾燥し、白色粉末の例示化合物T−12を23.0g得た(収率65%)。融点は、87〜88℃であった。
得られた白色粉末について、NMRによる構造確認を行なったところ、1H−NMR(CDCl3)δ7.0−7.4(m,14H),6.7(m,1H),5.8(d,1H),5.3(d,1H),3.5(d,2H)、であった。
(合成例4):例示化合物T−14の合成
亜リン酸ジブチル13.6g(70mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド70mLの混合溶液に、室温下で水素化ナトリウム(60%ディスパージョン)3.1g(77mmol)を徐々に加えた。この反応混合物を室温で1時間撹拌後、4−クロロメチルスチレン11.1g(70mmol)を滴下した。室温でさらに1時間撹拌した後、水210mLを徐々に添加し、更に酢酸エチル140mLで抽出した後、有機相を食塩水140mLで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過してBHTを約5mg加えた後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフにて精製し、無色透明な油状物(例示化合物T−14)12.7gを得た(収率58%)。
得られた油状物について、NMRによる構造確認を行なったところ、1H−NMR(CDCl3)δ7.4(d,2H),7.2(d,2H),6.7(dd,1H),5.7(d,1H),5.2(d,1H),3.9(m,4H),3.1(d,2H),1.6(m,4H),1.3(m,4H),0.9(t,6H)、であった。
(合成例5):例示化合物T−16の合成
氷水冷下、水素化ナトリウム(60%ディスパージョン)2.6g(66mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド60mLに徐々に添加し、発泡がなくなったのを確認した後、4,4,5,5−テトラメチル−2−ホスファ−1,3−ジオキソラン−2−オキシド12.3g(60mmol)を徐々に添加した。室温で1.5時間撹拌した後、4−クロロメチルスチレン9.6g(60mmol)を滴下した。室温で2時間撹拌した後、得られた反応混合物を水200mLに添加した。その後これを酢酸エチル300mLで抽出し、有機相を食塩水100mLで2回洗浄した。その後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過してBHTを約5mg加えた後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフにて精製し、白色粉末(例示化合物T−16)8.8gを得た(収率52%)。融点は、78〜79℃であった。
得られた白色粉末について、NMRによる構造確認を行なったところ、1H−NMR(CDCl3)δ7.4(d,2H),7.3(d,2H),6.7(dd,1H),5.7(d,1H),5.2(d,1H),3.3(d,2H),1.5(s,6H),1.1(s,6H)、であった。
(合成例6):例示化合物T−17の合成
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(19.5g(90mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド90mLの溶液を氷水浴上で冷却し、ここへナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)19.3g(100mmol)を添加した。氷水冷下、4−クロロメチルスチレン16.0g(100mmol)を滴下し、そのまま1時間撹拌した。得られた反応混合物に水270mLを添加し、酢酸エチル270mLで抽出し、有機相を水270mL、食塩水140mLで順次洗浄した。この有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過してBHTを約5mg加えた後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフにて精製した。濃縮残渣に4−メトキシフェノールを約5mg添加し、酢酸エチル50mLに溶解後、ヘキサン100mLを添加し、析出した結晶を濾取、乾燥して、目的とする化合物(例示化合物T−17)16.8gを得た(収率56%)。融点は56℃であった。
得られた化合物について、NMRによる構造確認を行なったところ、1H−NMR(CDCl3)δ7.8−8.0(m,2H),7.6−7.8(m,2H),7.3−7.5(m,2H),7.2(d,2H),7.2(d,2H),7.0(m,2H),6.6(dd,1H),5.7(d,1H),5.2(d,1H),3.4(dd,2H)、であった。
なお、上記において合成例を示した例示化合物以外の、前記一般式(1)で表される化合物に含まれる他の化合物についても、上記に類する方法により合成することが可能である。
前記一般式(1)で表される化合物は、記録材料(特に記録層)に用いる成分、具体的には例えばジアゾ発色系に構成する場合にはジアゾニウム塩化合物の分散媒として用いることができる。
本発明の記録材料がジアゾ発色系に構成される場合、前記一般式(1)で表される化合物(一般式(2)で表される化合物を含む。)は、後述するジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセルに内包された態様が好ましい。具体的には後述する。曝光によりステインを生じやすいジアゾニウム塩化合物とともにマイクロカプセルに共存させることにより、ステイン着色が効果的に抑えられるので、記録部以外の地肌領域(非記録部)が良好な白色を有し、高コントラストで鮮やかな高画質画像の形成が可能であると共に、高画質画像を長期間安定的に保持することができる。
本発明の記録材料においては、前記一般式(1)で表される化合物を記録層(より好ましくは感熱記録層)中に含有することが好ましい。
一般式(1)で表される化合物の記録材料(好ましくは記録層)中における含有量としては、ステインを発する成分(ジアゾ発色系に構成される場合はジアゾニウム塩化合物)の質量に対して、20〜1000質量%が好ましく、20〜400質量%がより好ましい。一般式(1)で表される化合物の含有量が前記範囲内であると、ステイン着色が効果的に防止され、非記録部の着色が抑制された高コントラストで鮮やかな高画質画像の形成、保持(記録後の保存性向上)に有効である。
前記一般式(1)で表される化合物は、前記範囲内で一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、さらに他の化合物を併用してもよい。前記他の化合物としては、アルキルナフタレン類、アルキルジフェニルエタン類、アルキルジフェニルメタン類、アルキルビフェニル類、アルキルターフェニル類、リン酸エステル類、脂肪族カルボン酸エステル類(マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類等)、芳香族カルボン酸エステル類(安息香酸エステル類、フタル酸エステル類等)、炭酸エステル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類、等が挙げられる。他の化合物を添加する場合の添加量としては、0.01〜5g/m2であるのが好ましく、0.01〜2g/m2であるのが更に好ましく、0.01〜1.2g/m2であるのが特に好ましい。
次に、前記一般式(1)で表される化合物と共に、本発明の記録材料に含有することができる発色成分その他成分について詳述する。
−発色成分−
本発明の記録材料は、前記一般式(1)で表される化合物と共に、(好ましくは記録層、より好ましくは感熱記録層に)発色成分を含有して可視画像を形成し得るように構成することができる。好ましくは、発色成分としてジアゾニウム塩化合物の少なくとも1種及び該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して発色させるカプラーの少なくとも1種を用いた構成である。
(ジアゾニウム塩化合物)
本発明に用いることができるジアゾニウム塩化合物は、特に限定されず、
Ar−N2 +・X- 〔Arは芳香族部分を表し、X-は酸アニオンを表す。〕
で表される化合物を用いることができる。
前記ジアゾニウム塩化合物は、加熱によりカプラーとカップリング反応を起こして発色し、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
本発明に用いることのできるジアゾニウム塩化合物は、例えば特開2002−226446、特開2002−173475号、特開2002−145841、特開2001−162946号、特開2001−71637号、特開2000−15935号、特開平11−342675号、特開平11−105432号、特開平9−156229号、特開2001−89439号、特開平11−342674号、特開平11−335352号、特開平11−116553号、特開平11−116544号、特開平11−109553号、特開平11−80110号、特開平11−78233号、特開平11−78232号、特開平10−337961号、特開平10−120639号、特開平8−156417号、特開平7−316280号、特開平7−96671号、特開平6−328853号、特開平4−59287号等の各公報に記載された化合物が好ましく、特開2001−162946号、特開2001−7163号、特開2000−15935号、特開平11−342675号、特開平11−105432号、特開平9−156229号の各公報に記載のジアゾニウム塩化合物がより好ましい。
中でも、特に好ましいジアゾニウム塩化合物として、下記一般式(3)の化合物が挙げられる。以下、下記一般式(3)で表される化合物について説明する。
Figure 2006341390
前記一般式(3)中、R11、R12、及びR13は各々独立に、アルキル基、又はアリール基を表し、X-は陰イオンを表す。
前記R11で表されるアルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。例えば、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、ターシャリーブチル、セカンダリーブチル、イソブチル、ノルマルペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソペンチル、ノルマルヘキシル、ノルマルオクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、ノルマルドデシル、シクロヘキシル、ベンジル、アリル、2−クロロエチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−フェノキシエチル、2−(2,5−ジ−ターシャリーアミルフェノキシ)エチル、2−ベンゾイルオキシエチル、メトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、ブトキシカルボニルエチル、2−アリルオキシエチル、2−イソプロピルオキシエチル等の基が好適に挙げられる。中でも、総炭素数4〜12のアルキル基が好ましく、ノルマルペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、イソペンチル基、ノルマルヘキシル基、ノルマルオクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、ベンジル基、2−アリルオキシエチル基、2−イソプロピルオキシエチル基は特に好ましい。
11で表されるアリール基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリール基が好ましい。例えば、フェニル、4−メチルフェニル、3−メチルフェニル、2−メチルフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニル等の基が好適に挙げられる。中でも、総炭素数6〜12のアリール基がより好ましい。
前記R12又はR13で表されるアルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。例えば、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ノルマルペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソペンチル、ノルマルヘキシル、ノルマルオクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5,−トリメチルヘキシル、ノルマルドデシル、シクロヘキシル、ベンジル、アリル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−フェノキシエチル、2−(2,5−ジ−ターシャリーアミルフェノキシ)エチル、2−ベンゾイルオキシエチル、メトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、メトキシカルボニルプロピル、ブトキシカルボニルエチル、2−イソプロピルオキシエチル、2−(4−メトキシフェノキシ)エチル、3−(4−メトキシフェノキシ)プロパン−2−イル、N,N−ジ(ブチル)−カルバモイルメチル、N,N−ジ(ヘキシル)−カルバモイルメチル、N,N−ジ(エチル)−カルバモイルメチル、ピペリジノカルボニルメチル、2−{N,N−ジ(ブチル)−カルバモイル}エチル、1−{N,N−ジ(ブチル)−カルバモイル}エチル、ピロリジノカルボニルメチル等の基が好適に挙げられる。中でも、総炭素数6〜16のアルキル基がより好ましい。
12又はR13で表されるアリール基は、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリール基が好ましい。例えば、フェニル、4−メチルフェニル、3−メチルフェニル、2−メチルフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニル等の基が好適に挙げられる。中でも、総炭素数6〜12のアリール基がより好ましい。
前記X-で表される陰イオンは、1価又は多価の陰イオンを表す。陰イオンとしては、無機陰イオン、有機陰イオンが含まれる。
1価の無機陰イオンとしては、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸水素イオンが好ましい。1価の有機陰イオンとしては、ポリフルオロアルキルカルボン酸イオン(例えばトリフルオロ酢酸イオン)、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン(例えばトリフルオロメタンスルホン酸イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸イオン)、芳香族カルボン酸イオン(例えば安息香酸イオン)、芳香族スルホン酸イオン(例えばメタンスルホン酸イオン)、テトラアリールホウ酸イオン(例えばテトラフェニルホウ酸イオン)、スルホンイミドイオン(例えばビストリフルオロメタンスルホンイミドイオン)が好ましい。
-が多価の陰イオンを表す場合、該X-はジアゾニウムカチオン1分子の電荷を中和するのに必要な陰イオンを表す。例えば、2価の陰イオンの場合は、1/2分子の陰イオンを表す。多価の陰イオンとしては、硫酸イオン、スルホン酸イオン(例えば、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、1,4−ブタンジスルホン酸イオン)が好ましい。特に好ましくは1価の陰イオンであり、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが特に好ましい。
以下、前記一般式(3)で表されるジアゾニウム塩化合物の具体例(例示化合物A−1〜A−12)を列挙する。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
Figure 2006341390
Figure 2006341390
Figure 2006341390
本発明の記録材料の記録層に、前記ジアゾニウム塩化合物を用いる場合には、その含有量としては、0.02〜5.0g/m2が好ましく、発色濃度の点から0.10〜4.0g/m2がより好ましい。
(カプラー)
次に、前記ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して発色させるカプラー(カップリング成分)について説明する。
カプラーは、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成するものであればいずれの化合物も使用可能である。ハロゲン化銀写真感光材料用のいわゆる4当量カプラーはすべてカプラーとして使用可能である。これらは目的とする色相に応じて選択することができる。
例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などがあり、具体例として下記のものが挙げられ本発明の目的に合致する範囲で使用される。
カプラーの詳細については、特開平4−201483号公報、特開平7−223367号公報、特開平7−223368号公報、特開平7−323660号公報、特願平5−278608号明細書、特願平5−297024号明細書、特願平6−18669号明細書、特願平6−18670号明細書、特願平7−316280号明細書、特願平8−027095号明細書、特願平8−027096号明細書、特願平8−030799号明細書、特願平8−12610号明細書、特願平8−132394号明細書、特願平8−358755号明細書、特願平8−358756号明細書、特願平9−069990号明細書、特開昭58−55291号公報、特開昭60−199691号公報、特開昭60−201984号公報、特開昭60−131291号公報、特開昭60−1136号公報、特開平9−319024号公報、特開平9−315006号公報、特開平9−160168号公報、特開平10−35113号公報、特開平10−193801号公報、特開平11−231462号公報、特開平11−231461号公報、特開平11−334217号公報、特開平11−109554号公報、特開平11−216955号公報、特開平11−115318号公報、特開平11−157221号公報、特開2000−1488号公報、特開2000−37959号公報、特開2000−15933号公報、特開2000−15934号公報、特開2000−250169号公報、特開2000−159769号公報、特開2000−153671号公報、特開2000−153673号公報、特開2000−26465号公報、特開2000−355172号公報、特開2001−63217号公報、特開2001−63218号公報、特開2001−58468号公報、特開昭58−55290号公報、特開昭58−1589号公報、特開昭60−249141号公報、特開昭61−172789号公報、特開昭61−143742号公報、特開平9−236885号公報、特開平11−116544号公報、特開平11−342674号公報、特開平11−342675号公報、特開平11−116553号公報、特開平11−335352号公報、特開平11−249252号公報、特開平11−78232号公報、特開平11−116554号公報、特開平11−342675号公報等に記載されている。
上記のうち、本発明においては、下記一般式(4)で表されるカプラー又はその互変異性体が特に好ましい。
1−CH2−E2 ・・・一般式(4)
前記一般式(4)において、E1及びE2は、各々独立に電子吸引性基を表す。E1とE2とは互いに結合して環を形成してもよい。
前記E1及びE2で表される電子吸引性基とは、Hammettのσp値が正である置換基を意味する。E1及びE2は、同一の電子吸引性基であっても異なっていてもよく、前記電子吸引性基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のオキシカルボニル基;カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−〔2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、N−〔2,4−ビス(オクチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、モルホリノカルボニル基等のカルバモイル基;メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基;ジエチルホスホノ基等のホスホノ基;ベンゾオキサゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−スルホン−2−イル基等の複素環基;ヘテロ環基;ニトロ基;イミノ基;シアノ基が好適に挙げられる。
また、E1又はE2で表される電子吸引性基の両者が互いに結合して環を形成する場合、形成される環としては、5員ないし6員の炭化水素環又は複素環が好ましい。
以下、一般式(4)で表されるカプラーの具体例〔例示化合物(C−1)〜(C−41)〕を示す。なお、以下に示すカプラーの互変異性体も好適なものとして挙げることができる。
ここで、前記互変異性体とは、以下に示すカプラーの異性体として存在するものであって、その両者間で構造が容易に変化し合う関係にあるものをいう。
Figure 2006341390
Figure 2006341390
Figure 2006341390
Figure 2006341390
Figure 2006341390
Figure 2006341390
Figure 2006341390
Figure 2006341390
Figure 2006341390
本発明においては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対するカプラーの含有量は、0.1〜30質量部の範囲が好ましい。
(乳化分散)
カプラーは、後述の有機塩基及びその他の発色助剤等を添加し、サンドミル等により水溶性高分子とともに固体分散して用いることもできるが、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして有する水相と混合し、乳化分散物とすることが好ましい。なお、乳化分散を容易にする観点から、界面活性剤がより好ましい。
この場合に使用される有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載の高沸点オイルの中から適宜選択することができる。これらの中でも、乳化分散物の乳化安定性の点でエステル類が好ましく、リン酸トリクレジルが特に好ましい。また、高沸点オイル同士もしくは他のオイルとの併用も可能である。
上記の有機溶剤に、さらに低沸点の溶解助剤として補助溶剤を加えることもできる。このような補助溶剤として、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等を特に好ましいものとして挙げることができる。場合により、前記高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
これらの成分を含有する油相と混合する水相に、保護コロイドとして含有させる前記水溶性高分子は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。好ましい水溶性高分子としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等を挙げることができる。
また、水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。好ましい界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができる。
−有機塩基−
本発明においては、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を加えることもできる。有機塩基は、一種単独で用いても二種以上併用することもできる。
有機塩基としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙げられ、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭58−1347901号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものを使用できる。
これらの中でも、特に、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
本発明においては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対する有機塩基の添加量は、0.1〜30質量部であることが好ましい。また、有機塩基はいずれの層に添加してもよく、ジアゾニウム塩化合物を含む記録層に含んでも、その他の層に含んでもよい。なお、ジアゾニウム塩化合物を含む記録層に含むことが好ましい。
−発色助剤−
上記した有機塩基以外に、発色反応を促進する目的で発色助剤を加えることができる。発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、もしくは最低発色温度を低くする物質であり、カプラー、塩基性物質、もしくはジアゾニウム塩化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用によって、ジアゾニウム塩化合物、塩基性物質、カプラー等が反応しやすい状況を形成するためのものである。
前記発色助剤として、例えば低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画が行なわれるように、記録層中にフェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物ヒドロキシ化合物等を加えることができる。
−酸化防止剤・その他各種添加剤−
本発明の記録材料においては、熱発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、又は、定着後の未印字部分の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることが好ましい。酸化防止剤については、例えば、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同第309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載されている。
さらに、本発明においては感熱記録材料や感圧記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。各種添加剤の具体例としては、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
前記酸化防止剤及び各種添加剤の添加量は、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して0.05〜100質量部の割合が好ましく、0.2〜30質量部の割合が特に好ましい。このような公知の酸化防止剤及び各種添加剤は、ジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセル中に含有させて用いることも、あるいはカプラーや有機塩基、その他の発色助剤と共に、固体分散物としてもしくは適当な乳化助剤と共に乳化物として用いることもでき、またその両方の形態で用いることもできる。また、酸化防止剤及び/又は各種添加剤は、一種単独で用いてもよく複数併用することもできる。さらに、保護層に添加又は存在させることもできる。
酸化防止剤及び各種添加剤は、必ずしも同一層に添加しなくてもよく、また、酸化防止剤及び/又は各種添加剤を組み合わせて複数用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、リン化合物、硫黄化合物のように構造的に分類し、互いに異なる構造のものを組み合わせてもよいし、同一のものを複数組み合わせることもできる。
−遊離基発生剤等−
本発明の記録材料には、記録後の地肌部の黄着色をさらに軽減する目的で、光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を加えてもよい。遊離基発生剤としては、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類などが挙げられる。添加量は、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、遊離基発生剤0.01〜5質量部が好ましい。
また同様に、さらに黄着色の軽減を図る目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、ビニルモノマーと称する。)を用いることができる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。例えば、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
前記ビニルモノマーは、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.2〜20質量部の割合で用いることができる。前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
上記以外に更に、酸安定剤として、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することも可能である。
〜マイクロカプセル化〜
本発明の記録材料においては、使用前の生保存性を良化する目的で、ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルに内包させることが好ましい。更には、ジアゾニウム塩化合物と共に前記一般式(1)で表される化合物をマイクロカプセルに内包した構成とすることが好ましい。ジアゾニウム塩化合物と前記一般式(1)で表される化合物とがともにマイクロカプセルに内包されることにより、記録材料のステイン着色を効果的に防止できる。
マイクロカプセル形成方法としては、従来公知のマイクロカプセルの形成方法(米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書など)を用いることができ、界面重合法や内部重合法が適している。具体的には、ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセル壁前駆体(壁材)などと共に水に難溶又は不溶の有機溶剤に前記一般式(1)で表される化合物と共に溶解して油相とし、これを水溶性高分子の水溶液(水相)中に添加してホモジナイザーなどにより乳化分散し、昇温してマイクロカプセル壁となる高分子膜(壁膜)を油/水界面に形成して得られる。
本発明においては、特に油相の調製に際して、該油相成分のうち、カプセル壁材成分及び界面活性剤成分を除く、マイクロカプセルに内包すべき油溶成分の全不揮発性油溶成分に占めるジアゾニウム塩化合物の濃度を20〜70質量%に調整することが好ましい。
壁膜となる高分子物質(壁材)としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中でも、ポリウレタン樹脂及び/又はポリウレア樹脂を構成成分とする壁膜を有するマイクロカプセルが好ましい。
以下、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法を具体的な例を示して説明する。
まず、ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物の分散媒としての前記一般式(1)で表される化合物とを、カプセルの芯となる疎水性の有機溶媒(必要に応じて低沸点溶媒を含む。)に溶解又は分散させ、マイクロカプセルの芯となる油相(有機溶媒溶液)を調製する。このとき、油相側に壁材として多価イソシアネート化合物を加えたり、均一に乳化分散し安定化させる目的で界面活性剤を更に添加してもよい。また、褪色防止剤やその他のステイン防止剤等の添加剤を添加してもよい。
なお、本発明においては、前記油相(有機溶媒溶液)において、油相成分のうち、カプセル壁材成分(多価イソシアネート化合物)及び界面活性剤、並びに低沸点溶媒を除いた、油溶成分の全不揮発性油溶成分に占めるジアゾニウム塩化合物の濃度を、前述の通り20〜70質量%に調整することが好ましい。換言すると、本例で油相を構成する油溶成分である、ジアゾニウム塩化合物と前記一般式(1)で表される化合物と高沸点有機溶媒(沸点100℃以上)とその他油溶性の添加剤との全不揮発性油溶成分の20〜70質量%となるように調整する。
前記多価イソシアネート化合物としては、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましく、2官能のイソシアネート化合物であってもよい。具体的には、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体又は3量体(ビューレット又はイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
また、特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号明細書等に記載の化合物も好ましい。
多価イソシアネート化合物の量は、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmの範囲、壁厚みが0.01〜0.3μmの範囲となるように決定され、その分散粒子径としては、0.2〜10μm程度が一般的である。
前記界面活性剤は、公知の乳化用界面活性剤を用いることができ、該界面活性剤を添加する場合の添加量としては、油相質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
前記油相の調製に際して用いる有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、例えば、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類等が挙げられる。これらは二種以上混合して用いてもよい。
また、ジアゾニウム塩化合物の前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合は、ジアゾニウム塩化合物の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用してもよく、該低沸点溶媒としては、水に溶解するものでも水に難溶又は不溶の溶媒であってもよく、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
即ち、ジアゾニウム塩化合物は、疎水性の有機溶媒、低沸点溶媒に対する適当な溶解度を有することが好ましく、具体的には、ジアゾニウム塩化合物の濃度調整を容易に行ない得る点で、溶媒への溶解度は5%以上が好ましい。なお、水に対する溶解度は1%以下が好ましい。
続いて、調製した油相を水相中に乳化分散する。このとき、水相には水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行なう。前記水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここでも、さらに均一に乳化分散し安定化させる目的で、上記同様の界面活性剤を添加してもよい。
前記水相に用いる水溶性高分子としては、乳化しようとする温度における、水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、例えば、ポリビニルアルコール及びその変成物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
また、前記水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、若しくは低いことが好ましく、例えば、ゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成する等して反応性をなくしておくことが望ましい。
水相中に油相を加えた乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネート化合物の重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
水相中又は油相の有機溶媒中に、さらにポリオール及び/又はポリアミンを添加しておけば、多価イソシアネートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして用いることもできる。上記反応において、反応温度を高く保ち、或いは、適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
前記ポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
なお、上記の多価イソシアネート化合物、ポリオール、反応触媒、或いは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については、成書(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))に詳細な記載がある。
前記乳化は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置の中から適宜選択して行なうことができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させる目的で、乳化物が30〜70℃に加温される。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、十分な攪拌を行なう等の必要がある。また、反応中に凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応時はその進行に伴なって炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセルを得ることができる。
本発明の記録材料においては、記録面を例えばサーマルヘッド等を用いて加熱すると、ポリウレア及び/又はポリウレタンのカプセル壁が軟化し、カプセル外のカプラーと有機塩基とがカプセル内に進入して発色する。発色後はジアゾニウム塩化合物の吸収波長の光を照射することにより、ジアゾニウム塩化合物が分解しカプラーとの反応性を失うため画像の定着が行なわれる。
なお、前記定着に用いられる光源としては、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯、LED、レーザーなどが好適であり、この発光スペクトルが感熱記録材料に含まれるジアゾニウム塩化合物の吸収スペクトルとほぼ一致していることが効率よく定着させ得る点から好ましい。本発明においては、発光中心波長が400nmより長波長の定着光源が特に好ましい。
〜記録材料の製造方法〜
本発明の記録材料は、例えば、ジアゾニウム塩化合物及び前記一般式(1)で表される化合物を少なくとも含むマイクロカプセル、カプラー、及び有機塩基、並びに他の添加物を含有する塗布液を調製し、この塗布液を紙や合成樹脂フィルムなど所望の支持体の上に、バー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等の塗布方法によって塗布し乾燥させ、固形分が2.5〜30g/m2の感熱記録層を形成することにより好適に作製することができる。本発明の記録材料においては、マイクロカプセル、カプラー、有機塩基などが同一層に含まれていてもよいが、別層に含まれるような積層型の構成をとることもできる。また、支持体の上に特願昭59−177669号明細書等に記載の中間層を設けた後に、感熱記録層を塗設するようにすることもできる。
本発明の記録材料には、例えば記録層中にバインダーを用いてもよく、該バインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類などを使用できる。水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変成ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変成物等が挙げられ、ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルション等が挙げられる。
また、本発明の記録材料には、例えば記録層や支持体に顔料を使用でき、該顔料としては、有機、無機を問わず公知のものを選択できる。具体的には、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
本発明の記録材料においては、必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその前駆体など各種添加剤を使用することも可能である。
本発明の記録材料が支持体上に記録層を設けてなる場合には、記録層の表面に必要に応じて保護層を設けてもよい。保護層は、一層のみならず、必要に応じて二層以上積層してもよい。保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水溶性高分子化合物、並びにスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルション等のラテックス類を使用できる。保護層に含まれる水溶性高分子化合物の架橋により、保存安定性をよりいっそう向上させることもでき、その架橋剤には公知の架橋剤を使用できる。具体的には、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼砂等の無機系架橋剤、ポリアミドエピクロルヒドリンなどが挙げられる。更に、公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤などを使用することもできる。
保護層の塗布量は、0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜2g/m2がより好ましい。その層厚としては、0.2〜5μmが好ましく、特に0.5〜2μmが好ましい。本発明の記録材料に保護層を設ける場合、保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有してもよい。
支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙などに用いられる紙支持体、並びに酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、プラスチックフィルムなどを使用できる。
支持体には、カールバランスを補正するため、あるいは裏面からの耐薬品性を向上させる目的でバックコート層を設けてもよく、裏面に接着剤層を介して剥離紙を組み合わせてラベルの形態にしてもよい。このバックコート層の形成においては、前記保護層と同様に二層以上を積層してもよく、また、材料、架橋剤等も前記保護層における場合と同様のものを使用できる。バックコート層の塗布量は0.2〜15g/m2が好ましく、1.0〜12g/m2が好ましい。また、層厚としては、0.2〜15μmが好ましく、特に1.0〜12μmが好ましい。
〜多色感熱記録材料〜
光分解波長の異なる複数の光分解性のジアゾニウム塩化合物をそれぞれ別層に用いた積層構造に構成することにより、多色感熱記録材料を作製することもできる。
本発明の記録材料を複数層が積層された多色感熱記録材料に構成する場合、感熱記録層相互の混色を防ぐために感熱記録層間に中間層を設けることもできる。中間層は、ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子化合物を用いて構成でき、さらに適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
<感熱記録層用塗布液の調製>
−ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製−
酢酸エチル1.77部に、ジアゾニウム塩化合物(例示化合物A−11)0.525部、前記一般式(1)で表される化合物(既述の例示化合物T−1;分散媒)0.80部、リン酸トリトリル0.31部、硫酸ジブチル0.30部、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチルエステル(ルシリンTPO−L,BASF(株)製)0.106部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)0.01部を添加して加熱し、均一に溶解して混合液を得た。
この混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD−110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)1.50部を添加し、均一に攪拌して混合液(V)を得た。
別途、フタル化ゼラチン(#801ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)32部とイオン交換水368部とを混合して40℃で溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。このフタル化ゼラチン水溶液8.25部にイオン交換水3.15部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(ネオペレックスG−15,花王(株)製)0.072部を添加、混合し、混合液(VI)を得た。
得られた混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて30℃下で乳化分散した。得られた乳化液に水4.0部を加えて均一化した後、40℃下で攪拌して酢酸エチルを除去しながら2時間カプセル化反応を行なった。その後、ベンゾ[d]イソチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液)0.038部を添加した。
その後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA67(オルガノ(株)製)0.53部、及びSWA100−HG(オルガノ(株)製)1.07部を加え、更に45分間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が18.5%になるように濃度調節し、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセル液のカプセル径は、粒径測定〔LA−700((株)堀場製作所製)にて実施〕の結果、メジアン径で0.57μmであった。
−カプラー乳化液(b)の調製−
酢酸エチル4.10部に、カプラー化合物(既述の例示化合物C−37)0.70部、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)1.56部、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(ビスフェノールM、三井化学(株)製)1.56部、1,1−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン1.56部、3,3,3´,3´−テトラメチル−5,5´、6,6´−テトラ(n−プロピルオキシ)−1,1´−スピロビスインダン0.39部、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン0.39部、リン酸トリトリル0.186部、マレイン酸ジエチル0.094部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)0.447部を溶解し、混合液(VII)を得た。
別途、アルカリ処理ゼラチン水溶液19.21部にイオン交換水16.1部及びベンゾ[d]イソチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液)0.329部を混合して、混合液(VIII)を得た。
得られた混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られたカプラー乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になるように濃度調節を行ない、カプラー乳化液(b)を得た。得られたカプラー乳化液の乳化物粒径は、粒径測定〔LA−700((株)堀場製作所製)にて実施〕の結果、メジアン径で0.26μmであった。
−感熱記録層用塗布液(c)の調製−
上記より得たジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)及びカプラー乳化液(b)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾニウム塩化合物の質量比が1.9/1となるように混合した。これに更に、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)を、マイクロカプセル液10部に対して0.21部となるように混合し、感熱記録層用塗布液(c)を得た。
<中間層用塗布液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)100部、ベンゾ[d]イソチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液)4.8部、水酸化カルシウム0.3部、硼酸6.9部、及びイオン交換水510部を混合して50℃下で溶解し、中間層形成用ゼラチン水溶液を得た。
得られた中間層形成用ゼラチン水溶液100部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(2.0%水溶液)0.5部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)0.6部、下記化合物(J)の4%水溶液10部、下記化合物(J’)の4%水溶液3.3部、及びイオン交換水23部を混合し、中間層用塗布液とした。
Figure 2006341390
<保護層用塗布液の調製>
−保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製−
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(EP−130,電気化学工業(株)製)150部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルとの混合液(ネオスコアCM−57(54%水溶液),東邦化学工業(株)製)7.5部、アセチレンジオールの酸化エチレン付加物(ダイノール604,エアープロダクツジャパン(株)製)6.9部、シリコン系界面活性剤(SYLGARD309,東レ・ダウコーニング・シリコン(株)製)6.9部、及びイオン交換水3682部を混合し、90℃下で1時間溶解し、均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
−保護層用顔料分散液の調製−
硫酸バリウム(BF−21F(硫酸バリウム含有量93%以上),堺化学工業(株)製)8部に、陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(ポイズ532A(40%水溶液),花王(株)製)0.2部、及びイオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して硫酸バリウム分散液を調製した。この分散液の粒径測定〔LA−910((株)堀場製作所製)にて実施〕を行なった結果、分散粒径はメジアン径で0.15μm以下であった。
得られた硫酸バリウム分散液1000部に対し、ベンゾ[d]イソチアゾリン−3−オンの水分散物(PROXELB.D,C.I(株)製)3.06部、小麦澱粉(小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)36.4部、コロイダルシリカ(スノーテックスO(20%水分散液)、日産化学(株)製)181部、及びアクリル・シリコーン変性樹脂エマルション(ARJ−2A(44%分散液),日本純薬(株)製)67.7部を攪拌しながら混合し、保護層用顔料分散液を得た。
−保護層用塗布液の調製−
上記の保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部に、イオン交換水90.4部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(2.0%水溶液)49.4部、上記の保護層用顔料分散液87.6部、ステアリン酸亜鉛分散液(ハイミクロンL111(21%水溶液),中京油脂(株)製)48.2部、前記化合物(J)の4%水溶液153.9部、及び前記化合物(J’)の4%水溶液51.3部を均一に混合し、保護層用塗布液を得た。
<下塗り層付支持体の作製>
−下塗り層形成液の調製−
アセトアセチル変性PVA(重合度:約1000;商品名:ゴーセファイマーZ−210、日本合成化学工業(株)製)12.85部、及び水87.15部を混合して90℃以上で撹拌溶解し、アセトアセチル変性PVA溶液を得た。次に、このアセトアセチル変性PVA溶液100部を撹拌しながら水2.58部を加え、これに更に水膨潤性合成雲母分散液MEB−3(アスペクト比:約1000,平均粒子径約2.0μmの雲母分散液;コープケミカル社製)18.90部を加えて充分に撹拌した。その後これに、メタノール84.90部を徐々に撹拌しながら加え、更にメタノール溶解の1.66%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤3.10部を加え、最後に1Nの水酸化ナトリウム0.45部を加えて、6.87%の下塗り層形成液を得た。
−下塗り層付支持体の作製−
1種以上のLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)100部からなる木材パルプをディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300ccまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、及びカチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比にて添加し、長網抄紙機を用いて抄紙した。その後、サイズプレス機にて塩化カルシウム及び水溶性蛍光増白剤を含むポリビニルアルコール溶液を塗布して坪量114g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
次に、原紙の両面にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーティングし、マット面からなるポリエチレン樹脂層を形成した(この面を「ウラ面」と称する。)。続いて、ポリエチレン樹脂層が形成されたウラ面とは反対側の表面に溶融押出機を用いて、アナターゼ型二酸化チタン10%及び微量の群青を含有するポリエチレンを樹脂厚50μmとなるようにコーティングし、光沢面からなるポリエチレン樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」と称する。)。
そして、ウラ面のポリエチレン樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(アルミナゾル100,日産化学工業(株)製)及び二酸化珪素(スノーテックスO,日産化学工業(株)製)を1/2の比率(=酸化アルミニウム/二酸化珪素[質量比])で水に分散させたものを、乾燥質量で0.2g/m2となるように塗布した。次に、オモテ面のポリエチレン樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、上記より得た下塗り層形成液を40℃にて保温しながら斜線グラビアロール100メッシュにて塗布し乾燥した。このとき、乾燥前の塗布量は12.5g/m2とした。以上のようにして、下塗り層付支持体を作製した。
<感熱記録材料の作製>
前記下塗り層付支持体の上に、この支持体側から順に、前記感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、及び前記保護層用塗布液を3層同時に連続塗布し、温度30℃、湿度30%の条件、及び温度40℃、湿度30%の条件にてそれぞれ乾燥し、本発明の感熱記録材料を得た。
このとき、感熱記録層用塗布液(c)の塗布は、塗布液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(例示化合物A−11)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/m2となるように行なった。また、中間層用塗布液の塗布は固形分塗布量が2.38g/m2となるように、保護層用塗布液の塗布は固形分塗布量が1.39g/m2となるように、それぞれ行なった。
(実施例2)
実施例1において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製に用いた例示化合物T−1を、既述の例示化合物T−5(前記一般式(1)で表される化合物)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料を作製した。
(実施例3)
実施例1において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製に用いた例示化合物T−1を、既述の例示化合物T−12(前記一般式(1)で表される化合物)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料を作製した。
(実施例4)
実施例1において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製に用いた例示化合物T−1を、既述の例示化合物T−14(前記一般式(1)で表される化合物)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料を作製した。
(比較例1)
実施例1において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製に用いた例示化合物T−1をイソプロピルビフェニルに代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較の感熱記録材料を作製した。
(比較例2)
実施例1において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製に用いた例示化合物T−1をフタル酸ジフェニルに代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較の感熱記録材料を作製した。
<評価>
−1.地肌着色性−
各実施例及び各比較例で得られた感熱記録材料に対して、発光中心波長365nm、40Wの紫外線ランプの光を15秒間照射し、ジアゾニウム塩化合物の分解定着を行なった。定着後の各感熱記録材料を、湿度50%の環境条件下で光照度1500ルクスの蛍光灯下にて曝光を行ない、照射から0日、15日、及び30日経過した後の地肌部のイエロー濃度をX−rite310TR(日本平版機材(株)製)により測定した。この評価は、通常の生活環境での明かりの強さが500ルクス程度であるのに対し、強制劣化試験となることを想定して行なったものである。結果は下記表1に示す。
−2.発色性−
各実施例及び各比較例で得られた感熱記録材料に対して、印画装置としてTRT−21(長野日本無線(株)製)を用い、熱記録を行なうと共に、記録後、発光中心波長365nm、40Wの紫外線ランプの光を15秒間照射して定着を行なった。熱記録は、サーマルヘッドのエネルギーを9.8〜157.2mJ/mm2になるように印画電圧及びパルス幅を調整して行ない、マゼンタ画像を印画した。このマゼンタ画像部におけるマゼンタ濃度の最高濃度(Dmax)を、X−rite310TR(日本平版機材(株)製)により測定し、最高発色濃度とした。測定結果は下記表1に示す。
Figure 2006341390
前記表1の結果に示すように、実施例の感熱記録材料は、比較の感熱記録材料に比して、地肌部のイエロー着色が少なく、光ステインの発生を効果的に抑えることができた。また、実施例の感熱記録材料では、比較の感熱記録材料と同等の発色濃度が得られており、発色性を損なうこともなかった。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種を含有する記録材料。
    Figure 2006341390
    〔一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基を表し、R3、R4、及びR5は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、R6は置換基を表し、Xは2価の連結基又は単結合を表す。R1とR2とは互いに連結して環を形成していてもよく、R3とR4とは互いに連結して環を形成していてもよい。nは0又は1を表し、mは0〜4の整数を表す。〕
  2. 前記R6で表される置換基が、アルキル基又はアリール基である請求項1に記載の記録材料。
  3. 前記化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1又は2に記載の記録材料。
    Figure 2006341390
    〔一般式(2)中、R1及びR2は、各々独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基を表し、R1とR2とは互いに連結して環を形成していてもよい。Xは、2価の連結基又は単結合を表し、nは0又は1を表す。〕
  4. 少なくとも1種のジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させる少なくとも1種のカプラーとを更に含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録材料。
  5. 前記ジアゾニウム塩化合物と前記一般式(1)で表される化合物とがともにマイクロカプセルに内包されている請求項4に記載の記録材料。
  6. 前記ジアゾニウム塩化合物が下記一般式(3)で表される化合物である請求項4又は5に記載の記録材料。
    Figure 2006341390
    〔一般式(3)中、R11、R12、及びR13は、各々独立に、アルキル基、又はアリール基を表し、X-は陰イオンを表す。〕
  7. 有機塩基を更に含有する請求項4〜6のいずれか1項に記載の記録材料。
  8. 前記マイクロカプセルのカプセル壁がウレタン及び/又はウレアを構成成分として含む請求項5〜7のいずれか1項に記載の記録材料。
  9. 支持体上に少なくとも一層の記録層を有してなり、前記記録層が、前記一般式(1)で表される化合物とジアゾニウム塩化合物とを少なくとも含む請求項4〜8のいずれか1項に記載の記録材料。
  10. 前記記録層が、熱印加により記録を行なう感熱記録層である請求項9に記載の記録材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020121961A (ja) * 2019-01-31 2020-08-13 Jxtgエネルギー株式会社 リン化合物の製造方法
WO2021106687A1 (ja) * 2019-11-29 2021-06-03 Eneos株式会社 熱可塑性共重合体及び樹脂成形体

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